特許第6965145号(P6965145)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6965145
(24)【登録日】2021年10月22日
(45)【発行日】2021年11月10日
(54)【発明の名称】建築構造体
(51)【国際特許分類】
   E04F 11/18 20060101AFI20211028BHJP
【FI】
   E04F11/18
【請求項の数】1
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2017-241465(P2017-241465)
(22)【出願日】2017年12月18日
(65)【公開番号】特開2019-108705(P2019-108705A)
(43)【公開日】2019年7月4日
【審査請求日】2020年6月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000175560
【氏名又は名称】三協立山株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100136331
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 陽一
(72)【発明者】
【氏名】▲浜▼野 寛也
【審査官】 家田 政明
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−244855(JP,A)
【文献】 実公平07−038590(JP,Y2)
【文献】 特開2000−220269(JP,A)
【文献】 韓国公開特許第10−2012−0105906(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04F 11/00−11/18
E04H 17/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
取付材と、被取付材と、取付材を被取付材に取付ける取付具とを備え、取付具は、取付材と被取付材とを連結する一と他の連結具を有し、各連結具は、軸を挿通できるスペースが長手方向に複数設けてあり、一と他の連結具は、一端部が前記スペースの何れかに挿通した別々の軸で取付材又は被取付材の一方に固定され、他端部が前記スペースの何れかに挿通した別々の軸で取付材又は被取付材の他方に固定してあり、取付材と被取付材の間で一端部側の軸を支点として取付角度を個々に任意に調整してあることを特徴とする建築構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、手摺等の建築構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば躯体に方立を取付ける場合、金属製のブラケットを使用して躯体と方立を繋いでいる。図10(a)〜(c)は、従来のブラケット90の例を示している。このうち図10(a)は標準のブラケットであり、ブラケット90は躯体91にアンカー92で固定されると共に、方立93にボルト・ナット94で固定される。図10(b)に示すように、躯体91に既存手摺の撤去跡95があったり、図10(c)に示すように、躯体91に目地96があったりすると、図10(a)の標準のブラケット90を使用すると躯体91にアンカー92を打つことができないため、それらの障害物を避けるために特殊な形状のブラケット90を何種類も用意する必要があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は以上に述べた実情に鑑み、目地や鉄骨等の障害物があっても問題なく施工できる建築構造体の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記の課題を達成するために請求項1記載の発明による建築構造体は、取付材と、被取付材と、取付材を被取付材に取付ける取付具とを備え、取付具は、取付材と被取付材とを連結する一と他の連結具を有し、各連結具は、軸を挿通できるスペースが長手方向に複数設けてあり、一と他の連結具は、一端部が前記スペースの何れかに挿通した別々の軸で取付材又は被取付材の一方に固定され、他端部が前記スペースの何れかに挿通した別々の軸で取付材又は被取付材の他方に固定してあり、取付材と被取付材の間で一端部側の軸を支点として取付角度を個々に任意に調整してあることを特徴とする。
【発明の効果】
【0005】
請求項1記載の発明による建築構造体は、取付材と被取付材とを連結する一と他の連結具を有し、各連結具は、軸を挿通できるスペースが長手方向に複数設けてあり、一と他の連結具は、一端部が前記スペースの何れかに挿通した別々の軸で取付材又は被取付材の一方に固定され、他端部が前記スペースの何れかに挿通した別々の軸で取付材又は被取付材の他方に固定してあり、取付材と被取付材の間で一端部側の軸を支点として取付角度を個々に任意に調整できるため、目地や鉄骨等の障害物があっても、その障害物を避けてどこでもアンカーを打てるので、問題なく施工できる。また、取付材と被取付材の距離を調整することができる。各連結具は、別々の軸で取付材又は被取付材の一方に固定してあり、取付角度を個々に任意に調整できることで、取付材が一の連結具側と他の連結具側とに分割されているような場合でも、施工が容易である。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】(a)は方立を躯体に取付ける取付具の使用状態の例を示す側面図であり、(b)は同取付具を下から見た図である。
図2】(a)は方立を躯体に取付ける取付具の使用状態の他の例を示す側面図であり、(b)は同取付具を下から見た図である。
図3】(a)は方立を躯体に取付ける取付具の使用状態の他の例を示す側面図であり、(b)は同取付具を下から見た図である。
図4】(a)は手摺を方立に取付ける取付具の使用状態の例を示す側面図であり、(b)は同取付具を上から見た図である。
図5】(a)は手摺を方立に取付ける取付具の使用状態の他の例を示す側面図であり、(b)は同取付具を上から見た図である。
図6】手摺を方立に取付ける取付具の使用状態の他の例を示す平面図である。
図7】手摺を方立に取付ける取付具の使用状態の他の例を示す平面図である。
図8】本発明の建築構造体の一実施形態を示す屋外側正面図である。
図9図8のA−A断面図である。
図10】(a)〜(c)は、方立を躯体に取付けるためのブラケットの従来例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図8,9は、本発明に係る建築構造体の一実施形態であって、アパート・マンション等の集合住宅のベランダに設置される手摺に適用した例を示している。本建築構造体は、図9に示すように、躯体(被取付材)2の屋外側に持ち出して方立(取付材)1を取付具4aで取付け、方立(被取付材)1の屋内側に手摺(取付材)3を取付具4bで取付けてある。手摺3は、水平に設けた笠木11及び下弦材12と、笠木11と下弦材12の間に間隔をおいて取付けた手摺子23,23,…を有し、笠木11と下弦材12がそれぞれ取付具4bで方立1に取付けられている。
【0008】
図1は、方立(取付材)1を躯体(被取付材)2に取付ける取付具4aの使用状態の例を示している。本取付具4aは、方立1と躯体2とを連結する一と他の連結具5a,5bを備えている。各連結具5a,5bは、屋外側の端部が別々のボルト6及びナット13で方立1に固定されたアングル14に固定され、屋内側の端部がアンカーボルト7及びナット24で躯体2に固定されている。各連結具5a,5bは、屋外側のボルト6及びナット13を緩めることで、方立1と躯体2の間で同ボルト6を支点として取付角度を個々に任意に調整することができ、調整後にボルト6及びナット13を締め付けることで、調整した任意の取付角度で固定することができる。
【0009】
また、各連結具5a,5bは、図1(b)に示すように、左右の側壁15,15の内側面に三角形状の山と谷が連なった係合部9が長手方向に設けてある。連結具5a,5bを方立1に固定するためのボルト6と、連結具5a,5bを躯体2に固定するためのアンカーボルト7は、それぞれボルト挿通具8a,8bに挿通して連結具5a,5bに保持されている。各ボルト挿通具8a,8bは、左右の側面に連結具5a,5bの係合部9と噛み合う被係合部10を有しており、連結具5a,5bの長手方向に位置を調整することができる。連結具5a,5bは、各ボルト挿通具8a,8bが取付くスペース25の間に仕切り壁16を有している。なお連結具5a,5bは、ボルト挿通具8a,8bが取付くスペース25が長手方向に5つに仕切られており、図示の例では両端のスペース25にボルト挿通具8a,8bが配置されているが、それ以外の中間のスペース25にボルト挿通具8a,8bを配置することもできる。本連結具5a,5bは、例えばアルミニウム合金の押出形材を所定の幅で切断することによって形成することができる。
【0010】
図2は、方立1を躯体2に取付ける取付具4aの使用状態の他の例を示している。この例では、方立1の屋内側位置に位置する躯体2に目地17があり、各連結具5a,5bは目地17を避けるように取付角度αを調整している。各連結具5a,5bは、方立1と躯体2の間の垂線Hに対して取付角度αが対称な等辺三角形の状態となっているが、垂線Hに対して一と他の連結具5a,5bの取付角度αを異ならせて不等辺三角形の状態とすることもできる。また、各連結具5a,5bの方立1側及び躯体2側のボルト挿通具8a,8bの位置を、それぞれ連結具5a,5bの長手方向に変化させることもできる。
【0011】
図3は、方立1を躯体2に取付ける取付具4aの使用状態の他の例を示している。この例では、方立1の屋内側から左右方向の一方側にエアコン室外機等の天井付けの機材18があり、その機材18を避けるように、一と他の連結具5a,5bは方立1と躯体2の間の垂線Hに対して左右方向の他方側に傾けて配置している。
【0012】
図4は、手摺(取付材)3を方立(被取付材)1に取付ける取付具4bの使用状態の例を示している。本取付具4bは、これまでに説明した方立1を躯体2に取付ける取付具4aと同じ構造のものであり、手摺3と方立1とを連結する一と他の連結具5a,5bを備えている。各連結具5a,5bは、屋外側の端部が別々のボルト6及びナット13で方立1に固定されたアングル14に固定され、屋内側の端部がボルト19及びナット20で手摺3の笠木11及び下弦材12に固定してある。笠木11及び下弦材12は、ボルト19の頭部を保持するボルト保持溝21を長手方向に有しており、長手方向に任意の位置にボルト19を配置できる。各連結具5a,5bは、屋外側のボルト6及びナット13を緩めることで、方立1と手摺3の間で同ボルト6を支点として取付角度を個々に任意に調整することができ、調整後にボルト6及びナット13を締め付けることで、調整した任意の取付角度で固定することができる。
また各連結具5a,5bは、係合部9を長手方向に有しており、方立1側及び手摺3側のボルト6,19がそれぞれボルト挿通具8a,8bに挿通され、各ボルト挿通具8a,8bは被係合部10を連結具5a,5bの係合部9と噛み合わせた状態で、連結具5a,5bの長手方向に位置を調整可能である。
図示の例では、一及び他の連結具5a,5bが見込方向に沿って平行に配置され、このように配置することで、方立1と手摺3の距離を最も広くできる。
【0013】
図5は、手摺3を方立1に取付ける取付具4bの使用状態の他の例を示している。この例では、方立1と手摺3との距離が近くなっており、それに合わせて各連結具5a,5bの取付角度αを調整してある。
【0014】
図6は、手摺3を方立1に取付ける取付具4bの使用状態の他の例を示している。この例では、手摺3が平面視でクランク状に曲がった形になっており、当該曲がり部の左側と右側で方立1と手摺3の距離が異なっている。方立1と手摺3の距離が遠い箇所では、一及び他の連結具5a,5bが平行に配置され、方立1と手摺3の距離が近い箇所では、一及び他の連結具5a,5bが二等辺三角形状に配置されている。
このように、一と他の連結具5a,5bを二等辺三角形状に配置することで、方立1と手摺3間の距離を任意に調整できるため、クランク状に曲がった手摺3であっても容易に施工できる。
【0015】
図7は、手摺3を方立1に取付ける取付具4bの使用状態の他の例を示している。手摺3は、長さが長い場合には長手方向に分割した上で繋げる必要があるが、この例では方立1の屋内側で手摺3が左右に分割されており、一と他の連結具5a,5bの手摺3側の端部が、分割された左右の手摺3a,3bにそれぞれ固定されている。
この取付具4bによれば、一と他の連結具5a,5bが、それぞれ別々に取付角度を調整して固定できるので、手摺3が取付具4bの位置で左右に分割されている場合でも、施工が容易である。
【0016】
次に、本建築構造体の施工手順を説明する。まず、躯体2の屋外側に方立1を取付具4aで取付ける。その際、先に説明したように躯体2に目地17等の障害物がある場合、連結具5a,5bの取付角度αを調整して障害物を避けた位置にアンカーボルト7を打ち込む。次に、方立1の屋内側に手摺3の笠木11と下弦材12を取付具4bで取付ける。その際、方立1と手摺3の距離が所定の値になるように、連結具5a,5bの取付角度αを調整したり、ボルト挿通具8a,8bの位置を連結具5a,5bの長手方向に調整する。図7に示すように、方立1の屋内側で手摺3が左右に分割されている場合は、先に一の連結具5aで方立1と一方の手摺3aとを連結し、手摺3aの位置決めを行って方立1側及び手摺3側のボルト6,19とナット13,20を締め付けて一の連結具5aを固定し、その後に他の連結具5bで方立1と他方の手摺3bとを連結し、手摺3bの位置決めを行って方立1側及び手摺3側のボルト6,19とナット13,20を締め付けて他の連結具5bを固定し、その後、左右の手摺3a,3bの端部同士を繋ぎ材22で繋ぐ。その後、笠木11と下弦材12の間に手摺子23,23,…を取付ける。
【0017】
以上に述べたように本建築構造体は、取付材(方立1,手摺3)と被取付材(躯体2,方立1)とを連結する一と他の連結具5a,5bを有し、各連結具5a,5bは取付材1,3と被取付材2,1の間で一端部側の軸(ボルト6)を支点として取付角度αを個々に任意に調整できるため、目地17や鉄骨等の障害物があっても、その障害物を避けてどこでもアンカー7を打てるので、問題なく施工できる。また、取付材1,3と被取付材2,1の距離を調整することができる。各連結具5a,5bは、別々の軸6で取付材1,3又は被取付材2,1の一方に固定してあり、取付角度αを個々に任意に調整できることで、取付材1,3が一の連結具5a側と他の連結具5b側とに分割されているような場合でも、施工が容易である。
一と他の連結具5a,5bは、略平行な状態から等辺三角形ないし不等辺三角形の状態に調整可能であるため、アンカーボルト7の打てる範囲が広く、取付材1,3と被取付材2,1の距離の調整できる範囲も広い。
また、一と他の連結具5a,5bは、取付材1,3と被取付材2,1の間の垂線Hに対して一方側に配置することもでき(図3参照)、そうすることで左右方向の片側に障害物があってアンカー7が打てないような場合にも、問題なく施工できる。
【0018】
また本建築構造体は、取付材1,3と被取付材2,1とを連結する連結具5a,5bに長手方向に係合部9が設けてあり、連結具5a,5bを取付材1,3又は被取付材2,1に固定するためのボルト6,7,19が挿通されたボルト挿通具8a,8bを、連結具5a,5bの係合部9に被係合部10を噛み合わせて連結具5a,5bの長手方向に位置を調整可能としたので、ボルト6,7,19の位置を調整できると共に、ボルト6,7,19が滑ることを抑制できる。
ボルト挿通具8a,8bは、連結具5a,5bを取付材1,3に固定するためのボルト6,19を挿通したものと、連結具5a,5bを被取付材2,1に固定するためのボルト7,6を挿通したものがあり、その両方のボルト挿通具8a,8bの位置を連結具5a,5bの長手方向に調整できることで、汎用性、利便性が高まる。
連結具5a,5bは、各ボルト挿通部8a,8bが取付くスペースの間に仕切り壁16を有することで、連結具5a,5bの強度アップを図ることができ、ボルト6,7,19の滑りを確実に防ぐことができる。
【0019】
本発明は以上に述べた実施形態に限定されない。連結具の材質や形状は、適宜変更することができる。連結具の係合部は、実施形態のような三角形状の凹凸に限らず、矩形の凹凸等であってもよい。連結具の仕切り壁の数は任意であり、例えば仕切り壁が一つだけのものであってもよい。取付材としては、方立や手摺に限らず、あらゆる建築構造材が含まれる。本発明は、取付材を被取付材に取付具で取付けて構成される建築構造体全般に広く適用することができ、例えば方立(取付材)を躯体(被取付材)に取付具で取付け、方立(被取付材)に窓ユニット等(被取付材)を直接又は取付具を介して取付けたカーテンウォール等に適用することもできる。
【符号の説明】
【0020】
1 方立(取付材、被取付材)
2 躯体(被取付材)
3 手摺(取付材)
4a,4b 取付具
5a,5b 連結具
6 ボルト(軸)
7 アンカーボルト(アンカー、ボルト)
8a,8b ボルト挿通具
9 係合部
10 被係合部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10