(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6964554
(24)【登録日】2021年10月21日
(45)【発行日】2021年11月10日
(54)【発明の名称】排水羽根
(51)【国際特許分類】
F04D 13/12 20060101AFI20211028BHJP
F04D 1/14 20060101ALI20211028BHJP
F04D 29/24 20060101ALI20211028BHJP
【FI】
F04D13/12 Z
F04D1/14
F04D29/24 C
【請求項の数】3
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2018-91358(P2018-91358)
(22)【出願日】2018年5月10日
(65)【公開番号】特開2019-183603(P2019-183603A)
(43)【公開日】2019年10月24日
【審査請求日】2018年5月14日
【審判番号】不服2020-10243(P2020-10243/J1)
【審判請求日】2020年7月21日
(31)【優先権主張番号】107111347
(32)【優先日】2018年3月30日
(33)【優先権主張国】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】516068929
【氏名又は名称】合利美股▲分▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100082418
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 朔生
(72)【発明者】
【氏名】蕭裕明
【合議体】
【審判長】
佐々木 芳枝
【審判官】
田合 弘幸
【審判官】
小川 恭司
(56)【参考文献】
【文献】
特開2008−116111(JP,A)
【文献】
特開平9−68185(JP,A)
【文献】
特開平10−184590(JP,A)
【文献】
特開平7−63188(JP,A)
【文献】
中国実用新案第206449008(CN,U)
【文献】
中国実用新案第201461425(CN,U)
【文献】
特開平4−91395(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04D 1/00-13/16
F04D17/00-19/02
F04D21/00-25/16
F04D29/00-35/00
E03C 1/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
凹状円盤体およびシャフトを備え、
前記凹状円盤体は、円盤および環状壁面を有し、前記環状壁面は前記円盤の周縁部から上に伸びて形成され、
前記シャフトは、前記円盤と一定距離を保ちながら前記円盤を貫通し、軸上部および軸下部に分けられ、前記軸上部は前記円盤の上方に位置し、駆動軸に連結され、かつ複数の径方向に沿って外側へ伸びていく支持リブを有し、複数の前記支持リブは前記凹状円盤体に連結され、底部が前記円盤に連結され、外側端部が前記環状壁面に連結されるため、前記軸上部、複数の前記支持リブおよび前記円盤の間には複数の流路が形成され、
前記軸下部は、三つ以上の隅部を有する角柱を、前記隅部を凸状リブとして当該凸状リブが前記軸下部の上部から下部に向かって前記シャフトの旋転方向と一致する方向に螺旋状を呈するように捩った形状を呈し、前記角柱における各凸状リブ間の面部分が前記軸下部の周囲を一周以上旋回する螺旋溝を構成していることを特徴とする、
排水羽根。
【請求項2】
前記凸状リブの下端に、円弧部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の排水羽根。
【請求項3】
前記各凸状リブの上端が前記軸下部の頂部で等間隔に位置するように分布し、前記各凸状リブの下端が前記軸下部の底部で等間隔に位置するように分布することを特徴とする請求項1に記載の排水羽根。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排水モーターに関し、詳しくは排水羽根に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1により掲示された排水羽根において、円盤の下方に位置するシャフトは多辺形の柱体である。多辺形の柱体は複数の平面と、複数の平面が二つずつ相互に連結されて形成した角形の細長い面とを有する。円盤の下方に位置する支持リブは多辺形の柱体のそれぞれの平面および細長い面に連結される。
上述した構造特徴により、多辺形の柱体は複数の平面によって渦巻きを生成し、撥水効果および排水効率を向上させ、複数の細長い面によって気泡を抑制し、騒音を低減することができる。
【0003】
特許文献1は構造を改良することによって渦巻きを生成できるが、下方から上方の円盤に接近する水流を生成できないため、排水モーターの排水効率は限定される。従って、上述した排水モーターの排水効率には改善の余地がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】台湾特許TWI600862号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、水を上に弾いて下方から上方の凹状円盤体に接近する水流を生成することによって、凹状円盤体を介して水を誘導して排水口から排出する際の利便性をはかり、排水モーターの排水効率を効果的に向上させることができる排水羽根を提供することを主な目的とする。
【0006】
本発明は、水の抵抗を抑制し、騒音を低減することができる排水羽根を提供することをもう一つの目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するため、排水羽根は凹状円盤体およびシャフトを備える。凹状円盤体は円盤および環状壁面を有する。環状壁面は円盤の周縁部から上に伸びて形成される。シャフトは円盤と一定距離を保ちながら円盤を貫通し、軸上部および軸下部に分けられる。軸上部は円盤の上方に位置し、駆動軸に連結され、かつ複数の径方向に沿って外側へ伸びていく支持リブを有する。複数の支持リブは凹状円盤体に連結され、底部が円盤に連結され、外側端部が環状壁面に連結されるため、軸上部、複数の支持リブおよび円盤の間には複数の流路が形成される。その特徴は次の通りである。軸下部は円盤の下方に位置する柱状体
と、前記柱状体の周囲に形成される少なくとも一つの凸状リブを有する。少なくとも一つの凸状リブは
、前記柱状体の表面の一部を露出させた態様で、前記軸下部
の上部から下部へ螺旋状に突出するよう
に形成され、上部から下部への螺旋方向が駆動軸から駆動されたシャフトの旋転方向と一致する。
【0008】
上述した特徴により、本発明による排水羽根は水を上に弾いて下方から上方の円盤に接近する水流を生成することによって、凹状円盤体を介して水を誘導し、排水口から排出する際の利便性をはかり、排水モーターの排水効率を効果的に向上させることができる。
【0009】
上述した特徴により、本発明による排水羽根は水の抵抗を抑制し、騒音を低減することができる
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の一実施形態による排水羽根を示す正面側斜視図である。
【
図2】本発明の一実施形態による排水羽根を示す背面側斜視図である。
【
図3】本発明の一実施形態による排水羽根において凸状リブの螺旋形態が異なる状態を示す背面側斜視図である。
【
図5】本発明の一実施形態による排水羽根を示す底面図である。
【
図6】本発明の一実施形態による排水羽根が使用される状態を示す断面図である。
【
図7】本発明の別の一実施形態による排水羽根において凸状リブの数が一つであり、軸下部が円柱体である状態を示す背面側斜視図である。
【
図8】本発明の別の一実施形態による排水羽根において凸状リブの数が二つであり、軸下部が円柱体である状態を示す背面側斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明による排水羽根を図面に基づいて説明する。
【0012】
(一実施形態)
図1から
図6に示すように、本発明の一実施形態による排水羽根10は凹状円盤体11およびシャフト21を備える。
【0013】
凹状円盤体11は、円盤13および環状壁面15を有する。環状壁面15は円盤13の周縁部から上に伸びて形成される。
【0014】
シャフト21は、円盤13と一定距離を保ちながら円盤13を貫通し、軸上部23および軸下部25に分けられる。軸上部23は円盤13の上方に位置し、駆動軸100に連結され、かつ複数の径方向に沿って外側へ伸びていく支持リブ27を有する。複数の支持リブ27は凹状円盤体11に連結され、底部が円盤13に連結され、外側端部が環状壁面15に連結されるため、軸上部23、複数の支持リブ27および円盤13の間には複数の流路17が形成される。軸下部25は円盤13の下方に位置する三角柱であり、少なくとも一つの凸状リブ29を有する。本実施形態において、凸状リブ29は数が三つであり、軸下部25の表面の上部から下部へ螺旋状に突出するように軸下部25に形成される。
図2および
図3に示すように、軸下部25に螺旋状に突出して形成された凸状リブ29の状態は異なってもよい。つまり、凸状ブリ29は上述に限定されない。凸状リブ29は上部から下部への螺旋方向が駆動軸100から駆動されたシャフト21の旋転方向と一致するため、下方から上方の円盤に接近する水流を生成し、騒音を効果的に低減することができる。複数の凸状リブ29は、
該凸状リブ20の上端にあたる先端部が軸下部25の頂部に同じ間隔を置いて分布し、
該凸状リブ20の下端にあたる末端部が軸下部25の底部に同じ間隔を置いて分布するため、駆動軸100から駆動された排水羽根10はスムーズに旋転できる。一方、複数の凸状リブ29は先端部が支持リブ27に
接続されて対応するため、複数の流路17を流動する水を妨害することを避けることができる。複数の凸状リブ29は末端部に形成された円弧部291を有するため、水の抵抗を抑制できる。
【0015】
以上は本発明の一実施形態の構造についての説明である。続いて本発明の一実施形態の作動状態について説明を進める。
【0016】
図1から
図6に示すように、本発明による排水羽根10が排水モーターの集水槽99に装着される際、シャフト21
の先
端が駆動軸100に連結され、軸下部25の複数の凸状リブ29が軸下部25の表面の上部から下部へ螺旋状に突出するように軸下部25に形成される。複数の凸状リブ29は上部から下部への螺旋方向が駆動軸100から駆動されたシャフト21の旋転方向と一致する。上述した技術特徴により、排水羽根10が駆動軸100の駆動力によって旋転する際、
図6に示すように、複数の凸状リブ29は集水槽99内の水(矢印表示)の流動を促す。
集水槽99内の水は複数の凸状リブ29に沿って上方の凹状円盤体11へ接近し、複数の流路17を通過し、排水口98から流出する。複数の凸状リブ29は軸下部25の上部から下部へ螺旋状に分布するため、排水羽根10が駆動軸100の駆動力によって水を弾く際、複数の凸状リブ29は水に対する抵抗を低下させ、気泡発生を抑制し、騒音を低減する効果を果たす。
【0017】
上述したとおり、本発明による排水羽根は水を上に弾いて下方から上方の凹状円盤体に接近する水流を生成することによって、凹状円盤体を介して水を誘導し、排水口から排出する際の利便性をはかり、排水モーターの排水効率を効果的に向上させることができる。
【0018】
上述したとおり、本発明による排水羽根は水の抵抗を抑制し、騒音を低減することができる。
【0019】
(別の一実施形態)
本発明の別の一実施形態による排水羽根10’と上述した一実施形態との違いは下記のとおりである。
【0020】
図7および
図8に示すように、軸下部25’は円柱体であるが、これに限らず、形の異なる角柱であってもよい。つまり、軸下部25’は上述した実施形態に限定されない。軸下部25’は形だけが変化するため、図面に表示されない。撥水効率が十分でさえあれば、凸状リブ29は
図7に示すように数が一つであるか、
図8に示すように数が二つであってもよい。
複数の流路17の流れをスムーズに維持できれば、それぞれの凸状リブ29’は必ずしも先端部が支持リブ27’に
接続されて対応するとは限らず、一部分が一つの支持リブ27’に
接続されて対応するか、全部が支持リブ27’に
接続されることなく対応しないように配置されてもよい。つまり、凸状リブ29’と支持リブ27’との配置関係は上述した実施形態に限定されない。
【0021】
別の一実施形態の構造および達成した効果は上述した一実施形態とほぼ同じであるため、説明を省略する。
【符号の説明】
【0022】
10、10’ 排水羽根
11 凹状円盤体
13 円盤
15 環状壁面
17、17’ 流路
21 シャフト
23 軸上部
25、25’ 軸下部
27、27’ 支持リブ
29、29’ 凸状リブ
291 円弧部
98 排水口
99 水槽
100 駆動軸