(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ベースが前記カバー本体に対して、前記ベース面から前記切断刃が突出する第1位置にある場合に、前記着脱カバーが前記カバー本体と前記ベースの間に挟み込まれており、
前記ベースが前記カバー本体に対して、前記ベース面から前記切断刃が突出しない第2位置にある場合に、前記着脱カバーが前記カバー本体と前記ベースの間に挟み込まれていない、請求項1から6の何れか一項の集塵カバー。
【発明を実施するための形態】
【0008】
1つまたはそれ以上の実施形態において、集塵カバーは、切断刃を回転させる切断機に使用されてもよい。集塵カバーは、切断刃の周囲を部分的に覆っており、開口部を有するカバー本体と、カバー本体に対して相対的に移動可能に取り付けられており、被切断物に当接するベース面を有するベースと、開口部を覆うように、カバー本体およびベースの何れか一方に着脱可能に取り付けられた着脱カバーを備えていてもよい。集塵カバーにおいて、ベースがカバー本体に対して、ベース面から切断刃が突出する位置にある場合に、着脱カバーが着脱不能であってもよい。
【0009】
上記の集塵カバーでは、ベースのカバー本体に対する相対的な位置を調整することで、切断刃のベース面からの突出量を調整可能である。上記の構成では、切断機によって切断作業を行う際には、着脱カバーを取り付けておくことで、着脱カバーによってカバー本体の開口部が覆われて、切削粉が外部に漏れ出ることを抑制することができる。また、上記の構成では、切断刃の交換作業を行う際には、着脱カバーを取り外すことで、カバー本体の開口部を介して切断刃の交換作業を容易に行うことができる。さらに、上記の構成では、ベース面から切断刃が突出する位置にある場合には、着脱カバーを取り外すことが禁止される。このため、切断機を用いて作業を行っている時に、誤って着脱カバーが外れてしまうことを防止することができる。上記の集塵カバーによれば、簡素な構成によって、切断刃を交換する際の作業性を向上することができる。
【0010】
1つまたはそれ以上の実施形態において、切断刃は締結具によって切断機に取り付けられていてもよい。切断刃の回転軸に沿う方向から見た時に、締結具は開口部の範囲内に含まれていてもよい。
【0011】
上記の構成によれば、着脱カバーを取り外した状態で、カバー本体の開口部を介して締結具の取り付けや取り外しを容易に行うことができる。切断刃を交換する際の作業性をより向上することができる。
【0012】
1つまたはそれ以上の実施形態において、開口部の最大の長さが、切断刃の直径よりも大きくてもよい。
【0013】
上記の構成によれば、着脱カバーを取り外した状態で、カバー本体の開口部を介して切断刃の出し入れを行うことができる。切断刃を交換する際の作業性をより向上することができる。
【0014】
1つまたはそれ以上の実施形態において、着脱カバーは、カバー本体に取り付けられてもよい。
【0015】
カバー本体の開口部を覆う着脱カバーをベースに取り付ける構成では、ベースをカバー本体に対して相対的に移動させると、着脱カバーもカバー本体に対して相対的に移動する。このため、着脱カバーによるカバー本体の開口部の封止性を確保することが困難となる。これに対して、上記の構成では、着脱カバーがカバー本体に取り付けられているので、ベースをカバー本体に対して相対的に移動させても、着脱カバーはカバー本体に対して相対的に移動しない。このため、着脱カバーによるカバー本体の開口部の良好な封止性を確保することができる。
【0016】
1つまたはそれ以上の実施形態において、着脱カバーとカバー本体の間に、ラビリンス構造が形成されていてもよい。
【0017】
上記の構成によれば、着脱カバーによるカバー本体の開口部のより良好な封止性を確保することができる。
【0018】
1つまたはそれ以上の実施形態において、着脱カバーの少なくとも一部が、透明な材料からなってもよい。
【0019】
上記の構成によれば、切断機によって切断作業を行う際に、集塵カバーの外部から、集塵カバーの内部の切断刃や被切削物の様子を視認することができる。
【0020】
1つまたはそれ以上の実施形態において、ベースがカバー本体に対して、ベース面から切断刃が突出する第1位置にある場合に、着脱カバーがカバー本体とベースの間に挟み込まれていてもよく、ベースがカバー本体に対して、ベース面から切断刃が突出しない第2位置にある場合に、着脱カバーがカバー本体とベースの間に挟み込まれていなくてもよい。
【0021】
上記の構成によれば、簡素な構成によって、ベースのカバー本体に対する相対的な位置に応じて、着脱カバーが着脱可能な状態と着脱不能な状態を切り換えることができる。
【0022】
(実施例)
図1、
図2に示すように、本実施例の集塵カバー2は、切断機の一例であるグラインダ4に取り付けて使用される。グラインダ4は、切断刃の一例であるダイヤモンドホイール6の回転によって、石材やコンクリートブロック等の切断加工や溝切り加工、アスファルト路面の切り込み加工等を行うことができる。なお、以下の説明では、グラインダ4の長手方向を前後方向といい、ダイヤモンドホイール6の回転軸が伸びる方向を左右方向といい、前後方向と左右方向に直交する方向を上下方向という。
【0023】
図3に示すように、グラインダ4は、本体ハウジング8と、ギヤハウジング10と、ベアリングボックス12を備えている。
【0024】
本体ハウジング8の前方内部には、モータ14が収容されている。モータ14は、インナロータ型のブラシレスDCモータである。モータ14は、前後方向に伸びる出力軸16を有している。出力軸16は、ベアリング18,20を介して、本体ハウジング8に回転可能に支持されている。本体ハウジング8の後端には、バッテリ22が取り付けられている。バッテリ22は、本体ハウジング8に対して左右方向(
図3の上下方向)にスライドさせることで着脱可能な、スライド式のバッテリである。本体ハウジング8の後方内部には、マイコンや、モータ14を駆動するためのスイッチング素子等が搭載された制御基板24が収容されている。バッテリ22から供給される電力は、制御基板24を介して、モータ14に供給される。本体ハウジング8の前方の左面(
図3の上側の面)には、前後方向にスライド可能なスライドスイッチ26が設けられている。スライドスイッチ26は、ユーザの操作によって、オン位置とオフ位置の間で切替可能である。スライドスイッチ26の位置は、本体ハウジング8の内部に収容された検出スイッチ28によって検出される。検出スイッチ28は、制御基板24に接続されている。スライドスイッチ26がオン位置にある場合、バッテリ22からの電力が制御基板24を介してモータ14へ供給されて、モータ14が出力軸16を回転させる。スライドスイッチ26がオフ位置にある場合、バッテリ22の電力のモータ14への供給が遮断されて、モータ14が出力軸16を停止させる。本体ハウジング8の後方の左面(
図3の上側の面)には、LED等を備える表示部30が設けられている。表示部30は制御基板24に接続されている。表示部30は、グラインダ4の動作状態やバッテリ22の電池残量に応じて表示を変化させることで、グラインダ4の動作状態やバッテリ22の電池残量をユーザに報知する。
【0025】
ギヤハウジング10は、本体ハウジング8の前方に取り付けられている。ギヤハウジング10の内部には、互いに噛み合うように配置された第1ベベルギヤ32と第2ベベルギヤ34が収容されている。第1ベベルギヤ32は、出力軸16の前方端部に固定されている。第2ベベルギヤ34は、左右方向(
図3の上下方向)に伸びるスピンドル36の左方端部(
図3の上方端部)に固定されている。以下では、第1ベベルギヤ32と第2ベベルギヤ34を総称して、単にベベルギヤ38ともいう。ベベルギヤ38は、モータ14の回転をスピンドル36に伝達する。ギヤハウジング10は、ベアリング40を介して、スピンドル36の左方端部(
図3の上方端部)を保持している。
図2に示すように、ギヤハウジング10の左面には、シャフトロック42が設けられている。ユーザがシャフトロック42を押し込むと、第2ベベルギヤ34の回転が禁止されて、スピンドル36の回転が禁止される。
【0026】
図3に示すように、ベアリングボックス12は、ギヤハウジング10の右方(
図3の下方)に取り付けられている。ベアリングボックス12は、ベアリング41を介して、スピンドル36を保持している。スピンドル36はベアリングボックス12に対して左右方向(
図3の上下方向)に沿った回転軸まわりに回転可能である。スピンドル36の右方端部(
図3の下方端部)には、インナフランジ44とロックナット46を介して、ダイヤモンドホイール6を取り付け可能である。インナフランジ44は、スピンドル36に嵌合されている。ダイヤモンドホイール6は、インナフランジ44の右方(
図3の下方)からスピンドル36に取り付けられて、インナフランジ44に嵌合されている。ロックナット46は、スピンドル36の右方端部(
図3の下方端部)からスピンドル36に螺着されて、インナフランジ44との間でダイヤモンドホイール6を挟持する。グラインダ4において、モータ14が回転すると、スピンドル36とともにダイヤモンドホイール6が回転軸周りに回転することで、被切断物の切削を行うことができる。
【0027】
集塵カバー2は、ベアリングボックス12の右方(
図3の下方)に取り付けられている。集塵カバー2は、ダイヤモンドホイール6が被切断物を切削する際に、周囲に切削粉が飛び散ることを防止するとともに、切削粉を集塵機(図示せず)によって収集するために使用される。
【0028】
図4に示すように、集塵カバー2は、カバー本体52と、ノズル54と、着脱カバー56と、ベース58を備えている。
【0029】
カバー本体52は、左側カバー60と、右側カバー62を備えている。左側カバー60は、バンド部64と、カバー部66を備えている。バンド部64は、帯状の平板を円筒形状に湾曲させた湾曲部64aと、湾曲部64aの両端から外側に向けて伸びる一対の平板部64bと、一対の平板部64bの間隔を調整する締結具64cと、一方の平板部64bと湾曲部64aに溶接された略三角形状の補強板64dを備えている。締結具64cは、一対の平板部64bの一方の外側表面に溶接して固定されたナット64fと、一対の平板部64bの他方の外側表面から、一対の平板部64bを貫通して、ナット64fに螺着された六角穴付きボルト64gを備えている。カバー部66は、略円形状の開口部66aを有する平板部66bと、開口部66aの縁に沿って外側に屈曲する円筒部66cと、平板部66bの後方の端部から右側カバー62に向けて屈曲する支持部66dを備えている。円筒部66cは、断面が略半円である円筒形状に形成されている。バンド部64とカバー部66は、円筒部66cの外周面と湾曲部64aの内周面を溶接することによって、互いに固定されている。湾曲部64aの内周面のうち、円筒部66cの外周面と溶接されていない箇所には、リブ64eが形成されている。円筒部66cの内周面には、リブ66e、66fが形成されている。
【0030】
図5に示すように、ベアリングボックス12には、スピンドル36の回転軸方向(すなわち左右方向)に沿って右方に突出する略円筒形状のカバー取り付け部68が形成されている。カバー取り付け部68の右端近傍の外周面には、外側に突出するフランジ68aが形成されている。フランジ68aには、集塵カバー2のカバー本体52のリブ64e、66e、66fに対応して、切り欠き68b、68c、68dが形成されている。集塵カバー2は、リブ64e、66e、66fを切り欠き68b、68c、68dと位置合わせした状態で、カバー取り付け部68が湾曲部64aおよび円筒部66cの内側に入り込むように、集塵カバー2をベアリングボックス12に対して左方向にスライドさせることで、ベアリングボックス12に取り付けることができる。リブ64e、66e、66fが切り欠き68b、68c、68dに位置合わせされた状態における、ベアリングボックス12に取り付けられた後の集塵カバー2の位置を、以下では着脱位置ともいう。ベアリングボックス12に取り付けられた集塵カバー2は、カバー取り付け部68の周りに回転可能である。言い換えると、集塵カバー2は、ベアリングボックス12に対して、スピンドル36の回転軸方向(すなわち左右方向)周りに回転可能である。集塵カバー2をベアリングボックス12に対して着脱位置から回転させると、リブ64e、66e、66fがフランジ68aと係合することで、集塵カバー2のベアリングボックス12に対する右方向へのスライドが禁止される。この場合、集塵カバー2はベアリングボックス12から取り外すことができない。集塵カバー2をベアリングボックス12に対して着脱位置まで回転させると、リブ64e、66e、66fと切り欠き68b、68c、68dが位置合わせされて、集塵カバー2のベアリングボックス12に対する右方向へのスライドが許容される。この場合、集塵カバー2はベアリングボックス12から取り外すことができる。
【0031】
ユーザは、集塵カバー2をベアリングボックス12に対して所望の位置まで回転させた上で、締結具64cを締めることで、集塵カバー2のベアリングボックス12に対する位置を固定することができる。締結具64cが締められると、湾曲部64aおよび円筒部66cがカバー取り付け部68に押圧されて、集塵カバー2のベアリングボックス12に対する回転が禁止される。締結具64cが緩められると、湾曲部64aおよび円筒部66cがカバー取り付け部68に押圧されなくなり、集塵カバー2のベアリングボックス12に対する回転が許容される。
【0032】
図4に示すように、右側カバー62は左側カバー60に対して、取り付けネジ70によって固定されている。右側カバー62は、ノズル54が取り付けられるノズル取り付け部72と、着脱カバー56が取り付けられる着脱カバー取り付け部74と、ベース58が取り付けられるベース取り付け部76を備えている。ノズル取り付け部72は、右側カバー62の前方上部に配置されており、着脱カバー取り付け部74は右側カバー62の右面に配置されており、ベース取り付け部76は右側カバー62の前方下部に配置されている。
【0033】
ノズル54は、屈曲した円筒形状を有している。ノズル54はノズル取り付け部72に対して、回転可能に嵌合されている。ノズル54には、集塵機(図示せず)から伸びるホース(図示せず)を取り付けることができる。
【0034】
図6に示すように、右側カバー62の着脱カバー取り付け部74には、開口部74aが形成されている。開口部74aの周縁のうち、前方側の辺74bを除く箇所には、座面部74cが形成されている。
【0035】
図7、
図8に示すように、着脱カバー56は、金属製の枠部材78と、透明な樹脂製の窓部材80を備えている。
図7に示すように、枠部材78は窓部材80の表側(右側)で窓部材80の周縁を覆い、内側を覆わない枠形状に形成されている。このため、ユーザは、グラインダ4によって切断作業を行う際に、透明な窓部材80を介して、ダイヤモンドホイール6が被切断物を切削する様子を視認することができる。また、切削粉によって窓部材80が曇ってしまった場合でも、着脱カバー56を取り外すことで、窓部材80の清掃作業を容易に行うことができる。
【0036】
枠部材78は窓部材80に対して、取り付けネジ79によって固定されている。窓部材80の前方の部分には、貫通穴80aが形成されている。ユーザは、グラインダ4によって切断作業を行う際に、切削粉によって窓部材80が曇ってしまった場合でも、貫通穴80aを介して、ダイヤモンドホイール6が被切断物を切削する様子を視認することができる。また、窓部材80の前方の縁には、開口部74aの前方の辺74bに対応して、差込片80bが形成されている。
図8に示すように、枠部材78の後方の部分には、左方に向けて突出する支持片78aが形成されている。支持片78aには、切り欠き78bが形成されている。また、窓部材80の裏側(左側)には、座面部74cに対応して、座面部80cが形成されている。
【0037】
図9に示すように、着脱カバー56は、前方の差込片80bを開口部74aの前方の辺74bで右側カバー62の内側に差し込んだ状態で、右側カバー62の座面部74cに座面部80cを載置することで、カバー本体52に取り付けられる。着脱カバー56の差込片80bが右側カバー62の内部に差し込まれていることで、着脱カバー56が意図せず外れてしまうことを防止することができる。
図10に示すように、右側カバー62の座面部74cには、凸部と凹部が形成されており、着脱カバー56の座面部80cにも、対応する凹部と凸部が形成されており、座面部74cと座面部80cによってラビリンス構造が形成されている。このため、着脱カバー56をカバー本体52に取り付けた状態で、グラインダ4によって切断作業を行う際、切削粉が着脱カバー56とカバー本体52の隙間を通って集塵カバー2の内部から外部へ漏れ出ることを抑制することができる。
【0038】
図4に示すように、着脱カバー56がカバー本体52に取り付けられた状態では、左側カバー60と、右側カバー62と、着脱カバー56によって、下方に略長方形状の開口部81を有する箱型の形状が形成される。
図9に示すように、着脱カバー56がカバー本体52に取り付けられた状態では、ダイヤモンドホイール6は、一部が開口部81から突出した状態で、カバー本体52と着脱カバー56によって周囲を覆われる。
【0039】
図4に示すように、ベース58は、側面部82と、側面部82の下方の一辺から屈曲した当接部84と、当接部84から屈曲した支持部86と、側面部82の後方の一辺から屈曲した調整部88を備えている。側面部82と支持部86は、右側カバー62のベース取り付け部76に回動軸89周りに回動可能に取り付けられている。当接部84は、被切断物と当接するベース面84aを有している。調整部88は、長孔88aを有している。
【0040】
調整部88の長孔88aには、ボルト90が貫通している。ボルト90には、ワッシャ92、94、蝶ナット96、ナット98が取り付けられている。
図11に示すように、ボルト90は、頭部が右側カバー62と左側カバー60の支持部66dの間の空間に配置されており、軸部が左側カバー60の支持部66dを貫通し、着脱カバー56の支持片78aの切り欠き78bを通過し、さらにベース58の調整部88の長孔88aを貫通しており、ネジ部が外部に突出している。ワッシャ92、94と蝶ナット96は、調整部88よりも外側から、ボルト90のネジ部に取り付けられている。なお、ナット98がボルト90のネジ部の先端に取り付けられていることで、ワッシャ92、94と蝶ナット96の脱落を防止することができる。なお、仮にナット98を取り外して、蝶ナット96、ワッシャ92、94を取り外した場合でも、ボルト90がベース58の長孔88aを貫通しているので、ベース58がカバー本体52から取り外されることはない。このような構成とすることによって、ベース58がカバー本体52から意図せずに外れてしまうことを防止することができる。
【0041】
蝶ナット96が緩められている状態では、左側カバー60の支持部66dと、着脱カバー56の支持片78aと、ベース58の調整部88は互いに締結されていない。従って、着脱カバー56はカバー本体52に対して固定されておらず、ベース58もカバー本体52に対して固定されていない。これとは異なり、蝶ナット96が締め付けられると、ボルト90の頭部とワッシャ92によって、左側カバー60の支持部66dと、着脱カバー56の支持片78aと、ベース58の調整部88が互いに締結される。従って、着脱カバー56がカバー本体52に対して固定されるとともに、ベース58もカバー本体52に対して固定される。
【0042】
グラインダ4を使用する際に、ユーザは、蝶ナット96を緩めて、カバー本体52に対するベース58の回動角度を調整することで、ベース面84aからのダイヤモンドホイール6の突出量(すなわち、ベース面84aからの切り込み深さ)を調整することができる。カバー本体52に対するベース58の回動角度を調整した後、蝶ナット96を締め付けることで、ベース58をカバー本体52に対して固定することができる。
【0043】
図1に示すように、ベース58の当接部84の前方上方には、ガイド部材100が設けられている。ガイド部材100は、ベース58に対して左右方向にスライド可能に取り付けられている。ガイド部材100の上面には、ユーザが視認可能なガイド線100aが形成されている。ユーザは、ガイド線100aがダイヤモンドホイール6による切断線と一致するように、ガイド部材100の左右方向の位置を調整しておくことで、グラインダ4によって切断作業を行う際に、被切断物の切断位置を確認することができる。ユーザは、グラインダ4によって切断作業を行う際に、ガイド線100aを墨線と合わせることで、被切断物の切断位置を墨線と合わせることができる。
【0044】
図12に示すように、ダイヤモンドホイール6がベース面84aから突出するようにベース58をカバー本体52に対して回動させた状態では、ベース58の側面部82が着脱カバー56と重なり合っている。この場合、着脱カバー56は、ベース58と右側カバー62によって挟み込まれているので、蝶ナット96を緩めた状態であっても、着脱カバー56をカバー本体52から取り外すことができない。
【0045】
これとは異なり、
図9に示すように、ダイヤモンドホイール6がベース面84aから突出しない回動角度までベース58をカバー本体52に対して回動させた状態では、ベース58の側面部82は着脱カバー56と重なり合っていない。この場合、着脱カバー56は、ベース58と右側カバー62によって挟み込まれておらず、蝶ナット96を緩めた状態とすることで、着脱カバー56をカバー本体52から取り外すことができる。
【0046】
集塵カバー2を取り付けたグラインダ4において、ダイヤモンドホイール6を交換する際には、蝶ナット96を緩めて、
図9に示すように、ダイヤモンドホイール6がベース面84aから突出しない回動角度までベース58をカバー本体52に対して回動させる。そして、
図6に示すように、着脱カバー56をカバー本体52から取り外す。その後、開口部74aを介してロックナット46を取り外した上で、ダイヤモンドホイール6をスピンドル36から取り外し、開口部74aからダイヤモンドホイール6を取り出す。そして、新しいダイヤモンドホイール6を開口部74aから差し込んで、ダイヤモンドホイール6をスピンドル36に取り付け、開口部74aを介してロックナット46を取り付ける。その後、
図9に示すように、着脱カバー56をカバー本体52に対して取り付ける。そして、ベース面84aからダイヤモンドホイール6が所望の突出量で突出するように、カバー本体52に対するベース58の回動角度を調整した後、蝶ナット96を締め付けることで、ベース58と着脱カバー56がカバー本体52に対して固定される。
【0047】
なお、本実施例の集塵カバー2では、着脱カバー56を外した状態のまま、ダイヤモンドホイール6がベース面84aから突出するようにベース58をカバー本体52に対して回動させて、グラインダ4による切断作業を行うことも可能である。
【0048】
以上のように、一実施形態に係る集塵カバー2は、ダイヤモンドホイール6(切断刃の例)を回転させるグラインダ4(切断機の例)に使用される。集塵カバー2は、ダイヤモンドホイール6の周囲を部分的に覆っており、開口部74aを有するカバー本体52と、カバー本体52に対して相対的に移動可能に取り付けられており、被切断物に当接するベース面84aを有するベース58と、開口部74aを覆うように、カバー本体52に着脱可能に取り付けられた着脱カバー56を備えている。集塵カバー2では、ベース58がカバー本体52に対して、ベース面84aからダイヤモンドホイール6が突出する位置にある場合に、着脱カバー56が着脱不能である。上記の構成では、ベース58のカバー本体52に対する相対的な位置を調整することで、ダイヤモンドホイール6のベース面84aからの突出量を調整可能である。上記の構成では、グラインダ4によって切断作業を行う際には、着脱カバー56を取り付けておくことで、着脱カバー56によってカバー本体52の開口部74aが覆われて、切削粉が外部に漏れ出ることを抑制することができる。また、上記の構成では、ダイヤモンドホイール6の交換作業を行う際には、着脱カバー56を取り外すことで、カバー本体52の開口部74aを介してダイヤモンドホイール6の交換作業を容易に行うことができる。さらに、上記の構成では、ベース面84aからダイヤモンドホイール6が突出する位置にある場合には、着脱カバー56を取り外すことが禁止される。このため、グラインダ4を用いて作業を行っている時に、誤って着脱カバー56が外れてしまうことを防止することができる。上記の集塵カバー2によれば、簡素な構成によって、ダイヤモンドホイール6を交換する際の作業性を向上することができる。
【0049】
一実施形態に係る集塵カバー2では、ダイヤモンドホイール6がロックナット46(締結具の例)によってグラインダ4に取り付けられている。
図6に示すように、集塵カバー2では、ダイヤモンドホイール6の回転軸に沿う方向から見た時に、ロックナット46が開口部74aの範囲内に含まれる。上記の構成によれば、着脱カバー56を取り外した状態で、カバー本体52の開口部74aを介してロックナット46の取り付けや取り外しを容易に行うことができる。ダイヤモンドホイール6を交換する際の作業性をより向上することができる。
【0050】
一実施形態に係る集塵カバー2では、開口部74aの最大の長さが、ダイヤモンドホイール6の直径よりも大きい。上記の構成によれば、着脱カバー56を取り外した状態で、カバー本体52の開口部74aを介してダイヤモンドホイール6の出し入れを行うことができる。ダイヤモンドホイール6を交換する際の作業性をより向上することができる。
【0051】
一実施形態に係る集塵カバー2では、着脱カバー56がカバー本体52に取り付けられる。上記の構成では、着脱カバー56がカバー本体52に取り付けられているので、ベース58をカバー本体52に対して相対的に移動させても、着脱カバー56はカバー本体52に対して相対的に移動しない。このため、着脱カバー56によるカバー本体52の開口部74aの良好な封止性を確保することができる。
【0052】
一実施形態に係る集塵カバー2では、着脱カバー56とカバー本体52の間に、ラビリンス構造が形成されている。上記の構成によれば、着脱カバー56によるカバー本体52の開口部74aのより良好な封止性を確保することができる。
【0053】
一実施形態に係る集塵カバー2では、着脱カバー56の少なくとも一部である窓部材80が、透明な材料からなる。上記の構成によれば、グラインダ4によって切断作業を行う際に、集塵カバー2の外部から、集塵カバー2の内部のダイヤモンドホイール6や被切削物の様子を視認することができる。
【0054】
一実施形態に係る集塵カバー2では、ベース58がカバー本体52に対して、ベース面84aからダイヤモンドホイール6が突出する第1位置(
図12参照)にある場合に、着脱カバー56がカバー本体52とベース58の間に挟み込まれている。集塵カバー2では、ベース58がカバー本体52に対して、ベース面84aからダイヤモンドホイール6が突出しない第2位置(
図9参照)にある場合に、着脱カバー56がカバー本体52とベース58の間に挟み込まれていない。上記の構成によれば、簡素な構成によって、ベース58のカバー本体52に対する相対的な位置に応じて、着脱カバー56が着脱可能な状態と着脱不能な状態を切り換えることができる。
【0055】
なお、上記の実施例では、着脱カバー56がカバー本体52に対して取り付けられる構成について説明したが、着脱カバー56は、ベース58に対して取り付けられる構成としてもよい。
【0056】
なお、上記の実施例では、ベース58がカバー本体52に対して回動可能である構成について説明したが、ベース58は、カバー本体52に対して並進可能であってもよい。
【0057】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。