(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
所定時間で区切られた時間枠のうち、一または複数の前記時間枠にわたって提供される少なくとも一のサービスであって、標準価格と、前記サービスに要する時間枠数と、が設定された前記サービスに対して、前記サービスの開始時間ごとに前記標準価格に対して変動する変動価格を算出するための価格算出システムであって、
前記時間枠ごとに設定された前記標準価格に対する増減を示す変動情報を記憶する記憶部と、
前記サービスに要する前記時間枠数が複数である場合、前記サービスに要する各前記時間枠に設定された複数の前記変動情報に基づいて、前記サービスの開始時間ごとの前記変動価格を算出する変動価格算出部と、を備える、価格算出システム。
前記表示制御部は、算出された前記複数の変動価格を予約を受け付ける日付および前記時間枠を用いたマトリクス表示で前記被サービス提供者の端末に表示する、請求項6または7記載の価格算出システム。
過去の前記変動情報および前記変動情報の算出に利用されたデータに基づいて、前記変動情報を算出し、前記サービス提供者の端末に前記変動情報の設定のための参照情報として送信する変動情報算出部をさらに備える、請求項9記載の価格算出システム。
過去の前記変動情報および前記変動情報の算出に利用されたデータに基づいて、前記変動情報を算出する変動情報算出部をさらに備える、請求項1から8のいずれか一項記載の価格算出システム。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明に係る価格算出システムの実施形態を添付図面に基づいて説明する。
【0012】
本実施形態においては、所定のサービスを提供するサービス提供者が、美容サービスを提供する「美容サロン(美容院)」であり、サービスを受ける被サービス提供者が「顧客」である例を用いて、本発明に係る価格算出システムの一実施形態を説明する。
【0013】
美容院が提供するサービスには、複数のサービスが含まれ、例えばレディースカット、メンズカット、トリートメント、カラー、ヘッドスパなどが含まれる。
【0014】
図1は、予約システム1(価格算出システム)と、ネットワーク2を介して接続された予約システム1を利用するサロン端末3および顧客端末4との関係を説明するネットワーク構成図である。
【0015】
図2は、予約システム1、サロン端末3、および顧客端末4の機能ブロック図である。
【0016】
予約システム1は、ネットワーク2を介して一以上のサロン端末3および一以上の顧客端末4と接続される。予約システム1が複数のサロン端末3と接続される場合には、営業主体の異同は問わない。すなわち、予約システム1は、A社が経営する複数の美容サロンの端末である場合や、営業主体の異なるA社、B社およびC社がそれぞれ経営する美容サロンの端末と接続されることを含み、予約システム1は複数の営業主体にも提供されうる。
【0017】
サロン端末3は、美容サロン(以下単に「サロン」ともいう。)が使用する端末であり、例えばパーソナルコンピュータ、タブレット、スマートフォンなどの情報端末である。サロン端末3は、表示部3aと、入力部3bと、を特に有する。これら各部は、サロン端末3が有するCPU、ROM、RAM、ディスプレイなどの表示装置、キーボード、マウス、タッチパネルなどの入力装置などにより実現される。
【0018】
顧客端末4は、サロンの顧客が使用する端末であり、例えばタブレット、パーソナルコンピュータ、スマートフォンなどの情報端末である。顧客端末4は、表示部4aと、入力部4bと、を特に有する。これら各部は、顧客端末4が有するCPU、ROM、RAM、ディスプレイなどの表示装置、キーボード、マウス、タッチパネルなどの入力装置などにより実現される。
【0019】
本実施形態においては、サロン端末3および顧客端末4は、予約システム1に指示を入力したり、予約システム1から得られる情報を出力したりする。
【0020】
予約システム1は、例えばサーバ装置である。予約システム1は、予約管理機能1aと、価格算出機能1bと、を有する。予約管理機能1aは、予約システム1がサロン端末3や顧客端末4から予約を受け付け管理する機能である。価格算出機能1bは、予約時に顧客に提示する、サービスに関する価格を算出する機能であり、標準価格に対して空き状況や日時などに応じて変動する変動価格を算出する機能であって、いわゆるダイナミックプライシングを実現する機能である。
【0021】
具体的には、予約システム1は、予約処理部10と、変動情報処理部20と、を有し、予約管理機能1aおよび価格算出機能1bはこれら各部により複合的に実現される。
【0022】
予約処理部10は、予約受付部11と、変動価格算出部12と、表示制御部13と、記憶部14と、を有する。これら各部は、予約システム1が有するCPU、ROM、RAM、ディスプレイなどの表示装置、キーボード、マウス、タッチパネルなどの入力装置などにより実現される。
【0023】
予約受付部11は、サロン端末3や顧客端末4より予約に関する情報を受け付け、処理する。予約受付部11が管理する情報には、予約枠情報や予約情報が含まれる。
【0024】
予約枠情報は、例えば時間枠ごとに予約の受付が可能な数(予約受付可能数)や、サービスの提供が可能な担当者に関する情報(担当者のシフト情報)を含む。予約枠情報は、サロン端末3より適宜設定される、主に予約枠を定義するための情報であり、設定された情報は記憶部14に記憶される。
【0025】
「時間枠」は、所定時間で区切られた概念であり、例えば10:00〜10:30の枠、10:30〜11:00の枠、のように、30分単位に区切られた概念である。「時間枠」は、どのような長さであってもよく、5分や10分であってもよい。より短い単位であることにより、実情を反映した精度の高い変動価格の設定ができる。「受付可能数」は、担当者の数や担当者の能力に応じた同時提供可能数に応じて設定される、時間枠ごとに設定される予約の受け入れ可能な数である。
【0026】
予約情報は、サロン端末3や顧客端末4から受け付ける、サロンが予約を受け付け、管理するために必要な、予約に関する情報や顧客に関する情報であり、施術内容(サービス内容)、施術開始時間(サービス開始時間)、担当者の指名の有無、顧客名、顧客の連絡先、新規来店予約であるか否か、2回目以降の来店予約であるか否か、などを含む情報である。また、予約情報は、サービスが変動価格の適用の対象になるか否かについての情報(変動対象情報)も含まれる。変動対象情報は、サービスごとに、例えばサロン端末3より適宜設定される。例えば、サロン端末3は、変動価格を適用し値下げしなくても予約が埋まるようなサービスについては、変動価格の対象外としたり、意図的に予約を埋めたいサービスについては、変動価格し値下げする対象としたりする。この変動対象情報は、サービスごとに設定される以外にも、スタッフまたは顧客ごとに、変動価格の適用の対象になるか否かについて設定される情報であってもよい。予約受付部11は、予約情報を取得した場合には、記憶部14に記憶し、予約情報を適宜更新する。
【0027】
予約処理部10は、サロンが対面や電話、電子メール、SNS(Social Networking Service)などを介して受け付けた顧客からの予約に関する予約情報を、サロン端末3より取得する。また、予約処理部10は、予約システム1が顧客に提供する美容サロンごとのホームページや、アプリケーションソフト(アプリ)を介して、顧客端末4より予約を受け付ける。この予約処理部10が顧客端末4より予約を受け付ける処理の詳細は、後述する。
【0028】
変動価格算出部12は、変動情報に基づいて変動価格を算出する。変動情報は、時間枠ごとに予め設定された、標準価格に対する増減を示す情報であり、記憶部14に記憶されている。変動価格算出部12は、サービスが複数の時間枠にわたって提供される場合、サービスに要する各時間枠に設定された複数の変動情報に基づいて、サービス開始時間ごとの変動価格を算出する。この変動価格算出部12が変動価格を算出する処理の詳細は、後述する。
【0029】
表示制御部13は、サロン端末3の表示部3a、および顧客端末4の表示部4aに表示される画面の生成に関する制御を行う。例えば、表示制御部13は、予約を受け付ける予約受付画面を顧客端末4の表示部4aに表示する。また、表示制御部13は、変動価格算出部12により算出された複数の変動価格を、顧客端末4の表示部4aに表示する。
【0030】
記憶部14は、予約受付部11により管理される予約枠情報や、予約情報を記憶する。記憶部14は、過去の予約枠情報や予約情報(過去の受付可能数、変動対象予約数、変動非対象予約数、変動情報など。実績または予測数を含みうる。)についても累積的に記憶する。記憶部14は、後述する変動情報処理部20の変動情報算出部22が算出し出力する変動情報も記憶する。
【0031】
変動情報処理部20は、取得部21と、変動情報算出部22と、を有する。
【0032】
取得部21は、記憶部14より所定のタイミングで予約枠情報や予約情報を取得する。
【0033】
変動情報算出部22は、取得部21が取得した予約枠情報や予約情報に基づいて、変動情報を算出する。変動情報算出部22による変動情報算出処理については、後述する。
【0034】
次に、本実施形態における予約システム1が実施する、予約受付処理および変動情報算出処理の2つの処理について、詳細に説明する。
【0035】
図3は、予約処理部10により実行される予約受付処理を説明するフローチャートである。この予約受付処理は、予約システム1が顧客端末4よりサービス内容の選択を受け付けるための予約受付画面を表示する指示を受け付けた場合に開始する。
【0036】
ステップS1において、表示制御部13は、予約受付画面を生成し、顧客端末4に表示する。ここで、
図4は、顧客端末4に表示される予約受付画面例を示す説明図である。
図4で例示的に示す予約受付画面は、顧客が選択可能なサービスのうち、利用可能なクーポンを選択することにより、サービスの選択を受け付ける画面である。
【0037】
予約受付画面は、複数のサービス内容31(「4STEPトリートメント+カット」、「お子様カット」など)と、このサービス(クーポン)の選択を受け付ける指示ボタン32と、このサービスにさらに他のサービス(オプションメニュー)を追加する指示ボタン33と、を有する。また、サービス内容31を選択した後に、担当者の指名の有無など、予約に必要な情報を適宜受け付けてもよい。また、予約受付画面は、クーポンの選択に限らず、サービス名を単に一覧表示し、その中から選択を受け付けてもよい。顧客端末4は、例えば顧客によるマウス操作やタッチ操作によりサービスの選択やサービスの追加の指示を入力する。
【0038】
ステップS2において、予約受付部11は、予約受付画面を介して、顧客端末4からサービスの選択を受け付けたか否かの判定を行う。予約受付部11は、受け付けていないと判定した場合(ステップS2のNO)、受け付けるまで待機する。一方、予約受付部11は、サービスの選択を受け付けたと判定した場合(ステップS2のYES)、ステップS3において、記憶部14の変動対象情報を参照し、選択されたサービスが変動価格の適用の対象になるか否かを判定する。なお、全サービスメニューが変動価格の適用の対象である場合には、このステップS3は省略される。
【0039】
予約受付部11は、選択されたサービスが変動価格の適用の対象にならないと判定した場合(ステップS3のNO)、ステップS6に進む。一方、予約処理部10により選択されたサービスが変動価格の適用の対象になると判定した場合(ステップS3のYES)、ステップS4において、変動価格算出部12は、記憶部14の変動情報を参照する。ここで、
図5は、予約受付時点以降の時間枠ごとに設定された変動情報の一例を示す説明図である。
【0040】
変動情報は、日付ごとに、予約受付時点以降の時間枠ごとに設定された標準価格に対する増減を示す情報(以下単に、「日時プライシング計算用データ」という。)である。例えば
図5に示すように、変動情報は、標準価格に対する変動率で表される値である。例えば、変動率が0.8の場合、標準価格に0.8を乗じた額が変動価格として算出される。変動情報は、サービスを提供する複数の担当者を区別せずに設定されてもよいし(
図5の「店舗全体」の変動率に相当)、担当者ごとに設定されてもよい(
図5の「スタッフA」、「スタッフB」、「スタッフC」の変動率に相当)。変動価格算出部12は、例えば、サービスの選択とともに担当者の指名を受け付けた場合には、該当するスタッフの変動率を参照し、指名がない場合には店舗全体の変動率を参照する。
【0041】
また、変動情報は、日時プライシング計算用データとともに、または日時プライシング計算用データに代えて、予約受付時点からサービスを行う日までの日数(期間)に応じて設定される標準価格に対する増減を示す情報(以下単に、「期間プライシング計算用データ」という。)を用いてもよい。
図6は、予約受付時点からサービス提供日までの期間に応じて設定された変動情報の一例を示す説明図である。
【0042】
例えば
図6に示すように、期間プライシング計算用データは、予約受付時点と同日である「当日」(サービス提供日の0日前)の各時間枠、および予約受付時点がサービス提供日の1日前である場合の時間枠ごとに設定された、標準価格に対する変動率で表される値である。期間プライシング計算用データは、15日前、30日前のように種々の期間に応じて設定される。
【0043】
日時プライシング計算用データは、例えば予約の受付可能数に対して実際に受け付けた予約数が少ない時間枠や、美容サロンの利益や負荷の均一化のために予約を受けたい日や時間枠の価格を低額にしたり、反対に、予約が込み入っている時間枠の価格を高額にしたりすることで、顧客の予約を誘導するために、利用される。
【0044】
期間プライシング計算用データは、先の予約(早期の予約)に対する価格を低額にする(いわゆる早期割引)ことで、例えばサービス提供者側の担当者の勤怠管理を計画的に行うために、利用される。
【0045】
ステップS5において、変動価格算出部12は、選択されたサービスに対する変動価格を算出する。変動価格算出部12は、サービスに要する時間が1つの時間枠におさまる場合、各時間枠に設定される変動情報に基づいて変動価格を算出する。変動価格算出部12は、サービスに要する時間枠が複数である場合、サービスに要する各時間枠に設定された複数の変動情報に基づいて、サービス開始時間ごとの変動価格を算出する。
【0046】
例えば、サービスに要する時間枠が3つである場合、変動価格算出部12は、
図5や
図6の10:00〜10:30、10:30〜11:00、11:00〜11:30の連続する3つの時間枠に設定された変動情報に基づいて、変動価格を算出する。変動価格算出部12は、例えば3つの変動率の平均値を算出し、標準価格にこの平均値を乗じることにより変動価格を算出する。変動価格算出部12は、平均値以外にも、予め設定された任意の比率で標準価格に各変動率を乗じることにより、変動価格を算出してもよい。期間プライシング計算用データを用いる場合についても同様である。
【0047】
変動価格算出部12は、変動情報参照ステップS4で取得した変動情報に基づいて価格を算出する方法以外にも、サービス開始時間ごとにサービスに要する時間枠ごとの変動情報を算出し、記憶部14に変動情報として記憶しておいてもよい。例えば、変動価格算出部12は、サービス開始時間が10:00であり、かつサービスに要する時間枠が2つである場合の変動情報、3つである場合の変動情報を、サービスの提供に要する各時間枠の変動情報の平均値や所定の比率で予め算出し、記憶しておいてもよい。
【0048】
変動価格算出部12は、日時プライシング計算用データおよび期間プライシング計算用データの両者を用いて変動価格を算出してもよいし、いずれか一方のみを用いて算出してもよい。使用するデータの選択は、サービス提供者が任意に選択可能であることが好ましい。変動価格算出部12が日時プライシング計算用データおよび期間プライシング計算用データの両者を用いる場合には、例えば両者の変動情報(変動率)の平均値を変動価格の算出に用いたり、任意の比率で用いたりする。
【0049】
変動価格算出部12は、サービス開始時間が10:00の場合、10:30の場合、11:00の場合、のように、サービス開始時間ごとに変動価格を算出する。また、変動価格算出部12は、予約の受付が可能な期間(顧客に変動価格を提示可能な期間、例えば1ヶ月分など)の全ての変動価格を算出する。
【0050】
ステップS6において、表示制御部13は、変動価格算出部12により算出された価格を、顧客端末4に表示する。ここで、
図7は、表示制御部13により顧客端末4に表示される、変動価格表示画面の一例を示す説明図である。表示制御部13は、例えば、横軸を予約を受け付ける日付、縦軸をサービスの開始時間としてマトリクス表示し、例えば1週間分の変動価格を1画面に表示する。表示制御部13は、例えば、予約可能な時間枠についてのみ、空き情報とともに変動価格を表示し、予約不可能な時間枠についてはバツ印などを表示し、変動価格を表示しない。
【0051】
このとき、表示制御部13は、表示された期間(所定期間)のうち、最も安い価格を強調表示したり、「期間最安値」として欄を設けて表示したりすることで、顧客の視認性をよくする。また、表示制御部13は、顧客が最安値が設定された時間枠での予約を簡易な操作で指示しやすいように、「最安値予約」の指示ボタン41を表示する。顧客端末4は、各時間枠をクリック操作することなどにより、時間枠の指定を入力する。変動情報に基づいて算出された変動価格は、会計処理時などのサロンや顧客の取扱性を考慮して、例えば下一桁を四捨五入したり、切り捨てたりするのが好ましい。
【0052】
なお、変動対象判定ステップS3において、変動価格の適用対象外であると判断されたサービスについては、表示制御部13はステップS6において、変動価格ではなく標準価格を時間枠の空き情報とともに表示する。
【0053】
ステップS7において、予約受付部11は、顧客端末4より予約を行う時間枠の選択を受け付けたか否かを判定する。予約受付部11は、選択を受け付けていないと判定した場合(ステップS7のNO)、選択を受け付けるまで待機する。一方、予約受付部11は、選択を受け付けたと判定した場合(ステップS7のYES)、ステップS8において、顧客端末4から受け付けた情報に基づいて、記憶部14に予約情報を記憶する。
【0054】
次に、変動情報処理部20により実行される、変動情報参照ステップS4において参照される、変動情報を算出する処理について説明する。
図8は、変動情報処理部20により実行される変動情報算出処理を説明するフローチャートである。
【0055】
ステップS11において、変動情報算出部22は、変動情報の算出時期が到来したか否かを判定する。変動情報の算出は、周期的に実行されたり、所定のタイミングで実行されたりする。例えば、変動情報算出部22は、変動情報を1日ごとに算出したり、所定時間おきに実行したりする。また、変動情報算出部22は、記憶部14の予約枠情報(例えば受付可能数)や予約情報が更新されたタイミングで実行してもよい。変動情報の算出時期は、予約の状況に則した変動価格を算出する観点から、より最新の予約枠情報、予約情報を利用するのが好ましいが、予約システム1の処理負荷などとのバランスを考慮し、適宜設定される。
【0056】
変動情報算出部22は、算出時期が到来していないと判定した場合(ステップS11のNO)、算出時期が到来するまで待機する。一方、変動情報算出部22により算出時期が到来したと判定された場合(ステップS11のYES)、ステップS12において、取得部21は記憶部14より予約枠情報および予約情報を取得する。ここで取得部21が取得する予約枠情報および予約情報は、変動情報算出ステップS14において変動情報を算出するために利用可能な情報であって、過去の時間枠ごとの受付可能数、変動対象予約数、変動非対象予約数(後述)、新規来店予約であるか否か、2回目以降の来店予約であるか否か、などの種々の情報である。
【0057】
ここで、
図9は、日時プライシング計算用データを求めるための情報を示す説明図である。
図9においては、2月1日の10:00以前に取得された予約枠情報に基づいて、2月1日の10:00〜10:30の時間枠の変動情報(変動率)を算出するために取得された予約枠情報が示されている。また、
図10は、期間プライシング計算用データを求めるための情報を示す説明図である。
図10においては、2月1日において1日前に予約を受け付ける場合の10:00〜10:30の時間枠の変動情報を算出するために取得された予約枠情報が示されている。
図9および
図10においては、1月23日から1月31日については、10:00〜10:30の時間枠で過去に算出され、変動情報の算出に用いられた予約枠情報(過去の実績)、変動情報が示されている。
【0058】
ステップS13において、変動情報算出部22は、取得した予約枠情報および予約情報に基づいて、予測変数を算出する。予測変数は、一例として、変動対象予約数および変動非対象予約数である。「変動対象予約数」は、受付可能数のうち、変動価格が適用される予約受付数である。「変動非対象予約数」は、受付可能数のうち、変動価格が適用されず、各サービスに設定された標準価格が適用される予約受付数である。標準価格は、予め設定された通常適用される固定の価格であり、変動価格が適用されないものにはこの標準価格が適用される。
図9および
図10の例では、2月1日の10:00〜10:30の時間枠の変動対象予約数(当日変動対象予約数)、および変動非対象予約数(当日変動非対象予約数)が、予測変数に対応する。
【0059】
変動情報算出部22は、例えば、過去の変動対象予約数、変動非対象予約数などの種々の要素に基づいて、AI予測により将来の変動対象予約数および変動非対象予約数を算出できる。変動情報算出部22は、実績としての過去の変動対象予約数、変動非対象予約数を用いることができる。また、変動情報算出部22は、過去に実施された変動情報算出処理において変動情報を算出するために用いられた予測値としての変動対象予約数および変動非対象予約数と、実績としての変動対象予約数および変動非対象予約数との差分を用いて予測してもよい。これらの過去の変動対象予約数および変動非対象予約数は、変動情報の決定後、例えば記憶部14に過去の予約枠情報として記憶されている。
【0060】
ステップS14において、変動情報算出部22は、各時間枠の変動情報を算出する。変動情報は、例えば、過去の予約枠情報とこれらの予約枠情報に基づいて過去に算出された変動情報(過去の変動情報および変動情報の算出に利用されたデータ)と、予測変数算出ステップS13で算出された予測変数とから、重回帰分析を用いて算出される。変動情報算出部22は、重回帰分析を行うに当たり、予約枠情報にさらに他の要素を用いてもよく、例えば曜日、季節、降水確率などの集客に相関関係のある要素を用いてもよい。
【0061】
例えば、
図9の例では、1月23日から1月31日の10:00〜10:30の時間枠の曜日、受付可能数、変動非対象予約数、変動対象予約数、変動率、およびAI予測により得られた変動非対象予約数および変動対象予約数に基づいて、2月1日の同時間枠の変動率を算出している。変動情報算出部22は、同様の算出を全ての時間枠の変動情報について行う。
【0062】
なお、重回帰分析は変動情報を算出する方法の一例であって、変動情報の算出にはどのような方法を用いてもよい。
【0063】
変動情報算出部22はさらに、変動情報が算出された後に、売上を最大化する変動情報の最適値を求めてもよい。重回帰分析の結果である変動情報を増減させる要素の一例として、変動対象予約数がある。変動情報算出部22は、変動対象予約数を、取り得る最小値から最大値(受付可能数との関係で取り得る範囲の値)の間で異ならせて重回帰分析を都度行い変動情報を求め、売上が最大化する変動対象予約数を決定する。
【0064】
図9の例では、売上は、標準価格でサービスが提供される変動非対象予約数と、変動価格でサービスが提供される変動対象予約数に変動率を乗じた数との和で表される。変動情報算出部22は、受付可能数を変動対象予約数および変動非対象予約数の和の最大値として、変動対象予約数の値を増減させて都度重回帰分析を行うことにより変動率を算出し、得られた変動率を用いて売上を算出し、売上を最大化させる変動対象予約数の値を決定する。なお、変動対象予約数の調整は、変動情報算出部22が自動的に行ってもよい。また、ここで変動させる数値は、変動対象予約に限らない。すなわち、重回帰分析の結果を変動させる他の要素があれば、その要素が用いられてもよい。
【0065】
また、
図10の例においても同様に、変動情報算出部22は、当日変動対象予約数の値を増減させ都度重回帰分析を行うことにより変動率を算出し、得られた変動率を用いて売上を算出し、売上を最大化させる当日変動対象予約数の値を決定する。なお、「当日変動対象予約数」は、予約受付部11が当日(サービス提供日の1日前)に受け付ける予約数のうち、変動価格が適用される予約受付数である。「当日変動非対象予約数」は、予約受付部11が当日(サービス提供日の1日前)に受け付ける予約数のうち、変動価格が適用されず、各サービスに設定された標準価格が適用される予約受付数である。
【0066】
なお、変動情報算出部22は、担当者を区別せずに変動情報を算出してもよいし、担当者ごとに異なる変動情報を算出してもよい。
【0067】
ステップS15において、変動情報算出部22は、算出された変動情報を予約処理部10に出力する。記憶部14は、変動情報を記憶する。変動情報算出部22は、変動情報の算出に用いた値(変動対象予約数、変動非対象予約数など)も予約処理部10に出力し、記憶部14はこれを記憶する。この結果は、例えば
図5の日時プライシング計算用データの2月1日の変動率、および
図6の期間プライシング計算用データの1日前の変動率として設定される。
【0068】
このような予約システム1は、美容サロンのような、顧客の選択するサービスに応じて要する時間枠が異なる場合であっても、時間枠ごとに予め設定された変動情報を用いてより詳細な変動価格の決定が可能である。これにより、予約システム1は、最適な価格設定により顧客の予約を誘導でき、美容院の利益の最大化や、人的資源のマネジメントを好適に行うことができる。また、予約の受付可能数などに応じて変動情報を算出し、予め保有しておくことで、顧客よりサービスを選択され要する時間枠が得られたタイミングで変動価格を算出することができるため、実態に則した変動価格を提示できる。
【0069】
また、変動価格表示画面においては、顧客に対して価格を視認性よく表示することにより、価格を重視する顧客に対しては時間枠の選択を容易にさせることができる。
【0070】
本開示ではいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0071】
例えば、サービス提供者は、美容サロンに限らず、マッサージ店や理髪店、飲食店など受け付けた予約に基づいて異なる時間枠で顧客にサービスを提供するものであれば、どのような業種に携わる者であってもよい。
【0072】
変動情報が変動情報処理部20により算出される例を説明したが、サービス提供者により任意に手動で設定されてもよい。この場合、変動情報算出部22は、サービス提供者が変動情報を設定するためのアドバイス(参照情報)として算出値をサロン端末3に送信し、サービス提供者に供給してもよい。
【0073】
変動情報が、標準価格に乗算されて変動価格を算出させる変動率である例を用いて説明したが、標準価格に加減される変動額(金額)であってもよい。
【0074】
価格算出システムとして、予約システム1がサーバ装置で実現される例を用いて説明したが、ネットワーク上で利用可能に提供されるプログラムであったり、記録媒体に格納されて提供されるプログラムとして既存のサーバ装置などに提供されるものであったりしてもよい。
【解決手段】所定時間で区切られた時間枠のうち、一または複数の前記時間枠にわたって提供される少なくとも一のサービスであって、標準価格と、前記サービスに要する時間枠数と、が設定されたサービスに対して、前記サービスの開始時間ごとに前記標準価格に対して変動する変動価格を算出するための価格算出システムであって、前記時間枠ごとに設定された前記標準価格に対する増減を示す変動情報を記憶する記憶部と、前記サービスに要する前記時間枠数が複数である場合、前記サービスに要する各前記時間枠に設定された複数の前記変動情報に基づいて、前記サービスの開始時間ごとの前記変動価格を算出する変動価格算出部と、を備える。