特許第6965105号(P6965105)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6965105
(24)【登録日】2021年10月22日
(45)【発行日】2021年11月10日
(54)【発明の名称】チャンネル及びドアサッシュ構造
(51)【国際特許分類】
   B60J 1/17 20060101AFI20211028BHJP
   B60J 5/04 20060101ALI20211028BHJP
【FI】
   B60J1/17 B
   B60J5/04 M
   B60J5/04 N
【請求項の数】3
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2017-212126(P2017-212126)
(22)【出願日】2017年11月1日
(65)【公開番号】特開2019-84852(P2019-84852A)
(43)【公開日】2019年6月6日
【審査請求日】2020年10月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】590001164
【氏名又は名称】シロキ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】木村 純
(72)【発明者】
【氏名】亀山 隆
【審査官】 宮地 将斗
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−168757(JP,A)
【文献】 特開2007−253724(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60J 1/00−1/20
B60J 5/04
B60J 10/76
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向と直交する断面においてドアガラスの内面と前記ドアガラスの外面とのうち一方に沿って延び、第1の端部と、前記第1の端部の反対側に位置する第2の端部と、前記第1の端部と前記第2の端部との間に位置して前記ドアガラスを案内するガラスランが係止される第1の係止部と、を有する第1の側壁と、
長手方向と直交する断面において前記内面と前記外面とのうち他方に沿って延び、第3の端部と、前記第3の端部の反対側に位置する第4の端部と、前記第3の端部と前記第4の端部との間に位置して前記ガラスランが係止される第2の係止部と、ドアの少なくとも一部を構成するドア構成部材に固定されるよう構成され前記第4の端部と前記第2の係止部との間に位置する固定部と、を有する第2の側壁と、
前記第1の端部と前記第3の端部とに接続されるとともに前記ドアガラスの端面に沿って延びる端壁と、
を具備し、
前記固定部は、前記端壁から離間するほど前記第1の側壁から離間し、
前記第2の側壁は、前記第1の側壁に向く内面と、前記内面の反対側に位置するとともに前記ドア構成部材に接触するよう構成された外面と、を有し、
前記第1の側壁に、前記内面の法線方向に前記固定部を露出させる開口が設けられる、
チャンネル。
【請求項2】
前記開口は、前記第1の係止部より前記第2の端部側に設けられる、請求項1のチャンネル。
【請求項3】
請求項1又は請求項2のチャンネルを有する、ドアサッシュ構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、チャンネル及びドアサッシュ構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ドアガラスの昇降を案内するロアサッシュのようなチャンネルが知られている。ロアサッシュは、例えば、二つの側壁部と、当該側壁間を接続する底壁部と、底壁部から延出するひれ部とを有する。
【0003】
ドアミラーを取り付けるためのミラー用ブラケットの後端部が、ひれ部の車外側面に当接する。ミラー用ブラケットとひれ部とは、リベットによって互いに連結される。(特許文献1)
【0004】
また、下方が開口する略コの字形断面を有するチャンネルも知られている。当該チャンネルの一方の側面下部に、ブラケットがネジにより結合される。このため、当該一方の側面下部は、他方の側面下部よりも長く延ばされる。(特許文献2)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2015−98247号公報
【特許文献2】特開2007−38716号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、例えば特許文献1のように、押出成形やロール成形によってひれ部が設けられたロアサッシュを製造することで、ロアサッシュの長手方向の略全域にひれ部が設けられる。例えば、ひれ部の不要な部分を切断すると、ロアサッシュの製造工程が増加してしまう。
【0007】
また、例えば特許文献2のように、チャンネルの一方の側面下部を長くすると、チャンネルの断面が大型化することがある。
【0008】
本発明はこうした実状に鑑みてなされたものであり、その目的は、大型化を抑制可能なチャンネル及びドアサッシュ構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の実施形態に係るチャンネルは、一例として、長手方向と直交する断面においてドアガラスの内面と前記ドアガラスの外面とのうち一方に沿って延び、第1の端部と、前記第1の端部の反対側に位置する第2の端部と、前記第1の端部と前記第2の端部との間に位置して前記ドアガラスを案内するガラスランが係止される第1の係止部と、を有する第1の側壁と、長手方向と直交する断面において前記内面と前記外面とのうち他方に沿って延び、第3の端部と、前記第3の端部の反対側に位置する第4の端部と、前記第3の端部と前記第4の端部との間に位置して前記ガラスランが係止される第2の係止部と、ドアの少なくとも一部を構成するドア構成部材に固定されるよう構成され前記第4の端部と前記第2の係止部との間に位置する固定部と、を有する第2の側壁と、前記第1の端部と前記第3の端部とに接続されるとともに前記ドアガラスの端面に沿って延びる端壁と、を備え、前記固定部は、前記端壁から離間するほど前記第1の側壁から離間し、前記第2の側壁は、前記第1の側壁に向く内面と、前記内面の反対側に位置するとともに前記ドア構成部材に接触するよう構成された外面と、を有し、前記第1の側壁に、前記内面の法線方向に前記固定部を露出させる開口が設けられる。よって、一例としては、第2の側壁の長さを短くしたとしても、第2の側壁をドアミラー取付部材のようなドア構成部材に固定する為の工具を第2の側壁に当てやすくなる。従って、チャンネルの大型化が抑制される。
【0010】
また、一例としては、開口を通して内面に工具を当てやすくなり、第2の側壁をより容易にドア構成部材に固定することができる。
【0011】
上記チャンネルでは、一例として、前記開口は、前記第1の係止部より前記第2の端部側に設けられる。よって、一例としては、第1の係止部が開口を設けることにより欠けることが抑制され、第1の係止部がより確実にガラスランを係止することができる。
【0012】
本発明の実施形態に係るドアサッシュ構造は、一例として、上記チャンネルを備える。よって、一例としては、ドアサッシュ構造の大型化が抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、一つの実施形態の車両を示す側面図である。
図2図2は、一つの実施形態のフロントドアを示す斜視図である。
図3図3は、一つの実施形態のドアサッシュを示す側面図である。
図4図4は、一つの実施形態のドアサッシュの一部を示す側面図である。
図5図5は、一つの実施形態のロアサッシュを図3のF5−F5線に沿って示す断面図である。
図6図6は、一つの実施形態のロアサッシュ及びミラーブラケットを図4のF6−F6線に沿って示す断面図である。
図7図7は、一つの実施形態のドアサッシュの一部を図4のF7−F7線に沿って示す断面図である。
図8図8は、一つの実施形態のフロントドアの一部を図4のF8−F8線に沿って示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、一つの実施形態について、図1乃至図8を参照して説明する。なお、本明細書において、実施形態に係る構成要素及び当該要素の説明について、複数の表現が記載されることがある。複数の表現がされた構成要素及び説明は、記載されていない他の表現がされても良い。さらに、複数の表現がされない構成要素及び説明も、記載されていない他の表現がされても良い。
【0015】
図1は、一つの実施形態の車両1を示す側面図である。図1に示すように、車両1は、四輪自動車である。車両1はこの例に限られない。車両1は、フロントドア2と、リアドア3と、ドアミラー4とを有する。なお、車両1はリアドア3を省略されても良い。
【0016】
各図面に示されるように、本明細書において、X軸、Y軸及びZ軸が定義される。X軸とY軸とZ軸とは、互いに直交する。X軸は、車両1の幅に沿う。Y軸は、車両1の長さに沿う。Z軸は、車両1の高さに沿う。以下、Y軸に沿う方向を、車両1の前後方向と称する。さらに、Z軸に沿う方向を、車両1の上下方向と称する。
【0017】
フロントドア2は、リアドア3に対して車両1の前後方向における前方に設けられる。図1においてY軸の矢印が示す方向が前方と称される。一方、Y軸の矢印の反対方向が後方と称される。ドアミラー4は、フロントドア2に取り付けられる。
【0018】
図2は、一つの実施形態のフロントドア2を示す斜視図である。図2に示すように、フロントドア2は、ドアサッシュ11と、ドアパネル12とを有する。さらに、フロントドア2は、図1に示すドアガラス13を有する。ドアサッシュ11は、ドアサッシュ構造とも称され得る。
【0019】
ドアパネル12は、ドアサッシュ11に取り付けられる。ドアパネル12は、図1のアウターパネル15と、図2のインナーパネル16とを有する。アウターパネル15は、車両1の外側(室外側)から、ドアサッシュ11に取り付けられる。アウターパネル15は、ドアアウターパネルとも称され得る。インナーパネル16は、車両1の内側(室内側)から、ドアサッシュ11に取り付けられる。インナーパネル16は、ドアインナーパネルとも称され得る。
【0020】
図3は、一つの実施形態のドアサッシュ11を示す側面図である。図3に示すように、ドアサッシュ11は、アッパフレーム21と、ロアサッシュ22と、ミラーブラケット23と、リーンフォースブラケット24と、インナーベルトラインリーンフォースメント(以下、インナーリーンフォースメントと称する)25とを有する。
【0021】
アッパフレーム21は、フレーム部材とも称され得る。ロアサッシュ22は、サッシュ、サッシュ部材及びチャンネルとも称され得る。ミラーブラケット23は、ドアミラー取付部材、ドア構成部材、他の部材、ミラー取付部材、又は取付部材とも称され得る。リーンフォースブラケット24は、アウターリーンフォースメント取付部材とも称され得る。
【0022】
アッパフレーム21は、リアサッシュ31と、アッパサッシュ32とを有する。リアサッシュ31とアッパサッシュ32とはそれぞれ、例えば、アルミニウムにより作られ、ロール成形法により製造される。なお、リアサッシュ31とアッパサッシュ32との材料及び製造方法はこの例に限られない。
【0023】
リアサッシュ31は、略上下方向に延び、ドアサッシュ11の後縁部を形成する。アッパサッシュ32は、略前後方向に延び、ドアサッシュ11の上縁部及び前縁部を形成する。アッパサッシュ32の後端部は、リアサッシュ31の上端部に接続される。
【0024】
図4は、一つの実施形態のドアサッシュ11の一部を示す側面図である。図4に示すロアサッシュ22は、例えば、アルミニウムにより作られ、ロール成形法により製造される。なお、ロアサッシュ22の材料及び製造方法はこの例に限られず、例えば、押出成形法や引抜成形法により製造されても良い。
【0025】
ロアサッシュ22は、略上下方向に延びる。ロアサッシュ22の上端部が、アッパサッシュ32の前端部に接続される。言い換えると、ロアサッシュ22は、アッパフレーム21に固定される。
【0026】
アッパフレーム21、ロアサッシュ22、及び図1のアウターパネル15によって囲まれた窓孔35が、フロントドア2に設けられる。ロアサッシュ22と、アッパフレーム21のリアサッシュ31との間に、図1のドアガラス13が配置される。ロアサッシュ22及びアッパフレーム21のリアサッシュ31は、窓孔35におけるドアガラス13の昇降を案内する。
【0027】
図5は、一つの実施形態のロアサッシュ22を図3のF5−F5線に沿って示す断面図である。図5に示すように、ロアサッシュ22は、略C字型の断面を形成し、第1の側壁41と、第2の側壁42と、端壁43とを有する。
【0028】
第1の側壁41は、ロアサッシュ22の長手方向と直交する断面において、車両1の外側に向くドアガラス13の外面13aに沿って延びる。ドアガラス13の外面13aは、第1の側壁41に向く。第1の側壁41は、第1の端部41aと、第2の端部41bと、第1の内面41cと、第1の外面41dと、第1の係止部41eとを有する。
【0029】
第1の端部41aは、図5の断面における第1の側壁41の前方の端部である。第2の端部41bは、第1の端部41aの反対側に位置する。第2の端部41bは、図5の断面における第1の側壁41の後方の端部である。
【0030】
第1の内面41cは、ドアガラス13の外面13aに向く。さらに、第1の内面41cは、ドアガラス13を介して第2の側壁42に向く。第1の外面41dは、第1の内面41cの反対側に位置する。第1の外面41dは、車両1の外側に向く。
【0031】
第1の係止部41eは、第1の端部41aと第2の端部41bとの間に位置する。第1の係止部41eは、第1の内面41cから突出する。第1の係止部41eは、ロアサッシュ22が延びる方向(長手方向)に延び、ロアサッシュ22の長手方向における第1の側壁41のほぼ全域に設けられる。なお、第1の係止部41eはこの例に限られない。
【0032】
第2の側壁42は、ロアサッシュ22の長手方向と直交する断面において、車両1の内側に向くドアガラス13の内面13bに沿って延びる。ドアガラス13の内面13bは、第2の側壁42に向く。第2の側壁42は、第3の端部42aと、第4の端部42bと、第2の内面42cと、第2の外面42dと、第2の係止部42eとを有する。
【0033】
第3の端部42aは、図5の断面における第2の側壁42の前方の端部である。第4の端部42bは、第3の端部42aの反対側に位置する。第4の端部42bは、図5の断面における第2の側壁42の後方の端部である。
【0034】
第2の内面42cは、ドアガラス13の内面13bに向く。さらに、第2の内面42cは、ドアガラス13を介して第1の側壁41に向く。第2の外面42dは、第2の内面42cの反対側に位置する。第2の外面42dは、車両1の内側に向く。
【0035】
第2の係止部42eは、第3の端部42aと第4の端部42bとの間に位置する。第2の係止部42eは、第2の内面42cから突出する。第2の係止部42eは、ロアサッシュ22が延びる方向に延び、ロアサッシュ22の長手方向における第2の側壁42のほぼ全域に設けられる。なお、第2の係止部42eはこの例に限られない。
【0036】
端壁43は、略前方に向くドアガラス13の前端縁13cに沿って延びる。別の表現によれば、ドアガラス13の前端縁13cは、端壁43に向く。前端縁13cは、端面とも称され得る。前端縁13cは、車両1の前後方向における略前方に向くドアガラス13の縁であり、外面13aの前方の端と、内面13bの前方の端とに接続される。ロアサッシュ22は、ドアガラス13の前端面13cの昇降を案内する。図5の断面において、端壁43は車両1の幅方向に延びる。
【0037】
端壁43は、第1の側壁41の第1の端部41aと、第2の側壁42の第3の端部42aとに接続される。言い換えると、第1の側壁41及び第2の側壁42は、端壁43から延びる。
【0038】
第3の端部42aと第4の端部42bとの間の距離は、第1の端部41aと第2の端部41bとの間の距離よりも長い。言い換えると、第2の側壁42は、第1の側壁41よりも長く端壁43から延びる。
【0039】
第2の側壁42は、端壁43から離間するほど第1の側壁41から離間する方向に延びる。本実施形態では、第1の側壁41は端壁43と直交する方向に延び、第2の側壁42は大よそ端壁43と斜めに交差する方向に延びる。第2の側壁42は、全体として端壁43と斜めに交差する方向に延びれば、少なくとも一箇所で曲げられても良い。第1の側壁41と第2の側壁42とが延びる方向はこの例に限られない。
【0040】
図5に二点鎖線で示すように、車両1はガラスラン45をさらに有する。ガラスラン45は、エラストマーのような弾性を有する材料によって作られる。ガラスラン45は、ロアサッシュ22に取り付けられ、ロアサッシュ22とドアガラス13との間に介在する。ガラスラン45は、第1の枠壁45aと、第2の枠壁45bと、第3の枠壁45cと、複数のリップ45dと、複数の突起45eとを有する。
【0041】
第1の枠壁45aは、第1の側壁41の第1の内面41cに沿って延びる。第2の枠壁45bは、第2の側壁42の第2の内面42cに沿って延びる。第3の枠壁45cは、端壁43に沿って延び、第1の枠壁45aと第2の枠壁45bとに接続される。
【0042】
複数のリップ45dは、第1の枠壁45aの端部と、第2の枠壁45bの端部とに設けられる。複数のリップ45dは、第1の枠壁45a及び第2の枠壁45bの他の場所にさらに設けられても良い。
【0043】
第1の枠壁45aと第2の枠壁45bとの間にドアガラス13が配置される。リップ45dはそれぞれ、ドアガラス13に向かって延びるとともに、ドアガラス13に接触する。これにより、リップ45dは、弾性変形されてドアガラス13を弾性的に保持する。ガラスラン45は、ロアサッシュ22とともにドアガラス13の昇降を案内する。
【0044】
複数の突起45eのうち一つは、第1の枠壁45a又は第3の枠壁45cから第1の側壁41に向かって突出し、第1の係止部41eに引っかかる。複数の突起45eのうち他の一つは、第2の枠壁45b又は第3の枠壁45cから第2の側壁42に向かって突出し、第2の係止部42eに引っかかる。これにより、ガラスラン45が第1の係止部41e及び第2の係止部42eに抜け止めされ、保持される。
【0045】
図3に示すように、ミラーブラケット23は、略三角形状に形成されたミラー取付部51と、ミラー取付部51から延びるインナーリーンフォースメント取付部52とを有する。ミラー取付部51とインナーリーンフォースメント取付部52とは、一体に形成される。
【0046】
図6は、一つの実施形態のロアサッシュ22及びミラーブラケット23を図4のF6−F6線に沿って示す断面図である。ミラー取付部51は、図6のサッシュ支持部55と、図4のピラー部56、ドアミラー取付部57、下部58、固定片59とを有する。ピラー部56は、第2の延部とも称され得る。
【0047】
図6に示すように、サッシュ支持部55は、ロアサッシュ22の第2の側壁42に沿って延び、第2の外面42dに接触する。第2の側壁42は、複数の固定部42fを有する。固定部42fにおいて、第2の側壁42が、例えばリベット61によってサッシュ支持部55に固定される。リベット61は、例えば、セルフピアスリベット(SPR)である。なお、固定部42fは、スポット溶接のような他の手段によってサッシュ支持部55に固定されても良い。
【0048】
固定部42fは、第4の端部42bと第2の係止部42eとの間に位置する。図4に示すように、複数の固定部42fは、ロアサッシュ22が延びる方向に間隔を介して並べられる。
【0049】
図6に示すように、サッシュ支持部55は、第2の側壁42の第2の外面42dに接触した状態で、固定部42fに固定される。すなわち、サッシュ支持部55は、車両1の内側から第2の側壁42に固定される。言い換えると、サッシュ支持部55は、ロアサッシュ22の車両1の内側に固定される。当該固定方向は、リベット61が打たれる方向ではなく、サッシュ支持部55が第2の側壁42に接触する方向である。
【0050】
第1の側壁41に、複数の切欠き41fが設けられる。切欠き41fは、開口とも称され得る。切欠き41fは、第2の端部41bから略円弧状に窪んだ切欠きである。なお、切欠き41fは他の形状を有しても良い。また、開口としての孔が、第1の側壁41に設けられても良い。開口としての切欠き41fは、第2の側壁42の第2の内面42cの法線方向に固定部42fを露出させる。
【0051】
切欠き41fは、第1の係止部41eから離間する。言い換えると、切欠き41fは、第1の係止部41eに対して第2の端部41b側に設けられる。なお、切欠き41fの端部が第1の係止部41eに接しても良いし、切欠き41fが第1の係止部41eを越して形成されても良い。
【0052】
例えば、ガンGが、切欠き41fを通され、リベット61を固定部42f及びサッシュ支持部55に打つ。なお、ガンGは、切欠き41fを通され、固定部42fとサッシュ支持部55とをスポット溶接しても良い。
【0053】
図4に示すように、ピラー部56は、ロアサッシュ22とともに、アッパサッシュ32の前端部に接続される。ピラー部56は、アッパフレーム21のアッパサッシュ32から延長するように延びる。ピラー部56は、アッパサッシュ32とともにドアサッシュ11の前縁部を形成する。ピラー部56の前方の端部に、ヒンジ63が取り付けられる。ヒンジ63は、車両1の車体に固定される。
【0054】
ドアミラー取付部57は、サッシュ支持部55とピラー部56との間に設けられる。このため、ドアミラー取付部57は、ロアサッシュ22に対してドアガラス13の反対側に位置する。別の表現によれば、ドアミラー取付部57は、ロアサッシュ22に対し、車両1の前後方向における前方に位置する。ドアミラー取付部57は、略平坦な三角形の板状に形成される。ドアミラー取付部57に、図1に示すドアミラー4が取り付けられる。
【0055】
下部58は、ドアミラー取付部57から略下方に延びるとともに、サッシュ支持部55とピラー部56との間に設けられる。このため、下部58は、ロアサッシュ22に対してドアガラス13の反対側に位置する。
【0056】
下部58に、複数の固定部58aが設けられる。固定部58aは、例えばリベット64によって、図2のインナーパネル16に取り付けられる。なお、固定部58aは、スポット溶接のような他の手段によってインナーパネル16に取り付けられても良い。
【0057】
固定片59は、ピラー部56から略前方に延びる。車両1の上下方向において、固定片59は、ドアミラー取付部57の下端部と略同一位置に配置される。なお、固定片59の位置はこの例に限られない。
【0058】
インナーリーンフォースメント取付部52は、ミラー取付部51のサッシュ支持部55から、後方に延びる。なお、インナーリーンフォースメント取付部52はこの例に限られない。インナーリーンフォースメント取付部52は、ロアサッシュ22に対してドアガラス13側に位置する。
【0059】
図7は、一つの実施形態のドアサッシュ11の一部を図4のF7−F7線に沿って示す断面図である。図7に示すように、インナーリーンフォースメント取付部52は、ミラー取付部51に対して、車両1の内側にずらされた(オフセットされた)位置にある。
【0060】
インナーリーンフォースメント取付部52は、リーンフォース取付壁65と、二つのパネル取付壁66とを有する。リーンフォース取付壁65は、第1の部分とも称され得る。パネル取付壁66は、第2の部分とも称され得る。
【0061】
リーンフォース取付壁65は、車両1の幅方向において、サッシュ支持部55から車両1の内側に僅かにオフセットされた位置に配置される。リーンフォース取付壁65は、外面65aと、内面65bとを有する。外面65aは、車両1の外側に向く。内面65bは、外面65aの反対側に位置し、車両1の内側に向く。外面65aと内面65bとはそれぞれ、略平坦に形成される。
【0062】
二つのパネル取付壁66はそれぞれ、車両1の上下方向におけるリーンフォース取付壁65の端部から、車両1の内側にオフセットされる。言い換えると、パネル取付壁66は、リーンフォース取付壁65から車両1の内側に突出する。パネル取付壁66は、車両1の幅方向において、リーンフォース取付壁65よりも車両1の内側に配置される。
【0063】
パネル取付壁66は、外面66aと、内面66bとを有する。外面66aは、車両1の外側に向く。内面66bは、外面66aの反対側に位置し、車両1の内側に向く。外面66aと内面66bとはそれぞれ、略平坦に形成される。
【0064】
図4に示すように、リーンフォースブラケット24は、ロアサッシュ22と別個の部品であって、ロアサッシュ22に固定されず、ミラーブラケット23の外面23aに固定される。外面23aは、ミラーブラケット23の、車両1の外側に向く面である。リーンフォースブラケット24は、ミラーブラケット23を介してロアサッシュ22に接続されるが、ロアサッシュ22とは分かたれた部材である。別の表現によれば、リーンフォースブラケット24は、ロアサッシュ22と一体の部品でなく、ロアサッシュ22に間接的に接続されるのみで、ロアサッシュ22に直接的に接続されない。
【0065】
例えば、ロアサッシュ22が弾性変形する場合、リーンフォースブラケット24はロアサッシュ22の弾性変形に直接的に追従せず、ロアサッシュ22とリーンフォースブラケット24とが相対的に僅かに移動し得る。また、ミラーブラケット23が弾性変形する場合、リーンフォースブラケット24はミラーブラケット23の弾性変形に直接的に追従し、ロアサッシュ22とリーンフォースブラケット24とが相対的に僅かに移動し得る。
【0066】
リーンフォースブラケット24は、ミラーブラケット23に対して、車両1の外側に位置する。リーンフォースブラケット24は、延部71と、第1の固定部72と、第2の固定部73とを有する。延部71は、第1の延部又は取付部とも称され得る。
【0067】
延部71は、ドアミラー取付部57の下方であって、下部58の上端部に配置される。延部71は、車両1の前後方向に延びる。延部71が延びる方向は、ロアサッシュ22が延びる方向と交差する方向である。ドアミラー取付部57は、ロアサッシュ22と、ミラーブラケット23のピラー部56と、リーンフォースブラケット24の延部71とに囲まれ、ロアサッシュ22、ピラー部56、及び延部71から車両1の内側に窪む。
【0068】
延部71は、取付壁75と、第1の周壁76と、第2の周壁77と、第3の周壁78とを有する。第1乃至第3の周壁76〜78は、取付壁75から延びるとともに、互いに接続される。
【0069】
図8は、一つの実施形態のフロントドア2の一部を図4のF8−F8線に沿って示す断面図である。図8に示すように、取付壁75は、ミラーブラケット23から車両1の外側に離間し、車両1の前後方向に延びる。取付壁75は、ミラーブラケット23に設けられた二つの孔23bを覆う。
【0070】
取付壁75は、外面75aと、内面75bとを有する。外面75aは、車両1の外側に向く。内面75bは、外面75aの反対側に位置し、車両1の内側に向く。内面75bは、間隔を介してミラーブラケット23に向く。
【0071】
第1の周壁76は、取付壁75の下方の端部から、ミラーブラケット23に向かって延びる。第2の周壁77は、取付壁75の上方の端部から、ミラーブラケット23に向かって延びる。
【0072】
図4に示すように、第3の周壁78は、取付壁75の後方の端部から、ミラーブラケット23に向かって延びる。第3の周壁78は、側面78aを有する。側面78aは、ミラーブラケット23の他の部分よりもロアサッシュ22に近い。
【0073】
側面78aは、略後方に向き、ロアサッシュ22に面する。しかし、側面78aは、ロアサッシュ22から離間する。このように、リーンフォースブラケット24は、ロアサッシュ22から離間する。
【0074】
第1の固定部72は、車両1の前後方向における第1の周壁76の略中央部分から、略下方に延びる。第1の固定部72は、例えばリベット79によって、ミラーブラケット23の下部58に固定される。なお、第1の固定部72は、スポット溶接のような他の手段によって下部58に固定されても良い。
【0075】
第2の固定部73は、取付壁75の前方且つ上方の端部から、略上方に延びる。第2の固定部73は、例えばリベット79によって、ミラーブラケット23の固定片59に固定される。なお、第2の固定部73は、スポット溶接のような他の手段によって下部58に固定されても良い。
【0076】
第1の固定部72と第2の固定部73とは、車両1の上下方向において互いに異なる位置に配置される。さらに、第1の固定部72と第2の固定部73とは、車両1の前後方向において互いに異なる位置に配置される。
【0077】
図4のように取付壁75の外面75aの法線方向にリーンフォースブラケット24を見た場合に、第1の固定部72と第2の固定部73とを結ぶ仮想線Lが、取付壁75と交差する。仮想線Lは、第1の固定部72がミラーブラケット23に固定された位置(リベット79)と、第2の固定部73がミラーブラケット23に固定された位置(リベット79)と、を結ぶ。
【0078】
図3に示すように、インナーリーンフォースメント25は、車両1の前後方向に延びる。インナーリーンフォースメント25は、ドアガラス13に対する車両1の内側において、当該ドアガラス13の内面13bに沿って延びる。
【0079】
インナーリーンフォースメント25は、ロアサッシュ22に対してドアガラス13側に位置する。別の表現によれば、インナーリーンフォースメント25は、ロアサッシュ22に対し、車両1の前後方向における後方に位置する。このため、インナーリーンフォースメント25は、ミラーブラケット23のミラー取付部51を、車両1の内側から覆わない。なお、インナーリーンフォースメント25はこの例に限られない。
【0080】
インナーリーンフォースメント25の前端部は、ミラーブラケット23のインナーリーンフォースメント取付部52に固定される。インナーリーンフォースメント25の後端部は、リアサッシュ31に固定される。
【0081】
図4に示すように、インナーリーンフォースメント25は、ブラケット取付壁81と、二つのパネル取付壁82とを有する。ブラケット取付壁81は、車両1の前後方向に延び、パネル取付壁82よりもドアガラス13に近い位置に配置される。
【0082】
ブラケット取付壁81は、突片81aを有する。突片81aは、固定部とも称され得る。突片81aは、ブラケット取付壁81の前端から、前方に向かって突出する。突片81aは、例えば略三角形の板状に形成される。突片81aは、他の形状に形成されても良い。
【0083】
図7に示すように、突片81aは、インナーリーンフォースメント取付部52のリーンフォース取付壁65の外面65aに接触する。言い換えると、突片81aは、車両1の外側からリーンフォース取付壁65に接触する。このため、突片81aを含むブラケット取付壁81は、車両1の幅方向において、サッシュ支持部55と略同一位置に配置される。インナーリーンフォースメント25は、ドアガラス13及びガラスラン45よりも、車両1の内側に位置する。
【0084】
例えばミグ溶接により、突片81aがリーンフォース取付壁65の外面65aに固定される。なお、突片81aは、リベットのような他の手段によりリーンフォース取付壁65に固定されても良い。
【0085】
上記のように、インナーリーンフォースメント25は、車両1の外側からミラーブラケット23のインナーリーンフォースメント取付部52に固定される。さらに、インナーリーンフォースメント25は、車両1の外側から図3のリアサッシュ31に、例えばミグ溶接により固定される。このように、インナーリーンフォースメント25は、車両1の幅方向において同一方向からミラーブラケット23及びリアサッシュ31に固定される。
【0086】
図4に示すように、二つのパネル取付壁82はそれぞれ、車両1の上下方向におけるブラケット取付壁81の端部から、車両1の内側にオフセットされる。言い換えると、パネル取付壁82は、ブラケット取付壁81から車両1の内側に突出する。パネル取付壁82は、車両1の幅方向において、ブラケット取付壁81よりも車両1の内側に配置される。
【0087】
図2に示すインナーパネル16は、インナーリーンフォースメント25に対する車両1の内側に位置する。インナーパネル16は、車両1の内側から、ミラーブラケット23のインナーリーンフォースメント取付部52のパネル取付壁66と、インナーリーンフォースメント25のパネル取付壁82とに接触する。
【0088】
図7に示すように、ミラーブラケット23のインナーリーンフォースメント取付部52のパネル取付壁66は、例えばリベット85によって、インナーパネル16に取り付けられる。さらに、図4に示すように、インナーリーンフォースメント25のパネル取付壁82は、例えばリベット86によって、インナーパネル16に取り付けられる。なお、パネル取付壁66,82は、例えばスポット溶接のような他の手段によってインナーパネル16に取り付けられても良い。
【0089】
上述のように、インナーパネル16は、ロアサッシュ22のドアガラス13側においてミラーブラケット23のパネル取付壁66と、インナーリーンフォースメント25のパネル取付壁82とに固定される。さらに、インナーパネル16は、ロアサッシュ22のドアガラス13の反対側において、ミラーブラケット23の下部58に固定される。このように、インナーパネル16が、複数個所において複数部品に固定されることで、フロントドア2の剛性が向上する。
【0090】
図8に示すように、フロントドア2は、アウターウエストラインリーンフォースメント(以下、アウターリーンフォースメントと称する)90をさらに有する。アウターリーンフォースメント90は、車両1の前後方向に延びる。アウターリーンフォースメント90は、ドアガラス13に対する車両1の外側において、当該ドアガラス13の外面13aに沿って延びる。
【0091】
アウターリーンフォースメント90の前端部は、リーンフォースブラケット24に取り付けられる。アウターリーンフォースメント90の後端部は、リアサッシュ31に取り付けられる。
【0092】
アウターリーンフォースメント90は、リーンフォースブラケット24の取付壁75の外面75aに接触する。取付壁75は、アウターリーンフォースメント90に沿って延びる。アウターリーンフォースメント90は、例えばリベット91によって、リーンフォースブラケット24の取付壁75に取り付けられる。
【0093】
ミラーブラケット23の孔23bは、取付壁75に設けられたリベット91を、車両1の内側に露出する。例えば、ガンGが、孔23bを通され、リベット91を取付壁75及びアウターリーンフォースメント90に打つ。なお、ガンGは、孔23bを通され、取付壁75とアウターリーンフォースメント90とをスポット溶接しても良い。
【0094】
アウターパネル15は、例えばヘミングによりアウターリーンフォースメント90に取り付けられる。このため、アウターパネル15は、アウターリーンフォースメント90を介してリーンフォースブラケット24に取り付けられる。なお、アウターパネル15がリーンフォースブラケット24に直接的に取り付けられても良い。
【0095】
以上説明された車両1の高速走行時に、負圧によりフロントドア2が車両1の外側に吸引される、いわゆる吸い出され現象が生じることがある。フロントドア2は、図3のヒンジ63や他の部材により、前端部及び後端部において車体に固定される。このため、車両1の前後方向におけるフロントドア2の略中央部や、ドアサッシュ11及びドアガラス13の略上端部に、より大きな荷重が作用する。
【0096】
吸い出され現象により、ドアサッシュ11に接続されたアウターパネル15が車両1の外側に吸引される。吸い出され現象による荷重は、アウターパネル15、アウターリーンフォースメント90、及びリーンフォースブラケット24を介して、ミラーブラケット23に作用する。
【0097】
ミラーブラケット23に荷重が作用することで、ミラーブラケット23のサッシュ支持部55が、ロアサッシュ22を車両1の外側に向かって押す。しかし、ミラーブラケット23はヒンジ63により車体に固定されるため、ミラーブラケット23からロアサッシュ22に作用する荷重は低減される。
【0098】
リーンフォースブラケット24は、ロアサッシュ22から離間する。このため、リーンフォースブラケット24からロアサッシュ22に荷重が直接的に作用することが抑制される。
【0099】
アウターリーンフォースメント90、リーンフォースブラケット24、及びミラーブラケット23はそれぞれ、曲げ加工によりいわゆるチャンネル構造を形成する凹凸を有する。このため、荷重は、アウターパネル15、アウターリーンフォースメント90、リーンフォースブラケット24、及びミラーブラケット23を介してロアサッシュ22に作用する間に、低減させられる。
【0100】
以上のように、吸い出され現象が生じたとしても、当該吸い出され現象によりロアサッシュ22に作用する荷重は低減される。このため、ロアサッシュ22が変形することが抑制される。
【0101】
以上説明された一つの実施形態に係るドアサッシュ11において、リーンフォースブラケット24は、ミラーブラケット23に固定される一方で、ロアサッシュ22とは分かたれる。すなわち、リーンフォースブラケット24は、ロアサッシュ22に固定されない。吸い出され現象が生じると、アウターリーンフォースメント90と、当該アウターリーンフォースメント90が取り付けられたリーンフォースブラケット24と、当該リーンフォースブラケット24が固定されたミラーブラケット23とが、車両1の外側に吸引される。一方、ロアサッシュ22とリーンフォースブラケット24とは分かたれており、相対的に移動可能である。このため、吸い出され現象による荷重は、アウターパネル15、アウターリーンフォースメント90、リーンフォースブラケット24、及びミラーブラケット23を介してロアサッシュ22に作用する。アウターパネル15からロアサッシュ22へ荷重が作用する間に、当該荷重はアウターパネル15、アウターリーンフォースメント90、リーンフォースブラケット24、及びミラーブラケット23によって低減される。これにより、ロアサッシュ22に作用する荷重が低減される。
【0102】
リーンフォースブラケット24は、ロアサッシュ22から離間する。これにより、リーンフォースブラケット24がロアサッシュ22に対して移動する場合に、リーンフォースブラケット24がロアサッシュ22に接触し、ロアサッシュ22に直接的に荷重を作用することが抑制される。従って、ロアサッシュ22に作用する荷重が低減される。
【0103】
ミラーブラケット23は、ドアガラス13の内面13bに沿って延びるロアサッシュ22の第2の側壁42に固定される。このため、吸い出され現象が生じると、車両1の外側に吸引されるミラーブラケット23は、ロアサッシュ22を車両1の外側に向かって押す。ロアサッシュ22の端壁43は、ドアガラス13の前端縁13cに沿って延びる。ロアサッシュ22の断面において、端壁43は、ミラーブラケット23がロアサッシュ22を押す方向と略同じ方向に延びるため、当該方向における剛性が高い。従って、ミラーブラケット23が車両1の外側に吸引された場合に、略C字型の断面が崩れるようにロアサッシュ22が変形することが抑制される。
【0104】
リーンフォースブラケット24は、延部71と、延部71から延びるとともにミラーブラケット23に固定された第1の固定部72及び第2の固定部73と、を有する。延部71の外面75aの法線方向にリーンフォースブラケット24を見た場合に、第1の固定部72と第2の固定部73とを結ぶ仮想線Lが延部71と交差する。これにより、アウターパネル15及びアウターリーンフォースメント90が車両1の外側に吸引された場合に、第1の固定部72又は第2の固定部73を支点としてリーンフォースブラケット24が曲がることが抑制される。
【0105】
延部71は、ロアサッシュ22が延びる方向と交差する方向に延びる。ピラー部56は、アッパフレーム21から延長するように延びる。すなわち、ドアミラー取付部57は、それぞれ所定方向に延びる延部71、ピラー部56、及びロアサッシュ22に囲まれる。これにより、ドアミラー取付部57を囲む部分が複雑な形状を有する場合に比べ、ドアミラー4と、延部71、ピラー部56、及びロアサッシュ22との間のシーリングが容易となり、ドアミラー取付部57のシール性が向上する。
【0106】
第2の側壁42の固定部42fは、端壁43から離間するほど第1の側壁41から離間する。これにより、端壁43から突出する第2の側壁42の長さを短くしてもガンGを第2の側壁42に当てやすくなり、第2の側壁42をより容易にミラーブラケット23のようなフロントドア2の少なくとも一部を構成する部材(ドア構成部材)に固定することができるとともに、ロアサッシュ22の大型化が抑制される。なお、本実施形態において、固定部42fは、ミラーブラケット23に固定されるが、ロアサッシュ22を覆うドアフレーム(カバー)のような他のドア構成部材に固定されても良い。さらに、アッパフレーム21のリアサッシュ31又はアッパサッシュ32が、第1の側壁41、第2の側壁42、及び端壁43を有しても良い。すなわち、チャンネルはリアサッシュ31やアッパサッシュ32であっても良く、ドア構成部材はドアフレームのような他の部材であっても良い。
【0107】
第1の側壁41に、第2の側壁42の第2の内面42cの法線方向に固定部42fを露出させる切欠き41fが設けられる。これにより、例えば、切欠き41fを通して第2の内面42cにガンGを当てやすくなり、第2の側壁42をより容易にミラーブラケット23に固定することができる。
【0108】
切欠き41fは、第1の係止部41eより第2の端部41b側に設けられる。これにより、第1の係止部41eが切欠き41fを設けることにより欠けることが抑制され、第1の係止部41eがより確実にガラスラン45を保持することができる。
【0109】
第2の側壁42の第3の端部42aと第4の端部42bとの間の距離は、第1の側壁41の第1の端部41aと第2の端部41bとの間の距離よりも長い。このような第2の側壁42の第4の端部42bと第2の係止部42eとの間に、ミラーブラケット23に固定されるよう構成された固定部42fが設けられる。すなわち、第1の側壁41より長い第2の側壁42の先端側で、ロアサッシュ22がミラーブラケット23に固定される。これにより、固定部42fが第1の側壁41により隠れることが抑制され、第2の側壁42をより容易にミラーブラケット23に固定することができる。
【0110】
ミラーブラケット23は、ロアサッシュ22に固定され、ロアサッシュ22に対して前後方向における前方でドアミラー4が取り付けられるよう構成されるミラー取付部51と、ミラー取付部51から延びるとともにロアサッシュ22に対して前後方向における後方でインナーリーンフォースメント25が固定されたインナーリーンフォースメント取付部52と、を有する。このため、インナーリーンフォースメント25をロアサッシュ22に対して前方まで延ばすことなく、インナーリーンフォースメント25の大型化を抑制できる。従って、ドアサッシュ11が軽量化され得る。
【0111】
インナーリーンフォースメント取付部52は、ロアサッシュ22に対して前後方向における後方でインナーパネル16に取り付けられるよう構成される。例えば、吸い出され現象による吸引や、側面衝突、及びドア開閉によりインナーパネル16に作用する荷重は、フロントドア2が車体に固定されるドア前端及び後端から離間するドア中央部ほど大きくなる。インナーリーンフォースメント取付部52がインナーパネル16に取り付けられる位置は、ロアサッシュ22に対して後方に位置するため、ドア中央部に近い。従って、ドア中央部に近い部分においてドアサッシュ11及びインナーパネル16を含むフロントドア2の剛性が向上し、インナーパネル16が変形することが抑制される。
【0112】
インナーリーンフォースメント25は、ロアサッシュ22に対して前後方向における後方に位置する。ミラー取付部51は、ロアサッシュ22に対して前後方向における前方でインナーパネル16に取り付けられるよう構成される。これにより、インナーリーンフォースメント25がミラー取付部51とインナーパネル16との取り付けがされる固定部58aを覆うことが抑制され、リベット64や溶接によるミラー取付部51とインナーパネル16との固定を容易に行うことができる。
【0113】
インナーリーンフォースメント25が固定されるインナーリーンフォースメント取付部52は、ロアサッシュ22に固定されるミラー取付部51に対して、車両1の内側にオフセットされた位置にある。これにより、インナーリーンフォースメント25を、ドアガラス13を案内するロアサッシュ22よりも車両1の内側に配置することができ、インナーリーンフォースメント25とドアガラス13との干渉が抑制される。
【0114】
以上、本発明の実施形態を例示したが、上記実施形態及び変形例はあくまで一例であって、発明の範囲を限定することは意図していない。上記実施形態や変形例は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、組み合わせ、変更を行うことができる。また、各実施形態や各変形例の構成や形状は、部分的に入れ替えて実施することも可能である。
【符号の説明】
【0115】
1…車両、2…フロントドア、4…ドアミラー、11…ドアサッシュ、12…ドアパネル、13…ドアガラス、13a…外面、13b…内面、13c…端面、15…アウターパネル、16…インナーパネル、21…アッパフレーム、22…ロアサッシュ、23…ミラーブラケット、24…リーンフォースブラケット、25…インナーリーンフォースメント、41…第1の側壁、41a…第1の端部、41b…第2の端部、41e…第1の係止部、41f…切欠き、42…第2の側壁、42a…第3の端部、42b…第4の端部、42c…第2の内面、42d…第2の外面、42e…第2の係止部、42f…固定部、43…端壁、45…ガラスラン、51…ミラー取付部、52…インナーリーンフォースメント取付部、55…サッシュ支持部、56…ピラー部、57…ドアミラー取付部、65…リーンフォース取付壁、66…パネル取付壁、71…延部、72…第1の固定部、73…第2の固定部、81…ブラケット取付壁、81a…突片、82…パネル取付壁、90…アウターリーンフォースメント、L…仮想線。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8