(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記工程(2)では、前記着脱可能な逆止弁は、前記着脱可能な逆止弁を前記角型外装体から外したとしても前記非水系電解液が前記角型外装体から漏れない面に取り付けられる、請求項10に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」ともいう。)について詳細に説明する。尚、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
【0015】
本実施形態に係る密封型アルカリ金属イオン蓄電素子の製造方法は、以下の工程:
セル組立工程(1):開口部を有する角型外装体に、正極集電体、正極活物質、及びアルカリ金属化合物を含む正極前駆体と、負極集電体、及びアルカリ金属イオンを可逆的に吸蔵及び放出可能な負極活物質を含む負極とを収納する工程;
注液・含浸・仮封止工程(2):アルカリ金属化合物以外のアルカリ金属塩を含む非水系電解液を角型外装体の開口部から注液し、開口部を封止し、着脱可能な逆止弁を角型外装体に取り付けて、アルカリ金属イオン蓄電素子を形成する工程;
ドープ工程(3):正極前駆体と負極の間に電圧を印加して、負極に対するアルカリ金属イオンのドープを行い、かつ角型外装体内で発生するガスを着脱可能な逆止弁から排気する工程;
エージング工程(4):アルカリ金属イオン蓄電素子のエージングを行い、かつ角型外装体内で発生するガスを着脱可能な逆止弁から排気する工程;
所望により、エア抜き・本封止工程(5):着脱可能な逆止弁を角型外装体から取り外してから、アルカリ金属イオン蓄電素子を封止する工程;並びに
所望により、逆止弁廃棄/回収工程(6):取り外された着脱可能な逆止弁を廃棄又は回収する工程;
を含む。
【0016】
本明細書では、後述するドープ工程(3)前における正極状態のことを正極前駆体、ドープ工程(3)後における正極状態のことを正極と定義する。また、本実施形態に係る正極前駆体は、密封型アルカリ金属イオン蓄電素子の所望の構成に応じて、単に、ドープ前の電極、ドープ前の片側電極、ハーフセル、塗工電極、乾燥電極等と呼ばれることがある。
【0017】
<密封型アルカリ金属イオン蓄電素子の代表例>
密封型アルカリ金属イオン蓄電素子の代表例として、本実施形態ではリチウムイオンキャパシタである場合を説明するが、本実施形態に係る密封型蓄電素子は、リチウムイオンに限定されず、類似の挙動を示すアルカリ金属イオン、例えばNaイオン、Kイオン、Rbイオン、Csイオン等についても適用可能である。
リチウムイオンキャパシタは一般に、正極と、負極と、セパレータと、電解液とを主な構成要素とする。電解液としては、リチウムイオンを含む有機溶媒(以下、「非水系電解液」ともいう。)を用いる。また、本実施形態に係るリチウムイオンキャパシタの製造プロセスは、セル組立工程(1)、注液・含浸・仮封止工程(2)、ドープ工程(3)、エージング工程(4)、エア抜き・本封止工程(5)、逆止弁排気/回収工程(6)の順で行われることが好ましい。密封型アルカリ金属イオン蓄電素子の構成部材及び製造プロセスを以下に説明する。
【0018】
[正極]
正極は、正極集電体と、その片面又は両面に存在する正極活物質層とを有する。また、正極は、蓄電素子組み立て前の正極前駆体として、アルカリ金属化合物を含むことを特徴とする。後述のように、本実施形態ではドープ工程(3)で、負極にアルカリ金属イオンをドープするので、アルカリ金属化合物は正極前駆体の正極集電体上に形成された正極活物質層に含有されることが好ましい。
【0019】
[正極活物質層]
正極活物質層は、炭素材料を含む正極活物質を含有することが好ましく、これ以外に、必要に応じて、導電性フィラー、結着剤、分散安定剤等の任意成分を含んでいてもよい。
また、正極前駆体の正極活物質層中または正極活物質層表面に、アルカリ金属化合物が含有されることが好ましい。
【0020】
[正極活物質]
正極活物質としては、炭素材料が好ましい。この炭素材料としては、カーボンナノチューブ、導電性高分子、又は多孔性の炭素材料を使用することが好ましく、より好ましくは活性炭である。正極活物質には1種類以上の材料を混合して使用してもよく、炭素材料以外の材料(例えばリチウムと遷移金属との複合酸化物等)を含んでもよい。
【0021】
[アルカリ金属化合物]
本実施形態に係るアルカリ金属化合物としては、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸ルビジウム、炭酸セシウム、酸化リチウム及び水酸化リチウムが挙げられ、正極前駆体中で分解して陽イオンを放出し、負極で還元することでプレドープすることが可能である、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸ルビジウム、炭酸セシウムから選択されるアルカリ金属炭酸塩の1種以上が好適に用いられる。中でも、単位重量当たりの容量が高いという観点から炭酸リチウムが好適に用いられる。正極前駆体中に含まれるアルカリ金属化合物は1種でもよく、2種以上のアルカリ金属化合物を含んでいてもよい。また、正極前駆体としては少なくとも1種のアルカリ金属化合物を含んでいればよく、MをLi、Na、K、Rb、Csから選ばれる1種以上として、M
2O等の酸化物、MOH等の水酸化物、MFやMCl等のハロゲン化物、RCOOM(式中、RはH、アルキル基、又はアリール基である)等のカルボン酸塩を1種以上含んでいてもよい。また、BeCO
3、MgCO
3、CaCO
3、SrCO
3、BaCO
3から選ばれるアルカリ土類金属炭酸塩や、アルカリ土類金属酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、アルカリ土類金属ハロゲン化物、アルカリ土類金属カルボン酸塩を1種以上含んでいてもよい。
アルカリ金属化合物の他に2種以上のアルカリ金属化合物、又はアルカリ土類金属化合物を含む場合は、アルカリ金属化合物、及びアルカリ土類金属化合物の総量が、正極前駆体の片面当たり正極活物質層中に5g/m
2以上35g/m
2含まれるように正極前駆体を作製することが好ましい。
【0022】
正極前駆体に含まれるアルカリ金属化合物は、非水系ハイブリッドキャパシタを形成したときに高電圧を印加することで酸化分解してアルカリ金属イオンを放出し、負極で還元することで負極へのドープが進行する。そのため、前記酸化反応を促進させることでドープ工程(3)を短時間で行うことができる。酸化反応を促進させるためには、絶縁物であるアルカリ金属化合物を正極活物質と接触させて電子伝導を確保することと、反応して放出される陽イオンを電解液中に拡散させることが重要である。そのため、正極活物質表面を適度にアルカリ金属化合物が覆うことが好ましい。
【0023】
[正極集電体]
本発明における正極集電体を構成する材料としては、電子伝導性が高く、電解液への溶出及び電解質又はイオンとの反応等による劣化が起こらない材料であれば特に制限はないが、金属箔が好ましい。本実施の形態の非水系ハイブリッドキャパシタにおける正極集電体としては、アルミニウム箔が特に好ましい。
前記金属箔は凹凸や貫通孔を持たない通常の金属箔でもよいし、エンボス加工、ケミカルエッチング、電解析出法、ブラスト加工等を施した凹凸を有する金属箔でもよいし、エキスパンドメタル、パンチングメタル、エッチング箔等の貫通孔を有する金属箔でもよい。
【0024】
[負極]
本実施形態における負極は、負極集電体と、その片面又は両面上に設けられた、負極活物質を含む負極活物質層とを有する。
【0025】
負極活物質層は、リチウムイオンを吸蔵・放出できる負極活物質を含み、必要に応じて、導電性フィラー、結着剤、分散材安定剤等の任意成分を含んでいてもよい。
【0026】
負極活物質としては、具体的には、炭素材料、チタン酸化物、ケイ素、ケイ素酸化物、ケイ素合金、ケイ素化合物、錫及び錫化合物等が例示される。中でも、炭素材料が好ましく、例えば、難黒鉛化性炭素材料;易黒鉛化性炭素材料;カーボンブラック;カーボンナノ粒子;活性炭;人造黒鉛;天然黒鉛;黒鉛化メソフェーズカーボン小球体;黒鉛ウイスカ;ポリアセン系物質等のアモルファス炭素質材料;石油系のピッチ、石炭系のピッチ、メソカーボンマイクロビーズ、コークス、合成樹脂(例えばフェノール樹脂等)等の炭素前駆体を熱処理して得られる炭素質材料;フルフリルアルコール樹脂又はノボラック樹脂の熱分解物;フラーレン;カーボンナノフォーン;及びこれらの複合炭素材料を挙げることができる。
【0027】
[負極集電体]
本発明における負極集電体を構成する材料としては、電子伝導性が高く、電解液への溶出及び電解質又はイオンとの反応等による劣化が起こらない金属箔であることが好ましい。このような金属箔としては、特に制限はなく、例えば、アルミニウム箔、銅箔、ニッケル箔、ステンレス鋼箔等が挙げられる。本実施の形態の非水系ハイブリッドキャパシタにおける負極集電体としては、銅箔が好ましい。
前記金属箔は凹凸や貫通孔を持たない通常の金属箔でもよいし、エンボス加工、ケミカルエッチング、電解析出法、ブラスト加工等を施した凹凸を有する金属箔でもよいし、エキスパンドメタル、パンチングメタル、エッチング箔等の貫通孔を有する金属箔でもよい。
【0028】
[セパレータ]
正極前駆体及び負極は、好ましくはセパレータを介して、積層又は捲回され、正極前駆体、負極及びセパレータを有する電極積層体または電極捲回体が形成される。
前記セパレータとしては、リチウムイオン二次電池に用いられるポリエチレン製の微多孔膜若しくはポリプロピレン製の微多孔膜、又は電気二重層キャパシタで用いられるセルロース製の不織紙等を用いることができる。これらのセパレータの片面または両面に、有機または無機の微粒子からなる膜が積層されていてもよい。また、セパレータの内部に有機または無機の微粒子が含まれていてもよい。
【0029】
[非水系電解液]
本実施形態に係る非水系電解液は、非水溶媒を含む。また、非水系電解液は、非水系電解液の総量を基準として、上記で説明されたアルカリ金属化合物以外のアルカリ金属塩を含み、0.5mol/L以上のアルカリ金属塩を含むことが好ましい。
【0030】
アルカリ金属塩としては、例えば、MをLi、Na、K、Rb、Csとして、MFSI、MBF
4、MPF
6等を用いることができる。本実施形態における非水系電解液には少なくとも1種以上のアルカリ金属イオンを含有していればよく、2種以上のアルカリ金属塩を含有していてもよいし、アルカリ金属塩及びベリリウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩、ストロンチウム塩、バリウム塩から選ばれるアルカリ土類金属塩を含有していてもよい。非水系電解液中に2種以上のアルカリ金属塩を含有する場合、ストークス半径の異なる陽イオンが非水電解液中に存在することで低温下での粘度上昇を抑制することができるため、非水系ハイブリッドキャパシタの低温特性が向上する。非水電解液中に上記アルカリ金属イオン以外のアルカリ土類金属イオンを含有する場合、ベリリウムイオン、マグネシウムイオン、カルシウムイオン、ストロンチウムイオン、バリウムイオンが2価の陽イオンであるために非水系ハイブリッドキャパシタを高容量化することができる。
【0031】
上記2種以上のアルカリ金属塩を非水系電解液中に含有させる方法、又はアルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩を非水系電解液中に含有させる方法は特に限定されないが、非水系電解液中に予め2種以上のアルカリ金属イオンからなるアルカリ金属塩を溶解することもできるし、アルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩を溶解することもできる。また、正極前駆体中に下記式におけるMをNa、K、Rb、及びCsから選ばれる1種以上として、
M
2CO
3等の炭酸塩、
M
2O等の酸化物、
MOH等の水酸化物、
MFやMCl等のハロゲン化物、
RCOOM(式中、RはH、アルキル基、又はアリール基である)等のカルボン酸塩、
又は/及び、BeCO
3、MgCO
3、CaCO
3、SrCO
3、又はBaCO
3から選ばれるアルカリ土類金属炭酸塩、並びにアルカリ土類金属酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、アルカリ土類金属ハロゲン化物、及びアルカリ土類金属カルボン酸塩を1種以上含有させ、後述のプレドープ工程にて分解する方法等が挙げられる。
電解液における電解質塩濃度は、0.5〜2.0mol/Lの範囲が好ましい。0.5mol/L以上では、アニオンが十分に存在し、密封型アルカリ金属イオン蓄電素子の容量が維持される。一方で、2.0mol/L以下では、塩が電解液中で十分に溶解し、電解液の適切な粘度及び伝導度が保たれる。
非水系電解液中に2種以上のアルカリ金属塩を含有する場合、又はアルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩を含有する場合、これらの塩濃度の合計値が0.5mol/L以上であることが好ましく、0.5〜2.0mol/Lの範囲であることがより好ましい。
【0032】
[非水溶媒]
本実施形態の非水系電解液は、非水溶媒として、好ましくは、環状カーボネートを含有する。非水系電解液が環状カーボネートを含有することは、所望の濃度のリチウム塩を溶解させる点、及び正極活物質層にリチウム化合物を適量堆積させる点で有利である。環状カーボネートとしては、例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ビニレンカーボネート、フルオロエチレンカーボネート等が挙げられる。
【0033】
本実施形態の非水系電解液は、非水溶媒として、好ましくは、鎖状カーボネートを含有する。非水系電解液が鎖状カーボネートを含有することは、高いリチウムイオン伝導度を発現する点で有利である。鎖状カーボネートとしては、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、ジプロピルカーボネート、ジブチルカーボネート等に代表されるジアルキルカーボネート化合物が挙げられる。ジアルキルカーボネート化合物は典型的には非置換である。
【0034】
[添加剤]
本実施形態の非水系電解液は、更に添加剤を含有していてもよい。添加剤としては、特に制限されないが、例えば、スルトン化合物、環状ホスファゼン、非環状含フッ素エーテル、含フッ素環状カーボネート、環状炭酸エステル、環状カルボン酸エステル、及び環状酸無水物等を単独で用いることができ、また、2種以上を混合して用いてもよい。
【0035】
[セル組立工程(1)]
セル組立工程(1)では、枚葉状にカットした正極前駆体及び負極を、セパレータを介して積層して成る積層体に、正極端子及び負極端子を接続して、電極積層体を作製する。代替的には、正極前駆体及び負極を、セパレータを介して積層及び捲回した捲回体に、正極端子及び負極端子を接続して、電極捲回体を作製する。電極捲回体の形状は円筒型であっても、扁平型であってもよい。
【0036】
正極端子及び負極端子の接続方法は特に限定されないが、抵抗溶接、超音波溶接などの方法で行うことができる。
【0037】
[角型外装体]
本実施形態に係る角型外装体は、角のある形態、例えば箱型、缶型などの形態である。セル組立工程(1)では、外装体は、電極積層体又は電極捲回体と非水系電解液を内部に収納するための開口部を有する。開口部の開口面積は、電極積層体又は電極捲回体と非水系電解液が通過できるのであれば限定されない。
【0038】
開口部は、後述される注液・含浸・仮封止工程(2)で非水系電解液を角型外装体に注液したとしても非水系電解液が角型外装体から漏れないように、外装体に形成されることが好ましい。
【0039】
角型外装体が箱型である場合には、外装体は、開口面積の観点から、密封型アルカリ金属イオン蓄電素子の通常の使用状態における上面に相当する一面が開口した有底直方体形状であることが好ましい。
【0040】
角型外装体が略六面形状である場合には、六面のうちの少なくとも一面の面積よりも小さい開口面積を有する開口部を対応する一面内に形成することが好ましい。
【0041】
角型外装体は、耐衝撃性及び寸法安定性の観点から、金属製であることが好ましく、軽量で熱伝導性の良い金属材料から成ることがより好ましい。角型外装体の材質は、例えば、アルミニウム、ステンレス鋼、ニッケルめっき鋼などである。
【0042】
[注液・含浸・仮封止工程(2)]
組立工程の終了後に、外装体の中に収納された電極積層体又は電極捲回体に、非水系電解液を注液する。注液後に、更に含浸を行い、正極前駆体、負極、及びセパレータを非水系電解液で十分に浸すことが望ましい。正極前駆体、負極、及びセパレータのうちの少なくとも一部に非水系電解液が浸っていない状態では、得られるアルカリ金属イオン蓄電素子の抵抗が上昇したり、耐久性が低下したりする。含浸の方法としては、特に制限されないが、例えば、非水系電解液を注液後に、外装材が開口した状態で減圧チャンバーに設置し、真空ポンプを用いてチャンバー内を減圧状態にし、再度大気圧に戻す方法等を用いることができる。
【0043】
含浸後には、外装材が開口した状態で電極積層体又は電極捲回体を減圧を開始して、その後に開口部を封止することにより形成されたアルカリ金属イオン蓄電素子を仮封止することが好ましい。また、注液及び含浸だけでなく仮封止も減圧下で行なってよい。
【0044】
工程(2)では、角型外装体に着脱可能な逆止弁を取り付ける。角型外装体が略六面形状などの多面形状を有する場合には、着脱可能な逆止弁は、角型外装体から外されたとしても非水系電解液が角型外装体から漏れない面に取り付けられることが好ましく、密封型アルカリ金属イオン蓄電素子の通常の使用状態における上面に相当する外装体上面に取り付けられることがより好ましい。
【0045】
着脱可能な逆止弁の取り付け位置が角型外装体の開口部と対応しているときには、開口部の封止は、着脱可能な逆止弁を開口部に取り付けることにより行なわれることができる。着脱可能な逆止弁の取り付け位置が角型外装体の開口部と対応していないときには、上記で説明されたアルカリ金属イオン蓄電素子の仮封止は、着脱可能な逆止弁の取り付けとは別の態様として、ネジ込み、シールの貼付、金属製封口板の溶接などで外装体の開口部を塞ぐことにより行なわれることができる。
【0046】
図1に、逆止弁が取り付けられた角型外装体を備えるアルカリ金属イオン蓄電素子の一例を示す。角型外装体2には、電極積層体又は電極捲回体(図示せず)が収納される。外装体本体2aに電極積層体又は電極捲回体と電解液を収納してから、金属端子(4,4)が角型外装体2の外部に引き出されるように、外装体の開口部を封口体2bで溶接封止する。封口体2bの外面と対応する角型外装体2の上面には、着脱可能な逆止弁3が取り付けられる。
【0047】
[着脱可能な逆止弁]
本実施形態に係る逆止弁は、角型外装体の通気口又は気体配管に取り付けておき、気体の背圧によって弁体が逆流を防止する形で作動する構造にした弁であり、かつ後述されるエア抜き・本封止工程(5)のために着脱可能である。一般に、逆止弁は、逆流防止弁、チェックバルブ又はチャッキと呼ばれることもある。
【0048】
逆止弁は、外装体の外部に存在する水、空気、水蒸気等のガスが外装体の内部に流入することを抑止する一方で、ドープ工程(3)及び/又はエージング工程(4)時に外装体の内部で発生するガスを外装体の外部に排気する。逆止弁のガス抜き方式としては、例えば、バネ、オイルシール等が挙げられる。
【0049】
逆止弁の着脱方式は、事後的に行われるエア抜き・本封止工程(5)の観点から、ステッカー型又はスクリュー型であることが好ましい。
【0050】
(ステッカー型逆止弁)
ステッカー型逆止弁は、フィルム(シール部)、排出口及びステッカー部を含む。ステッカー型逆止弁の内部は、通常、オイルシールされることができる。
【0051】
ステッカー型逆止弁は、フィルムが角型外装体の通気口又は気体配管口と逆止弁内の排出口とを塞ぐように、ステッカー部を介して角型外装体に取り付けられることができる。必要に応じて、ステッカー型逆止弁は、ステッカー部の粘着性のために、角型外装体から取り外されることができる。
【0052】
フィルム(シール部)は、好ましくは、外層体内で発生したガスにより移動させられ易い材料で形成され、より好ましくは、PETとアジピン酸ジヒドラジド(ADH)の混合物、PETなどから形成される。
【0053】
ステッカー型逆止弁について、作動圧は5〜9hPaでよく、閉鎖圧は1〜3hPaでよく、ガス通過量は、内圧12hPaとしたときに0.3Norm・l/時でよく、使用温度は−30℃〜+80℃の範囲内でよく、形状は円形又は角形でよい。
【0054】
図2には、角型外装体に取り付けられたときのステッカー型逆止弁の略断面の一例を示す。ステッカー型逆止弁3aの固定部8の内側にはフィルム(シール部)5と排出口6があり、かつ固定部8の外側にはステッカー部9がある。ステッカー型逆止弁3aは、缶壁4の開口部を塞ぐように、ステッカー部9を介して缶壁4に取り付けられる。なお、排出口6は、
図2(a)及び(b)の奥行方向の固定部8に設けられている。通常、缶壁4の内側にガスが発生していないので、排出口6はフィルム5により塞がれる(
図2(a))。缶壁4の内側にガスが発生すると、ガスがフィルム5を押し上げることにより生じたスペース7が、排出口6と流体連通するので、ガスは、方向xに沿って排出口6へ流れる(
図2(b))。
【0055】
(スクリュー型逆止弁)
スクリュー型逆止弁は、角型外装体にねじ込まれることにより、又は角型外装体に設けられたネジ受け口に差し込まれることにより、角型外装体に取り付けられることができるのに対して、ねじ込み時又は差し込み時とは逆方向に回転させることにより角型外装体から取り外されることができる。スクリュー型逆止弁は、ボールチャッキ弁、ねじ締めチャッキ弁及びバタフライチャッキ弁から成る群から選択される少なくとも1つでよい。
【0056】
図3には、角型外装体に取り付けられたときのスクリュー型逆止弁の略断面図の一例を示す。スクリュー型逆止弁3bは、排出口6、固定部8、シャフト10、おもり11、バネ12、及びスクリュー部(ネジ式)13を含み、スクリュー部13を介して缶壁4にねじ込まれる。シャフト10は、
図3(c)の部分拡大図に示されるとおり、中空であり、かつ長手方向の両端に設けられたガス入口とガス出口と、側壁に設けられたガス出口とを有する。通常、缶壁4の内側にガスが発生していないので、バネ12は、おもり11により下方に伸ばされ、おもり11は、ガス排出経路である排出口6を塞ぐ(
図3(a))。缶壁4の内側にガスが発生すると、ガスは、シャフト10、おもり11及びバネ12を押し上げ、方向xに沿ってシャフト10のガス出口から排出口6へ流れる(
図3(b))。
【0057】
[ドープ工程(3)]
本実施形態において、アルカリ金属イオンを含む正極活物質及びアルカリ金属炭酸塩が、負極活物質へのアルカリ金属イオンのドーパント源として機能する。アルカリ金属イオンのドープ工程では、正極前駆体と負極との間に電圧を印加して、正極前駆体中のアルカリ金属炭酸塩を分解してアルカリ金属イオンを放出し、負極でアルカリ金属イオンを還元することにより負極活物質層にアルカリ金属イオンをプレドープすることが好ましい。
【0058】
正負極間の電圧の印加は、正極端子と負極端子に外部電源を接続する方法、予め充電しておいたアルカリ金属イオン蓄電素子を保管することにより自己放電させる方法などにより、行なわれることができる。ドープ時間は、好ましくは24時間以内、より好ましくは1時間〜24時間、さらに好ましくは1時間〜20時間である。
【0059】
アルカリ金属イオンのドープ工程において、正極前駆体中のアルカリ金属化合物の酸化分解に伴い、CO
2等のガスが発生する。そのために、電圧を印加する際には、発生したガスを角型外装体の外部に放出する手段として、外装体に取り付けられた逆止弁を利用する。
【0060】
外装体からCO
2等のガスを脱気するという観点から、ドープ工程(3)を減圧下で行なってよい。ドープ工程(3)での減圧は、注液・含浸・仮封止工程(2)から連続的に行うか、又は注液・含浸・仮封止工程(2)の減圧とは別に逐次的に行うことができる。
【0061】
[エージング工程(4)]
ドープ工程(3)後に、電極積層体又は電極捲回体にエージングを行うことが好ましい。エージングでは、非水系電解液中の溶媒が負極で分解し、負極表面にアルカリ金属イオン透過性の固体高分子被膜が形成される。エージング工程においては、非水系電解液中の溶媒の分解による、有機電解液のガス等が発生する。そのために、エージング工程においても、発生したガスを外装体の外部に放出する手段として、外装体に取り付けられた逆止弁を利用する。
【0062】
エージングの方法としては、特に制限されないが、例えば高温環境下で電解液中の溶媒を反応させる方法等を用いることができる。
【0063】
[エア抜き・本封止工程(5)]
エージング後に、更にガス抜きを行い、電解液、正極、及び負極中に残存しているガスを確実に除去すること(いわゆるエア抜き)が好ましい。電解液、正極、及び負極の少なくとも一部にガスが残存している状態では、イオン伝導が阻害されるため、得られるアルカリ金属イオン蓄電素子の抵抗が上昇してしまう。
【0064】
エア抜きは、上記で説明された着脱可能な逆止弁を角型外装体から取り外すことにより行なわれることができる。また、逆止弁を取り外した状態の蓄電素子を減圧チャンバーに設置し、真空ポンプを用いてチャンバー内を減圧状態にすることによりエア抜きを促進してよい。
【0065】
上記のようにガス抜きを終えた後に、外装体を封止することにより外装体を密閉して、密封型アルカリ金属イオン蓄電素子を得ることができる。この封止は、逆止弁を再び外装体に取り付けるか、又はネジ込み、シールの貼付、金属製封口板の溶接などで外装体の開口部を塞ぐことにより行なわれることができる。
【0066】
[逆止弁廃棄/回収工程(6)]
生産性及び環境への配慮の観点から、エア抜き・本封止工程(5)で取り外された逆止弁を廃棄又は回収することが好ましい。回収された着脱可能な逆止弁は、密封型アルカリ金属イオン蓄電素子の製造時に再利用されることができる。
【0067】
<リチウムイオンキャパシタ>
以上の方法により、リチウムイオンキャパシタを製造することができる。このリチウムイオンキャパシタは、一実施形態において、正極前駆体に含有されていたリチウム化合物が分解されて散逸した跡である空孔を有する多孔性の正極活物質層を有する正極と、リチウム化合物をドーパント源としてドープされた負極活物質層を有する負極と、を具備する。正極は、リチウムドープ工程にて分解しなかったリチウム化合物を含んでいてもよい。
【実施例】
【0068】
以下、本発明を実施例及び比較例を用いてより具体的に説明する。本発明は、以下の実施例によって何ら限定されるものではない。
【0069】
<正極活物質の調製>
フェノール樹脂を、焼成炉内へ入れ、窒素雰囲気下、600℃で2時間炭化処理を行った後、ボールミルで粉砕し、分級して平均粒子径7μmの炭化物を得た。得られた炭化物とKOHとを、質量比1:5で混合し、焼成炉内へ入れ、窒素雰囲下、800℃で1時間加熱して賦活した。賦活後の炭化物を取り出し、濃度2mol/Lに調整した希塩酸中で1時間撹拌洗浄し、蒸留水でpH5〜6の間で安定するまで煮沸洗浄した後に乾燥することにより、活性炭1を得た。
島津製作所社製レーザー回折式粒度分布測定装置(SALD−2000J)を用いて、活性炭1の平均粒子径を測定した結果、7.0μmであった。また、ユアサアイオニクス社製細孔分布測定装置(AUTOSORB−1 AS−1−MP)を用いて、活性炭1の細孔分布を測定した。その結果、BET比表面積が3627m
2/g、メソ孔量(V
1)が1.50cc/g、マイクロ孔量(V
2)が2.28cc/g、V
1/V
2=0.66であった。
【0070】
<正極前駆体の製造>
活性炭1を正極活物質として用いて、正極前駆体を製造した。
活性炭1を50.0質量部、炭酸リチウム1を38.5質量部、ケッチェンブラックを3.0質量部、PVP(ポリビニルピロリドン)を1.5質量部、及びPVDF(ポリフッ化ビニリデン)を7.0質量部、並びにNMP(N−メチルピロリドン)を混合し、それをPRIMIX社製の薄膜旋回型高速ミキサーフィルミックスを用いて、周速17m/sの条件で分散して塗工液を得た。
得られた塗工液の粘度(ηb)及びTI値を東機産業社のE型粘度計TVE−35Hを用いて測定した。その結果、粘度(ηb)は2,650mPa・s、TI値は4.1であった。また、得られた塗工液の分散度をヨシミツ精機社製の粒ゲージを用いて測定した。その結果、粒度は32μmであった。
塗工液を東レエンジニアリング社製のダイコーターを用いて、厚さ15μmのアルミニウム箔の両面に塗工速度1m/sの条件で塗工し、乾燥温度120℃で乾燥して正極前駆体1を得た。得られた正極前駆体1を、ロールプレス機を用いて圧力6kN/cm、プレス部の表面温度25℃の条件でプレスした。プレスされた正極前駆体1の全厚を、小野計器社製膜厚計Linear Gauge Sensor GS−551を用いて、正極前駆体1の任意の10か所で測定した。測定された全厚の平均値からアルミニウム箔の厚さを引いて、正極前駆体1の正極活物質層の膜厚を求めた。その結果、正極活物質層の膜厚は、片面あたり59μmであった。
【0071】
<負極活物質の調製>
市販の人造黒鉛のBET比表面積及び細孔分布を、ユアサアイオニクス社製細孔分布測定装置(AUTOSORB−1 AS−1−MP)を用いて、上述した方法によって測定した。その結果、BET比表面積は3.1m
2/g、平均粒子径は4.8μmであった。
この人造黒鉛300gをステンレススチールメッシュ製の籠に入れ、石炭系ピッチ(軟化点:50℃)30gを入れたステンレス製バットの上に置き、両者を電気炉(炉内有効寸法300mm×300mm×300mm)内に設置した。人造黒鉛と石炭系ピッチを窒素雰囲気下、1000℃まで12時間で昇温し、同温度で5時間保持することにより熱反応させ、複合多孔質炭素材料2aを得た。得られた複合多孔質炭素材料2aを自然冷却により60℃まで冷却し、電気炉から取り出した。
得られた複合多孔質炭素材料2aについて、上記と同様の方法でBET比表面積及び細孔分布を測定した。その結果、BET比表面積は6.1m
2/g、平均粒子径は4.9μmであった。また、複合多孔質炭素材料2aにおける、石炭系ピッチ由来の炭素質材料の活性炭に対する質量比率は2.0%であった。
【0072】
<負極の製造>
複合多孔質炭素材料2aを負極活物質として用いて負極を製造した。
複合多孔質炭素材料2aを84質量部、アセチレンブラックを10質量部、及びPVdF(ポリフッ化ビニリデン)を6質量部、並びにNMP(N−メチルピロリドン)を混合し、その混合物をPRIMIX社製の薄膜旋回型高速ミキサーフィルミックスを用いて、周速17m/sの条件で分散して塗工液1Aを得た。
得られた塗工液1Aの粘度(ηb)及びTI値を東機産業社のE型粘度計TVE−35Hを用いて測定した。その結果、粘度(ηb)は2,520mPa・s、TI値は3.8であった。
東レエンジニアリング社製のダイコーターを用いて厚さ10μmの電解銅箔の両面に塗工液1Aを塗工速度2m/sの条件で塗工し、乾燥温度120℃で乾燥して負極1を得た。ロールプレス機を用いて圧力5kN/cm、プレス部の表面温度25℃の条件でプレスした。プレスされた負極1の全厚を、小野計器社製膜厚計Linear Gauge Sensor GS−551を用いて、負極1の任意の10か所で測定した。その後、負極1の内の一方の面の負極活物質層を取り除き、再度厚みを測定した。その後、負極集電体上に残った負極活物質層を全て取り除き、銅箔の厚みを測定した。得られた測定結果より、負極1の負極活物質層の膜厚を求めた。その結果、負極活物質層の膜厚は、片面あたり59μmであった。
【0073】
<電解液の調製>
有機溶媒として、エチレンカーボネート(EC):エチルメチルカーボネート(EMC)=33:67(体積比)の混合溶媒を用い、全電解液に対してLiN(SO
2F)
2及びLiPF
6の濃度比が75:25(モル比)であり、かつLiN(SO
2F)
2及びLiPF
6の濃度の和が1.2mol/Lとなるようにそれぞれの電解質塩を溶解して非水系電解液1を得た。非水系電解液1におけるLiN(SO
2F)
2及びLiPF
6の濃度は、それぞれ、0.9mol/L及び0.3mol/Lであった。
【0074】
[実施例1]
<非水系リチウム蓄電素子の作製>
正極前駆体1を12.0cm×210.0cmの大きさに切断し(正極活物質層の大きさが10.0cm×210.0cm、正極集電体上に正極活物質層が塗工されていない正極未塗工部が2.0cm×210.0cmである。)、負極1を12.1×220.0cmの大きさに切断し(負極活物質層の大きさが10.1cm×220.0cm、負極集電体上に負極活物質層が塗工されていない負極未塗工部が2.0cm×220.0cmである。)、切り出された正極前駆体1及び負極1をポリエチレン製のセパレータ(旭化成株式会社製、厚み10μm)を介して扁平状に捲回し、扁平捲回電極体を作製した。得られた扁平捲回電極体に正極端子及び負極端子を超音波溶接し、上面が開口している金属製直方体缶に収納した。
【0075】
金属製直方体缶の開口部から、大気圧下、温度25℃、露点−40℃以下のドライエアー環境下にて、非水系電解液1を約70g注入した。続いて、扁平捲回電極体及び非水系電解液を収納している金属製直方体缶を減圧チャンバーの中に入れ、大気圧から−87kPaまで減圧した後、大気圧に戻し、5分間静置した。その後、チャンバー内の包材を大気圧から−87kPaまで減圧した後、大気圧に戻す工程を4回繰り返した後、15分間静置した。さらに、チャンバー内の缶を大気圧から−91kPaまで減圧した後、大気圧に戻した。同様に減圧し、大気圧に戻す工程を合計7回繰り返した(大気圧から、それぞれ−95,−96,−97,−81,−97,−97,−97kPaまで減圧した)。以上の工程により、非水系電解液1を扁平捲回電極体に含浸させた。
その後、非水系電解液1を含浸させた扁平捲回電極体を減圧シール機に入れ、−95kPaに減圧した状態で、電極端子が缶の外部に引き出されるように、金属製直方体缶の開口部を、金属製上部の開口部よりも狭い開口部を持つ金属製封口体で封止し、さらに、金属製封口体の開口部の上面に、電極端子と接しないようにステッカー型逆止弁を取り付けた。その際、金属製直方体缶の重量A(g)を測定した。
【0076】
[リチウムドープ工程]
封止後に得られた蓄電素子を、温度25℃の恒温槽に入れた。缶の外部に出ている電極端子を松定プレシジョン社製の電源(P4LT18−0.2)に接続し、電流値100mAで電圧4.5Vに到達するまで定電流充電を行った後、続けて4.5V定電圧充電を72時間継続する手法により初期充電を行い、負極にリチウムドープを行った。
【0077】
[エージング工程]
リチウムドープ後の蓄電素子をアルゴンボックスから取り出し、25℃環境下、100mAで電圧3.8Vに到達するまで定電流放電を行った後、3.8V定電流放電を1時間行うことにより、電圧を3.8Vに調整した。続いて、蓄電素子を60℃の恒温槽に48時間保管した。その後、保管したセルを取り出し、1時間冷却した後に、金属製直方体缶の重量B(g)を測定した。また、重量Bと重量Aの差を測定し、表1にまとめた。
【0078】
[ガス抜き工程]
温度25℃、露点−40℃のドライエアー環境下で、エージング後の蓄電素子の外装体である缶からステッカー型逆止弁を取り外した。続いて、減圧チャンバーの中に蓄電素子を入れ、ダイヤフラムポンプ(KNF社製、N816.3KT.45.18)を用いて大気圧から−80kPaまで3分間かけて減圧した後、3分間かけて大気圧に戻す工程を合計3回繰り返した。その後、減圧シール機に蓄電素子を入れ、−90kPaに減圧した後、200℃で10秒間、0.1MPaの圧力でシールすることにより蓄電素子を密封して、密封型リチウムイオン蓄電素子を作製した。
【0079】
[実施例2]
ステッカー型逆止弁の代わりにスクリュー型逆止弁を、金属製封口体の開口部の上面に取り付けたこと以外は実施例1と同様にして、密封型リチウムイオン蓄電素子を作製した。
【0080】
[比較例1]
金属製封口体の開口部に逆止弁を取り付けなかったこと以外は実施例1と同様にして、密封型リチウムイオン蓄電素子を作製した。
【0081】
[比較例2]
金属製直方体缶の上部に開口部を作らなかったこと以外は実施例1と同様にして、密封型リチウムイオン蓄電素子を作製した。
【0082】
[リチウムイオンキャパシタの外装体の安全性確認]
実施例1、実施例2、比較例1及び比較例2で得られたリチウムイオン蓄電素子のリチウムドープ工程において、4.5V定電圧充電時の外装体の外観を確認した。比較例2は、定電圧充電開始から48時間後に外装体が開裂し、重量Bの測定が不可能であった。
【0083】
【表1】
【0084】
表1より、レドックスドープ型アルカリ金属イオン蓄電素子の外装体として金属製角型缶を用い、かつ金属製角型缶に特定の逆止弁を取り付けることにより、電解液を揮発させることなく、ドープにより生じるCO
2等のガスを安全に排出できることが分かった。