(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記流れL1dが分離されて、2−クロロ−3,3,3−トリフルオロ−1−プロペン(1233xf)を含む流れと、E−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロ−1−プロペン(1233zdE)及び1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン(245fa)を含む流れとが形成されることを特徴とする、請求項8に記載の方法。
【発明の概要】
【0010】
2,3,3,3−テトラフルオロ−1−プロペンを製造するための方法において、特定の動作条件の選択は、特定の不純物又はその異性体の存在を促進することを可能にする。1,3,3,3−テトラフルオロ−1−プロペン(1234ze)のような不純物の存在は、1−クロロ−3,3,3−トリフルオロ−1−プロペン(1233zd)及び1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン(245fa)のように、観察されうる。これらの不純物は、2,3,3,3−テトラフルオロ−1−プロペンの製造中に生成される中間化合物により誘発される副反応によるものであり、その除去が複雑であるような物理的特性を有しうる。本発明は、特に、改善した純度の2,3,3,3−テトラフルオロ−1−プロペンの製造を可能にする。
【0011】
第1の態様によれば、本発明は、式(I)CX(Y)
2−CX(Y)
m−CH
mXY[式中、X及びYは、独立してH、F又はClを表し、且つm=0又は1である]の少なくとも一の化合物を含む出発組成物を使用して及び/又は式(II)(CX
nY
3−n)CH
pX
1−pCH
mX
2−m[式中、Xは、互いに独立して、Cl、F、I又はBrであり;Yは、互いに独立して、H、Cl、F、I又はBrであり;nは1、2又は3であり;且つmは0、1又は2であり;且つpは0又は1である]の化合物の触媒の存在下でのフッ素化で行われる2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(1234yf)を製造及び精製するための方法を提供し、
前記方法は、以下の工程:
a)触媒の存在下で、出発組成物をHFと接触させて、HCl、未反応HFの一部、2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(1234yf)を含む組成物A、2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(1233xf)、1,1,1,2,2−ペンタフルオロプロパン(245cb)からなる中間生成物B、並びにE−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロ−1−プロペン(1233zdE)、トランス−1,3,3,3−テトラフルオロ−1−プロペン(1234zeE)及び1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン(245fa)からなる副生成物Cを製造する工程;
b)前記組成物Aを回収し、好ましくは蒸留によりそれを精製して、好ましくは気体の、HCl、2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(1234yf)、中間生成物Bの一部及び副生成物Cの一部を含む第1の流れと;好ましくは液体、L1の、未反応HF、中間生成物Bの一部及び副生成物Cの一部を含む流れとを形成し回収する工程;
c)前記第1の流れを精製して、前記中間生成物Bの一部及び副生成物Cの一部を含む流れを形成し、それを工程a)にリサイクルする工程
を含む。
【0012】
好ましい実施態様によれば、前記第1の流れは、以下の工程:
b1)気体流G1を蒸留して、有利には蒸留塔の上部で、HClを含む流れG1aを;及び、有利には蒸留塔の底部で、2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(1234yf)、前記中間生成物Bの一部及び前記副生成物Cの一部を含む流れG1bを回収する工程;
b2)工程b1)で得られる前記流れG1bを蒸留して、有利には蒸留塔の上部で、2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(1234yf)、中間生成物Bの前記一部の一部、副生成物Cの前記一部の一部を含む流れG1cを、及び、有利には蒸留塔の底部で、中間生成物Bの前記一部の一部及び副生成物Cの前記一部の一部を含む流れG1dを形成する工程であって;好ましくは、流れG1dは工程a)にリサイクルされる工程
を経て精製される気体流G1である。
【0013】
好ましくは、工程b2)で形成される流れG1は、2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(1234yf)、1,1,1,2,2−ペンタフルオロプロパン(245cb)及びトランス−1,3,3,3−テトラフルオロ−1−プロペン(1234zeE)を含みうる。好ましくは、工程b2)で形成される流れG1dは、1,1,1,2,2−ペンタフルオロプロパン(245cb)、トランス−1,3,3,3−テトラフルオロ−1−プロペン(1234zeE)及び2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(1233xf)を含みうる。特に、1,1,1,2,2−ペンタフルオロプロパン(245cb)の含有量は、流れG1c中よりも流れG1d中の方が多い。
【0014】
好ましい実施態様によれば、該方法は、工程b2)の後に工程b3)を含み、工程b3)において、工程b2)で得られる流れG1cは、2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(1234yf)、1,1,1,2,2−ペンタフルオロプロパン(245cb)及びトランス−1,3,3,3−テトラフルオロ−1−プロペン(1234zeE)を含み;前記流れG1cは、蒸留されて、2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(1234yf)を含む流れG1eと、1,1,1,2,2−ペンタフルオロプロパン(245cb)及びトランス−1,3,3,3−テトラフルオロ−1−プロペン(1234zeE)を含む流れG1fとが形成される。好ましくは、2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(1234yf)を含む流れG1eは、市販するのに十分な純度を得るように、続く精製工程を施されうる。
【0015】
好ましい実施態様によれば、工程b3)で得られる流れG1fは、抽出蒸留により分離される。
【0016】
好ましい実施態様によれば、工程b3)で得られる流れG1fは、以下の工程:
b4)工程b3)で得られる前記流れG1fを有機抽出剤と接触させて、流れG1gを形成する工程、及び
b5)流れG1gを抽出蒸留して、有利には蒸留塔の上部で、1,1,1,2,2−ペンタフルオロプロパン(245cb)を含む流れG1hを、及び、有利には蒸留塔の底部で、トランス−1,3,3,3−テトラフルオロ−1−プロペン(1234zeE)及び前記有機抽出剤を含む流れG1iを形成する工程
に従って抽出蒸留により分離される。
【0017】
好ましくは、トランス−1,3,3,3−テトラフルオロ−1−プロペン(1234zeE)及び前記有機抽出剤を含む流れG1iは、蒸留により分離されて、前記有機抽出剤を含む流れG1jと、トランス−1,3,3,3−テトラフルオロ−1−プロペン(1234zeE)を含む流れG1kとが形成される。前記有機抽出剤を含む流れG1jは、工程b4)にリサイクルされうる。トランス−1,3,3,3−テトラフルオロ−1−プロペン(1234zeE)を含む流れG1kは、焼却によって、精製されるか又は破壊されうる。
【0018】
好ましくは、1,1,1,2,2−ペンタフルオロプロパン(245cb)を含み、好ましくはトランス−1,3,3,3−テトラフルオロ−1−プロペン(1234zeE)を含まない流れG1hは、工程a)でリサイクルされる。
【0019】
あるいは、該方法は、工程b2)の後に工程b3’)を含み、工程b3’)において、工程b2)で得られる流れG1cは、2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(1234yf)、1,1,1,2,2−ペンタフルオロプロパン(245cb)及びトランス−1,3,3,3−テトラフルオロ−1−プロペン(1234zeE)を含み;前記流れG1cは、蒸留されて、2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(1234yf)及び1,1,1,2,2−ペンタフルオロプロパン(245cb)を含む流れG1e’と、トランス−1,3,3,3−テトラフルオロ−1−プロペン(1234zeE)を含む流れG1f’とが形成される。前記流れG1cは、抽出蒸留により蒸留されて、2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(1234yf)及び1,1,1,2,2−ペンタフルオロプロパン(245cb)を含む前記流れG1e’と;トランス−1,3,3,3−テトラフルオロ−1−プロペン(1234zeE)を含む前記流れG1f’とが形成される。よって、流れG1cは、以下の工程:
b4’)工程b2)で得られる前記流れG1cを有機抽出剤と接触させて、流れG1g’を形成する工程、及び
b5’)流れG1g’を抽出蒸留して、有利には蒸留塔の上部で、2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(1234yf)及び1,1,1,2,2−ペンタフルオロプロパン(245cb)を含む流れG1e’を、及び、有利には蒸留塔の底部で、トランス−1,3,3,3−テトラフルオロ−1−プロペン(1234zeE)及び前記有機抽出剤を含む流れG1h’を形成する工程
に従って抽出蒸留される。
【0020】
好ましくは、2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(1234yf)及び1,1,1,2,2−ペンタフルオロプロパン(245cb)を含む流れG1e’は、続く精製工程を施されうる。よって、2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(1234yf)は、好ましくは1,1,1,2,2−ペンタフルオロプロパン(245cb)の蒸留により、2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(1234yf)を含む流れと、1,1,1,2,2−ペンタフルオロプロパン(245cb)を含む流れG1i’とを形成し、前記流れG1i’は工程a)にリサイクルされる。2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(1234yf)はまた、市販するのに十分な純度を得るように、続く精製工程を施されうる。
【0021】
好ましくは、トランス−1,3,3,3−テトラフルオロ−1−プロペン(1234zeE)及び前記有機抽出剤を含む流れG1h’は、蒸留により分離されて、前記有機抽出剤を含む流れG1j’と、トランス−1,3,3,3−テトラフルオロ−1−プロペン(1234zeE)を含む流れG1k’とが形成される。前記有機抽出剤を含む流れG1j’は、工程b4’)にリサイクルされうる。トランス−1,3,3,3−テトラフルオロ−1−プロペン(1234zeE)を含む流れG1k’は、焼却によって、精製されるか又は破壊されうる。
【0022】
好ましい実施態様によれば、前記液体流L1は、未反応HFの他に、中間生成物Bの全部又は一部と、副生成物Cの全部又は一部を含み;この流れL1の全部又は一部を、低温、有利には−50℃から15℃の間、好ましくは−30℃から0℃の間にして、未反応HFの一部を含む第1の相L1aと、前記中間生成物B及び前記副生成物Cを含む第2の相L1bを形成し;任意選択的に又はそうではなく、工程b2)で形成される前記流れG1dは、前記流れが低温になる前に、液体流L1と混合される。
【0023】
好ましくは、前記液体流L1は、中間生成物Bの一部と、副生成物Cの全部又は一部を含み;液体流れL1の全部又は一部を、低温、有利には−50℃から20℃の間にして、未反応HFの一部を含む第1の相L1aと、前記中間生成物B及び前記副生成物Cを含む第2の相L1bを形成し;任意選択的に又はそうではなく、工程b2)で形成される前記流れG1dは、前記流れが低温になる前に、液体流L1と混合される。
【0024】
好ましくは、前記第1の相L1aは工程a)でリサイクルされる。
【0025】
好ましい実施態様によれば、前記第2の相L1bは、蒸留されて、有利には蒸留塔の上部で、1,1,1,2,2−ペンタフルオロプロパン(245cb)及びトランス−1,3,3,3−テトラフルオロ−1−プロペン(1234zeE)を含む流れL1
cを、並びに、有利には蒸留塔の底部で、2−クロロ−3,3,3−トリフルオロ−1−プロペン(1233xf)、E−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロ−1−プロペン(1233zdE)及び1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン(245fa)を含む流れL1dが回収され;有利には、前記流れL1cは工程a)にリサイクルされる。
【0026】
好ましい実施態様によれば、前記流れL1dは分離され、2−クロロ−3,3,3−トリフルオロ−1−プロペン(1233xf)を含む流れと、E−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロ−1−プロペン(1233zdE)及び1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン(245fa)を含む流れとが形成される。
【0027】
好ましい実施態様によれば、前記流れL1dの分離は抽出蒸留により実施される。
【0028】
特定の実施態様によれば、前記流れL1dの抽出蒸留は、以下の工程:
− 前記流れL1dを有機抽出剤と接触させて組成物L1eを形成する工程、及び
− 組成物L1eを抽出蒸留して、有利には蒸留塔の上部で、2−クロロ−3,3,3−トリフルオロ−1−プロペン(1233xf)を含む流れL1fを、及び、有利には蒸留塔の底部で、E−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロ−1−プロペン(1233zdE)及び1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン(245fa)及び前記有機抽出剤を含む流れL1gを形成する工程
を含む。
【0029】
好ましくは、流れL1gはその後蒸留により分離されて、前記有機抽出剤を含む流れL1hと、E−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロ−1−プロペン(1233zdE)及び1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン(245fa)を含む流れL1iとが形成される。流れL1hはリサイクルされて、流れL1dと接触して組成物L1eを形成しうる。E−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロ−1−プロペン(1233zdE)及び1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン(245fa)を含む流れL1iは、焼却によって、精製されるか又は破壊されうる。
【0030】
好ましくは、2−クロロ−3,3,3−トリフルオロ−1−プロペン(1233xf)を含み、好ましくは1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン(245fa)及びE−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロ−1−プロペン(1233zdE)を含まない流れL1fは工程a)にリサイクルされる。
【0031】
よって、好ましい実施態様によれば、本発明は、一又は複数の副生成物Cを含まない一又は複数の流れを工程a)にリサイクルすることを可能にする。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本発明は、2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(1234yf)の製造及び精製を可能にする。本発明の第2の態様によれば、2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(1234yf)を製造及び精製するための方法が提供される。前記方法は、式(I)CX(Y)
2−CX(Y)
m−CH
mXY[式中、X及びYは、独立してH、F又はClを表し、且つm=0又は1である]の少なくとも一の化合物を含む出発組成物を使用して;及び/又は式(II)(CX
nY
3−n)CH
pX
1−pCH
mX
2−m[式中、Xは、互いに独立して、Cl、F、I又はBrであり;Yは、互いに独立して、H、Cl、F、I又はBrであり;nは1、2又は3であり;且つmは0、1又は2であり;且つpは0又は1である]の化合物の触媒の存在下でのフッ素化を使用して、実施される。
【0034】
好ましくは、前記方法は以下の工程:
a)触媒の存在下で、出発組成物をHFと接触させて、2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(1234yf)を含む組成物A、2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(1233xf)、1,1,1,2,2−ペンタフルオロプロパン(245cb)からなる中間生成物B、並びに1−クロロ−3,3,3−トリフルオロ−1−プロペン(1233zd)、1,3,3,3−テトラフルオロ−1−プロペン(1234ze)及び1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン(245fa)からなる副生成物Cを製造する工程;
b)前記組成物Aを回収し、それを精製して、2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(1234yf)を含む第1の流れと、2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(1233xf)及び/又は1,1,1,2,2−ペンタフルオロプロパン(245cb)を含む一又は複数の流れとを形成する工程;
c)2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(1233xf)及び/又は1,1,1,2,2−ペンタフルオロプロパン(245cb)を含む前記一又は複数の流れを工程a)にリサイクルする工程
を含む。
【0035】
好ましくは、工程a)にリサイクルされる前記一又は複数の流れ中の副生成物Cの少なくとも一の含有量は、前記組成物A中のそれよりも少ない。
【0036】
副生成物Cのいずれかの含有量は、工程a)にリサイクルされる前記一又は複数の流れの一若しくは複数又は全部で減少されうる。好ましくは、工程a)にリサイクルされる前記一又は複数の流れ中の前記副生成物Cの少なくとも一の含有量は、前記組成物A中の同じ副生成物Cの少なくとも一の前記含有量に対して、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%又は98%減少されうる。よって、工程a)にリサイクルされる前記一又は複数の流れ中のE−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロ−1−プロペン(1233zdE)の含有量は、前記組成物A中のE−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロ−1−プロペン(1233zdE)の含有量に対して、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%又は98%減少されうる。別の実施態様において、工程a)にリサイクルされる前記一又は複数の流れ中のトランス−1,3,3,3−テトラフルオロ−1−プロペン(1234zeE)の含有量は、前記組成物A中のトランス−1,3,3,3−テトラフルオロ−1−プロペン(1234zeE)の含有量に対して、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%又は98%減少されうる。別の実施態様において、工程a)にリサイクルされる前記一又は複数の流れ中の1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン(245fa)の含有量は、前記組成物A中の1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン(245fa)の含有量に対して、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%又は98%減少されうる。含有量は重量ベースで表される。
【0037】
工程a)にリサイクルされる前記一又は複数の流れは、一又は複数の副生成物Cを含まなくてもよい。用語「を含まない(free of)」とは、対象の流れが、前記流れの総重量に対して、50ppm未満、有利には20ppm未満、好ましくは10ppm未満の対象の化合物を含むことを意味する。
【0038】
好ましい実施態様によれば、組成物Aはまた、HClといくらかのHFを含む。好ましくは、工程a b)で実施される前記組成物Aの精製は、前記組成物Aを蒸留して、蒸留塔の上部で、HCl及び2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(1234yf)を含む気体流G1を;並びに、蒸留塔の底部で、前記HFの一部を含む液体流L1を回収することを含む。中間生成物Bの全部又はいくらか及び副生成物Cの全部又はいくらかは、前記気体流G1中及び/又は前記液体流L1中に含有されうる。
【0039】
好ましくは、1,1,1,2,2−ペンタフルオロプロパン(245cb)の全部又はいくらかは、前記気体流G1中に含有されうる。1,1,1,2,2−ペンタフルオロプロパン(245cb)の全部又はいくらかは、前記液体流L1中に含有されうる。
【0040】
好ましくは、トランス−1,3,3,3−テトラフルオロ−1−プロペン(1234zeE)の全部又はいくらかは、前記気体流G1中に含有されうる。トランス−1,3,3,3−テトラフルオロ−1−プロペン(1234zeE)の全部又はいくらかはまた、前記液体流L1中に含有されうる。
【0041】
好ましくは、2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(1233xf)の全部又はいくらかは、前記気体流G1中に含有されうる。2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(1233xf)の全部又はいくらかはまた、前記液体流L1中に含有されうる。優先的には、2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(1233xf)は前記液体流L1中に含有され;有利には、気体流G1に対して、70%、75%、80%、85%又は90%の2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(1233xf)が、前記液体流L1中に含有される。
【0042】
好ましくは、E−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロ−1−プロペン(1233zdE)の全部又はいくらかは、前記気体流G1中に含有されうる。E−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロ−1−プロペン(1233zdE)の全部又はいくらかはまた、前記液体流L1中に含有されうる。優先的には、E−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロ−1−プロペン(1233zdE)は前記液体流L1中に含有され;有利には、気体流G1に対して、70%、75%、80%、85%、90%又は95%の1−クロロ−3,3,3−トリフルオロ−1−プロペン(1233zd)が、前記液体流L1中に含有される。
【0043】
好ましくは、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン(245fa)の全部又はいくらかは、前記気体流G1中に含有されうる。1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン(245fa)の全部又はいくらかは、前記液体流L1中に含有されうる。優先的には、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン(245fa)は前記液体流L1中に含有され;有利には、気体流G1に対して、70%、75%、80%、85%、90%又は95%の1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン(245fa)が、前記液体流L1中に含有される。
【0044】
好ましい実施態様によれば、前記気体流G1は、中間生成物Bの一部及び副生成物Cの一部を含み、前記気体流G1は以下の工程:
b1)気体流G1を蒸留して、有利には蒸留塔の上部で、HClを含む流れG1aを;及び、有利には蒸留塔の底部で、2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(1234yf)、前記中間生成物Bの一部及び前記副生成物Cの一部を含む流れG1bを回収する工程;
b2)工程b1)で得られる前記流れG1bを蒸留して、有利には蒸留塔の上部で、2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(1234yf)、中間生成物Bの前記一部の一部、副生成物Cの前記一部の一部を含む流れG1を、及び、有利には蒸留塔の底部で、中間生成物Bの前記一部の一部及び副生成物Cの前記一部の一部を含む流れG1dを形成する工程
を介して精製される。
【0045】
好ましくは、工程b2)で形成される流れG1は、2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(1234yf)、1,1,1,2,2−ペンタフルオロプロパン(245cb)及び1,3,3,3−テトラフルオロ−1−プロペン(1234ze)を含みうる。好ましくは、工程b2)で形成される流れG1dは、1,1,1,2,2−ペンタフルオロプロパン(245cb)、トランス−1,3,3,3−テトラフルオロ−1−プロペン(1234zeE)及び2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(1233xf)、並びに、任意選択的に又はそうではなく、E−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロ−1−プロペン(1233zdE)及び1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン(245fa)を含みうる。特に、1,1,1,2,2−ペンタフルオロプロパン(245cb)の含有量は、流れG1c中よりも流れG1d中の方が多い。流れG1dは、流れG1d及びG1c中の1,1,1,2,2−ペンタフルオロプロパン(245cb)の総含有量に対して、55%、60%、65%、70%、75%、78%又は80%の1,1,1,2,2−ペンタフルオロプロパン(245cb)を含有しうる。
【0046】
流れG1dは、本方法の工程a)にリサイクルされる。流れG1dは、本方法の工程a)(工程c)にリサイクルされる前記一又は複数の流れの一つでありうる。
【0047】
よって、本方法は、式(I)CX(Y)
2−CX(Y)
m−CH
mXY[式中、X及びYは、独立して水素、フッ素又は塩素原子を表し、且つm=0又は1である]の少なくとも一の化合物を含む出発組成物を使用して、及び/又は式(II)(CX
nY
3−n)CH
pX
1−pCH
mX
2−m[式中、Xは、互いに独立して、Cl、F、I又はBrであり;Yは、互いに独立して、H、Cl、F、I又はBrであり;nは1、2又は3であり;且つmは0、1又は2であり;且つpは0又は1である]の化合物の触媒の存在下でのフッ素化を使用して実施される、2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(1234yf)を製造及び精製するための方法であって、前記方法は以下の工程:
a)触媒の存在下で、出発組成物をHFと接触させて、HCl、未反応HFの一部、2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(1234yf)を含む組成物A、2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(1233xf)、1,1,1,2,2−ペンタフルオロプロパン(245cb)からなる中間生成物B、並びにE−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロ−1−プロペン(1233zdE)、トランス−1,3,3,3−テトラフルオロ−1−プロペン(1234zeE)及び1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン(245fa)からなる副生成物Cを製造する工程;
b)前記組成物Aを回収し、それを蒸留して、蒸留塔の上部で、HCl及び2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(1234yf)、中間生成物Bの一部並びに副生成物Cの一部を含む気体流G1を形成及び回収し;蒸留塔の底部で、未反応HFの一部、中間生成物Bの一部及び副生成物Cの一部を含む液体流L1を形成及び回収する工程であって;前記気体流G1が、以下の工程:
b1)気体流G1を蒸留して、HClを含む流れG1aを、及び、2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(1234yf)、前記中間生成物Bの一部及び前記副生成物Cの一部を含む流れG1bを回収する工程;
b2)工程b1)で得られる前記流れG1bを蒸留して、2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(1234yf)、中間生成物Bの前記一部の一部、副生成物Cの前記一部の一部を含む流れG1を、及び、中間生成物Bの前記一部の一部及び副生成物Cの前記一部の一部を含む流れG1dを形成する工程
を介して精製される工程;
c)流れG1dを工程a)にリサイクルする工程
を含み、
好ましくは、流れG1d中の少なくとも一の副生成物Cの含有量は、前記組成物A中のものよりも少ない。
【0048】
好ましい実施態様によれば、該方法は、工程b2)の後に工程b3)を含み、工程b3)において、工程b2)で得られる流れG1cは、2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(1234yf)、1,1,1,2,2−ペンタフルオロプロパン(245cb)及びトランス−1,3,3,3−テトラフルオロ−1−プロペン(1234zeE)を含み;前記流れG1cは、蒸留されて、2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(1234yf)を含む流れG1eと、1,1,1,2,2−ペンタフルオロプロパン(245cb)及びトランス−1,3,3,3−テトラフルオロ−1−プロペン(1234zeE)を含む流れG1fとが形成される。
【0049】
工程b3)で得られる流れG1fは、抽出蒸留により分離されうる。
【0050】
好ましい実施態様によれば、工程b3)で得られる流れG1fは、以下の工程:
b4)工程b3)で得られる前記流れG1fを有機抽出剤と接触させて、流れG1gを形成する工程、及び
b5)流れG1gを抽出蒸留して、有利には蒸留塔の上部で、1,1,1,2,2−ペンタフルオロプロパン(245cb)を含む流れG1hを、及び、有利には蒸留塔の底部で、トランス−1,3,3,3−テトラフルオロ−1−プロペン(1234zeE)及び前記有機抽出剤を含む組成物G1iを形成する工程
に従って抽出蒸留により分離される。
【0051】
好ましくは、トランス−1,3,3,3−テトラフルオロ−1−プロペン(1234zeE)及び前記有機抽出剤を含む流れG1iは、蒸留により分離されて、前記有機抽出剤を含む流れG1jと、トランス−1,3,3,3−テトラフルオロ−1−プロペン(1234zeE)を含む流れG1kとが形成される。前記有機抽出剤を含む流れG1jは、工程b4)にリサイクルされうる。トランス−1,3,3,3−テトラフルオロ−1−プロペン(1234zeE)を含む流れG1kは、焼却によって、精製されるか又は破壊されうる。
【0052】
好ましい実施態様によれば、前記有機抽出剤は、ハロ炭化水素、アルコール、ケトン、アミン、エステル、エーテル、アルデヒド、ニトリル、カーボネート、チオアルキル、アミド及び複素環からなる群より選択される溶媒である。有利には、前記有機抽出剤は、アルコール、ケトン、アミン、エステル及び複素環からなる群より選択される溶媒である。好ましい実施態様によれば、前記有機抽出剤は、10から150℃の間の沸点を有する。
【0053】
好ましくは、前記有機抽出剤は、1.1以上の分離係数S
1,2を有し、前記分離係数は、式S
1,2=(γ
1,S*P1)/(γ
2,S*P2)より計算され、式中、
γ
1,Sは、無限希釈の前記有機抽出剤中の1,1,1,2,2−ペンタフルオロプロパンの活量係数を表し;
P1は、1,1,1,2,2−ペンタフルオロプロパンの飽和蒸気圧を表し;
γ
2,Sは、無限希釈の前記有機抽出剤中のトランス−1,3,3,3−テトラフルオロ−1−プロペン(1234zeE)の活量係数を表し;
P2は、前記トランス−1,3,3,3−テトラフルオロ−1−プロペン(1234zeE)の飽和蒸気圧を表し、
有利には、分離係数は、1.2以上、好ましくは1.4以上、より優先的には1.6以上、特に1.8以上、より具体的には2.0以上である。
【0054】
飽和蒸気圧は、25℃の温度で考慮される。
【0055】
好ましくは、前記有機抽出剤は、式C
2,S=1/(γ
2,S)[式中、γ
2,Sは、無限希釈の前記有機抽出剤中のトランス−1,3,3,3−テトラフルオロ−1−プロペン(1234zeE)の活量係数を表す]により計算される0.20以上の分離容量C
2,Sを有してもよく;
有利には、分離容量C
2,Sは、0.40以上、好ましくは0.60以上、より優先的には0.80以上、特に1.0以上である。
【0056】
好ましくは、前記抽出剤は、1.5以上の分離係数S
1,2及び/又は0.6以上の吸収容量C
2,Sを有してもよく;エチルアミン、アセトアルデヒド、イソプロピルアミン、ギ酸メチル、ジエチルエーテル、1,2−エポキシプロパン、エチルメチルアミン、ジメトキシメタン、2−アミノ−2−メチルプロパン、メチル シクロプロピルエーテル、n−プロピルアミン、イソプロピルメチルアミン、2−エトキシプロパン、メチル t−ブチルエーテル、ジエチルアミン、プロパノン、酢酸メチル、4−メトキシ−2−メチル−2−ブタンチオール、2−ブタンアミン、n−メチルプロピルアミン、イソブタナール、テトラヒドロフラン、ギ酸イソプロピル、ジイソプロピルエーテル、2−エトキシ−2−メチルプロパン、1−ブチルアミン、酢酸エチル、ブタノン、ギ酸n−プロピル、2−エトキシブタン、1−メトキシ−2−メチルブタン、2,2−ジメトキシプロパン、1−エトキシ−2−メチルプロパン、ジイソプロピルアミン、1,2−ジメトキシエタン、3−メチル−2−ブタンアミン、ジエトキシメタン、酢酸イソプロピル、ジ−n−プロピルエーテル、3−ペンチルアミン、n−メチルブチルアミン、1−エトキシブタン、1−メトキシ−2−プロパンアミン、2−メチルブタナール、2−メトキシエタンアミン、tert−ブチルアセテート、プロピオニトリル、2−アリルオキシエタノール、1−メトキシペンタン、プロピオン酸エチル、1,2−ジメトキシプロパン、ジオキサン、3−ペンタノン、1,1−ジエトキシエタン、2−ペンタノン、2−メトキシ−1−プロパンアミン、トリメトキシメタン、n−ペンチルアミン、3,3−ジメチル−2−ブタノン、1,3−ジオキサン、ピペリジン、ジプロピルアミン、2−エトキシエタンアミン、sec−ブチルアセテート、n−メチル−1,2−エタンジアミン、2,2−ジエトキシプロパン、ピリジン、4−メチル−2−ペンタノン、1,2−ジアミノエタン、ブチロニトリル、sec−ブチルtert−ブチルエーテル、1−メトキシ2−プロパノール、1,2−プロパンジアミン、2,6−ジメチル−5−ヘプテナール、1−(ジメチルアミノ)−2−プロパノール、3−メチル−3−ペンタノール、1,1−ジエトキシプロパン、2−エチルブチルアミン、炭酸ジエチル、n−ブチルアセテート、2−ヘキサノン、n−エチルエチレンジアミン、5−ヘキセン−2−オン、2−メチルピリジン、2−メトキシ−1−プロパノール、ヘキサナール、1−エトキシ−2−プロパノール、4−メチル−2−ヘキサンアミン、ヘキシルアミン、メトキシシクロヘキサン、2−(ジメチルアミノ)エタノール、シクロヘキシルアミン、n−エチル−2−ジメチルアミノエチルアミン、エトキシエタノール、2−メチルピラジン、2−エトキシ−1−プロパノール、1−メチルピペラジン、1,3−プロパンジアミン、ジ−n−ブチルエーテル、バレロニトリル、2−ヘプタンアミン、1−エトキシヘキサン、n,n−ジエチルエチレンジアミン、2,6−ジメチルピリジン、4−メチル−2−ヘキサノン、1,1,1−トリエトキシエタン、1−メトキシ−2−アセトキシプロパン、4−メチルピリジン、n,n’−ジエチル−1,2−エタンジアミン、2,6−ジメチルモルホリン、ヘキサン酸メチル、2−プロポキシエタノール及び1−プロポキシ−2−プロパノールからなる群より選択されうる。有利には、前記有機抽出剤は、1.8以上の分離係数S
1,2及び/又は0.8以上の吸収容量C
2,Sを有してもよく;エチルアミン、イソプロピルアミン、エチルメチルアミン、2−アミノ−2−メチルプロパン、n−プロピルアミン、イソプロピルメチルアミン、ジエチルアミン、プロパノン、2−ブタンアミン、n−メチルプロピルアミン、テトラヒドロフラン、1−ブチルアミン、酢酸エチル、ブタノン、1,2−ジメトキシエタン、3−メチル−2−ブタンアミン、3−ペンチルアミン、n−メチルブチルアミン、1−メトキシ−2−プロパンアミン、2−メトキシエタンアミン、プロピオン酸エチル、ジオキサン、3−ペンタノン、2−ペンタノン、2−メトキシ−1−プロパンアミン、トリメトキシメタン、n−ペンチルアミン、3,3−ジメチル−2−ブタノン、1,3−ジオキサン、ピペリジン、2−エトキシエタンアミン、n−メチル−1,2−エタンジアミン、1,2−ジアミノエタン、ブチロニトリル、1−メトキシ−2−プロパノール、1,2−プロパンジアミン、1−(ジメチルアミノ)−2−プロパノール、2−エチルブチルアミン、炭酸ジエチル、酢酸n−ブチル、2−ヘキサノン、n−エチルエチレンジアミン、2−メトキシ−1−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール、4−メチル−2−ヘキサンアミン、ヘキシルアミン、メトキシシクロヘキサン、2−(ジメチルアミノ)エタノール、シクロヘキシルアミン、n−エチル−2−ジメチルアミノエチルアミン、2−エトキシ−1−プロパノール、1−メチルピペラジン、1,3−プロパンジアミン、バレロニトリル、2−ヘプタンアミン、n,n−ジエチルエチレンジアミン、4−メチル−2−ヘキサノン、1−メトキシ−2−アセトキシプロパン、4−メチルピリジン、n,n’−ジエチル−1,2−エタンジアミン、2,6−ジメチルモルホリン、ヘキサン酸メチル、2−プロポキシエタノール及び1−プロポキシ−2−プロパノールからなる群より選択されうる。好ましくは、前記有機抽出剤は、1.9以上の分離係数S
1,2及び/又は0.9以上の吸収容量C
2,Sを有してもよく、エチルアミン、イソプロピルアミン、エチルメチルアミン、2−アミノ−2−メチルプロパン、n−プロピルアミン、イソプロピルメチルアミン、ジエチルアミン、プロパノン、2−ブタンアミン、n−メチルプロピルアミン、テトラヒドロフラン、1−ブチルアミン、酢酸エチル、ブタノン、1,2−ジメトキシエタン、3−メチル−2−ブタンアミン、3−ペンチルアミン、n−メチルブチルアミン、1−メトキシ−2−プロパンアミン、2−メトキシエタンアミン、プロピオン酸エチル、ジオキサン、3−ペンタノン、2−ペンタノン、2−メトキシ−1−プロパンアミン、n−ペンチルアミン、3,3−ジメチル−2−ブタノン、1,3−ジオキサン、ピペリジン、2−エトキシエタンアミン、n−メチル−1,2−エタンジアミン、1,2−ジアミノエタン、1,2−プロパンジアミン、1−(ジメチルアミノ)−2−プロパノール、2−エチルブチルアミン、酢酸n−ブチル、2−ヘキサノン、n−エチルエチレンジアミン、1−エトキシ−2−プロパノール、4−メチル−2−ヘキサンアミン、ヘキシルアミン、2−(ジメチルアミノ)エタノール、シクロヘキシルアミン、n−エチル−2−ジメチルアミノエチルアミン、2−エトキシ−1−プロパノール、1−メチルピペラジン、1,3−プロパンジアミン、2−ヘプタンアミン、n,n−ジエチルエチレンジアミン、1−メトキシ−2−アセトキシプロパン、4−メチルピリジン、n,n’−ジエチル−1,2−エタンジアミン、2,6−ジメチルモルホリン、ヘキサン酸メチル及び1−プロポキシ−2−プロパノールからなる群より選択されうる。より具体的には、前記有機抽出剤は、エチルアミン、イソプロピルアミン、n−プロピルアミン、ジエチルアミン、プロパノン、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、ブタノン、3−ペンチルアミン、2−メトキシエタンアミン、ジオキサン、3−ペンタノン、2−ペンタノン、n−ペンチルアミン、1,3−ジオキサン、1,2−ジアミノエタン、1,2−プロパンジアミン、2−メトキシエタノール、酢酸n−ブチル及び1−エトキシ−2−プロパノールからなる群より選択される。
【0057】
1,1,1,2,2−ペンタフルオロプロパン(245cb)を含む前記流れG1hは、工程a)にリサイクルされうる。1,1,1,2,2−ペンタフルオロプロパン(245cb)を含む前記流れG1hは、本発明の工程a)(工程c)にリサイクルされる前記一又は複数の流れの一つでありうる。
【0058】
上で説明したとおり、トランス−1,3,3,3−テトラフルオロ−1−プロペン(1234zeE)及び前記有機抽出剤を含む流れG1iは、蒸留されて、トランス−1,3,3,3−テトラフルオロ−1−プロペン(1234zeE)から有機抽出剤が分離され;有利には、このように分離された前記有機抽出剤は工程b4)にリサイクルされる。トランス−1,3,3,3−テトラフルオロ−1−プロペン(1234zeE)は、よって、焼却又は精製されて、後で使用されるか又は市販される。
【0059】
流れG1eは、例えば抽出蒸留によって、精製されて、存在しうるトランス−1,3,3,3−テトラフルオロ−1−プロペン(1234ze−E)を除去しうる。この場合、前記有機抽出剤は、炭化水素、ハロ炭化水素、アルコール、ケトン、アミン、エステル、エーテル、アルデヒド、ニトリル、カーボネート、チオアルキル、アミド及び複素環からなる群より選択される溶媒であるか;又は前記有機抽出剤は、ジフルオロジエチルシラン、トリエチルフルオロシラン又は好ましくはペルフルオロブタン酸;好ましくは、アミン、エーテル、ケトン、エステル、アルコール、アルデヒド及び複素環からなる群より選択される。前記有機抽出剤の沸点は、10から150℃の間である。前記有機抽出剤は、式S
1,2=(γ
1,S*P1)/(γ
2,S*P2)[式中、γ
1,Sは、無限希釈の前記有機抽出剤中の2,3,3,3−テトラフルオロ−1−プロペンの活量係数を表し、P1は、2,3,3,3−テトラフルオロ−1−プロペンの飽和蒸気圧を表し、γ
2,Sは、無限希釈の前記有機抽出剤中のトランス−1,3,3,3−テトラフルオロ−1−プロペン(1234ze−E)の活量係数を表し、且つ、P2は、トランス−1,3,3,3−テトラフルオロ−1−プロペン(1234ze−E)からなる前記少なくとも一の化合物の飽和蒸気圧を表す]により計算される1.1以上の分離係数S
1,2;有利には、分離係数は、1.2以上、好ましくは1.4以上、より優先的には1.6以上、特に1.8以上、より具体的には2.0以上である。前記有機抽出剤は、式C
2,S=1/(γ
2,S)[式中、γ
2,Sは、無限希釈の前記有機抽出剤中のトランス−1,3,3,3−テトラフルオロ−1−プロペン(1234ze−E)の活量係数を表す]により計算される0.20以上の吸収容量C
2,Sを有し;有利には、0.40以上、好ましくは0.60以上、より優先的には0.80以上、特に1.0以上の吸収容量C
2,Sを有する。有利には、エチルアミン、イソプロピルアミン、ジエチルエーテル、エトキシエテン、ジメトキシメタン、n−プロピルアミン、メチル t−ブチルエーテル、ジエチルアミン、プロパノン、酢酸メチル、イソブタナール、テトラヒドロフラン、ギ酸イソプロピル、ジイソプロピルエーテル、2−エトキシ−2−メチルプロパン、酢酸エチル、ブタノン、ジエトキシメタン、酢酸イソプロピル、3−ペンチルアミン、2−メトキシエタンアミン、tert−ブチルアセテート、ジオキサン、3−ペンタノン、1,1−ジエトキシエタン、2−ペンタノン、トリメトキシメタン、n−ペンチルアミン、1,3−ジオキサン、3,3−ジメチル−2−ブタノン、sec−ブチルアセテート、4−メチル−2−ペンタノン、1,2−ジアミノエタン、1−メトキシ−2−プロパノール、炭酸ジエチル、n−ブチルアセテート、1−エトキシ−2−プロパノール及びヘキサナールからなる群より選択されてもよく;有利には、前記有機抽出剤は、エチルアミン、イソプロピルアミン、ジエチルエーテル、ジメトキシメタン、n−プロピルアミン、ジエチルアミン、ジイソプロピルエーテル、2−エトキシ−2−メチルプロパン、ブタノン、ジエトキシメタン、酢酸イソプロピル、3−ペンチルアミン、2−メトキシエタンアミン、tert−ブチルアセテート、ジオキサン、トリメトキシメタン、n−ペンチルアミン、1,3−ジオキサン、sec−ブチルアセテート、1,2−ジアミノエタン、1−メトキシ−2−プロパノール、n−ブチルアセテート、1−エトキシ−2−プロパノール及びヘキサナールからなる群より選択され;好ましくは、前記有機抽出剤は、エチルアミン、イソプロピルアミン、ジエチルエーテル、ジメトキシメタン、n−プロピルアミン、ジエチルアミン、ジイソプロピルエーテル、2−エトキシ−2−メチルプロパン、ジエトキシメタン、酢酸イソプロピル、3−ペンチルアミン、2−メトキシエタンアミン、tert−ブチルアセテート、ジオキサン、トリメトキシメタン、n−ペンチルアミン、1,3−ジオキサン、sec−ブチルアセテート、1,2−ジアミノエタン、1−メトキシ−2−プロパノール、n−ブチルアセテート、1−エトキシ−2−プロパノール及びヘキサナールからなる群より選択される。
【0060】
あるいは、上記のとおり、該方法は、工程b2)の後に工程b3’)を含み、工程b3’)において、工程b2)で得られる流れG1cは、2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(1234yf)、1,1,1,2,2−ペンタフルオロプロパン(245cb)及びトランス−1,3,3,3−テトラフルオロ−1−プロペン(1234zeE)を含み;前記流れG1cは、蒸留されて、2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(1234yf)及び1,1,1,2,2−ペンタフルオロプロパン(245cb)を含む流れG1e’と、トランス−1,3,3,3−テトラフルオロ−1−プロペン(1234zeE)を含む流れG1f’とが形成される。よって、流れG1cは、以下の工程:
b4’)工程b2)で得られる前記流れG1cを有機抽出剤と接触させて、流れG1g’を形成する工程、及び
b5’)流れG1g’を抽出蒸留して、有利には蒸留塔の上部で、2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(1234yf)及び1,1,1,2,2−ペンタフルオロプロパン(245cb)を含む流れG1e’を、及び、有利には蒸留塔の底部で、トランス−1,3,3,3−テトラフルオロ−1−プロペン(1234zeE)及び前記有機抽出剤を含む流れG1h’を形成する工程
に従って、抽出蒸留により蒸留されうる。
【0061】
好ましい実施態様によれば、前記有機抽出剤は、式S
1,2=(γ
1,S*P1)/(γ
2,S*P2)[式中、γ
1,Sは、無限希釈の前記有機抽出剤中の2,3,3,3−テトラフルオロ−1−プロペンの活量係数を表し、P1は、2,3,3,3−テトラフルオロ−1−プロペンの飽和蒸気圧を表し、γ
2,Sは、無限希釈の前記有機抽出剤中のトランス−1,3,3,3−テトラフルオロ−1−プロペン(1234ze−E)の活量係数を表し、且つ、P2は、トランス−1,3,3,3−テトラフルオロ−1−プロペン(1234ze−E)の飽和蒸気圧を表す]により計算される1.1以上の分離係数S
1,2を有してもよく;有利には、分離係数は、1.2以上、好ましくは1.4以上、より優先的には1.6以上、特に1.8以上、より具体的には1.8以上である。この実施態様では、前記有機抽出剤の沸点は、式S
1,2=(γ
1,S*P1)/(γ
2,S*P2)[式中、γ
1,Sは、無限希釈の前記有機抽出剤中の1,1,1,2,2−ペンタフルオロプロパンの活量係数を表し、P1は、1,1,1,2,2,−ペンタフルオロプロパンの飽和蒸気圧を表し、γ
2,Sは、無限希釈の前記有機抽出剤中のトランス−1,3,3,3−テトラフルオロ−1−プロペン(1234ze−E)の活量係数を表し、且つ、P2は、トランス−1,3,3,3−テトラフルオロ−1−プロペン(1234ze−E)の飽和蒸気圧を表す]により計算される1.1以上の分離係数S
1,2を有してもよく;有利には、分離係数は、1.2以上、好ましくは1.4以上、より優先的には1.6以上、特に1.8以上、より具体的には2.0以上である。この好ましい実施態様では、前記有機抽出剤は0.20以上の吸収容量C
2,Sを有し、前記吸収容量は、式C
2,S=1/(γ
2,S)により計算され、式中、γ
2,Sは、無限希釈の前記有機抽出剤中のトランス−1,3,3,3−テトラフルオロ−1−プロペン(1234ze−E)からなる前記少なくとも一の化合物の活量係数を表し;好ましくは、γ
2,Sは、無限希釈の前記有機抽出剤中のトランス−1,3,3,3−テトラフルオロ−1−プロペン(1234ze−E)の活量係数を表し;有利には、吸収容量C
2,Sは、0.40以上、好ましくは0.60以上、より優先的には0.80以上、特に1.0以上である。よって、好ましい実施態様では、前記有機抽出剤は、エチルアミン、イソプロピルアミン、ジエチルエーテル、エチルメチルアミン、2−アミノ−2−メチルプロパン、n−プロピルアミン、イソプロピルメチルアミン、2−エトキシプロパン、メチル t−ブチルエーテル、ジエチルアミン、プロパノン、酢酸メチル、2−ブタンアミン、n−メチルプロピルアミン、イソブタナール、テトラヒドロフラン、1−ブチルアミン、酢酸エチル、ブタノン、ギ酸n−プロピル、2,2−ジメトキシプロパン、1−エトキシ−2−メチルプロパン、1,2−ジメトキシエタン、3−メチル−2−ブタンアミン、ジエトキシメタン、酢酸イソプロピル、3−ペンチルアミン、n−メチルブチルアミン、1−エトキシブタン、1−メトキシ−2−プロパンアミン、2−メチルブタナール、2−メトキシエタンアミン、酢酸tert−ブチル、1−メトキシペンタン、プロピオン酸エチル、1,2−ジメトキシプロパン、ジオキサン、3−ペンタノン、1,1−ジエトキシエタン、2−ペンタノン、2−メトキシ−1−プロパンアミン、トリメトキシメタン、n−ペンチルアミン、3,3−ジメチル−2−ブタノン、1,3−ジオキサン、ピペリジン、2−エトキシエタンアミン、酢酸sec−ブチル、n−メチル−1,2−エタンジアミン、2,2−ジエトキシプロパン、4−メチル−2−ペンタノン、1,2−ジアミノエタン、ブチロニトリル、1−メトキシ−2−プロパノール、1,2−プロパンジアミン、2,6−ジメチル−5−ヘプタナール、1−(ジメチルアミノ)−2−プロパノール、1,1−ジエトキシプロパン、2−エチルブチルアミン、炭酸ジエチル、酢酸n−ブチル、2−ヘキサノン、n−エチルエチレンジアミン、5−ヘキセン−2−オン、2−メチルピリジン、2−メトキシ−1−プロパノール又はヘキサナール;有利には、エチルアミン、イソプロピルアミン、ジエチルエーテル、n−プロピルアミン、ジエチルアミン、プロパノン、酢酸メチル、ブタノン、ジエトキシメタン、酢酸イソプロピル、3−ペンチルアミン、2−メトキシエタンアミン、酢酸tert−ブチル、ジオキサン、1,1−ジエトキシエタン、トリメトキシメタン、n−ペンチルアミン、1,3−ジオキサン、酢酸sec−ブチル、1,2−ジアミノエタン、1−メトキシ−2−プロパノール、1,2−プロパンジアミン、酢酸n−ブチル、2−メトキシ−1−プロパノール又はヘキサナール;好ましくは、エチルアミン、イソプロピルアミン、ジエチルエーテル、n−プロピルアミン、ジエチルアミン、ジエトキシメタン、酢酸イソプロピル、3−ペンチルアミン、2−メトキシエタンアミン、酢酸tert−ブチル、ジオキサン、1,1−ジエトキシエタン、トリメトキシメタン、n−ペンチルアミン、1,3−ジオキサン、酢酸sec−ブチル、1,2−ジアミノエタン、1−メトキシ−2−プロパノール、1,2−プロパンジアミン、酢酸n−ブチル、2−メトキシ−1−プロパノール又はヘキサナールでありうる。
【0062】
好ましくは、2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(1234yf)及び1,1,1,2,2−ペンタフルオロプロパン(245cb)を含む流れG1e’は、続く精製工程を施されうる。よって、2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(1234yf)は、好ましくは1,1,1,2,2−ペンタフルオロプロパン(245cb)の蒸留により、2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(1234yf)を含む流れと、1,1,1,2,2−ペンタフルオロプロパン(245cb)を含む流れG1i’とを形成し、前記流れG1i’は工程a)にリサイクルされる。2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(1234yf)はまた、市販するのに十分な純度を得るように、続く精製工程を施されうる。例えば、それは、抽出蒸留によって精製されて、存在しうるトランス−1,3,3,3−テトラフルオロ−1−プロペン(1234ze−E)を除去しうる。
【0063】
好ましくは、トランス−1,3,3,3−テトラフルオロ−1−プロペン(1234zeE)及び前記有機抽出剤を含む流れG1h’は、蒸留により分離されて、前記有機抽出剤を含む流れG1j’と、トランス−1,3,3,3−テトラフルオロ−1−プロペン(1234zeE)を含む流れG1k’とが形成される。前記有機抽出剤を含む流れG1j’は、工程b4’)にリサイクルされうる。トランス−1,3,3,3−テトラフルオロ−1−プロペン(1234zeE)を含む流れG1k’は、焼却によって、精製されるか又は破壊されうる。
【0064】
気体流G1が、蒸留後に、任意選択的にHFを含む場合、前記HFは前記流れG1b、その後G1cに含有されうる。よって、工程b3)の前に、流れG1c中に含有される未反応HFは、前記流れG1cから除去されうる。HFの除去は、水性媒体中の前記HFの吸収の一連の工程を介して実施されうる。その後、流れG1cは、塩基、例えばアルカリ金属又はアルカリ土類金属水酸化物の存在下で中和され、その後、モレキュラーシーブで乾燥されて、微量の水を除去しうる。任意選択的に又はそうではなく、流れG1cが、2,3,3,3−テトラフルオロ−1−プロペンより低い沸点を有する不純物を含む場合、それらは蒸留によって除去されうる。2,3,3,3−テトラフルオロ−1−プロペンより低い沸点を有する前記不純物は、トリフルオロメタン(F23)、モノフルオロメタン(F41)、ジフルオロメタン(F32)、ペンタフルオロエタン(F125)、1,1,1−トリフルオロエタン(F143a)、トリフルオロプロピン又は1−クロロ−ペンタフルオロエタン(F115)であってもよく;これらの不純物は、蒸留塔の上部で回収されうる。蒸留塔の底部で回収される流れは、その後、工程b)及び後続の工程の流れG1cに関して、上記のように使用されうる。
【0065】
別の好ましい実施態様によれば、前記液体流L1は、中間生成物Bの全部又はいくらか及び副生成物Cの全部又はいくらかを含み;この流れL1の全部又はいくらかは低温、有利には−50℃から20℃の間にされて、未反応HFの一部を含む第1の相L1aと、前記中間生成物B及び前記副生成物Cを含む第2の相L1bとが形成される。よって、前記液体流L1は、中間生成物Bの一部及び副生成物Cの一部を含み;この流れL1の全部又は一部は、低温、有利には−50℃から20℃の間にされて、未反応HFの一部を含む第1の相L1aと、前記中間生成物B及び前記副生成物を含む第2の相L1bが形成される。有利には、低温は、−50℃から15℃の間、好ましくは−40℃から10℃の間、特に−30℃から0℃の間である。この工程は、継続的又はバッチモードで実施されうる。
【0066】
前記第1の相L1は、工程a)にリサイクルされうる。
【0067】
任意選択的に又はそうではなく、工程b2)で形成される前記流れG1dは、前記流れの全部又はいくらかが低温になる前に、液体流L1と混合される。
【0068】
1,1,1,2,2−ペンタフルオロプロパン(245cb)の全部又はいくらかは、前記液体流L1中に、その後第2の相L1bに含有されうる。
【0069】
1,3,3,3−テトラフルオロ−1−プロペン(1234ze)の全部又はいくらかは、前記液体流L1中に、その後前記第2の相L1bに含有されうる。
【0070】
2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(1233xf)の全部又はいくらかは、前記液体流L1中に、その後前記第2の相L1bに含有されうる。
【0071】
E−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロ−1−プロペン(1233zdE)の全部又はいくらかは、前記液体流L1中に、その後前記第2の相L1bに含有されうる。
【0072】
1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン(245fa)の全部又はいくらかは、前記液体流L1中に、その後第2の相L1bに含有されうる。
【0073】
好ましくは、前記第2の相L1bは、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン(245fa)、E−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロ−1−プロペン(1233zdE)、2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(1233xf)、1,3,3,3−テトラフルオロ−1−プロペン(1234ze)及び1,1,1,2,2−ペンタフルオロプロパン(245cb)を含みうる。
【0074】
好ましい実施態様によれば、前記第2の相L1bは、蒸留されて、有利には蒸留塔の上部で、1,1,1,2,2−ペンタフルオロプロパン(245cb)及び1,3,3,3−テトラフルオロ−1−プロペン(1234ze)を含む流れL1cが、有利には蒸留塔の底部で、2−クロロ−3,3,3−トリフルオロ−1−プロペン(1233xf)、E−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロ−1−プロペン(1233zdE)及び1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン(245fa)を含む流れL1dが回収される。前記流れL1cは、工程a)にリサイクルされうる。流れL1cは、本方法の工程c)中の工程a)にリサイクルされる前記一又は複数の流れの一つでありうる。任意選択的に、前記流れL1cは、精製されて、1,1,1,2,2−ペンタフルオロプロパン(245cb)と1,3,3,3−テトラフルオロ−1−プロペン(1234ze)が分離されうる。これは、流れG1fの分離と関係して、上で説明したように抽出蒸留によって実施されうる。
【0075】
好ましい実施態様によれば、前記流れL1dは分離され、2−クロロ−3,3,3−トリフルオロ−1−プロペン(1233xf)を含む流れと、E−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロ−1−プロペン(1233zdE)及び1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン(245fa)を含む流れとを形成しうる。前記流れL1dの分離は、抽出蒸留によって実施されうる。
【0076】
好ましくは、前記流れL1dは、2−クロロ−3,3,3−トリフルオロ−1−プロペン(1233xf)、E−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロ−1−プロペン(1233zdE)及び1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン(245fa)を含む共沸又は共沸様組成物でありうる。
【0077】
好ましくは、前記分離は抽出蒸留によって実施されうる。前記流れL1dの前記抽出蒸留は、
− 前記流れL1dを有機抽出剤と接触させて組成物L1eを形成する工程、及び
− 組成物L1eを抽出蒸留して、有利には蒸留塔の上部で、2−クロロ−3,3,3−トリフルオロ−1−プロペン(1233xf)を含む流れL1fを、及び、有利には蒸留塔の底部で、E−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロ−1−プロペン(1233zdE)及び1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン(245fa)及び前記有機抽出剤を含む流れL1gを形成する工程
を含む。
【0078】
好ましくは、流れL1gはその後蒸留により分離されて、前記有機抽出剤を含む流れL1hと、E−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロ−1−プロペン(1233zdE)及び1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン(245fa)を含む流れL1iとが形成される。流れL1hはリサイクルされて、流れL1dと接触して組成物L1eを形成されうる。E−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロ−1−プロペン(1233zdE)及び1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン(245fa)を含む流れL1iは、焼却によって、精製されるか又は破壊されうる。
【0079】
好ましい実施態様によれば、流れL1dと接触している前記有機抽出剤は、炭化水素、ハロ炭化水素、アルコール、ケトン、アミン、エステル、エーテル、アルデヒド、ニトリル、炭酸塩、スルホキシド、硫酸塩、チオアルキル、アミド、複素環及びリン酸塩からなる群より選択される溶媒であるか、又は、有機抽出剤は、ペルフルオロブタン酸である。好ましい実施態様によれば、前記有機抽出剤は、5から20℃の間の沸点を有する。好ましい実施態様によれば、前記有機抽出剤は、1.1以上の分離係数S
1,2を有し、前記分離係数は、式S
1,2=(γ
1,S*P1)/(γ
2,S*P2)より計算され、式中、
γ
1,Sは、無限希釈の前記有機抽出剤中の2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンの活量係数を表し;
P1は、2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンの飽和蒸気圧を表し;
γ
2,Sは、無限希釈の前記有機抽出剤中の1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン(245fa)の活量係数を表し;
P2は、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン(245fa)の飽和蒸気圧を表し;
有利には、分離係数S
1,2は、1.2以上、好ましくは1.4以上、より優先的には1.6以上、特に1.8以上、より具体的には2.0以上であり、
且つ、
前記有機抽出剤は、式C
2,S=1/(γ
2,S)[式中、γ
2,Sは、無限希釈の前記有機抽出剤中の1,1,1,1,3−ペンタフルオロ3−プロパン(245fa)の活量係数を表す]により計算される0.20以上の吸収容量C
2,Sを有し;有利には、吸収容量C
2,Sは、0.40以上、好ましくは0.60以上、より優先的には0.80以上、特に1.0以上である。
【0080】
よって、特定の実施態様によれば、前記有機抽出剤は、エタンジオール、プロパノン、酢酸メチル、メチルグリオキサール、酢酸エチル、ブタノン、プロピオニトリル、トリオキサン、1,2−ジアミノエタン、1−メトキシ−2−プロパノール、炭酸ジエチル、2−メトキシ−1−プロパノール、1−メトキシ−2−アセトキシプロパン、ジメチルホルムアミド、3−メトキシ−1−ブタノール、ジアセトンアルコール、メチルアセトアセテート、n,n−ジメチルプロパンアミド、マロン酸ジメチル、ジエチルスルホキシド、2−(2−メトキシエトキシ)エタノール、トリメチルホスフェート及びマロン酸ジエチルからなる群より選択される群からより選択されてもよく;好ましくは、前記有機抽出剤は、プロパノン、酢酸メチル、酢酸エチル、ブタノン、ジオキサン、トリメトキシメタン、1,3−ジオキサン、1,3,5−トリオキサン、1,2−ジアミノエタン及び1−メトキシ−2−プロパノールからなる群より選択されてもよい。好ましくは、この特定の実施態様は、2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンと1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン(245fa)の効率的な分離を可能にしうる。
【0081】
特定の実施態様によれば、流れL1dを接触している前記有機抽出剤は、1.1以上の分離係数S
1,2を有し、前記分離係数は、式S
1,2=(γ
1,S*P1)/(γ
2,S*P2)より計算され、式中、
γ
1,Sは、無限希釈の前記有機抽出剤中の2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンの活量係数を表し;
P1は、2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンの飽和蒸気圧を表し;
γ
2,Sは、無限希釈の前記有機抽出剤中のE−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロ−1−プロペン(1233zdE)の活量係数を表し;
P2は、E−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロ−1−プロペン(1233zdE)の飽和蒸気圧を表し、
有利には、分離係数S
1,2は、1.2以上、好ましくは1.4以上、より優先的には1.6以上、特に1.8以上、より具体的には2.0以上であり、
且つ、
前記有機抽出剤は、式C
2,S=1/(γ
2,S)[式中、γ
2,Sは、無限希釈の前記有機抽出剤中のE−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロ−1−プロペン(1233zdE)の活量係数を表す]により計算される0.20以上の吸収容量C
2,Sを有し;有利には、吸収容量C
2,Sは、0.40以上、好ましくは0.60以上、より優先的には0.8以上、特に1.0以上である。
【0082】
よって、特定の実施態様では、前記有機抽出剤は、イソプロピルメチルアミン、メチル t−ブチルエーテル、ジエチルアミン、プロパノン、酢酸メチル、2−ブタンアミン、n−メチルプロピルアミン、テトラヒドロフラン、1−ブチルアミン、酢酸エチル、ブタノン、ギ酸n−プロピル、−ジメトキシプロパン、ジイソプロピルアミン、1,2−ジメトキシエタン、3−メチル−2−ブタンアミン、ジエトキシメタン、酢酸イソプロピル、3−ペンチルアミン、n−メチルブチルアミン、1−メトキシ−2−プロパンアミン、2−メトキシエタンアミン、酢酸tert−ブチル、プロピオン酸エチル、1,2−ジメトキシプロパン、ジオキサン、3−ペンタノン、1,1−ジエトキシエタン、2−ペンタノン、2−メトキシ−1−プロパンアミン、トリメトキシメタン、n−ペンチルアミン、3,3−ジメチル−2−ブタノン、1,3−ジオキサン、ピペリジン、2−エトキシエタンアミン、酢酸sec−ブチル、n−メチル−1,2−エタンジアミン、2,2−ジエトキシプロパン、1,2−ジアミノエタン、1−メトキシ−2−プロパノール、1,2−プロパンジアミン、2,6−ジメチル−5−ヘプタナール、1−(ジメチルアミノ)−2−プロパノール、3−メチル−3−ペンタノール、2−エチルブチルアミン、炭酸ジエチル、酢酸n−ブチル、2−ヘキサノン、n−エチルエチレンジアミン、2−メトキシ−1−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール、4−メチル−2−ヘキサンアミン、ヘキシルアミン、メトキシシクロヘキサン、2−(ジメチルアミノ)エタノール、シクロヘキシルアミン、n−エチル−2−ジメチルアミノエチルアミン、エトキシエタノール、2−エトキシ−1−プロパノール、1−メチルピペラジン、1,3−プロパンジアミン、2−ヘプタンアミン、n,n−ジエチルエチレンジアミン、4−メチル−2−ヘキサノン、1,1,1−トリエトキシエタン、1−メトキシ−2−アセトキシプロパン、4−メチルピリジン、n,n’−ジエチル−1,2−エタンジアミン、2,6−ジメチルモルホリン、ヘキサン酸メチル、2−プロポキシエタノール、1−プロポキシ−2−プロパノール、2−ヘプタノン、ジメチルホルムアミド、2−イソプロポキシエタノール、2−メチルピペラジン、シクロヘキサノン、1−ヘプタンアミン、2−エトキシ酢酸エチル、1,4−ブタンジアミン、2,4−ジメチルピリジン、2−メトキシ−3−メチルピラジン、4−メトキシ−4−メチルペンタン−2−オン、3−エトキシ−1−プロパノール、3−メトキシ−1−ブタノール、ジグリム、2−(ジエチルアミノ)エタノール、2,2−ジエトキシエタンアミン、2−メトキシ−n−(2−メトキシエチル)エタンアミン、2−(エチルアミノ)エタノール、3−オクタノン、ジアセトンアルコール、ジエチルアミノプロピルアミン、2−エチルヘキシルアミン、1−ブトキシ−2−プロパノール、2−ブトキシエタノール、2−オクタノン、ヘプタン酸メチル、トリエチレンジアミン、n,n−ジメチルプロパンアミド、2−プロピル 1−メトキシプロパノエート、1,5−ペンタンジアミン、シクロヘプタノン、3,4−ジメチルピリジン、1−オクタンアミン、ベンジルメチルアミン、1,1,3,3−テトラメトキシプロパン、ジヘキシルフタレート、ジエチルプロパノールアミン、2−ブトキシ酢酸エチル、ジエチルスルホキシド、2−(2−メトキシエトキシ)エタノール、4−メチルベンゼンメタンアミン、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、2−プロピルシクロヘキサノン、トリメチルホスフェート、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、安息香酸メチル、マロン酸ジエチル及び2−メトキシピリミジンからなる群より選択されてもよく;好ましくは、前記有機抽出剤は、ジエチルアミン、プロパノン、酢酸メチル、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、ブタノン、ジエトキシメタン、酢酸イソプロピル、酢酸tert−ブチル、ジオキサン、3−ペンタノン、1,1−ジエトキシエタン、2−ペンタノン、n−ペンチルアミン、1,3−ジオキサン、酢酸sec−ブチル、1,2−ジアミノエタン、1−メトキシ−2−プロパノール、酢酸n−ブチル及び1−エトキシ−2−プロパノールからなる群より選択される。好ましくは、この特定の実施態様は、2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンとE−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロ−1−プロペン(1233zdE)の効率的な分離を可能にしうる。
【0083】
好ましい実施態様によれば、E−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロ−1−プロペン(1233zdE)と1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン(245fa)の同時の除去を促進させるためには、流れL1dと接触している前記有機抽出剤は、プロパノン、酢酸メチル、酢酸エチル、ブタノン、ジオキサン、トリメトキシメタン、1,3−ジオキサン、1,2−ジアミノエタン、1−メトキシ−2−プロパノール、炭酸ジエチル、2−メトキシ−1−プロパノール、1−メトキシ−2−アセトキシプロパン、ジメチルホルムアミド、3−メトキシ−1−ブタノール、ジアセトンアルコール、n,n−ジメチルプロパンアミド、ジエチルスルホキシド、2−(2−メトキシエトキシ)エタノール、トリメチルホスフェート及びマロン酸ジエチルからなる群より選択されうる。特に、前記有機抽出剤は、プロパノン、酢酸メチル、酢酸エチル、ブタノン、ジオキサン、トリメトキシメタン、1,3−ジオキサン、1,2−ジアミノエタン、1−メトキシ−2−プロパノール、3−メトキシ−1−ブタノール及びジアセトンアルコールからなる群より選択されうる。
【0084】
好ましい実施態様によれば、E−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロ−1−プロペン(1233zdE)、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン(245fa)及び記有機抽出剤を含む前記流れL1gは、蒸留されて、一方に前記有機抽出剤が、他方にE−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロ−1−プロペン(1233zdE)及び1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン(245fa)が分離されうる。好ましくは、前記有機抽出剤はリサイクルされうる。
【0085】
好ましい実施態様によれば、2−クロロ−3,3,3−トリフルオロ−1−プロペン(1233xf)を含む流れL1fは、工程a)にリサイクルされる。
【0086】
重質不純物が前記流れL1d中に存在する場合、それは、分離前に蒸留されて、前記不純物を除去されうる。上記のような流れL1dは蒸留塔の上部で回収され、重質不純物は蒸留塔の底部で回収されうる。重質不純物は、例えば、1,2−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(1223xd)、対象の組成物又は流れ中に存在する化合物の一つに由来するダイマー又はトリマーを含有しうる。
【0087】
より具体的には、出発組成物は、1,1,2,3−テトラクロロプロペン、2,3,3,3,−テトラクロロプロペン、1,1,3,3−テトラクロロプロペン、1,3,3,3−テトラクロロプロペン、1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパン、1,1,1,3,3−ペンタクロロプロパン、1,1,2,2,3−ペンタクロロプロパン、1,2−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロプロパン、2−クロロ−2,3,3,3−テトラフルオロプロパン、1,1,1,2,2−ペンタフルオロプロパン、1−クロロ−1,3,3,3−テトラフルオロプロパン及び1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンを、好ましくは1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパン、1,1,2,3,テトラクロロプロペン、1,1,1,2,2−ペンタフルオロプロパン及び/又は2−クロロ−3,3,3−トリフルオロ−1−プロペンを;特に1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパン(240db)を含みうる。
【0088】
2,3,3,3−テトラフルオロプロペンを製造するための本方法で使用される触媒は、例えば、遷移金属酸化物又はこのような金属の誘導体又はハロゲン化物又はオキシハライドとすることができる。例えば、FeCl
3、オキシフッ化クロム、クロム酸化物(随意でフッ素化処理を施す)、及びフッ化クロム並びにこれらの混合物を挙げることができる。他の可能な触媒は、炭素上に支持された触媒、アンチモン系触媒、及びアルミニウム系触媒(例えばAlF
3及びAl
2O
3、アルミニウムオキシフルオリド及びフッ化アルミニウム)である。
【0089】
一般に、オキシフッ化クロム、フッ化アルミニウム又はオキシフルオリド、又はCr、Ni、Fe、Zn、Ti、V、Zr、Mo、Ge、Sn、Pb、Mg若しくはSbといった金属を含有する任意選択的に担持された触媒を使用することができる。
【0090】
この点については、国際公開第2007/079431号(第7ページ、第1〜5及び第28〜32行)及びEP939071(段落[0022])、国際公開第2008/054781号(第9ページ、第22行から第10ページ、第34行)及び国際公開第2008/040969号(請求項1)を参照することができ、これらは参照が明示的になされている。
【0091】
触媒は、特に好ましくはクロムベースの、特にクロムを含む混合触媒を主成分とする。
【0092】
一実施態様によれば、クロムとニッケルを含む混合触媒が使用される。Cr/Niのモル比(金属元素に基づく)は、通常、0.5〜5、例えば0.7〜2、例えば約1である。触媒は、重量で、0.5%から20%のニッケルを含有しうる。
【0093】
金属は、金属形態又は誘導体形態で、例えば酸化物、ハロゲン化物又はオキシハライドとして存在するができる。このような誘導体は、好ましくは触媒金属の活性化により得られる。
【0094】
担体は、好ましくは、アルミニウム、例えば米国特許第4902838記載された又は上述の活性化方法により得られた、ハロゲン化アルミニウム及びアルミニウムオキシハライドといった、アルミナ、活性アルミナ、アルミニウム誘導体により構成される。
【0095】
触媒は、任意選択的に活性化している担体上において、活性化又は非活性化形態のクロム及びニッケルを含みうる。
【0096】
国際公開第2009/118628号(特に、第4ページ、第30行から第7ページ、第16行)が参照され、本明細書中で明記されている。
【0097】
別の好ましい実施態様は、クロムとMg及びZnから選ばれた少なくとも一つの元素とを含む混合触媒に基づいている。Mg又はZn/Crの原子比は、好ましくは0.01から5である。
【0098】
触媒は、好ましくは、使用前に空気、酸素、又は塩素及び/又はHFで活性化される。
【0099】
例えば、触媒は、好ましくは、空気又は酸素及びHFを用いて、100〜500℃、好ましくは250〜500℃、特に300〜400℃の温度で活性化される。活性化の時間は、好ましくは、1〜200時間、特に1〜50時間である。
【0100】
この活性化に続いて、酸化剤、HF及び有機化合物の存在下における最終的なフッ素化活性化工程が行われうる。
【0101】
HF/有機化合物のモル比は、好ましくは2〜40であり、酸化剤/有機化合物のモル比は、好ましくは0.04〜25である。最終的な活性化の温度は、好ましくは300〜400℃であり、その継続時間は、好ましくは6〜100時間である。
【0102】
気相フッ素化反応は、
− 3:1から150:1、好ましくは4:1から125:1、特に好ましくは5:1から100:1の式(I)及び/又は(II)のモル比のHF/化合物で;
− 3から100秒、好ましくは4から75秒、特に5から50秒の接触時間で(触媒の体積を流入する流れ全体で除し、運転温度及び運転圧に合わせて調整する);
− 大気圧から20バール、好ましくは2から18バール、より具体的には3から15バールの範囲の圧力で;
− 200〜450℃、好ましくは250〜400℃、及び特に280〜380℃の温度(触媒床の温度)で
で行われうる。
【0103】
反応工程の持続時間は、典型的には10から8000時間、好ましくは50から5000時間、特により好ましくは70から1000時間である。
【0104】
酸化剤、好ましくは酸素は、フッ素化反応中に任意選択的に添加されてもよい。酸素/有機化合物のモル比は、0.005から2、好ましくは0.01から1.5でありうる。酸素は、純粋な形態で、又は空気若しくは酸素/窒素混合物の形態で導入されうる。酸素は塩素と置き換えられてもよい。
【0105】
図1は、本発明の特定の実施態様による2,3,3,3−テトラフルオロプロペンを製造するための方法を行うための装置を概略的に示す。フッ化水素酸1は、一又は複数の反応器3中で1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパン(240db)2と接触する。2,3,3,3−テトラフルオロ−1−プロペン、1,1,1,2,2−ペンタフルオロプロパン(245cb)、トランス−1,3,3,3−テトラフルオロ−1−プロペン(1234zeE)、2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(1233xf)、E−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロ−1−プロペン(1233zdE)及び1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン(245fa)を含む、得られた混合物は、反応器の出口で回収され、パイプ4を介して蒸留塔5へ運ばれる。混合物はまた、HCl、未反応HF及び重質不純物又は2,3,3,3−テトラフルオロ−1−プロペンより低い沸点を有する不純物を含みうる。蒸留塔の底部で得られる流れの全部又はいくらかは、パイプ7を介して精製装置13へ運ばれる。HF、2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(1233xf)及び1,1,1,2,2−ペンタフルオロプロパン(245cb)並びに任意選択的にトランス−1,3,3,3−テトラフルオロ−1−プロペン(1234zeE)は、この精製装置13から抽出されてもよく、これらはパイプ15を介して反応器3へリサイクルされる。E−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロ−1−プロペン(1233zdE)及び1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン(245fa)もまた、装置13から抽出され、14で焼却炉又は精製装置へ排出されうる。流れはまた蒸留塔5の上部で回収され、パイプ6を介して精製装置7へ運ばれる。精製装置7から、2,3,3,3−テトラフルオロ−1−プロペンを含む流れがパイプ8を介して11で回収される。1,1,1,2,2−ペンタフルオロプロパン(245cb)、及び任意選択的にトランス−1,3,3,3−テトラフルオロ−1−プロペン(1234zeE)を含む流れもまた得られ、パイプ10を介して反応器3へリサイクルされる。そして、トランス−1,3,3,3−テトラフルオロ−1−プロペン(1234zeE)を含む流れは、パイプ9を介して12で回収されうる。
【0106】
図2は、本発明の特定の実施態様に従って、精製装置13を概略的に説明する。HF、トランス−1,3,3,3−テトラフルオロ−1−プロペン(1234zeE)、1,1,1,2,2−ペンタフルオロプロパン(245cb)、2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(1233xf)、E−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロ−1−プロペン(1233zdE)及び1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン(245fa)を特に含む流れ21は、−25℃の温度でデカンターへ運ばれる。HFは、23で抽出及び回収されて、反応器3へリサイクルされる。他の構成要素は、パイプ24を介して蒸留塔25へ運ばれる。トランス−1,3,3,3−テトラフルオロ−1−プロペン(1234zeE)及び1,1,1,2,2−ペンタフルオロプロパン(245cb)は、蒸留塔の上部から除去され、パイプ26を介して27で回収される。これらは、回収されて、反応3へリサイクルされる。2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(1233xf)、E−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロ−1−プロペン(1233zdE)及び1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン(245fa)は、パイプ28を介して蒸留塔29へ運ばれて、蒸留塔の底部で、存在する任意の重出不純物を抽出し、それらをパイプ31を介して焼却炉32へ運ぶ。蒸留塔29の上部で回収される2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(1233xf)、E−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロ−1−プロペン(1233zdE)及び1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン(245fa)は、パイプ30を介して、精製装置33へ運ばれる。この精製装置33から、パイプ34を介して、2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(1233xf)は、36で抽出されうる。この精製装置33は抽出蒸留でありうる。E−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロ−1−プロペン(1233zdE)及び1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン(245fa)は、パイプ35を介して37で回収されて、焼却又は精製されうる。
【0107】
図3は、本発明の特定の実施態様に従って、精製装置7を概略的に説明する。貯蔵タンク41は、2,3,3,3−テトラフルオロ−1−プロペン、トランス−1,3,3,3−テトラフルオロ−1−プロペン(1234zeE)、1,1,1,2,2−ペンタフルオロプロパン(245cb)及び2,3,3,3−テトラフルオロ−1−プロペンよりも低い沸点を有する不純物を含む。この混合物は、パイプ42を介して蒸留塔43へ運ばれる。2,3,3,3−テトラフルオロ−1−プロペンよりも低い沸点を有する不純物は、パイプ44を介して45で除去される。混合物の他の構成要素は、パイプ46を介して蒸留塔47へ運ばれる。2,3,3,3−テトラフルオロ−1−プロペンを含む流れは、蒸留塔の上部で回収され、48で除去されて、貯蔵タンク又は追加の精製装置55、例えば抽出蒸留装置へ移される。トランス−1,3,3,3−テトラフルオロ−1−プロペン(1234zeE)及び1,1,1,2,2−ペンタフルオロプロパン(245cb)は、蒸留塔の底部で回収され、パイプ49を介して精製装置50へ運ばれる。トランス−1,3,3,3−テトラフルオロ−1−プロペン(1234zeE)と分離された1,1,1,2,2−ペンタフルオロプロパン(245cb)を含む流れは、パイプ52を介して53で回収される。53で回収される1,1,1,2,2−ペンタフルオロプロパン(245cb)を含む流れは、反応器3へリサイクルされうる。トランス−1,3,3,3−テトラフルオロ−1−プロペン(1234zeE)を含む流れは、パイプ51を介して54で回収され、焼却又は精製される。この精製装置50は抽出蒸留でありうる。