特許第6965166号(P6965166)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6965166
(24)【登録日】2021年10月22日
(45)【発行日】2021年11月10日
(54)【発明の名称】関節炎を画像化する方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 51/08 20060101AFI20211028BHJP
   A61P 19/02 20060101ALI20211028BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20211028BHJP
   A61P 17/06 20060101ALI20211028BHJP
   C07K 7/54 20060101ALN20211028BHJP
【FI】
   A61K51/08 200
   A61P19/02
   A61P29/00
   A61P29/00 101
   A61P17/06
   !C07K7/54ZNA
【請求項の数】31
【全頁数】51
(21)【出願番号】特願2017-567228(P2017-567228)
(86)(22)【出願日】2016年6月23日
(65)【公表番号】特表2018-518523(P2018-518523A)
(43)【公表日】2018年7月12日
(86)【国際出願番号】GB2016051879
(87)【国際公開番号】WO2016207636
(87)【国際公開日】20161229
【審査請求日】2019年6月12日
(31)【優先権主張番号】1511036.4
(32)【優先日】2015年6月23日
(33)【優先権主張国】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】517446430
【氏名又は名称】ガイズ アンド セント トーマスズ ホスピタル エヌエイチエス ファンデーション トラスト
【氏名又は名称原語表記】GUY’S AND ST THOMAS’ HOSPITAL NHS FOUNDATION TRUST
(74)【代理人】
【識別番号】100149294
【弁理士】
【氏名又は名称】内田 直人
(72)【発明者】
【氏名】ガロッド,トビー
【審査官】 池上 文緒
(56)【参考文献】
【文献】 特表2005−507376(JP,A)
【文献】 特表2010−502585(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0267882(US,A1)
【文献】 J. Nucl. Med. (May 2015) vol.56, supplement 3, 1078
【文献】 J. Nucl. Med. (May 2015) vol.56, supplement 3, 653
【文献】 Ann. Rheum. Dis. (2007) vol.66, supplement II, p.301(FRI0070)
【文献】 Arthritis Rheum. (1994) vol.37, no.10, p.1521-1527
【文献】 J. Nucl. Med. (2001) vol.42, no.1, p.154-161
【文献】 Nucl. Med. Biol. (2008) vol.35, issue 3, p.365-375
【文献】 Mol. Imaging Biol. (2010) vol.13, issue 4, p.730-736
【文献】 日本内科学会雑誌(Sep 2002) vol.91, 臨時増刊号, p.106-110
【文献】 J. Nucl. Med. (2014) vol.55, no.11, p.1849-1855
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 51/08
A61P 19/02
A61P 29/00
A61P 17/06
C07K 7/54
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象において関節炎を画像化する方法であって、放射性核種に抱合させたペプチドを含むトレーサーを前記対象に投与すること、および2D核画像化により、または単一光子放射事象の3D検出により、前記対象を画像化することを含み、
前記トレーサーは経口投与または坐薬として投与され、
前記ペプチドが下記式(II)の化合物であり、
【化1】
式中、
− Rが、アルギニンまたはN−メチルアルギニンを表し、
− Gが、グリシンを表し、
− Dが、アスパラギン酸を表し、
− Yが、アスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギン、グルタミン、リシン、およびアルギニンから選択されるアミノ酸残基であり、Yの側鎖が、前記側鎖のヘテロ原子を介して部分−L−Zに結合しており、
− 部分−Y−S−および−Y−S−が、それぞれ独立して、ジスルフィド結合−Y−S−S−Y−を形成することができるアミノ酸残基を表し、
− Yが、バリン、ロイシン、イソロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、チロシン、およびトリプトファンから選択されるアミノ酸残基であり、
− 部分−Y−(CH−S−が、硫黄含有アミノ酸残基を表し、pが、1または2であり、
− Rが、−(CH−(Ar)−(CH−を表し、qおよびsが、互いに独立して0または整数であり、q+sが、1〜8の整数であり、rが、0または1であり、Arが、Cアリーレン基であり、
− Rが、不在であるか、または−Het−((CHHet)HetRを表し、
− nが、1または2であり、
− mが、1〜6の整数であり、
− 各Hetが、独立して−O−または−NR−であり、
− Rが、不在であるか、または任意選択で、1〜3のオキソ基により置換されていてもよい、および/または−O−および−C(O)−から選択される1〜3の基により中断されていてもよい、C〜Cアルキレンであり、
− 各Rが、HおよびC〜Cアルキルから独立して選択され、
− Lが、−C(O)−(C〜Cアルキレン)−C(O)−であり、Lの前記アルキレン基が、−O−により任意選択で中断されていてもよく、および/またはLの前記アルキレン基が、非置換であり、あるいは−OH、C〜Cアルコキシ、およびC〜Cアルキルから選択される1または2の置換基により置換されており、
− Zが、放射性核種に配位することができる部分を表す、方法。
【請求項2】
前記対象の画像化が、ガンマカメラを使用する2Dシンチグラフィーにより、または単一光子放射コンピュータ断層撮影法(SPECT)により、前記対象を画像化することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記関節炎が炎症性関節炎である、請求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記放射性核種がガンマ線を放射する、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記放射性核種が、99mTc、123I、131I、125I、67Ga、111In、133Xe、18F、68Ga、64Cu、および201Tlから選択される、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記放射性核種が99mTcである、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
q+sが1〜3の整数である、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
Zが、前記放射性核種をキレートする部分を表す、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
Zが式(III)の部分であり、
【化2】
式中、
− 各R基が、独立して、HまたはC〜Cアルキルであり、
− 各R基が、独立して、C〜Cアルキレンであり、
− Rが、C〜Cアルキレンであり、
− 各アルキル基および/または各アルキレン基が、非置換である、または−OH、−N(R、C〜Cアルキル、およびC〜Cアルコキシから選択される1つの置換基により置換されている、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記ペプチドが、請求項1において定義されている式(II)のものであり、更に、
− Yが、リシンであり、
− 部分−Y−S−および−Y−S−が、それぞれ独立してシステインを表し、
− Yが、フェニルアラニンおよびチロシンから選択されるアミノ酸残基であり、
− Rが、−NH−((CHHet)HetRを表し、
− mが、3〜6の整数であり、
− Hetが、−O−または−NR−であり、
− Rが、Hであり、
− Rが、−C(O)−CH−O−CH−C(O)−であり、
− Lが、−C(O)−(C〜Cアルキレン)−C(O)−であり、Lの前記アルキレン基が非置換であり、
− Zが、請求項9に定義されたとおりである、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
Zが式(IV):
【化3】
で表される部分である、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記ペプチドが、請求項10において定義されている式(II)のものであり、更に、
− Yが、フェニルアラニンであり、
− Lが、−C(O)−(C〜Cアルキレン)−C(O)−であり、Lの前記アルキレン基が非置換であり、
− Zが、請求項11に定義されたとおりである、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記ペプチドがマラシクラチドであり、前記放射性核種が99mTcである、請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記放射性核種に抱合された前記ペプチドが、式(VIa):
【化4】
で表されるものである、請求項1から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記トレーサーと、1以上の薬学的に許容される賦形剤、および/または希釈剤、および/または担体とを含む組成物を、前記対象に投与することを含む、請求項1から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記トレーサーが、薬物送達ビヒクルにカプセル化または抱合されている、請求項1から15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記薬物送達ビヒクルが、リポソーム、ペグ化リポソーム、ニオソーム、アクアソーム、デンドリマー、ミセル、無機もしくは有機ナノ粒子、脂質、ポリアミノ酸、エマルション、またはヒドロゲルである、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記関節炎が、関節リウマチ、強直性脊椎炎、乾癬性関節炎、腸炎性関節炎、反応性関節炎、痛風、偽痛風、敗血症性関節炎、骨関節炎、若年性特発性関節炎、全身性エリテマトーデスに関連する関節炎、1つ以上の脊椎関節症に関連する関節炎、腱付着部症もしくは腱付着部炎に関連する関節炎、仙腸関節炎に関連する関節炎、腱鞘炎、腱の炎症、もしくは腱鞘の炎症に関連する関節炎、および/または結合組織疾患に関連する関節炎から選択される、請求項1から17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記関節炎が、関節リウマチ、強直性脊椎炎、および乾癬性関節炎から選択される、請求項1から18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記関節炎が関節リウマチである、請求項1から19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記対象の全身を画像化することを含む、請求項1から20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記対象の指、手、肘、肩、つま先、足、足首、膝、または股関節のうち1つ以上を画像化することを含むが、前記対象の全身を画像化することを含まない、請求項1から20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記対象の手および/または足だけを画像化することを含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
炎症を起こした関節を画像化することを含む、請求項1から23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記対象が、(i)関節炎を患っていた、もしくは患っている、または(ii)関節炎に罹患しやすくなっている、請求項1から24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記対象が哺乳動物である、請求項1から25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記対象がヒトである、請求項1から26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
2D核画像化により、または単一光子放射事象の3D検出により関節炎を画像化するための画像化剤としての、放射性核種に抱合させたペプチドを含むトレーサーの使用であって、
前記トレーサーは経口投与または坐薬として投与され、
前記トレーサーは請求項1及び4から17のいずれか一項で定義されたものである、トレーサーの使用。
【請求項29】
− 前記画像化方法が、請求項2および請求項21から24のいずれか一項において定義されたとおりである、および/または
− 前記関節炎が、請求項3および請求項18から20のいずれか一項において定義されたとおりである、および/または
− 前記対象が、請求項25から27いずれか一項において定義されたとおりである、請求項28に記載のトレーサーの使用。
【請求項30】
対象における関節炎の診断に使用するためのトレーサーであって、前記トレーサーは、請求項1及び4から17のいずれか一項で定義されたものであり、前記診断が、(a)前記トレーサーを前記対象に投与すること、(b)2D核画像化により、または単一光子放射事象の3D検出により、前記対象を画像化すること、および(c)前記対象が関節炎を有するかを決定することを含む、トレーサー。
【請求項31】
− 前記画像化方法が、請求項2および請求項21から24のいずれか一項において定義されたとおりである、および/または
− 前記関節炎が、請求項3および請求項18から20のいずれか一項において定義されたとおりである、および/または
− 前記対象が、請求項25から27いずれか一項において定義されたとおりである、請求項30に記載のトレーサー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、関節炎を画像化する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
関節リウマチ(RA)は、炎症性関節疾患であり、未治療のままにしておくと、進行性の関節損傷および身体障害をもたらす。早期の積極的な治療は、RAに長期間の良好な結果を達成する最高の機会を提供するが、そのような治療を必要とする患者において早期に正確な診断を最適に行うことは、依然として難問である。
【0003】
RAにおいて炎症を起こした滑膜は、新たな血管形成を豊富に有し、これは初期現象であり、滑膜炎の臨床の程度と相関することが示されている。7,8更に、これらの血管の多くは未成熟であり、このことは高度な代謝回転を示し、血管透過性の増加に寄与する可能性がある。インテグリンαβは、健康なときには低レベルで発現するが、血管新生のときには活性化された血管内皮細胞によって、ならびに活性化されたマクロファージおよび破骨細胞によって上方制御され、10,11、これらは両方とも炎症関節に蓄積する。12,13αβの発現は、血清反応陽性および血清反応陰性関節炎の両方において、滑膜血管内皮細胞によって著しく上方制御される。14,15
【0004】
過去10年間にわたって、特にパワードプラ(PDUS)評価と組み合わせたとき、関節の高分解能超音波(US)が炎症性関節炎の評価に用いられることが多くなっている。炎症性活性の証拠を臨床的には非炎症性の関節において見ることができ、USが臨床検査より優れた感度を有することを示している。更に、パワードプラシグナルにより決定された活性滑膜炎症の存在は、関節損傷の予測であることが示されている。3,4PDUSは、滑膜における血管活性を画像化し、組織学的に決定された滑膜血管分布および炎症と相関することが示されている。
【0005】
血管画像化は炎症の持続および関節損傷についてRAの貴重な予測ツールであるという、相当数の証拠が存在する。PDUSは、血管画像化の代用品として使用されてきたが、この技術は、その利用可能性が限定されている。その利点にもかかわらず、USは、比較的少数のリウマチ科においてのみ利用可能である。時間が掛かるので、毎日の診療において評価は数件の関節に限定され、そのため、全ての関節の包括的な画像化は日常的な臨床診療では実行不能である。更に、USは資源という観点から高価であり、必要な技能を備えたリウマチ専門医の数は依然として限定されている。したがって、関節炎を画像化するために、USに対する実践的な代替的方法が必要である。
【0006】
磁気共鳴画像化法(MRI)は、関節炎症においてUSに類似した感度を有する。しかし、MRIを使用すると、数個を超える関節を同時に画像化することは実用的ではない。MRIは極めて高価でもある。したがってMRIは、炎症性関節炎の日常的な評価において限定された役割を有し、大部分の症例においてUSの実現可能な代替案ではない。
【0007】
陽電子放射断層撮影法(PET)が、関節炎を画像化する代替的な手法として提案されている。例えば、最近の研究は、RAのPET画像化において、68Ga標識二量体RGDペプチドの取り込みにいくらかの特異性を実証した。22しかし、この研究は、PET画像化と臨床評価の結果に限定された相関関係を実証した。更に、PET画像化は、高額であり、かつPET機器の限定された利用可能性のため、日常的な臨床診療にとって可能性はない。このようにPETは、RAの画像化において、USまたはMRIに対する実用的な代替案ではない。
【0008】
様々なトレーサーが核画像化における使用について調査されており、99mTcおよび18F標識化合物の両方が、癌における血管新生の画像化のために確認されている。19−21しかし、現在まで、核画像化により関節炎を画像化するのに適した方法は実証されていない。したがって、関節炎を画像化するために、(PD)US、MRI、およびPETに対する実用的な代替的方法が必要である。
【発明の概要】
【0009】
本発明者らは、対象において関節炎を画像化する新たな方法を開発した。具体的には、本発明者らは、放射性核種に抱合させたペプチドを含むトレーサーを、2D核画像化により、または単一光子放射事象の3D検出により対象において関節炎を画像化することに非常に有効に使用できることを見出した。
【0010】
本発明の方法は、(PD)US、MRI、およびPETに関連する問題の多くを克服する。具体的には、本発明の方法は、滑膜炎症の高速で費用対効果の高い全身レベルの画像化を可能にする潜在力を有する。放射性核種に抱合させたペプチドを含むトレーサーの、本明細書に記載されている使用は、滑膜組織内の新生血管形成(neoangiogenic vessels)における特異性に関して、ならびに活性化されたマクロファージおよび破骨細胞への結合によって炎症性関節における貯留の可能性に関して、利点を提供する。更に、本発明者らは、予想外にも、新たな核画像化方法と現存の金字塔的な超音波技術との優れた相関関係を見出した(例えば、図4および5を参照すること)。このように本発明の方法は、炎症を起こした関節の特に高感度で特定的な画像化を可能にする。そのような画像化は、確立されたRAを有する患者において、診断のみならず、治療決定に重要な影響を及ぼすことにも、とりわけ高い疾患活動を有する患者および寛解期にある患者において、高価な生物学的作用物質の使用を最適化することにも、重要である可能性を有する。
【0011】
したがって、1つの態様において、本発明は、対象において関節炎を画像化する方法であって、放射性核種に抱合させたペプチドを含むトレーサーを対象に投与すること、および2D核画像化により、または単一光子放射事象の3D検出により、対象を画像化することを含む方法を提供する。通常、対象の画像化は、ガンマカメラを使用する2Dシンチグラフィーにより、または単一光子放射コンピュータ断層撮影法(SPECT)により、対象を画像化することを含む。典型的には、関節炎は炎症性関節炎である。一般に、放射性核種はガンマ線を放射する。多くの場合、ペプチドは、本明細書に記載されているR−G−D部分を含む。
【0012】
別の態様において、本発明は、放射性核種に抱合させたペプチドを含むトレーサーを、2D核画像化により、または単一光子放射事象の3D検出により関節炎を画像化するための画像化剤として使用することを提供する。典型的には、トレーサー、画像化剤、関節炎、および対象については、本明細書において更に記載されているとおりである。
【0013】
本発明の方法は、医療診断において有用性が見出される。したがって、本発明は、対象において関節炎を診断する方法であって、(a)放射性核種に抱合させたペプチドを含むトレーサーを対象に投与すること、(b)2D核画像化により、または単一光子放射事象の3D検出により、対象を画像化すること、および(c)対象が関節炎を有するかを決定することを含む方法を提供する。通常は、トレーサー、画像化剤、関節炎、および対象については、本明細書において更に記載されているとおりである。
【0014】
本発明は、対象における関節炎の診断に使用されるトレーサーも提供し、トレーサーは、放射性核種に抱合させたペプチドを含み、診断は、(a)トレーサーを対象に投与すること、(b)2D核画像化により、または単一光子放射事象の3D検出により、対象を画像化すること、および(c)対象が関節炎を有するかを決定することを含む。多くの場合には、トレーサー、画像化剤、関節炎、および対象については、本明細書において更に記載されているとおりである。
【0015】
本発明は、関節炎の治療用の医薬品の活性を評価する方法であって、
− トレーサーを対象に投与することであって、トレーサーが、放射性核種に抱合させたペプチドを含み、対象が関節炎を有することと、
− 2D核画像化により、または単一光子放射事象の3D検出により、対象を画像化してトレーサーを検出することと、
− 医薬品を対象に投与することと、
− 医薬品を対象に投与した後、2D核画像化により、または単一光子放射事象の3D検出により、対象を画像化してトレーサーを検出することと、
− 医薬品の投与前後の対象の画像またはトレーサーの検出量の変化を評価することと、
を含む方法も提供する。
通常、トレーサー、画像化剤、関節炎、および対象については、本明細書において更に記載されているとおりである。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】2人の患者の180分での代表的な全身走査を示す。取り込みを、手、手首、膝、足首、および足において見ることができる。加えて、取り込みが最初の上側画像では肩および肘にも見られる。
図2】2時間目で撮った2人の患者の手および足の代表的な静止画像を示す。取り込みは、手首、中手指節関節、近位指節間関節、足首、中足部(midfoot)、および中足指節関節において明確に可視化されている。
図3】手の代表的なSPECT/CT画像を示す。取り込みが手首および中手指節関節において見られる。
図4】PDUSと99mTc−NC100692画像化の相関関係を示し、(A)が定量的スコアであり、(B)がバイナリスコアである。
図5】手および手首の(A)平面および(B)SPECT/CTの99mTc−NC100692を、(C)手首関節滑膜炎および(D)尺側手根伸筋腱鞘炎(extensor carpi ulnaris tenosynovitis)の対応する超音波+パワードプラ画像と共に示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
定義
以下の置換基の定義は、本明細書に定義されている化合物に関して適用される。
【0018】
〜C10アルキル基は、非置換または置換、直鎖または分枝鎖の飽和炭化水素ラジカルである。典型的には、C〜Cアルキルであり、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、もしくはヘキシルであり、またはC〜Cアルキルであり、例えば、メチル、i−プロピル、n−プロピル、t−ブチル、s−ブチル、もしくはn−ブチルであり、例えば、C〜Cアルキルであり、例えばメチルもしくはエチル、典型的にはメチルである。アルキル基が置換されている場合、典型的には、置換または非置換C〜C10アルキル、置換または非置換アリール(本明細書において定義されている)、シアノ、アミノ、C〜C10アルキルアミノ、ジ(C〜C10)アルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ、アリールアルキルアミノ、アミド、アシルアミド、ヒドロキシ、オキソ、ハロ、カルボキシ、エステル、アシル、アシルオキシ、C〜C10アルコキシ、アリールオキシ、ハロアルキル、スルホン酸、スルフヒドリル(すなわち、チオール、−SH)、C〜C10アルキルチオ、アリールチオ、スルホニル、リン酸、リン酸エステル、ホスホン酸、およびホスホン酸エステルから選択される1つ以上の置換基を有する。置換アルキル基の例には、ハロアルキル、ヒドロキシアルキル、アミノアルキル、アルコキシアルキル、およびアルカリル基が含まれる。アルカリルという用語は、本明細書において使用されるとき、少なくとも1個の水素原子がアリール基に置き換えられているC〜C10アルキル基に関する。そのような基の例には、ベンジル(フェニルメチル、PhCH−)、ベンズヒドリル(PhCH−)、トリチル(トリフェニルメチル、PhC−)、フェネチル(フェニルエチル、Ph−CHCH−)、スチリル(Ph−CH=CH−)、シンナミル(Ph−CH=CH−CH−)が含まれるが、これらに限定されない。典型的には、置換C〜C10アルキル基は、1、2、または3つの置換基、例えば、1または2つを有する。
【0019】
〜C10アルケニル基は、1つ以上、例えば、1または2つの二重結合を有する、非置換または置換、直鎖または分枝鎖の不飽和炭化水素ラジカルである。典型的には、C〜Cアルケニルであり、例えば、エテニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、もしくはヘキセニルであり、またはC〜Cアルケニルであり、例えば、エテニル、i−プロペニル、n−プロペニル、t−ブテニル、s−ブテニル、もしくはn−ブテニルである。アルケニル基が置換されている場合、典型的には、置換または非置換C〜C10アルキル、置換または非置換アリール(本明細書において定義されている)、シアノ、アミノ、C〜C10アルキルアミノ、ジ(C〜C10)アルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ、アリールアルキルアミノ、アミド、アシルアミド、ヒドロキシ、オキソ、ハロ、カルボキシ、エステル、アシル、アシルオキシ、C〜C10アルコキシ、アリールオキシ、ハロアルキル、スルホン酸、スルフヒドリル(すなわち、チオール、−SH)、C〜C10アルキルチオ、アリールチオ、スルホニル、リン酸、リン酸エステル、ホスホン酸、およびホスホン酸エステルから選択される1つ以上の置換基を有する。置換アルケニル基の例には、ハロアルケニル、ヒドロキシアルケニル、アミノアルケニル、アルコキシアルケニル、およびアルケナリル(alkenaryl)基が含まれる。アルケナリルという用語は、本明細書において使用されるとき、少なくとも1個の水素原子がアリール基に置き換えられているC〜C10アルケニル基に関する。そのような基の例には、スチリル(PhCH=CH−)、PhC=CH−、PhCH=C(Ph)−、およびシンナミル(Ph−CH=CH−CH−)が含まれるが、これらに限定されない。典型的には、置換C〜C10アルケニル基は、1、2、または3つの置換基、例えば、1または2つを有する。
【0020】
〜C10シクロアルキル基は、非置換または置換アルキル基であり、これはシクリル基でもあり、すなわち、炭素環式化合物の炭素環式環の脂環式環原子から水素原子を除去することによって得られる一価部分であり、この部分は、3〜10個の炭素原子を(他に特に規定がなければ)有し、3〜10個の環原子が含まれる。このように、用語「シクロアルキル」は、サブクラスのシクロアルキエニル(cycloalkyenyl)およびシクロアルキニルを含む。C〜C10シクロアルキル基の群の例には、C〜Cシクロアルキル、例えばCまたはCシクロアルキルが含まれる。C〜C10シクロアルキル基が置換されている場合、典型的には、非置換のC〜Cアルキル、アリール(本明細書において定義されている)、シアノ、アミノ、C〜C10アルキルアミノ、ジ(C〜C10)アルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ、アリールアルキルアミノ、アミド、アシルアミド、ヒドロキシ、オキソ、ハロ、カルボキシ、エステル、アシル、アシルオキシ、C〜C20アルコキシ、アリールオキシ、ハロアルキル、スルホン酸、スルフヒドリル(すなわち、チオール、−SH)、C〜C10アルキルチオ、アリールチオ、リン酸、リン酸エステル、ホスホン酸、ホスホン酸エステル、およびスルホニルから選択される1つ以上の置換基を有する。典型的には、置換C〜C10シクロアルキル基は、1、2、または3つの置換基、例えば、1または2つを有する。
【0021】
〜C10シクロアルキル基の例には、C〜C10シクロアルキル基が非置換である、または上記に定義されたように置換されている、飽和単環式炭化水素化合物から誘導されたもの:シクロプロパン(C)、シクロブタン(C)、シクロペンタン(C)、シクロヘキサン(C)、シクロヘプタン(C)、メチルシクロプロパン(C)、ジメチルシクロプロパン(C)、メチルシクロブタン(C)、ジメチルシクロブタン(C)、メチルシクロペンタン(C)、ジメチルシクロペンタン(C)、メチルシクロヘキサン(C)、ジメチルシクロヘキサン(C)、メンタン(C10);
不飽和単環式炭化水素化合物から誘導されたもの:シクロプロペン(C)、シクロブテン(C)、シクロペンテン(C)、シクロヘキセン(C)、メチルシクロプロペン(C)、ジメチルシクロプロペン(C)、メチルシクロブテン(C)、ジメチルシクロブテン(C)、メチルシクロペンテン(C)、ジメチルシクロペンテン(C)、メチルシクロヘキセン(C)、ジメチルシクロヘキセン(C);
飽和多環式炭化水素化合物から誘導されたもの:ツジャン(C10)、カラン(C10)、ピナン(C10)、ボルナン(C10)、ノルカラン(C)、ノルピナン(C)、ノルボルナン(C)、アダマンタン(C10)、デカリン(デカヒドロナフタレン)(C10);
不飽和多環式炭化水素化合物から誘導されたもの:カンフェン(C10)、リモネン(C10)、ピネン(C10);
芳香族環を有する多環式炭化水素化合物から誘導されたもの:インデン(C)、インダン(例えば、2,3−ジヒドロ−1H−インデン)(C)、テトラリン(1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン)(C10
が含まれるが、これらに限定されない。
【0022】
〜C10ヘテロシクリル基は、複素環化合物の環原子から水素原子を除去することによって得られる、非置換または置換一価部分であり、この部分は、3〜10個の環原子を(他に特に規定がなければ)有し、そのうち1〜5個が環ヘテロ原子である。好ましくは、各環が3〜7個の環原子を有し、そのうち1〜4個が環ヘテロ原子である。多くの場合、各環が5〜6個の環原子を有し、そのうち1〜2個が環ヘテロ原子である。C〜C10ヘテロシクリル基が置換されている場合、典型的には、非置換のC〜Cアルキル、アリール(本明細書において定義されている)、シアノ、アミノ、C〜C10アルキルアミノ、ジ(C〜C10)アルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ、アリールアルキルアミノ、アミド、アシルアミド、ヒドロキシ、オキソ、ハロ、カルボキシ、エステル、アシル、アシルオキシ、C〜C20アルコキシ、アリールオキシ、ハロアルキル、スルホン酸、スルフヒドリル(すなわち、チオール、−SH)、C〜C10アルキルチオ、アリールチオ、リン酸、リン酸エステル、ホスホン酸、ホスホン酸エステル、およびスルホニルから選択される1つ以上の置換基を有する。典型的には、置換C〜C10ヘテロシクリル基は、1、2、または3つの置換基、例えば、1または2つを有する。
【0023】
ヘテロシクリル基の群の例には、C〜C10ヘテロシクリル、C〜Cヘテロシクリル、C〜Cヘテロシクリル、およびC〜Cヘテロシクリルが含まれる。
【0024】
(非芳香族)単環式C〜C10ヘテロシクリル基の例には、
から誘導されたもの:アジリジン(C)、アゼチジン(C)、ピロリジン(テトラヒドロピロール)(C)、ピロリン(例えば、3−ピロリン、2,5−ジヒドロピロール)(C)、2H−ピロールまたは3H−ピロール(イソピロール、イソアゾール)(C)、ピペリジン(C)、ジヒドロピリジン(C)、テトラヒドロピリジン(C)、アゼピン(C);
から誘導されたもの:オキシラン(C)、オキセタン(C)、オキソラン(テトラヒドロフラン)(C)、オキソール(ジヒドロフラン)(C)、オキサン(テトラヒドロピラン)(C)、ジヒドロピラン(C)、ピラン(C)、オキセピン(C);
から誘導されたもの:チイラン(C)、チエタン(C)、チオラン(テトラヒドロチオフェン)(C)、チアン(テトラヒドロチオピラン)(C)、チエパン(C);
から誘導されたもの:ジオキソラン(C)、ジオキサン(C)、およびジオキセパン(C);
から誘導されたもの:トリオキサン(C);
から誘導されたもの:イミダゾリジン(C)、ピラゾリジン(ジアゾリジン)(C)、イミダゾリン(C)、ピラゾリン(ジヒドロピラゾール)(C)、ピペラジン(C);
から誘導されたもの:テトラヒドロオキサゾール(C)、ジヒドロオキサゾール(C)、テトラヒドロイソオキサゾール(C)、ジヒドロイソオキサゾール(C)、モルホリン(C)、テトラヒドロオキサジン(C)、ジヒドロオキサジン(C)、オキサジン(C);
から誘導されたもの:チアゾリン(C)、チアゾリジン(C)、チオモルホリン(C);
から誘導されたもの:オキサジアジン(C);
から誘導されたもの:オキサチオール(C)およびオキサチアン(チオキサン)(C);ならびに
から誘導されたもの:オキサチアジン(C
が含まれるが、これらに限定されない。
【0025】
置換(非芳香族)単環式ヘテロシクリル基の例には、環状形態の多糖から誘導されたもの、例えば、アラビノフラノース、リキソフラノース、リボフラノース、およびキシロフランスなどのフラノース(C)、ならびにアロピラノース、アルトロピラノース、グルコピラノース、マンノピラノース、グロピラノース、イドピラノース、ガラクトピラノース、およびタロピラノースなどのピラノース(C)が含まれる。
【0026】
アリール基でもあるC〜C10ヘテロシクリル基の例は、ヘテロアリール基として下記に記載されている。
【0027】
アリール基は、置換または非置換、単環式または縮合多環式の芳香族基であり、典型的には6〜14個の炭素原子、好ましくは6〜10個の炭素原子、例えば6個の炭素原子を環部分に含有する。例には、フェニル(すなわち、単環式)、ナフチル、インデニル、およびインダニル(すなわち、縮合二環式)、アントラセニル(すなわち、縮合三環式)、ならびにピレニル(すなわち、縮合四環式)基が含まれる。アリール基は、非置換である、または置換されている。上記に定義されたアリール基が置換されている場合、典型的には、非置換のC〜Cアルキル(アラルキル基を形成する)、非置換のアリール、シアノ、アミノ、C〜C10アルキルアミノ、ジ(C〜C10)アルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ、アリールアルキルアミノ、アミド、アシルアミド、ヒドロキシ、ハロ、カルボキシ、エステル、アシル、アシルオキシ、C〜C20アルコキシ、アリールオキシ、ハロアルキル、スルフヒドリル(すなわち、チオール、−SH)、C〜C10アルキルチオ、アリールチオ、スルホン酸、リン酸、リン酸エステル、ホスホン酸およびホスホン酸エステル、およびスルホニルから選択される1つ以上の置換基を有する。典型的には、0、1、2、または3つの置換基を有する。置換アリール基は、単一のC〜Cアルキレン基により、または式−X−C〜Cアルキレンもしくは−X−C〜Cアルキレン−X−により表される二座基により、2つの位置で置換されていてもよく、ここでXは、O、S、およびNRから選択され、Rは、H、アリール、またはC〜Cアルキルである。このように、置換アリール基は、シクロアルキル基またはヘテロシクリル基に縮合しているアリール基でありうる。アラルキルという用語は、本明細書において使用されるとき、少なくとも1個の水素原子(例えば、1、2、3個)がC〜Cアルキル基で置換されているアリール基に関する。そのような基の例には、トリル(トルエンから)、キシリル(キシレンから)、メシチル(メシチレンから)、クメニル(またはクミル、クメンから)、およびズリル(ズレンから)が含まれるが、これらに限定されない。
【0028】
本明細書において使用されるとき、ヘテロアリール基は、置換または非置換、単環式または縮合多環式(例えば、二環式もしくは三環式)の芳香族基であり、典型的には5〜14個の原子を環部分に含有し、O、S、N、P、Se、およびSiから、より典型的にはO、S、およびNから選択される少なくとも1個のヘテロ原子、例えば、1、2、または3個のヘテロ原子が含まれる。例には、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、フラニル、チエニル、ピラゾリジニル、ピロリル、オキサジアゾリル、イソオキサゾリル、チアジアゾリル、チアゾリル、イミダゾリル、トリアゾリル、ピラゾリル、オキサゾリル、イソチアゾリル、ベンゾフラニル、イソベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、インドリル、インダゾリル、カルバゾリル、アクリジニル、プリニル、シンノリニル、キノキサリニル、ナフチリジニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、キノリニル、キナゾリニル、およびイソキノリニルが含まれる。ヘテロアリール基は、多くの場合、5または6員環である。しかし、本明細書において使用されるとき、ヘテロアリール基への参照には、縮合多環式環系も含まれ、例えば、ヘテロアリール基がアリール基に縮合している縮合二環式系が含まれる。ヘテロアリール基がそのような縮合ヘテロアリール基である場合、好ましい例は、5員〜6員ヘテロアリール基がフェニル基に縮合している縮合環系である。そのような縮合環系の例は、ベンゾフラニル、イソベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、インドリル、インダゾリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、キノリニル、キナゾリニル、およびイソキノリニル部分である。
【0029】
ヘテロアリール基は、例えば、アリールについて上記に特定されているように、非置換であっても、置換されていてもよい。典型的には、0、1、2、または3つの置換基を有する。
【0030】
〜C10アルキレン基は、1〜10個の炭素原子を(他に特に規定がなければ)有する炭化水素化合物の同じ炭素原子から両方とも、または2個の異なる炭素原子からそれぞれ1個ずつ、2個の水素原子を除去することによって得られる非置換または置換二座部分であり、脂肪族または脂環式であってもよく、飽和、部分的に不飽和、または完全に不飽和であってもよい。このように、用語「アルキレン」には、サブクラスのアルケニレン、アルキニレン、シクロアルキレンなどが含まれ、下記に考察されている。しかし、通常は飽和脂肪族(非環状)基である。典型的には、C〜CアルキレンまたはC〜Cアルキレンであり、例えば、メチレン、エチレン、i−プロピレン、n−プロピレン、t−ブチレン、s−ブチレン、またはn−ブチレンである。例えば、C〜Cアルキレンであってもよい。または、例えばC〜Cアルキレンであってもよく、例えば、メチレン、エチレン、n−プロピレン、またはi−プロピレンであってもよい。(しかし通常は、本明細書においてC〜Cアルキレンは、メチレン、エチレン、またはn−プロピレンを指す。)ペンチレン、ヘキシレン、ヘプチレン、オクチレン、およびこれらの様々な分枝鎖異性体でもありうる。アルキレン基は、例えば、アルキルについて上記に特定されているように、非置換であっても、置換されていてもよい。典型的には、置換アルキレン基は、1、2、または3つの置換基、例えば、1または2つを有する。
【0031】
この文脈において、接頭辞(例えば、C〜C、C〜C、C〜C、C〜C10、C〜C、C〜Cなど)は、炭素原子の数または炭素原子の数の範囲を示す。例えば、用語「C〜Cアルキレン」は、本明細書において使用されるとき、1〜4個の炭素原子を有するアルキレン基に関する。アルキレン基の群の例には、C〜Cアルキレン(「低級アルキレン」)、C〜Cアルキレン、およびC〜C10アルキレンが含まれる。
【0032】
直鎖飽和C〜Cアルキレン基の例には、nが1〜7の整数である−(CH−、例えば、−CH−(メチレン)、−CHCH−(エチレン)、−CHCHCH−(プロピレン)、および−CHCHCHCH−(ブチレン)が含まれるが、これらに限定されない。
【0033】
分枝鎖飽和C〜Cアルキレン基の例には、−CH(CH)−、−CH(CH)CH−、−CH(CH)CHCH−、−CH(CH)CHCHCH−、−CHCH(CH)CH−、−CHCH(CH)CHCH−、−CH(CHCH)−、−CH(CHCH)CH−、および−CHCH(CHCH)CH−が含まれるが、これらに限定されない。
【0034】
直鎖部分的不飽和C〜Cアルキレン基の例には、−CH=CH−(ビニレン)、−CH=CH−CH−、−CH−CH=CH−、−CH=CH−CH−CH−、−CH=CH−CH−CH−CH−、−CH=CH−CH=CH−、−CH=CH−CH=CH−CH−、−CH=CH−CH=CH−CH−CH−、−CH=CH−CH−CH=CH−、および−CH=CH−CH−CH−CH=CH−が含まれるが、これらに限定されない。
【0035】
分枝鎖部分不飽和C〜Cアルキレン基の例には、−C(CH)=CH−、−C(CH)=CH−CH−、および−CH=CH−CH(CH)−が含まれるが、これらに限定されない。
【0036】
脂環式飽和C〜Cアルキレン基の例には、シクロペンチレン(例えば、シクロペンタ−1,3−イレン)、およびシクロヘキシレン(例えば、シクロヘキサ−1,4−イレン)が含まれるが、これらに限定されない。
【0037】
脂環式部分不飽和C〜Cアルキレン基の例には、シクロペンテニレン(例えば、4−シクロペンテン−1,3−イレン)、シクロヘキセニレン(例えば、2−シクロヘキセン−1,4−イレン、3−シクロヘキセン−1,2−イレン、2,5−シクロヘキサジエン−1,4−イレン)が含まれるが、これらに限定されない。
【0038】
本明細書において定義されているC〜C10アルキレンおよびC〜C10アルキル基は、非中断である、あるいはS、O、もしくはN(R”)(ここでR”は、H、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、アリール(典型的には、フェニル)もしくはヘテロアリールである)などの1個以上のヘテロ原子もしくはヘテロ基により、または1つ以上のアリーレンもしくはヘテロアリーレン基、典型的にはC〜C10アリーレンもしくはC〜C10ヘテロアリーレン(典型的にはアリーレン、より典型的にはフェニレン)基により、または1つ以上の−C(O)−、−C(O)O−、−C(O)N(R”)−、もしくは−N(R”)C(O)−基により中断されている。したがって、語句「任意選択で中断されている」は、本明細書において使用されるとき、非中断である、あるいは酸素もしくは硫黄などのヘテロ原子により、またはN(R”)(ここでR”は、H、アリール、ヘテロアリール、もしくはC〜Cアルキルである)などのヘテロ基により、またはアリーレンもしくはヘテロアリーレン(典型的にはアリーレン、より典型的にはフェニレン)基により、または−C(O)−、−C(O)O−、もしくは−C(O)N(R”)−(ここでも、R”は、H、アリール、もしくはC〜Cアルキルである)基により、隣接した炭素原子の間で中断されている、上記に定義されたC〜C10アルキル基またはアルキレン基を指す。
【0039】
例えば、n−ブチルなどのC〜C10アルキル基は、以下のようなヘテロ基N(R”):−CHN(R”)CHCHCH、−CHCHN(R”)CHCH、または−CHCHCHN(R”)CHにより中断されていてもよい。同様に、n−ブチレンなどのアルキレン基は、以下のようなヘテロ基N(R”):−CHN(R”)CHCHCH、−CHCHN(R”)CHCH、または−CHCHCHN(R”)CH−により中断されていてもよい。典型的には、中断された基、例えば、中断されたC〜C10アルキレンまたはC〜C10アルキル基は、1、2、もしくは3個のヘテロ原子もしくはヘテロ基により、または1、2、もしくは3つのアリーレン(典型的には、フェニレン)基により中断されている。より典型的には、中断された基、例えば、中断されたC〜C10アルキレンまたはC〜C10アルキル基は、1もしくは2個のヘテロ原子もしくはヘテロ基により、または1もしくは2つのアリーレン(典型的には、フェニレン)基により中断されている。例えば、n−ブチルなどのC〜C20アルキル基は、2個の以下のようなヘテロ基N(R”):−CHN(R”)CHN(R”)CHCHにより中断されていてもよい。
【0040】
〜C10アルケニレン基は、2〜10個の炭素原子を(他に特に規定がなければ)有する炭化水素化合物の同じ炭素原子から両方とも、または2個の異なる炭素原子からそれぞれ1個ずつ、2個の水素原子を除去することによって得られる非置換または置換二座部分であり、脂肪族または脂環式であってもよく、部分的に不飽和、または完全に不飽和である。通常、アルケニレン基は、本明細書において定義されているアルケニル基から2個の水素原子を除去することによって得られる。典型的には、アルケニレン基は、不飽和脂肪族(非環状)基である。典型的には、C〜CアルキレンまたはC〜Cアルキレンであり、例えば、エテニレン、i−プロペニレン、n−プロペニレン、t−ブテニレン、s−ブテニレン、またはn−ブテニレンである。例えば、CまたはCアルケニレンであってもよく、例えば、エテニレン、n−プロペニレン、またはi−プロペニレンであってもよく、多くの場合にエテニレンでありうる。C〜C10アルケニレン基は、ペンテニレン、ヘキセニレン、ヘプテニレン、オクテニレン、およびこれらの様々な分枝鎖異性体でもありうる。アルケニレン基は、例えば、アルケニルについて上記に特定されているように、非置換であっても、置換されていてもよい。典型的には、置換アルケニレン基は、1、2、または3つの置換基、例えば、1または2つを有する。
【0041】
〜C10シクロアルキレン基は、3〜10個の炭素原子を(他に特に規定がなければ)有する環状炭化水素化合物の同じ炭素原子から両方とも、または2個の異なる炭素原子からそれぞれ1個ずつ、2個の水素原子を除去することによって得られる非置換または置換二座部分であり、飽和または部分的に不飽和である。通常、シクロアルキレン基は、本明細書において定義されているシクロアルキル基から2個の水素原子を除去することによって得られる。典型的には、シクロアルキレン基はC〜Cアルケニレン、例えば、CまたはCシクロアルキレンなどのC〜Cシクロアルキレンである。ほとんどの場合、シクロアルキレン基は、シクロペンチレンまたはシクロヘキシレンである。シクロアルキレン基は、例えば、シクロアルキルについて上記に特定されているように、非置換であっても、置換されていてもよい。典型的には、置換シクロアルキレン基は、1、2、または3つの置換基、例えば、1または2つを有する。
【0042】
〜C10ヘテロシクリレン基は、3〜10個の炭素原子を(他に特に規定がなければ)有する複素環化合物の同じ環原子から両方とも、または2個の異なる環原子からそれぞれ1個ずつ、2個の水素原子を除去することによって得られる非置換または置換二座部分であり、飽和または部分的に不飽和である。通常、ヘテロシクリレン基は、本明細書において定義されているヘテロシクリル基から2個の水素原子を除去することによって得られる。典型的には、ヘテロシクリレン基はC〜Cヘテロシクリレン、例えば、CまたはCヘテロシクリレンなどのC〜Cヘテロシクリレンである。大部分の場合、ヘテロシクリレン基は、ピリジニレン、ピリミジニレン、ピロリジニレンである。ヘテロシクリレン基は、例えば、ヘテロシクリルについて上記に特定されているように、非置換であっても、置換されていてもよい。典型的には、置換ヘテロシクリレン基は、1、2、または3つの置換基、例えば、1または2つを有する。
【0043】
アリーレン基は、芳香族化合物の2個の異なる芳香族環原子からそれぞれ1個ずつ、2個の水素原子を除去することによって得られる、非置換または非置換、単環式または縮合多環式二座部分であり、この部分は、5〜14個の環原子を(他に特に規定がなければ)有する。典型的には、各環は5〜7個または5〜6個の環原子を有する。アリーレン基は、例えば、アリールについて上記に特定されているように、非置換であっても、置換されていてもよい。
【0044】
この文脈において、接頭辞(例えば、C〜C20、C〜C20、C〜C14、C〜C、C〜Cなど)は、炭素原子であっても、ヘテロ原子であっても、環原子の数または環原子の数の範囲を示す。例えば、用語「C〜Cアリーレン」は、本明細書において使用されるとき、5または6環原子を有するアリーレン基に関する。アリーレン基の群の例には、C〜C20アリーレン、C〜C20アリーレン、C〜C14アリーレン、C〜C14アリーレン、C〜C10アリーレン、C〜C12アリーレン、C〜C10アリーレン、C〜Cアリーレン、C〜Cアリーレン、Cアリーレン、およびCアリーレンが含まれる。
【0045】
環原子は、「カルボアリーレン基」(例えば、C〜C20カルボアリーレン、C〜C14カルボアリーレン、またはC〜C10カルボアリーレン)においては全て炭素原子でありうる。
【0046】
環ヘテロ原子を有さないC〜C20アリーレン基(すなわち、C〜C20カルボアリーレン基)の例には、アリール基に関して上記に考察された化合物から誘導されたもの、例えば、フェニレンが含まれ、また一緒に結合しているアリール基から誘導されたもの、例えば、フェニレン−フェニレン(ジフェニレン)およびフェニレン−フェニレン−フェニレン(トリフェニレン)も含まれるが、これらに限定されない。
【0047】
あるいは、環原子には、「ヘテロアリーレン基」(例えば、C〜C14ヘテロアリーレン)のように、1個以上のヘテロ原子が含まれてもよい。ヘテロアリーレン基は、複素環式芳香族化合物の2個の異なる芳香族環原子からそれぞれ1個ずつ、2個の水素原子を除去することによって得られる、非置換または非置換、単環式または縮合多環式二座部分であり、この部分は、5〜14個の環原子を(他に特に規定がなければ)有する。典型的には、各環は5〜7個または5〜6個の環原子を有する。ヘテロアリーレン基は、例えば、ヘテロアリールについて上記に特定されているように、非置換であっても、置換されていてもよい。C〜C14ヘテロアリーレン基の例には、ヘテロアリール基に関した上記に考察された化合物から誘導されたものが含まれるが、これらに限定されない。
【0048】
本明細書において使用されるとき、オキソという用語は、式:=Oの基を表す。
【0049】
本明細書において使用されるとき、アシルという用語は、式:−C(=O)Rの基を表し、式中、Rは、アシル置換基、例えば、置換もしくは非置換C〜C20アルキル基、C〜C20ペルフルオロアルキル基、置換もしくは非置換C〜C10シクロアルキル基、置換もしくは非置換C〜C10ヘテロシクリル基、置換もしくは非置換アリール基、ペルフルオロアリール基、または置換もしくは非置換ヘテロアリール基である。アシル基の例には、−C(=O)CH(アセチル)、−C(=O)CHCH(プロピオニル)、−C(=O)C(CH(t−ブチリル)、および−C(=O)Ph(ベンゾイル、フェノン)が含まれるが、これらに限定されない。
【0050】
本明細書において使用されるとき、アシルオキシ(逆エステル)という用語は、式:−OC(=O)Rの基を表し、式中、Rは、アシルオキシ置換基、例えば、置換もしくは非置換C〜C10アルキル基、置換もしくは非置換C〜C10ヘテロシクリル基、または置換もしくは非置換アリール基、典型的にはC〜Cアルキル基である。アシルオキシ基の例には、−OC(=O)CH(アセトキシ)、−OC(=O)CHCH、−OC(=O)C(CH、−OC(=O)Ph、および−OC(=O)CHPhが含まれるが、これらに限定されない。
【0051】
本明細書において使用されるとき、エステル(またはカルボキシレート、カルボン酸エステル、もしくはオキシカルボニル)という用語は、式:−C(=O)ORの基を表し、式中、Rは、エステル置換基、例えば、置換もしくは非置換C〜C10アルキル基、置換もしくは非置換C〜C20ヘテロシクリル基、または置換もしくは非置換アリール基(典型的には、フェニル基)である。エステル基の例には、−C(=O)OCH、−C(=O)OCHCH、−C(=O)OC(CH、および−C(=O)OPhが含まれるが、これらに限定されない。
【0052】
本明細書において使用されるとき、アミノという用語は、式−NHの基を表す。C〜C10アルキルアミノという用語は、式−NHR’の基を表し、式中、R’は、前記に定義されたC〜C10アルキル基、好ましくはC〜Cアルキル基である。ジ(C〜C10)アルキルアミノという用語は、式−NR’R”の基を表し、式中、R’およびR”は、同一または異なって、前記に定義されたC〜C10アルキル基、好ましくはC〜Cアルキル基を表す。アリールアミノという用語は、式−NHR’の基を表し、式中、R’は、前記に定義されたアリール基、好ましくはフェニル基である。ジアリールアミノという用語は、式−NR’R”の基を表し、式中、R’およびR”は、同一または異なって、前記に定義された、アリール基、好ましくはフェニル基を表す。アリールアルキルアミノという用語は、式−NR’R”の基を表し、式中、R’は、C〜C10アルキル基、好ましくはC〜Cアルキル基であり、R”は、アリール基、好ましくはフェニル基である。
【0053】
ハロ基は、塩素、フッ素、臭素、またはヨウ素(クロロ基、フルオロ基、ブロモ基、またはヨード基)である。典型的には、塩素、フッ素、または臭素である。
【0054】
本明細書において使用されるとき、アミドという用語は、式:−C(=O)NR’R”の基を表し、式中、R’およびR”は、H、C〜C10アルキル、およびアリールから独立して選択される。アミド基の例には、−C(=O)NH、−C(=O)NHCH、−C(=O)N(CH、−C(=O)NHCHCH、および−C(=O)N(CHCH、ならびに、R’およびR”が、それらが結合している窒素原子と一緒になって、例えばピペリジノカルボニル、モルホリノカルボニル、チオモルホリノカルボニル、およびピペラジノカルボニルのような複素環構造を形成するアミド基が含まれるが、これらに限定されない。
【0055】
本明細書において使用されるとき、アシルアミドという用語は、式:−NRC(=O)Rの基を表し、式中、Rは、アミド置換基、例えば、水素、C〜C10アルキル基、C〜C20ヘテロシクリル基、アリール基、好ましくは、水素またはC〜C10アルキル基であり、Rは、アシル置換基、例えば、C〜C10アルキル基、C〜C20ヘテロシクリル基、またはアリール基である。好ましくは、Rは水素であり、RはC〜C10アルキル基である。アシルアミド基の例には、−NHC(=O)CH、−NHC(=O)CHCH、−NHC(=O)Ph、−NHC(=O)C1531、および−NHC(=O)C19が含まれるが、これらに限定されない。このように置換C〜C10アルキル基は、−NHC(=O)C11または−NHC(=O)C19など、式−NHC(=O)−C〜C10アルキルにより定義されたアシルアミド置換基を含むことができる。RおよびRは、一緒になって、例えばスクシンイミジル、マレイミジル、およびフタルイミジルのような環状構造を形成することができる。
【0056】
【化1】
【0057】
〜C10アルキルチオ基は、チオ基に結合している前記のC〜C10アルキル基、好ましくはC〜Cアルキル基である。アリールチオ基は、チオ基に結合しているアリール基、好ましくはフェニル基である。
【0058】
〜C10アルコキシ基は、酸素原子に結合している前記の置換または非置換C〜C10アルキル基である。C〜Cアルコキシ基は、酸素原子に結合している前記の置換または非置換C〜Cアルキル基である。C〜Cアルコキシ基は、酸素原子に結合している置換または非置換C〜Cアルキル基である。前記のC〜C10、C〜C、およびC〜Cアルキル基は、本明細書において定義されているように、任意選択で中断されている。C〜Cアルコキシ基の例には、−OMe(メトキシ)、−OEt(エトキシ)、−O(nPr)(n−プロポキシ)、−O(iPr)(イソプロポキシ)、−O(nBu)(n−ブトキシ)、−O(sBu)(sec−ブトキシ)、−O(iBu)(イソブトキシ)、および−O(tBu)(tert−ブトキシ)が含まれる。C〜C20アルコキシ基の更なる例は、−O(アダマンチル)、−O−CH−アダマンチル、および−O−CH−CH−アダマンチルである。アリールオキシ基は、酸素原子に結合している、本明細書において定義された置換または非置換アリール基である。アリールオキシ基の例は、−OPh(フェノキシ)である。
【0059】
他に特に規定がなければ、これらの置換基の周知のイオン性、塩、溶媒和、および保護形態が上記に含まれる。例えば、カルボン酸、カルボキシ、またはカルボキシル基(−COOH)への参照には、アニオン性(カルボキシレート)形態(−COO)、その塩または溶媒和、ならびに従来の保護形態も含まれる。同様に、アミノ酸への参照には、プロトン化形態(−NHR)、アミノ基の塩または溶媒和、例えば、塩酸塩、ならびにアミノ基の従来の保護形態が含まれる。同様に、ヒドロキシまたはヒドロキシル基(−OH)への参照には、アニオン性形態(−O)、その塩または溶媒和、ならびに従来の保護形態も含まれる。
【0060】
特定の化合物は、1つ以上の特定の幾何学的、光学的、鏡像的、ジアステレオマー的、エピマー的、アトロプ的、立体異性的、互変異性的、立体配座的、またはアノマー的形態で存在することができ、シスおよびトランス形態、EおよびZ形態、c、t、およびr形態、エンドおよびエキソ形態、R、S、およびメソ形態、DおよびL形態、dおよびl形態、(+)および(−)形態、ケト、エノール、およびエノレート形態、シンおよびアンチ形態、シンクリナルおよびアンチクリナル形態、αおよびβ形態、アキシアルおよびエクアトリアル形態、船型、椅子型、ねじれ型、封筒型、および半椅子型形態、ならびにこれらの組み合わせが含まれるが、これらに限定されず、本明細書以降、集合的に「異性体」(または「異性体形態」)と呼ばれる。
【0061】
互変異性形態について下記に考察されることを除いて、とりわけ、構造(または構成)異性体(すなわち、単に空間における原子の位置ではなく、原子間の接続が異なる異性体)が、本明細書において使用される用語「異性体」から除かれることに留意すること。例えば、メトキシ基−OCHへの参照は、その構造異性体のヒドロキシメチル基−CHOHへの参照と解釈されるべきではない。同様に、オルトクロロフェニルへの参照は、その構造異性体のメタクロロフェニルへの参照と解釈されるべきではない。しかし、構造の部類への参照には、その部類に入る構造異性体形態が十分に含まれうる(例えば、C〜Cアルキルには、n−プロピルおよびイソ−プロピルが含まれ、ブチルには、n−、イソ−、sec−、およびtert−ブチルが含まれ、メトキシフェニルには、オルト−、メタ−、およびパラ−メトキシフェニルが含まれる)。
【0062】
上記の除外は、互変異性形態、例えば、以下の互変異性形態対:ケト/エノール(下記に例示されている)、イミン/エナミン、アミド/イミノアルコール、アミジン/アミジン、ニトロソ/オキシム、チオケトン/エネチオール、N−ニトロソ/ヒロキシアゾ(hyroxyazo)、およびニトロ/アシニトロのような、例えば、ケト、エノール、およびエノレート形態に関連しない。
【0063】
【化2】
【0064】
他に特に規定がなければ、特定の化合物への参照には、(完全または部分的)ラセミ体および他の混合物を含む、全てのそのような異性体形態が含まれる。そのような異性体形態の調製(例えば、不斉合成)、ならびに分離(例えば、分別結晶およびクロマトグラフ的手段)の方法は、当該技術において知られている、または既知の方法を既知のやり方で適合させることによって容易に得られる。
【0065】
他に特に規定がなければ、特定の化合物または錯体への参照には、イオン性、塩、溶媒和、および保護形態も含まれる。
【0066】
本発明の方法
本発明は、対象において関節炎を画像化する方法であって、放射性核種に抱合されたペプチドを含むトレーサーを対象に投与すること、および2D核画像化により、または単一光子放射事象の3D検出により、対象を画像化することを含む方法を提供する。
【0067】
多くの場合、使用される画像化方法は、ガンマカメラの使用を含む。ガンマカメラは、放射性核種としても知られているガンマ線放射性同位体を画像化するために、典型的に使用される装置である。ガンマカメラは、病院および研究所などの多くの設置場所において一般的な機器である。多くのガンマカメラが利用可能であり、任意の適切なカメラを使用することができる。
【0068】
ガンマカメラの使用は、2Dまたは3D画像をもたらすことができる。例えば、シンチグラフィーとして知られている技術によって、2D画像が生成される。シンチグラフィーは、本発明の方法に使用できる適切な技術である。用語「2Dシンチグラフィー」および「平面核画像化」を交換可能に使用することができ、対象における放射性核種から放射されたガンマ線の検出によって、2D画像を生成することを指す。
【0069】
3D画像は、SPECT(単一光子放射コンピュータ断層撮影法)とし知られている関連技術によって生成することができる。SPECTは、平面核画像化に対する3D等価物と考慮することができる。このように、多くの場合、本発明の方法において、対象の画像化は、ガンマカメラを使用する2Dシンチグラフィーにより、または単一光子放射コンピュータ断層撮影法(SPECT)により、対象を画像化することを含む。
【0070】
しかし、SPECTをPET(陽電子放射断層撮影法)と混同するべきではない。SPECTでは、放射性核種から放射されうるガンマ線が直接検出される。対照的に、PETトレーサーは、陽電子を放射し、近接の電子を対消滅させ、2個のガンマ光子を放出させ、これらは反対方向に放出される。したがって、PETは、この「同時発生的」ガンマ線を検出し、一方、SPECTは、単一光子放射事象を検出する。重要なことは、SPECTが、いくつかの場合において、PETトレーサーを使用して実施できることであり、一方、PETは、SPECTトレーサーを使用して実施できるとは限らないことである。このように、典型的には、本発明の方法において、対象の画像化は、PETによる対象の画像を含まない。
【0071】
典型的には、本発明の方法において、放射性核種はガンマ線を放射する。ガンマ線を放射する任意の核種など、任意の適切な核種を使用することができる。例えば、本発明の方法において、放射性核種は、多くの場合、99mTc、123I、131I、125I、67Ga、111In、133Xe、18F、68Ga、64Cu、および201Tlから選択される。時々、放射性核種は、99mTc、123I、131I、125I、67Ga、111In、133Xe、18F、64Cu、および201Tlから選択されうる。このように、いくつかの場合において、放射性核種は68Gaではない。しかし、時々、放射性核種は、99mTc、123I、131I、125I、67Ga、111In、133Xe、68Ga、64Cu、および201Tlから選択される。このように、いくつかの場合において、放射性核種は18Fではない。典型的には、放射性核種は、99mTc、123I、131I、125I、67Ga、111In、133Xe、および201Tlから選択される。更に通常は、放射性核種は、99mTc、123I、131I、125I、67Ga、111In、および201Tlから選択される。更により典型的には、放射性核種は、99mTc、123I、131I、125I、および111Inから選択される。最も典型的には、本発明の方法において、放射性核種は99mTcである。
【0072】
本発明の方法は、対象における関節炎の画像化に有用である。通常、関節炎は、本明細書において定義されているように、炎症性関節炎である。
【0073】
本発明の方法において、ペプチドは、通常R−G−D部分を含み、ここでRは、アルギニン、N−メチルアルギニン、またはアルギニン模倣体を表し、Gはグリシンを表し、Dは、アスパラギン酸、アスパラギン酸エステル、またはその塩を表す。アルギニン模倣体には、アルギニンの側鎖が複素環部分、例えばピペリジン、アリール部分、例えばベンゼン、またはヘテロアリール部分、例えばピリジンもしくはイソキノリンなどの1つ以上の部分で中断または置き換えられている化合物が含まれる。例示的なアルギニン模倣体には、2−アミノ−3−(4−カルバムイミドイルフェニル)プロパン酸、2−アミノ−3−(1−カルバムイミドイルピペリジン−4−イル)プロパン酸、2−アミノ−2−(1−アミノイソキノリン−6−イル)酢酸などの化合物が含まれる。他のアルギニン模倣体化合物も良く知られている。
【0074】
通常、R−G−D部分において、Rは、アルギニンまたはN−メチルアルギニンを表し、最も通常には、Rはアルギニンである。通常、Dは、アスパラギン酸またはアスパラギン酸エステルを表し、最も通常には、Dはアスパラギン酸を表す。複数のR−G−D部分がペプチドに存在する場合、各R−G−D部分は、同一または異なっていることができる。
【0075】
典型的には、本発明の方法に使用されるトレーサーは、R−G−D部分を1個だけ含むペプチドを含む。したがって、時々、本発明の方法は、1個のR−G−D部分を含むが、2個以上のR−G−D部分を含まないペプチドを含むトレーサーを、対象に投与することを含む。他の場合では、トレーサーは2個以上のR−G−D部分を含むことができる。トレーサーに存在するペプチドにおけるR−G−D部分の数は、特に制限されない。例えば、本発明の方法は、2〜10個のR−G−D部分を含むトレーサーの使用を含むことができ、ここで、各Rは、アルギニンおよびN−メチルアルギニンから独立して選択され、各Gはグリシンであり、各Dは、アスパラギン酸、アスパラギン酸エステル、およびその塩から独立して選択される。誤解を避けるため、R−G−D部分を1個だけ含むペプチドを含むトレーサーは、通常、1個以上の他の原子または部分を含むが、本明細書において定義されているR−G−D部分を2つ以上含まない。
【0076】
例えば、本発明の方法に使用されるトレーサーは、2〜5個のR−G−D部分を含むペプチドを含むことができる、または2もしくは3個のR−G−D部分を含むことができる。トレーサーが2〜5個のR−G−D部分を含むとき、多くの場合、6個以上のR−G−D部分を含まない。トレーサーが2または3個のR−G−D部分を含むとき、多くの場合、4個以上のR−G−D部分を含まない。
【0077】
多くの場合、本発明の方法において、ペプチドは、式(I)の環化R−G−D部分を含む。
【0078】
【化3】
【0079】
式(I)において、Rは、アルギニン、N−メチルアルギニン、またはアルギニン模倣体を表し、Gはグリシンを表し、Dは、アスパラギン酸、アスパラギン酸エステル、またはその塩を表す。しかし通常には、式(I)において、Rは、アルギニンまたはN−メチルアルギニンを表し、Gはグリシンを表し、Dは、アスパラギン酸、アスパラギン酸エステル、またはその塩を表す。更に通常には、式(I)において、Rは、アルギニンまたはN−メチルアルギニンを表し、Gはグリシンを表し、Dはアスパラギン酸を表し、典型的には、Rはアルギニンを表し、Gはグリシンを表し、Dはアスパラギン酸を表す。
【0080】
式(I)において、Yはリンカー基である。典型的には、式(I)の部分は、Yによる1つ以上の結合を介して、分子の残りの部分に接続している。いくつかの場合において、式(I)の部分は、R、G、および/またはDによる1つ以上の結合を介してペプチドの残りの部分に接続することができる。ペプチドの残りの部分は、典型的には、キレート基など、放射性核種への配位を可能にする基を含む。このように、Yは、典型的には、ペプチドの残りの部分により置換または中断されており、通常、Yはペプチドの残りの部分により置換されている。
【0081】
Yは、任意の適切なリンカー基でありうる。例えば、多くの場合にYは、−(Pep)−(Alk)−(Pep)−、−(Pep)−、−(Alk)−、−(Alk)−(Pep)−、−(Pep)−(Alk)−、および−(Alk)−(Pep)−(Alk)−から選択されるリンカー基である。典型的にYは、−(Pep)−(Alk)−(Pep)−、−(Alk)−(Pep)−、−(Pep)−(Alk)−、および−(Pep)−から選択されるリンカー基である。更に通常には、Yは−(Pep)−(Alk)−(Pep)−および−(Pep)−から選択される。
【0082】
各(Alk)基は、C〜C10アルキレンまたはC〜C10アルケニレンから独立して選択される。多くの場合、(Alk)はC〜C10アルキレン基であり、C〜Cアルキレン基など、例えばC〜Cアルキレン基またはC〜Cアルキレンである。時々、(Alk)はC〜Cアルキレン基、例えばメチレン基である。
【0083】
各(Alk)基は、C〜C10アリーレン基、C〜C10ヘテロアリーレン基、C〜C10シクロアルキレン基、C〜C10ヘテロシクリレン基、−O−、−S−、−NR−、−C(O)−、−NRC(O)−、および−C(O)NR−から選択される1つ以上の基により独立して任意選択で停止および/または中断されていてもよい。(Alk)が本明細書において定義されている基により停止および/または中断されている場合、典型的に(Alk)は、C〜C10アリーレン基、C〜C10ヘテロアリーレン基、−O−、−S−、−C(O)−、−NRC(O)−、および−C(O)NR−から選択される1、2、または3つの基により停止および/または中断されている。(Alk)が本明細書において定義されている基により停止および/または中断されている場合、(Alk)は、より典型的には、C〜C10アリーレン基、−O−、−S−、−C(O)−、−NRC(O)−、および−C(O)NR−から選択される1または2つの基により停止および/または中断されている。例えば、(Alk)は、C〜C10アリーレン基により任意選択で中断されていてもよく、ならびに/または(Alk)は、−S−および−C(O)−から選択される1もしくは2つの基により任意選択で停止もしくは中断されていてもよい。
【0084】
各(Alk)基は、独立して、非置換である、またはハロゲン、−OR、−N(R、および−((CHHet)HetRから選択される1〜3つの置換基により置換されている。より典型的には、各(Alk)基は、非置換である、または−OR、−N(R、および−((CHHet)HetRから選択される1もしくは2つの置換基により置換されている。多くの場合、各(Alk)基は、非置換である、または−OR、−N(R、および−((CHHet)HetRから選択される1もしくは2つの置換基により置換されている。
【0085】
典型的には、nは1または2であり、多くの場合、nは2である。複数のnが存在する場合(m>1などの場合)、各nは、同一であっても、異なっていてもよい。
【0086】
典型的には、mは1〜6の整数である。多くの場合、mは2〜6の整数であり、3〜6など、例えば、3〜5または4〜6である。例えば、mは、3、4、5、または6でありうる。
【0087】
典型的には、各Hetは、独立して−O−または−NR−である。誤解を避けるため、各Het基は、同一であっても、異なっていてもよい。典型的には、少なくとも1つのHetが−O−である。時々、少なくとも1つのHetが−O−であり、少なくとも1つのHetが−NR−である。多くの場合、Hetは−O−である。
【0088】
典型的には、Rは、不在である、または任意選択で、1〜3つのオキソ基により置換されていてもよい、ならびに/もしくは−O−および−C(O)−から選択される1〜3つの基により中断されていてもよい、C〜Cアルキレンである。
【0089】
典型的には、各Rは、HおよびC〜Cアルキルから独立して選択される。より典型的には、各Rは、HおよびC〜Cアルキルから選択され、例えば、Hまたはメチルである。最も典型的には、各RはHである。誤解を避けるため、複数のRが存在する場合、各Rは同一であっても、異なっていてもよい。
【0090】
各(Pep)基は、独立してアミノ酸またはペプチド鎖であり、各(Pep)基は、それぞれ任意選択で更に誘導体化されている1〜6個のアミノ酸残基を含む。多くの場合、各(Pep)基は、それぞれ任意選択で更に誘導体化されている1〜4個のアミノ酸残基を含む。典型的には、各(Pep)基は、それぞれ任意選択で更に誘導体化されている1〜3個のアミノ酸残基を含む。したがって、多くの場合には、各(Pep)基は、7個以上のアミノ酸残基を含まず、更に多くの場合には、各(Pep)基は、5個以上のアミノ酸残基を含まず、なお更に多くの場合には、各(Pep)基は、4個以上のアミノ酸残基を含まない。したがって、通常には、各(Pep)基は、それぞれ任意選択で更に誘導体化されている1〜6個のアミノ酸残基からなり、更に通常には、各(Pep)基は、それぞれ任意選択で更に誘導体化されている1〜4個のアミノ酸残基からなり、最も通常には、各(Pep)基は、それぞれ任意選択で更に誘導体化されている1〜3個のアミノ酸残基からなる。
【0091】
例えば、本発明の方法は、式(I)のペプチドを含むトレーサーを対象に投与することを含むことができ、ここでYは、−(Pep)−(Alk)−(Pep)−、−(Pep)−、−(Alk)−、−(Alk)−(Pep)−、−(Pep)−(Alk)−、および−(Alk)−(Pep)−(Alk)−から選択されるリンカー基であり、
− 各(Alk)基は、C〜C10アルキレンまたはC〜C10アルケニレンから独立して選択され、各(Alk)基は、C〜C10アリーレン基、C〜C10ヘテロアリーレン基、C〜C10シクロアルキレン基、C〜C10ヘテロシクリレン基、−O−、−S−、−NR−、−C(O)−、−NRC(O)−、および−C(O)NR−から選択される1つ以上の基により独立して任意選択で停止および/または中断されていてもよく、各(Alk)基は、独立して非置換であり、またはハロゲン、−OR、−N(R、および−((CHHet)HetRから選択される1〜3つの置換基により置換されており、nは、1または2であり、mは、1〜6の整数であり、Hetは、−O−または−NR−であり、
− Rは、不在であるか、または任意選択で、1〜3つのオキソ基により置換されていてもよい、ならびに/もしくは−O−および−C(O)−から選択される1〜3つの基により中断されていてもよい、C〜Cアルキレンであり、
− 各Rは、HおよびC〜Cアルキルから独立して選択され、
− 各(Pep)基は、独立してアミノ酸またはペプチド鎖であり、各(Pep)基は、それぞれ任意選択で更に誘導体化されている1〜6個のアミノ酸残基を含む。
【0092】
更に多くの場合、本発明の方法は、式(I)のペプチドを含むトレーサーを対象に投与することを含むことができ、ここでYは、−(Pep)−(Alk)−(Pep)−および−(Pep)−から選択されるリンカー基であり、
− 各(Pep)基は、独立してアミノ酸またはペプチド鎖であり、各(Pep)基は、それぞれ任意選択で更に誘導体化されている1〜4個のアミノ酸残基を含み、
− (Alk)は、C〜C10アルキレン基であり、(Alk)は、C〜C10アリーレン基、C〜C10ヘテロアリーレン基、−O−、−S−、−C(O)−、−NRC(O)−、および−C(O)NR−から選択される1、2、または3つの基により任意選択で停止または中断されていてもよく、(Alk)は、非置換であり、または−OR、−N(R、および−((CHHet)HetRから選択される1または2つの置換基により置換されており、nは、1または2であり、mは、1〜6の整数であり、Hetは、−O−または−NR−であり、
− Rは、不在であるか、または任意選択で、1〜3つのオキソ基により置換されていてもよい、ならびに/もしくは−O−および−C(O)−から選択される1〜3つの基により中断されていてもよい、C〜Cアルキレンであり、
− 各Rは、HおよびC〜Cアルキルから独立して選択される。
【0093】
より典型的には、本発明の方法は、式(I)のペプチドを含むトレーサーを対象に投与することを含むことができ、ここでYは、−(Pep)−(Alk)−(Pep)−および−(Pep)−から選択されるリンカー基であり、
− 各(Pep)基は、独立してアミノ酸またはペプチド鎖であり、各(Pep)基は、それぞれ任意選択で更に誘導体化されている1〜3個のアミノ酸残基を含み、
− (Alk)は、C〜C10アルキレン基であり、(Alk)は、C〜C10アリーレン基、−O−、−S−、−C(O)−、−NRC(O)−、および−C(O)NR−から選択される1または2つの基により任意選択で停止および/または中断されていてもよく、(Alk)は、非置換であり、または−OR、−N(R、および−((CHHet)HetRから選択される1または2つの置換基により置換されており、mは、1〜4の整数であり、nは1であり、Hetは、−O−または−NR−であり、
− Rは、不在であるか、または任意選択で、1〜3つのオキソ基により置換されていてもよい、ならびに/もしくは−O−および−C(O)−から選択される1〜3つの基により中断されていてもよい、C〜Cアルキレンであり、
− 各Rは、HおよびC〜Cアルキルから独立して選択される。
【0094】
Yは、−(Pep1)−および−(Pep2)−(Alk)−(Pep3)−から選択される場合があり、更に多くの場合には、Yは−(Pep2)−(Alk)−(Pep3)−である。
【0095】
(Pep1)は、それぞれ任意選択で更に誘導体化されている2〜3個のアミノ酸残基を含むペプチド鎖であり、(Pep1)は、(i)フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、およびヒスチジンから選択される第1のアミノ酸、ならびに(ii)リシン、アルギニン、アスパラギン、およびグルタミンから選択される第2のアミノ酸を含む。(Pep1)が3個のアミノ酸残基を含む場合、(Pep1)は、限定されない第3のアミノ酸残基を含む。(Pep1)がアミノ酸残基を2個だけ含む場合、第3のアミノ酸残基は不在である。このように(Pep1)は、典型的には、それぞれ任意選択で更に誘導体化されている2〜3個のアミノ酸残基からなる。(Pep1)は、多くの場合、チロシンおよびトリプトファンから選択される第1のアミノ酸残基、ならびにリシンおよびアスパラギンから選択される第2のアミノ酸残基を含む2個のアミノ酸残基からなるペプチド鎖である。(Pep1)は、更に多くの場合、チロシンである第1のアミノ酸残基、およびリシンである第2のアミノ酸残基を含む2個のアミノ酸残基からなるペプチド鎖である。
【0096】
(Pep2)は、それぞれ任意選択で更に誘導体化されている2〜3個のアミノ酸残基を含むペプチド鎖であり、(Pep2)は、(i)アスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギン、グルタミン、リシン、およびアルギニンから選択される第1のアミノ酸、ならびに(ii)システインおよびメチオニンから選択される第2のアミノ酸を含む。(Pep2)が3個のアミノ酸残基を含む場合、(Pep2)は、限定されない第3のアミノ酸残基を含む。(Pep2)がアミノ酸残基を2個だけ含む場合、第3のアミノ酸残基は不在である。このように(Pep2)は、典型的には、それぞれ任意選択で更に誘導体化されている2〜3個のアミノ酸残基からなる。(Pep2)は、多くの場合、アスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギン、リシン、およびアルギニンから選択される第1のアミノ酸残基、ならびにシステインである第2のアミノ酸残基を含む2個のアミノ酸残基からなるペプチド鎖である。(Pep2)は、更に多くの場合、アスパラギン酸、グルタミン酸、およびリシンから選択される第1のアミノ酸残基、ならびにシステインである第2のアミノ酸残基を含む2個のアミノ酸残基からなるペプチド鎖である。例えば、(Pep2)は、リシンである第1のアミノ酸残基、およびシステインである第2のアミノ酸残基を含む2個のアミノ酸残基からなるペプチド鎖でありうる。
【0097】
(Pep3)は、それぞれ任意選択で更に誘導体化されている2〜3個のアミノ酸残基を含むペプチド鎖であり、(Pep3)は、(i)バリン、ロイシン、イソロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、チロシン、およびトリプトファンから選択される第1のアミノ酸、ならびに(ii)システインおよびメチオニンから選択される第2のアミノ酸を含む。(Pep3)が3個のアミノ酸残基を含む場合、(Pep3)は、限定されない第3のアミノ酸残基を含む。(Pep3)がアミノ酸残基を2個だけ含む場合、第3のアミノ酸残基は不在である。このように(Pep3)は、典型的には、それぞれ任意選択で更に誘導体化されている2〜3個のアミノ酸残基からなる。(Pep3)は、多くの場合、バリン、ロイシン、イソロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、チロシン、およびトリプトファンから選択される第1のアミノ酸残基、ならびにシステインである第2のアミノ酸残基を含む3個のアミノ酸残基からなるペプチド鎖である。(Pep3)は、更に多くの場合、バリン、ロイシン、イソロイシン、フェニルアラニン、およびチロシンから選択される第1のアミノ酸残基、ならびにシステインである第2のアミノ酸残基を含む2個のアミノ酸残基からなるペプチド鎖である。例えば、(Pep2)は、フェニルアラニンである第1のアミノ酸残基、およびシステインである第2のアミノ酸残基を含む2個のアミノ酸残基からなるペプチド鎖でありうる。
【0098】
このように、本発明の方法は、式(I)のペプチドを含むトレーサーを対象に投与することを含むことができ、ここでYは、−(Pep)−(Alk)−(Pep)−および−(Pep)−から選択されるリンカー基であり、
− (Pep1)は、それぞれ任意選択で更に誘導体化されている2〜3個のアミノ酸残基を含むペプチド鎖であり、(Pep1)は、(i)フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、およびヒスチジン、例えばチロシンから選択される第1のアミノ酸、ならびに(ii)リシン、アルギニン、アスパラギン、およびグルタミン、例えばリシンから選択される第2のアミノ酸を含み、
− (Pep2)は、それぞれ任意選択で更に誘導体化されている2〜3個のアミノ酸残基を含むペプチド鎖であり、(Pep2)は、(i)アスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギン、グルタミン、リシン、およびアルギニン、例えばリシンから選択される第1のアミノ酸、ならびに(ii)システインおよびメチオニン、例えばシステインから選択される第2のアミノ酸を含み、
− (Pep3)は、それぞれ任意選択で更に誘導体化されている2〜3個のアミノ酸残基を含むペプチド鎖であり、(Pep3)は、(i)バリン、ロイシン、イソロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、チロシン、およびトリプトファン、例えばフェニルアラニンンから選択される第1のアミノ酸、ならびに(ii)システインおよびメチオニン、例えばシステインから選択される第2のアミノ酸を含み、
− (Alk)は、C〜C10アルキレン基であり、(Alk)は、C〜C10アリーレン基により任意選択で中断されていてもよく、(Alk)は、−S−および−C(O)−から選択される1または2つの基により任意選択で停止および/または中断されていてもよい。
【0099】
本発明の方法は、式(II)の化合物であるペプチドを含むトレーサーを、対象に投与することを含むことができ、
【0100】
【化4】
【0101】
式中、
− Rは、アルギニンまたはN−メチルアルギニンを表し、
− Gは、グリシンを表し、
− Dは、アスパラギン酸を表し、
− Yは、アスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギン、グルタミン、リシン、およびアルギニンから選択されるアミノ酸残基であり、Yの側鎖は、側鎖のヘテロ原子を介して部分−L−Zに結合しており、
− 部分−Y−S−および−Y−S−は、それぞれ独立して、ジスルフィド結合−Y−S−S−Y−を形成することができるアミノ酸残基を表し、
− Yは、バリン、ロイシン、イソロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、チロシン、およびトリプトファンから選択されるアミノ酸残基であり、
− 部分−Y−(CH−S−は、硫黄含有アミノ酸残基を表し、pは、1または2であり、
− Rは、−(CH−(Ar)−(CH−を表し、qおよびsは、互いに独立して0または整数であり、q+sは、1〜8の整数であり、rは、0または1であり、Arは、Cアリーレン基であり、
− Rは、不在であるか、または−Het−((CHHet)HetRを表し、
− nは、1または2であり、
− mは、1〜6の整数であり、
− 各Hetは、独立して−O−または−NR−であり、
− Rは、不在であるか、または任意選択で、1〜3つのオキソ基により置換されていてもよい、ならびに/もしくは−O−および−C(O)−から選択される1〜3つの基により中断されていてもよい、C〜Cアルキレンであり、
− 各Rは、HおよびC〜Cアルキルから独立して選択され、
− Lは、−C(O)−(C〜Cアルキレン)−C(O)−であり、Lのアルキレン基は、−O−により任意選択で中断されていてもよく、ならびに/またはLのアルキレン基は、非置換であり、もしくは−OH、C〜Cアルコキシ、およびC〜Cアルキルから選択される1もしくは2つの置換基により置換されており、
− Zは、放射性核種に配位することができる部分を表す。
【0102】
式(II)において、Rは、典型的にはアルギニンを表す。Yは、典型的には、アスパラギン酸、グルタミン酸、およびリシンから選択されるアミノ酸残基であり、Yの側鎖は、側鎖のヘテロ原子を介して部分−L−Zに結合しており、より典型的には、Yはリシンである。部分−Y−S−および−Y−S−のいずれか、または両方は、典型的には独立してシステインを表し、より典型的には、部分−Y−S−および−Y−S−は、それぞれシステインを表す。Yは、多くの場合、バリン、ロイシン、イソロイシン、フェニルアラニン、およびチロシンから選択されるアミノ酸残基であり、より多くの場合、Yは、フェニルアラニンおよびチロシンから選択され、最も多くの場合、Yはフェニルアラニンである。部分−Y−(CH−S−は、典型的にはメチオニンもしくはシステイン、またはこれらの誘導体を表し、より典型的には、−Y−(CH−S−はシステインを表し、したがって典型的には、pは1である。
【0103】
式(II)において、q+sは、典型的には1〜6の整数であり、1〜4または1〜3など、例えば、1または2である。Rは、典型的には−Het−((CHHet)HetRを表し、したがってRは、典型的には存在している。nは、多くの場合1であり、mは、多くの場合3〜6の整数、例えば2〜5であり、3〜4などである。多くの場合、式(II)に存在する全てHet基が同一ではないことがある。最も多くの場合、少なくとも1つのHet基が−O−である。時々、2つ以上のHet基が−O−である。最も通常には、Hetは−O−である。多くの場合、各Rは、HおよびC〜Cアルキルから独立して選択され、Hまたはメチルなど、例えばHである。
【0104】
式(II)において、Rは、不在であるか、または任意選択で、1〜3つのオキソ基により置換されていてもよい、ならびに/もしくは−O−および−C(O)−から選択される1〜3つの基により中断されていてもよい、C〜Cアルキレンである。Rがオキソ基により置換されている場合、これは、Rの個別の炭素原子に対する2個の水素原子が、1個の酸素原子により置き換えられ、炭素原子に二重結合して、カルボニル基を形成していることを意味する。Rは、多くの場合に1または2つのオキソ基により置換されており、したがってRは、多くの場合にジカルボニル部分である。Rは、多くの場合に−O−および−C(O)−から選択される1または2つの基によって、より多くの場合には−O−および−C(O)−から選択される1つの基によって中断されている。Rが中断されている場合、Rは、通常−O−により中断されており、したがってRは、最も多くの場合には1つの−O−基により中断されている。
【0105】
式(II)において、Rは、多くの場合にC、C、またはCアルキレン基などのC〜Cアルキレン基である。例えば、Rは、1または2つのオキソ基により置換され、かつ−O−および−C(O)−から選択される1または2つの基、例えば1つの−O−基により中断されている、Cアルキレン基であってもよい。例えば、Rは、時々、−C(O)−(CH−O−(CH−C(O)−であり、ここで各dは、独立して1、2、または3であり、したがって、例えばRは、−C(O)−(CH−O−(CH−C(O)−でありうる。
【0106】
式(II)において、Lは、−C(O)−(C〜Cアルキレン)−C(O)−であり、Lのアルキレン基は、−O−により任意選択で中断されていてもよく、ならびに/またはLのアルキレン基は、非置換であり、もしくは−OH、C〜Cアルコキシ、およびC〜Cアルキルから選択される1もしくは2つの置換基により置換されている。多くの場合、Lのアルキレン基は、CまたはCアルキレン基などのC〜Cアルキレン基である。通常、Lは、非置換である、または−OH、C〜Cアルコキシ、およびC〜Cアルキルから選択される1つの置換基により置換されており、より多くの場合には、Lは非置換である、または−OH、メトキシ、およびメチルから選択される1つの置換基により置換されている。最も多くの場合、Lは非置換である。
【0107】
式(II)において、Zは放射性核種に配位することができる部分を表す。Zは、多くの場合、放射性核種をキレートする部分を表す。例えば、Zは、式(III)の部分でありうる。
【0108】
【化5】
【0109】
式中、
− 各R基は、独立して、HまたはC〜Cアルキルであり、
− 各R基は、独立して、C〜Cアルキレンであり、
− Rは、C〜Cアルキレンであり、
− 各アルキル基および/または各アルキレン基は、非置換である、または−OH、−N(R、C〜Cアルキル、およびC〜Cアルコキシから選択される1つの置換基により置換されている。
【0110】
式(III)において、各Rは、多くの場合に独立してHまたはメチルであり、より多くの場合、各Rは独立してHである。誤解を避けるため、各R基は、同一であっても、異なっていてもよい。式(III)において、各R基は、多くの場合に独立して、CアルキレンなどのCまたはCアルキレンである。誤解を避けるため、各R基は、同一であっても、異なっていてもよい。Rは、典型的にはC〜Cアルキレンであり、CまたはCアルキレンなど、例えばCアルキレンである。各R基およびR基は、多くの場合に独立して非置換であり、最も多くの場合、各R基およびR基は非置換である。各RおよびRは、同一であっても、異なっていてもよい。例えば、Zは、式(IV)の部分でありうる。
【0111】
【化6】
【0112】
したがって、本発明の方法は、ペプチドを含むトレーサーを、対象に投与することを含むことができ、ペプチドは、式(II)のものであり、
− Rは、アルギニンまたはN−メチルアルギニンを表し、
− Gは、グリシンを表し、
− Dは、アスパラギン酸を表し、
− Yは、アスパラギン酸、グルタミン酸、およびリシンから選択されるアミノ酸残基であり、典型的には、Yはリシンであり、Yの側鎖は、側鎖のヘテロ原子を介して部分−L−Zに結合しており、
− 部分−Y−S−および−Y−S−のいずれか、または両方は、独立してシステインを表し、例えば−Y−S−および−Y−S−は、両方ともそれぞれシステインを表し、
− Yは、バリン、ロイシン、イソロイシン、フェニルアラニン、およびチロシンから選択されるアミノ酸残基であり、フェニルアラニンおよびチロシンなど、例えばフェニルアラニンから選択されるアミノ酸であり、
− 部分−Y−(CH−S−は、システインを表し(すなわち、pは1であり)、
− Rは、−(CH−(Ar)−(CH−を表し、qおよびsは、互いに独立して0または整数であり、q+sは、1〜8の整数であり、rは、0または1であり、Arは、Cアリーレン基であり、
− Rは、−Het−((CHHet)HetRを表し、nは、1または2であり、例えばRは、−NH−((CHHet)HetRであり、
− mは、3〜6の整数、例えば、4または5であり、
− 各Hetは、独立して−O−または−NR−であり、
− Rは、−C(O)−(CH−O−(CH−C(O)−であり、ここで各dは、独立して1、2、または3であり、例えばRは、−C(O)−CH−O−CH−C(O)−であり、
− 各Rは、HおよびC〜Cアルキルから独立して選択され、例えば各Rは、Hおよびメチル、例えばHから選択されてもよく、
− Lは、−C(O)−(C〜Cアルキレン)−C(O)−であり、Lのアルキレン基は非置換であり、例えばLは、非置換−C(O)−(C〜Cアルキレン)−C(O)−、例えば−C(O)−(Cアルキレン)−C(O)−であってもよく、
− Zは、式(III)の部分、例えば式(IV)の部分である。
【0113】
多くの場合、本発明の方法は、ペプチドを含むトレーサーを、対象に投与することを含むことができ、ペプチドは、式(II)のものであり、
− Rは、アルギニンを表し、
− Gは、グリシンを表し、
− Dは、アスパラギン酸を表し、
− Yは、側鎖Nを介して部分−L−Zに結合しているリシンであり、
− −Y−S−および−Y−S−は、それぞれシステインを表し、
− Yは、フェニルアラニンであり、
− 部分−Y−(CH−S−は、システインを表し(すなわち、pは1であり)、
− Rは、−(CH−(Ar)−(CH−を表し、qおよびsは、互いに独立して0または1であり、q+sは、1または2であり、rは、0または1であり、Arは、Cアリーレン基であり、
− Rは、−NH−((CHHet)−C(O)−CH−O−CH−C(O)−HetRを表し、mは、4または5の整数であり、各Hetは、独立して−O−または−NR−であり、例えば、多くの場合にRは、−NH−(CO)−CNH−C(O)−CH−O−CH−C(O)−NHであり、
− 各Rは、Hであり、
− Lは、非置換−C(O)−(C〜Cアルキレン)−C(O)−であり、
− Zは、式(IV)の部分である。
【0114】
典型的には、本発明の方法は、ペプチドを含むトレーサーを、対象に投与することを含むことができ、ペプチドは、マラシクラチド(maraciclatide)である。マラシクラチドは、NC100692としても知られており、GE Healthcareにより生産されている。NC100692は、例えば、US2013/0129623A1に記載されている。NC100692(GE Healthcare)は、RGDトリペプチドモチーフを含有する小さな環状ペプチドである。23−26インビトロ研究は、αβインテグリンへの高い結合親和性を実証している。NC100692は、広く処方されておらず、本明細書に記載されている研究の前には、合計81人の患者に99mTc−NC100692が与えられている。23,27しかし、安全性評価では、臨床的に重要な安全性の徴候または傾向が示されなかった。健康な志願者による薬物動態研究によって、およそ1時間の平均排出半減期が決定された。10人の対象における免疫原性試験では、4か月目においてNC100692に対する検出可能な抗体は見出されなかった。23
【0115】
マラシクラチドは、式(VI)により示されている式を有する。
【0116】
【化7】
【0117】
本発明の方法に使用されるトレーサーにおいて、放射性核種はペプチドの任意の適切な位置に配位することができる。事実、放射性核種はペプチドの原子でありうる。本発明の方法が、放射性核種に抱合させたペプチドを含むトレーサーの投与を含み、放射性核種がペプチドの原子である場合、ペプチドは、放射性核種に配位することができる別個の基を含むこともできるが、典型的には含まない。
【0118】
式VIにおいて、式IVの基は、放射性核種に配位することができる前記の部分である。したがって、放射性核種が、99mTcなどのガンマ線を放射する核種である場合、放射性核種は、典型的には、式IVの部分に配位することによって、ペプチドに配位する。
【0119】
放射性核種が本明細書に記載されている元素、例えば99mTcである場合、放射性核種は、多くの場合、式(VIa)により示されているマラシクラチドであるペプチドに配位する。このように、本発明の方法は、ペプチドがマラシクラチドであり、放射性核種が99mTcであるトレーサーの使用を含むことができる。
【0120】
【化8】
【0121】
本明細書において説明されているように、本発明の方法は、1個以上の本明細書に記載されているR−G−D部分を含むペプチドを含むトレーサーを、投与することを含むことができる。したがって、本発明の方法において、ペプチドは、多くの場合、2〜10個のR−G−D部分を含み、ここで、各Rは、アルギニンおよびN−メチルアルギニンから独立して選択され、各Gはグリシンであり、各Dは、アスパラギン酸、アスパラギン酸エステル、およびその塩から独立して選択される。更に通常には、ペプチドは2〜5個のR−G−D部分を含む。多くの場合、ペプチドは2または3個のR−G−D部分を含む。時々、少なくとも1個のR−G−D部分が、式(V)の部分に存在する。多くの場合には、ペプチドにおけるR−G−D部分が、それぞれ式(V)の部分に存在する。
【0122】
【化9】
【0123】
式中、YまたはYのいずれかがチロシンであり、YまたはYのいずれかがリシンであり、リシンは、ペプチドの残りの部分にN(6)位において結合している。式(V)において、典型的には、Yがチロシンであり、Yがリシンである場合、Yは、不在であるか、またはアミノ酸残基であり、Yがチロシンであり、Yがリシンである場合、Yは、不在であるか、またはアミノ酸残基であり、および/またはYがチロシンであり、Yがリシンである場合、Yは、不在であるか、またはアミノ酸残基である。多くの場合、Yはチロシンであり、Yはリシンであり、Yは不在である。
【0124】
誤解を避けるため、式(V)の部分は、1つ以上の結合によりペプチドの残りの部分に結合している。典型的には、ペプチドの残りの部分への1つ以上の結合は、アミノ酸残基のY、Y、および/またはYのうちの1個から誘導される。多くの場合、式(V)の部分は、リシンであるアミノ酸による結合によって、例えばリシンの側鎖のN(6)原子によるアミド結合の形成によって、ペプチドの残りの部分に結合している。
【0125】
本発明の方法において、トレーサーは、薬物送達ビヒクルにカプセル化または抱合されうる。典型的には、薬物送達ビヒクルは、リポソーム、ペグ化リポソーム、ニオソーム(niosome)、アクアソーム(aquasome)、デンドリマー、ミセル、無機もしくは有機ナノ粒子、脂質、ポリアミノ酸、エマルション、またはヒドロゲルから選択される。更に典型的には、薬物送達ビヒクルは、リポソーム、ペグ化リポソーム、デンドリマー、無機または有機ナノ粒子、およびポリアミノ酸から選択される。多くの場合、薬物送達ビヒクルは、リポソーム、ペグ化リポソーム、デンドリマー、ポリアミノ酸から選択される。通常、薬物送達ビヒクルは、リポソームおよびデンドリマーから選択される。
【0126】
本発明の方法は、医療的に有用である。本発明の方法は、対象における関節炎の画像化に特に有用である。本明細書に記載されている本発明の方法は、状態を診断する観点から関節炎の画像化に関連しているだけではない。以前に炎症性関節炎と診断された疾患活性を評価するため(例えば、既に関節炎が診断されている患者において疾患進行について情報を得るため)、治療レジメンの効力をモニターするため、医薬品の効力を決定するため、などのために関節炎を画像化することも同様に重要である。本発明の方法の多くの用途および適用は、当業者が思いつくであろう。
【0127】
通常、関節炎は炎症性関節炎である。例えば、関節炎は、関節リウマチ、強直性脊椎炎、乾癬性関節炎、腸炎性関節炎(entereopathic arthritis)、反応性関節炎、痛風、偽痛風、敗血症性関節炎、骨関節炎、若年性特発性関節炎、全身性エリテマトーデスに関連する関節炎、1つ以上の脊椎関節症に関連する関節炎、腱付着部症もしくは腱付着部炎に関連する関節炎、仙腸関節炎に関連する関節炎、腱鞘炎、腱の炎症、もしくは腱鞘の炎症に関連する関節炎、および/または結合組織疾患に関連する関節炎から選択されうる。関節炎は、典型的には、関節リウマチ、強直性脊椎炎、乾癬性関節炎、腸炎性関節炎、反応性関節炎、痛風、偽痛風、敗血症性関節炎、骨関節炎、若年性特発性関節炎、および全身性エリテマトーデスに関連する関節炎から選択される。多くの場合、関節炎は、関節リウマチ、強直性脊椎炎、乾癬性関節炎、腸炎性関節炎、および反応性関節炎から選択される。通常、関節炎は、関節リウマチ、強直性脊椎炎、および乾癬性関節炎から選択され、最も多くの場合には、関節炎は関節リウマチである。
【0128】
本発明の方法は、対象の全身の画像化を含むことができる。あるいは、本発明の方法は、対象の指、手、肘、肩、つま先、足、足首、膝、または股関節のうち1つ以上を画像化することを含むが、対象の全身を画像化することを含まないことがある。典型的には、対象の画像化は、対象の手および/または足のみの画像化を含むことがあり、この場合、画像化は対象の残りの身体部分の画像化を含まない。通常、本発明の方法は、対象の炎症を起こした関節の画像化を含む。
【0129】
本発明の方法は、対象における関節炎の画像化に有用である。対象は、哺乳動物、特にヒトである。しかし、非ヒトであってもよい。好ましい非ヒト動物には、マーモセットまたはサルなどの霊長類、ウマ、ウシ、ヒツジ、またはブタなどの商業的に飼育されている家畜、およびイヌ、ネコ、マウス、ラット、モルモット、フェレット、スナネズミ、またはハムスターなどの愛玩動物が含まれるが、これらに限定されない。対象は、関節炎を患う可能性がある任意の動物でありうる。
【0130】
本発明の方法を使用して、対象が無症候性でありうる状況下で、対象において関節炎を画像化することができる。対象は、典型的には、関節炎を患っているものである、または関節炎を患う危険性のあるものである、または以前に関節炎を経験したものである。あるいは、本発明の方法を使用して、対象が症候性でありうる状況下で、対象において関節炎を画像化することができる。対象は、典型的には、関節炎を患っているものである、または関節炎を患う危険性のあるものである、または以前に関節炎を経験したものである。典型的には、対象は関節炎を患っている。本発明の方法を使用して、臨床検査などの他技術が関節炎を明らかにできない個体または状況下において、関節炎を検出することができる。したがって、典型的には、本発明の方法において、対象は、(i)関節炎を患っていた、もしくは患っている、または(ii)関節炎に罹患しやすくなっている。
【0131】
本発明の方法は、トレーサーと、1つ以上の薬学的に許容される賦形剤、および/または希釈剤、および/または担体とを含む組成物を、対象に投与することを含むことができる。
【0132】
本発明の方法は、トレーサーまたはトレーサーを含む組成物を、様々な剤形で対象に投与することを含むことができる。このように、トレーサーまたは組成物を、例えば、錠剤、トローチ剤、ロゼンジ剤、水性もしくは油性懸濁剤、分散性粉末剤、または顆粒剤として経口投与することができる。トレーサーを、皮下、静脈内、筋肉内、胸骨内、経皮、または注入技術にかかわらず、非経口的に投与することもできる。トレーサーを坐剤として投与することもできる。最も多くの場合、トレーサーは経口または非経口投与され、最も多くの場合、トレーサーは非経口投与される。
【0133】
本発明の方法において、トレーサーは、典型的には薬学的に許容される担体または希釈剤と共に投与されるように処方される。例えば、固体経口形態は、活性化合物と一緒に、希釈剤、例えばラクトース、デキストロース、サッカロース、セルロース、トウモロコシデンプン、またはジャガイモデンプン;潤滑剤、例えばシリカ、タルク、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウムもしくはカルシウム、および/またはポリエチレングリコール;結合剤、例えばデンプン、アラビアゴム、ゼラチン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、またはポリビニルピロリドン;脱凝集剤(disaggregating agent)、例えばデンプン、アルギン酸、アルギン酸塩、またはデンプングリコール酸ナトリウム(sodium starch glycolate);沸騰剤;色素;甘味剤;レシチン、ポリソルベート、ラウリルスルフェートなどの湿潤剤;ならびに医薬製剤に使用される一般に非毒性であり薬理学的に不活性な物質を含有することができる。そのような医薬調合剤は、既知の方法、例えば、混合、造粒、錠剤成形、糖衣、または被膜方法によって製造することができる。
【0134】
経口投与用の液体分散剤は、例えば、シロップ剤、乳剤、および懸濁剤でありうる。シロップ剤は、担体として、例えば、サッカロースもしくはサッカロースとグリセリン、および/またはマンニトール、および/またはソルビトールを含有することができる。
【0135】
懸濁剤および乳剤は、担体として、例えば天然ゴム、寒天、アルギン酸ナトリウム、ペクチン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、またはポリビニルアルコールを含有することができる。筋肉内注射用の懸濁剤または液剤は、活性化合物と一緒に、薬学的に許容される担体、例えば、滅菌水、オリーブ油、オレイン酸エチル、グリコール、例えばプロピレングリコール、望ましい場合、適切な量のリドカイン塩酸塩を含有することができる。
【0136】
注射または注入用液剤は、担体として、例えば滅菌水を含有することができる、または通常、これらは滅菌で等張性の水性食塩溶液の形態でありうる。無針注入による送達、例えば経皮送達に適した医薬組成物を使用することもできる。
【0137】
本発明の方法において、対象に投与されるトレーサー(または、その組成物)の用量は、様々なパラメーターに従って、とりわけ、使用される化合物、治療される対象の年齢、体重、および状態、投与経路、ならびに必要とされるレジメンに従って決定されうる。医師は、任意の特定の対象にとって必要な投与経路および投与量を決定することができる。トレーサーの典型的な1日用量は、特定のトレーサーまたはその組成物の活性、治療される対象の年齢、体重、および状態、疾患または状態の種類および重篤度、ならびに投与の頻度および経路に従って、1kgあたり約0.01〜100μg、通常は約0.1μg/kg〜50μg/kg、体重の約0.1μg/kg〜10μg/kgなど、例えば約0.5μg/kg〜約2μg/kgである。典型的には、トレーサーの1日投与量レベルは、1μg〜5mg、より典型的には10μg〜800μg、なおより典型的には約30μg〜150μg、例えば約75μgである。トレーサーを含む組成物の適切な用量は、例えば、組成物におけるトレーサーの重量百分率に基づいて、当業者によって容易に決定することができる。
【0138】
本発明の方法は、トレーサー、またはトレーサーと、1つ以上の薬学的に許容される賦形剤、および/もしくは希釈剤、および/もしくは担体とを含む組成物を対象に投与することを含むことができ、トレーサーまたは組成物はキットの形態で提供され、これは更に、キットが本明細書に記載の方法により使用されることを可能にする使用説明書、またはどの対象にこの方法を使用できるかに関する詳細を含むことができる。
【0139】
本発明は、2D核画像化により、または単一光子放射事象の3D検出により関節炎を画像化するための画像化剤としての、放射性核種に抱合させたペプチドを含むトレーサーの使用も提供する。典型的には、トレーサーは、本明細書において定義されたものである、および/または画像化の方法は、本明細書において定義されたものである、および/または対象は、本明細書において定義されたものである。より典型的には、トレーサー、画像化の方法、関節炎、および対象は、全て本明細書において定義されたものである。
【0140】
本発明は、対象において関節炎を診断する方法であって、(a)放射性核種に抱合させたペプチドを含むトレーサーを対象に投与すること、(b)2D核画像化により、または単一光子放射事象の3D検出により、対象を画像化すること、および(c)対象が関節炎を有するかを決定することを含む方法も提供する。典型的には、トレーサーは、本明細書において定義されたものである、および/または画像化の方法は、本明細書において定義されたものである、および/または対象は、本明細書において定義されたものである。より典型的には、トレーサー、画像化の方法、関節炎、および対象は、全て本明細書において定義されたものである。対象が関節炎を有するかを決定することは、本明細書に記載されているように実施することができる。
【0141】
本発明は、対象における関節炎の診断に使用されるトレーサーも提供し、トレーサーは、放射性核種に抱合させたペプチドを含み、診断は、(a)トレーサーを対象に投与すること、(b)2D核画像化により、または単一光子放射事象の3D検出により、対象を画像化すること、および(c)対象が関節炎を有するかを決定することを含む。典型的には、トレーサーは、本明細書において定義されたものである、および/または画像化の方法は、本明細書において定義されたものである、および/または対象は、本明細書において定義されたものである。より典型的には、トレーサー、画像化の方法、関節炎、および対象は、全て本明細書において定義されたものである。対象が関節炎を有するかを決定することは、本明細書に記載されているように実施することができる。
【0142】
対象が関節炎を有するかを決定することは、任意の適切な技術に従って実施することができる。例えば、当業者は、トレーサーの蓄積を関節炎のマーカーと関連付けることができる。トレーサーの蓄積を決定することは、異なる対象から得た、または異なる対象の一団から得た、または同じ対象から異なる時点で得た、または同じ対象の異なる身体部分から得た画像などの基準に対して、実施することができる。
【0143】
本発明は、関節炎の治療用の医薬品の活性を評価する方法であって、
− トレーサーを対象に投与することであって、トレーサーが、放射性核種に抱合させたペプチドを含み、対象が関節炎を有することと、
− 2D核画像化により、または単一光子放射事象の3D検出により、対象を画像化してトレーサーを検出することと、
− 医薬品を対象に投与することと、
− 医薬品を対象に投与した後、2D核画像化により、または単一光子放射事象の3D検出により、対象を画像化してトレーサーを検出することと、
− 医薬品の投与前後の対象の画像またはトレーサーの検出量の変化を評価することと、を含む方法も提供する。
【0144】
典型的には、医薬品の投与後に得た対象の画像におけるトレーサーから生じた応答が、医薬品の投与前に得たものと比較して減少していることは、医薬品の効力を示している。同様に、医薬品の投与後のトレーサーの検出量が、医薬品の投与前に得たものと比較して減少していることは、医薬品の効力を示している。典型的には、トレーサーは、本明細書において定義されたものである、および/または画像化の方法は、本明細書において定義されたものである、および/または対象は、本明細書において定義されたものである。より典型的には、トレーサー、画像化の方法、関節炎、および対象は、全て本明細書において定義されたものである。
【0145】
合成
本発明の方法は、トレーサーの投与を含む。本明細書に記載されているトレーサーは、当該技術に既知の任意の適切な方法により生成することができる。そのような方法の多くを当業者が思いつくであろう。例えば、ペプチドを合成し、放射性核種に配位することができる基に抱合させることができる。このように生成された組成物を、放射性核種に配位させることができる。あるいは、本明細書に記載されている放射性核種に配位することができる基を、本明細書に記載されているペプチドに抱合させる前に、そのように配位させて錯体または複合体を形成することができる。本発明の方法に使用されるトレーサーをもたらすのに適している任意の方法を、使用することができる。任意の適切な合成経路を使用して、本発明の方法に使用されるペプチド、放射性核種配位部分、および放射性核種を得ることができ、多くの適切な反応条件を当業者は思いつくことができる。
【0146】
例えば、本明細書に記載されているペプチドは、任意の適切な技術を使用して生成することができる。例えば、ペプチドは、固相ペプチド合成を使用して、または液相ペプチド合成によって合成することができる。典型的には固相ペプチド合成が使用される。あるいは、ペプチドは、微生物学的技術を使用して、微生物の作用により生成することができる。典型的な微生物には、Escherichia coliなどの細菌、およびSaccharomyces cerevisiaeなどの酵母が含まれる。適切な微生物学的技術は当業者に良く知られている。
【0147】
本明細書に記載されている放射性核種に配位することができる基は、当該技術において良く知られており、商業的に得ることができる、または標準的な有機化学技術を使用して合成することができる。本発明の方法に使用されるトレーサーに存在する放射性核種は、商業的に得ることができる。
【0148】
熟練の有機化学者は、放射性核種配位基を、既知の化学を使用して(例えば、アミノ酸のアミノ基を配位部分のカルボン酸基と反応させて、アミド結合を形成することによって)、環ペプチドに容易に結合させることができる。多くのカップリング反応が当業者には知られており、カップリング反応において一緒に反応することができる多くの相補性官能基対が知られている。任意の適切な相補性官能基対を使用することができる。カップリング反応において一緒に反応することができる相補性官能基対の例には、−NHR基とC(=X)OR基との反応(例えば、−NH基と−C(NH)OMe基との反応、または−NH基と−COOH基との反応)、アジド基とアルキン基との反応、およびジエンとジエノフィルとの[4+2]付加環化が含まれる。
【0149】
マラシクラチドおよび式(II)の類似した化合物は、WO03/006491に記載されているように調製することができる。
【0150】
以下の実施例は本発明を例示する。しかしこれらは、本発明をいかようにも制限しない。この点において、実施例セクションに記載されている特定の実験は、関節炎の画像化における本発明の方法の適合性示すためだけに設計されていることを理解することが、重要である。
【実施例】
【0151】
方法
本発明者らは、概念実証パイロット試験を実施して、RAを有する患者における99mTc−NC100692画像化について調査した。活性疾患(DAS28 ESR>3.2)を有する5人のRA患者を動員した。患者は、68/66圧痛関節数/関節腫脹数を含む完全な臨床検査を受け、最近のものが利用できない場合、ESRのために血液を採取した。14MHzプローブを有するGE Loqiq 9超音波スキャナーを標準設定で使用して、超音波走査を38個の関節(両側中手指節関節、近位指節間関節、手首、肘、肩、膝、足首、および第2から第5中足指節関節)に実施した。画像を、滑膜肥厚の0〜3グレースケール(GS)およびパワードプラ(PD)シグナルの半定量的スケールによりスコア付けし、スコアを合計して、それぞれの患者におけるGSおよびPDスコアの合計を得た。
【0152】
超音波走査および臨床検査の24時間以内に、740MBqに限りなく近い活性を含む75μgの99mTc−NC100692を、患者に静脈内注射した。画像は、3時間にわたって複数の時点でガンマカメラを用いて得た。動画像を、最初の45分間にわたって5分間隔で手から撮った。60分から90分の間に、手、足、および全身の静止画像を撮った。120〜180分に、手、足、および全身の静止画像を撮った。加えて、手の単一のSPECT/CT画像を取得した。SPECT/CT(単一光子放射断層撮影法(SPECT)/コンピュータ断層撮影法(CT))は、解剖学的な局在化のためにCT画像に重ねた、放射性同位体取り込みの3次元画像を取得する画像化技術である。
【0153】
平面およびSPECT/CT画像を、臨床検査および超音波による知見に盲目な観察者によってスコア付けした。2つのスコア付け方法を使用した。第1では、平面画像化において、各関節(近位指節間関節、中手指節関節、手首、肘、胸鎖関節、肩鎖関節、肩、股関節、膝、足首、横足根関節(midtarsal joint)、および中足指節関節)を、取り込みの存在または不在についてスコア付けし、各患者のために合計を導き出した(バイナリスコア付け)。第2では、平面およびSPECT/CT画像化の両方において、専門のソフトウエアを使用し、関節の周囲に目的の領域を描き、取り込みをバックグラウンドに修正することによって、各関節のために完全定量的スコアを導き出した。両方のスコア付け方法において、各関節の個別のスコアを合計して、各患者の合計スコアを得た。臨床変数と画像化変数の相関関係を、ピアソン相関係数によって検査した(SPSS 22、IBM)。
【0154】
結果
全身の観察において、手および足、ならびにSPECT/CTの画像において、全ての患者の関節に取り込みが明確に見られた(図1〜3)。有意な相関関係は、任意の画像パラメーターと臨床パラメーターの間に見られなかった。強力な相関関係が、PDUSと全身99mTc−NC100692定量的スコアの間に見られた(r=0.93、p=0.008)(図4)。強力な相関関係が、PDUSと99mTc−NC100692バイナリスコアの間にも見られた(r=0.88、p=0.019)。GSUSも、全身99mTc−NC100692定量的スコアと強力に相関した(r=0.79、p=0.042)。境界域有意性(borderline significance)の相関関係が、手のみのPDスコアと、手のCT−SPECTとの間に見られた(r=0.76、p=0.052)。
【0155】
99mTc−NC100692の分析は、取り込み域、また関節炎症域に対応する区域も、超音波による画像における腱鞘炎の区域に対応することを示唆した(図5)。このように、これらの結果は、この技術を使用して、関節外域と関節における滑膜炎症を定量化できることを示唆している。
【0156】
全体的な手順は良好に耐容された。全身、手、および足の静止画像は2つの時点で類似しており、したがって画像化プロトコールを将来の研究において簡素化することができる。
【0157】
考察
この原理証明パイロット試験において、本発明者らは、活性RAを有する患者の関節における99mTc−NC100692の取り込みが、全身レベルのPDUSスコアと高度に相関することを示した。本発明者らの結果は、本発明の方法の有用性を確認し、99mTc−NC100692の画像化が、炎症性関節炎を有する患者におけるPDUS画像化の潜在的な代用品となりうることを実証している。
【0158】
RAを診断または評価する臨床診療に適している全身レベルでの滑膜の画像化を可能にする診断ツールは、現在存在しない。USおよびMRIなどの市販されている他の技術は、高価であり、比較的僅かな関節しか画像化することができず、使用には複雑で専門分野の研修が必要となる。99mTc−NC100692画像化は、医療サービス提供者が30分間で素早い全身走査を提供することを可能にする。加えて、標準的な走査機器(ガンマカメラ)を使用することができる。更に、99mTc発生設備は、任意の核医学部において利用可能であり、したがってこれを技術として素早く拡張することができる。
【0159】
この試験に用いられた両方のスコア付け技術(完全な定量化および簡単なバイナリ関節数)は、PDUSとの強い相関関係を実証し、したがって観察者間変動の可能性が最小限である。
【0160】
RAは、一般人口の0.5〜1%の有病率があり、社会に非常に大きな経済的負担を課し、患者の40%までが診断後に5年間にわたって休職している。27RAの治療費用は、米国および西ヨーロッパにおいて、それぞれ年間190億ドルおよび420億ユーロであると推定される。28,29UKでは、毎年およそ20,000件の新たな診断があり、成人人口において約400,000人の総有病数である。30,31
【0161】
RAの有効な診断および管理は、疾患活性の信頼できる評価によって決まる。早期治療が改善された長期帰結をもたらしうるので、早期診断を確実にすることは特に重要である。加えて、確立された疾患を有する患者では、疾患活性の正確な定量化が、高価な生物学的療法に対して患者を層別化すること、例えば、寛解中の患者を、治療がより安全に漸減されうる群に層別化すること、および活性疾患を有する患者を、特定の介入に応答する可能性の高い患者に層別化することを助けることができる。このことは、患者の帰結において、および高価な治療資源の費用対効果の高い使用において幅広い意味を有する(RAは、世界中で一番売れている5つの薬物のうちの3つを占め、世界的な売り上げは2013年では300億ドルである32)。例えば、1つの例示的な臨床設定において、約三分の一のRA患者が生物学的療法を受けており、患者1人あたり毎年約15,000ポンドの費用が掛かっている。
【0162】
この試験は、以下の患者群において特定の臨床的価値があることを示したUSと一致しており、したがって同等であることを実証している。
【0163】
早期炎症性関節炎
近年、早期関節リウマチ(ERA)において治療の「絶好の機会(window of opportunit)」があり、その間の積極的な治療は、疾患を長期間にわたって有意に減衰できることが明らかになった。33この期間は3か月間の短さでありうるので、課題は疾患の早期検出および診断である。持続性の糜爛性疾患を発症する高い危険性のある患者を確認する予測アルゴリズムを開発することは、大きな成功を得た。34このスコアは、現在のRA分類の指針の基礎を形成している。35しかし、帰結が不明である中間スコアの患者が、まだ25%存在している。したがって、これらの患者において危険性を正確に決定するため、基準を更に改善する差し迫った必要性が存在する。
【0164】
PDUSは、早期関節炎および確立されたRAを有する患者の前向きコホートにおいて、疾患の持続性および関節糜爛の発生を予測することが示されている。36PDUSスコアは、臨床測定と組み合わせたときに、RAへの進行の予測としての感度を増加することも示されている。37−39ここでも、このことは時間が掛かり、複数の関節の滑膜炎症を素早く(安価に)評価する技術の価値は明らかである。そのような患者の素早い危険性層別化は、治療するまでの時間を低減し、帰結を潜在的に向上させ、早期疾患修飾療法の必要がない患者を良好に層別化する。
【0165】
RAの寛解および低疾患活性
RAに対する生物学的治療の広範囲にわたる使用によって、寛解または低疾患活性状態を達成する患者の数が増加している。臨床的に滑膜炎がないにもかかわらず、関節損傷は一部の患者において進行しうることが十分に確立されているが、これらの薬物による不確定な危険性および長期治療の費用の観点から、最近の指針は、疾患寛解にある患者において治療を漸減することが推奨されている。40これらの患者のうち多数が再発し、41したがって、どの患者が治療を中止しても安全であるか決定するツールを、開発することが重要である。PDシグナルの増加は、臨床的に炎症を起こしていない関節を含む、臨床的寛解期のRA患者の大部分において見られ、42患者における再発の危険性に関連し、43−45生物学的療法が漸減されると、再燃を予測している。46この危険性は、PDシグナルが少数の関節においてのみ見られる場合であっても観察され、したがって、正確な帰結予測は、多数の関節の系統的評価を必要とし、これも日常的な診療にとって実行不能である。これらの患者の更なる系統的な評価は、薬物漸減に適した患者の層別化を向上させることができ、したがって、高価な長期療法において資源の使用を最適化することができる。
【0166】
生物学的療法への応答の評価
現在、RAにおける金字塔的な疾患修飾は、平面X線による放射線学的な進行の評価である。臨床診療において、平面X線撮影法が1年未満の期間における変化に限定された感度を有するので、進行は12か月間にわたって日常的に評価される。MRIおよびUSは糜爛の検出により大きな感度を有するが、これらは、とりわけ複数の関節が評価される場合に高価であり、時間が掛かる。生物製剤により治療されたRA患者は、治療の1か月後の早期にPDシグナルに低減があることを示し、この応答は、臨床的および放射線学的帰結の予測でありうる。47−52したがって、99mTc−NC100692に基づいた核画像化などの本発明の方法は、短期間にわたる生物製剤などの新規療法への応答のために強力な定量的決定要素を提供する。更に、PDUS活性は、治療前に生物学的作用物質への応答を予測することが示されており、53,54このことは、活性疾患を有する患者のうち(高いDAS28スコアを有する患者が、常に臨床的に明確な炎症を有するとは限らない場合があるにもかかわらず)、どの患者が、療法の漸増に応答するかを決定する助けとなりうる。現在、多数の製薬会社によってRAのために活発に開発されている、およそ55個の薬物が存在する(Pharmaceutical Research and Manufacturers of America、2014年報告書)。99mTc−NC100692画像化などの本発明の方法は、会社が、臨床試験を加速させること、臨床試験の際に早期に是非の判断(go/no−go decisions)を下すこと、および早期RA疾患の治療に新たな薬物を位置付けることを可能して、薬物の開発に大きな可能性を提供する。
【0167】
他のタイプの炎症性関節炎における適用の可能性
本発明者らは、本明細書において99mTc−NC100692画像化がRAに用途があることを示したが、本発明の方法は、乾癬性関節炎、強直性脊椎炎および他の脊椎関節症(SpA)、ならびに全身性エリテマトーデスなどの結合組織疾患に関連する炎症性関節炎が含まれるが、これらに限定されない他の種類の炎症性関節症にも用途を有する。本発明の方法は、(本発明者らにより示されたように)腱鞘および腱付着部などの、超音波による新生血管の増加と関連する筋骨格炎症の関節外部位の画像化にも用途を有する。
【0168】
腱付着部症(骨への腱画の炎症)は、SpAの一般的な特徴であり、症状が中程度である場合、その診断は困難な場合がある。PDUSにより評価された腱付着部新生血管の存在は、後の確立された脊椎関節症への進行を予測することが示されている。複数の腱付着部の超音波走査は、時間的制約のため、日常的な臨床的使用では実行不能である。99mTc−NC100692画像化などの本発明の方法は、単回取得による複数の腱付着部炎症域の画像化に用途を有する。SpA、特に強直性脊椎炎の別の一般的な特徴は、仙腸骨炎である。従来の臨床診療では、仙腸関節の炎症はMRIによってのみ画像化することができる。しかし、99mTc−NC100692画像化などの本発明の方法は、ここでも単回取得による、これらの患者の仙腸骨炎、ならびに関節、腱付着部、および腱の炎症の画像化に用途を有する。現在利用可能な他の画像化様式で、これを実施できる可能性を有するものはない。
【0169】
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