【実施例】
【0038】
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例、比較例で使用した第1剤および第2剤からなる酸化染毛剤の成分および配合割合は、表1〜2に示す通りである。表1〜2に記載された成分の単位は質量%であり、第1剤または第2剤の全量を100質量%として表す。
【0039】
表1〜2に記載の配合割合で、第1剤および第2剤の各成分を秤量して、質量基準で1:1の比率で混合することにより、アニオン性酸化染毛剤およびカチオン性酸化染毛剤を調製した。
【0040】
【表1】
【0041】
【表2】
【0042】
[実施例1〜17、比較例1〜11]
実施例、比較例で調製した毛髪用処理剤の成分および配合割合は、表3−1、3−2および4に示す通りである。表に記載された成分の単位は質量%であり、毛髪用処理剤全量を100質量%として表す。
【0043】
表3−1、3−2および4に記載の配合割合で、各成分を秤量して、混合することにより毛髪用処理剤を調製した。
調製した毛髪用処理剤を用いて、以下の試験を行い、評価を行った。
【0044】
なお、表3−1、3−2および4に記載の各成分は以下の市販品を用いた。
<高級アルコール(成分A)>
セタノール:セタノールSH(高級アルコール工業株式会社製)
<二鎖型カチオン界面活性剤(成分B)>
ジステアリルジモニウムクロリド(成分B−1):アーカード2HP-75(ライオン株式会社製)
ジセチルジモニウムクロリド(成分B−2):VARISOFT 432 PPG(エボニックジャパン株式会社製)
ジココジモニウムクロリド(平均分子量447.5)(成分B−3):アーカード2C−75(ライオン株式会社製)
<一鎖型カチオン界面活性剤(成分X)>
ベヘントリモニウムクロリド(成分X−1):カチナール DC−80(東邦化学株式会社製)
ステアルトリモニウムクロリド(成分X−2):カチナール STC‐70ET(東邦化学株式会社製)
ラウリルトリモニウムクロリド(成分X−3):カチナール LTC‐35A(東邦化学株式会社製)
<カチオン界面活性剤以外の界面活性剤(成分Y)>
ポリオキシエチレンセチルエーテル(成分Y−1):エマレックス120(日本エマルジョン株式会社製)(ノニオン界面活性剤)
ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム(成分Y−2):アルスコープ NS−230(東邦化学株式会社製)(アニオン界面活性剤)
ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン液(成分Y−3):レボン2000(三洋化成工業株式会社製)液中にヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタインが30質量%含まれる溶液(両性界面活性剤)
<ポリエチレングリコール(成分C)>
ポリエチレングリコール(成分C−1):アルコックスE−160(25℃、水溶液濃度0.5質量%の時の水溶液粘度が150〜170mPa・s)(明成化学工業株式会社製)
ポリエチレングリコール(成分C−2):アルコックスE−75(25℃、水溶液濃度0.5質量%の時の水溶液粘度が40〜70mPa・s)(明成化学工業株式会社製)
ポリエチレングリコール(成分C−3):アルコックスE−30(25℃、水溶液濃度2質量%の時の水溶液粘度が40〜100mPa・s)(明成化学工業株式会社製)
【0045】
<評価>
調製したアニオン性およびカチオン性の酸化染毛剤を使用してヘアカラー処理を施した毛束に対し、専門パネラー(美容師)10名が1人ずつ以下の(1)〜(6)の各項目に記載した評価基準に従って官能評価を行った。
【0046】
評価項目の分離に関しては、毛髪用処理剤が剤型化できるものに関しては○、できないものに関しては×とした。
塗布時の操作性に関しては、本発明の毛髪用処理剤の評価項目として必須項目ではない。したがって、以下の(1)〜(6)の各項目の評価基準を満たした実施例で製造した毛髪用処理剤は、塗布時の操作性に関する評価が劣っていても、本発明の毛髪用処理剤として問題なく使用することができる。
【0047】
なお、(4)流し時の滑らかさ以外の項目については、ヘアカラー処理を施した毛束がドライの状態で評価を行った。
各項目につき10名の評価点の平均を算出し、以下のとおり評価した。
◎:10人の専門パネラー(美容師)の評価点の平均が3.5点以上である。
○:10人の専門パネラー(美容師)の評価点の平均が2.5点以上3.5点未満である。
△:10人の専門パネラー(美容師)の評価点の平均が1.5点以上2.5点未満である。
×:10人の専門パネラー(美容師)の評価点の平均が1.5点未満である。
【0048】
比較例11の毛髪用処理剤の評価は、カチオン性の酸化染毛剤によるヘアカラー処理を施した毛束を使用して行い、実施例1〜17および比較例1〜10の毛髪用処理剤の評価は、アニオン性の酸化染毛剤によるヘアカラー処理を施した毛束を使用して行った。
【0049】
<評価項目および評価基準>
(1)染まり具合(染色の具合)に関する評価
ヤギ毛束(10cm、1g)(LB−W、ビューラックス株式会社製)に調製した酸化染毛剤を3g塗布し、室温で30分放置後、40℃のお湯で水洗し、各実施例および比較例で製造した毛髪用処理剤1gを毛束に塗布した。次に、毛髪用処理剤を40℃のお湯で水洗後、シェルパデザインサプリD−2シャンプー(株式会社アリミノ製)1gを用いてシャンプーした後、40℃のお湯で水洗し、シェルパデザインサプリD−2トリートメント(株式会社アリミノ製)1gを塗布した。その後、毛束を水洗しドライヤーで乾燥させた。
【0050】
毛髪用処理剤を使用した場合と、使用しなかった場合の毛束の色の染まり具合を目視で比較し評価した。
4点 毛髪用処理剤を使用しなかった場合に比べて、色が明らかに濃く染まっている。
3点 毛髪用処理剤を使用しなかった場合に比べて、色が濃く染まっている。
2点 毛髪用処理剤を使用しなかった場合に比べて、色の濃淡の差がなく染まっている。
1点 毛髪用処理剤を使用しなかった場合に比べて、色が薄く染まっている。
【0051】
(2)色持ち(褪色のしにくさ)に関する評価
ヤギ毛束(10cm、1g)(LB−W、ビューラックス株式会社製)2本に調製した酸化染毛剤をそれぞれ3g塗布し、室温で30分放置後、40℃のお湯で水洗し、各実施例および比較例で製造した毛髪用処理剤をそれぞれ1g毛束に塗布した。次に、毛髪用処理剤を40℃のお湯で水洗後、シェルパデザインサプリD−2シャンプー(株式会社アリミノ製)1gを用いてシャンプーした後、40℃のお湯で水洗した(シャンプー処理)。毛束にシェルパデザインサプリD−2トリートメント(株式会社アリミノ製)1gを塗布した(トリートメント処理)。その後、毛束を水洗しドライヤーで乾燥させる(乾燥処理)。毛髪用処理剤を塗布した2本のヤギ毛束のうち1本は、シャンプー→トリートメント→乾燥を行う一連の処理(シャンプー・トリートメント・乾燥処理)を10回繰り返した。もう1本の一連の処理を行わなかったヤギ毛束と、シャンプー・トリートメント・乾燥処理を繰り返し行った毛束を比較して、毛束の色持ちを目視で確認した(上述の操作を操作Aとする)。
【0052】
毛髪用処理剤を使用しなかった以外は、操作Aと同様の手順を行った(操作Bとする)。
操作Aを行った毛束の色持ち具合と操作Bを行った毛束の色持ち具合を比較することで、毛髪用処理剤の色持ちの効果を評価した。
4点 毛髪用処理剤を使用しなかった場合に比べて、明らかに色持ちが良い。
3点 毛髪用処理剤を使用しなかった場合に比べて、色持ちが良い。
2点 毛髪用処理剤を使用しなかった場合に比べて、色落ちの程度に差がない。
1点 毛髪用処理剤を使用しなかった場合に比べて、色落ちしている。
【0053】
(3)艶に関する評価
人毛黒髪毛束(30cm、10g)(BS−B3A、ビューラックス株式会社製)に調製した酸化染毛剤を30g塗布し、室温で30分放置後、40℃のお湯で水洗し、各実施例および比較例で製造した毛髪用処理剤5gを毛束に塗布した。毛髪用処理剤を40℃のお湯で水洗後、シェルパデザインサプリD−2シャンプー(株式会社アリミノ製)3gを用いてシャンプーした後、40℃のお湯で水洗し、シェルパデザインサプリD−2トリートメント(株式会社アリミノ製)3gを塗布した。その後、毛束を水洗しドライヤーで乾燥させた。
【0054】
毛髪用処理剤を使用した場合と、使用しなかった場合の艶を目視で比較して評価した。
4点 毛髪用処理剤を使用しなかった場合に比べて、格段に艶がでている
3点 毛髪用処理剤を使用しなかった場合に比べて、より艶がある。
2点 毛髪用処理剤を使用しなかった場合に比べて、艶に差はない。
1点 毛髪用処理剤を使用しなかった場合に比べて、艶がでていない。
【0055】
(4)流し時の滑らかさ(きしみ感のなさ)に関する評価
人毛黒髪毛束(30cm、10g)(BS−B3A、ビューラックス株式会社製)に調製した酸化染毛剤を30g塗布し、室温で30分放置後、40℃のお湯で水洗し、各実施例および比較例で製造した毛髪用処理剤5gを毛束に塗布した。毛髪用処理剤を40℃のお湯で水洗後、シェルパデザインサプリD−2シャンプー(株式会社アリミノ製)3gを用いてシャンプーした後、毛束を40℃のお湯で水洗し、その時の指通りを確認した。
【0056】
毛髪用処理剤を使用した場合と、使用しなかった場合との指通りを手触りで比較して評価した。
4点 毛髪用処理剤を使用しなかった場合に比べて、きしみ感を感じず、柔らかく、明らかに指通りが滑らかであった。
3点 毛髪用処理剤を使用しなかった場合に比べて、よりきしみ感が少なく、指通りが滑らかであった。
2点 毛髪用処理剤を使用しなかった場合と、同程度の滑らかさであった。
1点 毛髪用処理剤を使用しなかった場合に比べて、きしみ感があり、滑らかさに欠け、指通りが悪かった。
【0057】
(5)仕上がりの指通りに関する評価
人毛黒髪毛束(30cm、10g)(BS−B3A、ビューラックス株式会社製)に調製した酸化染毛剤を30g塗布し、室温で30分放置後、40℃のお湯で水洗し、各実施例および比較例で製造した毛髪用処理剤5gを毛束に塗布した。毛髪用処理剤を40℃のお湯で水洗後、シェルパデザインサプリD−2シャンプー(株式会社アリミノ製)3gを用いてシャンプーした後、40℃のお湯で水洗し、シェルパデザインサプリD−2トリートメント(株式会社アリミノ製)3gを塗布した。その後、毛束を水洗しドライヤーで乾燥させた。
【0058】
毛髪用処理剤を使用した場合と、使用しなかった場合と仕上がりの指通りを手触りで比較して評価した。
4点 毛髪用処理剤を使用しなかった場合に比べて、格段に滑らかで、柔らかく、指通りがよい。
3点 毛髪用処理剤を使用しなかった場合に比べて、ひっかかりが少なく、指通りが良い。
2点 毛髪用処理剤を使用しなかった場合に比べて、指通りに差はない。
1点 毛髪用処理剤を使用しなかった場合に比べて、指通りが悪い。
【0059】
(6)塗布時の操作性に関する評価
毛髪の長さが50cmの人頭に調製した酸化染毛剤を160g塗布し、室温で30分放置後、40℃のお湯で水洗し、各実施例および比較例で製造した毛髪用処理剤15gを塗布した。
【0060】
毛髪用処理剤を人頭に塗布した時の操作性を評価した。
4点 非常に滑らかな延びがあり、毛髪用処理剤が塗布しやすい。
3点 毛髪と馴染みやすく、毛髪用処理剤が塗布しやすい。
2点 毛髪用処理剤が問題なく塗布できる。
1点 毛髪用処理剤が硬すぎて毛髪に馴染みづらい、もしくは垂れ落ちやすく充分に塗布できない。
【0061】
【表3-1】
【0062】
【表3-2】
【0063】
【表4】
【0064】
実施例1〜17で製造した毛髪用処理剤はいずれも、比較例と比べて染まり具合、色持ち、艶、流し時の滑らかさ、および仕上がりの指通りが良好な結果となった。また、実施例1〜17で製造した毛髪用処理剤はいずれも、均一に混合することが可能であり、剤型化することができた。
【0065】
実施例13〜17で製造した毛髪用処理剤はいずれも、成分Cを含む。該実施例では毛髪用処理剤を人頭に塗布した時の操作性が良好であった。
比較例1で製造した毛髪用処理剤は、成分Aと成分Bとの割合が1:2より低いため、成分同士が分離して均一に混合することが不可能となり、剤型化することができなかった。よって、比較例1で製造した毛髪用処理剤については官能評価を行っていない。
【0066】
比較例2で製造した毛髪用処理剤は、成分Aと成分Bとの割合が1:4.5より高いため、シャンプーの水洗後の毛髪は、艶、流し時の滑らかさ、および仕上がりの指通りが劣る結果となった。
【0067】
比較例3で製造した毛髪用処理剤は成分Aおよび成分Bの合計量が1質量%より少ないため、シャンプーの水洗後の毛髪は、染まり具合、色持ち、艶および仕上がりの指通りが劣る結果となった。
【0068】
比較例4で製造した毛髪用処理剤は、成分Aおよび成分Bの合計量が14質量%より多いため、シャンプーの水洗後の毛髪は、仕上がりの指通りが劣る結果となった。
比較例5〜7で製造した毛髪用処理剤は、二鎖型カチオン界面活性剤である成分B−1、B−2またはB−3に代えて、それぞれ一鎖型カチオン界面活性剤である成分X−1、X−2またはX−3を使用した。比較例5〜7ではシャンプーの水洗後の毛髪は、色持ち、および艶が劣る結果となった。
【0069】
比較例8〜10で製造した毛髪用処理剤は、二鎖型カチオン界面活性剤である成分B−1、B−2またはB−3に代えて、それぞれノニオン界面活性剤、アニオン界面活性剤または両性界面活性剤である成分Y−1、Y−2またはY−3を使用した。比較例8〜10では、シャンプーの水洗後の毛髪は、染まり具合、色持ち、艶、流し時の滑らかさ、および仕上がりの指通りが劣る結果となった。
【0070】
比較例11では、アニオン界面活性剤に代えて、カチオン界面活性剤を含む酸化染毛剤で染毛した毛髪に対して、実施例17で製造した毛髪用処理剤を使用して評価を行った。比較例11は、シャンプーの水洗後の毛髪は、染まり具合、色持ち、艶、流し時の滑らかさ、および仕上がりの指通りが劣る結果となった。