【実施例】
【0067】
(実施例1:脂質ケーキの調製)
脂質ケーキを、溶媒注射法によって調製した。上記脂質(DOPC、DOPGおよびコレステロールを含む)を、モル比 67.5:7.5:25において合わせ、フラスコの中で99.9% エタノール中、約40℃において溶解させた。卓上型超音波処理バスを脂質溶解に使用した。
【0068】
上記溶解した脂質溶液を、蠕動ポンプによって100mL/分で1.0mMリン酸ナトリウム溶液に添加し、上記2種の溶液を混合した。次いで、上記脂質混合物を、孔サイズ
0.2μmを有するポリカーボネート膜に6〜10回通過させた。リポソーム(もしくは大きな単ラメラ小胞)(MLV)を形成したところ、平均小胞直径は、約120〜14
0nmであった(Malvern ZetaSizer Nano ZS−90、Malvern Instruments Ltd, Worcestershire, UKで測定した)。
【0069】
上記リポソーム混合物を透析し、Millipore Pellicon 2 Mini Ultrafiltration Module Biomax−100C(0.1m
2)(Millipore Corporation, Bill erica, MA, USA)を備えた接線流濾過システムによって濃縮し、次いで0.2μm滅菌フィルタを使用して滅菌した。
【0070】
上記濾過したリポソーム混合物の脂質濃度を、リンアッセイ(phosphorous
assay)によって定量し、上記リポソーム混合物を、凍結防止剤、2% マンニトールとともに製剤化し、次いで、0.2μm滅菌フィルタを使用して再び滅菌した。次いで、上記滅菌したリポソーム混合物を、凍結乾燥用バイアルへと無菌充填した。
【0071】
(実施例2:DSP徐放性組成物の調製)
徐放性組成物を、実施例1で記載されるリポソーム混合物と、DSP(13.2mg/ml)およびクエン酸ナトリウム(4mg/ml)を含むDSP溶液とを混合することによって調製し、続いて、凍結乾燥した。
【0072】
上記凍結乾燥したDSP−リポソームケーキを、300μlの食塩水で再構成した。ここでDSPの濃度は、6.6mg/mlであった。上記凍結乾燥したDSP−リポソームケーキを、通常生理食塩水でさらに希釈して、表1に示されるように上記徐放性組成物を形成した。ここでDSPの濃度は、徐放性組成物1では1mg/mlであり、徐放性組成物2では1.4mg/mlであった。
【表1】
【0073】
(実施例3.関節炎を処置するための徐放性組成物の単回注射)
関節炎に対する上記徐放性組成物の効果のインビボ評価を、Lewisラットを使用して行った。16匹の雌性ラット(8週齢)を、この研究に使用した。上記ラットの平均体重は、約180〜約200グラムであった。
【0074】
関節炎を誘発するために、各ラットを、フロイント不完全アジュバント(Sigma Chemical Co., USAから市販されている)中に乳化した200μgのウシタイプIIコラーゲン(10mM 酢酸中に4mg/mlでストック、Elastin
Products, Owensville, USAから市販されている)で0日目に免疫し、その後、7日目に再度免疫した。16日目が、関節炎症状が認められた初日であり、誘発された関節炎の発症であると規定した。
【0075】
上記実験研究での全てのラットには、この研究の間いつでも、飲料水および飼料に自由に摂取させた。
【0076】
上記ラットを、以下の4つの研究群に無作為化した:
群1:1つの足につき100μlの食塩水を各々受容した4匹のラット(
図1〜8において「食塩水コントロール」と表示)。
群2:1つの足につき100μlの遊離DSPを各々受容した4匹のラット(ここでDSPの濃度は、1mg/mlである(
図1〜8において「遊離DSP_1mg/ml」と表示))。
群3:1つの足につき100μlの上記徐放性組成物1を各々受容した4匹のラット(ここでDSPの濃度は、1mg/mlである(
図1〜4において「TLC399_1mg/mg」および
図5〜8において「TLC399_I 4mg/ml」と表示))。
群4:1つの足につき100μlの上記徐放性組成物2を各々受容した4匹のラット(ここでDSPの濃度は、1.4mg/mlである(
図1〜4において「TLC399_1.4mg/mg」、および
図5〜8において「TLC399_II 1.4mg/ml」と表示)。
【0077】
上記コントロールもしくは上記DSP製剤を、19日目に1回のみのIA注射として、上記ラットの両後ろ足に投与した。各足に投与したDSP用量を、表2にまとめる。
【表2】
【0078】
14日間の研究期間の間に、上記ラットを、以下の結果について1週間に3回検査した:
・体重減少(これは、関節炎の重篤度を評価するためのパラメーターのうちの1つである)。
・臨床的視覚的関節炎スコア(これは、関節炎の重篤度と相関する視覚的スコアである)。各足の関節指数(0〜4の範囲)を使用して等級付けした(0=足底に浮腫も紅斑もなし;1=足底に僅かな浮腫および紅斑;2=足底に軽度の浮腫および紅斑;3=足底全体および足関節に中程度の浮腫および紅斑;4=足関節、足および足趾の重篤な浮腫およ
び関節強直)。各ラットの臨床的視覚的関節炎スコアは、両後ろ足の関節指数の合計であった(最大スコアは8)。
・後ろ足体積および腫脹。後ろ足体積を、UGO Plethysmometer 7149測定系によって測定した。最終体積データを平均体重で正規化し(ml/kg)、浮腫を、0日目に対する測定日の足体積の増大として定義した。
(結果:)
【0079】
図1は、上記4群のラットにおける体重変化を示す。全4群のラットにおいて、16日目に体重減少が認められ、これは、関節炎の発症と同時に起こった。体重減少は、16日目から19日目まで続いた。
【0080】
19日目にIA注射した後、食塩水群および遊離DSP群と比較してより顕著な体重減少が、上記徐放性組成物1群および徐放性組成物2群において認められた。体重減少は、ステロイドの公知の副作用である食欲不振によって引き起こされ得る。上記DSPは、上記徐放性組成物からよりゆっくりとした速度で放出されたので、ステロイドの副作用(食欲不振)がより長く続いた。よって、より顕著な体重減少が、徐放性組成物を受けた群で認められた。
【0081】
図2は、4群のラットにおける臨床的視覚的関節炎スコアの変化を示す。IA注射の前に、平均スコアは、食塩水群については3.75であり、遊離DSP群および上記徐放性組成物2群については4.0であり、ならびに上記徐放性組成物1群については4.25であった。
【0082】
上記IA注射の24時間後、上記スコアは、上記群のうちの食塩水群を除く全ての群について1未満に低下した。
【0083】
上記遊離DSP群については、上記スコアは、上記IA注射の48時間後にゆっくりと増大した。関節炎症状はより重篤になり、上記スコアは26日目に4.5に達した。
【0084】
上記徐放性組成物1群および徐放性組成物2群におけるラットは、引き続く4日間にわたって関節炎症状を示さず、スコアは、23日目および24日目に0であった。26日目に、上記徐放性組成物1における3匹のラットが、軽度の関節炎症状を発生させ、平均スコア1.5であったのに対して、上記徐放性組成物2群におけるラットは、いかなる再発症状をも有さず、そのスコアは0のままであった。26日目の上記遊離DSP群におけるラットは、重篤な関節炎症状およびスコア4.5を有した。30日目に、上記徐放性組成物1群におけるラットは、重篤な関節炎を発生させ、スコアは、4より高かったのに対して、上記徐放性組成物2群におけるラットは、軽度の関節炎を有し、スコア1.5であった。
【0085】
図3および
図4を参照すると、19日目のIA注射後に、足の腫脹体積が20日目に4群全てで減少した。食塩水群における足腫脹体積の一時的な減少は、関節において食塩水によって炎症因子が希釈されたことに起因した可能性がある。
【0086】
上記遊離DSP群については、上記IA注射の効果が3日間続いた。23日目に、両足が再び腫脹し、厚さは、約7.5ml/kgであった。
【0087】
上記徐放性組成物1群については、足の腫脹は、次の4日間にわたって有意に減少した。両足が25日目に再び腫脹し、概算される厚さは、約7.5ml/kgであった。
【0088】
上記徐放性組成物2群については、足の腫脹は、次の10日間にわたって有意に減少し
た。両足は、34日目あたりで再び腫脹し、厚さは、右足関節について8ml/kgを超え、左足関節について7.5ml/kgであった。
【0089】
上記の研究は、上記徐放性組成物の単回IA注射が、遊離DSPと比較して、実験動物の関節炎を処置するにあたってより有効であるという結論を裏付けた。
【0090】
(実施例4.関節炎を処置するための徐放性組成物の多数回注射)
この研究の設計は、(a)食塩水コントロール群がなかったこと;および(b)研究薬が1日に1回4日間(26日目〜29日目)にわたってIA注射によって投与されたことを除いて、実施例3に記載される研究のものに実質的に類似である。
【0091】
(結果:)
図5は、3群のラット(遊離DSP群、徐放性組成物1群および徐放性組成物2群)における体重変化を示す。全3群のラットにおいて、24日目に体重減少が認められた。これは、関節炎の発症と同時に起こった。
【0092】
26日目〜29日目までのIA注射の後、上記3群においてより顕著な体重減少が認められた。実施例3で考察されたように、体重減少は、ステロイドの公知の副作用である食欲不振によって引き起こされ得る。
【0093】
図6は、上記3群のラットにおける臨床的視覚的関節炎スコアの変化を示す。IA注射の前に、その平均スコアは、約4.5〜4.7であった。
【0094】
上記遊離DSP群については、スコアは30日目に3へと低下し、この研究において最低のスコアが記録された。関節炎の徴候は直ぐに再発し、33日目に重篤になった。
【0095】
上記徐放性組成物1群および徐放性組成物2群については、関節炎スコアは、29日目に処置が終了した後も低下し続け、37日目までゼロ(0)のままであった。上記徐放性組成物1群では、ラットは、40日目に再発の徴候を初めて示したのに対して、上記徐放性組成物2群では、ラットは、42日目に再発の徴候を初めて示した。
【0096】
図7および
図8を参照すると、足の腫脹体積は、4回の毎日のIA注射後に、上記3群にわたって両足で減少した。上記遊離DSP群については、IA注射の効果は、1〜2日間続いた。31日目に、両足は再び腫脹し、40日目にピークに達した。
【0097】
上記徐放性組成物群については、足の腫脹は、次の14日間にわたって有意に減少した。上記徐放性組成物1群では、足の腫脹の最初の徴候は、40日目に示されたのに対して、上記徐放性組成物2群では、足の腫脹の最初の徴候は、42日目に示された。
【0098】
上記の研究は、4回の毎日のIA徐放性DPS注射が、実験動物において関節炎を処置するために有効であるという結論を裏付けた。
【0099】
(実施例5.インドメタシン徐放性組成物)
インドメタシンナトリウム(Hubei Heng Lu Yuan Technology Co., Ltd, Hubei, China)を、食塩水で終濃度5mg/mlへと溶解した。実施例1に記載される凍結乾燥したリポソーム混合物を0.3mlのインドメタシン溶液で再構成したところ、終濃度5mg/ml INN、71mg/ml
DOPC、8mg/ml DOPG、13mg/ml コレステロールおよび50mg/ml マンニトールを有する0.3ml/バイアルの再構成体積のインドメタシン徐放性組成物を生じた。
【0100】
(実施例6.インドメタシン徐放性組成物の実験研究において使用されるコラーゲン誘発性関節炎動物モデル)
関節炎に対する上記インドメタシン徐放性組成物の効果のインビボ評価を、18匹の雌性Lewisラット(BioLASCO Taiwan Co, Ltd., Taiwan)を使用して行った。研究設計およびラットにおける関節炎の誘発は、実施例3の研究のものに実質的に類似であった。
【0101】
関節炎処置を、臨床的視覚的関節炎スコアのピーク時(これは、19日目に起きた)に開始した。18匹のラットを、無作為に3群に分けた(各群で6匹のラット):(1)コントロール群(いかなる処置もなし;
図9において「コントロール」と表示);(2)遊離インドメタシン群(1用量あたり2mg/kg インドメタシン;
図9において「インドメタシン(2mg/kg)」と表示);および(3)インドメタシン徐放性組成物群(1用量あたり2mg/kg インドメタシン;
図9において「インドメタシン−BioSeizer(2mg/kg)」と表示)。各群のラットに、19日目から23日目まで、処置なし(コントロール群)、遊離インドメタシンもしくはインドメタシン徐放性組成物の関節炎の関節周りに毎日の皮下注射を与えた。投与された組成物中のインドメタシンの用量を、表4に列挙する。
【0102】
表4.遊離インドメタシン溶液およびインドメタシン徐放性組成物の用量。
【表4】
【0103】
この研究におけるラットは、研究の初めから体重が増加し、12日目にピークに達した。関節炎の徴候が発達するにつれて、3つのラット群全てで体重は減少した。関節炎スコアは、18日目にその最大に達し、その平均関節炎スコアは、
図9bに図示されるように、7.2〜7.4の間であった。
【0104】
19日目から23日目まで、群2および群3において、関節炎症状は低減した。群2(遊離インドメタシン群)では、その平均関節炎スコアが、7.4から5へと低下し、20日目に運動機能が改善し、膝関節柔軟性が増した。インドメタシン処置の終了の2日後である25日目に、関節炎の徴候(例えば、硬直、腫脹および紅斑のある関節)が再発し、関節炎スコアは8に達した。
【0105】
群3(インドメタシン徐放性組成物群)では、その平均関節炎スコアは、20日目に7.6から5.8へと減少した。上記関節炎スコアは、29日目まで7より下のままであり、処置の終了後も長期の処置効力が保持された。群3の関節炎症状は、30日目に重篤になった。
【0106】
まとめると、遊離インドメタシン(群2)もしくはインドメタシン徐放性組成物(群3)の5日間処置の間に、関節炎症状は、両方の群において有意に改善した。関節炎徴候は、群2では遊離インドメタシンを中止して2日後に戻ったのに対して、群3では、関節炎徴候の改善は、処置を終了しても6日間継続した。上記をまとめた研究の結果は、インド
メタシン徐放性組成物が、遊離インドメタシンより長期間にわたって関節中でインドメタシンの効力を維持するという結論を裏付ける。
【0107】
(実施例7.エタネルセプト徐放性組成物)
実施例1に記載される凍結乾燥したリポソーム混合物を、0.3mlのエンブレル(50mg/mlのエタネルセプト;Wyeth Pharmaceuticals, Inc., Collegeville, USAから市販されている)で再構成したところ、0.3ml/バイアルの再構成体積を有するエタネルセプト徐放性組成物を生じた。上記エタネルセプト徐放性組成物中の脂質およびエタネルセプトの終濃度は、以下である:42.8mg/ml エタネルセプト、70.7mg/ml DOPC、8mg/ml DOPG、13mg/ml コレステロールおよび50mg/ml マンニトール。
【0108】
(実施例8.エタネルセプト徐放性組成物の実験研究において使用されるコラーゲン誘発性関節炎動物モデル)
関節炎に対する上記エタネルセプト徐放性組成物の効果のインビボ評価を、18匹の雌性Lewisラット(BioLASCO Taiwan Co, Ltd., Taiwan)を使用して行った。研究設計およびラットにおける関節炎の誘発は、ウシタイプIIコラーゲンを0日目、7日目および17日目に投与したことを除いて、実施例3の研究のものと実質的に類似であった。
【0109】
関節炎処置を、臨床的視覚的関節炎スコアのピーク時(これは、23日目に起きた)に開始した。18匹のラットを3群に無作為に分けた(各群で6匹のラット):(1)コントロール群(いかなる処置もなし;
図10において「コントロール」と表示);(2)遊離エタネルセプト群(1用量あたり50mg/kg エタネルセプト;
図10において「エンブレル(50mg/kg)」と表示);および(3)エタネルセプト徐放性組成物群(1用量あたり50mg/kg エタネルセプト;
図10において「エンブレル−BioSeizer(50mg/kg)」と表示)。各群のラットに、23日目および26日目に、処置なし、または遊離エタネルセプトもしくはエタネルセプト徐放性組成物の関節炎の関節周りに2回の皮下注射を与えた。上記投与した組成物中のエタネルセプトの用量を
、表5に列挙する。
【0110】
表5.遊離エタネルセプト溶液およびエタネルセプト徐放性組成物の用量。
【表5】
【0111】
この研究のラットは、タイプIIコラーゲン免疫後直ぐに関節炎の徴候を発達させ、23日目にピークに達した。その平均関節炎スコアは、
図10に図示されるように、3.6〜3.8の間であった。
【0112】
処置期間(23日目〜26日目)の間に、関節炎の徴候は、処置群(群2および群3)で低減した。群2(遊離エタネルセプト群)では、平均関節炎スコアは、26日目に2.4へと低下したが、関節炎は、上記遊離エタネルセプトを終了して3日後に再発した。30日目に、その関節炎スコアは4に達し、ラットは、関節腫脹および硬直に起因して動かなくなった。
【0113】
群3(エタネルセプト徐放性組成物群)では、平均関節炎スコアは、26日目に2.2へと減少し、32日目まで2.5より下のままであった。群3の関節炎症状は、33日目に再び重篤になった。
【0114】
まとめると、遊離エタネルセプト(群2)もしくはエタネルセプト徐放性組成物(群3)の4日間の処置の間に、関節炎症状は、両方の群において有意に改善した。関節炎徴候は、群2において遊離エタネルセプトを中止して3日後に戻ったのに対して、群3では、関節炎徴候の改善は、上記処置を終了しても5日間続いた。上記でまとめた実験研究の結果は、上記エタネルセプト徐放性組成物が、遊離エタネルセプトより長期間にわたって、関節におけるエタネルセプトの効力を維持するという結論を裏付ける。
【0115】
(実施例9.メトトレキサート徐放性組成物)
実施例1に記載される凍結乾燥したリポソーム混合物を、0.3mlのメトトレキサートナトリウム(Pharmachemie BV, Inc.)で再構成したところ、0.3ml/バイアルの再構成体積を有するメトトレキサート徐放性組成物を生じた。上記メトトレキサート徐放性組成物中の脂質およびメトトレキサートの終濃度は、以下である:2.5mg/ml メトトレキサート、70.7mg/ml DOPC、8mg/ml
DOPG、13mg/ml コレステロールおよび50mg/ml マンニトール。
【0116】
(実施例10.メトトレキサート徐放性組成物の実験研究において使用されるコラーゲン誘発性関節炎動物モデル)
関節炎に対する上記メトトレキサート徐放性組成物の効果のインビボ評価を、18匹の雌性Lewisラット(BioLASCO Taiwan Co, Ltd., Taiwan)を使用して行った。研究設計およびラットにおける関節炎の誘発は、ウシタイプIIコラーゲンを0日目、7日目および17日目に投与したことを除いて、実施例3における研究のものに実質的に類似であった。
【0117】
関節炎処置を、臨床的視覚的関節炎スコアのピーク時(これは、23日目に起きた)に開始した。18匹のラットを3群に無作為に分けた(各群で6匹のラット):(1)コントロール群(いかなる処置もなし。
図11aにおいて「コントロール」と表示);(2)遊離メトトレキサート群(1用量あたり1mg/kg メトトレキサート。
図11aにおいて「メトトレキサート(1mg/kg)」と表示);および(3)メトトレキサート徐放性組成物群(1用量あたり1mg/kg メトトレキサート;
図11aにおいて「メトトレキサート−BioSeizer(1mg/kg)」と表示)。各群のラットに、処置なし(コントロール群)または23日目および26日目に、遊離メトトレキサートもしくはメトトレキサート徐放性組成物のいずれかの関節炎の関節周りに2回の皮下注射を与えた。投与した組成物中のメトトレキサートの用量を、表6に列挙する。
【0118】
表6.遊離メトトレキサート溶液およびメトトレキサート徐放性組成物の用量。
【表6】
【0119】
この研究におけるラットは、タイプIIコラーゲン免疫のすぐ後に関節炎の徴候を発達させ、23日目にピークに達し、その平均関節炎スコアは、
図11bに示されるように、3.4〜3.8の間であった。
【0120】
23日目から26日目まで、関節炎症状は、群2および群3において減少した。群2(遊離メトトレキサート群)では、その平均関節炎スコアは、26日目に3.7から1.4へと低下した。メトトレキサート処置の終了の4日後である30日目に、上記ラットは機能低下状態になり、その関節炎スコアは、3.5に達した。
【0121】
群3(メトトレキサート徐放性組成物群)では、その平均関節炎スコアは、26日目に3.4から1.6へと減少した。その関節炎スコアは、35日目まで約2のままであり、その後に増大した。
【0122】
まとめると、メトトレキサート処置は、群2および群3において関節炎症状を改善した。関節炎徴候は、群2において遊離メトトレキサートを中止して4日後に戻ったのに対して、群3では、関節炎徴候の改善は、処置を終了しても9日間続いた。上記でまとめた実験研究の結果は、上記メトトレキサート徐放性組成物が、遊離メトトレキサートより長期間にわたって関節におけるメトトレキサートの効力を維持するという結論を裏付ける。
【0123】
本明細書で記載される要素および特徴の種々の取り合わせおよび組み合わせが可能である。同様に、いくつかの特徴および部分的な組み合わせ(subcombination
)は有用であり、他の特徴および部分的な組み合わせに言及せずに使用され得る。例えば、ある方法が開示され、考察され、上記方法に含まれる組成物に対して行われ得る多くの改変が考察される場合、上記方法の各々のおよびあらゆる組み合わせおよび入れ替え(permutation)、ならびに可能な改変は、そうでないと具体的に示されなければ、具体的に企図される。同様に、これらの任意の部分セットもしくは組み合わせもまた、具体的に企図され、開示される。本発明の種々の実施形態が、本発明の種々の目的を達成するにあたって記載されてきた。これら実施形態は、本発明の原理を例示するに過ぎないことは、認識されるべきである。その多くの改変および適合は、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、当業者に容易に明らかである。