特許第6964574号(P6964574)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6964574
(24)【登録日】2021年10月21日
(45)【発行日】2021年11月10日
(54)【発明の名称】電子機器収容ケース
(51)【国際特許分類】
   A45C 11/00 20060101AFI20211028BHJP
   G06F 1/16 20060101ALI20211028BHJP
【FI】
   A45C11/00 E
   G06F1/16 312Q
【請求項の数】2
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2018-232978(P2018-232978)
(22)【出願日】2018年12月12日
(65)【公開番号】特開2020-92841(P2020-92841A)
(43)【公開日】2020年6月18日
【審査請求日】2019年9月26日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】511041868
【氏名又は名称】KAZEN WLD株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】高橋 和也
【審査官】 程塚 悠
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2015/0208789(US,A1)
【文献】 実開昭61−024732(JP,U)
【文献】 登録実用新案第3186536(JP,U)
【文献】 米国特許第07780049(US,B1)
【文献】 実開平05−076321(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45C 11/00
G06F 1/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子機器を収容する収容部(32)を有する矩形状の本体部(12)と、使用者の肩に掛けて前記本体部(12)を保持する肩掛けベルト(16)と、を備える電子機器収容ケース(1)であって、
前記肩掛けベルト(16)の一方の端部(61a)を前記本体部(12)の第1の角部(21a)に固定する固定部(42)と、
前記肩掛けベルト(16)の他方の端部(61b)を前記本体部(12)の前記第1の角部(1a)に隣接する第2の角部(21b)と当該第2の角部(21b)に隣接する第3の角部(21c)との間で移動自在に保持する移動部(52)と、
を備え、
前記移動部(52)は、前記第2の角部(21b)から前記第3の角部(21c)まで直線状に配置され、前記肩掛けベルト(16)の他方の端部(61b)が連結されたスライドベルト(53)を備え、
前記移動部(52)は、前記本体部(12)の第1の角部(21a)と隣り合う第2の角部(21b)側に配置される第1の位置と、前記第2の角部(21b)と隣り合う第3の角部(21c)側に配置される第2の位置との間で前記肩掛けベルト(16)の他方の端部(61b)を移動自在に保持し、
前記収容部(32)は、前記本体部(12)の一方の面に配置されており、
前記固定部(42)及び前記移動部(52)は、前記一方の面に対向する他方の面に配置されており、
前記移動部(52)と前記肩掛けベルト(16)の他方の端部(61b)とを連結し、前記肩掛けベルト(16)の他方の端部(61b)が前記第2の位置に配置された際に、この連結部から前記本体部(12)の縁(24b)までの距離(F)よりも長く形成された折曲部(17)を備え、
前記折曲部(17)は、
前記本体部(12)の縁(24b)で折り曲げられる折曲部本体(72)と、
前記移動部(52)と連結された一方の端部(71a)が折り曲げられて2重に重ね合わせられた重ね合わせ部分(73a)と、
前記重ね合わせ部分(73a)を縫い合わせた縫合部分(74a)と、を有し、
前記肩掛けベルト(16)の他方の端部(61b)を前記第1の位置から前記第2の位置に移動すると、前記肩掛けベルト(16)の他方の端部(61b)が前記第3の角部(21c)側に配置され、前記スライドベルト(53)の端部(53b)の上から前記折曲部(17)の前記重ね合わせ部分(73a)が重なり合い、前記縫合部分(74a)が前記本体部(12)の縁(24b)に位置した状態で、前記折曲部本体(72)は前記本体部(12)の縁(24b)で折り曲げられて前記一方の面側へ位置し、前記重ね合わせ部分(73a)は前記他方の面側に位置する
ことを特徴とする電子機器収容ケース。
【請求項2】
前記移動部(52)と前記肩掛けベルト(16)の他方の端部(61b)とを連結する連結具(17,C2,C3)を備える
ことを特徴とする請求項1に記載の電子機器収容ケース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器収容ケースに関し、特に、使用者が電子機器を肩から下げた状態で持ち運び及び操作をすることが可能な電子機器収容ケースに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、電子機器を収容するためのケースとしてタブレット型PC(Personal Computer)を収容する電子機器収容ケースが知られている。この電子機器収容ケースは、タブレット型PCを収容する本体部と、本体部を使用者の肩から下げるための肩掛けベルトとを備えており、使用者が肩掛けベルトを肩から下げた状態で操作をすることができる。
このような電子機器収容ケースとしては、使用者の肩に掛けるショルダーストラップを備えた保護ケースがある。この保護ケースは、端末装置の裏面を支持する支持部に配置されたベルト通しにショルダーストラップを通すことにより、端末装置の表示部を上に向けた状態で端末装置を保持している(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017−187959号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来の電子機器収容ケースは、端末装置の対角線上にショルダーストラップを通しているため、端末装置の表示部を横に向けて持ち運ぶ際に端末装置が対角線を中心に回転することがある。
このため、安定して端末装置を持ち運ぶためには、端末装置の上端が水平になるように、支持部の左下部に配置されたベルト通しに通したショルダーストラップを左上部に配置されたベルト通しに通し直す必要があり、端末装置を持ち運ぶ状態と端末装置を操作する状態との使用状態の変更が煩雑となる。
【0005】
そこで、本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、電子機器を持ち運ぶ状態と電子機器を操作する状態とを容易に変更することができる電子機器収容ケースを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明は、電子機器を収容する収容部を有する矩形状の本体部と、使用者の肩に掛けて前記本体部を保持する肩掛けベルトと、を備える電子機器収容ケースであって、前記肩掛けベルトの少なくとも一方の端部を前記本体部の角部と当該角部に隣接する角部との間で移動自在に保持する移動部を備えることを特徴とする。
【0007】
また、前記肩掛けベルトの一方の端部を前記本体部の第1の角部に固定する固定部を備え、前記移動部は、前記本体部の第1の角部と隣り合う第2の角部側に配置される第1の位置と、前記第2の角部と隣り合う第3の角部側に配置される第2の位置との間で前記肩掛けベルトの他方の端部を移動自在に保持することが好ましい。
【0008】
また、前記移動部は、前記第2の角部から前記第3の角部まで直線状に配置され、前記肩掛けベルトの他方の端部が連結されたスライドベルトを備えることが好ましい。
【0009】
また、前記収容部は、前記本体部の一方の面に配置されており、前記固定部及び前記移動部は、前記一方の面に対向する他方の面に配置されており、前記移動部と前記肩掛けベルトの他方の端部とを連結し、前記肩掛けベルトの他方の端部が前記第2の位置に配置された際に、この連結部から前記本体部の縁までの距離よりも長く形成された折曲部を備えることが好ましい。
【0010】
また、前記折曲部は、前記本体部の縁で折り曲げられる折曲部本体と、前記移動部と連結された一方の端部が折り曲げられて2重に重ね合わせられた重ね合わせ部分と、を有し、前記肩掛けベルトの他方の端部を前記他方の面側から前記一方の面側へ移動させると、前記折曲部本体は前記本体部の縁で折り曲げられ、前記重ね合わせ部分は前記他方の面側に位置することが好ましい。
【0011】
また、前記移動部と前記肩掛けベルトの他方の端部とを連結する連結具を備えることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明の電子機器収容ケースによれば、電子機器を持ち運ぶ状態と電子機器を操作する状態とを容易に変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施の形態に係る電子機器収容ケースを示す斜視図である。
図2】電子機器収容ケースのポケット内部を示す斜視図である。
図3】電子機器収容ケースの正面図である。
図4】電子機器収容ケースの肩掛けベルトの第1の位置を説明する背面図である。
図5】電子機器収容ケースの肩掛けベルトの第2の位置を説明する背面図である。
図6】電子機器収容ケースの折曲部を折り曲げた状態を説明するための図である。
図7】電子機器収容ケースを持ち運ぶ状態を示す図である。
図8】電子機器収容ケースに収容された電子機器を使用する状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の好ましい実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下に示す実施の形態は一例であり、本発明の範囲において、種々の実施の形態をとりうる。
【0015】
1.電子機器収容ケースの全体構成
はじめに、図1乃至図6を参照して、電子機器収容ケースの構成について説明する。
なお、以下では、説明の便宜上、電子機器収容ケース1の長手方向(以下、縦方向ともいう)において矢印a方向を上側aとし、矢印b方向を下側bとする。また、縦方向に垂直な方向(以下、横方向ともいう)において矢印c方向を一側cとし、矢印d方向を他側dとする。
電子機器収容ケース1は、例えば、医療現場や店舗、工場などのタブレット型PCを使用する現場において、使用者がタブレット端末などの電子機器を肩から下げた状態で持ち運び及び使用するものである。電子機器収容ケース1は、図1乃至図3に示すように、タブレット端末Tを収容する略矩形状の本体部12と、使用者の肩に掛けて本体部12を保持する帯状の布部材である肩掛けベルト16と、本体部12と肩掛けベルト16との間に配置されて本体部12の横縁24bで折り曲げ可能な折曲部17とを備えている。
また、図2に示すように、電子機器収容ケース1は、メモ帳や手帳などを収容可能な第1ポケット部18aと、ボールペンなどのペン類を内部に収容可能な第2ポケット部18bと、携帯電話やスマートフォンなどを収容可能な第3ポケット部18cに仕切られたポケット18と、鍵などを取り付けるリング19とを備えている。
なお、電子機器収容ケース1は、縦方向の長さが約240mm、横方向の長さが約170mmのタブレット端末Tが収容可能に、縦方向の長さが約285mm、横方向の長さが約215mmである。
【0016】
<本体部>
図1乃至図3に示すように、本体部12は、肩掛けベルト16を肩にかけて使用する際に上側に位置する上側aの角部である第1の角部21a及び第2の角部21bと、肩掛けベルト16を肩にかけて使用する際に下側に位置する下側bの角部である第3の角部21cと、第4の角部21dとを有している。
第1の角部21aと第4の角部21dは、他側dに配置され、第2の角部21bと第3の角部21cは、一側cに配置されている。また、第1の角部21aと第3の角部21cとは互いに対角に位置し、第2の角部21bと第4の角部21dとは互いに対角に位置している。
本体部12の一方の面22a(以下、表面22aともいう。)の周縁部23aと、他方の面22b(以下、裏面22bともいう。)の周縁部23bとは、布Ptで覆われて互いに縫い合わせられ、横縁24a,24b、縦縁24c,24dを形成している。
横縁24aは上側aに位置し、横縁24bは下側bに位置し、縦縁24cは一側cに位置し、縦縁24dは他側dに位置している。すなわち、横縁24aは第1の角部21aと第2の角部21bとの間に位置し、横縁24bは第3の角部21cと第4の角部21dの間に位置し、縦縁24cは第2の角部21bと第3の角部21cとの間に位置し、縦縁24dは第1の角部21aと第4の角部21dとの間に位置している。
本体部12は、表面22aに配置されてタブレット端末Tを収容する収容部32と、裏面22bに配置されて肩掛けベルト16の一方の端部61aが固定された固定部42と、裏面22bに配置されて肩掛けベルト16の他方の端部61bが第2の角部21bと第3の角部21cとを移動可能な移動部52とを有している。
【0017】
(収容部)
図3に示すように、収容部32は、タブレット端末Tの表示部Tdを視認可能でかつタッチ操作可能な透明フィルムが全域に配置された窓部33を有している。
また、収容部32は、第3の角部21c及び第4の角部21dに配置されてタブレット端末Tの角部を外力から保護する保護部材34a,34bと、収容部32内部にタブレット端末Tを出し入れする開口30を封止するファスナー35と、開口30及びファスナー35を覆う覆い部材36とを有している。
覆い部材36は、上側a方向の端部が横縁24aに固定されており、収容部32内にタブレット端末Tを出し入れ可能に開口30及びファスナー35を上から覆うことにより、開口30から収容部32内に液体が侵入するのを防止する。
【0018】
(固定部)
図1に示すように、固定部42は、第1の角部21aに固定された固定ベルト43を有している。固定ベルト43と肩掛けベルト16の一方の端部61aとは、Dリング状の連結金具C1により連結されている。
固定ベルト43は、帯状の布部材であり、連結金具C1に通されて折り曲げられて2重に重ね合わせられた重ね合わせ部分44が第1の角部21aに縫糸により縫い合わせられて固定されている。固定ベルト43の横方向の長さAは、連結金具C1の内径とほぼ同じ長さであり、例えば約25mmである。
固定ベルト43と肩掛けベルト16の一方の端部61aとは、連結金具C1に通されており、肩掛けベルト16の一方の端部61aは、連結金具C1により連結された固定ベルト43を介して本体部12の第1の角部21aに固定されている。
【0019】
(移動部)
図4及び図5に示すように、移動部52は、肩掛けベルト16の他方の端部61bを第1の位置と第2の位置との間で移動自在に保持する。移動部52は、本体部12の縦縁24cに沿って配置されたスライドベルト53と、Dリング状の連結金具C2とを有している。スライドベルト53と肩掛けベルト16の他方の端部61bとは、連結金具C2及び折曲部17を介して連結されている。
スライドベルト53は、第2の角部21bから第3の角部21cまで略直線状に配置された帯状の布部材であり、連結金具C2を通した状態で本体部12の裏面22bに配置されている。スライドベルト53の横方向の長さB(図1及び図2参照)は、連結金具C2の内径とほぼ同じ長さであり、例えば約25mmである。
スライドベルト53の一方の端部53aは、本体部12の裏面22b側に折り曲げられており、裏面22b側に配置された部分のみが第2の角部21bに縫糸により縫い合わせられて固定されている。スライドベルト53の他方の端部53bは、第3の角部21cに重ね合わせられて縫糸により第3の角部21cに縫い合わせられて固定されている。
スライドベルト53の縦縁24cに沿う長さCは、約255mmである。また、スライドベルト53の他方の端部53bの縦縁24cに沿う長さD、すなわち、他方の端部53bが第2の角部21bに縫い合わせられた部分の縦方向の長さDは約30mmであり、連結金具C2の外径とほぼ同じ長さである。
スライドベルト53の他方の端部53b以外の部分は、本体部12の裏面22bに固定されておらず、この固定されていない部分を連結部材C2が移動可能にされている。固定されていない部分の長手方向の長さEは約225mmであり、例えば、電子機器収容ケース1の縦方向の長さの8割以上9割以下の長さである。
【0020】
図1及び図2に示すように、連結金具C2は、曲線部C2aと直線部C2bを有し、スライドベルト53と折曲部17の一方の端部71aが通されている。
連結金具C2の曲線部C2aは、本体部12の裏面22bとスライドベルト53との間に配置され、直線部C2bが折曲部17の一方の端部71a側に配置されている。すなわち、スライドベルト53との摩擦が少ない曲線部C2aが本体部12の裏面22bとスライドベルト53との間に配置されている。
スライドベルト53と折曲部17とは、連結金具C2を介して連結されており、肩掛けベルト16の他方の端部61bは、連結金具C2により折曲部17を介して本体部12のスライドベルト53に移動可能に連結されている。
連結金具C2を矢印M1方向に移動させると、スライドベルト53の2つの面のうち本体部12の裏面22bに対向する面に沿って連結金具C2の曲線部C2aが移動する。連結金具C2が矢印M1方向に移動すると、肩掛けベルト16の他方の端部61bが矢印M1方向に移動することにより、肩掛けベルト16の他方の端部61bは第1の位置又は第2の位置に移動する。
第1の位置とは、図4に示すように、連結金具C2を上側aへ移動させることにより、肩掛けベルト16の他方の端部61bが本体部12の第2の角部21b側に配置される位置である。
第2の位置とは、図5に示すように、連結金具C2を下側bへ移動させることにより、肩掛けベルト16の他方の端部61bが本体部12の第3の角部21c側に配置される位置である。
【0021】
<肩掛けベルト>
図1及び図2に示すように、肩掛けベルト16は、帯状の布部材であり、連結金具C1を介して本体部12の固定部42に固定された一方の端部61aと、折曲部17を介して本体部12の移動部52に連結された他方の端部61bと、肩掛けベルト16の一方の端部61aと他方の端部61bとの間で使用者の肩に掛けることにより本体部12を保持する肩掛け部61cとを有している。
肩掛けベルト16の他方の端部61bには、他方の端部61bに対して回転可能なナスカン状の連結金具62が取り付けられている。連結金具62に力を加えて環を開き、折曲部17の他方の端部71bに取り付けられたDリング状の連結金具C3に環を通すことにより、肩掛けベルト16の他方の端部61bが折曲部17に連結する。
肩掛けベルト16の肩掛け部61cには、アジャスタ63が取り付けられており、アジャスタ63により肩掛け部61cの長さが調整可能である。
【0022】
<折曲部>
図4乃至図6に示すように、折曲部17は、スライドベルト53と肩掛けベルト16の他方の端部61bとを連結する帯状の布部材であり、肩掛けベルト16の他方の端部61bが第2の位置に配置された際に、この連結部分から本体部12の横縁24bまでの距離よりも長く形成されている。具体的には、図5に示すように、連結部分から本体部12の横縁24bまでの距離Fよりも折曲部17の縦方向に延びる長さGの方が長く形成されており、長さGは例えば約100mmである。折曲部17は、連結金具C2に連結された一方の端部71aと、連結金具C3に連結された他方の端部71bと、一方の端部71aと他方の端部71bとの間で折り曲げられる折曲部本体72とを有している。
折曲部本体72は、図5及び図6に示すように、肩掛けベルト16の他方の端部61bが第2の位置に配置された状態で、折曲部本体72を横縁24bから矢印M2方向(裏面22bから表面22aに向けて)へ折り曲げることにより、肩掛けベルト16の他方の端部61bを裏面22b側から表面22a側へ移動することが可能である。
【0023】
折曲部17の一方の端部71aは、スライドベルト53に通された連結金具C2に通されて折り曲げられて2重に重ね合わせられた重ね合わせ部分73aと、重ね合わせ部分73aを縫糸により縫い合わせられた縫合部分74aとを有している。
折曲部17の他方の端部71bは、折曲部本体71が連結金具C3に通されて折り曲げられて2重に重ね合わせられた重ね合わせ部分73bと、重ね合わせ部分73bを縫糸により縫い合わせられた縫合部分74bとを有している。
重ね合わせ部分73aは、肩掛けベルト16の他方の端部61bを第2の位置に配置すると、本体部12の裏面22b側でスライドベルト53の他方の端部53bの上から重なり合う部分である。
図5に示すように、重ね合わせ部分73aの縦縁24cに沿う長さHは約25mmであり、スライドベルト53の他方の端部53bに連結金具C2の曲線部C2aが配置されると、縫合部分74aが横縁24bに位置する長さに設定されている。
縫合部分74aは、スライドベルト53の他方の端部53bに連結金具C2の曲線部C2aが位置している状態で折曲部本体72を横縁24bから矢印M2方向へ折り曲げると、横縁24bに当接する。
【0024】
2.電子機器収容ケースの使用態様
次いで、図5乃至図8を参照して電子機器収容ケースの使用態様について説明する。電子機器収容ケース1は、肩掛けベルト16の他方の端部61b(連結金具C2)を第1の位置と第2の位置とを移動させることにより、タブレット端末Tを持ち運ぶ持ち運び状態とタブレット端末Tを使用する使用状態とに態様を変更することができる。
【0025】
<持ち運び状態>
図7に示すように、タブレット端末Tを持ち運ぶ持ち運び状態とするために、肩掛けベルト16の肩掛け部61cを使用者の右肩から斜め肩掛けにし、連結金具C2を上側aへ移動させることにより、肩掛けベルト16の他方の端部61bが本体部12の第2の角部21b側に配置される第1の位置に配置する。
肩掛けベルト16の他方の端部61bを第1の位置に配置すると、肩掛けベルト16の一方の端部61a及び他方の端部61bにより、本体部12の第1の角部21aと第2の角部21bとの間に位置する横縁24aが略水平になるように本体部12を保持することが可能になる。
また、肩掛けベルト16の他方の端部61bを第1の位置に配置すると、本体部12は使用者の左腰に位置し、タブレット端末Tの表示部Tdは使用者側を向く位置に配置される。
このように、肩掛けベルト16の他方の端部61bを第1の位置に配置、すなわち、連結金具C2を上側aへ移動させて肩掛けベルト16の他方の端部61bが本体部12の第2の角部21b側に配置することにより、横縁24aを水平にしてタブレット端末Tを持ち運ぶ持ち運び状態とする。
【0026】
<使用状態>
図6及び図8に示すように、タブレット端末Tを使用する使用状態とするために、肩掛けベルト16の他方の端部61bを第2の位置に配置する。肩掛けベルト16の他方の端部61bを第2の位置に配置すると、一方の端部61a及び他方の端部61bにより対角線上に本体部12を保持可能になる。
具体的には、連結金具C2を上側aから下側bへ移動させることにより、肩掛けベルト16の他方の端部61bが本体部12の第3の角部21c側に配置する。肩掛けベルト16の他方の端部61bが第3の角部21c側に配置されると、スライドベルト53の他方の端部53bの上から重ね合わせ部分73aが重なり合い、折曲部17の縫合部分74aが横縁24bに位置して折曲部17の折曲部本体72が折り曲げ可能な状態となる(図5参照)。
【0027】
そして、縫合部分74aを横縁24bに位置させた状態で、折曲部本体72を矢印M2方向へ折り曲げながら表面22aを上方(使用者と対峙する方向)に向けると、図8に示すように、本体部12の縦縁24dが使用者の腹部側に配置され、タブレット端末Tの表示部Tdが上方を向く。なお、持ち運び状態の本体部12の位置(図7に示す位置)から使用状態の本体部12の位置(図8に示す位置)へ本体部12を移動した後、連結金具C2を移動させて肩掛けベルト16の他方の端部61bを本体部12の第3の角部21c側に配置してもよい。すなわち、肩掛けベルト16の他方の端部61bの移動は、本体部12を移動させる前のタイミングでも、後のタイミングでも、どちらでもよい。
本体部12を移動させ、肩掛けベルト16の一方の端部61aが横縁24a側から延びる状態とし、折曲部17が横縁24b側から延びる状態とすることにより、一方の端部61a及び他方の端部61bを対角線上に配置して画板のように本体部12を保持する。
このように、肩掛けベルト16の他方の端部61bを第2の位置に配置、すなわち、連結金具C2を上側aから下側bへ移動させることにより、肩掛けベルト16の他方の端部61bが本体部12の第3の角部21c側に配置される位置に配置し、本体部12を回転させて一方の端部61a及び他方の端部61bを対角線上に配置することにより、タブレット端末Tの表示部Tdを上方に向けてタブレット端末Tを使用する使用状態とする。
【0028】
このようにして、電子機器収容ケース1は、肩掛けベルト16の他方の端部61bが本体部12の第2の角部21b側に配置される第1の位置と、第3の角部21c側に配置される第2の位置とを移動可能な移動部52を備えている。このため、肩掛けベルト16の他方の端部61bが第1の位置に配置することにより肩掛けベルト16の一方の端部61a及び他方の端部61bで横縁24aが略水平になるように本体部12を保持する持ち運び状態と、肩掛けベルト16の他方の端部61bが第2の位置に配置することにより肩掛けベルト16の一方の端部61a及び他方の端部61bを対角線上に配置して本体部12を保持する使用状態とを、肩掛けベルト16の他方の端部61bを移動するのみで容易に変更することができる。また、持ち運び状態では、肩掛けベルト16の一方の端部61a及び他方の端部61bで横縁24aが略水平になるように本体部12を縦にして持ち運ぶことができるため、安定して持ち運ぶことができるとともに使用者の業務などの邪魔にならない。さらに、肩掛けベルト16を肩に掛けたまま、持ち運び状態と使用状態とを変更することができるため、タブレット端末Tの落下を防止することができる。
【0029】
また、第2の角部21bから第3の角部21cまで略直線状に配置されたスライドベルト53に沿って、肩掛けベルト16の他方の端部61bを移動させるため、他方の端部61bの移動を簡単に行うことができる。
また、収容部32は、本体部12の一方の面22aに配置されており、固定部42及び移動部52は、他方の面22bに配置されている。このため、持ち運び状態ではタブレット端末Tの表示部Tdは使用者側を向く位置に配置され、使用状態ではタブレット端末Tの表示部Tdが上方を向くように配置される。特に、医療現場で医療従事者が電子機器収容ケース1を持ち運ぶ際に、持ち運び状態ではカルテなどの個人情報を表示した表示部Tdが使用者側を向く位置に配置されるため、表示部Tdに表示された情報を保護することができる。
【0030】
また、肩掛けベルト16の一方の端部61aが横縁24a側から延びる状態とし、折曲部17が横縁24b側から延びる状態とすることにより、一方の端部61a及び他方の端部61bを対角線上に配置して画板のように本体部12を保持する。このため、タブレット端末Tを使用する際に肩掛けベルト16が邪魔にならない。
また、肩掛けベルト16の他方の端部61bが第2の位置に配置されると、2重に重ね合わせられた折曲部17の重ね合わせ部分73aがスライドベルト53の他方の端部53bの上に重なり合うため、一方の端部61a及び他方の端部61bを対角線上に配置した際に安定感を増すことができる。
さらに、肩掛けベルト16の他方の端部61bが第2の位置に配置されると、縫合部分74aが横縁24bに位置し、折曲部本体72は1重であるため、折曲部本体72を矢印M2方向へ折り曲げ易い。
【0031】
3.その他
なお、本発明の実施の形態に係る電子機器収容ケースは、上述のタブレット端末Tを収容する電子機器収容ケース1に限定されるものではなく、本発明の概念に含まれるあらゆる態様を含む。また、上述した効果の少なくとも一部を奏するように、計量装置の各構成を適宜選択的に組み合わせてもよい。
上述した電子機器収容ケース1は、タブレット端末Tに限らず、スマートフォン、タブレット機器などの電子機器を収容してもよい。
また、電子機器収容ケース1は、タブレット端末Tを使用者の右肩から斜め肩掛けにして使用する場合について説明したが、タブレット端末Tを使用者の左肩から斜め肩掛けにして使用してもよいし、使用者の首から掛けて使用してもよい。また、固定部42と移動部52の位置を逆、すなわち、固定部42を第2の角部21bに配置し、移動部52のスライドベルト53を第1の角部21aから第4の角部21dに配置し、タブレット端末Tを使用者の左肩から斜め肩掛けにして使用してもよい。さらに、肩掛けベルト16の一方の端部61aが第1の角部21aと第4の角部21dとを移動可能に固定部42がスライドベルトを有していてもよい。すなわち、肩掛けベルト16の各端部61a,61bがスライドベルトに連結されていてもよい。
以上のように、同様の機能を有する任意の構成のものに置き換えても、本発明の実施の形態に係る電子機器収容ケース1と同様の作用効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0032】
1…電子機器収容ケース、12…本体部、16…ベルト、17…折曲部、18…ポケット、18a…第1ポケット部、18b…第2ポケット部、18c…第3ポケット部、19…リング、21a…第1の角部、21b…第2の角部、21c…第3の角部、21d…第4の角部、22a…表面、22b…裏面、23a,23b…周縁部、24a,24b…横縁、24c,24d…縦縁、30…開口、32…収容部、33…窓部、34a,34b…保護部材、35…ファスナー、36…覆い部材、42…固定部、43…固定ベルト、44…重ね合わせ部分、52…移動部、53…スライドベルト、53a…一方の端部、53b…他方の端部、61a…一方の端部、61b…他方の端部、61c…肩掛け部、62…連結金具、63…アジャスタ、72…折曲部本体、71a…一方の端部、71b…他方の端部、72…折曲部本体、73a,73b…重ね合わせ部分、74a,74b…縫合部分、C1,C2,C3…連結金具
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8