特許第6964594号(P6964594)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6964594-配管用モジュール式断熱構造体 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6964594
(24)【登録日】2021年10月21日
(45)【発行日】2021年11月10日
(54)【発明の名称】配管用モジュール式断熱構造体
(51)【国際特許分類】
   F16L 59/02 20060101AFI20211028BHJP
   F16L 59/147 20060101ALI20211028BHJP
   G21D 1/00 20060101ALI20211028BHJP
【FI】
   F16L59/02
   F16L59/147
   G21D1/00 J
   G21D1/00 Q
【請求項の数】6
【全頁数】5
(21)【出願番号】特願2018-545834(P2018-545834)
(86)(22)【出願日】2017年10月27日
(65)【公表番号】特表2020-507716(P2020-507716A)
(43)【公表日】2020年3月12日
(86)【国際出願番号】RU2017000796
(87)【国際公開番号】WO2018147762
(87)【国際公開日】20180816
【審査請求日】2020年1月22日
(31)【優先権主張番号】2017104488
(32)【優先日】2017年2月13日
(33)【優先権主張国】RU
(73)【特許権者】
【識別番号】517206856
【氏名又は名称】ジョイント・ストック・カンパニー エクスペリメンタル アンド デザイン オーガナイゼーション 「ギドロプレス」 アワーデッド ジ オーダー オブ ザ レッド バナー オブ レイバー アンド シーゼットエスアール オーダー オブ レイバー
(74)【代理人】
【識別番号】110001900
【氏名又は名称】特許業務法人 ナカジマ知的財産綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】ガブリーリン ヴィクトール アレクセーヴィチ
【審査官】 伊藤 紀史
(56)【参考文献】
【文献】 独国特許出願公開第102011001335(DE,A1)
【文献】 米国特許第05960602(US,A)
【文献】 中国実用新案第200972042(CN,Y)
【文献】 実開昭52−052000(JP,U)
【文献】 実開平07−041192(JP,U)
【文献】 国際公開第2001/075352(WO,A1)
【文献】 実開昭54−156275(JP,U)
【文献】 中国特許出願公開第105065859(CN,A)
【文献】 ロシア国特許発明第2298131号明細書
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 59/02
F16L 59/147
G21D 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステンレス耐腐食鋼を溶接してなり、内部が断熱材で満たされたブロックを、複数個配管の外面を覆うように配設してなるモジュール形の断熱構造体であって、
配管をその径方向から挟むようにして配された一対のブロックからなる組が、当該配管の伸びる方向に複数連続して配されており、
各一対の組におけるブロック同士、および配管の伸びる方向に隣接するブロック同士が、即効性のテンションロックで連結され、
配管の伸びる方向における各ブロックの連結部はカバープレートで保護されており、
断熱材には波形またはこぶ付きの保護材が少なくとも3つ使われ、前記保護材は、空洞を内包したステンレス耐腐食鋼で製造されており、
隣接するブロックの外側に張られたシートは当該ブロック自体よりも前記カバープレートのサイズだけ短く、前記保護材の外面から横方向に伸びる通風用の隙間が設けられており、
前記カバープレートは、波形のステンレス耐腐食鋼シートを多層に重ねた断面形状を持つと共に、配管の周方向において分割された部分が即効性のテンションロックにより連結されており、前記カバープレートの幅は、配管の伸びる方向における各ブロックの連結部内で温度が上昇する領域を覆う
ことを特徴とする断熱構造体。
【請求項2】
各ブロックは、軸方向の連結線に沿って並ぶ棟部を有することを特徴とする請求項1に記載の断熱構造体。
【請求項3】
各ブロックの連結部の表面が粗いことを特徴とする請求項1に記載の断熱構造体。
【請求項4】
各ブロックの内面は外面よりも熱膨張量だけ短いことを特徴とする請求項1に記載の断熱構造体。
【請求項5】
各ブロックは前記配管から隙間を空けて取り付けられていることを特徴とする請求項1に記載の断熱構造体。
【請求項6】
各ブロックの取り付け面は、波形またはこぶ付きのステンレス耐腐食鋼シートから成ることを特徴とする請求項1に記載の断熱構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は原子力産業に関し、一般的には原子力発電施設の熱交換設備、特定的には原子炉ユニットの配管と設備との断熱に関する。
【背景技術】
【0002】
ある周知技術は、輻射熱を減衰させる配管の保護材に適用されている(特許文献1参照)。
【0003】
「高熱保護用断熱材」が、交互に波打つ箔状の保護材として形成され、互いに厚みが異なることも知られている(特許文献2参照)。
【0004】
特許請求の範囲に記載された発明に最も類似する技術は、「表面に円筒形状の部分を含む装置用の取り外し可能なモジュール式断熱材」である(特許文献3参照)。この断熱材は、ステンレス耐腐食鋼の溶接された箱として製造され、配管の外面に配置された複数個のブロックを含む。各箱は断熱材で満たされ、即効性のテンションロックで互いに接続されている。ブロック間の連結部はカバープレートで保護されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】ロシア連邦特許第2219425号明細書
【特許文献2】ロシア連邦特許出願第2003106471/06号明細書
【特許文献3】ロシア連邦特許第2298131号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に開示の構造体の欠点は次のとおりである。内包される空洞の数が多いので配置が複雑である。構造体の設置と交換とが難しい。過熱を除くことができない。
【0007】
特許文献2に開示の構造体の欠点は次のとおりである。保護材間の空洞が開放されている。構造体の設置と交換とが難しい。一体構造である。留め具がない。
【0008】
特許文献3に開示の構造体の欠点は次のとおりである。ブロックが断絶した場合、原子炉ユニットの循環路に繊維状の物質が侵入する危険がある。構造体には多量の材料が必要である。ユニットの連結部に沿った過熱を除くことができない。
【0009】
これらの欠点は次の事実に起因する。繊維状の物質が断熱材として使われている。さらに、設計上、原子炉ユニットの操作過程においてブロックの連結部から過熱を除くことができない。
【0010】
これらの欠点は本発明によって除去される。
【0011】
本発明の目的は、原子炉ユニットの稼働中、処理のパラメータを安全な範囲に留める断熱構造体を製造することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
モジュール形の断熱構造体は、ステンレス耐腐食鋼のブロックを複数個溶接して製造されており、配管の外面に配置されている。各ブロックは断熱材で満たされ、即効性のテンションロックで互いに連結されている。各ブロックの連結部はカバープレートで保護されている。断熱材には波形またはこぶ付きの保護材が少なくとも3つ使われ、これらは、空洞を内包したステンレス耐腐食鋼で製造されている。隣接するブロックの外側に張られたシートはそれらのブロック自体よりもカバープレートのサイズだけ短く、保護材の外面から横方向に伸びる通風用の隙間が設けられている。カバープレートは、波形のステンレス耐腐食鋼シートの多層膜と整合する断面形状を持つ。この断面には即効性のテンションロックがある。カバープレートの幅は各ブロックの連結部内で温度が上昇する領域を覆う。
【0013】
各ブロックは、軸方向の連結線に沿って並ぶ棟部を有していてもよい。各ブロックの連結部の表面が粗くてもよい。特に、ブロック間の連結部の表面が波形のステンレス耐腐食鋼シートで形成されていてもよい。各ブロックの外面は内面よりも熱膨張量だけ長くてもよい。各ブロックは配管から隙間を空けて取り付けられていてもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明の技術的な効果は、構造体の製造に必要な材料の削減、熱エネルギーの節約、構造体の設置と交換との簡単化、および構造体からの繊維状物質の排除である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】配管とモジュール式断熱構造体との全体図である。
図2】断熱ブロックの断面図である。
図3】モジュール式断熱構造体の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
配管1の外面はブロック2を支えている。各ブロックは、ステンレス耐腐食鋼製の溶接された箱として形成され、中に断熱材3を含む。ブロック間は即効性のテンションロック4によって接続されており、その連結部はカバープレート5で閉じられている。断熱材には、ステンレス耐腐食鋼シートから成る波形またはこぶ付きの保護材6が少なくとも3つ使われている。保護材は空洞を内包している。隣接するブロック2の外側に張られたシート7はブロック自体よりもカバープレート5のサイズだけ短く、保護材6の外面から横方向に隙間8が設けられている。カバープレート5は、ステンレス耐腐食鋼の波形シートの多層膜と整合する断面形状を成す。カバープレートの断面は即効性のテンションロック4によって互いに接続されている。
【0017】
各ブロック2は、軸方向の連結部9に沿って並ぶ棟部を有していてもよい。各ブロックの連結部9の表面が粗くてもよい。特に、ブロック2間の連結部の表面が波形のステンレス耐腐食鋼シートで形成されていてもよい。このシートが、連結部に沿って失われる熱量を大幅に削減する。
【0018】
各ブロック2の外面は内面よりも熱膨張量だけ長くてもよい。各ブロックは配管から隙間10を空けて取り付けられていてもよい。
【0019】
ステンレス耐腐食鋼シート、たとえばGOST4986−79から成る波形の保護材が使用されることにより、ブロックの厚みと材料とを削減することができる。通気用の隙間8が開放されていることにより、ブロック2の外面の温度が必要な値に確保される。多層のカバープレート5はその幅により、ブロックの連結部においてブロックの温度が上昇する領域を覆っている。これによっても、断熱材の表面温度が必要な値に確保される。
【0020】
こうして、本発明の利用により、周知の構造体と比べて確実に、構造体の材料が削減され、熱損失が低減し、構造体の取り付けと交換とが簡単化され、繊維状の物質が除去される。
図1
図2
図3