(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
測定装置によって生成された波形データにおける各測定値の信号レベルを波形表示画面における第1の方向に対応させ、かつ当該各測定値の測定順序を当該波形表示画面における当該第1の方向と交差する第2の方向に対応させて当該波形データに基づく信号波形を当該波形表示画面に表示させる処理部を備えた波形表示制御装置であって、
前記波形表示画面に対するドラッグ操作が可能なポインティングデバイスを備え、
前記処理部は、前記測定装置による前記波形データの少なくとも記録開始条件を規定して開始条件データを生成するデータ生成処理を実行可能に構成されると共に、当該データ生成処理において、前記ポインティングデバイスによって前記波形表示画面上の任意の一点を始点とするドラッグ操作が行なわれたときに、当該始点に対応する前記信号レベルを前記記録開始条件のトリガレベルとして特定し、かつ当該波形表示画面において最先の前記測定値がプロットされるべき表示位置と、当該ドラッグ操作における当該始点との前記第2の方向に沿った長さの当該波形表示画面上における時間長を特定すると共に、当該ドラッグ操作における前記第1の方向に沿った第1の操作成分の向きが前記信号レベルの増加方向に対応する向きのときには、前記測定値が前記トリガレベルを超えて増加した時点を基点とし、当該基点に対して特定した当該時間長だけ前の時点を前記波形データの記録開始時点として特定して前記記録開始条件を規定し、当該第1の操作成分の向きが前記信号レベルの減少方向に対応する向きのときには、前記測定値が前記トリガレベルを下回って減少した時点を基点とし、当該基点に対して特定した当該時間長だけ前の時点を前記記録開始時点として特定して前記記録開始条件を規定し、規定した当該記録開始条件を特定可能に前記開始条件データを生成する波形表示制御装置。
測定装置によって生成された波形データにおける各測定値の信号レベルを波形表示画面における第1の方向に対応させ、かつ当該各測定値の測定順序を当該波形表示画面における当該第1の方向と交差する第2の方向に対応させて当該波形データに基づく信号波形を当該波形表示画面に表示させる処理部を備えた波形表示制御装置であって、
前記波形表示画面に対するドラッグ操作が可能なポインティングデバイスを備え、
前記処理部は、前記測定装置による前記波形データの少なくとも記録開始条件を規定して開始条件データを生成するデータ生成処理を実行可能に構成されると共に、当該データ生成処理において、前記ポインティングデバイスによって前記波形表示画面上の任意の一点を始点とするドラッグ操作が行なわれたときに、当該始点に対応する前記信号レベルを前記記録開始条件のトリガレベルとして特定し、かつ当該ドラッグ操作における前記第2の方向に沿った第2の操作成分の大きさに対応する当該波形表示画面上における時間長を特定すると共に、当該ドラッグ操作における前記第1の方向に沿った第1の操作成分の向きが前記信号レベルの増加方向に対応する向きのときには、前記測定値が前記トリガレベルを超えて増加した時点を基点とし、当該基点に対して特定した当該時間長だけ前の時点を前記波形データの記録開始時点として特定して前記記録開始条件を規定し、当該第1の操作成分の向きが前記信号レベルの減少方向に対応する向きのときには、前記測定値が前記トリガレベルを下回って減少した時点を基点とし、当該基点に対して特定した当該時間長だけ前の時点を前記記録開始時点として特定して前記記録開始条件を規定し、規定した当該記録開始条件を特定可能に前記開始条件データを生成する波形表示制御装置。
測定装置によって生成された波形データにおける各測定値の信号レベルを波形表示画面における第1の方向に対応させ、かつ当該各測定値の測定順序を当該波形表示画面における当該第1の方向と交差する第2の方向に対応させて当該波形データに基づく信号波形を当該波形表示画面に表示させる処理部を備えた波形表示制御装置であって、
前記波形表示画面に対するドラッグ操作が可能なポインティングデバイスを備え、
前記処理部は、前記測定装置による前記波形データの少なくとも記録開始条件を規定して開始条件データを生成するデータ生成処理を実行可能に構成されると共に、当該データ生成処理において、前記ポインティングデバイスによって前記波形表示画面上の任意の一点を始点とするドラッグ操作が行なわれたときに、当該始点に対応する前記信号レベルを前記記録開始条件のトリガレベルとして特定し、当該ドラッグ操作における前記第1の方向に沿った第1の操作成分の向きが前記信号レベルの増加方向に対応する向きのときには、前記測定値が前記トリガレベルを超えて増加した時点を基点として前記波形データの記録開始時点を特定して前記記録開始条件を規定し、当該第1の操作成分の向きが前記信号レベルの減少方向に対応する向きのときには、前記測定値が前記トリガレベルを下回って減少した時点を基点として前記記録開始時点を特定して前記記録開始条件を規定し、規定した当該記録開始条件を特定可能に前記開始条件データを生成すると共に、当該規定した記録開始条件を示す条件表示を前記波形表示画面に表示させる波形表示制御装置。
前記処理部は、前記データ生成処理の開始時に、指定された前記波形データの信号波形を前記波形表示画面に表示させる請求項1から3のいずれかに記載の波形表示制御装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、出願人が開示している波形表示装置には、以下のような改善すべき課題が存在する。具体的には、出願人が開示している波形表示装置では、表示された波形を選択することで任意の測定チャネルを選択し、所望の条件を指定することによって測定条件や表示条件などの動作条件を設定する構成が採用されている。
【0007】
この場合、出願人が開示している波形表示装置を含む従来の同種の装置では、トリガ条件(記録開始条件)の設定に際して、任意の信号波形(条件設定用の参照波形)を参照させながら、トリガレベル(信号レベル)、およびトリガレベルを超えて増加したとき(トリガレベルからの波形の立上り時:以下、この波形の立上りを単に「立上り」ともいう)とトリガレベルを下回って減少したとき(トリガレベルからの波形の立下り時:以下、この波形の立下りを単に「立下り」ともいう)のいずれとするかなどを操作スイッチの操作によって指定させる構成が採用されている。
【0008】
このため、この種の装置においてトリガ条件を設定する際には、トリガレベルの数値入力操作、および立上り/立下りの選択操作の2つの操作を行う必要があり、この操作が煩雑となっている。したがって、この点を改善するのが好ましい。また、特にこの種の装置の使用に不慣れな者にとっては、たとえ参照波形を参照しながらの操作であっても、トリガレベル(信号レベル)をどのようなレベル(数値)とすべきかの特定が困難となっており、意図しないトリガレベルが設定されてしまうおそれがある。このため、設定したトリガ条件に従って測定処理を実行させたときに、所望の条件が設定されていないことに気付いてトリガ条件を再設定する必要が生じることがある。したがって、この点も改善するのが好ましい。
【0009】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、波形データの記録開始条件を確実かつ容易に設定し得る波形表示制御装置および波形記録システムを提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成すべく、請求項1記載の波形表示制御装置は、測定装置によって生成された波形データにおける各測定値の信号レベルを波形表示画面における第1の方向に対応させ、かつ当該各測定値の測定順序を当該波形表示画面における当該第1の方向と交差する第2の方向に対応させて当該波形データに基づく信号波形を当該波形表示画面に表示させる処理部を備えた波形表示制御装置であって、前記波形表示画面に対するドラッグ操作が可能なポインティングデバイスを備え、前記処理部は、前記測定装置による前記波形データの少なくとも記録開始条件を規定して開始条件データを生成するデータ生成処理を実行可能に構成されると共に、当該データ生成処理において、前記ポインティングデバイスによって前記波形表示画面上の任意の一点を始点とするドラッグ操作が行なわれたときに、当該始点に対応する前記信号レベルを前記記録開始条件のトリガレベルとして特定し、
かつ当該波形表示画面において最先の前記測定値がプロットされるべき表示位置と、当該ドラッグ操作における当該始点との前記第2の方向に沿った長さの当該波形表示画面上における時間長を特定すると共に、当該ドラッグ操作における前記第1の方向に沿った第1の操作成分の向きが前記信号レベルの増加方向に対応する向きのときには、前記測定値が前記トリガレベルを超えて増加した時点を基点とし
、当該基点に対して特定した当該時間長だけ前の時点を前記波形データの記録開始時点
として特定して前記記録開始条件を規定し、当該第1の操作成分の向きが前記信号レベルの減少方向に対応する向きのときには、前記測定値が前記トリガレベルを下回って減少した時点を基点とし
、当該基点に対して特定した当該時間長だけ前の時点を前記記録開始時点
として特定して前記記録開始条件を規定し、規定した当該記録開始条件を特定可能に前記開始条件データを生成する。
【0011】
また、請求項2記載の波形表示制御装置は、測定装置によって生成された波形データにおける各測定値の信号レベルを波形表示画面における第1の方向に対応させ、かつ当該各測定値の測定順序を当該波形表示画面における当該第1の方向と交差する第2の方向に対応させて当該波形データに基づく信号波形を当該波形表示画面に表示させる処理部を備えた波形表示制御装置であって、前記波形表示画面に対するドラッグ操作が可能なポインティングデバイスを備え、前記処理部は、前記測定装置による前記波形データの少なくとも記録開始条件を規定して開始条件データを生成するデータ生成処理を実行可能に構成されると共に、当該データ生成処理において、前記ポインティングデバイスによって前記波形表示画面上の任意の一点を始点とするドラッグ操作が行なわれたときに、当該始点に対応する前記信号レベルを前記記録開始条件のトリガレベルとして特定し、
かつ当該ドラッグ操作における前記第2の方向に沿った第2の操作成分の大きさに対応する当該波形表示画面上における時間長を特定すると共に、当該ドラッグ操作における前記第1の方向に沿った第1の操作成分の向きが前記信号レベルの増加方向に対応する向きのときには、前記測定値が前記トリガレベルを超えて増加した時点を基点とし
、当該基点に対して特定した当該時間長だけ前の時点を前記波形データの記録開始時点
として特定して前記記録開始条件を規定し、当該第1の操作成分の向きが前記信号レベルの減少方向に対応する向きのときには、前記測定値が前記トリガレベルを下回って減少した時点を基点とし
、当該基点に対して特定した当該時間長だけ前の時点を前記記録開始時点
として特定して前記記録開始条件を規定し、規定した当該記録開始条件を特定可能に前記開始条件データを生成する。
【0012】
また、請求項3記載の波形表示制御装置は、測定装置によって生成された波形データにおける各測定値の信号レベルを波形表示画面における第1の方向に対応させ、かつ当該各測定値の測定順序を当該波形表示画面における当該第1の方向と交差する第2の方向に対応させて当該波形データに基づく信号波形を当該波形表示画面に表示させる処理部を備えた波形表示制御装置であって、前記波形表示画面に対するドラッグ操作が可能なポインティングデバイスを備え、前記処理部は、前記測定装置による前記波形データの少なくとも記録開始条件を規定して開始条件データを生成するデータ生成処理を実行可能に構成されると共に、当該データ生成処理において、前記ポインティングデバイスによって前記波形表示画面上の任意の一点を始点とするドラッグ操作が行なわれたときに、当該始点に対応する前記信号レベルを前記記録開始条件のトリガレベルとして特定し、当該ドラッグ操作における前記第1の方向に沿った第1の操作成分の向きが前記信号レベルの増加方向に対応する向きのときには、前記測定値が前記トリガレベルを超えて増加した時点を基点として前記波形データの記録開始時点を特定して前記記録開始条件を規定し、当該第1の操作成分の向きが前記信号レベルの減少方向に対応する向きのときには、前記測定値が前記トリガレベルを下回って減少した時点を基点として前記記録開始時点を特定して前記記録開始条件を規定し、規定した当該記録開始条件を特定可能に前記開始条件データを生成する
と共に、当該規定した記録開始条件を示す条件表示を前記波形表示画面に表示させる。
【0013】
また、請求項4記載の波形表示制御装置は、請求項1から3のいずれかに記載の波形表示制御装置において、前記処理部は、前記データ生成処理の開始時に、指定された前記波形データの信号波形を前記波形表示画面に表示させる。
【0015】
また、請求項
5記載の波形記録システムは、請求項1から
4のいずれかに記載の波形表示制御装置と、前記測定装置と、前記波形表示画面を表示可能な表示装置とを備え、前記波形表示制御装置によって生成した前記開始条件データに基づいて前記測定装置によって前記測定値を記録して前記波形データを生成すると共に、前記波形表示制御装置の制御下で前記波形データの信号波形を前記表示装置に表示可能に構成されている。
【発明の効果】
【0016】
請求項1
から3記載の波形表示制御装置では、処理部は、測定装置による波形データの少なくとも記録開始条件を規定して開始条件データを生成するデータ生成処理において、ポインティングデバイスによって波形表示画面上の任意の一点を始点とするドラッグ操作が行なわれたときに、始点に対応する信号レベルを記録開始条件のトリガレベルとして特定し、ドラッグ操作における第1の方向に沿った第1の操作成分の向きが信号レベルの増加方向に対応する向きのときには、測定値がトリガレベルを超えて増加した時点を基点として波形データの記録開始時点を特定して記録開始条件を規定し、第1の操作成分の向きが信号レベルの減少方向に対応する向きのときには、測定値がトリガレベルを下回って減少した時点を基点として記録開始時点を特定して記録開始条件を規定し、規定した記録開始条件を特定可能に開始条件データを生成する。また、請求項
5記載の波形記録システムは、上記の波形表示制御装置と、測定装置と、表示装置とを備えて、波形表示制御装置によって生成した開始条件データに基づいて測定装置によって測定値を記録して波形データを生成すると共に、波形表示制御装置の制御下で波形データの信号波形を表示装置に表示可能に構成されている。
【0017】
したがって、請求項1
から3記載の波形表示制御装置、および請求項
5記載の波形記録システムによれば、記録開始条件として設定すべきトリガレベルに対応する波形表示画面上の任意の一点を始点とするドラッグ操作を行うだけでトリガレベルを指定することができ、波形表示画面において信号レベルが増加する方向へのドラッグ操作を行うことでトリガレベルからの立上りとの条件を指定することができ、かつ、波形表示画面において信号レベルが減少する方向へのドラッグ操作を行うことでトリガレベルからの立下りとの条件を指定することができるため、この種の装置の使用に不慣れな者にであっても、所望の記録開始条件を確実かつ容易に指定して設定させることができる。
【0018】
また、請求項
1記載の波形表示制御装置、および
請求項5記載の波形記録システムでは、処理部が、データ生成処理において、波形表示画面において最先の測定値がプロットされるべき表示位置と、ドラッグ操作における始点との第2の方向に沿った長さの波形表示画面上における時間長を特定すると共に、基点に対して特定した時間長だけ前の時点を記録開始時点として特定して記録開始条件を規定する。
【0019】
したがって、請求項
1記載の波形表示制御装置、および
請求項5記載の波形記録システムによれば、記録開始条件として設定すべきプレトリガの時間長に対応する波形表示画面上の任意の一点を始点とするドラッグ操作を行うだけでプレトリガの時間長を指定することができるため、所望の記録開始条件を一層容易に指定して設定させることができる。
【0020】
請求項
2記載の波形表示制御装置、および
請求項5記載の波形記録システムでは、処理部が、データ生成処理において、ドラッグ操作における第2の方向に沿った第2の操作成分の大きさに対応する波形表示画面上における時間長を特定すると共に、基点に対して特定した時間長だけ前の時点を記録開始時点として特定して記録開始条件を規定する。
【0021】
したがって、請求項
2記載の波形表示制御装置、および
請求項5記載の波形記録システムによれば、波形表示画面上での第2の操作方向に沿った第2の操作成分の大きさが記録開始条件として設定すべきプレトリガの時間長に対応する大きさとなるようなドラッグ操作を行うだけでプレトリガの時間長を指定することができるため、所望の記録開始条件を一層容易に指定して設定させることができる。
【0022】
また、請求項3記載の波形表示制御装置、および請求項5記載の波形記録システムによれば、処理部が、データ生成処理において、記録開始条件を規定したときに、規定した記録開始条件を示す条件表示を波形表示画面に表示させることにより、どのような記録開始条件が規定されたかを確実かつ容易に認識することができるため、意図しない条件が記録された記録開始条件が生成される事態を好適に回避することができる。
【0023】
請求項4記載の波形表示制御装置、および請求項5記載の波形記録システムによれば、処理部が、データ生成処理の開始時に、指定された波形データの信号波形を波形表示画面に表示させることにより、設定すべきトリガレベルに対応する波形表示画面上の任意の一点を容易に特定することができるため、所望の記録開始条件を一層容易に指定して設定させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、波形表示制御装置および波形記録システムの実施の形態について、添付図面を参照して説明する。
【0026】
図1に示す波形記録装置1は、「測定装置」、「波形表示制御装置」および「表示装置」を備えて構成された「波形記録システム」の一例であって、測定部11、操作部12、表示部13、処理部14および記憶部15を備え、測定対象についての測定処理、測定結果に基づく波形データの生成および信号波形の表示の処理を実行可能に構成されている。この場合、本例の波形記録装置1は、波形データの記録および信号波形の表示の開始/停止のタイミングを操作部12の操作によって手動で指示する動作モードに加え、予め設定された動作条件(測定条件および表示条件)に従って波形データの記録および信号波形の表示を自動で開始/停止する動作モードでも使用可能に構成されている。
【0027】
測定部11は、処理部14および記憶部15と相まって「測定装置」を構成し、処理部14の制御に従って測定対象についての被測定量(電流値や電圧値などの電気的パラメータ)を設定されたサンプリング周期で測定して測定値Dsを順次出力する。
【0028】
操作部12は、一例として、表示部13の前面側に配設されたタッチパネル(「波形表示画面に対するドラッグ操作が可能なポインティングデバイス」の一例)や、各種の操作スイッチを備え、タッチパネルや操作スイッチに対する操作に応じた操作信号を処理部14に出力する。この場合、本例の波形記録装置1では、マウス、トラックボールおよびタッチパッドなどのポインティングデバイス(図示せず)を接続することにより、それらのポインティングデバイスによって各種の操作を実行可能に構成されている。
【0029】
表示部13は、「表示装置」の一例であって、後述するように、処理部14の制御に従って設定画面20(
図2,3,6参照)や測定結果表示画面30(
図4,5参照)などの各種表示画面を表示する。なお、本例では、「表示装置」としての表示部13を備えた構成を例に挙げて説明するが、「表示装置(表示部)」を備えずに、外部装置としての「表示装置」に各種表示画面を表示させる構成を採用することもできる。
【0030】
処理部14は、波形記録装置1を総括的に制御する。この処理部14は、前述したように、測定部11および記憶部15と相まって「測定装置」を構成すると共に、操作部12および記憶部15と相まって「波形表示制御装置」を構成する。
【0031】
具体的には、処理部14は、測定部11を制御して測定処理を実行させると共に、測定部11から出力される測定値Dsを記録して波形データDw0,Dw1・・(「波形データ」の一例:以下、区別しないときには「波形データDw」ともいう)を生成する処理(測定値Dsを記録する処理)を実行する。また、処理部14は、波形データDwに基づく信号波形W0,W1・・(
図2以降参照:以下、区別しないときには「信号波形W」ともいう)を表示部13(設定画面20の波形表示部21や測定結果表示画面30の波形表示部31)に表示させる。さらに、処理部14は、後述する動作条件の設定処理を実行して測定値Dsの記録条件(波形データDwの生成条件)を特定可能な記録条件データDrを生成する。記憶部15は、処理部14の動作プログラムや演算結果を記憶する。
【0032】
次に、波形記録装置1による波形データDwの記録、および対応する信号波形Wの表示の処理について添付図面を参照して説明する。
【0033】
この波形記録装置1による波形データDwの記録および信号波形Wの表示に際して、設定した動作条件に従って各処理を自動で開始/停止させるには、「記録開始条件」を含む諸条件を予め設定する。具体的には、まず、波形記録装置1を測定対象に接続すると共に、操作部12を操作して動作条件の設定画面を表示部13に表示させる(図示せず)。なお、この波形記録装置1において設定可能な動作条件は、後述の「波形データの記録」に関する条件だけでなく、測定部11による「測定処理」の条件や、「波形データに基づく信号波形の表示」に関する条件などの各種の動作条件が存在するが、以下、主として「波形データの記録」に関する条件の設定について説明する。
【0034】
最初に、「波形データの記録」に関する条件のうちの「記録開始条件」の設定に際しては、まず、操作部12を操作して
図2に示す設定画面20を表示部13に表示させる。この場合、設定画面20には、波形データDwに基づく信号波形Wが表示される波形表示部21(「波形表示画面」の一例)が設けられている。この波形表示部21には、波形データDwにおける各測定値Dsの信号レベルが上下方向(縦軸:「第1の方向」の一例)に対応させられ、かつ各測定値Dsの測定順序(時間軸)が左右方向(横軸:「第1の方向と交差する第2の方向」の一例)に対応させられて波形データDwに基づく信号波形Wが表示される。なお、同図の例では波形表示部21に信号波形W0が表示されているが、表示部13に設定画面20を表示させた直後の波形表示部21には、信号波形Wが表示されていない。
【0035】
次いで、「トリガレベル」等を規定するための参照波形を取得する。具体的には、操作部12を操作して測定部11による測定処理を開始させる。この際には、測定部11が処理部14の制御下で測定処理を開始し、その時点において設定されている測定条件(例えば、前回使用時に設定された測定条件)に従って測定対象についての被測定量(一例として、電圧値)を測定して測定値Dsを順次出力する。
【0036】
一方、処理部14は、測定部11から出力される測定値Dsを記憶部15に波形データDw0として記憶させる(波形データDw0に測定値Dsの値を追記する)と共に、各測定値Dsに対応する「点」を波形表示部21内に順次プロットする。これにより、
図2に示すように、測定部11によって測定されている電圧値についての波形データDw0に基づく信号波形W0が設定画面20の波形表示部21に表示される(「データ生成処理の開始時に、指定された波形データの信号波形を波形表示画面に表示させる」との処理の一例)。
【0037】
次いで、操作部12を操作して測定部11による測定処理を停止させ、「記録開始条件」を指定する。この場合、波形データDwの「記録開始条件」としては、「トリガレベル」と、「測定値Dsがトリガレベルを超えて増加した時点、および測定値Dsがトリガレベルを下回って減少した時点のいずれを基点とするか(トリガレベルからの立上りおよび立下りのいずれを基点とするか)」と、「基点と記録開始時点との間の時間長(いわゆる「プレトリガ」)」とをそれぞれ指定する必要がある。
【0038】
この際に、
図2に示す信号レベルLv1を「トリガレベル」として信号レベルLv1からの立上り時を「基点」とし、かつ波形表示部21における3Div分の時間長T1を「プレトリガ」の時間長として「記録開始条件」を指定する場合には、波形表示部21上で以下のようなドラッグ操作を行う。
【0039】
まず、利用者は、所望の「トリガレベル」である信号レベルLv1に対応する波形表示部21上における上下方向(縦軸方向)の位置を特定する。次いで、所望の「プレトリガ」である時間長T1を指定し得る波形表示部21上における左右方向(横軸方向)の位置を特定する。この際には、波形表示部21において最先の測定値Dsがプロットされるべき表示位置(本例では、波形表示部21の左隅の位置)から時間長T1に相当する3Divだけ右寄りの位置が時間長T1を指定し得る位置として特定される。続いて、利用者は、
図3に示すように、特定した両方向の交点である位置P1を始点とする矢印Aの向き(上向き)のドラッグ操作を行う(「ポインティングデバイスによって波形表示画面上の任意の一点を始点とするドラッグ操作が行なわれたとき」の一例)。
【0040】
この際に、処理部14は、まず、ドラッグ操作の「始点」である位置P1に対応する波形表示部21上の信号レベル(本例では、信号レベルLv1)を「記録開始条件」の「トリガレベル」として特定する。次いで、処理部14は、ドラッグ操作における上下方向(縦軸方向)に沿った操作成分(「第1の操作成分」の一例)の向きが「信号レベルの増加方向」に対応する向きであるか、「信号レベルの減少方向」に対応する向きであるかを特定する。この際に、矢印Aの向き(上向き)のドラッグ操作が行われた本例では、上下方向に沿った操作成分の向きが「信号レベルの増加方向」に対応する向きであると特定し、「測定値Dsがトリガレベルを超えて増加した時点」を「基点」として特定する。
【0041】
続いて、処理部14は、波形表示部21において最先の測定値Dsがプロットされるべき表示位置(本例では、波形表示部21の左端部)と、ドラッグ操作における「始点」である位置P1との左右方向に沿った長さの波形表示部21上における時間長(本例では、波形表示部21の3Divに対応する時間長)を特定する。この際に、例えば波形表示部21の1Divが10msに対応させられている場合には、処理部14は、3Div=30msとの時間長T1を「プレトリガ」の時間長として特定する。次いで、処理部14は、先に特定した「基点」に対して時間長T1だけ前の時点を「記録開始時点」として特定し、特定した「記録開始時点」を「記録開始条件」として規定する。
【0042】
また、処理部14は、上記のように「記録開始条件」を規定したときに、規定した「記録開始条件」を示すマーク22a(「条件表示」の一例)を波形表示部21に表示させる。この場合、同図に示す例のマーク22aは、波形表示部21上における上下方向の位置によって「規定されたトリガレベル」を示し、波形表示部21の左端部に対する左右方向の位置(波形表示部21の左端部とマーク22aとの左右方向に沿った距離)によって「規定されたプレトリガ(「基点」と「記録開始時点」との間の時間長)」を示し、矢印状の図柄の向きによって「トリガレベルからの立上り時/立下り時」のいずれを規定したかを示している。これにより、マーク22aを見た利用者が、所望の「記録開始条件」が規定されたか否かを把握することが可能となっている。
【0043】
したがって、マーク22aを見て、所望の「記録開始条件」が規定されたことを把握した利用者は、操作部12を操作することにより、処理部14によって規定された「記録開始条件」を確定させて設定画面20を閉じる。これに応じて、処理部14は、規定した「記録開始条件」を特定可能な記録条件データDrを生成して記憶部15に記憶させる。これにより、「開始条件データ」の一例である記録条件データDrの生成が完了する。以上により、「データ生成処理」が完了する。なお、詳細な説明を省略するが、生成される記録条件データDrには、利用者によって指定された「波形データDwの記録を終了させる条件(記録終了条件)」が記録される。これにより、記録条件データDrに基づく波形データDwの記録、および信号波形Wの表示を自動で開始させる準備が整う。
【0044】
この場合、上記の「データ生成処理」によって生成された記録条件データDrに基づく波形データDwの記録および信号波形Wの表示を実行させるには、波形記録装置1(測定部11)を測定対象に接続した状態のまま、操作部12を操作して、記録および表示の処理の開始を待機する状態に移行させる。
【0045】
この際に、処理部14は、
図4に示すように、まず、測定結果表示画面30を表示部13に表示させる。この測定結果表示画面30には、設定画面20の波形表示部21と同様に波形データDwに基づく信号波形Wが表示される波形表示部31が設けられている。この波形表示部31には、波形データDwにおける各測定値Dsの信号レベルが上下方向(縦軸:「第1の方向」の一例)に対応させられ、かつ各測定値Dsの測定順序(時間軸)が左右方向(横軸:「第1の方向と交差する第2の方向」の一例)に対応させられて信号波形Wが表示される。なお、同図の例では波形表示部31に信号波形W1が表示されているが、表示部13に測定結果表示画面30を表示させた直後の波形表示部31には、信号波形Wが表示されていない。
【0046】
また、処理部14は、測定部11を制御して測定処理を開始させる。これに応じて、測定部11が測定対象の電圧値を測定して測定値Dsを順次出力し、処理部14が、測定部11から出力される測定値Dsを記憶部15に例えばリングバッファ形式で順次記憶させつつ、各測定値Dsに対応する「点」を波形表示部31内に順次プロットすることで電圧値の変動を示す信号波形Wをリアルタイム表示させる。また、処理部14は、測定部11から出力される測定値Dsが、記録条件データDrに記録されている「記録開始条件」を満たす状態となったか否かを監視する。
【0047】
この際に、順次出力される測定値Dsに「信号レベルLv1を超えて増加する」との条件を満たす変化が生じたときに、処理部14は、そのような変化が生じた測定値Dsの測定時よりも時間長T1だけ前の時点に測定部11から出力された測定値Dsを「記録開始時点」の測定値Ds(最先の測定値Ds)として波形データDw1の記録を開始する。また、記録条件データDrに記録されている「記録終了条件」が満たされたとき(一例として、予め規定された時間長に対応する数の測定値Dsの波形データDw1への記録を完了したとき)に、処理部14は、波形データDw1の記録(波形データDw1への測定値Dsの追記)を終了する。これにより、記録条件データDrに基づく波形データDw1の記録が完了する。
【0048】
この場合、波形データDw1の記録を完了した状態では、リアルタイム表示されている信号波形Wに代えて、
図4に示すように、波形データDw1に基づく信号波形W1を波形表示部31に表示させることができる。なお、同図の測定結果表示画面30の例では、波形データDw1に記録された最先の測定値Dsに対応する「点」が波形表示部31の左端部にプロットされた状態の信号波形W1を図示している。この波形表示部31には、信号波形W1の波形データDw1の記録に際して使用した記録条件データDrに記録されている「トリガレベル」を示すトリガレベル表示32、および波形表示部31の左端部に対する位置(左端部から表示位置までの距離)によって「プレトリガ」の時間長を示すトリガ位置表示33が信号波形W1と共に表示される。以上により、波形データDw1に基づく信号波形W1の表示が完了する。
【0049】
一方、上記の「記録開始条件」例に代えて、
図2に示す信号レベルLv2を「トリガレベル」として信号レベルLv2からの立下り時を「基点」とし、かつ波形表示部21における1Div分の時間長T2を「プレトリガ」の時間長として「記録開始条件」を指定する場合には、波形表示部21上で以下のようなドラッグ操作を行う。
【0050】
まず、利用者は、所望の「トリガレベル」である信号レベルLv2に対応する波形表示部21上における上下方向(縦軸方向)の位置を特定する。次いで、所望の「プレトリガ」である時間長T2を指定し得る波形表示部21上における左右方向(横軸方向)の位置を特定する。この際には、波形表示部21において最先の測定値Dsがプロットされるべき表示位置(本例では、波形表示部21の左隅の位置)から時間長T2に相当する1Divだけ右寄りの位置が時間長T2を指定し得る位置として特定される。続いて、利用者は、
図3に示すように、特定した両方向の交点である位置P2を始点とする矢印Bの向き(下向き)のドラッグ操作を行う(「ポインティングデバイスによって波形表示画面上の任意の一点を始点とするドラッグ操作が行なわれたとき」の他の一例)。
【0051】
この際に、処理部14は、まず、ドラッグ操作の「始点」である位置P2に対応する波形表示部21上の信号レベル(本例では、信号レベルLv2)を「記録開始条件」の「トリガレベル」として特定する。次いで、処理部14は、ドラッグ操作における上下方向(縦軸方向)に沿った操作成分(「第1の操作成分」の他の一例)の向きが「信号レベルの増加方向」に対応する向きであるか、「信号レベルの減少方向」に対応する向きであるかを特定する。この際に、矢印Bの向き(下向き)のドラッグ操作が行われた本例では、上下方向に沿った操作成分の向きが「信号レベルの減少方向」に対応する向きであると特定し、「測定値Dsがトリガレベルを下回って減少した時点」を「基点」として特定する。
【0052】
続いて、処理部14は、波形表示部21において最先の測定値Dsがプロットされるべき表示位置(本例では、波形表示部21の左端部)と、ドラッグ操作における「始点」である位置P2との左右方向に沿った長さの波形表示部21上における時間長(本例では、波形表示部21の1Divに対応する時間長)を特定する。この際に、処理部14は、1Div=10msとの時間長T2を「プレトリガ」の時間長として特定する。次いで、処理部14は、先に特定した「基点」に対して時間長T2だけ前の時点を「記録開始時点」として特定し、特定した「記録開始時点」を「記録開始条件」として規定する。
【0053】
また、処理部14は、上記のように「記録開始条件」を規定したときに、規定した「記録開始条件」を示すマーク22b(「条件表示」の他の一例)を波形表示部21に表示させる。これにより、マーク22bを見た利用者が、所望の「記録開始条件」が規定されたか否かを把握することが可能となっている。
【0054】
したがって、マーク22bを見て、所望の「記録開始条件」が規定されたことを把握した利用者は、操作部12を操作することにより、処理部14によって規定された「記録開始条件」を確定させて設定画面20を閉じる。これに応じて、処理部14は、規定した「記録開始条件」を特定可能な記録条件データDrを生成して記憶部15に記憶させる。これにより、「開始条件データ」の他の一例である記録条件データDrの生成が完了する。以上により、「データ生成処理」が完了し、記録条件データDrに基づく波形データDwの記録、および信号波形Wの表示を自動で開始させる準備が整う。
【0055】
続いて、波形記録装置1(測定部11)を測定対象に接続した状態のまま、操作部12を操作して、記録および表示の処理の開始を待機する状態に移行させる。この際に、処理部14は、
図5に示すように、まず、測定結果表示画面30を表示部13に表示させる。なお、同図の例では波形表示部31に信号波形W1が表示されているが、表示部13に測定結果表示画面30を表示させた直後の波形表示部31には、信号波形Wが表示されていない。
【0056】
また、処理部14は、測定部11を制御して測定処理を開始させる。これに応じて、測定部11が測定対象の電圧値を測定して測定値Dsを順次出力し、処理部14が、測定部11から出力される測定値Dsを記憶部15に例えばリングバッファ形式で順次記憶させつつ、各測定値Dsに対応する「点」を波形表示部31内に順次プロットすることで電圧値の変動を示す信号波形Wをリアルタイム表示させる。また、処理部14は、測定部11から出力される測定値Dsが、記録条件データDrに記録されている「記録開始条件」を満たす状態となったか否かを監視する。
【0057】
この際に、順次出力される測定値Dsに「信号レベルLv2を下回って減少する」との条件を満たす変化が生じたときに、処理部14は、そのような変化が生じた測定値Dsの測定時よりも時間長T2だけ前の時点に測定部11から出力された測定値Dsを「記録開始時点」の測定値Ds(最先の測定値Ds)として波形データDw2の記録を開始する。また、記録条件データDrに記録されている「記録終了条件」が満たされたとき(一例として、予め規定された時間長に対応する数の測定値Dsの波形データDw2への記録を完了したとき)に、処理部14は、波形データDw2の記録(波形データDw2への測定値Dsの追記)を終了する。これにより、記録条件データDrに基づく波形データDw2の記録が完了する。
【0058】
この場合、波形データDw2の記録を完了した状態では、リアルタイム表示されている信号波形Wに代えて、
図5に示すように、波形データDw2に基づく信号波形W2を波形表示部31に表示させることができる。なお、同図の測定結果表示画面30の例では、波形データDw2に記録された最先の測定値Dsに対応する「点」が波形表示部31の左端部にプロットされた状態の信号波形W2を図示している。この波形表示部31には、信号波形W2の波形データDw2の記録に際して使用した記録条件データDrに記録されている「トリガレベル」を示すトリガレベル表示32、および波形表示部31の左端部に対する位置(左端部から表示位置までの距離)によって「プレトリガ」の時間長を示すトリガ位置表示33が信号波形W2と共に表示される。以上により、波形データDw2に基づく信号波形W2の表示が完了する。
【0059】
このように、この波形記録装置1では、処理部14は、測定部11による波形データDw1,Dw2・・の少なくとも「記録開始条件」を規定して記録条件データDrを生成する「データ生成処理」において、「ポインティングデバイス(本例では、操作部12のタッチパネル)」によって設定画面20における波形表示部21上の任意の一点を始点とするドラッグ操作が行なわれたときに、始点に対応する信号レベルを「記録開始条件」のトリガレベルとして特定し、ドラッグ操作における「第1の方向(本例では、上下方向)」に沿った「第1の操作成分(上向き操作成分、または下向き操作成分)」の向きが信号レベルの増加方向に対応する向きのときには、測定値Dsがトリガレベルを超えて増加した時点を基点として波形データDwの記録開始時点を特定して「記録開始条件」を規定し、「第1の操作成分」の向きが信号レベルの減少方向に対応する向きのときには、測定値Dsがトリガレベルを下回って減少した時点を基点として記録開始時点を特定して「記録開始条件」を規定し、規定した「記録開始条件」を特定可能に記録条件データDrを生成する。また、この波形記録装置1は、「波形表示制御装置」としての操作部12、処理部14および記憶部15と、「測定装置」としての測定部11、処理部14および記憶部15と、「表示装置」としての表示部13とを備え、生成した記録条件データDrに基づいて測定部11からの測定値Dsを記録して波形データDwを生成すると共に、波形データDwの信号波形を表示部13に表示可能に構成されている。
【0060】
したがって、この波形記録装置1によれば、「記録開始条件」として設定すべき「トリガレベル」に対応する波形表示部21上の任意の一点を「始点」とするドラッグ操作を行うだけで「トリガレベル」を指定することができ、波形表示部21において信号レベルが増加する方向へのドラッグ操作を行うことで「トリガレベルからの立上り」との条件を指定することができ、かつ、波形表示部21において信号レベルが減少する方向へのドラッグ操作を行うことで「トリガレベルからの立下り」との条件を指定することができるため、この種の装置の使用に不慣れな者にであっても、所望の「記録開始条件」を確実かつ容易に指定して設定させることができる。
【0061】
また、この波形記録装置1では、処理部14が、「データ生成処理」において、波形表示部21において最先の測定値Dsがプロットされるべき表示位置(本例では、波形表示部21の左端部)と、ドラッグ操作における始点(本例では、位置P1や位置P2)との「第2の方向(本例では、左右方向)」に沿った長さの波形表示部21上における時間長を特定すると共に、基点に対して特定した時間長だけ前の時点を記録開始時点として特定して「記録開始条件」を規定する。
【0062】
したがって、この波形記録装置1によれば、「記録開始条件」として設定すべき「プレトリガ」の時間長に対応する波形表示部21上の任意の一点を「始点」とするドラッグ操作を行うだけで「プレトリガ」の時間長を指定することができるため、所望の「記録開始条件」を一層容易に指定して設定させることができる。
【0063】
また、この波形記録装置1によれば、処理部14が、「データ生成処理」の開始時に、指定された波形データDw0の信号波形W0を波形表示部21に表示させることにより、設定すべき「トリガレベル」に対応する波形表示部21上の任意の一点を容易に特定することができるため、所望の「記録開始条件」を一層容易に指定して設定させることができる。
【0064】
また、この波形記録装置1によれば、処理部14が、「データ生成処理」において、「記録開始条件」を規定したときに、規定した「記録開始条件」を示すマーク22a,22bを波形表示部21に表示させることにより、どのような「記録開始条件」が規定されたかを確実かつ容易に認識することができるため、意図しない条件が記録された記録条件データDrが生成される事態を好適に回避することができる。
【0065】
なお、「波形表示制御装置」および「波形記録システム」の構成は、上記の波形記録装置1の構成の例に限定されない。例えば、参照波形(信号波形W0)を表示させた状態の波形表示部21においてドラッグ操作を行うことで「記録開始条件」等を設定する操作方法を例に挙げて説明したが、上記の波形記録装置1では、信号波形Wが表示されていない状態の波形表示部21上においてドラッグ操作を行った場合においても、ドラッグ操作の操作内容に応じて上記の例と同様の「記録開始条件」等が規定されて記録条件データDrが生成される。
【0066】
また、「記録開始条件」のうちの「基点と記録開始時点との間の時間長(プレトリガの時間長)」に関して、波形表示部21において最先の測定値Dsがプロットされるべき表示位置と、ドラッグ操作における始点との「第2の方向(上記の例では、左右方向)」に沿った長さを異ならせることで任意の時間長を指定することが可能な構成を例に挙げて説明したが、このような構成に代えて、ドラッグ操作における「第2の方向」に沿った「第2の操作成分」の大きさを異ならせることで任意の時間長を指定する構成を採用することもできる。
【0067】
具体的には、
図6に示す信号レベルLv3を「トリガレベル」として信号レベルLv3からの立上り時を「基点」とし、かつ波形表示部21における2Div分の時間長T3を「プレトリガ」の時間長として「記録開始条件」を指定するときに、波形表示部21上で以下のようなドラッグ操作を行う。
【0068】
まず、利用者は、所望の「トリガレベル」である信号レベルLv3に対応する波形表示部21上における上下方向(縦軸方向)の位置を特定する。この際には、一例として、波形表示部21に表示されている信号波形W0が信号レベルLv3を超えた位置P3aを信号レベルLv3に対応する位置として特定する。次いで、特定した位置P3を始点とする矢印Cの向き(ななめ上向き)のドラッグ操作を行う(「ポインティングデバイスによって波形表示画面上の任意の一点を始点とするドラッグ操作が行なわれたとき」のさらに他の一例)。
【0069】
この際には、ドラッグ操作の始点(位置P3a)と、終点(位置P3b)との間の波形表示部21における左右方向の長さ、すなわち、矢印Cの向きへのドラッグ操作における「第2の操作方向」に沿った「第2の操作成分」の大きさが、所望の「プレトリガ」である時間長T3に対応する長さ(本例では、波形表示部21における2Div分の長さ)となるようにドラッグ操作を行う。
【0070】
これに応じて、処理部14は、まず、ドラッグ操作の「始点」である位置P3aに対応する波形表示部21上の信号レベル(本例では、信号レベルLv3)を「記録開始条件」の「トリガレベル」として特定する。次いで、処理部14は、ドラッグ操作における上下方向(縦軸方向)に沿った操作成分(「第1の操作成分」のさらに他の一例)の向きが「信号レベルの増加方向」に対応する向きであるか、「信号レベルの減少方向」に対応する向きであるかを特定する。この際に、矢印Cの向き(斜め上向き)のドラッグ操作が行われた本例では、上下方向に沿った操作成分の向きが「信号レベルの増加方向」に対応する向きであると特定し、「測定値Dsがトリガレベルを超えて増加した時点」を「基点」として特定する。
【0071】
続いて、処理部14は、ドラッグ操作における「始点(位置P3a)」と「終点(位置P3b)」との左右方向(横軸方向)に沿った操作成分(第2の操作成分)の大きさに対応する波形表示部21上の時間長(本例では、波形表示部21の2Divに対応する時間長)を特定する。この際に、処理部14は、2Div=20msとの時間長T3を「プレトリガ」の時間長として特定する。次いで、処理部14は、先に特定した「基点」に対して時間長T3だけ前の時点を「記録開始時点」として特定し、特定した「記録開始時点」を「記録開始条件」として規定する。
【0072】
また、処理部14は、上記のように「記録開始条件」を規定したときに、規定した「記録開始条件」を示すマーク22c(「条件表示」のさらに他の一例)、およびマーク23(「条件表示」のさらに他の一例)を波形表示部21に表示させる。この場合、同図に示す例のマーク22cは、波形表示部21上における上下方向の位置によって「規定されたトリガレベル」を示し、かつ矢印状の図柄の向きによって「トリガレベルからの立上り時/立下り時」のいずれを規定したかを示している。また、マーク23は、波形表示部21の左端部に対する左右方向の位置(波形表示部21の左端部とマーク23との左右方向に沿った距離)によって「規定されたプレトリガ(「基点」と「記録開始時点」との間の時間長)」を示している。これにより、マーク22c,23を見た利用者が、所望の「記録開始条件」が規定されたか否かを把握することが可能となっている。
【0073】
したがって、マーク22c,23を見て、所望の「記録開始条件」が規定されたことを把握した利用者は、操作部12を操作することにより、処理部14によって規定された「記録開始条件」を確定させて設定画面20を閉じる。これに応じて、処理部14は、規定した「記録開始条件」を特定可能な記録条件データDrを生成して記憶部15に記憶させる。これにより、「開始条件データ」のさらに他の一例である記録条件データDrの生成が完了する。以上により、「データ生成処理」が完了し、記録条件データDrに基づく波形データDwの記録、および信号波形Wの表示を自動で開始させる準備が整う。
【0074】
このように、「データ生成処理」において、処理部14が、ドラッグ操作における「第2の方向」に沿った「第2の操作成分」の大きさに対応する波形表示部21上における時間長を特定すると共に、基点に対して特定した時間長だけ前の時点を記録開始時点として前特定して「記録開始条件」を規定する構成によれば、波形表示部21上での「第2の操作方向」に沿った「第2の操作成分」の大きさが「記録開始条件」として設定すべき「プレトリガ」の時間長に対応する大きさとなるようなドラッグ操作を行うだけで「プレトリガ」の時間長を指定することができるため、所望の「記録開始条件」を一層容易に指定して設定させることができる。
【0075】
さらに、各測定値Dsの信号レベルを波形表示部21,31における「第1の方向」としての上下方向(縦軸方向)に対応させ、かつ各測定値Dsの測定順序を波形表示部21,31における「第2の方向」としての左右方向(横軸方法)に対応させて信号波形Wを表示させる構成の波形記録装置1を例に挙げて説明したが、信号レベルを「第1の方向」としての左右方向(横軸方向)に対応させ、かつ測定順序を「第2の方向」としての上下方向(縦軸方向)に対応させて信号波形Wを表示させる構成を採用することもできる。また、「第1の方向」と「第2の方向」との交差の角度は、上下方向および左右方向の交差の角度のような直角に限定されず、直角以外の任意の角度とすることもできる。
【0076】
加えて、「動作条件」としての波形データDwの「記録開始条件」を波形表示部21上でのドラッグ操作によって指定することが可能な構成を例に挙げて説明したが、波形データDwの「記録終了条件」、「記録一時停止条件」および「記録再開条件」などの諸条件を波形表示部21上でのドラッグ操作によって指定可能な構成を採用することもできる。