特許第6963938号(P6963938)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6963938
(24)【登録日】2021年10月20日
(45)【発行日】2021年11月10日
(54)【発明の名称】暖房システム
(51)【国際特許分類】
   F24D 19/10 20060101AFI20211028BHJP
【FI】
   F24D19/10 C
【請求項の数】2
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2017-165066(P2017-165066)
(22)【出願日】2017年8月30日
(65)【公開番号】特開2019-44997(P2019-44997A)
(43)【公開日】2019年3月22日
【審査請求日】2020年6月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】特許業務法人快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】祖父江 務
【審査官】 河野 俊二
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2015/079506(WO,A1)
【文献】 特開2005−257163(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第03076092(EP,A1)
【文献】 特開2003−074942(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第02908206(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24D 19/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザによって操作される携帯端末装置と、
ユーザの宅内を暖房する暖房装置と、
ユーザの宅内の温度を検知する温度検知手段と、
ユーザの宅内に配置されており、ユーザが帰宅したことを検知する帰宅検知手段と、
制御手段を備えており、
前記暖房装置が、ユーザが帰宅すると予想される帰宅予想時刻より前の所定の暖房運転開始時刻になると、帰宅予想時刻におけるユーザの宅内の温度が所定の暖房目標温度になるように所定の熱量でユーザの宅内を暖房するプレ暖房運転を実行し、
ユーザが前記携帯端末装置に対して所定の操作を行うと、
前記携帯端末装置が、ネットワークを介して帰宅情報を送信し、
前記制御手段が、ネットワークを介して前記携帯端末装置が送信した帰宅情報を受信すると、過去にユーザによって前記携帯端末装置に対して所定の操作が行われた時刻と、過去にユーザが帰宅したことを前記帰宅検知手段が検知した時刻との差によって帰宅に要する時間を算出し、算出した帰宅に要する時間をユーザが前記携帯端末装置に対して所定の操作を行った時刻に加算することにより、帰宅情報受信後の帰宅予想時刻を修正し、
前記暖房装置が、帰宅予想時刻が修正された場合は、修正後の帰宅予想時刻におけるユーザの宅内の温度が所定の暖房目標温度になるようにプレ暖房運転における熱量を調節する、暖房システム。
【請求項2】
前記制御手段が、帰宅予想時刻と現在時刻の時刻差と、所定の暖房目標温度と温度検知手段によって検知される温度との温度差に基づいて定められている複数の熱量を記憶しており、記憶している複数の熱量からプレ暖房運転における熱量を決定する、請求項1に記載の暖房システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で開示する技術は、暖房システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示されている暖房システムは、ユーザの宅内を暖房する暖房装置を備えている。特許文献1の暖房システムでは、所定のプレ暖房運転開始時刻になると、暖房装置がプレ暖房運転を開始する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−257163号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
暖房システムのユーザが帰宅することが予想される場合は、ユーザの帰宅予想時刻より前にユーザの宅内を暖房することが望ましい。しかしながら、ユーザの帰宅予想時刻は日によって異なり、帰宅予想時刻が早い日もあれば遅い日もある。ユーザの帰宅予想時刻が日によって異なると、帰宅予想時刻より前にユーザの宅内を適切に暖房することが難しくなる。例えば暖房が過剰になることや、暖房が不足することがある。そこで本明細書は、ユーザの帰宅予想時刻が変わったとしても、帰宅予想時刻までにユーザの宅内を適度な温度に暖房することができる技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書に開示する暖房システムは、ユーザによって操作される携帯端末装置と、ユーザの宅内を暖房する暖房装置と、ユーザの宅内の温度を検知する温度検知手段と、ユーザの宅内に配置されており、ユーザが帰宅したことを検知する帰宅検知手段と、制御手段を備えている。前記暖房装置が、ユーザが帰宅すると予想される帰宅予想時刻より前の所定の暖房運転開始時刻になると、帰宅予想時刻におけるユーザの宅内の温度が所定の暖房目標温度になるように所定の熱量でユーザの宅内を暖房するプレ暖房運転を実行し、ユーザが前記携帯端末装置に対して所定の操作を行うと、前記携帯端末装置が、ネットワークを介して帰宅情報を送信し、前記制御手段が、ネットワークを介して前記携帯端末装置が送信した帰宅情報を受信すると、過去にユーザによって前記携帯端末装置に対して所定の操作が行われた時刻と、過去にユーザが帰宅したことを前記帰宅検知手段が検知した時刻との差によって帰宅に要する時間を算出し、算出した帰宅に要する時間をユーザが前記携帯端末装置に対して所定の操作を行った時刻に加算することにより、帰宅情報受信後の帰宅予想時刻を修正し、前記暖房装置が、帰宅予想時刻が修正された場合は、修正後の帰宅予想時刻におけるユーザの宅内の温度が所定の暖房目標温度になるようにプレ暖房運転における熱量を調節する。
【0006】
この構成によれば、ユーザが携帯端末装置を操作するとユーザの帰宅予想時刻が修正されるので、ユーザの帰宅予想時刻が変わったとしてもそれに対応することができる。また、帰宅予想時刻が修正された場合は暖房装置がプレ暖房運転における熱量を調節するので、修正後の帰宅予想時刻までにユーザの宅内を適度な温度に暖房することができる。例えば、帰宅予想時刻までの時間が短い場合は熱量を多くして宅内を暖房し、帰宅予想時刻までの時間が長い場合は熱量を少なくして宅内を暖房する。よって、ユーザの帰宅予想時刻が変わったとしても、帰宅予想時刻までにユーザの宅内を適度な温度に暖房することができる。また、ユーザの過去の行動に基づいて帰宅予想時刻を適切に修正することができる。例えば、ユーザが18:45頃に携帯端末装置を操作することが多く、19:15頃に帰宅することが多い場合は、帰宅に要する時間が約30分であることが多いので、それに基づいて帰宅予想時刻を適切に修正することができる。
【0007】
上記の暖房システムにおいて、前記制御手段が、帰宅予想時刻と現在時刻の時刻差と、所定の暖房目標温度と温度検知手段によって検知される温度との温度差に基づいて定められている複数の熱量を記憶しており、記憶している複数の熱量からプレ暖房運転における熱量を決定してもよい。
【0008】
この構成によれば、時刻差と温度差に基づいてプレ暖房運転における熱量を決定するので、プレ暖房運転における熱量を帰宅予想時刻と暖房目標温度に応じた適切な熱量にすることができる。例えば、時刻差に対して温度差が大きい場合は熱量を多くし、時刻差に対して温度差が少ない場合は熱量を少なくすることによって、プレ暖房運転における熱量を適切な熱量にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施例に係る暖房システムの構成を模式的に示す図である。
図2】実施例に係る第1熱量テーブルを示す図である。
図3】実施例に係る第2熱量テーブルを示す図である。
図4】実施例に係る暖房運転処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
実施例に係る暖房システム2について図面を参照して説明する。図1に示すように、実施例に係る暖房システム2は、暖房装置21と、携帯端末装置31と、サーバ51(制御手段の一例)を備えている。暖房装置21と携帯端末装置31とサーバ51は、インターネット101(ネットワークの一例)を介して接続されている。
【0015】
暖房装置21は、暖房システム2のユーザの自宅91に設置されている。暖房装置21は、ユーザの自宅91の宅内92を暖房する装置である。暖房装置21の種類は特に限定されず、例えば床暖房、ガスファンヒータ等である。暖房装置21は、プレ暖房運転と本暖房運転を実行可能である。プレ暖房運転は、本暖房運転の前にユーザの宅内92を暖房する運転であり、本暖房運転は、プレ暖房運転の後にユーザの宅内92を暖房する運転である。プレ暖房運転が先に実行され、その後に本暖房運転が実行される。暖房装置21は、プレ暖房運転と本暖房運転の他に、給湯運転を実行可能な構成であってもよい。
【0016】
暖房装置21は、リモコン22とホームゲートウェイ23を介してインターネット101に接続されている。暖房装置21とリモコン22とホームゲートウェイ23は、ユーザの宅内92に配置されている。リモコン22は、暖房装置21に関する各種の設定を行うことができる装置である。例えば、リモコン22によって暖房目標温度を設定することができる。暖房目標温度は、暖房装置21がプレ暖房運転または本暖房運転を実行するときにその暖房運転において到達目標とする宅内92の温度である。ホームゲートウェイ23は、リモコン22とインターネット101の間の通信を中継する装置である。
【0017】
ユーザの宅内92には、更に、温度センサ24(温度検知手段の一例)と人感センサ25(帰宅検知手段の一例)とHEMSコントローラ26が配置されている。温度センサ24と人感センサ25は、HEMSコントローラ26とホームゲートウェイ23を介してインターネット101に接続されている。
【0018】
温度センサ24は、ユーザの宅内92の温度を検知する装置である。温度センサ24がユーザの宅内92の温度を検知すると、その温度を示す情報が温度センサ24からインターネット101を介してサーバ51に送信される。
【0019】
人感センサ25は、人(例えば暖房システム2のユーザ)を感知する装置である。人感センサ25が人(ユーザ)を感知した場合は、宅内92に人(ユーザ)が存在している。人感センサ25が人(ユーザ)を感知しない場合は、宅内92に人(ユーザ)が存在していない。人感センサ25は、ユーザが自宅91に帰宅すると、ユーザが帰宅したことを検知することができる。人感センサ25が人(ユーザ)を感知した場合は、そのことを示す情報が人感センサ25からインターネット101を介してサーバ51に送信される。
【0020】
HEMSコントローラ26は、温度センサ24と人感センサ25に関する各種の設定を行うことができる装置である。また、HEMSコントローラ26は、宅内92で使用されるエネルギーの管理を行うこともできる。
【0021】
携帯端末装置31は、例えばスマートフォン、携帯電話等である。携帯端末装置31は、CPU、RAM、ROM等を備えており、各種の情報処理を実行する。携帯端末装置31は、暖房システム2のユーザによって操作される。例えば、自宅91に帰宅する予定のユーザが帰宅前に暖房装置21によって宅内92を暖房したい場合に、暖房装置21に帰宅情報を送信するために携帯端末装置31に対して所定の操作を行う。携帯端末装置31は、ユーザによって所定の操作が行われると、インターネット101を介してサーバ51に各種の情報を送信する。例えば、ユーザが携帯端末装置31に所定の操作を行うことによって、携帯端末装置31は、帰宅情報をインターネット101を介してサーバ51に送信する。
【0022】
サーバ51は、各種の情報処理を実行する。サーバ51が実行する情報処理については後述する。また、サーバ51には、図2に示す第1熱量テーブル501と、図3に示す第2熱量テーブル502が記憶されている。
【0023】
図2に示すように、第1熱量テーブル501には、暖房装置21が本暖房運転を実行する際の複数の熱量レベルが記憶されている。例えば、0から5の熱量レベルが第1熱量テーブル501に記憶されている。第1熱量テーブル501に記憶されている熱量レベルは、本暖房運転における熱量に対応している。また、本暖房運転の複数の熱量レベルは、温度差T1に応じて設定されている。この温度差T1は、暖房目標温度Tsと、温度センサ24によって検知される現在の宅内92の温度Txとの温度差である。すなわち、T1=Ts−T1である。例えば、温度差T1(=Ts−Tx)が5℃以上である場合は、本暖房運転の熱量レベルが5である。
【0024】
図3に示すように、第2熱量テーブル502には、暖房装置21がプレ暖房運転を実行する際の複数の熱量レベルが記憶されている。例えば、1から5の熱量レベルが第2熱量テーブル502に記憶されている。第2熱量テーブル502に記憶されている熱量レベルは、プレ暖房運転における熱量に対応している。また、プレ暖房運転の複数の熱量レベルは、温度差T1と時刻差t1の比P1(=T1/t1)に応じて設定されている。温度差T1は上述した通りである。また、時刻差t1は、ユーザの帰宅予想時刻teと現在時刻txとの時刻差である。すなわち、t1=te−txである。例えば、比P1(=T1/t1)が5/30以上である場合は、プレ暖房運転の熱量レベルが5である。
【0025】
次に、暖房システム2で実行される暖房運転処理について説明する。この暖房運転処理は、ユーザの宅内92の温度が暖房目標温度未満である場合に実行される。ユーザの宅内92の温度は、ユーザの宅内92に配置されている温度センサ24によって検知されている。なお、ユーザの宅内92の温度が暖房目標温度以上である場合に、ユーザから暖房運転の要求があった場合には、プレ暖房運転を行わずに、本暖房運転のみを行ってもよい。
【0026】
図4に示すように、暖房運転処理のステップS11では、サーバ51が、帰宅予想時刻を設定する。帰宅予想時刻は、ユーザが帰宅すると予想される時刻である。サーバ51は、過去にユーザが帰宅した時刻に基づいて帰宅予想時刻を設定する。ユーザが帰宅した時刻に関する過去のデータはサーバ51に記憶されている。また、帰宅予想時刻は、後述するように、暖房装置21が本暖房運転を開始する時刻である。帰宅予想時刻と本暖房運転開始時刻は同じ時刻である。帰宅予想時刻(本暖房運転開始時刻)は、例えば19:00である。
【0027】
続いてステップS12では、サーバ51が、プレ暖房運転開始時刻を設定する。プレ暖房運転開始時刻は、暖房装置21がプレ暖房運転を開始する時刻である。プレ暖房運転開始時刻は、帰宅予想時刻(本暖房運転開始時刻)より所定時間前の時刻である。所定時間は、例えば30分である。プレ暖房運転開始時刻は、例えば18:30である。なお、所定時間は、現在の宅内92の温度Tx、暖房目標温度Ts、自宅91の宅外温度および暖房装置21が有する暖房能力等から算出してもよい。
【0028】
続いてステップS13では、サーバ51が、ユーザが在宅しているか否かを判断する。ユーザの宅内92に配置されている人感センサ25がユーザを感知した場合は、ユーザが在宅している。ユーザが在宅している場合は、ステップS13でサーバ51がYESと判断し、ステップS14からステップS20をスキップしてステップS21に進む。一方、ユーザが在宅していない場合は、サーバ51がNOと判断してステップS14に進む。
【0029】
続いてステップS14では、サーバ51が、プレ暖房運転開始時刻が到来したか否かを判断する。プレ暖房運転開始時刻が到来した場合は、ステップS14でサーバ51がYESと判断してステップS15に進む。一方、プレ暖房運転開始時刻が到来していない場合は、サーバ51がNOと判断してステップS13に戻る。
【0030】
続いてステップS15では、サーバ51が、暖房装置21にプレ暖房運転を実行するように指示する。具体的には、サーバ51が、インターネット101を介して暖房装置21にプレ暖房運転の実行指示情報を送信する。暖房装置21は、プレ暖房運転の実行指示情報を受信するとプレ暖房運転を開始する。暖房装置21は、所定の熱量でプレ暖房運転を実行する。プレ暖房運転における熱量は、サーバ51に記憶されている第2熱量テーブル502に基づいて決定される。暖房装置21は、ユーザの帰宅予想時刻におけるユーザの宅内92の温度(温度センサ24によって検知される温度)が所定の暖房目標温度になるようにプレ暖房運転を実行する。
【0031】
続いてステップS16では、サーバ51が、ユーザが在宅しているか否かを判断する。ユーザの宅内92に配置されている人感センサ25がユーザを感知した場合は、ユーザが在宅している。ユーザが在宅している場合は、ステップS16でサーバ51がYESと判断してステップS21に進む。一方、ユーザが在宅していない場合は、サーバ51がNOと判断してステップS17に進む。
【0032】
続いてステップS17では、サーバ51が、携帯端末装置31から帰宅情報を受信したか否かを判断する。帰宅情報は、ユーザが携帯端末装置31に所定の操作を行うことによって、ユーザの携帯端末装置31からインターネット101を介してサーバ51に送信される。ユーザは、例えば帰宅を開始する直前に帰宅情報を送信する。ユーザによって携帯端末装置31に対して所定の操作が行われると、携帯端末装置31は、インターネット101を介してサーバ51に帰宅情報を送信する。サーバ51は、帰宅情報を受信した場合は、ステップS17でYESと判断してステップS18に進む。一方、帰宅情報を受信しない場合は、NOと判断し、ステップS18をスキップしてステップS19に進む。
【0033】
続いてステップS18では、サーバ51が、上記のステップS11で設定した帰宅予想時刻を修正する。サーバ51は、過去のデータに基づいて帰宅予想時刻を修正する。具体的には、サーバ51は、上記のステップS17で帰宅情報を受信した時刻(すなわち、ユーザが携帯端末装置31に対して所定の操作を行った時刻)と、過去にユーザが帰宅に要した時間とに基づいて帰宅予想時刻を修正する。ユーザが帰宅に要した時間に関する過去のデータはサーバ51に記憶されている。例えば、サーバ51が帰宅情報を受信した時刻が18:45であり、過去にユーザが帰宅に要した時間が30分である場合は、サーバ51は、帰宅予想時刻を19:15に修正する。なお、過去にユーザが帰宅に要した時間は、ユーザが予めサーバ51に登録しておいてもよい。
【0034】
続いてステップS19では、サーバ51が、プレ暖房運転における熱量を調節するように暖房装置21に指示する。サーバ51は、第2熱量テーブル502に基づいてプレ暖房運転の熱量レベルを決定する。なお、第2熱量テーブル502におけるプレ暖房運転の複数の熱量レベルは、上述したように、温度差T1と時刻差t1の比P1(=T1/t1)に応じて設定されている。このときの時刻差t1は、ユーザの帰宅予想時刻te(帰宅予想時刻teが修正された場合は修正後の帰宅予想時刻te)と、現在時刻txとの時刻差である。サーバ51は、プレ暖房運転の熱量レベルを決定し、インターネット101を介して暖房装置21に熱量レベルの調節指示情報を送信する。暖房装置21は、熱量レベルの調節指示情報を受信すると、プレ暖房運転における熱量を調節する。暖房装置21は、プレ暖房運転における熱量を、サーバ51が決定した熱量レベルに対応する熱量に調節する。つまり、暖房装置21は、帰宅予想時刻(上記のステップS18で修正された場合は修正後の帰宅予想時刻)におけるユーザの宅内92の温度(温度センサ24によって検知される温度)が所定の暖房目標温度になるようにプレ暖房運転における熱量を調節する。
【0035】
続いてステップS20では、サーバ51が、帰宅予想時刻が到来したか否かを判断する。上記のステップS18で帰宅予測時刻が修正された場合は、サーバ51は、修正後の帰宅予想時刻が到来したか否かを判断する。帰宅予想時刻は、本暖房運転開始時刻と同じ時刻である。帰宅予想時刻が到来した場合は、ステップS20でサーバ51がYESと判断してステップS21に進む。一方、帰宅予想時刻が到来していない場合は、サーバ51がNOと判断して上記のステップS16に戻る。
【0036】
続いてステップS21では、サーバ51が、暖房装置21に本暖房運転を実行するように指示する。サーバ51は、インターネット101を介して暖房装置21に本暖房運転の実行指示情報を送信する。暖房装置21は、本暖房運転の実行指示情報を受信すると本暖房運転を開始する。暖房装置21は、所定の熱量で本暖房運転を実行する。本暖房運転における熱量は、サーバ51に記憶されている第1熱量テーブル501に基づいて決定される。その後、サーバ51が暖房運転処理を終了する。
【0037】
以上、実施例に係る暖房システム2について説明した。上記の説明から明らかなように、暖房システム2は、ユーザによって操作される携帯端末装置31と、ユーザの宅内92を暖房する暖房装置21と、ユーザの宅内92の温度を検知する温度センサ24と、サーバ51を備えている。この暖房システム2では、暖房装置21が、ユーザが帰宅すると予想される帰宅予想時刻より前の所定の暖房運転開始時刻になると、帰宅予想時刻におけるユーザの宅内92の温度が所定の暖房目標温度になるように所定の熱量でユーザの宅内92を暖房するプレ暖房運転を実行する(ステップS15参照)。また、携帯端末装置31が、帰宅予定のユーザによって所定の操作が行われると、インターネット101を介して帰宅情報を送信する。また、サーバ51が、インターネット101を介して携帯端末装置31が送信した帰宅情報を受信すると、ユーザが帰宅すると予想される帰宅予想時刻を修正する(ステップS17、S18参照)。そして、暖房装置21が、帰宅予想時刻(帰宅予想時刻が修正された場合は、修正後の帰宅予想時刻)におけるユーザの宅内92の温度が所定の暖房目標温度になるようにプレ暖房運転における熱量を調節する(ステップS19参照)。
【0038】
この構成によれば、ユーザが携帯端末装置31に対して所定の操作を行うと、ユーザが帰宅すると予想される帰宅予想時刻が修正されるので、ユーザの都合によって帰宅予想時刻が変わったとしてもそれに応じたプレ暖房運転を実行することができる。また、帰宅予想時刻が修正された場合は、それに応じて暖房装置21がプレ暖房運転における熱量を調節することによって、例えば、帰宅予想時刻までの時間が短い場合は熱量を多くして宅内92を暖房することができ、帰宅予想時刻までの時間が長い場合は熱量を少なくして宅内92を暖房することができる。よって、ユーザの帰宅予想時刻が変わったとしても、修正後の帰宅予想時刻までにユーザの宅内92を適度な温度に暖房することができる。
【0039】
また、上記の暖房システム2では、サーバ51が、ユーザが帰宅すると予想される帰宅予想時刻と現在時刻の時刻差t1と、所定の暖房目標温度と温度センサ24によって検知されるユーザの宅内92の温度との温度差T1に基づいて定められている複数の熱量を第2熱量テーブル502に記憶しており、記憶している複数の熱量からプレ暖房運転における熱量を決定する。
【0040】
この構成によれば、サーバ51が時刻差t1と温度差T1に基づいてプレ暖房運転における熱量を決定するので、プレ暖房運転における熱量を帰宅予想時刻と暖房目標温度に応じた適切な熱量にすることができる。例えば、時刻差t1に対して温度差T1が大きい場合は熱量を多くし、時刻差t1に対して温度差T1が少ない場合は熱量を少なくすることによって、プレ暖房運転における熱量を適切な熱量にすることができる。
【0041】
以上、一実施例について説明したが、具体的な態様は上記実施例に限定されるものではない。以下の説明において、上述の説明における構成と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0042】
他の実施例では、サーバ51が、ユーザが帰宅したことを人感センサ25が検知した時刻を蓄積して記憶してもよい。また、サーバ51が、ユーザが携帯端末装置31に対して所定の操作を行った時刻(すなわち、サーバ51が帰宅情報を受信した時刻)を蓄積して記憶してもよい。例えば、サーバ51が過去1ヶ月間にわたる時刻情報を蓄積してもよい。
【0043】
また、サーバ51が、上記のステップS11で帰宅予想時刻を設定する際には、過去にユーザが帰宅したことを人感センサ25が検知した時刻に基づいて、ユーザが帰宅すると予想される帰宅予想時刻を算出してもよい。サーバ51は、蓄積されている過去のデータに基づいて帰宅予想時刻を設定する。例えば、ユーザが19:00頃に帰宅することが多い場合は、サーバ51が帰宅予想時刻を19:00頃に設定する。この構成によれば、ユーザの過去の行動に基づいて帰宅予想時刻を適切に設定することができる。
【0044】
また、サーバ51が、上記のステップS18で帰宅予想時刻を修正する際には、過去に帰宅予定のユーザによって携帯端末装置31に対して所定の操作が行われた時刻と、過去にユーザが帰宅したことを人感センサ25が検知した時刻に基づいて、ユーザが帰宅すると予想される帰宅予想時刻を修正してもよい。サーバ51は、蓄積されている過去のデータに基づいて帰宅予想時刻を修正する。例えば、ユーザが18:45頃に携帯端末装置31に所定の操作を行うことが多く、19:15頃に帰宅することが多い場合は、帰宅に要する時間が約30分であることが多いので、サーバ51が帰宅予想時刻を修正する際には、30分の修正を行う。この構成によれば、ユーザの過去の行動に基づいて帰宅予想時刻を適切に修正することができる。
【0045】
上記の実施例では、制御手段の一例としてサーバ51について説明したが、この構成に限定されるものではなく、制御手段の他の例としては、例えば、リモコン22またはHEMSコントローラ26が挙げられる。リモコン22またはHEMSコントローラ26が上述した暖房運転処理を実行してもよい。また、制御手段は、暖房装置21内に備えられたものであってもよい。
【0046】
暖房装置21が床暖房である場合は、宅内92の温度は床面の温度であってもよい。また、宅内92に複数の部屋がある場合は、宅内92の温度は暖房装置21が配置されている部屋内の温度であってもよい。さらに、温度センサ24は、リモコン22または暖房装置21内に備えられていてもよい。
【0047】
本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0048】
2 :暖房システム
21 :暖房装置
22 :リモコン
23 :ホームゲートウェイ
24 :温度センサ
25 :人感センサ
26 :HEMSコントローラ
31 :携帯端末装置
51 :サーバ
91 :自宅
92 :宅内
101 :インターネット
図1
図2
図3
図4