特許第6963947号(P6963947)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6963947
(24)【登録日】2021年10月20日
(45)【発行日】2021年11月10日
(54)【発明の名称】伸縮可撓継手構造と耐震補修弁
(51)【国際特許分類】
   F16L 27/12 20060101AFI20211028BHJP
   F16K 27/00 20060101ALI20211028BHJP
【FI】
   F16L27/12 A
   F16K27/00 C
【請求項の数】11
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2017-178012(P2017-178012)
(22)【出願日】2017年9月15日
(65)【公開番号】特開2019-52722(P2019-52722A)
(43)【公開日】2019年4月4日
【審査請求日】2020年8月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000147291
【氏名又は名称】株式会社清水合金製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100081293
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 哲男
(72)【発明者】
【氏名】呉竹 賢二
【審査官】 岩瀬 昌治
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−190614(JP,A)
【文献】 特開2010−190308(JP,A)
【文献】 特開2005−291440(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 27/12
F16K 27/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の管状の接続部同士を環状シール材を介して相互に伸縮可撓状態で接続させた伸縮可撓継手構造であって、前記一対の接続部の間にストッパが外方より着脱自在に嵌め込まれ、このストッパは、一方の接続部に係止する係止部と、他方の接続部に係合する係合部とを有し、前記一方の接続部の受け口と、前記他方の接続部の前記受け口に挿し込まれる挿し口とを有し、これら受け口と挿し口との間に前記シール材が装着され、かつ、このシール材を押圧する環状の押輪が前記受け口側の接続部に固定された状態で前記一対の接続部同士が接続され、前記ストッパの係止部が前記受け口側或は挿し口側の何れか一方に設けられた被係止部に位置決め状態で係止されると共に、前記ストッパの係合部である幅広状の係合溝部に前記受け口側或は挿し口側の残りの一方に設けられた被係合部である突設部が遊嵌状態で係合され、前記ストッパを介して前記接続部同士が伸縮可撓性を維持しつつ相互の回転が阻止された状態で接続されたことを特徴とする伸縮可撓継手構造。
【請求項2】
略円弧状に形成された前記ストッパの両側に略円弧状の前記係止部が形成され、これら各係止部が前記押輪を固定するボルトの頭部である前記被係止部に係止された請求項に記載の伸縮可撓継手構造。
【請求項3】
前記ストッパの一箇所或は複数箇所に、前記押輪の底面に係止される鉤状の突起が一体に形成された請求項又はに記載の伸縮可撓継手構造。
【請求項4】
前記係止部の少なくとも一方側を筒状部とし、この筒状部に前記被係止部であるボルトの頭部が挿入されている請求項に記載の伸縮可撓継手構造。
【請求項5】
請求項乃至の何れか1項に記載の伸縮可撓継手構造において、前記シール材は、前記受け口と前記挿し口との間に装着されるゴム輪であって、断面円形状のOリング体の内外周に設けられたつぶし代率を大とした止水用つぶし代部と、前記Oリング体の軸心方向側の一方に設けられた平面押圧側部と、前記Oリング体の軸心方向側の他方に設けられたつぶし代率を小とした可撓側部とが備えられ、止水性と可撓性機能とが発揮されると共に、ねじれ現象が防止されるゴム輪をそなえた伸縮可撓継手構造。
【請求項6】
受け口部材の受け口と、バルブ本体のボデーであって前記受け口に挿し込まれる挿し口とを有し、これら受け口と挿し口との間に環状シール材が装着され、かつ、このシール材を押圧する環状の押輪が前記受け口部材に固定された状態でこの受け口部材と前記ボデーとが接続され、これら受け口とボデーとの間にストッパが外方より着脱自在に嵌め込まれ、このストッパに形成された係止部を、前記受け口側に設けられた被係止部に位置決め状態で係止され、前記ストッパの略中央に形成された係合溝部に、前記挿し口側又は受け口側に形成された突設部が遊嵌状態で係合され、前記ストッパを介して前記受け口部材と前記ボデーとが伸縮可撓性を維持しつつ相互の回転が阻止された状態で接続されたことを特徴とする耐震補修弁。
【請求項7】
記ストッパの両側に略円弧状の前記係止部が形成され、前記受け口部材と前記押輪を固定するボルトの頭部を被係止部とし、前記各係止部を前記頭部に係止した請求項に記載の耐震補修弁。
【請求項8】
前記ストッパの一箇所或は複数箇所に、前記押輪の底面に係止される鉤状の突起が一体に形成された請求項又はに記載の耐震補修弁。
【請求項9】
前記係止部の少なくとも一方側を筒状部とし、この筒状部に前記受け口部材と前記押輪を固定するボルトが挿入されている請求項に記載の耐震補修弁。
【請求項10】
前記ボルトが90°の間隔で4箇所に取付けられ、隣接する前記ボルトに対応して前記ストッパの係止部が略90°の間隔で配置されている請求項に記載の耐震補修弁。
【請求項11】
請求項乃至10の何れか1項に記載の耐震補修弁において、前記シール材は、前記受け口と前記挿し口との間に装着されるゴム輪であって、断面円形状のOリング体の内外周に設けられたつぶし代率を大とした止水用つぶし代部と、前記Oリング体の軸心方向側の一方に設けられた平面押圧側部と、前記Oリング体の軸心方向側の他方に設けられたつぶし代率を小とした可撓側部とが備えられ、止水性と可撓性機能とが発揮されると共に、ねじれ現象が防止されるゴム輪をそなえた耐震補修弁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、伸縮可撓継手構造とこの構造を有する耐震補修弁に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば地下式の消火栓や空気弁の真下には補修弁が併設され、この補修弁により地下に敷設された水道管内からの水圧が遮断された状態で、消火栓や空気弁の点検修理や交換等が行われることが多い。
【0003】
この種の補修弁は、例えば、図11(a)に示した管路に設けられる。同図の管路では、水道管1が地中に水平方向に埋設され、この水道管1に到達するように地表から弁室2が形成され、この弁室2の内部において、上向きに伸びる分岐部3を備えたT字管4が水道管1に設けられている。補修弁7は、短管5とバルブ部6とを有する態様にて弁室2内のT字管4上部に接続され、この補修弁7の上部に消火栓8や空気弁が接続される。補修弁7のバルブ部6を閉止したときには、水道管1から消火栓8への水圧が遮断され、これによって漏水を防ぎつつ消火栓8の点検修理や交換等が可能になっている。
【0004】
ところで、平成7年に発生した阪神・淡路大震災及び平成23年に発生した東日本大震災においては、震災区域の配水管に多数の被害が発生するとともに、管以外の消火栓、空気弁等にも多くの被害が発生した。
【0005】
震災時の消火栓、空気弁の損傷原因や損傷メカニズムを究明した結果、空気弁、消火栓で被害の大多数を占めるフランジ部やT字管の損傷の直接原因は、弁栓本体と弁室等の室壁等が衝突して発生する反力によると考えられている。参考文献名「水道管路付属設備の耐震性向上に関する研究(水道協会雑誌第67巻第3号(第762号))」、「平成23年(2011年)東日本大震災における管本体と管路付属設備の被害調査報告書(社団法人日本水道協会)」。
【0006】
すなわち、図11(a)の管路に地震が発生したときには、弁室2が設けられている地盤10と水道管1の変位量は同じではなく、相対変位する。これにより、図11(b)、図12に示すように、初期隙間9が無くなって弁室2の室壁2aと消火栓8が接触(衝突)したときに双方の変位が拘束される。その後も地盤10と水道管1の相対変位が続いたときには、消火栓8が室壁2aからの反力Frを受け、図に示す様に傾倒することになる。
その結果、この傾倒に伴う変形が限界変形量を超えたときに、補修弁7や消火栓8の継手部分であるフランジ部12や、T字管4が損傷する可能性がある。
これを回避するため、特に、図11の地下に敷設される補修弁7や、消火栓8或は空気弁等の接続部分には、伸縮可撓性を有しつつ漏れを防ぐようにした継手構造が採用されるようになってきている。
【0007】
伸縮可撓性を有する継手構造として、例えば、特許文献1の管の継手構造が開示されている。この継手構造では、一方の管の受口の内周にロックリングが収容され、他方の管の挿口の外周に挿口突部が形成され、この挿口突部がロックリングよりも奥側に挿入された状態で接合される。挿口の外周にはゴム製シール材が設けられ、このシール材は、ボルトナットにより締め付けられた押輪を介して挿口と受口との間に押圧され、ロックリングを介して伸縮可撓性を確保した状態でシール性が発揮される。
【0008】
一方、特許文献2において、第1の配管の端部と第2の配管の端部との間に設けられ、これらを接合する伸縮可撓継手が開示されている。この伸縮可撓継手には、第1配管への接続用の第1フランジ、第1スリーブと、第2配管への接続用の第2フランジ、第2スリーブと、第1スリーブと第2スリーブとの間に可撓的摺動可能な状態で装着されるシール部材と、第1フランジと第2フランジとを連結する連結具とが備えられる。連結具は、第1フランジ、第2フランジの第1配管、第2配管への接続と同時に、ボルトナットにより第1フランジ、第2フランジにそれぞれ接続される。この連結具により、シール部材によるシール状態で、連結具により第1配管と第2配管との伸縮可撓性を確保し、これに加えて、第1配管と第2配管との間の相対的なねじれに対して、第1フランジと第2フランジとの連結状態を保持しようとするものである。
【0009】
また、上記の特許文献1及び特許文献2においては、内外周の管の間に円筒状の長尺シール材が装着され、このシール材を介して継手同士のシール性を確保しつつ、伸縮可撓性を発揮させようとしている。
【0010】
さらに、これ以外の態様のシール材としては、例えば、特許文献3のゴム輪が開示されている。この継手構造におけるゴム輪は、硬質のヒール部と、軟質のバルブ部とが一体化されるように設けられ、装着時には、シール部位に設けられた凹状の係止部に、ヒール部を係止して位置を保持しつつ、バルブ部の圧縮に伴う面圧と、水圧によるセルフシールにより止水される。
【0011】
特許文献4の耐震継手におけるゴム輪は、ヒール部とバルブ部とにより構成され、シール部位の凹部に係合固定される。このゴム輪が取付けられた接続管が屈曲する際には、接続管が、空気弁及び補修弁と共に分岐軸芯を中心に屈曲する。このとき、ゴム輪の中心である屈曲中心周りでシール状態を維持しようとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2003−214573号公報
【特許文献2】特開2016−17600号公報
【特許文献3】実用新案登録第2597594号公報
【特許文献4】特開2015−190614号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
前述した補修弁を特許文献1の継手構造を利用して接続する場合、シール性及び伸縮可撓性を維持した状態で補修弁を接続することは可能であるが、伸縮可撓性を確保するために接続部分の一方の管と他方の管とが相互に回転可能な状態で接続されている。これにより、補修弁の一端側(一次側)の短管が水道管に接続された状態で、他端側(二次側)である補修弁の上部に消火栓や空気弁等を接続しようとする際に、固着用のボルト等をスパナ等の工具で締付けたときに二次側(弁箱)が回転しやすくなり、その結果、補修弁の操作用レバーの位置が所定の位置からずれる可能性がある。補修弁の上部に消火栓を接続した場合には、この消火栓のキャップを回して開閉する際に、弁箱が供回りしてキャップを回転できずに消火栓を開閉操作できないおそれもある。
【0014】
一方、特許文献2の伸縮可撓継手を利用して補修弁を接続しようとするときには、この補修弁の第1、第2配管の端部への接続と同時に、ボルトナットで連結具を接続する必要がある。このように、連結具を補修弁の接続後に取付けることができない。
補修弁に加わる外力が所定強度よりも大きい場合、連結具が切断可能になっていることから、仮に、地震時等に連結具が切断し、地盤と水道管との間に相対変位が生じたときには、補修弁やこの補修弁の二次側に設置された消火栓が弁室の壁面に接触することがある。消火栓が弁室壁面に接触すると、消火栓の口金が壁面と干渉して外部の消防ホースが取付けにくくなったり取付けできなくなることもある。補修弁が回転すると、この補修弁のキャップや、操作用レバーが壁面と干渉して補修弁を開閉操作できなくなる可能性もある。これらに対して、仮に、連結具の連結強度を向上させ、補修弁の一次側と二次側とを強固に接続した場合には、伸縮可撓性が失われることにつながる。
【0015】
また、特許文献1及び特許文献2では、接続管同士のシール性と伸縮可撓性とを両立させるために長尺の円筒状シール材を装着していることから、接続する管同士ののみこみ代が長くなる。これにより、管に回転方向の力が加わったときには、ねじれ方向に変形しやすくなってシール性が悪化する可能性がある。
【0016】
特許文献3及び特許文献4のゴム輪についても、ヒール部とバルブ部とが凹状のアール部分を介して装着方向に接続された形状をなしているため、軸方向に長い形状になる。さらに、硬質のヒール部と軟質のバルブ部とを材質を調整しつつ形成する必要がある。
【0017】
本発明は上記問題点を解決するために開発されたものであり、その目的とするところは、一方の接続側と他方の接続側とを、伸縮可撓性を発揮しつつシール状態で接続する伸縮可撓継手構造であり、これら接続部同士の接続後に、シール性及び伸縮可撓性を維持しつつワンタッチで相互の回転を阻止可能な伸縮可撓継手構造と耐震補修弁を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記目的を達成するため、請求項1に係る発明は、一対の管状の接続部同士を環状シール材を介して相互に伸縮可撓状態で接続させた伸縮可撓継手構造であって、一対の接続部の間にストッパが外方より着脱自在に嵌め込まれ、このストッパは、一方の接続部に係止する係止部と、他方の接続部に係合する係合部とを有し、一方の接続部の受け口と、他方の接続部の受け口に挿し込まれる挿し口とを有し、これら受け口と挿し口との間にシール材が装着され、かつ、このシール材を押圧する環状の押輪が受け口側の接続部に固定された状態で一対の接続部同士が接続され、ストッパの係止部が受け口側或は挿し口側の何れか一方に設けられた被係止部に位置決め状態で係止されると共に、ストッパの係合部である幅広状の係合溝部に受け口側或は挿し口側の残りの一方に設けられた被係合部である突設部が遊嵌状態で係合され、ストッパを介して接続部同士が伸縮可撓性を維持しつつ相互の回転が阻止された状態で接続された伸縮可撓継手構造である。
【0019】
請求項2に係る発明は、略円弧状に形成された前記ストッパの両側に略円弧状の係止部が形成され、これら各係止部が押輪を固定するボルトの頭部である被係止部に係止された伸縮可撓継手構造である。
【0021】
請求項に係る発明は、ストッパの一箇所或は複数箇所に、押輪の底面に係止される鉤状の突起が一体に形成された伸縮可撓継手構造である。
【0022】
請求項に係る発明は、係止部の少なくとも一方側を筒状部とし、この筒状部に被係止部であるボルトの頭部が挿入されている伸縮可撓継手構造である。
【0023】
請求項に係る発明は、伸縮可撓継手構造において、シール材は、受け口と挿し口との間に装着されるゴム輪であって、断面円形状のOリング体の内外周に設けられたつぶし代率を大とした止水用つぶし代部と、Oリング体の軸心方向側の一方に設けられた平面押圧側部と、Oリング体の軸心方向側の他方に設けられたつぶし代率を小とした可撓側部とが備えられ、止水性と可撓性機能とが発揮されると共に、ねじれ現象が防止されるゴム輪をそなえた伸縮可撓継手構造である。
【0024】
請求項に係る発明は、受け口部材の受け口と、バルブ本体のボデーであって受け口に挿し込まれる挿し口とを有し、これら受け口と挿し口との間に環状シール材が装着され、かつ、このシール材を押圧する環状の押輪が受け口部材に固定された状態でこの受け口部材とボデーとが接続され、これら受け口とボデーとの間にストッパが外方より着脱自在に嵌め込まれ、このストッパに形成された係止部を、受け口側に設けられた被係止部に位置決め状態で係止され、ストッパに形成された係合溝部に、挿し口側又は受け口側に形成された突設部が遊嵌状態で係合され、ストッパを介して受け口部材とボデーとが伸縮可撓性を維持しつつ相互の回転が阻止された状態で接続された耐震補修弁である。
【0025】
請求項に係る発明は、ストッパの両側に略円弧状の係止部が形成され、受け口部材と押輪を固定するボルトの頭部を被係止部とし、各係止部を頭部に係止した耐震補修弁である。
【0026】
請求項に係る発明は、ストッパの一箇所或は複数箇所に、押輪の底面に係止される鉤状の突起が一体に形成された耐震補修弁である。
【0027】
請求項に係る発明は、係止部の少なくとも一方側を筒状部とし、この筒状部に受け口部材と押輪を固定するボルトが挿入されている耐震補修弁である。
【0028】
請求項10に係る発明は、ボルトが90°の間隔で4箇所に取付けられ、隣接するボルトに対応してストッパの係止部が略90°の間隔で配置されている耐震補修弁である。
【0029】
請求項11に係る発明は、耐震補修弁において、シール材は、受け口と挿し口との間に装着されるゴム輪であって、断面円形状のOリング体の内外周に設けられたつぶし代率を大とした止水用つぶし代部と、Oリング体の軸心方向側の一方に設けられた平面押圧側部と、Oリング体の軸心方向側の他方に設けられたつぶし代率を小とした可撓側部とが備えられ、止水性と可撓性機能とが発揮されると共に、ねじれ現象が防止されるゴム輪をそなえた耐震補修弁である。
【発明の効果】
【0030】
請求項1に記載の発明によると、一方の接続側と他方の接続側とを、伸縮可撓性を発揮しつつシール状態で接続する伸縮可撓継手構造であり、係止部を一方の接続部に係止させ、係合部を他方の接続部に係合させるようにしながらストッパを嵌め込むことにより、接続部同士の接続後に伸縮可撓性を維持しつつ接続部相互の回転を阻止した状態で、一方の接続部に対して他方の接続部の回転を確実に防止できる。ストッパを接続部材の外方より着脱自在に設けていることにより、このストッパを接続部同士の接続と同時に組込むことなく接続部同士の接続後にワンタッチで装着可能であり、接続部の周囲の状況に応じて任意の取付け方向から着脱できる。また、一方の接続部の受け口と、他方の接続部の挿し口との間にシール材が介在され、押輪によりシール材を押圧する構造の伸縮可撓継手に対して適用することができ、係止部、係合部を介して別途工具を必要とすることなく簡便にストッパを着脱できる。係止部を被係止部に位置決め係止し、係合部に被係合部を遊嵌状態で係合した状態でストッパによって接続部同士を接続しているため、被係合部が係合部に対して可動して接続部の伸縮可撓性を維持し、かつ、被係合部が係合部に当接して接続部同士の回転を確実に阻止可能となる。しかも、挿し口側又は受け口側に設けられた突設部がストッパに設けられた幅広状の係合溝部に遊嵌状態で係合されているから、挿し口が受け口に対して傾倒するとき、突設部が係合溝部に接触することがなく、一方、挿し口が受け口に対して回転しようとするとき、突設部が係合溝部に接触するように設けられているので、接続部同士である受け口と挿し口との伸縮可撓性が維持されつつ、両者の相互の回転が阻止された状態で確実に接続可能となる。
【0032】
請求項に記載の発明によると、接続部と押輪とを固定するボルトの頭部を利用し、装着用の部品を別途設けることなくストッパを着脱できる。ストッパは、例えば樹脂材料により容易に大量に製作でき、その着脱時には弾性を利用して簡単に着脱できる。特に、取り外し時には、ストッパの弾性に抗して両側を広げる方向の力を加えるようにすれば、ボルト頭部への引っ掛かりを簡単に外すことが可能となる。ストッパの装着後には、接続部同士の可撓性を許容しつつ相互の回転を阻止し、これら接続部を傷付けたり損傷させるおそれもない
【0033】
請求項に記載の発明によると、ストッパ両端の係止部に加えて、鉤状の突起を押輪の底面に係止してストッパを固定することにより、ストッパの押輪への装着力を高めて位置ずれや脱落を防止できる。
【0034】
請求項に記載の発明によると、接続部と押輪とを固定するボルトを筒状部に挿入してストッパを押輪に固定でき、押輪からの脱落を阻止しつつストッパを装着できる。しかも、筒状部が一方側の場合、ストッパが筒状部を中心にボルトに対して回転できるため、ストッパを押輪から取り外すことなくストッパを回転させて係止部のボルト頭部への係止や係合凹溝への突設部の係合を外すことでこのストッパによる回転防止機能を解除できる。
【0035】
請求項に記載の発明によると、伸縮可撓継手構造において、シール材がゴム輪であり、このゴム輪は、断面円形状のOリング体、つぶし代率を大とした止水用つぶし代部、平面押圧側部を備えているので、平面押圧側部を介して止水用つぶし代部に平面状に力を加え、ねじれ現象を防止しながらゴム輪を押圧して可撓性機能を発揮した状態で止水用つぶし代部により高シール性を発揮して止水性を向上できる。これに加えて、Oリング体の平面押圧側部との他方につぶし代率を小とした可撓側部を設けているので、ゴム輪全体を完全につぶすことのない状態でシール性を確保し、劣化を防ぐことが可能となる。
【0036】
請求項に記載の発明によると、受け口部材の受け口と、ボデーの挿し口との間にシール材が介在され、押輪によりシール材を押圧した状態で一体化される耐震補修弁であり、係止部を被係止部に位置決め係止し、係合部に被係合部を遊嵌状態で係合した状態でストッパによって受け口部材とボデーとを接続しているため、別途工具を必要とすることなく簡便にストッパを着脱できる。受け口部材とボデーとの接続後には、被係合部が係合部に対して可動して伸縮可撓性を維持し、かつ、被係合部が係合部に当接して受け口部材とボデーとの回転を確実に阻止する。ストッパを外方より着脱自在に設けていることにより、全体の組立てと同時に組込むことなくワンタッチで装着できる。
【0037】
請求項に記載の発明によると、受け口部材と押輪とを固定するボルトの頭部を利用し、装着用の部品を別途設けることなくストッパを着脱できる。樹脂材料によりストッパを容易に成形できるため容易に製作でき、着脱時にはその弾性を利用して簡単に着脱可能となる。特に、取り外し時には、ストッパの弾性に抗して両側に広げる方向の力を加えるようにすれば、ボルト頭部への引っ掛かりを簡単に外すことが可能となる。ストッパの装着後には、受け口部材とボデーとの可撓性を許容しつつ相互の回転を阻止し、これらを傷付けたり損傷させるおそれもない
【0038】
請求項に記載の発明によると、ストッパ両端の係止部に加えて、鉤状の突起を押輪の底面に係止してストッパを固定することにより、ストッパの押輪への装着力を高めて位置ずれや脱落を防止できる。
【0039】
請求項に記載の発明によると、ストッパを筒状部を介してボルトにより押輪に固定でき、押輪からの脱落を阻止した状態でストッパを装着できる。しかも、筒状部が一方側の場合、この筒状部を中心にストッパがボルトに対して回転可能であるため、ストッパを押輪から取り外すことなく回転させ、他方側の係止部のボルト頭部への係止、及び係合凹溝への突設部の係合を外して回転防止機能を解除できる。
【0040】
請求項10に記載の発明によると、ストッパを90°毎に装着方向を変えた状態でボルトに着脱でき、地下壁面等への設置状況に応じて任意の方向から簡単に取付けて短管とボデーとの相互の回転を阻止できる。
【0041】
請求項11に記載の発明によると、耐震補修弁において、シール材がゴム輪であり、このゴム輪は、断面円形状のOリング体、つぶし代率を大とした止水用つぶし代部、平面押圧側部を備えているので、平面押圧側部を介して止水用つぶし代部に平面状に力を加え、ねじれ現象を防止しながらゴム輪を押圧して可撓性機能を発揮した状態で止水用つぶし代部により高シール性を発揮して止水性を向上できる。これに加えて、Oリング体の平面押圧側部との他方につぶし代率を小とした可撓側部を設けているので、ゴム輪全体を完全につぶすことのない状態でシール性を確保し、劣化を防ぐことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
図1】耐震補修弁の一実施形態を示す正面図である。
図2図1のA−A断面図である。
図3図1のB−B概略断面図である。
図4】(a)は、ストッパの斜視図である。(b)は、ストッパの正面図である。
図5】(a)は、図2におけるC部拡大断面図である。(b)は、(a)に抜け出し力が作用した状態を示す拡大断面図である。(c)は、さらに大きな抜け出し力が作用した状態を示す拡大断面図である。
図6】シール材を示す縦断面図である。
図7】(a)はカバー本体を示す半截断面図である。(b)はカバー本体の他例を示す縦断面図である。
図8】(a)は耐震補修弁が傾いた状態を示す正面図である。(b)は耐震補修弁が傾いた状態を示す縦断面図である。
図9】耐震補修弁の他の実施形態を示す縦断面図である。
図10】ストッパの他例を示す平面図である。
図11】(a)は、従来の補修弁と地下式消火栓の配管構造を説明する図面である。(b)は地震時に弁室の室壁に衝突する状況を説明する図面である。
図12図11の消火栓の口金と室壁が干渉した状態を示す平面説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
以下に、本発明における伸縮可撓継手構造の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。本発明の伸縮可撓継手構造は、種々の配管機材に適用可能であり、本実施形態では耐震補修弁に適用した例を述べる。耐震補修弁は、地下に敷設された水道管に接続されたT字管の直上にフランジ接続された状態で弁室内に敷設され、この耐震補修弁の上部に消火栓や空気弁がフランジ接続される(図示せず)。
【0044】
図1は、本発明の伸縮可撓継手構造を耐震補修弁に適用した一実施形態を示し、図2図1のA−A断面図、図3図1のB−B断面図を示している。
図1図3において、耐震補修弁は、バルブ本体20、受け口部材である短管21、ストッパ22、押輪23、環状シール材24、抜け止めリング25、スペーサ26、バックアップリング27、環状のカバー本体28を有している。
【0045】
この耐震補修弁において、一方の接続部Xである短管21と、他方の接続部Yであるバルブ本体20のボデー31とによる一対の環状の接続部同士は、シール材24を介して相互に伸縮可撓状態で接続された構造で一体化され、これら一対の接続部X、Yの間には、ストッパ22が外方より着脱自在に嵌め込み可能に設けられる。
【0046】
短管21は、金属材料により略フランジ状の扁平形状に設けられ、耐震補修弁の一次側に設けられる。短管21の中央には貫通穴からなる受け口32が形成され、この受け口32にボデー31に設けられる挿し口33が挿入可能に設けられる。短管21の外径は、この短管21の一次側に接合される図示しない外部の配管と同径に設けられ、例えば、外部配管がT字管である場合、このT字管に形成されるフランジ部の外径と略同径のフランジ外径に設けられる。
【0047】
短管21の受け口32の内周には段部34が形成され、この段部34に抜け止めリング25が装着可能に設けられる。段部34より下部には、テーパ面37を介してより小径の装着部35が設けられ、この装着部35に、図6に示すシール材24が装着可能になっている。短管21の底面側には、中心部に受けて張り出された張出部36が設けられ、この張出部36が、外部配管の接合時に挟着される図示しないガスケットの当たり面となる。張出部36は、外部配管からの通水を円滑に導くガイド機能も有している。
【0048】
図2のバルブ本体20は、ボデー31、ボール40、ステム41、弁座42、弁座受け43を有し、短管21の二次側に押輪23を介して接続可能に設けられる。
【0049】
バルブ本体20のボデー31は耐震補修弁用として形成され、このボデー31内の一、二次側に弁座42が配設された状態でステム41を介してボール40が回動自在に収納され、このボデー31の二次側に形成された開口部44に、弁座受け43が螺着によって装着される。ステム41にはレバーハンドルからなる手動ハンドル45が取付けられ、このハンドル45の手動開閉操作により、ボデー31内に形成された流路46が開閉可能に設けられている。
【0050】
ボデー31の一次側(短管21側)には、前述した挿し口33が延設して形成され、この挿し口33が短管21の受け口32に挿し込み可能に設けられる。挿し口33側には、ボデー31のフランジ31aから垂下するように突設部50が被係合部として形成される。挿し口33の外周には、スペーサ26を装着可能な環状の幅広溝51が形成される。
【0051】
押輪23は、金属材料により短管21の外径と略同じ外径に形成され、その中央には挿し口33が挿入可能な挿通孔52が設けられる。挿通孔52の入り口側には、拡径状の大径段部53が形成され、この大径段部53によりボデー31の挿し口33側との隙間が確保される。この隙間を介してボデー31が押輪23に対して傾斜可能になり、延いてはバルブ本体20が短管21に対して伸縮可撓性を発揮するようになっている。押輪23の底面側には、抜け止めリング25を収納可能な段部54が形成され、この段部54に抜け止めリング25が嵌め込み可能に設けられる。
【0052】
図6に示したシール材24は、受け口32と挿し口33との間に装着され、弾力性に富んだゴム材料で成形されたゴム輪本体からなり、このゴム輪本体24は、断面円形状に形成されたOリング体60と、止水用つぶし代部61と、平面押圧側部62と、可撓側部63とを有している。
【0053】
止水用つぶし代部61は、Oリング体60の内外周に、つぶし代率が大となる状態により設けられる。
【0054】
平面押圧側部62は、Oリング体60の軸心方向側の一方に設けられる。平面押圧側部62の外径は、Oリング体60の外周径より小であり、平面押圧側部62の内径は、Oリング体の内周径より大となるように設けられる。この平面押圧側部62と、Oリング体とは、ゴム製の同一材料で成形される。
【0055】
可撓側部63は、Oリング体60の軸心方向側の他方に、つぶし代率を小とした状態で備えられる。
【0056】
ゴム輪本体24は、バルブ本体20における外部との接続側である前記挿し口33に保持されてユニット化された状態で装着される。この状態で挿し口33が受け口32に挿し込まれた際に、これらの間にゴム輪本体24が装着され、かつ、バルブ本体20を抜け止めする後述の抜け止めリング25及びバックアップリング27を介して、ゴム輪本体24を押圧する押輪23が短管(受け口部材)21に固定され、この短管21とバルブ本体20とが止水性と伸縮可撓性機能とが発揮された状態で接続される。
【0057】
この場合、挿し口33のボデー31側(根元側)に平面押圧側部62が位置し、この平面押圧側部62が抜け止めリング25からバックアップリング27を介して面接触の状態で押圧される。これにより、内外周側のつぶし代部61が挿し口33、受け口32にそれぞれ当接シールされつつ、ゴム輪本体24のねじれ現象が確実に防止された状態で接続可能になっている。
【0058】
ゴム輪本体24のつぶし代が最大となる位置は、つぶし代部61を設けた装着部35の入り口付近となる。一方、可撓側部63を設けたOリング体60の挿入(先方)側のつぶし代は小さくなり、つぶし代部61から挿し口33の先端側になるにつれてつぶし代が小さくなる。このため、ボデー31が短管21に対して傾くとき(可撓するとき)の挿し口33の中心軸に対する移動距離(傾斜量)がより大きくなる挿し口33先端側において、ゴム輪本体24のつぶし量を小さくできるため、ボデー31が可撓しやすくなる。
【0059】
ゴム輪本体24のつぶし代が最大となる位置は、前述のように装着部35の入り口付近となるため、可撓時には、ゴム輪本体24が挿し口33先端と短管21の隙間にはみ出しにくくなる。
これらのことから、ゴム輪本体24は、耐震補修弁の可撓を阻害することなくその可撓を促進し、可撓状態でもシール性を維持できる。
【0060】
抜け止めリング25は、金属材料により断面逆L字形状に形成され、その外径側が押輪23の段部54及び短管21の段部34に嵌合され、内径側に形成された環状の突条部64が挿し口33の幅広溝51側に装入された状態で、押輪23と短管21、挿し口33との間に装着可能に設けられる。図示しないが、抜け止めリング25は、幅広溝51、押輪23の段部54に挿入可能にするために分割リングとして形成される。
【0061】
図5において、スペーサ26は、金属材料或は合成樹脂により、挿し口33の幅広溝51に装着可能な大きさの略円筒状に形成される。このスペーサ26は、円筒部65と、この円筒部65の外周側の断面矩形状の環状凸部66とを有し、環状凸部66は、抜け止めリング25の突条部64の係合可能な位置及び高さに形成されている。
【0062】
図2において、バックアップリング27は、金属材料或は合成樹脂により短管21の段部34に装着可能な外径の略円板状に設けられ、その中央には挿し口33が挿通可能な内径により穴部67が形成されている。バックアップリング27は、抜け止めリング25とゴム輪本体24との間に介在され、押輪23で抜け止めリング25を介して押圧されたときに、ゴム輪本体24を押圧可能に設けられる。バックアップリング27を設けていることで、圧縮されたゴム輪本体24が抜け止めリング25側に侵入することが防止される。
【0063】
図7(a)において、カバー本体28は、弾力性に富んだゴム材料により断面略円弧状に形成され、図2のボデー31と押輪23とにそれぞれ形成された装着溝31b、23aの間に装着可能に設けられる。カバー本体28は、バルブ本体20の短管21に対する抜け出し方向、並びに曲げ方向に対して伸縮可撓性を有する。
【0064】
カバー本体28は、外方に膨出形成されたゴム製の環状膨出部29の両端に係止リング30が設けられ、一方の係止リング30がボデー31の装着溝31bに係止され、他方の係止リング30が押輪23の装着溝23aに係止されている。
【0065】
図8(b)に示すように、ボデー31が可撓したときに、可撓側のカバー本体28の環状膨出部29が適度に収縮し、他方側のカバー本体28の環状膨出部29が適度に伸びて可撓性に確実に追従すると共に、塵埃等の浸入を防止し、保護カバーとしての機能を有効に発揮する。
【0066】
図7(b)においては、カバー本体の他例を示している。このカバー本体38は、環状の蛇腹部39が設けられ、この蛇腹部39の両端に係止リング30が設けられる。このカバー本体38において、係止リング30を介してボデー31に装着し、ボデー31が可撓したときには、蛇腹部39が適度に収縮することにより、上記カバー本体28と同様の機能を発揮できる。
また、カバー本体は、収縮性をするものであれば、図7(a)、図7(b)の以外の各種の断面形状に設けることも可能である。
【0067】
上記した各部品によって耐震補修弁を組み立てる場合、先ず、ボデー31にカバー本体28を取付け、挿し口33の外周に押輪23を嵌め、挿し口33の幅広溝51内にスペーサ26、抜け止めリング25の順に挿入し、その下方の挿し口33の外周にバックアップリング27、ゴム輪本体24の順に嵌めるようにする。
【0068】
以上の取付けの終了後に、挿し口33の先端側から短管21の受け口32に挿入し、ボデー31の上部からプレス等の大きな力で押し込む。このとき、受け口32の開口側にテーパ面37が形成されていることで、挿し口33の挿入時及びプレス時におけるゴム輪本体24の損傷が防止される。
【0069】
このように、ボデー31と短管21との間に、予め分割された抜け止めリング25、スペーサ26、バックアップリング27を組み入れて仮組状態とし、ゴム輪本体24を装着することでこの仮組状態を維持することができ、挿し口33を受け口32に組み入れる際に、各部品を一体に装着できる。
【0070】
上記のプレス等による大きな力による押し込みが必要な理由は、バルブ本体20に曲げ力が作用して挿し口33が傾倒した場合でも、挿し口33の外周面と短管21の内周面とのシール性が損なわれないように、十分なゴムのつぶし量を確保できるようにゴム輪本体24を形成しているため、ゴム輪本体24を短管21の小径部位に挿入するためには非常に大きな力を必要とするためである。
【0071】
抜け止めリング25等の部品を取付けたボデー31を短管21に挿入する際の押圧力は、プレス等がボデー31を押すと、ボデー31の挿し口33に設けた幅広溝51が抜け止めリング25を押し、抜け止めリング25がバックアップリング27とゴム輪本体24を押すように伝達される。このとき、ゴム輪本体24が圧縮されて変形するが、バックアップリング27によりゴム輪本体24の上部を押え、圧縮されたゴム輪本体24の変形部分が上方に向かうことを阻止しているため、ゴム輪本体24の変形部分が抜け止めリング25の分割部や挿し口33に向けた幅広溝44に浸入することがない。
【0072】
所定の位置まで部品を取付けたボデー31を短管21に押し込んだ後、押し込み力を付加した状態で、所定のトルクを掛けてボルト70で押輪23と短管21を固定すると、伸縮可撓部の組立てが完了する。図3に示すように、ボルト70は、六角穴付きボルトからなり、ボデー31の流路を中心に90°の間隔で4箇所に締付け可能に設けられる。
【0073】
上記のボルト70の固着により、抜け止めリング25の突条部64がスペーサ26の環状凸部66に係合された状態で、ゴム輪本体24、抜け止めリング25、スペーサ26、バックアップリング27が装着されつつ、ゴム輪本体24を押圧する押輪23が短管21に固定されてこの短管21とボデー31とが接続され、一次側の短管21並びに押輪23と、二次側のボデー31とが伸縮可撓状態で一体化される。
組立て完了後には、プレス等の押し込みを取り除いても、ボルト70の緊締力により押輪23が抜け止めリング25を介してゴム輪本体24を押圧し続けるので、挿し口33の外周面と短管21の内周面とのシール性が損なわれることはない。
【0074】
上述の組立て時において、ゴム輪本体24に平面押圧側部62を設けていることにより、ゴム輪本体24を短管21に挿入する際の挿入力を、図6に示すように、バックアップリング27を介して平面押圧側部62に加えることができ、この平面押圧側部62を介してゴム輪本体24を均一に受け口32から挿入して装着できる。
【0075】
つぶし代部61は、挿し口33においてボデー31側(根元側)に配置される。これにより、挿し口33の短管21側(先端側)においては、挿し口33と受け口32との間に空間Sが確保される。
【0076】
抜け止めリング25を介して短管21並びに押輪23とボデー31とを接続していることにより、挿し口33(ボデー31)の短管21側からの抜け出しが阻止され、この抜け止めリング25によりバックアップリング27を介してゴム輪本体24が押圧されて、挿し口33の外周面と短管21の装着部35とがシールされる。
【0077】
固着後のボルト70のボルト頭部71は、後述のストッパ22の係止部80が係止するためのボデー31側の被係止部となり、この被係止部71に係止部80が位置決め状態で係止可能となる。
【0078】
上記ボデー31と押輪23との一体化後には、これらボデー31及び押輪23の装着溝31b、23aを介してカバー本体28を装着する。このカバー本体28により、ボデー31と押輪23との隙間が上方から覆われ、耐震補修弁内部への土砂等の浸入が防止される。カバー本体28は、伸縮可撓性を有していることで、バルブ本体20に外力による抜け出し力が作用して引き出されたり、過大な曲げ力が作用してバルブ本体20が傾いた場合でも、確実に追随して変形する。
【0079】
図4において、ストッパ22は、樹脂材料により略円弧状に形成され、その両側には略円弧状の係止部80、80が設けられる。各係止部80は、短管21と押輪23とを固着する被係止部となる4箇所のボルト70において、図3に示した隣接する2箇所のボルト頭部71に対応するように略90°の間隔に配置され、ボルト頭部71に位置決め状態で係止可能な形状に設けられる。係止部80よりも先端側には、この係止部80の円弧形状から反り返るようにして把持部81が形成される。
【0080】
ストッパ22の略中央には、略角錐台状の突起部82が2箇所に対称に設けられ、これら突起部82の間に係合溝部83が係合部として設けられる。係合溝部83は、ボデー31側に設けられた被係合部である突設部50に遊嵌状態で係合可能な幅広状に形成され、この係合溝部83には、ボデー31が短管21に対して傾倒するときの突設部50が接触することがなく、一方、ボデー31が短管21に対して回転しようとするときには、突設部50が係合溝部83に接触するように設けられる。
【0081】
ストッパ22の底面側の一箇所或は複数箇所には、鉤状の突起84が一体に形成され、この突起84は、ストッパ22の装着時に、押輪23の底面に係止可能な位置及び形状に設けられている。本実施形態では、突起84が二箇所に形成され、これら複数箇所の突起84の係止により装着後のストッパ22の位置ずれが防止されている。
【0082】
ストッパ22は、バルブ本体20と短管21、押輪23の組付け後に、これらに対して装着される。ストッパ22を装着する際には、係止部80をその弾性に抗してボルト頭部71に嵌め込むようにしつつ、バルブ本体20の側方より装着する。これによりストッパ22を装着でき、その装着後には、両側の係止部80、80が弾性を利用してボルト頭部71にそれぞれ引っ掛かった状態になって係止されると共に、係合溝部83に突設部50が遊嵌状態で係合され、かつ、ストッパ22の底部側では、突起84の先端側が押輪23の底面に係止される。
【0083】
これらのように、上部側の両側の係止部80がボルト頭部71に係止され、下部側の二箇所の突起84が押輪23底面に係止されることにより、ストッパ22は、押輪に対して上下左右に位置決めされた状態で固定される。一方、ストッパ22の係合溝部83への突設部50の遊嵌状態での係合により、ボデー31がストッパ22に対して回転が規制された状態で、伸縮方向や傾き方向に可動するようになっている。
このため、ストッパ22を介して、接続部同士である短管21とボデー31との伸縮可撓性が維持されつつ、これら接続部21、31同士の相互の回転が阻止された状態で接続される。
【0084】
なお、ストッパ22を取り外す際には、把持部81を把持して係止部80の両側に広がる方向の力を加えるようにすれば、ストッパ22の弾性力に抗してボルト頭部71への係止部の引っ掛かりを解除でき、これによって抜き出し可能となる。
【0085】
上記実施形態において、接続部Xを受け口32側である短管21、接続部Yを挿し口33側であるボデー31としているが、これらは逆であってもよい。
【0086】
係止部80は、短管21側或はボデー31側の何れか一方に設けられ、係合部83は、短管21側或はボデー31側の残りの一方に設けられていればよく、被係止部71に係止部80が位置決め状態で係止され、被係合部50が係合部83に遊嵌状態で係合されていればよい。このことから、短管21側に被係合部50が設けられ、ボデー31側に被係止部71が配置されていてもよい。この場合、これら被係止部71と被係合部50との位置に対応した形状のストッパを設けることにより、このストッパを装着して前述と同様の機能を発揮することができる。
【0087】
ハンドルは、レバーハンドルに限らず、例えばキャップ式ハンドルなど、各種のハンドルをステム41に接続できる。
【0088】
次いで、本発明の上記実施形態における耐震補修弁の動作並びに作用を説明する。
前述した耐震補修弁は、一方の接続部である短管21に受け口32、他方の接続部であるボデー31の一次側に挿し口33を設け、これら受け口32と挿し口33との間にゴム輪本体24を装着し、かつ、このゴム輪本体24を押圧する押輪23を短管21に固定した状態で、この短管21をボデー31に接続していることにより、短管21に対してボデー31(バルブ本体20)の伸縮可撓性を確保可能となる。
【0089】
図2図5において、通常時には、スペーサ26の環状凸部66が抜け止めリング25の突条部64に係止した状態が維持され、バルブ本体20が短管21に対して安定した状態で保持される。この状態で、消火栓や空気弁の整備点検等に応じてボール40を閉止位置に回動したときにも、バルブ本体20には弁開状態のときの水圧と同じ水圧を負荷し、環状凸部66と突条部64との係止状態を維持可能になっている。
【0090】
図5(a)の状態に対して、地震等によりバルブ本体20に過大な抜け出し力、すなわち図において上方に移動しようとする力が加わった場合には、この力により突条部64の先端側からバルブ本体20に反力が働き、この反力により環状凸部66が幅広溝51の下部方向に押圧される。このとき、図5(b)に示すように、環状凸部66が潰れることなくその形状を維持し、円筒部65の下部側がやや折れ曲がるように変形し、スペーサ26全体が幅広溝51に対して下方に移動する。
【0091】
この状態からさらに過大な抜け出し力がバルブ本体20に加わると、図5(c)に示すように、突条部64先端側からのより強い反力により環状凸部66が押圧され、この環状凸部66が突条部64と幅広溝51の底部との間に押し潰されながら、スペーサ26が幅広溝51に対してより下部側に移動する。このように、スペーサ26を押し潰しつつ、押輪23に対してバルブ本体20上昇させていることで、抜け出し力に対してバルブ本体20全体を伸長させることができる。
その際、抜け止めリング25が押輪23に係止状態で装着され、この抜け止めリング25の突条部64が幅広溝51の底部側に係止することで、短管21(受け口32)からのボデー31(挿し口33)の抜け出しを防止している。
【0092】
また、カバー本体28は、バルブ本体20の動きに追随しながら変形し、このカバー本体28によってボデー31と押輪23との隙間を覆った状態が維持される。
【0093】
消火栓や空気弁が弁室内の図示しない壁面に衝突した際には、この力により耐震補修弁には過大な曲げ力が加わり、バルブ本体20が短管21及び押輪23に対して傾く方向の力が働く。このとき、バルブ本体20の衝突側には過大な抜け出し力が働き、一方、バルブ本体20の衝突側との反対側、すなわち傾き側には圧縮力が働くことになる。
【0094】
バルブ本体20の衝突側に抜け出し力が加わるときには、前述のバルブ本体20全体に抜け出し力が加わる場合と同様にして、突条部64により環状凸部66が押し潰される。これにより、スペーサ26と抜け止めリング25との係止状態が解消され、幅広溝51の底部が突条部64に当接する位置までバルブ本体20が抜け止めリング25に対して傾き可能となる。一方、バルブ本体20の傾き側には抜け出し力が加わることがなく、スペーサ26(環状凸部66)と抜け止めリング25(突条部64)との係合状態が大きく変化することはない。
【0095】
図8(a)においては、バルブ本体20が短管21に対して中心軸から角度θ1で、ハンドルの回転方向に傾いた状態を示し、図8(b)においては、バルブ本体20が短管21に対して中心軸から角度θ2で、図8(a)の傾き方向と直交する方向に傾いた状態を示している。図8(a)、図8(b)とにより、バルブ本体20は、中心軸に対して何れの向きにもフレキシブルに傾くことが可能になっている。この場合、角度θ1、θ2は、何れも4°程度となる
このようにして、衝突等によりバルブ本体20に何れの方向の傾き力が加わった場合にも、耐震補修弁全体が伸縮可撓性を発揮するようになっている。
【0096】
上記何れの方向の力がバルブ本体20に加わる場合にも、押輪23の段部54に装着した抜け止めリング25でバックアップリング27を介してゴム輪本体24を押圧することにより、このゴム輪本体24によるシール性を確保できる。この場合、前述したように、ゴム輪本体24が、断面略円形状のOリング体60、平面押圧側部62を有し、この平面押圧側部62に抜け止めリング25からバックアップリング27を介して力を加えていることで、ゴム輪本体24全体のねじれ現象を防止する。押輪23に押圧力が加わる際には、Oリング体60の内外周側のつぶし代が最大になり、この位置で最も高いシール性を発揮する。
【0097】
ここで、ゴム輪本体24のねじれ現象の防止機能について詳述する。
図6に示すゴム輪本体24には、主に、耐震補修弁の組立て時に挿し口33に外挿する際に生じるねじれ現象と、組立て後の耐震補修弁に水圧が加わることによるねじれ現象が生じるおそれがある。
【0098】
これらのうち、特に、組立て時の図2の挿し口33への外挿時には、ゴム輪本体24のボリュームが大きく、接触圧が高い状態で長い移動距離の引きずられる力が加わるために、回転方向の力が加わってねじれ現象が特に大きくなる。この対策として、グリスを塗付するようにすれば、ゴム輪本体24を挿入しやすくなってねじれにくくなるが、これでは十分でない。
【0099】
一方、耐震補修弁に水圧が加わる場合に対しては、ねじれ現象の発生リスクは小さい。これは、組立て後のゴム輪本体24が収まっている状態では、水圧による移動量が微量であり、ゴム輪本体24は、水圧によりつぶれるように変形するが、大きく移動することがないためである。
【0100】
このようなねじれ現象の発生のおそれに対して、本実施形態では、平面押圧側部62がOリング体60に向けて矩形状に接続され、この接続部位全体が肉厚状に形成されている。このことから、ゴム輪本体24に上記のねじれ方向の力が加わったときには、平面押圧側部62がOリング体60の回転を規制するのでねじれ現象を防止できる。この場合、図示しない一般的なOリングと比較すると、このOリングとバックアップリング27との接触が略線接触となることに対して、ゴム輪本体27の平面押圧側部62は面接触となることでねじれにくくなる。
さらに、肉厚状の接続部位により、平面押圧側部62の変形を防止することができるので、ねじれ現象をより確実に防止できる。
【0101】
また、図6に示すように、平面押圧部側部62は、Oリング体60の軸心CLに対して、外径側に偏心配置されている。
仮に、平面押圧側部62をOリング体60の軸心CLに対して内径側、もしくは中央に配置した場合には、ゴム輪本体27を挿し口33に嵌めた状態で仮組みし、挿し口33に挿入する際に、挿し口33に嵌めたときのゴム輪本体27の変形が平面押圧側部62にまで生じ、その平面を維持することが難しくなる。
【0102】
一方、上記のように、平面押圧側部62をゴム輪本体27の軸心CLよりも外径側に配置すると、ゴム輪本体27を挿し口33に嵌めた状態であっても、このゴム輪本体27の変形をOリング体60で吸収でき、これにより、平面押圧側部62の平面状態を維持できる。そのため、ゴム輪本体27を受け口32に挿入する際に、均等に力を加えることができる。
【0103】
さらに、ゴム輪本体27は、断面短尺状であるため、従来技術のような断面長尺状のシール部材に比べて剛性が高く、受け口32側、挿し口33側の相互の回転によるねじれ方向の力を受け難くなる。このため、長尺状のシール部材に比較してねじれの発生リスクが小さく、シール性の安定性に寄与している。
【0104】
また、前述した空間Sを設けていることで、ゴム輪本体24の可撓側部63は、挿し口33の先端に向けてつぶし代が徐々に小さくなり、このことから、可撓に伴う挿し口33の径方向の移動を妨げることなく、シール性を維持することができる。
【0105】
バルブ本体20(挿し口33)が傾いた場合、挿し口33先端側と受け口32との間隔が最も小さくなるが、ゴム輪本体24を断面略円形状のOリング体としているので、内外周側から挿し口33先端側にかけてのつぶし代を小にでき、この位置での過大なゴム輪本体24のつぶれを回避している。
【0106】
上記の構成に対して、係止部80をボルト頭部71に係止させつつ、突起84を押輪23の底面に係止させ、かつ、係合溝部83に突設部50を遊嵌状態で係合させた状態で、短管21とボデー31との間にストッパ22を外方より着脱自在に嵌め込んでいるので、このストッパ22により、短管21とバルブ本体20(ボデー31)との前述の伸縮可撓性を維持した状態で、これら短管21とバルブ本体20との相互の回転を阻止できる。
【0107】
この場合、係止部80並びに突起84の係止を介して、ストッパ22を短管21側である押輪23に固定し、このストッパ22の係合溝部83に突設部50を遊嵌状態で係合させているので、図8(a)のようにバルブ本体20が傾いた状態において、係合溝部83に突設部50が当接しない。このようにバルブ本体20の傾き動作を許容しているため、前述の伸縮可撓性を阻害することなくバルブ本体20の回転を防止できる。
【0108】
これにより、例えば、耐震補修弁の二次側に消火栓や空気弁等を接続する際に、これらを固着するボルトを締付ける回転力が加わったときには、図8(a)のバルブ本体20が傾いたときでも、係合溝部83に突設部50が当接し、これによって、バルブ本体20が流路46を中心に回転することをストッパ22で確実に阻止可能となる。そのため、ハンドル45の位置ずれを防ぐことができ、また、消火栓の図示しない操作用キャップを回転操作するときにバルブ本体20の供回りを防止して操作性を確保している。
【0109】
耐震補修弁を地下に埋設された水道管に接続した際、この耐震補修弁の二次側の消火栓や空気弁が地震等により弁室の壁面に衝突してその反力を受けた場合にも、ストッパ22の適切な装着状態を維持でき、バルブ本体20の短管21に対する回転を防止し、消火栓の開閉等の操作性を維持できる。
【0110】
ストッパ22は、バルブ本体20と押輪23、短管21を分解することなくこれらを組み付けた状態でワンタッチで着脱できる。この場合、係止部80、係合溝部83に対して、それぞれボルト頭部71、突設部50の位置並びに高さをそれぞれ合わせつつ、バルブ本体20の側方より弾性に抗して押し込むようにすれば、工具を用いることなく片手で簡単に取付けできる。
【0111】
一方、ストッパ22を取り外す場合には、把持部81を介して係止部80を広げる方向に力を加えることで、係止部80のボルト頭部71への引っ掛かりを解除でき、取付け時と同様に、工具を用いることなく容易に取外し可能となる。
ストッパ22を樹脂材料で製作するようにすれば、弾性力を向上して着脱が簡単となり、しかも製作容易で軽量化を図ることもできる。
【0112】
さらに、上記したストッパ22の着脱容易性により、耐震補修弁の接続方向の変更も容易となる。
ここで、例えば、地震の発生後においては、弁室壁面が耐震補修弁の消火栓に衝突し、この消火栓が傾倒して消火栓の口金が室壁と干渉し、消防ホースを適切かつ迅速に取り付けできなくなる場合がある。或は、弁室壁面が耐震補修弁のキャップやハンドル45に干渉し、耐震補修弁の操作が難しくなることもある。
【0113】
これに対して、バルブ本体20をT字管の接続先である短管21に対して回転させ、耐震補修弁の接続方向を変えるようにすれば、前記の問題を解消することができる。すなわち、ストッパ22を取外した状態で、ボデー31を短管21に対して回転させてハンドル45等の向きを変えた状態で接続し、再度ストッパ22を装着するようにすればよい。これにより、消火栓の口金の位置、耐震補修弁用ハンドル45や、キャップの位置を変更することができる。
【0114】
その際、押輪23と短管21との固着用ボルト70を利用してストッパ22を装着可能に設けていることから、このボルト70の間隔によってバルブ本体20を90°毎に回転させた耐震補修弁とすることができる。しかも、ボルト70を六角穴付きボルトとしていることで、押輪23の上に頭部71を高い寸法精度で配置でき、これらボルト70を介して安定した位置にストッパ22を取付けできる。
【0115】
図9においては、耐震補修弁の他の実施形態を示している。なお、この実施形態において、前記実施形態と同一部分は同一符号によってあらわし、その説明を省略する。前記実施形態では、耐震補修弁の一次側に短管21、二次側にバルブ本体20(ボデー31)が配置されているが、この実施形態に示すように、一次側にバルブ本体20(ボデー31)、二次側に短管21が配置された構成に耐震補修弁を設けるようにしてもよい。この場合、耐震補修弁と、この二次側に接続される消火栓や空気弁との間に、短管21を介して伸縮可撓性を発揮させることが可能となり、これらの間に前記実施形態と同様に図示しないストッパを装着することにより、伸縮可撓性を維持しつつ相互の回転を阻止できる。
【0116】
また、図10においては、ストッパの他例を示している。このストッパ90は、一方側に円弧状の係止部80、他方側に筒状部からなる係止部91が設けられ、この筒状部91に図2の押輪23と短管21とを固着するボルト70が挿入可能に設けられる。この構成により、ストッパ90の筒状部91では、押輪23に対して回転可能な状態で取付けられる。
このように、ストッパ90の片側をボルト70止めする場合、前述した両側を引っ掛け型の係止部80とした場合と比較して、装着後のストッパ90の押輪23からの脱落を防止できる。筒状部91側を中心にストッパ90を回転すれば、ストッパ90を取り外すことなくバルブ本体20と短管21との回転規制状態を解除することもできる。
【0117】
以上、本発明の実施の形態について詳述したが、本発明は、前記実施の形態記載に限定されるものではなく、本発明の特許請求の範囲に記載されている発明の精神を逸脱しない範囲で、種々の変更ができるものである。
【符号の説明】
【0118】
20 バルブ本体
21 短管
22、90 ストッパ
23 押輪
24 ゴム輪本体(シール材)
31 ボデー
32 受け口
33 挿し口
50 突設部(被係合部)
70 ボルト
71 ボルト頭部(被係止部)
80 係止部
83 係合溝部(係合部)
84 突起
91 筒状部
X 接続部(受け口側)
Y 接続部(挿し口側)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12