(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0021】
図面に示されている実施形態は本質的に例示であり、「発明を実施するための形態」又は請求項の範囲を限定することを意図したものではない。可能な限り、図面全体を通して、同一又は同様の特徴部分を指すために同一の参照番号を使用する。
【0022】
これより、本説明の例示的実施形態について詳細に言及する。
【0023】
本明細書中で使用される場合、用語「スート(soot)」は、SiO
2又はドープSiO
2粒子を意味し;個々のスート粒子は一般に、直径0.01〜10マイクロメートルのサイズを有する。「スートプリフォーム(soot preform)」は、ある開気孔率を有する、複数のスート粒子からなる物品を意味する。用語「多孔性スート(porous soot)」及び「多孔性ガラス(porous glass)」は、本明細書では相互交換可能なものとして使用される。用語「コア部分(core portion)」又は「コアケーン(core cane)」は、固結済みガラスを指し、シリカ又はドープシリカガラスで構成されてよい。用語「固結済みガラス(consolidated glass)」は、閉気孔状態ガラスを指す。いくつかの実施形態では、このガラスは空所を有しない。用語「スート‐ガラス変形(soot‐to‐glass transformation)」は、多孔性ガラス状態から閉気孔状態へ進むプロセスを指す。以下に更に十分に説明するように、スート‐ガラス変形プロセスは、脱水ステップ、ドープステップ、及び焼結ステップを含んでよい。いくつかの実施形態では、ガラスはこのスート‐ガラス変形プロセスにおいて、空所を有しないものとなる。用語「光ファイバプリフォーム(又は固結済みプリフォーム(consolidated preform)、焼結済みプリフォーム(sintered preform)又はブランク(blank))」は、そこから光ファイバをドロー形成できるガラス物品を指す。
【0024】
本明細書中で使用される場合、「アップドーパント(up‐dopant)」は、純粋なドープされていないSiO
2ガラスに対して、シリカ(「SiO
2」)ガラスの屈折率を上昇させるドーパントを指し;即ちアップドーパントは、ガラス反射率の上昇を引き起こす。用語「ダウンドーパント(down‐dopant)」は、純粋なドープされていないSiO
2ガラスに対して、シリカガラスの屈折率を低下させるドーパントを指す。アップドーパントの非限定的な例は、Ge、Al、P、Ti、Cl及びBrである。ダウンドーパントの非限定的な例は、非周期的空所、フッ素及びホウ素である。プリフォーム及び/又はファイバ中のドーパント濃度は、本明細書では重量ベースで表される(例えば、重量割合でのppm、ppm(重量)、重量パーセント、重量%)。
【0025】
本明細書中で使用される場合、「相対屈折率(relative refractive index)」は、等式1:
【0027】
で定義され、ここでn
iは、そうでないことが明記されていない限り、半径r
iにおける屈折率であり、またn
refは、そうでないことが明記されていない限り、純シリカガラスの屈折率である。
【0028】
本明細書中で使用される場合、「脱水雰囲気(dehydration atmosphere)」又は「乾燥雰囲気(drying atmosphere)」は、「乾燥ガス(drying gas)」を含有するガス雰囲気を指し、また本明細書において使用される場合、「乾燥ガス」は、所望の、かつ好適な乾燥剤を含むガス又はガス混合物を指す。乾燥剤は、スートプリフォーム中に存在する水及び/又はヒドロキシルイオンを除去することによって作用する、乾燥用の化合物である。例示的な乾燥剤としては:CCl
4、Cl
2、Br
2、SOCl
2、CO及びSiCl
4が挙げられるが、これらに限定されない。例えば、限定するものではないが、「乾燥ガス」はHe、HeとN
2との混合物、並びにCl
2、CCl
4、SiCl
4及び/又は他の乾燥剤であってよい。いくつかの実施形態では、乾燥ガスは、Cl
2及びSiCl
4からなる群から選択される乾燥剤を含む。ガス相中の構成成分の濃度は、本明細書では体積ベースで表される(例えば、体積割合でのppm、ppm(体積)、体積パーセント、体積%)。
【0029】
本明細書中で使用される場合、「固結(consolidation)」又は「スート‐ガラス固結(soot‐to‐glass consolidation)」は、乾燥、ドープ及び焼結等の様々なプロセスステップを実施するために、スートプリフォームを少なくとも約800℃の温度まで加熱するステップを指す。一実施形態では、固結は、800℃〜1550℃の温度範囲にわたって行われる。1050℃未満の温度においてスートプリフォームを加熱する、固結のステージは、本明細書では固結の「予備加熱ステップ(pre‐heat step又はpre‐heating step)」と呼ばれる場合もある。予備加熱ステップは、800℃〜1050℃の範囲の温度で行ってよい。一実施形態では、乾燥及びドープは、固結の予備加熱ステップにおいて完了する。スートプリフォームを1050℃〜1300℃の温度まで加熱する、固結のステージは、本明細書では固結の「中間加熱ステップ(intermediate heat step又はintermediate heating step)」と呼ばれる場合もある。予備加熱及び中間加熱ステップは、単一のステップに組み合わせてよく、又は順次実施してよい。スートプリフォームを少なくとも1300℃の温度まで加熱する、固結のステージは、本明細書では固結の「焼結ステップ(sinter step又はsintering step)」と呼ばれる場合もある。焼結ステップは、1300℃〜1550℃の範囲の温度、又は1550℃超の温度において行ってよい。ガラスを形成するため(例えばガラス質シリカ若しくは溶融シリカ、又はドープドープされた溶融シリカを形成するため)の、スートの高密度化は、主に焼結ステップで行われることが予想される(ただし中間加熱ステップ及び/又は予備加熱ステップにおいて行ってもよい)。塩素ガス又は塩素含有ドーパント前駆体を用いて、プリフォームを塩素でドープするステップは、予備加熱ステップ、中間加熱ステップ及び焼結ステップのうちの1つ以上の間に行ってよい。
【0030】
本明細書において使用される場合、「クラッド(cladding)」は、光ファイバコアを取り囲み、かつ上記コアの外縁部から上記光ファイバの外縁部まで延在する、1つ以上のガラス層を指し、用語「オーバクラッド(overclad)」又は「外側クラッド(outer clad)」及び同様の用語は、光ファイバ上の最後のクラッド層(最外部の、最も径方向に離れたクラッド層)を指す。
【0031】
本明細書では、コア‐クラッド比は、コアケーンの外径に対する、コアケーンの高屈折率領域の半径の比として定義される。
【0032】
本明細書中で使用される場合、「接触(contact)」は、直接的な接触又は間接的な接触を指す。直接的な接触は、介在材料が存在しない接触を指し、間接的な接触は、1つ以上の介在材料を介した接触を指す。直接的に接触した要素は互いに接している。間接的に接触した要素は互いに接していないが、介在材料と接している。接触した要素の接合は、しっかりしたものであってもなくてもよい。
【0033】
本開示について、添付の図面を参照して以下により十分に説明する。しかしながら本開示は他の多数の形態で具現化でき、本明細書に記載の実施形態に限定されるものとして解釈してはならない。寧ろこれらの実施形態を提供することにより、本開示は徹底的かつ完全なものとなり、本発明の範囲を当業者に十分に伝達するものとなる。全体を通して同様の番号は同様の要素を指す。
【0034】
光ファイバは一般に、光の伝送のためのコアファイバと、コア内の伝送された光を保持して、距離による伝送損失を低減することを目的とする、1つ以上のクラッド層とからなる。例示的な段階的屈折率光ファイバを、
図1Aに示す。光ファイバ11aは、コア10、内側クラッド12a及び外側クラッド12bを含む。
図1Aの光ファイバ11aに関する相対屈折率プロファイルを
図2Aに示す。コア10は、コア中心r
0からコア外縁部r
1まで径方向に延在し、屈折率Δ
1を有する。内側クラッド12aは、コア外縁部r
1から径方向距離r
2まで径方向に延在し、屈折率Δ
2を有する。外側クラッド12bは、r
2から、r
3にあるファイバの外縁部まで径方向に延在し、屈折率Δ
3を有する。
【0035】
本明細書の記載から、本発明に従って代替的な好適な構成の光ファイバを形成できることが理解されるだろう。いくつかの実施形態では、内側クラッド領域と外側クラッド領域との間に、12tで示されるトレンチ領域が存在する。トレンチ領域は、曲げ損失に対する光ファイバの感受性を低減する。このようなプロファイルの例を、光ファイバ11bとして
図1Bに示し、この光ファイバ11bは、
図2Bに示す相対屈折率プロファイルを有する。
図2Bでは、コア10は、コア中心r
0からコア外縁部r
1まで径方向に延在し、屈折率Δ
1を有する。内側クラッド12aは、コア外縁部r
1から径方向距離r
2まで径方向に延在し、屈折率Δ
2を有する。トレンチ領域12tは、r
2からr
4まで径方向に延在し、屈折率Δ
4を有する。外側クラッド12bは、r
4から、r
3にあるファイバの外縁部まで径方向に延在し、屈折率Δ
3を有する。外側クラッド領域の屈折率Δ
3は、外側クラッド領域のアップドープの結果として、内側クラッド領域の屈折率Δ
2より高い。トレンチ領域12tの屈折率Δ
4は、上記領域をダウンドーパントでドープすることによって達成される。
【0036】
本説明は:コア‐クラッド比が大きいコアケーンから形成された光ファイバプリフォーム;上記光ファイバプリフォームの作製に使用される中間コア‐クラッド組立体;上記プリフォームを作製するためのプロセス;及び上記プリフォームからドロー形成された光ファイバを提供する。
【0037】
光ファイバプリフォームは、コアケーンと、上記コアケーンを取り囲む1つ以上のクラッド層とを含む。プリフォームは、コア‐クラッド組立体を加工することによって形成される。加工は、コア‐クラッド組立体の脱水、ドープ及び/又は焼結を含んでよい。コア‐クラッド組立体は、コアケーン及びスートクラッドモノリスを含み、ここで上記スートクラッドモノリスは、上記コアケーンとは独立して形成され、1つ以上の多孔性クラッド層を含む。スートクラッドモノリスは、内部キャビティを含んでよく、コア‐クラッド組立体は、コアを上記内部キャビティに挿入することによって形成してよい。焼結は、コア‐クラッド組立体の多孔性クラッド層を固結して高密度化されたクラッド層を達成し、上記高密度化されたクラッド層はコアケーンに融合して、光ファイバプリフォームを形成する。
【0038】
光ファイバプリフォームは、欠陥の形成を最小化するケーン・イン・スートプロセスから作製される。光ファイバプリフォームは本質的に欠陥を含まず、ファイバドロー形成温度への再加熱に、割れを発生させることなく耐えることができる。ケーン・イン・スートプロセスでは、コアケーン及びスートクラッドモノリスは互いに独立して形成される。コアケーンは、固結済みガラス本体である。スートクラッドモノリスは多孔性であり、内部キャビティを含む。コアケーンの少なくとも一部分を内部キャビティに挿入して、コア‐クラッド組立体を形成する。コア‐クラッド組立体は中間構造体であり、これを後に固結させて光ファイバプリフォームを形成する。
【0039】
コアケーンの製作は、コアスートプリフォームの形成で開始できる。
図1は、コアスートプリフォームが形成される。
図1は、ハンドル13を有する例示的なコアスートプリフォーム8を示す。コアスートプリフォーム8は、化学蒸着(chemical vapor deposition:CVD)(例えば外側蒸着(outside vapor deposition:OVD)、軸蒸着(vapor axial deposition:VAD)、改質化学蒸着(modified chemical vapor deposition:MCVD)、プラズマ化学蒸着(plasma chemical vapor deposition:PCVD))、又はゾル‐ゲル加工若しくは火炎加水分解といった他のいずれの好適な技法等の、いずれの好適な方法を用いて形成してよい。コアスートプリフォーム8は、純粋なシリカ又はドープシリカ(例えば、ゲルマニア、ホウ素、フッ素、アルミニウム、チタン、リン及び/若しくは塩素を含むがこれらに限定されない、1つ若しくは複数の好適なドーパントでドープされたシリカ)から形成してよい。ドープを使用して、コアスートプリフォームの屈折率を制御してよい。コアケーンの屈折率プロファイルは、定常プロファイル、段階的屈折率プロファイル、又は単調変化性プロファイル(例えばα‐プロファイル若しくはスーパーガウス型プロファイル)であってよい。コアスートプリフォームは、単層又は複層体として形成してよく、ここで上記1つ以上の層はドープされてよく、ドープされていなくてもよく、またドープされている場合は、上記1つ以上の層は、ドーパントのタイプ、濃度又は分布について違いを含んでいてよい。コアスートプリフォーム8は、複数の隙間を画定する多孔性構造体である。コアスートプリフォーム8は、その全長に亘って延在する通路を含んでよく、上記通路から、堆積装置のマンドレルが除去されている。いくつかの実施形態によると、コアスートプリフォーム8の密度は約1.0g/cc以下、好ましくは約0.7g/cc以下、より好ましくは約0.6g/cc以下である。
【0040】
コアスートプリフォーム8を固結させて、固結済みコアガラスプリフォームを形成し、上記固結済みコアガラスプリフォームをドロー形成して、コアケーンを形成する。コアスートプリフォーム8の固結は焼結を含み、また乾燥及び/又はドープといった他のプロセスステップを含んでよい。コアスートプリフォーム8の固結は、本明細書に記載の方法に適合するいずれの好適な又は望ましいプロセス又はパラメータを採用してよい。コアスートプリフォーム8の固結及び固結済みコアスートプリフォームのドロー形成に好適な装置は、当業者には公知である。
【0041】
スートクラッドモノリスを、コアケーンとは独立して形成する。スートクラッドモノリスを、コアケーンとは独立して形成することによって、コアケーンは、スートクラッドの堆積反応又は堆積後加工における反応物又は副産物として存在する水に曝露されない。これはコアケーンの再湿潤化を防止し、ファイバプリフォームの、及びプリフォームからドロー形成されたファイバ中の、ヒドロキシル含有量の削減につながる。結果として、ヒドロキシル吸収による1380nmにおける減衰が大幅に低減される。
【0042】
スートクラッドモノリスは、シリカスート又はドープシリカスートの1つ以上の層を基材上に堆積させ、上記基材を除去してスートクラッドモノリスを提供することによって形成してよい。上記基材は、ベイトロッドであってよい。クラッドスート(又はその層)は、純粋なシリカ、又はドープシリカ(例えば、ゲルマニア、ホウ素、フッ素、アルミニウム、チタン、リン及び/若しくは塩素を含むがこれらに限定されない、1つ若しくは複数の好適なドーパントでドープされたシリカ)で形成してよい。上述のように、クラッドスートは、ドープ及び屈折率が異なる複数の層を含んでよく、これにより、
図2A及び2Bに示されているもののような、複数のクラッド領域を含むファイバ屈折率プロファイルがもたらされる。
【0043】
以下の議論では、3つの多孔性スートクラッド層を有するスートクラッド層の製作について記載する。しかしながら、概説される手順は、いずれの数の多孔性スートクラッド層を有するスートクラッドモノリスに広く適用可能であることを認識されたい。
【0044】
図4は、ベイトロッド120上のシリカ系スート層112の堆積を示す。シリカ系ガラススートは、SiCl
4又はオクタメチルシクロテトラシロキサン(OMCTS)といった気相シリカ系ガラス前駆体材料をバーナ122に供給することによって形成される。ガスを供給されたバーナ122に、H
2、CH
4、D
2(重水素)、CD
4又はCO等の燃料を提供する。バーナ122に酸素も供給し、燃料及び酸素を燃焼させて、火炎126を生成する。いくつかの実施形態では、気相シリカ系ガラス前駆体材料はSiCl
4であり、ガスを供給されたバーナ122には、堆積させたシリカ系ガラススート中の残留OHの量を制限するために、D
2、CD
4又はCOといった非水素化燃料を供給する。気相シリカ系ガラス前駆体材料は、約4L/分〜約10L/分の流量でバーナへと送達してよく、燃料は、約10L/分〜約40L/分の流量でバーナに供給してよい。
【0045】
気相シリカ系ガラス前駆体材料は、火炎126中で反応して、シリカ系ガラススート128を産生し、これは、ベイトロッドが回転するに従って、ベイトロッド120上にスート層112として堆積される。回転速度は、約20rpm〜約400rpm、又は30rpm〜約100rpmであってよい。スート層112は、非ドープシリカと同一の、非ドープシリカより高い、又は非ドープシリカより低い屈折率を有してよい。高い又は低い屈折率は、アップドーパント又はダウンドーパント前駆体をバーナ122に供給することによって達成できる。スート層112は、単層スートクラッドモノリスを構成してよく、又は多層スートクラッドモノリスの最内(最小半径)層を構成してよい。ガスを供給されたバーナ122の火炎126は、ベイトロッドが回転するに従って、矢印124で示されるようなベイトロッド120の軸方向長さに沿って前後に横断し、これにより、シリカ系ガラススートが構成され、ベイトロッド120上にスート層112が形成される。
【0046】
図5は、スート層112上のスート層116の堆積を示す。スート層116は、スート層112と同様の方法で形成できる。例えば、SiCl
4又はOMCTSといった気相シリカ系ガラス前駆体材料をバーナ122に供給し、火炎126中で反応させて、シリカ系ガラススートを形成でき、これは、ベイトロッドが回転するに従ってスート層112上にスート層116として堆積される。スート層116は、スート層112と同一の、スート層112より高い、又はスート層112より低い屈折率を有してよい。
図2Aの2層クラッド領域を有するファイバのドロー形成を可能とするプリフォームを達成するためには、例えばスート層112をアップドープシリカとしてよく、またスート層116をアップドープシリカとしてよい。スート層116は、2層スートクラッドモノリスの外側層、又は3つ以上の層を有するスートクラッドモノリスの中間層を構成してよい。
【0047】
図6は、スート層116上のスート層114の堆積を示す。スート層114は、スート層112又はスート層116と同様の方法で形成できる。例えば、SiCl
4又はオクタメチルシクロテトラシロキサン(OMCTS)といった気相シリカ系ガラス前駆体材料をバーナ122に供給し、火炎126中で反応させて、シリカ系ガラススートを形成でき、これは、ベイトロッドが回転するに従ってスート層116上にスート層114として堆積される。スート層114は、スート層116若しくはスート層112と同一の、スート層116若しくはスート層112より高い、又はスート層116若しくはスート層112より低い屈折率を有してよい。
図2Bの3層クラッド領域を有するファイバのドロー形成を可能とするプリフォームを達成するためには、例えばスート層112をアップドープシリカとしてよく、スート層116をダウンドープシリカとしてよく、またスート層114をアップドープシリカとしてよい。スート層114は、3層スートクラッドモノリスの外側層、又は4つ以上の層を有するスートクラッドモノリスの中間層を構成してよい。追加の層を同様に堆積させることによって、いずれの所望の数の層を有するスートクラッドモノリスを得ることができる。
【0048】
多層スートクラッドモノリスの異なる複数の層を形成するために使用されるプロセス条件は、同一であっても異なっていてもよい。プロセス変数としては、火炎温度、ケイ素又はドーパントのための前駆体の流量、ベイト基材の長さに沿ったバーナの横断速度、及びベイト基材の回転速度が挙げられる。プロセス条件の変動によって、スートの堆積速度、及び堆積させたままの状態でのスートの密度を制御できる。火炎温度は、1500℃以上であってよい。火炎温度が高いほど、堆積させたままのスートの密度を高くすることができる。反対に、火炎温度が低いほど、堆積させたままのスートの密度は低くなる。
【0049】
スート密度は、ベイト基材に沿ったバーナの横断の速度によっても影響され得る。火炎の横断速度は、0.1cm/秒超、又は0.25cm/秒超、又は0.5cm/秒超、又は1cm/秒超、又は2cm/秒超、又は3cm/秒超であってよい。横断速度がより速いと、堆積させたままの状態において密度がより低く、より多孔性のスート層がもたらされ得る。反対に、横断速度がより遅いと、堆積させたままの状態において密度がより高く、多孔性がより低いスート層がもたらされ得る。堆積させたままの状態のスート層の密度は、1.0g/cm
3未満、又は0.8g/cm
3未満、又は0.6g/cm
3未満、又は0.5g/cm
3未満であってよい。堆積させたままの状態のスート層の密度は、1.0g/cm
3超、又は1.25g/cm
3超、又は1.5g/cm
3超、又は1.75g/cm
3超、又は2.0g/cm
3超であってよい。
【0050】
堆積させたままの状態のスート層密度は、バーナへのスート前駆体の送達速度によっても影響され得る。シリカ系スート前駆体の流量は、0.1L/分〜20L/分の範囲内であってよい。流量が低いほど、堆積させたままの状態において密度がより高いスート層の形成が促進される。反対に、流量が高いほど、堆積させたままの状態において密度がより低いスート層の形成が促進される。
【0051】
堆積させたままの状態のスート層密度は、スート堆積中のベイトロッドの回転速度によっても影響され得る。ベイトロッドの回転速度を低下させることにより、堆積させたままの状態のスート層の密度の上昇を支援できる。反対に、ベイトロッドの回転速度を増大させることにより、堆積させたままの状態のスート層の密度の低下を支援できる。
【0052】
一実施形態では、スートクラッドモノリスは2つのスート層を含み、ここで外側層は、内側層よりも高い密度を有する。別の実施形態では、スートクラッドモノリスは3つのスート層を含み、ここで中間スート層は、内側スート層と外側スート層との間に位置決めされ、上記中間スート層は、上記内側スート層よりも高い密度を有する。更に別の実施形態では、スートクラッドモノリスは4つ以上のスート層を含み、ここで2つ以上の中間スート層が、内側スート層と外側スート層との間に位置決めされ、上記中間スート層のうちの少なくとも1つは、上記内側スート層よりも高い密度を有する。
【0053】
所望の数及びタイプのスートクラッド層を堆積させた後、ベイトロッドを除去して、スートクラッドモノリスを提供する。ベイトロッドが占有していた空間は、スートクラッドモノリスの内部キャビティを形成する。
【0054】
ケース・イン・スートプロセスでは、コアケーンをスートクラッドモノリスの内部キャビティに挿入して、コア‐クラッド組立体を形成する。
【0055】
図7は、固結炉130内へのスートクラッドモノリス110の配置を示す。スートクラッドモノリス110は、ベイトロッド120を除去した後の、
図6に示す3層スート構造体に対応し、上述のように一連の同心スート層112、116及び114を含む。スートクラッドモノリス110は更に、内部キャビティ118を含む。
図7の実施形態では、内部キャビティ118は、スートクラッドモノリス110の全長を通って延在する。他の実施形態では、内部キャビティ118はスートクラッドモノリス110内に、部分的にのみ延在する。高密度化されたコアケーン102を内部キャビティ118に挿入して、コア‐クラッド組立体を形成する。コア‐クラッド組立体は、コアケーン102の外側表面とスートクラッド層112の内側表面との間に間隙を含む。コア‐クラッド組立体を、固結炉130内で加工する。
【0056】
コア‐クラッド組立体を、本明細書に記載の方法に従って加工して、光ファイバプリフォームを形成する。上述のように、この加工は固結を含み、コア‐クラッド組立体の1つ以上の多孔性スートクラッド層のスート‐ガラス変換を実施する。加工は、予備加熱ステップ、中間加熱ステップ、及び焼結ステップを含んでよく、ここで上記予備加熱ステップ、中間加熱ステップ、及び焼結ステップのうちの1つ以上は、還元剤によるスートクラッドプリフォームの処理を含んでよい。スートクラッドプリフォームの加工は、乾燥ステップ及びドープステップも含んでよい。
【0057】
加工が乾燥ステップを含む実施形態では、コア‐クラッド組立体を乾燥剤で処理する。この乾燥ステップは、約800℃〜1300℃の温度で実施してよく、上述の予備加熱ステップ及び中間加熱ステップのうちの一方又は両方を含む。乾燥剤は、コア‐クラッド組立体の多孔性スートクラッド層の細孔に浸透して、水又はOH基と反応し、多孔性スートクラッド層から水及びOH基を除去する。乾燥剤は、多孔性スートクラッド層中に存在し得る遷移金属又は他の不純物も除去できる。
【0058】
図7を参照すると、乾燥剤は、流路132によって示されるように、コアケーン102の外側表面とスートクラッド層112の内側表面との間の間隙に入ることができる。乾燥剤は、スート層112、116及び114内の細孔にも入ることができ、また流路134によって示されるように、スートクラッド層114の外側表面を取り囲む、又は上記外側表面の周りを通過することもできる。コア‐クラッド組立体を通った、及び/又はコア‐クラッド組立体の周りの、乾燥剤の流量は、約1L/分〜約40L/分の範囲内であってよい。コア‐クラッド組立体は、脱水中に加熱してよい。加熱は乾燥剤の作用を更に進めることができ、ヒドロキシル及び水の除去を促進できる。
【0059】
脱水の温度は、約500℃〜約1300℃の範囲内としてよく、脱水の時間は、30分〜10時間の範囲内としてよい。脱水の温度は好ましくは、コア‐クラッド組立体のスートクラッドモノリス構成成分の焼結を開始するために必要な温度未満である。スートクラッドモノリスの不十分な焼結は、細孔を閉鎖し、スートクラッドモノリスの内部への脱水剤のアクセスをブロックすることにより、ヒドロキシル及び水の除去を阻害する。乾燥剤は、脱水が完了するとすぐに、スートクラッドモノリス及び/又はコア‐クラッド組立体を取り囲む環境から除去してよい。
【0060】
好適な乾燥剤は、Cl
2、SiCl
4、GeCl
4、SOCl
2及び/又はPOCl
3といった塩素含有ガスを含む。乾燥剤は任意に、He、Ar、Ne及び/又はN
2といった不活性ガス中で希釈してよい。一実施形態では、脱水ガスは、ヘリウムガス中の2%〜6%の塩素ガスの混合物を含む。いくつかの実施形態では、乾燥ガスは、約5体積%未満の塩素、例えば約0.01〜3.0体積%の塩素を含有する。
【0061】
いくつかの実施形態では、加工はドープステップを含んでよく、上記ドープステップでは、コア‐クラッド組立体をドーパント前駆体に曝露する。一実施形態では、ドープは、スート‐ガラス変形プロセスの予備加熱ステップ中に実施される。別の実施形態では、ドープは、中間加熱ステップ中に実施される。更に別の実施形態では、ドープは、スート‐ガラス変形プロセスの焼結ステップ中に実施される。ドープは好ましくは、コア‐クラッド組立体のクラッド層が、ドーパント又はドープ前駆体の拡散又は浸透が可能となるよう十分に多孔性である間に行われる。一実施形態では、ドープは、脱水後かつ焼結前に行われる。
【0062】
一実施形態では、ドープは、コア‐クラッド組立体内のコアケーンの外側表面とスートクラッドモノリスの内側表面との間の流路にドープ前駆体を供給することによって達成される。例えば、ドープ前駆体を、
図7に示す流路132に供給してよい。別の実施形態では、ドープは、コア‐クラッド組立体のスートクラッドモノリス構成成分の外側スート層の外側表面に隣接する流路にドープ前駆体を供給することによって達成される。例えば、ドープ前駆体を、
図7に示す流路134に供給してよい。
【0063】
ドープ前駆体を、コア‐クラッド組立体のスートクラッドモノリス構成成分の多孔性スート層に供給すると、ドープ前駆体は細孔に入って、スート層の表面へ、及び/又はスート層の内部全体にわたって、ドーパントを送達できる。ドープは、コア‐クラッド組立体のスートクラッドモノリス部分の複数の層において行うことができる。
【0064】
コア‐クラッド組立体の焼結は、脱水後に行ってよい。乾燥剤及び/又はドーパント前駆体は、焼結の開始前に、コア‐クラッド組立体の雰囲気から除去してよい。
【0065】
上記焼結は、スートクラッドモノリスを固結させ、スートクラッドモノリスとコアケーンとを融合させて、固結済みファイバプリフォームを形成できる。焼結中、スートクラッドモノリスの細孔が収縮し、スートクラッドモノリスが収縮してコアケーンに付着するため、高密度化が起こる。焼結温度は、少なくとも1300℃、又は少なくとも1350℃、又は少なくとも1400℃、又は少なくとも1450℃、又は少なくとも1500℃であってよい。焼結温度が高いほど、焼結の時間が削減される。
【0066】
焼結は、固結炉内での焼結を誘発するために十分な温度の高温領域を形成して、コア‐クラッド組立体を、温度が1400℃〜約1500℃の範囲であってよい炉内の熱サイクルに曝露することにより、固結炉内で達成できる。コア‐クラッド組立体を焼結することにより、光ファイバプリフォームが製造される。
図8は、
図7のコア‐クラッド組立体を焼結することによって形成された、光ファイバプリフォーム100を示す。上記光ファイバプリフォームは、1つ以上の同心クラッド領域で取り囲まれた、1つ以上の同心領域を有する中心コアを有する、ガラスの中実片である。
【0067】
光ファイバを、光ファイバプリフォームからドロー形成できる。固結済みガラスプリフォームから光ファイバをドロー形成するための好適な技法及び装置は、当業者には公知である。上記固結済み光ファイバプリフォームの固結済みガラスコアは、光ファイバのコア(又はコアの一部)を形成することになり、上記固結済み光ファイバプリフォームの固結済みクラッド層は、光ファイバのクラッド部分を形成することになることが理解されるだろう。
【0068】
ケーン・イン・スートプロセスで調製された光ファイバプリフォームの点検により、ドロー中にプリフォームの破損につながり得る欠陥の存在が明らかになっている。欠陥は割れを含み、これは、ファイバドロー形成のためにプリフォームを溶融するために必要な温度までの再加熱プロセスの早期における、光ファイバプリフォームの破断につながり得る。上述のように、ケース・イン・スートプロセスを用いた光ファイバプリフォームの製作は、高温でのコア‐クラッド組立体の固結を含む。固結プロセスで形成された光ファイバプリフォームは室温まで冷却され、ファイバドロー形成の時まで保管される。
【0069】
理論によって束縛されることを望むものではないが、固結温度から室温(又は他の比較的低い温度)への光ファイバプリフォームの冷却が、光ファイバプリフォーム中の欠陥の形成につながると考えられる。更に、欠陥は、コアケーン及びスートクラッドモノリスの熱膨張係数の差異から発生する応力に起因するものと考えられる。上述のように、コアケーンは典型的にはアップドープシリカから形成され、クラッドは典型的には、非ドープシリカ、又は非ドープシリカとダウンドープシリカとの組み合わせから形成される。コアケーン及びスートクラッドモノリスに使用される材料間に存在する組成の差異は、熱膨張係数の差異を含意しており、これは、固結後の冷却中の、光ファイバプリフォームのコア及びクラッド領域の収縮の速度又は程度の差異につながる。熱収縮の差異は、冷却中に、コアケーンとスートクラッドモノリスとの間の界面に、応力を生成する。上記応力は、割れ又は微小割れ等の欠陥を光ファイバプリフォーム内に形成するために十分なものであると考えられる。
【0070】
冷却誘発型(cooling‐induced)欠陥の形成は、ケース・イン・スートプロセスにおいて、コア‐クラッド比が大きいコアケーンを用いて光ファイバプリフォームを形成する際に特に見られると予想される。コア‐クラッド比が大きいコアケーンでは、アップドープ(高屈折率)領域の半径は、コアケーンの総半径の有意な部分を占める。アップドープ領域の径方向範囲が大きいと、アップドープ領域の境界が、組成が一致しないスートクラッド組立体の付近に位置決めされ、冷却中の光ファイバプリフォームのコア及びクラッド領域の収縮の差異から発生する応力が増大する。例えばコア‐クラッド比が1である場合、コアはクラッドに直接隣接し、コアケーンとクラッドとの間の熱膨張係数の差異が最もよく現れる。対照的に、コア‐クラッド比が小さいコアケーンを使用する場合、アップドープ領域は、コアケーンとスートクラッドモノリスとの間の界面から除去され、クラッドの熱膨張係数にかなり一致する非ドープ材料で取り囲まれる。その結果、収縮によって発生する熱応力は比較的現れず、冷却時に形成される欠陥が少なくなる。
【0071】
図9(a)〜(c)は、平坦な端部表面を有するコアケーンを用いてケース・イン・スートプロセスから形成された、光ファイバプリフォームを示す。
図9(a)は、光ファイバプリフォーム140を示す概略図である。光ファイバプリフォーム140は、コアケーン145と、金属ハンドル155で支持された固結済みクラッド150とを含み、この金属ハンドル155は、末端点151まで延在する。ハンドル155は、固結済みクラッド150の内部キャビティ157への入口153を通過する。コアケーン145は内部キャビティ157内に位置し、内部キャビティ157の入口153に対面する平坦な端部表面147を含む概ね円筒形の形状を有する。端部表面147とハンドル155の末端点151との間のヘッドスペースは、加工環境に存在する空気及び/又は気体に占有される。ジャンクション159は、固結済みクラッド150と、コアケーン145と、ヘッドスペース149に存在する気体との間の3方向界面を構成する。
【0072】
図9(b)及び9(c)は、
図9(a)に示されている概略図と同一の光ファイバプリフォームの図を示す。プリフォームはケース・イン・スートプロセスで調製した。
図9(b)に示す図は、固結後かつ冷却前の、昇温(1050℃)時のプリフォームの画像である。
図9(b)に示す画像は、冷却前、プリフォーム内に明らかな濃度の欠陥が存在しないことを示す。
図9(c)に示す画像は、室温まで冷却した後のプリフォームの画像である。
図9(c)に示す画像は、冷却済みのプリフォーム中に欠陥(例えばチェック欠陥(check defect)又は「チェック(check)」)が存在することを示す。チェック欠陥を有する光ファイバプリフォームを、ファイバのドロー形成のためにドロー形成温度まで再加熱すると、光ファイバプリフォームは、欠陥から発生する剪断、割れの伝播又は他の力によって破断し得る。破断は光ファイバプリフォームの破損につながり、ドロー形成プロセスの中断を必要とする。
【0073】
光ファイバプリフォームの冷却中に進展する欠陥の原因は、プリフォームのコア及びクラッド領域の熱膨張係数の不一致によるものであると考えられる。上述のように、コアは典型的にはアップドープシリカ材料であり、クラッドは典型的には、非ドープシリカ又は非ドープシリカとダウンドープシリカとの組み合わせである。Geは、コア領域のための一般的なアップドーパントであり、GeドープSiO
2の熱膨張係数は、非ドープシリカ又はダウンドープシリカの熱膨張係数より有意に高いことが知られている。
図10は、Geドープシリカ、非ドープシリカ及びFドープシリカに関する相対屈折率Δ%の関数として、100℃〜500℃の温度間隔に亘る平均熱膨張係数を示すα
100-500を示す。相対屈折率Δ%は、非ドープシリカに対する屈折率の尺度であり、ドープ濃度に比例する。正の値のΔ%はシリカのアップドープ形態を意味し、負の値のΔ%はシリカのダウンドープ形態を意味し、Δ%=0は非ドープシリカに対応する。
図10のために、Geをアップドーパントとして含め、Fをダウンドーパントとして含める。
図10は、Geドープシリカの熱膨張係数が、Geドープ濃度の上昇と共に増大し、非ドープシリカ及びFドープシリカ両方の熱膨張係数より高いことを示す。
【0074】
Geドープシリカについて、熱膨張係数(CTE)(単位:1/℃)及びΔ%は:
【0078】
によって、GeO
2濃度[GeO
2](単位:重量%)に関連付けられる。
【0079】
図11は、Geドープシリカコア及び非ドープシリカクラッドを有する光ファイバプリフォームの、等式2から算出された、室温での熱膨張係数の、半径に対する依存を示す。Geドープシリカコアは、半径5mm及びコア‐クラッド比0.9である。Geドーパント分布は、コアの中線位置(r=0)において6.5重量%のピークドーパント濃度を有し、r=4.5mmまで略平坦のままである、段階的屈折率プロファイルに従った。クラッドは、内径5mm及び外径65mmの非ドープシリカであった。クラッドはコアと直接的に接触していた。
図11は、熱膨張係数が、プリフォームのクラッド領域よりもコア領域において有意に高いことを示す。コア領域のピーク熱膨張係数は8.42×10
7/℃であり、一方非ドープシリカの熱膨張係数は5.05×10
7/℃である。Geの濃度は、コア領域の半径と共に減少するが、コアの径方向外側部分の熱膨張係数は、非ドープシリカの熱膨張係数より明らかに高いままである。
【0080】
図12は、室温への冷却後に、ケーン・イン・スートプロセスで作製した固結済みプリフォームの端部210において算出された径方向引張応力分布を示す。端部210は、コアケーンの上部境界215付近の部分である。端部210は、コアケーン220及びクラッド240を含む。コアケーン220は円筒形であり、直径230が10mmである。コアケーン220は、GeO
2をドープしたシリカから作製され、コア‐クラッド比は0.9である。GeO
2のドーププロファイルは、コアの中線位置(r=0)において6.5重量%のピークドーパント濃度を有し、r=4.5mmまで略平坦のままである、段階的な屈折率である。GeO
2-ドープシリカのコアケーンの熱膨張係数は、ドープ濃度の上昇と共に増大する。コアケーン220のピーク熱膨張係数は、中線(r=0)位置における7.97×10
7/℃であり、r=4.5mmまで略平坦のままであり、その後r=4.5mmで5.05×10
7/℃まで低下する。クラッド240は非ドープシリカから作製され、内径が5mm、外径が65mmであった。クラッド240の、コアケーン220付近の部分のみを
図12に示す。クラッド240は環状であり、コアケーン220を取り囲む。クラッド240の熱膨張係数は5.05×10
7/℃である。端部210はまた、占有されていない空間250を含み、これにより、プリフォームの形成中にコアケーン220が軸方向に膨張できる。
【0081】
固結中のプリフォームの冷却中に進展する径方向引張応力を
図12に示す。暗色の領域は、径方向引張応力が低い領域であり、明色の領域は、径方向引張応力が高い領域である。径方向引張応力が高い領域は、コアケーン220の中心のドープ部分、並びに円で囲まれたコーナ領域225及び235に存在する。コアケーン220のドープされていない径方向外側部分は、低い径方向引張応力を呈する。コーナ領域225及び235は、コアケーン220と、クラッド240と、占有されていない空間250内の上方の気体との間の界面のジャンクションに存在する。上方の気体は、空気、プロセスガス、不活性ガス又は他の気体であってよい。コーナ領域225及び235に存在する高い径方向引張応力は、プリフォーム内に欠陥をもたらすと考えられ、これは、ドロー形成温度への再加熱時に破断を引き起こす。
【0082】
図13は、
図12に示したプリフォームに関するコーナ半径の関数として、算出されたプリフォームのコーナ領域における径方向引張応力を示す。コーナ半径は、コアケーン220からクラッド240への遷移領域における端部210の表面の形状の尺度である。大きなコーナ半径は、コアケーン220からクラッド240への界面を横断する、スムーズで漸進的な遷移に対応し、その一方で小さなコーナ半径は、コアケーン220からクラッド240への界面を横断する、急峻で比較的不連続な遷移を意味する。
図13は、径方向引張応力が、コーナ半径の増大と共に減少することを示している。プリフォームの製造時に典型的に使用される固結温度からの冷却速度の下では、プリフォームのコーナ半径は0.1mm未満であり、0.01mm未満である場合もある。従って、コーナ領域における径方向引張応力は高く、プリフォーム中の割れ又は他の欠陥の形成を誘発するのに十分な大きさであると思われる。
図14は、欠陥を有するコーナ領域(円で囲まれた領域)を有する、Geドープシリカコアケーンの図である。
【0083】
本開示は、ケース・イン・スートプロセスで作製された固結済みプリフォームの1つ以上のコーナ領域における径方向引張応力を最小化するための戦略を提供する。この戦略は、1つ以上のコーナ領域へのキャップの配置を含み、ここでキャッピング材料は、コアケーンの熱膨張係数より小さい熱膨張係数を有する。一実施形態では、コアケーンの熱膨張係数はクラッドの熱膨張係数より大きく、一方キャップの熱膨張係数は、コアケーンの熱膨張係数より小さく、かつクラッドの熱膨張係数より大きい。別の実施形態では、コアケーンの熱膨張係数は、クラッドの熱膨張係数より大きく、一方キャップの熱膨張係数は、クラッドの熱膨張係数と等しい。更に別の実施形態では、コアケーンの熱膨張係数はクラッドの熱膨張係数より小さく、一方キャップの熱膨張係数は、コアケーンの熱膨張係数より大きく、かつクラッドの熱膨張係数より小さい。別の実施形態では、コアケーンの熱膨張係数は、クラッドの熱膨張係数より小さく、一方キャップの熱膨張係数は、クラッドの熱膨張係数と等しい。
【0084】
コアケーンをスートクラッドモノリスの内部キャビティに挿入してコア‐クラッド組立体を形成する前又は後に、1つ以上のキャップをコアケーンと一体化してよい。一体化された1つ以上のキャップは、コアケーンに直接的に接触してよく、コアケーンにしっかりと接合されていてよく、又はコアケーンに間接的に接触してよい。一実施形態では、キャップは、コアケーンの製造中にコアケーンの端部に形成され、ケース・イン・スートプロセスにおいて、キャッピング済みコアケーンをスートクラッドモノリスの内部キャビティに挿入する。
キャップは、コアケーンの1つ以上の端部表面への直接堆積によって、又はコアケーンをスートクラッドモノリスと一体化してコア‐クラッド組立体を形成する前に、独立して形成されたキャップをコアケーン上に融着することによって、コアケーン上に形成してよい。コアケーンは、2つ以上の端部においてキャッピングしてよい。一実施形態では、コアケーンは円筒形であり、一方又は両方の端部表面においてキャッピングされる。2つ以上のキャップをコアケーンと一体化する場合、これらのキャップは、同一の若しくは異なる組成、並びに/又は同一の若しくは異なるサイズ、形状及び/若しくは熱膨張係数を有してよい。
【0085】
別の実施形態では、キャッピングされていないコアケーンをスートクラッドモノリスの内部キャビティに挿入し、1つ以上のキャップも内部キャビティ内に配置する。1つ以上のキャップは、コアケーンの1つ以上の端部表面上に直接配置してよい。あるいは、キャップを保持するため、又はプリフォームの形成プロセスにおけるコア‐クラッド組立体の固結中にキャップとコアケーンとの一体化を促進するために、コアケーンの端部表面とキャップとの間に介在材料を配置してよい。介在材料は、フラックス材料又は接着材料であってよく、コアケーン及びキャッピング材料のうちの一方又は両方の組成と同一の又は異なる組成を有してよい。介在材料は、固結されていてもいなくてもよい。一実施形態では、介在材料は、未固結SiO
2スート粉体である。別の実施形態では、介在材料はSiO
2スートペレットである。キャップとコアケーンとの融着及び一体化は、ケース・イン・スートプロセスにおけるコア‐クラッド組立体からのプリフォームの形成中に発生する加熱プロセス中に行われる。一実施形態では、キャップとコアケーンとの融着及び一体化は、ケース・イン・スートプロセスの焼結及び/又は固結プロセス中に行われる。
【0086】
図15は、キャッピング済みコアケーン300を断面図で示す。キャッピング済みコアケーン300は、コアケーン310、並びにキャップ305及び315を含む。コアケーン310は円筒形であり、キャップ305及び315は、コアケーン310の端部表面に位置決めされる。
図15の実施形態では、キャップ305及び315は、端部表面上に直接形成される。あるいは、キャップ305とコアケーン310との間、及び/又はキャップ315とコアケーン310との間に、介在材料(図示せず)を位置決めしてよい。キャップ305及び315は、コアケーン310と直接的に接触する。キャップ305及び315は、コアケーン310にしっかりと接合されていてよい。
【0087】
図16は、コアケーン310、キャップ305及びキャップ315からの、キャッピング済みコアケーン300の組み立てを示す。この実施形態では、コアケーン310、キャップ305及びキャップ315は独立して形成され、組み合わされてキャッピング済みコアケーン300が形成される。キャップ305とコアケーン310との間、及び/又はキャップ315とコアケーン310との間に、介在材料(図示せず)を位置決めしてよい。
【0088】
図17は、コア‐クラッド組立体の形成を示す。キャッピング済みコアケーン300を、スートクラッドモノリス330の内部キャビティ325に挿入して、コア‐クラッド組立体335を形成する。スートクラッドモノリス330及びコア‐クラッド組立体335は断面図で示されている。スートクラッドモノリス330は、環状の多孔性スート領域320内に内部キャビティ325を含む。キャッピング済みコアケーン300は例えば、
図15及び16に関連して上述した方法によって形成できる。上述のように、コアケーン310の端部表面とキャップ305との間、及び/又はコアケーン310の端部表面とキャップ315との間に、介在材料が含まれていてよい。
【0089】
図18は、コア‐クラッド組立体335を形成するための代替的な方法を示す。コアケーン310を、スートクラッドモノリス330の内部キャビティ325に挿入する。次にキャップ305及び315を、コアケーン310の端部表面に隣接して、内部キャビティ325に挿入し、コア‐クラッド組立体335を形成する。上述のように、コアケーン310の端部表面とキャップ305との間、及び/又はコアケーン310の端部表面とキャップ315との間に、介在材料が含まれていてよい。
【0090】
図19は、プリフォーム345を形成するための、コア‐クラッド組立体335の固結を示す。プリフォーム345は、内部キャビティ325内にキャップ305及び315を有するコアケーン310を含む。内部キャビティ325は、環状の固結済みスート領域340で取り囲まれる。固結済みスート領域340は、完全に高密度化されたガラスである。上述のように、コアケーン310の端部表面とキャップ305との間、及び/又はコアケーン310の端部表面とキャップ315との間に、介在材料が含まれていてよい。
【0091】
1つ以上のキャップは、コアケーンの断面寸法に概ね対応する断面寸法を有してよい。例えばコアケーンが円筒形である場合、コアケーンの断面寸法は直径であり、1つ以上のキャップは、コアケーンの直径に一致するか又は概ね一致する直径を有する円筒形であってよい。コアケーン及び/又は1つ以上のキャップの断面はまた、スートクラッドモノリスの内部キャビティの断面寸法にも概ね対応してよい。
【0092】
キャップの厚さは、キャップの断面寸法に対して垂直な方向である。本発明は予想外にも、
1つ以上のキャップによるプリフォーム中の欠陥の形成の抑制を、比較的薄い1つ以上のキャップを用いた場合でさえ達成できることを発見した。
図20は、キャップの高さ(厚さ)の関数として、ケース・イン・スートプロセスで作製されたプリフォームのコーナ領域(
図12に示すコーナ領域225及び235等)における径方向引張応力の算出された変動を示す。
図20に示されている算出の基礎は、SiO
2キャップを有するGeO
2ドープシリカコアケーンと、シリカスートクラッドモノリスとを有するコア‐クラッド組立体を固結させることによって形成した、プリフォームである。GeO
2ドープシリカコアケーンは、直径10mm及びコア‐クラッド比0.9であった。SiO
2は、GeO
2ドープシリカコアケーンの端部表面上に直接位置決めした。SiO
2キャップは、直径10mmであり、
図20に示すように様々な高さ(厚さ)を有していた。プリフォームのコーナ半径は0.2mmであった。
【0093】
図20に示されている結果は、径方向コーナ引張応力が、SiO
2キャップの高さ(厚さ)の増大と共に有意に減少することを示す。ゼロ高さ(厚さ)におけるデータ点は、キャッピングされていないコアケーンを有するプリフォームに対応する。SiO
2キャップを有しないプリフォームの径方向コーナ引張応力は、102MPaであった。径方向コーナ引張応力は高さ(厚さ)が1mm、2mm及び5mmのSiO
2キャップを含めることによって、それぞれ60MPa、51MPa及び17MPaまで減少した。径方向コーナ引張応力の減少により、固結プロセス中の冷却時にプリフォーム中に欠陥が形成される可能性が低減される。
【0094】
プリフォームのコーナ領域の径方向引張応力は、100MPa未満、又は80MPa未満、又は60MPa未満、又は30MPa未満、又は20MPa未満、又は10MPa未満、又は5MPa〜100MPa、又は5MPa〜80MPa、又は5MPa〜60MPa、又は5MPa〜30MPa、又は5MPa〜20MPa、又は10MPa〜60MPa、又は10MPa〜50MPa、又は10MPa〜40MPa、又は10MPa〜30MPa、又は10MPa〜20MPaであってよい。
【0095】
コアケーンに一体化されたキャップの高さ(厚さ)は、100mm未満、又は50mm未満、又は25mm未満、又は10mm未満、又は5mm未満、又は3mm未満、又は1mm未満、又は0.5mm〜100mmの範囲、又は1.0mm〜75mmの範囲、又は2.0mm〜60mmの範囲、又は5.0mm〜50mmの範囲、又は8.0mm〜40mmの範囲、又は10mm〜35mmの範囲であってよい。
【0096】
図21は、キャッピング済みコアケーンを含むコア‐クラッド組立体の固結によって作製されるプリフォームの図である。プリフォームの上端におけるコアケーン及びキャップの位置が記されている。コアケーンは、直径10mm及びコア‐クラッド比0.9のGeO
2ドープシリカであった。キャップは、直径10mm及び高さ(厚さ)2mmの非ドープシリカであった。キャップの上部表面には点線で印が付けられ、コーナ領域は円で囲まれている。この図は、コーナ領域が本質的に欠陥を含まないことを示している。
【0097】
図22は、5mm厚のSiO
2端部キャップでキャッピングされたGeO
2ドープシリカコアケーンを有するコア‐クラッド組立体を固結させることによって作製されたプリフォームの、算出された径方向引張応力を示す。プリフォーム360は、10mmである直径362を有するGeO
2ドープシリカコアケーン365と、シリカクラッド370と、高さ(厚さ)5mmのシリカ端部キャップ375とを含む。円で囲まれたコーナ領域380及び385は、占有されていない空間390の一部として示されている。径方向引張応力の大きさは着色によって示されており、暗色の着色は小さな径方向引張応力を意味し、明色の着色は大きな径方向引張応力を意味する。
図20に示す径方向引張応力プロファイルは、端部キャップ375を含めることによって、コーナ領域380及び385の径方向引張応力が、
図12に示されているキャッピングされていない類似物と比較して大幅に減少することを示している。大きな径方向引張応力は、コアケーン365の内部ドープ領域、及びコアケーン365の端部表面と端部キャップ375との間の界面に限定される。
【0098】
コアケーン上に1つ以上のキャップを含めることにより、コーナ領域380及び385に関連付けられたコア‐クラッド‐気体ジャンクションにおける径方向引張応力の進展が緩和され、従って(例えば
図21に示すように)プリフォーム内の欠陥の形成の可能性が低減される。直径10mm及びコア‐クラッド比0.9のGeO
2ドープシリカコアと、シリカクラッドとを有するコア‐クラッド組立体から固結されたプリフォームに関する論理モデルは、プリフォームの径方向コーナ引張応力が約80MPaであること、及びドロー形成中のプリフォームの破損の蓋然性(径方向コーナ引張応力が引き起こすプリフォーム内の欠陥による、ドロー形成中のプリフォームの剪断の蓋然性)が約90%であることを示している。このモデルから、径方向コーナ引張応力を約45MPaまで低減できること、及び1mm厚のSiO
2キャップを含むことによって、破損の蓋然性を約3%まで低減できることが予測される。2mm厚のSiO
2キャップを用いると、径方向コーナ引張応力は約32MPaまで低減され、破損の蓋然性は1%未満まで低減される。
【0099】
本開示から得られる径方向コーナ引張応力の低減により、固結プロセスにおけるプリフォームの冷却中に欠陥を大きく進展させることなく、コア‐クラッド比が大きいコアケーンからプリフォームを製造できる。コアのコア‐クラッド比は、0.30超、又は0.40超、又は0.50超、又は0.60超、又は0.70超、又は0.80超、又は0.85超、又は0.90超、又は0.95超、又は0.30〜1.0の範囲、又は0.60〜0.95の範囲、又は0.65〜0.95の範囲、又は0.70〜0.95の範囲、又は0.75〜0.95の範囲、又は0.80〜0.95の範囲、又は0.60〜0.90の範囲、又は0.65〜0.90の範囲、又は0.70〜0.90の範囲、又は0.75〜0.90の範囲、又は0.80〜0.90の範囲であってよい。
【0100】
そうでないことがはっきりと言明されていない限り、本明細書に記載のいずれの方法が、その複数のステップをある具体的な順序で実施することを要求するものとして解釈されることは、全く意図されていない。従って、方法クレームが、その複数のステップが従うべき順序を実際に記載していない場合、又はそうでなくても、請求項若しくは本説明中に、上記複数のステップがある具体的な順序に限定されることが具体的に言明されていない場合、いずれの特定の順序が推定されることは全く意図されていない。
【0101】
例示されている実施形態の精神又は範囲から逸脱することなく、様々な修正及び変形を実施できることは、当業者には明らかであろう。例示されている実施形態の精神及び実質を援用した、本開示の実施形態の修正、組み合わせ、部分的組み合わせ及び変形は、当業者に想起され得るため、本説明は、添付の請求項及びその均等物の範囲内の全てを含むものとして解釈されるものとする。
【0102】
以下、本発明の好ましい実施形態を項分け記載する。
【0103】
実施形態1
多孔性スートクラッドモノリスであって、上記多孔性スートクラッドモノリスは、内部キャビティを取り囲む第1の多孔性クラッドガラス層を含み、上記多孔性スートクラッドモノリスは、第1の熱膨張係数を有する第1の材料を含む、多孔性スートクラッドモノリス;
上記内部キャビティ内に位置決めされた部分を有する第1のガラス本体であって、上記第1のガラス本体は、第2の熱膨張係数を有する第2の材料を含み、上記第2の熱膨張係数は上記第1の熱膨張係数と異なる、第1のガラス本体;及び
上記内部キャビティ内に位置決めされた部分を有する第2のガラス本体であって、上記第2のガラス本体は、第3の熱膨張係数を有する第3の材料を含み、上記第3の熱膨張係数は上記第2の熱膨張係数と異なる、第2のガラス本体
を備える、コア‐クラッド組立体。
【0104】
実施形態2
上記第1の材料はシリカを含む、実施形態1に記載のコア‐クラッド組立体。
【0105】
実施形態3
上記第2の材料は、ドーパントを含有するシリカを含む、実施形態1又は2に記載のコア‐クラッド組立体。
【0106】
実施形態4
上記ドーパントはGeを含む、実施形態3に記載のコア‐クラッド組立体。
【0107】
実施形態5
上記第1のガラス本体は、少なくとも0.70のコア‐クラッド比を有する、実施形態1〜4のいずれか1つに記載のコア‐クラッド組立体。
【0108】
実施形態6
上記第1のガラス本体は、少なくとも0.90のコア‐クラッド比を有する、実施形態1〜4のいずれか1つに記載のコア‐クラッド組立体。
【0109】
実施形態7
上記第3の材料はシリカを含む、実施形態1〜6のいずれか1つに記載のコア‐クラッド組立体。
【0110】
実施形態8
上記第2の材料は、上記第1の材料より高い屈折率を有する、実施形態1〜7のいずれか1つに記載のコア‐クラッド組立体。
【0111】
実施形態9
上記第3の材料は、上記第2の材料より低い屈折率を有する、実施形態1〜8のいずれか1つに記載のコア‐クラッド組立体。
【0112】
実施形態10
上記第2の熱膨張係数は上記第1の熱膨張係数より大きい、実施形態1〜9のいずれか1つに記載のコア‐クラッド組立体。
【0113】
実施形態11
上記第2の熱膨張係数は上記第3の熱膨張係数より大きい、実施形態1〜10のいずれか1つに記載のコア‐クラッド組立体。
【0114】
実施形態12
上記第3の熱膨張係数は、上記第1の熱膨張係数以上である、実施形態11に記載のコア‐クラッド組立体。
【0115】
実施形態13
上記内部キャビティは更に、上記第1のガラス本体と上記第2のガラス本体との間に位置決めされた介在する材料を含む、実施形態1〜12のいずれか1つに記載のコア‐クラッド組立体。
【0116】
実施形態14
上記介在する材料はフラックスである、実施形態13に記載のコア‐クラッド組立体。
【0117】
実施形態15
上記第1のガラス本体及び上記第2のガラス本体は、上記内部キャビティ内で直接的に接触する、実施形態1〜14のいずれか1つに記載のコア‐クラッド組立体。
【0118】
実施形態16
上記第1のガラス本体及び上記第2のガラス本体は、上記内部キャビティ内でしっかりと接合される、実施形態15に記載のコア‐クラッド組立体。
【0119】
実施形態17
上記第1のガラス本体は、上記内部キャビティ内に完全に内包される、実施形態1〜16のいずれか1つに記載のコア‐クラッド組立体。
【0120】
実施形態18
上記第2のガラス本体は、上記内部キャビティ内に完全に内包される、実施形態17に記載のコア‐クラッド組立体。
【0121】
実施形態19
上記内部キャビティ内に位置決めされる第3のガラス本体を更に備え、
上記第3のガラス本体は、第4の熱膨張係数を有する第4の材料を含み、上記第4の熱膨張係数は上記第2の熱膨張係数と異なる、実施形態17又は18に記載のコア‐クラッド組立体。
【0122】
実施形態20
上記第1のガラス本体は、上記内部キャビティ内において上記第2のガラス本体及び上記第3のガラス本体に直接的に接触する、実施形態19に記載のコア‐クラッド組立体。
【0123】
実施形態21
上記第1のガラス本体は、上記内部キャビティ内において上記第2のガラス本体及び上記第3のガラス本体としっかりと接合される、実施形態19に記載のコア‐クラッド組立体。
【0124】
実施形態22
上記第2のガラス本体の厚さは50mm未満であり、上記第3のガラス本体の厚さは50mm未満である、実施形態19〜21のいずれか1つに記載のコア‐クラッド組立体。
【0125】
実施形態23
上記第2のガラス本体の厚さは1.0mm〜75mmであり、上記第3のガラス本体の厚さは1.0mm〜75mmである、実施形態19〜21のいずれか1つに記載のコア‐クラッド組立体。
【0126】
実施形態24
上記第2のガラス本体の厚さは50mm未満である、実施形態1〜21のいずれか1つに記載のコア‐クラッド組立体。
【0127】
実施形態25
上記第2のガラス本体の厚さは1.0mm〜75mmである、実施形態1〜21のいずれか1つに記載のコア‐クラッド組立体。
【0128】
実施形態26
実施形態1〜25のいずれか1つに記載のコア‐クラッド組立体を固結させることによって形成される、製品。
【0129】
実施形態27
光ファイバプリフォームであって、
上記光ファイバプリフォームは、クラッドで取り囲まれたキャッピング済みコアケーンを備え、
上記キャッピング済みコアケーンは、コアケーンの第1の端部表面と接触する第1のキャップを備え、
上記コアケーンはドープシリカを含み、かつ少なくとも0.7のコア‐クラッド比を有し、
上記プリフォームはコーナ領域を含み、
上記コーナ領域は、上記キャッピング済みコアケーンと、上記クラッドと、気体との間の界面を含み、
上記コーナ領域は、100MPa未満の径方向引張応力を有する、光ファイバプリフォーム。
【0130】
実施形態28
上記コアケーンはGeO
2ドープシリカを含む、実施形態27に記載の光ファイバプリフォーム。
【0131】
実施形態29
上記クラッドはシリカを含む、実施形態27又は28に記載の光ファイバプリフォーム。
【0132】
実施形態30
上記コアケーンは、少なくとも0.90のコア‐クラッド比を有する、実施形態27〜29のいずれか1つに記載の光ファイバプリフォーム。
【0133】
実施形態31
上記第1のキャップはシリカを含む、実施形態27〜30のいずれか1つに記載の光ファイバプリフォーム。
【0134】
実施形態32
上記コアケーンは、上記クラッドより高い熱膨張係数を有する、実施形態27〜31のいずれか1つに記載の光ファイバプリフォーム。
【0135】
実施形態33
上記コアケーンは、上記第1のキャップより高い熱膨張係数を有する、実施形態27〜32のいずれか1つに記載の光ファイバプリフォーム。
【0136】
実施形態34
上記第1のキャップは、上記クラッドの熱膨張係数以上の熱膨張係数を有する、実施形態27〜33のいずれか1つに記載の光ファイバプリフォーム。
【0137】
実施形態35
上記キャッピング済みコアケーンは、上記コアケーンと上記第1のキャップとの間に位置決めされた介在する材料を更に含む、実施形態27〜34のいずれか1つに記載の光ファイバプリフォーム。
【0138】
実施形態36
上記コアケーン及び上記第1のキャップは直接的に接触する、実施形態27〜34のいずれか1つに記載の光ファイバプリフォーム。
【0139】
実施形態37
上記キャッピング済みコアケーンは更に、上記コアケーンの第2の端部表面に接触する第2のキャップを備える、実施形態27〜36のいずれか1つに記載の光ファイバプリフォーム。
【0140】
実施形態38
上記第1のキャップの厚さは50mm未満であり、上記第2のキャップの厚さは50mm未満である、実施形態27〜37のいずれか1つに記載の光ファイバプリフォーム。
【0141】
実施形態39
上記第1のキャップの厚さは1.0mm〜75mmであり、上記第2のキャップの厚さは1.0mm〜75mmである、実施形態27〜37のいずれか1つに記載の光ファイバプリフォーム。
【0142】
実施形態40
上記第1のキャップの厚さは50mm未満である、実施形態27〜37のいずれか1つに記載の光ファイバプリフォーム。
【0143】
実施形態41
上記第1のキャップの厚さは1.0mm〜75mmである、実施形態27〜37のいずれか1つに記載の光ファイバプリフォーム。
【0144】
実施形態42
上記コーナ領域は、60MPa未満の径方向引張応力を有する、実施形態27〜41のいずれか1つに記載の光ファイバプリフォーム。
【0145】
実施形態43
上記コーナ領域は、30MPa未満の径方向引張応力を有する、実施形態27〜41のいずれか1つに記載の光ファイバプリフォーム。
【0146】
実施形態44
実施形態27〜43のいずれか1つに記載の光ファイバプリフォームからドロー形成された、光ファイバ。
【0147】
実施形態45
多孔性スートクラッドモノリスであって、上記スートクラッドモノリスは第1の多孔性ガラスクラッド層を含み、かつ内部キャビティを有する、多孔性スートクラッドモノリスを提供するステップ;及び
キャッピング済みコアケーンを上記内部キャビティに挿入して、コア‐クラッド組立体を形成するステップであって、上記キャッピング済みコアケーンは、コアケーンと接触する第1のキャップを含み、上記第1のキャップは、第1の熱膨張係数を有する第1の材料を含み、上記コアケーンは、第2の熱膨張係数を有する第2の材料を含み、上記第2の熱膨張係数は上記第1の熱膨張係数と異なる、ステップ
を含む、光ファイバの製造方法。
【0148】
実施形態46
上記第1の多孔性ガラスクラッド層はシリカを含む、実施形態45に記載の方法。
【0149】
実施形態47
上記第2の材料はドープシリカを含む、実施形態45又は46に記載の方法。
【0150】
実施形態48
上記ドープシリカはGeO
2ドープシリカを含む、実施形態45〜47のいずれか1つに記載の方法。
【0151】
実施形態49
上記コアケーンは、少なくとも0.7のコア‐クラッド比を有する、実施形態45〜47のいずれか1つに記載の方法。
【0152】
実施形態50
上記コアケーンは、少なくとも0.9のコア‐クラッド比を有する、実施形態45〜47のいずれか1つに記載の方法。
【0153】
実施形態51
上記第1の材料はシリカを含む、実施形態47〜50のいずれか1つに記載の方法。
【0154】
実施形態52
上記第2の熱膨張係数は、上記第1の熱膨張係数より高い、実施形態45〜51のいずれか1つに記載の方法。
【0155】
実施形態53
上記第1の熱膨張係数は、上記第1の多孔性ガラスクラッド層の熱膨張係数より大きい、実施形態52に記載の方法。
【0156】
実施形態54
上記コア‐クラッド組立体を加熱するステップを更に含む、実施形態45〜53のいずれか1つに記載の方法。
【0157】
実施形態55
上記加熱するステップは、上記コア‐クラッド組立体を焼結させる、実施形態54に記載の方法。
【0158】
実施形態56
上記加熱するステップは、上記コア‐クラッド組立体を固結させる、実施形態54に記載の方法。
【0159】
実施形態57
上記コア‐クラッド組立体からファイバをドロー形成するステップを更に含む、実施形態56に記載の方法。
【0160】
実施形態58
上記加熱するステップは、少なくとも900℃の温度で行われる、実施形態54に記載の方法。
【0161】
実施形態59
上記加熱するステップは、少なくとも1300℃の温度で行われる、実施形態54に記載の方法。
【0162】
実施形態60
上記コア‐クラッド組立体を乾燥剤に曝露するステップを更に含む、実施形態54〜59のいずれか1つに記載の方法。
【0163】
実施形態61
上記コア‐クラッド組立体を還元剤に曝露するステップを更に含む、実施形態54〜60のいずれか1つに記載の方法。
【0164】
実施形態62
上記キャッピング済みコアケーンは、上記コアケーンに接触する第2のキャップを含み、
上記第2のキャップは、第3の熱膨張係数を有する第3の材料を含み、上記第3の熱膨張係数は上記第2の熱膨張係数と異なる、実施形態45〜61のいずれか1つに記載の方法。
【0165】
実施形態63
上記コアケーンは、上記第1のキャップと上記第2のキャップとの間にある、実施形態62に記載の方法。
【0166】
実施形態64
上記第3の熱膨張係数は上記第2の熱膨張係数未満であり、
上記第1の熱膨張係数は上記第2の熱膨張係数未満である、実施形態63に記載の方法。
【0167】
実施形態65
上記第1のキャップは上記コアケーンに直接的に接触する、実施形態45〜64のいずれか1つに記載の方法。
【0168】
実施形態66
上記スートクラッドモノリスは第2の多孔性ガラスクラッド層を含み、
上記第2の多孔性ガラスクラッド層は上記第1の多孔性ガラスクラッド層を取り囲む、実施形態45〜65のいずれか1つに記載の方法。
【0169】
実施形態67
多孔性スートクラッドモノリスを提供するステップであって、上記スートクラッドモノリスは第1の多孔性ガラスクラッド層を含み、内部キャビティを有する、ステップ;
第1のキャップを上記内部キャビティに挿入するステップであって、上記第1のキャップは、第1の熱膨張係数を有する第1の材料を含む、ステップ;及び
コアケーンを上記内部キャビティに挿入するステップであって、上記コアケーンは、第2の熱膨張係数を有する第2の材料を含み、上記第2の熱膨張係数は上記第1の熱膨張係数と異なる、ステップ
を含む、光ファイバを製造する方法。
【0170】
実施形態68
上記第1の多孔性ガラスクラッド層はシリカを含む、実施形態67に記載の方法。
【0171】
実施形態69
上記第2の材料はドープシリカを含む、実施形態67又は68に記載の方法。
【0172】
実施形態70
上記ドープシリカはGeO
2ドープシリカを含む、実施形態いずれか1つ69に記載の方法。
【0173】
実施形態71
上記コアケーンは、少なくとも0.7のコア‐クラッド比を有する、実施形態67〜70のいずれか1つに記載の方法。
【0174】
実施形態72
上記コアケーンは、少なくとも0.9のコア‐クラッド比を有する、実施形態67〜70のいずれか1つに記載の方法。
【0175】
実施形態73
上記第1の材料はシリカを含む、実施形態67〜72のいずれか1つに記載の方法。
【0176】
実施形態74
上記第2の熱膨張係数は、上記第1の熱膨張係数より高い、実施形態67〜73のいずれか1つに記載の方法。
【0177】
実施形態75
上記第1の熱膨張係数は、上記第1の多孔性ガラスクラッド層の熱膨張係数より大きい、実施形態67〜74のいずれか1つに記載の方法。
【0178】
実施形態76
上記コア‐クラッド組立体を加熱するステップを更に含む、実施形態67〜75のいずれか1つに記載の方法。
【0179】
実施形態77
上記加熱するステップは、上記コア‐クラッド組立体を焼結させる、実施形態76に記載の方法。
【0180】
実施形態78
上記加熱するステップは、上記コア‐クラッド組立体を固結させる、実施形態76に記載の方法。
【0181】
実施形態79
上記コア‐クラッド組立体からファイバをドロー形成するステップを更に含む、実施形態78に記載の方法。
【0182】
実施形態80
上記加熱するステップは、少なくとも1300℃の温度で行われる、実施形態76に記載の方法。
【0183】
実施形態81
上記加熱するステップは、少なくとも1400℃の温度で行われる、実施形態76に記載の方法。
【0184】
実施形態82
上記コア‐クラッド組立体を乾燥剤に曝露するステップを更に含む、実施形態67〜81のいずれか1つに記載の方法。
【0185】
実施形態83
上記コア‐クラッド組立体を還元剤に曝露するステップを更に含む、実施形態67〜82のいずれか1つに記載の方法。
【0186】
実施形態84
第2のキャップを上記内部キャビティに挿入するステップを更に含み、
上記第2のキャップは、第3の熱膨張係数を有する第3の材料を含み、上記第3の熱膨張係数は上記第2の熱膨張係数と異なる、実施形態67〜83のいずれか1つに記載の方法。
【0187】
実施形態85
上記第1のキャップは、上記内部キャビティの第1の端部に挿入され、
上記第2のキャップは、上記内部キャビティの第2の端部に挿入される、実施形態84に記載の方法。
【0188】
実施形態86
上記コアケーンは、上記第1のキャップと上記第2のキャップとの間に挿入される、実施形態85に記載の方法。
【0189】
実施形態87
上記第3の熱膨張係数は上記第2の熱膨張係数未満であり、
上記第1の熱膨張係数は上記第2の熱膨張係数未満である、実施形態84〜86のいずれか1つに記載の方法。
【0190】
実施形態88
実施形態いずれか1つ実施形態 上記スートクラッドモノリスは第2の多孔性ガラスクラッド層を含み、
上記第2の多孔性ガラスクラッド層は上記第1の多孔性ガラスクラッド層を取り囲む、実施形態67〜87のいずれか1つに記載の方法。