特許第6963983号(P6963983)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6963983
(24)【登録日】2021年10月20日
(45)【発行日】2021年11月10日
(54)【発明の名称】硬貨包装装置
(51)【国際特許分類】
   G07D 9/00 20060101AFI20211028BHJP
   G07D 1/00 20060101ALI20211028BHJP
【FI】
   G07D9/00 A
   G07D1/00 401
【請求項の数】9
【全頁数】30
(21)【出願番号】特願2017-235614(P2017-235614)
(22)【出願日】2017年12月7日
(65)【公開番号】特開2019-102003(P2019-102003A)
(43)【公開日】2019年6月24日
【審査請求日】2020年10月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001432
【氏名又は名称】グローリー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111383
【弁理士】
【氏名又は名称】芝野 正雅
(74)【代理人】
【識別番号】100170922
【弁理士】
【氏名又は名称】大橋 誠
(72)【発明者】
【氏名】山野 哲哉
(72)【発明者】
【氏名】中尾 幸司
(72)【発明者】
【氏名】小野 公嗣
(72)【発明者】
【氏名】和田 憲志
(72)【発明者】
【氏名】北村 洋輔
【審査官】 永安 真
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−65666(JP,A)
【文献】 特開2017−142682(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07D 1/00
G07D 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
重ねられた複数枚の硬貨を包装材で包装して包装硬貨を生成する包装部と、
包装硬貨が投出される複数の投出部と、
包装硬貨を搬送する搬送部と、
前記包装部および前記搬送部を制御して、前記包装部により包装硬貨を生成し、生成された包装硬貨を前記搬送部により搬送して前記投出部へ投出する硬貨包装運転を行う制御部と、を備え、
前記制御部は、前記硬貨包装運転中に、現在、包装硬貨の投出が行われている前記投出部の次の投出先となる前記投出部が決定されるユーザ操作を受け付ける、
ことを特徴とする硬貨包装装置。
【請求項2】
前記複数の投出部は、第1の投出部および第2の投出部を含み、
前記制御部は、
前記第1の投出部に、予め定められた上限本数の包装硬貨が投出されると、続いて、包装硬貨が取り出された後の前記第1の投出部に再び包装硬貨が投出される第1のモードと、前記第1の投出部に前記上限本数の包装硬貨が投出されると、続いて、前記第2の投出部に包装硬貨が投出される第2のモードの前記硬貨包装運転を行うことができ、
前記硬貨包装運転中に、前記第1のモードを前記第2のモードに切り替える第1の切替操作と前記第2のモードを前記第1のモードに切り替える第2の切替操作とを、前記ユーザ操作として受け付ける、
ことを特徴とする請求項1に記載の硬貨包装装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記硬貨包装運転が行われていないときに、モード設定操作に基づいて前記第1のモードまたは前記第2のモードへの設定を行い、設定されたモードで前記硬貨包装運転を開始させ、
前記硬貨包装運転中に前記第1の切替操作または前記第2の切替操作によるモード切替が行われても、新たな前記硬貨包装運転を行う際には、当該硬貨包装運転を前記設定されたモードで開始させる、
ことを特徴とする請求項2に記載の硬貨包装装置。
【請求項4】
前記複数の投出部は、第1の投出部および第2の投出部を含み、
前記制御部は、
前記硬貨包装運転が開始されると、前記第1の投出部に包装硬貨を投出させ、
前記第1の投出部の次の投出先を、前記第1の投出部とするか前記第2の投出部とするかの選択を行う選択操作を、前記ユーザ操作として受け付け、
前記第1の投出部を選択する前記選択操作を受け付けた場合は、前記第1の投出部に予め定められた上限本数の包装硬貨を投出させた後、続いて、包装硬貨が取り出された後の前記第1の投出部に包装硬貨を投出させ、
前記第2の投出部を選択する前記選択操作を受け付けた場合は、前記第1の投出部に前記上限本数の包装硬貨を投出させた後、続いて、前記第2の投出部に包装硬貨を投出させる、
ことを特徴とする請求項1に記載の硬貨包装装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記選択操作が可能となってから所定時間が経過するまでに前記選択操作が行われない場合、前記第1の投出部に前記上限本数の包装硬貨を投出させた後、続いて、前記第2の投出部に包装硬貨を投出させる、
ことを特徴とする請求項4に記載の硬貨包装装置。
【請求項6】
前記第1の投出部は、当該投出部への包装硬貨の投出動作中であっても包装硬貨を取り出せる構成とされ、
前記第2の投出部は、当該投出部への包装硬貨の投出動作中は包装硬貨を取り出せない構成とされる、
ことを特徴とする請求項2ないし5の何れか一項に記載の硬貨包装装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記第2の投出部に包装硬貨が投出されている間に前記第1の投出部から包装硬貨が取り出されたことに基づいて、包装硬貨の投出先を前記第2の投出部から前記第1の投出部へ切り替える、
ことを特徴とする請求項6に記載の硬貨包装装置
【請求項8】
前記第1の投出部に投出された包装硬貨の本数をカウントするカウンタを、さらに備え、
前記制御部は、
前記第1の投出部に包装硬貨が投出されている間に前記第1の投出部から包装硬貨が取り出されたか否かを判定し、
前記第1の投出部から包装硬貨が取り出されたと判定した場合に、前記カウンタによる本数のカウントを停止させる、または、前記カウンタがカウントした本数を減らす、
ことを特徴とする請求項6または7に記載の硬貨包装装置。
【請求項9】
表示部をさらに備え、
前記制御部は、現在の投出先である前記投出部を知らせる通知情報を前記表示部に表示させる、
ことを特徴とする請求項1ないし8の何れか一項に記載の硬貨包装装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装硬貨を生成する硬貨包装装置に関する。
【背景技術】
【0002】
集積された所定枚数の硬貨を包装して包装硬貨を生成する硬貨包装機において、生成された包装硬貨の搬送先となる複数の収納箱を備える構成が、たとえば、特許文献1に開示されている。
【0003】
特許文献1の硬貨包装機では、機体の前面に第1の収納箱、第2の収納箱および第3の収納箱が配置される。包装硬貨処理(硬貨包装運転)が開始されると、投入されたバラ状態の硬貨から包装硬貨が生成され、生成された包装硬貨が、最初に、第1の収納箱に搬送されて収納される。第1の収納箱に収納された包装硬貨の本数が所定の収納本数に達すると、包装硬貨の搬送先が、第2の収納箱に切り替えられる。その後、第2の収納箱に収納された包装硬貨の本数が所定の収納本数に達すると、包装硬貨の搬送先が、第3の収納箱に切り替えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−65666号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のように硬貨包装機に複数の収納箱が備えられる場合に、特許文献1に記載のような、複数の収納箱が用いられ、包装硬貨が搬送される収納箱が、順次、切り替えられる第1のモードの硬貨包装運転に加えて、1つの収納箱のみが用いられ、その収納箱に収納された包装硬貨の本数が所定の収納本数に達しても、搬送先が他の収納箱に切り替えられない第2のモードの硬貨包装運転が実行できる構成が採られ得る。第2のモードでは、収納箱に収納された包装硬貨の本数が所定の収納本数に達すると、一旦、包装硬貨の生成が中断され、収納箱から包装硬貨が取り出された後に、包装硬貨の生成が再開される。
【0006】
第1のモードと第2のモードの何れの硬貨包装運転を行うかの設定は、通常、硬貨包装運転が行われていないときに、所定の設定画面上で行われ得る。しかしながら、このような構成とされた場合、一方のモードで硬貨包装運転が行われている途中に、他方のモードでの硬貨包装運転に変更されること望ましい状況となっても、それに対応することが難しい。
【0007】
たとえば、複数の収納箱が、その収納箱への包装硬貨の投出動作が行われている間も収納箱から包装硬貨が取り出せる取出し可能な収納箱と、その収納箱への包装硬貨の投出動作が行われている間は収納箱から包装硬貨が取り出せない取出し不能な収納箱とを含むような場合に、第1のモードとなる、取出し可能な収納箱のみが用いられるモードと、第2のモードとなる、取出し可能な収納箱、取出し不能な収納箱の順番に包装硬貨が収納されるモードとの硬貨包装運転とを行うことが可能な構成が採られ得る。
【0008】
このような構成とされた場合、第2のモードの硬貨包装運転が行われたたとき、包装硬貨の収納先が取出し不可の収納箱に移ると、係員は、その収納箱での収納が完了するまで包装硬貨の取出しが行えない。
【0009】
一方で、第1のモードで硬貨包装運転が行われたたときには、収納の完了を待たずとも取出し可能の収納箱から包装硬貨の取出しが行える。しかしながら、硬貨包装運転の途中に係員が硬貨包装機から離れなくなければならなくなった場合、取出し可能の収納箱内の包装硬貨が満杯となっても取出し不可の収納箱へ投出先が移らないため、包装硬貨の生成が継続できなくなってしまう。
【0010】
したがって、上記のような構成の硬貨包装機は、必ずしも使い勝手も良いものとは言いづらい。
【0011】
かかる課題に鑑み、本発明は、使い勝手の良い硬貨包装装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の主たる態様に係る硬貨包装装置は、重ねられた複数枚の硬貨を包装材で包装して包装硬貨を生成する包装部と、包装硬貨が投出される複数の投出部と、包装硬貨を搬送する搬送部と、前記包装部および前記搬送部を制御して、前記包装部により包装硬貨を生成し、生成された包装硬貨を前記搬送部により搬送して前記投出部へ投出する硬貨包装運転を行う制御部と、を備える。ここで、前記制御部は、前記硬貨包装運転中に、現在、包装硬貨の投出が行われている前記投出部の次の投出先となる前記投出部が決定されるユーザ操作を受け付ける。
【0013】
上記の構成によれば、係員(ユーザ)は、硬貨包装運転が開始された後の状況の変化に応じて、より望ましい投出部を次の投出先に決めることができる。よって、硬貨包装装置の使い勝手が良くなる。
【0014】
本態様に係る硬貨包装装置において、前記複数の投出部は、第1の投出部および第2の投出部を含み得る。この場合、前記制御部は、前記第1の投出部に、予め定められた上限本数の包装硬貨が投出されると、続いて、包装硬貨が取り出された後の前記第1の投出部に再び包装硬貨が投出される第1のモードと、前記第1の投出部に前記上限本数の包装硬貨が投出されると、続いて、前記第2の投出部に包装硬貨が投出される第2のモードの前記硬貨包装運転を行うことができるような構成とされる。そして、前記制御部は、前記硬貨包装運転中に、前記第1のモードを前記第2のモードに切り替える第1の切替操作と前記第2のモードを前記第1のモードに切り替える第2の切替操作とを、前記ユーザ操作として受け付ける。
【0015】
上記の構成によれば、第1のモードおよび第2のモードのうち、一方のモードでの硬貨包装運転が開始された後、その運転中に、他方のモードへのモード切替を行うことができるので、係員は、硬貨包装運転が開始された後の状況の変化に応じてモードの変更を行い、より望ましい投出部を次の投出先に決めることができる。
【0016】
なお、前記第1の投出部は、当該投出部への包装硬貨の投出動作中であっても包装硬貨を取り出せる構成とすることができ、前記第2の投出部は、当該投出部への包装硬貨の投出動作中は包装硬貨を取り出せない構成することができる。
【0017】
このような構成とされた場合、係員が硬貨包装装置の傍にいて、包装硬貨が第1の投出部に投出される都度、包装硬貨の取出しが行えるような場合には、第1のモードにて硬貨包装運転を行うことで、生成された包装硬貨を効率的に取り出せる。そして、第1のモードでの硬貨包装運転中に、係員が硬貨包装装置から離れなければならなくなった場合には、係員が第1の切替操作を行って第1のモードから第2のモードに切り替えることで、第1の投出部に包装硬貨が収納できなくなったときにも第2の投出部を投出先として包装硬貨の生成を継続することができる。
【0018】
上記の構成とされた場合、さらに、前記制御部は、前記硬貨包装運転が行われていないときに、モード設定操作に基づいて前記第1のモードまたは前記第2のモードへの設定を行い、設定されたモードで前記硬貨包装運転を開始させ、前記硬貨包装運転中に前記第1の切替操作または前記第2の切替操作によるモード切替が行われても、新たな前記硬貨包装運転を行う際には、当該硬貨包装運転を前記設定されたモードで開始させるような構成とされ得る。
【0019】
このような構成とされた場合、係員は、硬貨包装運転中にモードが変更された場合に、元のモードに戻すためにモード設定操作を行わなくてよい。
【0020】
本態様に係る硬貨包装装置において、前記複数の投出部は、第1の投出部および第2の投出部を含み得る。この場合、前記制御部は、前記硬貨包装運転が開始されると、前記第1の投出部に包装硬貨を投出させ、前記第1の投出部の次の投出先を、前記第1の投出部とするか前記第2の投出部とするかの選択を行う選択操作を、前記ユーザ操作として受け付ける。そして、制御部は、前記第1の投出部を選択する前記選択操作を受け付けた場合は、前記第1の投出部に予め定められた上限本数の包装硬貨を投出させた後、続いて、包装硬貨が取り出された後の前記第1の投出部に包装硬貨を投出させ、前記第2の投出部を選択する前記選択操作を受け付けた場合は、前記第1の投出部に前記上限本数の包装硬貨を投出させた後、続いて、前記第2の投出部に包装硬貨を投出させる。
【0021】
上記の構成によれば、第1の投出部を包装硬貨の投出先として硬貨包装運転が開始された後、その運転中に、次の投出先を、引き続いて第1の投出部とするのか、第2の投出部に切り替えるのかを選択することができるので、係員は、硬貨包装運転が開始された後の状況の変化に応じて、より望ましい投出部を次の投出先に決めることができる。
【0022】
なお、前記第1の投出部は、当該投出部への包装硬貨の投出動作中であっても包装硬貨を取り出せる構成とすることができ、前記第2の投出部は、当該投出部への包装硬貨の投出動作中は包装硬貨を取り出せない構成することができる。
【0023】
このような構成とされた場合、係員が硬貨包装装置の傍にいて、包装硬貨が第1の投出部に投出される都度、包装硬貨の取出しが行えるような場合には、引き続いて第1の投出部を投出先とすることで、生成された包装硬貨を効率的に取り出せる。一方で、係員が硬貨包装装置を離れてしまうような場合には、第2の投出部を投出先とすることで、包装硬貨の勝手な取出しができなくなり、他の係員等により、取り出された包装硬貨が誤って処理されてしまうことを防止できる。
【0024】
上記の構成とされた場合、さらに、前記制御部は、前記選択操作が可能となってから所定時間が経過するまでに前記選択操作が行われない場合、前記第1の投出部に前記上限本数の包装硬貨を投出させた後、続いて、前記第2の投出部に包装硬貨を投出させるような構成とされ得る。
【0025】
このような構成とされた場合、選択操作が可能なときに、係員が硬貨包装装置の傍にいなくても、投出先を引き継いで、包装硬貨の生成を中断させることなく、第2の投出部に包装硬貨を投出させることができる。
【0026】
本態様に係る硬貨包装装置において、前記制御部は、前記第2の投出部に包装硬貨が投出されている間に前記第1の投出部から包装硬貨が取り出されたことに基づいて、包装硬貨の投出先を前記第2の投出部から前記第1の投出部へ切り替えるような構成とされ得る。
【0027】
上記の構成によれば、第2の投出部へ包装硬貨が投出されている間に、第1の投出部から包装硬貨が取り出されると、包装硬貨の投出先が第2の投出部から直ちに第1の投出部へと移るので、係員は、包装硬貨の生成を中断させることなく、第2の投出部から包装硬貨を取り出すことが可能となる。
【0028】
本態様に係る硬貨包装装置において、前記第1の投出部に投出された包装硬貨の本数をカウントするカウンタを、さらに備える構成が採られ得る。この場合、前記制御部は、前記第1の投出部に包装硬貨が投出されている間に前記第1の投出部から包装硬貨が取り出されたか否かを判定し、前記第1の投出部から包装硬貨が取り出されたと判定した場合に、前記カウンタによる本数のカウントを停止させる、または、前記カウンタがカウントした本数を減らす。
【0029】
上記の構成によれば、包装硬貨が第1の投出部へ投出された都度、取り出されるような作業が行われた場合に、上限本数以上の包装硬貨を第1の投出部へ投出させることができるので、係員は、第1の投出部からの包装硬貨Wの取出しを行いながら、包装硬貨の生成を中断させることなく、全ての包装硬貨の生成を行うことができる。
【0030】
本態様に係る硬貨包装装置において、表示部をさらに備える構成が採られ得る。この場合、前記制御部は、現在の投出先である前記投出部を知らせる通知情報を前記表示部に表示させる。
【0031】
上記の構成によれば、係員は、現在の投出先が第1の投出部であるのか第2の投出部であるのかを容易に把握できる。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、使い勝手の良い硬貨包装装置を提供することができる。
【0033】
本発明の効果ないし意義は、以下に示す実施形態の説明により更に明らかとなろう。ただし、以下に示す実施形態は、あくまでも、本発明を実施化する際の一つの例示であって、本発明は、以下の実施形態に記載されたものに何ら制限されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1図1(a)は、実施形態に係る、硬貨包装機の斜視図であり、図1(b)は、実施形態に係る、固定収納箱の斜視図であり、図1(c)は、実施形態に係る、固定収納箱を作業台上で傾けた状態を示す図である。
図2図2(a)は、実施形態に係る、正面から見た、硬貨包装機の内部の概略図であり、図2(b)は、実施形態に係る、リフト部の正面図である。
図3図3(a)ないし(c)は、実施形態に係る、包装硬貨が固定収納箱または引出収納箱に搬送されるときのリフト部の動作について説明するための図である。
図4図4は、実施形態に係る、硬貨包装機の構成を示すブロック図である。
図5図5は、実施形態に係る、モードのデフォルト設定について説明するための図である。
図6図6は、実施形態に係る、硬貨包装運転処理の制御動作を示すフローチャートである。
図7図7は、実施形態に係る、硬貨包装運転処理の制御動作を示すフローチャートである。
図8図8(a)は、実施形態に係る、硬貨包装運転処理に含まれる画面表示処理の制御動作を示すフローチャートであり、図8(b)は、実施形態に係る、モード切替受付処理の制御動作を示すフローチャートである。
図9図9(a)および(b)は、実施形態に係る、運転情報画面の一例を示す図である。
図10図10(a)および(b)は、それぞれ、実施形態に係る、第1取出画面および第2取出画面の一例を示す図である。
図11図11は、変更例1に係る、硬貨包装運転処理の制御動作を示すフローチャートである。
図12図12は、変更例1に係る、硬貨包装運転処理の制御動作を示すフローチャートである。
図13図13(a)は、変更例1に係る、運転情報画面の一例を示す図であり、図13(b)は、変更例1に係る、投出先選択画面の一例を示す図である。
図14図14は、変更例2に係る、硬貨包装運転処理の制御動作を示すフローチャートである。
図15図15は、変更例3に係る、固定収納箱および硬貨検出センサの構成を示す図である。
図16図16は、変更例3に係る、硬貨包装運転処理の制御動作を示すフローチャートである。
図17図17は、変更例4に係る、硬貨包装機の構成を示すブロック図である。
図18図18は、変更例4に係る、右箱モードの硬貨包装運転処理の制御動作を示すフローチャートである。
図19図19は、変更例4に係る、右箱モードの硬貨包装運転処理の制御動作を示すフローチャートである。
図20図20は、変更例4に係る、引出可能タイミング報知処理の制御動作を示すフローチャートである。
図21図21は、変更例4に係る、第3取出画面の一例を示す図である。
図22図22(a)ないし(c)は、変更例5に係る、硬貨包装機について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、本発明の硬貨包装装置の一実施形態である硬貨包装機1について、図面を参照して説明する。
【0036】
以下の実施形態において、硬貨包装機1が、特許請求の範囲に記載の「貨幣包装装置」に対応する。また、操作表示部15が、特許請求の範囲に記載の「表示部」に対応する。さらに、固定収納箱17が、特許請求の範囲に記載の「投出部」および「第1の投出部」に対応する。さらに、引出収納箱18が、特許請求の範囲に記載の「投出部」および「第2の投出部」に対応する。さらに、リフト部20が、特許請求の範囲に記載の「搬送部」に対応する。
【0037】
ただし、上記記載は、あくまで、特許請求の範囲の構成と実施形態の構成とを対応付けることを目的とするものであって、上記対応付けによって特許請求の範囲に記載の発明が実施形態の構成に何ら限定されるものではない。この点は、変更例においても同様である。
【0038】
図1(a)は、本実施形態に係る、硬貨包装機1の斜視図であり、図1(b)は、本実施形態に係る、固定収納箱17の斜視図であり、図1(c)は、本実施形態に係る、固定収納箱17を作業台上で傾けた状態を示す図である。
【0039】
硬貨包装機1は、装置本体11を備える。装置本体11は、その上部に樹脂製の上部材12を有する。上部材12の上面12aには、バラ状態の硬貨であるバラ硬貨が投入されるホッパー13が設けられる。ホッパー13は、回転円盤を含み、回転円盤の回転によりバラ硬貨を撹拌しながら、1枚ずつバラ硬貨を繰り出す。ホッパー13は、前後に折り畳み可能な上蓋14によって開閉される。ホッパー13にバラ硬貨が投入される際、上蓋14が開放される。
【0040】
上部材12の上面12aには、ホッパー13の前方に操作表示部15が設けられる。操作表示部15は、たとえば、ディスプレイと、ディスプレイに重ねられたタッチセンサとからなるタッチパネルにより構成される。また、上部材12の上面12aには、操作表示部15の側方にスタート/ストップボタン16aとクリアボタン16bとが設けられる。
【0041】
上部材12の上面12aにおける操作表示部15の周囲には、四角い枠部12bが上方に突出するように形成される。枠部12bは、操作表示部15の表示面よりも突出しており、バラ硬貨が収納された金箱MBなど、操作表示部15よりも大きな物品が操作表示部15上に落下するようなことが生じたときに、落下する物品から操作表示部15を保護することができる。
【0042】
上部材12におけるホッパー13の前方は、ホッパー13が設けられた面よりも一段低く凹む凹み面12cとされており、この凹み面12cの前端縁に、当該前端縁に沿って延びる滑り防止リブ12dが突出形成される。図1(a)の破線で示すように、金箱MBに収納されたバラ硬貨がホッパー13に投入される際、凹み面12cを利用して、金箱MBがホッパー13の前方に斜めに置かれ得る。このとき、金箱MBは、滑り防止リブ12dに引っ掛かり、前方へ滑らない。これにより、ホッパー13の前方に、金箱MBを安定して置いておくことができる。
【0043】
装置本体11の前部には、固定収納箱17と、引出収納箱18と、バラ硬貨収納箱19とが設けられる。固定収納箱17は、装置本体11に対して上方に着脱可能である。一方、引出収納箱18およびバラ硬貨収納箱19は、装置本体11に対して前方に着脱可能である。即ち、引出収納箱18およびバラ硬貨収納箱19は、装置本体11内から引き出すことができ、装置本体11内へ戻し入れることができる。
【0044】
図1(b)に示すように、固定収納箱17は、上面が取出口17aとして開口する。取出口17aには、取出口17aに対して出し入れ自在の取っ手17bが設けられる。また、固定収納箱17には、右側面の上端部に、包装硬貨の投出口17cが形成される。さらに、固定収納箱17は、右側面と底面との間の角部が斜めの平坦面17dにカットされた形状を有する。係員は、固定収納箱17を装置本体11から離脱させ、テーブル等の作業台上で固定収納箱17から包装硬貨を取り出すこともできる。この際、係員は、硬貨包装機1から離脱させた固定収納箱17を、取っ手17bを持って容易に作業台まで運ぶことができる。さらに、係員は、図1(c)に示すように、固定収納箱17の平坦面17dを作業台上に載置させるようにして固定収納箱17を傾けることで、包装硬貨を収納することで重量が大きくなった固定収納箱17を容易に傾けることができ、傾けた固定収納箱17から包装硬貨を容易に取り出すことが可能となる。
【0045】
固定収納箱17は、離脱されなくても、外部に開放された取出口17aから包装硬貨の取り出しができる。よって、係員は、固定収納箱17への包装硬貨の投出動作中であっても固定収納箱17から包装硬貨を取り出すことができる。一方、引出収納箱18は、装置本体11内から引き出されないと包装硬貨の取り出しができない。よって、係員は、引出収納箱18への包装硬貨の投出動作中に引出収納箱18から包装硬貨を取り出すことができない。
【0046】
なお、本実施形態では、固定収納箱17の取出口17aが、常時、外部に開放されているが、取出口17aがカバーで覆われる構成が採られてもよい。この場合、固定収納箱17から包装硬貨が取り出されるときにカバーが外される。
【0047】
図2(a)は、本実施形態に係る、正面から見た、硬貨包装機1の内部の概略図であり、図2(b)は、本実施形態に係る、リフト部20の正面図である。
【0048】
図2(a)に示すように、装置本体11内には、左右方向における中央部に、上下方向に延びるリフト部20が配置される。リフト部20の左側上部に固定収納箱17が配置され、リフト部20の右側における固定収納箱17より低い位置に引出収納箱18が配置される。引出収納箱18の下方には、包装部21が配置される。包装部21は、リフト部20の右側下部に配置された一時保留部22とシュータ23を介して繋がる。図2(a)には図示されていないが、さらに、装置本体11内には、バラ硬貨を搬送する硬貨搬送部24と、搬送されたバラ硬貨を集積する集積部25とが設けられる(図4参照)。
【0049】
ホッパー13内に投入された硬貨は、1枚ずつ硬貨搬送部24で搬送されて識別部(図示せず)により金種や真偽の判定と計数とが行われた後、集積部25において所定の包装枚数(たとえば、50枚)ずつ集積されて棒状(円柱状)となる。集積された硬貨は、包装部21において包装フィルム、包装紙等の包装材で包装される。こうして、所定の金種の包装硬貨が生成される。生成された包装硬貨は、シュータ23を通じて一時保留部22へと送られ、一時保留部22で一時的に保留される。一時保留部22には、包装硬貨をリフト部20へと受け渡す位置、即ち、リフト部20が包装硬貨を受け入れる受入位置P1に繰出機構22aが設けられる。包装硬貨は、繰出機構22aにより1本ずつ繰り出されてリフト部20のキャリア部(後述する)に搭載される。包装硬貨は、リフト部20により第1投出位置P2へ搬送され、固定収納箱17に投出されて収納される。また、包装硬貨は、リフト部20により第2投出位置P3へ搬送され、引出収納箱18に投出されて収納される。なお、包装硬貨を生成するのではなく、バラ硬貨を計数した後に保管する場合は、計数後のバラ硬貨が、集積部25および包装部21に送られることなく、バラ硬貨収納箱19に収納される。
【0050】
図2(b)に示すように、リフト部20は、上部プーリ110と、下部プーリ120と、2本のベルト130と、キャリア部140とを含む。
【0051】
上部プーリ110は装置本体11内の上部に配置され、下部プーリ120は装置本体11内の下部に配置される。上部プーリ110および下部プーリ120は、2つのプーリ部111、121と、プーリ部111、121同士を連結する軸部112、122とを含む。上部プーリ110および下部プーリ120には、2つのプーリ部111、121と軸部112、122を貫通する軸孔110a、120aが形成される。上部プーリ110の軸孔110aに上部回転軸150が固定され、下部プーリ120の軸孔120aに下部回転軸160が固定される。
【0052】
2つのベルト130は、無端ベルトであり、上部プーリ110と下部プーリ120とに架け渡される。即ち、一方のベルト130が上部プーリ110の一方のプーリ部111と下部プーリ120の一方のプーリ部121とに架け渡され、他方のベルト130が上部プーリ110の他方のプーリ部111と下部プーリ120の他方のプーリ部121とに架け渡される。なお、図2(b)には、前側のベルト130のみが図示されている。
【0053】
キャリア部140は、キャリア本体部141と、本体支持部142とを備える。キャリア本体部141は、載置部143と、支え部144とを含む。載置部143は、前後方向(2つのベルト130が並ぶ方向)に長いほぼ長方形の板状を有する。載置部143は、その長手方向の寸法が、各金種の包装硬貨の中で最も軸方向の寸法が大きい500円の包装硬貨の軸方向の寸法より大きくされ、その短手方向の寸法が、各金種の包装硬貨の中で最も直径寸法が大きい500円の包装硬貨の直径寸法より大きくされる。支え部144は、ほぼ方形の板状を有し、その長手方向の寸法が、載置部143の長手方向の寸法とほぼ同じくされる。載置部143と支え部144との間は、鋭角な状態とされる。また、載置部143の後方には、L字状の係合部145が、載置部143よりも下方に突出するように設けられる。
【0054】
本体支持部142は、前後のベルト130に固定される2つの固定部146と、2つの固定部146の間に渡された回転軸部147とを含む。キャリア本体部141は、回転軸部147に取り付けられることにより、本体支持部142に回転自在に支持される。回転軸部147には、一端がキャリア本体部141に連結され、他端が本体支持部142に連結される捩じりバネ148が設けられる。キャリア本体部141は、捩じりバネ148の弾性力により基本姿勢に保持される。基本姿勢では、載置部143がベルト130から離れた側が高くなるようにやや傾く。また、図2(b)に破線で示すように、キャリア本体部141は、投出姿勢をとるまで、捩じりバネ148の弾性力に抗して下方に回動することができる。投出姿勢では、載置部143がベルト130から離れた側が低くなるようにやや傾く。
【0055】
上部回転軸150および下部回転軸160のうち、たとえば、下部回転軸160が、駆動モータ20a(図4参照)に繋がる。駆動モータ20aが正転すると、下部回転軸160が、リフト部20を正面から見て左回りに回転し、ベルト130が左回りに周回してキャリア部140が上昇する。駆動モータ20aが逆転すると、下部回転軸160が右回りに回転し、ベルト130が右回りに周回してキャリア部140が下降する。
【0056】
図3(a)ないし(c)は、本実施形態に係る、包装硬貨Wが固定収納箱17または引出収納箱18に搬送されるときのリフト部20の動作について説明するための図である。
【0057】
図3(a)に示すように、一時保留部22から繰り出された包装硬貨Wが、受入位置P1に停止したキャリア部140に載置される。即ち、包装硬貨Wは、載置部143上に載せられ、前側が支え部144により支えられて、これらの間に挟まれた状態となる。ベルト130が回転すると、包装硬貨Wが載置されたキャリア部140が、受入位置P1から上昇する。
【0058】
包装硬貨Wが固定収納箱17に投出される場合、図3(b)のように、キャリア部140は、上部プーリ110を乗り越えるように移動し、上部プーリ110の左側に位置する固定収納箱17側に方向変換して、第1投出位置P2に到達する。支え部144が下方に傾くとともにキャリア部140が移動する勢い押されることによって、包装硬貨Wがキャリア部140から固定収納箱17へ向けて放出される。こうして、包装硬貨Wは、投出口17cを通じて固定収納箱17内へ収納される。
【0059】
包装硬貨Wが引出収納箱18に投出される場合、図3(c)のように、キャリア部140は、引出収納箱18の投出口18aの高さ位置とほぼ同じである第2投出位置P3まで移動する。リフト部20には、引出収納箱18に関連して、係合板170が設けられる。係合板170には、上端部に爪部171が形成される。係合板170は、図示しない駆動部により駆動され、ベルト130から離れた離間位置からベルト130に近づく近接位置へ移動する。係合板170が近接位置へ移動すると、爪部171が、上昇してくるキャリア部140の係合部145と係合する。この状態で、キャリア部140が第2投出位置P3に到達すると、キャリア本体部141が下方へ回動して投出姿勢をとる。載置部143が下方に傾き、包装硬貨Wがキャリア部140から引出収納箱18へ向けて放出される。こうして、包装硬貨Wは、投出口18aを通じて引出収納箱18内へ収納される。
【0060】
図4は、本実施形態に係る、硬貨包装機1の構成を示すブロック図である。
【0061】
硬貨包装機1は、上述した構成の他、ボタン入力部16と、制御部26と、記憶部27と、第1着脱検出センサ28と、第2着脱検出センサ29とを備える。
【0062】
ボタン入力部16は、スタート/ストップボタン16aおよびクリアボタン16bを含み、これらボタン16a、16bが押されたときに、押されたボタン16a、16bに応じた操作信号を制御部26へ出力する。
【0063】
第1着脱検出センサ28は、マイクロスイッチ等を含み、装置本体11に対する固定収納箱17の着脱を検出し、着脱に応じた検出信号を制御部26へ出力する。第2着脱検出センサ29は、マイクロスイッチ等を含み、装置本体11内からの引出収納箱18の引出しおよび装置本体11内への引出収納箱18の戻入れを検出し、引出しおよび戻入れに応じた検出信号を制御部26へ出力する。
【0064】
制御部26は、CPU(Central Processing Unit)等の演算回路を備える。制御部26は、記憶部27に記憶された動作プログラムに従って、操作表示部15、ボタン入力部16、ホッパー13、硬貨搬送部24、集積部25、包装部21、一時保留部22の繰出機構22a、リフト部20の駆動モータ20a、第1着脱検出センサ28、第2着脱検出センサ29等を制御する。
【0065】
制御部26には、第1カウンタ26aおよび第2カウンタ26bが設けられる。第1カウンタ26aは、固定収納箱17に投出された包装硬貨Wの本数をカウントする。第2カウンタ26bは、引出収納箱18に投出された包装硬貨Wの本数をカウントする。固定収納箱17および引出収納箱18には、収納可能な包装硬貨Wの本数として、上限本数が予め定められている。固定収納箱17の上限本数および引出収納箱18の上限本数は、たとえば、共に40本とされ得る。固定収納箱17の上限本数および引出収納箱18の上限本数は、異なった本数であってもよい。
【0066】
記憶部27は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)やハードディスク等の記憶媒体を備え、制御部26の動作プログラムを記憶し、また、制御部26の制御処理の際にワーク領域として利用される。
【0067】
本実施形態の硬貨包装機1では、制御部26による制御の下、左箱モードおよび両箱モードの2つのモードの硬貨包装運転を行うことができる。硬貨包装運転は、包装部21により包装硬貨Wを生成し、生成された包装硬貨Wをリフト部20により搬送して固定収納箱17または引出収納箱18へ投出する運転である。左箱モードでは、固定収納箱17が繰り返し使用され、固定収納箱17に上限本数の包装硬貨Wが投出されると、続いて、包装硬貨Wが取り出された後の固定収納箱17に再び包装硬貨Wが投出される。両箱モードでは、固定収納箱17と引出収納箱18が使用され、固定収納箱17に上限本数の包装硬貨Wが投出されると、続いて、引出収納箱18に包装硬貨Wが投出される。なお、左箱モードおよび両箱モードは、それぞれ、特許請求の範囲に記載の「第1のモード」および「第2のモード」に対応する。
【0068】
硬貨包装運転の開始時のモード(以下、「デフォルトモード」という)を左箱モードおよび両箱モードの何れにするのかを決めるデフォルト設定は、硬貨包装運転が行われていない期間に、運用設定画面S1上でのモード設定操作により行うことができる。
【0069】
図5は、本実施形態に係る、モードのデフォルト設定について説明するための図である。
【0070】
係員による操作に基づいて、制御部26は、操作表示部15に運用設定画面S1を表示させる。図5に示すように、運用設定画面S1には、複数の項目アイコンC1が配置され、その一つにモード設定用の項目アイコンC1aが含まれる。項目アイコンC1は、タッチ操作の対象となる操作アイコンC2を含む。モード設定用の項目アイコンC1には、操作アイコンC2として、左箱モードアイコンC2aと、両箱モードアイコンC2bとが含まれる。運用設定画面S1に最初に表示されるのは、現在、デフォルトモードに設定されているモードの操作アイコンC2は濃く(目立つ明るい色で)表示され、操作ができない状態となる。たとえば、両箱モードがデフォルトモードに設定されている場合には、両箱モードアイコンC2bが左箱モードアイコンC2aよりも濃く表示される(左側の運用設定画面S1)。一方、左箱モードがデフォルトモードに設定されている場合には、左箱モードアイコンC2aが両箱モードアイコンC2bよりも濃く表示される(右側の運用設定画面S1)。係員は、濃く表示された操作アイコンC2を見ることで、現在のデフォルトモードを確認できる。また、運用設定画面S1には、OKボタンB1が配置される。
【0071】
デフォルトモードを両箱モードから左箱モードに変更する場合、係員は、左箱モードアイコンC2aにタッチする。運用設定画面S1上において、左箱モードアイコンC2aと両箱モードアイコンC2bの表示形態が入れ替わり、両箱モードアイコンC2bの表示が薄くなり、左箱モードアイコンCaの表示が濃くなる。この状態で、係員がOKボタンB1にタッチすると、制御部26は、左箱モードをデフォルトモードに設定する。一方、デフォルトモードを左箱モードから両箱モードに変更する場合、係員は、両箱モードアイコンC2bにタッチする。運用設定画面S1上において、左箱モードアイコンC2aの表示が薄くなり、両箱モードアイコンCbの表示が濃くなる。この状態で、係員がOKボタンB1にタッチすると、制御部26は、左箱モードをデフォルトモードに設定する。
【0072】
次に、硬貨包装運転に係る制御動作について説明する。本実施形態では、硬貨包装運転の実行中、係員がモードの切替えを自由に行うことができる。即ち、係員は、現在、包装硬貨Wの投出が行われている収納箱17、18の次の投出先となる収納箱17、18を決めることができる。
【0073】
図6および図7は、本実施形態に係る、硬貨包装運転処理の制御動作を示すフローチャートである。図8(a)は、本実施形態に係る、硬貨包装運転処理に含まれる画面表示処理の制御動作を示すフローチャートであり、図8(b)は、本実施形態に係る、モード切替受付処理の制御動作を示すフローチャートである。図9(a)および(b)は、本実施形態に係る、運転情報画面S2の一例を示す図である。図10(a)および(b)は、それぞれ、本実施形態に係る、第1取出画面S3および第2取出画面S4の一例を示す図である。
【0074】
図6および図7を参照して、制御部26は、スタート/ストップボタン16aの押下による開始操作がなされたか否かを監視する(S101)。係員は、ホッパー13内にバラ硬貨を投入した後、スタート/ストップボタン16aを押す。開始操作がなされると(S101:YES)、制御部26は、画面表示処理を行う(S102)。
【0075】
図8(a)を参照して、制御部26は、操作表示部15に運転情報画面S2を表示させる(S11)。図9(a)および(b)に示すように、運転情報画面S2には、運転情報として、ホッパー13から繰り出されたバラ硬貨の枚数、生成された包装硬貨Wの本数および合計金額が表示される。バラ硬貨の枚数、包装硬貨Wの本数および合計金額は、最初は0であり、リアルタイムに更新される。
【0076】
このとき、制御部26は、現在のモードが左箱モードおよび両箱モードの何れであるかを判定する(S12)。そして、現在のモードが左箱モードであれば(S12:左箱)、制御部26は、図9(a)のように、運転情報画面S2に左箱用の切替ボタンB2と両箱用の切替ボタンB3とを配置させた後、両箱用の切替ボタンB3の操作のみを受け付け可能にする(S13)。このとき、左箱用の切替ボタンB2は、濃く(目立つ明るい色で)表示され、操作ができない。一方、現在のモードが両箱モードであれば(S12:両箱)、制御部26は、図9(b)のように、運転情報画面S2に双方の切替ボタンB2、B3を配置させた後、左箱用の切替ボタンB2の操作のみを受け付け可能にする(S14)。このとき、両箱用の切替ボタンB3は、濃く(目立つ明るい色で)表示され、操作ができない。係員は、濃く表示された切替ボタンB2、B3を見ることで、現在のモードを把握できる。濃く表示された切替ボタンB2、B3が、特許請求の範囲に記載の「通知情報」となる。なお、運転情報画面S2に、現在のモードを示す切替ボタンB2、B3のみが表示されたり、操作が可能な切替ボタンB2、B3のみが表示されたりする構成とされてもよい。現在のモードを示す切替ボタンB2、B3のみが表示された場合は、当該ボタンを押下すると他方の切替ボタンB2、B3が表示されることで、他方のモードへの切り替えが可能となる。
【0077】
運転情報画面S2が表示されると、制御部26は、硬貨包装運転処理と並行して、モード切替受付処理を実行する。図8(b)を参照して、制御部26は、運転情報画面S2上の切替ボタンB2、B3がタッチされたか否かを監視する(S201)。切替ボタンB2、B3がタッチされると(S201:YES)、制御部26は、モード切替を行う(S202)。即ち、制御部26は、現在のモードが左箱モードであれば、両箱モードに切り替え、現在のモードが両箱モードであれば、左箱モードに切り替える。次に、制御部26は、運転情報画面S2上の切替ボタンB2、B3の表示を変更する(S203)。即ち、制御部26は、2つの切替えボタンB2、B3の表示態様を入れ替える。両箱モードに切り替えられた場合、制御部26は、運転情報画面S2において、両箱用の切替ボタンB3を濃く表示させるとともに左箱用の切替ボタンB2を薄く表示させ、左箱用の切替ボタンB2の操作を受け付け可能とする。一方、左箱モードに切り替えられた場合、制御部26は、運転情報画面S2において、左箱用の切替ボタンB2を濃く表示させるとともに両箱用の切替ボタンB3を薄く表示させ、両箱用の切替ボタンB3を受け付け可能とする。制御部26は、運転情報画面S2が表示されている間(S204:NO)、S201〜S203の処理を繰り返す。運転情報画面S2が閉じられると(S204:YES)、制御部26は、モード切替受付処理を終了する。なお、両箱用の切替ボタンB3による切替操作が、特許請求の範囲に記載の「第1の切替操作」に対応し、左箱用の切替ボタンB2による切替操作が、特許請求の範囲に記載の「第2の切替操作」に対応する。
【0078】
図6および図7に戻り、画面表示処理により運転情報画面S2が表示されると、制御部26は、ホッパー13からバラ硬貨を繰り出させて、集積部25に包装枚数のバラ硬貨を集積させる(S103)。バラ硬貨を包装枚数だけ集積させることができれば、包装可能である(S104:YES)。この場合、制御部26は、包装部21により包装硬貨Wを生成し(S105)、生成された包装硬貨Wをリフト部20により固定収納箱17へ搬送する(S106)。制御部26は、第1カウンタ26aをインクリメントし(S107)、第1カウンタ26aの値、即ち、固定収納箱17内の包装硬貨Wの本数が上限本数に達したか否かを判定する(S108)。固定収納箱17内の包装硬貨Wの本数が上限本数に達していなければ(S108:NO)、制御部26は、S103の処理に戻る。こうして、固定収納箱17内に上限本数の包装硬貨Wが投出されるまでS103〜S107の処理が繰り返され、次々に包装硬貨Wが生成されて固定収納箱17へ投出される。なお、S107の処理は、生成された包装硬貨Wの搬送を開始させるタイミングで行われるので、実際には、生成された包装硬貨Wが固定収納箱17へ投出される前に次の包装硬貨Wの生成(バラ硬貨の集積)が開始されることになる。
【0079】
固定収納箱17へ包装硬貨Wが投出されている間、係員は、投出された包装硬貨Wを、取出口17aを通じて固定収納箱17から取り出すことができる。ただし、包装硬貨Wが取り出されたことは検出されないため、取出しに応じて第1カウンタ26aのカウンタ値(本数)が変更されることはない。
【0080】
固定収納箱17内に上限本数の包装硬貨Wが投出されると(S108:YES)、制御部26は、現在のモードを確認する(S109)。
【0081】
デフォルトモードが左箱モードであり、運転開始からこれまで間に、モード切替の操作(両箱用の切替ボタンB3のタッチ)がなされなかった場合、あるいは、デフォルトモードが両箱モードであり、運転開始からこれまで間に、モード切替の操作(左箱用の切替ボタンB2のタッチ)がなされた場合、現在のモードが左箱モードとなる。
【0082】
現在のモードが左箱モードである場合(S109:左箱)、制御部26は、包装硬貨Wの生成を一旦中断し、操作表示部15に第1取出画面S3を表示させる(S110)。図10(a)に示すように、第1取出画面S3は、係員に、固定収納箱17からの包装硬貨Wの取出しを促す画面である。次に、制御部26は、第1カウンタ26aをリセットし(S111)、開始操作を待つ(S112)。
【0083】
係員は、固定収納箱17から包装硬貨Wを全て取り出した後に、スタート/ストップボタン16aを押す。なお、係員が、固定収納箱17へ包装硬貨Wが投出される都度、包装硬貨Wの取出しを行っている場合は、素早く、全ての包装硬貨Wの取出しが行われることになり、係員により、素早くスタート/ストップボタン16aが押される。
【0084】
開始操作がなされると(S112:YES)、制御部26は、画面表示処理を行って切替ボタンB2、B3が含まれる運転情報画面S2を再び操作表示部15に表示させた後(S113)、S103の処理に戻り、再びS103〜S106の処理を行う。包装硬貨Wの生成が再開され、生成された包装硬貨Wが固定収納箱17に投出される。
【0085】
ホッパー13に投入されたバラ硬貨が残り少なくなり、最後まで繰り出されたバラ硬貨により包装枚数の集積が行えなくなると、S104で包装可能でないと判定される(S104:NO)。こうなると、制御部26は、包装硬貨Wの生成を終了し、第1取出画面S3を操作表示部15に表示させる(S114)。そして、制御部26は、第1カウンタ26aをリセットして(S115)、クリアボタン16bの押下による終了操作を待つ(S116)。
【0086】
係員は、固定収納箱17から全ての包装硬貨Wを取り出すと、クリアボタン16bを押す。終了操作がなされると(S116:YES)、制御部26は、集積部25に残るバラ硬貨を、機外(バラ硬貨収納箱19)に排出させて係員に返却する(S117)。その後、制御部26は、操作表示部15の第1取出画面S3を閉じ(S118)、硬貨包装運転中にデフォルトモードからのモード変更があればデフォルトモードに戻す(S119)。こうして、硬貨包装運転が終了する。
【0087】
さて、デフォルトモードが両箱モードであり、硬貨包装運転の開始からこれまで間に、モード切替の操作(左箱用の切替ボタンB2のタッチ)がなされなかった場合、あるいは、デフォルトモードが左箱モードであり、運転開始からこれまで間に、モード切替の操作(両箱用の切替ボタンB3のタッチ)がなされた場合には、固定収納箱17内に上限本数の包装硬貨Wが投出された後、S109で現在のモードが確認された際、現在のモードが両箱モードとなる。
【0088】
S109で現在のモードが両箱モードであると判定された場合(S109:両箱)、制御部26は、継続してバラ硬貨の集積および包装硬貨Wの生成を行う(S120→S121:YES→S122)。そして、制御部26は、生成された包装硬貨Wをリフト部20により引出収納箱18へ搬送し(S123)、第2カウンタ26bをインクリメントする(S124)。第2カウンタ26bのカウント値、即ち、引出収納箱18内の包装硬貨Wの本数が上限本数となるまで、S120〜S124の処理が繰り返され、生成された包装硬貨Wが引出収納箱18へ投出される。
【0089】
引出収納箱18内の包装硬貨Wの本数が上限本数に達すると(S125:YES)、制御部26は、包装硬貨Wの生成を一旦中断し、操作表示部15に第2取出画面S4を表示させる(S126)。図10(b)に示すように、第2取出画面S4は、係員に、固定収納箱17および引出収納箱18の包装硬貨Wの取出しを促す画面である。次に、制御部26は、第1カウンタ26aおよび第2カウンタ26bをリセットし(S127)、S112に戻って開始操作を待つ。
【0090】
係員は、固定収納箱17および引出収納箱18から包装硬貨Wを全て取り出した後に、スタート/ストップボタン16aを押す。これにより、再び、投出先を固定収納箱17とする包装硬貨Wの生成が開始される。
【0091】
固定収納箱17内の包装硬貨Wの本数が上限本数に達するまでの間、制御部26は、モード切替の操作(左箱用の切替ボタンB2のタッチ)がなされることにより左箱モードに変更されたか否かを監視する(S128)。左箱モードに変更された場合(S128:YES)、制御部26は、包装硬貨Wの投出先を固定収納箱17に替えなければならないので、引出収納箱18内の包装硬貨Wの本数が上限本数に達した場合と同様、包装硬貨Wの生成を一旦中断し、操作表示部15に第2取出画面S4を表示させる(S126)。
【0092】
包装硬貨Wが引出収納箱18に投出されている間に、ホッパー13に投入されたバラ硬貨が残り少なくなり、最後まで繰り出されたバラ硬貨により包装枚数の集積が行えなくなると、S121で包装可能でないと判定される(S121:NO)。こうなると、制御部26は、包装硬貨Wの生成を終了し、第2取出画面S4を操作表示部15に表示させる(S129)。そして、制御部26は、第1カウンタ26aおよび第2カウンタ26bをリセットして(S130)、終了操作を待つ(S131)。
【0093】
係員は、固定収納箱17および引出収納箱18から全ての包装硬貨Wを取り出すと、クリアボタン16bを押す。終了操作がなされると(S131:YES)、制御部26は、集積部25に残るバラ硬貨を、機外(バラ硬貨収納箱19)に排出させて係員に返却する(S132)。その後、制御部26は、操作表示部15の第2取出画面S4を閉じ(S133)、硬貨包装運転中にデフォルトモードからのモード変更があればデフォルトモードに戻す(S134)。こうして、硬貨包装運転が終了する。
【0094】
<実施形態の効果>
本実施形態によれば、固定収納箱17に繰り返して包装硬貨Wが投出される左箱モードと、固定収納箱17と引出収納箱18とに順次、包装硬貨Wが投出される両箱モードとを備え、一方のモードでの硬貨包装運転が開始された後、その運転中に、他方のモードへのモード切替を行うことができる。
【0095】
よって、係員は、硬貨包装運転が開始された後の状況の変化に応じてモードの変更を行い、より望ましい収納箱を次の投出先に決めることができる。
【0096】
特に、固定収納箱17は、包装硬貨Wの投出動作中であっても包装硬貨Wを取り出すことができる構成であり、引出収納箱18は、包装硬貨Wの投出動作中に包装硬貨Wを取り出すことができない構成である。このため、係員が硬貨包装機1の傍にいて、包装硬貨Wが固定収納箱17に投出される都度、包装硬貨Wの取出しが行えるような場合には、左箱モードにて硬貨包装運転を行うことで、生成された包装硬貨Wを効率的に取り出せる。そして、左箱モードでの硬貨包装運転中に、係員が硬貨包装機1から離れなければならなくなった場合には、係員が切替操作を行って左箱モードから両箱モードに切り替えることで、固定収納箱17に包装硬貨Wが収納できなくなったときにも引出収納箱18を投出先として包装硬貨Wの生成を継続することができる。
【0097】
また、本実施形態によれば、硬貨包装運転が終了する際に、自動的にモードがデフォルトモードに戻されるので、係員がモードをデフォルトモードに戻す操作を行わなくてよい。
【0098】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態によって何ら制限されるものではなく、また、本発明の実施形態も、以下に示す通り、上記以外に種々の変更が可能である。
【0099】
<変更例1>
上記実施形態では、デフォルトモードとして左箱モードおよび両箱モードの硬貨包装運転が可能とされる。そして、何れか一方のモードでの硬貨包装運転が行われている間に、切替ボタンB2、B3による切替操作を受け付けると、他方のモードに切り替えられる。
【0100】
これに対し、本変更例では、上記実施形態のようなモードが設けられない。本変更例では、固定収納箱17を投出先として硬貨包装運転が開始され、硬貨包装運転が行われている間、具体的には、固定収納箱17に上限本数の包装硬貨Wが投出されたときに、固定収納箱17の次の投出先を、引き続いて固定収納箱17にするのか、引出収納箱18に替えるのかの選択操作を受け付ける。
【0101】
図11および図12は、変更例1に係る、硬貨包装運転処理の制御動作を示すフローチャートである。図13(a)は、変更例1に係る、運転情報画面S5の一例を示す図であり、図13(b)は、変更例1に係る、投出先選択画面S6の一例を示す図である。なお、図11および図12に示す本変更例の硬貨包装運転処理では、図6および図7に示す上記実施形態の硬貨包装運転処理のS102の処理がS140の処理に置き換えられ、S109〜S113の処理がS141〜S149の処理に置き換えられ、S128の処理が削除される。
【0102】
開始操作が行われると(S101:YES)、制御部26は、操作表示部15に運転情報画面S5を表示させる(S140)。図13(a)に示すように、運転情報画面S5には、上記実施形態の運転情報画面S2と異なり、切替ボタンB2、B3が配置されない。上記実施形態と同様、包装硬貨Wが生成されて、固定収納箱17へと搬送される(S103〜S107)。
【0103】
固定収納箱17内の包装硬貨Wの本数が上限本数に達すると(S108:YES)、制御部26は、包装硬貨Wの生成を一旦中断し、操作表示部15に投出先選択画面S6を表示させる(S141)。図13(b)に示すように、投出先選択画面S6は、固定収納箱17の継続使用を選択するための継続ボタンB4と、引出収納箱18への切替を選択するための切替ボタンB5とを含む。係員は、継続ボタンB4または切替ボタンB5をタッチすることにより、固定収納箱17を継続使用するか、引出収納箱18に切り替えるかを選択できる。即ち、係員は、次の投出先となる収納箱17、18を選択できる。
【0104】
制御部26は、継続ボタンB4または切替ボタンB5による選択操作がなされたか否かを監視する(S142)。また、選択操作がなされない間、制御部26は、投出先選択画面S6の表示から、即ち選択操作が可能となってから制限時間(たとえば、30秒)が経過したか否かを監視する(S143)。制限時間内に選択操作が行われると(S142:YES)、制御部26は、固定収納箱17の継続使用および引出収納箱18への切替の何れが選択されたのかを判定する(S144)。
【0105】
固定収納箱17の継続使用が選択された場合(S144:継続)、制御部26は、操作表示部15に第1取出画面S3を表示させ(S145)、第1カウンタ26aをリセットする(S146)。そして、開始操作が行われると(S147:YES)、制御部26は、運転情報画面S5を再び操作表示部15に表示させた後(S148)、S103の処理に戻り、再びS103〜S106の処理を行う。包装硬貨Wの生成が再開され、生成された包装硬貨Wが固定収納箱17に投出される。
【0106】
一方、引出収納箱18への切替が選択された場合(144:切替)、制御部26は、運転情報画面S5を再び操作表示部15に表示させる(S149)。そして、制御部26は、包装硬貨Wの生成を再開させ、生成された包装硬貨Wを、上限本数となるまで引出収納箱18へ投出させる(S120〜S125)。
【0107】
引出収納箱18内の包装硬貨Wの本数が上限本数に達すると(S125:YES)、制御部26は、包装硬貨Wの生成を一旦中断し、操作表示部15に第2取出画面S4を表示させる(S126)。次に、制御部26は、第1カウンタ26aおよび第2カウンタ26bをリセットし(S127)、S147に戻って開始操作を待つ。
【0108】
投出先選択画面S6が表示されたときに係員が硬貨包装機1から離れている場合がある。このような場合、選択操作が行われないまま制限時間が経過し得る。制限時間が経過すると、制御部26は、引出収納箱18への切替が選択された場合と同様、運転情報画面S5を再び操作表示部15に表示させた後(S149)、包装硬貨Wの生成を再開させ、生成された包装硬貨Wを、上限本数となるまで引出収納箱18へ投出させる(S120〜S125)。
【0109】
なお、上記の例では、固定収納箱17に上限本数の包装硬貨Wが投出されたときに、操作表示部15に投出先選択画面S6が表示された。しかしながら、固定収納箱17に上限本数の包装硬貨Wが投出される前、即ち、固定収納箱17に包装硬貨Wが投出されている間において、予め定めたタイミングに、あるいは、係員による所定の操作に基づいて投出先選択画面S6が表示されるような構成が採られてもよい。
【0110】
以上、本変更例によれば、固定収納箱17を包装硬貨Wの投出先として硬貨包装運転が開始された後、その運転中に、次の投出先を、引き続いて固定収納箱17とするのか、引出収納箱18に切り替えるのかを選択することができる。
【0111】
よって、係員は、硬貨包装運転が開始された後の状況の変化に応じて、より望ましい収納箱を次の投出先に決めることができる。
【0112】
特に、固定収納箱17は、包装硬貨Wの投出動作中であっても包装硬貨Wを取り出すことができる構成であり、引出収納箱18は、包装硬貨Wの投出動作中に包装硬貨Wを取り出すことができない構成である。このため、係員が硬貨包装機1の傍にいて、包装硬貨Wが固定収納箱17に投出される都度、包装硬貨Wの取出しが行えるような場合には、引き続いて固定収納箱17を投出先とすることで、生成された包装硬貨Wを効率的に取り出せる。一方で、係員が硬貨包装機1を離れてしまうような場合には、引出収納箱18を投出先とすることで、包装硬貨Wの勝手な取出しができなくなり、他の係員等により、取り出された包装硬貨Wが誤って処理されてしまうことを防止できる。
【0113】
また、本変更例によれば、制限時間内に選択操作がなされないときには、投出先が自動的に引出収納箱18に切り替わるので、係員が硬貨包装機1の傍にいなくても、投出先を引き継いで、包装硬貨Wの生成を中断させることなく、確実に包装硬貨Wが収納されていない引出収納箱18に包装硬貨Wを投出させることができる。
【0114】
<変更例2>
図14は、変更例2に係る、硬貨包装運転処理の制御動作を示すフローチャートである。なお、図14に示す本変更例の硬貨包装運転処理では、図7に示す上記実施形態の硬貨包装運転処理のS128の処理とS120の処理との間にS150およびS151の処理が追加される。
【0115】
本変更例では、引出収納箱18の包装硬貨Wの本数が上限本数に達するまでの間、制御部26が、固定収納箱17から包装硬貨Wの取出しが行われたか否かを判定する(S150)。硬貨包装機1には、固定収納箱17の着脱を検出する第1着脱検出センサ28が備えられている。係員は、固定収納箱17を装置本体11から離脱させて作業台等で包装硬貨Wの取出し作業を行う場合がある。よって、固定収納箱17が、装置本体11から離脱され、再び装置本体11へ装着された場合、固定収納箱17からの包装硬貨Wの取出しが行われたと見做すことができる。
【0116】
制御部26は、第1着脱検出センサ28により、固定収納箱17の離脱と、それに続く装着が検出されると、固定収納箱17から包装硬貨Wの取出しが行われたと判定する(S150:YES)。この場合、制御部26は、第1カウンタ26aをリセットした後(S151)、S103の処理に移行し、生成された包装硬貨Wを、引出収納箱18に替えて固定収納箱17へ投出させるようにする(S103〜S106)。
【0117】
本変更例の構成によれば、引出収納箱18へ包装硬貨Wが投出されている間に、固定収納箱17から包装硬貨Wが取り出されたことが検出されると、包装硬貨Wの投出先が引出収納箱18から直ちに固定収納箱17へと移るので、係員は、包装硬貨Wの生成を中断させることなく、引出収納箱18から包装硬貨Wを取り出すことが可能となる。
【0118】
なお、包装硬貨Wを取り出すために装置本体11内から引出収納箱18が引き出されたとき、引き出されたことが第2着脱検出センサ29で検出される。よって、このような場合に、第2カウンタ26bをリセットさせるようにしてもよい。また、包装硬貨Wの投出先が引出収納箱18から固定収納箱17へと移ったときに、両箱モードから左箱モードへ自動的にモードが切り替わるようにしてもよい。さらに、本変更例の構成を変更例1の構成に適用することができる。
【0119】
<変更例3>
図15は、変更例3に係る、固定収納箱17および硬貨検出センサ30の構成を示す図である。
【0120】
本変更例では、固定収納箱17への包装硬貨Wの投出動作中に、固定収納箱17から包装硬貨Wが取り出されたことが検出される。このため、硬貨包装機1には、固定収納箱17に関連して、硬貨検出センサ30が配置される。硬貨検出センサ30は、固定収納箱17の左側面および右側面の外側にそれぞれ配置された発光素子30aおよび受光素子30bを含む。固定収納箱17の左側面および右側面には、発光素子30aおよび受光素子30bに対応する位置に光を通すための開口17eが形成される。
【0121】
硬貨検出センサ30の高さ位置は、上限本数より少ない所定本数(たとえば、上限本数の半分)の包装硬貨Wが固定収納箱17に投出されたときに包装硬貨Wが積み上がる高さ位置とされる。よって、発光素子30aからの光が包装硬貨Wによって遮光されると、硬貨検出センサ30は、所定本数分の包装硬貨Wが積み上がる高さ位置に包装硬貨Wが存在していることを検出する。
【0122】
図16は、変更例3に係る、硬貨包装運転処理の制御動作を示すフローチャートである。なお、図16に示す本変更例の硬貨包装運転処理では、図6に示す上記実施形態の硬貨包装運転処理のS106の処理とS107の処理との間にS160〜S163の処理が追加される。
【0123】
制御部26は、包装硬貨Wをリフト部20により固定収納箱17へ搬送すると(S106)、カウントされた固定収納箱17内の包装硬貨Wの本数が所定本数以上であるか否かを判定する(S160)。制御部26は、包装硬貨Wの本数が所定本数以上でなければ(S160:NO)、第1カウンタ26aをインクリメントする(S107)。一方、制御部26は、包装硬貨Wの本数が所定本数以上であれば(S160:YES)、硬貨検出センサ30が包装硬貨Wを検出しているか否かを判定する(S161)。
【0124】
硬貨検出センサ30が包装硬貨Wを検出していれば(S161:YES)、固定収納箱17からの硬貨の取出しがないと見做すことができる。よって、制御部26は、第1カウンタ26aをインクリメントする(S107)。一方、包装硬貨Wの本数が所定本数以上であるにもかかわらず、硬貨検出センサ30が包装硬貨Wを検出していなければ(S161:NO)、固定収納箱17からの硬貨の取出しがあったと見做すことができる。よって、制御部26は、包装硬貨Wの本数が所定本数であれば(S162:YES)、第1カウンタ26aをインクリメントせず、包装硬貨Wの本数が所定本数を超えていれば(S162:NO)、第1カウンタ26aのカウント値を所定本数に減らし(S163)、S103の処理へと戻る。但し、生成された包装硬貨Wの本数は、継続してカウントアップされる。
【0125】
本変更例の構成によれば、包装硬貨Wが固定収納箱17へ投出された都度、取り出されるような作業が行われた場合に、上限本数以上の包装硬貨Wを固定収納箱17へ投出させることができるので、係員は、固定収納箱17からの包装硬貨Wの取出しを行いながら、包装硬貨Wの生成を中断させることなく、全ての包装硬貨Wの生成を行うことができる。
【0126】
なお、本変更例の構成を変更例1の構成に適用することができる。
【0127】
<変更例4>
本変更例では、硬貨包装機1は、上記実施形態の左箱モードおよび両箱モードの硬貨包装運転に加えて、引出収納箱18のみを使用する右箱モードの硬貨包装運転を行うことができる。さらに、本変更例では、右箱モードの硬貨包装運転において、引出収納箱18への包装硬貨Wの投出動作中であっても、支障のないタイミング(包装硬貨Wがリフト部20により搬送されていないタイミング)において、包装硬貨Wの生成を中断させることなく、引出収納箱18からの包装硬貨Wの取出を可能にできる構成とされる。
【0128】
図17は、変更例4に係る、硬貨包装機1の構成を示すブロック図である。
【0129】
本変更例では、硬貨包装機1が、上記実施形態での構成の他、ロック装置31と、報知部32と、キャリア検出センサ33と、一時保留検出センサ34とを備える。
【0130】
ロック装置31は、引出収納箱18を、引き出せないように装置本体11内にロックする。報知部32は、LEDランプ等を含み、引出収納箱18からの包装硬貨Wの取出タイミングを報知する。報知部32は、装置本体11の前面における引出収納箱18の近傍に設けられるとよい。
【0131】
キャリア検出センサ33は、発光素子と受光素子とを含み、リフト部20のキャリア部140が受入位置P1に停止していることを検出し、検出信号を制御部26へ出力する。一時保留検出センサ34は、発光素子と受光素子とを含み、包装硬貨Wが一時保留部22に存在していることを検出し、検出信号を制御部26へ出力する。
【0132】
図18および図19は、変更例4に係る、右箱モードの硬貨包装運転処理の制御動作を示すフローチャートである。図20は、変更例4に係る、引出可能タイミング報知処理の制御動作を示すフローチャートである。図21は、変更例4に係る、第3取出画面S7の一例を示す図である。
【0133】
図18および図19を参照し、開始操作が行われると(S301:YES)、制御部26は、ロック装置31によるロックを行った後に(S302)、操作表示部15に運転情報画面S5(図13(a)参照)を表示させる(S303)。制御部26は、集積部25に包装枚数のバラ硬貨を集積させ(S304)、包装可能であれば(S305:YES)、包装部21により包装硬貨Wを生成する(S306)。
【0134】
次に、制御部26は、引出収納箱18が引き出されていなければ(S307:NO)、生成された包装硬貨Wをリフト部20により引出収納箱18へ搬送する(S308)。制御部26は、第2カウンタ26bをインクリメントし(S309)、引出収納箱18内の包装硬貨Wの本数が上限本数に達したか否かを判定する(S310)。引出収納箱18内の包装硬貨Wの本数が上限本数に達していなければ(S310:NO)、制御部26は、S304の処理に戻る。こうして、引出収納箱18内に上限本数の包装硬貨Wが投出されるまで、途中、引出収納箱18が引き出されない限り、S304〜S309の処理が繰り返され、次々に包装硬貨Wが生成されて引出収納箱18へ投出される。
【0135】
引出収納箱18内に上限本数の包装硬貨Wが投出されると(S310:YES)、制御部26は、包装硬貨Wの生成を一旦中断し、ロック装置31によるロックを解除した後に(S311)、操作表示部15に第3取出画面S7を表示させる(S312)。図21に示すように、第3取出画面S7は、係員に、引出収納箱18からの包装硬貨Wの取出しを促す画面である。次に、制御部26は、第2カウンタ26bをリセットし(S313)、開始操作を待つ(S314)。
【0136】
係員は、引出収納箱18を引き出し、包装硬貨Wを全て取り出した後に、引出収納箱18を戻し入れてスタート/ストップボタン16aを押す。開始操作がなされると(S314:YES)、制御部26は、S302の処理に戻り、再びS302〜S308の処理を行う。ロック装置31によるロックが行われた後、運転情報画面S5が操作表示部15に表示される。その後、包装硬貨Wの生成が再開され、生成された包装硬貨Wが引出収納箱18に投出される。
【0137】
ホッパー13に投入されたバラ硬貨が残り少なくなり、最後まで繰り出されたバラ硬貨により包装枚数の集積が行えなくなると、S305で包装可能でないと判定される(S305:NO)。こうなると、制御部26は、包装硬貨Wの生成を終了し、ロック装置31によるロックを解除した後(S315)、第3取出画面S7を操作表示部15に表示させる(S316)。そして、制御部26は、第2カウンタ26bをリセットして(S317)、終了操作を待つ(S318)。
【0138】
係員は、引出収納箱18から全ての包装硬貨Wを取り出すと、クリアボタン16bを押す。終了操作がなされると(S318:YES)、制御部26は、集積部25に残るバラ硬貨を、機外(バラ硬貨収納箱19)に排出させて係員に返却する(S319)。その後、制御部26は、操作表示部15の第3取出画面S7を閉じる(S320)。こうして、右箱モードの硬貨包装運転が終了する。
【0139】
さて、制御部26は、右箱モードの硬貨包装運転処理と並行して引出可能タイミング報知処理を実行する。図20を参照して、制御部26は、引出収納箱18からの包装硬貨Wの取出しが可能なタイミングになったか否かを監視する(S401)。
【0140】
リフト部20により包装硬貨Wの搬送が行われていない期間が、包装硬貨Wの取出しが可能なタイミングとなる。リフト部20のキャリア部140が受入位置P1に停止しているが、未だ包装硬貨Wが一時保留部22に存在していれば、リフト部20により包装硬貨Wの搬送が行われていない。よって、制御部26は、キャリア検出センサ33によりキャリア部140が受入位置P1に停止していることが検出されており、且つ、一時保留検出センサ34により包装硬貨Wが一時保留部22に存在していることが検出されていれば、包装硬貨Wの取出しが可能なタイミングになったと判定する。
【0141】
包装硬貨Wの取出しが可能なタイミングになると(S401:YES)、制御部26は、ロック装置31によるロックを解除した後(S402)、報知部32のLEDランプを点灯させるなどして、引出収納箱18からの包装硬貨Wの取出しが可能であることを報知する(S403)。
【0142】
制御部26は、引出収納箱18からの包装硬貨Wの取出しが可能である間、引出収納箱18が引き出されたか否かを監視する(S404)。制御部26は、キャリア検出センサ33によりキャリア部140が受入位置P1に停止していることが検出されなくなるか、当該検出がなされていても、一時保留検出センサ34により包装硬貨Wが一時保留部22に存在していることが検出されなくなれば、包装硬貨Wの取出しが可能なタイミングでなくなったと判定する。引出収納箱18が引き出されないまま(S404:NO)、包装硬貨Wの取出しが可能な期間が終了し、包装硬貨Wの取出しが不能となると(S405:YES)、制御部26は、報知部32による報知を停止させた後(S406)、ロック装置31によるロックを行う(S407)。
【0143】
一方、取出し可能な報知に基づいて、係員が包装硬貨Wを取り出すために引出収納箱18を装置本体11から引き出すと、S404において、引出収納箱18が引き出されと判定される(S404:YES)。この場合、制御部26は、第2カウンタ26bをリセットした後に(S408)、報知部32による報知を停止する(S409)。そして、包装硬貨Wが取り出された後に引出収納箱18の戻入れがあると(S410)、制御部26は、ロック装置31によるロックを行う(S407)。
【0144】
図18および図19に戻り、引出収納箱18へ包装硬貨Wの投出が行われている間において、包装硬貨Wを取り出すために引出収納箱18が装置本体11から引き出されると、S307において、引出収納箱18が引き出されたと判定される(S307:YES)。この場合、制御部26は、投出先を固定収納箱17に切り替え、生成された包装硬貨Wをリフト部20により固定収納箱17へ搬送する(S321)。
【0145】
制御部26は、継続してバラ硬貨の集積および包装硬貨Wの生成を行う(S322→S323:YES→S324)。そして、制御部26は、引出収納箱18の戻入れがなされていなければ(S325:NO)、生成された包装硬貨Wをリフト部20により固定収納箱17へ搬送し(S326)、第1カウンタ26aをインクリメントする(S327)。固定収納箱17内の包装硬貨Wの本数が上限本数に達していなければ(S328:NO)、引出収納箱18の戻入れがない限り、S322〜S327の処理が繰り返され、生成された包装硬貨Wが固定収納箱17へ投出される。
【0146】
固定収納箱17内の包装硬貨Wの本数が上限本数となるまでの間に引出収納箱18の戻入れがなされると(S325:YES)、制御部26は、投出先を引出収納箱18に戻し、生成された包装硬貨Wをリフト部20により引出収納箱18へ搬送する(S329)。そして、制御部26は、S304の処理に戻る。
【0147】
一方、引出収納箱18の戻入れがなされる前に固定収納箱17内の包装硬貨Wの本数が上限本数に達すると(S328:YES)、制御部26は、包装硬貨Wの生成を一旦中断し、操作表示部15に第1取出画面S3を表示させる(S330)。そして、制御部26は、第1カウンタ26aをリセットし(S331)、S314に戻って開始操作を待つ。
【0148】
包装硬貨Wが固定収納箱17に投出されている間に、ホッパー13に投入されたバラ硬貨が残り少なくなり、最後まで繰り出されたバラ硬貨により包装枚数の集積が行えなくなると、S323で包装可能でないと判定される(S323:NO)。こうなると、制御部26は、包装硬貨Wの生成を終了し、ロック装置31によるロックを解除した後(S332)、第1取出画面S3を操作表示部15に表示させる(S333)。そして、制御部26は、第1カウンタ26aをリセットして(S334)、終了操作を待つ(S335)。
【0149】
係員は、固定収納箱17から全ての包装硬貨Wを取り出すと、クリアボタン16bを押す。終了操作がなされると(S335:YES)、制御部26は、集積部25に残るバラ硬貨を、機外(バラ硬貨収納箱19)に排出させて係員に返却する(S336)。その後、制御部26は、操作表示部15の第1取出画面S3を閉じる(S337)。こうして、右箱モードの硬貨包装運転が終了する。
【0150】
本変更例の構成によれば、引出収納箱18への包装硬貨Wの投出動作中であっても、係員は引出収納箱18から包装硬貨Wを取り出すことができる。また、引出収納箱18から包装硬貨Wが取り出されている間は、投出先が固定収納箱17に切り替えられるので、包装硬貨Wの生成が中断されない。
【0151】
なお、本変更例の硬貨包装機1は、右箱モードだけでなく、引出収納箱18に上限本数の包装硬貨Wが投出されると、続いて、固定収納箱17に包装硬貨Wが投出される第2両箱モードの硬貨包装運転が行える構成とされてもよい。この場合、図18のS310の処理の後に、現在のモードを確認する処理が行われ、現在のモードが右箱モードある場合に、S311の処理に移行する。一方、現在のモードが第2両箱モードであれば、図7に示されたS120ないしS134の処理と同様な処理が行われる。ただし、S123の処理に替えて、固定収納箱17に包装硬貨Wを搬送する処理が行われる。なお、上記実施形態の両箱モードは、第1両箱モードとなる。
【0152】
また、右箱モードと第2両箱モードの硬貨包装運転が行える構成とされた場合、上記実施形態と同様、操作表示部15に運転情報画面S2が表示され、硬貨包装運転が開始された後に、切替ボタンB2、B3によるモードの切替操作が受け付けられるようにされてもよい。
【0153】
<変更例5>
図22(a)ないし(c)は、変更例5に係る、硬貨包装機1について説明するための図である。図22(a)は、固定収納箱17の底面図であり、図22(b)は、装置本体11における、固定収納箱17が装着される装着面11aの周辺の平面図である。図22(c)は、装着面11aへの固定収納箱17の装着手順について説明するための図である。
【0154】
本変更例では、固定収納箱17と装着面11aとの間に、固定収納箱17を装着面11aに案内するためのガイド構造が備えられる。
【0155】
図22(a)に示すように、固定収納箱17の底面には、当該底面よりも凹むガイド凹部210が形成される。ガイド凹部210は、ガイド溝211と、第1ガイド壁212と、第2ガイド壁213とを含む。ガイド溝211は、前後方向に延び、一端部が円弧状を有し、他端部が開口する。第1ガイド壁212および第2ガイド壁213は、ガイド溝211の他端部において、ガイド溝211の側壁と繋がる。第1ガイド壁212と第2ガイド壁213は、互いに離れるように後方に斜めに延びる。ガイド溝211は、第2ガイド壁213に繋がる側壁が、第1ガイド壁212に繋がる側壁よりも長くされる。
【0156】
図22(b)に示すように、装置本体11には、固定収納箱17が装着される装着面11aに突起220が設けられる。突起220は、平面視において円形であり、ガイド凹部210の深さよりも僅かに低い高さを有し、ガイド溝211の幅よりも僅かに小さな直径を有する。装着面11aにおいて、突起220は、固定収納箱17が装着面11aに装着されたときにガイド凹部210のガイド溝211に嵌り込む位置に設けられる。
【0157】
次に、固定収納箱17を装着面11aに装着する手順について説明する。
【0158】
図22(c)に示すように、係員は、まず、固定収納箱17を装着面11a上に載せて、ガイド凹部210の第1ガイド壁212の先端部分が突起220に当接するようにする。このとき、係員は、固定収納箱17を、正面方向(実線)、左斜め方向(斜線)など、ある程度自由な方向から装着面11aにセットできる。係員は、第1ガイド壁212に突起220を沿わせるようにしつつ固定収納箱17を右斜め後方に移動させていく。そして、係員は、突起220がガイド溝211の側壁に接触したところで、固定収納箱17を後方へ押し込む。こうして、固定収納箱17が装着面11aに装着される。
【0159】
本変更例の構成によれば、係員は、比較的に重量が大きい固定収納箱17を持ち上げたまま、装置本体11の装着面11aに容易にできる。
【0160】
<その他の変更例>
上記実施の形態では、硬貨包装機1に、包装硬貨Wが投出される収納箱として、固定収納箱17および引出収納箱18の2つの収納箱が設けられたが、3個あるいはそれ以上の収納箱が設けられてもよい。
【0161】
また、硬貨包装機1に、互いの構成が異なる固定収納箱17と引出収納箱18とが設けられたが、構成の同じ収納箱が設けられてもよい。たとえば、硬貨包装機1に、固定収納箱17が設けられず、複数の引出収納箱18が設けられてもよい。
【0162】
さらに、上記実施形態では、包装硬貨Wの搬送にリフト部20が用いられたが、リフト部20とは異なる構成を有する他の搬送部が用いられてもよい。
【0163】
さらに、上記実施形態では、本発明が、硬貨包装機1に適用されたが、本発明は、出納機に組み込まれる包装硬貨ユニットなど、包装硬貨を生成する機能を有する他の硬貨包装装置に適用することもできる。
【0164】
この他、本発明の実施形態は、特許請求の範囲に記載の範囲で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0165】
1 硬貨包装機(硬貨包装装置)
15 操作表示部(表示部)
17 固定収納箱(投出部、第1の投出部)
18 引出収納箱(投出部、第2の投出部)
20 リフト部(搬送部)
21 包装部
26 制御部
26a 第1カウンタ(カウンタ)
W 包装硬貨
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