(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
互いに接続される複数の導体に検査用信号が供給されている状態で当該各導体間の抵抗値を測定する測定部と、当該測定部によって測定された前記抵抗値に基づいて前記各導体同士の接続状態を検査する検査部とを備えた検査装置であって、
電流値が第1電流値に規定され電圧値の上限値が第1電圧値に規定された前記検査用信号としての第1の検査用信号を第1極性および当該第1極性を反転した第2極性で切り替えて出力すると共に、電流値が前記第1電流値よりも大きい第2電流値に規定され電圧値の上限値が前記第1電圧値よりも大きい第2電圧値に規定された前記検査用信号としての第2の検査用信号を前記第1極性および前記第2極性で切り替えて出力可能な信号出力部と、前記信号出力部を制御する制御部とを備え、
前記制御部は、前記信号出力部を制御して、前記第1の検査用信号を前記第1極性および前記第2極性のいずれか一方の極性で出力させて前記各導体に供給させる第1の状態と、前記第1の検査用信号を前記第1極性および前記第2極性の他方の極性で出力させて前記各導体に供給させる第2の状態と、前記第2の検査用信号を前記第1極性および前記第2極性のいずれか一方の極性で出力させて前記各導体に供給させる第3の状態と、前記第2の検査用信号を前記第1極性および前記第2極性の他方の極性で出力させて前記各導体に供給させる第4の状態とを切り替える切替処理を実行し、
前記検査部は、前記第1の状態で前記測定部によって測定された前記抵抗値としての第1の抵抗値、前記第2の状態で前記測定部によって測定された前記抵抗値としての第2の抵抗値、前記第3の状態で前記測定部によって測定された前記抵抗値としての第3の抵抗値、および前記第4の状態で前記測定部によって測定された前記抵抗値としての第4の抵抗値の相互の関係が予め決められた条件を満たしかつ当該各抵抗値のすべてが絶縁状態を示す値未満のときに前記各導体同士の接続状態を良好と判定し、前記第1から第4の抵抗値の相互の関係が前記条件を満たさないときおよび当該各抵抗値の1つ以上が前記絶縁状態を示す値以上のときの少なくとも一方のときに前記各導体同士の接続状態を不良と判定する判定処理を実行する検査装置。
前記検査部は、前記第1から第4の抵抗値の相互の比率のすべてが予め決められた基準範囲内であることを前記条件として前記判定処理を実行する請求項1記載の検査装置。
前記制御部は、前記切替処理において、前記第1の状態、前記第2の状態、前記第3の状態、および前記第4の状態をこの順序で切り替える請求項1または2記載の検査装置。
前記検査部は、前記第1の抵抗値が前記絶縁状態を示す値未満で前記第2の抵抗値が当該絶縁状態を示す値以上のとき、および前記第2の抵抗値が前記絶縁状態を示す値未満で前記第1の抵抗値が当該絶縁状態を示す値以上のときのいずれかのときに、前記各導体同士の接続状態を、極性の相違によって抵抗値が異なる極性依存性不良と判定する請求項3記載の検査装置。
前記検査部は、前記第1の抵抗値と前記第2の抵抗値との比率が前記基準範囲内で、かつ前記第1の抵抗値と前記第3の抵抗値との比率または前記第2の抵抗値と前記第3の抵抗値との比率が前記基準範囲外のときに、前記各導体同士の接続状態を、電流値の相違によって抵抗値が異なる電流値依存性不良と判定する請求項3または4記載の検査装置。
互いに接続される複数の導体に検査用信号を供給している状態で当該各導体間の抵抗値を測定し、当該測定した抵抗値に基づいて前記各導体同士の接続状態を検査する検査方法であって、
電流値が第1電流値に規定され電圧値の上限値が第1電圧値に規定された前記検査用信号としての第1の検査用信号を第1極性および当該第1極性を反転した第2極性のいずれか一方の極性で出力して前記各導体に供給する第1の状態と、前記第1の検査用信号を前記第1極性および前記第2極性の他方の極性で出力して前記各導体に供給する第2の状態と、電流値が前記第1電流値よりも大きい第2電流値に規定され電圧値の上限値が前記第1電圧値よりも大きい第2電圧値に規定された前記検査用信号としての第2の検査用信号を前記第1極性および前記第2極性のいずれか一方の極性で出力して前記各導体に供給する第3の状態と、前記第2の検査用信号を前記第1極性および前記第2極性の他方の極性で出力して前記各導体に供給する第4の状態とを切り替える切替処理を実行し、
前記第1の状態で測定した前記抵抗値としての第1の抵抗値、前記第2の状態で測定した前記抵抗値としての第2の抵抗値、前記第3の状態で測定した前記抵抗値としての第3の抵抗値、および前記第4の状態で測定した前記抵抗値としての第4の抵抗値の相互の関係が予め決められた条件を満たしかつ当該抵抗値のすべてが絶縁状態を示す値未満のときに前記各導体同士の接続状態を良好と判定し、前記第1から第4の抵抗値の相互の関係が前記条件を満たさないときおよび当該各抵抗値の1つ以上が前記絶縁状態を示す値以上のときの少なくとも一方のときに前記各導体同士の接続状態を不良と判定する判定処理を実行する検査方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、上記の回路基板検査装置には、改善すべき以下の課題がある。具体的には、この回路基板検査装置では、良品の回路基板における導体の抵抗値の実測値や設計データ等を用いて特定した導体の抵抗値に許容値を加えて導体毎に設定した良否判定用基準値を用いて検査を行っている。このため、数多くの導体が形成された回路基板をこの回路基板検査装置を用いて検査する際には、良否判定用基準値を設定するために、多くの労力と時間を要することとなる。また、良否判定用基準値を設定する際に抵抗値に加える許容値も、経験値に基づいて規定されるため、正確な検査が可能な良否判定用基準値を設定するためには、熟練が必要となる。したがって、この回路基板検査装置では、良否判定用基準値を効率的に設定することが困難なことに起因して、検査効率の向上が困難となっている。
【0005】
また、導体同士の接続が不十分なときには、検査の際に供給する検査用信号の電流値の相違によって抵抗値が異なることがある。具体的には、このような導体では、電流値が大きい検査用信号を供給して測定した抵抗値が、電流値が小さい検査用信号を供給して測定した抵抗値よりも小さくなることがある。このような導体は、本来、電流値依存性不良として判定されなければならないが、上記の回路基板検査装置では、電流値依存性不良を判定する手段が設けられていないため、このような不良を正しく判定することが困難となっている。また、この種の基板では、導体同士(配線パターンおよびビア)を接続する際に用いる材料に含まれる成分と配線パターンやビアを構成する金属とによって半導体が形成され、この半導体と金属とによって整流作用を示すショットキー接続が導体同士の接続部分に形成されることがある。このような導体は、検査の際に供給する検査用信号の極性の相違によって抵抗値が異なることとなるため、本来、極性依存性不良として判定されなければならないが、上記の回路基板検査装置では、極性依存性不良を判定する手段が設けられていないため、このような不良を正しく判定することが困難となっている。
【0006】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、導体の接続状態を効率的にかつ正確に判定し得る検査装置および検査方法を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成すべく請求項1記載の検査装置は、互いに接続される複数の導体に検査用信号が供給されている状態で当該各導体間の抵抗値を測定する測定部と、当該測定部によって測定された前記抵抗値に基づいて前記各導体同士の接続状態を検査する検査部とを備えた検査装置であって、電流値が第1電流値に規定され電圧値の上限値が第1電圧値に規定された
前記検査用信号としての第1の検査用信号を第1極性および当該第1極性を反転した第2極性で切り替えて出力すると共に、電流値が前記第1電流値よりも大きい第2電流値に規定され電圧値の上限値が前記第1電圧値よりも大きい第2電圧値に規定された
前記検査用信号としての第2の検査用信号を前記第1極性および前記第2極性で切り替えて出力可能な信号出力部と、前記信号出力部を制御する制御部とを備え、前記制御部は、前記信号出力部を制御して、前記第1の検査用信号を前記第1極性および前記第2極性のいずれか一方の極性で出力させて前記各導体に供給させる第1の状態と、前記第1の検査用信号を前記第1極性および前記第2極性の他方の極性で出力させて前記各導体に供給させる第2の状態と、前記第2の検査用信号を前記第1極性および前記第2極性のいずれか一方の極性で出力させて前記各導体に供給させる第3の状態と、前記第2の検査用信号を前記第1極性および前記第2極性の他方の極性で出力させて前記各導体に供給させる第4の状態とを切り替える切替処理を実行し、前記検査部は、前記第1の状態で前記測定部によって測定された
前記抵抗値としての第1の抵抗値、前記第2の状態で前記測定部によって測定された
前記抵抗値としての第2の抵抗値、前記第3の状態で前記測定部によって測定された
前記抵抗値としての第3の抵抗値、および前記第4の状態で前記測定部によって測定された
前記抵抗値としての第4の抵抗値の相互の関係が予め決められた条件を満たしかつ当該各抵抗値のすべてが絶縁状態を示す値未満のときに前記各導体同士の接続状態を良好と判定し、前記第1から第4の抵抗値の相互の関係が前記条件を満たさないときおよび当該各抵抗値の1つ以上が前記絶縁状態を示す値以上のときの少なくとも一方のときに前記各導体同士の接続状態を不良と判定する判定処理を実行する。
【0008】
また、請求項2記載の検査装置は、請求項1記載の検査装置において、前記検査部は、前記第1から第4の抵抗値の相互の比率のすべてが予め決められた基準範囲内であることを前記条件として前記判定処理を実行する。
【0009】
また、請求項3記載の検査装置は、請求項1または2記載の検査装置において、前記制御部は、前記切替処理において、前記第1の状態、前記第2の状態、前記第3の状態、および前記第4の状態をこの順序で切り替える。
【0010】
また、請求項4記載の検査装置は、請求項3記載の検査装置において、前記検査部は、前記第1の抵抗値が前記絶縁状態を示す値未満で前記第2の抵抗値が当該絶縁状態を示す値以上のとき、および前記第2の抵抗値が前記絶縁状態を示す値未満で前記第1の抵抗値が当該絶縁状態を示す値以上のときのいずれかのときに、前記各導体同士の接続状態を、極性の相違によって抵抗値が異なる極性依存性不良と判定する。
【0011】
また、請求項5記載の検査装置は、請求項3または4記載の検査装置において、前記検査部は、前記第1の抵抗値と前記第2の抵抗値との比率が前記基準範囲内で、かつ前記第1の抵抗値と前記第3の抵抗値との比率または前記第2の抵抗値と前記第3の抵抗値との比率が前記基準範囲外のときに、前記各導体同士の接続状態を、電流値の相違によって抵抗値が異なる電流値依存性不良と判定する。
【0012】
また、請求項6記載の検査方法は、互いに接続される複数の導体に検査用信号を供給している状態で当該各導体間の抵抗値を測定し、当該測定した抵抗値に基づいて前記各導体同士の接続状態を検査する検査方法であって、電流値が第1電流値に規定され電圧値の上限値が第1電圧値に規定された
前記検査用信号としての第1の検査用信号を第1極性および当該第1極性を反転した第2極性のいずれか一方の極性で出力して前記各導体に供給する第1の状態と、前記第1の検査用信号を前記第1極性および前記第2極性の他方の極性で出力して前記各導体に供給する第2の状態と、電流値が前記第1電流値よりも大きい第2電流値に規定され電圧値の上限値が前記第1電圧値よりも大きい第2電圧値に規定された
前記検査用信号としての第2の検査用信号を前記第1極性および前記第2極性のいずれか一方の極性で出力して前記各導体に供給する第3の状態と、前記第2の検査用信号を前記第1極性および前記第2極性の他方の極性で出力して前記各導体に供給する第4の状態とを切り替える切替処理を実行し、前記第1の状態で測定した
前記抵抗値としての第1の抵抗値、前記第2の状態で測定した
前記抵抗値としての第2の抵抗値、前記第3の状態で測定した
前記抵抗値としての第3の抵抗値、および前記第4の状態で測定した
前記抵抗値としての第4の抵抗値の相互の関係が予め決められた条件を満たしかつ当該抵抗値のすべてが絶縁状態を示す値未満のときに前記各導体同士の接続状態を良好と判定し、前記第1から第4の抵抗値の相互の関係が前記条件を満たさないときおよび当該各抵抗値の1つ以上が前記絶縁状態を示す値以上のときの少なくとも一方のときに前記各導体同士の接続状態を不良と判定する判定処理を実行する。
【発明の効果】
【0013】
請求項1記載の検査装置、および請求項6記載の検査方法では、第1〜第4の各状態でそれぞれ測定した各導体の各抵抗値の相互の関係が予め決められた条件を満たしかつ各抵抗値のすべてが絶縁状態を示す値未満のときに各導体同士の接続状態を良好と判定し、各抵抗値の相互の関係が条件を満たさないときおよび各抵抗値の1つ以上が絶縁状態を示す値以上のときの少なくとも一方のときに各導体同士の接続状態を不良と判定する判定処理を実行する。このため、この検査装置および検査方法によれば、各導体同士の接続状態の良否を判定するための導体毎の良否判定用基準値を用いることなく各導体同士の接続状態の良否を判定することができる。したがって、この検査装置および検査方法によれば、導体毎の良否判定用基準値を設定するのに必要な多くの労力と時間を省略することができるため、検査効率を十分に向上させることができる。また、この検査装置および検査方法によれば、経験値に基づいて規定される良否判定用基準値を用いないため、良否判定用基準値が適正でない場合の検査精度の低下を確実に防止することができる結果、精度を十分に向上させることができる。
【0014】
また、請求項2記載の検査装置によれば、各抵抗値の相互の比率のすべてが基準範囲内であることを条件として判定処理を実行することにより、各比率を算出し、各比率と基準範囲とを比較するだけの簡易な処理で各導体同士の接続状態の良否を確実かつ高精度に判定することができる。
【0015】
また、請求項3記載の検査装置では、切替処理において、第1から第4の状態をこの順序で切り替える。この場合、例えば、第3,第4の状態への切り替えを第1,第2の状態への切り替え以前に実行する構成、つまり、大きい電流値の検査用信号を供給した後に小さい電流値の検査用信号を供給する構成を採用することもできる。ただし、この構成では、大きい電流値の検査用信号を供給した時点で、各導体の抵抗値がしばらくの間小さい状態に維持され(つまり、各抵抗値がすべて小さい値となり)、各導体同士の接続状態が電流値依存性不良であるとしても、接続状態が良好と誤判定されるおそれがある。これに対して、この検査装置によれば、第1から第4の状態をこの順序で切り替えることにより、このような誤判定を防止して、電流値依存性不良を正しく判定することができる。
【0016】
また、請求項4記載の検査装置では、第1の抵抗値が絶縁状態を示す値未満で第2の抵抗値が絶縁状態を示す値以上のとき、および第2の抵抗値が絶縁状態を示す値未満で第1の抵抗値が絶縁状態を示す値以上のときのいずれかのときに、各導体同士の接続状態を、極性の相違によって抵抗値が異なる極性依存性不良と判定する。このため、この検査装置によれば、接続状態の良否を判定するための基準値を用いることなく、各導体同士が絶縁状態のときに測定される一般的な絶縁抵抗値を用いて極性依存性不良を確実に判定することができる。
【0017】
また、請求項5記載の検査装置では、第1の抵抗値と第2の抵抗値との比率が基準範囲内で、かつ第1の抵抗値と第3の抵抗値との比率または第2の抵抗値と第3の抵抗値との比率が基準範囲外のときに、各導体同士の接続状態を、電流値の相違によって抵抗値が異なる電流値依存性不良と判定する。このため、この検査装置によれば、接続状態の良否を判定するための基準値を用いることなく、比率と基準範囲とに基づいて電流値依存性不良を確実に判定することができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、検査装置、検査方法の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。
【0020】
最初に、
図1に示す基板検査装置1の構成について説明する。基板検査装置1は、検査装置の一例であって、例えば、
図2に示す基板100を検査可能に構成されている。
【0021】
ここで、基板100は、
図2に示すように、基板本体101と、基板本体101の一面101a(同図における上面)および他面101b(同図における下面)にそれぞれ形成された導体パターン102a,102b(以下、区別しないときには「導体パターン102」ともいう)と、導体パターン102a,102bを電気的に接続するビア103とを備えて構成されている。なお、基板100は、同図に示す導体パターン102a,102bおよびビア103以外にも、複数の導体パターンおよびビアを備えているが、発明の理解を容易とするため、導体パターン102a,102bおよびビア103以外の図示を省略する。
【0022】
一方、基板検査装置1は、
図1に示すように、プロービング機構2a,2b(以下、区別しないときには「プロービング機構2」ともいう)、信号出力部3、測定部4、記憶部5、表示部6および処理部7を備えて構成されている。
【0023】
プロービング機構2aは、処理部7の制御に従い、
図2に示すように、図外の保持部によって保持された基板100における基板本体101の一面101aに平行な方向、および基板100に対して接離する方向にプローブ21aを移動させて、基板本体101の一面101aに形成されている導体パターン102aにプローブ21aを接触(プロービング)させる。また、プロービング機構2bは、処理部7の制御に従い、同図に示すように、図外の保持部によって保持された基板100における基板本体101の他面101bに平行な方向、および基板100に対して接離する方向にプローブ21bを移動させて、基板本体101の他面101bに形成されている導体パターン102bにプローブ21bを接触(プロービング)させる。
【0024】
信号出力部3は、処理部7の制御に従い、処理部7によって実行される後述する検査処理50(
図3参照)において用いる検査用信号を出力可能に構成されている。この場合、信号出力部3は、電流値が電流値I1(第1電流値に相当し、一例として、5mA)に規定されると共に、電圧値の上限値が電圧値V1(第1電圧値に相当し、一例として、20mV)に規定された検査用信号S1(第1の検査用信号に相当する)を、第1極性(例えば、
図2に示すプローブ21a側を正(+)とし、プローブ21b側を負(−)とする極性)、および第1極性を反転した第2極性(同図に示すプローブ21a側を負(−)とし、プローブ21b側を正(+)とする極性)で切り替えて出力可能に構成されている。また、信号出力部3は、電流値が電流値I1よりも大きい電流値I2(第2電流値に相当し、一例として、100mA)に規定されると共に、電圧値の上限値が電圧値V1よりも大きい電圧値V2(第2電圧値に相当し、一例として、10V)に規定された検査用信号S2(第2の検査用信号に相当し、検査用信号S1,S2を区別しないときには「検査用信号S」ともいう)を、上記した第1極性および第2極性で切り替えて出力可能に構成されている。
【0025】
測定部4は、処理部7の制御に従い、信号出力部3から出力された検査用信号Sがプローブ21a,21bを介して各導体パターン102およびビア103に供給されている状態で各導体パターン102およびビア103間の抵抗値を測定する。なお、検査用信号S1が第1極性(第1極性および第2極性のいずれか一方の一例)で信号出力部3から出力されて各導体パターン102およびビア103に供給されている状態(第1の状態に相当する)で測定部4が測定した抵抗値を、抵抗値R1(第1の抵抗値に相当する)ともいい、検査用信号S1が第2極性(第1極性および第2極性の他方の一例)で信号出力部3から出力されて各導体パターン102およびビア103に供給されている状態(第2の状態に相当する)で測定部4が測定した抵抗値を、抵抗値R2(第2の抵抗値に相当する)ともいう。また、検査用信号S2が第1極性(第1極性および第2極性のいずれか一方の一例)で信号出力部3から出力されて各導体パターン102およびビア103に供給されている状態(第3の状態に相当する)で測定部4が測定した抵抗値を、抵抗値R3(第3の抵抗値に相当する)ともいい、検査用信号S2が第2極性(第1極性および第2極性の他方の一例)で信号出力部3から出力されて各導体パターン102およびビア103に供給されている状態(第4の状態に相当する)で測定部4が測定した抵抗値を、抵抗値R4(第4の抵抗値に相当する)ともいう。また、抵抗値R1〜R4を区別しないときには「抵抗値R」ともいう。
【0026】
記憶部5は、検査処理50において用いられる基板データDsおよび判定用データDjを記憶する。この場合、基板データDsには、基板100の導体パターン102にプローブ21をプロービングさせる位置(プロービング位置)を示すデータが含まれている。また、判定用データDjには、検査処理50において導体パターン102とビア103との接続状態の良否を判定する際に用いる基準範囲Aおよび絶縁抵抗値Riを示すデータが含まれている。また、記憶部5は、測定部4によって測定された抵抗値R1〜R4を記憶する。
【0027】
表示部6は、処理部7の制御に従って各種の情報を表示する。
【0028】
処理部7は、制御部として機能し、基板検査装置1を構成する各部を制御する。また、処理部7は、検査部として機能し、予め決められた検査方法に従って検査処理50を実行して基板100における導体パターン102とビア103との接続状態を判定し、その判定結果に基づいて基板100の良否を検査する。
【0029】
次に、基板検査装置1を用いて、例えば
図2に示す基板100を検査する検査方法について、図面を参照して説明する。
【0030】
まず、図外の保持部に基板100を保持させ、次いで、図外の操作部を操作して、検査の開始を指示する。これに応じて、処理部7が、
図3に示す検査処理50を実行する。この検査処理50では、処理部7は、基板100についての基板データDsおよび判定用データDjを記憶部5から読み出す(ステップ51)。
【0031】
続いて、処理部7は、基板100における基板本体101の一面101aおよび他面101bにそれぞれ形成されている導体パターン102a,102b上に規定されているプロービング位置を、基板データDsに基づいて特定する(ステップ52)。
【0032】
次いで、処理部7は、プロービング機構2a,2bを制御してプローブ21a,21bを移動させ、導体パターン102a,102bの各プロービング位置にプローブ21a,21bをそれぞれプロービングさせる(ステップ53)。
【0033】
続いて、処理部7は、ステップ54を実行する。このステップ54では、処理部7は、第1の状態への切り替えを行う。具体的には、処理部7は、信号出力部3を制御して、検査用信号S1を第1極性(
図2に示すプローブ21a側を正(+)とし、プローブ21b側を負(−)とする極性)で出力させる。この際に、検査用信号S1が、プローブ21a,21bを介して各導体パターン102およびビア103に供給される。また、信号出力部3は、電流値を電流値I1に維持すると共に、電圧値が電圧値V1以下となるように検査用信号S1の出力を制御する。
【0034】
次いで、処理部7は、測定部4を制御して、第1の状態で各導体パターン102およびビア103間の抵抗値R1を測定させる。この場合、測定部4は、信号出力部3から供給されている検査用信号S1の電流値(電流値I1)と、プローブ21a,21b間の電圧値とに基づいて抵抗値R1を測定する。また、処理部7は、測定された抵抗値R1を記憶部5に記憶させる。
【0035】
続いて、処理部7は、ステップ55を実行する。このステップ55では、処理部7は、第2の状態への切り替えを行う。具体的には、処理部7が、信号出力部3を制御して検査用信号S1を第2極性(第1極性を反転した極性)で出力させ、各導体パターン102およびビア103に検査用信号S1を供給させる。この際に、信号出力部3は、電流値を電流値I1に維持すると共に、電圧値が電圧値V1以下となるように検査用信号S1の出力を制御する。次いで、処理部7は、測定部4を制御して、第2の状態で各導体パターン102およびビア103間の抵抗値R2を測定させ、測定された抵抗値R2を記憶部5に記憶させる。
【0036】
続いて、処理部7は、ステップ56を実行する。このステップ56では、処理部7は、第3の状態への切り替えを行う。具体的には、処理部7が、信号出力部3を制御して検査用信号S2を第1極性で出力させ、各導体パターン102およびビア103に検査用信号S2を供給させる。この際に、信号出力部3は、電流値を電流値I2に維持すると共に、電圧値が電圧値V2以下となるように検査用信号S2の出力を制御する。次いで、処理部7は、測定部4を制御して、第3の状態で各導体パターン102およびビア103間の抵抗値R3を測定させ、測定された抵抗値R3を記憶部5に記憶させる。
【0037】
続いて、処理部7は、ステップ57を実行する。このステップ57では、処理部7は、第4の状態への切り替えを行う。具体的には、処理部7が、信号出力部3を制御して検査用信号S2を第2極性で出力させ、各導体パターン102およびビア103に検査用信号S2を供給させる。この際に、信号出力部3は、電流値を電流値I2に維持すると共に、電圧値が電圧値V2以下となるように検査用信号S2の出力を制御する。次いで、処理部7は、測定部4を制御して、第4の状態で各導体パターン102およびビア103間の抵抗値R4を測定させ、測定された抵抗値R4を記憶部5に記憶させる。なお、上記したステップ54〜57において行った各状態への切り替えが切替処理に相当する。
【0038】
続いて、処理部7は、導体パターン102とビア103との接続状態の良否を判定する判定処理を実行する(ステップ58)。この判定処理では、処理部7は、まず、記憶部5から抵抗値R1〜R4を読み出す。次いで、処理部7は、各抵抗値R1〜R4の相互の比率p1〜p4(一例として、p1=R1/R2,p2=R2/R3,p3=R3/R4,p4=R4/R1)を算出する。続いて、処理部7は、各比率p1〜p4のすべてが予め規定された基準範囲A(一例として、0.8〜1.2の範囲)内との条件を満たし、かつ各抵抗値R1〜R4のすべてが絶縁状態を示す絶縁抵抗値Ri(一例として、100MΩ)未満であるか否かを判別する。
【0039】
ここで、例えば、導体パターン102とビア103とが絶縁状態のとき(導体パターン102とビア103とが離間しているとき)には、抵抗値R1〜R4が絶縁抵抗値Ri以上となる。このため、処理部7は、抵抗値R1〜R4の1つ以上が絶縁抵抗値Ri以上のときには、導体パターン102とビア103との接続状態が不良(導通不良)と判定する。
【0040】
一方、この種の基板100では、導体パターン102とビア103とが接続されているものの、導体パターン102とビア103とを接続する際に用いる材料に含まれる成分と導体パターン102およびビア103を構成する金属とによって半導体が形成され、この半導体と金属とによって整流作用を示すショットキー接続が導体パターン102とビア103との接続部分に形成されることがある。このような導体パターン102およびビア103では、検査用信号Sの極性の相違によって抵抗値が異なる(極性依存性がある)ことがある。具体的には、このような導体パターン102およびビア103では、例えば第1極性で検査用信号S1を供給したときには、抵抗値R1が適正な値で、第2極性で検査用信号S1を供給したときには、抵抗値R2が絶縁抵抗値Ri以上となり、抵抗値R1と抵抗値R2との比率p1(p1=R1/R2)が基準範囲A外となることがある。また、これとは逆に、第1極性で検査用信号S1を供給したときには、抵抗値R1が絶縁抵抗値Ri以上で、第2極性で検査用信号S1を供給したときには、抵抗値R2が適正な値となり、比率p1が基準範囲A外となることもある。また、例えば第1極性で検査用信号S2を供給したときには、抵抗値R3が適正な値で、第2極性で検査用信号S2を供給したときには、抵抗値R4が絶縁抵抗値Ri以上となり、抵抗値R3と抵抗値R4との比率p3(p3=R3/R4)が基準範囲A外となることもある。さらに、これとは逆に、第1極性で検査用信号S2を供給したときには、抵抗値R3が絶縁抵抗値Ri以上で、第2極性で検査用信号S2を供給したときには、抵抗値R4が適正な値となり、比率p3が基準範囲A外となることもある。このため、処理部7は、比率p1または比率p3が基準範囲A外のときには、導体パターン102とビア103との接続状態が不良(極性依存性不良)と判定する。
【0041】
また、導体パターン102とビア103とが接続されているものの、その接続が不十分なとき、具体的には、導体パターン102とビア103とが点的に接続し、接続部分の面積が僅かなときには、導体パターン102およびビア103に供給する検査用信号Sの電流値の相違によって抵抗値が異なる(電流値依存性がある)ことがある。具体的には、このように導体パターン102とビア103との接続が不十分なときには、電流値が大きい検査用信号S2を供給したときの抵抗値R3,R4が、電流値が小さい検査用信号S1を供給したときの抵抗値R1,R2よりも小さくなり、抵抗値R2と抵抗値R3との比率p2(p2=R2/R3)や抵抗値R4と抵抗値R1との比率p4(p4=R4/R1)が基準範囲A外となることがある。このため、処理部7は、比率p2または比率p4が基準範囲A外のときには、導体パターン102とビア103との接続状態が不良(電流値依存性不良)と判定する。
【0042】
この場合、例えば、第3の状態や第4の状態への切り替えを、第1の状態や第2の状態への切り替え以前に実行する構成および方法、つまり、大きい電流値の検査用信号S2を供給した後に小さい電流値の検査用信号S1を供給する構成および方法では、検査用信号S2を供給した時点で、導体パターン102とビア103との接続状態が改善されて導体パターン102およびビア103の抵抗値がしばらくの間小さい状態に維持されることがある。このときには、抵抗値R1〜R4がすべて小さい値となって、導体パターン102とビア103との接続状態が電流値依存性不良であるとしても、接続状態が良好と誤判定される(良好とみなされる)おそれがある。これに対して、この基板検査装置1では、第1から第4の状態をこの順序で切り替えることにより、このような誤判定を防止して、電流値依存性不良を正しく判定することが可能となっている。なお、この基板検査装置1では、検査用信号S1の電流値I1が、上記した導体パターン102とビア103との接続状態の改善を防止する程度に小さい値(この例では、5mA)に規定されている。
【0043】
一方、導体パターン102およびビア103について、上記した各種の不良(導通不良、極性依存性不良および電流値依存性不良)が存在しないときには、抵抗値R1〜R4の相互の比率p1〜p4のすべてが基準範囲A内で(予め決められた条件を満たし)、かつ抵抗値R1〜R4のすべてが絶縁抵抗値Ri未満となる。このため、処理部7は、比率p1〜p4のすべてが基準範囲A内で、かつ抵抗値R1〜R4のすべてが絶縁抵抗値Ri未満のときには、導体パターン102とビア103との接続状態が良好と判定する。
【0044】
次いで、処理部7は、すべての導体パターン102についての接続状態の良否の判定が終了したか否かを判別する(ステップ59)。
【0045】
この場合、すべての導体パターン102およびビア103についての接続状態の良否の判定が終了していないと判別したときには、処理部7は、図外の他の導体パターンにおけるプロービング位置を特定し(ステップ52)、続いて、上記したステップ53〜ステップ58の各処理を実行して、他の導体パターンおよびビアの接続状態の良否を判定する。
【0046】
以下、同様にして、処理部7は、他のすべての導体パターンおよびビアの接続状態の良否を判定する。
【0047】
次いで、処理部7は、ステップ59において、すべての導体パターンおよびビアの接続状態の良否の判定が終了したと判別したときには、その判定結果に基づいて基板100の良否判定を行い、判定結果を表示部6に表示させる(ステップ60)。この場合、処理部7は、すべての導体パターンおよびビアの接続状態が良好と判定したときには、基板100を良好と判定して、その旨を表示部6に表示させる。また、1組以上の導体パターンおよびビアの接続状態が不良と判定したときには、基板100を不良と判定して、その旨、および接続状態が不良と判定した導体パターンおよびビアを示す情報を表示部6に表示させて、検査処理50を終了する。
【0048】
次に、処理部7が、上記した検査処理50に代えて、
図4に示す検査処理70を実行する構成および方法について説明する。なお、検査処理70において、検査処理50のステップと同様の処理を行うステップについては、重複する説明を省略する。
【0049】
この検査処理70では、抵抗値R1〜R4のすべてを測定した後に判定処理を実行する検査処理50とは異なり、抵抗値R1〜R4を測定する毎に判定処理を実行する。具体的には、
図4に示すように、第1の状態への切り替え、および抵抗値R1の測定を実行した後に、導体パターン102とビア103との接続状態の良否の判定を実行する(ステップ74)。この際に、例えば、抵抗値R1が絶縁抵抗値Ri以上であって、導体パターン102とビア103との接続状態が不良(導通不良)と判定したときには(ステップ75)、処理部7は、第2〜第4の状態への切り替え、および抵抗値R2〜R4の測定(ステップ76〜ステップ80)を実行することなく、検査処理50のステップ59と同様のステップ81を実行する。
【0050】
一方、抵抗値R1が絶縁抵抗値Ri未満のときには、ステップ75において、導体パターン102とビア103との接続状態が不良とは判定せずに、ステップ76を実行して、第2の状態への切り替え、および抵抗値R2の測定を実行した後に、接続状態の良否の判定を実行する。この際に、例えば、抵抗値R2が絶縁抵抗値Ri以上、または比率p1(p1=R1/R2)が基準範囲A外であって、導体パターン102とビア103との接続状態が不良(導通不良または極性依存性不良)と判定したときには(ステップ77)、処理部7は、第3,第4の状態への切り替え、および抵抗値R3,R4の測定(ステップ78〜ステップ80)を実行することなく、ステップ81を実行する。
【0051】
また、抵抗値R2が絶縁抵抗値Ri未満で、かつ比率p1が基準範囲A内のときには、ステップ77において、導体パターン102とビア103との接続状態が不良とは判定せずに、ステップ78を実行して、第3の状態への切り替え、および抵抗値R3の測定を実行した後に、接続状態の良否の判定を実行する。この際に、例えば、抵抗値R3が絶縁抵抗値Ri以上、または比率p2(p2=R2/R3)が基準範囲A外であって、導体パターン102とビア103との接続状態が不良(導通不良または電流値依存性不良)と判定したときには(ステップ79)、処理部7は、第4の状態への切り替え、および抵抗値R4の測定(ステップ80)を実行することなく、ステップ81を実行する。
【0052】
また、抵抗値R3が絶縁抵抗値Ri未満で、かつ比率p2が基準範囲A内のときには、ステップ79において、導体パターン102とビア103との接続状態が不良とは判定せずに、ステップ80を実行して、第4の状態への切り替え、および抵抗値R4の測定を実行した後に、接続状態の良否の判定を実行する。この際に、例えば、抵抗値R4が絶縁抵抗値Ri以上、または比率p3(p3=R3/R4)が基準範囲A外、または比率p4(p4=R4/R1)が基準範囲A外のときには、処理部7は、導体パターン102とビア103との接続状態が不良(導通不良または極性依存性不良または電流値依存性不良)と判定する。一方、抵抗値R4が絶縁抵抗値Ri未満で、かつ比率p3および比率p4がいずれも基準範囲A内のときには、処理部7は、導体パターン102とビア103との接続状態が良好と判定する。続いて、処理部7は、ステップ81を実行する。
【0053】
この検査処理70を実行する構成および方法では、上記したように、抵抗値R1〜R4を測定する毎に判定処理を実行し、導体パターン102とビア103との接続状態が不良と判定した時点で、他の状態への切り替えや他の抵抗値Rの測定を省略することができるため、その分、検査効率を十分に向上させることが可能となる。
【0054】
このように、この基板検査装置1および検査方法では、第1〜第4の各状態でそれぞれ測定した導体パターン102およびビア103の抵抗値R1〜R4の相互の関係が予め決められた条件を満たしかつ抵抗値R1〜R4のすべてが絶縁抵抗値Ri未満のときに導体パターン102とビア103との接続状態を良好と判定し、抵抗値R1〜R4の相互の関係が条件を満たさないときおよび抵抗値R1〜R4の1つ以上が絶縁抵抗値Ri以上のときの少なくとも一方のときに導体パターン102とビア103との接続状態を不良と判定する判定処理を実行する。このため、この基板検査装置1および検査方法によれば、導体パターン102とビア103との接続状態の良否を判定するための導体パターン102およびビア103毎の良否判定用基準値を用いることなく導体パターン102とビア103との接続状態の良否を判定することができる。したがって、この基板検査装置1および検査方法によれば、導体パターン102およびビア103毎の良否判定用基準値を設定するのに必要な多くの労力と時間を省略することができるため、検査効率を十分に向上させることができる。また、この基板検査装置1および検査方法によれば、経験値に基づいて規定される良否判定用基準値を用いないため、良否判定用基準値が適正でない場合の検査精度の低下を確実に防止することができる結果、精度を十分に向上させることができる。
【0055】
また、この基板検査装置1および検査方法によれば、抵抗値R1〜R4の相互の比率p1〜p4のすべてが基準範囲A内であることを条件として判定処理を実行することにより、比率p1〜p4を算出し、比率p1〜p4と基準範囲Aとを比較するだけの簡易な処理で導体パターン102とビア103との接続状態の良否を確実かつ高精度に判定することができる。
【0056】
また、この基板検査装置1および検査方法では、切替処理において、第1から第4の状態をこの順序で切り替える。この場合、例えば、第3,第4の状態への切り替えを第1,第2の状態への切り替え以前に実行する構成および方法、つまり、大きい電流値の検査用信号S2を供給した後に小さい電流値の検査用信号S1を供給する構成および方法を採用することもできる。ただし、この構成および方法では、検査用信号S2を供給した時点で、導体パターン102およびビア103の抵抗値がしばらくの間小さい状態に維持され(つまり、抵抗値R1〜R4がすべて小さい値となり)、導体パターン102とビア103との接続状態が電流値依存性不良であるとしても、接続状態が良好と誤判定されるおそれがある。これに対して、この基板検査装置1および検査方法によれば、第1から第4の状態をこの順序で切り替えることにより、このような誤判定を防止して、電流値依存性不良を正しく判定することができる。
【0057】
また、この基板検査装置1および検査方法では、抵抗値R1が絶縁状態を示す絶縁抵抗値Ri未満で抵抗値R2が絶縁抵抗値Ri以上のとき、および抵抗値R2が絶縁抵抗値Ri未満で抵抗値R1が絶縁抵抗値Ri以上のときのいずれかのときに、導体パターン102およびビア103の接続状態を、極性の相違によって抵抗値が異なる極性依存性不良と判定する。このため、この基板検査装置1および検査方法によれば、接続状態の良否を判定するための基準値を用いることなく、導体パターン102およびビア103が絶縁状態のときに測定される一般的な絶縁抵抗値Riを用いて極性依存性不良を確実に判定することができる。
【0058】
また、この基板検査装置1および検査方法では、抵抗値R1と抵抗値R2との比率p1が基準範囲A内で、かつ抵抗値R2と抵抗値R3との比率p2が基準範囲A外のときに、導体パターン102およびビア103の接続状態を、電流値の相違によって抵抗値が異なる電流値依存性不良と判定する。このため、この基板検査装置1および検査方法によれば、接続状態の良否を判定するための基準値を用いることなく、比率p1,p2と基準範囲Aとに基づいて電流値依存性不良を確実に判定することができる。
【0059】
なお、基板検査装置1および検査方法は、上記の構成および方法に限定されない。例えば、抵抗値R1〜R4の相互の比率は、上記した比率p1〜p4(p1=R1/R2,p2=R2/R3,p3=R3/R4,p4=R4/R1)に限定されず、抵抗値R1〜R4の中の2つの組み合わせを変更した他の比率を採用することもできる。
【0060】
また、抵抗値R1〜R4の相互の比率のすべてが基準範囲A内であることを条件として判定処理を実行する構成および方法について上記したが、他の条件を採用することもできる。例えば、抵抗値R1〜R4の相互の差分値が基準範囲内であることを条件として判定処理を実行する構成および方法を採用することもできる。
【0061】
また、基板本体101の一面101aおよび他面101bにそれぞれ形成された2つの導体パターン102a,102bとビア103との接続状態の良否をこの基板検査装置1および検査方法を用いて検査する例について上記したが、
図5に示すように、基板本体101の内層101cに導体パターン102cが形成され、3つの導体パターン102a,102b,102cが2つのビア103a,103bで接続された多層基板200を検査対象として、導体パターン102a,102b,102cとビア103a,103bとの接続状態の良否をこの基板検査装置1および検査方法を用いて判定することもできる。また、4つ以上の導体パターンが3つ以上のビアで接続された多層基板を検査対象とすることもできる。
【0062】
また、基板100や多層基板200に形成された導体パターン102とビア103との接続状態の良否を判定だけでなく、基板100に実装された電子部品の端子と導体パターン102との半田付け部分の接続状態の良否(プアコンタクト不良)の判定にこの基板検査装置1および検査方法を用いることもできる。
【0063】
また、上記した第1の状態および第2の状態における検査用信号S1の極性を上記した極性とは逆の極性にしてもよいし、上記した第3の状態および第4の状態における検査用信号S2の極性を上記した極性とは逆の極性にしてもよい。