(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の一実施形態に係る二重サッシについて、
図1から
図7に基づいて説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る二重サッシを屋内側から見た正面図である。
図2は、
図1のA−A線断面図である。
図3は、
図1のB−B線断面図である。
図1から
図3に示すように、二重サッシ100は、建築物の壁部Wの開口部Pに設けられ、屋外側に配置された外窓1と、屋内側に配置された内窓4と、を備えている。
なお、以下の説明において、屋外側と屋内側とを結ぶ方向を屋内外方向と称する。また、屋内外方向と直交する方向のうち水平方向に沿う方向を左右方向と称する。また、屋内側から見て左側、右側を、それぞれ左側、右側と称する。
【0020】
図2及び
図3に示すように、外窓1は、開口部Pに設けられ四角形枠状に形成された枠体10と、枠体10に対して左右方向にスライド可能に設けられた外障子20A、内障子20B及び網戸30と、を有している。外窓1は、いわゆる引違いサッシである。
【0021】
枠体10は、左右方向に延在する上枠11及び下枠12と、上枠11の両端部と下枠12の両端部とをそれぞれ連結し上下方向に延在する縦枠13と、を有している。本実施形態では、枠体10は、アルミ製の押出成形部材で構成されている。
【0022】
外障子20Aは枠体10の屋外側に設けられ、内障子20Bは枠体10の屋内側に設けられている。外障子20A及び内障子20Bが閉じた状態で、外障子20A及び内障子20Bが枠体10内を閉塞するように配置されている。外障子20A及び内障子20Bは、それぞれ四方枠状に形成された框体21と、框体21内に納められたガラス29と、を有している。
【0023】
各框体21は、左右方向に延在する上框22及び下框23と、上框22の両端部と下框23の両端部とをそれぞれ連結し上下方向に延在する戸先框24及び召合せ框25と、を有している。本実施形態では、框体21は、アルミ製の押出成形部材で構成されている。
【0024】
各框22,23,24,25においてガラス29側を向く各端面(内周面)には、外方に向かって凹むガラス保持溝27が形成されている。ガラス保持溝27内には、ガラス29の周縁部が嵌め込まれている。
【0025】
外障子20Aと内障子20Bとは、互いの召合せ框25に設けられたクレセント錠(不図示)をロックすることによりスライド移動がロックされ、クレセント錠を解除することによりスライド移動が可能となるように構成されている。
【0026】
網戸30は、四方枠状に形成された網戸框体31と、網戸框体31内に設けられた網戸本体39とを有している。網戸框体31は、左右方向に延在する網戸上框32及び網戸下框33と、網戸上框32の両端部と網戸下框33の両端部とをそれぞれ連結し上下方向に延在する網戸縦框34と、を有している。
【0027】
図1に示すように、内窓4は、開口部Pに設けられた開口枠4Xと、開口枠4Xに対して左右方向にスライド可能に設けられた外障子50A及び内障子50Bと、を有している。内窓4は、いわゆる引違いサッシである。
【0028】
開口枠4Xは、開口部Pの上端に沿って設けられた調整上枠5と、枠体40と、を有している。
【0029】
枠体40は、左右方向に延在する上枠41及び下枠42と、上下方向に延在する縦枠43と、を有している。本実施形態では、枠体40は、合成樹脂製の押出成形部材で構成されている。
【0030】
外障子50Aは枠体40の屋外側に設けられ、内障子50Bは枠体40の屋内側に設けられている。外障子50A及び内障子50Bが閉じた状態で、外障子50A及び内障子50Bが枠体40内を閉塞するように配置されている。外障子50A及び内障子50Bは、それぞれ四方枠状に形成された框体51と、框体51内に納められたガラス59と、を有している。
【0031】
各框体51は、左右方向に延在する上框52及び下框53と、上框52の両端部と下框53の両端部とをそれぞれ連結し上下方向に延在する戸先框54及び召合せ框55と、を有している。本実施形態では、框体51は、合成樹脂製の押出成形部材で構成されている。
【0032】
図2及び
図3に示すように、各框52,53,54,55においてガラス59側を向く各端面(内周面)には、外方に向かって凹むガラス保持溝57が形成されている。ガラス保持溝57内には、ガラス59の周縁部が嵌め込まれている。
【0033】
外障子50Aと内障子50Bとは、互いの召合せ框55に設けられたクレセント錠550(
図1参照。以下同じ。)をロックすることによりスライド移動がロックされ、クレセント錠550を解除することによりスライド移動が可能となるように構成されている。
【0034】
次に、各部の構成について詳細に説明する。
まず、外窓1の上枠11について説明する。
図4は、
図2のC部拡大図である。
図4に示すように、上枠11は、上枠板部111と、上枠板部111から下方に延びる網戸突出枠壁部112、屋外側突出枠壁部113、屋内側突出枠壁部114及び下向き枠壁部115と、を有している。網戸突出枠壁部112、屋外側突出枠壁部113、屋内側突出枠壁部114、下向き枠壁部115は、この順に屋外側から屋内側に向かって配置されている。
【0035】
上枠板部111は、平板状に形成され、板厚方向を上下方向に向けて配置されている。上枠板部111は、建築物の躯体Qに螺子等で固定されている。
【0036】
網戸突出枠壁部112、屋外側突出枠壁部113、屋内側突出枠壁部114及び下向き枠壁部115は、平板状に形成され、板厚方向を屋内外方向に向けて配置されている。
【0037】
下向き枠壁部115の下端部には、屋内側に向けて延びる取付壁部116が設けられている。取付壁部116は、平板状に形成され、板厚方向を上下方向に向けて配置されている。取付壁部116は、開口部Pの上端に設けられた上額縁Rの下面に螺子等で固定されている。
【0038】
次に、外窓1の外障子20Aの上框22について説明する。
上框22は、屋外側に配置される上外板部221と、屋内側に配置される上内板部222と、上外板部221と上内板部222とを連結する上連結板部223と、を有している。
【0039】
上外板部221及び上内板部222は、平板状に形成され、板厚方向を屋内外方向に向けて配置されている。
【0040】
上連結板部223は、上外板部221の上下方向の中間と上内板部222の上下方向の中間とを連結している。
【0041】
上外板部221の上部には、屋内側に向かって延びる一対の延出壁部226,227が設けられている。一対の延出壁部226,227は、上下方向に間隔を有して配置されている。延出壁部226は、延出壁部227の上方に配置されている。
【0042】
延出壁部226の屋内側の端部には、下方に延びる下向き係止片226aが設けられている。延出壁部227の屋内側の端部には、上方に延びる上向き係止片227aが設けられている。
【0043】
上外板部221の上端部には、気密材229が設けられている。気密材229は、上外板部221及び延出壁部226,227で囲まれた空間内に設けられる固定部229aと、固定部229aから屋内側に延びる気密片229bと、を有している。気密片229bの屋内側の端部は、上枠11の屋外側突出枠壁部113の屋外側の面に当接している。上内板部222には、気密材が設けられていない。
【0044】
外窓1の内障子20Bの上框22の構成は、外障子20Aの上框22の構成と同様であり、同様に構成については同一の符号を付して説明を省略する。外窓1の内障子20Bにも、気密材229が設けられている。内障子20Bに設けられた気密片229bの屋内側の端部は、上枠11の屋内側突出枠壁部114の屋外側の面に当接している。内障子20Bの上内板部222には、気密材が設けられていない。
【0045】
次に、外窓1の外障子20Aの戸先框24(
図3参照。以下同じ。)及び召合せ框25(
図3参照。以下同じ。)に設けられた振れ止め部材224について説明する。
【0046】
図3に示すように、戸先框24及び召合せ框25には、それぞれ内部に上下方向全体にわたって框空間部T1が形成されている。框空間部T1の上端部には、それぞれ振れ止め部材224(
図4参照)が挿入配置されている。
【0047】
図4に示すように、各振れ止め部材224は、框空間部T1(
図3参照。以下同じ。)内で屋外側に配置された屋外側振れ止め部224aと、框空間部T1内で屋内側に配置された屋内側振れ止め部224cと、屋外側振れ止め部224aの下端部と屋内側振れ止め部224cの下端部とを連結する下部振れ止め部224bと、を有している。屋外側振れ止め部224a、屋内側振れ止め部224c及び下部振れ止め部224bは、一体として形成されている。屋外側振れ止め部224aと屋内側振れ止め部224cとの間に、上枠11の屋外側突出枠壁部113が配置されている。屋外側振れ止め部224aと屋内側振れ止め部224cとで屋外側突出枠壁部113を屋内外方向に挟み込むことで、外障子20Aの屋内外方向の移動が規制されている。
【0048】
次に、外窓1の内障子20Bの戸先框24及び召合せ框25に設けられた振れ止め部材225について説明する。
【0049】
各振れ止め部材225は、框空間部T1内で屋外側に配置された屋外側振れ止め部225aと、框空間部T1内で屋内側に配置された屋内側振れ止め部225cと、屋外側振れ止め部225aの下端部と屋内側振れ止め部225cの下端部とを連結する下部振れ止め部(不図示)と、を有している。屋外側振れ止め部225a、屋内側振れ止め部225c及び下部振れ止め部は、一体として形成されている。屋外側振れ止め部225aと屋内側振れ止め部225cとの間に、上枠11の屋内側突出枠壁部114が配置されている。屋外側振れ止め部225aと屋内側振れ止め部225cとで屋内側突出枠壁部114を屋内外方向に挟み込むことで、内障子20Bの屋内外方向の移動が規制されている。
【0050】
次に、外窓1の網戸縦框34(
図3参照。以下同じ。)について説明する。
網戸縦框34の上端部には、上端部から下方に向かって凹む係合溝321が形成された網戸振れ止め部322が設けられている。係合溝321内に、外窓1の上枠11の網戸突出枠壁部112が配置され、網戸30の屋内外方向の移動が規制されている。
【0051】
次に、内窓4の調整上枠5について説明する。
図5は、
図2のD部拡大図である。
図5に示すように、調整上枠5は、調整上板部501と、調整上板部501から下方に延びる屋外側板部(屋外側換気壁部)502及び屋内側板部(屋内側換気壁部)503と、を有している。屋外側板部502は、屋内側板部503よりも屋外側に配置されている。
【0052】
調整上板部501は、平板状に形成され、板厚方向を上下方向に向けて配置されている。調整上板部501は、上額縁Rの下面に螺子等(不図示)で固定されている。
【0053】
屋外側板部502及び屋内側板部503は、平板状に形成され、板厚方向を屋内外方向に向けて配置されている。
【0054】
屋内側板部503には、屋内外方向に貫通する複数の屋内側換気孔(第二換気孔)504が形成されている。正面視で(屋内側から見て)、屋内側換気孔504は、矩形や円形等の形状をなしている。屋内側換気孔504は、左右方向に間隔を有して配置されている。
【0055】
調整上板部501と上枠41の上枠板部411との間には、複数の伸縮部506,507が設けられている。伸縮部506,507は、スポンジや合成ゴム等の上下方向に伸縮可能な材料で構成されている。
【0056】
伸縮部506.507は、上枠41の延在方向(左右方向)に間隔を有して配置されている。伸縮部506は、伸縮部507よりも屋外側に、間隔を有して配置されている。本実施形態では、伸縮部506,507は、直方体状をなしている。
【0057】
次に、調整上枠5に設けられた圧力調整機構6について説明する。
調整上枠5の屋外側板部502には、屋内外方向に貫通する屋外側換気孔(第一換気孔)505が形成されている。正面視(屋外側から見て)で、屋外側換気孔505は、矩形状に形成されている。屋外側換気孔505の屋外側には、圧力調整機構6が設けられている。
【0058】
図6は、圧力調整機構を示す斜視図である。
図6に示すように、圧力調整機構6は、換気枠体601と、第一回動弁体(第一蓋部)611と、第二回動弁体(第二蓋部)621と、を有している。本実施形態では、圧力調整機構6は、合成樹脂製の押出成形部材で構成されている。なお、圧力調整機構6は、他にもアルミ形材や金属金物であってもよく、圧力調整機構6の一部がアルミ材等で構成され、他の部分が合成樹脂製の押出成形部材で構成されているように、構成部品によって材料が異なっていてもよい。
【0059】
換気枠体601は、四方枠状に形成されている。換気枠体601は、左右方向に延在する上枠部602及び下枠部603と、上枠部602の両端部と下枠部603の両端部とをそれぞれ連結し上下方向に延在する縦枠部604と、を有している。
【0060】
上枠部602、下枠部603及び縦枠部604により四方枠状をなす内部には、屋内外方向に貫通する第一開口部(収容孔)605が形成されている。第一開口部605は、屋外側換気孔505の屋外側に配置され、屋外側換気孔505と連通している。
【0061】
各縦枠部604には、屋内側に延びる腕部606が設けられている。腕部606の先端部には、対向する腕部606と反対側に突出する係止爪部607が設けられている。係止爪部607が、屋外側板部502(
図5参照。以下同じ。)における屋外側換気孔505(
図5参照。以下同じ。)の周縁の部分に係止されている。
【0062】
図7は、圧力調整機構6を示し、(a)負圧が生じた際に状態を示し、(b)負圧と正圧とが釣り合っている状態を示し、(c)正圧が生じた際に状態を示している。
図7に示すように、第一回動弁体611は、第一軸部612と、第一開閉パネル部613と、を有している。第一回動弁体611は、換気枠体601の第一開口部605内に配置可能とされている。
【0063】
第一軸部612は、左右方向に延びている。第一軸部612は、換気枠体601の縦枠部604に支持されている。第一軸部612は、左右方向を軸線方向として周方向に回動可能とされている。
【0064】
第一開閉パネル部613は、第一軸部612の下端部から下方に延びている。第一開閉パネル部613は、平板状に形成され、板厚方向を屋内外方向に向けて配置されている。第一開閉パネル部613には、屋内外方向に貫通する第二開口部(貫通孔)614が形成されている。正面視で、第二開口部614は、矩形状に形成されている。
【0065】
第一回動弁体611は、
図7(b)に示すように鉛直方向に沿って配置され、換気枠体601(第一開口部605)に沿って配置される位置(以下、第一閉位置と称する。)から、
図7(a)に示すように下端部を屋内側に向けて回動させて、第一開口部605を開放する位置(以下、第一開位置と称する)まで回動可能とされている。換言すると、第一回動弁体611は、第一閉位置で最も屋内側に配置され、第一開位置で最も屋外側に配置されている。
【0066】
図7(b)に示す第一閉位置から第一回動弁体611が屋外側へ回動すると、
図7(a)に示すように、第一開閉パネル部613の上端部613uが上枠部602の下端部602dに当接して、第一回動弁体611の回動が規制され、第一開位置で第一回動弁体611の回動が停止する。
【0067】
また、第一開位置から第一回動弁体611が屋内側へ回動すると、
図7(b)に示すように、第一開閉パネル部613の下端部に形成された段部615が下枠部603に形成された規制部(換気枠体の屋外側を向く面)616に当接して、第一回動弁体611の回動が規制され、第一閉位置で第一回動弁体611の回動が停止する。
【0068】
図7に示すように、第二回動弁体621は、第二軸部622と、第二開閉パネル部623と、を有している。第二回動弁体621は、第一回動弁体611の屋内側に配置されている。
【0069】
第二軸部622は、左右方向に延びている。第一回動弁体611の第一開閉パネル部613の屋内側の面には、屋外側に向かって凹む支持凹部617が形成されている。第二軸部622は、第一回動弁体611の支持凹部617内に配置され、支持されている。第二軸部622は、左右方向を軸線方向として周方向に回動可能とされている。
【0070】
第二開閉パネル部623は、第二軸部622の下端部から下方に延びている。第二開閉パネル部623は、平板状に形成され、板厚方向を屋内外方向に向けて配置されている。
【0071】
第二回動弁体621は、
図7(b)に示すように、第一回動弁体611に沿って配置された位置(以下、第二閉位置と称する)から、
図7(a),(c)に示すように第一回動弁体611から離間して配置され、第二開口部614を開放する位置(以下、第二開位置と称する)まで回動可能とされている。
【0072】
図7(a)に示す位置では、第二回動弁体621は自重により第一回動弁体611から離間して、鉛直面よりも僅かに傾斜した姿勢とされている。
【0073】
図7(a)から第一回動弁体611が屋内側へ回動すると、第二回動弁体621は第一回動弁体611に押圧されて屋内側に回動し、
図7(b)に示すように、第一回動弁体611の屋内側の面(第一蓋部の屋内側を向く面)に当接する。
【0074】
図7(b)に示す位置から第二回動弁体621が屋内側へ回動すると、
図7(c)に示すように、第二開閉パネル部623の上端部623uの屋内側の面が、第一回動弁体611の第一開閉パネル部613から屋内側に延びる規制部618に当接して、第二回動弁体621の回動が規制され停止する。
【0075】
図5に示すように、屋内側換気孔504及び圧力調整機構6は、左右方向に間隔を有して複数形成されている。また、屋内側換気孔504及び圧力調整機構6が配置される左右方向の位置は、揃っていてもよいし、ずれていてもよい。
【0076】
次に、内窓4の上枠41について説明する。
上枠41は、上枠板部411と、上枠板部411から下方に延びる屋外側突出部412、屋内側突出部422及び下向き枠壁部429と、を有している。屋外側突出部412、屋内側突出部422、下向き枠壁部429は、この順に屋外側から屋内側に向かって配置されている。
【0077】
上枠板部411は、平板状に形成され、板厚方向を上下方向に向けて配置されている。上枠板部411は、調整上枠5の伸縮部506,507の下面に沿って配置されている。換言すると、上枠41は開口部Pの上端の下方に隙間SAを有して配置されていて、隙間SAには伸縮部506,507が配置されている。
【0078】
屋外側突出部412は、上枠板部411から下方に延び、屋内外方向に間隔を有して配置された一対の屋外側突出枠壁部413,414と、一対の屋外側突出枠壁部413,414の下端部どうしを連結する屋外側連結枠壁部415と、を有している。屋外側突出枠壁部413は、屋外側突出枠壁部414よりも屋外側に配置されている。
【0079】
屋内側突出部422は、上枠板部411から下方に延び、屋内外方向に間隔を有して配置された一対の屋内側突出枠壁部423,424と、一対の屋内側突出枠壁部423,424の下端部どうしを連結する屋内側連結枠壁部425と、を有している。屋内側突出枠壁部423は、屋内側突出枠壁部424よりも屋外側に配置されている。
【0080】
下向き枠壁部429は、平板状に形成され、板厚方向を屋内外方向に向けて配置されている。
【0081】
次に、内窓4の外障子50Aの上框52について説明する。
上框52は、屋外側に配置される上外板部521と、屋内側に配置される上内板部522と、上外板部521と上内板部522とを連結する上連結板部523と、を有している。
【0082】
上外板部521及び上内板部522は、平板状に形成され、板厚方向を屋内外方向に向けて配置されている。
【0083】
上連結板部523は、平板状に形成され、板厚方向を上下方向に向けて配置されている。上連結板部523は、上外板部521の上下方向の中間と上内板部522の上下方向の中間とを連結している。
【0084】
上外板部521の上端部には、屋内側に向かって延びる延出壁部526が設けられている。延出壁部526の屋内側の端部には、下方に向かって延びる取付壁部527が設けられている。
【0085】
取付壁部527の屋内側の面には、気密材529が設けられている。気密材529は、取付壁部527に固定される固定部529aと、固定部529aの下端部から屋内側に向かうにしたがって次第に上方に向かって延びる気密片529bと、を有している。気密片529bの屋内側の端部(上端部)は、上枠41の屋外側突出枠壁部413の屋外側の面に当接している。
【0086】
上内板部522の上端部には、屋外側に向かって延びる延出壁部536が設けられている。延出壁部536の屋外側の端部には、下方に向かって延びる取付壁部537が設けられている。
【0087】
取付壁部537の屋外側の面には、気密材539が設けられている。気密材539は、取付壁部537に固定される固定部539aと、固定部539aの下端部から屋外側に向かうにしたがって次第に上方に向かって延びる気密片539bと、を有している。気密片539bの屋外側の端部(上端部)は、上枠41の屋外側突出枠壁部414の屋内側の面に当接している。
【0088】
内窓4の内障子50Bの上框52の構成は、外障子50Aの上框52の構成と同様であり、同様に構成については同一の符号を付して説明を省略する。内窓4の内障子50Bにも、気密材529,539が設けられている。気密材529の気密片529bの屋内側の端部(上端部)は、上枠41の屋内側突出枠壁部423の屋外側の面に当接している。気密材539の気密片539bの屋外側の端部(上端部)は、上枠41の屋内側突出枠壁部424の屋内側の面に当接している。
【0089】
次に、内窓4に設けられた気密材について説明する。
上記に示す気密材529,539の他に、
図2に示すように、外障子50Aの下框53の下端部には、下枠42から上方に突出するレール部442を挟んで屋外側に気密材549が設けられ、屋内側に気密材551が設けられている。また、内障子50Bの下框53の下端部には、下枠42から上方に突出するレール部443を挟んで屋外側に気密材549が設けられ、屋内側に気密材551が設けられている。気密材549,551により、外障子50Aの下框53の下端部とレール部442との間は閉塞されている。気密材549,551により、内障子50Bの下框53の下端部とレール部443との間は閉塞されている。
【0090】
また、
図3に示すように、外障子50Aの戸先框54の左右方向の端部には、縦枠43との間に気密材552が設けられている。気密材552により、外障子50Aが閉じた状態で、戸先框54と縦枠43との間は閉塞されている。
【0091】
外障子50Aの召合せ框55の屋内側の面には、気密材569が設けられている。内障子50Bの召合せ框55の屋外側の面には、気密材589が設けられている。外障子50A及び内障子50Bが閉じた状態で、気密材569,589により、互いの召合せ框55間は閉塞されている。
【0092】
内障子50Bの戸先框54の左右方向の端部には、縦枠43との間に気密材553が設けられている。気密材553により、内障子50Bが閉じた状態で、戸先框54と縦枠43との間は閉塞されている。
【0093】
次に、上記の二重サッシ100において、負圧が生じた際の空気の流れや圧力について説明する。
外窓1及び内窓4が閉塞された閉塞状態で、内窓4では、負圧が生じると、
図7(a)に示すように、第一回動弁体611及び第二回動弁体621は下側を屋外側に向けるように回動する。第一回動弁体611は、第一開位置で回動が停止する。第二回動弁体621は、自重により鉛直面からの傾斜が第一回動弁体611よりも小さい。第二回動弁体621は、下側を第二回動弁体621から屋内側に離間させつつ、第一開口部605を開放可能な位置に配置されている。屋内の空気は、調整上枠5の屋内側換気孔504から調整上枠5内の隙間SAに導入され、隣接配置された伸縮部507の間を通過して屋外側に進み、隣接配置された伸縮部506の間を通過して屋外側に進み、圧力調整機構6の第一開口部605を通過して、内窓4と外窓1との間へと流通する。
【0094】
図8は、二重サッシ100の外窓1において、負圧が生じた際の挙動を示す図である。
また、
図8に示すように、外窓1では、外障子20A及び内障子20Bが負圧を受けて屋外側に変位すると、外障子20Aの振れ止め部材224の屋内側振れ止め部224cが上枠11の屋外側突出枠壁部113の屋内側の面に当接する。また、内障子20Bの振れ止め部材225の屋内側振れ止め部225cが上枠11の屋内側突出枠壁部114の屋内側の面に当接する。外障子20A及び内障子20Bの上内板部222と屋外側突出枠壁部113及び屋内側突出枠壁部114との間には、それぞれ隙間S1が生じている。
【0095】
また、外障子20A及び内障子20Bの気密材229と屋外側突出枠壁部113及び屋内側突出枠壁部114との間には、それぞれ形成される隙間S2が生じている。
【0096】
図8では外障子20A及び内障子20Bの上外板部221、上内板部222及び上連結板部223の左右方向の両端部側の挙動を二点鎖線で示し、上外板部221、上内板部222及び上連結板部223の左右方向の中央側の挙動を実線で示している。外障子20A及び内障子20Bの左右方向の両端部側では、振れ止め部材224の屋内側振れ止め部224c及び振れ止め部材225の屋内側振れ止め部225cがそれぞれ屋外側突出枠壁部113及び屋内側突出枠壁部114に当接して、外障子20A及び内障子20Bの変位が抑制されている。外障子20A及び内障子20Bの左右方向の中央側では、左右方向の両端部側よりも、屋外側に撓むように変位している。これにより、隙間S2は、左右方向の中央側で大きくなっている。
【0097】
上記のように内窓4を通過してきた空気は、内窓4と外窓1との間から、外窓1の内障子20Bの上框22の上内板部222と屋内側突出枠壁部114との間の隙間S1を通過して、上框22の気密材229と上枠11の屋内側突出枠壁部114との間の隙間S2を通過する。さらに、空気は、外障子20Aの上框22の上内板部222と屋外側突出枠壁部113との間の隙間S1を通過して、上框22の気密材229と上枠11の屋外側突出枠壁部113との間の隙間S2を通過する。
【0098】
このように、内窓4から外窓1まで、連通して隙間(空気の流路)が生じるため、内窓4の屋内側と屋外側との圧力差が低減される。
【0099】
また、負圧と正圧とが釣り合った状態では、
図7(b)に示すように、第一回動弁体611は屋内側に回動した第一閉位置に配置され、第二回動弁体621は第二開口部614を閉塞する第二閉位置に配置されている。この状態では、第一開口部605内及び第二開口部614内の空気の通過はない。
【0100】
また、正圧が生じると、
図7(c)に示すように、第一回動弁体611は第一開口部605を閉塞する第一閉位置に配置され、第二回動弁体621は第二開口部614を開放する第二開位置に配置されている。この状態では、屋外側の空気は、第一回動弁体611の第二開口部614及び第一開口部605を通過して屋内側に流入する。
【0101】
このように構成された二重サッシ100では、負圧が生じた際に、第一回動弁体611は、調整上枠5に形成された屋外側換気孔505を開放可能な第一開位置に配置されている。また、第二回動弁体621は、第一回動弁体611から離間しつつ、屋外側換気孔505を開放可能な位置に配置されている。これにより、空気は、内窓4の調整上枠5に形成された屋外側換気孔505を通過する。また、外窓1では、負圧が生じた際に、空気が屋内側から屋外側に流通可能となる。よって、負圧が生じた際に、内窓4の屋内側から外窓1の屋外側まで連通した空気の流路ができるため、内窓4の屋内側と屋外側との圧力差(内窓4に作用する圧力)を低減させることができ、内窓4の障子が枠体から外れることが抑制される。
【0102】
また、正圧が生じた際には、第一回動弁体611は、屋内側に配置された第一閉位置に配置されている。第二回動弁体621は、第二開口部614を開放可能な第二開位置に配置されている。よって、正圧が生じた際に、内窓4の屋外側から第二開口部614及び第一開口部605を通過して屋外側まで連通した空気の流路ができる。
【0103】
また、換気枠体601は調整上枠5に支持され、第一回動弁体611は換気枠体601に支持され、第二回動弁体621は第一回動弁体611に支持されている。よって、換気枠体601内に第一回動弁体611及び第二回動弁体621が納められたユニット化されているため、圧力調整機構6の設置を容易に行うことができる。
【0104】
また、一の圧力調整機構6で、負圧及び正圧が生じた際の空気の流通が可能である。よって、負圧用の圧力調整機構と正圧用の圧力調整機構とをそれぞれ別々に設けるよりも、省スペースに設置することができる。
【0105】
また、第一開口部605の閉塞時に、第一回動弁体611が換気枠体601の規制部616に当接するため、第一開口部605の閉塞状態を維持することができる。また、第二開口部614の閉塞時に、第二回動弁体621が第一回動弁体611の屋内側を向く面に当接するため、第二開口部614の閉塞状態を維持することできる。
【0106】
なお、上述した実施の形態において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【0107】
例えば、上記に示す実施形態では、開口部Pの上端に沿って設けられた調整上枠5が配置されているが、本発明はこれに限られない。上枠、下枠や縦枠等に設けられていてもよい。
【0108】
また、上記に示す実施形態では、屋外側換気孔505に沿って換気枠体601が設けられ、換気枠体601内に第一回動弁体611が設けられているが、本発明はこれに限られない。換気枠体601が設けられておらず、第一換気孔の外縁に第一蓋部が屋外側板部に直接設けられている構成であってもよい。
【0109】
また、上記に示す実施形態では、第一回動弁体611及び第二回動弁体621は、回動可能に設けられているが、本発明はこれに限られない。第一蓋部は第一換気孔の少なくとも一部を開閉可能であり、第二蓋部は貫通孔を開閉可能であればよい。例えば、第一蓋部は第一換気孔に沿ってスライド可能に設けられ、第二蓋部は貫通孔に沿ってスライド可能に設けられていてもよい。
【0110】
また、上記に示す実施形態では、外窓1は引違いサッシであるが、本発明はこれに限られない。外窓は、負圧が生じた際に、空気を屋外側に流通可能となればよく、片引戸や上げ下げ窓であってもよい。
【0111】
また、上記に示す実施形態では、外窓1及び内窓4のガラス29,59は、それぞれ単層の板ガラスであるが、本発明はこれに限られず、複層ガラス等であってもよい。
【0112】
また、内窓4の外障子50Aにおいて、屋外側突出部412の屋外側及び屋内側にそれぞれ気密材529,539が設けられ、屋外側突出部412を挟んで屋内外両側で気密性が確保されている。また、レール部442の屋外側及び屋内側にそれぞれ気密材549,551が設けられ、レール部442を挟んで屋内側両側で気密性が確保されている。また、外障子50Aと縦枠43との間には気密材552が設けられ、気密性が確保されている。また、内窓4の内障子50Bでも、屋内側突出部422の屋外側及び屋内側にそれぞれ気密材529,539が設けられ、屋内側突出部422を挟んで屋内外両側で気密性が確保されている。また、レール部443の屋外側及び屋内側にそれぞれ気密材549,551が設けられ、レール部443を挟んで屋内側両側で気密性が確保されている。また、内障子50Bと縦枠43との間には気密材553が設けられ、気密性が確保されている。また、外障子50Aの召合せ框55と内障子50Bの召合せ框55との間には、気密材569,589が設けられ気密性が確保されている。つまり、本実施形態の内窓4は、気密性が高く、負圧が生じた際には、内窓4に大きな負圧が作用しやすい。よって、中間層M(
図2参照)から外窓1に形成された隙間S1,S2まで連通した空気の流路を形成して、中間層Mの圧力を低減させることは、気密性が高い内窓4の外障子50A及び内障子50Bが枠体40から外れさせないために、重要な構成である。