(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
〔一実施の形態〕
図1は、一実施の形態に係るLPガスオーダーシステムを示している。
図1に示す構成は一例であり、本発明が斯かる構成に限定されるものではない。
このLPガスオーダーシステム(以下単に「オーダーシステム」と称する)2は、
図1のAに示すように、オーダーされたガス容器4について、そのガス切れ推定日を算出するシステムである。このシステムには計測部6、データ収集部8、データ処理部10、記憶部12、出力部14が備えられる。計測部6はガスメーター16に備えられる。データ収集部8、データ処理部10、記憶部12および出力部14はガス切れ推定部18を構成する。
【0014】
ガス容器4は、LPガス充填容積が異なる複数のガス容器群4X(
図1のB)から選択され、オーダーされる。このガス容器4の選択には、ユーザーの設置スペースなどの設置条件や、使用形態などの需要条件などが考慮される。
このガス容器4のガスGは、ガス供給路20を通してガス機器22に流れる。計測部6はガス供給路20に設置され、ガス流量またはガス容器4のガス残量を多頻度で計測し、その計測出力として、「ガス使用量に関するデータ」であるガスデータを出力する。このガスデータは、ガス容器4のガス切れ推定日の算出に用いられる。したがって、ガスデータは、たとえば、ガス流量の計測値、ガス使用量、ガス残量、ロードサーベイやガスメーター16の出力パルス、計測値と同様にガス使用量やガス残量を示すデータ、アラーム情報、ガス使用量やガス残量を表す容器内圧力の何れでもよいし、これらの2以上を組合せたデータでもよい。
ガス機器22にはガスGを燃焼させるガス器具や給湯機器など、複数のガス機器22−1、22−2・・・が含まれる。
【0015】
データ収集部8は、計測部6の多頻度で計測された複数のガスデータを時系列で収集する。このガスデータは時系列で記憶部12に格納され、保存される。
データ処理部10は演算部の一例であり、現在使用中のガス容器4のガスデータSiと、記憶部12にあるガス切れ推定データSxとを比較し、使用中のガス容器4のガス切れ推定日dxを算出する。
記憶部12には、使用中のガス容器4のガス切れ推定演算に用いられる複数のガス切れ推定データSx(=Sxa、Sxb、Sxc、・・・)が格納されている。ガス切れ推定データSxは、LPガス充填容積が異なるガス容器に対応している。このガス切れ推定データSxはLPガス充填容積を識別情報として選択され、ガス切れ推定の演算に用いられる。
ガス切れ推定データSxには、過去のガスデータの他、ユーザー情報、ガス容器4の属性情報、過去のガス切れ推定日、その通報日などがガス容器4の識別情報に関係付けられて格納されている。
【0016】
出力部14は通信機能を備えてたとえば、図示しない管理センターと有線または無線により接続され、データ処理部10の処理結果であるガス切れ推定日dxを管理センターに通報する構成としてもよい。
なお、ガスメーター16およびガス切れ推定部18について、ガスメーター16の筐体内にガス切れ推定部18を一体に備えてよいし、ガス切れ推定部18をユニット化してガスメーター16に着脱可能に備えてよいし、ガスメーター16とガス切れ推定部18を有線または無線で接続してもよい。
【0017】
<ガス容器4>
図1のBに示すように、ガス容器4にはガス容器群4Xから所望のものが選択される。このガス容器群4Xには、LPガス充填容積が異なる複数のガス容器4a、4b、4c、・・・が含まれる。したがって、ユーザーの設置スペースなどの設置条件や、消費傾向などで所望のガス容器4をオーダーすればよい。つまり、ガス容器4を特定する識別情報は、ユーザーが所望のガス容器4を選択するためのオーダー情報の一例である。
また、ガス容器4には、
図1のCに示すように、LPガス充填容積の少ないたとえば、ガス容器4aを選択して最小限のたとえば、ガス容器4a1、4a2を設置し、ガスの供給元を切換器24で切り換えてもよい。つまり、ガス切れを補完するため、バックアップ用のガス容器4a2を併設すれば、一方のガス容器4a1にガス切れが生じたとき、切換器24で供給元のガス容器4a1からバックアップ側のガス容器4a2に切り換え、ガスGをバックアップ供給することができる。
【0018】
<ガスデータSiの一例>
交換時のガス容器4のガス残量の最大値をGmax、検出したガス使用量をgi、その積算値をΣgiとすれば、検出時点のガス残量Giは、
Gi=Gmax−Σgi ・・・(1)
で表すことができる(ただし、i=1、2、・・・、n)。そこで、ガスデータSiにはたとえば、ガス使用量gi、ガス残量Giのいずれを用いてもよい。
【0019】
<ガス切れ推定部18のデータ処理>
このガス切れ推定部18のデータ処理には、a.ガスデータSiの収集、b.ガスデータSiの蓄積、c.ガス切れ推定データSxの選択、d.ガス切れ推定日dxの算出、e.ガス切れ推定データSxの更新、f.その他のデータ処理が含まれる。
a.ガスデータSiの収集
データ収集部8は、計測部6から時系列のガスデータSiを連続または不連続に取得して収集する。
【0020】
b.ガスデータSiの蓄積
データ収集部8に収集されたガスデータSiが記憶部12に蓄積され、保存される。つまり、現在使用中のガス容器4のガスデータSiは、ガス切れ推定データSxと区別されて記憶部12に格納される。
c.ガス切れ推定データSxの選択
ガス容器群4Xからガス容器4が選択されると、記憶部12にあるガス切れ推定データSxが参照される。ガス切れ推定データSxはガス容器4の識別情報に関係付けられたガス切れ推定データSxa、Sxb、Sxc、・・・が格納されている。これにより、ガス切れ推定データSxa、Sxb、Sxc、・・・から使用中のガス容器4に対応するガス切れ推定データSxが選択される。
【0021】
d.ガス切れ推定日dxの算出
データ処理部10は、ガスデータSiと特定のガス切れ推定データSxとを比較し、使用中のガス容器4のガス切れ推定日dxを算出する。このガス切れ推定日dxは使用中のガス容器4の識別情報に関係付けられて記憶部12に格納される。
f.ガス切れ推定データSxの更新
配送完了後、使用中のガスデータSiは、配送完了またはガス切れ推定日dxの通報を契機に、ガス切れ推定データSxに組み込まれて保存される。
【0022】
g.その他のデータ処理
記憶部12には、ガスデータSiに関し、ガス容器4の使用履歴、ガス切れ推定日dxの通報履歴、通報時期からガス容器4の交換記録などの管理情報が格納される。
ガスデータSiの処理では、ガス使用量の推移情報、ユーザーの属性情報、温度情報、気象情報の何れかまたは2以上を含む変動情報を取得し、この変動情報を用いてガスデータSiを補正してもよい。
データ処理部10は、ガス切れ推定日dxの算出の後、その通報日dyを算出する。この通報日dyは、ガス切れ推定日dxと同様にガス容器4の識別情報に関係付けられて記憶部12に格納される。
また、データ処理部10は、時間を計測して通報日dyの到来を監視し、この通報日dyが到来すると、データ処理部10は、有線または無線によりたとえば、ガス容器4の配送などを管理している管理センターに通報する。
【0023】
<ガス切れ推定データSxa、Sxb、Sxc、Sxd、・・・からの選択およびガス切れ推定日dxの算出>
図2のAは、横軸に時間、縦軸にガス残量を取り、各ガス切れ推定データSxa、Sxb、Sxc、Sxd・・・の分布を示している。各ガス切れ推定データSxa、Sxb、Sxc、Sxd・・・は、過去のガス残量の推移を総合した過去のガスデータSiの集合体である。各ガス切れ推定データSxa、Sxb、Sxc、Sxd、・・・は、ユーザーのガス使用状態を反映しているため、変動幅を以て推移している。
【0024】
各ガス切れ推定データSxa、Sxb、Sxc、Sxd、・・・において、Gmaxa、Gmaxb、Gmaxc、Gmaxd、・・・はガス残量の最大値、G0はガス切れに相当するガス残量の最小値、dxa、dxb、dxc、dxd、・・・は、ガス切れ推定日を表している。
説明を容易にするため、各ガス切れ推定データSxa、Sxb、Sxc、Sxd、・・・を一様な直線で示しているが、ユーザーによるガス使用の形態が異なれば、曲線など様々な形態となる。また、Gmaxa、Gmaxb、Gmaxc、Gmaxd、・・・についても、各ガス容器4のガス充填容積が同一であっても初期ガス充填量により変動し、一定の幅を持つ値となる。
【0025】
図2のBは、横軸に時間、縦軸にガス残量を取り、使用中のガス容器4のガスデータSiの推移を示している。
現在使用中のガス容器4の識別情報により、ガス切れ推定データSxから対応するデータが選択される。たとえば、ガス容器4cが使用されていれば、ガス切れ推定データSxからガス切れ推定データSxcが選択される。
時点tiのガス切れ推定日dxiの算出にはガスデータSiをガス切れ推定データSxcと対比する。時点tiを基準に、ガスデータSiと同一または最も近いガス残量値を含むガス切れ推定データSxciを検索し、このガス切れ推定データSxciを参照することにより、使用中のガス容器4のガス切れ推定日dxiを算出できる。
【0026】
<ガス切れ推定の処理シーケンス>
図3は、ガス切れ推定の処理シーケンスを示している。この処理シーケンスの処理はコンピュータを用いて実行するガス切れ推定方法の一例である。
計測部6は、ガス機器22に流れるガス流量を計測し、またはガス容器4のガス残量を計測し(S101)、ガスデータSiを出力する。
ガス切れ推定部18は、計測部6からガスデータSiを時系列で収集し(S102)、このガスデータSiを記憶部12に格納し、蓄積する(S103)。
ガス切れ推定部18は、使用中のガス容器4について、その識別情報によりガス切れ推定データSxから使用中のガス容器4に該当するガス切れ推定データSxiを選択する(S104)。
【0027】
ガス切れ推定部18は、ガス容器4のガス残量の推移またはガス容器4の使用開始からの経過時間を監視し、ガス残量が基準値に到達しまたは経過時間が所定時間に到達したことを契機にガス切れ推定日dxiを算出する(S105)。
このガス切れ推定日dxiの算出では、既述したように、その時点tiのガスデータSiと、選択されているガス切れ推定データSxiとを対比し、同時点tiでガスデータSiに相当するガス残量から、ガスデータSiのガス切れ推定日dxiを算出する。
ガス切れ推定部18は時間の経過を監視し、通報日dyの到来を待って管理センターに対し、ガス容器4またはガスユーザーの識別情報とともに、ガス切れ推定日dxiを通報する(S106)。
この通報を受けた管理センターでは、ガス容器4または識別情報とともにガスユーザーに対し、ガス容器4の交換に必要な配送処理を実行する。
なお、この処理シーケンスにおいて、日々のガス使用量によって毎日、カス切れ推定日dxは変動するので、日毎に更新されるガス使用量を表すガスデータSiに基づき、ガス切れ推定日dxを日毎に算出し、ガス切れ日やガス切れ推定日dxに到達する直前まで算出し続ける処理としてもよい。
【0028】
<一実施の形態の効果>
一実施の形態によれば、次の効果が得られる。
(1) ガス容器の設置スペースの最小化や有効利用を図ることができる。
(2) ガス残量の推定精度が高められるので、LPガス充填容積に関係なく、オーダーされたガス容器毎にガス切れ推定日を算出できる。
(3) LPガス充填容積に関係なく、ガス容器の交換回数を削減してガス容器交換の効率を高めることができる。
(4) ガス残量の少ないガス容器を交換でき、配送者の負担を低減できる。
【実施例1】
【0029】
図4は、実施例1に係るガスメーターを示している。
図4において、
図1と同一部分には同一符号を付してある。
このガスメーター16には、筐体26内に既述のLPガスオーダーシステム2が内蔵されている。筐体26の前面には表示部28が配置され、この表示部28は出力部14の一例であり、数値表示部28−1および情報表示部28−2が備えられる。数値表示部28−1にはガス流量が表示される。情報表示部28−2は通報日dyにガス切れ推定日dxなどが表示される。通報日dyは、ガス切れ推定日dxからたとえば、数日(N日)前の日時である。すなわち、
dy=dx−N ・・・(2)
である。
このガスメーター16には通信機能が備えられ、たとえば、インターネット30を媒介としてガス切れ推定日dxなどの情報が管理センター32に通報される。管理センター32は、ガス会社や中継基地などで構成される。ガスメーター16と管理センター32の通信はスマートフォンなどの情報端末を媒介として行ってもよい。このインターネット30に代え独自の無線通信回線を用いてもよい。ガスメーター16と管理センター32の通信にはスマートフォンなどの情報端末を用いてもよいが、中継器や通信データ収集器を用いてもよい。通信データ収集器はn個の端末通信機からのデータを一括して収集し、データをまとめて管理センター32へ送信する中継機器を構成することができる。
【0030】
<ガスメーター16>
図5のAは、ガスメーター16のシステム構成を示している。
図5のAにおいて、
図1と同一部分には同一符号を付してある。
このガスメーター16には既述のように計測部6とともにガス切れ推定部18が備えられる。このガス切れ推定部18には既述の出力部14の一例として、表示部28に加えて通信部34が備えられる。通信部34は管理センター32との通信手段の一例である。
【0031】
図5のBは、ガス切れ推定部18のハードウェアを示している。このガス切れ推定部18はコンピュータで構成されており、プロセッサ36、メモリ部38、入出力部(I/O)40が備えられる。
プロセッサ36はメモリ部38にあるOS(Operating System)、ファームウェアプログラム、ガス切れ推定プログラム、LPガスのオーダープログラムなど、各種のプログラムを実行し、既述のLPガスオーダーシステム2のデータ処理を行うとともに、メモリ部38やI/O40などの機能部を制御する。
メモリ部38にはROM(Read-Only Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory )、RAM(Random-Access Memory)などの記憶素子が搭載され、ガスデータテーブル42(
図6)やガス切れ推定データベース44(
図6)などが格納される。
【0032】
I/O40には計測部6、表示部28、通信部34などの機能部が接続されている。このI/O40にはプロセッサ36の制御により、計測部6からガスデータが取り込まれる。プロセッサ36の算出結果であるガス切れ推定日dx、通報日dyなどはI/O40から表示部28および通信部34に出力される。これにより、表示部28の情報表示部28−2(
図4)には通報時、ガス切れ推定日dxが表示される。
通信部34はプロセッサ36の制御により、有線または無線により管理センター32との通信を行う。この通信には管理センター32に対する通報として、ガスメーター16の識別情報に関係付けられたガス切れ推定日dxの通報が含まれる。
【0033】
<ガスデータテーブル42およびガス切れ推定データベース44>
図6のAは、ガスデータテーブル42を示している。このガスデータテーブル42には一例として識別情報部46、時間情報部48、ガスデータ部50、ガス切れ推定日部52、通報日部54が備えられる。識別情報部46には使用中のガス容器4を特定するID(IDentification)などの識別情報が格納される。時間情報部48にはガスデータの収集タイミング情報が格納される。ガスデータ部50には収集タイミングで収集されたガスデータSiが格納される。ガス切れ推定日部52には算出したガス切れ推定日dxが格納される。通報日部54には、ガス切れ推定日dxの通報日dyが格納される。
このガスデータテーブル42によれば、ガス容器4の識別情報に関係付けられた時間情報、ガスデータSi、ガス切れ推定日dxおよびその通報日dyが格納され、これらを容易に把握でき、認識することができる。
【0034】
図6のBは、ガス切れ推定データベース44を示している。
図6のBにおいて、
図6のAと同一部分には同一符号を付してある。ガス切れ推定データベース44には、複数のガス切れ推定データテーブル44−1、44−2、44−3、・・・が格納されている。つまり、このガス切れ推定データベース44はユーザー情報に関係付けられており、複数のガス切れ推定データテーブル44−1、44−2、44−3、・・・が備えられ、ガス切れ推定データSxa、Sxb、Sxc、・・・が格納されている。
ガス容器4の配送完了後、ガスデータテーブル42は、ガス容器4の交換毎にガス切れ推定データテーブル44−1、44−2、44−3、・・・に構成される。
なお、ユーザーによっては、LPガスの導入時、ガスデータが存在していない場合が想定される。この場合には、ガス切れ推定データベース44として、ユーザーの標準的使用を想定し、標準値として仮想ガス切れ推定データを格納しておけばよい。
【0035】
<管理センター32>
図7のAは、管理センター32のハードウェアを示している。管理センター32は主としてガス容器4の配送などの管理業務を担当する。この管理を実現するため、管理センター32にはコンピュータが備えられ、プロセッサ56、メモリ部58、通信部60、入出力部(I/O)62および表示部64が備えられる。
プロセッサ56は、メモリ部58にあるプログラムを実行し、データ処理を行う。このデータ処理にはガスメーター16から通報されたガス切れ推定日dx前にガス容器4の配送のためのデータ処理が含まれる。
【0036】
メモリ部58はガスメーター16側のガス切れ推定プログラムを統括し、ガス配送業務を実行するためのLPガスのオーダープログラムを格納する。このメモリ部58にガスメーター16から提供されるガスデータテーブル42、ガス切れ推定データベース44などを格納してもよい。
通信部60は、ガスメーター16との有線または無線によりデータの授受を行う。
I/O62には表示部64や操作入力部66が接続されている。表示部64にはガスメーター16から通報されたガス切れ推定日dxを含む提示情報が表示される。操作入力部66はキーボード、タッチパネル、マウス、バーコード入力装置などのユーザーインターフェースが接続され、ガス容器4の配送管理に関する情報入力に用いられる。たとえば、ユーザーに対するガスメーター16の配送完了の際、その完了結果などの入力が行われる。
【0037】
<表示部64の情報提示>
図7のBは、表示部64の表示例を示している。表示部64には、ガスメーター16からのガス切れ推定日dxの通報を契機に通報表示テーブル68が表示される。この通報表示テーブル68には識別情報部70、通報部72、ユーザー情報部74、ガス容器情報部76などが備えられる。
識別情報部70にはガスデータテーブル42の識別情報部46と同様の識別情報が表示される。この識別情報にはガス容器4のIDなどが含まれる。
【0038】
通報部72にはガスメーター16から提供されたガス切れ推定日dx、通報日dyなどのガス切れに関する特定情報が表示される。
ユーザー情報部74にはユーザーの属性情報としてたとえば、ユーザー名、所在地、電話番号などが表示される。
ガス容器情報部76には、ガス容器4の従前の交換日や交換完了などのガス容器交換に関する情報が格納される。ガス容器交換を完了すれば、その旨の情報が表示される。
【0039】
この通報表示テーブル68の表示画面において、ユーザー情報部74のたとえば、所在地表示をクリックすれば、地図表示ウインドウ78が展開される。この地図表示ウインドウ78にはユーザーの所在地近郊を表す地図が表示されるとともに、交通情報表示ウインドウ80が重ねて表示される。この交通情報表示ウインドウ80には通報日dyに取得された交通情報が表示される。
【0040】
<ガス切れ推定処理>
図8は、ガス切れ推定の処理シーケンスを示している。この処理シーケンスにはガスメーター16側の処理手順と管理センター32側の処理手順が含まれる。
ガス切れ推定部18は、ガス容器4の交換などの配送が行われると(S201)、これを契機に初期化を行う(S202)。つまり、ガスデータSiの計測やガスデータテーブル42の更新を停止する。
初期化を契機に、ガスメーター16の計測部6では新たにガス流量またはガス残量を計測を開始し(S203)、ガスデータSiを出力する。
【0041】
ガス切れ推定部18は、計測部6からガスデータSiを時系列で収集し(S204)、このガスデータSiを記憶部12に格納し、蓄積する(S205)。つまり、ガスデータSiがガスデータテーブル42に書き込まれて保存される。
使用中のガス容器4について、ガス切れ推定部18は、記憶部12にあるガス切れ推定データベース44から該当するガス切れ推定データテーブル44−i(=44−1、44−2、44−3、・・・)を選択する(S206)。
ガス切れ推定部18は、ガス容器4のガス残量の推移またはガス容器4の使用開始からの経過時間を監視し、ガス残量が基準値に到達し、または経過時間が基準時に到達したことを契機にガス切れ推定日dxを算出する(S207)。
このガス切れ推定日dxの算出では、既述したように、その時点tiのガスデータSiと、記憶部12のガス切れ推定データベース44からガスデータSiと同一または近似のガス切れ推定データSxiを検索する。このガス切れ推定データSxiを参照し、ガスデータSiのガス切れ推定日dxiを算出する。
【0042】
このガス切れ推定日dxの算出の後、ガス切れ推定部18はガス切れ推定日dxよりN日だけ前の日時である通報日dyを算出する(S208)。
ガス切れ推定部18は時間の経過を監視し、通報日dyの到来を待って管理センター32に対し、オーダー情報として、ガス容器4またはガスユーザーの識別情報とともに、ガス切れ推定日dxを通報する(S209)。
ガス切れ推定日dxiの通報を受けた管理センター32はガス容器4またはガスユーザーの識別情報とともに、ガス切れ推定日dxを提示し(S210)、ガス容器4の交換に必要な配送処理を実行する(S211)。
そして、管理センター32は、配送管理者またはガスメーター16からのガス容器4の交換完了通知を受け、通報表示テーブル68のガス容器情報部76に交換完了情報を提示した後、所定時間後に通報表示テーブル68の表示をリセットする(S212)。
【0043】
<ガス切れ推定日dxの算出の契機>
ガス切れ推定日dxの算出精度は、ガス容器4のガス残量と密接に関係する。ガス残量の最少化はガス切れ推定日dxの精度に依存し、配送負荷の低減に不可欠である。
そこで、ガス切れ推定日dxの算出には、ガス容器4の使用時からの時間的な基準日、またはガス使用を考慮したガス残量に基準値を設定すればよい。
算出する基準時としては、ガス切れ推定データベース44を参照し、従前に算出したガス切れ推定日dxiから基準日を設定すればよい。
ガス残量の基準値としては、ガス切れ推定データベース44を参照し、従前に算出したガス切れ推定日dxiを参照してガス残量の基準値を設定すればよい。
【0044】
<ガス切れ推定日dxの学習およびその通報の契機>
(1) ガス切れ推定日dxのガス容器4のガス残量を計測し、その計測値を経験値としてガス切れ推定データベース44に格納する。この経験値をガス切れ推定日dxの補正に利用すれば、ガス切れ推定日dxとガス残量との関係を最適化することができる。
(2) 通報日dyの決定には、管理センター32における配送の忙閑状態やユーザーが所在する地域の交通事情などの変動情報を補正値として利用すれば、配送管理者への融通性が高められる。
【0045】
<実施例1の効果>
この実施例1によれば、次の効果が得られる。
(1) ガス容器の最小化やガス容器の設置スペースの最小化、設置スペースの有効利用に寄与することができる。
(2) 設置スペースやガスの利用形態に応じたガス容器をオーダーでき、オーダーされたガス容器4毎にガス切れ推定日を高精度に算出でき、ユーザーにとり、利便性の高いLPガス利用システムを構築できる。
(3) ガス残量の把握およびガス切れ推定日をガスメーター16側で特定でき、管理センター32側のデータ処理負荷を拡大することなく、効率のよいLPガスオーダーシステムを構築することができる。
【0046】
(4) ガスメーター16側のガス切れ推定を、管理センター32側ではガスメーター16との通信を通じて管理でき、ガス切れ推定の負荷分散を図ることができる。
(5) ガス容器4のLPガス充填容積に関係なく、ガス切れの防止を図ることができるとともに、業務効率を改善でき、業務コストを低減できる。
(6) ガスメーター16側のデータ処理で算出されたガス切れ推定日dxを管理センター32で受ける程度であるため、通信の情報量が少なく、データトラフィックの負担を軽減できる。
(7) ガス容器4のLPガスの充填容積に関係なく、ガスメーター16の表示部28からガス切れ推定日dxを直接読み取ることができ、迅速にガス切れ推定日を認識できる。
【実施例2】
【0047】
図9は、実施例2に係るLPガスオーダーシステム2を示している。
図9において、
図1と同一部分には同一符号を付してある。
このLPガスオーダーシステム2では、データ収集部8を制御するデータ収集制御部82が備えられる。このデータ収集制御部82では、データ収集部8が収集するガスデータの頻度または収集間隔(時間間隔)を制御する。
データ処理部10が使用中のガス容器4を識別情報により特定すると、記憶部12にあるガス切れ推定データSxをその識別情報により特定することができる。ガス切れ推定データSxには、LPガス充填容積が異なる複数のガス容器4のガス切れ推定データSxa、Sxb、・・・が含まれる。これにより、ガスデータSiを取得する頻度niを変更する。また、この頻度niに代え、ガスデータSiを取得する時間間隔Tを変更する。
【0048】
<ガス切れ推定データに対応するガスデータの頻度または時間間隔>
図10のAは、ガス切れ推定データSx(
図6のB)から選択されたガス切れ推定データSxiを示している。
すなわち、このガス切れ推定データSxiは、LPガス充填容積が異なる複数のガス容器4a、4b、4c、・・・(
図1のB)から選択された使用中のガス容器4のLPガス充填容積に対応している。
これに対し、
図10のBは、使用中のガス容器4のガスデータSiである。このガスデータSiは、LPガス充填容積が異なる複数のガス容器4a、4b、4c・・・(
図1のB)と異なる。
そこで、実施例2では、使用されるガス容器4のLPガス充填容積をその識別情報から特定する。これを契機に、ガスデータSiを取得する頻度niを変更する。また、ガスデータSiを取得する時間間隔Tを変更する。
【0049】
<ガス切れ推定の処理シーケンス>
図11は、実施例2に係るガス切れ推定の処理シーケンスを示している。この処理シーケンスでは、ガスデータSiを収集する頻度niまたは時間間隔Tを変更する処理を含んでいる。
ガス切れ推定部18は、ガス容器4の交換などの配送が行われると(S301)、これを契機に初期化を行う(S302)。
この初期化を契機に、使用を開始するガス容器4を特定する(S303)。このガス容器4の特定は、ガス容器4から属性情報を取得し、この属性情報に含まれる容積情報によりLPガス充填容積を特定する。この特定に基づき、ガス切れ推定データSxiを選択する(S304)。
このような準備処理とともに、ガスメーター16の計測部6では新たにガス流量またはガス残量の計測を開始し、ガスデータSiを出力する。
【0050】
ガス切れ推定部18は、計測部6からガスデータSiを時系列で収集し(S305)、このガスデータSiを記憶部12に格納し、蓄積する(S306)。
使用中のガス容器4について、ガス切れ推定日dxiの算出(S307)、通報日dyの算出(S308)、ガス切れ推定日dxiの通報(S309)は既述の通りであるのでその説明を割愛する。
【0051】
<実施例2の効果>
この実施例2によれば、次の効果が得られる。
(1) ガスデータSiを収集する頻度や収集間隔をガス容器の充填容積に応じて変更できるので、データ処理の合理化とともに、充填容積に関係なく、ガス切れ推定の精度を高めることができる。
(2) LPガスの需要を喚起でき、LPガスユーザーを拡大することができる。
【実施例3】
【0052】
実施例1または実施例2に記載したガス切れ推定日dxおよび通報日dy、ガス使用の形態については実施例1または実施例2の記載に限定されるものではない。
ガス切れ推定日dxおよび通報日dy、ガス使用の形態について、日々のガス使用量によって毎日、ガス切れ推定日dx、通報日dyが変動するので、日毎に更新されるガス使用量Siに基づき、ガス切れ推定日dxおよび通報日dyを日毎に算出し、通報日dyに到達する直前まで算出し続ける処理としてもよい。
【0053】
<実施例3の効果>
この実施例3によれば次の効果が得られる。
(1) ガス使用量が日々変動しても、その変動に応じた精度の高いガス切れ推定日dxおよび通報日dyを算出でき、利便性の高いガス切れ推定システムを構築できる。
(2) ガス切れ直前までガスを使用できるので、ガス容器のガス残量を最小値にまで追い込むことができ、ガス残量の少ないガス容器を交換でき、ガス容器交換の負荷やコストを低減することができる。
【0054】
〔他の実施の形態〕
(1) 上記実施の形態では、ガスメーター16側にガス切れ推定部18を備えることを例示しているが、管理センター32とガスメーター16とを結ぶ中継基地にガス切れ推定部18を設置することにより、ガス切れ推定日dxを算出してもよい。
(2) 上記実施の形態または上記実施例では、通報時として通報日dyを例示したが、日時などの時間であってもよい。
(3) 上記実施の形態または上記実施例では、LPガス充填容積が同一もしくは異なる複数のガス容器としてガス容器4、4a、4b、4c、4d、・・・、4a1、4a2、ガス容器群4Xを例示したが、ガス容器4(
図1のA)は単一のガス容器4a、4b、4c、4d、・・・のいずれでもよい。
【0055】
以上説明したように、本発明の最も好ましい実施の形態等について説明した。本発明は、上記記載に限定されるものではない。特許請求の範囲に記載され、または発明を実施するための形態に開示された発明の要旨に基づき、当業者において様々な変形や変更が可能である。斯かる変形や変更が、本発明の範囲に含まれることは言うまでもない。