(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
太陽光発電は、一般家庭における発電等や企業による商業発電に用いられており、半導体を用いた太陽電池を多数使用して大型パネルに構成した太陽光パネルが実用化されている。
太陽光パネルは、屋外に設置されることから、降雨、降雪、強風等に耐えられるように設計製造されているが、異常な荒天によって破損することがある。
また、長期間の使用によって、季節の温度差や太陽光(紫外線)による劣化等が進行する。そのため、一般的な太陽光パネルは、20〜30年程度が寿命とされている。
太陽光発電の普及に伴い、上記のように、荒天によって破損したものや寿命を迎えたものなど、廃棄される太陽光パネルが増大するため、廃棄対象の太陽光パネルを資源としてリサイクル利用を行うことが考えられている。
【0003】
一般的な太陽光パネルは、多数のセルを並べてパネル状に構成されており、パネルの外周部分を、例えば、アルミ製のフレーム部材を用いて固定している。
リサイクルが可能となるように太陽光パネルを解体するときには、パネルの外周部分からフレーム部材を取り外す作業が行われる。このフレーム部材を取り外すとき、爪部材をアクチュエータによって移動させ、フレーム部材に押圧を加える装置がある(特許文献1)。
【0004】
この装置は、フレーム部材に爪部材を当接させるとき、ステージに載置された太陽電池モジュールを、フレーム分離手段に向かって移動させ、フレーム分離手段に備えられた爪部材に太陽電池モジュールのフレーム部材を当接させる。
このとき、太陽電池モジュールの長手方向の位置を位置検出センサで検出し、太陽電池モジュールの端部から所定量内側に加圧位置を決定する。
また、太陽電池モジュールの短手方向の中心位置に加圧位置を決定し、これら各加圧位置において、フレーム部材の直交方向外側へ向けて爪部材を移動させ、フレーム部材を太陽電池モジュールから分離する。
【0005】
上記の爪部材は、断面形状が略かぎ状に形成されたフレーム部材の、太陽電池モジュールと接合されている部分(フレーム部材の基端部分)へ届くように、爪部材の先端部分を突出させて略L字状に形成されたものである。
この爪部材は、先端部分がフレーム部材の長手方向に対して短く形成されている。上記の装置は、爪部材の先端部分のみをフレーム部材に当接させて加圧を行っている。
即ち、上記の装置は、爪部材の先端部分を当接させた、フレーム部材の狭い範囲(小さい部分)に加圧を集中させて、太陽電池モジュールからフレーム部材を取り外すように構成されている。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、この発明の実施の一形態を説明する。
図1は、本開示の実施形態による解体装置1の一の側方を見た場合の側面図である。また、
図2は、
図1の解体装置1の他の側方を見た場合の側面図である。
解体装置1は、例えば、金属製の複数の長手部材を用いて構成された筐体2を備え、この筐体2に、後述する各部が設置されている。
筐体2は、複数の長手部材を接合して格子状に形成させたもので、例えば、床面に対して鉛直に設置された4本の筐体支柱部材2c、隣り合う2本の筐体支柱部材2c間を繋ぐ各筐体下側部材2a、および、各筐体上側部材2bによって構成されている。各筐体下側部材2aおよび各筐体上側部材2bは、それぞれ床面に対して平行に配置され、各筐体下側部材2aは、各筐体支柱部材2cの下側を接続し、各筐体上側部材2bは、各筐体支柱部材2cの上側を接続している。
【0019】
解体装置1は、各筐体下側部材2aに昇降機構部4が設置固定されている。昇降機構部4は、筐体2の内部において、載置部3を上下方向に移動させることができるように配置構成されている。
詳しくは、昇降機構部4は、載置部3の上面が水平状態を保ちながら上下方向へ移動するように、載置部3の下側部分を支持している。
載置部3は、上面に太陽光パネル(図示省略)を載置させ、この太陽光パネルを所定位置に位置決め固定する位置決め具等を備えて構成されている。
解体装置1は、載置部3等の上側にフレーム外し機構部5が配置されている。フレーム外し機構部5は、例えば、後述する各短辺部分の筐体上側部材2bに設置固定されており、載置部3に載置された太陽光パネルと接することができるように、筐体2の内部に配置されている。
【0020】
解体装置1は、筐体2の適当な位置に固定された操作部6を備えている。ここで例示する解体装置1の操作部6は、例えば、筐体2の外側に配置され、任意の筐体支柱部材2cならびに筐体上側部材2bに固定されている。
操作部6は、昇降機構部4、フレーム外し機構部5等の動作を操作する複数のスイッチを備えており、例えば、昇降機構部4、フレーム外し機構部5を動作させる圧縮空気の供給や、各部へ供給された圧縮空気の排気等を制御するように、上記の各スイッチに配線接続等が行われている。なお、ここでは、上記の圧縮空気を生成するコンプレッサ(エアポンプ)や、上記の各機構部へ圧縮空気を送る配管等の図示を省略する。
【0021】
図3は、
図1の解体装置1を上方から見た場合の構成を示す説明図である。この図は、解体装置1を上方から見たとき、筐体2内部に設置された各部の構成を透視したものである。
ここで例示する解体装置1は、上方から見たとき、上面部分が長方形となるように構成されている。この長方形の4隅には、それぞれ筐体支柱部材2cが配置され、各筐体支柱部材2cの頭部には、例えば、筐体2の上側部分において、短辺部分となる筐体上側部材2b、および、長辺部分となる筐体上側部材2bがそれぞれ接続されている。
筐体2の上側部分にはフレーム外し機構部5が設置されており、例えば、各筐体上側部材2bに、フレーム外し機構部5が固定されている。
フレーム外し機構部5は、載置部3に載置された太陽光パネルの各フレーム部材を取り外す押出し部材10を4つ備え、各押出し部材10を移動させる長辺押出し機構部20および短辺押出し機構部21を備えている。
【0022】
なお、
図3において、2点鎖線で表した押出し部材10は、長辺押出し機構部20ならびに短辺押出し機構部21が動作することによって、後述する太陽光パネル30の長辺フレーム部材31ならびに短辺フレーム部材32へ接近させたものを表している。
また、
図3において、2点鎖線で表した長辺押出し機構部20は、上記のように押出し部材10を長辺フレーム部材31ならびに短辺フレーム部材32へ接近させたときの配置等を表している。即ち、2点鎖線で表されたものは、長辺フレーム部材31ならびに短辺フレーム部材32に接近させた(位置Aにおける)押出し部材10ならびに長辺押出し機構部20を表している。
【0023】
図4は、
図1の解体装置1を構成するフレーム外し機構部5の稼働部分を示す説明図である。なお、
図4において、2点鎖線で表された4つの押出し部材10は、
図3の位置Aに配置されたもので、押出し部材10を上方から見た場合の形状を示している。
押出し部材10は、載置部3に載置された太陽光パネルの表面と平行に配置された部材であり、例えば、適度な厚みを有する板状の部材で、長辺押出し機構部20によって支持されている。
押出し部材10は、上方から見たとき、押出し部材10の縁辺部分となる長辺対向部位10aと短辺対向部位10bとを有する。
【0024】
長辺対向部位10aは、例えば、短辺対向部位10bよりも長く形成された縁辺部分であり、短辺対向部位10bは、長辺対向部位10aに直交する縁辺部分である。
また、長辺対向部位10aおよび短辺対向部位10bは、載置部3に載置された太陽光パネルの各フレーム部材にそれぞれ対向する位置に配置されている。
詳しくは、長辺対向部位10aは、後述する太陽光パネル30の長辺フレーム部材31に当接する(対向する)位置に配置され、短辺対向部位10bは、太陽光パネル30の短辺フレーム部材32に当接する(対向する)位置に配置されている。
【0025】
長辺対向部位10aは、先端側(短辺対向部位10bと長辺対向部位10aとによって形成される角部を、長辺対向部位10aの延設方向における一の端部としたとき、長辺対向部位10aの延設方向における他の端部となる側)、もしくはその近傍に突起部11(第2の突起部位)を有している。
突起部11は、長辺対向部位10aの長手方向に直交する方向へ突出しており、載置部3に載置された太陽光パネル30の長辺フレーム部材31へ向かって突出するように設けられている。
短辺対向部位10bは、基端側(長辺対向部位10aと短辺対向部位10bとによって形成される角部)、もしくはその近傍に突起部12(第1の突起部位)を有している。
突起部12は、短辺対向部位10bの長手方向に直交する方向へ突出しており、載置部3に載置された太陽光パネル30の短辺フレーム部材32へ向かって突出するように設けられている。
【0026】
長辺押出し機構部20は、例えば、押出し部材10を吊り下げるように支持し、この押出し部材10を(載置部3に載置された太陽光パネル30の表面に沿って)水平に移動させる駆動シリンダ(例えば、圧縮空気によって稼働するエアスライドシリンダ)を備えている。ここで例示する解体装置1は、1つの押出し部材10に対して1つの長辺押出し機構部20が設置されている。
各長辺押出し機構部20は、載置部3に載置された太陽光パネル30の長辺の延設方向に対して直交する方向に、押出し部材10を移動させるように配置されている。
【0027】
短辺押出し機構部21は、長辺押出し機構部20(および押出し部材10)を上方から支持して(載置部3に載置された太陽光パネル30の表面に沿って)水平に移動させる駆動シリンダ部21a,21b(例えば、圧縮空気によって稼働するエアスライドシリンダ)を備えている。即ち、短辺押出し機構部21は、各長辺押出し機構部20を介して各押出し部材10を支持している。
短辺押出し機構部21は、例えば、駆動シリンダ部21aおよび駆動シリンダ部21bを備え、各駆動シリンダ部21a,21bにそれぞれ2つの長辺押出し機構部20が設置されている。
即ち、短辺押出し機構部21は、2つの駆動シリンダ部21a,21bを備えて、4つの長辺押出し機構部20ならびに4つの押出し部材10を移動させるように、例えば、筐体上側部材2bに固定されている。
【0028】
詳しくは、短辺押出し機構部21は、例えば、駆動シリンダ部21aおよび駆動シリンダ部21bが同一軸線上で各々の方向へ往復動作するように配置されている。換言すると、短辺押出し機構部21の長手方向において、中央となる部分を境目として、2つの駆動シリンダ部21a,21bが直線状に配置されている。
即ち、短辺押出し機構部21は、各駆動シリンダ部21a,21bに設置された長辺押出し機構部20(押出し部材10)が、当該短辺押出し機構部21の長手方向の中央と端部との間を移動するように構成されている。
【0029】
次に解体装置1の動作について説明する。
解体装置1は、例えば、操作部6に、後述する各機構部の動作を制御するプログラム、制御量を表すデータ等を記憶している記憶装置(メモリ等のデバイス)、操作部6の操作スイッチ等に行われた操作や、解体装置1の各部に設置されたセンサ等の出力信号に応じて、また、上記の記憶装置に記憶されているプログラム、データ等を用いて、各機構部の動作を制御するプロセッサ等によって構成された制御部(図示省略)を備えている。
以下に説明する各機構部等の動作は、上記の制御部等による制御に応じた動作である。
【0030】
図5は、
図1の解体装置1に備えられる押出し部材10の動作を示す説明図である。この図は、載置部3(図示省略)に載置された太陽光パネル30と、太陽光パネル30をフレーム外し機構部5(図示省略)に接近させ、太陽光パネル30の表面を移動させる各押出し部材10とを表している。
ここで例示する太陽光パネル30は、図中、縦横に複数の太陽電池セル33を並べて、長方形のパネル表面が形成されているものである。上記のように並べられた太陽電池セル33の表面には、例えば、図示されないガラス製の表面カバーが重畳され、太陽光パネル30の表面を覆っている。
パネル表面が長方形に形成された太陽光パネル30は、外周部分に2つの長辺フレーム部材31および2つの短辺フレーム部材32が固定されており、これらのフレーム部材によってパネル縁周が囲われている。
【0031】
長辺フレーム部材31および短辺フレーム部材32は、それぞれ直線状に形成され、太陽光パネル30の厚み方向において、積層配置された表面カバー(図示省略)、太陽電池セル33、バックシート(図示省略)等を挟み込んで、太陽光パネル30に取付け固定されている。
初めに、上記のように構成されている太陽光パネル30を載置部3に載置する。操作部6に所定の操作が行われると、例えば、制御部が昇降機構部4の動作を制御して、太陽光パネル30が載置された載置部3を、上方に配置されているフレーム外し機構部5へ向かって上昇させ、また、適当に下降させることによって所定の高さ(太陽光パネル30の位置決めを行う高さ、即ち、載置部3に載置されている太陽光パネル30を移動させることができる高さ)に調整して停止させる。
【0032】
次に、解体装置1は、載置部3に載置された太陽光パネル30の位置決めを行う。
制御部は、例えば、
図4に示した各短辺押出し機構部21を動作させ、
図5において、長辺フレーム部材31の長手方向に沿って、各押出し部材10を(所定の距離だけ)移動させる。
このとき、
図4および
図5において、縦方向に並んでいる2つの押出し部材10を1組とし、図中右側に配置されている2つの押出し部材10を、右方向(一の横方向)に移動させ、図中左側に配置されている2つの押出し部材10を、左方向(他の横方向)に移動させる。
換言すると、各押出し部材10を、左右(横)方向に開くように移動させる。
上記の各短辺押出し機構部21の動作により、各押出し部材10は、太陽光パネル30の載置位置が所定位置からずれている場合、いずれかの短辺フレーム部材32に当接して、長辺フレーム部材31の長手方向に沿って、太陽光パネル30を一の横方向、または他の横方向に移動させる。
この後、制御部は、各短辺押出し機構部21の動作を反転させて、各押出し部材10を、左右方向(横方向)において、閉じるように移動させ、所定位置(例えば、長辺フレーム部材31の長手方向の端部から適当に離れた位置)に配置させる。
【0033】
この後、制御部は、例えば、各長辺押出し機構部20を動作させて、
図5において、短辺フレーム部材32の長手方向に沿って、各押出し部材10を(所定の距離だけ)移動させる。
このとき、
図4および
図5において、横方向に並んでいる2つの押出し部材10を1組とし、図中上側に配置されている2つの押出し部材10を、上方向(一の縦方向)に移動させ、図中下側に配置されている2つの押出し部材10を、下方向(他の縦方向)に移動させる。
換言すると、各押出し部材10を、上下(縦)方向に開くように移動させる。
上記の各長辺押出し機構部20の動作により、各押出し部材10は、太陽光パネル30の載置位置が所定位置からずれている場合、いずれかの長辺フレーム部材31に当接して、短辺フレーム部材32の長手方向に沿って、太陽光パネル30を一の縦方向、または他の縦方向に移動させ、太陽光パネル30を所定位置に移動(配置)させる。
なお、太陽光パネル30の位置決め等を行う際には、各短辺押出し機構部21ならびに各長辺押出し機構部20は、後述する各フレーム部材を取り外す場合に比べて、弱い力で各押出し部材10を移動させ、いずれかのフレーム部材に穏やかに当接させるように動作する。
【0034】
上記のように太陽光パネル30の位置決めを行った後、解体装置1は、太陽光パネル30の短辺フレーム部材32を取り外すための動作を開始する。
制御部は、昇降機構部4を制御して、例えば、載置部3を上限の位置まで上昇させ、太陽光パネル30の各フレーム部材を取り外す高さ(後述するように、短辺フレーム部材32に各押出し部材10を当接させることができる高さ)に、当該載置部3を配置させる。
制御部は、例えば、
図4等に示した各長辺押出し機構部20を制御して、
図4または
図5において、上下方向に並んでいる(
図5の短辺フレーム部材32の長手方向に沿って並んでいる)2つの押出し部材10の間の距離を調整する。
即ち、例えば、
図4の駆動シリンダ部21aに支持されている2つの長辺押出し機構部20を動作させ、これらに支持固定されている2つの押出し部材10が、予め設定されている所定の位置に配置されるように調整する。
なお、ここでは、駆動シリンダ部21aに関連する動作を説明するが、駆動シリンダ部21bに支持された2つの長辺押出し機構部20、ならびに、これら長辺押出し機構部20に支持固定されている2つの押出し部材10についても、同様に配置位置の調整が行われ、また、後述する短辺フレーム部材32の押し出し動作が行われる。
【0035】
上記の各押出し部材10の配置位置の調整により、各押出し部材10が、太陽光パネル30に固定されている短辺フレーム部材32の長手方向中央よりも各端部側の部位にそれぞれ対向する。
詳しくは、駆動シリンダ部21aに支持された(各長辺押出し機構部20によって移動された)各押出し部材10は、短辺フレーム部材32の長手方向中央を中心に対称配置される。
一の押出し部材10の突起部12は、例えば、短辺フレーム部材32の長手方向の一端部の近傍(短辺押出し機構部21によって押圧を加えたとき、短辺フレーム部材32に折れ曲がりが生じない位置)と対向する。
また、一の押出し部材10の短辺対向部位10bの一部分は、一の押出し部材10の突起部12が短辺フレーム部材32に当接する位置よりも、短辺フレーム部材32の長手方向中央側であって、短辺フレーム部材32の長手方向中央よりも端部側の所定位置(短辺押出し機構部21によって押圧を加えたとき、短辺フレーム部材32に折れ曲がりが生じない位置)と対向するように配置される。
【0036】
一の押出し部材10と対称配置される他の押出し部材10の突起部12は、例えば、短辺フレーム部材32の長手方向の他端部の近傍(短辺押出し機構部21によって押圧を加えたとき、短辺フレーム部材32に折れ曲がりが生じない位置)と対向する。
また、他の押出し部材10の短辺対向部位10bの一部分は、突起部12が短辺フレーム部材32に当接する位置よりも、短辺フレーム部材32の長手方向中央側であって、短辺フレーム部材32の長手方向中央よりも他端部側の所定位置と対向するように配置される。
換言すると、各押出し部材10の突起部12を、短辺フレーム部材32の長手方向各端部に対向させ、各押出し部材10の短辺対向部位10bを、短辺フレーム部材32の長手方向各端部から長手方向中央に向かって離れた位置に対向させる。
具体的には、例えば、突起部12が、短辺フレーム部材32の長手方向各端部またはその近傍の位置と対向し、また、短辺対向部位10bの一部分が、短辺フレーム部材32の長手方向各端部から長手方向中央に向かって、短辺フレーム部材32の長手方向長さの三分の一またはその近傍の位置と対向するように、押出し部材10が配置される。
【0037】
即ち、押出し部材10は、前述のように、長辺対向部位10aと短辺対向部位10bとによって形成される角部の、短辺対向部位10b側に突起部12(第1の突起部位)が設けられている。
また、この押出し部材10の短辺対向部位10bの一部分(第1の当接部位)は、突起部12(第1の突起部位)から離間され、この突起部12が短辺フレーム部材32に当接する位置よりも、短辺フレーム部材32の長手方向中央側であって、短辺フレーム部材32の長手方向中央よりも端部側の所定位置と当接することができる部分である(この所定位置と当接することができる部分に設けられる)。
なお、突起部12と短辺対向部位10bの一部分とは、いずれも短辺フレーム部材32に押圧を加えたとき、短辺フレーム部材32に折れ曲がり等が生じない、それぞれの位置に当接することができる程度に離間されている。
【0038】
上記のように、短辺フレーム部材32の長手方向について、2つの押出し部材10の配置位置が設定されると、制御部が、駆動シリンダ部21a(短辺押出し機構部21)を稼働させ、上記の2つの押出し部材10が(間隔を維持して)、
図5の矢印Bの方向へ移動して短辺フレーム部材32に同時に押し当てられ、さらに押圧が加えられて太陽光パネル30から短辺フレーム部材32が取り外される。
即ち、上記の各押出し部材10の突起部12を、短辺フレーム部材32の長手方向各端部に当接させ、各押出し部材10の短辺対向部位10bを、短辺フレーム部材32の長手方向各端部から長手方向中央に向かって離れた位置に当接させて押圧を加え、短辺フレーム部材32を取り外す。
詳しくは、上記のように短辺フレーム部材32に、2つの押出し部材10が押し当てられるとき、各押出し部材10に設けられた突起部12(第1の突起部位)が、先に短辺フレーム部材32の、例えば各端部またはその近傍に当接する。
また、駆動シリンダ部21aの稼働が継続することによって、各押出し部材10の短辺対向部位10bの一部分(第1の当接部位)が、短辺フレーム部材32の所定位置(突起部12の当接位置よりも、短辺フレーム部材32の長手方向の中央側であって、押圧を加えたときに短辺フレーム部材32に折れ曲がり等が生じない位置)に当接する。具体的には、各押出し部材10の短辺対向部位10bの一部分は、例えば、短辺フレーム部材32の長手方向各端部から長手方向中央へ向かって、短辺フレーム部材32の長手方向長さの三分の一またはその近傍の位置に当接して、短辺フレーム部材32に押圧を加える。
【0039】
上記のように、突起部12と短辺対向部位10bの一部分は、短辺フレーム部材32に当接するタイミングがずれる。そのため、短辺フレーム部材32の長手方向中央等には、例えば、曲がり変形が残らない(折れ曲がりが生じない)程度の大きな曲率で湾曲させようとする応力が生じる。
即ち、押出し部材10は、短辺フレーム部材32に曲がり変形が生じない曲率で湾曲させる応力が生じるように(短辺フレーム部材32に当接するタイミングが適度にずれるように)、突起部12を短辺対向部位10bから突出させている。
また、押出し部材10は、上記の応力が生じるように、短辺フレーム部材32に当接する短辺対向部位10bの一部分と突起部12とを、短辺フレーム部材32(長手方向の長さ等)に応じた距離で離間して備えている。
【0040】
制御部は、上記のように駆動シリンダ部21a(駆動シリンダ部21b)等の動作を制御し、短辺フレーム部材32に、上記の湾曲させる応力を生じさせながら押出し部材10を押し当てて、太陽光パネル30から短辺フレーム部材32を取り外す。
この後、制御部は、昇降機構部4を制御して、載置部3を所定の高さまで下降させる。
次に、制御部は、各短辺押出し機構部21を制御して、上記のように各短辺フレーム部材32を押し出した各押出し部材10を所定の位置に(例えば、各短辺フレーム部材32を押し出した各押出し部材10の間が閉じるように)移動させる。
具体的には、短辺フレーム部材32を太陽光パネル30の外部まで押出した各押出し部材10を、太陽光パネル30の上側の位置へ移動させる。
【0041】
この後、制御部は、長辺フレーム部材31の取り外し動作を開始する。
なお、ここでは、
図5において上側に配置されている長辺フレーム部材31の取り外し動作について説明する。また、説明を省略する(
図5において)下側に配置されている長辺フレーム部材31の取り外し動作は、(
図4において)駆動シリンダ部21aの下側に配置されている長辺押出し機構部20、および、駆動シリンダ部21bの下側に配置されている長辺押出し機構部20の各動作によって、
図5の上側に配置されている長辺フレーム部材31の取り外し動作と同様に行われる。
【0042】
制御部は、昇降機構部4を制御して、例えば、載置部3を上限の位置まで上昇させ、太陽光パネル30の各フレーム部材を取り外す高さ(後述するように、長辺フレーム部材31に各押出し部材10を当接させることができる高さ)に、当該載置部3を配置させる。
この後、制御部は、短辺押出し機構部21を制御して、
図4または
図5において、左右方向に並んでいる(
図5の長辺フレーム部材31の長手方向に沿って並んでいる)2つの押出し部材10の配置位置を調整する。
即ち、
図4の駆動シリンダ部21aに支持されている長辺押出し機構部20に支持固定されている押出し部材10が、長辺フレーム部材31の長手方向の一端部側の部位と対向する位置に配置され、駆動シリンダ部21bに支持されている長辺押出し機構部20に支持固定されている押出し部材10が、長辺フレーム部材31の長手方向の他端部側の部位と対向する位置に配置されるように調整する。
このとき、駆動シリンダ部21aによって移動された押出し部材10と、駆動シリンダ部21bによって移動された押出し部材10とは、長辺フレーム部材31の長手方向中央を中心に対称配置される。
【0043】
上記のように、短辺押出し機構部21(駆動シリンダ部21aおよび駆動シリンダ部21b)によって各押出し部材10の配置位置を調整することにより、各押出し部材10の長辺対向部位10aの一部分(第2の当接部位)は、例えば、長辺フレーム部材31の長手方向の各端部の近傍(長辺押出し機構部20によって押圧を加えたとき、長辺フレーム部材31に折れ曲がりが生じない位置)に対向する。
また、各押出し部材10の突起部11(第2の突起部位)は、当該押出し部材10の突起部11が長辺フレーム部材31に当接する位置よりも、長辺フレーム部材31の長手方向中央側であって、長辺フレーム部材31の長手方向中央よりも各端部側の所定位置にそれぞれ対向するように配置される。
【0044】
詳しくは、例えば、駆動シリンダ部21aによって移動された押出し部材10は、長辺対向部位10aの一部分が、例えば、長辺フレーム部材31の長手方向の一端部の近傍と対向し、突起部11が、長辺フレーム部材31の長手方向中央よりも一端部側の所定位置と対向するように配置される。
また、駆動シリンダ部21bによって移動された押出し部材10は、長辺対向部位10aの一部分が、例えば、長辺フレーム部材31の長手方向の他端部の近傍と対向し、突起部11が、長辺フレーム部材31の長手方向中央よりも他端部側の所定位置と対向するように配置される。
換言すると、各押出し部材10を駆動シリンダ部21aならびに駆動シリンダ部21bによって移動させ、各押出し部材10の突起部11を、長辺フレーム部材31の長手方向中央近傍であって、長手方向中央から長手方向各端部に向かって離れた位置に対向させる。また、各押出し部材10の長辺対向部位10aを、突起部11が対向する位置から長辺フレーム部材31の長手方向各端部に向かって離れた位置に対向させる。
具体的には、例えば、各押出し部材10の突起部11が、長辺フレーム部材31の長手方向中央から長手方向各端部へ向かって、長辺フレーム部材31の長手方向長さの八分の一またはその近傍の位置に対向し、また、長辺対向部位10aの一部分が、長辺フレーム部材31の長手方向各端部から長手方向中央へ向かって、長辺フレーム部材31の長手方向長さの八分の一またはその近傍の位置と対向するように、当該各押出し部材10が配置される。
【0045】
即ち、押出し部材10の長辺対向部位10aの一部分(第2の当接部位)は、前述のように、短辺対向部位10bと長辺対向部位10aとによって形成される角部の、長辺対向部位10a側の部分である(この角部に設けられている)。
また、この押出し部材10の、突起部11(第2の突起部位)は、長辺対向部位10aの一部分(第2の当接部位)から離間され、この長辺対向部位10aの一部分が当接する位置よりも、長辺フレーム部材31の長手方向中央側であって、長辺フレーム部材31の長手方向中央よりも端部側の所定位置と当接することができる位置に設けられている。
なお、突起部11と長辺対向部位10aの一部分とは、いずれも長辺フレーム部材31に押圧を加えたとき、長辺フレーム部材31に折れ曲がり等が生じない、それぞれの位置に当接することができる程度に離間されている。
【0046】
上記のように、長辺フレーム部材31の長手方向について、2つの押出し部材10の配置位置が設定されると、制御部が、駆動シリンダ部21aに支持された長辺押出し機構部20と、駆動シリンダ部21bに支持された長辺押出し機構部20とを、例えば同期させて稼働させ、上記の2つの押出し部材10が(間隔を維持して)、
図5の矢印Cの方向へ移動して長辺フレーム部材31に同時に押し当てられ、さらに押圧が加えられて太陽光パネル30から長辺フレーム部材31が取り外される。
即ち、各押出し部材10の突起部11を、長辺フレーム部材31の長手方向中央近傍であって、長手方向中央から長手方向各端部に向かって離れた位置に当接させる。また、各押出し部材10の長辺対向部位10aを、突起部11が当接する位置から長辺フレーム部材31の長手方向各端部に向かって離れた位置に当接させて押圧を加え、長辺フレーム部材31を取り外す。
【0047】
詳しくは、上記のように長辺フレーム部材31に、2つの押出し部材10が押し当てられるとき、各押出し部材10に設けられた突起部11(第2の突起部位)が、先に長辺フレーム部材31の所定位置(押圧を加えたときに長辺フレーム部材31に折れ曲がり等が生じない位置)に当接する。また、各長辺押出し機構部20の稼働が継続することによって、各押出し部材10の長辺対向部位10aの一部分(第2の当接部位)が、長辺フレーム部材31の、例えば長手方向中央よりも各端部に近い位置に当接して押圧が加えられる。
具体的には、例えば、各押出し部材10の突起部11が、長辺フレーム部材31の長手方向中央から長手方向各端部へ向かって、長辺フレーム部材31の長手方向長さの八分の一またはその近傍の位置に当接し、各押出し部材10の長辺対向部位10aの一部分が、長辺フレーム部材31の長手方向各端部から長手方向中央へ向かって、長辺フレーム部材31の長手方向長さの八分の一またはその近傍の位置に当接して押圧が加えられる。
なお、突起部11が、長辺フレーム部材31を押圧する位置は、長辺フレーム部材31の長手方向中央から長手方向端部までの間隔(範囲)のうち、当該間隔(範囲)の中間である中間部から長手方向中央の近傍までの間であればよい。
【0048】
上記のように、突起部11と長辺対向部位10aの一部分は、長辺フレーム部材31に当接するタイミングがずれる。そのため、長辺フレーム部材31の中央部分の近傍(中央部分の周辺)等には、例えば、曲がり変形が残らない(折れ曲がりが生じない)程度の大きな曲率で湾曲させようとする応力が生じる。
即ち、押出し部材10は、長辺フレーム部材31に曲がり変形が生じない曲率で湾曲させる応力が生じるように(長辺フレーム部材31に当接するタイミングが適度にずれるように)、突起部11を短辺対向部位10bから突出させている。
また、押出し部材10は、上記の応力が生じるように、長辺フレーム部材31に当接する長辺対向部位10aの一部分(第1当接部位)と突起部11(第2当接部位)とを、長辺フレーム部材31(長手方向の長さ等)に応じた距離で離間して備えている。
【0049】
制御部は、上記のように各長辺押出し機構部20等の動作を制御し、長辺フレーム部材31に、上記の湾曲させる応力を生じさせながら押出し部材10を押し当てて、太陽光パネル30から長辺フレーム部材31を取り外す。
この後、制御部は、長辺押出し機構部20を制御して各押出し部材10を所定位置に(例えば、各長辺フレーム部材31を押し出した各押出し部材10の間が閉じるように)移動させる。
また、制御部は、昇降機構部4等を制御して、例えば、所定時間の経過後に載置部3を下降させ、フレーム外し機構部5から載置部3を離間して、載置部3から太陽光パネル30等を取り外す(除去する)ことができる状態にする。
【0050】
ここで説明した解体装置1は、長辺と短辺を有する太陽光パネル30を解体するように構成されているが、全ての辺が同一長さのパネル形状であっても、本発明による解体装置によってフレーム部材等を曲げることなく取り外すことが可能である。
また、ここで説明した解体装置1は、エアスライドシリンダ等を備えて、圧縮空気を用いて動作するように構成されているが、本発明による解体装置は、電動のサーボ、アクチュエータ等を用いて動作する構成や、油圧シリンダ等を用いて動作するように構成することも可能である。
【解決手段】押出し部材10に、フレーム部材と当接させる長辺対向部位10aの一部分、および、長辺対向部位10aよりもフレーム部材に向かって突出させた突起部11を備え、長辺対向部位10aの一部分および突起部11は、タイミングがずれてフレーム部材に当接し、太陽光パネルの外側へフレーム部材を押し出すことを特徴とする。