(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
ダイヤモンド砥粒ツールを用いると、カバーグラス機械加工プロセスの周縁エッジ及び特徴周縁エッジの表面仕上げが改善される場合がある。このようなダイヤモンド砥粒ツールは、金属接合ダイヤモンドツール(例えば、メッキされた、焼結された、及びろう付けされた金属接合ダイヤモンドツール)を含む。金属接合ダイヤモンドツールであれば、比較的高い耐久性及び効果的な削り速度が得られる場合があるが、ガラス中に微小クラックが残り、それは、破損に対する開始点となり得る応力点であり、完成したカバーグラスの強度はその潜在的な破壊抵抗を下回るまで著しく低下する。
【0011】
カバーグラスの強度及び/又は外観を改善するために、機械加工されたエッジを研削した後に、エッジを、例えば酸化セリウム(CeO)スラリーを用いて磨きをして、カバーグラス中の研削及び機械加工マークを取り除くことができる。しかし、このようなエッジ磨きは、カバーグラスに対して非常に長くかかり、カバーグラスのすべてのエッジに対して所望の表面仕上げを得るために数時間かかる可能性がある。例えば、単一のカバーグラスを磨く際、すべてのエッジ(周縁部、孔、及び角部を含む)を効果的に磨くステップが必要となる場合がある。磨き機は比較的大きくて高価で、磨く特定の特徴に固有である可能性がある。この理由から、製造環境におけるカバーグラスの製造には、多くの並列する磨きライン(それぞれ、多くの磨き機を含む)が含まれていて、その設備に対してカバーグラスの所望の製造能力を与えるようになっている場合がある。処理時間が短くなると、各磨きラインのスループットを増加させることができる。
【0012】
加えて、磨きスラリーに一貫性がなくて、カバーグラスの磨きが正確に予測できない場合がある。磨くと、研削作業によって与えられる比較的正確な成形の後で、角部の望ましくない丸みが生じる場合がある。カバーグラスに対する正確な成形の要求には、単純な形状、例えば丸み、若しくは正確な斜角若しくは面取りした面が含まれていてもよいし、又はより複雑な形状、例えば所定のスプライン形状が含まれていてもよい。概して、磨きが長いほど表面仕上げが改善されるが、丸み効果が大きくなり、カバーグラスの最終寸法に対する精度が下がる。カバーグラスの所望の表面仕上げ品質を得るための処理時間が短くなると、製造時間が短くなり得るだけでなく、カバーグラスの製造に対する寸法制御が正確になり得る。本明細書で開示する砥粒化合物及びツールによって、カバーグラスを製造するための処理時間のこのような短縮が容易になる場合がある。
【0013】
図1にシステム10を例示する。システム10は回転機械23と回転機械コントローラ30とを含んでいる。コントローラ30は、回転機械23に制御信号を送って、回転機械23に回転ツール28(回転機械23のスピンドル26内に装着されている)を用いて、構成部品24を機械加工、研削、又は研磨するように構成されている。例えば、構成部品24はカバーガラス、例えばカバーグラス150(
図3)であってもよい。異なる例では、回転ツール28は、この論文で後で説明するような回転ツール100、200、300、400、500、又は600のうちの1つであってもよい。一例では、回転機械23は、ルーティング、回転、穿孔、ミリング、研削、研磨、及び/又は他の機械加工作業を行なうことができるCNC機械(例えば、3、4、又は5軸CNC機械)に相当してもよく、コントローラ30は、スピンドル26に命令を出して、1つ以上の回転ツール28を用いて構成部品24の機械加工、研削、及び/又は研磨を行なわせるCNCコントローラを含んでいてもよい。コントローラ30は、ソフトウェアを実行する汎用コンピュータを含んでいてもよく、このようなコンピュータをCNCコントローラと組み合わせて、コントローラ30の機能を得てもよい。
【0014】
構成部品24をプラットフォーム38に、回転機械23による構成部品24の正確な機械加工が容易になるように装着する。被加工物保持固定具18は、構成部品24をプラットフォーム38に固定して、回転機械23に対して構成部品24を正確に配置する。また被加工物保持固定具18によって、回転機械23の制御プログラムに対する基準箇所が得られてもよい。本明細書で開示する技術は任意の材料のワークピースに適用してもよいが、構成部品24は電子デバイスに対するカバーグラス(例えば、スマートフォンタッチスクリーンのカバーグラス)であってもよい。
【0015】
図1の例では、回転ツール28を砥粒物品29を含むように例示している。この例では、砥粒物品29を用いて、構成部品24内の機械加工した特徴部(例えば、カバーグラス内の孔及びエッジ特徴部)の表面仕上げを改善してもよい。ある例では、異なる回転ツール28を連続して用いて、機械加工した特徴部の表面仕上げを反復的に改善してもよい。例えば、システム10を用いて、より粗い研削ステップを第1の回転ツール28(又は回転ツール28のセット)を用いて行ない、それに続いて、より細かい研磨ステップを第2の回転ツール28(又は回転ツール28のセット)を用いて行なってもよい。同じか又は異なる例において、単一の回転ツール28は異なるレベルの研磨を含んで、反復の研削及び/又は研磨処理をより少ない回転ツール28を用いて行なうことを容易にする場合がある。これらの各例によって、カバーグラス内の特徴部を機械加工した後でカバーグラスを仕上げて磨くためのサイクル時間が、カバーグラス内の特徴部を機械加工した後で単一の研削ステップのみを用いて表面仕上げを改善する他の例と比べて、短くなる場合がある。
【0016】
いくつかの例では、システム10を用いた研削及び/又は研磨の後に、カバーグラスの磨きを、例えば個別の磨きシステムを用いて行なって、表面仕上げを更に改善してもよい。概して、磨き前の表面仕上げが良好であるほど、磨き後に所望の表面仕上げを得るために必要な時間が短くなる。
【0017】
構成部品24のエッジをシステム10を用いて研磨するために、コントローラ30からスピンドル26に命令を出して、スピンドル26が回転ツール28を回転させるときに、砥粒物品29を構成部品24の1つ以上の特徴部に対して正確に適用するようにしてもよい。命令には、例えば、回転ツール28の単一の砥粒物品29を用いて構成部品24の特徴部の輪郭に正確に追従し、並びに1つ以上の回転ツール28の複数の砥粒物品29を構成部品24の異なる特徴部に反復的に適用する命令が含まれていてもよい。
【0018】
例示的な例では、
図1Aに示すように、砥粒物品29は、サブベース層41、ベース層43、及び砥粒作業面45を含み、ベース層43はサブベース層41と砥粒作業面45との間に置かれていてもよい。砥粒作業面45は複数の砥粒要素47を含んでいてもよい。
【0019】
いくつかの実施形態では、サブベース層41は、熱可塑性層(例えば、ポリカーボネート層)を含むか又はこれから形成されていてもよい。これは、パッドにより大きな剛性を与える場合があり、全体的な平面性を得るために用いてもよい。サブベース層41はまた、弾性的圧縮性材料層(例えば、発泡材料層)を含んでいてもよい。サブベース層41は更に、熱可塑性及び圧縮性材料層の組み合わせを含んでいてもよい。更にまた、サブベース層41は以下を含んでいてもよい。静電気除去又はセンサ信視モニタリングを行なうための金属膜、光透過を得るための光学的に透明な層、磨きすべきワークピースのより細かい仕上げを得るための発泡層、又は磨き面に「硬質バンド」又は堅い領域を与えるためのリブ状材料。サブベース層41の層、並びにサブベース層41及びベース層43は、任意の好適な固定メカニズム(例えば、感圧接着剤、ホットメルト接着剤、又はエポキシなど)を介して互いに結合してもよい。
【0020】
いくつかの実施形態では、ベース層43をポリマー材料で形成してもよい。例えば、砥粒物品のベース層は、横方向に伸縮することができる適合性のある可撓性ポリマー材料であってもよい。裏当て材に順応性がある結果、本開示のツールによってカバーグラスワークピースをより複雑な又は入り組んだ最終形状に仕上げることができると考えられる。単純なカバーグラスエッジ形状には、斜角又は四半円形状が含まれるであろう。四半円の例では、厚さが1.0ミリメートルのカバーグラスは、片面曲率半径として1.0ミリメートルが必要であり得る。別の例では、0.7ミリメートル厚さのカバーグラスは、片面曲率半径として0.7ミリメートルが必要であり得る。更に別の例では、0.5ミリメートル厚さのカバーグラスは片面曲率半径として0.5ミリメートルが必要であり得る。携帯用電子デバイスに対する市販のカバーグラスは典型的に、0.3ミリメートル〜3.0ミリメートルの範囲内の厚さ、0.5ミリメートル〜2.0ミリメートルの範囲内の厚さ、又は0.6ミリメートル〜1.3ミリメートルの範囲内の厚さである。
【0021】
例えば、ベース層を以下から形成してもよい。熱可塑性物質、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンオキシド、ポリスルホン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリイミド、ポリフェニレンサルファイド、ポリスチレン、ポリオキシメチレンプラスチックなど。熱硬化性物質、例えばポリウレタン、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ポリイミド及び尿素ホルムアルデヒド樹脂、放射線硬化樹脂、又はそれらの組み合わせ。いくつかの実施形態では、ベース層はスチレン及びブタジエンブロックコポリマーから形成してもよいし、又はこれらを含んでいてもよい。1つの好適な市販スチレン及びブタジエンブロックコポリマー材料は、KRATON Dとして知られている。
【0022】
いくつかの実施形態では、ベース層43を、任意の数の種々の材料(従来、砥粒布紙の製造においてベース層として用いられるものを含む)で形成してもよい。典型的なベース層43材料には以下が含まれる。ポリマーフィルム(プライマー処理されたフィルムを含む)例えばポリオレフィンフィルム(例えば、ポリプロピレン例えば2軸配向ポリプロピレン、ポリエステルフィルム、ポリアミドフィルム、セルロースエステルフィルム)、金属箔、メッシュ、発泡体(例えば、天然のスポンジ材料又はポリウレタン発泡体)、布地(例えば、ポリエステル、ナイロン、絹、綿、及び/又はレーヨンを含む繊維又はヤーンから形成される布地)、スクリム、紙、コート紙、加硫処理紙、加硫処理繊維、不織布材料、それらの組み合わせ、及びそれらの処理されたバージョン。またベース層43は、2つの材料の積層物(例えば、紙/フィルム、布地/紙、フィルム/布地)であってもよい。布地ベース層は織られていてもよいし又はステッチボンドされていてもよい。いくつかの実施形態では、ベース層43は、使用中に横断(すなわち面内)方向に伸縮することができる薄くて適合性のあるポリマーフィルムである。例えば、このベース層材料のストリップとして、5.1センチメートル(2インチ)幅、30.5センチメートル(12インチ)長、及び0.102ミリメートル(4ミル)厚であり、22.2ニュートン(5重量ポンド)死荷重を長手方向に受けるストリップは、ストリップの当初の長さに対して、少なくとも0.1パーセント、少なくとも0.5パーセント、少なくとも1.0パーセント、少なくとも1.5パーセント、少なくとも2.0パーセント、少なくとも2.5パーセント、少なくとも3.0パーセント、又は少なくとも5.0パーセントだけ伸びてもよい。いくつかの実施形態では、ベース層43材料のストリップは、ストリップの当初の長さに対して、最大で20パーセントまで、最大で18パーセントまで、最大で16パーセントまで、最大で14パーセントまで、最大で13パーセントまで、最大で12パーセントまで、最大で11パーセントまで、又は最大で10パーセントまで長手方向に伸びてもよい。ベース層材料の伸びは、弾性(完全な跳ね返りを伴う)、非弾性(ゼロ跳ね返り)、又は両方の何らかの混合とすることができる。
【0023】
ベース層43中で用いてもよい非常に適合性のあるポリマーとしては、あるポリオレフィンコポリマー、ポリウレタン、及びポリ塩化ビニルが挙げられる。1つの特定のポリオレフィンコポリマーは、エチレン−アクリル酸樹脂である(商品名「PRIMACOR3440」でDow Chemical Company(ミシガン州、ミッドランド)から入手可能)。任意的に、エチレン−アクリル酸樹脂は、二層フィルムの一層である(他方の層はポリエチレンテレフタレート(PET)キャリアフィルム)。
【0024】
いくつかの実施形態では、ベース層43は1つ以上のポリウレタンを含んでいてもよい。好適なポリウレタンは、少なくとも1種の熱可塑性ポリウレタン(TPU)を含んでいてもよいし、又は本質的に少なくとも1種の熱可塑性ポリウレタンからなっていてもよい。用語「本質的に〜からなる」は、この文脈で用いる場合、添加化合物(例えば、芳香剤、着色剤、酸化防止剤、UV光安定剤、及び/又は充填剤)が裏材中に、それらの存在によって引張り強度及び極限伸びが実質的に影響されないままである限り、存在し得ることを意味する。例えば、添加剤は、引張り強度及び極限伸びに対して5パーセント未満、1パーセント未満の効果を有していてもよい。いくつかの実施形態では、ベース層43は、単一の熱可塑性ポリウレタン、又は熱可塑性ポリウレタンの組み合わせを含んでいてもよい。ポリウレタンの1つの好適な種類は、芳香族ポリエーテルベースのポリウレタン、例えば熱可塑性ポリエーテルベースのポリウレタンである。いくつかの実施形態では、熱可塑性ポリエーテルベースのポリウレタンは、4,4’メチレンジシクロヘキシルジイソシアネート(MDI)、ポリエーテルポリオール、及びブタンジオールから得られる。熱可塑性ポリウレタンは良く知られており、多くの周知の技術により形成することができるか、又は商業供給業者に対して得られる場合がある。例えば、Lubrizol Corp.(オハイオ州、クリーブランド)は、種々の熱可塑性ポリウレタンの1つの商業供給業者である。例えば、商品名「ESTANEGPTPU(Bシリーズ)」(例えば、グレード52DB、55DB、60DB、72DB、80AB、85AB、及び95AB)の下で入手可能なポリエステルベースの芳香族TPU、商品名「ESTANE58000TPUシリーズ」(例えば、グレード58070、58091、58123、58130、58133、58134、58137、58142、58144、58201、58202、58206、58211、58212、58213、58215、58219、58226、58237、58238、58244、58245、58246、58248、58252、58271、58277、58280、58284、58300、58309、58311、58315、58325、58370、58437、58610、58630、58810、58863、58881、及び58887)の下で入手可能なポリエステル及びポリエーテルベースのTPUなど。
【0025】
いくつかの実施形態では、ベース層43は、本質的に1つの材料層のみからなっていてもよいし、又は多層の構造を有していてもよい。例えば、ベース層は、複数の層、又は積層を含み、積層物の個別層は好適な固定メカニズム(例えば、接着剤及び/又はプライマー層)を用いて互いに結合されていてもよい。ベース層(又は積層の個別層)は任意の形状及び厚さを有していてもよい。ベース層43は、液体水に対して不透過性で、実質的に空所がなくてもよいが、少量の多孔性は許容でき得る。例えば、ベース層43は、ベース層43の全体積に基づいて、10パーセント未満、2パーセント未満、1パーセント未満、又は0.01パーセント未満でさえある固有の空隙(すなわち、意図的に加えられたのではないが、裏材を構成する材料の固有特性である空隙)を有していてもよい。ベース層43は鋳造してもよいし(例えば、溶媒又は水から)又は押出成形してもよい。これは、1つ以上の添加剤(例えば、充填剤、溶融加工助剤、酸化防止剤、難燃剤、着色剤、又は紫外線安定剤)を含んでいてもよいし、又は接着促進剤(例えばTie〜Coat)を用いてコーティングされていてもよい。ベース層の平均厚さ(すなわち、第1及び第2の主表面に垂直な方向におけるベース層の寸法)は、10ミリメートル未満、5ミリメートル未満、1ミリメートル未満、0.5ミリメートル未満、0.25ミリメートル未満、0.125ミリメートル未満、又は0.05ミリメートル未満であってもよい。
【0026】
いくつかの実施形態では、ベース層43の平均厚さは、約0.02〜約5ミリメートル、約0.05〜約2.5ミリメートル、又は約0.1〜約0.4ミリメートルの範囲であってもよいが、これらの範囲の外側の厚さも有用であってもよい。
【0027】
いくつかの実施形態では、ベース層43は平均厚さが1〜10ミル、1〜6ミル、4〜6ミル(102〜152ミクロン)、4.5〜6.5ミル(114〜165ミクロン)、又は4.8〜6.2ミル(122〜157ミクロン)であってもよい。ベース層は更に、可撓性砥粒物品に可撓性及び耐久性を集合的に与える多くの物理特性を有していてもよい。
【0028】
いくつかの実施形態では、ベース層は、引張り強度の範囲が500〜3200psi(3.4〜22.1MPa)、1000〜2500psi(6.9〜17.2MPa)、1600〜2100psi(11.0〜14.5MPa)、及び極限伸び(すなわち、破断伸び)が230〜530パーセント、300〜460パーセント、又は350〜410パーセントであってもよい。
【0029】
いくつかの実施形態では、砥粒物品は、引張り強度が少なくとも400psi(2.8MPa)であってもよいし、極限伸びが少なくとも180パーセントであってもよい。
【0030】
いくつかの実施形態では、作業面45は、二次元の砥粒材、例えば従来の砥粒シート(砥粒粒子の層が1つ以上の樹脂又は他の結合剤層によって裏材に保持されている)を含んでいてもよい。代替的に、作業面45を、三次元の固定砥粒、例えば砥粒粒子が内部に分散された樹脂又は他の結合剤層として形成してもよい。どちらの例でも、作業面45は、使用中及び/又はドレッシング中に摩耗して砥粒材の新鮮な層を露出するように構成された複数の砥粒要素47を含んでいてもよい。
【0031】
いくつかの実施形態では、
図1Aに示すように、作業面45は、ベース層43に好適な固定メカニズム(例えば、接着剤又は樹脂49)を介して結合された複数の砥粒要素47を含んでもよい。いくつかの実施形態では、砥粒要素47は多孔質セラミック砥粒複合体を含んでいてもよい。多孔質セラミック砥粒複合体は、多孔質セラミックマトリックス中に分散された個別砥粒粒子を含んでいてもよい。本明細書で用いる場合、用語「セラミックマトリックス」には、ガラス質及び結晶性セラミック材料の両方が含まれる。これらの材料は、原子構造を考えると概ね同じカテゴリに含まれる。隣接する原子の結合は、電子移動又は電子共有のプロセスの結果である。代替的に、二次結合として知られる正及び負電荷の引力の結果としてのより弱い結合が存在する可能性がある。結晶性セラミック、ガラス、及びガラスセラミックスはイオン及び共有結合を有する。イオン結合は、ある原子から別の原始への電子移動の結果として実現される。共有結合は価電子を共有する結果であり、非常に指向性である。比較として、金属中の一次結合は金属結合として知られており、電子の無指向性の共有を伴う。結晶性セラミックを、シリカベースのシリケート(例えば耐火粘土、ムライト、磁器、及びポルトランドセメント)、非シリケート酸化物(例えば、アルミナ、マグネシア、MgAl2O4、及びジルコニア)、及び非酸化物セラミックス(例えば、カーバイド、窒化物、及びグラファイト)に再分割することができる。ガラスセラミックスは結晶性セラミックと組成において対応している。特定の処理技術の結果として、これらの材料には、結晶性セラミックが有する長距離秩序はない。ガラスセラミックスは、少なくとも約30パーセントの結晶相、最大で約90パーセントの結晶相を製造するための制御された熱処理の結果である。
【0032】
例示的な実施形態では、セラミックマトリックスの少なくとも一部分は、ガラス質セラミック材料を含む。いくつかの実施形態では、セラミックマトリックスは、少なくとも50重量パーセント、70重量パーセント、75重量パーセント、80重量パーセント、又は90重量パーセントのガラス質セラミック材料を含んでいる。一実施形態では、セラミックマトリックスは本質的にガラス質セラミック材料からなる。カバーグラスのエッジ研削を行なうための特定の有用性として、セラミックマトリックスは少なくとも30重量パーセントのガラス質セラミック材料を含んでいてもよい。
【0033】
種々の実施形態では、セラミックマトリックスはガラスを含み、ガラスは金属酸化物、例えば、酸化アルミニウム、酸化ホウ素、酸化ケイ素、酸化マグネシウム、酸化ナトリウム、酸化マンガン、酸化亜鉛、及びこれらの混合物を含んでいてもよい。セラミックマトリックスは、Si2O、B2O3、及びAl2O3を含むアルミナホウケイ酸ガラスを含んでいてもよい。アルミナホウケイ酸ガラスは、約18パーセントのB2O3、8.5パーセントのAl2O3、2.8パーセントのBaO、1.1パーセントのCaO、2.1パーセントのNa2O、1.0パーセントのLi2Oを含んでいてもよい(残部はSi2O)。このようなアルミナホウケイ酸ガラスは、Specialty Glass Incorporated(フロリダ州、オールドスマー)から市販されている。
【0034】
本明細書で用いる場合、用語「多孔質」は、その塊の全体に渡って孔又は空隙が分散されていることで特徴付けられるセラミックマトリックスの構造を記述するために用いられる。多孔質セラミックマトリックスの形成は、当該技術分野で良く知られた技術によって、例えば、セラミックマトリックス前駆体の制御された焼成によって、又は孔形成剤(例えば、ガラス気泡)をセラミックマトリックス前駆体中に含めることによって、行なってもよい。孔は複合体の外部表面に対して開いていてもよいし、又はシールされていてもよい。セラミックマトリックス中の孔は、複合体から使用済み(すなわち、鈍い)砥粒粒子が放出されるセラミック砥粒複合体の制御された破壊を助けると考えられる。孔はまた、砥粒物品とワークピースとの間の界面から削り屑及び使用済み砥粒粒子を除去するための経路を有することによって、砥粒物品の性能(例えば、削り速度)を高める場合がある。空隙(又は細孔容積)は、複合体の約少なくとも4体積パーセント、複合体の少なくとも7体積パーセント、複合体の少なくとも10体積パーセント、又は複合体の少なくとも20体積パーセント、複合体の95体積パーセント未満、複合体の90体積パーセント未満、複合体の80体積パーセント未満、又は複合体の70体積パーセント未満を構成していてもよい。カバーグラスのエッジ研削に対する特定の有用性として、空隙は、セラミック砥粒複合体の35重量パーセント〜65重量パーセントを構成していてもよい。
【0035】
いくつかの実施形態では、多孔質セラミックマトリックス中に分散された砥粒粒子は、以下を含んでいてもよい。ダイヤモンド、立方晶窒化ホウ素、溶融酸化アルミニウム、セラミック酸化アルミニウム、加熱処理された酸化アルミニウム、炭化ケイ素、炭化ホウ素、アルミナジルコニア、酸化鉄、セリア、ガーネット、及びそれらの組み合わせ。一例では、砥粒粒子はダイヤモンドを含んでいてもよいし、又は本質的にダイヤモンドからなっていてもよい。ダイヤモンド砥粒粒子は、天然又は合成的に形成されたダイヤモンドであってもよい。ダイヤモンド粒子は、明確なファセットが付随するブロッキー形状を有していてもよいし、又は、代替的に、異形を有していてもよい。ダイヤモンド粒子は、単結晶性であってもよいし又は多結晶であってもよい(例えば、商品名「Mypolex」でMy podiamond Inc.(ペンシルベニア州、スミスフィールド)から市販されているダイヤモンド)。種々の粒子サイズの単結晶ダイヤモンドが、Diamond Innovations(オハイオ州、ワージントン)から得られる場合がある。多結晶ダイヤモンドは、Tomei Corporation of America(テキサス州、シーダーパーク)から得られる場合がある。ダイヤモンド粒子は、表面コーティング、例えば金属コーティング(ニッケル、アルミニウム、銅など)、無機コーティング(例えば、シリカ)、又は有機コーティングを含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、砥粒粒子は砥粒粒子のブレンドを含んでいてもよい。例えば、ダイヤモンド砥粒粒子を、第2の、より柔らかいタイプの砥粒粒子と混合してもよい。このような場合には、第2の砥粒粒子は、平均粒径がダイヤモンド砥粒粒子よりも小さい場合がある。
【0036】
例示的な実施形態では、多孔質セラミックマトリックス中に分散された砥粒粒子は、セラミックマトリックスの全体に渡って均一(又はほぼ均一)に分散されていてもよい。本明細書で用いる場合、「均一に分散された」の意味は、複合粒子の第1の部分における砥粒粒子の単位平均密度が、複合粒子の任意の第2の異なる部分と比べたときに、20パーセントを超えて、15パーセントを超えて、10パーセントを超えて、又は5パーセントを超えて変化はしないということである。これは、例えば、砥粒粒子が粒子の表面に集中する砥粒複合粒子とは対照的である。
【0037】
種々の実施形態では、多孔質セラミック砥粒複合体はまた、任意的な添加剤(例えば、充填剤、結合剤、界面活性剤、泡止め剤など)を含んでいてもよい。これらの材料の量を所望の特性が得られるように選択してもよい。更に、セラミック砥粒複合体には1種以上の剥離剤が含まれていてもよい(又はその外面に接着していてもよい)。以下でより詳細に説明するように、1種以上の剥離剤を多孔質セラミック砥粒複合体の製造で用いて、粒子の凝集を防止してもよい。有用な剥離剤としては、例えば、金属酸化物(例えば、酸化アルミニウム)、金属窒化物(例えば、窒化ケイ素)、グラファイト、及びそれらの組み合わせを挙げてもよい。
【0038】
いくつかの例では、物品及び方法において有用な多孔質セラミック砥粒複合体は、平均径(平均長軸径又は複合体上の2点間の最長直線)が約少なくとも5マイクロメートル、少なくとも10マイクロメートル、少なくとも15マイクロメートル、又は少なくとも20マイクロメートル、1,000マイクロメートル未満、500マイクロメートル未満、200マイクロメートル未満、又は100マイクロメートル未満であってもよい。カバーグラスのエッジ研削に対して特に有用な多孔質セラミック砥粒複合体は、平均粒径が約65マイクロメートル未満で最大粒径が約500マイクロメートル未満であってもよい。
【0039】
例示的な例では、多孔質セラミック砥粒複合体の平均径は、複合体中で用いられる砥粒粒子の平均径の少なくとも約3倍であり、複合体中で用いられる砥粒粒子の平均径の少なくとも約5倍であり、又は複合体中で用いられる砥粒粒子の平均径の少なくとも約10倍であり、複合体中で用いられる砥粒粒子の平均径の30倍を下回り、複合体中で用いられる砥粒粒子の平均径の20倍を下回り、又は複合体中で用いられる砥粒粒子の平均径の10倍を下回る。多孔質セラミック砥粒複合体中で有用な砥粒粒子は、平均粒径(平均長軸径(又は粒子上の2点間の最長直線))が、少なくとも約0.5マイクロメートル、少なくとも約1マイクロメートル、又は少なくとも約3マイクロメートル、約300マイクロメートル未満、約100マイクロメートル未満、又は約50マイクロメートル未満であってもよい。砥粒粒子サイズを、例えば、ワークピース上で所望の削り速度及び/又は所望の表面粗さが得られるように、選択してもよい。砥粒粒子はモース硬度が少なくとも8、少なくとも9、又は少なくとも10であってもよい。
【0040】
種々の例では、砥粒粒子の重量対多孔質セラミック砥粒複合体のセラミックマトリックス中のガラス質セラミック材料の重量は、少なくとも約1/20、少なくとも約1/10、少なくとも約1/6、少なくとも約1/3、約30/1未満、約20/1未満、約15/1未満、又は約10/1未満である。
【0041】
種々の例では、砥粒粒子サイズ対多孔質セラミック砥粒複合体サイズの比は、15対1以下、12.5対1以下、10対1以下であってもよい。いくつかの例では、砥粒サイズ対疑集体サイズの比も、約3対1以上、約5対1以上、又は約7対1以上でさえあってもよい。このような砥粒サイズ対疑集体サイズの比が得られるセラミック砥粒複合体は、カバーグラスのエッジ研削に対して特に有用な場合がある。
【0042】
種々の例では、セラミック砥粒複合体中の多孔質セラミックマトリックスの量は、多孔質セラミックマトリックスと個別砥粒粒子との全重量の少なくとも5、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも33、95未満、90未満、80未満、又は70未満重量パーセントであり、セラミックマトリックスには、任意の充填剤、接着された剥離剤、及び/又は砥粒粒子以外の他の添加剤が含まれる。
【0043】
種々の例では、多孔質セラミック砥粒複合体は精密な形状であってもよいし、又は不整形であっても(すなわち、非精密な形状であっても)よい。精密な形状の複合体は任意の形状であってもよい(例えば、立方、ブロック状、円柱状、角柱、角錐形、角錐台、円錐形、円錐台、球状、半球、十字形、又は柱状)。多孔質セラミック砥粒複合体は、異なる砥粒複合体形状及び/又はサイズの混合物であってもよい。代替的に、多孔質セラミック砥粒複合体は同じ(又はほぼ同じ)形状及び/又はサイズであってもよい。非精密な形状の複合体には回転楕円体が含まれていてもよい。回転楕円体は、例えば、噴霧乾燥プロセスから形成してもよい。
【0044】
全般的に、多孔質セラミック砥粒複合体を作るための方法は、有機結合剤、溶媒、砥粒粒子(例えば、ダイヤモンド)、及びセラミックマトリックス前駆体粒子(例えば、ガラスフリット)を混合すること、混合物を高温で噴霧乾燥させて、「未焼結の」砥粒/セラミックマトリックス/結合剤粒子を生成すること、「未焼結の」砥粒/セラミックマトリックス/結合剤粒子を集めて、剥離剤(例えば、メッキされた白色アルミナ)と混合すること、粉末混合物を次に、砥粒粒子を含むセラミックマトリックス材料をガラス質にするのに十分な温度で焼きなましする一方で、燃焼を通して結合剤を取り除くこと、セラミック砥粒複合体を形成すること、を含む。多孔質セラミック砥粒複合体を任意的に篩にかけて所望の粒径を得てもよい。剥離剤によって、「未焼結の」砥粒/セラミックマトリックス/結合剤粒子が、ガラス質化プロセスの間に共に凝集することが防止される。これによって、ガラス質化されたセラミック砥粒複合体が、噴霧乾燥機から直接形成される「未焼結の」砥粒/セラミックマトリックス/結合剤粒子のそれと同様のサイズを維持することが可能になる。剥離剤の小さい重量分率(10パーセント未満、5パーセント未満、又は1パーセント未満でさえ)が、ガラス質化プロセス中にセラミックマトリックスの外面に接着してもよい。剥離剤は典型的に、軟化点(ガラス材料などの場合)、又は融点(結晶材料などの場合)、又は分解温度が、セラミックマトリックスの軟化点よりも高い。当然のことながら、すべての材料が融点、軟化点、又は分解温度のそれぞれを有しているわけではない。材料が融点、軟化点、又は分解温度のうちの2つ以上を有する場合、当然のことながら、融点、軟化点、又は分解温度の下端はセラミックマトリックスの軟化点よりも高い。有用な剥離剤の例としては以下が挙げられる(しかし、これらに限定されない)。金属酸化物(例えば、酸化アルミニウム)、金属窒化物(例えば、窒化ケイ素)、及びグラファイト。
【0045】
多孔質セラミック砥粒複合体は、以下を含む任意の粒子形成プロセスによって形成してもよい。例えば、鋳造、複製、微細複製、モールディング、噴霧、噴霧乾燥、霧化、コーティング、メッキ、堆積、加熱、硬化、冷却、固化、圧縮、ぎっしり詰めること、押出成形、焼結、蒸煮、アトマイゼーション、湿潤、含浸、真空化、ブラスティング、破壊(マトリックス材料の選択に応じて)、又は他の任意の利用可能な方法である。複合体を、より大きい物品として形成した後に、より小さい部片に壊してもよい。これは例えば、粉砕することによって、又はより大きい物品内のスコアラインに沿って破壊することによって行なう。複合体を最初はより大きいボディとして形成した場合、使用するために、より狭いサイズ範囲内にあるフラグメントを、当業者に知られている方法の1つによって選ぶことが望ましい場合がある。いくつかの例では、多孔質セラミック砥粒複合体は、米国特許第6,551,366号及び同第6,319,108号に開示された技術を用いて全般的に生成されたガラス質接合ダイヤモンド疑集体を含んでいてもよい。カバーグラスのエッジ研削に対する特定の有用性として、砥粒内のダイヤモンド疑集体対樹脂結合剤の体積比は3対2よりも大きい。
【0046】
いくつかの例では、多孔質セラミック砥粒複合体は、砥粒スラリーにとって有用な特性を与える試薬を用いて表面改質してもよい(例えば、共有結合的に、イオン的に、又は機械的に)。例えば、ガラスの表面を酸又は塩基を用いてエッチングして、適切な表面pHを形成することができる。共有結合的に改質された表面は、粒子を1つ以上の表面処理剤を含む表面処理と反応させることによって形成することができる。好適な表面処理剤の例としては、シラン、チタン酸塩、ジルコン酸塩、オルガノホスフェート、及びオルガノスルホネートが挙げられる。本発明に適したシラン表面処理剤の例としては以下が挙げられる。オクチルトリエトキシシラン、ビニルシラン(例えば、ビニルトリメトキシシラン及びビニルトリエトキシシラン)、テトラメチルクロロシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、トリス−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]イソシアヌレート、ビニル−トリス−(2−メトキシエトキシ)シラン、γ−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、ベータ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ベータ−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、ビス−(γ−トリメトキシシリルプロピル)アミン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリアルコキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、アクリルオキシアルキルトリメトキシシラン、メタクリルオキシアルキルトリメトキシシラン、フェニルトリクロロシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、SILQUESTA1230独自開発の非イオン性シラン分散剤(Momentive、オハイオ州、コロンバスから入手可能)、及びこれらの混合物。市販の表面処理剤の例としては、SILQUEST A174及びSILQUEST A1230(Momentiveから入手可能)が挙げられる。表面処理剤を用いて、それが改質している表面の疎水性又は親水性を調整してもよい。ビニルシランを用いて、更にいっそう高性能な表面改質を、ビニル基を別の試薬と反応させることによって得ることができる。活性又は不活性金属をガラスダイヤモンド粒子と組み合わせて、表面を化学的又は物理的に変化させることができる。スパッタリング、真空蒸着、化学気相成長法(CVD)又は溶融金属技術を用いることができる。
【0047】
いくつかの実施形態では、樹脂49はエポキシ樹脂を含んでいてもよい。その代わりに、又はそれに加えて、樹脂49は、基材に砥粒粒子を固定するのに適した任意の樹脂を含んでいてもよい。樹脂及び多孔質セラミック砥粒複合体に加えて、作業面45は更なる添加剤(例えば、充填材料又は他の材料)を含んでいてもよい。いくつかの例では、充填材料は、酸化アルミニウム、不織繊維、炭化ケイ素、及びセリア粒子のうちの1種以上を含んでいてもよい。このような例では、充填材料は、多孔質セラミック砥粒複合体と任意の充填材料との全重量に基づいて、作業面45の5重量パーセント〜50重量パーセントに相当してもよい。このような例は、カバーグラスのエッジ研削に対して用いる砥粒材にとって特に有用な場合がある。
【0048】
別の例として、作業面45は、樹脂内に分散させた金属粒子を多孔質セラミック砥粒複合体と組み合わせて含んでいてもよい。金属粒子があると、研削作業中に樹脂を保護するベアリング効果が得られる場合がある。このような金属粒子は、銅粒子、スズ粒子、真ちゅう粒子、アルミニウム粒子、ステンレス鋼粒子、及び金属合金のうちの1種以上を含んでいてもよい。例えば、金属粒子は、多孔質セラミック砥粒複合体と任意の金属粒子との全重量に基づいて、作業面45の5重量パーセント〜25重量パーセントに相当してもよい。同じか又は異なる例において、金属粒子は平均粒径が、10マイクロメートル〜250マイクロメートル、例えば44マイクロメートル〜149マイクロメートル、例えば約100マイクロメートルであってもよい。このような例は、カバーグラスのエッジ研削に対して用いる砥粒材にとって特に有用な場合がある。
【0049】
いくつかの実施形態では、ポリメチルメタクリレートビーズを作業面45の樹脂内に分散させてもよい。このような例では、ポリメチルメタクリレートビーズは、多孔質セラミック砥粒複合体とビーズとの全重量に基づいて、作業面45の1重量パーセント〜10重量パーセントに相当してもよい。このような例は、カバーグラスのエッジ研削に対して用いる砥粒材にとって特に有用な場合がある。
【0050】
いくつかの実施形態では、砥粒要素47を、3次元の、テクスチャード加工の、可撓性の固定砥粒構造を形成するような配列で配列してもよい。このような砥粒要素47には、マトリックス中に分散された砥粒粒子、例えば米国特許第5,958,794号(Bruxvoortら)(本明細書において参照によりその全体として取り入れられている)で説明されている砥粒要素が含まれていてもよい。この砥粒要素は、モノリシック列に方向付けられて、ダイ、モールド、エンボス、又は他の技術から正確に位置合わせされて製造される(以下、精密な形状の砥粒複合体と言う)。3M Company(ミネソタ州、セントポール)から入手可能な商品名トライザクトパターニングされた砥粒及びトライザクトダイヤモンドタイル砥粒の下で入手可能な砥粒物品中に与えられている砥粒要素が、典型的な精密な形状の砥粒複合体である。
【0051】
いくつかの実施形態では、精密な形状の砥粒複合体のマトリックス材料は、硬化又は硬化性有機材料を含んでいてもよい。硬化方法は重要でなく、例えば、エネルギー、例えば紫外線又は熱による硬化を含んでいてもよい。好適なマトリックス材料の例としては、例えば、アミノ樹脂、アルキル化尿素−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂、及びアルキル化ベンゾグアナミン−ホルムアルデヒド樹脂が挙げられる。他のマトリックス材料としては、例えば、アクリル樹脂(アクリレート及びメタクリレートを含む)、フェノール樹脂、ウレタン樹脂、及びエポキシ樹脂が挙げられる。具体的なアクリレート樹脂には、例えば、ビニルアクリレート、アクリル化エポキシ、アクリル化ウレタン、アクリル化油、及びアクリル化シリコーンが含まれる。具体的なフェノール樹脂には、例えば、レゾール樹脂及びノボラック樹脂、並びにフェノール/ラテックス樹脂が含まれる。同じか又は異なる例において、樹脂は、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリビニルブチラール(PVB)樹脂、アクリル樹脂、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、紫外線硬化性樹脂、及び電磁放射線硬化性樹脂のうちの1種以上を含んでいてもよい。例えば、エポキシは、砥粒複合材料の約20重量パーセント〜約35重量パーセントに相当してもよい。同じか又は異なる例において、ポリエステル樹脂は、砥粒複合材料の1重量パーセント〜10重量パーセントに相当してもよい。マトリックスは更に、従来の充填剤及び硬化剤を含んでいてもよい。例えば、米国特許第5,958,794号(Bruxvoortら)(本明細書において参照により取り入れられている)で説明されているものなどである。
【0052】
精密な形状の砥粒複合体にとって好適な砥粒粒子の例としては以下が挙げられる。立方晶窒化ホウ素、溶融酸化アルミニウム、セラミック酸化アルミニウム、熱処理された酸化アルミニウム、白色溶融酸化アルミニウム、黒色炭化ケイ素、緑色炭化ケイ素、二ホウ化チタン、炭化ホウ素、窒化ケイ素、炭化タングステン、炭化チタン、ダイヤモンド、立方晶窒化ホウ素、六方晶窒化ホウ素、アルミナジルコニア、酸化鉄、セリア、ガーネット、溶融アルミナジルコニア、アルミナ系のゾルゲル法によって得られた砥粒粒子など。アルミナ砥粒粒子は、金属酸化物改質剤を含有していてもよい。アルミナ系のゾルゲル法によって得られた砥粒粒子の例を、米国特許第4,314,827号、同第4,623,364号、同第4,744,802号、同第4,770,671号、同第4,881,951号(すべて本明細書において参照により取り入れられている)に見出すことができる。ダイヤモンド及び立方晶窒化ホウ素砥粒粒子は、単結晶質であっても多結晶質であってもよい。好適な無機砥粒粒子の他の例には、シリカ、酸化鉄、クロミア、セリア、ジルコニア、チタニア、酸化スズ、ガンマアルミナ等が含まれる。
【0053】
精密な形状の砥粒複合体それぞれの形状は、具体的な用途(例えば、加工物の材質、作業面の形状、接触面の形状、温度、樹脂相の材質)によって選択できる。精密な形状の砥粒複合体それぞれの形状は、任意の有用な形状、例えば、立方体、円筒形、角柱形、直角平行六面体、角錐形、角錐台、円錐形、半球形、円錐台、十字形、又は遠位端を有する柱様断面であってもよい。複合体角錘は、例えば、3、4面、5面、又は6面を有していてもよい。ベースにおける砥粒複合体の断面形状は、遠位端における断面形状と異なっていてもよい。これらの形状間の移行は、滑らかで連続的であってもよいし、不連続な段階を経て生じてもよい。精密な形状の砥粒複合体はまた、様々な形状の混合であってもよい。精密な形状の砥粒複合体は、列、渦巻状、螺旋状、又は格子状に構成されてもよく、ランダムに配置されてもよい。精密な形状の砥粒複合体は、流体の流れをガイドし、かつ/又は、切屑の除去を容易にするように意図されたデザインで構成できる。
【0054】
精密な形状の砥粒複合体を形成する側面は、先細で、遠位端に向かって幅が減少してもよい。先細の角度は、約1〜90未満度、例えば、約1〜約75度、約3〜約35度、又は約5〜約15度であってもよい。精密な形状の砥粒複合体のそれぞれの高さは同じであってもよいが、種々の高さの精密な形状の砥粒複合体が単一の物品中にあることも可能である。
【0055】
精密な形状の砥粒複合体の底部は、互いに隣接していてもよく、代わりに、隣り合う精密な形状の砥粒複合体の底部が、一定の距離で互いから分離していてもよい。いくつかの例では、隣接している砥粒複合体間の物理的接触は、接触している精密な形状の砥粒複合体のそれぞれの垂直高さ寸法の33パーセントを超えない。隣接のこの定義はまた、隣り合う精密な形状の砥粒複合体が、精密な形状の砥粒複合体の向かい合う側面間で接触及び伸長する、共通のランド又はブリッジ様構造物を共有する構成を含む。砥粒が隣り合っているということは、精密な形状の砥粒複合体の中心間に引かれる想像上の直線上に、介在する複合体が位置しないという意味である。
【0056】
精密な形状の砥粒複合体を作業面45内に所定のパターンで又は所定の箇所に並べてもよい。例えば、砥粒物品が、裏材と成形型との間に砥粒/樹脂スラリーを提供することにより作られるとき、精密な形状の砥粒複合体の所定のパターンは、成形型のパターンに対応すると考えられる。したがって、パターンは、砥粒物品から砥粒物品へと再現可能である。
【0057】
所定のパターンは、ある配列又は構成をなしていてもよく、これは、複合体がデザインされた配列、例えば整列した横列及び縦列、又は交互にずれた横列及び縦列をなしていることが意図されている。別の例では、砥粒複合体を「ランダム」配列又はパターンで並べてもよい。この意味するところは、複合体が上述のとおりの横列及び縦列の規則的な配列ではないということである。しかしながら、この「ランダム」な配列は、精密な形状の砥粒複合体の位置が予め定められ、成形型に対応するという点では、所定のパターンであることが理解される。
【0058】
種々の例では、本明細書で説明するような砥粒物品29を用いて、カバーグラスのエッジ研削に特に適した砥粒回転ツールの砥粒面を形成してもよい。いくつかの例では、砥粒材(樹脂、砥粒要素、及び樹脂中に分散された任意の更なる添加剤を含む)をモールドして、砥粒面又は回転ツール全体28でさえ形成してもよい。例えば、砥粒材を回転ツール28のコア上にオーバーモールドして砥粒面を形成してもよい。概して、このようなコアは、ツールシャンクに加えて、ツールシャンクに砥粒材を機械的に固定するための砥粒材中に埋め込まれる部分を含むであろう。
【0059】
他の例では、砥粒物品29を基材に結合してもよい。基材は、回転ツールの形状を与える回転ツール28のコアに相当してもよく、砥粒物品29は回転ツールのコアに直接付与される。他の例では、基材は、回転ツールのコアに後で付与されるシート材料に相当してもよい。このような例では、基材は平坦な基材であってもよいし又は湾曲した基材であってもよい。種々の例では、基材は、ポリマーフィルム、不織基材、織物基材、ゴム基材、弾性基材、フォーム基材、整合材料、押出フィルム、プライマー処理された基材、及びプライマー未処理の基材のうちの1種以上を含んでいてもよい。
【0060】
図2及び4A〜9に例示するのは、ガラス(例えば、カバーグラス、サファイア、セラミックスなど)の研削に適した回転砥粒ツール例であり、
図3に例示するのは電子デバイスに対するカバーグラスである。
図2及び4A〜9のツールはそれぞれ、本明細書で説明するような砥粒物品29及び/又は作業面45を含んでいてもよく、システム10内の回転ツール28として用いてもよい(
図1)。
【0061】
詳細には、
図2に例示するのは回転砥粒ツール例100である。回転砥粒ツール100は、可撓性フラップの曲がりによって複数の角度に渡ってワークピースのエッジを研磨することを容易にする砥粒外部表面106、108を伴う可撓性フラップ104のセットを含む。例えば、砥粒外部表面106、108は、本明細書で説明するような砥粒物品29及び/又は作業面45を含むか又はこれらから形成されていてもよい。回転砥粒ツール100は更にツールシャンク102を含んでいる。ツールシャンク102はツール100に対する回転軸を規定する。可撓性フラップ104を、任意的な固定メカニズム105を用いてツールシャンク102に固定してもよい。固定メカニズム105は、ピン、ネジ、リベット、又は他の固定メカニズムを表してもよい。ツールシャンク102を、回転機械(例えば、ドリル又はCNC機械)のチャック内に取り付けるように構成してもよい。
【0062】
可撓性フラップ104は、ツールシャンク102と反対側に位置する可撓性の平坦部分を形成する。可撓性フラップ104はそれぞれ、可撓性フラップ104の第1の側面上に第1の砥粒外部表面106を形成している。可撓性フラップ104の第1の側面は、ツールシャンク102から概ね離れる方向を向いている。また可撓性フラップ104はそれぞれ、可撓性フラップ104の第2の側面上に任意的な第2の砥粒外部表面108形成している。可撓性フラップ104の第2の側面は、概ねツールシャンク102の方向を向いている。任意的な基材110が、第1の砥粒外部表面106と第2の砥粒外部表面108との間に配置されている。いくつかの例では、基材110は、砥粒外部表面106、108を裏打ちする弾性的圧縮性層を含んでいてもよい。
【0063】
回転砥粒ツール100は更に、ツールシャンク102に取り付けられた円柱状部分114を含む。円柱状部分114は、回転軸103を囲む第3の砥粒外部表面116を形成する。円柱状部分114は更に、砥粒外部表面116を裏打ちする任意的な弾性的圧縮性層を含んでいてもよい。可撓性フラップ104は、回転軸103に対する円柱状部分114の外径を過ぎて延びる。
【0064】
砥粒外部表面106、108、及び116のうちの1つ以上は、本明細書で前述したような砥粒物品29及び/又は作業面45で形成されていてもよいし、又はこれらを含んでいてもよい。同じか又は異なる例において、砥粒外部表面106、108、及び116のうちの1つ以上。このような物品又は表面を、ツール100の基材(例えば、基材110)にエポキシを用いて固定してもよい。
【0065】
異なる例では、本明細書で説明するように、砥粒外部表面106、108、及び116のうちの1つ以上の砥粒は、砥粒サイズとして20マイクロメートル未満、例えば砥粒サイズとして約10マイクロメートル〜約1マイクロメートル、例えば砥粒サイズとして約3マイクロメートルを示してもよい。このような例は、カバーグラスのエッジ研削に対して特に有用である場合がある。
【0066】
いくつかの例では、円柱状部分114の第3の砥粒外部表面116は、互いとは異なる砥粒サイズを伴う部分を含んでいてもよい。このような例では、異なる部分を連続して用いて、研削作業(例えば、カバーグラスのエッジ研削)中の表面仕上げを改善してもよいし又は表面仕上げに対する速度を改善してもよい。
【0067】
図4A〜4Cに関してより詳細に説明するように、円柱状部分114は、ツールシャンク102からのツール100が動作する間、ワークピースの第1の側面とワークピースの第2の側面との間のワークピースのエッジを研磨することを容易にする。加えて、第1の砥粒外部表面106がワークピースの第1の角部に適用されたときに、可撓性フラップ104は、第1の砥粒外部表面106を用いて、ワークピースの第1の側面に隣接する第1の角部を、回転ツールに対する回転軸に対する複数の角度に渡って、可撓性フラップ104の曲がりによって、容易に研磨する。同様に、第2の砥粒外部表面108がワークピースの第2の角部に適用されたときに、可撓性フラップ104は、第2の砥粒外部表面108を用いて、ワークピースの第2の側面に隣接する第2の角部であって、ワークピースの第2の側面はワークピースの第1の側面と向かい合う第2の角部を、回転ツールに対する回転軸に対する複数の角度に渡って、可撓性フラップ104の曲がりによって、容易に研磨する。
【0068】
図3に例示するのはカバーグラス150(電子デバイス、携帯電話、パーソナル音楽プレーヤ、又は他の電子デバイスに対するカバーグラス)である。いくつかの例では、カバーグラス150は電子デバイスに対するタッチスクリーンの構成部品であってもよい。カバーグラス150は、厚さが1ミリメートル未満のアルミナ−シリケートベースのガラスであってもよいが、他の組成物も可能である。
【0069】
カバーグラス150は、第1の主表面162と、向かい合う第2の主表面164とを含んでいる。概ね、しかしいつもとは限らないが、主表面162、164は平面表面である。エッジ表面166は主表面162、164の周縁部に従っている。周縁部は丸みを帯びた角部167を含んでいる。カバーグラス150は更に孔152を形成している。孔152はその独自のエッジ表面(例えば、エッジ表面153(
図4Aを参照))を含んでいる。
【0070】
割れに対する抵抗を増加させ、外観を改善するために、カバーグラス150の表面(主表面162、164、エッジ表面166、及び孔152のエッジ表面152を含む)を、カバーグラス150の製造中に、実用的な範囲で滑らかにしなければならない。カバーグラス150の大まかな形状を形成するための機械加工の後に、表面を例えばCeOスラリーを用いて磨きをして、カバーグラス150中の研削及び機械加工マークを取り除いてもよい。
【0071】
加えて、本明細書で開示したように、回転砥粒ツール(例えば、
図2及び4A〜9に関して説明したもの)を用いてエッジ表面粗さ(例えば、エッジ表面166及び孔152のエッジ表面)を小さくすることを、CNC機械を用いて、磨きの前に行なってもよい。中間の研削ステップによって、カバーグラス150の所望の表面仕上げ品質を得るための磨き時間が短くなることによって、製造時間が短くなるだけでなく、カバーグラス150を製造するためのより正確な寸法制御が得られる場合がある。
【0072】
図4A〜4Cに例示するのは、回転砥粒ツール100を用いてカバーグラス150を研磨する様子である。カバーグラス150は、その大まかな形状を形成するための機械加工後にまだ磨きも硬くもされていない部分的に完成したカバーグラスを表していてもよい。回転砥粒ツール100は最初に、CNC機械(例えば回転機械23)の回転ツールホルダに固定してもよい。
【0073】
図4Aに例示するように、ツール100の可撓性部分の表面106、可撓性フラップ104を用いて、孔152のエッジ153と主表面162との間の角部を研磨している。可撓性フラップ104の可撓性によって、表面106が孔152のエッジ153と主表面162との間の角部の輪郭に適合することが、予めプログラムされた命令セットに従って、例えばCNC機械によって回転砥粒ツール100が孔152を押し通されるときに可能である。異なる例では、これらの角部は、ツール100による研磨の前に、丸みを帯びているか、斜角であるか、又は正方形であってもよい。同様に、可撓性フラップ104の可撓性によって、表面106が、他の角部(エッジ166と主表面162との間の角部を含む)の輪郭に適合して、表面106を用いたこれらの角部の研磨を容易にすることが可能になる。異なる例では、エッジ166と主表面162との間の角部は、ツール100による研磨の前に、丸みを帯びているか、斜角であるか、又は正方形であってもよい。同様に、ツール200、400、500、及び600(
図5及び7〜9に関して以下に説明する)のうちのいずれかを用いて、エッジ166と主表面162との間の角部を研磨してもよい。
【0074】
また可撓性フラップ104は、孔152を完全に押し通るほどに十分に可撓性であり、
図4Bに示すように、円柱状部分114の砥粒外部表面116によって孔152のエッジ153を研磨することができる。加えて、可撓性フラップ104の可撓性によって、表面108が孔152のエッジ153と主表面164との間の角部の輪郭に適合することが、回転砥粒ツール100が例えばCNC機械によって孔152を通して引き戻されたときに生じる。異なる例では、これらの角部は、ツール100による研磨の前に、丸みを帯びているか、斜角であるか、又は正方形であってもよい。同様に、可撓性フラップ104の可撓性によって、表面106が、他の角部(エッジ166と主表面164との間の角部を含む)の輪郭に適合して、これらの角部を表面108を用いて研磨することを容易にすることができる。同様に、ツール200、400、及び500(
図5、7、及び8に関して以下に説明する)のいずれかを用いて、孔152におけるエッジ166と主表面162との間の角部を研磨してもよい。
【0075】
このように、ツール100によって、孔152に付随するすべての表面(エッジ153と、エッジ153と主表面162、164との間の角部とを含む)を研磨することができる。このような研磨は、ツール100を連続的に回転させながら、孔152に付随する表面を砥粒面106、116、及び108に接触させることによって行なってもよい。またツール100によって、エッジ166に付随するすべての表面(エッジ166と主表面162、164との間の角部とを含む)を研磨することができる。このような研磨は、ツール100を連続的に回転させながら、エッジ166に付随する表面を砥粒面106、116、及び108に接触させることによって行なってもよい。エッジ153、166に付随する表面をツール100を用いて研磨した後で、これらの表面を砥粒スラリー(例えばCeOスラリー)を用いて磨きをして、表面仕上げを更に改善してもよい。砥粒スラリーを用いる同じか又は異なる例において、ツール100は、異なるレベルの研磨を与える2つ以上のツール100のセットの一部であってもよい。例えば、ツールをより粗いレベルの研磨性からより低いレベルの研磨性へと連続して用いて、表面仕上げを精緻なものにしてもよい。
【0076】
図5に例示するのは回転砥粒ツール200である。回転砥粒ツール200は回転砥粒ツール100と実質的に同様である。但し、回転砥粒ツール200は、単一セットの可撓性フラップ104ではなくて、砥粒外部表面を伴う2つのセットの可撓性フラップ204、234を含んでいる。可撓性フラップ204、234は異なるレベルの研磨を含んでいてもよい。
【0077】
回転砥粒ツール200は、2つのセットの可撓性フラップ204、234(砥粒外部表面206、208、236、238を伴う)を含む。これらによって、ワークピースのエッジが、複数の角度に渡って、可撓性フラップの曲がりによって、容易に研磨される。回転砥粒ツール200は更にツールシャンク202を含んでいる。ツールシャンク202はツール200に対する回転軸を規定する。可撓性フラップ204を、ツールシャンク202に任意的な固定メカニズム205を用いて固定してもよい。固定メカニズム205は、ピン、ネジ、リベット、又は他の固定メカニズムを表してもよい。ツールシャンク202を、回転機械(例えば、ドリル又はCNC機械)のチャック内に取り付けるように構成してもよい。
【0078】
可撓性フラップ204は、円柱状部分214に対してツールシャンク202と反対側に位置する可撓性の平坦部分を形成する。可撓性フラップ204は、回転軸に対する円柱状部分214の外径を過ぎて延びる。可撓性フラップ204はそれぞれ、可撓性フラップ204の第1の側面上に第1の砥粒外部表面206を形成している。可撓性フラップ204の第1の側面は、ツールシャンク202から概ね離れる方向を向いている。可撓性フラップ204はそれぞれ、可撓性フラップ204の第2の側面上に任意的な第2の砥粒外部表面208を形成している。可撓性フラップ204の第2の側面は、概ねツールシャンク202の方向を向いている。
【0079】
回転砥粒ツール200は更に、ツールシャンク202に取り付けられた円柱状部分214を含んでいる。円柱状部分214は、回転砥粒ツール200に対する回転軸を囲む第3の砥粒外部表面216を形成している。砥粒外部表面216は、異なる砥粒サイズを伴う2つの部分227、228を含んでいる。異なる部分を連続して用いて、研削作業(例えば、カバーグラスのエッジ研削)中の表面仕上げを改善してもよいし又は表面仕上げに対する速度を改善してもよい。他の例では、2つを超える砥粒サイズが含まれていてもよい。[0089]可撓性フラップ234は、ツールシャンク202に隣接して位置する可撓性の平坦部分を形成する。可撓性フラップ234は、回転軸に対する円柱状部分214の外径を過ぎて延びている。可撓性フラップ234はそれぞれ、可撓性フラップ234の第1の側面上に第1の砥粒外部表面236を形成している。可撓性フラップ234の第1の側面は、ツールシャンク202から概ね離れる方向を向いている。可撓性フラップ234はそれぞれ、可撓性フラップ234の第2の側面上に任意的な第2の砥粒外部表面238形成している。可撓性フラップ234の第2の側面は、概ねツールシャンク202の方向を向いている。
【0080】
砥粒外部表面206、208、216、236、及び238のうちの1つ以上は、本明細書で前述したような砥粒物品29及び/又は作業面45を含むか又はこれらから形成されていてもよい。このような物品又は表面を、エポキシ、接着剤、又は他の材料を用いてツール200の基材に固定してもよい。
【0081】
回転ツール100に関して前述したように、円柱状部分214は、ツールシャンク202からのツール200が動作する間、ワークピースの第1の側面とワークピースの第2の側面との間のワークピースのエッジを研磨することを容易にする。加えて、第1の砥粒外部表面206、236のうちの一方がワークピースの第1の角部に適用されたときに、可撓性フラップ204、234は、第1の砥粒外部表面206、236のうちの一方を用いて、ワークピースの第1の側面に隣接する第1の角部を、回転ツールに対する回転軸に対する複数の角度に渡って、可撓性フラップ204、234の曲がりによって、容易に研磨する。同様に、砥粒外部表面208、238のうちの1つの第2のものがワークピースの第2の角部に適用されたときに、可撓性フラップ204、234は、第2の砥粒外部表面208、238のうちの一方を用いて、ワークピースの第2の側面に隣接する第2の角部であって、ワークピースの第2の側面はワークピースの第1の側面と向かい合う第2の角部を、回転ツールに対する回転軸に対する複数の角度に渡って、可撓性フラップ204、234の曲がりによって、容易に研磨する。
【0082】
いくつかの例では、砥粒外部表面206は砥粒外部表面236よりも大きい砥粒サイズを与えてもよい。また砥粒外部表面238は砥粒外部表面208よりも大きい砥粒サイズを与えてもよい。このように、ツール200が孔を完全に押し通されると、第1のエッジは外部表面206によって、次に外部表面236によって研磨され、一方で、ツール200が孔から引き出されるときに、向かい合うエッジが最初に外部表面238によって、次に外部表面208によって研磨される。
【0083】
ツール200を用いてワークピースの表面を研磨した後で、これらの表面を砥粒スラリー(例えばCeOスラリー)を用いて磨きをして、表面仕上げを更に改善してもよい。砥粒スラリーを用いる同じか又は異なる例において、ツール200は、異なるレベルの研磨を与える2つ以上のツール200のセットの一部であってもよい。例えば、ツールをより粗いレベルの研磨性からより低いレベルの研磨性まで連続して用いて、ワークピース(例えば、カバーグラス150)の表面仕上げを精緻なものにしてもよい。
【0084】
図6に例示するのは回転砥粒ツール300である。回転砥粒ツール300は回転砥粒ツール100と実質的に同様である。但し、回転砥粒ツール300は可撓性フラップ104を含んでいない。
【0085】
回転砥粒ツール300はツールシャンク302を含んでいる。ツールシャンク302はツール300に対する回転軸を規定する。ツールシャンク302を、回転機械(例えば、ドリル又はCNC機械)のチャック内に取り付けるように構成してもよい。回転砥粒ツール300は更に、ツールシャンク302と同軸配置にあり、これに取り付けられた円柱状部分314を含んでいる。円柱状部分314は、ツール300の回転軸に垂直な円形断面を伴う砥粒外部表面316を形成している。いくつかの例では、2つ以上の砥粒サイズが砥粒外部表面316の異なる部分に含まれていてもよい。砥粒外部表面316は、本明細書で前述した砥粒コーティングを含んでいてもよい。同じか又は異なる例において、砥粒外部表面316は、やはり本明細書で前述した砥粒フィルムを含んでいてもよい。
【0086】
ツール300を用いてワークピースの表面を研磨した後で、これらの表面砥粒スラリー(例えばCeOスラリー)を用いて磨きをして、表面仕上げを更に改善してもよい。砥粒スラリーを用いる同じか又は異なる例において、ツール300は、異なるレベルの研磨を与える2つ以上のツール300のセットの一部であってもよい。例えば、ツールをより粗いレベルの研磨性からより低いレベルの研磨性へと連続して用いて、表面仕上げを精緻なものにしてもよい。
【0087】
図7に例示するのは回転砥粒ツール400である。回転砥粒ツール400は回転砥粒ツール300と実質的に同様であるが、ワークピース(例えば、カバーグラス150)の斜角エッジを研磨するための砥粒外部表面440を含む傾斜表面が付加されている。
【0088】
回転砥粒ツール400はツールシャンク402を含んでいる。ツールシャンク402はツール400に対する回転軸を規定する。ツールシャンク402を、回転機械(例えば、ドリル又はCNC機械)のチャック内に取り付けるように構成してもよい。回転砥粒ツール400は更に、ツールシャンク402と同軸配置にありこれに取り付けられた円柱状部分414を含んでいる。円柱状部分414は、ツール400の回転軸に垂直な円形断面を伴う砥粒外部表面416を形成している。いくつかの例では、2つ以上の砥粒サイズが砥粒外部表面416の異なる部分に含まれていてもよい。
【0089】
回転砥粒ツール400は更に第2の砥粒外部表面440を含んでいる。第2の砥粒外部表面440は、砥粒ツール400に対する回転軸に対する傾斜表面を形成する。砥粒外部表面440によって、ワークピース(例えばワークピース150)の内部又は外部の斜角エッジを研磨することが容易になる場合がある。そのため、砥粒外部表面440の形状はワークピースのエッジの所望の仕上げ形状に対応する。他の例では、回転ツールは、ワークピースのエッジの所望の仕上げ形状に対応する異なる幾何学的形状を含んでいてもよい。
【0090】
砥粒外部表面416、440は、前述したように砥粒物品29及び/又は作業面45を含むか又はこれらから形成されていてもよい。
【0091】
ツール400を用いてワークピースの表面を研磨した後で、これらの表面を砥粒スラリー(例えばCeOスラリー)を用いて磨きをして、表面仕上げを更に改善してもよい。砥粒スラリーを用いる同じか又は異なる例において、ツール400は、異なるレベルの磨耗を与える2つ以上のツール400のセットの一部であってもよい。例えば、ツールをより粗いレベルの磨耗性からより低いレベルの磨耗性へと連続して用いて、表面仕上げを精緻なものにしてもよい。
【0092】
図8に例示するのは回転砥粒ツール500である。回転砥粒ツール500は回転砥粒ツール300と実質的に同様であるが、ワークピース(例えば、カバーグラス150)の斜角エッジを研磨するための砥粒外部表面542、544を含む傾斜表面が付加されている。
【0093】
回転砥粒ツール500はツールシャンク502を含んでいる。ツールシャンク502はツール500に対する回転軸を規定する。ツールシャンク502を、回転機械(例えば、ドリル又はCNC機械)のチャック内に取り付けるように構成してもよい。回転砥粒ツール500は更に、ツールシャンク502と同軸配置にありこれに取り付けられた円柱状部分514を含んでいる。円柱状部分514は、ツール500の回転軸に垂直な円形断面を伴う砥粒外部表面516を形成している。いくつかの例では、2つ以上の砥粒サイズが砥粒外部表面516の異なる部分に含まれていてもよい。
【0094】
回転砥粒ツール500は更に、円柱状部分514の両側に砥粒外部表面542、544を含んでいる。砥粒外部表面542、544は、砥粒ツール500に対する回転軸に対する傾斜表面を形成している。砥粒外部表面542を、任意的な固定メカニズム205を用いてツールシャンク202に固定してもよい。固定メカニズム205は、ピン、ネジ、リベット、又は他の固定メカニズムを表してもよい。砥粒外部表面542、544によって、ワークピース(例えばワークピース150)の内部又は外部の斜角エッジを研磨することが容易になる場合がある。例えば、外部表面542を、ワークピースの第1の側面上の内部又は外部の斜角エッジを研磨することを容易にするように構成してもよく、一方で、外部表面542を、ワークピースの第2の側面上の内部又は外部の斜角エッジを研磨することを容易にするように構成してもよい。ワークピースの第2の側面はワークピースの第1の側面と向かい合う。そのため、砥粒外部表面542、544の形状はワークピースの所望の仕上げ形状に対応する。他の例では、回転ツールは、ワークピースのエッジの所望の仕上げ形状に対応する異なる幾何学的形状を含んでいてもよい。
【0095】
砥粒外部表面516、542、544は、本明細書で前述したような砥粒物品29及び/又は作業面45を含むか又はこれらから形成されていてもよい。
【0096】
ツール500を用いてワークピースの表面を研磨した後で、これらの表面を砥粒スラリー(例えばCeOスラリー)を用いて磨きをして、表面仕上げを更に改善してもよい。砥粒スラリーを用いる同じか又は異なる例において、ツール500は、異なるレベルの研磨を与える2つ以上のツール500のセットの一部であってもよい。例えば、ツールをより粗いレベルの研磨性からより低いレベルの研磨性へと連続して用いて、表面仕上げを精緻なものにしてもよい。
【0097】
図9に例示するのは、回転ツールに対する回転軸に垂直な平面表面を形成する砥粒外部表面を含む回転砥粒ツール例である。
【0098】
図6に回転砥粒ツール600を例示する。回転砥粒ツール600はツールシャンク602を含んでいる。ツールシャンク602はツール600に対する回転軸を規定する。ツールシャンク602を、回転機械(例えば、ドリル又はCNC機械)のチャック内に取り付けるように構成してもよい。平坦なツールコア606はツールシャンク602に装着され、ツール600に対する回転軸に垂直である。いくつかの例では、平坦なツールコア606とツールシャンク602とは一体の部品に相当してもよい。
【0099】
回転砥粒ツール600は平坦な砥粒外部表面650を含んでいる。砥粒外部表面650はツール600に対する回転軸に垂直である。リリーフノッチ552が平坦な砥粒外部表面650の表面内に配置されて、ツール600を用いた研削作業中のくず除去を容易にしている。回転砥粒ツール600はまた、傾斜砥粒面654を含んでいる。傾斜砥粒面654は、ワークピース(例えば、カバーグラス150)の内部又は外部の斜角エッジを研磨することを容易にする。平坦な砥粒外部表面650及び砥粒面654によって、ツール600の回転軸に垂直な円形断面が与えられている。
【0100】
砥粒外部表面650、654は、本明細書で前述したような砥粒コーティングを含んでいてもよい。同じか又は異なる例において、砥粒外部表面650、654は、やはり本明細書で前述したような砥粒フィルムを含んでいてもよい。
【0101】
ツール600を用いてワークピースの表面を研磨した後で、これらの表面を砥粒スラリー(例えばCeOスラリー)を用いて磨きをして、表面仕上げを更に改善してもよい。砥粒スラリーを用いる同じか又は異なる例において、ツール600は、異なるレベルの研磨を与える2つ以上のツール600のセットの一部であってもよい。例えば、ツールをより粗いレベルの研磨性からより低いレベルの研磨性へと連続して用いて、表面仕上げを精緻なものにしてもよい。
【0102】
図10は、エポキシ砥粒シートを伴う回転ツールを製造するための技術例を例示するフローチャートである。最初に、部分的に硬化したエポキシを含む砥粒シートを、回転ツールの砥粒面にフィットするように切断する(702)。次に、切断されたシートを回転ツールのコアに巻いて接着する(704)。砥粒が回転ツールのコア上の所定の位置にある時点で、砥粒材のエポキシを更に硬化させて、砥粒材(706)の硬度及び耐久性を増加させる。
【0103】
いくつかの特定の例、砥粒材は、前述したようなエポキシ樹脂中に分散された複数のセラミック砥粒凝集体を含んでいてもよい。同じか又は異なる例において、砥粒材のシートは、砥粒材がポリマーフィルム上に堆積され、プライマー層が砥粒複合体層とポリマーフィルムとの間にあってもよい。ポリマーフィルム自体を柔軟層(例えば発泡体)上に、ポリマーフィルムを柔軟層に固定する接着剤を用いて配置してもよい。砥粒材コーティングの組み合わせ、ポリマー材料、及び柔軟材料を次に、回転ツールのコアに適用して、
図10の技術により回転ツール上の砥粒面の形状を形成してもよい。
【0104】
実施形態の一覧表
1. 砥粒回転ツールであって、
回転ツールに対する回転軸を規定するツールシャンクと、
ツールシャンクに結合された砥粒外部作業面であって、砥粒外部作業面は、
樹脂と、
樹脂中に分散された複数の多孔質セラミック砥粒複合体であって、多孔質セラミック砥粒複合体は、多孔質セラミックマトリックス材料中に分散された個別砥粒粒子を含み、多孔質セラミックマトリックスの少なくとも一部分はガラス質セラミックを含み、平均の多孔質セラミック砥粒複合体サイズ対平均の個別砥粒粒子サイズの比は15対1以下である、多孔質セラミック砥粒複合体と、を含む、砥粒外部作業面と、を含む砥粒回転ツール。
【0105】
2. 樹脂はエポキシ樹脂を含む、実施形態1に記載の砥粒回転ツール。
【0106】
3. 樹脂は、
ポリエステル樹脂、
ポリビニルブチラール(PVB)樹脂、
アクリル樹脂、
熱可塑性樹脂、
熱硬化性樹脂、
紫外線硬化性樹脂、電磁放射線硬化性樹脂からなる群のうちの1種以上を含む、実施形態1に記載の砥粒回転ツール。
【0107】
4. エポキシ樹脂は、樹脂及び多孔質セラミック砥粒複合体の全重量に基づいて、作業面の約20重量パーセント〜約35重量パーセントに相当する、実施形態1に記載の砥粒回転ツール。
【0108】
5. 樹脂はポリエステル樹脂を含み、ポリエステル樹脂は、樹脂及び多孔質セラミック砥粒複合体の全重量に基づいて、作業面の1重量パーセント〜10重量パーセントに相当する、実施形態3又は実施形態4に記載の砥粒回転ツール。
【0109】
6. 個別砥粒粒子はダイヤモンドを含む、先行する、実施形態のいずれかに記載の砥粒回転ツール。
【0110】
7. 個別砥粒粒子は、
立方晶窒化ホウ素、溶融酸化アルミニウム、セラミック酸化アルミニウム、
加熱処理された酸化アルミニウム、炭化ケイ素、炭化ホウ素、アルミナジルコニア、酸化鉄、セリア、ガーネットからなる群からの1種以上を含む、先行する実施形態のいずれかに記載の砥粒回転ツール。
【0111】
8. 多孔質セラミック砥粒複合体は、平均粒径が65ミクロン未満であり、最大粒径が500ミクロン未満である、先行する実施形態のいずれか1つに記載の砥粒回転ツール。
【0112】
9. 多孔質セラミック砥粒複合体の平均径は、砥粒粒子の平均径の少なくとも約5倍である、先行する実施形態のいずれかに記載の砥粒回転ツール。
【0113】
10. 多孔質セラミック砥粒複合体は、樹脂及び多孔質セラミック砥粒複合体の全重量に基づいて、作業面の35重量パーセント〜65重量パーセントに相当する、先行する実施形態のいずれかに記載の砥粒回転ツール。
【0114】
11. 多孔質セラミック砥粒複合体対樹脂の体積比は3対2よりも大きい、先行する実施形態のいずれかに記載の砥粒回転ツール。
【0115】
12. 多孔質セラミック砥粒複合体は細孔容積が4パーセント〜70パーセントの範囲である、先行する実施形態のいずれかに記載の砥粒回転ツール。
【0116】
13. 多孔質セラミックマトリックスは、酸化アルミニウム、酸化ホウ素、酸化ケイ素、酸化マグネシウム、酸化ナトリウム、酸化マンガン、酸化亜鉛からなる群からの1種以上を含むガラスを含む、先行する実施形態のいずれかに記載の砥粒回転ツール。
【0117】
14. 多孔質セラミックマトリックスは、マトリックスの全重量に基づいて、少なくとも30重量パーセントのガラス質セラミック材料を含む、先行する実施形態のいずれかに記載の砥粒回転ツール。
【0118】
15. 多孔質セラミックマトリックスは本質的にガラス質セラミック材料からなる、先行する実施形態のいずれかに記載の砥粒回転ツール。
【0119】
16. 樹脂中に分散された金属粒子を更に含む、先行する実施形態のいずれかに記載の砥粒回転ツール。
【0120】
17. 金属粒子は、銅粒子、スズ粒子、真ちゅう粒子、アルミニウム粒子、ステンレス鋼粒子、金属合金、2種以上の金属粒子組成のブレンドからなる群からの1種以上を含む、実施形態16に記載の砥粒回転ツール。
【0121】
18. 金属粒子は、砥粒外部作業面の全重量に基づいて、作業面の5重量パーセント〜20重量パーセントに相当する、実施形態16又は実施形態17に記載の砥粒回転ツール。
【0122】
19. 金属粒子は平均粒径が10マイクロメートル〜250マイクロメートルである、実施形態16〜18のいずれかに記載の砥粒回転ツール。
【0123】
20. 金属粒子は平均粒径が44マイクロメートル〜149マイクロメートルである、実施形態16〜19のいずれかに記載の砥粒回転ツール。
【0124】
21. 金属粒子は平均粒径が約100マイクロメートルである、実施形態16〜20のいずれかに記載の砥粒回転ツール。
【0125】
22. 更にポリメチルメタクリレートビーズを含む、先行する実施形態のいずれかに記載の砥粒回転ツール。
【0126】
23. ポリメチルメタクリレートビーズは、砥粒外部作業面の全重量に基づいて、作業面の1重量パーセント〜10重量パーセントに相当する、実施形態22に記載の砥粒回転ツール。
【0127】
24. 充填材料を更に含む先行する、実施形態のいずれかに記載の砥粒回転ツール。
【0128】
25. 充填材料は酸化アルミニウム不織繊維、炭化ケイ素、セリア粒子からなる群のうちの1種以上を含む、実施形態24に記載の砥粒回転ツール。
【0129】
26. 充填材料は、砥粒外部作業面の全重量に基づいて、作業面の5重量パーセント〜50重量パーセントに相当する、実施形態24又は実施形態25に記載の砥粒回転ツール。
【0130】
27. 砥粒外部作業面はモールド面である、先行する実施形態のいずれかに記載の砥粒回転ツール。
【0131】
28. 砥粒外部作業面は、精密な形状の砥粒凝集体の配列を形成し、それぞれの精密な形状の砥粒凝集体は、先細で、その遠位端に向かって幅が減少している先行する、実施形態のいずれかに記載の砥粒回転ツール。
【0132】
29. 砥粒外部作業面は、基材上に配置されたコーティングである、実施形態1〜26のいずれかに記載の砥粒回転ツール。
【0133】
30. 基材は平坦な基材である、実施形態29に記載の砥粒回転ツール。
【0134】
31. 基材は湾曲した基材である、実施形態29に記載の砥粒回転ツール。
【0135】
32. 基材は、
ポリマーフィルム、
不織基材、
織物基材、ゴム基材、弾性基材、フォーム基材、
整合材料、
押出フィルム、
プライマー処理された基材、及びプライマー未処理の基材からなる群のうちの1種以上を含む、実施形態29〜31のいずれかに記載の砥粒回転ツール。
【0136】
33. 基材はシート材料である、実施形態29〜32のいずれかに記載の砥粒回転ツール。
【0137】
34. 基材は回転砥粒ツールのコアであり、作業面は回転砥粒ツールのコアに直接適用される、実施形態29〜32のいずれかに記載の砥粒回転ツール。
【0138】
35. 平均の多孔質セラミック砥粒複合体サイズ対平均の個別砥粒粒子サイズの比は10対1以下である、先行する実施形態のいずれかに記載の砥粒回転ツール。
【0139】
36. 円柱状部分に対してツールシャンクの反対側に位置する可撓性の平坦部分を更に含み、
可撓性の平坦部分は、ツールシャンクから概ね離れる方向を向く可撓性の平坦部分の第1の側面上に砥粒外部作業面を形成し、
砥粒外部作業面がワークピースの角部に適用されたときに、可撓性の平坦部分は、砥粒外部作業面を用いて、ワークピースの角部を、回転ツールに対する回転軸に対する複数の角度に渡って、可撓性の平坦部分の曲がりによって、容易に研磨する、先行する実施形態のいずれかに記載の砥粒回転ツール。
【0140】
37. 砥粒外部作業面は第1の砥粒外部作業面であり、
砥粒回転ツールは更に、可撓性の平坦部分の第2の側面上に第2の砥粒外部作業面を含み、可撓性の平坦部分の第2の側面は概ねツールシャンクの方向を向き、
角部は、ワークピースの第1の側面に隣接するワークピースの第1の角部であり、第2の砥粒作業外部表面がワークピースの第2の角部に適用されたときに、可撓性の平坦部分は、第2の砥粒外部作業面を用いて、ワークピースの第2の側面に隣接する第2の角部であって、ワークピースの第2の側面はワークピースの第1の側面と向かい合う第2の角部を、回転ツールに対する回転軸に対する複数の角度に渡って、可撓性の平坦部分の曲がりによって、容易に研磨する、実施形態36に記載の砥粒回転ツール。
【0141】
38. ワークピースの第1の角部とワークピースの第2の角部は、第1の側面から第2の側面まで延びるワークピース内の孔によって形成される、実施形態37に記載の砥粒回転ツール。
【0142】
39. 砥粒外部作業面は砥粒円柱面を含む、実施形態1〜35のいずれかに記載の砥粒回転ツール。
【0143】
40. 砥粒外部作業面は回転ツールに対する回転軸を囲み、砥粒外部作業面は、ツール形状がワークピースのエッジの所望の仕上げ形状に対応するように、回転軸に垂直な1つ以上の円形断面を有する、実施形態1〜35のいずれかに記載の砥粒回転ツール。
【0144】
41. 砥粒外部作業面は、回転ツールに対する回転軸と同軸配置にある円柱形状を形成する、実施形態1〜35のいずれかに記載の砥粒回転ツール。
【0145】
42. 砥粒外部作業面は第1の砥粒外部作業面であり、砥粒回転ツールは更に、回転ツールに対する回転軸に対する傾斜表面を形成する第2の砥粒外部作業面を含んで、ワークピースの内部又は外部の斜角エッジを研磨することを容易にする、実施形態41に記載の砥粒回転ツール。
【0146】
43. 傾斜表面は第1の傾斜表面であり、砥粒回転ツールは更に、回転ツールに対する回転軸に対する第2の傾斜表面を形成する第3の砥粒外部作業面を含んで、ワークピースの内部又は外部の斜角エッジを研磨することを容易にし、
第1の傾斜表面は、ワークピースの第1の側面上の内部又は外部の斜角エッジを研磨することを容易にするように構成され、第2の傾斜表面は、ワークピースの第2の側面上の内部又は外部の斜角エッジを研磨することを容易にするように構成され、ワークピースの第2の側面はワークピースの第1の側面と向かい合う、実施形態42に記載の砥粒回転ツール。
【0147】
44. 円柱形状は、回転ツールに対する回転軸に沿って第1の傾斜表面と第2の傾斜表面との間にある、実施形態43に記載の砥粒回転ツール。
【0148】
45. 砥粒外部表面は、回転ツールに対する回転軸に垂直な平面表面を形成する、実施形態1〜35のいずれかに記載の砥粒回転ツール。
【0149】
46. 砥粒外部作業面は、回転ツールに対する回転軸に対する傾斜表面を形成して、ワークピースの内部又は外部の斜角エッジを研磨することを容易にする、実施形態1〜35のいずれかに記載の砥粒回転ツール。
【0150】
47. 砥粒外部作業面を裏打ちする弾性的圧縮性層を更に含む、先行する実施形態のいずれかに記載の砥粒回転ツール。
【0151】
48. 電子デバイス用の部分的に完成したカバーガラスのエッジを仕上げる方法であって、
先行する実施形態のいずれかに記載の砥粒回転ツールを連続的に回転させることと、
エッジを連続的に回転する砥粒回転ツールの砥粒外部表面に接触させてエッジを研磨することを、を含む方法。
【0152】
49. エッジを砥粒回転ツールを用いて研磨した後で、エッジを砥粒スラリーを用いて磨くことを更に含む、実施形態48に記載の方法。
【0153】
50. 砥粒物品を更に含み、砥粒物品は、砥粒外部作業面と砥粒外部作業面に結合されたベース層とを含み、ベース層は、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリブタジエン、又はスチレン及びブタジエンブロックコポリマーを含む、先行する実施形態のいずれかに記載の砥粒回転ツール。
【0154】
51. 砥粒物品を更に含み、砥粒物品は、砥粒外部作業面と砥粒外部作業面に結合されたベース層とを含み、ベース層は平均厚さが1〜10ミルである先行する、実施形態のいずれかに記載の砥粒回転ツール。
【0155】
動作を以下の詳細な例に関して更に説明する。これらの例は、種々の特定の好ましい例及び技術を更に例示するために示している。しかし当然のことながら、本範囲内に留まりながら多くの変形及び修正を行なってもよい。
【実施例】
【0156】
【表1】
*粒径は従来のレーザー光散乱によって測定した平均値である。
【0157】
試験方法及び調製手順
カバーグラス製造テスト−1
周縁エッジ内部特徴エッジ(孔を含む)を形成するためのスクライビング動作の後の部分的に完成したカバーグラスを用意した。部分的に完成したカバーグラスをCNC機械を用いてエッジ研削して、所望のサイズ及び形状を形成した。研削ステップに続いて、エッジを磨きをして好適な表面仕上げを得た。
【0158】
カバーグラス製造テスト−2
周縁エッジ内部特徴エッジ(孔を含む)を形成するためのスクライビング動作の後の部分的に完成したカバーグラスを用意した。部分的に完成したカバーグラスをCNC機械を用いてエッジ研削して、所望のサイズ及び形状を形成した。エッジ研削されたカバーグラスを次にCNC機械を用いて研磨して、研削されたエッジの表面仕上げを改善した。研磨ステップの後に、エッジを磨きをして好適な表面仕上げを得た。
【0159】
表1に、カバーグラス製造テスト−1及びカバーグラスの比較を示す。
【表2】
【0160】
砥粒有効性テスト
スクライビング及び粗い研削作業の後の部分的に完成したカバーグラスを用意した。カバーガラス材料はGorilla(商標)ガラス3(Corning(商標))である。部分的に完成したカバーグラスをCNC機械を用いてエッジ研削して、所望のサイズ及び形状を形成した。エッジ研削されたカバーグラスを次に、CNC機械及び円柱状砥粒ツールを用いて研磨して、研削されたエッジの表面仕上げを改善する。異なるダイヤモンド砥粒組成物の表面仕上げを比べて、異なる砥粒組成物の有効性を評価した。
【0161】
表2に、砥粒有効性テストを用いて評価した異なる砥粒組成物の比較を示す。
【表3】
【0162】
表2に示すように、サンプルCはサンプルAよりもはるかに高いレベルの材料除去を示した。サンプルCは、砥粒サイズが小さく、サンプルBとほぼ同じレベルの材料除去であった。しかし、サンプルBは、表面仕上げ粗さが、サンプルA及びサンプルCと比べて高かった。これらの結果から、サンプルCは、ほぼサンプルAの表面仕上げ品質を示し、一方でほぼサンプルBの材料除去速度を維持している。
【0163】
サンプルCは砥粒サイズが、疑集体サイズと比べて相対的に高い。詳細には、サンプルCに対する砥粒サイズ対疑集体サイズの比は10対1である。他の例では、砥粒サイズ対疑集体サイズの比として、15対1以下、12.5対1以下、10対1以下、しかし約3対1以上は、同様にカバーグラスのエッジ研削に対して特に有用な場合がある。
【0164】
本開示の種々の例について説明してきた。これらの及び他の実施例は、以下の特許請求の範囲内である。
【0165】
エッジ成形する適合性テスト
このテストの場合、複雑なスプライン形状を標的形状として使用し、異なるベース層の砥粒物品を用いて完成部品と所望のスプライン形状との間のずれを測定した。完成したカバーグラスの表面粗さ(Ra[nm])を、各サンプルに対してBruker干渉計を用いてスプライン表面に沿って4等距離点で測定した。このテスト用に受けたカバーグラス部片は、粗さが500〜600nmから始まっているため、粗さの測定値が500nm未満であった場合、仕上げ作業の何らかの効果を表している。しかし、もっと低くて一貫した値が4等距離点間で得られた場合、同じプロセス条件に対してより良好な最終結果を表している。このテストの場合、ベース層以外のすべてに対する状態を、4000rpm、500umの圧縮深さ、30in/分の横断速度に維持した。それぞれの場合において、砥粒コーティングされたベース層を、発泡体サブ層に、そしてアルミニウムツールコアに積層した。
【0166】
表3に、異なるベース層材料に対して4等距離点間で測定した粗さ均一性の比較を示す。これらの場合のそれぞれに対して、2ミクロンダイヤモンドを等価な砥粒コーティングにおいて用いた。
【表4】