(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0032】
実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。但し、本発明は以下の説明に限定されず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
【0033】
なお、以下に説明する発明の構成において、同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号を異なる図面間で共通して用い、その繰り返しの説明は省略する。また、同様の機能を指す場合には、ハッチパターンを同じくし、特に符号を付さない場合がある。
【0034】
また、図面において示す各構成の、位置、大きさ、範囲などは、理解の簡単のため、実際の位置、大きさ、範囲などを表していない場合がある。このため、開示する発明は、必ずしも、図面に開示された位置、大きさ、範囲などに限定されない。
【0035】
なお、「膜」という言葉と、「層」という言葉とは、場合によっては、又は、状況に応じて、互いに入れ替えることが可能である。例えば、「導電層」という用語を、「導電膜」という用語に変更することが可能である。または、例えば、「絶縁膜」という用語を、「絶縁層」という用語に変更することが可能である。
【0036】
(実施の形態1)
本実施の形態では、本発明の一態様の剥離方法及びフレキシブルデバイスの作製方法について説明する。
【0037】
本発明の一態様は、作製基板上に酸化物層を形成し、酸化物層上に、感光性及び熱硬化性を有する材料を用いて、厚さ0.1μm以上3μm以下の第1の層を形成し、フォトリソグラフィ法を用いて、第1の層の酸化物層と重なる部分に開口を形成し、第1の層を加熱して開口を有する樹脂層を形成し、樹脂層上にチャネル形成領域に酸化物半導体を有するトランジスタを形成し、樹脂層の開口及び酸化物層と重なるように導電層を形成し、レーザを用いて酸化物層に光を照射し、トランジスタと作製基板とを分離する、剥離方法である。
【0038】
本発明の一態様では、レーザを用いて酸化物層に光を照射する。酸化物層は、光を吸収して加熱されることで、酸素を放出する場合がある。例えば、酸素はガス状に放出されることがある。ガス状の酸素は、酸化物層中または酸化物層表面にバブル状の領域(または、脆弱領域もしくは空洞を有する領域)を形成することがある。
【0039】
酸化物層に光を照射し、酸化物層から酸素を放出させることで、酸化物層と当該酸化物層と接する層との密着性が低下し、当該2つの層の界面で分離を生じさせることができる。または、酸化物層から酸素を放出させることで、酸化物層自体が破断し、酸化物層中で分離を生じさせることができる。
【0040】
本発明の一態様では、トランジスタのチャネル形成領域には、酸化物半導体を用いる。酸化物半導体を用いることで、低温ポリシリコン(LTPS(Low Temperature Poly−Silicon))を用いる場合よりも、プロセスの最高温度を低くすることができる。
【0041】
トランジスタのチャネル形成領域にLTPSを用いる場合、500℃から550℃程度の温度をかける必要があるため、樹脂層に耐熱性が求められる。また、レーザ結晶化の工程でのダメージを緩和するため、樹脂層の厚膜化が必要となる。
【0042】
一方、酸化物半導体を用いたトランジスタは、350℃以下、さらには300℃以下で形成することができる。そのため、樹脂層に高い耐熱性は求められない。したがって、樹脂層の耐熱温度を低くすることができ、材料の選択の幅が広がる。また、酸化物半導体を用いたトランジスタは、レーザ結晶化の工程が不要であるため、樹脂層の厚さを薄くすることができる。樹脂層に高耐熱性が要求されず、薄膜化できることで、デバイス作製の大幅なコストダウンが期待できる。また、LTPSを用いる場合に比べて、工程が簡略化でき好ましい。
【0043】
本発明の一態様では、樹脂層の耐熱温度以下の温度で、トランジスタ等を形成する。ここで、樹脂層の耐熱性は、例えば、加熱による重量減少率、具体的には5%重量減少温度等で評価できる。樹脂層の5%重量減少温度は、例えば、450℃以下、400℃以下、400℃未満、350℃未満とすることができる。例えば、トランジスタは、350℃以下、さらには300℃以下の温度で作製する。
【0044】
本発明の一態様では、線状レーザを用いてレーザ光を照射する。LTPS等の製造ラインのレーザ装置を使用することができるため、これらの装置の有効利用が可能である。線状レーザは、矩形長尺状に集光(線状レーザビームに成形)して、酸化物層に光を照射する。
【0045】
本発明の一態様では、感光性の材料を用いて樹脂層を作製する。感光性の材料を用いることで、所望の形状の樹脂層を容易に形成することができる。例えば、樹脂層に、開口を形成することが容易である。
【0046】
例えば、樹脂層に開口を形成し、開口を覆うように導電層を配置することで、導電層を作製基板から分離させて、一部が露出した電極(裏面電極、貫通電極ともいう)を形成することができる。当該電極は、外部接続端子として用いることもできる。
【0047】
本実施の形態では、樹脂層に形成された開口を介して、外部接続端子とフレキシブルプリント基板(FPC)等の回路基板とを電気的に接続する例を示す。
【0048】
本発明の一態様の剥離方法を用いて、フレキシブルデバイスを作製することができる。以下では、
図1〜
図6を用いて、本発明の一態様のフレキシブルデバイス及びその作製方法について、具体的に説明する。ここでは、フレキシブルデバイスとして、トランジスタ及び有機EL素子を有する表示装置(アクティブマトリクス型の有機EL表示装置ともいう)を作製する場合を例に挙げて説明する。当該表示装置は、基板に可撓性を有する材料を用いることで、折り曲げ可能な(Foldable)有機EL表示装置とすることができる。
【0049】
なお、表示装置を構成する薄膜(絶縁膜、半導体膜、導電膜等)は、スパッタリング法、化学気相堆積(CVD:Chemical Vapor Deposition)法、真空蒸着法、パルスレーザー堆積(PLD:Pulsed Laser Deposition)法、原子層成膜(ALD:Atomic Layer Deposition)法等を用いて形成することができる。CVD法としては、プラズマ化学気相堆積(PECVD:Plasma Enhanced Chemical Vapor Deposition)法や、熱CVD法でもよい。熱CVD法の例として、有機金属化学気相堆積(MOCVD:Metal Organic CVD)法を使ってもよい。
【0050】
表示装置を構成する薄膜(絶縁膜、半導体膜、導電膜等)は、スピンコート、ディップ、スプレー塗布、インクジェット、ディスペンス、スクリーン印刷、オフセット印刷、ドクターナイフ、スリットコート、ロールコート、カーテンコート、ナイフコート等の方法により形成することができる。
【0051】
表示装置を構成する薄膜を加工する際には、リソグラフィ法等を用いて加工することができる。または、遮蔽マスクを用いた成膜方法により、島状の薄膜を形成してもよい。または、ナノインプリント法、サンドブラスト法、リフトオフ法などにより薄膜を加工してもよい。フォトリソグラフィ法としては、加工したい薄膜上にレジストマスクを形成して、エッチング等により当該薄膜を加工し、レジストマスクを除去する方法と、感光性を有する薄膜を成膜した後に、露光、現像を行って、当該薄膜を所望の形状に加工する方法と、がある。
【0052】
リソグラフィ法において光を用いる場合、露光に用いる光は、例えばi線(波長365nm)、g線(波長436nm)、h線(波長405nm)、またはこれらを混合させた光を用いることができる。そのほか、紫外線やKrFレーザ光、またはArFレーザ光等を用いることもできる。また、液浸露光技術により露光を行ってもよい。また、露光に用いる光として、極端紫外光(EUV:Extreme Ultra−violet)やX線を用いてもよい。また、露光に用いる光に換えて、電子ビームを用いることもできる。極端紫外光、X線または電子ビームを用いると、極めて微細な加工が可能となるため好ましい。なお、電子ビームなどのビームを走査することにより露光を行う場合には、フォトマスクは不要である。
【0053】
薄膜のエッチングには、ドライエッチング法、ウエットエッチング法、サンドブラスト法などを用いることができる。
【0054】
[作製方法例1A]
まず、作製基板14上に、酸化物層21を形成する(
図1(A))。
【0055】
作製基板14は、搬送が容易となる程度に剛性を有し、かつ作製工程にかかる温度に対して耐熱性を有する。作製基板14に用いることができる材料としては、例えば、ガラス、石英、セラミック、サファイヤ、樹脂、半導体、金属または合金などが挙げられる。ガラスとしては、例えば、無アルカリガラス、バリウムホウケイ酸ガラス、アルミノホウケイ酸ガラス等が挙げられる。
【0056】
酸化物層21は、光を吸収し発熱することにより、酸素を放出する機能を有することが好ましい。
【0057】
酸化物層21としては、例えば加熱により酸素が放出される酸化物層を用いることができる。酸化物層としては、酸化物絶縁膜、酸化物導電膜(不純物準位を有する酸化物半導体膜を含む)、及び酸化物半導体膜が挙げられる。特に、酸化物半導体膜及び酸化物導電体膜は、酸化シリコン膜等の酸化物絶縁膜に比べてバンドギャップが狭く、光を吸収しやすいため好ましい。
【0058】
酸化物層21としては、例えば、トランジスタの半導体層に用いることができる酸化物半導体、トランジスタの導電層に用いることができる酸化物導電体、トランジスタの絶縁層に用いることができる酸化物絶縁体等を適用できる。
【0059】
酸化物層21には、例えば、In−M−Zn系酸化物膜(Mは、Al、Ga、Y、またはSn)を適用することができる。特に、In−Ga−Zn系酸化物膜を用いることが好ましい。
【0060】
または、酸化インジウム、インジウム錫酸化物(ITO)、タングステンを含むインジウム酸化物、タングステンを含むインジウム亜鉛酸化物、チタンを含むインジウム酸化物、チタンを含むITO、インジウム亜鉛酸化物、酸化亜鉛(ZnO)、ガリウムを添加したZnO、またはシリコンを含むITO等の酸化物導電体膜を用いてもよい。
【0061】
酸化物半導体は、膜中の酸素欠損、及び膜中の水素、水等の不純物濃度のうち少なくとも一方によって、抵抗を制御することができる半導体材料である。そのため、酸化物半導体層へ酸素欠損及び不純物濃度の少なくとも一方が増加する処理、または酸素欠損及び不純物濃度の少なくとも一方が低減する処理を選択することによって、酸化物半導体層の有する抵抗率を制御することができる。
【0062】
なお、このように、酸化物半導体層を用いて形成された酸化物導電層は、キャリア密度が高く低抵抗な酸化物半導体層、導電性を有する酸化物半導体層、または導電性の高い酸化物半導体層ということもできる。
【0063】
酸化物層21は、例えば酸素を含む雰囲気下で、プラズマCVD法またはスパッタリング法等により成膜することができる。または、成膜後に、酸素イオンを注入してもよい。特に酸化物半導体膜を用いる場合には、酸素を含む雰囲気下でスパッタリング法により成膜することが好ましい。酸化物層21に酸素を含有させるため、酸化物層21の成膜後に酸素を含む雰囲気下で加熱処理をしてもよい。
【0064】
酸化物層21の厚さは、例えば、1nm以上200nm以下であることが好ましく、5nm以上100nm以下であることがより好ましい。
【0065】
次に、感光性及び熱硬化性を有する材料を用いて、第1の層24を形成する(
図1(A))。
【0066】
具体的には、感光性及び熱硬化性を有する材料を、厚さ0.1μm以上3μm以下となるよう成膜する。
【0067】
本発明の一態様では、感光性を有する材料を用いて第1の層24を形成するため、光を用いたリソグラフィ法により、第1の層24の一部を除去することができる。具体的には、材料を成膜した後に溶媒を除去するための熱処理(プリベーク処理ともいう)を行い、その後フォトマスクを用いて露光を行う。続いて、現像処理を施すことで、不要な部分を除去することができる。そして、所望の形状に加工された第1の層24を加熱し(ポストベーク処理ともいう)、樹脂層23を形成する(
図1(B))。
図1(B)では、樹脂層23に酸化物層21に達する開口を設ける例を示す。
【0068】
加熱により、樹脂層23中の脱ガス成分(例えば、水素、水等)を低減することができる。特に、樹脂層23上に形成する各層の作製温度と同じ温度またはそれよりも高い温度で加熱することが好ましい。例えば、トランジスタの作製温度が350℃までである場合、樹脂層23となる膜を350℃以上450℃以下で加熱することが好ましく、350℃以上400℃以下がより好ましく、350℃以上400℃未満がさらに好ましく、350℃以上375℃未満がさらに好ましい。これにより、トランジスタの作製工程における、樹脂層23からの脱ガスを大幅に抑制することができる。
【0069】
また、ポストベーク処理では、酸化物層21から酸素が放出されにくい温度で加熱することが好ましい。これにより、レーザ光を照射する前に酸化物層21が剥離される等の不具合を防止し、歩留まりの低下を抑制できる。なお、以降で説明する、酸化物層21にレーザ光を照射する前に行われる各工程についても、酸化物層21から酸素が放出されにくい温度で行われることが好ましい。
【0070】
樹脂層23は、可撓性を有する。作製基板14は、樹脂層23よりも可撓性が低い。
【0071】
樹脂層23(第1の層24)は、感光性のポリイミド樹脂(photo sensitive polyimide、PSPIともいう)を用いて形成されることが好ましい。
【0072】
そのほか、樹脂層23(第1の層24)の形成に用いることができる感光性及び熱硬化性を有する材料としては、例えば、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミドアミド樹脂、シロキサン樹脂、ベンゾシクロブテン系樹脂、フェノール樹脂等が挙げられる。
【0073】
樹脂層23(第1の層24)は、スピンコータを用いて形成することが好ましい。スピンコート法を用いることで、大判基板に薄い膜を均一に形成することができる。
【0074】
樹脂層23(第1の層24)は、粘度が5cP以上500cP未満、好ましくは5cP以上100cP未満、より好ましくは10cP以上50cP以下の溶液を用いて形成することが好ましい。溶液の粘度が低いほど、塗布が容易となる。また、溶液の粘度が低いほど、気泡の混入を抑制でき、良質な膜を形成できる。
【0075】
樹脂層23の厚さは、0.01μm以上10μm未満であることが好ましく、0.1μm以上5μm以下であることがより好ましく、0.1μm以上3μm以下であることがより好ましく、0.5μm以上1μm以下であることがさらに好ましい。低粘度の溶液を用いることで、樹脂層23を薄く形成することが容易となる。樹脂層23を薄く形成することで、低コストで表示装置を作製できる。また、表示装置の軽量化及び薄型化が可能となる。また、表示装置の可撓性を高めることができる。ただし、これに限定されず、樹脂層23の厚さは、10μm以上としてもよい。例えば、樹脂層23の厚さを10μm以上200μm以下としてもよい。樹脂層23の厚さを10μm以上とすることで、表示装置の剛性を高めることができるため好適である。
【0076】
そのほか、樹脂層23(第1の層24)の形成方法としては、ディップ、スプレー塗布、インクジェット、ディスペンス、スクリーン印刷、オフセット印刷、ドクターナイフ、スリットコート、ロールコート、カーテンコート、ナイフコート等が挙げられる。
【0077】
樹脂層23の熱膨張係数は、0.1ppm/℃以上20ppm/℃以下であることが好ましく、0.1ppm/℃以上10ppm/℃以下であることがより好ましい。樹脂層23の熱膨張係数が低いほど、加熱により、トランジスタ等が破損することを抑制できる。
【0078】
表示装置の表示面側に樹脂層23が位置する場合、樹脂層23は、可視光に対する透光性が高いことが好ましい。
【0079】
次に、樹脂層23上に、絶縁層31を形成する(
図1(C))。
【0080】
絶縁層31は、樹脂層23の耐熱温度以下の温度で形成する。また、絶縁層31は、前述のポストベーク処理における加熱温度と同じ温度またはそれより低い温度で形成することが好ましい。
【0081】
絶縁層31は、樹脂層23に含まれる不純物が、後に形成するトランジスタ及び表示素子に拡散することを防ぐバリア層として用いることができる。例えば、絶縁層31は、樹脂層23を加熱した際に、樹脂層23に含まれる水分等がトランジスタ及び表示素子に拡散することを防ぐことが好ましい。そのため、絶縁層31は、バリア性が高いことが好ましい。
【0082】
絶縁層31としては、例えば、窒化シリコン膜、酸化窒化シリコン膜、酸化シリコン膜、窒化酸化シリコン膜、酸化アルミニウム膜、窒化アルミニウム膜などの無機絶縁膜を用いることができる。また、酸化ハフニウム膜、酸化イットリウム膜、酸化ジルコニウム膜、酸化ガリウム膜、酸化タンタル膜、酸化マグネシウム膜、酸化ランタン膜、酸化セリウム膜、及び酸化ネオジム膜等を用いてもよい。また、上述の絶縁膜を2以上積層して用いてもよい。特に、樹脂層23上に窒化シリコン膜を形成し、窒化シリコン膜上に酸化シリコン膜を形成することが好ましい。無機絶縁膜は、成膜温度が高いほど緻密でバリア性の高い膜となるため、高温で形成することが好ましい。
【0083】
絶縁層31に無機絶縁膜を用いる場合、成膜時の基板温度は、室温(25℃)以上350℃以下が好ましく、100℃以上300℃以下がさらに好ましい。
【0084】
樹脂層23の表面に凹凸がある場合、絶縁層31は当該凹凸を被覆することが好ましい。絶縁層31は、当該凹凸を平坦化する平坦化層としての機能を有していてもよい。例えば、絶縁層31として、有機絶縁材料と無機絶縁材料を積層して用いることが好ましい。有機絶縁材料としては、樹脂層23に用いることができる樹脂が挙げられる。
【0085】
絶縁層31に有機絶縁膜を用いる場合、絶縁層31の形成時に樹脂層23にかかる温度は、室温以上350℃以下が好ましく、室温以上300℃以下がさらに好ましい。
【0086】
次に、絶縁層31上に、トランジスタ40を形成する(
図1(C)〜(E))。
【0087】
表示装置が有するトランジスタの構造は特に限定されない。例えば、プレーナ型のトランジスタとしてもよいし、スタガ型のトランジスタとしてもよいし、逆スタガ型のトランジスタとしてもよい。また、トップゲート構造またはボトムゲート構造のいずれのトランジスタ構造としてもよい。または、チャネルの上下にゲート電極が設けられていてもよい。
【0088】
ここではトランジスタ40として、酸化物半導体層44を有する、ボトムゲート構造のトランジスタを作製する場合を示す。
【0089】
本発明の一態様において、トランジスタの半導体には、酸化物半導体を用いる。シリコンよりもバンドギャップが広く、且つキャリア密度の小さい半導体材料を用いると、トランジスタのオフ状態における電流を低減できるため好ましい。
【0090】
トランジスタ40は、樹脂層23の耐熱温度以下の温度で形成する。また、トランジスタ40は、前述のポストベーク処理における加熱温度と同じ温度またはそれより低い温度で形成することが好ましい。
【0091】
具体的には、まず、絶縁層31上に導電層41を形成する(
図1(C))。導電層41は、導電膜を成膜した後、レジストマスクを形成し、当該導電膜をエッチングした後にレジストマスクを除去することで形成できる。
【0092】
導電膜の成膜時の基板温度は、室温以上350℃以下が好ましく、室温以上300℃以下がさらに好ましい。
【0093】
表示装置が有する導電層には、それぞれ、アルミニウム、チタン、クロム、ニッケル、銅、イットリウム、ジルコニウム、モリブデン、銀、タンタル、もしくはタングステン等の金属、またはこれを主成分とする合金を単層構造または積層構造として用いることができる。または、酸化インジウム、インジウム錫酸化物(ITO)、タングステンを含むインジウム酸化物、タングステンを含むインジウム亜鉛酸化物、チタンを含むインジウム酸化物、チタンを含むITO、インジウム亜鉛酸化物、酸化亜鉛(ZnO)、ガリウムを添加したZnO、またはシリコンを含むインジウム錫酸化物等の透光性を有する導電性材料を用いてもよい。また、不純物元素を含有させる等して低抵抗化させた、多結晶シリコンもしくは酸化物半導体等の半導体、またはニッケルシリサイド等のシリサイドを用いてもよい。また、グラフェンを含む膜を用いることもできる。グラフェンを含む膜は、例えば膜状に形成された酸化グラフェンを含む膜を還元して形成することができる。また、不純物元素を含有させた酸化物半導体等の半導体を用いてもよい。または、銀、カーボン、もしくは銅等の導電性ペースト、またはポリチオフェン等の導電性ポリマーを用いて形成してもよい。導電性ペーストは、安価であり、好ましい。導電性ポリマーは、塗布しやすく、好ましい。
【0094】
続いて、絶縁層32を形成する(
図1(C))。絶縁層32は、絶縁層31に用いることのできる無機絶縁膜を援用できる。
【0095】
続いて、絶縁層31及び絶縁層32の、樹脂層23の開口と重なる部分に、それぞれ開口を設ける(
図1(D))。ここでは、絶縁層31及び絶縁層32に、一括で開口を形成する例を示す。絶縁層31及び絶縁層32には、それぞれ別の工程で、開口を形成してもよい。例えば、導電層41を形成する前に、絶縁層31に開口を形成してもよい。開口を設けることで、酸化物層21が露出する。
【0096】
続いて、酸化物半導体層44を形成する(
図1(E))。酸化物半導体層44は、酸化物半導体膜を成膜した後、レジストマスクを形成し、当該酸化物半導体膜をエッチングした後にレジストマスクを除去することで形成できる。
【0097】
酸化物半導体膜の成膜時の基板温度は、350℃以下が好ましく、室温以上200℃以下がより好ましく、室温以上130℃以下がさらに好ましい。
【0098】
また、酸化物半導体膜は、不活性ガス及び酸素ガスのいずれか一方又は双方を用いて成膜することができる。なお、酸化物半導体膜の成膜時における酸素の流量比(酸素分圧)に、特に限定はない。ただし、電界効果移動度が高いトランジスタを得る場合においては、酸化物半導体膜の成膜時における酸素の流量比(酸素分圧)は、0%以上30%以下が好ましく、5%以上30%以下がより好ましく、7%以上15%以下がさらに好ましい。
【0099】
酸化物半導体膜は、例えば少なくともインジウム、亜鉛及びM(アルミニウム、チタン、ガリウム、ゲルマニウム、イットリウム、ジルコニウム、ランタン、セリウム、スズ、ネオジムまたはハフニウム等の金属)を含むIn−M−Zn系酸化物で表記される膜を含むことが好ましい。また、該酸化物半導体を用いたトランジスタの電気特性のばらつきを減らすため、それらと共に、スタビライザーを含むことが好ましい。
【0100】
スタビライザーとしては、上記Mで記載の金属のほかに、ランタノイドである、ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、サマリウム、ユウロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、ルテチウム等が挙げられる。
【0101】
酸化物半導体として、例えば、In−Ga−Zn系酸化物、In−Al−Zn系酸化物、In−Sn−Zn系酸化物、In−Hf−Zn系酸化物、In−La−Zn系酸化物、In−Ce−Zn系酸化物、In−Pr−Zn系酸化物、In−Nd−Zn系酸化物、In−Sm−Zn系酸化物、In−Eu−Zn系酸化物、In−Gd−Zn系酸化物、In−Tb−Zn系酸化物、In−Dy−Zn系酸化物、In−Ho−Zn系酸化物、In−Er−Zn系酸化物、In−Tm−Zn系酸化物、In−Yb−Zn系酸化物、In−Lu−Zn系酸化物、In−Sn−Ga−Zn系酸化物、In−Hf−Ga−Zn系酸化物、In−Al−Ga−Zn系酸化物、In−Sn−Al−Zn系酸化物、In−Sn−Hf−Zn系酸化物、In−Hf−Al−Zn系酸化物を用いることができる。
【0102】
なお、ここで、In−Ga−Zn系酸化物とは、InとGaとZnを主成分として有する酸化物という意味であり、InとGaとZnの比率は問わない。また、InとGaとZn以外の金属元素が入っていてもよい。
【0103】
また、半導体層と導電層は、上記酸化物のうち同一の金属元素を有していてもよい。半導体層と導電層を同一の金属元素とすることで、製造コストを低減させることができる。例えば、同一の金属組成の金属酸化物ターゲットを用いることで、製造コストを低減させることができる。また半導体層と導電層を加工する際のエッチングガスまたはエッチング液を共通して用いることができる。ただし、半導体層と導電層は、同一の金属元素を有していても、組成が異なる場合がある。例えば、トランジスタ及び容量素子の作製工程中に、膜中の金属元素が脱離し、異なる金属組成となる場合がある。
【0104】
酸化物半導体のエネルギーギャップは、2eV以上であると好ましく、2.5eV以上であるとより好ましく、3eV以上であるとさらに好ましい。このように、エネルギーギャップの広い酸化物半導体を用いることで、トランジスタのオフ電流を低減することができる。
【0105】
酸化物半導体がIn−M−Zn系酸化物の場合、In−M−Zn系酸化物を成膜するために用いるスパッタリングターゲットの金属元素の原子数比は、In≧M、Zn≧Mを満たすことが好ましい。このようなスパッタリングターゲットの金属元素の原子数比として、In:M:Zn=1:1:1、In:M:Zn=1:1:1.2、In:M:Zn=3:1:2、In:M:Zn=4:2:3、In:M:Zn=4:2:4.1、In:M:Zn=5:1:6、In:M:Zn=5:1:7、In:M:Zn=5:1:8等が好ましい。なお、成膜される半導体層の原子数比はそれぞれ、上記のスパッタリングターゲットに含まれる金属元素の原子数比のプラスマイナス40%の変動を含む。
【0106】
酸化物半導体膜は、スパッタリング法により形成することができる。そのほか、例えばPLD法、PECVD法、熱CVD法、ALD法、真空蒸着法などを用いてもよい。
【0107】
続いて、導電層43a、導電層43b、及び導電層43cを形成する(
図1(E))。導電層43a、導電層43b、及び導電層43cは、導電膜を成膜した後、レジストマスクを形成し、当該導電膜をエッチングした後にレジストマスクを除去することにより形成できる。導電層43a及び導電層43bは、それぞれ、酸化物半導体層44と接続される。導電層43cは、樹脂層23、絶縁層31、及び絶縁層32にそれぞれ設けられた開口を介して酸化物層21と接続される。
【0108】
なお、導電層43a及び導電層43bの加工の際に、レジストマスクに覆われていない酸化物半導体層44の一部がエッチングにより薄膜化する場合がある。
【0109】
導電膜の成膜時の基板温度は、室温以上350℃以下が好ましく、室温以上300℃以下がさらに好ましい。
【0110】
以上のようにして、トランジスタ40を作製できる(
図1(E))。トランジスタ40において、導電層41の一部はゲートとして機能し、絶縁層32の一部はゲート絶縁層として機能し、導電層43a及び導電層43bは、それぞれソースまたはドレインのいずれか一方として機能する。
【0111】
次に、トランジスタ40を覆う絶縁層33を形成する(
図2(A))。絶縁層33は、絶縁層31と同様の方法により形成することができる。
【0112】
また、絶縁層33として、酸素を含む雰囲気下で上述のような低温で成膜した酸化シリコン膜や酸化窒化シリコン膜等の酸化物絶縁膜を用いることが好ましい。さらに、当該酸化シリコン膜や酸化窒化シリコン膜上に窒化シリコン膜などの酸素を拡散、透過しにくい絶縁膜を積層することが好ましい。酸素を含む雰囲気下で、低温で形成した酸化物絶縁膜は、加熱により多くの酸素を放出しやすい絶縁膜とすることができる。このような酸素を放出する酸化物絶縁膜と、酸素を拡散、透過しにくい絶縁膜を積層した状態で、加熱処理を行うことにより、酸化物半導体層44に酸素を供給することができる。その結果、酸化物半導体層44中の酸素欠損、及び酸化物半導体層44と絶縁層33の界面の欠陥を修復し、欠陥準位を低減することができる。これにより、極めて信頼性の高いフレキシブルデバイスを実現できる。
【0113】
以上の工程により、樹脂層23上に絶縁層31、トランジスタ40、及び絶縁層33を形成することができる(
図2(A))。
【0114】
この段階において、後述する方法を用いて作製基板14とトランジスタ40とを分離することで、表示素子を有さないフレキシブルデバイスを作製することができる。例えば、トランジスタ40や、トランジスタ40に加えて容量素子、抵抗素子、及び配線などを形成し、後述する方法を用いて作製基板14とトランジスタ40とを分離することで、半導体回路を有するフレキシブルデバイスを作製することができる。
【0115】
次に、絶縁層33上に絶縁層34を形成する(
図2(A))。絶縁層34は、後に形成する表示素子の被形成面を有する層であるため、平坦化層として機能することが好ましい。絶縁層34は、絶縁層31に用いることのできる有機絶縁膜または無機絶縁膜を援用できる。
【0116】
絶縁層34は、樹脂層23の耐熱温度以下の温度で形成する。また、絶縁層34は、前述のポストベーク処理における加熱温度と同じ温度またはそれより低い温度で形成することが好ましい。
【0117】
絶縁層34に有機絶縁膜を用いる場合、絶縁層34の形成時に樹脂層23にかかる温度は、室温以上350℃以下が好ましく、室温以上300℃以下がさらに好ましい。
【0118】
絶縁層34に無機絶縁膜を用いる場合、成膜時の基板温度は、室温以上350℃以下が好ましく、100℃以上300℃以下がさらに好ましい。
【0119】
次に、絶縁層34及び絶縁層33に、導電層43bに達する開口を形成する。
【0120】
その後、導電層61を形成する(
図2(B))。導電層61は、その一部が表示素子60の画素電極として機能する。導電層61は、導電膜を成膜した後、レジストマスクを形成し、当該導電膜をエッチングした後にレジストマスクを除去することにより形成できる。
【0121】
導電層61は、樹脂層23の耐熱温度以下の温度で形成する。また、導電層61は、前述のポストベーク処理における加熱温度と同じ温度またはそれより低い温度で形成することが好ましい。
【0122】
導電膜の成膜時の基板温度は、室温以上350℃以下が好ましく、室温以上300℃以下がさらに好ましい。
【0123】
次に、導電層61の端部を覆う絶縁層35を形成する(
図2(B))。絶縁層35は、絶縁層31に用いることのできる有機絶縁膜または無機絶縁膜を援用できる。
【0124】
絶縁層35は、樹脂層23の耐熱温度以下の温度で形成する。また、絶縁層35は、前述のポストベーク処理における加熱温度と同じ温度またはそれより低い温度で形成することが好ましい。
【0125】
絶縁層35に有機絶縁膜を用いる場合、絶縁層35の形成時に樹脂層23にかかる温度は、室温以上350℃以下が好ましく、室温以上300℃以下がさらに好ましい。
【0126】
絶縁層35に無機絶縁膜を用いる場合、成膜時の基板温度は、室温以上350℃以下が好ましく、100℃以上300℃以下がさらに好ましい。
【0127】
次に、EL層62及び導電層63を形成する(
図2(C))。導電層63は、その一部が表示素子60の共通電極として機能する。
【0128】
EL層62は、蒸着法、塗布法、印刷法、吐出法などの方法で形成することができる。EL層62を画素毎に作り分ける場合、メタルマスクなどの遮蔽マスクを用いた蒸着法、またはインクジェット法等により形成することができる。EL層62を画素毎に作り分けない場合には、メタルマスクを用いない蒸着法を用いることができる。
【0129】
EL層62には、低分子系化合物及び高分子系化合物のいずれを用いることもでき、無機化合物を含んでいてもよい。
【0130】
導電層63は、蒸着法やスパッタリング法等を用いて形成することができる。
【0131】
EL層62及び導電層63は、それぞれ、樹脂層23の耐熱温度以下の温度で形成する。また、EL層62及び導電層63は、それぞれ、前述のポストベーク処理における加熱温度と同じ温度またはそれより低い温度で形成することが好ましい。導電層63は、EL層62の耐熱温度以下の温度で形成する。
【0132】
具体的には、EL層62及び導電層63の形成時の温度は、それぞれ、室温以上350℃以下で形成することが好ましく、室温以上300℃以下で形成することがさらに好ましい。
【0133】
以上のようにして、表示素子60を形成することができる(
図2(C))。表示素子60は、一部が画素電極として機能する導電層61、EL層62、及び一部が共通電極として機能する導電層63が積層された構成を有する。
【0134】
ここでは、表示素子60として、トップエミッション型の発光素子を作製する例を示したが、本発明の一態様はこれに限られない。
【0135】
発光素子は、トップエミッション型、ボトムエミッション型、デュアルエミッション型のいずれであってもよい。光を取り出す側の電極には、可視光を透過する導電膜を用いる。また、光を取り出さない側の電極には、可視光を反射する導電膜を用いることが好ましい。
【0136】
次に、導電層63を覆って絶縁層74を形成する(
図2(D))。絶縁層74は、表示素子60に水などの不純物が拡散することを抑制する保護層として機能する。表示素子60は、絶縁層74によって封止される。
【0137】
絶縁層74は、樹脂層23の耐熱温度以下の温度かつ表示素子60の耐熱温度以下の温度で形成する。また、絶縁層74は、前述のポストベーク処理における加熱温度と同じ温度またはそれより低い温度で形成することが好ましい。
【0138】
絶縁層74は、例えば、上述した絶縁層31に用いることのできるバリア性の高い無機絶縁膜が含まれる構成とすることが好ましい。また、無機絶縁膜と有機絶縁膜を積層して用いてもよい。
【0139】
次に、絶縁層74上に保護層75を形成する(
図3(A))。保護層75は、表示装置10の最表面に位置する層として用いることができる。保護層75は、可視光に対する透過性が高いことが好ましい。
【0140】
保護層75として、上述した絶縁層31に用いることのできる有機絶縁膜を用いると、表示装置の表面に傷がつくことや、クラックが生じてしまうことを抑制できるため好ましい。また、保護層75は、当該有機絶縁膜と、表面を傷などから保護するハードコート層(例えば、窒化シリコン層など)や、押圧を分散可能な材質の層(例えば、アラミド樹脂層など)等とが積層された構成であってもよい。
【0141】
図3(B)には、接着層75bを用いて絶縁層74上に基板75aを貼り合わせた例を示す。基板75aとしては、樹脂等が挙げられる。基板75aは、可撓性を有することが好ましい。
【0142】
接着層75bには、紫外線硬化型等の光硬化型接着剤、反応硬化型接着剤、熱硬化型接着剤、嫌気型接着剤等の各種硬化型接着剤を用いることができる。また、接着シート等を用いてもよい。
【0143】
基板75aには、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリカーボネート(PC)樹脂、ポリエーテルスルホン(PES)樹脂、ポリアミド樹脂(ナイロン、アラミド等)、ポリシロキサン樹脂、シクロオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)樹脂、ABS樹脂、セルロースナノファイバー等を用いることができる。
【0144】
次に、作製基板14を介して酸化物層21にレーザ光65を照射する(
図4(A))。レーザ光65は、例えば、
図4(A)においては、左側から右側に走査される線状レーザビームで、その長軸は、その走査方向及びその入射方向(下から上)に垂直である。
【0145】
レーザ光65の照射により、酸化物層21が加熱され、酸化物層21から酸素が放出されることがある。このとき放出される酸素は、例えば、ガス状となって放出される。放出されたガスは酸化物層21と樹脂層23(樹脂層23の開口部では、導電層43c)の界面近傍、または酸化物層21と作製基板14の界面近傍に留まり、これらを引き剥がす力が生じる。その結果、酸化物層21と樹脂層23(樹脂層23の開口部では、導電層43c)の密着性、または酸化物層21と作製基板14の密着性が低下し、容易に剥離可能な状態とすることができる。
【0146】
また、酸化物層21から放出される酸素の一部が、酸化物層21中に留まる場合もある。そのため、酸化物層21が脆弱化し、酸化物層21の内部で分離しやすい状態となる場合がある。
【0147】
レーザ光65としては、少なくともその一部が作製基板14を透過し、かつ酸化物層21に吸収される波長の光を選択して用いる。また、レーザ光65は、樹脂層23に吸収される波長の光であることが好ましい。レーザ光65は、可視光線から紫外線の波長領域の光であることが好ましい。例えば波長が200nm以上400nm以下の光、好ましくは波長が250nm以上350nm以下の光を用いることができる。特に、波長308nmのエキシマレーザを用いると、生産性に優れるため好ましい。エキシマレーザは、LTPSにおけるレーザ結晶化にも用いるため、既存のLTPS製造ラインの装置を流用することができ、新たな設備投資を必要としないため好ましい。また、Nd:YAGレーザの第三高調波である波長355nmのUVレーザなどの固体UVレーザ(半導体UVレーザともいう)を用いてもよい。固体レーザはガスを用いないため、エキシマレーザに比べて、ランニングコストを約1/3にでき、好ましい。また、ピコ秒レーザ等のパルスレーザーを用いてもよい。
【0148】
レーザ光65として、線状のレーザ光を用いる場合には、作製基板14と光源とを相対的に移動させることでレーザ光65を走査し、剥離したい領域に亘ってレーザ光65を照射する。
【0149】
なお、樹脂層23がレーザ光65を一部吸収することがある。これにより、酸化物層21を透過したレーザ光65がトランジスタ等の素子に照射され、素子の特性に影響を及ぼすことを抑制できる。
【0150】
次に、作製基板14とトランジスタ40とを分離する(
図4(B)または
図4(C))。
【0151】
図4(B)では、酸化物層21と樹脂層23との界面及び酸化物層21と導電層43cとの界面で分離が生じる例を示す。
【0152】
図4(C)では、酸化物層21中で分離が生じる例を示す。作製基板14上には酸化物層の一部(酸化物層21a)が残存する。樹脂層23及び導電層43c側に残存する酸化物層21は
図4(A)に比べて薄膜化されている。
【0153】
樹脂層23及び導電層43c側に酸化物層21が残存した場合、除去することが好ましい。例えば、プラズマエッチング、ウエットエッチング等のエッチングにより酸化物層21を除去することができる。
【0154】
作製基板14側に残存した酸化物層21aを除去することで、作製基板14は再利用が可能である。
【0155】
例えば、酸化物層21に垂直方向に引っ張る力をかけることにより、作製基板14を剥離することができる。具体的には、保護層75の上面の一部を吸着し、上方に引っ張ることにより、作製基板14を引き剥がすことができる。
【0156】
作製基板14と絶縁層31との間に、刃物などの鋭利な形状の器具を差し込むことで分離の起点を形成することが好ましい。
【0157】
作製基板14とトランジスタ40とを分離することにより、表示装置10を作製することができる(
図5)。表示装置10は、曲がった状態に保持することや、繰り返し曲げることなどが可能である。
【0158】
図5に示すように、分離により露出した樹脂層23の表面に、接着層28を用いて基板29を貼り合わせてもよい。なお、基板29及び接着層28は、導電層43cと重ならないように配置する。基板29は、フレキシブルデバイスの支持基板として機能することができる。
図5は、樹脂層23と基板29が接着層28によって貼り合わされている例である。
【0159】
基板29には、基板75aに用いることができる材料を適用することができる。
【0160】
そして、接続体76を介して、導電層43cとFPC77を電気的に接続する(
図5)。
【0161】
接続体76としては、様々な異方性導電フィルム(ACF:Anisotropic Conductive Film)及び異方性導電ペースト(ACP:Anisotropic Conductive Paste)等を用いることができる。
【0162】
本実施の形態では、トップエミッション型の発光素子を用いる例を示した。保護層75側は表示面側であるため、保護層75側から導電層43cを露出し、FPC77と電気的に接続する場合は、表示領域とFPC77を重ねることができず、FPC77を表示装置と重ねる領域に制限がある。一方、本発明の一態様では、樹脂層23に感光性の材料を用いることで、表示面とは反対側の面から導電層43cを露出することができる。そのため、樹脂層23に設けた開口を介して、導電層43cとFPC77とを電気的に接続することができる。このような構成とすることで、FPC77を、表示面とは反対側に配置することができる。そのため、表示装置を電子機器に組み込む際に、FPC77を折り曲げるためのスペースを省くことができ、より小型化した電子機器を実現できる。
【0163】
以上の工程により、トランジスタに酸化物半導体が適用され、EL素子に塗り分け方式が適用された表示装置を作製することができる(
図5)。
【0164】
[作製方法例2A]
まず、作製方法例1Aと同様に、作製基板14上に、酸化物層21から絶縁層35までを順に形成する(
図6(A))。
【0165】
次に、
図6(B)に示すように、保護層71を形成する。
【0166】
保護層71は、剥離工程において、絶縁層35や導電層61の表面を保護する機能を有する。保護層71には、容易に除去することのできる材料を用いることができる。
【0167】
除去可能な保護層71としては、例えば水溶性樹脂をその例に挙げることができる。塗布した水溶性樹脂は表面の凹凸を被覆し、その表面の保護を容易にする。また、除去可能な保護層71として、光または熱により剥離可能な粘着剤を水溶性樹脂に積層したものを用いてもよい。
【0168】
除去可能な保護層71として、通常の状態ではその接着力が強く、熱を加える、または光を照射することによりその接着力が弱くなる性質を有する基材を用いてもよい。例えば、加熱することにより接着力が弱くなる熱剥離テープや、紫外光を照射することにより接着力が弱くなるUV剥離テープ等を用いてもよい。また、通常の状態で接着力が弱い弱粘性テープ等を用いることができる。
【0169】
続いて、作製方法例1Aと同様の方法により、作製基板14とトランジスタ40とを分離する(
図6(C))。
図6(C)では、酸化物層21と樹脂層23との界面及び酸化物層21と導電層43cとの界面で分離が生じる例を示す。分離により、樹脂層23及び導電層43cが露出する。
【0170】
作製基板14とトランジスタ40とを分離した後、保護層71を除去する。
【0171】
その後、EL層62及び導電層63を形成することで表示素子60を作製し、表示素子60を封止することで、表示装置10を作製することができる。表示素子60の封止には、絶縁層74、保護層75、並びに、基板75a及び接着層75b等のうち、一種以上を用いることができる。
【0172】
EL層62及び導電層63は、樹脂層23及び導電層43cをステージに固定した状態で成膜してもよいが、樹脂層23及び導電層43cを、支持基板にテープ等を用いて固定し、支持基板を成膜装置のステージに配置した状態で成膜することが好ましい。支持基板に樹脂層23及び導電層43cを固定することにより、樹脂層23を含む積層構造の搬送を容易とすることができる。
【0173】
作製方法例2Aでは、作製基板14から被剥離層を剥離した後に、当該被剥離層上にEL層62及び導電層63を形成することができる。EL層62等の積層構造に密着性の低い部分がある場合、剥離後にこれらの層を形成することで、剥離の歩留まりの低下を抑制できる。作製方法例2Aを用いることで、材料の選択の自由度がより高まり、より低コストで信頼性の高い表示装置を実現することができる。
【0174】
[作製方法例3A]
次に、トランジスタに酸化物半導体が適用され、カラーフィルタ方式が適用された表示装置を作製する場合を例に挙げて説明する。以下では、
図7〜
図13を用いて、本発明の一態様のフレキシブルデバイス及びその作製方法について、具体的に説明する。
【0175】
まず、作製方法例1Aと同様に、作製基板14上に、酸化物層21を形成する(
図7(A))。
【0176】
次に、作製方法例1Aと同様に、感光性及び熱硬化性を有する材料を用いて、第1の層24を形成する(
図7(A))。
【0177】
次に、作製方法例1Aと同様に、所望の形状に加工された膜を加熱し、樹脂層23を形成する(
図7(B))。
図7(B)では、樹脂層23が、酸化物層21に達する開口を有する例を示す。
【0178】
次に、作製方法例1Aと同様に、樹脂層23上に、絶縁層31を形成する(
図7(C))。
【0179】
次に、絶縁層31上に、トランジスタ80を形成する(
図7(C)〜(E))。
【0180】
ここではトランジスタ80として、酸化物半導体層83と、2つのゲートを有するトランジスタを作製する場合を示す。
【0181】
トランジスタ80は、樹脂層23の耐熱温度以下の温度で形成する。また、トランジスタ80は、前述のポストベーク処理における加熱温度と同じ温度またはそれより低い温度で形成することが好ましい。
【0182】
具体的には、まず、絶縁層31上に導電層81を形成する(
図7(C))。導電層81は、導電膜を成膜した後、レジストマスクを形成し、当該導電膜をエッチングした後にレジストマスクを除去することで形成できる。
【0183】
続いて、絶縁層82を形成する(
図7(C))。絶縁層82は、絶縁層31に用いることのできる無機絶縁膜を援用できる。
【0184】
続いて、酸化物半導体層83を形成する(
図7(C))。酸化物半導体層83は、酸化物半導体膜を成膜した後、レジストマスクを形成し、当該酸化物半導体膜をエッチングした後にレジストマスクを除去することで形成できる。酸化物半導体層83は、酸化物半導体層44に用いることのできる材料を援用できる。
【0185】
続いて、絶縁層84及び導電層85を形成する(
図7(C))。絶縁層84は、絶縁層31に用いることのできる無機絶縁膜を援用できる。絶縁層84及び導電層85は、絶縁層84となる絶縁膜と、導電層85となる導電膜とを成膜した後、レジストマスクを形成し、当該絶縁膜及び当該導電膜をエッチングした後にレジストマスクを除去することにより形成できる。
【0186】
次に、酸化物半導体層83、絶縁層84、及び導電層85を覆う絶縁層33を形成する(
図7(C))。絶縁層33は、絶縁層31と同様の方法により形成することができる。
【0187】
絶縁層31、絶縁層82、及び絶縁層33の、樹脂層23の開口と重なる部分には、それぞれ開口を設ける(
図7(D))。開口を設けることで、酸化物層21が露出する。ここでは、絶縁層31、絶縁層82、及び絶縁層33に、一括で開口を形成する例を示す。絶縁層31、絶縁層82、及び絶縁層33には、それぞれ別の工程で開口を形成してもよい。また、2以上の絶縁層に同時に開口を形成してもよい。例えば、導電層81を形成する前に、絶縁層31に開口を形成してもよい。例えば、酸化物半導体層83を形成する前に、絶縁層82に開口を形成してもよい。例えば、絶縁層33に、酸化物半導体層83に達する開口を形成する工程で、樹脂層23の開口と重なる部分にも開口を形成してもよい。
【0188】
続いて、導電層86a、導電層86b、及び導電層86cを形成する(
図7(E))。導電層86a、導電層86b、及び導電層86cは、導電膜を成膜した後、レジストマスクを形成し、当該導電膜をエッチングした後にレジストマスクを除去することにより形成できる。導電層86a及び導電層86bは、それぞれ、絶縁層33の開口を介して酸化物半導体層83と電気的に接続される。導電層86cは、樹脂層23、絶縁層31、絶縁層82、及び絶縁層33にそれぞれ設けられた開口を介して酸化物層21と接続される。
【0189】
以上のようにして、トランジスタ80を作製できる(
図7(E))。トランジスタ80において、導電層81の一部はゲートとして機能し、絶縁層84の一部はゲート絶縁層として機能し、絶縁層82の一部はゲート絶縁層として機能し、導電層85の一部はゲートとして機能する。酸化物半導体層83はチャネル領域と低抵抗領域とを有する。チャネル領域は絶縁層84を介して導電層85と重なる。低抵抗領域は導電層86aと接続される部分と、導電層86bと接続される部分と、を有する。
【0190】
次に、絶縁層33上に絶縁層34から表示素子60までを形成する(
図8(A))。これらの工程は作製方法例1Aを参照できる。
【0191】
また、作製基板91上に、感光性及び熱硬化性を有する材料を用いて、樹脂層93を形成する(
図8(B))。
【0192】
樹脂層93は、可撓性を有する。作製基板91は、樹脂層93よりも可撓性が低い。作製基板91上に樹脂層93を形成することで、樹脂層93の搬送を容易にすることができる。
【0193】
樹脂層93には、ポリイミド樹脂を用いることが好ましい。そのほか、樹脂層93の材料及び形成方法については、樹脂層23の記載を援用できる。
【0194】
樹脂層93の厚さは、0.01μm以上10μm未満であることが好ましく、0.1μm以上5μm以下であることがより好ましく、0.1μm以上3μm以下であることがより好ましく、0.5μm以上1μm以下であることがさらに好ましい。低粘度の溶液を用いることで、樹脂層93を薄く形成することが容易となる。樹脂層93を薄く形成することで、低コストで表示装置を作製できる。また、表示装置の軽量化及び薄型化が可能となる。また、表示装置の可撓性を高めることができる。ただし、これに限定されず、樹脂層93の厚さは、10μm以上としてもよい。例えば、樹脂層93の厚さを10μm以上200μm以下としてもよい。樹脂層93の厚さを10μm以上とすることで、表示装置の剛性を高めることができるため好適である。
【0195】
表示装置の表示面側に樹脂層93が位置する場合、樹脂層93は、可視光に対する透光性が高いことが好ましい。
【0196】
作製基板91については、作製基板14の記載を援用できる。
【0197】
次に、樹脂層93上に絶縁層95を形成する。次に、絶縁層95上に、着色層97及び遮光層98を形成する(
図8(B))。
【0198】
絶縁層95については、絶縁層31の記載を援用できる。
【0199】
着色層97として、カラーフィルタ等を用いることができる。着色層97は表示素子60の表示領域と重なるように配置する。
【0200】
遮光層98として、ブラックマトリクス等を用いることができる。遮光層98は、絶縁層35と重なるように配置する。
【0201】
次に、作製基板14の酸化物層21等が形成されている面と、作製基板91の樹脂層93等が形成されている面と、接着層99を用いて貼り合わせる(
図8(C))。
【0202】
次に、作製基板91を介して樹脂層93にレーザ光65を照射する(
図9(A))。作製基板14と作製基板91はどちらを先に分離してもよい。ここでは、作製基板14よりも先に作製基板91を分離する例を示す。
【0203】
次に、作製基板91と絶縁層95とを分離する(
図9(B))。
図9(B)では、作製基板91と樹脂層93の界面で分離が生じる例を示す。
【0204】
なお、樹脂層93中で分離が生じる場合もある。そのとき、作製基板91上には樹脂層の一部が残存し、絶縁層95側に残存する樹脂層93は
図9(A)に比べて薄膜化される。
【0205】
そして、露出した樹脂層93(または絶縁層95)と基板22とを接着層13を用いて貼り合わせる(
図10(A))。
【0206】
図10(A)において、表示素子60の発光は、着色層97及び樹脂層93を通して、表示装置の外部に取り出される。そのため、樹脂層93の可視光の透過率は高いことが好ましい。本発明の一態様の剥離方法では、樹脂層93の厚さを薄くすることができる。そのため、樹脂層93の可視光の透過率を高めることができる。
【0207】
また、樹脂層93を除去し、接着層13を用いて絶縁層95に基板22を貼り合わせてもよい。樹脂層93を除去する方法としては、アッシング等が挙げられる。
【0208】
接着層13には、接着層75bに用いることができる材料を適用できる。
【0209】
基板22には、基板75aに用いることができる材料を適用できる。
【0210】
次に、作製基板14を介して酸化物層21にレーザ光65を照射する(
図10(B))。
【0211】
レーザ光65の照射により、酸化物層21が加熱され、酸化物層21から酸素が放出される。
【0212】
次に、作製基板14と絶縁層31とを分離する(
図11(A)または
図11(B))。
【0213】
図11(A)では、酸化物層21と樹脂層23との界面及び酸化物層21と導電層86cとの界面で分離が生じる例を示す。
【0214】
図11(B)では、酸化物層21中で分離が生じる例を示す。作製基板14上には酸化物層の一部(酸化物層21a)が残存する。樹脂層23及び導電層86c側に残存する酸化物層21は
図10(B)に比べて薄膜化されている。
【0215】
樹脂層23及び導電層86c側に酸化物層21が残存した場合、除去することが好ましい。
【0216】
作製基板14とトランジスタ80とを分離することにより、表示装置10を作製することができる(
図12(A)、(B))。表示装置10は、曲がった状態に保持することや、繰り返し曲げることなどが可能である。
【0217】
図12(A)は、表示装置10の上面図である。
図12(B)は、表示装置10の表示部381の断面図及びFPC77との接続部の断面図である。
【0218】
図12(A)、(B)に示す表示装置10は、一対の基板(基板22及び基板29)を有する。基板22側が表示装置の表示面側である。表示装置は、表示部381及び駆動回路部382を有する。表示装置にはFPC77が貼り付けられている。
【0219】
図12(B)に示すように、分離により露出した樹脂層23の表面に、接着層28を用いて基板29を貼り合わせてもよい。なお、基板29及び接着層28は、導電層86cと重ならないように配置する。
【0220】
そして、接続体76を介して、導電層86cとFPC77を電気的に接続する(
図12(B))。
【0221】
本実施の形態では、トップエミッション型の発光素子を用いる例を示した。基板22側は表示面側であるため、基板22側から導電層86cを露出し、FPC77と電気的に接続する場合は、表示領域とFPC77を重ねることができず、FPC77を表示装置と重ねる領域に制限がある。一方、本発明の一態様では、樹脂層23に感光性の材料を用いることで、表示面とは反対側の面から導電層86cを露出することができる。そのため、樹脂層23に設けた開口を介して、導電層86cとFPC77とを電気的に接続することができる。このような構成とすることで、FPC77を、表示面とは反対側に配置することができる。そのため、表示装置を電子機器に組み込む際に、FPC77を折り曲げるためのスペースを省くことができ、より小型化した電子機器を実現できる。
【0222】
作製方法例3Aは、本発明の一態様の剥離方法を2回行ってフレキシブルデバイスを作製する例である。本発明の一態様では、フレキシブルデバイスを構成する機能素子等は、全て作製基板上で形成するため、精細度の高い表示装置を作製する場合においても、可撓性を有する基板には、高い位置合わせ精度が要求されない。よって、簡便に可撓性を有する基板を貼り付けることができる。
【0223】
[変形例1A]
本発明の一態様を適用して、ボトムエミッション型の表示装置を作製することができる。
【0224】
図13(A)に示す表示装置は、カラーフィルタ方式が適用されたボトムエミッション構造の表示装置である。
図13(A)には、表示装置の表示部381の断面図、駆動回路部382の断面図、及びFPC77との接続部の断面図を示す。
【0225】
図13(A)に示す表示装置は、基板29、接着層28、樹脂層23、絶縁層31、トランジスタ40、トランジスタ50、導電層43c、絶縁層33、絶縁層34、絶縁層35、表示素子60、接着層75b、基板75a、及び着色層97を有する。
【0226】
図13(A)では、トランジスタ40及びトランジスタ50が、
図5に示すトランジスタ40の構成に加えて、ゲートとして機能する導電層45を有する例を示す。
【0227】
表示素子60は、着色層97側に光を射出する。
【0228】
接続体76を介してFPC77と導電層43cは電気的に接続する。FPC77との接続部の断面図において、絶縁層35の端部が、表示装置の端部に露出しない例を示す。
【0229】
[変形例2A]
図13(B)に示す表示装置は、トランジスタ80が、導電層81及び絶縁層82を有さない点で、
図12(B)に示す表示装置と異なる。
【0230】
以上のように、本発明の一態様では、酸素を放出する機能を有する酸化物層を用いて、作製基板からトランジスタ等を分離することで、フレキシブルデバイスを作製することができる。
【0231】
本発明の一態様では、感光性の材料を用いて樹脂層を作製することで、所望の形状の樹脂層を容易に形成することができる。したがって、表示面とは反対側の面で、外部接続端子と回路基板とを電気的に接続できる。表示装置を電子機器に組み込む際に、FPC等を折り曲げるためのスペースを省くことができ、より小型化した電子機器を実現できる。
【0232】
本発明の一態様では、トランジスタのチャネル形成領域に酸化物半導体を用いることで、トランジスタの作製工程を低温で行うことができる。また、樹脂層を薄膜で耐熱性が低い層とすることができる。したがって、樹脂層の材料の選択の幅が広い、低コストで量産性が高い、大判基板を用いて剥離及びフレキシブルデバイスの作製を行うことができる等のメリットを有する。
【0233】
本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。
【0234】
(実施の形態2)
本実施の形態では、本発明の一態様の剥離方法及びフレキシブルデバイスの作製方法について説明する。
【0235】
本発明の一態様の剥離方法では、まず、作製基板上に、島状の酸化物層を形成する。次に、作製基板上及び酸化物層上に、感光性を有する材料を用いて第1の層を形成し、その後、フォトリソグラフィ法を用いて、第1の層の酸化物層と重なる部分に開口を形成することで、開口を有する樹脂層を形成する。次に、樹脂層上に、チャネル形成領域に酸化物半導体を有するトランジスタを形成する。次に、樹脂層の開口及び酸化物層と重なるように、導電層を形成する。そして、レーザを用いて、酸化物層及び樹脂層に光を照射した後、トランジスタと作製基板とを分離する。
【0236】
本発明の一態様では、感光性の材料を用いて樹脂層を作製する。感光性の材料を用いることで、所望の形状の樹脂層を容易に形成することができる。例えば、樹脂層に、開口を形成することが容易である。
【0237】
しかし、樹脂層と作製基板との界面、または樹脂層中で分離させる場合、樹脂層に開口部を形成することで、作製基板の分離が困難なことがある。
【0238】
そこで、本発明の一態様では、島状の酸化物層を形成し、酸化物層と重なる位置に、樹脂層の開口部を形成する。そして、レーザを用いて樹脂層及び酸化物層に光を照射する。
【0239】
酸化物層は、光を吸収して加熱されることで、酸素を放出する場合がある。例えば、酸素はガス状に放出されることがある。ガス状の酸素は、酸化物層中または酸化物層表面にバブル状の領域を形成することがある。
【0240】
酸化物層に光を照射し、酸化物層から酸素を放出させることで、酸化物層と当該酸化物層と接する層との密着性が低下し、当該2つの層の界面で分離を生じさせることができる。または、酸化物層から酸素を放出させることで、酸化物層自体が破断し、酸化物層中で分離を生じさせることができる。
【0241】
これによって、作製基板を容易に分離することができ、樹脂層が設けられている部分では、樹脂層を露出させることができ、樹脂層の開口部では、酸化物層または酸化物層と接していた層を露出させることができる。
【0242】
作製基板から分離し露出した酸化物層は、裏面電極もしくは貫通電極として用いることができる。酸化物層は、例えば、外部接続端子として用いることができる。露出した酸化物層は、FPC等の回路基板と電気的に接続させることができる。樹脂層の開口部を介して、酸化物層と電気的に接続される導電層を配置することで、当該導電層を、酸化物層を介して、回路基板と電気的に接続させることができる。
【0243】
本発明の一態様では、酸化物層を電極として用いるため、酸化物層の抵抗率が低いことが好ましい。具体的には、酸化物層として、酸化物導電層を形成することが好ましい。または、酸化物層として、酸化物半導体層を形成し、当該酸化物半導体層を低抵抗化させる(酸化物導電層にする、ともいえる)ことが好ましい。
【0244】
酸化物半導体は、膜中の酸素欠損、及び膜中の水素、水等の不純物濃度のうち少なくとも一方によって、抵抗を制御することができる半導体材料である。そのため、酸化物半導体層へ酸素欠損及び不純物濃度の少なくとも一方が増加する処理、または酸素欠損及び不純物濃度の少なくとも一方が低減する処理を選択することによって、酸化物半導体層または酸化物導電層の有する抵抗率を制御することができる。
【0245】
具体的には、プラズマ処理を用いて、酸化物半導体の抵抗率を制御することができる。例えば、希ガス(He、Ne、Ar、Kr、Xe)、水素、ボロン、リン、及び窒素の中から選ばれた一種以上を含むガスを用いて行うプラズマ処理を適用できる。プラズマ処理は、例えば、Ar雰囲気下、Arと窒素の混合ガス雰囲気下、Arと水素の混合ガス雰囲気下、アンモニア雰囲気下、Arとアンモニアの混合ガス雰囲気下、または窒素雰囲気下等で行うことができる。これにより、酸化物半導体層のキャリア密度を高め、抵抗率を低くすることができる。
【0246】
または、イオン注入法、イオンドーピング法、もしくはプラズマイマージョンイオンインプランテーション法などを用いて、水素、ボロン、リン、または窒素を酸化物半導体層に注入して、酸化物半導体層の抵抗率を低くすることができる。
【0247】
または、水素及び窒素のうち少なくとも一方を含む膜を酸化物半導体層に接して形成し、当該膜から酸化物半導体層に水素及び窒素のうち少なくとも一方を拡散させる方法を用いることができる。これにより、酸化物半導体層のキャリア密度を高め、抵抗率を低くすることができる。
【0248】
フレキシブルデバイスの作製工程で加熱処理を行う場合、酸化物半導体層が加熱されることで、酸化物半導体層から酸素が放出され、酸素欠損が増えることがある。これにより、酸化物半導体層の抵抗率を低くすることができる。
【0249】
また、作製基板から酸化物半導体層を剥離するために、酸化物半導体層にレーザを照射することで、酸化物半導体層から酸素が放出され、酸素欠損が増えることがある。これにより、酸化物半導体層の抵抗率を低くすることができる。
【0250】
なお、このように、酸化物半導体層を用いて形成された酸化物導電層は、キャリア密度が高く低抵抗な酸化物半導体層、導電性を有する酸化物半導体層、または導電性の高い酸化物半導体層ということもできる。
【0251】
本発明の一態様では、トランジスタのチャネル形成領域には、酸化物半導体を用いる。実施の形態1で説明した通り、酸化物半導体を用いることで、LTPSを用いる場合よりも、表示装置の作製プロセスの最高温度を下げること、表示装置の作製コストを下げること、及び、表示装置の作製工程を簡略化することができる。また、酸化物半導体を用いることで、LTPSを用いる場合よりも、樹脂層の耐熱性を低くすること、樹脂層の材料の選択の幅を広げること、及び、樹脂層の厚さを薄くすることができる。
【0252】
本発明の一態様では、樹脂層の耐熱温度以下の温度で、トランジスタ等を形成する。
【0253】
本発明の一態様では、線状レーザを用いてレーザ光を照射する。LTPS等の製造ラインのレーザ装置を使用することができるため、これらの装置の有効利用が可能である。線状レーザは、矩形長尺状に集光(線状レーザビームに成形)して、酸化物層及び樹脂層に光を照射する。
【0254】
本発明の一態様の剥離方法を用いて、フレキシブルデバイスを作製することができる。以下では、
図14〜
図18を用いて、本発明の一態様のフレキシブルデバイス及びその作製方法について、具体的に説明する。ここでは、フレキシブルデバイスとして、アクティブマトリクス型の有機EL表示装置を作製する場合を例に挙げて説明する。なお、実施の形態1と同様の部分については記載を省略することがある。
【0255】
[作製方法例1B]
まず、作製基板14上に、島状の酸化物層21を形成する(
図14(A))。
【0256】
作製基板14に用いることができる材料は、実施の形態1の作製方法例1Aを参照できる。
【0257】
酸化物層21は、光を吸収し発熱することにより、酸素を放出する機能を有することが好ましい。
【0258】
酸化物層21としては、例えば加熱により酸素が放出される酸化物層を用いることができる。酸化物層21としては、酸化物導電層(欠陥準位密度または不純物準位密度が高められた酸化物半導体層を含む)及び酸化物半導体層が挙げられる。なお、フレキシブルデバイスに酸化物層21が残らない場合などには、酸化物層21に酸化物絶縁層を用いることができる。
【0259】
酸化物層21としては、例えば、トランジスタの半導体層に用いることができる酸化物半導体、トランジスタの導電層に用いることができる酸化物導電体、トランジスタの絶縁層に用いることができる酸化物絶縁体等を適用できる。
【0260】
酸化物層21には、例えば、In−M−Zn系酸化物層(Mは、Al、Ga、Y、またはSn)を適用することができる。特に、In−Ga−Zn系酸化物層を用いることが好ましい。
【0261】
酸化物層21がIn−M−Zn系酸化物の場合、In−M−Zn系酸化物を成膜するために用いるスパッタリングターゲットの金属元素の原子数比は、In:M:Zn=4:2:3、In:M:Zn=4:2:4.1、In:M:Zn=5:1:6、In:M:Zn=5:1:7、In:M:Zn=5:1:8等が好ましい。Inの割合が高い材料を用いることで、酸化物層21のエネルギーギャップを狭くでき、後の光照射工程で、酸化物層21に十分に光を吸収させることができる。これにより、剥離の歩留まりを高めることができる。また、上述のInの割合が高い材料を用いることで、酸化物層21の導電性を高めることができる。なお、成膜される酸化物層21の原子数比はそれぞれ、上記のスパッタリングターゲットに含まれる金属元素の原子数比のプラスマイナス40%の変動を含む。
【0262】
また、酸化物層21に用いることができる材料及び形成方法は、実施の形態1の作製方法例1Aの記載も参照できる。
【0263】
酸化物層21の形成後に、プラズマ処理等を行い、酸化物層21の抵抗率を低下させてもよい。
図14(A)では、島状の酸化物層21にプラズマ20を照射する例を示す。プラズマ処理は、酸化物層21を島状に加工する前に行ってもよい。
【0264】
なお、以降の工程において加熱処理を行うことで、酸化物層21から酸素及び水分のうちの少なくとも一方が放出されて、酸素欠損が生じ、酸化物層21の抵抗率が低下することがある。
【0265】
酸化物層21とトランジスタの半導体層とを同一の金属元素で形成することで、製造コストを低減させることができる。例えば、同一の金属組成の金属酸化物ターゲットを用いることで製造コストを低減させることができる。また、同一の金属組成の金属酸化物ターゲットを用いることによって、酸化物半導体層を加工する際のエッチングガスまたはエッチング液を共通して用いることができる。ただし、酸化物層21とトランジスタの半導体層は、同一の金属元素を有していても、組成が異なる場合がある。例えば、装置の作製工程中に、膜中の金属元素が脱離し、異なる金属組成となる場合がある。
【0266】
次に、感光性を有する材料を用いて、第1の層24を形成する(
図14(B))。
【0267】
特に、感光性及び熱硬化性を有する材料を用いることが好ましい。本実施の形態では、感光性及び熱硬化性を有する材料を用いる例を示す。
【0268】
本発明の一態様では、感光性を有する材料を用いて第1の層24を形成するため、光を用いたリソグラフィ法により、第1の層24の一部を除去することができる。具体的には、材料を成膜した後にプリベーク処理を行い、その後、フォトマスクを用いて露光を行う。続いて、現像処理を施すことで、不要な部分を除去することができる。そして、所望の形状に加工された第1の層24に対してポストベーク処理を行い、樹脂層23を形成する(
図14(C))。
図14(C)では、樹脂層23に、酸化物層21に達する開口を設ける例を示す。
【0269】
ポストベーク処理により、樹脂層23中の脱ガス成分(例えば、水素、水等)を低減することができる。特に、樹脂層23上に形成する各層の作製温度と同じ温度またはそれよりも高い温度で加熱することが好ましい。例えば、トランジスタの作製温度が350℃までである場合、樹脂層23となる膜を350℃以上450℃以下で加熱することが好ましく、350℃以上400℃以下がより好ましく、350℃以上400℃未満がさらに好ましく、350℃以上375℃未満がさらに好ましい。これにより、トランジスタの作製工程における、樹脂層23からの脱ガスを大幅に抑制することができる。
【0270】
また、ポストベーク処理では、酸化物層21から酸素が放出されにくい温度で加熱することが好ましい。これにより、レーザ光を照射する前に酸化物層21が剥離される等の不具合を防止し、歩留まりの低下を抑制できる。なお、以降で説明する、酸化物層21にレーザ光を照射する前に行われる各工程についても、酸化物層21から酸素が放出されにくい温度で行われることが好ましい。
【0271】
樹脂層23(第1の層24)に用いることができる材料及び形成方法は、作製方法例1Aを参照できる。
【0272】
樹脂層23の厚さは、0.01μm以上10μm未満であることが好ましく、0.1μm以上3μm以下であることがより好ましく、0.5μm以上1μm以下であることがさらに好ましい。樹脂層23は、酸化物層21よりも厚く形成されることが好ましい。
【0273】
次に、樹脂層23上に、絶縁層31を形成する(
図14(D))。絶縁層31の材料及び形成方法は、作製方法例1Aを参照できる。
【0274】
次に、絶縁層31上に、トランジスタ40を形成する(
図14(D)〜(F))。トランジスタ40の材料及び形成方法は、作製方法例1Aを参照できる。
【0275】
具体的には、まず、絶縁層31上に導電層41を形成する(
図14(D))。
【0276】
続いて、絶縁層32を形成する(
図14(D))。
【0277】
続いて、絶縁層31及び絶縁層32の、樹脂層23の開口と重なる部分に、それぞれ開口を設ける(
図14(E))。ここでは、絶縁層31及び絶縁層32に、一括で開口を形成する例を示す。開口を設けることで、酸化物層21が露出する。
【0278】
続いて、酸化物半導体層44を形成する(
図14(F))。
【0279】
続いて、導電層43a、導電層43b、及び導電層43cを形成する(
図14(F))。導電層43a及び導電層43bは、それぞれ、酸化物半導体層44と接続される。導電層43cは、樹脂層23、絶縁層31、及び絶縁層32にそれぞれ設けられた開口を介して酸化物層21と接続される。
【0280】
導電層43cを形成する際に、酸化物層21に水素及び窒素のうち少なくとも一方が供給され、酸化物層21の抵抗率が低下することがある。また、導電層43cによって酸化物層21中の酸素が引き抜かれることで、酸化物層21の抵抗率が低下することがある。
【0281】
以上のようにして、トランジスタ40を作製できる(
図14(F))。
【0282】
次に、作製方法例1Aと同様に、絶縁層33から保護層75までを順に形成する(
図15(A))。
【0283】
次に、作製基板14を介して樹脂層23及び酸化物層21にレーザ光65を照射する(
図15(A))。レーザ光65は、例えば、
図15(A)においては、左側から右側に走査される線状レーザビームで、その長軸は、その走査方向及びその入射方向(下から上)に垂直である。
【0284】
樹脂層23及び酸化物層21は、レーザ光65を吸収する。
【0285】
レーザ光65の照射により、樹脂層23は脆弱化される。または、レーザ光65の照射により、樹脂層23と作製基板14の密着性が低下する。
【0286】
レーザ光65の照射により、酸化物層21は脆弱化される。または、レーザ光65の照射により、酸化物層21と導電層43cとの密着性もしくは酸化物層21と作製基板14との密着性が低下する。
【0287】
また、レーザ光65の照射により、酸化物層21が加熱され、酸化物層21から酸素が放出されることがある。このとき放出される酸素は、例えば、ガス状となって放出される。放出されたガスは酸化物層21と導電層43cの界面近傍、または酸化物層21と作製基板14の界面近傍に留まり、これらを引き剥がす力が生じる。その結果、酸化物層21と導電層43cの密着性、または酸化物層21と作製基板14の密着性が低下し、容易に剥離可能な状態とすることができる。
【0288】
また、酸化物層21から放出される酸素の一部が、酸化物層21中に留まる場合もある。そのため、酸化物層21が脆弱化し、酸化物層21の内部で分離しやすい状態となる場合がある。
【0289】
レーザ光65としては、少なくともその一部が作製基板14を透過し、かつ樹脂層23及び酸化物層21に吸収される波長の光を選択して用いる。また、レーザ光65は、樹脂層23に吸収される波長であることが好ましい。レーザ光65は、可視光線から紫外線の波長領域の光であることが好ましい。例えば波長が200nm以上400nm以下の光、好ましくは波長が250nm以上350nm以下の光を用いることができる。特に、波長308nmのエキシマレーザを用いると、生産性に優れるため好ましい。エキシマレーザは、LTPSにおけるレーザ結晶化にも用いるため、既存のLTPS製造ラインの装置を流用することができ、新たな設備投資を必要としないため好ましい。また、Nd:YAGレーザの第三高調波である波長355nmのUVレーザなどの固体UVレーザ(半導体UVレーザともいう)を用いてもよい。固体レーザはガスを用いないため、エキシマレーザに比べて、ランニングコストを約1/3にでき、好ましい。また、ピコ秒レーザ等のパルスレーザーを用いてもよい。
【0290】
レーザ光65として、線状のレーザ光を用いる場合には、作製基板14と光源とを相対的に移動させることでレーザ光65を走査し、剥離したい領域に亘ってレーザ光65を照射する。
【0291】
なお、酸化物層21にレーザ光65が照射されることで、酸化物層21から酸素及び水分のうちの少なくとも一方が放出されて、酸素欠損が生じ、酸化物層21の抵抗率が低下することがある。
【0292】
次に、作製基板14とトランジスタ40とを分離する(
図15(B)、
図15(C)、
図16(A)、または
図16(B))。
【0293】
分離面は、酸化物層21、樹脂層23、導電層43c、及び作製基板14等の各層の材料及び形成方法、並びに、光照射の条件等によって、様々な位置となり得る。
【0294】
図15(B)では、作製基板14と酸化物層21との界面及び作製基板14と樹脂層23との界面で分離が生じる例を示す。分離により、樹脂層23及び酸化物層21が露出する。
【0295】
図15(C)では、樹脂層23中及び酸化物層21中で分離が生じる例を示す。作製基板14上には樹脂層の一部(樹脂層23a)及び酸化物層の一部(酸化物層21a)が残存する。絶縁層31側に残存する樹脂層23及び酸化物層21は
図15(A)に比べて薄膜化されている。
【0296】
図16(A)、(B)では、酸化物層21と導電層43cとの界面と、で分離が生じる例を示す。このとき、絶縁層31側では導電層43cが露出し、作製基板14には酸化物層21が残存する。
図16(A)では、作製基板14と樹脂層23との界面で分離が生じる例を示す。
図16(B)では、樹脂層23中で分離が生じる例を示す。
【0297】
なお、作製基板14側に残存した樹脂層23a及び酸化物層21aを除去することで、作製基板14は再利用が可能である。
【0298】
例えば、樹脂層23及び酸化物層21に垂直方向に引っ張る力をかけることにより、作製基板14を剥離することができる。具体的には、保護層75の上面の一部を吸着し、上方に引っ張ることにより、作製基板14を引き剥がすことができる。
【0299】
作製基板14と絶縁層31との間に、刃物などの鋭利な形状の器具を差し込むことで分離の起点を形成することが好ましい。
【0300】
作製基板14とトランジスタ40とを分離することにより、表示装置10を作製することができる。
図15(B)に示す界面で分離が生じた場合に作製できる表示装置10を、
図17(A)に示す。
図15(C)に示す界面で分離が生じた場合に作製できる表示装置10を、
図17(B)に示す。
図16(A)に示す界面で分離が生じた場合に作製できる表示装置10を、
図17(C)に示す。表示装置10は、曲がった状態に保持することや、繰り返し曲げることなどが可能である。
【0301】
図17(A)〜(C)に示すように、分離により露出した樹脂層23の表面に、接着層28を用いて基板29を貼り合わせてもよい。なお、基板29及び接着層28は、酸化物層21と重ならないように配置する。基板29は、フレキシブルデバイスの支持基板として機能することができる。
【0302】
基板29には、基板75aに用いることができる材料を適用することができる。
【0303】
そして、接続体76を介して、酸化物層21とFPC77を電気的に接続する(
図17(A)、(B))。これにより、導電層43cとFPC77とを電気的に接続することができる。または、
図17(C)に示すように、接続体76を介して、導電層43cとFPC77を電気的に接続する。
【0304】
本実施の形態では、トップエミッション型の発光素子を用いる例を示した。保護層75側は表示面側であるため、保護層75側から外部接続端子を露出し、FPC77と電気的に接続する場合は、表示領域とFPC77を重ねることができず、FPC77を表示装置と重ねる領域に制限がある。一方、本発明の一態様では、樹脂層23に感光性の材料を用いることで、樹脂層23の開口を介して、導電層43cと酸化物層21とを接続させることができる。そして、作製基板14を剥離することで、表示面とは反対側の面から酸化物層21または導電層43cを露出させ、その後、FPC77と酸化物層21または導電層43cとを電気的に接続させることができる。前述の通り、本発明の一態様では、酸化物層21として酸化物半導体層または酸化物導電層を形成する。本発明の一態様では、酸化物層21として酸化物半導体層を用いる場合であっても、プラズマ処理工程、加熱処理工程、酸化物層21上に形成する層の成膜工程、及びレーザ光照射工程等のうち少なくとも一つの工程を行うことによって、酸化物層21の抵抗率を十分に低下させることができる。これにより、酸化物層21を介して、導電層43cとFPC77とを確実に電気的に接続させることができる。このような構成とすることで、FPC77を、表示面とは反対側に配置することができる。そのため、表示装置を電子機器に組み込む際に、FPC77を折り曲げるためのスペースを省くことができ、より小型化した電子機器を実現できる。
【0305】
以上の工程により、トランジスタに酸化物半導体が適用され、EL素子に塗り分け方式が適用された表示装置を作製することができる(
図17)。
【0306】
[作製方法例2B]
まず、作製方法例1Bと同様に、作製基板14上に、酸化物層21から絶縁層35までを順に形成する(
図18(A))。
【0307】
次に、
図18(B)に示すように、保護層71を形成する。保護層71の材料及び形成方法は、実施の形態1の作製方法例1Bを参照できる。
【0308】
続いて、作製方法例1Bと同様の方法により、作製基板14とトランジスタ40とを分離する(
図18(C))。
図18(C)では、作製基板14と酸化物層21との界面及び作製基板14と樹脂層23との界面で分離が生じる例を示す。分離により、樹脂層23及び酸化物層21が露出する。
【0309】
作製基板14とトランジスタ40とを分離した後、保護層71を除去する。
【0310】
その後、EL層62及び導電層63を形成することで表示素子60を作製し、表示素子60を封止することで、表示装置10を作製することができる。表示素子60の封止には、絶縁層74、保護層75、並びに、基板75a及び接着層75b等のうち、一種以上を用いることができる。
【0311】
EL層62及び導電層63は、樹脂層23及び導電層43cをステージに固定した状態で成膜してもよいが、樹脂層23及び導電層43cを、支持基板にテープ等を用いて固定し、支持基板を成膜装置のステージに配置した状態で成膜することが好ましい。支持基板に樹脂層23及び導電層43cを固定することにより、樹脂層23を含む積層構造の搬送を容易とすることができる。
【0312】
作製方法例2Bでは、作製基板14を剥離した後にEL層62及び導電層63を形成することができる。EL層62等の積層構造に密着性の低い部分がある場合、剥離後にこれらの層を形成することで、剥離の歩留まりの低下を抑制できる。作製方法例2Bを用いることで、材料の選択の自由度がより高まり、より低コストで信頼性の高い表示装置を実現することができる。
【0313】
[作製方法例3B]
次に、トランジスタに酸化物半導体が適用され、カラーフィルタ方式が適用された表示装置を作製する場合を例に挙げて説明する。以下では、
図19〜
図25を用いて、本発明の一態様のフレキシブルデバイス及びその作製方法について、具体的に説明する。
【0314】
まず、作製方法例1Bと同様に、作製基板14上に、島状の酸化物層21を形成する(
図19(A))。なお、酸化物層21を形成した後に、プラズマ処理等を行い、酸化物層21の抵抗率を低下させてもよい。
【0315】
次に、作製方法例1Bと同様に、感光性を有する材料を用いて、第1の層24を形成する(
図19(A))。
【0316】
次に、作製方法例1Bと同様に、所望の形状に加工された第1の層24を加熱し、樹脂層23を形成する(
図19(B))。
図19(B)では、樹脂層23に、酸化物層21に達する開口を設ける例を示す。
【0317】
次に、作製方法例1Bと同様に、樹脂層23上に、絶縁層31を形成する(
図19(C))。
【0318】
次に、絶縁層31上に、トランジスタ80を形成する(
図19(C)〜(E))。トランジスタ80の材料及び形成方法は、実施の形態1の作製方法例3Aを参照できる。
【0319】
具体的には、まず、絶縁層31上に導電層81を形成する(
図19(C))。
【0320】
続いて、絶縁層82を形成する(
図19(C))。
【0321】
続いて、酸化物半導体層83を形成する(
図19(C))。
【0322】
続いて、絶縁層84及び導電層85を形成する(
図19(C))。
【0323】
次に、酸化物半導体層83、絶縁層84、及び導電層85を覆う絶縁層33を形成する(
図19(C))。
【0324】
絶縁層31、絶縁層82、及び絶縁層33の、樹脂層23の開口と重なる部分には、それぞれ開口を設ける(
図19(D))。開口を設けることで、酸化物層21が露出する。ここでは、絶縁層31、絶縁層82、及び絶縁層33に、一括で開口を形成する例を示す。
【0325】
続いて、導電層86a、導電層86b、及び導電層86cを形成する(
図19(E))。導電層86a及び導電層86bは、それぞれ、絶縁層33の開口を介して酸化物半導体層83と電気的に接続される。導電層86cは、樹脂層23、絶縁層31、絶縁層82、及び絶縁層33にそれぞれ設けられた開口を介して酸化物層21と接続される。
【0326】
以上のようにして、トランジスタ80を作製できる(
図19(E))。
【0327】
次に、絶縁層33上に絶縁層34から表示素子60までを形成する(
図20(A))。これらの工程は作製方法例1Aを参照できる。
【0328】
また、作製方法例3Aと同様に、作製基板91上に、樹脂層93、絶縁層95、着色層97、及び遮光層98を形成する(
図20(B))。
次に、作製基板14の酸化物層21等が形成されている面と、作製基板91の樹脂層93等が形成されている面と、接着層99を用いて貼り合わせる(
図20(C))。
【0329】
次に、作製基板91を介して樹脂層93にレーザ光を照射する(
図21(A))。ここでは、作製基板14よりも先に作製基板91を分離する例を示す。
【0330】
レーザ光65の照射により、樹脂層93は脆弱化される。または、レーザ光65の照射により、樹脂層93と作製基板91の密着性が低下する。
【0331】
次に、作製基板91と絶縁層95とを分離する(
図21(B))。
図21(B)では、作製基板91と樹脂層93の界面で分離が生じる例を示す。
【0332】
なお、樹脂層93中で分離が生じる場合もある。そのとき、作製基板91上には樹脂層の一部が残存し、絶縁層95側に残存する樹脂層93は
図21(A)に比べて薄膜化される。
【0333】
そして、露出した樹脂層93(または絶縁層95)と基板22とを接着層13を用いて貼り合わせる(
図22(A))。
【0334】
図22(A)において、表示素子60の発光は、着色層97及び樹脂層93を通して、表示装置の外部に取り出される。そのため、樹脂層93の可視光の透過率は高いことが好ましい。本発明の一態様の剥離方法では、樹脂層93の厚さを薄くすることができる。そのため、樹脂層93の可視光の透過率を高めることができる。
【0335】
また、樹脂層93を除去し、接着層13を用いて絶縁層95に基板22を貼り合わせてもよい。
【0336】
次に、作製基板14を介して樹脂層23及び酸化物層21にレーザ光65を照射する(
図22(B))。
【0337】
レーザ光65の照射により、樹脂層23は脆弱化される。または、レーザ光65の照射により、樹脂層23と作製基板14の密着性が低下する。
【0338】
レーザ光65の照射により、酸化物層21は脆弱化される。または、レーザ光65の照射により、酸化物層21と導電層86cとの密着性もしくは酸化物層21と作製基板14との密着性が低下する。
【0339】
次に、作製基板14と絶縁層31とを分離する(
図23(A)または
図23(B))。
【0340】
図23(A)では、作製基板14と酸化物層21との界面及び作製基板14と樹脂層23との界面で分離が生じる例を示す。分離により、樹脂層23及び酸化物層21が露出する。
【0341】
図23(B)では、樹脂層23中及び酸化物層21中で分離が生じる例を示す。作製基板14上には樹脂層の一部(樹脂層23a)及び酸化物層の一部(酸化物層21a)が残存する。絶縁層31側に残存する樹脂層23及び酸化物層21は
図22(B)に比べて薄膜化されている。
【0342】
なお、作製方法例1Bで示した例(
図16(A)、(B)参照)と同様に、酸化物層21と導電層86cとの界面と、で分離が生じる場合もある。
【0343】
作製基板14とトランジスタ80とを分離することにより、表示装置10を作製することができる(
図24(A)〜(C))。表示装置10は、曲がった状態に保持することや、繰り返し曲げることなどが可能である。
【0344】
図24(A)は、表示装置10の上面図である。
図24(B)、(C)は、それぞれ、表示装置10の表示部381の断面図及びFPC77との接続部の断面図である。
図23(A)に示す界面で分離が生じた場合に作製できる表示装置10を、
図24(B)に示す。
図23(B)に示す界面で分離が生じた場合に作製できる表示装置10を、
図24(C)に示す。
【0345】
表示装置10は、一対の基板(基板22及び基板29)を有する。基板22側が表示装置の表示面側である。表示装置は、表示部381及び駆動回路部382を有する。表示装置にはFPC77が貼り付けられている。
【0346】
図24(B)、(C)に示すように、分離により露出した樹脂層23の表面に、接着層28を用いて基板29を貼り合わせてもよい。なお、基板29及び接着層28は、酸化物層21と重ならないように配置する。
【0347】
そして、接続体76を介して酸化物層21とFPC77を電気的に接続する(
図24(B)、(C))。これにより、導電層86cとFPC77とを電気的に接続することができる。
【0348】
本実施の形態では、トップエミッション型の発光素子を用いる例を示した。基板22側は表示面側であるため、基板22側から外部接続端子を露出し、FPC77と電気的に接続する場合は、表示領域とFPC77を重ねることができず、FPC77を表示装置と重ねる領域に制限がある。一方、本発明の一態様では、樹脂層23に感光性の材料を用いることで、樹脂層23の開口を介して、導電層86cと酸化物層21とを接続させることができる。そして、作製基板14を剥離することで、表示面とは反対側の面から酸化物層21または導電層86cを露出させ、その後、FPC77と酸化物層21または導電層86cとを電気的に接続させることができる。そのため、樹脂層23に設けた開口を介して、導電層86cとFPC77とを電気的に接続することができる。このような構成とすることで、FPC77を、表示面とは反対側に配置することができる。そのため、表示装置を電子機器に組み込む際に、FPC77を折り曲げるためのスペースを省くことができ、より小型化した電子機器を実現できる。
【0349】
作製方法例3Bは、本発明の一態様の剥離方法を2回行ってフレキシブルデバイスを作製する例である。本発明の一態様では、フレキシブルデバイスを構成する機能素子等は、全て作製基板上で形成するため、精細度の高い表示装置を作製する場合においても、可撓性を有する基板には、高い位置合わせ精度が要求されない。よって、簡便に可撓性を有する基板を貼り付けることができる。
【0350】
[変形例1B]
本発明の一態様を適用して、ボトムエミッション型の表示装置を作製することができる。
【0351】
図25(A)に示す表示装置は、カラーフィルタ方式が適用されたボトムエミッション構造の表示装置である。
図25(A)には、表示装置の表示部381の断面図、駆動回路部382の断面図、及びFPC77との接続部の断面図を示す。
【0352】
図25(A)に示す表示装置は、基板29、接着層28、樹脂層23、酸化物層21、絶縁層31、トランジスタ40、トランジスタ50、導電層43c、絶縁層33、絶縁層34、絶縁層35、表示素子60、接着層75b、基板75a、及び着色層97を有する。
【0353】
図25(A)では、トランジスタ40及びトランジスタ50が、
図17(A)に示すトランジスタ40の構成に加えて、ゲートとして機能する導電層45を有する例を示す。
【0354】
表示素子60は、着色層97側に光を射出する。
【0355】
接続体76を介してFPC77と酸化物層21は電気的に接続する。FPC77との接続部の断面図において、絶縁層35の端部が、表示装置の端部に露出しない例を示す。
【0356】
[変形例2B]
図25(B)に示す表示装置は、トランジスタ80が、導電層81及び絶縁層82を有さない点で、
図24(B)に示す表示装置と異なる。
【0357】
以上のように、本発明の一態様では、樹脂層と、酸化物層と、を用いて、作製基板からトランジスタ等を分離することで、フレキシブルデバイスを作製することができる。
【0358】
本発明の一態様では、感光性の材料を用いて樹脂層を作製することで、所望の形状の樹脂層を容易に形成することができる。樹脂層の開口部を介して酸化物層と接続される導電層を配置することで、当該導電層を回路基板と電気的に接続させることができる。表示面とは反対側の面で、外部接続端子と回路基板とを電気的に接続できる。表示装置を電子機器に組み込む際に、FPC等を折り曲げるためのスペースを省くことができ、より小型化した電子機器を実現できる。
【0359】
本発明の一態様では、トランジスタのチャネル形成領域に酸化物半導体を用いることで、トランジスタの作製工程を低温で行うことができる。また、樹脂層を薄膜で耐熱性が低い層とすることができる。したがって、樹脂層の材料の選択の幅が広い、低コストで量産性が高い、大判基板を用いて剥離及びフレキシブルデバイスの作製を行うことができる等のメリットを有する。
【0360】
本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。
【0361】
(実施の形態3)
本実施の形態では、本発明の一態様を用いて作製することができる表示モジュール及び電子機器について、
図26及び
図27を用いて説明する。
【0362】
図26に示す表示モジュール8000は、上部カバー8001と下部カバー8002との間に、FPC8003に接続されたタッチパネル8004、FPC8005に接続された表示パネル8006、フレーム8009、プリント基板8010、及びバッテリ8011を有する。
【0363】
本発明の一態様を用いて作製された表示装置は、例えば、表示パネル8006に用いることができる。
【0364】
上部カバー8001及び下部カバー8002は、タッチパネル8004及び表示パネル8006のサイズに合わせて、形状や寸法を適宜変更することができる。
【0365】
タッチパネル8004としては、抵抗膜方式又は静電容量方式のタッチパネルを表示パネル8006に重畳して用いることができる。また、タッチパネル8004を設けず、表示パネル8006に、タッチパネル機能を持たせるようにすることも可能である。
【0366】
フレーム8009は、表示パネル8006の保護機能の他、プリント基板8010の動作により発生する電磁波を遮断するための電磁シールドとしての機能を有する。またフレーム8009は、放熱板としての機能を有していてもよい。
【0367】
プリント基板8010は、電源回路、ビデオ信号及びクロック信号を出力するための信号処理回路を有する。電源回路に電力を供給する電源としては、外部の商用電源であっても良いし、別途設けたバッテリ8011による電源であってもよい。バッテリ8011は、商用電源を用いる場合には、省略可能である。
【0368】
また、表示モジュール8000は、偏光板、位相差板、プリズムシートなどの部材を追加して設けてもよい。
【0369】
本発明の一態様により、曲面を有し、信頼性の高い電子機器を作製できる。また、本発明の一態様により、可撓性を有し、信頼性の高い電子機器を作製できる。
【0370】
電子機器としては、例えば、テレビジョン装置、デスクトップ型もしくはノート型のパーソナルコンピュータ、コンピュータ用などのモニタ、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、デジタルフォトフレーム、携帯電話機、携帯型ゲーム機、携帯情報端末、音響再生装置、パチンコ機などの大型ゲーム機などが挙げられる。
【0371】
本発明の一態様の電子機器は、家屋もしくはビルの内壁もしくは外壁、または、自動車の内装もしくは外装の曲面に沿って組み込むことができる。
【0372】
本発明の一態様の電子機器は、二次電池を有していてもよく、非接触電力伝送を用いて、二次電池を充電することができると好ましい。
【0373】
二次電池としては、例えば、ゲル状電解質を用いるリチウムポリマー電池(リチウムイオンポリマー電池)等のリチウムイオン二次電池、ニッケル水素電池、ニカド電池、有機ラジカル電池、鉛蓄電池、空気二次電池、ニッケル亜鉛電池、銀亜鉛電池などが挙げられる。
【0374】
本発明の一態様の電子機器は、アンテナを有していてもよい。アンテナで信号を受信することで、表示部で映像や情報等の表示を行うことができる。また、電子機器がアンテナ及び二次電池を有する場合、アンテナを非接触電力伝送に用いてもよい。
【0375】
本発明の一態様の電子機器は、センサ(力、変位、位置、速度、加速度、角速度、回転数、距離、光、液、磁気、温度、化学物質、音声、時間、硬度、電場、電流、電圧、電力、放射線、流量、湿度、傾度、振動、においまたは赤外線を測定する機能を含むもの)を有していてもよい。
【0376】
本発明の一態様の電子機器は、様々な機能を有することができる。例えば、様々な情報(静止画、動画、テキスト画像など)を表示部に表示する機能、タッチパネル機能、カレンダー、日付または時刻などを表示する機能、様々なソフトウェア(プログラム)を実行する機能、無線通信機能、記録媒体に記録されているプログラムまたはデータを読み出す機能等を有することができる。
【0377】
さらに、複数の表示部を有する電子機器においては、一つの表示部を主として画像情報を表示し、別の一つの表示部を主として文字情報を表示する機能、または複数の表示部に視差を考慮した画像を表示することで立体的な画像を表示する機能等を有することができる。さらに、受像部を有する電子機器においては、静止画または動画を撮影する機能、撮影した画像を自動または手動で補正する機能、撮影した画像を記録媒体(外部または電子機器に内蔵)に保存する機能、撮影した画像を表示部に表示する機能等を有することができる。なお、本発明の一態様の電子機器が有する機能はこれらに限定されず、様々な機能を有することができる。
【0378】
図27(A)〜(C)に、湾曲した表示部7000を有する電子機器の一例を示す。表示部7000はその表示面が湾曲して設けられ、湾曲した表示面に沿って表示を行うことができる。なお、表示部7000は可撓性を有していてもよい。
【0379】
表示部7000は、本発明の一態様の表示装置を用いて作製される。本発明の一態様により、湾曲した表示部を備え、且つ信頼性の高い電子機器を提供できる。
【0380】
図27(A)に携帯電話機の一例を示す。
図27(A)に示す携帯電話機7110は、筐体7101、表示部7000、操作ボタン7103、外部接続ポート7104、スピーカ7105、マイク7106、カメラ7107等を有する。
【0381】
携帯電話機7110は、表示部7000にタッチセンサを備える。電話を掛ける、或いは文字を入力するなどのあらゆる操作は、指やスタイラスなどで表示部7000に触れることで行うことができる。
【0382】
また、操作ボタン7103の操作により、電源のON、OFF動作や、表示部7000に表示される画像の種類を切り替えることができる。例えば、メール作成画面から、メインメニュー画面に切り替えることができる。
【0383】
また、携帯電話機内部に、ジャイロセンサまたは加速度センサ等の検出装置を設けることで、携帯電話機の向き(縦か横か)を判断して、表示部7000の画面表示の向きを自動的に切り替えるようにすることができる。また、画面表示の向きの切り替えは、表示部7000を触れること、操作ボタン7103の操作、またはマイク7106を用いた音声入力等により行うこともできる。
【0384】
図27(B)に携帯情報端末の一例を示す。
図27(B)に示す携帯情報端末7210は、筐体7201及び表示部7000を有する。さらに、操作ボタン、外部接続ポート、スピーカ、マイク、アンテナ、カメラ、またはバッテリ等を有していてもよい。表示部7000にはタッチセンサを備える。携帯情報端末の操作は、指やスタイラスなどで表示部7000に触れることで行うことができる。
【0385】
本実施の形態で例示する携帯情報端末は、例えば、電話機、手帳または情報閲覧装置等から選ばれた一つまたは複数の機能を有する。具体的には、スマートフォンとしてそれぞれ用いることができる。本実施の形態で例示する携帯情報端末は、例えば、移動電話、電子メール、文章閲覧及び作成、音楽再生、インターネット通信、コンピュータゲームなどの種々のアプリケーションを実行することができる。
【0386】
携帯情報端末7210は、文字及び画像情報等をその複数の面に表示することができる。例えば、3つの操作ボタン7202を一の面に表示し、矩形で示す情報7203を他の面に表示することができる。
図27(B)では、携帯情報端末7210の上側に操作ボタン7202が表示され、携帯情報端末7210の横側に情報7203が表示される例を示す。なお、例えば携帯情報端末7210の横側に操作ボタン7202を表示し、例えば携帯情報端末7210の上側に情報7203を表示してもよい。また、携帯情報端末7210の3面以上に情報を表示してもよい。
【0387】
情報7203の例としては、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)の通知、電子メールや電話などの着信を知らせる表示、電子メールなどの題名もしくは送信者名、日時、時刻、バッテリの残量、アンテナ受信の強度などがある。または、情報7203が表示されている位置に、情報の代わりに、操作ボタン、アイコンなどを表示してもよい。
【0388】
図27(C)にテレビジョン装置の一例を示す。テレビジョン装置7300は、筐体7301に表示部7000が組み込まれている。ここでは、スタンド7303により筐体7301を支持した構成を示している。
【0389】
図27(C)に示すテレビジョン装置7300の操作は、筐体7301が備える操作スイッチや、別体のリモコン操作機7311により行うことができる。または、表示部7000にタッチセンサを備えていてもよく、指等で表示部7000に触れることで操作してもよい。リモコン操作機7311は、当該リモコン操作機7311から出力する情報を表示する表示部を有していてもよい。リモコン操作機7311が備える操作キーまたはタッチパネルにより、チャンネル及び音量の操作を行うことができ、表示部7000に表示される映像を操作することができる。
【0390】
なお、テレビジョン装置7300は、受信機及びモデムなどを備えた構成とする。受信機により一般のテレビ放送の受信を行うことができる。また、モデムを介して有線または無線による通信ネットワークに接続することにより、一方向(送信者から受信者)または双方向(送信者と受信者間、あるいは受信者間同士など)の情報通信を行うことも可能である。
【0391】
図27(D)〜(F)に、可撓性を有し、曲げることのできる表示部7001を有する携帯情報端末の一例を示す。
【0392】
表示部7001は、本発明の一態様の表示装置等を用いて作製される。例えば、曲率半径0.01mm以上150mm以下で曲げることができる表示装置等を適用できる。また、表示部7001はタッチセンサを備えていてもよく、指等で表示部7001に触れることで携帯情報端末を操作することができる。本発明の一態様により、可撓性を有する表示部を備え、且つ信頼性の高い電子機器を提供できる。
【0393】
図27(D)に腕時計型の携帯情報端末の一例を示す。携帯情報端末7800は、バンド7801、表示部7001、入出力端子7802、操作ボタン7803等を有する。バンド7801は、筐体としての機能を有する。また、携帯情報端末7800は、可撓性を有するバッテリ7805を搭載することができる。バッテリ7805は例えば表示部7001またはバンド7801等と重ねて配置してもよい。
【0394】
バンド7801、表示部7001、及びバッテリ7805は可撓性を有する。そのため、携帯情報端末7800を所望の形状に湾曲させることが容易である。
【0395】
操作ボタン7803は、時刻設定のほか、電源のオン、オフ動作、無線通信のオン、オフ動作、マナーモードの実行及び解除、省電力モードの実行及び解除など、様々な機能を持たせることができる。例えば、携帯情報端末7800に組み込まれたオペレーティングシステムにより、操作ボタン7803の機能を自由に設定することもできる。
【0396】
また、表示部7001に表示されたアイコン7804に指等で触れることで、アプリケーションを起動することができる。
【0397】
また、携帯情報端末7800は、通信規格に準拠した近距離無線通信を実行することが可能である。例えば無線通信可能なヘッドセットと相互通信することによって、ハンズフリーで通話することもできる。
【0398】
また、携帯情報端末7800は入出力端子7802を有していてもよい。入出力端子7802を有する場合、他の情報端末とコネクターを介して直接データのやりとりを行うことができる。また入出力端子7802を介して充電を行うこともできる。なお、本実施の形態で例示する携帯情報端末の充電動作は、入出力端子を介さずに非接触電力伝送により行ってもよい。
【0399】
図27(E)、(F)に、折りたたみ可能な携帯情報端末の一例を示す。
図27(E)では、表示部7001が内側になるように折りたたんだ状態、
図27(F)では、表示部7001が外側になるように折りたたんだ状態の携帯情報端末7650を示す。携帯情報端末7650は表示部7001及び非表示部7651を有する。携帯情報端末7650を使用しない際に、表示部7001が内側になるように折りたたむことで、表示部7001の汚れ及び傷つきを抑制できる。なお、
図27(E)、(F)では携帯情報端末7650を2つ折りにした構成を示しているが、携帯情報端末7650は3つ折りにしてもよいし、4つ折り以上にしてもよい。また、携帯情報端末7650は、操作ボタン、外部接続ポート、スピーカ、マイク、アンテナ、カメラ、またはバッテリ等を有していてもよい。
【0400】
本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。