特許第6963995号(P6963995)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6963995
(24)【登録日】2021年10月20日
(45)【発行日】2021年11月10日
(54)【発明の名称】仮設通行路とその施工方法
(51)【国際特許分類】
   E04G 27/00 20060101AFI20211028BHJP
   E04F 11/00 20060101ALI20211028BHJP
【FI】
   E04G27/00
   E04F11/00
【請求項の数】7
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2017-249945(P2017-249945)
(22)【出願日】2017年12月26日
(65)【公開番号】特開2019-116728(P2019-116728A)
(43)【公開日】2019年7月18日
【審査請求日】2020年11月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】390037154
【氏名又は名称】大和ハウス工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】390004145
【氏名又は名称】城東テクノ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】秋竹 教行
(72)【発明者】
【氏名】池ノ谷 茂
(72)【発明者】
【氏名】松瀬 徳幸
【審査官】 油原 博
(56)【参考文献】
【文献】 特開平07−279340(JP,A)
【文献】 特開2010−196385(JP,A)
【文献】 特開2002−167933(JP,A)
【文献】 実開昭58−151257(JP,U)
【文献】 韓国公開特許第10−2009−0025737(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04F 11/00
E04G 27/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくともスロープを有する仮設通行路であって、
通行方向に間隔を置いて配設され、鉛直方向に立設している複数の第一軸部材と、
それぞれの前記第一軸部材において前記仮設通行路の縦断線形に対応する位置に取り付けられている第一固定部材と、
それぞれの前記第一固定部材に固定され、通行方向に直交方向に延びている複数の第二軸部材と、
それぞれの前記第二軸部材に取り付けられている第二固定部材と、
それぞれの前記第二軸部材の上に載置されて前記第二固定部材に固定され、間隔を置いて通行方向に延びている少なくとも二条の第三軸部材と、
から形成される支持架台ユニットと、
前記少なくとも二条の第三軸部材の上に載置され、固定されている複数の枠状フレーム体と、
前記枠状フレーム体に嵌め込まれている床パネルと、を備えていることを特徴とする、仮設通行路。
【請求項2】
前記仮設通行路が平面視U字状の線形を有し、
少なくとも二つの前記スロープと、該スロープ同士を繋ぐ踊り場とを有することを特徴とする、請求項1に記載の仮設通行路。
【請求項3】
前記第一軸部材、前記第二軸部材及び前記第三軸部材がいずれも単管パイプからなり、前記第一固定部材と前記第二固定部材がいずれもクランプからなることを特徴とする、請求項1又は2に記載の仮設通行路。
【請求項4】
前記枠状フレーム体が断面L型の金属部材からなり、前記単管パイプを下方から持ち上げるUボルトが該金属部材の一片に開設されたボルト孔に挿通され、ナット締めされて前記第一軸部材乃至前記第三軸部材のいずれかと前記枠状フレーム体が緊結されていることを特徴とする、請求項3に記載の仮設通行路。
【請求項5】
前記床パネルの通行路表面が滑り防止性能を有しており、該滑り防止性能が、該床パネルの表面に形成されている凹凸柄からなることを特徴とする、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の仮設通行路。
【請求項6】
前記仮設通行路が、少なくとも前記スロープと踊り場を有してそれらの取り合い部において前記床パネル間の隙間を有しており、該隙間に隙間埋め床ジョイントが取り付けられて該隙間が解消されていることを特徴とする、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の仮設通行路。
【請求項7】
少なくともスロープを有する仮設通行路の施工方法であって、
通行方向に間隔を置いて配設され、鉛直方向に立設している複数の第一軸部材と、
それぞれの前記第一軸部材において前記仮設通行路の縦断線形に対応する位置に取り付けられている第一固定部材と、
それぞれの前記第一固定部材に固定され、通行方向に直交方向に延びている複数の第二軸部材と、
それぞれの前記第二軸部材に取り付けられている第二固定部材と、
それぞれの前記第二軸部材の上に載置されて前記第二固定部材に固定され、間隔を置いて通行方向に延びている少なくとも二条の第三軸部材と、
から形成される支持架台ユニットを施工する支持架台ユニット施工工程と、
前記支持架台ユニットの上に複数の枠状フレーム体を並設して固定する枠状フレーム体施工工程と、
前記枠状フレーム体に床パネルを嵌め込んで前記仮設通行路を施工する床パネル施工工程と、を有することを特徴とする、仮設通行路の施工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくともスロープを有する仮設通行路とその施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
屋外における様々な仮設施設等に対して、車いす利用者のアクセスを可能とするべく、スロープを有する仮設通行路の施工需要が増加している。一例として、屋外イベントのための仮設アリーナでの利用や、震災後に施工される仮設住宅等での利用、仮設の宿泊施設での利用などが挙げられる。
【0003】
従来の仮設通行路の施工方法の一態様として、木桟と合板等の木材を現地にて加工し、組み立てる方法が挙げられる。しかしながら、このように全ての部材を木材を利用して現地にて加工し、組み立てる方法は、組み立て完了までに時間がかかり、さらには、仮設通行路の利用が終了し、解体した後は、材料木材が一般に廃棄されることから、環境への配慮に欠ける方法であることは否めない。
【0004】
一方、従来の仮設通行路の施工方法の他の態様として、単管パイプで支持架台ユニットを組み立て、仮設で一般に使用されている足場板をこの支持架台ユニットに取り付けてスロープを有する仮設通行路を施工するとともに、スロープを構成する足場板の表面に滑り止め仕上げを行う方法が挙げられる。しかしながら、使用される足場板が通常の仮設の足場板であることから、足場板自体の強度がそれほど高くなく、従って足場板を補強する必要が生じ得る。また、スロープを構成する足場板の表面に滑り止め仕上げを行う必要があることから、この態様の施工方法も仮設通行路の完成までに時間を要してしまう。さらに、足場板の上を通行した際に足場板が跳ね上がることがあり、通行者に不安感や不快感を与え易いことに加えて、跳ね上がった足場板が支持架台ユニットから外れてしまう危険性もあり、通行安全性に課題を有している。
【0005】
さらに、従来の仮設通行路の施工方法のさらに他の態様として、スロープを備えた仮設通行路を工場にて組み立て、プレキャスト製の仮設通行路を現地に搬送して設置する方法が挙げられる。しかしながら、仮設通行路は一定の平面寸法を有するものが一般的であることから、プレキャスト製の仮設通行路を現地に搬送すること自体が困難になり易く、現地搬送後に仮設通行路を設置するに当たっても、大掛かりな重機設備を要することになる。また、既に工場で仮設通行路の全体が組み立てられていることから、現地に据え付けた際に、高さの再調整を行いたい場合に柔軟に対応し難いといった課題を内在している。
【0006】
公開技術の中には、組立式スロープユニットが提案されている。この組立式スロープユニットは、車椅子等が通行するための傾斜スロープ面を、床用フレーム及び床板からなる床部によって形成する。床用フレームは、荷重受部に形成した山状傾斜面に載置した状態で、支軸によって荷重受部に連結してある。組立式スロープユニットは、アジャスタ部により脚支柱部の長さを調整するとともに支軸を支点に床用フレームを回動させることにより、床用フレームを脚支柱部に対して傾斜配置し、傾斜配置した床用フレームに床板を取り付けることにより傾斜スロープ面を形成するように構成してある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−138480号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1に記載の組立式スロープユニットは、アジャスタ部により高さ調整自在の脚支柱部と、支軸を支点に回動して傾斜配置される床用フレームと、が一体となっているユニットであることから、高さ調整とスロープのための勾配調整を全てのユニットに対して精度よく行った後に各床用フレームに対して床板を取付ける必要がある。そのため、高さや勾配の調整やさらにそれらを再調整する際に、多数のユニットの調整を交互に行う必要があり、調整が極めて煩雑になるとともに、スロープを有する仮設通行路の完成までに時間を要することは容易に想定される。
【0009】
本発明は上記する問題に鑑みてなされたものであり、強度が高く、環境面への配慮があり、短時間に施工することのできる仮設通行路とその施工方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記目的を達成すべく、本発明による仮設通行路の一態様は、少なくともスロープを有する仮設通行路であって、
通行方向に間隔を置いて配設され、鉛直方向に立設している複数の第一軸部材と、
それぞれの前記第一軸部材において前記仮設通行路の縦断線形に対応する位置に取り付けられている第一固定部材と、
それぞれの前記第一固定部材に固定され、通行方向に直交方向に延びている複数の第二軸部材と、
それぞれの前記第二軸部材に取り付けられている第二固定部材と、
それぞれの前記第二軸部材の上に載置されて前記第二固定部材に固定され、間隔を置いて通行方向に延びている少なくとも二条の第三軸部材と、
から形成される支持架台ユニットと、
前記少なくとも二条の第三軸部材の上に載置され、固定されている複数の枠状フレーム体と、
前記枠状フレーム体に嵌め込まれている床パネルと、を備えていることを特徴とする。
【0011】
本態様によれば、現地にて支持架台ユニットを可及的に短時間で組み立てることができ、支持架台ユニットに対する枠状フレーム体の取り付けと枠状フレーム体に対する床パネルの嵌め込みも比較的短時間で行うことができるため、仮設通行路を短時間に施工することができる。さらに、枠状フレーム体に対して強度のある床パネルが嵌め込まれている構成を有することにより、高強度の仮設通行路を形成することができる。ここで、「縦断線形」とは、仮設通行路のスロープにおいては当該スロープにおける通行方向の勾配線形を意味し、仮設通行路が踊り場を有する場合は平坦な踊り場における通行方向の平坦な線形を意味している。また、「少なくとも二条の第三軸部材」とは、二条の第三軸部材の他、仮設通行路の幅が広い場合には三条以上の第三軸部材が適用されることを含んでいる。
【0012】
また、本発明による仮設通行路の他の態様は、前記仮設通行路が平面視U字状の線形を有し、
少なくとも二つの前記スロープと、該スロープ同士を繋ぐ踊り場とを有することを特徴とする。
【0013】
本態様によれば、平面視U字状の線形を有する高強度の仮設通行路を短時間に施工することができる。地面から仮設施設の入り口までの高さが高い場合、スロープの勾配には一般に制限が設けられていることから、二つのスロープを備えた平面視U字状の線形の仮設通行路にて入り口まで到達可能とするケースがある。また、入り口までの高さがより一層高い場合には、平面視U字状の仮設通行路に対して、さらに踊り場を介して別途の平面視U字状の線形の仮設通行路を組み合わせて入り口まで到達可能とするケースもある。このように、「平面視U字状の線形」は、平面視U字状の線形を一つ有する形態の他、平面視U字状の線形を二つ以上組み合わせた形態も含んでいる。また、その他、平面視U字状の線形を有する仮設通行路が、上り勾配のスロープと、踊り場を介して今度は下り勾配のスロープを有する形態なども、平面視U字状の線形を有する仮設通行路に含まれる。この形態は、一方通行の仮設通行路において、踊り場が仮設施設の入り口であったり、展望場所等である場合に対応する形態である。また、さらに、平面視U字状の仮設通行路が、例えば、地面から上る上り勾配のスロープと、これに通じる踊り場と、これに通じるさらに上り勾配のスロープを有し、このスロープにポーチが通じ、ポーチから仮設施設への出入りを可能とした形態であってもよい。この形態では、例えば、ポーチも仮設通行路の構成要素に含まれる。また、ポーチの横には、下り勾配のさらに他のスロープがあって地面へ通じていてもよいし、階段が設けられていて地面との間で昇降できるようになっていてもよい。
【0014】
また、本発明による仮設通行路の他の態様は、前記第一軸部材、前記第二軸部材及び前記第三軸部材がいずれも単管パイプからなり、前記第一固定部材と前記第二固定部材がいずれもクランプからなることを特徴とする。
【0015】
本態様によれば、通常の仮設部材として使用されている単管パイプを第一、第二、第三軸部材に適用し、同様に通常の仮設部材として使用されているクランプを第一、第二固定部材に適用することにより、スロープを備えた仮設通行路の骨格となる支持架台ユニットを、迅速に組み立てることができる。また、勾配の調整や再調整なども、単管パイプに対してクランプの取り付け位置を適宜調整することにより速やかに行うことができ、良好な施工性を享受できる。
【0016】
また、本発明による仮設通行路の他の態様は、前記枠状フレーム体が断面L型の金属部材からなり、前記単管パイプを下方から持ち上げるUボルトが該金属部材の一片に開設されたボルト孔に挿通され、ナット締めされて前記第一軸部材乃至前記第三軸部材のいずれかと前記枠状フレーム体が緊結されていることを特徴とする。
【0017】
本態様によれば、支持架台ユニットを構成する第一軸部材乃至第三軸部材のいずれかと枠状フレーム体を、仮設部材として一般に使用されているUボルトとナットにて容易に緊結することができる。支持架台ユニットを構成する第一軸部材乃至第三軸部材を形成する単管パイプをUボルトにて下方から持ち上げて枠状フレーム体を形成する金属部材の一片に固定することから、一般に水平方向に延設する第二軸部材もしくは第三軸部材を構成する単管パイプと枠状フレーム体を構成する金属部材とが緊結されることになる。
【0018】
また、本発明による仮設通行路の他の態様は、前記床パネルの通行路表面が滑り防止性能を有しており、該滑り防止性能が、該床パネルの表面に形成されている凹凸柄からなることを特徴とする。
【0019】
本態様によれば、床パネルが表面に凹凸柄を備えて滑り防止性能を有することにより、滑り難いスロープを備えた仮設通行路を形成することができる。ここで、床パネルは、金属製、樹脂製のいずれであってもよいが、搬送性や取り付け性等の施工性に優れた、可及的に軽量でかつ硬質の樹脂製の床パネルが好ましい。また、樹脂材料中に繊維材が混合されて強度補強された材料からなる床パネルであってもよい。
【0020】
また、本発明による仮設通行路の他の態様は、前記仮設通行路が、少なくとも前記スロープと踊り場を有してそれらの取り合い部において前記床パネル間の隙間を有しており、該隙間に隙間埋め床ジョイントが取り付けられて該隙間が解消されていることを特徴とする。
【0021】
本態様によれば、スロープと踊り場等、勾配の異なるエリアの取り合い部において、双方の床パネル間に生じる隙間に対して隙間埋め床ジョイントが取り付けられていることにより、隙間の無い仮設通行路を形成することができる。
【0022】
また、本発明による仮設通行路の施工方法の一態様は、少なくともスロープを有する仮設通行路の施工方法であって、
通行方向に間隔を置いて配設され、鉛直方向に立設している複数の第一軸部材と、
それぞれの前記第一軸部材において前記仮設通行路の縦断線形に対応する位置に取り付けられている第一固定部材と、
それぞれの前記第一固定部材に固定され、通行方向に直交方向に延びている複数の第二軸部材と、
それぞれの前記第二軸部材に取り付けられている第二固定部材と、
それぞれの前記第二軸部材の上に載置されて前記第二固定部材に固定され、間隔を置いて通行方向に延びている少なくとも二条の第三軸部材と、
から形成される支持架台ユニットを施工する支持架台ユニット施工工程と、
前記支持架台ユニットの上に複数の枠状フレーム体を並設して固定する枠状フレーム体施工工程と、
前記枠状フレーム体に床パネルを嵌め込んで前記仮設通行路を施工する床パネル施工工程と、を有することを特徴とする。
【0023】
本態様によれば、支持フレーム体施工工程において、複数種の軸部材を用いてスロープを含む仮設通行路の骨格を形成する支持架台ユニットを短時間に施工することができる。また、例えば第一軸部材に対して第一固定部材の取り付け位置を適宜調整することにより、スロープの勾配を規定する各第二軸部材の取り付け位置の調整や、この第二軸部材にて支持される第三軸部材の勾配(縦断線形)の調整を容易に行うことができる。また、支持架台ユニットが施工された後は、この支持架台ユニットに対して枠状フレーム体を固定し、枠状フレーム体に床パネルを嵌め込んで仮設通行路の施工が完了することから、現地において速やかに仮設通行路を施工することができる。
【発明の効果】
【0024】
以上の説明から理解できるように、本発明の仮設通行路とその施工方法によれば、強度が高く、環境面への配慮があり、短時間に施工することのできる仮設通行路を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の実施形態に係る仮設通行路の施工方法の一例において、支持架台ユニット施工工程を説明する平面図である。
図2】(a)は、図1のIIa−IIa矢視図であり、(b)は、図1のIIb−IIb矢視図である。
図3】本発明の実施形態に係る仮設通行路の施工方法の一例において、枠状フレーム体施工工程を説明する平面図である。
図4】(a)は、図3のIVa−IVa矢視図であり、(b)は、図3のIVb−IVb矢視図である。
図5】(a)は、図3のV部を拡大した平面図であり、(b)は、図5(a)のb−b矢視図である。
図6図5(a)のVI−VI矢視図である。
図7】本発明の実施形態に係る仮設通行路の施工方法の一例において、床パネル施工工程を説明するとともに、施工された本発明の実施形態に係る仮設通行路の一例を示す平面図である。
図8】(a)は、図7のVIII部を拡大した平面図であり、(b)は、図8(a)のb−b矢視図である。
図9】本発明の実施形態に係る仮設通行路の一例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施形態に係る仮設通行路とその施工方法について添付の図面を参照しながら説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の構成要素については、同一の符号を付することにより重複した説明を省く。
【0027】
[実施形態に係る仮設通行路の施工方法と仮設通行路]
図1乃至図9を参照して、実施形態に係る仮設通行路の施工方法とこの施工方法にて施工される実施形態に係る仮設通行路を説明する。ここで、図1乃至図9は順に、実施形態に係る仮設通行路の施工方法の一例を示す工程図であり、より具体的には、図1及び図2は、支持架台ユニット施工工程を説明する図であり、図3乃至図6は、枠状フレーム体施工工程を説明する図であり、図7乃至図9は、床パネル施工工程を説明する図である。また、図7は、施工された本発明の実施形態に係る仮設通行路の一例を示す平面図でもあり、図9は、施工された本発明の実施形態に係る仮設通行路の一例を示す斜視図でもある。
【0028】
本実施形態にかかる施工方法では、まず、図1及び図2に示すように、現地において、仮設通行路の骨格となる支持架台ユニット10を施工する。なお、図2(a)は、図1のIIa−IIa矢視図であり、図2(b)は、図1のIIb−IIb矢視図である。支持架台ユニット10は、いずれも単管パイプからなる第一軸部材11と第二軸部材13、及び第三軸部材15と、いずれもクランプからなる第一固定部材12と第二固定部材14を有する。第一軸部材11乃至第三軸部材15と第一固定部材12及び第二固定部材14はいずれも仮設部材であり、それぞれ所定の本数(個数)をトラック等で現地に搬送し、現地において作業員がトラックから容易に荷卸しすることができる。なお、必要に応じてユニッククレーンやトラッククレーン、クローラクレーン等にて荷卸ししてもよい。この各仮設部材の荷卸しの際には、現地の施工場所の各所に配設されるべき仮設部材を材料間配りすることにより行われる。
【0029】
支持架台ユニット10の施工に際しては、まず、左右一組の第一軸部材11を、通行方向の軸線に沿うように当該通行方向に所定の間隔を置いて複数組配設するべく、各第一軸部材11に対応するジャッキベース11aを地面(道路アスファルト、地盤等)に固定する。そして、地面に固定された各ジャッキベース11aに対し、対応する単管パイプからなる第一軸部材11を軸支させ、鉛直方向に立設させる。
【0030】
図示例の仮設通行路は、図1に示すように平面視U字状の線形を有し、図1及び図2に示すように、地面から通行方向に所定の上り勾配を有するスロープSと、次いで平坦な踊り場Oと、この踊り場Oで方向転換をして踊り場Oから通行方向に所定の上り勾配を有する別途のスロープSとを有している。そして、この最後のスロープSの頂部には平坦なポーチPを有し、このポーチPを介して不図示の仮設施設に出入り自在な仮設通行路である。
【0031】
図2に示すように、各第一軸部材11には、それぞれに固有の高さレベルにおいてクランプからなる第一固定部材12が固定される。具体的には、スロープSにおいては、設計勾配に応じた縦断線形と各第一軸部材11が交差する位置に第一固定部材12が固定される。第一固定部材12を形成するクランプは、二本の単管パイプを把持する二つの把持金具が相互に回転自在に組み付けられてその全体が構成されており、各把持金具は、蝶番を介して相互に回動自在に固定された二つの弧状金具のうちの一方の弧状金具が螺子ボルトを有し、他方の弧状金具がこの螺子ボルトの先端が貫通するボルト孔を有し、このボルト孔に螺子ボルトが貫通した状態でナットが取り付けられている。把持金具に単管パイプを貫通させ、単管パイプの所定の位置でナットを締めることにより、単管パイプに対するクランプの固定が図られる。そして、二つの把持金具を相互に直交する姿勢で保持することにより、それぞれの把持金具に固定されている二本の単管パイプを相互に直交する状態で接続することができる。
【0032】
各第一軸部材11の所定レベルに第一固定部材12を固定した後、対応する左右一組の各第一軸部材11のそれぞれの第一固定部材12に単管パイプからなる第二軸部材13を架け渡し、双方の第一固定部材12で第二軸部材13の左右の端部付近を固定する。このように第二軸部材13を左右一組の各第一軸部材11に架け渡すことにより、第二軸部材13は通行方向に直交する方向に延びた状態で配設される。図1の平面図に示すように、地面から上る最初のスロープSには二本の第二軸部材13が配設され、踊り場OからポーチPにかけて上る次のスロープSには四本の第二軸部材13が配設されている。また、ポーチPには、二本の第二軸部材13が配設されている。
【0033】
各第二軸部材13のうち、左右端から内側に入った左右の二箇所には、クランプからなる第二固定部材14が固定される。そして、第二軸部材13の上に、通行方向に延びる左右二本の単管パイプからなる第三軸部材15を載置し、第二固定部材14に第三軸部材15を固定することにより、通行方向に延びる左右二条の第三軸部材15からなる枠状フレーム体支持架台10が形成される。図1において、地面から上る最初のスロープS、スロープSに通じる踊り場O、さらに踊り場Oから上る次のスロープSに亘って、通行方向に延びる左右二本の第三軸部材15が配設される。また、図2に示すように、第三軸部材15は所定の縦断線形を有して地面からポーチPまで通じている。なお、仮設通行路の幅が広い場合は、左右一組の第一軸部材11の間の幅が広くなることから、間隔を置いて配設された三条以上の第三軸部材15を通行方向に設けてもよい。
【0034】
このように、各仮設部材を形成する単管パイプとクランプとから、支持架台ユニット10が施工される。支持架台ユニット10は、単管パイプの所定位置にクランプを取付け、クランプに別途の単管パイプを固定することにより施工されることから、所定勾配のスロープSや踊り場Oの骨格を、短時間に、かつ容易に施工することができる(以上、支持架台ユニット施工工程)。なお、支持架台ユニット10が単管パイプとクランプから構成されていることから、支持架台ユニット10の解体も短時間に行うことができ、これらの仮設部材は他の仮設工事に転用されることから、木桟や合板を使用する従来の施工方法とは異なり、環境面に配慮された施工及び解体を実現できる。
【0035】
次に、図3及び図4に示すように、支持架台ユニット10を構成する左右二条の第三軸部材15の上に、地面側から順に枠状フレーム体20を隙間なく並設していく。なお、図4(a)は、図3のIVa−IVa矢視図であり、図4(b)は、図3のIVb−IVb矢視図である。図3及び図4において、スロープSと踊り場Oの取り合い部や、スロープSとポーチPの取り合い部はいずれも、異なる勾配の境界となることから、隙間Gが形成され易い。
【0036】
次に、図5,6を参照して、枠状フレーム体20の構造と、第三軸部材15に枠状フレーム体20を固定する方法と固定構造について説明する。ここで、図5(a)は、図3のV部を拡大した平面図であり、図5(b)は、図5(a)のb−b矢視図であり、図6は、図5(a)のVI−VI矢視図である。図5に示すように、枠状フレーム体20は、四本の断面L型の金属部材21を矩形枠状に組んで、各金属部材21の交点をボルト固定もしくは溶接固定されることにより形成されている。ここで、枠の中央位置においては、第三軸部材15に平行に延びる別途の断面L型の補剛金属部材22が第三軸部材15に直交する方向に延びる二本の長尺のL型金属部材21の下面に架け渡されており、補剛金属部材22がボルト固定もしくは溶接固定されることにより、強度補強されている。金属部材21,22はいずれもアルミニウム製もしくはアルミ合金製であり、従って軽量であることから搬送性や組み付け性が良好である。なお、金属部材21,22が、単管パイプと同様に一般構造用炭素鋼から形成されたものであってもよい。
【0037】
図5に示すように、枠状フレーム体20を構成する各金属部材21の内側面には、複数の係合突起24が設けられている。この係合突起24に係合するようにして、枠状フレーム体20内に後述する複数枚の床パネルが嵌め込まれることにより、床パネルを枠状フレーム体20内に強固に嵌め込むことができ、例えば強風等で床パネルが枠状フレーム体20から外れることを防止できる。
【0038】
また、図5に示すように、第三軸部材15に直交する方向に延びる二本の金属部材21のうち、第三軸部材15に直接支持される金属片の第三軸部材15に対応する位置には、第三軸部材15の幅(外径)以上の間隔を有する一組のボルト孔23が開設されている。図6に示すように、第三軸部材15を形成する単管パイプは、Uボルト30にて支持された状態で持ち上げられ、Uボルト30の二つの端部が金属部材21に開設された二つのボルト孔23に挿通され、ボルト孔23の上方にてナット31にて締め付けられる。図5(a)で示すように、枠状フレーム体20の四箇所において、支持架台ユニット10を構成する第三軸部材15に対してUボルト30を介して枠状フレーム体20が緊結されることにより、支持架台ユニット10と通行方向に並設された複数の枠状フレーム体20との強固な固定が図られる。
【0039】
このように、Uボルト30を適用して、支持架台ユニット10を構成する第三軸部材15に対して枠状フレーム体20を緊結することにより、この組み付けも容易に行うことができる(以上、枠状フレーム体施工工程)。なお、仮設通行路の解体時には、ナット31を外し、Uボルト30を枠状フレーム体20から外すことにより、支持架台ユニット10から枠状フレーム体20を容易に外し、解体することができる。
【0040】
次に、図7乃至図9を参照して、床パネル40の形態と、枠状フレーム体20に床パネル40を嵌め込む方法と、これら一連の施工方法にて施工される仮設通行路100の一例について説明する。ここで、図7は、本発明の実施形態に係る仮設通行路の施工方法の一例において、床パネル施工工程を説明するとともに、施工された本発明の実施形態に係る仮設通行路の一例を示す平面図である。また、図8(a)は、図7のVIII部を拡大した平面図であり、(b)は、図8(a)のb−b矢視図である。さらに、図9は、施工された本発明の実施形態に係る仮設通行路の一例を示す斜視図である。図7に示すように、枠状フレーム体20内には、4枚乃至2枚の床パネル40が嵌め込まれる。ここで、床パネル40は、図8に示すように、表面に連続する縦溝もしくは連続する横溝を備えた凹凸柄41を有し、この凹凸柄41が床パネル40の表面に滑り防止性能を付与している。より詳細には、図示例の床パネル40は、平面視矩形の縦溝が連続した凹凸柄41と、平面視矩形の横溝が連続した凹凸柄41とを、千鳥配置に有している。
【0041】
この床パネル40としては、城東テクノ株式会社製の製品名:ハウスステップのうち、凹凸柄を備えた蓋を適用することができる。このハウスステップは、ポリオレフィン樹脂と炭酸カルシウムを素材とし、軽量でかつ高剛性の製品であることから、本実施形態にかかる仮設通行路100を形成する床パネル40に好適である。図8に示すように、枠状フレーム体20内に複数枚の床パネル40が収容された際に、枠状フレーム体20の内側に突出する係合突起24に床パネル40が係合しながら嵌め込まれる。また、このように床パネル40が係合突起24に係合しながら嵌め込まれることから、枠状フレーム体20から床パネル40を取り外す際は、係合突起24の側方の隙間に工具等を差し込み、てこの原理で床パネル40を持ち上げることにより、容易に床パネル40を取り外しことができる。
【0042】
このように、各枠状フレーム体20内に複数の床パネル40が嵌め込まれることにより、図7及び図9に示す仮設通行路100が施工される。仮設通行路100においては、図3,4に示すように、異なる勾配の取り合い部に生じていた隙間Gを埋める、隙間埋め床ジョイント50が取り付けられており、この隙間埋め床ジョイント50によって隙間Gが解消され、隙間の無い仮設通行路100が形成されている。また、仮設通行路100の地面からのアプローチ部には、断面三角形状のアプローチ用の床ブロック40Aが設置され、この床ブロック40Aも床パネル40と同様にその表面に凹凸柄41を有している。なお、図示例は手すりが省略されているが、例えば第一軸部材11の上方に別途のクランプを取付け、各第一軸部材11のクランプに通行方向に沿う単管パイプ等を取付けて手すりを設けてもよい。また、ポーチPの端部には、地面に降りる下り勾配のスロープを設けてもよいし、昇降自在な階段を設けてもよい。
【0043】
図示する仮設通行路100は、単管パイプとクランプによって骨格を成す支持架台ユニット10が形成され、この支持架台ユニット10に枠状フレーム体20が固定され、枠状フレーム体20に床パネル40が嵌め込まれて形成されていることから、勾配を有しながらも、短時間に、しかも容易に施工することができる。また、施工と同様に、解体も短時間に行うことができる。また、枠状フレーム体20に高強度の床パネル40が嵌め込まれて通行面を形成していることから、通行面の強度も高く、床パネル40の外れの心配もなく、通行者に安心感を与えることができる。さらに、仮設通行路100の構成部材が全て転用可能な部材であることから、環境面にも配慮された仮設通行路となる。
【0044】
なお、図示例の仮設通行路100は、二つのスロープSと踊り場OとポーチPを有する形態であるが、一つのスロープSのみからなる仮設通行路であってもよいし、二つのスロープとこれらを繋ぐ踊り場Oからなり、一方のスロープSにて踊り場Oまで上り、他方のスロープSで踊り場Oから地面に降りる仮設通行路であってもよい。さらには、二つのスロープSとこれらを繋ぐ踊り場Oからなる平面視U字状のユニットが交互に組み付けられた、複数のU字状の組み合わせからなるジグザグ状の仮設通行路であってもよい。この形態は、スロープの勾配が所定値以下に規定されていることから、地面から仮設設備の入り口までの高さが高い場合に有効な仮設通行路となる。
【0045】
なお、上記実施形態に挙げた構成等に対し、その他の構成要素が組み合わされるなどした他の実施形態であってもよく、また、本発明はここで示した構成に何等限定されるものではない。この点に関しては、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更することが可能であり、その応用形態に応じて適切に定めることができる。
【符号の説明】
【0046】
10:支持架台ユニット、11:第一軸部材(単管パイプ)、11a:ジャッキベース、12:第一固定部材(クランプ)、13:第二軸部材(単管パイプ)、14:第二固定部材(クランプ)、15:第三軸部材(単管パイプ)、20:枠状フレーム体、21:金属部材(L型金属部材)、22:補剛金属部材、23:ボルト孔、24:係合突起、30:Uボルト、31:ナット、40:床パネル、40A:床ブロック、41:凹凸柄、50:隙間埋め床ジョイント、100:仮設通行路、S:スロープ、O:踊り場、P:ポーチ、G:隙間
図1
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図7
図8
図9