(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、添付される図面を参照しながら実施の形態について説明する。
【0026】
なお、図面は概略的に示されるものであり、説明の便宜のため、適宜、構成の省略、または、構成の簡略化がなされるものである。また、異なる図面にそれぞれ示される構成などの大きさおよび位置の相互関係は、必ずしも正確に記載されるものではなく、適宜変更され得るものである。
【0027】
また、以下に示される説明では、同様の構成要素には同じ符号を付して図示し、それらの名称と機能とについても同様のものとする。したがって、それらについての詳細な説明を、重複を避けるために省略する場合がある。
【0028】
また、以下に記載される説明において、「上」、「下」、「左」、「右」、「側」、「底」、「表」または「裏」などの特定の位置と方向とを意味する用語が用いられる場合があっても、これらの用語は、実施の形態の内容を理解することを容易にするために便宜上用いられるものであり、実際に実施される際の方向とは関係しないものである。
【0029】
また、以下に記載される説明において、「第1の」、または、「第2の」などの序数が用いられる場合があっても、これらの用語は、実施の形態の内容を理解することを容易にするために便宜上用いられるものであり、これらの序数によって生じ得る順序などに限定されるものではない。
【0030】
<実施の形態>
以下、本実施の形態に関するインクジェット印刷装置、インクジェット印刷方法およびインクジェット印刷システムについて説明する。
【0031】
<インクジェット印刷システムの構成について>
図1は、本実施の形態に関するインクジェット印刷システムの構成を概略的に例示する図である。
図1に例示されるように、本実施の形態に関するインクジェット印刷システムは、給紙部12と、インクジェット印刷装置14と、排紙部16とを備える。
【0032】
給紙部12は、ロール状の連続紙100を水平軸周りに回転可能に保持し、インクジェット印刷装置14に対して連続紙100を巻き出して供給する。インクジェット印刷装置14は、連続紙100に対して印刷を行う。排紙部16は、インクジェット印刷装置14において印刷された連続紙100を水平軸周りに巻き取る。
【0033】
連続紙100の供給側を上流とし、連続紙100の排紙側を下流とすると、給紙部12はインクジェット印刷装置14の上流側に配置され、排紙部16はインクジェット印刷装置14の下流側に配置される。
【0034】
インクジェット印刷装置14は、連続紙が供給される上流から順に、駆動ローラ21と、インクジェットヘッド22と、乾燥部23と、検査部24と、駆動ローラ25とを備える。また、インクジェット印刷装置14は、これらの構成間において、搬送される連続紙100を支持する複数の搬送ローラ26を備える。
【0035】
駆動ローラ21は、給紙部12から連続紙100を取り込む。駆動ローラ21によって給紙部12から巻き出された連続紙100は、複数個の搬送ローラ26に沿って下流側の排紙部16に向かって、すなわち、
図1におけるX軸負方向に搬送される。
【0036】
駆動ローラ25は、搬送ローラ26に沿って搬送される連続紙100を排紙部16に向かって送り出す。
【0037】
乾燥部23は、インクジェットヘッド22によって印刷されたインクの乾燥を行う。検査部24は、印刷された領域の汚れまたは印刷抜けなどがないかを検査する。
【0038】
インクジェットヘッド22は、インク滴を吐出する複数のノズル22Aを備える。インクジェットヘッド22の詳細な構成については、後述する。
【0039】
また、インクジェット印刷装置14は、制御部27を備える。制御部27は、たとえば、マウス、キーボード、モニターおよび外部データ入力機器などを備えるコンピュータによって実現され、具体的には、CPUおよび揮発性または不揮発性のメモリなどに相当する。
【0040】
制御部27は、入力された印刷データに基づき駆動ローラ21、インクジェットヘッド22、乾燥部23、検査部24および駆動ローラ25の動作を制御することによって、連続紙100に対する印刷動作を制御する。
【0041】
図2は、複数のインクジェットヘッドを備えるラインヘッドおよびその周辺の構成を例示する平面図である。
図2においては、X軸負方向が連続紙100の搬送方向であり、印刷方向はその逆方向のX軸正方向である。
図2に例示されるように、ラインヘッド30は、複数のノズル22Aをそれぞれ有するインクジェットヘッド22が、複数配列されて構成される。
図2に例示される場合では、ラインヘッド30において、それぞれのインクジェットヘッド22は千鳥配置(ジグザグ配置)されているが、インクジェットヘッド22の配置方法は、
図2に開示される場合に限られるものではない。
【0042】
それぞれのノズル22Aには、ノズル22A内のインク滴を吐出するための圧電素子(ここでは、図示しない)が取り付けられる。制御部27は、それぞれのノズル22Aにおける圧電素子の動作を制御することによって、インク滴の吐出動作を制御する。圧電素子としては、たとえば、ピエゾ素子が想定される。
【0043】
図2に例示されるように、それぞれのインクジェットヘッド22、さらには複数のインクジェットヘッド22からなるラインヘッド30は、連続紙100の搬送方向と交差する方向、すなわち、
図2におけるY軸方向に長手方向が向けられた姿勢で配置される。また、ラインヘッド30は、連続紙100が搬送される搬送路31の幅以上の長さ、好ましくは、搬送路31の幅に等しい長さを有する。
【0044】
ここで、ラインヘッド30は、連続紙100の搬送方向(X軸負方向)に沿って複数個配置されていることが一般的である。たとえば、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)についてそれぞれ1つまたは2つのラインヘッド30を備えることができる。
【0045】
図3は、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)それぞれについて2つのラインヘッドが設けられる場合の、ラインヘッドと連続紙との位置関係を例示する図である。
【0046】
図3に例示されるように、連続紙100の搬送方向上流側から順に、ブラック(K)のラインヘッド30Aおよびラインヘッド30B、シアン(C)のラインヘッド30Cおよびラインヘッド30D、マゼンタ(M)のラインヘッド30Eおよびラインヘッド30F、イエロー(Y)のラインヘッド30Gおよびラインヘッド30Hが並んで配置される。ただし、ラインヘッドの並ぶ順序および対応する色は、図示された場合に限られるものではない。
【0047】
図3に例示される場合では、各色2つのラインヘッドが設けられており、ラインヘッド30A、ラインヘッド30C、ラインヘッド30Eおよびラインヘッド30Gを前列ヘッドと称し、ラインヘッド30B、ラインヘッド30D、ラインヘッド30Fおよびラインヘッド30Hを後列ヘッドと称する。
【0048】
本実施の形態では、これらのラインヘッドを用いてインターレース印刷を行う。ここで、
図4は、前列ヘッドによる印刷画像を例示する図であり、
図5は、後列ヘッドによる印刷画像を例示する図であり、
図6は、前列ヘッドによる印刷画像および後列ヘッドによる印刷画像を合わせた図である。
【0049】
図4に例示されるような印刷画像を前列ヘッド、すなわち、ラインヘッド30A、ラインヘッド30C、ラインヘッド30Eおよびラインヘッド30Gによって印刷する。一方で、
図5に例示されるような印刷画像を後列ヘッド、すなわち、ラインヘッド30B、ラインヘッド30D、ラインヘッド30Fおよびラインヘッド30Hによって印刷する。
【0050】
前列ヘッドによる印刷画像と、後列ヘッドによる印刷画像とが連続紙100において適切に配置されることによって、
図6に例示されるように、前列ヘッドによる印刷画像と後列ヘッドによる印刷画像とが互いに補間しあって1つの印刷画像を印刷することができる。
【0051】
ここで、前列ヘッドによる印刷画像の連続紙100における位置に対して、後列ヘッドによる印刷画像が連続紙100において適切に配置されるためには、前列ヘッドにおけるノズル22Aからのインク滴吐出タイミングと、後列ヘッドにおけるノズル22Aからのインク滴吐出タイミングとが適切に制御される必要がある。ノズル22Aからのインク滴の吐出タイミングの制御部27による制御については、後述する。
【0052】
図7は、
図1に例示された制御部の、特にインク滴の吐出タイミング制御に関する機能構成を概念的に例示する図である。
図7に例示されるように、制御部27は、受信部27Aと、パラメータ記憶部27Bと、パラメータ算出部27Cと、タイミング制御部27Dとを備える。
【0053】
受信部27Aは、印刷データおよびエンコーダ101からエンコーダ信号を受信し、位置信号を出力する。ここで位置信号とは、搬送路31中に配置されたエンコーダ101から出力されるエンコーダ信号および印刷解像度に基づいて加工された信号であり、連続紙100の搬送方向における位置、すなわち、
図2におけるX軸方向の位置を示し、インク滴の吐出タイミングに対応する信号である。なお、エンコーダ101は、搬送路31におけるいずれかのローラの回転軸などに取り付けられる。
【0054】
パラメータ記憶部27Bは、それぞれのインクジェットヘッド22の複数の搬送速度、および、当該複数の搬送速度における補正パラメータ、すなわち、基礎パラメータを記憶する。
【0055】
補正パラメータは、対応するインクジェットヘッド22のインク滴の吐出タイミングが、基準となるインクジェットヘッド22のインク滴の吐出タイミングから、どの程度ずれるかを示す値である。具体的には、対応するインクジェットヘッド22がインク滴を吐出するタイミングで同期する位置信号が、基準となるインクジェットヘッド22がインク滴を吐出するタイミングで同期する位置信号から、どの程度離れた位置信号であるかを示す値である。当該値は、インク滴の連続紙100における着弾位置の差に対応する。
【0056】
なお、本実施の形態においては、インク滴の着弾位置のばらつきが比較的顕著なインクジェットヘッド22ごとに基礎パラメータを記憶する例が示されるが、搬送速度および基礎パラメータは、インクジェットヘッド22のノズル22Aごとに記憶すれば、より精度の高いインク滴の吐出タイミング制御が可能となる。また、上記の基礎パラメータは、インクジェット印刷装置の印刷動作に際してあらかじめ記憶されているものとするが、インクジェット印刷装置が繰り返し印刷動作を行う間に、当該印刷動作によって作成された印刷領域の画像をスキャナなどによって取り込み、当該画像に基づいて抽出された基礎パラメータを更新して記憶するものであってもよい。
【0057】
パラメータ算出部27Cは、パラメータ記憶部27Bに記憶された基礎パラメータに基づいて、連続紙100の搬送速度における補正パラメータを算出する。なお、算出された補正パラメータを算出パラメータと称する。また、連続紙100の搬送速度は、受信部27Aから出力される位置信号の周期から算出することができる。
【0058】
タイミング制御部27Dは、算出パラメータおよび位置信号に基づいて、インクジェットヘッド22におけるインク滴の吐出タイミングを制御する。
【0059】
図8は、インクジェットヘッドごとの補正パラメータ(基礎パラメータ)を例示する図である。
図8においては、連続紙100の搬送速度と、当該搬送速度における補正パラメータ(基礎パラメータ)の値が、インクジェットヘッドごとに例示されている。たとえば、V
A1はあるインクジェットヘッドAの第1の搬送速度、V
A2はインクジェットヘッドAの第2の搬送速度、V
B1は他のインクジェットヘッドBの第1の搬送速度、V
B2はインクジェットヘッドBの第2の搬送速度というように対応する。
【0060】
図8においては、補正パラメータは正の値となっているが、基準となるインクジェットヘッド22と対応するインクジェットヘッド22との吐出タイミングの関係によっては、負の値になる場合もある。
【0061】
<インクジェット印刷システムの動作について>
次に、
図9から
図13を参照しつつ、本実施の形態に関するインクジェット印刷システムの動作について説明する。
【0062】
まず、ノズル22Aからのインク滴の吐出タイミングの制御について説明する。
【0063】
本実施の形態におけるインターレース印刷のように、複数のノズル22Aを用いて1つの印刷画像を作成する場合、それぞれのノズル22Aから吐出されるインク滴の吐出タイミングは適切に制御される必要がある。たとえば、本実施の形態において、前列ヘッドと後列ヘッドとの間でノズル22Aからのインク滴の吐出タイミングが適切に制御されていないと、吐出されたインク滴の連続紙100における着弾位置がずれることによって、全体として適切に整合した画像を印刷することができない。すなわち、画像が一部で重なったり、逆に離れて印刷抜けが生じたりしてしまう。
【0064】
複数のノズル22A間で吐出されるインク滴の連続紙100における着弾位置がずれる主な要因としては、たとえば、ノズル22Aの取り付け位置の違い、および、ノズル22Aからインク滴が吐出される際の速度である液滴速度の違いなどが挙げられる。特に、異なるインクジェットヘッド22に形成されたノズル22A間では、液滴速度の違いは生じやすい。
【0065】
図9は、複数のノズル間で吐出されるインク滴の連続紙における着弾位置を説明するための図である。
図9では、ノズル200から吐出されるインク滴の液滴速度をV
d1、ノズル201から吐出されるインク滴の液滴速度をV
d2(ここでは、V
d1<V
d2とする)、ノズル200の直下の位置からインク滴の着弾位置までの距離をD1、ノズル201の直下の位置からインク滴の着弾位置までの距離をD2、ノズル200のインク滴の吐出面から連続紙100までの距離をD
PG、ノズル200とノズル201との間の距離をPとする。
【0066】
この場合、複数のノズル22A間で吐出されるインク滴の連続紙100における着弾位置がずれる、すなわち、複数のノズル22A間で着弾位置差が生じる主な要因としては、ノズル22Aの取り付け位置の違いによるもの(
図9におけるP)と、ノズル22Aから吐出されたインク滴が連続紙100に着弾するまでの時間の違いによるもの(
図9におけるD1とD2との差)とがあると考えられる。
【0067】
このうち、それぞれのノズル22Aから吐出されるインク滴の液滴速度の違いによる着弾位置差(Δ
D1D2)は、次の式(1)で表すことができる。
【0069】
ここで、Δ
D1D2はD1とD2との差を表し、V
Fは連続紙100の搬送速度を表す。式(1)に表されるように、着弾位置の違い(Δ
D1D2)は搬送速度(V
F)によって変化する。
【0070】
図10および
図11は、連続紙の搬送速度が異なる場合の着弾位置の違いを例示する図である。
図10および
図11においては、着弾位置のばらつきが比較的顕著なインクジェットヘッドごとに着弾位置の違いを例示する。たとえば、
図10に例示されるように、ある搬送速度(120mpm)で搬送される連続紙100に対してインク滴吐出のタイミング制御を行い、さらに、他の搬送速度(15mpm)で搬送される連続紙100に対して同様のタイミング制御を行うと、
図11に例示されるように、一方のインクジェットヘッドから吐出されるインク滴は、正しい位置に着弾しない。
【0071】
図11においては、後列ヘッドから吐出されたインク滴の着弾位置201Aが点線で示された適切な着弾位置からずれることによって、前列ヘッドから吐出されたインク滴の着弾位置200Aと、後列ヘッドから吐出されたインク滴の着弾位置201Aとの間が大きく離れてしまっている。結果として、着弾位置200Aと着弾位置201Aとが一部重なってしまっている。
【0072】
そこで、任意の搬送速度における着弾位置差を補正するため、以下の補正パラメータP
vを用いる。補正パラメータP
vは、複数の搬送速度における補正パラメータ(
図8に例示された基礎パラメータ)から算出される算出パラメータであり、次の式(2)で表すことができる。
【0074】
ここで、V
1およびV
2は異なる速度の搬送速度を表し、P
1は搬送速度がV
1である場合の補正パラメータ(基礎パラメータ)を表し、P
2は搬送速度がV
2である場合の補正パラメータ(基礎パラメータ)を表し、Vは任意の搬送速度を表す。
【0075】
次に、任意の搬送速度で搬送される連続紙100に対し、複数のノズル22Aを用いて印刷動作を行う場合について説明する。
図12は、インクジェット印刷システムの動作のうち、特に、インク滴の吐出タイミングの制御動作を例示するフローチャートである。
【0076】
まず、制御部27のパラメータ算出部27Cは、入力された印刷データに基づいてインク滴を吐出するノズル22Aを認識し、当該ノズル22Aの基礎パラメータを、対応する搬送速度とともにパラメータ記憶部27Bから取得する(ステップST101を参照)。
【0077】
なお、基礎パラメータは、1つのノズル22A(
図8においては1つのインクジェットヘッド22)に対して複数の搬送速度に対応して記憶されていればよいが、当該複数の搬送速度は、印刷可能な範囲で取りうる最高速度と最低速度とを用いることが望ましい。任意の搬送速度における補正パラメータを算出する際の精度が向上するためである。
【0078】
一方で、制御部27のパラメータ算出部27Cは、受信部27Aから出力された位置信号の周期に基づいて、連続紙100の搬送速度Vを算出する(ステップST102を参照)。位置信号は、搬送路31におけるいずれかのローラの回転軸などに設けられたエンコーダ101から出力されるエンコーダ信号および印刷解像度に基づいて生成されているため、連続紙100の搬送速度に応じて、位置信号の周期が変動する。
【0079】
次に、制御部27のパラメータ算出部27Cは、基礎パラメータおよび対応する搬送速度に基づいて、連続紙100の上記搬送速度における補正パラメータを算出する(ステップST103を参照)。当該補正パラメータの算出に際しては、上記式(2)を用いる。また、算出された当該補正パラメータを算出パラメータと称する。
【0080】
次に、制御部27のタイミング制御部27Dは、算出パラメータおよび受信部27Aから出力された位置信号に基づいて、インク滴の吐出タイミングを制御する(ステップST104を参照)。
【0081】
図13は、タイミング制御部によるタイミング制御を具体的に説明するための図である。
図13においては、受信部27Aから周期的に出力される位置信号と、位置信号の周期を、たとえば4分割した周期で得られる補正信号とが示される。
【0082】
図13において、基準となるインク滴の吐出タイミングが位置信号に同期するタイミング(T
1)である場合、制御部27のタイミング制御部27Dは、算出パラメータ(P
v)を参照して、対象となるノズル22Aからインク滴を吐出するタイミング(T
2)が、位置信号からどれだけ遅い(または早い)タイミングの補正信号に同期するかを特定する。
【0083】
たとえば、基準となる吐出タイミング(T
1)が、前列ヘッドのノズル22Aからインク滴を吐出するタイミングであった場合に、制御部27のタイミング制御部27Dは、算出パラメータ(P
v)分だけ遅い(または早い)タイミングの補正信号に、後列ヘッドのノズル22Aからインク滴を吐出するタイミング(T
2)を同期させる。
【0084】
ここで、算出パラメータ(P
v)の分だけずれた位置に補正信号がない場合には、当該箇所から最も近い補正信号に同期するタイミングで、対象となるノズル22Aからインク滴を吐出することができる。
【0085】
なお、
図13においては、位置信号の周期をさらに4分割した周期の補正信号が示されたが、分割数を増やすことによって、より精度の高いタイミング制御が可能となる。
【0086】
上記のノズル22Aからのインク滴の吐出タイミングに連動して、駆動ローラ21、乾燥部23、検査部24および駆動ローラ25の動作を制御することによって、制御部27は、複数のノズル22Aによる連続紙100に対する印刷動作を制御する。
【0087】
<以上に記載された実施の形態によって生じる効果について>
次に、以上に記載された実施の形態によって生じる効果を例示する。なお、以下の説明においては、以上に記載された実施の形態に例示された具体的な構成に基づいて当該効果が記載されるが、同様の効果が生じる範囲で、本願明細書に例示される他の具体的な構成と置き換えられてもよい。
【0088】
以上に記載された実施の形態によれば、インクジェット印刷装置は、第1のノズルおよび第2のノズルと、タイミング制御部27Dと、算出部とを備える。ここで、第1のノズルおよび第2のノズルは、たとえば、ノズル22Aに対応するものである。また、第1のノズルをノズル200に、第2のノズルをノズル201にそれぞれ対応させることもできる。また、算出部は、たとえば、パラメータ算出部に対応するものである。ノズル200およびノズル201は、搬送される記録媒体にそれぞれインク滴を吐出する。ここで、記録媒体は、たとえば、連続紙100に対応するものである。タイミング制御部27Dは、ノズル200およびノズル201のインク滴の吐出タイミングをそれぞれ制御する。ここで、連続紙100が搬送される搬送速度は、第1の搬送速度と、第1の搬送速度とは異なる速度である第2の搬送速度とを含む。任意の搬送速度で連続紙100が搬送された場合の、ノズル200から吐出されるインク滴の連続紙100における着弾位置とノズル201から吐出されるインク滴の連続紙100における着弾位置との差を着弾位置差とする。ここで、着弾位置差は、たとえば、補正パラメータに対応するものである。第1の搬送速度で連続紙100が搬送された場合の着弾位置差を第1の着弾位置差とする。ここで、第1の着弾位置差は、たとえば、基礎パラメータに対応するものである。第2の搬送速度で連続紙100が搬送された場合の着弾位置差を第2の着弾位置差とする。ここで、第2の着弾位置差は、たとえば、基礎パラメータに対応するものである。パラメータ算出部27Cは、第1の搬送速度と、第2の搬送速度と、第1の着弾位置差と、第2の着弾位置差とに基づいて、任意の搬送速度で搬送される連続紙100における着弾位置差を算出する。ここで、算出される着弾位置差は、たとえば、算出パラメータに対応するものである。そして、タイミング制御部27Dは、パラメータ算出部27Cにおいて算出された算出パラメータに基づいて、ノズル200およびノズル201のインク滴の吐出タイミングをそれぞれ制御する。
【0089】
このような構成によれば、連続紙100の搬送速度が変化する場合であっても、異なる2つの搬送速度と、これらの搬送速度で搬送される連続紙100それぞれにおける複数のノズル間での着弾位置差とを用いて、変化する搬送速度に応じた着弾位置差(算出パラメータ)を算出することができる。そして、算出された着弾位置差(算出パラメータ)を用いることによって、任意の搬送速度において、ノズルから吐出されるインク滴の着弾位置のばらつきを適切に補正することができる。
【0090】
上記のように、任意の搬送速度においてインク滴の着弾位置のばらつきを適切に補正することができるため、インターレース印刷を行う場合に、前列ヘッドと後列ヘッドとの間で印刷抜けまたは印刷領域の重なりが生じにくくなる。
【0091】
また、ラインヘッド内でインク滴の着弾位置が異なるインクジェットヘッド22がある場合であっても、任意の搬送速度において、それらのインク滴の着弾位置を揃えることができる。すなわち、所望の直線を描くことが可能となる。また、インク色の異なるインクジェットヘッド22間であっても、任意の搬送速度においてそれらのインク滴の着弾位置を揃えることができる。
【0092】
なお、これらの構成以外の本願明細書に例示される他の構成については適宜省略することができる。すなわち、少なくともこれらの構成を備えていれば、以上に記載された効果を生じさせることができる。
【0093】
しかしながら、本願明細書に例示される他の構成のうちの少なくとも1つを以上に記載された構成に適宜追加した場合、すなわち、以上に記載された構成としては記載されなかった本願明細書に例示される他の構成を以上に記載された構成に追加した場合でも、同様に以上に記載された効果を生じさせることができる。
【0094】
また、以上に記載された実施の形態によれば、第1の搬送速度は、連続紙100が搬送される最高速度であり、第2の搬送速度は、連続紙100が搬送される最低速度である。このような構成によれば、任意の搬送速度で搬送される連続紙100における算出パラメータを算出する際に、当該算出パラメータの算出精度を向上させることができる。
【0095】
また、以上に記載された実施の形態によれば、パラメータ算出部27Cは、以下の式に基づいて算出パラメータを算出する。
【0097】
このような構成によれば、搬送速度と基礎パラメータとが比例する場合に、あらかじめ記憶されている搬送速度以外の搬送速度で連続紙100が搬送される場合にも、対応する算出パラメータを算出することができる。したがって、連続紙100が任意の搬送速度で搬送される場合に、適切な算出パラメータを算出することができる。
【0098】
また、以上に記載された実施の形態によれば、タイミング制御部27Dは、周期的に入力される、連続紙100の搬送方向の位置を示す信号である位置信号に、ノズル200およびノズル201のインク滴の吐出タイミングを同期させる。そして、タイミング制御部27Dは、パラメータ算出部27Cにおいて算出された算出パラメータに基づいて、ノズル200およびノズル201のインク滴の吐出タイミングを同期させる位置信号をそれぞれ特定する。このような構成によれば、周期的に入力される位置信号に同期してインク滴の吐出タイミングを制御することができ、かつ、算出パラメータに基づいて、同期させる位置信号(補正信号)をずらすことができる。
【0099】
以上に記載された実施の形態によれば、インクジェット印刷方法において、第1の搬送速度と、第2の搬送速度と、第1の着弾位置差と、第2の着弾位置差とに基づいて、搬送速度で搬送される連続紙100における算出パラメータを算出する。そして、算出された算出パラメータに基づいて、ノズル200およびノズル201のインク滴の吐出タイミングをそれぞれ制御する。
【0100】
このような構成によれば、連続紙100の搬送速度が変化する場合であっても、異なる2つの搬送速度と、これらに対応する複数のノズル間での着弾位置差とを用いて、変化する搬送速度に応じた着弾位置差(算出パラメータ)を算出することができる。そして、算出された着弾位置差(算出パラメータ)を用いることによって、任意の搬送速度において、ノズルから吐出されるインク滴の着弾位置のばらつきを適切に補正することができる。
【0101】
なお、これらの構成以外の本願明細書に例示される他の構成については適宜省略することができる。すなわち、少なくともこれらの構成を備えていれば、以上に記載された効果を生じさせることができる。
【0102】
しかしながら、本願明細書に例示される他の構成のうちの少なくとも1つを以上に記載された構成に適宜追加した場合、すなわち、以上に記載された構成としては記載されなかった本願明細書に例示される他の構成を以上に記載された構成に追加した場合でも、同様に以上に記載された効果を生じさせることができる。
【0103】
また、特段の制限がない場合には、それぞれの処理が行われる順序は変更することができる。
【0104】
<以上に記載された実施の形態における変形例について>
本実施の形態では、上記の式(2)に示されるように、搬送速度と補正パラメータとの間の関係が比例関係にあるものとして任意の搬送速度における補正パラメータを算出したが、これらの間の関係が比例関係ではない場合も想定可能である。
【0105】
また、本実施の形態においては、記録媒体の例として連続紙100が説明されたが、本実施の形態に示された技術は、記録媒体としては紙以外のフィルムなどであっても適用可能である。また、記録媒体は、連続紙100ではなく枚葉用紙であっても適用可能である。
【0106】
また、本実施の形態においては、記録媒体の一方の面を印刷する場合、すなわち、片面印刷を行う場合が例示されたが、本実施の形態に示された技術は両面印刷を行う場合であっても適用可能である。
【0107】
また、本実施の形態では、連続紙100をインクジェットヘッド22に対して搬送させながらインクジェット印刷を行うものとして説明された。しかしながら、連続紙100を一時的に停止した状態、または、枚葉用紙に対して、インクジェットヘッド22が移動することによってインクジェット印刷が行われてもよい。
【0108】
以上に記載された実施の形態では、それぞれの構成要素の材質、材料、寸法、形状、相対的配置関係または実施の条件などについても記載する場合があるが、これらはすべての局面において例示であって、本願明細書に記載されたものに限られることはないものとする。
【0109】
したがって、例示されていない無数の変形例、および、均等物が、本願明細書に開示される技術の範囲内において想定される。たとえば、少なくとも1つの構成要素を変形する場合、追加する場合または省略する場合が含まれるものとする。