特許第6964584号(P6964584)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6964584ばね支援保護ニードルキャップを有する薬剤注射デバイス
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6964584
(24)【登録日】2021年10月21日
(45)【発行日】2021年11月10日
(54)【発明の名称】ばね支援保護ニードルキャップを有する薬剤注射デバイス
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/32 20060101AFI20211028BHJP
   A61M 5/24 20060101ALI20211028BHJP
【FI】
   A61M5/32
   A61M5/24
【請求項の数】13
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2018-527135(P2018-527135)
(86)(22)【出願日】2016年11月21日
(65)【公表番号】特表2018-535042(P2018-535042A)
(43)【公表日】2018年11月29日
(86)【国際出願番号】EP2016078264
(87)【国際公開番号】WO2017089275
(87)【国際公開日】20170601
【審査請求日】2019年11月6日
(31)【優先権主張番号】15196695.9
(32)【優先日】2015年11月27日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】397056695
【氏名又は名称】サノフィ−アベンティス・ドイチュラント・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【弁理士】
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100140132
【弁理士】
【氏名又は名称】竹林 則幸
(72)【発明者】
【氏名】マルコ・シャーダー
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャエル・ヘルマー
(72)【発明者】
【氏名】ペーター・ノーバー
【審査官】 磯野 光司
(56)【参考文献】
【文献】 特表2014−503298(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 3/00−9/00
A61M 31/00
A61M 39/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬剤注射デバイスであって:
本体と;
本体に対して固定され、薬剤カートリッジを保持するように構成されている薬剤カートリッジホルダと;
針を支持し、本体に対して軸方向に可動であるニードルホルダと;
第1の予応力印加ばねを含む、デバイスの遠位端の回転可能キャップと、
少なくとも1つの起動要素とを含み、
ここで、第1の予応力印加ばねは、その近位端において板に取り付けられ、板はニードルホルダに当接し、キャップの回転により、板および第1の予応力印加ばねが解放され、それによって、板がニードルホルダをデバイスの近位端に向けて押す、前記薬剤注射デバイス。
【請求項2】
板には、その周縁面沿いに少なくとも1つの切り込みが位置し、切り込みおよび起動要素が回転可能に位置合わせされているときに、それぞれの少なくとも1つの起動要素が切り込みを通過できるように配置される、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
第1の予応力印加ばねの解放の後にキャップの回転に応答して解放されるように配置され、それによってキャップが軸方向の、本体から遠位方向に動く、第2の予応力印加ばねをさらに含む、請求項1〜2のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項4】
キャップは管状ニードルシールド要素を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項5】
案内要素および協働溝をさらに含み、ここで、キャップが案内要素と回転可能に位置合わせされるまでキャップが取り外されないように、案内要素および協働溝の一方はキャップ内に配置され、案内要素および協働溝の他方はデバイスの残りの部分に配置される、請求項1〜4のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項6】
キャップは、管状ニードルシールド要素を含み、案内要素は、キャップとの係合のために薬剤カートリッジホルダに従属し、溝は、案内要素を受けるために管状ニードルシールド要素の外面に設けられる、請求項5に記載のデバイス。
【請求項7】
溝は、周部および軸方向部を含む、請求項5または6に記載のデバイス。
【請求項8】
溝は、溝の残りの部分と比較して相対的に狭い部分を含む、請求項5〜7のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項9】
ニードルホルダは、薬剤カートリッジに固定されるように配置される、請求項1〜8のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項10】
ニードルホルダは、薬剤カートリッジのヘッドと協働するように配置されたリップを含む、請求項9に記載のデバイス。
【請求項11】
第1のばねは、つる巻きばねまたは波形ばねである、請求項1〜10のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項12】
薬剤カートリッジホルダは、貫通可能バリアを遠位端に有する薬剤カートリッジを含み、ニードルホルダの近位端に向かう軸方向運動により、針が薬剤カートリッジのバリアを穿孔する、請求項1〜11のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項13】
薬剤カートリッジは薬剤を含む、請求項12に記載のデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は薬剤注射デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
薬剤注射デバイスはさまざまな形態をとることができる。1つの形態ではシリンジを使用し、通常ではガラスで形成される中空シリンダに薬剤が収納される。薬剤は、シリンダの中で可動のプランジャと、シリンジの遠位端に流体連結された針とによって環境から封止される。針は、薬剤を滅菌状態のもとで保持するために、キャップを被せたままにしておかなければならない。
【0003】
注射デバイスの別の形態では、シリンジの代わりにカートリッジを使用し、このカートリッジには、シリンジの針の代わりの遠位封止がある。通常は、注射の前に患者が両頭針をカートリッジに連結し、それによって、カートリッジの封止が両頭針の近位先端部で穿孔される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
カートリッジは、シリンジと比べて取り扱いおよび収納を有利にすることができるが、欠点がないわけではない。たとえば、針をカートリッジに取り付けるには追加の段階が必要である。この段階は、器用さが限られていたり、協調が不十分であったり、または手の感覚をある程度失っている患者にとって問題になり得る。このような短所があっても、特定の状況においては、患者が注射の開始を望むような時間まで針を薬剤から分離したままにしておく注射デバイスが得られることが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1の実施形態は薬剤注射デバイスを提供し、このデバイスは:本体と;本体に対して固定され、薬剤カートリッジを保持するように構成されている薬剤カートリッジホルダと;針を支持し、本体に対して軸方向に可動であるニードルキャリアと;ニードルキャリアに連結された第1の予応力印加ばね(pre−stressed spring)を含む、デバイスの遠位端の回転可能キャップと、少なくとも1つの起動要素とを含み、第1の予応力印加ばねは、その近位端において板に取り付けられ、また、キャップの回転により、板および第1の予応力印加ばねが解放され、それによって、板がニードルホルダをデバイスの近位端に向けて押す。
【0006】
板には、その周縁面沿いに少なくとも1つの切り込みが位置し、切り込みおよび起動要素が回転可能に位置合わせされているときに、それぞれの少なくとも1つの起動要素が切り込みを通過できるように配置され得る。
【0007】
デバイスは、第1の予応力印加ばねの解放の後にキャップの回転に応答して解放されるように配置され、それによってキャップが軸方向の、本体から遠位方向に動く、第2の予応力印加ばねをさらに含み得る。
【0008】
キャップは、管状ニードルシールド要素を含み得る。
【0009】
デバイスは、案内要素および協働溝をさらに含むことができ、キャップが案内要素と回転可能に位置合わせされるまでキャップが取り外されないように、案内要素および協働溝の一方はキャップ内に配置され、案内要素および協働溝の他方はデバイスの残りの部分に配置される。
【0010】
キャップは管状ニードルシールド要素を含むことができ、案内要素は、キャップとの係合のために薬剤カートリッジホルダに従属することができ、溝は、案内要素を受けるために管状ニードルシールド要素の外面に設けることができる。
【0011】
溝は、周部および軸方向部を含み得る。
【0012】
溝は、溝の残りの部分と比較して相対的に狭い部分を含み得る。
【0013】
ニードルホルダは、薬剤カートリッジに固定されるように配置される。
【0014】
ニードルホルダは、薬剤カートリッジのヘッドと協働するように配置されたリップを含み得る。
【0015】
第1のばねは、つる巻きばねまたは波形ばねとすることができる。
【0016】
薬剤カートリッジホルダは、貫通可能バリアを遠位端に有する薬剤カートリッジを含み、ニードルキャリアの近位端に向かう軸方向運動により、針が薬剤カートリッジのバリアを穿孔し得る。
【0017】
薬剤カートリッジは薬剤を含み得る。
【0018】
第2の実施形態は、回転可能キャップを有する薬剤注射デバイスを操作する方法を提供し、この方法は、回転可能キャップを回し、それによって第1の予応力印加ばねが解放されて、ニードルキャリアが軸方向にデバイスの近位端に向かって動くことを含む。
【0019】
本発明の例示的な実施形態について添付の図面を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1A】本発明の実施形態による自動注射デバイスの側面図である。
図1B】本発明の実施形態による自動注射デバイスの側面図である。
図2A】キャップが回される前の、キャップを有するデバイスの側面断面図である。
図2B図2Aに示されたデバイスの案内要素とスロット付きリンクの係合を表す図である。
図3A】キャップが取り外されつつある第2の実施形態のデバイスの側面断面図である。
図3B図3Aに示されたデバイスの案内要素とスロット付きリンクの係合を表す図である。
図4A】キャップが取り外されつつある第2の実施形態のデバイスの側面断面図である。
図4B図4Aに示されたデバイスの案内要素とスロット付きリンクの係合を表す図である。
図5A】キャップが取り外されつつある第2の実施形態のデバイスの側面断面図である。
図5B図5Aに示されたデバイスの案内要素とスロット付きリンクの係合を表す図である。
図6A】それぞれの実施形態による板の前面図である。
図6B】それぞれの実施形態による板の前面図である。
図7】スロット付きリンクの狭窄部を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
諸実施形態では、自動注射器またはシリンジなどの注射デバイスの針を、注射予定の薬剤を含む薬剤カートリッジに挿入するための機構を提供する。このような機構を提供することにより、使用者が注射の開始を望むときなどまで薬剤カートリッジが封止されていることが可能になる。針を薬剤カートリッジに挿入するための自動機構を提供することによりまた、使用者が注射の前に針を手で扱うことが減る。実際、諸実施形態では、使用者は、針を薬剤カートリッジに挿入する段階中、およびその後に薬剤の注射を起動する段階中に針に触れる必要がない。
【0022】
諸実施形態では、針を保持するニードルホルダが、デバイスキャップの回転に応答して自動的に薬剤カートリッジに連結される機構を提供する。
【0023】
本明細書に記載の薬物送達デバイスは、薬剤を患者に注射するように構成される。たとえば送達は、皮下、筋肉内、または静脈内送達とすることができる。このようなデバイスは、患者、または看護師もしくは医師などの介護者によって操作され、さまざまなタイプの安全シリンジ、ペン注射器または自動注射器を含み得る。このデバイスは、使用前に封止アンプルを穿孔する必要がある、カートリッジベースのシステムを含み得る。これらのさまざまなデバイスを用いて送達される薬剤の量は、約0.5mLから約2mLになり得る。さらに別のデバイスは、「大」量の薬剤(通常約2mLから約10mLまで)を送達するためにある期間(たとえば、約5、15、30、60、または120分)患者の皮膚に粘着するように構成された、大容量デバイス(「LVD」)またはパッチポンプを含み得る。
【0024】
特定の薬剤と組み合わせることで、本記載のデバイスはまた、必要な仕様内で動作するようにカスタマイズされる。たとえば、デバイスは、ある一定の期間内(たとえば、自動注射器では約3秒から約20秒、LVDでは約10分から約60分)に薬剤を注射するようにカスタマイズされる。他の仕様には、低レベルまたは最小レベルの不快感、またはヒューマンファクタに関連するいくつかの条件に対し、保存寿命、使用期限、生体適合性、環境的考慮事項などが含まれ得る。このような違いは、たとえば、粘性が約3cPから約50cPまでの薬物など、さまざまな要因により生じ得る。その結果、薬物送達デバイスは、サイズが約25から約31ゲージまでの中空針を含むことが多い。一般的なサイズは27および29ゲージである。
【0025】
本明細書に記載の送達デバイスはまた、1つまたはそれ以上の自動化機能を含み得る。たとえば、1回またはそれ以上の針挿入、薬剤注射、および針引き込みが自動化される。1つまたはそれ以上の自動化段階のためのエネルギーは、1つまたはそれ以上のエネルギー源によって供給される。エネルギー源は、たとえば、機械エネルギー、空気エネルギー、化学エネルギーまたは電気エネルギーを含み得る。たとえば、機械エネルギー源は、エネルギーを保存または解放するためのばね、レバー、エラストマー、または他の機械機構を含み得る。1つまたはそれ以上のエネルギー源は、単一のデバイスの中に集約することができる。デバイスはさらに、エネルギーをデバイスの1つまたはそれ以上の構成要素の動きに変換するための歯車、弁、または他の機構を含み得る。
【0026】
自動注射器の1つまたはそれ以上の自動化機能はそれぞれ、起動機構を介して起動される。このような起動機構は、1つまたはそれ以上のボタン、レバー、ニードルスリーブ、または他の起動構成要素を含み得る。自動化機能の起動は、一段階または多段階手順になり得る。すなわち、使用者が、自動化機能を行わせるために1つまたはそれ以上の起動構成要素を起動する必要があり得る。たとえば、一段階手順では、使用者が、薬剤の注射をするためにニードルスリーブを使用者の体に当てて押し下げることができる。他のデバイスでは、自動化機能の多段階起動が必要となり得る。たとえば、使用者が、注射をするためにボタンを押し下げ、ニードルシールドを引き込む必要がある。
【0027】
加えて、1つの自動化機能の起動が1つまたはそれ以上の後続の自動化機能を起動し、それによって起動シーケンスを形成することもできる。たとえば、第1の自動化機能の起動が、少なくとも2回の針挿入、薬剤注射、および針引き込みを起動することができる。いくつかのデバイスはまた、1つまたはそれ以上の自動化機能を行わせるための特定の一連の段階を必要とし得る。他のデバイスは、一連の独立した段階によって動作し得る。
【0028】
いくつかの送達デバイスは、安全シリンジ、ペン注射器、または自動注射器の1つまたはそれ以上の機能を含み得る。たとえば、送達デバイスが、薬剤を自動的に注射するように構成された機械エネルギー源(自動注射器で通常見られる)と、用量設定機構(ペン注射器で通常見られる)とを含み得る。
【0029】
本開示のいくつかの実施形態による、例示的な薬物送達デバイス10が図1Aおよび図1Bに示されている。上述のように、デバイス10は、薬剤を患者の体に注射するように構成される。デバイス10は、注射予定の薬剤を含むリザーバを通常は含む本体11(たとえば、シリンジ)と、送達手順の1つまたはそれ以上の段階を容易にするために必要な構成要素とを含む。デバイス10はまた、本体11に取り外し可能に取り付けられるキャップアセンブリ12を含み得る。通常は使用者が、デバイス10が動作する前に、キャップ12を本体11から取り外さなければならない。
【0030】
図示のように、本体11は実質的に円筒形であり、長手方向軸Xに沿って実質的に一定の直径を有する。本体11は、遠位領域120および近位領域121を有する。用語「遠位」は、注射の部位に相対的に近い場所を指し、用語「近位」は、注射部位から相対的に遠い場所を指す。
【0031】
デバイス10はまた、本体11に対してスリーブ13が動くことを可能にするように本体11に連結されたニードルスリーブ13を含み得る。たとえば、スリーブ13は長手方向軸Xと平行な長手方向に動くことができる。具体的には、スリーブ13が近位方向に動くことにより、針17が本体11の遠位領域120から延びることが可能になり得る。
【0032】
針17を挿入することは、いくつかの機構を介して行うことができる。たとえば、針17は、本体11に対して固定して配置され、最初に、延びたニードルスリーブ13の中に配置される。スリーブ13の遠位端を患者の体に当て、本体11を遠位方向に動かすことによってスリーブ13が近位に動くと、針17の遠位端のカバーが取り外される。このような相対的な動きが、針17の遠位端が患者の体の中へ延びることを可能にする。このような挿入は、スリーブ13に対して本体11が患者の手操作で動くことにより針17が手動で挿入されるので、「手動」挿入と呼ばれる。
【0033】
挿入の別の形態は「自動化された」ものであり、それによって針17が本体11に対して動く。このような挿入は、スリーブ13が動くことによって、または、たとえばボタン122などの別の形態の起動によってトリガされる。図1Aおよび図1Bに示されるように、ボタン122は本体11の近位端にある。しかし、他の実施形態では、ボタン122は本体11の側面にある。
【0034】
他の手動または自動化機能には、薬物注射もしくは針引き込み、または両方が含まれ得る。注射とは、薬剤をシリンジから針17に強制的に通すために、栓またはピストン123をシリンジ(図示せず)内の近位位置からシリンジ内のより遠くの位置まで動かす過程のことである。いくつかの実施形態では、駆動ばね(図示せず)が、デバイス10が起動される前に圧縮の状態にある。駆動ばねの近位端は本体11の近位領域121内に固定され、駆動ばねの遠位端は、ピストン123の近位面に圧縮力をかけるように構成される。起動に続いて、駆動ばねに保存されたエネルギーの少なくとも一部がピストン123の近位面に加えられる。この圧縮力はピストン123に、ピストンを遠位方向に動かすように作用する。このような遠位の動きは、シリンジ内の液体薬剤を圧縮するように作用して、液体薬剤を針17から外に強制的に出す。
【0035】
注射に続いて、針17はスリーブ13または本体11の中に引き込まれる。引き込みは、使用者がデバイス10を患者の体から離すにつれてスリーブ13が遠位に動くときに行うことができる。これは、針17が本体11に対して固定位置にとどまったままであるので行うことができる。スリーブ13の遠位端が針17の遠位端を通り過ぎ、針17が覆われると、スリーブ13がロックされる。このようなロッキングは、本体11に対するスリーブ13の近位の動きをロックすることを含み得る。
【0036】
別の形態の針引き込みは、針17が本体11に対して動く場合に行うことができる。このような動きは、本体11内のシリンジが本体11に対して近位方向に動く場合に行うことができる。この近位動きは、遠位領域120にある引き込みばね(図示せず)を使用して実現される。圧縮された引き込みばねが、起動したときに十分な力をシリンジに供給して、シリンジを近位方向に動かすことができる。十分な引き込みの後では、針17と本体11の間の相対的な動きがロッキング機構によってロックされる。加えて、デバイス10のボタン122または他の構成要素が必要に応じてロックされる。
【0037】
キャップ12は、端壁および湾曲側壁と、端壁から延びる管状壁12aとを有する。キャップ12はニードルスリーブ13に嵌まる。キャップ12は、以下で説明するように、本体11に対してキャップ12を軸方向に引っ張ることによって取り外すことができる。
【0038】
デバイス10は、カートリッジホルダ20によって適所に保持されるカートリッジ19を含む。カートリッジホルダ20およびカートリッジ19は、デバイス10の本体11に対して連結され固定される。カートリッジ19は、デバイス10とは別に使用者に提供することができる。使用者は、カートリッジ19をデバイス10に挿入することができる。
【0039】
デバイス10は針17を含み、この針は、その近位端に向けてニードルホルダ18によって保持されている。ニードルホルダ18は、カップ形部材18aおよびリップ18bを含む。
【0040】
針17の遠位端は、キャップ12の管状部材12aの中に含まれる。針17を保持するニードルホルダ18は、本体11およびカートリッジ19に対して軸方向に可動である。
【0041】
カートリッジ19は、カートリッジ本体21、ネック22およびヘッド23を有する。ヘッド23はネック22よりも幅が広く、それによってフランジ付き端部が形成される。ネック22およびヘッド23は、薬剤を通過させる、ならびに針17が挿入されるとこれを受ける、通路を含む。ヘッド23は、通路を封鎖し薬剤カートリッジ19の内容物を封止するための、セプタムなどの貫通可能バリアを備える。カートリッジ本体21、ネック22およびヘッド23は、形状が概ね円筒形である。しかし、代替形状を使用することもできる。カップ形部分18aは、カートリッジ19のヘッド23と係合するように形づくられる。カップ形部分18aおよびヘッド23は、カップ形部分18aがヘッド23と係合したときに摩擦嵌めがもたらされるように寸法設定される。ニードルホルダ18はまた、ヘッド23に留めるためのリップ18bを有することもできる。
【0042】
カートリッジホルダ20は概ね管状であり、本体11に対して同軸である。カートリッジホルダ20の主壁は、カートリッジ19の本体21の周囲に延び、また、カートリッジ19のヘッド23、ニードルホルダ18、およびキャップ12の管状部材12aの近位端部分を取り囲むようにデバイス10の遠位端に向かって延びる。カートリッジホルダ20は、カートリッジ19およびニードルホルダ18のものより大きい直径を有する。カートリッジホルダ20は、主壁から内向きに延びてカートリッジ19をカートリッジ19の全長に沿って支持するリブ24を有する。あるいは、カートリッジホルダ20は、カートリッジ19とカートリッジホルダ20の間に摩擦嵌めがもたらされるように、カートリッジ19のものとほぼ等しい直径を有し、それによりリブは不要になる。カートリッジホルダ20は、管状部材12aのものとほぼ等しい直径を有し、そのため、図2Aに示されるように、キャップ12がデバイス10の残りの部分に取り付けられると摩擦嵌めが実現される。
【0043】
カートリッジホルダ20は、カートリッジホルダ20の主壁の内面から延びるピンなどの案内要素20aを有する。案内要素20aは、キャップ12の管状部材12aの外面に設けられた溝であるスロット付きリンク12bと係合する。スロット付きリンク12bは、キャップ12が使用者によって回されるとき、またキャップが本体から引き離されるときに案内要素20aがたどる経路を画成する。
【0044】
図2Aは、一実施形態によるデバイス10を示す。この実施形態では、キャップが回転すると圧縮ばねが解放されることになり、それにより、ニードルホルダが軸方向に薬剤カートリッジに向かって近位方向に変位する。
【0045】
圧縮ばね25が管状部材12aの内側に設けられる。圧縮ばね25はコイルばねとすることができ、針17の遠位端の周囲に嵌まる。あるいは、波形ばねが使用される。波形ばねは、より低い作業高さを同じ力で提供する。ばね25は、その一端がキャップ12の遠位端に取り付けられる。ばね25の他端は、管状部材12aの近位端に設けられた板26に取り付けられる。板26は、ニードルホルダ18に当接する。
【0046】
管状部材12aの湾曲壁の外面は、スロット付きリンク12bを備える。図2Bは、スロット付きリンク12bによって画成される経路の2次元投影図を示す。案内要素20aは、キャップ12が図2Aおよび図2Bに示された位置から図3Aおよび図3Bに示された位置まで、本体11に対するキャップ12の軸方向変位なしで回転するとき、周経路を軸方向の変動なしでたどる。言い換えると、スロット付きリンクは、図2および図3に示された段階中にキャップ12の回転運動だけを可能にする。スロット付きリンク12bの軸方向部分は、キャップ12が回転し、ニードルホルダ18が薬剤カートリッジ19に取り付けられた後に使用者がキャップ12を本体11から引っ張るときに案内要素20aが取る経路を画成する。スロット付きリンク12bは、キャップが十分に回されて薬剤カートリッジ19にニードルホルダ18が確実に取り付けられる前にキャップ12が取り外されることを防止する。
【0047】
代替実施形態では、スロット付きリンクおよび案内要素の構成は、キャップ12と本体11またはスリーブ13の間に設けられる。
【0048】
図3は、ばね25が解放されるようにキャップ12が回された後のデバイス10を示す。ばねの解放は、板26の近くに位置する起動要素27によって制御される。起動要素27は、任意の数の適切な形を取ることができる。たとえば、起動要素27は、板26およびばね25を適所に保持するブロックとすることができる。いくつかの実施形態では、図6Aに示されるように、板26は板の周縁に沿った切り込み28を有する。
【0049】
あるいは、図6Bに示されるように、板26’は2つの切り込みを含む。この代替実施形態では、起動要素27は2つのブロックを含む。
【0050】
キャップ12が回されると、起動要素27は、切り込み28と位置合わせする。ばね25に作用する圧縮力は解放される。板26は、ニードルホルダ18および針17を近位方向に薬剤カートリッジ19に向けて押す。
【0051】
針17の近位端は、カートリッジ19のセプタムを穿孔する。カップ形部分18aの内面周縁に設けられたリップ18bは、ヘッド23に留まる。ニードルホルダ18のさらなる軸方向運動は、リップ18bによって防止される。
【0052】
上述のように、代替実施形態では、リップが設けられない。カップ形部材18aの直径と薬剤カートリッジ19のヘッド23の直径とは、ニードルホルダ18と薬剤カートリッジ19の間の緊密摩擦嵌めを確保するように配置される。
【0053】
図3Bに示されるように、使用者は、キャップ12の遠位方向の軸方向運動が可能になる前に、キャップ12を事前設定量だけ回す必要がある。
【0054】
図4Aおよび図4Bに示されるように、キャップ12は、案内要素20aがスロット付きリンク12bの周部分の端に達するまで回される。キャップ12は次に、本体11から遠位方向に引っ張られる。案内要素20aは、スロット付きリンク12bの軸方向直線部分をたどる。
【0055】
図5Aは、キャップ12が残りのデバイス10から分離されるときのデバイス10を示す。キャップ12、ばね25および板26が残りのデバイス10から遠位方向に引き離される。ニードルホルダ18は薬剤カートリッジ19に取り付けられたままであり、針17がカートリッジ19に挿入されている。その後、デバイス10を使用して注射が開始される。デバイス10の遠位端は患者の注射部位に当てて保持され、デバイスが起動される。
【0056】
本発明のさまざまな実施形態では、意図的でないキャップの回転を防ぐための機構が設けられる。これは、たとえばチャイルドロックである、安全機構としての役割を果たす。このような実施形態では、使用者は、キャップを押すことおよび回すことが同時に求められる。
【0057】
キャップは外側キャップおよび内側キャップを備え、内側キャップを回すには、外側キャップを内側キャップに押し付ける必要がある。あるいは、キャップは、止めリングを乗り越えるには押さえつける必要がある、横方向の2つの「ボタン」付きキャップとすることができる。
【0058】
あるいは、図7に示されるように、案内要素20aが通過する経路12bの狭窄部30を設けることができる。この経路狭窄部を乗り越えるには、案内要素は大きい力を必要とする。
【0059】
いくつかの実施形態では、ニードルホルダ18がカートリッジ19に取り付けられた後にキャップ12がさらに回転し、それに続いて解放されるように構成された第2のばねが設けられる。第2のばねは、キャップ12を本体11から遠位方向に押すように配置される。
【0060】
説明した実施形態は自動注射器に関連しているが、本発明はまた、シリンジなどの他のタイプの注射デバイスにも適用できることに留意されたい。
【0061】
用語「薬物」または「薬剤」は、本明細書において同意語として使用され、1つまたはそれ以上の医薬品有効成分または薬学的に許容されるその塩もしくは溶媒和物と、場合により、薬学的に許容される担体とを含む医薬製剤を示す。医薬品有効成分(「API」)とは、最も広範な言い方で、ヒトまたは動物に生物学的影響を及ぼす化学構造のことである。薬理学では、薬物または薬剤が、疾患の処置、治療、予防、または診断に使用され、またはそれとは別に、身体的または精神的健康を向上させるために使用される。薬物または薬剤は、限られた継続期間、または慢性疾患では定期的に、使用される。
【0062】
以下に説明されるように、薬物または薬剤は、1つまたはそれ以上の疾患を処置するための、さまざまなタイプの製剤の少なくとも1つのAPI、またはその組み合わせを含むことができる。APIの例としては、分子量が500Da以下である低分子;ポリペプチド、ペプチド、およびタンパク質(たとえばホルモン、成長因子、抗体、抗体フラグメント、および酵素);炭水化物および多糖類;ならびに核酸、二本鎖または一本鎖DNA(裸およびcDNAを含む)、RNA、アンチセンスDNAおよびRNAなどのアンチセンス核酸、低分子干渉RNA(siRNA)、リボザイム、遺伝子、およびオリゴヌクレオチドが含まれ得る。核酸は、ベクター、プラスミド、またはリポソームなどの分子送達システムに組み込まれる。1つまたはそれ以上の薬物の混合物もまた企図される。
【0063】
用語「薬物送達デバイス」は、薬物または薬剤をヒトまたは動物の体内に投薬するように構成されたあらゆるタイプのデバイスまたはシステムを包含するものである。それだけには限らないが、薬物送達デバイスは、注射デバイス(たとえばシリンジ、ペン型注射器、自動注射器、大容量デバイス、ポンプ、潅流システム、または眼内、皮下、筋肉内、もしくは血管内送達にあわせて構成された他のデバイス)、皮膚パッチ(たとえば、浸透圧性、化学的、マイクロニードル)、吸入器(たとえば鼻用または肺用)、埋め込み型デバイス(たとえば、薬物またはAPIコーティングされたステント、カプセル)、または胃腸管用の供給システムとすることができる。ここで説明される薬物は、たとえば24以上のゲージ数を有する、たとえば皮下針である針を含む注射デバイスでは特に有用であり得る。
【0064】
薬物または薬剤は、薬物送達デバイスで使用するように適用された主要パッケージまたは「薬物容器」内に含まれる。薬物容器は、たとえば、カートリッジ、シリンジ、リザーバ、または1つもしくはそれ以上の薬物の保存(たとえば短期または長期保存)に適したチャンバを提供するように構成された他の固体もしくは可撓性の容器とすることができる。たとえば、場合によって、チャンバは、少なくとも1日(たとえば1日から少なくとも30日まで)の間薬物を収納するように設計される。場合によって、チャンバは、約1ヶ月から約2年の間薬物を保存するように設計される。保存は、室温(たとえば約20℃)または冷蔵温度(たとえば約−4℃から約4℃まで)で行うことができる。場合によって、薬物容器は、投与予定の医薬製剤の2つまたはそれ以上の成分(たとえばAPIおよび希釈剤、または2つの異なるタイプの薬物)を別々に、各チャンバに1つずつ保存するように構成された二重チャンバカートリッジとすることができ、またはこれを含むことができる。そのような場合、二重チャンバカートリッジの2つのチャンバは、ヒトまたは動物の体内に投薬する前、および/または投薬中に2つまたはそれ以上の成分間で混合することを可能にするように構成される。たとえば、2つのチャンバは、これらが(たとえば2つのチャンバ間の導管によって)互いに流体連通し、所望の場合、投薬の前にユーザによって2つの成分を混合することを可能にするように構成される。代替的に、またはこれに加えて、2つのチャンバは、成分がヒトまたは動物の体内に投薬されているときに混合することを可能にするように構成される。
【0065】
本明細書において説明される薬物送達デバイス内に含まれる薬物または薬剤は、数多くの異なるタイプの医学的障害の処置および/または予防に使用される。障害の例としては、たとえば、糖尿病、または糖尿病性網膜症などの糖尿病に伴う合併症、深部静脈血栓塞栓症または肺血栓塞栓症などの血栓塞栓症が含まれる。障害の別の例としては、急性冠症候群(ACS)、狭心症、心筋梗塞、がん、黄斑変性症、炎症、枯草熱、アテローム性動脈硬化症および/または関節リウマチがある。APIおよび薬物の例としては、たとえば、それだけには限らないが、ハンドブックのRote Liste 2014、主グループ12(抗糖尿病薬物)または主グループ86(腫瘍薬物)、およびMerck Index、第15版などに記載されているものがある。
【0066】
1型もしくは2型の糖尿病、または1型もしくは2型の糖尿病に伴う合併症の処置および/または予防のためのAPIの例としては、インスリン、たとえばヒトインスリン、またはヒトインスリン類似体もしくは誘導体、グルカゴン様ペプチド(GLP−1)、GLP−1類似体もしくはGLP−1受容体アゴニスト、またはその類似体もしくは誘導体、ジペプチジルペプチダーゼ−4(DPP4)阻害剤、または薬学的に許容されるその塩もしくは溶媒和物、またはそれらの任意の混合物が含まれる。本明細書において使用される用語「類似体」および「誘導体」は、元の物質と構造的に十分に類似しており、それによって同様の機能または活性(たとえば治療効果性)を有することができる任意の物質を指す。特に、用語「類似体」は、天然のペプチドの構造、たとえばヒトのインスリンの構造から、天然のペプチド中に見出される少なくとも1つのアミノ酸残基を欠失させるおよび/もしくは交換することによって、ならびに/または少なくとも1つのアミノ酸残基を付加することによって式上で得られる分子構造を有するポリペプチドを指す。付加および/または交換されるアミノ酸残基は、コード可能なアミノ酸残基、または他の天然の残基もしくは完全に合成によるアミノ酸残基とすることができる。インスリン類似体は「インスリン受容体リガンド」とも呼ばれる。特に、用語「誘導体」は、1つまたはそれ以上の有機置換基(たとえば、脂肪酸)が1つまたはそれ以上のアミノ酸に結合している、天然のペプチドの構造、たとえばヒトのインスリンの構造から式上で得られる分子構造を有するポリペプチドを指す。場合により、天然のペプチド中に見出される1つまたはそれ以上のアミノ酸が、欠失され、かつ/もしくはコード不可能なアミノ酸を含む他のアミノ酸によって置換されていてもよく、または、コード不可能なアミノ酸を含むアミノ酸が、天然のペプチドに付加されていてもよい。
【0067】
インスリン類似体の例としては、Gly(A21),Arg(B31),Arg(B32)ヒトインスリン(インスリングラルギン);Lys(B3),Glu(B29)ヒトインスリン(インスリングルリジン);Lys(B28),Pro(B29)ヒトインスリン(インスリンリスプロ);Asp(B28)ヒトインスリン(インスリンアスパルト);B28位におけるプロリンがAsp、Lys、Leu、Val、またはAlaで置き換えられており、B29位において、LysがProで置換されているヒトインスリン;Ala(B26)ヒトインスリン;Des(B28−B30)ヒトインスリン;Des(B27)ヒトインスリンおよびDes(B30)ヒトインスリンがある。
【0068】
インスリン誘導体の例としては、たとえば、B29−N−ミリストイル−des(B30)ヒトインスリン;Lys(B29)(N−テトラデカノイル)−des(B30)ヒトインスリン(インスリンデテミル、Levemir(登録商標))、B29−N−パルミトイル−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−ミリストイルヒトインスリン;B29−N−パルミトイルヒトインスリン;B28−N−ミリストイルLysB28ProB29ヒトインスリン;B28−N−パルミトイル−LysB28ProB29ヒトインスリン;B30−N−ミリストイル−ThrB29LysB30ヒトインスリン;B30−N−パルミトイル−ThrB29LysB30ヒトインスリン;B29−N−(N−パルミトイル−γ−グルタミル)−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−ω−カルボキシヘプタデカノイル−γ−L−グルタミル−des(B30)ヒトインスリン(インスリンデグルデク、Tresiba(登録商標))、B29−N−(N−リトコリル−γ−グルタミル)−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−(ω−カルボキシヘプタデカノイル)−des(B30)ヒトインスリン、およびB29−N−(ω−カルボキシヘプタデカノイル)ヒトインスリンがある。
【0069】
GLP−1、GLP−1類似体およびGLP−1受容体アゴニストの例としては、たとえば、リキシセナチド(Lyxumia(登録商標)、エキセナチド(エキセンディン−4、Dyetta(登録商標)、Bydureon(登録商標)、アメリカドクトカゲの唾液腺によって産生される39アミノ酸ペプチド)、リラグルチド(Victoza(登録商標))、セマグルチド、タスポグルチド、アルビグルチド(Syncria(登録商標))、デュラグルチド(Trulicity(登録商標))、rエキセンディン−4、CJC−1134−PC、PB−1023、TTP−054、ラングレナチド/HM−11260C、CM−3、GLP−1エリゲン(Eligen)、ORMD−0901、NN−9924、NN−9926、NN−9927、ノデキセン(Nodexen)、ビアドール(Viador)−GLP−1、CVX−096、ZYOG−1、ZYD−1、GSK−2374697、DA−3091、MAR−701、MAR709、ZP−2929、ZP−3022、TT−401、BHM−034、MOD−6030、CAM−2036、DA−15864、ARI−2651、ARI−2255、エキセナチド−XTENおよびグルカゴン−Xtenがある。
【0070】
オリゴヌクレオチドの例としては、たとえば:家族性高コレステロール血症の処置のためのコレステロール低下アンチセンス治療薬である、ミポメルセンナトリウム(Kynamro(登録商標))がある。
【0071】
DPP4阻害剤の例としては、ビルダグリプチン、シタグリプチン、デナグリプチン、サキサグリプチン、ベルベリンがある。
【0072】
ホルモンの例としては、ゴナドトロピン(フォリトロピン、ルトロピン、コリオンゴナドトロピン、メノトロピン)、ソマトロピン(ソマトロピン)、デスモプレシン、テルリプレシン、ゴナドレリン、トリプトレリン、ロイプロレリン、ブセレリン、ナファレリン、およびゴセレリンなどの、脳下垂体ホルモンまたは視床下部ホルモンまたは調節性活性ペプチドおよびそれらのアンタゴニストが含まれる。
【0073】
多糖類の例としては、グルコサミノグリカン、ヒアルロン酸、ヘパリン、低分子量ヘパリン、もしくは超低分子量ヘパリン、またはそれらの誘導体、または上述の多糖類の硫酸化形態、たとえば、ポリ硫酸化形態、および/または、薬学的に許容されるそれらの塩が含まれる。ポリ硫酸化低分子量ヘパリンの薬学的に許容される塩の例としては、エノキサパリンナトリウムがある。ヒアルロン酸誘導体の例としては、ハイランG−F20(Synvisc(登録商標))、ヒアルロン酸ナトリウムがある。
【0074】
本明細書において使用する用語「抗体」は、免疫グロブリン分子またはその抗原結合部分を指す。免疫グロブリン分子の抗原結合部分の例には、抗原を結合する能力を保持するF(ab)およびF(ab’)フラグメントが含まれる。抗体は、ポリクローナル、モノクローナル、組換え型、キメラ型、非免疫型またはヒト化、完全ヒト型、非ヒト型(たとえばネズミ)、または一本鎖抗体とすることができる。いくつかの実施形態では、抗体はエフェクター機能を有し、補体を固定することができる。いくつかの実施形態では、抗体は、Fc受容体と結合する能力が低く、または結合することはできない。たとえば、抗体は、アイソタイプもしくはサブタイプ、抗体フラグメントまたは変異体とすることができ、これはFc受容体との結合を支持せず、たとえば、突然変異した、または欠失したFc受容体結合領域を有する。用語の抗体はまた、四価二重特異性タンデム免疫グロブリン(TBTI)および/または交差結合領域の配向性を有する二重可変領域抗体様結合タンパク質(CODV)に基づく抗体結合分子を含む。
【0075】
用語「フラグメント」または「抗体フラグメント」は、全長抗体ポリペプチドを含まないが、抗原と結合することができる全長抗体ポリペプチドの少なくとも一部分を依然として含む、抗体ポリペプチド分子(たとえば、抗体重鎖および/または軽鎖ポリペプチド)由来のポリペプチドを指す。抗体フラグメントは、全長抗体ポリペプチドの切断された部分を含むことができるが、この用語はそのような切断されたフラグメントに限定されない。本発明に有用である抗体フラグメントは、たとえば、Fabフラグメント、F(ab’)フラグメント、scFv(一本鎖Fv)フラグメント、直鎖抗体、単一特異性抗体フラグメント、または二重特異性、三重特異性、四重特異性および多重特異性抗体(たとえば、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ)などの多重特異性抗体フラグメント、一価抗体フラグメント、または二価、三価、四価および多価抗体などの多価抗体フラグメント、ミニボディ、キレート組換え抗体、トリボディまたはバイボディ、イントラボディ、ナノボディ、小モジュラー免疫薬(SMIP)、結合ドメイン免疫グロブリン融合タンパク質、ラクダ化抗体、およびVHH含有抗体を含む。抗原結合抗体フラグメントのさらなる例が当技術分野で知られている。
【0076】
用語「相補性決定領域」または「CDR」は、特異的抗原認識を仲介する役割を主に担う重鎖および軽鎖両方のポリペプチドの可変領域内の短いポリペプチド配列を指す。用語「フレームワーク領域」は、CDR配列ではなく、CDR配列の正しい位置決めを維持して抗原結合を可能にする役割を主に担う重鎖および軽鎖両方のポリペプチドの可変領域内のアミノ酸配列を指す。フレームワーク領域自体は、通常、当技術分野で知られているように、抗原結合に直接的に関与しないが、特定の抗体のフレームワーク領域内の特定の残基が、抗原結合に直接的に関与することができ、またはCDR内の1つまたはそれ以上のアミノ酸が抗原と相互作用する能力に影響を与えることができる。
【0077】
抗体の例としては、アンチPCSK−9mAb(たとえばアリロクマブ)、アンチIL−6mAb(たとえばサリルマブ)、およびアンチIL−4mAb(たとえばデュピルマブ)がある。
【0078】
本明細書において説明される任意のAPIの薬学的に許容される塩もまた、薬物送達デバイスにおける薬物または薬剤の使用に企図される。薬学的に許容される塩は、たとえば酸付加塩および塩基性塩である。
【0079】
API、製剤、装置、方法、システムのさまざまな構成要素および本明細書に記載の実施形態の修正(追加および/または除去)を、このような修正、およびありとあらゆるその均等物を包含する本発明の全範囲および趣旨から逸脱せずに加えることができることは当業者に理解されよう。
図1A
図1B
図2A
図2B
図3A
図3B
図4A
図4B
図5A
図5B
図6A
図6B
図7