【実施例1】
【0009】
<1>全体構成
図1を参照しながら、本発明に係る配管摩耗監視システムの詳細について説明する。
本発明に係る配管摩耗監視システムは、配管Xの計測地点に適宜取り付ける計測手段Aと、前記計測手段Aからの計測値を用いて配管Xの摩耗を監視する情報処理手段Bと、を少なくとも具備する。
配管Xに対する計測手段Aの設置箇所は特段限定しない。
図1では、摩耗しやすい配管Xの下部にのみ計測手段Aを設ける構成と、配管Xの周方向に間隔を設けて計測手段Aを複数配置する構成とを示している。
以下、各構成要素の詳細について説明する。
【0010】
<2>計測手段
計測手段Aは、配管Xに取り付けて、配管Xの肉厚を計測するための手段である。
図2に、計測手段Aの構成を示す
本実施例では、計測手段Aが、配管に固定可能なケース10と、前記ケース10に収容する超音波探触子20と、超音波探触子20を保持する弾性蓋30と、超音波探触子20の先端の露出長を調整する、調整ボルト40と、を少なくとも有して構成してある。
【0011】
<2.1>ケース
ケース10は、超音波探触子20を収容するための部材である。
ケース10は、配管との接触側を開口した形状を呈している。
本実施例では、アクリル製の板を立体的に組み合わせてなる側部11と底部12によって上方を開口した、略凹状のケース10を構成している。
【0012】
<2.1.1>側部
側部11の上縁には、配管に取り付けるための固定具13を設ける。
配管が金属製である場合には、固定具13にマグネットを用いれば、磁力を利用した取付が可能となる。
固定具13は、配管と密に接触するべく、固定具13の接触面を配管の外径に対応させた形状としておいてもよい。
また、本実施例では、一方の側部11に超音波探触子20から延びるケーブルを挿通するための穴を設けているが、本発明において必須の構成ではない。
【0013】
<2.1.2>底部
底部12には、上下に貫通する螺子孔121を設けておく。
この螺子孔121に、後述する調整ボルト40を螺合することで、調整ボルト40の先端を突出自在に構成する。
【0014】
<2.2>超音波探触子
超音波探触子20は、先端から超音波を発信することで、先端に接触している部材の厚さを計測可能な装置である。
超音波探触子20は、従来の配管摩耗の監視作業で使用していた肉厚計測装置のプローブ部分を取り出して使用することができる。
超音波探触子20は、前記ケース10の内部にて、その先端をケース10の上方から露出する位置へと留め置かれる。
【0015】
<2.3>弾性蓋
弾性蓋30は、超音波探触子20の位置を保持するための部材である。
弾性蓋30は、前記ケース10の上方にある開口を平面視して閉塞可能な大きさを呈している。
そして、弾性蓋30には上下に貫通する挿入孔31を設けてあり、この挿入孔31に前記超音波探触子20を差し込んで、該超音波探触子20の先端を弾性蓋30の外表面から露出させる。
弾性蓋30には、ゴムやシリコンなどを用いることができる。
【0016】
<2.3.1>弾性蓋と超音波探触子との関係
本発明では、挿入孔31に圧入した超音波探触子20を、弾性蓋30の復元力で支えることでもって、計測手段Aに対する超音波探触子20の平面位置を規定する。
図3に、挿入孔と超音波探触子の形状例を示す。
図3(a)では、超音波探触子20は、先細形状を呈しており、先端径をd11,後端径をd12で構成している。そして挿入孔の径は、一律d13で構成している。このとき、少なくともd11≦d13<d12の関係が成り立てば良い。
図3(b)では、超音波探触子20は、同径の円柱形状を呈しており、直径をd21で構成している。そして、挿入孔の径は一律d22としている。このとき、少なくともd22<d21の関係が成り立てば良い。
図3(c)では、超音波探触子20は、同径の円柱形状を呈しており、直径をd31で構成している。そして、挿入孔の径は下に向かって先細となるようにテーパを設けており、上側の径をd32,下側の径をd33としている。このとき、少なくともd33<d31≦d32の関係が成り立てば良い。
【0017】
<2.4>調整ボルト
調整ボルト40は、超音波探触子20の先端の露出長を調整するための部材である。
本実施例では、調整ボルト40を前記ケース10の底部12に設けた螺子孔121に下方から螺合可能なボルト部材で構成している。
この調整ボルト40の螺合動作によって、調整ボルト40の先端を上昇させると、ケース10の内部に収容した超音波探触子20は調整ボルト40の先端で押し出される。
この動作によって、弾性蓋30からの超音波探触子20の露出長を調整することができる。
【0018】
<2.4.1>押し出し用プレートの介設
なお、
図2において図示しないが、本発明では、ケース10の底部12の上方に別途独立したプレートを設けておき、このプレートを調整ボルト40と超音波探触子20との間に介在させて調整ボルト40の螺合でもって押し上げ可能とすることで、調整ボルト40の螺合動作に対し間接的に超音波探触子20の露出長を調整するように構成してもよい。
本構成であれば、超音波探触子20と調整ボルト40との位置がずれている場合であっても、介在したプレートでもって超音波探触子20を押し出すことができる。
【0019】
<2.5>取付状態
図4に、計測装置を配管に取付状態の概略断面図を示す。
図4では、磁石で構成した固定具13でもって、金属製の配管Xに計測手段Aを磁力でもって取り付けている。
そして、調整ボルト40の螺合調整を行い、配管Xに超音波探触子20の先端を密着させた状態とすれば、配管Xの肉厚の計測が可能な状態となる。
このとき、配管Xにケース10が接触して固定されている状態において、弾性蓋30の上部と、超音波探触子20との間には、僅かに隙間が生じる場合がある。
そこで、この隙間は、予め超音波の伝搬性を高めるための部材(超音波伝搬向上材)を設けておく空間(保持空間50)とする。
超音波伝搬向上材には、カプラント(接触媒質)や、薄板上のゴム、油、樹脂などがある。
この保持空間50に超音波伝搬向上材を収容しておくことにより、超音波伝搬向上材の漏れや揮発をできるかぎり抑制することができる。
【0020】
<3>情報処理手段
再度、
図1を参照する。
情報処理手段Bは、計測手段Aによる配管Xの肉厚の計測値を集計して配管の摩耗監視に供するための手段である。
また、情報処理手段Bは、計測手段Aの計測作業を制御可能な機能を有し、使用者からの指令による手動計測機能や、定期的に計測作業を実行する自動計測機能を備えておくことが好ましい。
【0021】
<3.1>構成例
情報処理手段Bは、PCやスマートフォンなどの公知の情報処理装置を単体または適宜組み合わせて構成することができる。
本実施例では、情報処理手段Bを、現場の中央管理室に設置してある管理装置B1と、各計測手段Aに接続して、計測手段Aによる計測値を管理装置B1へと送信可能な制御端末B2とで構成している。
以下、各装置の詳細について説明する。
【0022】
<3.2>制御端末
制御端末B2は、超音波探触子20と電気的に接続して、超音波探触子20によって得た計測値を管理装置B1に送信する機能を有する。
制御端末B2は、CPU、メモリ、記憶媒体、超音波探触子20とのインターフェースや、管理装置B1との間で有線通信または無線通信を行うためのインターフェースなどを設けているハードウェアで構成し、これらのハードウェアが所望の機能を発揮するようにソフトウェアでもって制御する。
制御端末1台に対する計測手段の数は限定しない。
図1では、制御端末1台に単数の計測手段が接続されている構成と、制御端末1台に対して複数の計測手段が接続されている構成とを示している。
【0023】
<3.3>管理装置
管理装置B1は、制御端末B2から受信した計測値を用いて配管の摩耗監視を行うための機能を有する。
管理装置B1は、いわゆるPCなどの情報処理装置を用いており、CPU、メモリ、記憶媒体、制御端末B2との有線通信または無線通信のためのインターフェースなどを設けているハードウェアで構成し、これらのハードウェアが所望の機能を発揮するようにソフトウェアでもって制御する。
【0024】
その他、管理装置には、配管の摩耗に伴って、配管を回転させた情報の履歴を記録・閲覧できる機能を設けておいても良い。
配管が摩耗した場合には、配管を90°軸方向に回転させて、配管の摩耗の多い部位を、摩耗が少ない場所に入れ換えることで、配管の交換をせずに耐用期間を延長する場合がある。この場合に、配管の回転履歴が確認できると、作業員は、配管の回転によって継続して利用し続けることが可能かどうかの判断や、配管の回転方向を把握することができるため、作業効率性を高めることができる。
【0025】
<3.4>摩耗の監視例
配管の摩耗を監視する方法としては次の例などが考えられる。
【0026】
<3.4.1>計測値としきい値との比較
管理装置B1で、配管の交換が必要と判断するしきい値を設定しておき、計測手段Aから取得した計測値が、しきい値未満に達した場合に、管理装置B1の使用者に対し該当箇所の通知を行う。
【0027】
なお、このしきい値は、交換の緊急度の異なる複数のしきい値(警告値、異常値)を設定して、通知態様を変えるように構成してもよい。
たとえば、一刻も早く配管の鋼管を要するような緊急度の高い程度にまで肉厚が減少している場合には、管理装置B1から自動で配管の運転を強制的に停止するように構成してもよい。
【0028】
図5に、配管の長手方向に向かって監視状態を視覚的に表示した画面イメージを示す。
上段に配置した全体表示の欄では、配管を二行構成で表示しており、一行目では計測地点での監視状態を示し、二行目では計測地点の管形状(直管または曲管)を示している。
また、下段には、上段の全体表示の一部を拡大表示した欄を設けている。
このように、監視状態に応じた色分け表示を行うことで、作業員による監視作業の利便性を高めることができる。
【0029】
<3.4.2>摩耗量予測による交換時期の通知
管理装置B1で、配管の交換が必要と判断するしきい値を設定しておく。
所定間隔毎に、計測手段Aから取得した計測値を蓄積しておき、蓄積した計測値から経時的な摩耗量を計算する。
そして、この摩耗量から、配管の交換が必要と判断するしきい値に達する時期を予測し、管理装置B1の使用者に対し該当箇所と交換時期の通知を行う。
図6に、配管の肉厚の実測値から予測値を表示した画面イメージを示す。
左欄には、計測済みの1日毎の実測値と、将来的な摩耗量の予測値とが描画されたグラフが設けてある。
このグラフには、配管の摩耗によって警告や異常を通知するためのしきい値も描画されている。
このように将来の摩耗量の予測に伴い、交換時期の目安を視覚的に表示することで、作業員による監視作業の利便性を高めることができる。
【0030】
<4>まとめ
このように、本発明に係る配管摩耗監視システムによれば、従来手作業で定期的に行っていた配管の肉厚計測作業を自動化することで作業車の監視負担を大きく低減することができる。
また、本発明に係る計測手段Aによれば、配管の所定位置に超音波探触子20を正しい位置にセットし続けておくことができるため、より精度の高い監視作業が可能となる。