(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
鉄道施設の改善のために、線路の近接箇所やホーム上に鋼管杭を打設する場合がある。かかる場合、線路への影響やホームの沈下を防止するために、鋼管杭の打設に先立って口元管を事前に設置することが行われる。
【0003】
近年、乗客の安全対策のため、既設ホーム上にホームドアを設置することが急がれている。そして、盛り土式ホームへのホームドア設置の際にも、口元管を事前に設置して、ホームの沈下防止を行い、鋼管杭を打設している。
【0004】
これまで、口元管の設置は、設置場所の盛り土を、スコップ等を用いて人力で掘削排土する工法を行ってきた。
【0005】
すなわち、ホームに仮覆工板を設置し、鋼管杭を打設する箇所に人力で掘削を行い、排土して口元管を設置する。その後に、重機である杭打機を用意して鋼管杭を、口元管を通して打設するという断続的作業が行われてきた。
【0006】
すなわち、鉄道営業への影響を考慮して、かかる工事は、列車運行のない夜間の短時間で行うことが必要である。このため、従来は、口元管の設置と鋼管杭の打設作業を、日を跨いで行うことが必要であった。
【0007】
かかる技術分野においてこれまで提案されている関連技術として、次のようなものがある(特許文献1−7)。
【0008】
特許文献1に記載の発明は、連結まくらぎを用いた地盤改良方法であって、地盤改良装置を案内する口元管の直径と軌道を支持する複数の本体部の少なくとも1個所の複数の本体部間の距離との関係を開示している。
【0009】
特許文献2に記載の発明は、杭基礎の杭頭構造であって、地盤に埋設される杭基礎の杭頭から放射状に突出する鉛直板を設けた杭頭構造を開示している。
【0010】
特許文献3に記載の発明は、回転圧入鋼管杭の接続金具であって、再利用可能な断面略円形状の回転圧入鋼管杭と台座を構成する桁材とを連結可能な接続金具を開示している。
【0011】
特許文献4に記載の発明は、鋼管杭回転圧入工法及びこれに用いられる装置であって、既設の第1の鋼管杭の上端開口内に柱状部材を装着し、第1の鋼管杭に装着された柱状部材に反カバーを介して固定された状態の回転圧入装置本体を使用して第2の鋼管杭を回転圧入する工法を開示している。
【0012】
特許文献5に記載の発明は、回転圧入鋼管杭であって、円筒状の鋼管の先端面が螺旋状に形成され、その先端と後端との間にテーパー状の切欠きを形成した羽根部を有することを開示している。
【0013】
特許文献6に記載の発明は、掘削装置と土砂落とし装置に関連し、掘削装置のスクリューに沿って、上下に移動可能な書き落とし部材を設けてシャフトの外周面に付着した土砂を落とす装置を開示している。
【0014】
特許文献7に記載の発明は、土壌掘削採取装置に関連し、コアカッターにより土壌の表層が削孔された後、コアカッターが旋回され、土壌サンプラーにより削孔された孔から土壌サンプルが採取されることを開示している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
上記に説明したように、これまでの鋼管杭の回転圧入と、それに先立つ口元管の設置に関する工法では、多くのマンパワーと工期を必要としていた。このため、多くの工期の確保と経費増が必要となっている。
【0017】
さらに、上記先行技術文献の何れにも、口元管の設置と鋼管杭の埋設に関し、工期の短縮につながる技術を開示していない。
【0018】
かかる点に鑑みて、本発明の目的は、鋼管杭の打設作業における工期の短縮と費用軽減を可能とする、羽根付鋼管杭と、これを用いる鋼管杭回転圧入方法及び土砂落とし装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0019】
前記本発明の課題を解決する第1の側面は、口元管を回転圧入するための掘削治具付鋼管杭であって、先端部に羽根部を有する羽根付鋼管杭と、第1、第2の半円筒形部材で、前記羽根付鋼管杭を覆うように締結される半割掘削治具を有し、前記半割掘削治具は、前記第1、第2の半円筒形部材に螺旋状羽根部を有し、前記羽根付鋼管杭の先端に有する羽根部と連続する螺旋状羽根を形成することを特徴とする。
【0020】
前記本発明の課題を解決する第1の側面において、第1の実施態様として前記口元管の上部に開口を有し、前記開口を覆う蓋部と前記羽根付鋼管杭の前記先端部とを係合して、前記口元管の上部側に取り付けられることを特徴とする。
【0021】
前記本発明の課題を解決する第1の側面において、第2の実施態様として前記口元管は上部の開口部を覆う分割された蓋部を有し、前記半割掘削治具の上部側を前記分割された蓋部で挟むように締結固定されて、前記半割掘削治具部分が前記口元管内に配置されることを特徴とする。
【0022】
前記本発明の課題を解決する第2の側面は、鋼管杭を回転圧入する方法であって、杭打機に取り付けられる鋼管杭に、それぞれ螺旋状羽根部を有する第1、第2の半円筒形部材を有する半割掘削治具を締結する第1の工程(P1)と、前記半割掘削治具を締結した前記鋼管杭を口元管に取り付ける第2の工程(P2)と、前記半割掘削治具を締結した前記鋼管杭の回転に連動して、前記口元管を回転圧入する第3の工程(P3)と、前記半割掘削治具を締結した前記鋼管杭で口元管内を掘削する第4の工程(P4)と、前記半割掘削治具を締結した前記鋼管杭を引き上げ、前記半割掘削治具の螺旋状羽根間に堆積した土砂を、土砂落とし装置により掻き出す第5の工程(P5)と、前記半割掘削治具を前記鋼管杭から取り外し、前記鋼管杭を、前記口元管を圧入した箇所に回転圧入する第6の工程(P6)を有することを特徴とする。
【0023】
前記本発明の課題を解決する第2の側面において、第1の実施態様として、前記鋼管杭は、先端部に羽根部を有する羽根付鋼管杭であって、前記第1の工程(P1)で、前記羽根付鋼管杭を覆うように前記半割掘削治具の前記第1、第2の半円筒形部材を締結して、前記羽根付鋼管杭の羽根部と連続する螺旋状羽根を形成することを特徴とする。
【0024】
前記本発明の課題を解決する第2の側面において、第2の実施態様として、前記第2の工程(P2)における前記半割掘削治具を締結した前記鋼管杭の前記口元管への取り付けは、前記口元管の上部に開口部を有し、前記開口部を覆う蓋部と前記鋼管杭の先端部との係合によることを特徴とする。
【0025】
前記本発明の課題を解決する第2の側面において、第3の実施態様として、前記第2の工程(P2)における前記半割掘削治具を締結した前記鋼管杭の前記口元管への取り付けを、前記口元管の上部に開口部を有し、前記開口部を覆う分割された蓋部と、前記半割掘削治具が前記口元管内に位置するように前記鋼管杭との係合によることを特徴とする。
【0026】
前記本発明の課題を解決する第2の側面において、第4の実施態様として、前記羽根付鋼管杭の先端縁部にブレードを有し、更に前記蓋部に通し孔を有し、前記第3の工程(P3)で、前記ブレードと前記蓋部の通し孔の切欠き淵部が係合し、更に前記羽根付鋼管杭の羽根部の先端が前記蓋部の通し孔の縁部に設けた切欠き部に当接し、前記羽根付鋼管杭の回転により前記口元管の回転圧入を行うことを特徴とする。
【0027】
前記本発明の課題を解決する第2の側面において、第5の実施態様として、前記半割掘削治具は、上部に固定用円盤状板材を有し、前記蓋部と前記固定用円盤状板材とがねじ止めされ、前記第3の工程(P3)で、前記半割掘削治具を締結した鋼管杭の回転により前記口元管の回転圧入を行うことを特徴とする。
【0028】
前記本発明の課題を解決する第2の側面において、第6の実施態様として、前記第4の工程(P4)で、前記口元管の回転圧入後に、前記半割掘削治具を締結した鋼管杭により土砂掘削を行い、前記第5の工程(P5)で、前記半割掘削治具を締結した鋼管杭を土砂掻き出し装置で覆い、前記半割掘削治具を締結した鋼管杭を回転することにより、前記土砂掻き出し装置の内側に向いたブラシにより前記半割掘削治具を締結した鋼管杭の羽根間に堆積した土砂を掻き出すことを特徴とする。
【0029】
前記本発明の課題を解決する第2の側面において、第7の実施態様として、前記土砂を掻き出しの際、前記口元管上部を覆い、その上部に前後に移動可能な掻き出し土砂受け用台車を配置し、掻き出し土砂受けを完了後に前記土砂受け用台車を引き出し、前記口元管上部を開放することを特徴とする。
【0030】
前記本発明の課題を解決する第3の側面は、前記鋼管杭の回転圧入方法の第5の工程(P5)で使用される土砂落とし装置であって、一対のそれぞれ半円筒を成し、内側に向いた複数のブラシを有し、前記半割掘削治具を締結した鋼管杭を覆い、前記鋼管杭を回転することにより前記ブラシにより前記半割掘削治具の羽根間に堆積した土砂を掻き出すことを特徴とする。
【0031】
前記本発明の課題を解決する第3の側面において、実施態様として、前記ブラシは、半円筒内面に設けられた土砂掻き出し用ブラシと、前記半円筒の上部に設けられた土砂払い用ブラシであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0032】
上記手段により、口元管の回転圧入、口元管内掘削、及び鋼管杭打設までを連続的に同時施工可能とする工法を実現される。これにより、鋼管杭打設における工期及び経費の削減が可能である。
【0033】
さらに、杭打機に土砂落とし装置を装着し、回転引き上げにより土砂の掻き出しを行い、フレコンパック(フレキシブルコンテナパック)に収納して土砂を回収することで、土砂落とし、土砂回収、搬出作業までを連続的に行うことが可能である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下図面に従い、本発明の実施例を説明する。図面は、本発明の理解のためのものであり、本発明の保護の範囲は、かかる図示された実施例に限定されず、特許請求の範囲の記載及びその均等物にも及ぶ。
【0036】
図1は、本発明に従う掘削治具付鋼管杭を使用する鋼管杭の回転圧入方法の実施例の工程を示す図であり、
図2は、本発明に従う掘削治具付鋼管杭の構成を説明する図である。
【0037】
[第1の工程(P1)]
図1において、本発明に従う鋼管杭の回転圧入方法の工程がスタートすると、第1の工程(P1)として、羽根付鋼管杭1Aを用意し、これを杭打機に取り付ける(ステップS1)。
【0038】
ついで、杭打機に取り付けられた羽根付鋼管杭1Aに掘削治具2を取り付けて本発明に従う掘削治具付鋼管杭1を形成する(ステップS2)。
【0039】
なお、ステップS1,S2の順序を逆にすることも可能である。すなわち、先に羽根付鋼管杭1Aに掘削治具2を取り付け、掘削治具付鋼管杭1を形成し、これを杭打機に取り付けるようにしてもよい。
【0040】
実施例として、本発明に従う羽根付鋼管杭1Aは、先端部に螺旋状の羽根部11を有している。
【0041】
図2は、羽根付鋼管杭に掘削治具の取り付けを説明する図である。
図2において、羽根付鋼管杭1Aは、円柱を成し、その先端近傍に螺旋状の羽根部11を有している。さらに、羽根付鋼管杭1Aの円柱先端にフリンジ13を有し、羽根部11の先端部と所定の間隔を有するようにブレード片14が固着されている。
【0042】
さらに、羽根付鋼管杭1Aの円柱先端面に略台形状の板状部材17を有する。この板状部材17は、後に第4の工程として説明する口元管内の土砂掘削の際に(ステップS5)、掘削治具付鋼管杭1の土砂内への浸入を容易とする機能を有する。
【0043】
上記羽根付鋼管杭1Aの先端近傍に有する羽根部11と連結して掘削のための螺旋状羽根を形成する半割掘削治具2が、羽根付鋼管杭1Aの周囲を覆う状態に取り付けられ、掘削治具付鋼管杭1が形成される。
【0044】
図3は、半割掘削治具2の詳細を説明する図である。半割掘削治具2は鋼板により作成され、羽根付鋼管杭1Aの径に対応する一対の半円筒形状部材2a、2bを有する。
図3において、
図3(1)は上面図、
図3(2)、
図3(3)は、一対の半円筒形状部材2a、2bを対向して組み合わせて円筒形にした状態を示し、それぞれ紙面に対し、正面側(矢印A)と、側面側(矢印B)を示している。
【0045】
図2に戻り、下端側で、第1の半円筒形状部材2aの下部凸片18と第2の半円筒形状部材2bの凹部片19とが係合する。一方、上端側は、半円筒形状部材2aと半円筒形状部材2bは、ボルトとナット(14)で締結される。これにより、羽根付鋼管杭1Aが半割掘削治具2で囲われる。
【0046】
さらに、半円筒形状部材2aと半円筒形状部材2bの上部には、ネジ穴15を有し、羽根付鋼管杭1Aに半割掘削治具2を取り付ける際に、羽根付鋼管杭1Aのネジ溝を有する突起16に係止し、半割掘削治具2の取り付けを容易にする。同時に、ネジ穴15を通して、羽根付鋼管杭1Aの突起16のネジ溝にねじ部材15Aで締結して、半割掘削治具2の羽根付鋼管杭1Aに対する取り付けを堅固にする。
【0047】
さらに、半円筒形状部材2a,2bには、それぞれ傾斜した螺旋状羽根部12a,12bが設けられている。この螺旋状羽根部12a,12bは、半円筒形状部材2aと半円筒形状部材2bが円筒状に締結されたとき、
図3(2)、
図3(3)に示されるように連続した螺旋状羽根を形成する。
【0048】
これにより、本発明に従う掘削治具付鋼管杭1が形成されるとともに、上記の通り半割掘削治具2の螺旋状羽根部12a,12bが、羽根付鋼管杭1Aの先端部近傍の羽根部11と連続し、後に説明する口元管内の土盛りを掻き出すための螺旋状の掘削羽根を形成する。
【0049】
図4は、掘削治具付鋼管杭が杭打機に取り付けられた状態を外観斜視する模式図である。
【0050】
杭打機100は、4本の脚部101で地面に固定されている。
【0051】
実施例として2基のモータ102で駆動される、杭打機100の回転押し下げ機構110の下端側のキャップ103に掘削治具付鋼管杭1が装着されている。
【0052】
図4において、杭打機100には、更に口元管20を周囲より支持する口元管用触れ止め機構28と、開いた状態の土砂落とし装置のブラシ機構40a,40bを有している。これらの機構の役割については、順次後に詳細に説明する。
【0053】
[第2の工程(P2)]
次いで、第2の工程(P2)として、掘削治具付鋼管杭1を口元管20に取り付ける。
【0054】
線路への影響やホームの沈下を防止するために鋼管杭を打設する箇所に口元管20が事前に埋設される。この口元管20の埋設は、鋼管杭1を口元管20に取り付け、掘削治具付鋼管杭1の回転押し下げによって行われる。
【0055】
ここで、掘削治具付鋼管杭1の口元管20への取り付けは、以下に説明する実施例として2通りの何れかの態様を用いる方法が可能である(ステップS3A、又はS3B)。
【0056】
第1の方法は、掘削治具付鋼管杭1の先端部を口元管20に被せる落とし蓋23に取り付ける態様を用い(ステップS3A)、第2の方法は、掘削治具付鋼管杭1を口元管20内に取り付ける態様を用いる(ステップS3B)。
【0057】
前記第1の方法として、ステップS3Aの態様即ち、掘削治具付鋼管杭1の先端部を口元管20に被せる落とし蓋23に取り付ける態様である。
図5は、かかる態様に対応し、口元管20の上部に口元管用落とし蓋23が被せられた状態を詳細に説明する図である。
【0058】
図5において、(1)は口元管20に落とし蓋23を被せた状態の上面図、(2)は(1)の状態の正面断面図及び(3)は掘削治具付鋼管杭1の先端部を口元管20に被せる落とし蓋23に取り付けた状態を示す図である。なお、口元管20部分は、(1)の状態と同じ正面断面図で示している。
【0059】
口元管20本体は、上下端が開口した所定の厚みを有する円筒状鋼管を成している。円筒状鋼管本体の上端外側に突起21が、下端側にブレード片22が固着されている。突起21は対向して一対、ブレード片22は、4方向に設けられている。
【0060】
このブレード片22は、口元管の埋設箇所が地山である場合、回転しながら埋設する作業を容易とするためのものである。したがって、盛土のような柔らかい地盤である場合は、ブレード片22は、必ずしも必要としない。
【0061】
図4に戻り、かかる構成の口元管20に被せられる口元管用落とし蓋23の構成に対して、掘削治具付鋼管杭1に口元管20を取り付ける(ステップS3A)。
【0062】
さらに、
図5(1)において、口元管用落とし蓋23の通し孔26とその縁部23Bに設けられた切欠き部27が表れている。口元管用落とし蓋23の円筒側面には、切欠き部25を有し、口元管20の上端外側に設けられた突起21と係合して、口元管用落とし蓋23と口元管20が一体化されている。
【0063】
杭打機100の回転押し下げ機構110の下端側に装着された掘削治具付鋼管杭1が装着される。掘削治具付鋼管杭1の先端にあるブレード片13が、前記口元管用落とし蓋23の切欠き部27の端面に係合するように、羽根付鋼管杭1に口元管20が取り付けられる。
【0064】
図5に示されるように、口元管用落とし蓋23の上面に一対の取手24を有し、可搬容易にしている。
【0065】
さらに、口元管用落とし蓋23の上面中央部は、
図5(2)の断面図で理解できるように中央部が二段構成である。この二段構成の下側は、周囲に縁部23Aが形成されるように中央に通し孔26を有する。また、周囲の縁部23Aに切欠き27を有する。
【0066】
さらに、上面中央部縁部に沿って、対応する位置に、摺動しネジ固定可能のロックプレート29A,29Bを有する。ロックプレート29A,29Bは、口元管用落とし蓋23の通し孔26に掘削治具付鋼管杭1の先端が挿入されたとき、フリンジ13の上端部を抑え、掘削治具付鋼管杭1との係合を保持する。
【0067】
さらに、ロックプレート29Aに隣接してロックブロック30を有する。ロックブロック30は、ロックプレート29Aの摺動を制限する。
【0068】
この際、掘削治具付鋼管杭1の羽根部11の先端部のブレード片14が、切欠き27の端面と当接し、且つ掘削治具付鋼管杭1の先端近傍に有する羽根部11の先端が口元管用落とし蓋23の上側面に位置し、前記ロックブロック30に当接する。
【0069】
したがって、掘削治具付鋼管杭1の回転によって口元管用落とし蓋23と一体で、口元管20を回動しながら土中に押し下げすることが可能である。
【0070】
図6は、ステップS3A(
図1)に対応する掘削治具付鋼管杭1と口元管用落とし蓋23の係合を理解容易のために更に詳細に説明する図である。
【0071】
図6(1)は、口元管用落とし蓋23の裏面側から見た図、
図6(2)は、ロックプレート29A側から見た斜視図、そして
図6(3)は、ロックプレート29Bから見た斜視図である。
【0072】
図6(1)において、通し孔26を通して、掘削治具付鋼管杭1の先端面にある略台形状の板状部材17が見える。通し孔26の縁部23Aに設けられた切欠き部27の端面にブレード片14が当接している。
【0073】
さらに、必要により設けられる覗き窓31が示されている。
【0074】
図6(2)において、ロックプレート29Aとロックブロック30が示される。ロックブロック30により、ロックプレート29A の回転摺動が制限され、且つ掘削治具付鋼管杭1の羽根部11の先端がロックブロック30に当接する状態が示されている。
【0075】
さらに、
図6(3)において、半割掘削治具2の螺旋状羽根12b側が図示省略されている。一方のロックプレート29Bが羽根部11の下側に位置して、且つ掘削治具付鋼管杭1の抜けを防止するように、ネジ止め固定されている。
【0076】
ここで、
図1に戻り、掘削治具付鋼管杭1の口元管20への取り付けの他の方法(ステップS3B)を説明する。この方法は、口元管20内に掘削治具付鋼管杭1を配置するように結合する態様である。
【0077】
図7は、かかるステップS3Bに対応する口元管20の構成と口元管用落とし蓋23を説明する図である。
図7(1)に口元管20の上面側と、
図7(2)に上面側x-y線に沿う断面を示す。
図5に示したと同様に、口元管20は、上下端が開口した所定の厚みを有する円筒状鋼管を成している。さらに、下端側には、
図5の構成と同様にブレード片22を有する。
【0078】
一方、
図5に示した構成と異なり、口元管20内側の上端側に突起21Aを有する。
【0079】
図7(3)は、口元管20に被せられる口元管用落とし蓋23の上面図と
図7(4)は、その中央断面図である。この実施例の口元管用落とし蓋23は、円形の上面部分23Bと対応する円筒側面23Cで構成される。
【0080】
上面23Bの中央に通し孔26を有し、後に説明するように、この通し孔26に掘削治具付鋼管杭1が通される。さらに、通し孔26の周囲近傍に複数のボルト孔41を有している。のぞき窓31は、軽量化のため、あるいは、口元管内観察のため必要により設けられる。
【0081】
さらに、円筒側面23Cには、口元管20の突起21Aに係合する切欠き25を有する。
【0082】
先のステップS3Aに対応する実施例との比較において、特徴として、口元管用落とし蓋23は、部分23(1),23(2)に2分割されている。それぞれが合わせられるとその円筒側面23Cの径の大きさが口元管20の内径に対応する大きさを有する。
【0083】
したがって、口元管用落とし蓋23の側面23Cが、口元管20の内側に挿入されて、口元管20の上端側を覆うことが出来る。その際、円筒側面23Cに形成された切欠き25が、口元管20の上端内側にある突起21Aと係合して口元管20と口元管用落とし蓋23が一体化される。
【0084】
次に、このような構成の口元管20に掘削治具付鋼管杭1を取り付ける態様について更に説明する。
【0085】
図8は、ステップS3Bに対応する、掘削治具付鋼管杭1を構成する羽根付鋼管杭1Aと掘削治具2を説明する図である。
【0086】
図8(1)は、羽根付鋼管杭1Aの正面と側面を示している。この実施例では、羽根付鋼管杭1Aは、下端側の羽根部11に加え上端側にも羽根部11Aを有している。羽根付鋼管杭1Aの中央部に一対の突起16Aを有している。
【0087】
図8(2)は、ステップS3Bに対応する掘削治具2の構成を示す図である。正面側と側面側を示し、更に対応して上面図を示している。
【0088】
この実施例における掘削治具2は基本的に
図3に示した例と同様で、半割構成である。異なる点は、第1に掘削治具2の上部に固定用円盤状板部材40を有する点である。この固定用円盤状板部材40には、その円周に沿って、複数のボルト通し孔42を有している。
【0089】
このボルト通し孔42は、
図7で説明した口元管用落とし蓋23の上面23Bに設けられたボルト通し孔41に対応する位置に設けられている。
【0090】
また、半割掘削治具2の側面には、一対の四角形の窓15Aを有している。これにより、羽根付鋼管杭1Aの側面の突起16Aと半割掘削治具2の側面の窓15Aとを位置合わせして半割掘削治具2を羽根付鋼管杭1Aの円周に締結固定することが出来る。
【0091】
図9は、ステップS3Bに対応して、掘削治具付鋼管杭1を構成する半割掘削治具2を締結固定した羽根付鋼管杭1Aに口元管20を取り付けた構成を示す図である。
図9(1)はその上面図、
図9(2)は、口元管20のみを断面にした側面図を示す。羽根付鋼管杭1Aの上部突起18は、杭打機100に取り付ける際の係止用突起である。
【0092】
口元管用落とし蓋23の2つの部分23(1)、23(2)で掘削治具付鋼管杭1の両側を囲い、口元管用落とし蓋23の上面に設けられたボルト通し孔41と、半割掘削治具2の上部の固定用円盤状板部材40のボルト通し孔42にボルト42Aを通して固定する。これにより掘削治具付鋼管杭1と口元管用落とし蓋23が、一体化される。
【0093】
ついで、掘削治具付鋼管杭1を固定した口元管用落とし蓋23の円筒側面23Cを口元管20に挿入し、口元管20の突起21Aと円筒側面23Cの切欠き25とを係合して固定する。これにより、掘削治具付鋼管杭1の口元管2への取り付けが完了する。
【0094】
[第3の工程(P3)]
次いで、
図1のフローに戻り、第3の工程(P3)として、第2の工程(P2)のステップS3A又はS3Bに続き、口元管20を回転圧入する(ステップS4)。さらに
図4に戻り、かかる口元管20の回転圧入ステップを理解容易に示す模式図を示し、
図5に示した口元管20と口元管用落とし蓋23を使用する場合に対応する。
【0095】
杭打機100にそれぞれ一端が保持された一対の口元管振れ止め機構28を有する。掘削治具付鋼管杭1の先端部に口元管20が取り付けられ、回転圧入される際、口元管20の胴体を巻き込むように、一対の口元管振れ止め機構28の他端同士をピン止め(29)して、口元管20を位置決めする。この状態で掘削治具付鋼管杭1を回転しながら圧入力を口元管20に与えて、口元管20を埋設する。
【0096】
一方、
図7に示す口元管20を用いる場合は、口元管20を埋設すると同時に、羽根付鋼管杭1自身も口元管20と一体で、土砂を掘削しながら土砂中に侵入することになる。すなわち、ステップS3Bの場合は、口元管20を回転圧入すると、同時に掘削治具付鋼管杭1の回転により口元管20の内側の土砂を掘削することが出来る。
【0097】
[第4の工程(P4)]
図10は、第4の工程(P4)において、口元管20の埋設を完了した状態から口元管20内の土砂を掘削する処理を示す模式図である。
【0098】
図10(1)に示すように、口元管20は、ほぼその上端が土の表面位置と同じになり、口元管振れ止め機構28のピン29が外され、元の開いた状態に位置づけられている。さらに、口元管用落とし蓋23が外され、口元管内の掘削が行われる(ステップS5)。
【0099】
図10(1)は、埋設された口元管20から口元管用落とし蓋23を外し、掘削治具付鋼管杭1を切り離し引き上げた状態を示す。
図10(2)は、更に掘削治具付鋼管杭1を口元管20内に差し入れ掘削する状態を示している。
【0100】
一方、ステップS3Bにより、口元管20内に掘削治具付鋼管杭1を結合する場合は、先に説明したように口元管20の埋設と同時に掘削治具付鋼管杭1により口元管20内の掘削が行われる。したがって、かかる実施例では、基本的には、掘削のステップ自体の実行は不要であるが、口元管20内の掘削が十分でない場合は、
図10(2)に示すように、更に掘削治具付鋼管杭1により、口元管20内の掘削を補充してもよい。
【0101】
[第5の工程(P5)]
次に、第5の工程(P5)として、掘削治具付鋼管杭1の引き上げ(ステップS6)及び土砂落とし(ステップS7)が行われる。
【0102】
図10(2)において、掘削治具付鋼管杭1の回転は、モータ102と歯車機構による回転機構111の回転力が掘削治具付鋼管杭1に伝達される。圧入は、杭打機100の回転機構111の保持機構112を油圧により押し下げることにより行われる。
【0103】
この回転圧入により、掘削治具付鋼管杭1が口元管20を通して土中に挿入されると、掘削治具付鋼管杭1の羽根部11及び半割掘削治具2の螺旋状羽根部12a,12bの間に土砂が付着する。
【0104】
したがって、土砂が羽根部11及び螺旋状羽部12a,12bの間に付着したまま掘削治具付鋼管杭1を引き上げる(ステップS6)。これにより土砂が排出される。これを繰り返すことにより口元管20内の土砂が掘削されることになる。
【0105】
ここで、掘削治具付鋼管杭1を口元管20内に挿入、引き出しを行って土砂を排出する場合、掘削治具付鋼管杭1の螺旋状羽根間に詰まった土砂を引き上げの際に落とすことが必要である(ステップS7)。
【0106】
この詰まった土砂の落とし作業は、これまで人手によりスコップ等で掻き出すことによって行われてきた。
【0107】
しかし、かかる作業は、全ステップの中で効率の悪いものである。したがって、本発明による他の特徴として、かかる螺旋状羽根間に詰まった土砂落とし作業を効率化することにある。すなわち、本発明に従う土砂落とし装置を用いて土砂落とし作業を行う。
【0108】
[土落とし装置]
図11は、かかる本発明による土砂落とし装置の上面図(1)、A−A線に沿う断面の正面図(2)及び右側側面図(3)を示す図である。
【0109】
土砂落とし装置は、それぞれ一端側が杭打機100に軸121a、121bにより回転可能に固定され、他端側は、土砂落としのタイミング以外は開いた状態にされる一対のブラシ機構40a,40bを有する。
【0110】
他端側が閉じられ、ボルトねじ210により固定されて、羽根部間に土砂が詰まった状態の掘削治具付鋼管杭1の周囲を囲む状態にされる。
【0111】
一対のブラシ機構40a,40bのそれぞれの内側側面に、縦列に複数配置され、側面に一端側が固定された4組の土砂掻き出しのための硬性のブラシ、例えばワイヤブラシ201a〜201dと、上端部に、土砂払い用の柔軟性のブラシ、例えばナイロンブラシ202a、202bを有する。
【0112】
さらに、一対のブラシ機構40a,40bの内側側面に複数のガイド203を有する。
【0113】
かかる土砂落とし装置のワイヤブラシ201a〜201dとナイロンブラシ202a、202bより、螺旋状羽根間に詰まった土砂を、掘削治具付鋼管杭1を引き上げる際に落とすことが可能である。
【0114】
図12は、かかる掘削治具付鋼管杭1の螺旋状羽根間に詰まった土砂落とし作業を説明する模式図である。
【0115】
螺旋状羽根間に土砂が詰まった状態の掘削治具付鋼管杭1の下部側に、フレキシブルコンテナパック(フレコンパック)300を積んだ台車301を差し入れる(
図12(1))。次いで、土砂が詰まった状態の掘削治具付鋼管杭1の周囲を土砂落とし装置で覆い、掘削治具付鋼管杭1を回転すると、土砂302が掻き出されてフレコンパック300内に収納される(
図12(2))。
【0116】
プレコンパック300内に掻き出された土砂302を収納した後、台車301を矢印方向に引き出し土砂落とし作業が完了する(
図12(3))。
【0117】
[第6の工程(P6)]
次に、第6の工程(P6)として、先ず掘削治具付鋼管杭1から半割掘削治具2を外した状態にして羽根付鋼管杭1Aを土中に打ち込む作業の準備を行う。掘削治具付鋼管杭1から半割掘削治具2を外し(ステップS8)、羽根付鋼管杭1Aの状態にする。
【0118】
図13は、かかる羽根付鋼管杭1Aを土中に打ち込む作業を示す模式図である。
図13(1)は、先に
図12(3)で説明したように、掻き出された土砂302を収納したフレコンパック300を台車301ごと掘削治具付鋼管杭1の下側から引き出した状態を示す図である。
【0119】
ここで、掘削治具付鋼管杭1から掘削治具2を外した状態の羽根付鋼管杭1Aの打設頭部高さが土中にある場合、羽根付鋼管杭1Aに追加して土中に打ち込むためにヤットコ120を用いる。
【0120】
ヤットコ120の先端を羽根付鋼管杭1Aの頭部に当接して、掘削された口元管20の内部に回転圧入して羽根付鋼管杭1Aを打設する(ステップS9:
図13(2))。さらに、所定の施工基面まで羽根付鋼管杭1Aを打ちこんだ後、ヤットコ120を引き上げて、羽根付鋼管杭1Aの打設施工を完了する(
図13(3))。
【0121】
ここで、先に鉄道施設の改善、あるいはホームドアの設置の際の鋼管杭の打設を説明したが、口元管を用いて鋼管杭の回転圧入する本発明の工法は、他に多くの活用が可能である。
【0122】
例えば、跨線橋のフーチング及び基礎杭、機械式深礎杭、工事桁用仮橋脚杭、階段・エスカピットのフーチング及び基礎杭、電柱基礎杭、防風・防雪柵のフーチング及び基礎杭、太陽光パネルのフーチング及び基礎杭、照明灯のフーチング及び基礎杭等である。
【0123】
これらの活用の場合、例えば、本発明の鋼管杭の回転圧入方法により土中に圧入された鋼管杭に、更に鋼管をつぎ足す場合、口元管の底部に落し蓋を追加し、口元管をケーシングとして生コンクリート及び砕石プレパクトコンなどを充填して、鋼管の継手として用いることが可能である。