【課題を解決するための手段】
【0010】
前記目的を達成すべく、本発明による仮設通行路の一態様は、少なくともスロープを有する仮設通行路であって、
通行方向に間隔を置いて配設され、鉛直方向に立設している複数の第一軸部材と、
それぞれの前記第一軸部材において前記仮設通行路の縦断線形に対応する位置に取り付けられている第一固定部材と、
それぞれの前記第一固定部材に固定され、通行方向に直交方向に延びている複数の第二軸部材と、
それぞれの前記第二軸部材に取り付けられている第二固定部材と、
それぞれの前記第二軸部材の上に載置されて前記第二固定部材に固定され、間隔を置いて通行方向に延びている少なくとも二条の第三軸部材と、
から形成される支持架台ユニットと、
前記少なくとも二条の第三軸部材の上に載置され、固定されている複数の枠状フレーム体と、
前記枠状フレーム体に嵌め込まれている床パネルと、を備えていることを特徴とする。
【0011】
本態様によれば、現地にて支持架台ユニットを可及的に短時間で組み立てることができ、支持架台ユニットに対する枠状フレーム体の取り付けと枠状フレーム体に対する床パネルの嵌め込みも比較的短時間で行うことができるため、仮設通行路を短時間に施工することができる。さらに、枠状フレーム体に対して強度のある床パネルが嵌め込まれている構成を有することにより、高強度の仮設通行路を形成することができる。ここで、「縦断線形」とは、仮設通行路のスロープにおいては当該スロープにおける通行方向の勾配線形を意味し、仮設通行路が踊り場を有する場合は平坦な踊り場における通行方向の平坦な線形を意味している。また、「少なくとも二条の第三軸部材」とは、二条の第三軸部材の他、仮設通行路の幅が広い場合には三条以上の第三軸部材が適用されることを含んでいる。
【0012】
また、本発明による仮設通行路の他の態様は、前記仮設通行路が平面視U字状の線形を有し、
少なくとも二つの前記スロープと、該スロープ同士を繋ぐ踊り場とを有することを特徴とする。
【0013】
本態様によれば、平面視U字状の線形を有する高強度の仮設通行路を短時間に施工することができる。地面から仮設施設の入り口までの高さが高い場合、スロープの勾配には一般に制限が設けられていることから、二つのスロープを備えた平面視U字状の線形の仮設通行路にて入り口まで到達可能とするケースがある。また、入り口までの高さがより一層高い場合には、平面視U字状の仮設通行路に対して、さらに踊り場を介して別途の平面視U字状の線形の仮設通行路を組み合わせて入り口まで到達可能とするケースもある。このように、「平面視U字状の線形」は、平面視U字状の線形を一つ有する形態の他、平面視U字状の線形を二つ以上組み合わせた形態も含んでいる。また、その他、平面視U字状の線形を有する仮設通行路が、上り勾配のスロープと、踊り場を介して今度は下り勾配のスロープを有する形態なども、平面視U字状の線形を有する仮設通行路に含まれる。この形態は、一方通行の仮設通行路において、踊り場が仮設施設の入り口であったり、展望場所等である場合に対応する形態である。また、さらに、平面視U字状の仮設通行路が、例えば、地面から上る上り勾配のスロープと、これに通じる踊り場と、これに通じるさらに上り勾配のスロープを有し、このスロープにポーチが通じ、ポーチから仮設施設への出入りを可能とした形態であってもよい。この形態では、例えば、ポーチも仮設通行路の構成要素に含まれる。また、ポーチの横には、下り勾配のさらに他のスロープがあって地面へ通じていてもよいし、階段が設けられていて地面との間で昇降できるようになっていてもよい。
【0014】
また、本発明による仮設通行路の他の態様は、前記第一軸部材、前記第二軸部材及び前記第三軸部材がいずれも単管パイプからなり、前記第一固定部材と前記第二固定部材がいずれもクランプからなることを特徴とする。
【0015】
本態様によれば、通常の仮設部材として使用されている単管パイプを第一、第二、第三軸部材に適用し、同様に通常の仮設部材として使用されているクランプを第一、第二固定部材に適用することにより、スロープを備えた仮設通行路の骨格となる支持架台ユニットを、迅速に組み立てることができる。また、勾配の調整や再調整なども、単管パイプに対してクランプの取り付け位置を適宜調整することにより速やかに行うことができ、良好な施工性を享受できる。
【0016】
また、本発明による仮設通行路の他の態様は、前記枠状フレーム体が断面L型の金属部材からなり、前記単管パイプを下方から持ち上げるUボルトが該金属部材の一片に開設されたボルト孔に挿通され、ナット締めされて前記第一軸部材乃至前記第三軸部材のいずれかと前記枠状フレーム体が緊結されていることを特徴とする。
【0017】
本態様によれば、支持架台ユニットを構成する第一軸部材乃至第三軸部材のいずれかと枠状フレーム体を、仮設部材として一般に使用されているUボルトとナットにて容易に緊結することができる。支持架台ユニットを構成する第一軸部材乃至第三軸部材を形成する単管パイプをUボルトにて下方から持ち上げて枠状フレーム体を形成する金属部材の一片に固定することから、一般に水平方向に延設する第二軸部材もしくは第三軸部材を構成する単管パイプと枠状フレーム体を構成する金属部材とが緊結されることになる。
【0018】
また、本発明による仮設通行路の他の態様は、前記床パネルの通行路表面が滑り防止性能を有しており、該滑り防止性能が、該床パネルの表面に形成されている凹凸柄からなることを特徴とする。
【0019】
本態様によれば、床パネルが表面に凹凸柄を備えて滑り防止性能を有することにより、滑り難いスロープを備えた仮設通行路を形成することができる。ここで、床パネルは、金属製、樹脂製のいずれであってもよいが、搬送性や取り付け性等の施工性に優れた、可及的に軽量でかつ硬質の樹脂製の床パネルが好ましい。また、樹脂材料中に繊維材が混合されて強度補強された材料からなる床パネルであってもよい。
【0020】
また、本発明による仮設通行路の他の態様は、前記仮設通行路が、少なくとも前記スロープと踊り場を有してそれらの取り合い部において前記床パネル間の隙間を有しており、該隙間に隙間埋め床ジョイントが取り付けられて該隙間が解消されていることを特徴とする。
【0021】
本態様によれば、スロープと踊り場等、勾配の異なるエリアの取り合い部において、双方の床パネル間に生じる隙間に対して隙間埋め床ジョイントが取り付けられていることにより、隙間の無い仮設通行路を形成することができる。
【0022】
また、本発明による仮設通行路の施工方法の一態様は、少なくともスロープを有する仮設通行路の施工方法であって、
通行方向に間隔を置いて配設され、鉛直方向に立設している複数の第一軸部材と、
それぞれの前記第一軸部材において前記仮設通行路の縦断線形に対応する位置に取り付けられている第一固定部材と、
それぞれの前記第一固定部材に固定され、通行方向に直交方向に延びている複数の第二軸部材と、
それぞれの前記第二軸部材に取り付けられている第二固定部材と、
それぞれの前記第二軸部材の上に載置されて前記第二固定部材に固定され、間隔を置いて通行方向に延びている少なくとも二条の第三軸部材と、
から形成される支持架台ユニットを施工する支持架台ユニット施工工程と、
前記支持架台ユニットの上に複数の枠状フレーム体を並設して固定する枠状フレーム体施工工程と、
前記枠状フレーム体に床パネルを嵌め込んで前記仮設通行路を施工する床パネル施工工程と、を有することを特徴とする。
【0023】
本態様によれば、支持フレーム体施工工程において、複数種の軸部材を用いてスロープを含む仮設通行路の骨格を形成する支持架台ユニットを短時間に施工することができる。また、例えば第一軸部材に対して第一固定部材の取り付け位置を適宜調整することにより、スロープの勾配を規定する各第二軸部材の取り付け位置の調整や、この第二軸部材にて支持される第三軸部材の勾配(縦断線形)の調整を容易に行うことができる。また、支持架台ユニットが施工された後は、この支持架台ユニットに対して枠状フレーム体を固定し、枠状フレーム体に床パネルを嵌め込んで仮設通行路の施工が完了することから、現地において速やかに仮設通行路を施工することができる。