(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」と言う。)について詳細に説明する。
なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
【0016】
<ポリアセタール樹脂組成物>
本実施形態のポリアセタール樹脂組成物は、(A)ポリアセタール樹脂100質量部と、(B)アクリルアミド重合体0.001〜0.5質量部と、(C)融点が100〜230℃のポリアミド0.001〜0.2質量部と、(D)脂肪酸ジエステル0.0001〜1質量部とを、含有する。さらに、(E)脂肪酸モノエステル、(F)添加剤等を含んでいてもよい。
【0017】
〔(A)ポリアセタール樹脂〕
本実施形態のポリアセタール樹脂組成物に含まれる(A)ポリアセタール樹脂は、オキシメチレン基を主鎖に有するポリマーをいい、例えば、ホルムアルデヒド単量体、及び/又はその3量体(トリオキサン)や4量体(テトラオキサン)等のホルムアルデヒドの環状オリゴマーを重合して得られる実質上オキシメチレン単位のみからなるポリアセタールホモポリマー;ホルムアルデヒド単量体、及び/又はその3量体(トリオキサン)や4量体(テトラオキサン)等のホルムアルデヒドの環状オリゴマーと、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、エピクロルヒドリン、1,3−ジオキソラン、1,4−ブタンジオールホルマール等のグリコール、ジグリコールの環状ホルマール等の環状エーテル、及び/又は環状ホルマールとを共重合させて得られたポリアセタールコポリマー;ホルムアルデヒド単量体、及び/又はその3量体(トリオキサン)や4量体(テトラオキサン)等のホルムアルデヒドの環状オリゴマーと、単官能グリシジルエーテルとを共重合させて得られる、分岐を有するポリアセタールコポリマー;ホルムアルデヒド単量体、及び/又はその3量体(トリオキサン)や4量体(テトラオキサン)等のホルムアルデヒドの環状オリゴマーと、多官能グリシジルエーテルとを共重合させて得られる、架橋構造を有するポリアセタールコポリマー;等が挙げられる。
中でも、上記ポリアセタールホモポリマーが好ましく、ホルムアルデヒド単量体、又はその3量体(トリオキサン)や4量体(テトラオキサン)等のホルムアルデヒドの環状オリゴマーを単独重合して得られるポリアセタールホモポリマーがより好ましい。
【0018】
さらに、(A)ポリアセタール樹脂としては、両末端又は片末端に水酸基等の官能基を有する化合物、例えばポリアルキレングリコールの存在下、ホルムアルデヒド単量体、及び/又はホルムアルデヒドの環状オリゴマーを重合して得られるブロック成分を有するポリアセタールコポリマー;同じく両末端又は片末端に水酸基等の官能基を有する化合物、例えば水素添加ポリブタジエングリコールの存在下、ホルムアルデヒド単量体及び/又はその3量体(トリオキサン)や4量体(テトラオキサン)等のホルムアルデヒドの環状オリゴマーと、環状エーテルや環状ホルマールとを共重合させて得られるブロック成分を有するポリアセタールコポリマー;等も用いることができる。
(A)ポリアセタール樹脂は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0019】
<ポリアセタールホモポリマーの製造方法>
上記ポリアセタールホモポリマーは、例えば、ホルムアルデヒド等の原料モノマー、連鎖移動剤(分子量調節剤)及び重合触媒を、炭化水素系重合溶媒を導入した重合反応器にフィードし、スラリー重合法により重合すること等により製造することができる。
【0020】
この際、原料モノマー、連鎖移動剤、重合触媒には、水、メタノール、蟻酸等の連鎖移動可能な成分(不安定末端基を生成する成分)が含まれているため、まずこれら連鎖移動可能な成分の含有量を調整することが好ましい。
この時の連鎖移動可能な成分の含有量は、原料モノマーに対して、好ましくは1〜1000ppmの範囲であり、より好ましくは1〜500ppm、さらに好ましくは1〜300ppmである。
連鎖移動可能な成分量を上記範囲に調整することにより、熱安定性に優れるポリアセタール樹脂ホモポリマーを得ることができる。
【0021】
無水カルボン酸又はカルボン酸等の分子量調節剤を用いて連鎖移動させることにより、得られるポリアセタールホモポリマーの分子量を調節することができる。
分子量調節剤としては、無水プロピオン酸、無水酢酸が好ましく、より好ましくは無水酢酸である。
分子量調節剤の添加量は、目的とするポリアセタールホモポリマーの特性(特にメルトフローレート)に応じて調節し決定することができる。
【0022】
上記重合触媒としては、アニオン系重合触媒が好ましく、下記一般式(I)で表されるオニウム塩系重合触媒がより好ましい。
[R
1R
2R
3R
4M]
+X
- ・・・(I)
(式(I)中、R
1、R
2、R
3、R
4は、各々、独立にアルキル基を示し、Mは孤立電子対を持つ元素を示し、Xは求核性基を示す。)
上記R
1、R
2、R
3、R
4におけるアルキル基としては、炭素数1〜30のアルキル基が挙げられる。また、上記Mとしては、窒素、リン等が挙げられる。また、上記Xとしては、アセテート、ブロマイド、イオダイド等が挙げられる。
上記オニウム塩系重合触媒の中でも、テトラエチルホスホニウムイオダイド、トリブチルエチルホスホニウムイオダイドのような第4級ホスホニウム塩系化合物や、テトラメチルアンモニウムブロマイド、ジメチルジステアリルアンモニウムアセテートのような第4級アンモニウム塩系化合物が好ましい。
第4級ホスホニウム塩系化合物や第4級アンモニウム塩系化合物等の重合触媒の添加量は、原料モノマー1モルに対して、0.0003〜0.01molであることが好ましく、より好ましくは0.0008〜0.005molであり、さらに好ましくは0.001〜0.003molである。
【0023】
上記炭化水素系重合溶媒としては、ホルムアルデヒド等の原料モノマーと反応しない溶媒であればよく、特に限定されるものではないが、例えば、ペンタン、イソペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、へプタン、オクタン、ノナン、デカン、ベンゼン等の溶媒が挙げられる。
これらの炭化水素系溶媒は1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いることもできるが、ヘキサンが特に好ましい。
【0024】
ポリアセタールホモポリマーの重合工程においては、先ず、粗ポリアセタールホモポリマーを得、続いて、後述するように、不安定末端基に対して安定化処理を施すことが好ましい。
【0025】
粗ポリアセタールホモポリマーを製造する重合装置は、ホルムアルデヒド等の原料モノマー、連鎖移動剤(分子量調節剤)、及び重合触媒と、炭化水素系重合溶媒とを同時に供給できる装置であれば特に限定されるものではないが、例えば、バッチ式重合装置、連続式重合装置等が挙げられる。中でも生産性の観点から連続式重合装置が好ましく、更に好ましいのは撹拌装置付の連続式重合装置である。
【0026】
重合工程により得られた粗ポリアセタールホモポリマーは、重合体の末端基が熱的に不安定であるので、この不安定末端基をエステル化剤やエーテル化剤等で封鎖し、安定化処理することが好ましい。
【0027】
エステル化による粗ポリアセタールホモポリマーの末端安定化は、例えば、粗ポリアセタールホモポリマーと、エステル化剤及び/又はエステル化触媒とを、炭化水素系溶媒を導入した末端安定化反応機にそれぞれ投入し、反応させること等によって行うことができる。
【0028】
この時の反応温度や反応時間は、例えば、反応温度が130〜155℃であり、反応時間が1〜200分間であることが好ましく、反応温度が135〜155℃であり、反応時間が5〜150分であることがより好ましく、反応温度が140〜155℃であり、反応時間が60〜150分であることがさらに好ましい。
【0029】
上記粗ポリアセタールホモポリマーの末端基を封鎖し安定化する上記エステル化剤としては、下記一般式(II)で表される酸無水物、無水安息香酸、無水コハク酸、無水マレイン酸、無水グルタル酸、無水フタル酸、無水酢酸等が挙げられ、無水酢酸が好ましい。
R
5COOCOR
6 ・・・(II)
(式(II)中、R
5、R
6は、各々、独立にアルキル基を示す。R
5、R
6は、同じであっても異なっていてもよい。)
上記R
5、R
6としては、炭素数1〜30のアルキル基が挙げられる。
これらエステル化剤は、1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
【0030】
上記エステル化触媒としては、炭素数1〜18のカルボン酸のアルカリ金属塩が好ましい。上記炭素数1〜18のカルボン酸のアルカリ金属塩としては、例えば、カルボン酸が蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプリル酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸であるアルカリ金属塩が挙げられ、当該アルカリ金属としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウムが挙げられる。これらカルボン酸のアルカリ金属塩の中でも、酢酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウムが好ましい。
上記エステル化触媒の添加量は、粗ポリアセタールホモポリマーに対して、1〜1000ppmの範囲で適宜選択することができる。
【0031】
上述した粗ポリアセタールホモポリマーの末端基を、エーテル化剤により封鎖し、安定化することも可能である。
上記エーテル化剤としては、例えば、メチルオルトホルメート、エチルオルトホルメート、メチルオルトアセテート、エチルオルトアセテート、メチルオルトベンゾエート、エチルオルトベンゾエート、メチルオルトカーボネート、エチルオルトカーボネート等の、脂肪族又は芳香族酸と、脂肪族、脂環式族又は芳香族アルコールとのオルトエステルが挙げられる。
末端基のエーテル化は、例えば、p−トルエンスルホン酸、酢酸又は臭酸等の中強度有機酸、ジメチルスルフェート又はジエチルスルフェート等の中強度鉱酸等のルイス酸型のエーテル化触媒を、上記エーテル化剤と共に用いて行うことができる。
【0032】
末端基のエーテル化反応に用いることができる溶媒としては、例えば、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ベンゼン等の低沸点脂肪族炭化水素系有機溶媒、脂環式族炭化水素系有機溶媒、又は芳香族炭化水素系有機溶媒;塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化低級脂肪族化合物等の有機溶媒が挙げられる。
【0033】
上記の方法により末端基が安定化されたポリアセタールホモポリマーを、熱風式乾燥機や真空乾燥機等の乾燥機を用いて、100〜150℃に調整し、水分を除去して乾燥することにより、目的とするポリアセタールホモポリマーが得られる。中でも水分等の不純物を効率的に乾燥するという点で、真空乾燥機を用いるのが好ましい。
【0034】
ポリアセタールホモポリマーのメルトフローレート(MFR値(ISO1133に準拠))としては、0.1〜100g/10分の範囲であることが好ましく、より好ましくは1.0g/10分〜70g/10分の範囲である。
ポリアセタールホモポリマーのMFR値を上記範囲とすることにより、機械強度に優れる。
【0035】
<ポリアセタールコポリマーの製造方法>
ポリアセタールコポリマーは、例えば、ホルムアルデヒド単量体及び/又はホルムアルデヒドの上記環状オリゴマーと、コモノマーとして1,3−ジオキソラン、1,4−ブタンジオールホルマール等のグリコール、ジグリコールの環状ホルマール等の環状エーテル、又は環状ホルマールとを、重合触媒の存在下で共重合させることにより製造することができる。
【0036】
共重合させるコモノマーの割合は、ホルムアルデヒド単量体及びホルムアルデヒドの上記環状オリゴマーの合計量(mol)に対して、0.03〜20mol%であることが好ましく、0.03〜7mol%であることがより好ましく、0.04〜3mol%であることがさらに好ましい。コモノマーの割合が上記範囲であれば、より機械的強度に優れたポリアセタールコポリマーペレットが得られる。
【0037】
上記重合触媒としては、例えば、ルイス酸、プロトン酸及びそのエステル又は無水物等のカチオン活性触媒が挙げられる。
ルイス酸としては、例えば、ホウ酸、スズ、チタン、リン、ヒ素及びアンチモンのハロゲン化物が挙げられ、具体的には三フッ化ホウ素、四塩化スズ、四塩化チタン、五フッ化リン、五塩化リン、五フッ化アンチモン及びその錯化合物又は塩が挙げられる。
プロトン酸及びそのエステル又は無水物としては、例えば、パークロル酸、トリフルオロメタンスルホン酸、パークロル酸−3級ブチルエステル、アセチルパークロラート、トリメチルオキソニウムヘキサフルオロホスフェート等が挙げられる。
これらの中でも、三フッ化ホウ素;三フッ化ホウ素水和物;及び酸素原子又は硫黄原子を含む有機化合物と三フッ化ホウ素との配位錯化合物が好ましく、例えば、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル、三フッ化ホウ素ジ−n−ブチルエーテルが好ましいものとして挙げられる。
【0038】
三フッ化ホウ素の添加量としては、ホルムアルデヒド単量体及びホルムアルデヒドの上記環状オリゴマーの合計量1molに対して、三フッ化ホウ素が、0.10×10
-4mol以下が好ましく、より好ましくは0.07×10
-4mol以下であり、さらに好ましいのは、0.03×10
-4〜0.05×10
-4molである。
三フッ化ホウ素の添加量が上記範囲であれば、熱安定性に優れたポリアセタール樹脂組成物を提供することができる。
【0039】
上記例示されたポリアセタールコポリマーの重合方法としては、スラリー重合法、塊状重合法等が挙げられ、バッチ式、連続式のいずれも適用可能である。
【0040】
重合装置としては、特に限定されるものではないが、例えば、コニーダー、2軸スクリュー式連続押出混錬機、2軸パドル型連続混合機等のセルフクリーニング型押出混錬機が挙げられる。
溶融状態のモノマーが上記重合装置に供給され、重合の進行とともに固体塊状のポリアセタールコポリマーが得られる。
【0041】
以上の重合で得られたポリアセタールコポリマーには、熱的に不安定な末端部〔−(OCH
2)
n−OH基〕が存在する場合があるため、この不安定な末端部の分解除去処理を実施することが好ましい。不安定な末端部の分解除去方法としては、公知の方法で行うことができる。
【0042】
本実施形態のポリアセタール樹脂組成物(100質量%)中の(A)ポリアセタール樹脂の含有量としては、機械物性向上の観点から、98.3〜99.9質量%であることが好ましく、より好ましくは99.4〜99.9質量%である。
【0043】
〔(B)アクリルアミド重合体〕
(B)アクリルアミド重合体としては、例えば、触媒としてアリカリ土類金属のアルコラートを用い、アクリルアミドの単独重合、又はアクリルアミドとアクリルアミド以外のビニル基を有するモノマーとの共重合を行うこと等によって製造できる。
(B)アクリルアミド重合体として、アクリルアミドとビニル基を有するモノマーとの共重合体(例えば、架橋構造を有する共重合体)を用いることにより、ポリアセタール樹脂組成物の成形性を向上させることができる。
(B)アクリルアミド重合体は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0044】
上記アクリルアミド以外のビニル基を有するモノマーとしては、ビニル基を1個又は2個有するモノマーが挙げられる。
ビニル基を1個有するモノマーとしては、例えば、n−ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、t−ブチルメタクリレート、エチルメタクリレート、シクロへキシルメタクリレート、2−エチルへキシルメタクリレート、セシルメタクリレート、ペンタデシルメタクリレート、ステアリルメタクリレート、ベヘニルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、ポリプロピレングリコールメタクリレート、ポリエチレングリコールメタクリレート等が挙げられる。
ビニル基を2個有するモノマーとしては、例えば、ジビニルベンゼン、エチレンビスアクリルアミド、N,N’−メチレンビスアクリルアミド等が挙げられる。
これらのビニル基を有するモノマーの中で、N,N’−メチレンビスアクリルアミドが好ましい。
【0045】
上記アクリルアミド重合体を製造する際の、上記アクリルアミドと上記ビニル基を有するモノマーとの合計量に対する、上記ビニル基を有するモノマーの添加量は、0.05〜20質量%であることが好ましい。
【0046】
(B)アクリルアミドの共重合体としては、第1級アミド基と第2級アミド基とを有している共重合体であってもよい。
(B)アクリルアミド重合体中の第1級アミド基のモル含有割合としては、30〜80mol%であることが好ましく、より好ましくは30〜70mol%、更に好ましくは40〜70mol%である。第1級アミド基が上記範囲であれば、アクリルアミド重合体の粉砕性に優れ、更には成形性に優れたポリアセタール樹脂組成物を提供することができる。
第1級アミド基の測定方法については特に限定されないが、例えば以下の方法を挙げることができる。まず、かき混ぜ機付フラスコ内に試料ポリマーと40質量%水酸化カリウム水溶液を加え、かき混ぜながら105〜110℃で20分間加熱し、第一級アミド基をアンモニアに加水分解する。次いでフラスコ内容物を50℃以下に冷却した後、メタノールを加えアンモニアをメタノールと共に抽出させて、この抽出液を0.1規定硫酸水溶液に吸収させ、指示薬にメチルレッドを用いて0.1規定水酸化ナトリウム水溶液で中和滴定を行い、第1級アミド基の量を求める。
【0047】
(B)アクリルアミド重合体の平均粒子径は、0.1〜20μmが好ましく、より好ましくは0.1〜15μm、さらに好ましくは0.1〜10μmである。アクリルアミド重合体の平均粒子径が上記範囲であると、成形性に優れるポリアセタール樹脂組成物を提供することができる。
なお、上記平均粒子径は、レーザ回析式粒度分布測定装置により測定される値をいう。
【0048】
本実施形態のポリアセタール樹脂組成物において、(B)アクリルアミド重合体の含有量は、(A)ポリアセタール樹脂100質量部に対して、0.001〜0.5質量部であり、好ましくは0.001〜0.4質量部、より好ましくは0.01〜0.3質量部である。また、0.005〜0.5質量部であってもよい。(B)アクリルアミド重合体が上記範囲であれば、成形性に優れたポリアセタール樹脂組成物を提供することができる。
【0049】
〔(C)融点が100〜230℃のポリアミド〕
本実施形態のポリアセタール樹脂組成物において、(C)融点が100〜230℃のポリアミドとしては、例えば、ポリアミド6、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド610、ポリアミド612、ポリアミド6/612、ポリアミド6/66/610等が挙げられる。これらの中でも、ポリアミド6、ポリアミド12、ポリアミド610、ポリアミド6/66/610が好ましく、より好ましくはポリアミド12、ポリアミド6/66/610であり、更に好ましいのはポリアミド6/66/610である。
(C)融点が100〜230℃のポリアミドは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0050】
(C)融点が100〜230℃のポリアミドの融点は、好ましくは100〜200℃であり、より好ましくは120〜200℃、更に好ましくは130〜190℃である。融点が上記範囲であれば、成形性に優れたポリアセタール樹脂組成物を提供することができる。
【0051】
本実施形態のポリアセタール樹脂組成物において、(C)融点が100〜230℃のポリアミドの含有量は、(A)ポリアセタール樹脂100質量部に対して、0.001〜0.2質量部であり、好ましくは0.005〜0.1質量部、より好ましくは0.01〜0.05質量部である。(C)融点が100〜230℃のポリアミドの含有量が上記範囲であれば、成形性に優れたポリアセタール樹脂組成物を提供することができる。
【0052】
〔(D)脂肪酸ジエステル〕
(D)脂肪酸ジエステルとしては、例えば、脂肪酸とアルキレングリコールとのジエステル等が挙げられる。
上記脂肪酸としては、カプリン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、ヘプタデシル酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグリセリン酸、セロチン酸、ヘプタコサン酸、モンタン酸、メリシン酸、ラクセル酸、ウンデシレン酸、オレイン酸、エライジン酸、セトレイン酸、エルカ酸、ブラシジン酸、ソルビン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、プロピオール酸、ステアロール酸、12−ヒドロキシドデカン酸、3−ヒドロキシデカン酸、16−ヒドロキシヘキサデカン酸、10−ヒドロキシヘキサデカン酸、12−ヒドロキシオクタデカン酸、10−ヒドロキシ−8−オクタデカン酸、dl−エリスロ−9,10−ジヒドロキシオクタデカン酸等が挙げられる。
上記アルキレングリコールとしては、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、エピクロルヒドリン、スチレンオキシド、2−メチルテトラヒドロフラン、オキセパン等が挙げられる。
これら(D)脂肪酸ジエステルは、1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0053】
脂肪酸ジエステルとしては、エチレングリコールジミリスチン酸エステル、エチレングリコールジペンタデシル酸エステル、エチレングリコールジパルミチン酸エステル、エチレングリコールジヘプタデシル酸エステル、エチレングリコールジステアリン酸エステル、エチレングリコール(ミリスチン酸−パルミチン酸)エステル、エチレングリコール(ミリスチン酸−ステアリン酸)エステル、エチレングリコール(パルミチン酸−ステアリン酸)エステル、エチレングリコール(ミリスチン酸−ペンタデシル酸)エステル、エチレングリコール(ミリスチン酸−ヘプタデシル酸)エステル、エチレングリコール(ペンタデシル酸−パルミチン酸)エステル、(ポリ)エチレングリコール(パルミチン酸−ヘプタデシル酸)エステル、エチレングリコール(ヘプタデシル酸−ステアリン酸)エステル等が挙げられる。これらの中でも、摺動性向上の観点から、エチレングリコールジミリスチン酸エステル、エチレングリコールジパルミチン酸エステル、エチレングリコールジステアリン酸エステルが好ましく、連続成形時の金型汚染抑制、及び摺動性向上の観点から、より好ましいのはエチレングリコールジステアリン酸エステルである。
【0054】
エチレングリコールジステアリン酸エステルの酸価は2mg/KOH/g以下である事が好ましく、水酸基価は4.0以下である事が好ましく、けん化価は190〜210の範囲であることが好ましい。エチレングリコールジステアリン酸エステルの酸価、水酸基価、又はけん化価(好ましくは酸価、水酸基価、及びけん化価)が上記範囲であると、摺動性に優れたポリアセタール樹脂組成物を提供することができる。
【0055】
本実施形態のポリアセタール樹脂組成物において、(D)脂肪酸ジエステルの含有量は、(A)ポリアセタール樹脂100質量部に対して、0.0001〜1質量部であり、好ましくは0.01〜0.8質量部、より好ましくは0.1〜0.5質量部である。(D)脂肪酸ジエステルの含有量が上記範囲であれば、摺動性に優れたポリアセタール樹脂組成物を提供することができる。
【0056】
〔(E)脂肪酸モノエステル〕
本実施形態のポリアセタール樹脂組成物は、(E)脂肪酸モノエステルを含んでいてもよい。本実施形態のポリアセタール樹脂組成物は、(D)脂肪酸ジエステルと(E)脂肪酸モノエステルとを含むことにより、連続成形時の金型汚染を一層抑制でき、得られる成形品中の異物発生量を一層少なくでき、得られる成形品の摺動性能に一層優れる。
(E)脂肪酸モノエステルとしては、例えば、脂肪酸とアルキレングリコールとのモノエステル等が挙げられる。
上記脂肪酸としては、カプリン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、ヘプタデシル酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグリセリン酸、セロチン酸、ヘプタコサン酸、モンタン酸、メリシン酸、ラクセル酸、ウンデシレン酸、オレイン酸、エライジン酸、セトレイン酸、エルカ酸、ブラシジン酸、ソルビン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、プロピオール酸、ステアロール酸、12−ヒドロキシドデカン酸、3−ヒドロキシデカン酸、16−ヒドロキシヘキサデカン酸、10−ヒドロキシヘキサデカン酸、12−ヒドロキシオクタデカン酸、10−ヒドロキシ−8−オクタデカン酸、dl−エリスロ−9,10−ジヒドロキシオクタデカン酸等が挙げられる。
上記アルキレングリコールとしては、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、エピクロルヒドリン、スチレンオキシド、2−メチルテトラヒドロフラン、オキセパン等が挙げられる。
これら(E)脂肪酸モノエステルは、1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0057】
脂肪酸モノエステルとしては、エチレングリコールモノミリスチン酸エステル、エチレングリコールモノペンタデシル酸エステル、エチレングリコールモノパルミチン酸エステル、エチレングリコールモノヘプタデシル酸エステル、エチレングリコールモノステアリン酸エステル等が挙げられる。これらの中でも、摺動性向上の観点から、エチレングリコーモノジミリスチン酸エステル、エチレングリコールモノパルミチン酸エステル、エチレングリコールモノステアリン酸エステルが好ましく、連続成形時の金型汚染抑制、及び摺動性向上の観点から、より好ましいのはエチレングリコールモノステアリン酸エステルである。
【0058】
本実施形態のポリアセタール樹脂組成物において、(E)脂肪酸モノエステルの含有量は、(A)ポリアセタール樹脂100質量部に対して、0.0001〜0.05質量部であり、好ましくは0.0005〜0.01質量部、より好ましくは0.0008〜0.005質量部である。(E)脂肪酸モノエステルの含有量が、上記範囲であることにより、連続成形時の金型汚染を一層抑制でき、得られる成形品中の異物発生量を一層少なくでき、得られる成形品の摺動性能に一層優れる。
【0059】
〔(F)添加剤〕
本実施形態のポリアセタール樹脂組成物には、公知の添加剤、例えば、酸化防止剤、熱安定剤やギ酸捕捉剤等の安定剤、耐候安定剤、離型剤、潤滑剤、導電剤、熱可塑性樹脂、熱可塑性エラストマー、染顔料、顔料、あるいは無機充填剤又は有機充填剤等を添加してもよい。これらの添加剤は、1種類のみを単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0060】
上記酸化防止剤としては、ヒンダートフェノール系酸化防止剤が好ましい。
当該ヒンダートフェノール系酸化防止剤としては、例えば、n−オクタデシル−3−(3',5'−ジ−t−ブチル−4'−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート、n−オクタデシル−3−(3'−メチル−5'−t−ブチル−4'−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート、n−テトラデシル−3−(3',5'−ジ−t−ブチル−4'−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート、1,6−ヘキサンジオール−ビス−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート]、1,4−ブタンジオール−ビス−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート]、トリエチレングリコール−ビス−[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート]、ペンタエリスリトールテトラキス[メチレン−3−(3',5'−ジ−t−ブチル−4'−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン等が挙げられる。中でも、トリエチレングリコール−ビス−[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート]及びペンタエリスリトールテトラキス[メチレン−3−(3',5'−ジ−t−ブチル−4'−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタンが好ましい。
これらの酸化防止剤は、1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0061】
上記熱安定剤としては、例えば、アミノ置換トリアジン化合物、アミノ置換トリアジン化合物とホルムアルデヒドの付加物、アミノ置換トリアジン化合物とホルムアルデヒドの縮合物、尿素、尿素誘導体、ヒドラジン誘導体、イミダゾール化合物、イミド化合物が挙げられる。
上記アミノ置換トリアジン化合物としては、例えば、2,4−ジアミノ−sym−トリアジン、2,4,6−トリアミノ−sym−トリアジン、N−ブチルメラミン、N−フェニルメラミン、N,N−ジフェニルメラミン、N,N−ジアリルメラミン、ベンゾグアナミン(2,4−ジアミノ−6−フェニル−sym−トリアジン)、アセトグアナミン(2,4−ジアミノ−6−メチル−sym−トリアジン)、2,4−ジアミノ−6−ブチル−sym−トリアジン等が挙げられる。
上記アミノ置換トリアジン類化合物とホルムアルデヒドとの付加物としては、例えば、N−メチロールメラミン、N,N’−ジメチロールメラミン、N,N’,N”−トリメチロールメラミンが挙げられる。
上記アミノ置換トリアジン類化合物とホルムアルデヒドとの縮合物としては、例えば、メラミン・ホルムアルデヒド縮合物が挙げられる。
上記尿素誘導体としては、例えば、N−置換尿素、尿素縮合体、エチレン尿素、ヒダントイン化合物、ウレイド化合物が挙げられる。
上記N−置換尿素としては、例えば、アルキル基等の置換基が置換したメチル尿素、アルキレンビス尿素、アーリル置換尿素が挙げられる。
上記尿素縮合体としては、例えば、尿素とホルムアルデヒドの縮合体等が挙げられる。
上記ヒダントイン化合物としては、例えば、ヒダントイン、5,5−ジメチルヒダントイン、5,5−ジフェニルヒダントイン等が挙げられる。
上記ウレイド化合物としては、例えば、アラントイン等が挙げられる。
上記ヒドラジン誘導体としては、例えば、ヒドラジド化合物を挙げることができる。
上記ヒドラジド化合物としては、例えば、ジカルボン酸ジヒドラジドが挙げられ、更に具体的には、マロン酸ジヒドラジド、コハク酸ジヒドラジド、グルタル酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、ピメリン酸ジヒドラジド、スペリン酸ジヒドラジド、アゼライン酸ジヒドラジド、セバチン酸ジヒドラジド、ドデカン二酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド、フタル酸ジヒドラジド、2,6−ナフタレンジカルボジヒドラジド等が挙げられる。
上記イミド化合物の具体例としてはスクシンイミド、グルタルイミド、フタルイミドが挙げられる。
上述した各種熱安定剤は、1種類のみを単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0062】
熱安定剤の添加量としては、(A)ポリアセタール樹脂100質量部に対して、0.001〜5質量部が好ましく、より好ましくは0.001〜3質量部であり、さらに好ましくは0.01〜1質量部である。
ポリアセタール樹脂に対する熱安定剤の添加量を上記範囲にすることで、熱安定性に優れるポリアセタール樹脂ペレットを得ることができる。
【0063】
上記ギ酸捕捉剤としては、例えば、上記のアミノ置換トリアジン化合物やアミノ置換トリアジン類化合物とホルムアルデヒドとの縮合物、例えばメラミン・ホルムアルデヒド縮合物等を挙げることができる。
その他のギ酸捕捉剤としては、例えば、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物、無機酸塩、カルボン酸塩又はアルコキシドが挙げられる。例えば、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウムもしくはバリウム等の水酸化物;上記金属の炭酸塩、リン酸塩、珪酸塩、ホウ酸塩、カルボン酸塩、さらには層状複水酸化物が挙げられる。
【0064】
上記カルボン酸塩のカルボン酸としては、10〜36個の炭素原子を有する飽和又は不飽和脂肪族カルボン酸が好ましく、これらのカルボン酸は水酸基で置換されていてもよい。
飽和又は不飽和脂肪族カルボン酸塩としては、例えば、ジミリスチン酸カルシウム、ジパルミチン酸カルシウム、ジステアリン酸カルシウム、(ミリスチン酸−パルミチン酸)カルシウム、(ミリスチン酸−ステアリン酸)カルシウム、(パルミチン酸−ステアリン酸)カルシウム、12ヒドロキシステアリン酸カルシウムが挙げられ、中でも好ましくは、ジパルミチン酸カルシウム、ジステアリン酸カルシウム、12−ヒドロキシジステアリン酸カルシウムが挙げられる。
ギ酸補捉剤は、1種類のみを単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0065】
上記耐候安定剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール系化合物、蓚酸アニリド系化合物、及びヒンダードアミン系光安定剤からなる群より選択される少なくとも1種が好ましいものとして挙げられる。
上記ベンゾトリアゾール系化合物としては、例えば、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチル−フェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチル−フェニル)ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−アミルフェニル]ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3,5−ジ−イソアミル−フェニル)ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−3,5−ビス−(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−4’−オクトキシフェニル)ベンゾトリアゾール等が挙げられる。
これらの化合物はそれぞれ1種のみを単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0066】
上記蓚酸アリニド系化合物としては、例えば、2−エトキシ−2’−エチルオキザリックアシッドビスアニリド、2−エトキシ−5−t−ブチル−2’−エチルオキザリックアシッドビスアニリド、2−エトキシ−3’−ドデシルオキザリックアシッドビスアニリド等が挙げられる。
これらの化合物は、1種のみを単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0067】
上記ヒンダードアミン系光安定剤としては、例えば、4−アセトキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ステアロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−アクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(フェニルアトキシ)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−メトキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ステアリルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−シクロヘキシルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ベンジルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−フェノキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(エチルカルバモイルオキシ)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(シクロヘキシルカルバモイルオキシ)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(フェニルカルバモイルオキシ)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−カーボネート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−オキサレート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−マロネート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)セバケート、ビス−(N−メチル−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)セバケート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−セバケート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−アジペート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−テレフタレート、1,2−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルオキシ)−エタン、α,α’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルオキシ)−p−キシレン、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルトリレン−2,4−ジカルバメート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−ヘキサメチレン−1,6−ジカルバメート、トリス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−ベンゼン−1,3,5−トリカルボキシレート、トリス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−ベンゼン−1,3,4−トリカルボキシレート、1−[2−{3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ}ブチル]−4−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸と1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジノールとβ,β,β’,β’,−テトラメチル−3,9−[2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン]ジエタノールとの縮合物、等が挙げられる。
上記ヒンダードアミン系光安定剤は、それぞれ1種のみを単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
中でも好ましい耐候安定剤は、2−[2’−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−アミルフェニル]ベンゾトリアゾール、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)セバケート、ビス−(N−メチル−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)セバケート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)セバケート、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸と1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジノールとβ,β,β’,β’,−テトラメチル−3,9−[2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン]ジエタノールとの縮合物である。
【0068】
上記離型剤及び上記潤滑剤としては、例えば、平均重合度が10〜500であるオレフィン化合物、シリコーン、エチレンビスステアリルアマイドが好ましいものとして挙げられる。
離型剤及び潤滑剤は、1種類のみを単独で用いてもよいし、2種類以上組み合わせて用いてもよい。
【0069】
上記導電剤としては、例えば、導電性カーボンブラック、金属粉末又は繊維が挙げられる。
導電剤は、1種類のみを単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0070】
上記熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリオレフィン樹脂、アクリル樹脂、スチレン樹脂、ポリカーネート樹脂、未硬化のエポキシ樹脂が挙げられる。
熱可塑性樹脂は1種類のみを単独で用いてもよいし、2種類以上組み合わせて用いてもよい。
また、熱可塑性樹脂としては、上述した樹脂の変性物も含まれる。
【0071】
上記熱可塑性エラストマーとしては、例えば、ポリウレタン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリスチレン系エラストマー、ポリアミド系エラストマーが挙げられる。
熱可塑性エラストマーは1種類のみを単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0072】
上記染顔料としては、例えば、無機系顔料及び有機系顔料、メタリック系顔料、蛍光顔料等が挙げられる。
無機系顔料とは樹脂の着色用として一般的に使用されているものを言い、例えば、硫化亜鉛、酸化チタン、硫酸バリウム、チタンイエロー、コバルトブルー、燃成顔料、炭酸塩、りん酸塩、酢酸塩やカーボンブラック、アセチレンブラック、ランプブラック等が挙げられる。
有機系顔料とは、例えば、縮合ウゾ系、イノン系、フロタシアニン系、モノアゾ系、ジアゾ系、ポリアゾ系、アンスラキノン系、複素環系、ペンノン系、キナクリドン系、チオインジコ系、ベリレン系、ジオキサジン系、フタロシアニン系等の顔料である等の顔料が挙げられる。
染顔料は、1種類のみを単独で用いてもよいし、2種類以上組み合わせて用いてもよい。
【0073】
上記顔料としては、例えば、無機系顔料及び有機系顔料、メタリック系顔料、蛍光顔料等が挙げられる。無機系顔料とは、樹脂の着色用として一般的に使用されている顔料を言い、例えば、硫化亜鉛、酸化チタン、硫酸バリウム、チタンイエロー、コバルトブルー、燃成顔料、炭酸塩、りん酸塩、酢酸塩やカーボンブラック、アセチレンブラック、ランプブラック等を言う。有機系顔料とは、縮合ウゾ系、イノン系、フロタシアニン系、モノアゾ系、ジアゾ系、ポリアゾ系、アンスラキノン系、複素環系、ペンノン系、キナクリドン系、チオインジコ系、ベリレン系、ジオキサジン系、フタロシアニン系等の顔料である。顔料の添加割合は色調により大幅に変わるため明確にすることは難しいが一般的には、ポリアセタール樹脂100質量部に対して、0.05〜5質量部の範囲で用いられる。
顔料は1種類のみを単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0074】
上記熱可塑性樹脂以外のその他の樹脂としては、特に限定されないが、例えば、ポリオレフィン樹脂、アクリル樹脂、スチレン樹脂、ポリカーネート樹脂、未硬化のエポキシ樹脂が挙げられる。
その他の樹脂は1種類のみを単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0075】
上記無機充填剤としては、例えば、繊維状、粉粒子状、板状及び中空状の充填剤が用いられる。
繊維状無機充填剤としては、例えば、ガラス繊維、炭素繊維、シリコーン繊維、シリカ・アルミナ繊維、ジルコニア繊維、窒化硼素繊維、窒化硅素繊維、硼素繊維、チタン酸カリウム繊維、さらにステンレス、アルミニウム、チタン、銅、真鍮等の金属繊維等の無機質繊維が挙げられる。
また、繊維長の短いチタン酸カリウムウイスカー、酸化亜鉛ウイスカー等のウイスカー類も含まれる。
上記粉粒子状充填剤としては、例えば、カーボンブラック、シリカ、石英粉末、ガラスビーズ、ガラス粉、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、珪酸アルミニウム、カオリン、クレー、珪藻土、ウォラストナイト等の珪酸塩;酸化鉄、酸化チタン、アルミナ等の金属酸化物;硫酸カルシウム、硫酸バリウム等の金属硫酸塩;炭酸マグネシウム、ドロマイト等の炭酸塩;その他炭化珪素、窒化硅素、窒化硼素、各種金属粉末等が挙げられる。
上記板状充填剤としては、例えば、マイカ、ガラスフレーク、各種金属箔が挙げられる。
上記中空状充填剤としては、例えば、ガラスバルーン、シリカバルーン、シラスバルーン、金属バルーン等が挙げられる。
【0076】
上記有機充填剤としては、例えば、芳香族ポリアミド樹脂、フッ素樹脂、アクリル樹脂等の高融点有機繊維状充填剤が挙げられる。
これらの充填剤は1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を併用して使用してもよい。
【0077】
これらの充填剤は表面処理された充填剤、未表面処理の充填剤、何れも使用可能であるが、成形表面の平滑性、機械的特性の面から表面処理の施された充填剤の使用の方が好ましい場合がある。
【0078】
上記表面処理剤としては、特に限定されず、従来公知の表面処理剤が使用可能である。
表面処理剤としては、例えば、シラン系、チタネート系、アルミニウム系、ジルコニウム系等の各種カップリング処理剤、樹脂酸、有機カルボン酸、有機カルボン酸の塩等、界面活性剤が使用できる。
表面処理剤としては、例えば、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、イソプロピルトリスステアロイルチタネート、ジイソプロポキシアンモニウムエチルアセテート、n−ブチルジルコネート等が挙げられる。
【0079】
本実施形態のポリアセタール樹脂組成物(100質量%)中の、(A)ポリアセタール樹脂、(B)アクリルアミド重合体、(C)融点が100〜230℃のポリアミド、(D)脂肪酸ジエステル、及び(E)脂肪酸モノエステルの合計含有量としては、連続成形時の金型汚染を一層抑制でき、得られる成形品中の異物発生量を一層少なくでき、得られる成形品の摺動性能に一層優れる観点から、98.0〜100質量%であることが好ましく、より好ましくは98.5〜100質量%である。
【0080】
本実施形態のポリアセタール樹脂組成物を製造する方法は、特に限定されない。
本実施形態のポリアセタール樹脂組成物を製造する方法としては、例えば、(A)ポリアセタール樹脂と、(B)アクリルアミド重合体、(C)融点が100〜230℃のポリアミドと、(D)脂肪酸ジエステルとを、必要に応じて上述した所定の成分を、ヘンシェルミキサー、タンブラー、V字型ブレンダ―等で混合した後、1軸又は多軸の押出機、加熱ロール、ニーダー、バンバリーミキサー等の混練機を用いて混練すること等により得られる。中でも、ベント減圧装置を備えた押出機による混練が、生産性の観点から好ましい。また、ポリアセタール樹脂組成物を大量に安定して製造するには、単軸又は二軸の押出機が好適に用いられる。
また、予め混合することなく、定量フィーダー等で各成分を単独あるいは数種類ずつまとめて押出機に連続フィードすることもできる。
また、予め各成分からなる高濃度マスターバッチを作製しておき、押出溶融混練時にポリアセタール樹脂で希釈することもできる。
【0081】
混練温度は、使用するポリアセタール樹脂の好ましい加工温度に従えばよく、一般的には、140〜260℃の範囲、好ましくは180〜230℃の範囲とする。
【0082】
〔成形方法〕
本実施形態のポリアセタール樹脂組成物は、成形し、成形品として使用することができる。成形する方法については、特に限定はなく、公知の成形方法、例えば、押出成形、射出成形、真空成形、ブロー成形、射出圧縮成形、加飾成形、他材質成形、ガスアシスト射出成形、発砲射出成形、低圧成形、超薄肉射出成形(超高速射出成形)、金型内複合成形(インサート成形、アウトサート成形)等の成形方法の何れかによって成形することができる。
これらの中でも、安定生産性の観点から射出成形法が好ましく、ホットランナー金型を用いた射出成形法がより好ましい。
【0083】
〔用途〕
本実施形態のポリアセタール樹脂組成物は、ホットランナー金型を用いた連続成形を行っても、安定生産性が高く、金型の汚染も少ない。従って、様々な用途の成形品に使用することが可能である。
【0084】
例えば、ギア、カム、スライダー、レバー、軸、軸受け及びガイド等に代表される機構部品、アウトサート成形の樹脂部品又はインサート成形の樹脂部品(シャーシ、トレー、側板部品)、プリンター又は複写機用部品、デジタルカメラ又はデジタルビデオ機器用部品、音楽、映像又は情報機器用部品、通信機器用部品、電気機器用部品、電子機器用部品用に用いられる。
【0085】
また、自動車用の部品として、ガソリンタンク、フュエルポンプモジュール、バルブ類、ガソリンタンクフランジ等に代表される燃料廻り部品;ドア廻り部品;シートベルト周辺部品;コンビスイッチ部品;スイッチ類に好適に使用される。
さらに、住宅設備機器に代表される工業部品としても好適に使用できる。
【実施例】
【0086】
以下、本実施形態について、具体的な実施例と、これとの比較例を挙げて説明するが、本実施形態は、以下の実施例に限定されるものではない。
なお、実施例及び比較例において適用した測定・評価方法を下記に示す。
【0087】
〔測定・評価方法〕
<ホットランナー金型連続成形によるモールドデポジッド性評価>
図1に示す構成を有する成形機を用い、下記(a−1)成形条件に従って、ポリアセタール樹脂組成物のモールドデポジッド性評価を行った。評価基準は下記(b−1)を用いた。
(a−1)成形条件
・射出成形機 :東芝機械(株)IS−100GN
(溶融樹脂流路末端先端部ガス抜き部無、ウエルド部有)
・シリンダー設定温度 :220℃
・マニホールド設定温度:220℃(ノズル自動開閉式)
・金型設定温度 :80℃
・成形サイクル :射出時間/冷却時間=20/20秒
・金型サイズ :70×60mm×3mm
(b−1)評価基準
以下の評価基準に基づいて、成形開始から1000ショット目の金型キャビティ内のモールドデポジッド付着状況を観察した。
1:付着物が金型キャビティ内の5%未満の範囲で観察された。
2:付着物が金型キャビティ内の5%以上10%未満の範囲で観察された
3:付着物が金型キャビティ内の10%以上20%未満の範囲で観察された。
4:付着物が金型キャビティ内の20%以上30%未満の範囲で観察された。
5:付着物が金型キャビティ内の30%以上の範囲で観察された。
【0088】
<ホットランナー金型連続成形による成形品中の異物発生量測定>
図1に示す構成を有する成形機を用い、下記(a−2)成形条件に従って、ポリアセタール樹脂組成物の成形品中の異物発生量の測定を行った。評価基準は下記(b−2)を用いた。
(a−2)成形条件
・射出成形機 :東芝機械(株)IS−100GN
(溶融樹脂流路末端先端部ガス抜き部無、ウエルド部有)
・シリンダー設定温度 :220℃
・マニホールド設定温度:220℃(ノズル自動開閉式)
・金型設定温度 :80℃
・成形サイクル :射出時間/冷却時間=20/20秒
・金型サイズ :70×60mm×3mm
(b−2)評価基準
成形4501ショット目から5000ショット目の試験片中の異物点数を測定した。そして100枚当たりの異物発生数(個)に換算し、異物発生数(個/試験片100枚当たり)とした。異物は0.1mm以上の物を計測した。
【0089】
<長期摺動特性>
東芝機械(株)製IS−100GN射出成形機を用いて、シリンダー温度220℃、金型温度80℃、射出圧力60MPa、射出時30秒、冷却時間15秒で、ISOダンベル試験片を成形した。この試験片を、往復動摩擦摩耗試験機(東洋精密(株)製、AFT−15MS型)を用いて荷重1kg、線速度30mm/sec、往復距離20mm及び環境温度23℃の条件で、100回往復した後の摩擦係数、50000回往復した後の摩擦係数、50000回往復した後の最大摩耗深さを測定した。相手材料としては、SUS304試験片(直径5mmの球)を用いた。
【0090】
実施例、及び比較例に用いた原料成分について下記に示す。
<(A)ポリアセタール樹脂>
攪拌羽根を具備する重合反応器をn−へキサンで満たし、精製ホルムアルデヒドガス(水分量:110ppm)と、重合触媒(ジメチルジステアリルアンモニウムアセテート)と、分子量調節剤(無水酢酸)とを、夫々連続的にフィードし、重合反応させた。
このときの重合反応温度は58℃とした。
得られた粗ポリアセタールホモポリマーを、n−ヘキサンと無水酢酸との1対1混合溶媒で満たした反応容器に投入し、150℃で2時間攪拌を行い、粗ポリアセタールホモポリマーの不安定末端をエステル化処理した。
この時のポリマー、並びに「n−ヘキサン及び無水酢酸の1対1混合溶媒」の質量比(スラリー濃度)は、「n−ヘキサン及び無水酢酸との1対1混合溶媒」100に対してポリマー20とした。
粗ポリアセタールホモポリマーの末端安定化処理が終了した後、反応容器から「n−ヘキサン及び無水酢酸の1対1混合溶媒」とポリアセタールホモポリマーとを取り出し、n−ヘキサン溶媒を加えてポリアセタールホモポリマーを繰り返し洗浄し、無水酢酸を洗い落とした。
洗浄回数は、ポリアセタールホモポリマー中の無水酢酸濃度が10ppm以下になるまで繰り返した。
その後、120℃で3時間、−700mmHgの条件でポリアセタールホモポリマーを減圧乾燥し、洗浄に用いたn−へキサン溶媒を除去し、更に、120℃に設定した加熱式乾燥機を用いて5時間乾燥し、ポリアセタールホモポリマー中に含まれる水分を除去し、MFR2.2g/10minのパウダー状(平均粒子径が200μm)ポリアセタールホモポリマーを得た。
ポリアセタールポリマーの平均粒子径は、レーザ回折式粒度分布測定装置により測定した。
【0091】
<(B)アクリルアミド重合体>
[B−1:アクリルアミド重合体の製造方法]
攪拌機を具備するバッチ式の5Lの反応機に、アクリルアミド2400g、触媒としてジルコニウムテトライソプロポキシド0.54g(アクリルアミドに対し1/10000mol)を加え、N
2気流中で攪拌しながら125℃で4時間反応させた。
反応終了後に、固形物をジェットミル粉砕機で粉砕し、アセトンで洗浄した。
その後、120℃で20時間、−700mmHgの減圧度で減圧乾燥した。第一級アミド基の含有量は56.3mol%、平均粒子径は5.2μmであった。アクリルアミド重合体(B−1)の平均粒子径は、レーザ回折式粒度分布測定装置により測定した。
【0092】
[B−2:アクリルアミド重合体(架橋構造)の製造方法]
攪拌機を具備するバッチ式の5Lの反応機に、アクリルアミド2400gとN,N’−メチレンビスアクリルアミド267g、触媒としてジルコニウムテトライソプロポキシド0.54g(アクリルアミドに対し1/10000mol)を加え、N
2気流中で攪拌しながら125℃で4時間反応させた。
反応終了後に、固形物をジェットミル粉砕機で粉砕し、アセトンで洗浄した。
その後、120℃で20時間、−700mmHgの減圧度で減圧乾燥した。第一級アミド基の含有量は50.4mol%、平均粒子径は5.1μmであった。アクリルアミド重合体(B−2)の平均粒子径は、レーザ回折式粒度分布測定装置により測定した。
【0093】
<(C)ポリアミド>
[C−1:ポリアミド6/66/610の製造方法]
アジピン酸とヘキサメチレンジアミンの等モル塩0.45kgと、セバシン酸とヘキサメチレンジアミンの等モル塩0.32kg、ε−カプロラクタム1.67kg、及び純水2.5kgを5Lのオートクレーブの中に仕込みよく攪拌した。窒素で十分置換した後、攪拌しながら温度を室温から220℃まで約1時間かけて昇温した。この際、オートクレーブ内の水蒸気による自然圧で内圧は1.8MPaとなるが、1.8MPa以上の圧にならないよう水を反応系外に除去しながら加熱を継続。内温230℃到達時点で加熱を停止し、オートクレーブ上部の排出バルブを閉止した。その後約8時間かけて室温まで冷却した。冷却終了後オートクレーブを開放し、約2kgのポリマーを取出し粉砕し粉状とした。得られたポリアミド6/66/610の融点は155℃であった。
【0094】
<(D)脂肪酸ジエステル>
D−1:エチレングリコールジステアリン酸エステル 融点70℃
【0095】
<(E)脂肪酸モノエステル>
D−2:エチレングリコールモノステアリン酸エステル 融点60℃
【0096】
<(F)添加剤>
F−1:エチレンビスステアリルアマイド 融点150℃
【0097】
〔実施例1〕
(A−1)ポリアセタール樹脂100質量に、トリエチレングリコール−ビス[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート]0.2質量部と、(B−1)アクリルアミド0.1質量部、(C−1)ポリアミド6/66/6100を0.02質量部、(D−1)エチレングリコールジステアレート0.3質量部とを、ヘンシェルミキサーを用いて均一に混合して混合物を得た。
この混合物を200℃に設定された30mmベント付2軸押出機のトップフィード口からフィードし、スクリュー回転数80rpm、ベント減圧度−0.09MPa、吐出量3kg/hrで溶融混錬しペレット化した後、当該ペレットを熱風温度80℃で3時間乾燥することによりポリアセタール樹脂組成物ペレットを得た。
得られたポリアセタール樹脂組成物ペレットを用いて、ホットランナー金型によるモールドデポジッド性と連続成形時の異物発生量、及び長期摺動特性を、上述した方法により測定、評価した。評価結果を下記表1に示す。
【0098】
〔実施例2〜9〕
組成を表1の通りとした以外は、実施例1と同様な操作を行い、ポリアセタール樹脂組成物ペレットを得た。
得られたポリアセタール樹脂組成物ペレットを用いて、ホットランナー金型によるモールドデポジッド性と連続成形時の異物発生量、及び長期摺動特性を、上述した方法により測定、評価した。評価結果を下記表1に示す。
【0099】
〔比較例1〕
(A−1)ポリアセタール樹脂100質量に、トリエチレングリコール−ビス[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート]0.2質量部と、(B−1)アクリルアミド0.2質量部とを、ヘンシェルミキサーを用いて均一に混合して混合物を得た。得られたポリアセタール樹脂組成物ペレットを用いて、ホットランナー金型によるモールドデポジッド性と連続成形時の異物発生量、及び長期摺動特性を、上述した方法により測定、評価した。評価結果を下記表1に示す。
【0100】
〔比較例2〜14〕
組成を表1の通りとした以外は、実施例1と同様な操作を行い、ポリアセタール樹脂組成物ペレットを得た。
得られたポリアセタール樹脂組成物ペレットを用いて、ホットランナー金型によるモールドデポジッド性と連続成形時の異物発生量、及び長期摺動特性を、上述した方法により測定、評価した。評価結果を下記表1に示す。
【0101】
【表1】
【0102】
表1に示したように、実施例1〜9で得られたポリアセタール樹脂組成物は、ホットランナー金型を用いた連続成形を行った場合にもモールドデポジット性、異物発生量に優れ、かつ、得られた成形品の長期摺動性も優れていた。
一方、比較例1〜14で得られたポリアセタール樹脂組成物は、は、モールドデポジット性、異物発生量が劣り、得られた成形品の長期摺動性も劣っていた。