特許第6965124号(P6965124)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6965124
(24)【登録日】2021年10月22日
(45)【発行日】2021年11月10日
(54)【発明の名称】両軸受リール
(51)【国際特許分類】
   A01K 89/0155 20060101AFI20211028BHJP
【FI】
   A01K89/0155
【請求項の数】14
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2017-227995(P2017-227995)
(22)【出願日】2017年11月28日
(65)【公開番号】特開2019-4865(P2019-4865A)
(43)【公開日】2019年1月17日
【審査請求日】2020年10月26日
(31)【優先権主張番号】特願2017-123506(P2017-123506)
(32)【優先日】2017年6月23日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002439
【氏名又は名称】株式会社シマノ
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】新樹グローバル・アイピー特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】武智 邦生
【審査官】 田辺 義拓
(56)【参考文献】
【文献】 特開2016−220547(JP,A)
【文献】 特開2000−262194(JP,A)
【文献】 実開昭60−106469(JP,U)
【文献】 実開平01−082767(JP,U)
【文献】 独国特許出願公開第102014201183(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 89/00 − 89/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1リール本体部と、
前記第1リール本体部と間隔をあけて配置される第2リール本体部と、
前記第1リール本体部と前記第2リール本体部との間に配置されるスプールと、
前記スプールの回転を制動する制動機構と、
外周面から半径方向外側に延びるフランジ部を有し、前記第1リール本体部に取り付けられ、前記制動機構による制動力を調整する筒状の調整部材と、
前記調整部材に螺合する固定部材と、
前記調整部材が貫通する貫通孔を有し、前記フランジ部と前記固定部材との間で挟まれることによって前記調整部材に取り付けられる操作レバーと、
を備え、
前記貫通孔は、短軸及び長軸を有し、
前記調整部材及び前記操作レバーの一方は、周方向に配列されて半径方向に開口する係合凹部を有し、
前記調整部材及び前記操作レバーの他方は、前記係合凹部と係合するように構成される係合凸部を有し、
前記係合凸部及び前記係合凹部は、前記操作レバーを前記長軸方向に移動させることによって、係合状態と係合解除状態とを取り得るように構成される、
両軸受リール。
【請求項2】
前記調整部材及び前記操作レバーの一方は、本体部材と、前記本体部材に対して回転不能に取り付けられる位置決め部材と、を有し、
前記係合凹部は、前記位置決め部材に設けられる、
請求項1に記載の両軸受リール。
【請求項3】
前記調整部材は、前記本体部材及び前記位置決め部材を有し、
前記係合凹部は、前記位置決め部材の外周面に設けられる、
請求項2に記載の両軸受リール。
【請求項4】
前記係合凹部は、前記調整部材の前記フランジ部の外周面に設けられる、
請求項1に記載の両軸受リール。
【請求項5】
前記係合凹部は、軸方向に延びる溝状である、
請求項1から4のいずれかに記載の両軸受リール。
【請求項6】
前記係合凸部は、前記操作レバーに設けられる、
請求項1から5のいずれかに記載の両軸受リール。
【請求項7】
前記係合凸部は、前記貫通孔の長軸方向において、前記貫通孔の外側に配置される、
請求項6に記載の両軸受リール。
【請求項8】
前記係合凸部は、軸方向に突出する、
請求項1から7のいずれかに記載の両軸受リール。
【請求項9】
前記調整部材は、外周面にネジ部を有し、
前記固定部材は、前記ネジ部に螺合するナット部材である、
請求項1から8のいずれかに記載の両軸受リール。
【請求項10】
前記操作レバーの前記長軸方向の移動を規制する規制手段をさらに備える、
請求項1から9のいずれかに記載の両軸受リール。
【請求項11】
前記操作レバーは、前記貫通孔を囲むように配置されて前記固定部材側に突出する第1円筒部を有し、
前記固定部材は、前記操作レバー側に突出する第2円筒部を有し、
前記規制手段は、前記第1円筒部及び前記第2円筒部を含み、
前記第2円筒部の内周面は、前記第1円筒部の外周面に当接する、
請求項10に記載の両軸受リール。
【請求項12】
前記操作レバーは、前記貫通孔を囲むように配置されて前記固定部材側に突出する第1円筒部を有し、
前記規制手段は、前記第1円筒部を含み、
前記第1円筒部の内周面は、前記固定部材の外周面に当接する、
請求項10に記載の両軸受リール。
【請求項13】
前記固定部材は、前記操作レバー側に突出する第2円筒部を有し、
前記規制手段は、前記第2円筒部をさらに含み、
前記第1円筒部の内周面は、前記第2円筒部の外周面に当接する、
請求項12に記載の両軸受リール。
【請求項14】
前記操作レバーは、前記貫通孔を囲むように配置されて前記フランジ部側に突出する第1円筒部を有し、
前記規制手段は、前記第1円筒部を含み、
前記第1円筒部の内周面は、前記フランジ部の外周面に当接する、
請求項10に記載の両軸受リール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、両軸受リールに関するものである。
【背景技術】
【0002】
両軸受リールは、一般的に、キャスティングコントロール機構を備えている。キャスティングコントロール機構は、スプールの回転を調整する機構である。例えば、キャスティングコントロール機構は、スプールと一体的に回転するスプール軸に摩擦力を掛けることによって、クラッチオフ状態時のスプールの回転を調整する。これによって、糸繰り出し時のスプールの回転速度を抑え、バックラッシュを防止する。
【0003】
特許文献1に記載の両軸受リールは、キャスティングコントロール機構の操作を容易にするため、操作レバーがリール本体に揺動可能に取り付けられている。この操作レバーを周方向に揺動させることによって、スプール軸に対する制動力を調整することができる。
【0004】
また、特許文献2の図15には、リール本体に取り付けられた調整部材によってスプール軸に対する制動力を調整し、この調整部材に操作レバーを取り外し可能に取り付ける構成が開示されている。この構成では、調整部材に対して操作レバーを取り付け、ナット部材で締結することによって操作レバーを調整部材に固定している。そして、ナット部材を緩めて、操作レバーを調整部材に対して回転させることで、調整部材に対する操作レバーの取付角度を調整することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9−275861号公報
【特許文献2】特開2016−220547号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したような両軸受リールでは、調整部材に形成された係合凹部に、操作レバーに形成された係合凸部が係合することによって、調整部材に対する操作レバーの相対回転をより確実に防止している。この構成では、操作レバーの取付角度を調整する際、係合凸部を係合凹部から外すために操作レバーを軸方向に移動する必要がある。そして、この操作レバーを軸方向に移動させるために、ナット部材を十分に緩める必要がある。これに対して、より容易に操作レバーの取付角度を調整したいという要望がある。
【0007】
本発明の課題は、より容易に操作レバーの取付角度を調整することができる両軸受リールを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のある側面に係る両軸受リールは、第1リール本体部と、第2リール本体部と、スプールと、制動機構と、調整部材と、固定部材と、操作レバーと、を備えている。第1リール本体部と第2リール本体部とは、互いに間隔をあけて配置される。スプールは、第1リール本体部と第2リール本体部との間に配置される。制動機構は、スプールの回転を制動するように構成される。筒状の調整部材は、外周面から半径方向外側に延びるフランジ部を有する。また、調整部材は、第1リール本体部に取り付けられ、制動機構による制動力を調整するように構成される。固定部材は、調整部材に螺合する。操作レバーは、調整部材が貫通する貫通孔を有する。また、操作レバーは、フランジ部と固定部材との間で挟まれることによって調整部材に取り付けられる。操作レバーの貫通孔は、短軸及び長軸を有する。調整部材及び操作レバーの一方は、周方向に配列されて半径方向に開口する係合凹部を有する。調整部材及び操作レバーの他方は、係合凹部と係合するように構成される係合凸部を有する。係合凸部及び係合凹部は、操作レバーを長軸方向に移動させることによって、係合状態と係合解除状態とを取り得るように構成される。
【0009】
この構成によれば、操作レバーの貫通孔は、長軸と短軸とを有している。そして、係合凹部は、半径方向に開口している。このため、操作レバーを軸方向に移動させるのではなく、操作レバーを長軸方向に移動させることによって、係合凸部と係合凹部との係合を解除することができる。すなわち、操作レバーが半径方向に移動できる程度に固定部材を緩めるだけでよい。したがって、操作レバーの取付角度をより容易に調整することができる。
【0010】
好ましくは、調整部材及び操作レバーの一方は、本体部材と、本体部材に対して回転不能に取り付けられる位置決め部材と、を有する。そして、係合凹部は、位置決め部材に設けられる。例えば、調整部材が、本体部材及び位置決め部材を有する。そして、係合凹部は、位置決め部材の外周面に設けられる。
【0011】
好ましくは、係合凹部は、調整部材のフランジ部の外周面に設けられる。
【0012】
好ましくは、係合凹部は、軸方向に延びる溝状である。
【0013】
好ましくは、係合凸部は、操作レバーに設けられる。
【0014】
好ましくは、係合凸部は、貫通孔の長軸方向において、貫通孔の外側に配置される。
【0015】
好ましくは、係合凸部は、軸方向に突出する。
【0016】
好ましくは、調整部材は、外周面にネジ部を有する。そして、固定部材は、ネジ部に螺合するナット部材である。
【0017】
好ましくは、軸受リールは、規制手段をさらに備えている。規制手段は、操作レバーの長軸方向の移動を規制するように構成されている。この構成によれば、係合凸部と係合凹部との係合が解除される方向に操作力が掛かったとしても、操作レバーは長軸方向に移動することがないため、係合凸部と係合凹部との係合が意図せずに外れることを防止できる。なお、規制手段は、操作レバーの長軸方向の移動を解除可能に規制している。固定部材を緩めることによって、規制手段による操作レバーの長軸方向の移動規制を解除することができる。
【0018】
好ましくは、操作レバーは、貫通孔を囲むように配置されて固定部材側に突出する第1円筒部を有する。固定部材は、操作レバー側に突出する第2円筒部を有する。規制手段は、第1円筒部及び第2円筒部から構成される。第2円筒部の内周面は、第1円筒部の外周面に当接する。この構成によれば、第1円筒部と第2円筒部との当接によって、操作レバーが長軸方向の移動が規制されるため、意図せずに係合凸部と係合凹部との係合が解除されることを防止できる。
【0019】
好ましくは、操作レバーは、貫通孔を囲むように配置されて固定部材側に突出する第1円筒部を有する。規制手段は、この第1円筒部によって構成される。第1円筒部の内周面は、固定部材の外周面に当接する。この構成によれば、第1円筒部の内周面と固定部材の外周面との当接によって、操作レバーが長軸方向の移動が規制されるため、意図せずに係合凸部と係合凹部との係合が解除されることを防止できる。なお、好ましくは、固定部材は、第1円筒部と第2円筒部とによって構成されてもよい。第2円筒部は、操作レバー側に突出する。第1円筒部の内周面は、第2円筒部の外周面に当接する。この構成によれば、第1円筒部の内周面と第2円筒部の外周面との当接によって、操作レバーが長軸方向の移動が規制されるため、意図せずに係合凸部と係合凹部との係合が解除されることを防止できる。
【0020】
好ましくは、操作レバーは、貫通孔を囲むように配置されてフランジ部側に突出する第1円筒部を有する。規制手段は、第1円筒部によって構成される。第1円筒部の内周面は、フランジ部の外周面に当接する。この構成によれば、第1円筒部の内周面とフランジ部の外周面との当接によって、操作レバーが長軸方向の移動が規制されるため、意図せずに係合凸部と係合凹部との係合が解除されることを防止できる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、より容易に操作レバーの取付角度を調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】両軸受リールの背面図。
図2】両軸受リールの断面図。
図3】両軸受リールの拡大断面図。
図4】キャスティングコントロール機構の分解斜視図。
図5】操作レバーの正面図。
図6】係合凸部と係合凹部との係合状態を示す断面図。
図7】係合凸部と係合凹部との係合解除状態を示す断面図。
図8】変形例に係る両軸受リールの拡大断面図。
図9】変形例に係るキャスティングコントロール機構の分解斜視図。
図10】規制手段を示す断面斜視図。
図11】規制手段を示す断面図。
図12】別の規制手段を示す断面図。
図13】さらに別の規制手段を示す断面斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明に係る両軸受リールの実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、以下の説明において、軸方向とは、スプールの回転軸の延びる方向を示す。また、半径方向とはスプールの回転軸を中心とした円の半径方向を示し、周方向とはスプールの回転軸を中心とした円の周方向を示す。
【0024】
[両軸受リール]
図1及び図2に示すように、両軸受リール100は、リール本体2、スプール3、スプール軸4、制動機構5、調整部材6、操作レバー7、及びナット部材8を備えている。
【0025】
[リール本体]
リール本体2は、第1リール本体部21と第2リール本体部22とを有している。第1リール本体部21と第2リール本体部22とは、軸方向に互いに間隔をあけて配置されている。第1リール本体部21と第2リール本体部22とは、複数の連結部23を介して互いに連結されている。
【0026】
図2に示すように、第1リール本体部21は、第1側板21a及び第1カバー21bを有している。第1リール本体部21は、内部に収容空間を有している。この収容空間内に、回転伝達機構11などが収容されている。第2リール本体部22は、第2側板22a及び第2カバー22bを有している。第1側板21aと第2側板22aとは、連結部23を介して、互いに連結されている。この第1側板21aと第2側板22aと連結部23とは、一体的に形成されており、リール本体2のフレームを構成している。
【0027】
第1リール本体部21は、第1ボス部24、及び第2ボス部25をさらに有する。第1ボス部24と第2ボス部25とは、互いに間隔をあけて配置されている。第1ボス部24及び第2ボス部25は、円筒状であって、軸方向外側に突出している。詳細には、第1ボス部24及び第2ボス部25は、第1カバー21bから軸方向外側に突出している。
【0028】
第1ボス部24の外周面にはネジ部241が形成されている(図3参照)。調整部材6が、この第1ボス部24に取り付けられる。詳細には、調整部材6が、第1ボス部24に螺合する。第2ボス部25は、第1ボス部24と間隔をあけて配置されている。このため、第2ボス部25は、第1ボス部24に取り付けられた調整部材6と間隔をあけて配置されている。
【0029】
第1ボス部24及び第2ボス部25は、第1リール本体部21の収容空間と外部とを連通している。第1ボス部24内において、スプール軸4の一方の端部が回転可能に支持されている。また、第2ボス部25内において、ワンウェイクラッチ26を介して駆動軸11aが糸巻き取り方向に回転可能に支持されている。
【0030】
[スプール]
スプール3は、第1リール本体部21と第2リール本体部22との間に配置されている。詳細には、スプール3は、略円筒状であって軸方向に延びている。スプール3は、リール本体2に対して回転可能である。スプール3は、スプール軸4を介してリール本体2に回転可能に支持されている。
【0031】
[スプール軸]
スプール軸4は、スプール3と一体的に回転する。スプール軸4は、第1リール本体部21と第2リール本体部22とによって回転可能に支持されている。なお、スプール軸4は、第1及び第2軸受部材12a、12bを介して、第1リール本体部21及び第2リール本体部22に回転可能に支持されている。
【0032】
[ハンドル]
ハンドル10は、スプール軸4を回転させるための部材であって、第1リール本体部21に回転可能に装着されている。ハンドル10が回転すると、回転伝達機構11を介してスプール軸4が回転する。
【0033】
[回転伝達機構]
回転伝達機構11は、ハンドル10の回転をスプール軸4に伝達する機構である。回転伝達機構11は、駆動軸11a、駆動ギア11b、ピニオンギア11c、及びクラッチ機構11dを有する。駆動軸11aは、ハンドル10と一体的に回転する。駆動ギア11bは、駆動軸11aと一体的に回転する。ピニオンギア11cは、駆動ギア11bと噛み合う。ピニオンギア11cは筒状であって、スプール軸4がピニオンギア11c内を貫通している。
【0034】
クラッチ機構11dは、ピニオンギア11cの回転をスプール軸4に伝達したり、遮断したりするように構成されている。クラッチ機構11dは、スプール3を自由回転可能とするクラッチオフ状態と、スプール3を糸巻き取り可能とするクラッチオン状態とを取り得る。具体的には、クラッチ機構11dは、係合ピン11eと係合凹部11fとによって構成される。係合ピン11eは、スプール軸4を半径方向に貫通している。係合凹部11fは、ピニオンギア11cの一方の端部に形成された凹部である。
【0035】
クラッチ機構11dがクラッチオン状態となったとき、係合ピン11eが係合凹部11fに係合する。この結果、ピニオンギア11cの回転がスプール軸4に伝達され、スプール3が糸巻き取り可能となる。一方、クラッチ機構11dがクラッチオフ状態となったとき、ピニオンギア11cが係合ピン11eから離れる方向に移動することによって係合ピン11eと係合凹部11fとの係合が解除される。この結果、ピニオンギア11cの回転がスプール軸4に伝達されず、スプール3は自由回転可能となる。
【0036】
[制動機構]
制動機構5は、スプール3の回転を制動するように構成されている。詳細には、スプール軸4がスプール3と一体的に回転するため、制動機構5は、スプール軸4の回転を制動することによって、スプール3の回転を制動するように構成されている。なお、本実施形態における制動機構5は、スプール軸4の糸繰り出し方向の回転を制動するように構成されている。図3に示すように、制動機構5は、ワンウェイクラッチ51、第1摩擦プレート52、及び第2摩擦プレート53を有している。
【0037】
ワンウェイクラッチ51は、スプール軸4に取り付けられる。ワンウェイクラッチ51は、外輪51a、及び複数の転動体51bを有している。外輪51aは、リール本体2に対して回転可能である。詳細には、外輪51aは、第1ボス部24に対して回転可能である。外輪51aは、第1ボス部24の内周面と隙間をあけて配置される。
【0038】
外輪51aは、軸方向において、第1摩擦プレート52と第2摩擦プレート53とによって挟持されている。すなわち、第1及び第2摩擦プレート52,53によって、外輪51aの回転が制動されている。
【0039】
転動体51bは、スプール軸4と外輪51aとの間に配置されている。転動体51bは、スプール軸4の糸繰り出し方向の回転を外輪51aに伝達する。一方、転動体51bは、スプール軸4の糸巻き取り方向の回転を外輪51aに伝達しない。
【0040】
第1摩擦プレート52は、ワンウェイクラッチ51の外輪51aと調整部材6の円板部61との間に配置されている。第1摩擦プレート52は、環状のプレートであって、外輪51aと接触している。なお、第1摩擦プレート52は、外輪51aと接触する一方、転動体51bとは接触していない。第1摩擦プレート52は、例えば、カーボンクロス製である。調整部材6の円板部61は、第1摩擦プレート52を介して外輪51aを軸方向に押圧している。
【0041】
第2摩擦プレート53は、環状であって、ワンウェイクラッチ51の外輪51aと接触している。第1摩擦プレート52と第2摩擦プレート53とで、外輪51aを挟んでいる。なお、第2摩擦プレート53は、転動体51bと接触していない。
【0042】
[付勢部材]
付勢部材14は、ワンウェイクラッチ51の外輪51aを調整部材6の円板部61に向けて付勢する。すなわち、付勢部材14は、外輪51aが第1摩擦プレート52から離れないように外輪51aを付勢している。なお、付勢部材14は、第2摩擦プレート53を介して外輪51aを付勢している。
【0043】
付勢部材14は、軸方向において、ワンウェイクラッチ51から離れる方向への移動が規制されている。具体的には、付勢部材14は、第1軸受部材12aによって支持されている。この第1軸受部材12aは、第1ボス部24の内周面に形成された段差部242によって、ワンウェイクラッチ51から離れる方向への移動が規制されている。
【0044】
付勢部材14は、例えば皿バネである。付勢部材14の外周部が第2摩擦プレート53を介してワンウェイクラッチ51の外輪51aを付勢する。また、付勢部材14の内周部が第1軸受部材12aの内輪に支持されている。付勢部材14が完全に圧縮されたときであっても、スプール軸4の端面4aは、調整部材6の底面61aとは接触しない。
【0045】
[調整部材]
調整部材6は、第1リール本体部21の第1ボス部24に取り付けられている。調整部材6は円筒状である。詳細には、調整部材6は、円板部61と、円板部61の外周端部から軸方向に延びる筒状部62とを有している。
【0046】
また、調整部材6は、ネジ部63及びフランジ部64を有している。ネジ部63は、筒状部62の外周面に形成されている。フランジ部64は、筒状部62の外周面から半径方向に延びる。
【0047】
調整部材6は、筒状部62の内周面に形成されたネジ部65も有している。このネジ部65は、リール本体2の第1ボス部24の外周面に形成されたネジ部241に螺合している。このため、調整部材6は、軸周りに回転すると軸方向に移動する。
【0048】
調整部材6は、スプール軸4の回転を制動する制動力を調整することができる。すなわち、調整部材6は、制動機構5による制動力を調整することができる。なお、本実施形態では、スプール軸4が糸繰り出し方向に回転するとき、スプール軸4と外輪51aとは連動して回転する。このため、調整部材6は、外輪51aの回転を制動する制動力を調整することによって、スプール軸4の回転を制動する制動力を調整することができる。具体的には、調整部材6を回転させて軸方向に移動させることによって、調整部材6が外輪51aを押圧する力を調整でき、ひいては外輪51aを制動する制動力を調整することができる。なお、調整部材6は、第1摩擦プレート52を介して外輪51aを押圧する。
【0049】
調整部材6の内周面と第1ボス部24の外周面との間にシール部材66が配置されている。このシール部材66によって、リール本体2内部への異物の侵入を防止することができる。また、このシール部材66によって、調整部材6が釣り人の意に反して回転しないように調整部材6に回転抵抗が付与される。
【0050】
図4に示すように、調整部材6は、本体部材60と、位置決め部材9とを有している。本体部材60と位置決め部材9とは、互いに別部材によって構成されている。なお、本体部材60は、上述した円板部61及び筒状部62などを有している。
【0051】
位置決め部材9は、本体部材60に対して回転不能に取り付けられる。詳細には、位置決め部材9は、円筒状である。位置決め部材9の内径は、調整部材6の筒状部62の外径と略等しい。
【0052】
位置決め部材9は、その内周面に形成されたキー91を有している。このキー91が、本体部材60の筒状部62の外周面に形成されたキー溝621と係合している。この結果、位置決め部材9は、本体部材60に対して回転不能に取り付けられる。すなわち、位置決め部材9は、本体部材60と一体的に回転する。なお、位置決め部材9は、本体部材60に対して、軸方向に摺動可能である。
【0053】
また、位置決め部材9は、周方向に配列される複数の係合凹部92を有している。各係合凹部92は、位置決め部材9の外周面に形成されている。そして、各係合凹部92は、半径方向の外側に開口している。各係合凹部92は、軸方向に延びる溝状に形成されている。また、係合凹部92は、正面視において、半円状に構成されている。後述する係合凸部72は、この複数の係合凹部92のうちいずれかの係合凹部92と係合している。なお、係合凹部92の内壁面は、係合凸部72の外周面に沿うような形状となっている。
【0054】
[ナット部材]
ナット部材8(固定部材の一例)は、調整部材6に螺合するように構成されている。詳細には、ナット部材8は、内周面にネジ部が形成されており、調整部材6のネジ部63と螺合する。ナット部材8は、調整部材6のフランジ部64との間で操作レバー7を挟むことによって、操作レバー7を調整部材6に固定する。同様に、ナット部材8は、位置決め部材9も調整部材6に固定している。すなわち、ナット部材8とフランジ部64との間で、操作レバー7及び位置決め部材9が挟まれている。
【0055】
ナット部材8は、操作レバー7と第1リール本体部21との間に配置されている。より詳細には、ナット部材8は、位置決め部材9と第1リール本体部21との間に配置されている。すなわち、第1リール本体部21側から、ナット部材8,位置決め部材9、操作レバー7、調整部材6のフランジ部64の順に並んでいる。
【0056】
[操作レバー]
操作レバー7は、調整部材6に取り外し可能に取り付けられている。詳細には、操作レバー7は、調整部材6のフランジ部64とナット部材8とによって挟まれることによって調整部材6に取り付けられている。
【0057】
操作レバー7は、周方向に揺動可能に配置されている。なお、操作レバー7は、調整部材6と一体的に回転する。具体的には、この操作レバー7を揺動させることで、調整部材6がスプール軸4の回転軸を中心に回転する。
【0058】
操作レバー7は、操作レバー本体部71と、一対の係合凸部72と、貫通孔73とを有している。操作レバー本体部71は、調整部材6から半径方向に延びている。また、操作レバー本体部71は、第2リール本体部22に向かって延びている。具体的には、操作レバー本体部71の先端部が第1リール本体部21に向かうように、操作レバー本体部71は曲折している。なお、操作レバー本体部71の先端部は、調整部材6から遠い側の端部であり、操作レバー本体部71の基端部は、調整部材6に近い側の端部である。
【0059】
図5に示すように、貫通孔73は、操作レバー本体部71の基端部側に形成されている。この貫通孔73内を調整部材6の筒状部62が貫通している。貫通孔73は、短軸と長軸とを有している。具体的には、貫通孔73は、正面視において、トラック形状又は楕円形状などのオーバル形状である。貫通孔73の長軸は、操作レバー本体部71の長手方向(図5の上下方向)に沿って延びている。また、貫通孔73の短軸は、操作レバー本体部71の幅方向(図5の左右方向)に沿って延びている。
【0060】
貫通孔73の短軸の長さd1は、調整部材6の筒状部62の外径と略等しい。貫通孔73の長軸の長さd2は、調整部材6の筒状部62の外径よりも大きい。このため、図6に示すように、貫通孔73の長軸方向において、貫通孔73の内壁面と、筒状部62の外周面との間に隙間Sが形成されている。特に限定されるものではないが、上記隙間Sの長さは、係合凹部92の深さよりも大きいことが好ましい。
【0061】
係合凸部72は、操作レバー本体部71から軸方向に突出している。詳細には、係合凸部72は、軸方向において、位置決め部材9側に向かって延びている。係合凸部72は、円柱状に構成されている。そして、係合凸部72は、位置決め部材9の係合凹部92と係合するように構成されている。係合凸部72は、貫通孔73の長軸方向において、貫通孔73の外側に配置されている。
【0062】
[両軸受リールの動作]
次に、両軸受リール100の動作について説明する。釣り糸をスプール3から繰り出すキャスティング時には、スプール軸4は糸繰り出し方向に回転する。このスプール軸4の糸繰り出し方向の回転は、ワンウェイクラッチ51の転動体51bを介して外輪51aに伝達され、外輪51aが回転する。外輪51aは、第1摩擦プレート52を介して、調整部材6によって押圧されている。すなわち、外輪51aは制動機構5によって制動されているため、外輪51aと一体的に回転するスプール軸4の回転速度が抑えられる。スプール軸4とスプール3とは連動しているため、糸繰り出し時のスプール3の回転速度も抑えられ、バックラッシュが防止される。
【0063】
操作レバー7を周方向に揺動させると、調整部材6が回転して軸方向に移動するため、制動機構5による制動力を調整することができる。すなわち、操作レバー7を周方向に揺動させることによって、スプール軸4に対する制動力を調整することができる。なお、操作レバー7は、例えば、第2リール本体部22を保持した手によって、操作されてもよい。
【0064】
釣り糸を巻き取るとき、スプール軸4は糸巻き取り方向に回転する。転動体51bは、このスプール軸4の糸巻き取り方向の回転を外輪51aに伝達しない。すなわち、スプール軸4と外輪51aとは連動せず、制動機構5による制動力がスプール軸4に作用しない。したがって、糸巻き取り時には、制動機構5による回転抵抗がスプール軸4に生じず、スプール軸4はスムーズに回転することができる。
【0065】
操作レバー7の取付角度を変えるときは、まず、ナット部材8を回転させて緩める。ここで、係合凸部72の軸方向の長さ分だけ操作レバー7が軸方向に移動できる程度にナット部材8を緩める必要は無い。ナット部材8は、操作レバー7が半径方向に移動できる程度に緩めるだけでよい。
【0066】
次に、図7に示すように、係合凸部72が係合凹部92から抜け出すように、操作レバー7を貫通孔73の長軸方向に移動させる。このように、操作レバー7を貫通孔73の長軸方向に移動させることによって、係合凸部72及び係合凹部92を係合解除状態とする。この係合解除状態では係合凸部72と係合凹部92は互いに係合していないため、操作レバー7は調整部材6に対して相対回転可能となる。
【0067】
次に、操作レバー7が所望の取付角度となるように操作レバー7を調整部材6に対して回転させる。そして、図6に示すように、係合凸部72が係合凹部92と係合するように、操作レバー7を貫通孔73の長軸方向に移動させる。このように、操作レバー7を貫通孔の長軸方向に移動させることによって、係合凸部72及び係合凹部92を係合状態とする。なお、係合状態では、係合凸部72と係合凹部92とが互いに係合しているため、操作レバー7は調整部材6に対して相対回転できない。このように、係合凸部72と係合凹部92は、操作レバー7を貫通孔73の長軸方向に移動させることによって、係合状態と係合解除状態とを取り得る。
【0068】
係合凸部72が係合凹部92と係合した後、ナット部材8を螺合させることによって、操作レバー7をフランジ部64とナット部材8とによって挟み、操作レバー7を調整部材6に固定する。
【0069】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0070】
変形例1
上記実施形態では、制動機構5は、ワンウェイクラッチ51、第1摩擦プレート52、及び第2摩擦プレート53によって構成されているが、制動機構5は、スプール軸4の回転を制動できる構成であれば、特にこれに限定されない。例えば、図8に示すように、制動機構5は、第1摩擦プレート52のみによって構成されていてもよい。すなわち、ワンウェイクラッチ51、及び第2摩擦プレート53を省略してもよい。この場合、第1摩擦プレート52は、スプール軸4の端面4aと接触し、スプール軸4の回転を直接制動する。
【0071】
また、制動機構5は、調整部材6の円板部61によって構成されていてもよい。すなわち、ワンウェイクラッチ51、第1摩擦プレート52、及び第2摩擦プレート53を省略してもよい。この場合、円板部61は、スプール軸4の端面4aと接触し、スプール軸4の回転を直接制動する。
【0072】
変形例2
上記実施形態では、調整部材6は、位置決め部材9を有しているが、この位置決め部材9を省略することもできる。そして、図9に示すように、調整部材6の本体部材60が複数の係合凹部92を有していてもよい。各係合凹部92は、周方向に配列されている。そして、操作レバー7の係合凸部72が、調整部材6の複数の係合凹部92のうちいずれかと係合する。この各係合凹部92は、例えば調整部材6のフランジ部64の外周面に形成されている。そして、係合凸部72は、軸方向において、操作レバー本体部71からフランジ部64に向かって延びている。また、ナット部材8と操作レバー7との間に、座金13を配置してもよい。この座金13は、例えば、樹脂製とすることができる。
【0073】
変形例3
上記実施形態では、第1リール本体部21側から、ナット部材8、操作レバー7、フランジ部64の順で配置されているが、これら各部材の位置関係はこれに限定されない。例えば、軸方向において、第1リール本体部21側から、フランジ部64、操作レバー7、ナット部材8の順で配置されていてもよい。
【0074】
変形例4
上記実施形態では、調整部材6が複数の係合凹部92を有し、操作レバー7が係合凸部72を有していたが、これに限定されない。例えば、調整部材6が係合凸部を有し、操作レバー7が係合凹部を有していてもよい。例えば、操作レバー7の貫通孔73の内壁面に複数の係合凹部が形成されていてもよい。そして、調整部材6が係合凸部を有していてもよい。
【0075】
変形例5
両軸受リール100は、規制手段15をさらに備えていてもよい。規制手段15は、操作レバー7の長軸方向の移動を規制するように構成されている。例えば、図10及び図11に示すように、規制手段15は、第1円筒部74と第2円筒部82とによって構成することができる。
【0076】
第1円筒部74は、操作レバー7の一部である。すなわち、操作レバー7は、第1円筒部74を有している。第1円筒部74は、貫通孔73を囲むように配置されている。また、第1円筒部74は、操作レバー本体部71からナット部材8側に突出している。なお、第1円筒部74は、係合凸部72と反対側に突出している。
【0077】
第2円筒部82は、ナット部材8の一部である。すなわち、ナット部材8は、本体部81と、第2円筒部82とを有する。第2円筒部82は、本体部81から操作レバー7側に突出している。
【0078】
第2円筒部82は、半径方向において、第1円筒部74の外側に配置されている。第2円筒部82の内周面は、第1円筒部74の外周面に当接している。この当接によって、操作レバー7は、長軸方向の移動が規制される。この構成によれば、係合凸部72と係合凹部92との係合が解除される方向に操作力が掛かったとしても、操作レバー7は長軸方向に移動することがないため、係合凸部72と係合凹部92との係合が外れることを防止できる。なお、ナット部材8を緩めることによって、第1円筒部74と第2円筒部82との当接が解除され、規制手段による操作レバー7の長軸方向への移動規制が解除される。
【0079】
変形例6
上記変形例5では、第2円筒部82は、半径方向において、第1円筒部74の外側に配置されているが、第1円筒部74と第2円筒部82との位置関係はこれに限定されない。例えば、図12に示すように、第2円筒部82は、半径方向において、第1円筒部74の内側に配置されていてもよい。この場合、第2円筒部82の外周面は、第1円筒部74の内周面に当接している。なお、第2円筒部82を省略し、第1円筒部74の内周面をナット部材8の外周面に当接させてもよい。
【0080】
変形例7
上記変形例5では、第1円筒部74はナット部材8側に突出しているが、これに限定されない。例えば、第1円筒部74は、フランジ部64側に突出していてもよい。この場合、図13に示すように、第1円筒部74の内周面は、フランジ部64の外周面と当接している。
【符号の説明】
【0081】
21 第1リール本体部
22 第2リール本体部
3 スプール
5 制動機構
6 調整部材
64 フランジ部
7 操作レバー
72 係合凸部
73 貫通孔
8 ナット部材(固定部材)
9 位置決め部材
92 係合凹部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13