(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値等は、発明の理解を容易とするための例示にすぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0013】
(スロットマシン100の機械的構成)
図1および
図2の外観図に示すように、遊技機としてのスロットマシン100は、前面が開口した筐体102と、筐体102の前面一端に回動可能に上下に並んで配置される前面上扉104および前面下扉106とが設けられている。前面上扉104の下部略中央には、ガラス板や透明樹脂板等で構成された無色透明の図柄表示窓108が設けられており、筐体102内の図柄表示窓108に対応する位置には、3つのリール110(左リール110a、中リール110b、右リール110c)が、それぞれ独立して回動可能に設けられている。左リール110a、中リール110b、右リール110cには、
図3(a)の図柄配列に示すように、20に等分された各領域に複数種類の図柄がそれぞれ配列されており、遊技者は、図柄表示窓108を通じて、上段、中段、下段に位置する、左リール110a、中リール110b、右リール110cそれぞれの3つの連続する合計9個の図柄を視認することができる。
【0014】
前面下扉106の上部には操作部設置台112が形成され、操作部設置台112には、メダル投入部114、ベットスイッチ116、スタートスイッチ118、ストップスイッチ120、演出スイッチ122等が設けられている。メダル投入部114は、メダル投入口114aを通じて遊技媒体としてのメダルの投入を受け付ける。ベットスイッチ116は、スロットマシン100の内部に電気的に貯留(以下、単にクレジットという)されているメダルのうち、1遊技で必要とされる規定数のメダルを投入(ベット)する。
【0015】
スタートスイッチ118は、例えば、傾倒操作を検出可能なレバーで構成され、遊技者による遊技の開始操作を検出する。ストップスイッチ120(ストップスイッチ120a、ストップスイッチ120b、ストップスイッチ120c)は、左リール110a、中リール110b、右リール110cそれぞれに対応して設けられており、遊技者の停止操作を検出する。演出スイッチ122は、例えば、押圧スイッチと、その周囲に回転自在に配されたジョグダイヤルスイッチとから構成され、遊技者の押圧操作や回転操作を検出する。
【0016】
前面上扉104の上部略中央には、演出に伴う様々な画像を表示する液晶表示部124が設けられている。また、液晶表示部124の左右には、液晶表示部124の前面を左右方向に移動することで液晶表示部124の一部を覆う演出役物装置146が設けられる。また、前面上扉104の上部や左右には、例えば、高輝度の発光ダイオード(LED)によって構成される演出用ランプ126が設けられる。また、前面上扉104の裏面における液晶表示部124の左右位置や前面下扉106の裏面における左右位置には、効果音や楽音等による聴覚的な演出を行うスピーカ128が設けられている。
【0017】
操作部設置台112には、メインクレジット表示部130およびメイン払出表示部132が設けられている。また、図柄表示窓108と操作部設置台112との間には、サブクレジット表示部134およびサブ払出表示部136が設けられている。これらメインクレジット表示部130およびサブクレジット表示部134にはクレジットされているメダルの枚数(クレジット枚数)が表示され、メイン払出表示部132およびサブ払出表示部136にはメダルの払出枚数が表示される。
【0018】
筐体102内におけるリール110の下方には、メダル排出口140aからメダルを払い出すためのメダル払出装置(メダルホッパー)142が設けられている。また、前面下扉106の前面下部には、メダル排出口140aから払い出されたメダルを貯留するための受け皿部140が設けられている。また、筐体102内には、電源スイッチ144が設けられている。電源スイッチ144は、スロットマシン100を管理する管理者が操作し、電源の切断状態と電源の投入状態の2つの状態を切り換えるために用いられる。
【0019】
スロットマシン100では、規定数のメダルがベットされると、有効ラインAが有効化するとともに、スタートスイッチ118に対する操作が有効となり、遊技が開始可能となる。ここで、ベットは、ベットスイッチ116の操作を通じてクレジットされているメダルを投入する場合と、メダル投入部114を通じてメダルを投入する場合と、詳しくは後述するリプレイ役が有効ラインA上に表示されたことに基づいてメダルを自動投入する場合のいずれも含む。また、有効ラインAは、当選役の入賞を判定するためのラインであり、本実施形態では1本である。有効ラインAは、
図3(b)に示すように、図柄表示窓108に臨む9つの図柄(3リール×上中下の3段)のうち、左リール110aの中段、中リール110bの中段、右リール110cの中段に停止する図柄に対応する位置を結んだラインに設定されている。無効ラインは、有効ラインA上に表示された図柄組み合わせのみでは当選役を把握しにくい場合に、当選役の把握を容易にする他の図柄組み合わせを表示する、当選役の入賞判定には用いられない有効ラインA以外のラインであり、本実施形態では、
図3(b)に示す4つの無効ラインB1、B2、C1、C2を想定している。
【0020】
そして、遊技が開始可能な状態で、遊技者によりスタートスイッチ118が操作されると、遊技が開始され、左リール110a、中リール110b、右リール110cが回転されるとともに、当選種別抽選等が実行される。その後、ストップスイッチ120a、120b、120cの操作に応じて、対応する左リール110a、中リール110b、右リール110cをそれぞれ停止させる。そして、当選種別抽選の抽選結果および有効ラインAに表示された図柄の組み合わせによって、メダルの払い出しを受け得る当選役が入賞した場合にはメダルの払い出しが実行され、メダルの払い出しを受け得る当選種別に非当選であった場合または当選したが入賞しなかった場合には左リール110a、中リール110b、右リール110cが全て停止したことをもって、遊技が終了する。
【0021】
なお、本実施形態において、上記1遊技は、メダル投入部114を通じたメダルの投入、ベットスイッチ116の操作を通じたクレジットされているメダルの投入、または、リプレイ役が有効ラインA上に表示されたことに基づくメダルの自動投入のいずれかが行われてから、遊技者によるスタートスイッチ118の操作に応じて、左リール110a、中リール110b、右リール110cが回転制御されるとともに当選種別抽選が実行され、当選種別抽選の抽選結果および遊技者による複数のストップスイッチ120a、120b、120cの操作に応じて、操作されたストップスイッチ120a、120b、120cに対応する左リール110a、中リール110b、右リール110cがそれぞれ停止制御され、メダルの払い出しを受け得る当選役が入賞した場合、そのメダルの払い出しが実行されるまでの遊技をいう。また、メダルの払い出しを受け得る当選種別に非当選であった場合または当選したが入賞しなかった場合、左リール110a、中リール110b、右リール110cが全て停止したことをもって1遊技が終了する。ただし、1遊技の開始を、上記のメダルの投入、または、リプレイ役の当選の代わりに、遊技者によるスタートスイッチ118の操作と読み替えてもよい。また、かかる1遊技が繰り返される数を遊技数とする。
【0022】
(スロットマシン100の電気的構成)
図4は、スロットマシン100の概略的な電気的構成を示したブロック図である。
図4に示すように、スロットマシン100は、遊技の進行を制御する主制御基板200と、遊技の進行に応じた演出を制御する副制御基板202とを含む制御基板が設けられている。また、主制御基板200と副制御基板202との間の電気的な信号の伝達は、不正防止等の観点から、主制御基板200から副制御基板202への一方向のみに制限される。
【0023】
(主制御基板200)
主制御基板200は、中央処理装置であるメインCPU200a、プログラム等が格納されたメインROM200b、ワークエリアとして機能するメインRAM200c等を含む半導体集積回路を有し、スロットマシン100全体を統括的に制御する。なお、メインRAM200cは、電源が切断された場合においても、設定変更が行われてRAMクリアが実行されない限り、データが消去されることなく保持される。
【0024】
また、主制御基板200は、メインCPU200aが、メインROM200bに格納されたプログラムに基づきメインRAM200cと協働することで機能する、初期化手段300、ベット手段302、当選種別抽選手段304、リール制御手段306、判定手段308、払出制御手段310、遊技状態制御手段312、演出状態制御手段314、コマンド送信手段316等の機能部を有する。
【0025】
主制御基板200では、メダル投入口114aへのメダルの投入を検出する投入メダル検出部114b、ベットスイッチ116、スタートスイッチ118およびストップスイッチ120a、120b、120cから各種の検出信号を受信しており、受信した検出信号に基づいて、メインCPU200aが種々の処理を実行する。
【0026】
初期化手段300は、主制御基板200における初期化処理を実行する。ベット手段302は、遊技に使用するためのメダルをベットする。当選種別抽選手段304は、スタートスイッチ118の操作に基づき、詳しくは後述するように、当選役の当否、より詳しくは、当選役が含まれる当選種別の当否を決定する当選種別抽選を行う。
【0027】
リール制御手段306は、スタートスイッチ118の操作に応じて、左リール110a、中リール110b、右リール110cを回転制御し、回転している左リール110a、中リール110b、右リール110cにそれぞれ対応したストップスイッチ120a、120b、120cの操作に応じて、対応する左リール110a、中リール110b、右リール110cを停止制御する。
【0028】
また、主制御基板200には、リール駆動制御部150が接続されている。このリール駆動制御部150は、スタートスイッチ118の操作信号に応じ、リール制御手段306から送信される、左リール110a、中リール110b、右リール110cの回転開始信号に基づいて、ステッピングモータ152を駆動する。また、リール駆動制御部150は、ストップスイッチ120の操作信号に応じ、リール制御手段306から送信される、左リール110a、中リール110b、右リール110cそれぞれの停止信号および回転位置検出回路154の検出信号に基づいて、ステッピングモータ152の駆動を停止する。
【0029】
判定手段308は、当選役に対応する図柄組み合わせが有効ラインA上に表示されたか否か判定する。ここで、当選役に対応する図柄組み合わせが有効ラインA上に表示されることを単に入賞という場合がある。払出制御手段310は、当選役に対応する図柄組み合わせが有効ラインA上に表示されたこと(入賞したこと)に基づいて、当該当選役に対応する数だけメダルを払い出す。また、主制御基板200には、メダル払出装置142が接続されており、払出制御手段310は、メダルの払出枚数を計数しながらメダルを排出する。
【0030】
遊技状態制御手段312は、当選種別抽選の結果や判定手段308の判定結果を参照し、複数種類の遊技状態のいずれかに遊技状態を移行させる。また、演出状態制御手段314は、当選種別抽選の結果、判定手段308の判定結果、遊技状態の移行情報を参照し、複数種類の演出状態のいずれかに演出状態を移行させる。
【0031】
コマンド送信手段316は、ベット手段302、当選種別抽選手段304、リール制御手段306、判定手段308、払出制御手段310、遊技状態制御手段312、演出状態制御手段314等の動作に伴う、遊技に関するコマンドを順次決定し、決定したコマンドを副制御基板202に順次送信する。
【0032】
また、主制御基板200には、乱数発生器200dが設けられる。乱数発生器200dは、計数値を順次インクリメントし、所定の数値範囲内でループさせ、所定の時点における計数値を抽出することで乱数を得る。主制御基板200の乱数発生器200dによって生成される乱数(以下、当選種別抽選乱数という)は、遊技者に付与する遊技利益、例えば、当選種別抽選手段304が当選種別を決定するために用いられる。
【0033】
(副制御基板202)
また、副制御基板202は、主制御基板200と同様に、中央処理装置であるサブCPU202a、プログラム等が格納されたサブROM202b、ワークエリアとして機能するサブRAM202c等を含む各種半導体集積回路を有し、主制御基板200からのコマンドに基づき、特に演出を制御する。また、サブRAM202cにもメインRAM200c同様、不図示のバックアップ電源が接続されており、電源が切断された場合においても、データが消去されることなく保持される。なお、副制御基板202にも、主制御基板200同様、乱数発生器202dが設けられており、乱数発生器202dによって生成される乱数(以下、演出抽選乱数という)は、主に演出の態様を決定するために用いられる。
【0034】
また、副制御基板202では、サブCPU202aが、サブROM202bに格納されたプログラムに基づき、サブRAM202cと協働することで機能する、初期化決定手段330、コマンド受信手段332、演出制御手段334等の機能部を有する。
【0035】
初期化決定手段330は、副制御基板202における初期化処理を実行する。コマンド受信手段332は、主制御基板200等、他の制御基板からのコマンドを受信し、コマンドに対する処理を行う。演出制御手段334は、演出スイッチ122から検出信号を受信するとともに、受信されたコマンドに基づいて演出パターンを決定し、かかる演出パターンに従って、液晶表示部124、スピーカ128、演出用ランプ126、演出役物装置146の各デバイスで行われる遊技の演出を決定する。具体的に、演出制御手段334は、演出パターンに従い、液晶表示部124に表示される画像データや、演出用ランプ126、サブクレジット表示部134、サブ払出表示部136等の電飾機器を通じた演出のための電飾データ、演出役物装置146を通じた演出のための役物動作データを決定するとともに、スピーカ128から出力すべき音声を構成する音声データを決定する。そして、演出制御手段334は、決定した遊技の演出を実行する。
【0036】
(主制御基板200で用いられるテーブル)
図5は、当選役を説明するための説明図であり、
図6は、当選種別抽選テーブルを説明するための説明図である。
【0037】
スロットマシン100においては、詳しくは後述するように、複数種類の遊技状態および演出状態が設けられており、遊技の進行に応じて遊技状態および演出状態が移行される。そして、主制御基板200では、遊技状態制御手段312により管理、制御される遊技状態に対応する複数の当選種別抽選テーブル等がメインROM200bに格納されている。当選種別抽選手段304は、メインRAM200cに記憶された現在の設定値(遊技利益を得る容易性を段階的に示したもの)と現在の遊技状態に応じて、対応する当選種別抽選テーブルをメインROM200bから抽出し、抽出した当選種別抽選テーブルに基づき、スタートスイッチ118の操作信号に応じて取得された当選種別抽選乱数が当選種別抽選テーブル内のいずれの当選種別に対応するか判定する。
【0038】
ここで、当選種別抽選テーブルで抽出される当選種別を構成する当選役には、リプレイ役、小役、ボーナス役が含まれる。リプレイ役は、リプレイ役に対応する図柄組み合わせが有効ラインA上に表示されると、遊技者によるメダルの新たなるベットを行わずして再度遊技を実行できる役である。小役は、その小役に対応する図柄組み合わせが有効ラインA上に表示されることにより、図柄組み合わせに応じて所定枚数のメダルの払い出しを受けることができる役である。また、ボーナス役は、そのボーナス役に対応する図柄組み合わせが有効ラインA上に表示されることにより、遊技状態制御手段312により管理される遊技状態をボーナス遊技状態に移行させることができる役である。
【0039】
本実施形態における当選役は、
図5に示すように、リプレイ役として、当選役「リプレイ」が設けられ、小役として、当選役「ベル」および当選役「チェリー」が設けられ、ボーナス役として、当選役「RBB」が設けられている。
図5では、左リール110a、中リール110b、右リール110cそれぞれに、各当選役を構成する1または複数の図柄が対応付けられている。なお、
図5中「ANY」は、対応する有効ラインA上にいずれの図柄が停止してもよいことを示す。
【0040】
ここで、本実施形態においては、遊技者によってストップスイッチ120が操作されたときに、入賞可能な当選役に対応する図柄組み合わせを構成する図柄が有効ラインA上にある場合には、リール制御手段306によって、当該図柄が有効ラインA上に停止するように停止制御がなされる。また、ストップスイッチ120が操作されたときに、入賞可能な当選役に対応する図柄組み合わせを構成する図柄が、有効ラインA上にはないが、リール110の回転方向と反対の方向の図柄4コマ分に相当する範囲(引込範囲)内に存在している場合には、リール制御手段306によって、離れている図柄数が滑りコマ数となり、当該当選役に対応する図柄組み合わせを構成する図柄を有効ラインA上に引き込むように滑りコマ数分回転を維持した後に停止するように停止制御がなされる。また、入賞可能な当選役に対応する図柄がリール110中に複数あり、いずれもリール110の引込範囲内に存在している場合には、予め定められた優先順位に従っていずれの図柄を有効ラインA上に引き込むか決定され、当該優先された図柄を有効ラインA上に引き込むように滑りコマ数分回転を維持した後に停止するように停止制御がなされる。なお、ストップスイッチ120が押圧操作されたときに、入賞可能な当選役以外の当選役に対応する図柄組み合わせを構成する図柄が有効ラインA上にある場合には、リール制御手段306によって、その図柄を有効ラインA上に停止させないようにする、所謂蹴飛ばし処理も並行して実行される。また、後述するように、当選種別に含まれる当選役に操作態様(操作順や操作タイミング)が入賞条件として設定されている場合、リール制御手段306は、遊技者の操作態様に応じて当選役に対応する図柄組み合わせを有効ラインA上に表示可能に停止制御する。そして、例えば、当選役「リプレイ」、当選役「ベル」に対応する図柄組み合わせを構成する図柄は、各リール110において、上記の停止制御によって、必ず有効ラインA上に表示可能なように配列されている。このような当選役をPB=1と表す場合がある。一方、例えば、当選役「チェリー」、当選役「RBB」に対応する図柄組み合わせを構成する図柄は、各リール110において、上記の停止制御によっては、必ずしも有効ラインA上に表示可能なように配列されていないので、所謂とりこぼしが発生する場合がある。このような当選役をPB≠1と表す場合がある。
【0041】
図6に示すように、当選種別抽選テーブルでは、複数の当選領域(当選エリア)が区画されており、各遊技状態によって抽選の対象となる当選種別が異なったり、ハズレ(不当選)の有無が異なったりする。
図6では、各遊技状態(通常遊技状態、内部中遊技状態、ボーナス遊技状態)毎に割り当てられた当選領域(当選種別)を「○」で表しているが、実際には、複数の遊技状態それぞれに対応する当選種別抽選テーブルがメインROM200bに記憶されている。当選種別抽選テーブルでは、区画化された各当選領域にはそれぞれ当選範囲を示す数値である所定の置数(当選範囲値)と当選種別が対応付けられており、遊技状態毎に割り当てられた全ての当選領域の置数を合計すると当選種別抽選乱数の総数(65536)となる。当選種別抽選手段304は、その時点の遊技状態に基づいて、当該当選種別抽選テーブルにおける複数の当選領域のうち番号の高い方から、順次、図示しない置数を取得し、その置数を当選種別抽選乱数から減算して、その減算値が0未満となると、その時点の当選領域に対応付けられた当選種別を当選種別抽選の抽選結果としている。
【0042】
図6の当選種別抽選テーブルによれば、例えば、当選領域0には、当選種別「ハズレ」が対応付けられており、かかる当選種別に当選すると、
図5に示したいずれの当選役に対応する図柄組み合わせも有効ラインA上に表示されることはなく、メダルの払い出し等が行われることはない。ただし、後述するように、BB内部当選フラグが次遊技に持ち越されている場合、当選種別「ハズレ」の当選により、当選役「RBB」に対応する図柄組み合わせを有効ラインA上に表示させることが可能となる。
【0043】
また、当選領域1には、当選種別「リプレイ」が対応付けられ、当選領域2には、当選種別「ベル」が対応付けられている。かかる当選種別が決定されると、それぞれ、当選役「リプレイ」に対応する図柄組み合わせ、当選役「ベル」に対応する図柄組み合わせを有効ラインA上に必ず表示させることができる。また、当選領域3には、当選種別「チェリー」が対応付けられ、当選領域4には、当選種別「RBB1」が対応付けられ、当選領域5には、当選種別「RBB2」が対応付けられている。かかる当選種別が決定されると、それぞれ、当選役「チェリー」に対応する図柄組み合わせ、当選役「RBB」に対応する図柄組み合わせ、当選役「RBB」または当選役「チェリー」に対応する図柄組み合わせを有効ラインA上に表示させることができる。ただし、これらの図柄組み合わせは、有効ラインA上に必ずしも表示させられるとは限らないので、その操作態様によっては、とりこぼしが発生することがある(PB≠1)。
【0044】
なお、上述したいずれかの当選種別に当選すると、それぞれの当選種別に対応する内部当選フラグが成立(オン)するとともに、この内部当選フラグの成立状況に応じて、各リール110の停止制御がなされることとなる。このとき、小役が含まれる当選種別に当選したものの、これら当選役に対応する図柄組み合わせを、その遊技内で有効ラインA上に表示させることができなかった場合には、当該遊技の終了後に内部当選フラグがオフされる。つまり、小役の当選の権利は小役が含まれる当選種別に当選した遊技内のみに限られ、当該権利を次遊技に持ち越すことはできない。これに対して、当選役「RBB」が含まれる当選種別に当選した場合には、BB内部当選フラグが成立(オン)するとともに、当選役「RBB」に対応する図柄組み合わせが有効ラインA上に表示されるまで、BB内部当選フラグが遊技を跨いで持ち越される。なお、リプレイ役である当選役「リプレイ」が含まれる当選種別に対応する内部当選フラグが成立した場合には、当選役「リプレイ」に対応する図柄組み合わせが必ず有効ラインA上に表示され、メダルを要することなく次遊技を行うために必要となる処理が行われた後に、当該内部当選フラグがオフされる。
【0045】
(遊技状態の遷移)
ここで、
図7を用い、上記ボーナス遊技状態を含む遊技状態の遷移について説明する。ここでは、通常遊技状態、内部中遊技状態、ボーナス遊技状態といった複数の遊技状態が準備されている。通常遊技状態は、複数の遊技状態における初期状態に相当する遊技状態である。そして通常遊技状態における当選種別抽選において、ボーナス役を含む当選種別のいずれかに当選し、BB内部当選フラグが成立すると、遊技状態制御手段312は、遊技状態をボーナス遊技状態の準備状態に相当する内部中遊技状態に移行する(1)。このとき、ボーナス役に対応する図柄組み合わせを有効ラインA上に表示させることができなかった場合には、そのままBB内部当選フラグが次遊技に持ち越され(内部中遊技状態が維持され)、次回以降の遊技においてもボーナス役に対応する図柄組み合わせを有効ラインA上に表示させることが可能となる。内部中遊技状態では、その前段(直前)の遊技状態よりリプレイ役の当選確率が高く設定されるので、メダルの消費を抑えつつ、ボーナス役に対応する図柄組み合わせを有効ラインA上に表示させるように狙うことができる。そして、遊技者が、ボーナス役に対応する図柄組み合わせを有効ラインA上に表示させると、遊技状態制御手段312は、遊技状態を、内部中遊技状態からボーナス遊技状態に移行する(2)。また、ボーナス遊技状態において、それぞれのボーナス役に対応付けられた所定枚数を超えるメダルが払い出されると、遊技状態制御手段312は、ボーナス役を含む当選種別が決定されたときの遊技状態に拘わらず、遊技状態を、ボーナス遊技状態から通常遊技状態に移行する(3)。
【0046】
(演出の具体例)
上述したように、演出制御手段334は、遊技状態の移行等、遊技の進行に応じて受信されたコマンドに基づき演出パターンを決定し、かかる演出パターンに従って、液晶表示部124、演出役物装置146の各デバイスで行われる遊技の演出を決定する。
【0047】
例えば、サブROM202bには、液晶表示部124に表示される図柄や背景等の画像データが多数格納されており、演出制御手段334は、演出パターンに対応する画像データをサブROM202bから不図示のVRAMに読み出して、液晶表示部124の画像表示を制御する。
【0048】
また、サブROM202bには、演出役物装置146に対する、移動可否(回転可否)、移動方向(回転方向)、移動速度(回転速度)、移動態様(回転態様)、移動タイミング(回転タイミング)等、演出役物装置146の一連の動作を示す役物動作データが多数格納されており、演出制御手段334は、演出パターンに対応する役物動作データをサブROM202bから読み出し、役物動作データに従って、不図示の役物コントローラに所定時間間隔で、移動方向(回転方向)、移動量(回転量)、移動速度(回転速度)の少なくともいずれかを示すコマンドを送信する。役物コントローラは、かかるコマンドに従い、演出役物装置146を駆動する。
【0049】
また、このような液晶表示部124と演出役物装置146とを関連付け、液晶表示部124を通じた演出と、演出役物装置146を通じた演出とを連動させることもある。
【0050】
図8は、液晶表示部124と演出役物装置146との位置関係を説明するための説明図である。
図8(a)に示すように、液晶表示部124の左右には、液晶表示部124の前面を左右方向に移動することで液晶表示部124の一部を覆う、扉(シャッター)に見立てた演出役物装置146a、146bが設けられている。演出役物装置146a、146bは、所定の経路(軌跡、軌道、通路、進路)を、それぞれ独立して移動することができる。したがって、
図8(b)のように、一方の演出役物装置(第1演出役物装置)146aが退避位置(図中左側)にある場合、その経路が開放されているので、他方の演出役物装置(第2演出役物装置)146bは、液晶表示部124の中央に対応する位置まで移動することができる。また、
図8(c)のように、他方の演出役物装置146bが退避位置(図中右側)にある場合、その経路が開放されているので、一方の演出役物装置146aは、液晶表示部124の中央に対応する位置まで移動することができる。ただし、演出役物装置146a、146bはいずれも同一の経路を移動することから、演出役物装置146a、146bは互いに干渉する場合がある。例えば、
図8(d)に示すように、一方の演出役物装置146aが液晶表示部124の左半分を覆う位置にある場合、他方の演出役物装置146bは、液晶表示部124の右半分を覆う位置までしか移動できない。このように、演出役物装置146a、146bは、それぞれ所定の経路を移動自在に形成されているものの、互いの位置によっては、移動範囲が制限され、個々の演出役物装置146が本来移動すべき位置に到達できなくなり演出効果が低減するという問題がある。
【0051】
図9は、液晶表示部124および演出役物装置146を通じた演出を説明するための説明図である。遊技者がスタートスイッチ118の操作を行い、当選種別抽選手段304が当選種別抽選により当選種別を決定すると、演出制御手段334は、遊技状態や決定された当選種別に応じた演出パターンに対応する画像データを決定し、
図9(a)のように、その画像データを液晶表示部124に表示する。そして、遊技者がストップスイッチ120a、120b、120cを操作し、
図9(b)のように第3停止(その遊技で、ストップスイッチ120a、120b、120cのうち既に2つのストップスイッチが有効に操作された後における、最後(3番目)のストップスイッチの操作)を終えると、演出制御手段334は、
図9(c)のように、左の退避位置に退避していた演出役物装置146aを図中右方向に移動させ、右の退避位置に退避していた演出役物装置146bを図中左方向に移動させて、演出役物装置146a、146bを閉じ、液晶表示部124の画面の前面を覆う。ここでは、液晶表示部124の覆われた部分に、何らかの遊技利益を示唆する画像が隠されているかのように見せている。そして、遊技者による次の遊技のベットスイッチ116またはスタートスイッチ118の操作に応じて、
図9(d)のように、演出役物装置146a、146bをそれぞれ左右の退避位置に戻し、液晶表示部124の画面において、例えば、ボーナス役の当選といった遊技利益が付与されていることを報知する。このような扉に見立てた役物を複数準備し、独立して移動させることで、演出のバリエーションを増やすことができる。
【0052】
図10、
図11は、演出役物装置146の動作を説明するための説明図である。ここでは、演出役物装置146a、146bの位置が、液晶表示部124を基準とする仮想的な座標(0〜100)で表される。例えば、
図10(a)のように、図中左側の演出役物装置146aの退避位置においては、その演出役物装置146aにおける演出役物装置146b側端部に相当する座標判定点148aの座標が「0」となり、図中右側の演出役物装置146bの退避位置においては、その演出役物装置146bにおける演出役物装置146a側端部に相当する座標判定点148bの座標が「100」となる。ここでは、座標判定点148a、148bの座標を、説明の便宜上、単に、演出役物装置146a、146bの座標と表す場合もある。
【0053】
ここで、演出制御手段334が、演出役物装置146a(正確には座標判定点148a)を座標「20」に、演出役物装置146b(正確には座標判定点148b)を座標「80」に移動させることを決定すると、
図10(b)のように、演出役物装置146a、146bを白抜き矢印のように移動させ、その座標で停止する。しかし、演出制御手段334が、演出役物装置146aを座標「60」に、演出役物装置146bを座標「40」に移動させることを決定すると、
図10(c)のように、演出役物装置146a、146b同士が干渉し、所望する座標に演出役物装置146a、146bを移動させることができなくなる。
【0054】
そこで、本実施形態において、演出制御手段334は、演出役物装置146aにおける演出役物装置146b側端部の座標(ここでは、座標判定点148aの座標)が、演出役物装置146bにおける演出役物装置146a側端部の座標(ここでは、座標判定点148bの座標)より、演出役物装置146a側となるように、すなわち、座標判定点148aの座標≦座標判定点148bの座標となるように、演出役物装置146aおよび演出役物装置146bの移動を制限する。
【0055】
例えば、演出制御手段334が、演出役物装置146a(正確には座標判定点148a)を座標「60」に、演出役物装置146b(正確には座標判定点148b)を座標「40」に移動させることを決定したとする。そうすると、座標判定点148aの座標>座標判定点148bの座標となるので、演出制御手段334は、演出役物装置146a、146b同士が干渉すると判定する。そして、演出制御手段334は、座標判定点148aの座標≦座標判定点148bの座標となるように、演出役物装置146aの目標とする座標を減らし(目標となる座標が小さくなるように変換し)、かつ、演出役物装置146bの目標とする座標を増やし(目標となる座標が大きくなるように変換し)、例えば、両者の目標とする座標をそれぞれ中間座標である「50」に変換し、
図10(d)のように、演出役物装置146a、146bを白抜き矢印のように移動させて中央で停止させる。こうして、演出役物装置146a、146b同士の干渉を回避することが可能となる。
【0056】
このとき、演出制御手段334は、目標となる座標の変換に伴い、その移動速度を変換してもよい。例えば、演出役物装置146a(正確には座標判定点148a)の目標となる座標を「60」から「50」に変換した場合、その移動速度を、目標となる座標が「60」であった場合の5/6倍に落とす。同様に、演出役物装置146b(正確には座標判定点148b)の目標となる座標を「40」から「50」に変換した場合、その移動速度を、目標となる座標が「40」であった場合の5/4倍に上げる。こうして、移動開始と移動終了(中央で停止)のタイミングを合わせることができる。なお、目標となる座標の変換に従って、移動開始と移動終了が同時になれば足り、演出役物装置146a、146bのいずれもの移動速度を変換しなくとも、いずれか一方のみ変換し、移動終了を合わせるとしてもよい。また、移動終了さえ同時になれば足りる場合、移動速度を変換せず、移動開始時刻のみを変換してもよい。例えば、目標となる座標が「60」であれば、座標が「0」に位置する演出役物装置146aを先に移動開始させ、演出役物装置146aの座標が「20」となった時点で、座標が「100」に位置する演出役物装置146bを、演出役物装置146aと同一の移動速度で移動開始させる。こうして、座標「60」の位置で、演出役物装置146a、146bを同時に移動終了させることができる。また、かかる目標となる座標や移動速度の変換に合わせて、その背景となる液晶表示部124の映像の変動も変化させてもよい。
【0057】
なお、ここでは、演出役物装置146aの移動と演出役物装置146bの移動とが同時に行われる場合の制御例を示したが、演出役物装置146a、146bの移動に時間差がある場合、以下のように制御する。例えば、演出制御手段334が、演出役物装置146aおよび演出役物装置146bのいずれか一方を先に移動させ、他方を後から移動させることを決定した場合、経路において、まず、一方を先に移動させ、その後の他方の移動を制限する。ここでは、他方における一方側(進行方向側)の座標が、一方における他方側(一方の手前側)の座標より、他方側(手前側)となるように制限される。
【0058】
例えば、演出役物装置146a、146bが
図11(a)のように位置している状態において、演出制御手段334が、先に、演出役物装置146aを座標「60」に移動させ、その後、演出役物装置146bを座標「40」に移動させることを決定したとする。この場合、移動後の演出役物装置146aの座標「60」と、現在の演出役物装置146bの座標「100」とが、座標判定点148aの座標≦座標判定点148bの座標の関係になるので、演出制御手段334は、演出役物装置146a、146b同士は干渉しないと判定し、
図11(b)のように、演出役物装置146aを移動させて座標「60」に停止させる。
【0059】
続いて、演出役物装置146bを移動させるが、移動後の演出役物装置146bの座標「40」と、現在の演出役物装置146aの座標「60」とが、座標判定点148aの座標>座標判定点148bの座標の関係になるので、演出制御手段334は、演出役物装置146a、146b同士が干渉すると判定する。このとき、演出制御手段334は、移動後の演出役物装置146bの座標が座標判定点148aの座標≦座標判定点148bの座標の関係になるように、目標とする座標を、例えば「60」に変換する。そして、演出制御手段334は、
図11(c)のように、演出役物装置146bを移動させて座標「60」に停止させる。こうして、演出役物装置146a、146b同士の干渉を回避することが可能となる。
【0060】
なお、ここでは、移動することが先に決定された演出役物装置146を優先して移動させ、移動することが後に決定された演出役物装置146の移動を制限する例を挙げて説明したが、かかる場合に限らず、後に移動する演出役物装置146の移動後の座標を予め把握することができる場合、演出制御手段334は、後に移動する演出役物装置146を優先して移動させるべく、先に移動する演出役物装置146の移動を制限するとしてもよい。すなわち、演出役物装置146a、146bのいずれか一方を先に移動させ、他方を後から移動させる場合に、演出制御手段334は、経路において、一方における他方側の座標が、他方を移動させた場合の他方における一方側の座標より、一方側となるように、一方の移動を制限し、その後、他方を移動させるとしてもよい。
【0061】
また、上記では、演出役物装置146aの移動と演出役物装置146bの移動とが同時に行われる場合、演出役物装置146a、146bぞれぞれの目標とする座標の間の座標に移動する例を挙げて説明したが、移動が同時に行われる場合であっても、上記の移動に時間差がある場合同様、予め定められた規則に従い、一方を優先し、他方の移動を制限するとしてもよい。
【0062】
以上、説明したように、座標判定点148aの座標>座標判定点148bの座標となる場合に、演出制御手段334が、座標判定点148aの座標≦座標判定点148bの座標の関係となるように、演出役物装置146a、146bの移動を制限することで、演出役物装置146a、146b同士の干渉を回避することが可能となる。
【0063】
また、ここでは、演出制御手段334が演出パターンに従い、一旦、演出役物装置146a、146bの移動を決定した後、その結果に基づいて改めて演出役物装置146a、146bの移動を制限している。したがって、何らかの理由により、誤って、座標判定点148aの座標>座標判定点148bの座標の関係になる場合であっても、事後的に、座標判定点148aの座標≦座標判定点148bの座標の関係となるように、改めて、演出役物装置146a、146bの移動を制限するので、設計者は、演出役物装置146a、146b同士の干渉を心配することなく、その移動態様を自由に設計することが可能となる。
【0064】
さらに、仮に、演出役物装置146a、146bの移動に関するプログラムに不具合があったとしても、事後的に、演出役物装置146a、146bの移動が制限されるので、やはり、演出役物装置146a、146b同士の干渉を回避することが可能となる。
【0065】
なお、ここでは演出制御手段334がサブCPU202aによって機能する例を挙げて説明したが、演出制御手段334がサブCPU202aのみならず、その下位層にあたるデバイスドライバ層で機能するとしてもよい。デバイスドライバ層は、サブCPU202aと、役物コントローラとの間で、その情報の整合をとるため(情報の違いを吸収するため)に存在し、演出制御手段334は、かかるデバイスドライバ層において、座標判定点148aの座標≦座標判定点148bの座標の関係となるように、演出役物装置146a、146bの移動を制限する。
【0066】
また、ここでは、所定の経路(軌跡、軌道、通路、進路)として、同一の経路を演出役物装置146a、146bのいずれもが移動する例を挙げて説明したが、所定の経路として、異なる経路、例えば、異なる軌跡でそれぞれ独立して移動するとしてもよい。この場合においては、演出役物装置146a、146b同士が物理的に干渉することはないが、遊技者側からスロットマシン100を観察して、演出役物装置146a、146b同士が重なると、それが視覚上干渉することとなる。したがって、経路が異なる場合であっても、演出制御手段334は、遊技者の視線方向の座標が、座標判定点148aの座標≦座標判定点148bの座標の関係となるように、演出役物装置146a、146bの移動を制限する。
【0067】
また、ここでは、演出役物装置146a、146bが、直線状の経路上を移動する例を挙げて説明したが、1の曲線状の経路を移動したり、2の曲線状の経路を独立して移動するとしてもよい。ここで、演出役物装置146aの座標が演出役物装置146bの座標より小さくなるような軸を設定した場合において、演出役物装置146a、146bが移動することで、遊技者の視線方向の座標が、座標判定点148aの座標>座標判定点148bの座標となる場合、座標判定点148aの座標≦座標判定点148bの座標の関係となるように、演出役物装置146a、146bの移動を制限する。
【0068】
また、ここでは、経路における座標が等しい場合(例えば、いずれも座標が「50」の場合)に演出役物装置146a、146bが互いに干渉しないとして説明したが、座標が等しいと物理的に干渉することとなる場合、演出制御手段334は、座標判定点148aの座標≦座標判定点148bの座標の代わりに、座標判定点148aの座標<座標判定点148bの座標の関係となるように、演出役物装置146a、146bの移動を制限してもよい。こうすることで、演出役物装置146aと演出役物装置146bとの座標が少なくとも分解能分(例えば「1」)異なることとなるので、干渉は生じない。
【0069】
また、ここでは、演出役物装置146a、146bとして、扉(シャッター)に見立てた役物を説明したが、その扉部分の材質は剛体でもよいし、可撓性を有するシートでもよい。また、演出役物装置146a、146b同士が対向する対向部分のみ剛体で形成し、扉部分を物理的に形成せず、その扉部分は液晶表示部124の映像で代用するとしてもよい。
【0070】
また、ここでは、演出役物装置146が2つ存在する例を挙げて説明したが、3つ以上存在し、その経路において、それぞれの演出役物装置146同士が、座標の小さい方に位置する演出役物装置146の座標≦座標の大きい方に位置する演出役物装置146の座標となるように、各演出役物装置146の移動を制限するとしてもよい。
【0071】
以下、主制御基板200、副制御基板202における具体的処理をフローチャートに基づいて説明する。
【0072】
(主制御基板200のメイン処理)
図12は、主制御基板200のメイン処理を示したフローチャートである。ここでは、まず、主制御基板200のメイン処理に沿って、初期化後の1遊技の概略を説明し、その後、各処理の詳細について説明する。また、ここでは、本実施形態の特徴に関係する処理について詳細に説明し、本実施形態の特徴と無関係の構成については説明を省略する。また、詳細な説明は省略するが、各処理が遂行される際、各処理において用いられるスイッチ(ベットスイッチ116、スタートスイッチ118、ストップスイッチ120a、120b、120c)は、処理の開始時に有効化され、処理の終了時に無効化される。
【0073】
(ステップS100)
電源スイッチ144を介してスロットマシン100の電源が投入され、通電状態になると、初期化手段300は、遊技開始に備え初期化処理を実行する。初期化手段300は、電源が投入されている間、随時バックアップデータを生成し、そのバックアップデータをメインRAM200cに保持している。したがって、不意の電断が生じたとしても、この初期化処理において、保持されたバックアップデータを用い電断前の状態に復帰させることができる。例えば、リール110の回転中に不意の電断が起きたとしても、復帰動作後に再度各リール110が回転している状態から開始される。したがって、初期化処理では、基本的に、メインRAM200cの初期化(RAMクリア)は行われない。
【0074】
(ステップS200)
続いて、遊技者によるベットスイッチ116の操作、または、メダル投入部114へのメダルの投入を通じ、ベット手段302がメダルをベットする。また、コマンド送信手段316は、その操作がなされたことを示す投入コマンドを生成し、生成された投入コマンドを副制御基板202に送信する。
【0075】
(ステップS300)
次に、当選種別抽選手段304は、スタートスイッチ118に対する遊技開始操作を有効化し、スタートスイッチ118の操作待ち状態に移行する。ここで、当選種別抽選手段304は、遊技者によるスタートスイッチ118の操作に応じて、主制御基板200の乱数発生器200dによって更新された当選種別抽選乱数から、スタートスイッチ118が操作された時点における1の当選種別抽選乱数を取得する。そして、当選種別抽選手段304は、
図6に示した当選種別抽選テーブルから、現在設定されている遊技状態に対応する1の当選種別抽選テーブルを決定するとともに、取得した当選種別抽選乱数が、決定した当選種別抽選テーブルにおけるいずれの当選領域に対応するか判定し、判定された当選領域の当選種別または不当選を抽選結果として決定する。
【0076】
また、コマンド送信手段316は、スタートスイッチ118の操作に応じて抽選結果が決定された後、当選種別抽選の抽選結果(当選種別または不当選)や遊技状態に関する情報等を含む当選種別コマンドを生成し、生成された当選種別コマンドを副制御基板202に送信する。
【0077】
(ステップS400)
スタートスイッチ118が操作されると、リール制御手段306は、ステッピングモータ152を駆動して左リール110a、中リール110b、右リール110cを回転させる。このリール回転処理においては、前回の1遊技における左リール110a、中リール110b、右リール110cの回転開始時点から所定の時間(例えば4.1秒)が経過すると(ウェイト)、当該遊技における左リール110a、中リール110b、右リール110cの回転を開始し、左リール110a、中リール110b、右リール110cの全てが定速回転となったところで、ステップS500に処理を移す。
【0078】
(ステップS500)
続いて、リール制御手段306は、ストップスイッチ120a、120b、120cを有効化し、遊技者によるストップスイッチ120a、120b、120cの操作を受け付けると、その操作に対応する左リール110a、中リール110b、右リール110cのいずれかを停止制御する。
【0079】
また、コマンド送信手段316は、ストップスイッチ120a、120b、120cのいずれかの操作がなされると、操作がなされたストップスイッチ120a、120b、120cの情報を示す停止コマンド(第1停止コマンド、第2停止コマンド、第3停止コマンド)を操作の度に生成し、生成された停止コマンドを順次、副制御基板202に送信する。
【0080】
(ステップS600)
次に、判定手段308は、
図3(b)に示した有効ラインA上に表示された図柄組み合わせが予め定められたどの組み合わせに相当するかを判定し、その図柄組み合わせに応じて遊技状態の変更やリプレイに際して要求される種々の処理を実行する。また、コマンド送信手段316は、有効ラインA上に表示された図柄組み合わせや、有効ラインA上に小役に対応する図柄組み合わせが表示された場合におけるメダルの払出枚数等を含む入賞コマンドを生成し、生成された入賞コマンドを副制御基板202に送信する。
【0081】
(ステップS700)
続いて、払出制御手段310は、ステップS600における判定結果に基づき、例えば、有効ラインA上に小役に対応する図柄組み合わせが表示されると、当該小役に対応するメダルの払出処理を実行し、有効ラインA上にリプレイ役に対応する図柄組み合わせが表示されると、自動的に次遊技のベットを行うための処理を実行する。また、遊技状態制御手段312は、ボーナス遊技状態においてメダルの所定枚数の払い出しが実行されると、遊技状態をボーナス遊技状態から通常遊技状態に移行する。このように、払出制御手段310は、有効ラインA上に表示された図柄組み合わせに対応して種々の処理を遂行し、当該1遊技を終了する。また、コマンド送信手段316は、メダルの払出処理がなされた場合、払出処理がなされたことを示す払出コマンドを生成し、生成された払出コマンドを副制御基板202に送信する。
【0082】
ステップS200からステップS700までの一連の処理を通じて1遊技が実行される。以後は、ステップS200からステップS700までを繰り返すこととなる。
【0083】
(副制御基板202のサブ処理)
図13は、副制御基板202のサブ処理を示したフローチャートである。
【0084】
(ステップS1100)
電源スイッチ148を介してスロットマシン100の電源が投入され、通電状態になると、初期化決定手段330は、遊技開始に備え初期化処理を実行する。初期化決定手段330は、電源が投入されている間、随時バックアップデータを生成し、そのバックアップデータをサブRAM202cに保持している。
【0085】
(ステップS1200)
コマンド受信手段332は、主制御基板200からのコマンドが受信されているか否か判定する。その結果、コマンドが受信されていれば、ステップS1300に処理を移し、コマンドが受信されていなければ、ステップS1400に処理を移す。
【0086】
(ステップS1300)
上記ステップS1200においてコマンドが受信されていると判定されれば、コマンド受信手段332は、当該受信されたコマンドに基づいて種々の処理を実行する。かかるコマンド受信処理S1300は後程詳述する。
【0087】
(ステップS1400)
次に、演出制御手段334は、演出スイッチ122の検出信号を解析し、その解析結果に基づいて種々の処理を行う。
【0088】
(ステップS1500)
演出制御手段334は、実行が決定された各種演出の実行情報(タイムテーブル)を参照して、当該タイムテーブルに記憶された該当時間に対応する処理を実行するタイムスケジュール管理処理を行い、ステップS1200からの処理を繰り返す。この処理では、液晶表示部124の表示画像を挿入したり切り替えたりし、また、各種のコマンドを各デバイスに送信する。これにより各種演出が実行されることとなる。
【0089】
(コマンド受信処理S1300)
図14は、上記ステップS1300のコマンド受信処理を示したフローチャートである。
【0090】
(ステップS1301)
まず、コマンド受信手段332は、受信したコマンドが投入コマンドであるか否か判定する。その結果、受信したコマンドが投入コマンドであれば、ステップS1302に処理を移し、受信したコマンドが投入コマンドでなければ、ステップS1303に処理を移す。
【0091】
(ステップS1302)
上記ステップS1301において受信したコマンドが投入コマンドであると判定されれば、演出制御手段334は、次の遊技のための遊技開始準備が行われたとして、それまで実行されていた演出を所定条件下で切り換えたり、終了させたりする。
【0092】
(ステップS1303)
続いて、コマンド受信手段332は、受信したコマンドが当選種別コマンドであるか否か判定する。その結果、受信したコマンドが当選種別コマンドであれば、1遊技が開始されたとし、ステップS1304に処理を移し、受信したコマンドが当選種別コマンドでなければ、ステップS1306に処理を移す。
【0093】
(ステップS1304)
上記ステップS1303において受信したコマンドが当選種別コマンドであると判定されれば、演出制御手段334は、当選種別コマンドに基づいて遊技の演出を決定する。かかる演出決定処理S1304については後程詳述する。
【0094】
(ステップS1305)
次に、演出制御手段334は、決定した演出を実行開始する。
【0095】
(ステップS1306)
続いて、コマンド受信手段332は、受信したコマンドが停止コマンドであるか否か判定する。その結果、受信したコマンドが停止コマンドであれば、ステップS1307に処理を移し、受信したコマンドが停止コマンドでなければ、ステップS1308に処理を移す。
【0096】
(ステップS1307)
上記ステップS1306において受信したコマンドが停止コマンドであると判定されれば、演出制御手段334は、その停止コマンドが、第1停止コマンド、第2停止コマンド、第3停止コマンドのいずれであるか、また、その停止操作は、ストップスイッチ120a、120b、120cのいずれになされた停止操作かを判定し、その判定結果と演出の内容に基づいて、種々の処理を行うとともに、演出態様を変動させる。
【0097】
(ステップS1308)
続いて、コマンド受信手段332は、受信したコマンドが入賞コマンドであるか否か判定する。その結果、受信したコマンドが入賞コマンドであれば、ステップS1309に処理を移し、受信したコマンドが入賞コマンドでなければ、ステップS1310に処理を移す。
【0098】
(ステップS1309)
上記ステップS1308において受信したコマンドが入賞コマンドであると判定されれば、演出制御手段334は、当該入賞コマンドに基づく演出をタイムテーブルに設定する。
【0099】
(ステップS1310)
続いて、コマンド受信手段332は、受信したコマンドが払出コマンドであるか否か判定する。その結果、受信したコマンドが払出コマンドであれば、ステップS1311に処理を移し、受信したコマンドが払出コマンドでなければ、当該コマンド受信処理S1300を終了する。
【0100】
(ステップS1311)
上記ステップS1310において受信したコマンドが払出コマンドであると判定されれば、演出制御手段334は、当該払出コマンドに基づく演出をタイムテーブルに設定し、当該コマンド受信処理S1300を終了する。そうすると、メダルの払出に応じて、サブクレジット表示部134およびサブ払出表示部136の数値が更新される。
【0101】
(演出決定処理S1304)
図15は、上記ステップS1304の演出決定処理を示したフローチャートである。ここでは、本実施形態の特徴に関係する処理について詳細に説明し、本実施形態の特徴と無関係の構成については説明を省略する。
【0102】
(ステップS1304−1)
まず、演出制御手段334は、当選種別コマンドのうち当選種別を参照し、当選種別および遊技状態に基づいて演出パターンを決定し、かかる演出パターンに対応する役物動作データを決定する。かかる役物動作データには、演出役物装置146の移動態様(例えば移動先の座標)が記述されている。
【0103】
(ステップS1304−2)
次に、演出制御手段334は、決定された役物動作データにより演出役物装置146が移動した結果、その移動後の座標が座標条件を満たすか否か判定する。具体的に、例えば、2つの演出役物装置146a、146bが所定の経路を移動自在に形成されている場合、座標条件である、移動後の演出役物装置146aの座標≦移動後の演出役物装置146bの座標といった関係であるか判定する。その結果、座標条件を満たす場合、当該演出決定処理S1304を終了し、座標条件を満たさない場合、ステップS1304−3に処理を移す。
【0104】
(ステップS1304−3)
上記ステップS1304−2において座標条件を満たさないと判定されれば、演出制御手段334は、演出役物装置146aにおける演出役物装置146b側(座標判定点148aの座標)の座標が、演出役物装置146bにおける演出役物装置146a側(座標判定点148b)の座標より、演出役物装置146a側となるように、すなわち、座標判定点148aの座標≦座標判定点148bの座標となるように、演出役物装置146aおよび演出役物装置146bの移動を制限し、当該演出決定処理S1304を終了する。したがって、演出役物装置146aおよび演出役物装置146bのいずれか一方の役物動作データにおける移動後の座標が書き換えられる。
【0105】
したがって、何らかの理由により、誤って、座標判定点148aの座標>座標判定点148bの座標の関係になる場合であっても、事後的に、座標判定点148aの座標≦座標判定点148bの座標の関係となるように、改めて、演出役物装置146a、146bの移動を制限するので、設計者は、演出役物装置146a、146b同士の干渉を心配することなく、その移動態様を自由に設計することが可能となる。
【0106】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されないことはいうまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0107】
例えば、上述した実施形態では、主制御基板200と副制御基板202とが、遊技を進行するための機能部を分担するように配したが、主制御基板200の機能部を副制御基板202に配しても、副制御基板202の機能部を主制御基板200に配してもよく、また、全ての機能部を1の制御基板に纏めて配することもできる。
【0108】
また、上述した実施形態では、遊技状態が、通常遊技状態、内部中遊技状態、ボーナス遊技状態の間で遷移する例を挙げて説明したが、例えば、遊技利益が大きい当選役(選択当選役)と他の当選役とが重複した当選種別(選択当選種別)に当選したときに、その選択当選役の入賞条件となるストップスイッチの操作態様(正解操作態様)が報知される(補助演出)ことで、当該選択当選役に対応する図柄組み合わせを、遊技者が有効ライン上に容易に表示させることができる、所謂、AT(アシストタイム)が実行されるAT演出状態を設けるとしてもよい。また、リプレイ役の当選確率が高く設定されたRT(リプレイタイム)遊技状態を用いたり、上記のAT演出状態とRT遊技状態が同時に進行される所謂ART遊技状態を用いるとしてもよい。
【0109】
また、上述した主制御基板200および副制御基板202が行う各処理は、必ずしもフローチャートとして記載された順序に沿って時系列に処理する必要はなく、並列的あるいはサブルーチンによる処理を含んでもよい。