(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記支持部および前記シェルには、前記ねじ込み操作に伴う当該支持部に対する当該シェルの回動を防止して当該シェルを前記軸線方向に案内する案内部が設けられている請求項1または2記載のセンサ。
前記挿入部は、前記支持部の前記先端部と前記基端部との間の中間部における前記周壁の互いに対向する部位に前記軸線方向に沿ってそれぞれ設けられた一対の第1切り欠き部と、当該各第1切り欠き部における当該基端部側の各端部を結んで当該軸線方向に直交する方向に沿って当該周壁に設けられた第2切り欠き部とで構成されている請求項1から4のいずれかに記載のセンサ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、出願人が開発しているねじ込み式の電圧センサには、改善すべき以下の課題が存在する。具体的には、この電圧センサでは、コネクタを介して検出信号の送信用のケーブルを接続しているため、ケーブルをコネクタを介さずに直接接続する(直付けする)構成と比較して、電圧センサとケーブルとの接続強度(耐振動性)が低下するという課題が存在する。また、この電圧センサでは、ねじ込み操作によって電極部の先端面を測定対象電線に当接させるため、測定対象電線に対して電極部の回動方向(捻り方向)の力が加わり、測定対象電線が損傷するおそれがあるという課題も存在する。
【0006】
本発明は、かかる改善すべき課題に鑑みてなされたものであり、センサとケーブルとの接続強度を高めると共に、測定対象電線の損傷を防止し得るセンサおよび測定装置を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成すべく請求項1記載のセンサは、被覆電線についての被検出量を金属非接触で検出可能なセンサであって、筒状に形成されると共に外周面に雄ねじが形成されかつ周壁の一部を切り欠いて形成された挿入部が設けられて当該挿入部に挿入された前記被覆電線を支持可能な支持部と、筒状に形成されて前記支持部の基端部側から当該支持部に挿入可能なシェルと、柱状に形成されると共に前記シェルの内部に挿入された状態で当該シェルによって支持されて当該シェルと共に前記支持部に挿入される検出電極と、筒状に形成されると共に前記雄ねじに螺合する雌ねじが内周面に形成されて前記シェルに対して回転可能に当該シェルに外装され、前記雄ねじに対して前記雌ねじをねじ込むねじ込み操作によって前記支持部内に挿入された前記シェルおよび前記検出電極と共に当該支持部の前記基端部と先端部とを結ぶ軸線方向に沿って移動可能なねじ部とを備え、前記検出電極は、前記支持部の前記先端部側への移動によって前記支持部に支持されている前記被覆電線に先端面が押し付けられたときに当該先端面が前記被覆電線の絶縁被覆を介して当該被覆電線の芯線と容量結合可能に構成されている。
【0008】
請求項2記載のセンサは、被覆電線についての被検出量を金属非接触で検出可能なセンサであって、筒状に形成されると共に周壁の一部を切り欠いて形成された挿入部が設けられて当該挿入部に挿入された前記被覆電線を支持可能な支持部と、筒状に形成されると共に外周面に雄ねじが形成されて前記支持部の基端部側から当該支持部に挿入可能なシェルと、柱状に形成されると共に前記シェルの内部に挿入された状態で当該シェルによって支持されて当該シェルと共に前記支持部に挿入される検出電極と、筒状に形成されると共に前記雄ねじに螺合する雌ねじが内周面に形成されて前記支持部に対して回転可能に当該支持部に外装され、前記雄ねじに対して前記雌ねじをねじ込むねじ込み操作によって前記支持部内に挿入された前記シェルおよび前記検出電極を当該支持部の前記基端部と先端部とを結ぶ軸線方向に沿って移動させるねじ部とを備え、前記検出電極は、前記支持部の前記先端部側への移動によって前記支持部に支持されている前記被覆電線に先端面が押し付けられたときに当該先端面が前記被覆電線の絶縁被覆を介して当該被覆電線の芯線と容量結合可能に構成されている。
【0009】
請求項3記載のセンサは、請求項1または2記載のセンサにおいて、前記支持部および前記シェルには、前記ねじ込み操作に伴う当該支持部に対する当該シェルの回動を防止して当該シェルを前記軸線方向に案内する案内部が設けられている。
【0010】
請求項4記載のセンサは、請求項1から3のいずれかに記載のセンサにおいて、前記支持部、前記シェルおよび前記ねじ部は、それぞれ導電性を有して互いに同電位となるように構成され、前記検出電極は、前記シェルに対して絶縁された状態で当該シェルによって支持されている。
【0011】
請求項5記載のセンサは、請求項1から4のいずれかに記載のセンサにおいて、前記挿入部は、前記支持部の前記先端部と前記基端部との間の中間部における前記周壁の互いに対向する部位に前記軸線方向に沿ってそれぞれ設けられた一対の第1切り欠き部と、当該各第1切り欠き部における当該基端部側の各端部を結んで当該軸線方向に直交する方向に沿って当該周壁に設けられた第2切り欠き部とで構成されている。
【0012】
請求項6記載のセンサは、請求項1から5のいずれかに記載のセンサにおいて、前記ねじ部には、互いに対向する平面部を有する前記ねじ込み操作用の操作部が設けられている。
【0013】
請求項7記載のセンサは、請求項1から6のいずれかに記載のセンサにおいて、シールドケーブルと、当該シールドケーブルの芯線と前記検出電極とを接続すると共に当該シールドケーブルのシールド導体と前記シェルとを接続する接続部を備え、前記接続部は、導電性を有するソケットおよび接続パイプを備え、前記ソケットは、当該ソケットの各端部側からそれぞれ挿入された前記シールドケーブルの芯線の先端部と前記検出電極の前記基端部とを接続可能に構成され、前記接続パイプは、前記シェルの前記外周面に前記シールド導体が配置されて当該接続パイプに挿入された状態で圧着されることで当該シェルと当該シールド導体とを接続可能に構成されている。
【0014】
請求項8記載の測定装置は、請求項1から7のいずれかに記載のセンサと、前記センサに接続された測定装置本体と、前記測定装置本体内に配設されて、前記検出電極を介して前記被検出量としての前記被覆電線の電圧を検出すると共に当該電圧に応じて変化する電圧信号を出力する電圧検出部と、前記測定装置本体内に配設されて、前記電圧信号に基づいて前記被覆電線の前記電圧に追従する電圧を生成する電圧生成部と、前記測定装置本体内に配設されて、前記電圧生成部で生成される前記電圧に基づいて前記被覆電線の前記電圧を測定する処理部とを備え、前記電圧検出部は、前記電圧生成部で生成される前記電圧の電位を基準とするフローティング電圧で作動する。
【発明の効果】
【0015】
請求項1記載のセンサ、および請求項8記載の測定装置によれば、支持部の周壁の外周面に形成された雄ねじに螺合する雌ねじが内周面に形成されてシェルに対して回転可能にシェルに外装され、ねじ込み操作によってシェルおよび検出電極と共に支持部の軸線方向に沿って移動可能なねじ部を備えたことにより、例えば、シェルにシールドケーブルが接続されている場合において、シェルが回動しないようにシールドケーブルを掴んでねじ込み操作を行うことで、ねじ込み操作に伴ってシェルおよび検出電極が回動することなく、シェルおよび検出電極を軸線方向に沿って支持部の先端部側に移動(直動)させることができる。このため、このセンサおよび測定装置によれば、被覆電線に対して検出電極の回動方向(捻り方向)の力が加わって被覆電線が損傷する事態を確実に防止することができる。また、このセンサおよび測定装置によれば、ねじ込み操作に伴ってシェルおよび検出電極が回動することなく、シェルおよび検出電極を直動させることができるため、シェルおよび検出電極に接続するシールドケーブルの捻れを防止するためのコネクタを用いることなく、検出電極およびシェルとシールドケーブルとを直接接続することができる。このため、このセンサおよび測定装置によれば、コネクタを用いて検出電極およびシェルとシールドケーブルとを接続する構成と比較して、検出電極およびシェルとシールドケーブルとの接続強度を十分に高めて、耐振動性を十分に向上させることができる。したがって、このセンサおよび測定装置によれば、被覆電線が振動したり、センサに外力が加わったりしたとしても、検出電極およびシェルとシールドケーブルとを確実に接続した状態を維持して、被覆電線の電圧を確実に検出することができる。
【0016】
また、請求項2記載のセンサ、および請求項8記載の測定装置によれば、支持部の周壁の外周面に形成された雄ねじに螺合する雌ねじが内周面に形成されてシェルに対して回転可能にシェルに外装され、ねじ込み操作によってシェルおよび検出電極と共に支持部の軸線方向に沿って移動可能なねじ部を備えたことにより、例えば、シェルにシールドケーブルが接続されている場合において、シェルが回動しないようにシールドケーブルを掴んでねじ込み操作を行うことで、ねじ込み操作に伴ってシェルおよび検出電極が回動することなく、シェルおよび検出電極を軸線方向に沿って支持部の先端部側に移動(直動)させることができる。このため、このセンサおよび測定装置によれば、被覆電線に対して検出電極の回動方向(捻り方向)の力が加わって被覆電線が損傷する事態を確実に防止することができる。また、このセンサおよび測定装置によれば、ねじ込み操作に伴ってシェルおよび検出電極が回動することなく、シェルおよび検出電極を直動させることができるため、シェルおよび検出電極に接続するシールドケーブルの捻れを防止するためのコネクタを用いることなく、検出電極およびシェルとシールドケーブルとを直接接続することができる。このため、このセンサおよび測定装置によれば、コネクタを用いて検出電極およびシェルとシールドケーブルとを接続する構成と比較して、検出電極およびシェルとシールドケーブルとの接続強度を十分に高めて、耐振動性を十分に向上させることができる。したがって、このセンサおよび測定装置によれば、被覆電線が振動したり、センサに外力が加わったりしたとしても、検出電極およびシェルとシールドケーブルとを確実に接続した状態を維持して、被覆電線の電圧を確実に検出することができる。
【0017】
また、請求項3記載のセンサおよび請求項8記載の測定装置によれば、ねじ込み操作に伴う支持部に対するシェルの回動を防止してシェルを軸線方向に案内する案内部を支持部およびシェルに設けたことにより、シェルに接続されたシールドケーブルを掴む操作をしない場合においても、ねじ込み操作に伴う支持部に対するシェルおよび検出電極の回動を確実に防止しつつ軸線方向に案内してセンサを被覆電線に装着することができる。このため、このセンサおよび測定装置によれば、センサを被覆電線に装着する際の作業性を十分に向上させることができる。
【0018】
また、請求項4記載のセンサおよび請求項8記載の測定装置によれば、導電性を有して互いに同電位となるように支持部、シェルおよびねじ部を構成したことにより、支持部、シェルおよびねじ部をシールドとして機能させることができるため、検出電極に対する外乱の影響を十分に低減することができる結果、被覆電線の電圧の検出精度をさらに向上させることができる。
【0019】
また、請求項5記載のセンサおよび請求項8記載の測定装置によれば、支持部の周壁の互いに対向する部位に軸線方向に沿って設けた一対の第1切り欠き部と、各第1切り欠き部における基端部側の各端部を結んで軸線方向に直交する方向に沿って周壁に設けた第2切り欠き部とで挿入部を構成したことにより、例えば、第2切り欠き部を被覆電線の下方に位置させて支持部(センサ)を上向きに移動させ、続いて、支持部を基端部側に移動させるだけで、第1切り欠き部における支持部の先端部側の端部に被覆電線を容易に位置させることができる。また、この状態では、挿入部からの被覆電線の抜けを確実に防止することができる。このため、このセンサおよび測定装置によれば、支持部によって被覆電線を確実にかつ容易に支持することができる。
【0020】
また、請求項6記載のセンサおよび請求項8記載の測定装置によれば、互いに対向する平面部を有するねじ込み操作用の操作部をねじ部に設けたことにより、ねじ込み操作の際に、操作部の平面部を指先やスパナ等の工具で挟持することで、雄ねじに対する雌ねじのねじ込みを確実に行うことができる。このため、このセンサおよび測定装置によれば、検出電極の先端面で被覆電線をより確実に押し付けることができる結果、被覆電線の電圧の検出精度を一層に向上させることができる。
【0021】
また、請求項7記載のセンサおよび請求項8記載の測定装置では、導電性を有するソケットおよび接続パイプを備えて接続部が構成されている。このため、このセンサおよび測定装置によれば、シールドケーブルの芯線をソケットの一方の端部に挿入し、検出電極の基端部をソケットの他方の端部に挿入するだけで、検出電極とシールドケーブルの芯線とを容易に接続することができる。また、シェルを覆ったシールドケーブルのシールド導体の周囲に接続パイプを装着し、接続パイプを押し潰して圧着することで、シェルとシールド導体とを容易に接続することができる。このため、このセンサおよび測定装置によれば、シェルおよび検出電極とシールドケーブルとを接続する作業の作業効率を十分に高めることができる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、センサおよび測定装置の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。
【0024】
最初に、センサの一例としての
図1,2に示す電圧センサ1の構成について説明する。電圧センサ1は、被覆電線(例えば、
図6に示すように芯線301および絶縁被覆302を有する電線300)に供給されている電圧(被覆電線についての被検出量の一例:以下、「電線300の電圧V1」ともいう)を金属非接触(導体非接触)で検出する際に用いられる電圧センサであって、同図に示すように、測定装置本体50と共に測定装置の一例としての測定装置500を構成する。
【0025】
また、電圧センサ1は、
図1〜
図3に示すように、支持部2、保護キャップ3、シェル4、検出電極5、ねじ部6、シールドケーブル7および接続部8を備えて構成されている。なお、以下の説明において、電圧センサ1におけるシールドケーブル7および接続部8を除く部分を本体部10ともいう。
【0026】
支持部2は、電線300を支持する部材であって、
図3に示すように、先端部2aが閉塞されると共に、基端部2bに開口部を有する円筒状(筒状の一例)に形成されている。この場合、支持部2の先端部2aは、表面が曲面をなすように(略半球状に)形成されている。また、同図に示すように、支持部2における基端部2b側の周壁21の外周面21aには、雄ねじ22が形成されている。また、基端部2b側の周壁21には、先端部2aと基端部2bとを結ぶ軸線A(
図2,3参照)の方向に沿って延在するスリット24が形成されている。
【0027】
また、支持部2には、
図3に示すように、周壁21の一部を切り欠くことによって電線300を挿入可能に形成された挿入部23が設けられている。この場合、挿入部23は、一例として、同図に示すように、支持部2の中間部2cにおいて、軸線Aの方向に沿って周壁21の互いに対向する部位にそれぞれ設けられた一対の切り欠き部23a(第1切り欠き部)と、各切り欠き部23aにおける基端部2b側の各端部を結んで軸線方向に直交する方向に沿って周壁21に設けられた切り欠き部23b(第2切り欠き部)とで構成されている。この支持部2では、
図8に示すように、挿入部23に挿入された状態の電線300を支持することが可能となっている。
【0028】
また、支持部2は、導電性材料で形成され、ねじ部6を介してシェル4に電気的に接続されて、シェル4と同電位に維持される。また、支持部2の表面は、外部とのショートを防止するため、絶縁性を有している。具体的には、支持部2の表面には、絶縁性を有する材料によるコーティング処理によって絶縁層が形成されている。
【0029】
保護キャップ3は、
図3に示すように、支持部2の先端部2a側に装着されて、支持部2を保護する。
【0030】
シェル4は、
図2,3に示すように、全体として円筒状(筒状の一例)に形成され、検出電極5を支持可能に構成されている。また、シェル4は、同図に示すように、先端部4a側を支持部2の基端部2b側から支持部2内に挿入可能に構成されている。また、同図に示すように、シェル4の基端部4b側には、溝部41が形成され、この溝部41には、リング42が装着されている(
図2も参照)。また、シェル4の中間部4cには、キー(突起部)43が形成されている。このキー43は、支持部2のスリット24と共に案内部を構成し、先端部4a側を支持部2内に挿入した状態においてスリット24に嵌合して、後述するねじ込み操作に伴う支持部2に対するシェル4の回動を防止してシェル4を軸線A方向に案内する機能を有している。また、シェル4は、導電性材料で形成され、後述するシールドケーブル7の編組シールド73を介して測定機本体50の基準電位に接続されて、支持部2およびねじ部6と共に検出電極5に対する外乱の影響を低減するシールドとして機能する。
【0031】
検出電極5は、
図3に示すように、導電性材料で円柱状(柱状の一例)に形成されて、
図2に示すように、非導電性材料で形成されたインシュレーターIa,Ibによってシェル4と絶縁された状態でシェル4の内部に挿入されて、シェル4によって支持されている。
【0032】
また、検出電極5は、シェル4と共に支持部2内に挿入されて支持部2の先端部2aに移動し、支持部2に支持されている電線300に先端部5aの先端面5cが押し付けられたときに、先端面5cが電線300の絶縁被覆302を介して電線300の芯線301と容量結合する。また、検出電極5は、後述するシールドケーブル7の芯線71を介して測定機本体50に接続される。
【0033】
ねじ部6は、
図2,3に示すように、円筒状(筒状の一例)に形成されている。また、
図2に示すように、ねじ部6における周壁61の内周面61aには支持部2の雄ねじ22に螺合する雌ねじ62が形成されている。また、ねじ部6の基端部6b側には、溝部63が形成されている。この電圧センサ1では、同図に示すように、シェル4に装着されているリング42がねじ部6の溝部63に嵌め込まれることにより、ねじ部6がシェル4に対して回転可能にシェル4に外装されている(リング42を介してシェル4とねじ部6とが回転可能に連結されている)。また、この電圧センサ1では、支持部2の雄ねじ22にねじ部6の雌ねじ62をねじ込むねじ込み操作により、支持部2内に挿入されたシェル4および検出電極5と共にねじ部6を軸線A方向に沿って移動させることが可能となっている。
【0034】
また、
図3に示すように、ねじ部6の基端部6b側には、ねじ込み操作の際に用いる操作部64が設けられている。この場合、操作部64は、一例として、平面視六角形(六角ナット状)に形成され、互いに対向する3組の平面部を有している。また、ねじ部6は、導電性材料で形成され、シェル4および支持部2と電気的に接続される。なお、互いに対向する平面部を有する操作部64に代えて、
図12に示すように、滑り止め加工としての平目ローレット加工が施された操作部64を備えたねじ部6を採用することもできる。
【0035】
シールドケーブル7は、同軸ケーブルであって、
図5に示すように、芯線71、絶縁層72、編組シールド(シールド導体)73および被覆74を備え、これらが同心円状に積層されて構成されている。
【0036】
接続部8は、
図4,5に示すように、ソケット81、接続パイプ82および絶縁チューブ83〜85を備えて構成され、シールドケーブル7と本体部10とを電気的に接続する。
【0037】
ソケット81は、
図4に示すように、金属等の導電性材料で筒状に形成されている。また、ソケット81は、
図5に示すように、ソケット81の基端部81b(
図4参照)から挿入されたシールドケーブル7における芯線71の先端部と、ソケット81の先端部81a(
図4参照)から挿入された検出電極5の基端部5bとを接続する。また、
図4に示すように、ソケット81の先端部81a側には、内側に突出する爪部81cが形成されており、ソケット81内に挿入された検出電極5がこの爪部81cに係合することにより、ソケット81からの検出電極5の抜けを防止することが可能となっている。
【0038】
接続パイプ82は、
図4に示すように、金属等の導電性材料で筒状に形成されている。また、接続パイプ82は、
図5に示すように、シールドケーブル7から引き出した編組シールド73でシェル4の基端部4bを覆い、その編組シールド73および基端部4bを接続パイプ82に挿入させ、その状態の接続パイプ82を押し潰して圧着することによって編組シールド73とシェル4の基端部4bとを接続する機能を有している。
【0039】
絶縁チューブ83〜85は、
図4に示すように、樹脂等の非導電性材料で筒状にそれぞれ形成されている。この場合、絶縁チューブ83は、
図5に示すように、検出電極5の基端部5bおよびシールドケーブル7の芯線71を接続したソケット81と、シールドケーブル7の絶縁層72とを覆うように配設されて、ソケット81と編組シールド73とを絶縁する。また、絶縁チューブ84は、同図に示すように、シールドケーブル7の編組シールド73の露出部分を覆うように配設されて、編組シールド73と絶縁チューブ83とを密着させる。また、絶縁チューブ85は、同図に示すように、接続パイプ82を覆うように配設されて、接続パイプ82を絶縁する。なお、絶縁チューブ83〜85は、一例として、加熱によって収縮する熱収縮チューブで構成されている。
【0040】
測定装置本体50は、一例として、
図6に示すように、主電源回路51、DC/DCコンバータ(以下、単に「コンバータ」ともいう)52、電圧検出部53、電流電圧変換用の抵抗54、電圧生成部55、電圧計56、処理部57および表示部58を備えて構成されている。
【0041】
主電源回路51は、測定装置本体50の各構成要素53〜58を作動させるための正電圧Vddおよび負電圧Vss(第1基準電位としてのグランドG1の電位を基準として生成される絶対値が同じで、互いの極性の異なる直流電圧)を出力する。コンバータ52は、一例として互いに電気的に絶縁された一次巻線および二次巻線を有する絶縁型のトランスと、このトランスの一次巻線を駆動する駆動回路と、トランスの二次巻線に誘起される交流電圧を整流平滑する直流変換部(いずれも図示せず)とを備えて、一次側に対して二次側が電気的に絶縁された絶縁型電源として構成されている。
【0042】
このコンバータ52では、入力した正電圧Vddおよび負電圧Vssに基づいて駆動回路が作動して、正電圧Vddが印加された状態にあるトランスの一次巻線を駆動して二次巻線に交流電圧を誘起させる。また、直流変換部が、この交流電圧を整流して平滑する。これにより、コンバータ52の二次側から、この二次側の内部基準電位(第2基準電位)G2を基準とする正電圧Vf+および負電圧Vf−がフローティング状態(グランドG1、正電圧Vddおよび負電圧Vssと電気的に分離された状態)で生成される。このようにして生成されたフローティング電圧としての正電圧Vf+および負電圧Vf−は、第2基準電位G2と共に電圧検出部53に供給される。なお、正電圧Vf+および負電圧Vf−は、絶対値がほぼ同一で、極性が互いに異なる直流電圧として生成される。
【0043】
電圧検出部53は、電流電圧変換回路53a、積分回路53b、駆動回路53cおよび絶縁回路53d(
図6では、一例として駆動回路53cによって駆動されるフォトカプラを図示しているが、フォトカプラに代えて絶縁トランスを使用する構成など、他の種々の構成を採用することができる)を備え、電圧検出部53における基準電位が上記の第2基準電位G2に規定された状態で、コンバータ52から正電圧Vf+および負電圧Vf−の供給を受けて作動する。
【0044】
電流電圧変換回路53aは、一例として、非反転入力端子が抵抗を介して電圧検出部53における第2基準電位G2に規定された部位に接続(以下、「第2基準電位G2に接続」ともいう)されると共に、反転入力端子がシールドケーブル7の芯線71(つまり、この芯線71を介して電圧センサ1の検出電極5)に接続され、かつ帰還抵抗が反転入力端子と出力端子との間に接続された第1演算増幅器を備えて構成されている。この電流電圧変換回路53aは、第1演算増幅器が正電圧Vf+および負電圧Vf−で作動して、電線300の電圧V1と第2基準電位G2(電圧生成部55から出力される電圧信号V4の電圧でもある)との電位差Vdi(
図6参照)に起因して、この電位差Vdiに応じた電流値で電線300と検出電極5との間に流れる検出電流(電流信号)Iを検出電圧信号V2に変換して出力する。この場合、検出電圧信号V2は、その振幅が電流信号Iの振幅に比例して変化する。
【0045】
積分回路53bは、一例として、非反転入力端子が抵抗を介して第2基準電位G2に接続されると共に、反転入力端子が入力抵抗を介して第1演算増幅器の出力端子に接続され、かつ帰還コンデンサが反転入力端子と出力端子との間に接続された第2演算増幅器を備えて構成されている。この積分回路53bは、第2演算増幅器が正電圧Vf+および負電圧Vf−で作動して、検出電圧信号V2を積分することにより、上記の電位差Vdiに比例して電圧値が変化する積分信号V3を生成して出力する。
【0046】
駆動回路53cは、積分信号V3のレベルに応じて絶縁回路53dをリニア領域で駆動し、駆動された絶縁回路53dは、この積分信号V3を電気的に分離して新たな積分信号(第1信号)V3aとして出力する。つまり、電圧検出部53は、電圧センサ1と相俟って、電線300の電圧V1を示す積分信号V3aを出力する。
【0047】
電流電圧変換用の抵抗54は、一端が負電圧Vssに接続されると共に、他端が電圧検出部53内の対応する絶縁回路53d(この例ではフォトカプラにおけるフォトトランジスタのコレクタ端子)に接続されている。
【0048】
電圧生成部55は、積分信号V3aを入力して増幅することにより、電圧信号V4を生成して、電圧検出部53における第2基準電位G2に規定された部位に印加する。この電圧信号V4はその電圧が後述するように電線300の電圧V1に応じて変化する。これにより、第2基準電位G2を基準とするフローティング電圧である正電圧Vf+および負電圧Vf−は、電圧信号V4の電圧に応じて変化するフローティング電圧となる。
【0049】
この電圧生成部55は、電圧検出部53の第2基準電位G2(第2基準電位G2と同電位のシールドケーブル7の編組シールド73)、検出電極5および電圧検出部53(電流電圧変換回路53a、積分回路53b、駆動回路53cおよび絶縁回路53d(この例ではフォトカプラ))と共にフィードバックループを形成して、電位差Vdiを減少させるように積分信号V3aを増幅する増幅動作を行うことにより、電圧信号V4を生成する。
【0050】
また、電圧生成部55は、一例として、
図6に示すように、増幅回路55a、位相補償回路55bおよび昇圧回路55cを備えて構成されている。ここで、増幅回路55aは、積分信号V3aを入力して増幅することにより、電圧信号V4aを生成する。この場合、増幅回路55aは、積分信号V3aの電圧値についての絶対値の増加・減少に対応して、電圧値の絶対値が変化する電圧信号V4aを増幅動作によって生成する。位相補償回路55bは、フィードバック制御動作の安定化(発振防止)を図るため、電圧信号V4aを入力してその位相を調整して電圧信号V4bとして出力する。昇圧回路55cは、一例として昇圧トランスを用いて構成されて、電圧信号V4bを所定の倍率で昇圧することにより(極性は変えずに絶対を増加させることにより)、電圧信号V4を生成して第2基準電位G2に印加する。電圧計56は、グランドG1の電位を基準として電圧信号V4を測定すると共に、その電圧値をディジタルデータに変換して電圧データDvとして出力する。
【0051】
処理部57は、CPUおよびメモリ(いずれも図示せず)を備えて構成されて、電圧計56から出力される電圧データDvに基づいて電線300の電圧V1を算出する電圧算出処理を実行する。また、処理部57は、電圧算出処理で算出した電圧V1を表示部58に表やグラフの形式で表示させる。表示部58は、一例として、液晶ディスプレイなどのモニタ装置で構成されている。
【0052】
次に、電圧センサ1および測定装置500を用いて電線300に供給されている電圧V1を測定する方法について図面を参照して説明する
【0053】
まず、電圧センサ1を電線300に装着する。具体的には、
図7,8に示すように、支持部2の挿入部23に電線300を挿入させて、電線300を支持部2によって支持する。この場合、一例として、挿入部23の切り欠き部23bを電線300の下方に位置させ、次いで、
図7に示すように、電圧センサ1を上向きに移動させて、電線300を挿入部23の切り欠き部23bから進入させて支持部2の径方向(同図における上下方向)の中心部に位置させる。続いて、
図8に示すように、電圧センサ1を移動(同図における右向きに移動)させて、電線300を挿入部23の切り欠き部23aの先端部(支持部2の先端部2a側の端部)に位置させる。これにより、挿入部23に電線300を容易に挿入することができる
【0054】
次いで、
図8,9に示すように、ねじ部6を右回りに回転させて、支持部2の雄ねじ22にねじ部6の雌ねじ62をねじ込むねじ込み操作を行う。この場合、ねじ部6の操作部64を指先で挟持することで、指先の滑りが防止されてねじ込み操作を確実かつ容易に行うことができる。また、ねじ部6の操作部64をスパナ等の工具で挟持することで、ねじ込み操作をより確実に行うこともできる。
【0055】
一方、ねじ込み操作に伴い、リング42を介してねじ部6に連結されているシェル4、およびシェル4に支持されている検出電極5が、ねじ部6と共に支持部2の先端部2a側に移動する。この場合、ねじ部6が、シェル4に対して回動可能に構成されているため、シェル4が回動しないようにシェル4に接続されているシールドケーブル7を掴んでねじ込み操作を行うことで、ねじ込み操作に伴ってシェル4および検出電極5が回動することなく、シェル4および検出電極5を軸線A方向に沿って支持部2の先端部2a側に移動(直動)させることができる。
【0056】
また、この電圧センサ1には、支持部2のスリット24とシェル4のキー43とで構成される案内部が設けられている。このため、上記したシールドケーブル7を掴む操作をしない場合においても、ねじ込み操作に伴う支持部2に対するシェル4および検出電極5の回動を確実に防止して、シェル4および検出電極5を軸線A方向に案内することができる。
【0057】
続いて、ねじ込み操作をさらに行ってシェル4、検出電極5およびねじ部6を支持部2の先端部2a側にさらに移動させることにより、
図10,11に示すように、検出電極5の先端面5cを電線300に当接させる。この場合、この電圧センサ1では、上記したように、ねじ込み操作に伴ってシェル4および検出電極5が回動することなく、軸線A方向に直動する。このため、この電圧センサ1では、電線300に対して検出電極5の回動方向(捻り方向)の力が加わって電線300が損傷する事態を確実に防止することが可能となっている。
【0058】
次いで、雄ねじ22に雌ねじ62をさらにねじ込む。この際に、検出電極5の先端面5cが電線300に押し付けられて、電線300が支持部2における挿入部23の縁部と先端面5cとによって挟み込まれる。この電圧センサ1では、ねじ部6に十分なトルクを加えてねじ込み操作を行うことで、検出電極5の先端面5cで電線300を確実に押し付けることができる。このため、この電圧センサ1では、コイルスプリングの付勢力だけで電線300に検出電極5の先端面5cを押し付けている構成と比較して、検出電極5の先端面5cと電線300との密着性を十分に高めて、その状態を確実に維持することが可能となっている。これにより、電圧センサ1が電線300に装着される。
【0059】
続いて、測定装置500の測定装置本体50における図外の操作部を操作して測定を開始させる。この場合、電線300の電圧V1と、電圧検出部53の第2基準電位G2の電圧(シールドケーブル7の編組シールド73を介して第2基準電位G2と同電位となる電圧センサ1の支持部2およびシールド体51の各電圧、つまり、電圧信号V4の電圧)との電位差Vdiが増加しているとき(例えば、電圧V1の上昇に起因して電位差Vdiが増加しているとき)には、測定装置本体50の電圧検出部53では、電線300から検出電極5を介して電流電圧変換回路53aに流れ込む電流信号Iの電流量が増加する。この場合、電流電圧変換回路53aは、出力している検出電圧信号V2の電圧値を低下させる。積分回路53bでは、この検出電圧信号V2の低下に起因して、第2演算増幅器の出力端子からコンデンサを介して反転入力端子に向けて流れる電流が増加する。このため、積分回路53bは、積分信号V3の電圧を上昇させる。また、この積分信号V3の電圧上昇に伴い、駆動回路53cのトランジスタが深いオン状態に移行する。これにより、絶縁回路53d(フォトカプラ)では、その発光ダイオードに流れる電流が増加し、フォトトランジスタの抵抗が減少する。したがって、抵抗54の抵抗値とフォトトランジスタの抵抗値とで電位差(Vdd−Vss)が分圧されて生成される積分信号V3aは、その電圧値が低下する。
【0060】
また、測定装置本体50では、電圧生成部55が、この積分信号V3aに基づいて、生成している電圧信号V4の電圧値を上昇させる。この測定装置500では、このようにしてフィードバックループを構成する電流電圧変換回路53a、積分回路53b、駆動回路53c、絶縁回路53dおよび電圧生成部55が、電線300の電圧V1の上昇を検出して、電圧信号V4の電圧値を上昇させるフィードバック制御動作を実行することにより、電圧検出部53の第2基準電位G2等の電圧(電圧信号V4の電圧)を電圧V1に追従させる。
【0061】
また、電圧V1の低下に起因して電位差Vdiが増加したときには、検出電極5を介して電流電圧変換回路53aから電線300に流れ出る(流出する)電流信号Iの電流量が増加する。この際には、フィードバックループを構成する電流電圧変換回路53a等が上記のフィードバック制御動作とは逆の動作でのフィードバック制御動作を実行して、電圧信号V4の電圧を低下させることにより、電圧検出部53の第2基準電位G2等の電圧(電圧信号V4の電圧)を電圧V1に追従させる。
【0062】
このようにして、測定装置500では、電圧検出部53の第2基準電位G2等の電圧(電圧信号V4の電圧)を電圧V1に追従させるフィードバック制御動作が短時間に実行されて、電圧検出部53の第2基準電位G2等の電圧(電流電圧変換回路53aの第1演算増幅器のバーチャルショートにより、検出電極5の電圧でもある)が電圧V1に一致させられる(収束させられる)。電圧計56は、電圧信号V4の電圧値をリアルタイムで計測して、その電圧値を示す電圧データDvを出力する。また、電圧信号V4は、電線300の電圧V1に一旦収束した後は、フィードバックループを構成する各構成要素が上記のように動作することにより、電圧V1の変動に追従する。したがって、電線300の電圧V1を示す電圧データDvが電圧計56から連続して出力される。
【0063】
処理部57は、電圧計56から出力された電圧データDvを入力してメモリに記憶する。次いで、処理部57は、電圧算出処理を実行して、電圧データDvに基づいて電線300の電圧V1を算出してメモリに記憶する。最後に、処理部57は、メモリに記憶されている測定結果(電圧V1)を表示部58に表示させる。これにより、測定装置500による電線300の電圧V1の測定が完了する。
【0064】
この場合、この測定装置500の電圧センサ1では、上記したように、ねじ部6に十分なトルクを加えてねじ込み操作を行うことで、検出電極5の先端面5cで電線300を確実に押し付けることができるため、検出電極5の先端面5cと電線300との密着性を十分に高めた状態を確実に維持することが可能となっている。したがって、この測定装置500では、電線300が振動したり、電圧センサ1に外力が加わったりしたとしても、電線300の電圧V1を測定する際に重要となる電線300の芯線301と検出電極5の先端面5cとの間に形成される静電容量C0(
図4参照)の容量値が大きく変動する事態が確実に回避される。この結果、この測定装置500では、コイルスプリングの付勢力だけで検出電極5の先端面5cを電線300に押し付けている構成と比較して、電圧V1の検出精度を十分に向上させることが可能となっている。
【0065】
また、この測定装置500の電圧センサ1では、コネクタを用いることなく、本体部10(検出電極5およびシェル4)とシールドケーブル7とが直接接続されている。このため、この電圧センサ1では、コネクタを用いて本体部10とシールドケーブル7とを接続する構成と比較して、本体部10とシールドケーブル7との接続強度が十分に高められて、耐振動性が十分に向上している。したがって、この測定装置500では、電線300が振動したり、電圧センサ1に外力が加わったりしたとしても、本体部10とシールドケーブル7とが確実に接続された状態が維持されて、電線300の電圧V1を確実に検出することが可能となっている。
【0066】
続いて、電圧センサ1を電線300から取り外す。具体的には、ねじ部6を左回りに回転させて、シェル4、検出電極5およびねじ部6を支持部2の基端部2b側に向けて移動させて、検出電極5の先端面5cを電線300から離間させる。次いで、電線300が挿入部23から外れるように電圧センサ1を移動させる。以上により、電線300に供給されている電圧V1の測定が終了する。
【0067】
このように、この電圧センサ1および測定装置500によれば、支持部2の周壁21の外周面21aに形成された雄ねじ22に螺合する雌ねじ62が内周面61aに形成されてシェル4に対して回転可能にシェル4に外装され、ねじ込み操作によってシェル4および検出電極5と共に支持部2の軸線A方向に沿って移動可能なねじ部6を備えたことにより、例えば、シェル4が回動しないようにシェル4に接続されているシールドケーブル7を掴んでねじ込み操作を行うことで、ねじ込み操作に伴ってシェル4および検出電極5が回動することなく、シェル4および検出電極5を軸線A方向に沿って支持部2の先端部2a側に移動(直動)させることができる。このため、この電圧センサ1および測定装置500によれば、電線300に対して検出電極5の回動方向(捻り方向)の力が加わって電線300が損傷する事態を確実に防止することができる。また、この電圧センサ1および測定装置500によれば、ねじ込み操作に伴ってシェル4および検出電極5が回動することなく、シェル4および検出電極5を直動させることができるため、シェル4および検出電極5に接続するシールドケーブル7の捻れを防止するためのコネクタを用いることなく、検出電極5およびシェル4とシールドケーブル7とを直接接続することができる。このため、この電圧センサ1および測定装置500によれば、コネクタを用いて本体部10とシールドケーブル7とを接続する構成と比較して、本体部10とシールドケーブル7との接続強度を十分に高めて、耐振動性を十分に向上させることができる。したがって、この電圧センサ1および測定装置500によれば、電線300が振動したり、電圧センサ1に外力が加わったりしたとしても、本体部10とシールドケーブル7とを確実に接続した状態を維持して、電線300の電圧V1を確実に検出することができる。
【0068】
また、この電圧センサ1および測定装置500によれば、ねじ込み操作に伴う支持部2に対するシェル4の回動を防止してシェル4を軸線A方向に案内する案内部(スリット24およびキー43)を支持部2およびシェル4に設けたことにより、シールドケーブル7を掴む操作をしない場合においても、ねじ込み操作に伴う支持部2に対するシェル4および検出電極5の回動を確実に防止しつつ軸線A方向に案内して電圧センサ1を電線300に装着することができる。このため、この電圧センサ1および測定装置500によれば、電圧センサ1を電線300に装着する際の作業性を十分に向上させることができる。
【0069】
また、この電圧センサ1および測定装置500によれば、導電性を有して互いに同電位となるように支持部2、シェル4およびねじ部6を構成したことにより、支持部2、シェル4およびねじ部6をシールドとして機能させることができるため、検出電極5に対する外乱の影響を十分に低減することができる結果、電線300の電圧V1の検出精度をさらに向上させることができる。
【0070】
また、この電圧センサ1および測定装置500によれば、支持部2の周壁21の互いに対向する部位に軸線A方向に沿って設けた一対の切り欠き部23aと、各切り欠き部23aにおける基端部2b側の各端部を結んで軸線A方向に直交する方向に沿って周壁21に設けた切り欠き部23bとで挿入部23を構成したことにより、例えば、切り欠き部23bを電線300の下方に位置させて支持部2(電圧センサ1)を上向きに移動させ、続いて、支持部2を基端部2b側に移動させるだけで、切り欠き部23aにおける支持部2の先端部2a側の端部に電線300を容易に位置させることができる。また、この状態では、挿入部23からの電線300の抜けを確実に防止することができる。このため、この電圧センサ1および測定装置500によれば、支持部2によって電線300を確実にかつ容易に支持することができる。
【0071】
また、この電圧センサ1および測定装置500によれば、互いに対向する平面部を有するねじ込み操作用の操作部64をねじ部6に設けたことにより、ねじ込み操作の際に、操作部64の平面部を指先やスパナ等の工具で挟持することで、雄ねじ22に対する雌ねじ62のねじ込みを確実に行うことができる。このため、この電圧センサ1および測定装置500によれば、検出電極5の先端面5cで電線300をより確実に押し付けることができる結果、電圧V1の検出精度を一層に向上させることができる。
【0072】
また、この電圧センサ1および測定装置500では、導電性を有するソケット81、および接続パイプ82を備えて接続部8が構成されている。このため、この電圧センサ1および測定装置500によれば、シールドケーブル7の芯線71をソケット81の一方の端部に挿入し、検出電極5の基端部5bをソケット81の他方の端部に挿入するだけで、検出電極5と芯線71とを容易に接続することができる。また、シェル4を覆ったシールドケーブル7の編組シールド73の周囲に接続パイプ82を装着し、接続パイプ82を押し潰して圧着することで、シェル4と編組シールド73とを容易に接続することができる。このため、この電圧センサ1および測定装置500によれば、シェル4および検出電極5とシールドケーブル7とを接続する作業の作業効率を十分に高めることができる。
【0073】
次に、センサの他の一例としての
図13に示す電圧センサ101、およびこの電圧センサ101を備えた測定装置500について説明する。なお、以下の説明において、上記した電圧センサ1および測定装置500と同様の構成要素については、同じ符号を付して、重複する説明を省略する。この電圧センサ101は、
図13〜
図15に示すように、支持部102、保護キャップ3、シェル104、検出電極5、ねじ部106、シールドケーブル7および接続部8を備えて構成されている。なお、以下の説明において、電圧センサ101におけるシールドケーブル7および接続部8を除く部分を本体部110ともいう。
【0074】
支持部102は、
図14,15に示すように、挿入部23を有して、電線300を支持可能に構成されている。また、
図15に示すように、支持部102における基端部102b側の周壁121の外周面121aには、溝部122が形成され、この溝部122には、リング123が装着されている。また、基端部102b側の周壁121の内周面121bには、軸線A(
図14,15参照)の方向に沿って延在するキー124が形成されている。また、支持部102は、導電性材料で形成され、ねじ部106を介してシェル104に電気的に接続されて、シェル104と同電位に維持される。また、支持部102の表面には、絶縁性を有する材料によるコーティング処理によって絶縁層が形成されている。
【0075】
シェル104は、
図15に示すように、全体として円筒状(筒状の一例)に形成され、検出電極5を支持可能に構成されている。また、シェル104は、同図に示すように、先端部104a側を支持部102の基端部102b側から支持部102内に挿入可能に構成されている。また、
図14に示すように、シェル104の基端部104b側には、雄ねじ141が形成されている。また、シェル104の先端部104aには、
図15に示すように、スリット143が形成されている。このスリット143は、支持部102のキー124と共に案内部を構成し、先端部104a側を支持部102内に挿入した状態においてキー124がこのスリット143に嵌合して、後述するねじ込み操作に伴う支持部102に対するシェル104の回動を防止してシェル104を軸線A方向に案内する機能を有している。また、シェル104は、導電性材料で形成され、後述するシールドケーブル7の編組シールド73を介して測定機本体50の基準電位に接続されて、検出電極5に対する外乱の影響を低減するシールドとして機能する。
【0076】
ねじ部106は、
図14,15に示すように、円筒状(筒状の一例)に形成されている。また、
図14に示すように、ねじ部106における周壁161の内周面161aにはシェル104の雄ねじ141に螺合する雌ねじ162が形成されている。また、ねじ部106の先端部106a側の内周面161aには、溝部163が形成されている。この電圧センサ101では、同図に示すように、支持部102に装着されているリング123がねじ部106の溝部163に嵌め込まれることにより、ねじ部106が支持部102に対して回転可能に支持部102に外装されている(リング123を介して支持部102とねじ部106とが回転可能に連結されている)。また、この電圧センサ101では、シェル104の雄ねじ141にねじ部106の雌ねじ162をねじ込むねじ込み操作により、挿入されたシェル104および検出電極5を軸線A方向に沿って移動させることが可能となっている。
【0077】
また、
図15に示すように、ねじ部106の基端部106b側には、ねじ込み操作の際に用いる操作部164が設けられている。この場合、操作部164には、一例として、滑り止め加工としての平目ローレット加工が施されている。なお、滑り止め加工が施された操作部164に代えて、
図18に示すように、互いに対向する3組の平面部を有する操作部164を備えた基端部106bを採用することもできる。
【0078】
この電圧センサ101を電線300に装着する際には、
図16に示すように、支持部102の挿入部23に電線300を挿入させて、電線300を支持部102によって支持する。次いで、
図17に示すように、ねじ部106を右回りに回転させて、シェル104の雄ねじ141に基端部106bの雌ねじ162をねじ込むねじ込み操作を行う。この場合、ねじ部106の操作部164を指先で挟持することで、指先の滑りが防止されてねじ込み操作を確実かつ容易に行うことができる。
【0079】
一方、ねじ込み操作に伴い、シェル104、およびシェル104に支持されている検出電極5が、支持部102の先端部102a側に移動させられる。この場合、ねじ部106が、支持部102に対して回動可能に構成されているため、支持部102を掴んでねじ込み操作を行うことで、ねじ込み操作に伴う支持部102の回動を防止して、支持部102に対してシェル104および検出電極5が回動することなく(シェル104および検出電極5に対して支持部102が回動することなく)、シェル104および検出電極5を軸線A方向に沿って支持部102の先端部102a側に移動(直動)させることができる。
【0080】
また、この電圧センサ101には、支持部102のキー124とシェル104のスリット143とで構成される案内部が設けられている。このため、ねじ込み操作に伴う支持部102に対するシェル104のおよび検出電極5の回動(シェル104および検出電極5に対する支持部102の回動)を確実に防止することができる。
【0081】
続いて、ねじ込み操作をさらに行ってシェル104および検出電極5を支持部102の先端部102a側にさらに移動させることにより、
図17に示すように、検出電極5の先端面5cを電線300に当接させる。この場合、この電圧センサ101では、上記したように、ねじ込み操作に伴って支持部102に対してシェル104および検出電極5が回動することなく、シェル104および検出電極5が軸線A方向に直動する。このため、この電圧センサ101および測定装置500においても、電線300に対して検出電極5の回動方向(捻り方向)の力が加わって電線300が損傷する事態を確実に防止することができる。
【0082】
次いで、雄ねじ141に雌ねじ162をさらにねじ込む。これにより、電圧センサ101が電線300に装着される。この電圧センサ101および測定装置500においても、ねじ部106に十分なトルクを加えてねじ込み操作を行うことで、検出電極5の先端面5cで電線300を確実に押し付けることができるため、検出電極5の先端面5cと電線300との密着性を十分に高めて、その状態を確実に維持することができる。
【0083】
また、この電圧センサ101および測定装置500によれば、ねじ込み操作に伴って支持部102に対してシェル104および検出電極5が回動することなく、シェル104および検出電極5を直動させることができるため、シールドケーブル7の捻れを防止するためのコネクタを用いることなく、本体部110(シェル104および検出電極5)とシールドケーブル7とを直接接続することができる。このため、この電圧センサ101および測定装置500においても、コネクタを用いて本体部110とシールドケーブル7とを接続する構成と比較して、本体部110とシールドケーブル7との接続強度を十分に高めて、耐振動性を十分に向上させることができる。したがって、この電圧センサ101および測定装置500においても、電線300が振動したり、電圧センサ101に外力が加わったりしたとしても、本体部110とシールドケーブル7とを確実に接続した状態を維持して、電線300の電圧V1を確実に検出することができる。
【0084】
また、この電圧センサ101および測定装置500によれば、ねじ込み操作に伴う支持部102に対するシェル104の回動を防止してシェル104を軸線A方向に案内する案内部(キー124およびスリット143)を支持部102およびシェル104に設けたことにより、シールドケーブル7を掴む操作をしない場合においても、ねじ込み操作に伴う支持部102に対するシェル104および検出電極5の回動を確実に防止しつつ軸線A方向に案内して電圧センサ101を電線300に装着することができる。このため、この電圧センサ101および測定装置500においても、電圧センサ101を電線300に装着する際の作業性を十分に向上させることができる。
【0085】
また、この電圧センサ101および測定装置500によれば、導電性を有して互いに同電位となるように支持部102、シェル104およびねじ部106を構成したことにより、支持部102、シェル104およびねじ部106をシールドとして機能させることができるため、検出電極5に対する外乱の影響を十分に低減することができる結果、電線300の電圧V1の検出精度をさらに向上させることができる。
【0086】
また、この電圧センサ101および測定装置500によれば、支持部102の周壁121の互いに対向する部位に軸線A方向に沿って設けた一対の切り欠き部23aと、各切り欠き部23aにおける基端部102b側の各端部を結んで軸線A方向に直交する方向に沿って周壁121に設けた切り欠き部23bとで挿入部23を構成したことにより、例えば、切り欠き部23bを電線300の下方に位置させて支持部102(電圧センサ101)を上向きに移動させ、続いて、支持部102を基端部102b側に移動させるだけで、切り欠き部23aにおける支持部102の先端部102a側の端部に電線300を容易に位置させることができる。また、この状態では、挿入部23からの電線300の抜けを確実に防止することができる。このため、この電圧センサ101および測定装置500においても、支持部102によって電線300を確実にかつ容易に支持することができる。
【0087】
また、この電圧センサ101および測定装置500によれば、互いに対向する平面部を有するねじ込み操作用の操作部164をねじ部106に設けたことにより、ねじ込み操作の際に、操作部164の平面部を指先やスパナ等の工具で挟持することで、雄ねじ141に対する雌ねじ162のねじ込みを確実に行うことができる。このため、この電圧センサ101および測定装置500においても、検出電極5の先端面5cで電線300をより確実に押し付けることができる結果、電圧V1の検出精度を一層に向上させることができる。
【0088】
また、この電圧センサ101および測定装置500では、導電性を有するソケット81、および接続パイプ82を備えて接続部8が構成されている。このため、この電圧センサ101および測定装置500においても、シールドケーブル7の芯線71をソケット81の一方の端部に挿入し、検出電極5の基端部5bをソケット81の他方の端部に挿入するだけで、検出電極5と芯線71とを容易に接続することができる。また、シェル104を覆ったシールドケーブル7の編組シールド73の周囲に接続パイプ82を装着し、接続パイプ82を押し潰して圧着することで、シェル104と編組シールド73とを容易に接続することができる。このため、この電圧センサ101および測定装置500においても、シェル104および検出電極5とシールドケーブル7とを接続する作業の作業効率を十分に高めることができる。
【0089】
なお、センサおよび測定装置は上記した構成に限定されない。例えば、支持部2,102に形成した挿入部23の形状は上記した形状に限定されず、任意に変更することができる。
【0090】
また、円筒状に形成された支持部2,102、シェル4,104およびねじ部6,106を用いる例について上記したが、支持部2,102、シェル4,104およびねじ部6,106の形状は円筒状に限定されず、例えば、断面形状が多角形の構成や、断面形状が楕円形の構成を採用することもできる。
【0091】
また、被検出量としての電線300(被覆電線)の電圧V1を検出する電圧センサ1,101に適用した例について上記したが、他の被検出量を検出するセンサに適用することもできる。一例として、支持部2,102、シェル4,104、検出電極5およびねじ部6,106を磁性材料で形成して、被検出量としての電線300(被覆電線)に流れる電流を金属非接触で検出するセンサ(電流センサ)に適用することができる。