特許第6964533号(P6964533)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6964533
(24)【登録日】2021年10月21日
(45)【発行日】2021年11月10日
(54)【発明の名称】空調システム
(51)【国際特許分類】
   F24F 11/36 20180101AFI20211028BHJP
   F25B 49/02 20060101ALI20211028BHJP
【FI】
   F24F11/36
   F25B49/02 520M
【請求項の数】6
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2018-24138(P2018-24138)
(22)【出願日】2018年2月14日
(65)【公開番号】特開2019-138591(P2019-138591A)
(43)【公開日】2019年8月22日
【審査請求日】2019年7月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000236056
【氏名又は名称】三菱電機ビルテクノサービス株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】門井 隆治
(72)【発明者】
【氏名】谷口 勝也
(72)【発明者】
【氏名】野村 亜加音
(72)【発明者】
【氏名】和田 昇
(72)【発明者】
【氏名】神谷 佑
【審査官】 笹木 俊男
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−108641(JP,A)
【文献】 実開昭51−118784(JP,U)
【文献】 特開平11−173713(JP,A)
【文献】 特開2009−198154(JP,A)
【文献】 特開2009−103364(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 11/36
F25B 49/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷媒が流れる金属製の冷媒管と、
表面に金属薄膜が形成された可撓性の絶縁シートで、前記冷媒管の外周に巻き付けられて前記金属薄膜が略環状の電極帯を構成する電極シートアセンブリと、
前記電極帯と前記冷媒管との間の静電容量を検出する静電容量計と、を含む空調システムであって、
前記冷媒管は、傾斜方向が反転しない配管ブロックを複数含み、
前記電極シートアセンブリは、前記配管ブロックの重力方向下側の端部に巻き付けられていること、
を特徴とする空調システム。
【請求項2】
請求項1に記載の空調システムであって、
前記静電容量計の検出した静電容量に基づいて冷媒の漏洩箇所の検出を行う検出部を含み、
前記検出部は、前記静電容量計の検出した静電容量に基づいて複数の前記配管ブロックの中から冷媒の漏洩が発生した漏洩配管ブロックを特定すること、
を特徴とする空調システム。
【請求項3】
請求項2に記載の空調システムであって、
前記電極シートアセンブリは、表面に複数の前記金属薄膜が形成され、前記冷媒管の外周に巻きつけられると複数の前記金属薄膜が前記冷媒管の長手方向に整列する略環状の複数の前記電極帯を構成し、
前記静電容量計は、複数の前記電極帯と前記冷媒管との間の各静電容量を検出し、
前記検出部は、一の前記配管ブロックの重力方向上側の前記電極帯と前記冷媒管との間の静電容量が一の前記配管ブロックの重力方向下側の前記電極帯と前記冷媒管との間の静電容量のばらつきの範囲よりも大きい場合に、一の前記配管ブロックを前記冷媒の漏洩が発生した漏洩配管ブロックと特定すること、
を特徴とする空調システム。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の空調システムであって、
前記配管ブロックは、垂直配管を含み、
前記電極シートアセンブリが、前記垂直配管の重力方向下側の端部に巻き付けられていること、
を特徴とする空調システム。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の空調システムであって、
重力方向に多段に配置された折り返し流路を構成し内部に前記冷媒が流れるチューブを備える熱交換器を含み、
前記電極シートアセンブリは、前記チューブの溶接部または屈曲部の外面に巻き付けられていること、
を特徴とする空調システム。
【請求項6】
請求項5に記載の空調システムであって、
前記電極シートアセンブリは、重力方向下側の段の前記チューブの外面に巻き付けられていること、
を特徴とする空調システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷媒管または熱交換器のチューブからの冷媒の漏洩検知が可能な空調システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、地球温暖化を進行させるフロン等の冷媒の大気への漏洩を抑制することが求められている。冷媒の大気への漏洩は、空調機等の冷媒が封入されている機器を廃棄する際に回収しなかった冷媒が大気に漏洩する場合と、空調機等の使用中に機器や配管等から冷媒が大気に漏洩する場合とがある。
【0003】
近年の調査では、機器の使用中に大気に漏洩する冷媒量は、機器の廃棄の際に大気に漏洩する冷媒量と同じ位の量に及ぶことがわかってきた。このため、機器の使用中における冷媒の漏洩を検知することが求められている。また、冷媒漏洩を止めるための修理を実行するために、漏洩発生箇所を特定することも求められている。
【0004】
このため、冷媒管から冷媒と共に漏洩する冷凍機油が吸着すると静電容量が変化する特殊な物質を両側から電極で挟んだセンサを冷媒管路の各所に取り付けて冷媒漏洩の検知および漏洩発生箇所の特定を行う冷媒漏洩検知装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−101515号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、冷媒漏洩を止めるための修理を行える程度に冷媒の漏洩発生箇所を特定しようとすると、冷媒管路の多くの場所にセンサを取り付ける必要がある。しかし、特許文献1に記載された従来技術のセンサは構造が複雑であり、多くのセンサを冷媒管路に取り付けると空調システムが複雑になってしまうという問題があった。
【0007】
そこで、本発明は、簡便な構成で冷媒の漏洩検知と漏洩箇所の特定が可能な空調システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の空調システムは、冷媒が流れる金属製の冷媒管と、表面に金属薄膜が形成された可撓性の絶縁シートで、前記冷媒管の外周に巻き付けられて前記金属薄膜が略環状の電極帯を構成する電極シートアセンブリと、前記電極帯と前記冷媒管との間の静電容量を検出する静電容量計と、を含む空調システムであって、前記冷媒管は、傾斜方向が反転しない配管ブロックを複数含み、前記電極シートアセンブリは、前記配管ブロックの重力方向下側の端部に巻き付けられていること、を特徴とする。また、本発明の空調システムにおいて、前記静電容量計の検出した静電容量に基づいて冷媒の漏洩箇所の検出を行う検出部を含み、前記検出部は、前記静電容量計の検出した静電容量に基づいて複数の前記配管ブロックの中から冷媒の漏洩が発生した漏洩配管ブロックを特定してもよい。
【0009】
冷媒管を傾斜方向が反転しない複数の配管ブロックで構成するので、冷媒の漏洩が発生した際に、漏出した冷媒は傾斜に沿って配管ブロックの重力方向下側の端部に向かって流れていく。このため、配管ブロックの重力方向下側の端部に電極シートアセンブリを巻きつけることにより、その配管ブロックの漏洩を検知することができ、配管ブロック単位で漏洩箇所を特定することができる。これにより、少ない電極シートアセンブリで空調システムの冷媒の漏洩検知と漏洩箇所の特定とを行うことができる。また、表面に金属薄膜が形成された可撓性の絶縁シートである電極シートアセンブリを冷媒管に巻き付けることにより冷媒管の外面に簡便に略環状の電極帯を構成することができる。
【0010】
本発明の空調システムにおいて、前記電極シートアセンブリは、表面に複数の前記金属薄膜が形成され、前記冷媒管の外周に巻きつけられると複数の前記金属薄膜が前記冷媒管の長手方向に整列する略環状の複数の前記電極帯を構成し、前記静電容量計は、複数の前記電極帯と前記冷媒管との間の各静電容量を検出し、前記検出部は、一の前記配管ブロックの重力方向上側の前記電極帯と前記冷媒管との間の静電容量が一の前記配管ブロックの重力方向下側の前記電極帯と前記冷媒管との間の静電容量のばらつきの範囲よりも大きい場合に、一の前記配管ブロックを前記冷媒の漏洩が発生した漏洩配管ブロックと特定してもよい。
【0011】
電極帯と冷媒管との間の静電容量にばらつきがあり、静電容量の変化によって漏洩箇所の特定が難しい場合でも、一の配管ブロックの重力方向上側の電極帯と冷媒管との静電容量が重力方向下側の電極帯と冷媒管との静電容量のばらつきの範囲を超えて大きい場合に、その配管ブロックを冷媒の漏洩が発生した漏洩配管ブロックと特定するので、電極帯と冷媒管との間の静電容量にばらつきがある場合でも冷媒の漏洩箇所を特定することができる。
【0012】
本発明の空調システムにおいて、前記配管ブロックは、垂直配管を含み、前記電極シートアセンブリが、前記垂直配管の重力方向下側の端部に巻き付けられてもよい。
【0013】
漏洩した冷媒は垂直配管に沿って重力方向下側に流れるので、垂直配管の重力方向下側の端部に電極シートアセンブリを配置することにより、垂直配管単位での冷媒の漏洩を検知することができる。
【0014】
本発明の空調システムにおいて、重力方向に多段に配置された折り返し流路を構成し内部に前記冷媒が流れるチューブを備える熱交換器を含み、前記電極シートアセンブリは、前記チューブの溶接部または屈曲部の外面に巻き付けられてもよい。また、本発明の空調システムにおいて、前記電極シートアセンブリは、重力方向下側の段の前記チューブの外面に巻き付けられてもよい。
【0015】
冷媒の漏洩が発生する可能性の高い部位に電極シートアセンブリを巻き付けるので、少ない電極シートアセンブリでも効果的に漏洩の検知を行うことができる。また、漏洩した冷媒は下側の段のチューブに向かって流れるので、下側の段のチューブの外面に電極シートアセンブリを配置するだけで、熱交換器全体の冷媒の漏洩を検知することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明は、簡便な構成で冷媒の漏洩検知と漏洩箇所の特定が可能な空調システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】実施形態の空調システムの構成を示す系統図である。
図2図1に示すA部の断面詳細斜視図であり、電極シートアセンブリが巻きつけられた第1一階配管ブロックの断面斜視図である。
図3図2に示す電極シートアセンブリを周方向に展開した状態を示す平面図(a)と電極シートアセンブリを冷媒管の外面に巻きつけた状態を示す斜視図である。
図4】熱交換器のチューブに取り付けられた電極シートアセンブリを示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照しながら実施形態の空調システム100について説明する。図1に示すように、空調システム100は、ビル30の室内の空調を行うシステムであり、屋上に設置された室外機31と、各階の室内に設置された室内機32と、室外機31と室内機32とを接続する金属製の冷媒管10と、冷媒管10の外面に巻き付けられた電極シートアセンブリ20と、セレクタ26と、静電容量計25と、検出部27とを含んでいる。なお、以下の説明では、図1中の紙面右側を東側、紙面左側を西側として説明する。
【0019】
図1に示すように、冷媒管10は、垂直配管ブロックV01と、屋上に配置されて垂直配管ブロックV01と室外機31とを接続する第1、第2屋上配管ブロックR01,R02と、一階に配置されて垂直配管ブロックV01と一階の室内機32とを接続する第1〜第3一階配管ブロック101〜103と、二階に配置されて垂直配管ブロックV01と二階の室内機32とを接続する第1〜第3二階配管ブロック201〜203とで構成される。
【0020】
第1屋上配管ブロックR01は、垂直配管ブロックV01と接続されている東側端の高さが第2屋上配管ブロックR02と接続されている西側端よりも低くなるように、西から東に向かって下方向に傾斜する配管ブロックである。つまり、第1屋上配管ブロックR01は、西から東に向かって下方向に傾斜し、傾斜方向が反転しない配管ブロックである。従って、垂直配管ブロックV01と接続されている東側端は、第1屋上配管ブロックR01の重力方向下側の端部となる。そして、この東側端に電極シートアセンブリ20が巻き付けられている。
【0021】
また、第2屋上配管ブロックR02は、室外機31に接続される西側端の高さが第1屋上配管ブロックR01と接続されている東側端の高さがよりも低くなるように、東から西に向かって下方向に傾斜する配管ブロックである。つまり、第2屋上配管ブロックR02は、東から西に向かって下方向に傾斜し、傾斜方向が反転しない配管ブロックである。従って、室外機31と接続されている西側端は、第2屋上配管ブロックR02の重力方向下側の端部となる。そして、この西側端に電極シートアセンブリ20が巻き付けられている。
【0022】
第1、第3一階配管ブロック101、103及び、第1、第3二階配管ブロック201、203は、第1屋上配管ブロックR01と同様、西から東に向かって下方向に傾斜し、傾斜方向が反転しない配管ブロックであり、重力方向下側の端部となる東側端に電極シートアセンブリ20が巻き付けられている。反対に、第2一階配管ブロック102、第2二階配管ブロック202は第2屋上配管ブロックR02と同様、東から西に向かって下方向に傾斜し、傾斜方向が反転しない配管ブロックであり、重力方向下側の端部となる西側端に電極シートアセンブリ20が巻き付けられている。
【0023】
垂直配管ブロックV01は、ビル30の壁に沿って屋上から一階まで複数のフロアに跨って上下方向に延びる配管ブロックであり、重力方向下側の端部である下端に電極シートアセンブリ20が巻き付けられている。
【0024】
図2に示すように、電極シートアセンブリ20は、表面に金属薄膜22aが形成された可撓性の絶縁シート21で、第1一階配管ブロック101の冷媒管10の外周に巻き付けられて金属薄膜22aが略環状の電極帯22を構成する。また、電極シートアセンブリ20の外周には、断熱材12が取り付けられており、断熱材12の外周はカバー13で覆われている。
【0025】
図3(a)に示すように、電極シートアセンブリ20は、例えば、樹脂シートのような可撓性の絶縁シート21の上に複数の金属薄膜22aを形成したものである。絶縁シート21は、冷媒管10の長手方向に長い長方形のシートであり、冷媒管10の長手方向に2つの金属薄膜22aが隙間を空けて形成されている。絶縁シート21の周方向の長さは、冷媒管10の外面を覆う断熱材12の外周長さと略同様の長さであり、金属薄膜22aは、絶縁シート21の周方向に延びるように絶縁シート21の上に形成されている。また、絶縁シート21の長手方向の端部、つまり、巻き付け方向と直角方向の端部には各金属薄膜22aの各出力端子23が形成されている。各出力端子23と各金属薄膜22aとの間は、各配線24で接続されている。各出力端子23は、金属薄膜22aと同様、絶縁シート21の上に形成された金属薄膜であり、配線24は絶縁シート21の上に形成された線状の金属薄膜である。金属薄膜22a、出力端子23、配線24は、例えば、絶縁シート21の上にスパッタリング、蒸着等によって導電層を形成し、エッチングによって金属薄膜22a、出力端子23、配線24以外の部分を除去するようにして製造してもよいし、絶縁シート21の上に導電インクを用いて金属薄膜22a、出力端子23、配線24を印刷して製造してもよい。
【0026】
図3(b)に示すように、図3(a)に示す電極シートアセンブリ20を金属製の冷媒管10の外周に巻きつけると、平面状の金属薄膜22aは冷媒管10の外周に巻き付けた略環状の電極帯22となる。2つの電極帯22は冷媒管10の長手方向に向かって隙間を空けて整列する。また、電極シートアセンブリ20の冷媒管10の長手方向の端部には、各電極帯22に接続された各出力端子23が配置される。
【0027】
図2に示すように、電極シートアセンブリ20を冷媒管10の外周に巻きつけると、各電極帯22と金属製の冷媒管10との間には、所定の静電容量Cを持つ円環状のコンデンサが形成される。円環状のコンデンサの静電容量Cは、以下の式(1)によって算出される。
【数1】
ここで、
Lは、電極帯22の冷媒管10の長手方向の長さである。
εは、真空の誘電率である。
εは、冷媒管10の外面と電極帯22との間の介在物(絶縁シート21と空気)の統合比誘電率である。
R1は、冷媒管10の外半径である。
R2は、絶縁シート21の外半径である。
【0028】
図2に示すように、電極シートアセンブリ20の2つの電極帯22は、それぞれ出力端子23を介してセレクタ26に接続されている。セレクタ26の出力端は、静電容量計25に接続されている。また、冷媒管10も静電容量計25に接続されており、静電容量計25は、各電極帯22と冷媒管10との間の静電容量Cを検出する。また、セレクタ26と静電容量計25とは検出部27に接続されている。検出部27は、内部にCPUとメモリとを含むコンピュータであり、セレクタ26を動作させて各配管ブロック101〜103,201〜203,V01,R01,R02の電極シートアセンブリ20の各電極帯22と静電容量計25との接続を順次切換えて、静電容量計25で検出した静電容量Cを取得し、その静電容量Cに基づいて冷媒11の漏洩が発生した漏洩配管ブロックを特定する。
【0029】
以下、図1に示す第1一階配管ブロック101で液体の冷媒11の漏洩が発生した場合について説明する。第1一階配管ブロック101の冷媒管10から液体の冷媒11が漏洩すると、冷媒11は、冷媒管10の外面と断熱材12の間に進入する。先に説明したように、第1一階配管ブロック101は、西から東に向かって下方向に傾斜しているので、漏出した液体の冷媒11は、冷媒管10の外面と断熱材12との間を重力方向下側である東側に向かって移動していく。そして、冷媒11は、第1一階配管ブロック101の重力方向下側の端部である東側端に移動し、電極シートアセンブリ20の電極帯22と冷媒管10の外面との間に進入する。
【0030】
液体の冷媒11の比誘電率は、電極帯22と冷媒管10の外面との間に介在している絶縁シート21と空気との統合比誘電率εよりも大きいので、冷媒11が電極帯22と冷媒管10の外面との間に進入すると、式(1)中のεの値が大きくなる。このため、電極帯22と冷媒管10との間の静電容量Cが漏洩の無い状態の静電容量Cよりも大きくなる。例えば、液体の冷媒11の比誘率が90の場合、漏洩が発生すると静電容量Cは、漏洩がない場合の静電容量Cの10倍程度の値となる。
【0031】
従って、第1一階配管ブロック101で液体の冷媒11の漏洩が発生した場合、検出部27は、セレクタ26によって第1一階配管ブロック101の電極シートアセンブリ20の電極帯22と静電容量計25とを接続した際、通常の10倍程度の大きな静電容量Cを検出する。そして、検出部27は、静電容量計25によって検出した静電容量Cが漏洩判定の閾値を超えていた場合に、第1一階配管ブロック101を冷媒11の漏洩が発生した漏洩配管ブロックと特定する。そして、検出部27は、漏洩配管ブロックの名称を図示しないディスプレイに表示すると共に、警報を発報する。
【0032】
この際、第2一階配管ブロック102の第1一階配管ブロック101との接続端は、第2一階配管ブロック102の中で一番高さが高い位置となっている。このため、第1一階配管ブロック101に隣接する第2一階配管ブロック102で冷媒11の漏洩が発生しても、冷媒11は第1一階配管ブロック101に流れてこず、第1一階配管ブロック101の静電容量Cは変化しない。しかし、第1一階配管ブロック101に隣接する垂直配管ブロックV01で冷媒11の漏洩が発生した場合には、冷媒11は垂直配管ブロックV01に沿って下端に向かって流れるので第1一階配管ブロック101の静電容量Cが変化する場合がある。この場合、垂直配管ブロックV01に沿って下端に向かって流れた冷媒11は、最初に垂直配管ブロックV01の下端に巻き付けられている電極シートアセンブリ20の電極帯22と冷媒管10との間に進入する。このため、垂直配管ブロックV01の静電容量Cが最初に大きくなり、閾値を超える。その後、冷媒11が第1一階配管ブロック101の中に進入し、第1一階配管ブロック101の東側端に巻き付けらけれている電極シートアセンブリ20の電極帯22と冷媒管10との間の静電容量Cが大きくなり、閾値を超える。
【0033】
従って、検出部27は、第1一階配管ブロック101の静電容量Cと、第1一階配管ブロック101に隣接する垂直配管ブロックV01の静電容量Cとが共に閾値を超えた場合、第1一階配管ブロック101の静電容量Cが先に閾値を超えた場合には、第1一階配管ブロック101を冷媒11の漏洩が発生した漏洩配管ブロックと特定する。逆に、垂直配管ブロックV01の静電容量Cが先に閾値を超えた場合には垂直配管ブロックV01を冷媒11の漏洩が発生した漏洩配管ブロックと特定する。このように、検出部27は、隣接する配管ブロックの容量が共に閾値を超えた場合であっても、閾値を超える順序を判断することにより、漏洩配管ブロックを特定することができる。
【0034】
同様に、図1に示す第2一階配管ブロック102で漏洩が発生した場合、冷媒11は、重力方向下側の端部である西側端に向かって流れ、この部分に巻き付けられている電極シートアセンブリ20の電極帯22と冷媒管10との間の静電容量Cが増加する。漏洩した冷媒11は、第2一階配管ブロック102から隣接する第3一階配管ブロック103の重力方向下側の端部である東側端に流れる場合がある。この場合、第2一階配管ブロック102に巻き付けられている電極シートアセンブリ20の電極帯22と冷媒管10との間の静電容量Cが増加した後に、第2一階配管ブロック102に巻き付けられている電極シートアセンブリ20の電極帯22と冷媒管10との間の静電容量Cが増加する。従って、検出部27は、第2一階配管ブロック102に巻き付けられている電極シートアセンブリ20の電極帯22と冷媒管10との間の静電容量Cが、最初に大きくなった場合に、冷媒11の漏洩が第2一階配管ブロック102で発生したと特定できる。検出部27は、他の配管ブロックで漏洩が発生した場合も同様の方法で漏洩配管ブロックを特定できる。
【0035】
以上説明したように、各配管ブロック101〜103,201〜203,V01,R01,R02で冷媒11の漏洩が発生すると、漏洩の発生した配管ブロックに巻き付けられている電極シートアセンブリ20の電極帯22と冷媒管10との間の静電容量Cが最初に大きくなるので、どこの配管ブロックで冷媒11の漏洩が発生したかを特定できる。これにより、検出部27は、配管ブロック単位で漏洩箇所を特定することができる。
【0036】
また、冷媒管10から冷媒11が気体の状態で冷凍機油を随伴して漏洩するような場合がある。冷凍機油は、液体の冷媒11と同様に各配管ブロックの勾配に沿って重力方向下側に移動し、電極シートアセンブリ20の電極帯22と冷媒管10の外面との間に進入する。冷凍機油の比誘電率が5程度の場合、冷凍機油が電極帯22と冷媒管10の外面との間に進入すると、静電容量Cは漏洩がない場合の静電容量Cの5倍程度の値となる。これにより、検出部27は、冷媒11が気体の状態で漏洩した際にも、漏洩検知と漏洩箇所の特定を行うことができる。
【0037】
以上、冷媒管10から冷媒11が漏洩した場合について説明したが、次に図4を参照しながら室外機31、室内機32の内部に取り付けられている熱交換器40からの冷媒11の漏洩検知について説明する。先に、図1から図3を参照して説明した部位と同様の部位には同様の符号を付して説明は省略する。
【0038】
図4に示すように、室外機31、室内機32の内部に取り付けられた熱交換器40は、外面にフィン44が取り付けられた直管のチューブ41の両端にU字型のリターンベンド42を溶接部43で溶接して重力方向に多段の折り返し流路としたものである。内部に冷媒11が流れ、フィン44の外部には大気或いは室内空気が流れ、大気或いは室内空気との間で熱交換を行うものである。
【0039】
このような熱交換器40では、溶接部43或いは、屈曲部であるリターンベンド42において漏洩が発生することが多い。このため、図4に示すように、溶接部43、リターンベンド42の部分に電極シートアセンブリ20を巻きつけてある。各電極シートアセンブリ20の電極帯22はセレクタ26を介して静電容量計25に接続されており、チューブ41の一端が静電容量計25に接続されている。先の実施形態で説明したと同様、検出部27は、静電容量計25によって電極帯22とチューブ41との間の静電容量Cの変化を検出することによって熱交換器40の中のチューブ41からの冷媒漏洩の検知と、漏洩箇所の特定を行うことができる。
【0040】
また、熱交換器40のチューブ41は、重力方向に多段に配置されているので、チューブ41で冷媒11の漏洩が発生した場合には、冷媒11は、重力方向下側に配置されているチューブ41の表面に流れてくる。このため、図4の右側の折り返し部のように、重力方向下側の段のチューブ41の外面に電極シートアセンブリ20を巻きつけることによって熱交換器40からの冷媒11の漏洩を検知することができる。この場合、少ない電極シートアセンブリ20で熱交換器40からの冷媒11の漏洩を検出することができる。
【0041】
以上説明したように、本実施形態の空調システム100は、簡便な構成で冷媒11の漏洩検知と漏洩箇所の特定を行うことができる。
【0042】
次に、本実施形態の空調システム100における他の動作について説明する。電極帯22と冷媒管10との間の静電容量Cは、環境因子によりばらつくことがある。このため、電極帯22と冷媒管10との間の静電容量Cの変化が検出された場合、環境因子による静電容量Cの変化なのか冷媒11の漏洩による静電容量Cの変化なのかを判別することが困難な場合がある。
【0043】
そこで、本動作は、一の配管ブロックの重力方向上側の電極帯22と冷媒管10との静電容量CUが重力方向下側の電極帯22と冷媒管10との静電容量CDのばらつきの範囲を超えて大きい場合に、その配管ブロックを冷媒11の漏洩が発生した漏洩配管ブロックと特定するものである。
【0044】
以下、図1に示す第1一階配管ブロック101で液体の冷媒11の漏洩が発生した場合について説明する。先に説明したように、第1一階配管ブロック101の冷媒管10から液体の冷媒11が漏洩すると、冷媒11は、冷媒管10の外面と断熱材12の間に進入し、冷媒管10の外面と断熱材12との間を重力方向下側である東側に向かって移動していく。そして、冷媒11は、第1一階配管ブロック101の重力方向下側の端部である東側端に移動し、最初に電極シートアセンブリ20の2つ電極帯22の内、重力方向上側の電極帯22と冷媒管10の外面との間に進入する。これにより、重力方向上側の電極帯22と冷媒管10との静電容量CUが大きくなる。この際、重力方向下側の電極帯22と冷媒管10の外面との間には、まだ冷媒11が流入していない。このため、重力方向下側の電極帯22と冷媒管10との静電容量CDは通常の大きさの静電容量Cとなっている。
【0045】
検出部27は、セレクタ26を動作させて、静電容量計25により重力方向上側の電極帯22と冷媒管10との静電容量CUと、重力方向下側の電極帯22と冷媒管10との静電容量CDとを取得する。
【0046】
この場合、重力方向下側の電極帯22に隣接している重力方向上側の電極帯22と冷媒管10との静電容量CUも静電容量CDと同様に環境因子により変動している。そこで、検出部27は、静電容量計25で取得した重力方向上側の電極帯22と冷媒管10との静電容量CUが、静電容量CDのばらつきの範囲を超えて大きくなっている場合に、静電容量CUの変化は、環境因子による変化を超えており、冷媒11の漏洩によるものであると判定し、第1一階配管ブロック101を冷媒11の漏洩が発生した漏洩配管ブロックと特定する。そして、検出部27は、漏洩の発生した配管ブロックの名称を図示しないディスプレイに表示すると共に、警報を発報する。
【0047】
検出部27は、他の配管ブロック102〜103,201〜203,V01,R01,R02でも同様に、静電容量計25で取得した重力方向上側の電極帯22と冷媒管10との静電容量CUが、静電容量CDのばらつきの範囲を超えて大きくなっている場合に、その配管ブロックを漏洩配管ブロックと特定する。
【0048】
なお、先の動作で説明したように、例えば、垂直配管ブロックV01での漏洩によって第1一階配管ブロック101の静電容量Cが変化する場合がある。この場合、冷媒11は、第1配管ブロック101の重力方向下側の電極帯22と冷媒管10との間に進入して重力方向下側の静電容量CDが大きくなる。この際、重力方向上側の電極帯22と冷媒管10との間には冷媒11が進入しておらず、重力方向上側の静電容量CUは通常の値にとどまっている。このため、静電容量CUは静電容量CDよりも小さく、静電容量CUが静電容量CDのばらつきの範囲を超えて大きくなることはない。従って、この場合、検出部27は、第1一階配管ブロック101を漏洩配管ブロックと特定しない。このように、本動作では、隣接した配管ブロックで冷媒11の漏洩が発生した場合でも、漏洩の発生していない配管ブロックを漏洩配管ブロックと誤特定することを抑制できる。
【0049】
以上説明したように、本動作によれば、電極帯22と冷媒管10との間の静電容量Cにばらつきがあり、静電容量Cの変化によって漏洩箇所の特定が難しい場合でも、冷媒11の漏洩箇所を特定することができる。また、隣接した配管ブロックで冷媒11の漏洩が発生した場合でも、漏洩の発生していない配管ブロックを漏洩配管ブロックと誤特定することを抑制できる。
【符号の説明】
【0050】
10 冷媒管、11 冷媒、12 断熱材、13 カバー、20 電極シートアセンブリ、21 絶縁シート、22 電極帯、22a 金属薄膜、23 出力端子、24 配線、25 静電容量計、26 セレクタ、27 検出部、30 ビル、31 室外機、32 室内機、40 熱交換器、41 チューブ、42 リターンベンド、43 溶接部、44 フィン、100 空調システム、101〜103 一階配管ブロック、201〜203 二階配管ブロック、R01,R02 屋上配管ブロック、V01 垂直配管ブロック。
図1
図2
図3
図4