特許第6965138号(P6965138)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6965138
(24)【登録日】2021年10月22日
(45)【発行日】2021年11月10日
(54)【発明の名称】野縁接続金物
(51)【国際特許分類】
   E04B 9/06 20060101AFI20211028BHJP
【FI】
   E04B9/06 A
【請求項の数】2
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2017-236433(P2017-236433)
(22)【出願日】2017年12月8日
(65)【公開番号】特開2019-105029(P2019-105029A)
(43)【公開日】2019年6月27日
【審査請求日】2020年10月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】393016837
【氏名又は名称】株式会社桐井製作所
(73)【特許権者】
【識別番号】000001373
【氏名又は名称】鹿島建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100122781
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 寛
(74)【代理人】
【識別番号】100182006
【弁理士】
【氏名又は名称】湯本 譲司
(72)【発明者】
【氏名】荒井 智一
(72)【発明者】
【氏名】相原 正史
(72)【発明者】
【氏名】高田 輪太郎
(72)【発明者】
【氏名】桐島 徹
(72)【発明者】
【氏名】金尾 正太郎
(72)【発明者】
【氏名】山口 圭介
(72)【発明者】
【氏名】藤 教生
(72)【発明者】
【氏名】中村 芳明
【審査官】 土屋 保光
(56)【参考文献】
【文献】 特開平05−106299(JP,A)
【文献】 実開昭60−130914(JP,U)
【文献】 実公昭46−031484(JP,Y1)
【文献】 特開2016−223152(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 9/06 − 9/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1野縁と、前記第1野縁から前記第1野縁と交差する方向に延在する第2野縁と、を接続する野縁接続金物であって、
前記第1野縁及び前記第2野縁に対向するベース部と、
前記ベース部から延びると共に前記第1野縁に嵌り込む第1嵌合部と、
前記ベース部から延びると共に前記第2野縁に嵌り込む第2嵌合部と、
前記第1嵌合部と前記第2嵌合部の間に位置すると共に前記ベース部に対して折り曲げ可能とされており、折り曲げられた状態において、前記第1野縁の側面、及び前記第2野縁の側面に当接する野縁側面当接部と、
を備える野縁接続金物。
【請求項2】
前記野縁側面当接部は、矩形板状とされており、
前記野縁側面当接部の互いに対向する一対の辺の一方が前記第1野縁の側面に当接し、他方が前記第2野縁の側面に当接する、
請求項1に記載の野縁接続金物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、天井を構成する複数の野縁を接続する野縁接続金物に関する。
【背景技術】
【0002】
実開昭60−130914号公報には、天井を構成する複数の棒状のチャンネル部材を連結する天井下地材連結金具が記載されている。各チャンネル部材の端部には天井下地材が取り付けられ、天井下地材連結金具は複数の天井下地材を連結する。天井下地材連結金具は複数の保持部を備え、各保持部は各天井下地材に沿って縦横に突出している。天井下地材連結金具には、下方から天井下地材連結金具を覆う被板が取り付けられる。被板は、平板状の基板と、基板から上方に突出する複数の係止片とを備える。また、天井下地材連結金具は、その上面部にL字状の複数の孔部を有する。
【0003】
この天井下地材連結金具を用いた工法では、各チャンネル部材の端部に天井下地材を取り付けて、各天井下地材が各保持部に挿入及び係合されることによって複数のチャンネル部材が連結される。そして、天井下地材連結金具の各々のL字状の孔部に被板の係止片を下から挿通し、挿通した各係止片を天井下地材連結金具の上部で折り曲げることにより、被板が天井下地材連結金具に取り付けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開昭60−130914号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述した工法では、各チャンネル部材の端部に天井下地材を取り付け、その後、各天井下地材を天井下地材連結金具に取り付けて、更に被板を天井下地材連結金具に取り付ける作業が必要である。よって、作業が煩雑であり各部材の取り付けに時間がかかるため、作業性がよくないという問題がある。また、特に近年、地震等に対する安全性が強く求められており、地震等が生じても各部材の落下を抑制できることが求められている。
【0006】
本発明は、作業性を向上させることができると共に、落下を抑制することができる野縁接続金物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る野縁接続金物は、第1野縁と、第1野縁から第1野縁と交差する方向に延在する第2野縁と、を接続する野縁接続金物であって、第1野縁及び第2野縁に対向するベース部と、ベース部から延びると共に第1野縁に嵌り込む第1嵌合部と、ベース部から延びると共に第2野縁に嵌り込む第2嵌合部と、第1嵌合部と第2嵌合部の間に位置すると共にベース部に対して折り曲げ可能とされており、折り曲げられた状態において、第1野縁の側面、及び第2野縁の側面に当接する野縁側面当接部と、を備える。
【0008】
この野縁接続金物は、第1野縁及び第2野縁に対向するベース部と、ベース部から延びると共に第1野縁に嵌合する第1嵌合部と、ベース部から延びると共に第2野縁に嵌合する第2嵌合部とを備える。従って、第1野縁及び第2野縁にベース部を対向させ、ベース部から延びる第1嵌合部を第1野縁に嵌合すると共に、ベース部から延びる第2嵌合部を第2野縁に嵌合することにより、第1野縁及び第2野縁に簡単に野縁接続金物を取り付けることができる。よって、野縁接続金物を取り付けて第1野縁と第2野縁とを接続させる作業の作業性を向上させることができる。また、野縁接続金物は第1嵌合部と第2嵌合部の間に折り曲げ可能とされた野縁側面当接部を備え、野縁側面当接部は折り曲げられた状態で第1野縁の側面と第2野縁の側面に当接する。従って、第1野縁に第1嵌合部を嵌合し、第2野縁に第2嵌合部を嵌合した後に、野縁側面当接部が第1野縁の側面及び第2野縁の側面に当接することにより、嵌合後における第1野縁及び第2野縁の開きを抑制することができる。すなわち、野縁側面当接部が第1野縁及び第2野縁の各側面に外側から当接することにより、第1野縁及び第2野縁を外側から押え込むことができるので、第1野縁及び第2野縁の開きが抑制される。従って、第1野縁及び第2野縁の開きを抑制することによって、第1野縁に対する第1嵌合部の嵌合、及び第2野縁に対する第2嵌合部の嵌合が外れる可能性を低減させることができる。その結果、第1野縁及び第2野縁の交差部分の強度を高めることができ、第1野縁及び第2野縁の落下を抑制することができる。
【0009】
また、野縁側面当接部は、矩形板状とされており、野縁側面当接部の互いに対向する一対の辺の一方が第1野縁の側面に当接し、他方が第2野縁の側面に当接してもよい。この場合、野縁側面当接部が矩形板状であることにより、野縁接続金物の形状を簡易にすることができる。また、野縁側面当接部の互いに対向する辺のうち、一方の辺が第1野縁の側面に当接し、他方の辺が第2野縁の側面に当接する。よって、野縁側面当接部の各辺が第1野縁及び第2野縁を押え込むことにより確実に第1野縁及び第2野縁の開きを抑制することができる。従って、簡易な構成を維持しつつ第1野縁及び第2野縁の落下を確実に抑制することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、作業性を向上させることができると共に、落下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】第1実施形態に係る野縁接続金物、第1野縁及び第2野縁を示す斜視図である。
図2図1の野縁接続金物を示す斜視図である。
図3図1の野縁接続金物の嵌合部が第1野縁又は第2野縁に嵌合している状態を示す断面図である。
図4図1の野縁接続金物の野縁側面当接部を拡大した図である。
図5】第1野縁及び第2野縁に野縁接続金物が嵌合した状態を示す斜視図である。
図6】第2実施形態に係る野縁接続金物を示す斜視図である。
図7】(a)は、図6の野縁接続金物、第1野縁及び第2野縁を示す平面図である。(b)は、野縁接続金物の突出片と第1野縁とを示す縦断面図である。
図8】第3実施形態に係る野縁接続金物を示す斜視図である。
図9図8の野縁接続金物を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下では、図面を参照しながら本発明に係る野縁接続金物の実施形態について説明する。図面の説明において、同一又は相当する要素には同一の符号を付し、重複する説明を適宜省略する。
【0013】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る野縁接続金物1を示す斜視図である。図1に示されるように、野縁接続金物1は、例えば、複数の天井面材2を備えた天井構造に設けられており、この天井構造は、第1野縁3と、第1野縁3に交差する第2野縁4とを備えている。第1野縁3と第2野縁4は、例えば、同一平面内に配置されており、第1野縁3の高さは第2野縁4の高さと同一である。
【0014】
以下では、第1野縁3が延びる方向を第1方向D1、第2野縁4が延びる方向を第2方向D2として説明する。例えば、第1野縁3及び第2野縁4は、共に天井面材2にビス止めされており、各天井面材2は正方形状とされている。一例として、天井面材2は、ポリエステル製の不織布基材を備えた天井材であってもよく、この場合、従来の天井材よりも軽量化することが可能である。
【0015】
野縁接続金物1は、第1野縁3と第2野縁4の交差部分に配置される。野縁接続金物1は、第1野縁3及び第2野縁4の火打ちとしての機能を発揮させることが可能となっており、第1野縁3及び第2野縁4を補強することが可能である。従って、前述のような軽量化された天井面材2を用いても、野縁接続金物1により、天井構造の面剛性を高める効果が得られる。
【0016】
野縁接続金物1は、第1野縁3及び第2野縁4の交差部分において、第1野縁3と第2野縁4を接続する。例えば、第1野縁3は、第1方向D1に延びる通し野縁であり、第2野縁4は、当該交差部分において2本に分断されている。この場合、各第2野縁4の第2方向D2の端部が第1野縁3の側面3aに対向し、野縁接続金物1は、一の第2野縁4の端部と、第1野縁3と、他の第2野縁4の端部とを接続する。
【0017】
第1野縁3を、その長手方向に直交する面で切断したときの断面は、上方に開口した形状とされている。すなわち、第1野縁3は、一対の側面3aと、一対の側面3a同士を接続する底面3bとを有し、一対の側面3a及び底面3bによって上方に開口するコの字状とされている。また、第1野縁3は、その上端で第1野縁3の幅方向の内側且つ下側に折り返された折り返し部3cを備える。折り返し部3cは第1野縁3の幅方向に一対に設けられる。第2野縁4の形状は、例えば、第1野縁3の形状と同様とされており、第2野縁4は、第1野縁3と同様の側面4a、底面4b及び折り返し部4cを備える。
【0018】
野縁接続金物1は、第1野縁3及び第2野縁4の上側に位置するベース部11と、ベース部11を貫通する複数の孔部12と、ベース部11から折り曲げられた複数の第1嵌合部13及び第2嵌合部14と、ベース部11に対して折り曲げ可能とされた複数の野縁側面当接部15とを備える。ベース部11は、第1方向D1及び第2方向D2に延びる平面を形成し、天井面材2に沿って延在する。例えば、ベース部11は、突出する部位を有しない形状であってもよい。この場合、野縁接続金物1の形状を簡易にすることができる。
【0019】
また、本明細書において、野縁側面当接部とは、野縁の側面に当接する部分、及び、野縁の側面に当接可能な部分(例えば、僅かな隙間を介して野縁の側面に対向する部分)の両方を含む。すなわち、野縁側面当接部は、施工時に野縁の側面に当接する部分だけでなく、施工時に野縁の側面に当接しておらず且つ振動発生時等に野縁の側面に当接しうる部分を含んでいる。
【0020】
図1及び図2に示されるように、ベース部11は、平板状を呈する。ベース部11は、八角形状とされており、ベース部11の4つの端辺11aは、第1方向D1及び第2方向D2の双方に傾斜している。ベース部11の他の4つの端辺11bは、第1野縁3及び第2野縁4の幅方向に延在する。端辺11aは第1野縁3と第2野縁4の間を跨ぐ辺であり、端辺11bは一対の側面3a,4aの間に入り込む。端辺11aは端辺11bよりも長く延びており、端辺11aと端辺11bとの成す角度は例えば135°である。
【0021】
ベース部11には4つの孔部12が形成されており、例えば、各孔部12は角部が丸められた直角二等辺三角形状を成している。孔部12は、ベース部11を貫通する貫通孔であり、野縁接続金物1の軽量化のために設けられる。各孔部12の直角部12aはベース部11の中心11cに向けられており、各孔部12の斜辺部12bは端辺11aに沿って延びている。孔部12の各等辺12cは、第1野縁3又は第2野縁4に沿って延びており、各等辺12cの下側に側面3a,4aの上端が対向する。4つの孔部12のうち、中心11cを通る直線上に位置する2つの孔部12は中心11cに対して互いに対称となる位置に設けられており、残り2つの孔部12も中心11cに対して互いに対称となる位置に設けられている。
【0022】
ベース部11の各端辺11bからは下方に第1嵌合部13又は第2嵌合部14が延在する。ベース部11には、2つの第1嵌合部13と2つの第2嵌合部14が設けられている。各第1嵌合部13は第1野縁3に嵌合する。また、2つの第2嵌合部14のうち、1つの第2嵌合部14は一方の第2野縁4に嵌合し、残り1つの第2嵌合部14は他方の第2野縁4に嵌合する。
【0023】
図3に示されるように、各第1嵌合部13は、第1野縁3の一対の折り返し部3cの間に嵌合する形状とされている。具体的には、各第1嵌合部13は、ベース部11から下方に延びる一対の直線部13aと、各直線部13aの下端から拡張する拡張部13bと、各拡張部13bから下方に半円状に湾曲する湾曲部13cとを備える。各第1嵌合部13は、各拡張部13b及び湾曲部13cが一対の折り返し部3cの下方に入り込むことにより、第1野縁3に上から嵌合する。
【0024】
各第2嵌合部14は、第2野縁4の一対の折り返し部4cの間に嵌合する形状とされている。第2嵌合部14の形状は、例えば、第1嵌合部13の形状と同一である。この場合、第2嵌合部14は、第1嵌合部13と同様、一対の直線部14a、一対の拡張部14b、及び湾曲部14cを備え、各拡張部14b及び湾曲部14cが一対の折り返し部4cの下方に入り込むことにより、第2野縁4に上から嵌合する。
【0025】
図1図2及び図4に示されるように、ベース部11には4つの野縁側面当接部15が設けられている。各野縁側面当接部15は各端辺11aに設けられている。各野縁側面当接部15は、第1野縁3及び第2野縁4の開きを抑制するために設けられる。具体的には、上方に開口するコの字状の各野縁3,4に嵌合部13,14を嵌合するときには、一対の側面3a,4aの間に嵌合部13,14が入り込むため、一対の側面3a,4aの間に開きが生じうる。この開きの程度が大きい場合、嵌合後に嵌合部13,14から第1野縁3又は第2野縁4が外れて脱落する可能性がある。このような事態を回避するために、野縁接続金物1は、一対の側面3a,4aの間の開きを抑制する野縁側面当接部15を備える。
【0026】
各野縁側面当接部15は、ベース部11の端辺11aから長方形状に突出している。野縁側面当接部15とベース部11の間には折り曲げ部16が設けられており、野縁側面当接部15は折り曲げ部16に沿って折り曲げ自在とされている。折り曲げ部16は、端辺11aに沿って直線状に延びている。折り曲げ部16は、例えば、ミシン目を有する。具体例として、折り曲げ部16は、端辺11aに沿って延びる複数のスリット16aと、端辺11aに沿って延びる複数の繋ぎ部16bとを有する。スリット16a及び繋ぎ部16bは交互に形成されている。
【0027】
各野縁側面当接部15は、矩形板状とされている。野縁側面当接部15は、折り曲げ部16から延びる一対の辺である当接端部15aと、一対の当接端部15aの間を接続する接続端部15bとを有する。各当接端部15aは野縁側面当接部15の矩形の短辺を成しており、接続端部15b及び折り曲げ部16は野縁側面当接部15の矩形の長辺を成している。当接端部15aは、野縁側面当接部15が折り曲げられた状態において、第1野縁3の側面3a又は第2野縁4の側面4aに当接する部位である。当接端部15aの長さは、例えば、側面3a,4aの高さよりも短い。
【0028】
次に、野縁接続金物1を用いて第1野縁3及び第2野縁4を接続する野縁接続方法について説明する。本実施形態において、野縁接続金物1は、2本の第2野縁4と、2本の第2野縁4の間を通る1本の第1野縁3と、を接続する。まず、図5に示されるように、鉛直方向上方から野縁接続金物1を第1野縁3及び第2野縁4に嵌合する。このとき、2つの第1嵌合部13を第1野縁3に嵌合する。そして、2つの第2嵌合部14のうち1つを一方の第2野縁4に嵌合すると共に、他の1つを他方の第2野縁4に嵌合する。
【0029】
具体的には、各嵌合部13,14の拡張部13b,14bと湾曲部13c,14cが第1野縁3及び第2野縁4それぞれの折り返し部3c,4cの下方に入り込むことにより、第1野縁3及び第2野縁4のそれぞれに対して各嵌合部13,14が嵌合する。なお、各嵌合部13,14の嵌合時において、野縁側面当接部15は、折り曲げられておらず、ベース部11と同一平面上に延在しているため、野縁側面当接部15が邪魔になることはない。また、嵌合部13,14の嵌合時には、一対の側面3a,4aの間に嵌合部13,14が入り込むため、一対の側面3a,4aの間に開きが生じることがある。
【0030】
次に、図1に示されるように、各野縁側面当接部15を折り曲げて各野縁側面当接部15を第1野縁3及び第2野縁4に当接させる。具体的には、ベース部11に対して各野縁側面当接部15を下方に折り曲げて、一対の当接端部15aのそれぞれを側面3a,4aに当接させる。このように各当接端部15aを各側面3a,4aに当接させることにより、一対の側面3a,4aの間に生じる開きを抑えることが可能となる。以上のように、各野縁側面当接部15を折り曲げ部16から下方に折り曲げることにより、第1野縁3及び第2野縁4に対する野縁接続金物1の取り付け作業が完了する。この野縁接続金物1の取り付け作業は、工具等を使わずに手だけで行うことが可能である。
【0031】
次に、本実施形態に係る野縁接続金物1から得られる作用効果についてより詳細に説明する。野縁接続金物1は、第1野縁3及び第2野縁4に対向するベース部11と、ベース部11から延びると共に第1野縁3に嵌合する第1嵌合部13と、ベース部11から延びると共に第2野縁4に嵌合する第2嵌合部14とを備える。従って、第1野縁3及び第2野縁4にベース部11を対向させ、ベース部11から延びる第1嵌合部13を第1野縁3に嵌合すると共に、ベース部11から延びる第2嵌合部14を第2野縁4に嵌合することにより、第1野縁3及び第2野縁4に簡単に野縁接続金物1を取り付けることができる。よって、野縁接続金物1を取り付けて第1野縁3と第2野縁4を接続させる作業の作業性を向上させることができる。
【0032】
また、野縁接続金物1は第1嵌合部13と第2嵌合部14の間に折り曲げ可能とされた野縁側面当接部15を備え、野縁側面当接部15は折り曲げられた状態で第1野縁3の側面3aと第2野縁4の側面4aに当接する。従って、第1野縁3に第1嵌合部13を嵌合し、第2野縁4に第2嵌合部14を嵌合した後に、野縁側面当接部15が第1野縁3の側面3a及び第2野縁4の側面4aに当接することにより、第1野縁3及び第2野縁4を外側から押え込むことができるので、第1野縁3及び第2野縁4の開きが抑制される。
【0033】
従って、第1野縁3及び第2野縁4の開きを抑制することによって、第1野縁3に対する第1嵌合部13の嵌合、及び第2野縁4に対する第2嵌合部14の嵌合が外れる可能性を低減させることができる。その結果、第1野縁3及び第2野縁4の交差部分の強度を高めることができ、第1野縁3及び第2野縁4の落下を抑制することができる。
【0034】
また、野縁側面当接部15が折り曲げられた状態において第1野縁3と第2野縁4の間に野縁側面当接部15が介在する。よって、第1野縁3と第2野縁4の間に野縁側面当接部15が介在することにより、野縁側面当接部15に火打ちとしての機能を発揮させることができる。すなわち、野縁側面当接部15は、第1野縁3と第2野縁4との接続部分における剛性の向上に寄与する。従って、野縁側面当接部15により、第1野縁3と第2野縁4の交差角度を保持することができ、第1野縁3と第2野縁4の回転を抑制することができる。
【0035】
また、野縁側面当接部15は、矩形板状とされており、野縁側面当接部15の互いに対向する一対の辺である当接端部15aの一方が第1野縁3の側面3aに当接し、他方が第2野縁4の側面4aに当接する。よって、野縁側面当接部15が矩形板状であることにより、野縁側面当接部15の形状を簡易にすることができる。また、野縁側面当接部15の互いに対向する当接端部15aのうち、一方の当接端部15aが第1野縁3の側面3aに当接し、他方の当接端部15aが第2野縁4の側面4aに当接する。よって、野縁側面当接部15の各当接端部15aが第1野縁3及び第2野縁4を押え込むことにより確実に第1野縁3及び第2野縁4の開きを抑制することができる。従って、簡易な構成を維持しつつ第1野縁3及び第2野縁4の落下を確実に抑制することができる。
【0036】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態に係る野縁接続金物20について図6図7(a)及び図7(b)を参照しながら説明する。野縁接続金物20は、ベース部11とは異なる形状のベース部21を備えており、第1嵌合部13と野縁側面当接部15の数が第1実施形態と異なっている。以降の説明では、第1実施形態と重複する説明を適宜省略する。
【0037】
野縁接続金物20は、第1方向D1に延びる1本の第1野縁3と、第2方向D2に延びる2本の第2野縁4とがT字状に交差する部分において、第1野縁3と第2野縁4とを接続する。ベース部21は、六角形状とされており、ベース部21の2つの端辺21aは、第1方向D1及び第2方向D2の双方に傾斜している。ベース部21の3つの端辺21bは、第1野縁3及び第2野縁4の幅方向に延在し、残り1つの端辺21cは第2方向D2に延在する。ベース部21には2つの孔部12が形成されている。なお、図6では、簡略化のため孔部12の図示を省略している。各孔部12の斜辺部12bは端辺21aに沿って延びており、孔部12の各等辺12cは、第1野縁3又は第2野縁4に沿って延在する。ベース部21の各端辺21bからは、下方に1つの第1嵌合部13と2つの第2嵌合部14が延在する。
【0038】
ベース部21には2つの野縁側面当接部15と1つの突出片25が設けられている。各野縁側面当接部15は各端辺21aに設けられており、突出片25は端辺21cに設けられている。突出片25は、野縁側面当接部15と同様、折り曲げ部16を介してベース部21に接続されている。突出片25は、ベース部21と同一平面上に延在する第1平面25aと、第1平面25aから下方に延びる第2平面25bとを有する。
【0039】
突出片25は、第1野縁3の下に入り込んで第1野縁3の端部の撓みを抑制するために設けられる。突出片25が折り曲げ部16に沿って折り曲げられると、第2平面25bが第1野縁3の下面3dに対向すると共に、第1平面25aが第1野縁3の第1方向D1の端面3eに対向する。このように、突出片25は、第2平面25bが第1野縁3の下面3dに対向すると共に第1平面25aが第1野縁3の端面3eに対向する。これにより、第1野縁3の端部の撓みが突出片25によって防止される。なお、突出片25は第2野縁4の下に入り込んで第2野縁4の端部の撓みを抑制してもよい。図7(a)では、突出片25が第1野縁3及び2本の第2野縁4の下に入り込んで撓みを抑制する例を示している。
【0040】
野縁接続金物20を用いて第1野縁3及び第2野縁4を接続する野縁接続方法について説明する。野縁接続金物20は、第1方向D1に延びる1本の第1野縁3と、第2方向D2に延びる2本の第2野縁4とを接続する。この野縁接続方法では、第1実施形態と同様、第1嵌合部13を鉛直方向上方から第1野縁3に嵌合し、各第2嵌合部14を鉛直方向上方から第2野縁4に嵌合する。次に、各野縁側面当接部15を下方に折り曲げて各野縁側面当接部15を第1野縁3及び第2野縁4に当接させ、突出片25を下方に折り曲げて突出片25を第1野縁3及び第2野縁4の端部に対向させることにより、野縁接続金物20の取り付け作業が完了する。
【0041】
以上、第2実施形態に係る野縁接続金物20では、第1野縁3に各第1嵌合部13を嵌合し、第2野縁4に第2嵌合部14を嵌合した後に、各野縁側面当接部15が第1野縁3の側面3a及び第2野縁4の側面4aに当接する。その結果、第1野縁3及び第2野縁4を外側から押え込むことができるので、第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0042】
(第3実施形態)
続いて、第3実施形態に係る野縁接続金物30について図8及び図9を参照しながら説明する。野縁接続金物30は、第1方向D1に延びる第1野縁3の端部と、第2方向D2に延びる第2野縁4の端部とがL字状に交差する部分において、第1野縁3と第2野縁4とを接続する。野縁接続金物30のベース部31は、五角形状とされており、ベース部31の1つの端辺31aは、第1方向D1及び第2方向D2の双方に傾斜している。ベース部31の2つの端辺31bは、第1野縁3及び第2野縁4の幅方向に延在し、残り2つの端辺31cの一方は第1方向D1に延在し、他方は第2方向D2に延在する。
【0043】
ベース部31には1つの孔部12が形成されている。なお、図8では、簡略化のため孔部12の図示を省略している。孔部12の斜辺部12bは端辺31aに沿って延びており、孔部12の各等辺12cは端辺31cに沿って延びており、各端辺31bからは下方に第1嵌合部13及び第2嵌合部14のそれぞれが延在する。ベース部31には、1つの野縁側面当接部15と2つの突出片25が設けられている。野縁側面当接部15は端辺31aに設けられており、各突出片25は各端辺31cに設けられている。
【0044】
野縁接続金物30を用いて第1野縁3及び第2野縁4を接続する野縁接続方法は、前述した各実施形態と同様である。すなわち、第1嵌合部13を第1野縁3に上から嵌合すると共に第2嵌合部14を第2野縁4に上から嵌合し、野縁側面当接部15を折り曲げて第1野縁3及び第2野縁4に当接させる。そして、突出片25を折り曲げて突出片25を第1野縁3又は第2野縁4の端部に対向させることにより、野縁接続金物30の取り付け作業が完了する。以上、第3実施形態に係る野縁接続金物30では、第1野縁3に第1嵌合部13を嵌合し、第2野縁4に第2嵌合部14を嵌合した後に野縁側面当接部15が側面3a,4aに当接することにより、第1野縁3及び第2野縁4を外側から押え込むことができる。従って、前述した各実施形態と同様の効果が得られる。
【0045】
以上、本発明に係る野縁接続金物の実施形態について説明したが、本発明は、前述の実施形態に限定されるものではなく、各請求項に記載した要旨を変更しない範囲で変形し、又は他のものに適用したものであってもよい。すなわち、本発明に係る野縁接続金物は、各請求項の要旨を変更しない範囲において種々の変形が可能である。
【0046】
例えば、前述の実施形態では、八角形状のベース部11と、直角三角形状の孔部12と、直線部13a,14a、拡張部13b,14b及び湾曲部13c,14cを有する嵌合部13,14を備えた野縁接続金物1について説明した。しかしながら、ベース部、孔部及び嵌合部の形状、大きさ、数及び配置態様については適宜変更可能である。また、野縁側面当接部、折り曲げ部及び突出片の形状、大きさ、数及び配置態様についても適宜変更可能である。例えば、前述の実施形態では、スリット16a及び繋ぎ部16bを有する折り曲げ部16について説明したが、折り曲げ部は、スリット及び繋ぎ部を有しない部位であってもよい。すなわち、折り曲げ部は、周辺の他の部分よりも折り曲げやすい部位(例えば、周辺の他の部分よりも肉薄とされた部位、又は周辺の他の部分よりも曲げ剛性が低い部位)であってもよいし、折り曲げが予定されている部位(例えば、折り曲げ予定線が表示されている部位)であってもよい。このように、折り曲げ部の態様は適宜変更可能である。
【0047】
例えば、図1に示される例では、野縁側面当接部15の両端に位置する当接端部15aのそれぞれが野縁3,4の側面3a,4a当接している。しかしながら、野縁側面当接部15は、各当接端部15aから野縁3,4の側面3a,4aに沿って延びる部位を有してもよい。この場合、野縁側面当接部15の当該部位を野縁3,4の側面3a,4aに沿って延ばすことにより、当該部位と側面3a,4aとをビス固定することが可能であり、火打ちによる固定を更に強固にすることができる。
【0048】
また、前述の実施形態では、第1野縁3に上から嵌合する第1嵌合部13、及び第2野縁4に上から嵌合する第2嵌合部14を備えた野縁接続金物1について説明した。しかしながら、本発明に係る野縁接続金物は、例えば、第1嵌合部13及び第2嵌合部14に代えて、横からスライドして嵌り込む嵌合部を備えたものであってもよい。すなわち、野縁に嵌合させる嵌合の方向は、上下方向に限られず適宜変更可能である。
【0049】
また、前述の実施形態では、第1野縁3が第1方向D1に延在すると共に、第2野縁4が第1野縁3の両側から第2方向D2に延びる天井構造について例示した。しかしながら、本発明に係る野縁接続金物は他の様々な天井構造にも適用可能である。野縁の形状、大きさ、数及び配置態様は、前述した各実施形態とは異なっていてもよい。例えば、交差部分において、第1野縁が2本に分断されていてもよいし、2本の第1野縁の間に第2野縁が通っていてもよい。更に、天井面材の形状、大きさ、数、材料及び配置態様についても、前述の実施形態に限定されず適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0050】
1,20,30…野縁接続金物、2…天井面材、3…第1野縁、3a,4a…側面、3b,4b…底面、3c,4c…折り返し部、3d…下面、3e…端面、4…第2野縁、11,21,31…ベース部、11a,11b,21a,21b,21c,31a,31b,31c…端辺、11c…中心、12…孔部、12a…直角部、12b…斜辺部、12c…等辺、13…第1嵌合部、13a,14a…直線部、13b,14b…拡張部、13c,14c…湾曲部、15…野縁側面当接部、15a…当接端部、15b…接続端部、16…折り曲げ部、16a…スリット、16b…繋ぎ部、25…突出片、25a…第1平面、25b…第2平面、D1…第1方向、D2…第2方向。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9