特許第6963939号(P6963939)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6963939
(24)【登録日】2021年10月20日
(45)【発行日】2021年11月10日
(54)【発明の名称】給湯システム
(51)【国際特許分類】
   F24D 3/08 20060101AFI20211028BHJP
   F24D 3/00 20060101ALI20211028BHJP
【FI】
   F24D3/08 D
   F24D3/00 V
【請求項の数】3
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2017-167585(P2017-167585)
(22)【出願日】2017年8月31日
(65)【公開番号】特開2019-45055(P2019-45055A)
(43)【公開日】2019年3月22日
【審査請求日】2020年6月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】特許業務法人快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】植田 三津郎
【審査官】 河野 俊二
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−031432(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0259025(US,A1)
【文献】 実公昭45−014625(JP,Y1)
【文献】 特開2007−240016(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24D 3/08
F24D 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1流路を通過する給湯用水と第2流路を通過する熱媒との間で熱交換させる熱交換器と、
前記熱交換器より上流側の前記第2流路と前記熱交換器より下流側の前記第2流路の間を接続する第3流路と、
前記熱交換器よりも上流側の前記第2流路に配置されており、前記熱交換器より上流側の前記第2流路から前記熱交換器へ前記熱媒が流れることを許容する第1の状態と、前記熱交換器より上流側の前記第2流路から前記熱交換器へ前記熱媒が流れることを禁止し、かつ、前記熱交換器よりも上流側の前記第2流路から前記第3流路に前記熱媒が流れることを許容する第2の状態の間で切り換わる流路切換弁と、
前記熱交換器よりも下流側であり、前記第2流路と前記第3流路との接続箇所よりも上流側の前記第2流路に配置されており、前記熱交換器から前記熱交換器より下流側の前記第2流路へ前記熱媒が流れることを許容し、前記熱交換器より下流側の前記第2流路から前記熱交換器へ前記熱媒が流れることを禁止する逆止弁と、
前記第1流路内の前記給湯用水の圧力を検出する圧力検出手段と、
を備え、
前記流路切換弁は、前記第1流路内の前記給湯用水の圧力が、通常の圧力よりも低い所定の圧力以下となる場合に、前記第1の状態から前記第2の状態へ切り換わるように構成されている、給湯システム。
【請求項2】
前記流路切換弁は、前記熱交換器よりも上流側の前記第2流路と前記第3流路との接続箇所に配置されている三方切換弁である、請求項1に記載の給湯システム。
【請求項3】
前記第2流路は、外気から密閉されている、請求項1又は2に記載の給湯システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で開示する技術は、給湯システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示されている給湯システムは、第1流路を通過する給湯用水と第2流路を通過する熱媒との間で熱交換させる熱交換器を備える。このような給湯システムにおいて、熱交換器が破損すると熱媒が給湯用水に混入する場合がある。特に、第1流路に水を供給する供給源が断水すると、第1流路が第2流路より負圧となり、熱媒が給湯用水に混入する可能性が高まる。特許文献1の給湯システムは、供給源が断水する場合に、熱交換器の破損による熱媒の給湯用水への混入を未然に防ぐために、第2流路内の熱媒を圧送するポンプを停止する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−84998号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
第2流路のポンプを停止すると、熱交換器の破損による熱媒の給湯用水への混入を未然に防ぐことができるものの、熱媒の流れが止まる。この場合、熱媒を給湯用水との熱交換以外の他の用途(例えば、暖房)に利用することができなくなる。熱媒の流れを止めることなく、熱交換器の破損による熱媒の給湯用水への混入を未然に防ぐことが可能な技術が期待されている。
【0005】
本明細書は、第2流路内の熱媒の流れを止めることなく、熱交換器の破損による熱媒の給湯用水への混入を未然に防ぐことが可能な技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書が開示する給湯システムは、第1流路を通過する給湯用水と第2流路を通過する熱媒との間で熱交換させる熱交換器と、熱交換器より上流側の第2流路と熱交換器より下流側の第2流路の間を接続する第3流路と、熱交換器よりも上流側の第2流路に配置されており、熱交換器より上流側の第2流路から熱交換器へ熱媒が流れることを許容する第1の状態と、熱交換器より上流側の第2流路から熱交換器へ熱媒が流れることを禁止し、かつ、前記熱交換器よりも上流側の前記第2流路から前記第3流路に前記熱媒が流れることを許容する第2の状態の間で切り換わる流路切換弁と、熱交換器よりも下流側であり、第2流路と第3流路との接続箇所よりも上流側の第2流路に配置されており、熱交換器から熱交換器より下流側の第2流路へ熱媒が流れることを許容し、熱交換器より下流側の第2流路から熱交換器へ熱媒が流れることを禁止する逆止弁と、第1流路内の給湯用水の圧力を検出する圧力検出手段と、を備える。流路切換弁は、第1流路内の給湯用水の圧力が、通常の圧力よりも低い所定の圧力以下となる場合に、第1の状態から第2の状態へ切り換わるように構成されている。
【0007】
上記の構成によれば、第1流路内の圧力が所定の圧力以下となり、熱交換器の破損による熱媒の給湯用水への混入が発生する可能性が高まる場合に、流路切換弁の状態が第2の状態に切り換わる。流路切換弁が第2の状態に切り換わると、熱交換器より上流側の第2流路から熱交換器へ熱媒が流れるが禁止される。また、逆止弁により、熱交換器より下流側の第2流路から熱交換器へ熱媒が流れることが禁止されている。即ち、熱交換器への熱媒の流入が禁止され、熱交換器の破損による熱媒の給湯用水への混入を未然に防ぐことができる。また、上記の構成によれば、流路切換弁が第2の状態に切り換わると、熱媒は、第3流路を通過して、第2流路内を流れる。上記の構成によれば、第2流路内の熱媒の流れを止めることなく、熱交換器の破損による熱媒の給湯用水への混入を未然に防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1実施例に係る給湯システムのブロック図を示す。
図2】第1実施例に係る制御装置が実行する防止処理のフローチャートを示す。
図3】第2実施例に係る給湯システムのブロック図を示す。
図4】第3実施例に係る給湯システムのブロック図を示す。
図5】第4実施例に係る給湯システムのブロック図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に説明する実施例の主要な特徴を列記しておく。なお、以下に記載する技術要素は、それぞれ独立した技術要素であって、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。
【0010】
(特徴1)流路切換弁は、熱交換器よりも上流側の第2流路と第3流路との接続箇所に配置されている三方切換弁であってもよい。例えば、流路切換弁として、三方切換弁に代えて、熱交換器よりも上流側の第2流路と第3流路の接続箇所より下流側で、第2流路を開閉する開閉弁を採用する構成が想定される。この構成では、流路切換弁が第1の状態である場合に、熱媒が不必要に第3流路に流れ得る。これに対して、三方切換弁を採用する構成では、流路切換弁が第1の状態である場合に、熱交換器よりも上流側の第2流路から第3流路へ熱媒が流れることを禁止することができる。第1流路内の給湯用水の圧力が所定の圧力より大きい場合に、熱媒を不必要に第3流路内に流すことを抑制することができる。
【0011】
(特徴2)第2流路は、外気から密閉されていてもよい。通常、第2流路が密閉されている構成では、熱媒は大気圧よりも高い圧力で封入されており、熱交換器が破損した場合に、熱媒が給湯用水に混入するおそれが大きい。上記の構成によれば、第2流路内に高い圧力で封入されている熱媒が、給湯用水に混入することを防止することができる。
【実施例】
【0012】
(第1実施例)
図面を参照して、第1実施例に係る給湯システム2について説明する。給湯システム2は、給湯ユニット4と、ガス機器ユニット6と、制御装置9と、を備える。
【0013】
(給湯ユニット4の構成)
給湯ユニット4は、給湯路10と、暖房用水通過路20と、給湯熱交換器30と、接続路40と、を備える。給湯路10は、水道水が流れる流路である。給湯路10の上流端は、水道水の供給源(不図示)に接続しており、給湯路10の下流端は、給湯箇所(例えば、浴槽)に給湯するための栓(不図示)に接続している。なお、以下では、給湯路10を通過する水道水を「給湯用水」と呼ぶ。
【0014】
給湯熱交換器30より上流側の給湯路10には、圧力センサ12が配置されている。圧力センサ12は、給湯路10内の給湯用水の圧力を検出する。
【0015】
暖房用水通過路20は、ガス機器ユニット6によって加熱された暖房用水が通過する流路である。本実施例の暖房用水は、暖房のために使用される熱媒であって、例えば、水道水又は不凍液である。暖房用水通過路20の上流端は、ガス機器ユニット6内で暖房用水を加熱するための加熱路74に接続しており、暖房用水通過路20の下流端は、暖房用水を暖房機90からガス機器ユニット6へ戻す暖房復路72に接続している。
【0016】
給湯熱交換器30は、給湯路10を通過する給湯用水と暖房用水通過路20を通過する暖房用水との間で熱交換させる。給湯熱交換器30は、給湯用水と暖房用水を熱交換させることによって、給湯用水を加熱する。
【0017】
接続路40は、給湯熱交換器30より上流側の暖房用水通過路20と給湯熱交換器30より下流側の暖房用水通過路20の間を接続している。なお、以下では、給湯熱交換器30より上流側の暖房用水通過路20を「上流側通過路20u」と呼び、給湯熱交換器30より下流側の暖房用水通過路20を「下流側通過路20d」と呼ぶ。
【0018】
上流側通過路20uと接続路40との接続箇所21には、三方切換弁22が配置されている。三方切換弁22は、接続口22a、22b、及び、22cを備える。接続口22a、22bは、上流側通過路20uに配置され、接続口22aは、接続口22bより上流側に配置される。接続口22cは、接続路40に配置される。三方切換弁22は、接続口22aと接続口22bの間の流路を開き、かつ、接続口22aと接続口22cの間の流路を閉める通常状態と、接続口22aと接続口22bの間の流路を閉め、かつ、接続口22aと接続口22cの間の流路を開ける非通常状態の間で切り換わる。別言すれば、通常状態では、上流側通過路20uから給湯熱交換器30へ暖房用水が流れることが許容され、かつ、上流側通過路20uから接続路40に暖房用水が流れることが禁止される。また、非通常状態では、上流側通過路20uから給湯熱交換器30へ暖房用水が流れることが禁止され、かつ、上流側通過路20uから接続路40に暖房用水が流れることが許容される。
【0019】
また、下流側通過路20dには、逆止弁24が配置されている。逆止弁24は、下流側通過路20dと接続路40との接続箇所23よりも上流側に配置されている。逆止弁24は、給湯熱交換器30から下流側通過路20dへ暖房用水が流れることを許容し、下流側通過路20dから給湯熱交換器30へ暖房用水が流れることを禁止する。
【0020】
(ガス機器ユニット6の構成)
ガス機器ユニット6は、暖房用水バーナ60と、シスターン62と、暖房往路70と、暖房復路72と、加熱路74と、を備える。暖房用水バーナ60は、燃焼ガスの燃焼によって加熱路74を通過する暖房用水を加熱する。シスターン62は、上部が開放されている容器であり、内部に暖房用水を貯留している。シスターン62には、暖房往路70の上流端が接続している。暖房往路70には、暖房用水ポンプ80が配置されている。暖房用水ポンプ80を駆動するとシスターン62から暖房往路70へ暖房用水が流れる。暖房往路70の下流端は、暖房機90に接続している。本実施例の暖房機90は例えば床暖房機又はパネルラジエータである。暖房機90は、供給される暖房用水を利用して暖房する。なお、暖房往路70には、暖房往路70を開閉する熱動弁84が配置されている。
【0021】
暖房復路72の上流端は、暖房機90に接続しており、暖房復路72の下流端はシスターン62に接続している。暖房機90を通過した暖房用水は、暖房復路72を通過してシスターン62に戻る。
【0022】
加熱路74の上流端は、暖房往路70に接続しており、加熱路74の下流端は暖房復路72に接続している。暖房用水バーナ60より下流側の加熱路74には、給湯ユニット4の暖房用水通過路20の上流端が接続している。なお、暖房用水バーナ60より下流側であり、加熱路74と暖房用水通過路20の接続箇所より上流側の加熱路74には、加熱路74を開閉する開閉弁82が配置されている。開閉弁82を閉めることによって、暖房用水バーナ60によって加熱された暖房用水の全てが、加熱路74から給湯熱交換器30へ流れる。
【0023】
(制御装置9の構成)
制御装置9は、給湯システム2の各構成要素の動作を制御する。制御装置9は、給湯システム2が起動すると、給湯ユニット4の三方切換弁22を通常状態として動作させる。これにより、上流側通過路20uから給湯熱交換器30へ暖房用水が流れ、給湯路10内の給湯用水が暖房用水によって加熱される。また、制御装置9は、後述する防止処理(図2)を実行する。
【0024】
(防止処理)
図2を参照して、防止処理を説明する。防止処理は、給湯熱交換器30の破損によって暖房用水が給湯用水に混入することを未然に防ぐための処理である。給湯用水は、水道水の供給源から給湯路10へ流れる。水道水の供給源の圧力は、断水、節水等の様々な要因により通常の圧力より低下する場合がある。また、給湯熱交換器30は、経年劣化等の様々な要因により破損する場合がある。給湯熱交換器30が破損している状況で、断水等によって給湯路10内の給湯用水の圧力が低下する場合に、給湯用水が暖房用水より負圧となり、給湯熱交換器30において暖房用水が給湯用水に混入する可能性が高まる。
【0025】
図2の防止処理では、制御装置9は、S10において、給湯ユニット4の給湯路10に配置されている圧力センサ12から給湯路10内の給湯用水の圧力を示す圧力信号を定期的に取得する。S12では、制御装置9は、取得済みの圧力信号によって示される圧力が所定の圧力以下であるのか否かを判断する。所定の圧力は、断水等が発生していない通常時における給湯用水の圧力に基づいて設定される。
【0026】
制御装置9は、取得済みの圧力信号によって示される圧力が所定の圧力以下であると判断する場合(S12でYES)に、S14に進む。一方、制御装置9は、取得済みの圧力信号によって示される圧力が所定の圧力より大きいと判断する場合(S12でNO)に、S10に戻る。
【0027】
S14では、制御装置9は、三方切換弁22を通常状態から非通常状態に切り換える。この結果、上流側通過路20uから給湯熱交換器30へ暖房用水が流れることが禁止される。また、逆止弁24により、下流側通過路20dから給湯熱交換器30へ暖房用水が流れることも禁止されている。即ち、給湯熱交換器30への暖房用水の流入が禁止される。これによって、給湯熱交換器30が破損している状況で、断水等によって給湯路10内の給湯用水の圧力が低下する場合に、暖房用水が給湯用水に混入することを未然に防ぐことができる。
【0028】
また、三方切換弁22が通常状態から非通常状態に切り換わると、暖房用水は、接続路40を介して、上流側通過路20uから下流側通過路20dへ流れる(図1の破線矢印を参照)。即ち、暖房用水は、給湯熱交換器30を介さずに、接続路40を介して、暖房用水通過路20を流れる。この結果、暖房用水ポンプ80を停止する必要がなく、暖房用水を利用して暖房機90による暖房を継続することができる。
【0029】
なお、制御装置9は、三方切換弁22が通常状態から非通常状態に切り換わった後に、圧力センサ12から取得した圧力信号によって示される圧力が所定の圧力より大きい場合に、三方切換弁22を非通常状態から通常状態に切り換えてもよい。即ち、給湯路10内の給湯用水の圧力が所定の圧力より大きくなり、断水等の圧力低下の要因が解消したと判断される場合には、給湯熱交換器30による給湯用水の加熱を再開してもよい。
【0030】
以上、第1実施例に係る給湯システム2について説明した。上記の説明から明らかなように、三方切換弁22は、給湯路10内の給湯用水の圧力が所定の圧力以下である場合(図2のS12でYES)に通常状態から非通常状態に切り替わる。この結果、暖房用水通過路20内の暖房用水の流れを止めることなく、給湯熱交換器30の破損による暖房用水の給湯用水への混入を未然に防ぐことができる。
【0031】
また、本実施例では、給湯システム2は、三方切換弁22を備える。例えば、三方切換弁22に代えて、上流側通過路20uと接続路40の接続箇所21より下流側で、上流側通過路20uを開閉する特定の開閉弁を配置する変形例が想定される。この変形例では、制御装置9は、断水等が発生していない通常時(即ち、給湯用水の圧力が所定の圧力より大きい場合)に特定の開閉弁を開き、断水等が発生している非通常時(即ち、給湯用水の圧力が所定の圧力以下の場合)に特定の開閉弁を閉める。この変形例でも、非通常時に暖房用水は、接続路40を介して、暖房用水通過路20を流れ、暖房用水通過路20内の暖房用水の流れを止めることなく、給湯熱交換器30の破損による暖房用水の給湯用水への混入を未然に防ぐことができる。しかしながら、この変形例では、通常時でも接続路40に暖房用水が流れ得る。これに対して、本実施例では、通常状態の三方切換弁22によって、通常時に接続路40に暖房用水が流れることが禁止される。本実施例の構成によれば、通常時、即ち、給湯路10内の給湯用水の圧力が所定の圧力より大きい場合に、暖房用水を不必要に接続路40に流すことを抑制することができる。
【0032】
(対応関係)
給湯路10、暖房用水通過路20、接続路40、暖房用水が、それぞれ、「第1流路」、「第2流路」、「第3流路」、「熱媒」の一例である。給湯熱交換器30、三方切換弁22、圧力センサ12が、それぞれ、「熱交換器」、「流路切換弁」、「圧力検出手段」の一例である。通常状態、非通常状態が、それぞれ、「第1の状態」、「第2の状態」の一例である。
【0033】
(第2実施例)
図3を参照して、第2実施例に係る給湯システム100を説明する。給湯システム100は、タンクユニット104と、ガス機器ユニット106と、制御装置109と、ヒートポンプユニット200と、を備える。なお、本実施例において、第1実施例と共通する構成には、同一の符号を付している。
【0034】
(タンクユニット104の構成)
タンクユニット104は、タンク142と、給水路144と、給湯路146と、暖房用水通過路120と、給湯用水循環路150と、暖房熱交換器130と、接続路140と、を備える。
【0035】
タンク142は、外側が断熱材で覆われており、内部に水を貯める密閉型の容器である。タンク142内には、満水まで水が貯留される。タンク142の底部には、ヒートポンプ往路154が接続している。タンク142の底部の水は、ヒートポンプ往路154を介して、タンク142からヒートポンプユニット200に供給され、ヒートポンプユニット200によって加熱される。ヒートポンプユニット200で加熱された水は、ヒートポンプ復路155を介して、タンク142の頂部に戻される。ヒートポンプユニット200によって加熱された水がタンク142の頂部に戻されると、タンク142の内部には、低温の水の層の上に高温の水の層が積み重なった温度成層が形成される。
【0036】
給水路144は、タンク142内に水道水を供給するための流路である。給水路144の上流端は、水道水の供給源に接続しており、給水路144の下流端は、タンク142の底部に接続している。
【0037】
給湯路146は、タンク142内の高温の水を給湯箇所(例えば、浴槽)に給湯するための流路である。給湯路146の上流端は、タンク142の頂部に接続しており、給湯路146の下流端は、給湯箇所の栓に接続している。タンク142の頂部の高温の水(即ち給湯用水)は、水道水の供給源の圧力によって、タンク142の頂部から給湯路146に流れる。
【0038】
給水路144と給湯路146の間には、混合路145が接続している。混合路145と給水路144の接続箇所には、混合弁143が配置されている。混合路145を介して、給水路144を流れる水道水が、タンク142をバイパスして、給湯路146に供給される。このため、給水路144を流れる水道水と給湯路146を流れる給湯用水が混合されて、給湯箇所に供給される。混合弁143のタンク142側の開度と、混合弁143の混合路145側の開度を調整することで、給湯用水の温度を所望の温度に調整して給湯箇所に供給することができる。
【0039】
また、給湯路146の中間から加熱往路148が分岐している。給湯路146から加熱往路148へ流れる給湯用水は、ガス機器ユニット106内の給湯用水バーナ170によって加熱され、加熱復路149を介して、給湯路146に戻る。なお、給湯路146と加熱往路148の接続箇所と、給湯路146と加熱復路149の接続箇所の間には、バイパス弁147を備えるバイパス路が配置されている。
【0040】
また、給水路144には、圧力センサ112が配置されている。圧力センサ112は、給水路144内の水道水の圧力を検出する。
【0041】
暖房用水通過路120は、暖房機90、92を通過した暖房用水が流れる流路である。暖房用水通過路120の上流端は、暖房機90、92に接続しており、暖房用水通過路120の下流端は、暖房用水を暖房機90、92からガス機器ユニット106へ戻す暖房復路72に接続している。
【0042】
給湯用水循環路150は、タンク142の頂部とタンク142の底部を接続している。給湯用水循環路150に配置されている循環ポンプ151を駆動することによって、タンク142の頂部から給湯用水が吸い出され、給湯用水循環路150を介して、タンク142の底部に戻される。
【0043】
暖房熱交換器130は、暖房用水通過路120を通過する暖房用水と給湯用水循環路150を通過する給湯用水との間で熱交換させる。暖房熱交換器130は、暖房用水と給湯用水を熱交換させることによって、暖房用水を加熱する。加熱された暖房用水が、暖房復路72を介して、ガス機器ユニット106に戻ることによって、ガス機器ユニット106で暖房用水を加熱する燃焼ガスの使用量を削減することができる。
【0044】
接続路140は、暖房熱交換器130より上流側の暖房用水通過路120(以下、「上流側通過路120u」)と暖房熱交換器130より下流側の暖房用水通過路120(以下、「下流側通過路120d」)の間を接続している。上流側通過路120uと接続路140の接続箇所121には、第1実施例と同様に三方切換弁122が配置されている。三方切換弁122は、第1実施例と同様に、通常状態と非通常状態の間で切り換わる。また、暖房熱交換器130よりも下流側であり、下流側通過路120dと接続路140の接続箇所123よりも上流側の下流側通過路120dには、第1実施例と同様に逆止弁124が配置されている。
【0045】
(ガス機器ユニット106の構成)
ガス機器ユニット106は、第1実施例と同様に、暖房用水バーナ60、シスターン62、暖房往路70、暖房復路72、加熱路74等を備える。本実施例のガス機器ユニット106はさらに、給湯用水バーナ170と、第2暖房往路180と、を備える。
【0046】
給湯用水バーナ170は、タンクユニット104からガス機器ユニット106へと延びる加熱往路148を通過する給湯用水を燃焼ガスの燃焼によって加熱する。なお、加熱往路148には、加熱往路148を開閉する開閉弁171が配置されている。また、加熱往路148と加熱復路149の間には、給湯用水バーナ170をバイパスするバーナバイパス路172が接続している。バーナバイパス路172には、バーナバイパス路172を開閉する開閉弁173が配置されている。
【0047】
第2暖房往路180は、暖房機90より大きい熱量を必要する暖房機92に暖房用水を供給する。暖房機92は、例えば、浴室乾燥機である。第2暖房往路180の上流端は、暖房用水バーナ60より下流側の加熱路74に接続しており、第2暖房往路180の下流端は、暖房機92に接続している。なお、第2暖房往路180には、第2暖房往路180を開閉する熱動弁181が配置されている。
【0048】
(ヒートポンプユニット200の構成)
ヒートポンプユニット200は、ヒートポンプ220と、給湯用水ポンプ230と、を備える。ヒートポンプ220は、冷媒(例えばR410AといったHFC冷媒や、CO2、イソブタン、プロパン等の自然冷媒など)を循環させるための冷媒循環路221と、膨張弁222と、空気熱交換器223と、圧縮機224と、給湯熱交換器210と、を備える。ヒートポンプ220では、空気熱交換器223が蒸発器を構成しており、給湯熱交換器210が凝縮器を構成している。
【0049】
空気熱交換器223には、膨張弁222を通過後の低圧低温の液体状態にある冷媒が供給される。空気熱交換器223は、冷媒循環路221内の冷媒と外気とを熱交換させることによって、冷媒を加熱する。冷媒は、加熱されることにより気化し、比較的高温で低圧の気体状態となる。
【0050】
圧縮機224には、空気熱交換器223を通過後の冷媒、即ち、比較的高温で低圧の気体状態の冷媒が供給される。圧縮機224によって冷媒が圧縮されることにより、冷媒は高温高圧の気体状態となる。圧縮機224は、圧縮後の高温高圧の気体状態の冷媒を、給湯熱交換器210に供給する。
【0051】
給湯熱交換器210には、圧縮機224から高温高圧の気体状態の冷媒が供給される。給湯熱交換器210は、冷媒循環路221内の冷媒と、上述したヒートポンプ往路154内の給湯用水とを熱交換させることによって、ヒートポンプ往路154内の給湯用水を加熱する。加熱後の給湯用水は、ヒートポンプ復路155を介して、タンク142の頂部に戻される。
【0052】
(制御装置109の構成)
制御装置109は、給湯システム100の各構成要素を制御する。制御装置109は、給湯システム100が起動すると、タンクユニット104の三方切換弁122を通常状態として動作させる。また、制御装置109は、第1実施例と同様の防止処理(図2)を実行する。本実施例で実行される防止処理は、給水路144の圧力センサ112の圧力信号を利用する点と、三方切換弁122を切り換える点を除いて、第1実施例と同様である。本実施例では、断水等が発生すると、給湯用水循環路150内の給湯用水の圧力が低下し得る。この結果、本実施例でも、第1実施例と同様に、断水等の発生によって、暖房用水が給湯用水に混入する可能性が高まる。制御装置109は、給水路144の圧力センサ112からの圧力信号によって示される圧力が所定の圧力以下であると判断する場合(S12でYES)に、三方切換弁122を通常状態から非通常状態に切り換える。この結果、暖房熱交換器130への暖房用水の流入が禁止され、暖房用水は、接続路140を介して、上流側通過路120uから下流側通過路120dへ流れる(図3の破線矢印を参照)。本実施例でも、暖房用水通過路120内の暖房用水の流れを止めることなく、暖房熱交換器130の破損による暖房用水の給湯用水への混入を未然に防ぐことができる。
【0053】
(対応関係)
給湯用水循環路150、暖房用水通過路120、接続路140、暖房用水が、それぞれ、「第1流路」、「第2流路」、「第3流路」、「熱媒」の一例である。暖房熱交換器130、三方切換弁122、圧力センサ112が、それぞれ、「熱交換器」、「流路切換弁」、「圧力検出手段」の一例である。
【0054】
(第3実施例)
図4を参照して、第3実施例に係る給湯システム300を説明する。給湯システム300は、ガス機器ユニット6がシスターン62を備えず、膨張タンク310を備える点を除いて第1実施例と同様である。
【0055】
本実施例では、暖房復路72の下流端は、暖房往路70に配置されている暖房用水ポンプ80に接続されている。暖房用水は、暖房往路70、暖房復路72、加熱路74、及び、暖房用水通過路20内に封止されている。即ち、各流路70、72、74、20は、外気から密閉されている。
【0056】
膨張タンク310は、暖房復路72に接続管312を介して接続されている。暖房復路72内の暖房用水が高温になると、暖房用水が膨張して体積が増す。膨張タンク310は、暖房用水の体積の変動を吸収することで、各流路70、72、74、20の配管が損傷することを防止する。
【0057】
本実施例でも、第1実施例と同様に、暖房用水通過路20内の暖房用水の流れを止めることなく、給湯熱交換器30の破損による暖房用水の給湯用水への混入を未然に防ぐことができる。本実施例のように暖房用水通過路20が密閉されている構成では、暖房用水は大気圧よりも高い圧力で封入されており、給湯熱交換器30が破損した場合に、暖房用水が給湯用水に混入するおそれが大きい。給湯熱交換器30が破損した場合に、暖房用水通過路20内に高い圧力で封入されている暖房用水が、給湯用水に混入することを防止することができる。
【0058】
(第4実施例)
図5を参照して、第4実施例に係る給湯システム400を説明する。給湯システム400は、ガス機器ユニット106がシスターン62を備えず、膨張タンク410を備える点を除いて第2実施例と同様である。
【0059】
本実施例では、暖房復路72の下流端は、暖房往路70に配置されている暖房用水ポンプ80に接続されている。暖房用水は、暖房往路70、暖房復路72、加熱路74、暖房用水通過路120、及び、第2暖房往路180内に封止されている。即ち、各流路70、72、74、120、180は、外気から密閉されている。また、膨張タンク410は、暖房復路72に接続管412を介して接続されている。
【0060】
本実施例でも、第2実施例と同様に、暖房用水通過路120内の暖房用水の流れを止めることなく、暖房熱交換器130の破損による暖房用水の給湯用水への混入を未然に防ぐことができる。本実施例でも、暖房用水は大気圧より高い圧力で暖房用水通過路120内に封入されており、暖房熱交換器130が破損した場合に、暖房用水が給湯用水に混入するおそれが大きい。暖房熱交換器130が破損した場合に、暖房用水通過路120内に高い圧力で封入されている暖房用水が給湯用水に混入することを防止することができる。
【0061】
以上、各実施例について詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。上記の各実施例の変形例を以下に列挙する。
【0062】
(変形例1)第1実施例では、給湯システム2は、三方切換弁22を備える。これに代えて、上流側通過路20uと接続路40の接続箇所21より下流側で、上流側通過路20uを開閉する第1の開閉弁が配置されてもよい。本変形例では、第1の開閉弁が、「流路切換弁」の一例である。さらに、接続路40を開閉する第2の開閉弁が配置されてもよい。第1の開閉弁及び第2の開閉弁によって、第1実施例の三方切換弁と同様の機能を実現することができる。
【0063】
(変形例2)第2実施例において、圧力センサ112の配置箇所は、給水路144に限らない。例えば、圧力センサ112は、給湯用水循環路150に配置されてもよい。
【0064】
(変形例3)第1実施例では、三方切換弁22は、制御装置9が圧力センサ12から所定の圧力以下の圧力を示す圧力信号を受信する場合に、制御装置9によって通常状態から非通常状態に切り換えられる。三方切換弁22が通常状態から非通常状態に切り換わる構成は、この構成に限らず、制御装置9を介さない他の通信構成又は機械構成によって実現されてもよい。
【符号の説明】
【0065】
2 :給湯システム
4 :給湯ユニット
6 :ガス機器ユニット
9 :制御装置
10 :給湯路
12 :圧力センサ
20 :暖房用水通過路
20d :下流側通過路
20u :上流側通過路
21、23:接続箇所
22 :三方切換弁
22a〜22c:接続口
24 :逆止弁
30 :給湯熱交換器
40 :接続路
60 :暖房用水バーナ
62 :シスターン
70 :暖房往路
72 :暖房復路
74 :加熱路
80 :暖房用水ポンプ
82 :開閉弁
84 :熱動弁
90、92:暖房機
100 :給湯システム
104 :タンクユニット
106 :ガス機器ユニット
109 :制御装置
112 :圧力センサ
120 :暖房用水通過路
120d :下流側通過路
120u :上流側通過路
121、123:接続箇所
122 :三方切換弁
124 :逆止弁
130 :暖房熱交換器
140 :接続路
142 :タンク
143 :混合弁
144 :給水路
145 :混合路
146 :給湯路
147 :バイパス弁
148 :加熱往路
149 :加熱復路
150 :給湯用水循環路
151 :循環ポンプ
154 :ヒートポンプ往路
155 :ヒートポンプ復路
170 :給湯用水バーナ
171 :開閉弁
172 :バーナバイパス路
173 :開閉弁
180 :第2暖房往路
181 :熱動弁
200 :ヒートポンプユニット
210 :給湯熱交換器
220 :ヒートポンプ
221 :冷媒循環路
222 :膨張弁
223 :空気熱交換器
224 :圧縮機
230 :給湯用水ポンプ
300 :給湯システム
310 :膨張タンク
312 :接続管
400 :給湯システム
410 :膨張タンク
412 :接続管
図1
図2
図3
図4
図5