(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0019】
<高電圧発生回路(比較例)>
まず、高電圧発生回路の実施形態を説明するに先立ち、その理解を容易とするための比較例(後述の同期回路140を具備しない基本的な構成)について説明する。
図1は、高電圧発生回路の比較例を示す図である。本図の高電圧発生回路100は、ドライバ110と、チャージポンプ120と、出力電圧検出回路130と、を有する。
【0020】
ドライバ110は、基準クロック信号CLKから駆動クロック信号(本図の例では2相の駆動クロック信号CLK1及びCLK2)を生成する。なお、ドライバ110は、イネーブル信号ENに応じてオン/オフされる。また、駆動クロック信号の相数については、2相に限定されるものではなく、1相であってもよいし、3相以上であってもよい。
【0021】
チャージポンプ120は、フライングコンデンサと電荷転送トランジスタを含み、駆動クロック信号CLK1及びCLK2を用いて入力電圧Viを出力電圧Voに昇圧する。
【0022】
出力電圧検出回路130は、出力電圧Voと基準電圧Vrefを比較して帰還信号FBを生成する。帰還信号FBは、例えば、Vo<Vrefであるときにハイレベルとなり、Vo>Vrefであるときにローレベルとなる。なお、比較例の高電圧発生回路100では、帰還信号FBがイネーブル信号ENとしてドライバ110に直接入力されている。
【0023】
<ドライバ>
図2は、ドライバ110の一構成例を示す図である。本図のドライバ110は、ANDゲート111と、インバータ112と、バッファ113と、NORゲート114を含む。
【0024】
ANDゲート111は、基準クロック信号CLKとイネーブル信号ENとの論理積信号S111を生成する。なお、イネーブル信号ENがハイレベル(=チャージポンプ120のオン時における論理レベル)であるときには、基準クロック信号CLKが論理積信号S111としてそのままスルー出力される。一方、イネーブル信号ENがローレベル(=チャージポンプ120のオフ時における論理レベル)であるときには、基準クロック信号CLKの論理レベルに依ることなく、論理積信号S111がローレベルに固定される。
【0025】
インバータ112は、イネーブル信号ENの論理レベルを反転させて反転イネーブル信号ENBを生成する。従って、反転イネーブル信号ENBは、イネーブル信号ENがハイレベルであるときにローレベルとなり、イネーブル信号ENがローレベルであるときにハイレベルとなる。
【0026】
バッファ113は、論理積信号S111を緩衝増幅することにより駆動クロック信号CLK1を生成する。従って、駆動クロック信号CLK1は、論理積信号S111がハイレベルであるときにハイレベルとなり、論理積信号S111がローレベルであるときにローレベルとなる。
【0027】
NORゲート114は、論理積信号S111と反転イネーブル信号ENBとの否定論理和演算により駆動クロック信号CLK2を生成する。従って、反転イネーブル信号ENBがローレベルであるときには、駆動クロック信号CLK2が論理積信号S111(延いてはクロック信号CLK1)の論理反転信号となる。一方、反転イネーブル信号ENBがハイレベルであるときには、論理積信号S111の論理レベルに依ることなく、駆動クロック信号CLK2がローレベルに固定される。
【0028】
上記したドライバ110各部の動作により、イネーブル信号ENがハイレベルである場合、駆動クロック信号CLK1及びCLK2は、一方がハイレベルであるときに他方がローレベルとなる相補信号となる。一方、イネーブル信号ENがローレベルである場合、駆動クロック信号CLK1及びCLK2は、いずれもローレベルに固定される。
【0029】
なお、バッファ113及びNORゲート114それぞれの電源ノードには、入力電圧Viが印加されており、それぞれの接地ノードには、接地電圧GNDが印加されている。従って、駆動クロック信号CLK1及びCLK2のハイレベルは、入力電圧Viとなり、駆動クロック信号CLK1及びCLK2のローレベルは、接地電圧GNDとなる。
【0030】
<チャージポンプ>
図3は、チャージポンプ120の一構成例を示す図である。本構成例のチャージポンプ120は、フライングコンデンサC1〜C4(以下ではコンデンサC1〜C4と称する)と、出力コンデンサCo(以下ではコンデンサCoと称する)と、電荷転送トランジスタN1〜N5(本図の例ではNMOSFET[N-channel type metal oxide semiconductor field effect transistor]であり、以下ではトランジスタN1〜N5と称する)と、を含むディクソン型のチャージポンプである。なお、本図では、5倍昇圧の場合を例に挙げて説明を行うが、チャージポンプ120の昇圧倍率は、5倍に限定されるものではない。
【0031】
トランジスタN1のゲート及びドレインは、入力電圧Viの入力端に接続されている。トランジスタN1のソースは、コンデンサC1の第1端とトランジスタN2のゲート及びドレインに接続されている。トランジスタN2のソースは、コンデンサC2の第1端とトランジスタN3のゲート及びドレインに接続されている。トランジスタN3のソースは、コンデンサC3の第1端とトランジスタN4のゲート及びドレインに接続されている。トランジスタN4のソースは、コンデンサC4の第1端とトランジスタN5のゲート及びドレインに接続されている。トランジスタN5のソースは、コンデンサCoの第1端と出力電圧Voの出力端に接続されている。コンデンサC1及びC3それぞれの第2端は、いずれも駆動クロック信号CLK1の入力端に接続されている。コンデンサC2及びC4それぞれの第2端は、いずれも駆動クロック信号CLK2の入力端に接続されている。コンデンサCoの第2端は、接地端に接続されている。
【0032】
上記構成から成るチャージポンプ120は、駆動クロック信号CLK1及びCLK2に同期して第1フェイズ(CLK1=L,CLK2=H)と第2フェイズ(CLK1=H,CLK2=L)を交互に繰り返すことにより、入力電圧Viよりも高い出力電圧Voを生成する。以下では、各フェイズの動作状態を個別具体的に説明する。
【0033】
図4は、昇圧動作の第1フェイズを示す図である。なお、第1フェイズでは、駆動クロック信号CLK1がローレベル(=GND)となり、駆動クロック信号CLK2がハイレベル(=Vi)となる。
【0034】
このとき、トランジスタN1が順バイアスとなるので、コンデンサC1には、入力電圧Viの入力端からトランジスタN1を介して充電電流が流れる。従って、コンデンサC1は、その両端間電圧が入力電圧Viとなるまで充電される。
【0035】
コンデンサC2は、直前の第2フェイズにおいて、その両端間電圧が入力電圧Viの2倍(=2Vi)となるまで充電されている。従って、第1フェイズへの遷移により、コンデンサC2の第2端がハイレベル(=Vi)に引き上げられると、コンデンサC2の第1端は、コンデンサC2の電荷保存則に従い、第2端よりもその両端間電圧分だけ高い電圧(=Vi+2Vi=3Vi)に引き上げられる。
【0036】
このとき、トランジスタN3が順バイアスとなるので、コンデンサC2とコンデンサC3との間では、トランジスタN3を介して電荷転送が行われる。その結果、コンデンサC3は、その両端間電圧が入力電圧Viの3倍(=3Vi)となるまで充電される。一方、トランジスタN2が逆バイアスとなるので、コンデンサC2からコンデンサC1に電流が逆流することはない。
【0037】
コンデンサC4は、直前の第2フェイズにおいて、その両端間電圧が入力電圧Viの4倍(=4Vi)となるまで充電されている。従って、第1フェイズへの遷移により、コンデンサC4の第2端がハイレベル(=Vi)に引き上げられると、コンデンサC4の第1端は、コンデンサC4の電荷保存則に従い、第2端よりもその両端間電圧分だけ高い電圧(=Vi+4Vi=5Vi)に引き上げられる。
【0038】
このとき、トランジスタN5が順バイアスとなるので、コンデンサC4とコンデンサCoとの間では、トランジスタN5を介して電荷転送が行われる。その結果、コンデンサCoは、その両端間電圧が入力電圧Viの5倍(=5Vi)となるまで充電される。一方、トランジスタN4が逆バイアスとなるので、コンデンサC4からコンデンサC3に電流が逆流することはない。
【0039】
図5は、昇圧動作の第2フェイズを示す図である。なお、第2フェイズでは、駆動クロック信号CLK1がハイレベル(=Vi)となり、駆動クロック信号CLK2がローレベル(=GND)となる。
【0040】
コンデンサC1は、直前の第1フェイズにおいて、その両端間電圧が入力電圧Viとなるまで充電されている。従って、第2フェイズへの遷移により、コンデンサC1の第2端がハイレベル(=Vi)に引き上げられると、コンデンサC1の第1端は、コンデンサC1の電荷保存則に従い、第2端よりもその両端間電圧分だけ高い電圧(=Vi+Vi=2Vi)に引き上げられる。
【0041】
このとき、トランジスタN2が順バイアスとなるので、コンデンサC1とコンデンサC2との間では、トランジスタN2を介して電荷転送が行われる。その結果、コンデンサC2は、その両端間電圧が入力電圧Viの2倍(=2Vi)となるまで充電される。一方、トランジスタN1が逆バイアスとなるので、コンデンサC1から入力電圧Viの入力端に電流が逆流することはない。
【0042】
コンデンサC3は、直前の第1フェイズにおいて、その両端間電圧が入力電圧Viの3倍(=3Vi)となるまで充電されている。従って、第2フェイズへの遷移により、コンデンサC3の第2端がハイレベル(=Vi)に引き上げられると、コンデンサC3の第1端は、コンデンサC3の電荷保存則に従い、第2端よりもその両端間電圧分だけ高い電圧(=Vi+3Vi=4Vi)に引き上げられる。
【0043】
このとき、トランジスタN4が順バイアスとなるので、コンデンサC3とコンデンサC4との間では、トランジスタN4を介して電荷転送が行われる。その結果、コンデンサC4は、その両端間電圧が入力電圧Viの4倍(=4Vi)となるまで充電される。一方、トランジスタN3が逆バイアスとなるので、コンデンサC3からコンデンサC2に電流が逆流することはない。
【0044】
コンデンサCoは、直前の第2フェイズにおいて、その両端間電圧が入力電圧Viの5倍(=5Vi)となるまで充電されており、これが出力電圧Voとして出力される。
【0045】
このように、チャージポンプ120では、駆動クロック信号CLK1及びCLK2に同期して第1フェイズと第2フェイズを交互に繰り返すことにより、入力電圧Viを5倍に昇圧した出力電圧Vo(=5Vi)が生成される。
【0046】
ただし、チャージポンプ120の構成や動作については、何ら上記に限定されるものではなく、入力電圧Viを昇圧して出力電圧Voを生成することができる限り、いかなる構成及び動作を採用しても構わない。
【0047】
<出力電圧検出回路>
図6は、出力電圧検出回路130の出力電圧検出動作を示す図であり、上から順番に、出力電圧Voと帰還信号FB(=イネーブル信号EN)が描写されている。
【0048】
チャージポンプ120の昇圧動作により、出力電圧Voが上昇して基準電圧Vrefよりも高くなると、帰還信号FB(=イネーブル信号EN)がハイレベルからローレベルに立ち下がる。その結果、ドライバ110がオフして、駆動クロック信号CLK1及びCLK2がいずれもローレベルに固定されるので、チャージポンプ120が停止する。
【0049】
その後、チャージポンプ120の停止により、出力電圧Voが低下して基準電圧Vrefよりも低くなると、帰還信号FB(=イネーブル信号EN)がローレベルからハイレベルに立ち上がる。その結果、ドライバ110がオンして、駆動クロック信号CLK1及びCLK2が再びパルス駆動されるので、チャージポンプ120の昇圧動作が再開する。
【0050】
上記の動作を繰り返すことにより、出力電圧Voを基準電圧Vref近傍に維持することができる。
【0051】
<比較例における問題点>
図7は、比較例における高電圧発生動作を示す図であり、上から順に、基準クロック信号CLK、駆動クロック信号CLK1及びCLK2、イネーブル信号EN(=帰還信号FB)、並びに、出力電圧Voが描写されている。
【0052】
先に述べたように、比較例の高電圧発生回路100では、帰還信号FBがイネーブル信号ENとしてドライバ110に直接入力されている。すなわち、イネーブル信号ENは、基準クロック信号CLKと非同期である。そのため、イネーブル信号ENのオンタイミング(=イネーブル信号ENの立上りタイミング)において、チャージポンプ120が第1フェイズと第2フェイズのいずれから昇圧動作を再開するかは不定である。
【0053】
なお、チャージポンプ120が第2フェイズ(CLK1=H,CLK2=L)から昇圧動作を再開した場合には、トランジスタN5が逆バイアスとなる状態で出力電圧Voが上昇し始めるので、出力電圧Voの跳ね上がりが比較的小さくなる(図中の挙動(A)ないし(A’)を参照)。
【0054】
一方、チャージポンプ120が第1フェイズ(CLK1=L,CLK2=H)から昇圧動作を再開した場合には、トランジスタN5が順バイアスとなる状態で出力電圧Voが上昇し始めるので、出力電圧Voの跳ね上がりが比較的大きくなる(図中の挙動(B)ないし(B’)を参照)。
【0055】
また、チャージポンプ120は、イネーブル信号ENがハイレベルに立ち上がるタイミングで昇圧動作を開始するので、その開始タイミングのばらつきに伴い、出力電圧Voの跳ね上がり方もばらつく。例えば、イネーブル信号ENのハイレベル期間中に駆動クロック信号CLK1がハイレベルに立ち上がる場合(挙動(A)を参照)と、駆動クロック信号CLK1がローレベルに立ち下がる直前にイネーブル信号ENがハイレベルに立ち上がった場合(挙動(A’)を参照)とでは、出力電圧Voの跳ね上がり方が大きく異なる。
【0056】
このように、チャージポンプ120における昇圧再開時の動作フェイズ、ないしは、昇圧動作の開始タイミングが不均一であると、出力電圧検出回路130の検出速度、イネーブル信号ENの論理切替速度、及び、リークによる出力電圧Voの低下速度などの影響を受けて、昇圧再開時における出力電圧Voの跳ね上がりがばらつくので、高電圧発生回路100の入出力特性が悪化してしまう。
【0057】
図8は、比較例における入出力特性を示す図である。本図から、比較例の高電圧発生回路100では、入力電圧Viに対する出力電圧Voのばらつきが大きいことが分かる。そのため、出力電圧Voが規格下限値VoLを下回らないように、マージンを大きく設定せざるを得ず、消費電力や回路規模(昇圧段数)を不必要に増大しなければならなくなる。
【0058】
<高電圧発生回路(第1実施形態)>
図9は、高電圧発生回路の第1実施形態を示す図である。第1実施形態の高電圧発生回路100は、先の比較例(
図1)をベースとしつつ、同期回路140をさらに有する。そこで、先の比較例と同様の構成要素については、
図1と同一の符号を付すことにより重複した説明を割愛し、以下では、第1実施形態の特徴部分について重点的に説明する。
【0059】
同期回路140は、Dフリップフロップ141とANDゲート142を含み、ドライバ110のイネーブル信号ENを基準クロック信号CLKに同期化する。
【0060】
Dフリップフロップ141は、クロック入力端に入力される基準クロック信号CLKの論理レベルが切り替わるタイミング(例えば、基準クロック信号CLKの立上りタイミング)で、データ入力端(D)に入力されている帰還信号FBをラッチし、出力端(Q)からラッチ信号S141を出力する順序回路の一例である。
【0061】
ANDゲート142は、帰還信号FBとラッチ信号S141との論理積演算によりイネーブル信号ENを生成する論理ゲートの一例である。従って、イネーブル信号ENは、帰還信号FBとラッチ信号S141の少なくとも一方がローレベルであるときにローレベルとなり、帰還信号FBとラッチ信号S141の両方がいずれもハイレベルであるときにハイレベルとなる。
【0062】
上記構成から成る同期回路140によれば、基準クロック信号CLKに同期して帰還信号FBをラッチすることによりイネーブル信号ENを生成することができる。
【0063】
特に、本実施形態では、イネーブル信号ENのオンタイミング(=立上りタイミング)のみが基準クロック信号CLKに同期化されており、イネーブル信号ENのオフタイミング(=立下りタイミング)は、基準クロック信号CLKに対して非同期とされている。このような構成とすることにより、出力電圧Voが基準電圧Vrefよりも高くなったときには、イネーブル信号ENを遅滞なくローレベルに立ち下げて、ドライバ110(延いてはチャージポンプ120)をオフすることができるので、出力電圧Voの不必要な上昇を抑えることが可能となる。
【0064】
図10は、第1実施形態における高電圧発生動作を示す図であり、上から順に、基準クロック信号CLK、駆動クロック信号CLK1及びCLK2、帰還信号FB、イネーブル信号EN、並びに、出力電圧Voが描写されている。
【0065】
先にも述べたように、第1実施形態の高電圧発生回路100では、イネーブル信号ENが基準クロック信号CLKに同期化されている。従って、ドライバ110は、イネーブル信号ENのオンタイミング(=イネーブル信号ENの立上りタイミング)において、チャージポンプ120が常に所定の状態から昇圧動作を開始するように、駆動クロック信号CLK1及びCLK2を生成することができる。
【0066】
より具体的に述べると、ドライバ110は、イネーブル信号ENのオンタイミングにおいて、常に、駆動クロック信号CLK1をハイレベルとして駆動クロック信号CLK2をローレベルとする状態からその動作を再開する。従って、チャージポンプ120は、常に第2フェイズ(=トランジスタN5が逆バイアスとなる状態)から昇圧動作を再開するので、出力電圧Voの跳ね上がりが毎回小さく抑えられる。
【0067】
このように、第1実施形態の高電圧発生回路100であれば、チャージポンプ120における昇圧再開時の動作フェイズを固定し、出力電圧Voの跳ね上がりを均一化することができるので、高電圧発生回路100の入出力特性を改善することが可能となる。
【0068】
図11は、第1実施形態における入出力特性を示す図である。なお、実線は第1実施形態の挙動を示しており、破線は比較例の挙動(
図8と同様)を対比のために示している。
【0069】
本図から、第1実施形態(
図9)の高電圧発生回路100では、先出の比較例(
図1)と比べて、入力電圧Viに対する出力電圧Voのばらつきが小さく抑えられていることが分かる。従って、出力電圧Voのマージンを最小限に設定することが可能となるので、消費電力や回路規模(昇圧段数)を不必要に増大せずに済み、低コスト化にも寄与し得る。
【0070】
<高電圧発生回路(第2実施形態)>
図12は、高電圧発生回路の第2実施形態を示す図である。第2実施形態の高電圧発生回路100は、先出の第1実施形態(
図2)をベースとしつつ、同期回路140のANDゲート142が割愛されており、Dフリップフロップ141で生成されるラッチ信号S141がイネーブル信号ENとしてそのまま出力されている。
【0071】
すなわち、Dフリップフロップ141は、基準クロック信号CLKに同期して帰還信号FBをラッチすることにより、イネーブル信号ENを生成する順序回路として機能する。従って、本実施形態では、先の第1実施形態(
図9)と異なり、イネーブル信号ENのオンタイミング及びオフタイミングの双方が基準クロック信号CLKに同期化される。
【0072】
このような構成とすることにより、先出の第1実施形態(
図2)と比べて、同期回路140の構成要素を削減することができるので、高電圧発生回路100の小規模化や低コスト化を実現することが可能となる。
【0073】
<メモリ装置>
図13は、これまでに説明してきた高電圧発生回路100が搭載されるメモリ装置の一構成例を示す図である。本構成例のメモリ装置10は、メモリバンク11と、メモリコントローラ12と、データレジスタ13と、リード/ライトアンプ14と、アドレスレジスタ15と、アドレスデコーダ16と、電源電圧検出部17と、高電圧生成部18を有する不揮発性半導体記憶装置(例えば、EEPROM[electrically erasable programmable read-only memory])である。
【0074】
メモリバンク11は、メモリコントローラ12によってリード/ライト制御されるメモリセルの集合体(例えば1〜32kビット)である。
【0075】
メモリコントローラ12は、不図示のマスタとシリアルデータ通信を行い、マスタから与えられる各種コマンドに応じてメモリバンク11のリード/ライト制御などを行う。なお、シリアルデータ通信方式としては、4線式(CSB、SCK、SI、SO)のSPI[serial peripheral interface]方式のほかに、3線式(CS、SK、DIO)のマイクロワイヤ方式や2線式(SDA、SCL)のI
2C方式などを採用しても構わない。
【0076】
データレジスタ13は、メモリコントローラ12の指示に基づいて、メモリバンク11のリードデータやライトデータを一時的に格納する。具体的に述べると、メモリバンク11から読み出されたリードデータは、データレジスタ13に一時格納された後、データ出力端子SOから外部出力される。一方、データ入力端子SIから外部入力されたライトデータは、データレジスタ13に一時格納された後、メモリバンク11に書き込まれる。
【0077】
リード/ライトアンプ14は、センスアンプや書込電圧印加回路を含み、メモリコントローラ12の指示に基づいて、メモリバンク11に対するリード/ライト動作を行う。
【0078】
アドレスレジスタ15は、メモリコントローラ12の指示に基づいて、データ入力端子SIから外部入力されたアドレスデータを一時的に格納する。
【0079】
アドレスデコーダ16は、メモリコントローラ12の指示に基づいて、アドレスレジスタ15に一時格納されたアドレスデータを読み出し、メモリバンク11のワードラインやセンスラインを駆動する。
【0080】
電源電圧検出部17は、電源端子VCCに印加される電源電圧Vccが所定の閾値電圧Vthを上回っているか否かを検出し、その検出結果をメモリコントローラ12に出力する。この検出結果を受けたメモリコントローラ12は、例えば、電源電圧Vccが閾値電圧Vthを下回っている間、メモリバンク11への書き込み動作を禁止する。このような構成とすることにより、低電圧異常時におけるメモリバンク11への誤書き込みを防止することができる。
【0081】
高電圧生成部18は、メモリコントローラ12の指示に基づいて、電源電圧Vccから高電圧HV(>Vcc)を生成し、これをリード/ライトアンプ14とアドレスデコーダ16に供給する。高電圧生成部18としては、これまでに説明してきた高電圧発生回路100を用いることができる。
【0082】
なお、上記した種々の回路部のうち、メモリコントローラ12、データレジスタ13、リード/ライトアンプ14、アドレスレジスタ15、アドレスデコーダ16、電源電圧検出部17、及び、高電圧生成部18は、それぞれ、メモリバンク11を駆動するメモリ駆動装置20の構成要素として機能する。
【0083】
<その他の変形例>
なお、上記の実施形態では、メモリ装置10の電源として、高電圧発生回路100を適用した構成を例に挙げて説明を行ったが、高電圧発生回路100の適用対象は、何らこれに限定されるものではなく、他のアプリケーションにも広く適用することが可能である。
【0084】
また、本明細書中に開示されている種々の技術的特徴は、上記実施形態のほか、その技術的創作の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えることが可能である。例えば、バイポーラトランジスタとMOS電界効果トランジスタとの相互置換や、各種信号の論理レベル反転は任意である。すなわち、上記実施形態は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきであり、本発明の技術的範囲は、上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内に属する全ての変更が含まれると理解されるべきである。