(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
光走査装置において、ポリゴンミラーが高速回転すると、ポリゴンミラーのミラー面に正圧の領域と負圧の領域が発生し、負圧の領域にあるミラー面に空気中の微細な粉塵やミストなどの汚れが付着しやすくなる。ポリゴンミラーに汚れが付着すると、付着した部分の反射率が低下する。これにより光走査装置から出射され、ポリゴンミラーで偏向される光ビームの光量低下を招き、感光体ドラムへの書込み不良、転写用紙上での画像劣化等を引き起こすといった問題点があった。そのため、光走査装置においては、外部から微細粉塵が侵入するのをできるだけ防止する必要性がある。
【0006】
前記従来の光走査装置においては、コネクタを差し込むための差し込み穴が弾性部材の内外に貫通して設けられ、収容容器の外部からコネクタが弾性部材を介して収容容器の内部に差し込まれている。このような従来の構造では、コネクタの外周面と弾性部材とを密着させることが困難となるうえ、コネクタの抜き差しを行う際に、弾性部材に設けられたコネクタの差し込み穴が変形したりコネクタとの間に隙間を生じたりするおそれがある。そのため、外部から微細粉塵が侵入する可能性を否定できず、コネクタの接続後には、コネクタ周囲に別途の弾性部材を設けて、差し込み孔の周囲を気密に遮蔽しなければならないと考えられる。
【0007】
本発明は、前記従来の問題点にかんがみてなされたものであり、その目的とするところは、外部からの遮蔽性を高め、内部に微細粉塵が侵入することを防止しうる光走査装置およびこれを備えた画像形成装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記の目的を達成するための本発明の解決手段は、光源からの光を偏向走査する光偏向ユニットがハウジングに備えられてなる光走査装置を前提とする。この光走査装置に対し、前記ハウジングの外部に露出されない内部と、前記外部に露出した状態とされる露出部とを設けており、前記光偏向ユニットに、ポリゴンミラーと、このポリゴンミラーが第一の面に搭載された基板とを備えさせる。前記基板は、前記内部に配設されるとともに前記ポリゴンミラーが搭載される第一領域と、前記露出部に配設される第二領域とを含む構成とする。そして、前記ハウジングの前記内部と前記露出部とを隔てる離隔手段を、前記基板の前記第一領域と前記第二領域と間に設けたことを特徴としている。
【0009】
この特定事項により、前記基板を前記ハウジングの前記内部と前記露出部との間にまたがって配設して、前記基板の一部を露出した状態とすることができ、しかも、前記ハウジングの前記内部と前記露出部とを離隔手段により隔てているので、前記内部への微細粉塵の流入を防ぐことが可能とされる。
【0010】
前記光走査装置における、より具体的な構成として次のものが挙げられる。すなわち、前記基板の前記第二領域には、前記ポリゴンミラーを制御する制御信号が入力されるコネクタが備えられることが好ましい。
【0011】
これにより、コネクタを前記ハウジングの前記露出部に配置して、外部から容易にコネクタ接続することが可能となり、コネクタ接続によっても前記ハウジングの前記内部の遮蔽性が保たれる。
【0012】
また、前記離隔手段は、前記基板の第一の面に当接する第一の弾性部材を備えることが好ましい。
【0013】
これにより、前記基板において、前記内部に納められる第一領域と、前記露出部に配設される第二領域とを、第一の弾性部材によって隔てた構成とすることができる。
【0014】
また、前記ハウジングには前記第一の弾性部材を保持する凹溝が設けられることが好ましい。
【0015】
これにより、前記第一の弾性部材を前記ハウジングに取り付けやすくするとともに移動不能に備えさせることができる。
【0016】
また、前記ハウジングは、ハウジング本体と、このハウジング本体に対して開閉可能なカバー部材とを備え、前記カバー部材は前記離隔手段に覆い被せられるとともに前記露出部を露出させた状態で取り付けられることが好ましい。
【0017】
これにより、前記ハウジングの構造を複雑化することなく前記基板の一部を露出させた状態とすることができる。
【0018】
また、前記離隔手段は、前記基板における第一の面の反対側の面である第二の面に当接する第二の弾性部材を備えることが好ましい。
【0019】
これにより、前記基板の第二の面において、前記第一領域と前記第二領域とを第二の弾性部材によって隔てることができる。
【0020】
また、前記離隔手段はネオプレンゴムにより形成されてなることが好ましい。
【0021】
これにより、前記離隔手段に、良好な弾力性、電気絶縁性および気密性を備えさせることができる。
【0022】
前記離隔手段は前記基板と前記ハウジングとの間に圧縮された状態で配設されることが好ましい。
【0023】
これにより、前記ハウジングの前記内部と前記露出部との間の遮蔽性をより一層高めることができる。
【0024】
前記目的を解決するため、前記構成に係る光走査装置を備えた画像形成装置も本発明の技術的思想の範疇にある。すなわち、画像形成装置に備えさせる光走査装置として、前記ハウジングに該ハウジングの外部に露出されない内部と、前記外部に露出した状態とされる露出部とを設けており、前記光偏向ユニットに、ポリゴンミラーと、このポリゴンミラーが第一の面に搭載された基板とを備えさせ、前記基板を、前記内部に配設されるとともに前記ポリゴンミラーが搭載される第一領域と、前記露出部に配設される第二領域とを含む構成とし、前記ハウジングの前記内部と前記露出部とを隔てる離隔手段を前記基板の前記第一領域と前記第二領域と間に設けた構成とすることである。
【0025】
これにより、画像形成装置において、光走査装置への微細粉塵の侵入を防止し得て、出力される画像品質を良好に維持することが可能となる。
【発明の効果】
【0026】
本発明では、基板の一部をハウジングの外部に露出させた状態で配設し、前記ハウジングの前記露出部と前記内部とを離隔手段で隔てた構成としている。これにより、前記ハウジングの前記内部に微細粉塵が侵入することを防止し得て、画像品質を良好に維持することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施形態に係る光走査装置および画像形成装置について、図面を参照しつつ説明する。
【0029】
(画像形成装置)
図1は、実施形態に係る光走査装置1を備えた画像形成装置100を正面から視た概略断面図である。
【0030】
本実施形態に係る画像形成装置100は、モノクロ画像形成装置である。画像形成装置100は、画像読取装置200により読み取られた画像データ、又は、外部から伝達された画像データに応じて、画像形成処理を行う。なお、画像形成装置100は、シートSに対して多色及び単色の画像を形成するカラー画像形成装置であってもよい。
【0031】
画像形成装置100は、原稿送り装置108と、画像形成装置本体90とを備えている。画像形成装置本体90には、画像形成部102と用紙搬送系103とが設けられている。
【0032】
画像形成部102は、光走査装置(露光ユニット)1、現像ユニット2、静電潜像担持体として作用する感光体ドラム3、クリーニング部4、帯電装置5及び定着ユニット7を備えている。また、用紙搬送系103は、給紙トレイ81、手差し給紙トレイ82、排出トレイ96及び排出ローラ97を備えている。
【0033】
画像形成装置本体90の上部には、原稿Gの画像を読み取るための画像読取装置200が設けられている。画像読取装置200は、原稿Gが載置される原稿載置台221を備えている。原稿載置台221は、透明の強化ガラスからなる四角形状ものとされている。原稿載置台221の上側には原稿送り装置108が設けられている。
【0034】
画像形成装置100では、画像読取装置200で読み取られた原稿Gの画像は、画像データとして画像形成装置本体90に送られ、シートS上に画像が記録される。
【0035】
画像形成装置本体90には用紙搬送路W1が設けられている。給紙トレイ81又は手差し給紙トレイ82は、シートSを用紙搬送路W1に供給する。用紙搬送路W1は、シートSを転写ローラ91及び定着ユニット7を経て排出トレイ96に導く。
【0036】
定着ユニット7は、シートS上に形成されたトナー像をシートSに加熱定着する。用紙搬送路W1の近傍には、ピックアップローラ92、搬送ローラ93、レジストローラ95、転写ローラ91、定着ユニット7におけるヒートローラ71及び加圧ローラ72、排出ローラ97が配設されている。
【0037】
画像形成装置100では、給紙トレイ81又は手差し給紙トレイ82にて供給されたシートSはレジストローラ95まで搬送される。次に、シートSはレジストローラ95によりシートSと感光体ドラム3上のトナー像とを整合するタイミングで転写ローラ91に搬送される。
【0038】
感光体ドラム3上のトナー像は転写ローラ91によりシートS上に転写される。その後、シートSは定着ユニット7におけるヒートローラ71及び加圧ローラ72に通過し、搬送ローラ93及び排出ローラ97を経て排出トレイ96上に排出される。
【0039】
シートSの表面だけでなく、裏面に画像形成を行う場合は、シートSは排出ローラ97から反転用紙搬送路W2へ逆方向に搬送される。シートSは反転搬送ローラ94を経てシートSの表裏を反転してレジストローラ95へ再度導かれる。そして、シートSは、表面と同様にして、裏面にトナー像が形成されて定着された後、排出トレイ96へ向けて排出される。
【0040】
(光走査装置)
次に、画像形成装置100に備えられる光走査装置1について説明する。
【0041】
図2〜
図7は実施形態に係る光走査装置1を示し、
図2は光走査装置1の外観を示す斜視図、
図3はカバー部材を取り外したハウジングを示す斜視図、
図4は光走査装置1における光偏向ユニット20の一例を示す斜視図である。また、
図5は
図3におけるA−A線断面図、
図6は同B−B線断面図、
図7は同C−C線断面図である。なお、
図2において、矢符Z方向は光走査装置1における上下方向を示すものとする。
【0042】
光走査装置1は、レーザスキャニングユニット(LSU)として構成され、レーザビームを偏向走査する光偏向ユニット20がハウジング10に備えられている。
【0043】
図2に示すように、ハウジング10は、光走査装置1の構成部品を収容する筐体であり、上部が開放された有底箱状のハウジング本体11と、ハウジング本体11に被せられるカバー部材18とを備える。ハウジング本体11とカバー部材18とが当接する部分には、図示しない発泡性部材等の弾性を有するシール部材が挟み込まれる。カバー部材18とハウジング本体11とは、スナップフィットやねじ等の止着手段19を用いて前記シール部材を押圧した状態で締結される。
【0044】
図3に示すように、ハウジング10には、光偏向ユニット20として、レーザビームを走査するポリゴンミラー21、およびポリゴンミラー21によって反射されたレーザ光を感光体ドラム3に導くためのレンズ42等の光学要素が配置されている。例示の形態では、光偏向ユニット20は、ポリゴンミラー21と、このポリゴンミラー21が搭載された基板22と、ポリゴンミラー21を回転駆動させるポリゴンモータ26と、ポリゴンミラー21を制御する制御信号が入力されるコネクタ28等を備えて構成されている。
【0045】
ポリゴンミラー21は、光源41から照射される光を偏向し、
図1に示した感光体ドラム3に対して走査する周面を有している。ポリゴンミラー21は、平面視正多角形状(
図3では正六角形状)の平板状に形成されており、前記周面に複数のミラー面を備えている。
【0046】
ポリゴンモータ26は、ポリゴンミラー21を軸部27回りに回転させる。ポリゴンミラー21は、ポリゴンモータ26によって回転駆動しながら、出射された光を偏向するとともに、fθレンズ43等に向けて走査する。
【0047】
光走査装置1の内部への微細粉塵の侵入を防ぐために、光走査装置1には、ハウジング本体11とカバー部材18との間をシールする対策や、テープを貼る等の対策が施されるが、以下に説明する理由等によって、より一層、ハウジング10の遮蔽性を高める必要性がある。
【0048】
近年の画像形成速度の高速化の要望に対して、従来の製品に比べてポリゴンミラーの回転速度を速めることが求められる。光走査装置1内部に設置されたポリゴンミラー21は、高速回転をすることによって気流を発生させる。そして、シール部材等の張り合わせ箇所や連続的につながった微小な空間内を風が流れ、ある箇所では内部から外部へ、ある箇所では外部から内部へと空気が流れる可能性がある。
【0049】
ハウジング10に外部から流入する空気中には、光学部品を汚す微細粉塵が含まれていることが多い。ポリゴンミラー21が高速回転するほど、ハウジング10の内側に微細粉塵が浸入しやすくなり、光学部品表面やハウジング10に付着するおそれを生じる。
【0050】
特に、ポリゴンミラー21の周囲の気流に含まれる微細粉塵は、高速回転したポリゴンミラー21の反射面に付着しやすい。また、ポリゴンミラー21が回転することでポリゴンミラー21のミラー面付近で乱気流が発生し、微細粉塵をのせた気流がミラー面に激しくぶつかる。その結果、ポリゴンミラーのミラー面に衝突する微細粉塵が堆積され、気流がぶつかる量が多い箇所から汚れが進行し、汚れた箇所の反射率が低下する。反射率の低下に伴って、感光体ドラム3に導かれる光ビームの光量が低下し、出力される画像濃度が薄くなるといった問題が発生してしまう。
【0051】
これに対して、本実施形態に係る光走査装置1では、ハウジング10の外部に露出されない内部10Aと外部に露出した状態とされる露出部10Bとを設けており、これらの間を離隔手段によって隔てた構成とすることで、微細粉塵の侵入を防止している。
【0052】
具体的には、ハウジング本体11は偏平な有底状箱型の筐体とされており、底板12の外縁部に側板13が立設されている。
図2に示すように、光走査装置1には、ハウジング10における一つの角隅部に露出部10Bが設けられている。この露出部10Bにはカバー部材18が被せられず、ハウジング10の外部に露出した状態とされている。また、ハウジング10において、この露出部10Bを除く範囲は、カバー部材18が被せられて外部に露出しない状態に形成されている。これにより、ハウジング10は、カバー部材18で覆われた内部10Aと、カバー部材18に覆われていない露出部10Bとを備えた構成とされている。
【0053】
例示の形態では、カバー部材18は、ハウジング10の露出部10Bに対応する部位が切り欠かれた形状を有している。ハウジング本体11に対してカバー部材18が取り付けられることで、内部10Aは閉塞され、露出部10Bは外部に露出した状態とされる。露出部10Bは外部から視認し得るように設けられる。
【0054】
図3には、ハウジング本体11からカバー部材18を取り外した状態が示されている。露出部10Bは、ハウジング本体11の側板13の一部をなす外側壁14と、ハウジング本体11に立設された内側壁15とで区画されている。内側壁15は、ハウジング本体11の側板13に対して内方に連設され、一方の面が露出部10Bに臨むとともに他方の面が内部10Aに臨んで配設されている。基板22は、ハウジング10の内部10Aと露出部10Bとの両方にまたがるように、ハウジング本体11配設される。
【0055】
図4に示すように、基板22は、ハウジング10の内部10Aに納められる第一領域22Aと、露出部10Bに配設される第二領域22Bとを備える。基板22の第一領域22Aは、基板22の長手方向の一方側に設定され、第二領域22Bはその他方側に設定されている。基板22の第一領域22Aにはポリゴンミラー21が搭載されている。第二領域22Bにはコネクタ28が搭載され、このコネクタ28には制御装置等から延びる電力供給線や信号線等のハーネス(図示せず)が接続される。
【0056】
(離隔手段)
基板22において、第一領域22Aと第二領域22Bとの間には、離隔手段(31、32)が設けられて両領域が隔てられている。離隔手段は、露出部10Bと内部10Aとの間で、露出部10Bから内部10Aへの空気の流入を防止するとともに微細粉塵の侵入を阻止する。離隔手段には、弾力性および電気絶縁性を有して気密性に富む、合成樹脂系材料、ゴム系材料、発泡体等による弾性部材が用いられる。
【0057】
図4に示すように、基板22の第一面23には、離隔手段として第一の弾性部材31が配設される。第一の弾性部材31は、基板22の第一面23に密着しうる直方体形状を有して形成されている。
【0058】
この第一の弾性部材31は、基板22上のコネクタ28寄りに近接させて設けられることで、第一領域22Aが第二領域22Bよりも広い領域となるように構成されている。これにより、基板22上において、第一領域22Aに搭載されるポリゴンミラー21が、第二領域22Bから遠ざけられた配置形態となされている。
【0059】
基板22には、ハウジング本体11に固定するための複数のビス孔25が設けられている。
図3に示されるように、ビス孔25に対応させて、ハウジング本体11の底板12にボス部17が設けられている。ボス部17を介して、基板22はハウジング本体11に取り付けられる。
【0060】
ハウジング本体11の底板12にボス部17が備えられていることで、基板22はハウジング本体11の底板12に密着しない構造となっている。すなわち、底板12と、これに取り付けられる基板22の第二面24(第一面23の反対側の面)との間には隙間が形成される。
【0061】
図4に示すように、基板22の第二面24において、第一領域22Aと第二領域22Bとの間には、離隔手段として第二の弾性部材32が配設される。これによって、ハウジング本体11の底板12と基板22との間で、第一領域22Aと第二領域22Bとが隔てられるとともに、前記隙間が塞がれている。第二の弾性部材32は、基板22を介して第一の弾性部材31の下方に備えられている。
【0062】
基板22に当接して設けられる、これらの第一の弾性部材31および第二の弾性部材32は、ハウジング本体11に備えられた一対の凹溝16に対して固定される。
【0063】
図3に示すように、ハウジング本体11には、露出部10Bを区画する内側壁15と外側壁14の内面とに、一対の凹溝16が対向して配設されている。基板22の第一面23に立設される第一の弾性部材31は、幅方向の両端縁がこれらの凹溝16に保持されて、ハウジング本体11に移動不能に備えられる。
【0064】
図5に示すように、凹溝16の溝幅wは、第一の弾性部材31の厚みに対応させ、第一の弾性部材31が凹溝16に密着する幅にて形成されている。また、第一の弾性部材31は、その上端が、凹溝16の上端よりも上方に突出する大きさで形成されている。
【0065】
また、
図4に示すように、第二の弾性部材32には、凹溝16を内側に嵌め込む切欠部33が設けられている。
図4に示すように、第二の弾性部材32は、基板22の第二面24に広く接触しうる大きさを有して形成されている。
【0066】
図7に示すように、第二の弾性部材32は、ハウジング本体11の凹溝16に切欠部33を係止させて配設される。第二の弾性部材32は、例示の形態では、凹溝16を差し挟んで露出部10Bと内部10Aとの両方にまたがる大きさで形成されている。第二の弾性部材32は、切欠部33に凹溝16が嵌め込まれることで位置決めされ、ハウジング本体11に移動不能に備えられる。
【0067】
前記のとおり、ハウジング10の内部10Aに対しては、上部が開放された有底箱状のハウジング本体11に、平板状のカバー部材18が被せられる。
図6および
図7に示すように、第二の弾性部材32は、ハウジング本体11の底板12と基板22の第二面24とに密接させて、切欠部33と凹溝16とを係合させてハウジング本体11に納められる。
【0068】
基板22は対向する一対の凹溝16の間に嵌め込まれる。第二の弾性部材32の上に基板22が載せられ、ビス孔25を介して底板12に固定される。基板22が底板12に固定されることで、第二の弾性部材32が基板22の第二面24に圧着され、底板12と第二面24との間の隙間を塞ぐ。
【0069】
第一の弾性部材31は、一対の凹溝16の溝内に嵌め込まれて、基板22の第一面23に当接するように配設される。これにより、ハウジング本体11に対して、底板12側から、第二の弾性部材32、基板22、および第一の弾性部材31が順に備えられる。
【0070】
カバー部材18は、第一の弾性部材31の上端に覆い被せられる。カバー部材18がハウジング本体11に対して止着手段19によって締結されることにより、第一の弾性部材31はカバー部材18に圧着され、基板22とカバー部材18との間に圧縮された状態で備えられる。このように、第一の弾性部材31と第二の弾性部材32とが基板22に密接して配設されることで、ハウジング10の内部10Aと露出部10Bとの間が気密的に封止され、離隔される。
【0071】
離隔手段としての第一の弾性部材31および第二の弾性部材32は、例えばネオプレンゴム、ポリウレタンゴム、シリコーンゴム等のゴム系材料により構成されることが好ましい。これらの中でも、特に、ネオプレンゴムを用いて離隔手段が形成されることが好ましい。
【0072】
光走査装置1は、このようなゴム系材料により構成される離隔手段が、基板22とハウジング10の内面(凹溝16、ハウジング本体11の底板12またはカバー部材18)との間に圧縮された状態で配設されている。これによって、ハウジング10の内部10Aと露出部10Bとにまたがって配設された基板22は、離隔手段によってその周囲に空気の流通が阻止され、微細粉塵の侵入を防ぐことが可能となる。
【0073】
したがって、光走査装置1は、ハウジング本体11の内部10Aがカバー部材18で覆われた状態のとき、コネクタ28へのハーネス接続を容易に行うことができ、その接続作業によってもハウジング10の遮蔽性に影響を及ぼすことがなく、長期間にわたり微細粉塵の侵入を防止することが可能となる。
【0074】
(他の実施形態)
本発明に係る光走査装置1および画像形成装置100は、前記の実施形態以外にも他の様々な形で実施することができる。例えば、光走査装置1の構成は前記実施形態のほか、発光素子をアレイ状に並べた例えばELやLED書き込みヘッドを用いる構成であってもよい。光走査装置1に設けられる基板22は、第二領域22Bに、コネクタ28のほか、ICチップ等の各種電子部品が搭載されてもよい。
【0075】
また、前記実施形態では、離隔手段として、基板22の第一面23に第一の弾性部材31を備え、第二面24に第二の弾性部材32を備えた構成とされたが、離隔手段はこれに限定されず、形状および材料等において他の種々の構成を採用することができる。例えば、第二の弾性部材32は、第一の弾性部材31と同様に直方体形状を有して、ハウジング本体11の凹溝16に幅方向の両端が保持される構成であってもよい。
【0076】
また、離隔手段を構成する材料には、ネオプレンゴム等のゴム系材料が単独で用いられてもよく、2種類以上の異なる材料が組み合わせられてもよい。また、離隔手段は、単層であってもよく、同一または異なる種類の弾性部材を積層させたものであってもよい。そのため、前記の実施形態は例示であり、限定的なものではない。