特許第6965233号(P6965233)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6965233
(24)【登録日】2021年10月22日
(45)【発行日】2021年11月10日
(54)【発明の名称】通信装置、通信方法及び通信システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/06 20120101AFI20211028BHJP
   G06F 13/00 20060101ALI20211028BHJP
【FI】
   G06Q30/06 312
   G06F13/00 520C
【請求項の数】11
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2018-223226(P2018-223226)
(22)【出願日】2018年11月29日
(65)【公開番号】特開2020-87160(P2020-87160A)
(43)【公開日】2020年6月4日
【審査請求日】2020年11月20日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000208891
【氏名又は名称】KDDI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100166006
【弁理士】
【氏名又は名称】泉 通博
(74)【代理人】
【識別番号】100124084
【弁理士】
【氏名又は名称】黒岩 久人
(74)【代理人】
【識別番号】100153280
【弁理士】
【氏名又は名称】寺川 賢祐
(72)【発明者】
【氏名】小澤 昂
(72)【発明者】
【氏名】永井 有希
(72)【発明者】
【氏名】小頭 秀行
【審査官】 阿部 潤
(56)【参考文献】
【文献】 特開2016−157395(JP,A)
【文献】 特表2005−535988(JP,A)
【文献】 特開2004−118659(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 − 99/00
G16H 10/00 − 80/00
G06F 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザが有するユーザ端末と複数の企業が管理する複数の企業サーバとの間でのメッセージを送受信するためのメッセージングサービスを提供する通信装置であって、
前記ユーザ端末から、前記ユーザがサービスの提供を受けるためのユーザ側条件を受信する第1受信部と、
前記ユーザ側条件に基づいて、前記複数の企業の中から候補企業を特定する特定部と、
前記ユーザ側条件を、前記特定部が特定した前記候補企業の前記企業サーバへ送信する第1送信部と、
前記特定部が特定した前記候補企業の前記企業サーバから、前記ユーザ側条件に基づいて決定された前記サービスを提供するための企業側条件を受信する第2受信部と、
前記特定部が特定した前記候補企業に関連付けて前記企業側条件を表示するための表示情報を、前記ユーザ端末へ送信する第2送信部と、
を有し、
前記第2送信部は、前記特定部が複数の前記候補企業を特定した場合に、前記ユーザが前記候補企業を選択するための優先条件を受け付ける画面を表示するための情報を前記ユーザ端末へ送信し、
前記第1受信部は、前記ユーザ端末が前記画面において受け付けた前記優先条件を前記ユーザ端末から受信し、
前記特定部は、前記第1受信部が受信した前記優先条件に基づいて、複数の前記候補企業のうち一部の前記候補企業を特定する、
通信装置。
【請求項2】
前記第2送信部が前記表示情報を前記ユーザ端末へ送信した後に、前記ユーザ端末から、前記候補企業に前記サービスの提供を依頼することを示す依頼情報を受信する依頼受付部をさらに有する、請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
前記第1受信部は、前記ユーザ側条件とともに、前記ユーザ端末の位置を示す第1位置情報を受信し、
前記依頼受付部は、前記依頼情報とともに、前記第1位置情報よりも詳細な前記ユーザ端末の位置を示す第2位置情報を受信する、請求項2に記載の通信装置。
【請求項4】
前記ユーザと前記企業との間の関係を記憶する記憶部をさらに有し、
前記特定部は、前記複数の企業の中から、前記記憶部において前記ユーザとの間で所定の関係を有する前記候補企業を特定する、請求項1からのいずれか一項に記載の通信装置。
【請求項5】
前記第1受信部は、前記ユーザ側条件とともに、前記ユーザ端末の位置を示す位置情報及び前記ユーザの属性の少なくとも一方を受信し、
前記特定部は、前記位置情報及び前記属性の少なくとも一方に基づいて、前記複数の企業の中から前記候補企業を特定する、請求項1からのいずれか一項に記載の通信装置。
【請求項6】
前記第2送信部は、前記表示情報に加えて、前記サービスに関連する付加情報を、前記ユーザ端末へ送信する、請求項1からのいずれか一項に記載の通信装置。
【請求項7】
前記第1送信部は、前記第2受信部が第1の前記企業サーバから受信した前記企業側条件を、第2の前記企業サーバへ送信し、
前記第2受信部は、前記第送信部が前記企業側条件を第2の前記企業サーバへ送信した後、第2の前記企業サーバから前記企業側条件を受信する、請求項1からのいずれか一項に記載の通信装置。
【請求項8】
複数の企業が管理する複数の企業サーバと、ユーザが有するユーザ端末及び前記複数の企業サーバの間でメッセージを送受信するためのメッセージングサービスを提供する通信装置と、を含む通信システムであって、
前記通信装置は、
前記ユーザ端末から、前記ユーザがサービスの提供を受けるためのユーザ側条件を受信する第1受信部と、
前記ユーザ側条件に基づいて、前記複数の企業の中から候補企業を特定する特定部と、
前記ユーザ側条件を、前記特定部が特定した前記候補企業の前記企業サーバへ送信する第1送信部と、
前記特定部が特定した前記候補企業の前記企業サーバから、前記ユーザ側条件に基づいて決定された前記サービスを提供するための企業側条件を受信する第2受信部と、
前記特定部が特定した前記候補企業に関連付けて前記企業側条件を表示するための表示情報を、前記ユーザ端末へ送信する第2送信部と、
を有し、
前記複数の企業サーバそれぞれは、
前記通信装置から、前記ユーザ側条件を受信する受信部と、
前記ユーザ側条件に基づいて決定した前記企業側条件を、前記通信装置へ送信する送信部と、
を有
前記通信装置の前記第2送信部は、前記特定部が複数の前記候補企業を特定した場合に、前記ユーザが前記候補企業を選択するための優先条件を受け付ける画面を表示するための情報を前記ユーザ端末へ送信し、
前記通信装置の前記第1受信部は、前記ユーザ端末が前記画面において受け付けた前記優先条件を前記ユーザ端末から受信し、
前記通信装置の前記特定部は、前記第1受信部が受信した前記優先条件に基づいて、複数の前記候補企業のうち一部の前記候補企業を特定する、
通信システム。
【請求項9】
ユーザが有するユーザ端末と複数の企業が管理する複数の企業サーバとの間でのメッセージを送受信するためのメッセージングサービスを提供する通信装置が、
前記ユーザ端末から、前記ユーザがサービスの提供を受けるためのユーザ側条件を受信するステップと、
前記ユーザ側条件に基づいて、前記複数の企業の中から候補企業を特定する第1ステップと、
前記特定する第1ステップが複数の前記候補企業を特定した場合に、前記ユーザが前記候補企業を選択するための優先条件を受け付ける画面を表示するための情報を前記ユーザ端末へ送信するステップと、
前記ユーザ端末が前記画面において受け付けた前記優先条件を前記ユーザ端末から受信するステップと、
前記受信するステップが受信した前記優先条件に基づいて、複数の前記候補企業のうち一部の前記候補企業を特定する第2ステップと、
前記ユーザ側条件を、前記特定する第1ステップ又は前記特定する第2ステップが特定した前記候補企業の前記企業サーバへ送信するステップと、
前記特定する第1ステップ又は前記特定する第2ステップが特定した前記候補企業の前記企業サーバから、前記ユーザ側条件に基づいて決定された前記サービスを提供するための企業側条件を受信するステップと、
前記特定する第1ステップ又は前記特定する第2ステップが特定した前記候補企業に関連付けて前記企業側条件を表示するための表示情報を、前記ユーザ端末へ送信するステップと、
を実行する通信方法。
【請求項10】
ユーザが有するユーザ端末と複数の企業が管理する複数の企業サーバとの間でのメッセージを送受信するためのメッセージングサービスを提供する通信装置であって、
前記ユーザ端末から、前記ユーザがサービスの提供を受けるためのユーザ側条件と、前記ユーザ端末の位置を示す第1位置情報と、を受信する第1受信部と、
前記ユーザ側条件に基づいて、前記複数の企業の中から候補企業を特定する特定部と、
前記ユーザ側条件を、前記特定部が特定した前記候補企業の前記企業サーバへ送信する第1送信部と、
前記特定部が特定した前記候補企業の前記企業サーバから、前記ユーザ側条件に基づいて決定された前記サービスを提供するための企業側条件を受信する第2受信部と、
前記特定部が特定した前記候補企業に関連付けて前記企業側条件を表示するための表示情報を、前記ユーザ端末へ送信する第2送信部と、
前記第2送信部が前記表示情報を前記ユーザ端末へ送信した後に、前記ユーザ端末から、前記候補企業に前記サービスの提供を依頼することを示す依頼情報と、前記第1位置情報よりも詳細な前記ユーザ端末の位置を示す第2位置情報と、を受信する依頼受付部と、
を有する通信装置。
【請求項11】
ユーザが有するユーザ端末と複数の企業が管理する複数の企業サーバとの間でのメッセージを送受信するためのメッセージングサービスを提供する通信装置であって、
前記ユーザ端末から、前記ユーザがサービスの提供を受けるためのユーザ側条件を受信する第1受信部と、
前記ユーザ側条件に基づいて、前記複数の企業の中から候補企業を特定する特定部と、
前記ユーザ側条件を、前記特定部が特定した前記候補企業の前記企業サーバへ送信する第1送信部と、
前記特定部が特定した前記候補企業の前記企業サーバから、前記ユーザ側条件に基づいて決定された前記サービスを提供するための企業側条件を受信する第2受信部と、
前記特定部が特定した前記候補企業に関連付けて前記企業側条件を表示するための表示情報を、前記ユーザ端末へ送信する第2送信部と、
を有し、
前記第1送信部は、前記第2受信部が第1の前記企業サーバから受信した前記企業側条件を、第2の前記企業サーバへ送信し、
前記第2受信部は、前記第1送信部が前記企業側条件を第2の前記企業サーバへ送信した後、第2の前記企業サーバから前記企業側条件を受信する、
通信装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メッセージを送受信するためのメッセージングサービスを提供する通信装置、通信方法及び通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
メッセージを送受信するためのメッセージングサービスにおいて、ユーザがユーザ端末上で企業に対してメッセージを送信することによって、企業によって提供されるサービスの予約、注文、問い合わせ等を行うことが可能なシステムが知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017−62850号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
企業は、メッセージングサービスにおいてユーザから受信したメッセージに応じて、企業が提供するサービスに関する情報(例えば料金や時間等)をユーザに提供できる。従来、メッセージングサービスにおいて、ユーザは一度に1つの企業に対してメッセージを送信可能である。ユーザは、複数の企業から同種のサービスに関する情報を得たい場合に、各企業にメッセージを送信する必要があるため、大きな手間が掛かっていた。
【0005】
本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、メッセージングサービスにおいてユーザが企業からサービスに関する情報を得るための手間を軽減できる通信装置、通信方法及び通信システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様の通信装置は、ユーザが有するユーザ端末と複数の企業が管理する複数の企業サーバとの間でのメッセージを送受信するためのメッセージングサービスを提供する通信装置であって、前記ユーザ端末から、前記ユーザがサービスの提供を受けるためのユーザ側条件を受信する第1受信部と、前記ユーザ側条件に基づいて、前記複数の企業の中から候補企業を特定する特定部と、前記ユーザ側条件を、前記特定部が特定した前記候補企業の前記企業サーバへ送信する第1送信部と、前記特定部が特定した前記候補企業の前記企業サーバから、前記ユーザ側条件に基づいて決定された前記サービスを提供するための企業側条件を受信する第2受信部と、前記特定部が特定した前記候補企業に関連付けて前記企業側条件を表示するための表示情報を、前記ユーザ端末へ送信する第2送信部と、を有する。
【0007】
前記通信装置は、前記第2送信部が前記表示情報を前記ユーザ端末へ送信した後に、前記ユーザ端末から、前記候補企業に前記サービスの提供を依頼することを示す依頼情報を受信する依頼受付部をさらに有してもよい。
【0008】
前記第1受信部は、前記ユーザ側条件とともに、前記ユーザ端末の位置を示す第1位置情報を受信し、前記依頼受付部は、前記依頼情報とともに、前記第1位置情報よりも詳細な前記ユーザ端末の位置を示す第2位置情報を受信してもよい。
【0009】
前記第1受信部は、前記特定部が複数の前記候補企業を特定した場合に、前記ユーザが前記候補企業を選択するための優先条件を前記ユーザ端末から受信し、前記特定部は、前記優先条件に基づいて、複数の前記候補企業のうち一部の前記候補企業を特定してもよい。
【0010】
前記通信装置は、前記ユーザと前記企業との間の関係を記憶する記憶部をさらに有し、前記特定部は、前記複数の企業の中から、前記記憶部において前記ユーザとの間で所定の関係を有する前記候補企業を特定してもよい。
【0011】
前記第1受信部は、前記ユーザ側条件とともに、前記ユーザ端末の位置を示す位置情報及び前記ユーザの属性の少なくとも一方を受信し、前記特定部は、前記位置情報及び前記属性の少なくとも一方に基づいて、前記複数の企業の中から前記候補企業を特定してもよい。
【0012】
前記第2送信部は、前記表示情報に加えて、前記サービスに関連する付加情報を、前記ユーザ端末へ送信してもよい。
【0013】
前記第1送信部は、前記第2受信部が第1の前記企業サーバから受信した前記企業側条件を、第2の前記企業サーバへ送信し、前記第2受信部は、前記第2送信部が前記企業側条件を第2の前記企業サーバへ送信した後、第2の前記企業サーバから前記企業側条件を受信してもよい。
【0014】
本発明の第2の態様の通信システムは、複数の企業が管理する複数の企業サーバと、ユーザが有するユーザ端末及び前記複数の企業サーバの間でメッセージを送受信するためのメッセージングサービスを提供する通信装置と、を含む通信システムであって、前記通信装置は、前記ユーザ端末から、前記ユーザがサービスの提供を受けるためのユーザ側条件を受信する第1受信部と、前記ユーザ側条件に基づいて、前記複数の企業の中から候補企業を特定する特定部と、前記ユーザ側条件を、前記特定部が特定した前記候補企業の前記企業サーバへ送信する第1送信部と、前記特定部が特定した前記候補企業の前記企業サーバから、前記ユーザ側条件に基づいて決定された前記サービスを提供するための企業側条件を受信する第2受信部と、前記特定部が特定した前記候補企業に関連付けて前記企業側条件を表示するための表示情報を、前記ユーザ端末へ送信する第2送信部と、を有し、前記複数の企業サーバそれぞれは、前記通信装置から、前記ユーザ側条件を受信する受信部と、前記ユーザ側条件に基づいて決定した前記企業側条件を、前記通信装置へ送信する送信部と、を有する。
【0015】
本発明の第3の態様の通信方法は、ユーザが有するユーザ端末と複数の企業が管理する複数の企業サーバとの間でのメッセージを送受信するためのメッセージングサービスを提供する通信装置が、前記ユーザ端末から、前記ユーザがサービスの提供を受けるためのユーザ側条件を受信するステップと、前記ユーザ側条件に基づいて、前記複数の企業の中から候補企業を特定するステップと、前記ユーザ側条件を、前記特定するステップが特定した前記候補企業の前記企業サーバへ送信するステップと、前記特定するステップが特定した前記候補企業の前記企業サーバから、前記ユーザ側条件に基づいて決定された前記サービスを提供するための企業側条件を受信するステップと、前記特定するステップが特定した前記候補企業に関連付けて前記企業側条件を表示するための表示情報を、前記ユーザ端末へ送信するステップと、を実行する。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、メッセージングサービスにおいてユーザが企業からサービスに関する情報を得るための手間を軽減できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】実施形態に係る通信システムの模式図である。
図2】実施形態に係る事業者サーバのブロック図である。
図3】実施形態に係る企業サーバ及びユーザ端末のブロック図である。
図4】実施形態に係る通信システムが行う通信方法の模式図である。
図5】ユーザ側条件の指定を受け付ける画面を表示しているユーザ端末の正面図である。
図6】企業側条件を表示する画面を表示しているユーザ端末の正面図である。
図7】実施形態に係る通信システムが行う通信方法のシーケンス図である。
図8】企業側条件を表示する画面を表示しているユーザ端末の正面図である。
図9】優先条件の指定を受け付ける画面を表示しているユーザ端末の正面図である。
図10】変形例に係る通信システムが行う通信方法の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
[通信システムSの概要]
図1は、本実施形態に係る通信システムSの模式図である。通信システムSは、事業者サーバ1と、複数の企業サーバ2と、ユーザ端末3とを含む。通信システムSが含む企業サーバ2及びユーザ端末3の数は限定されない。通信システムSは、その他のサーバ、端末等の機器を含んでもよい。
【0019】
事業者サーバ1(通信装置)は、事業者(例えば通信事業者等)が管理するコンピュータである。事業者サーバ1は、通信によってメッセージを送受信するためのメッセージングサービス(メッセージサービス、メッセンジャサービスともいう)を、企業サーバ2及びユーザ端末3に提供する。メッセージングサービスは、例えばRCS(Rich Communication Services)である。
【0020】
複数の企業サーバ2は、それぞれ企業が管理するコンピュータである。企業は、メッセージングサービスの提供を受ける組織である。企業サーバ2は、企業ごとに設けられてもよく、企業が提供する異なるサービスごとに設けられてもよい。複数の企業サーバ2は、それぞれ事業者サーバ1との間で通信を行う。
【0021】
ユーザ端末3は、ユーザが有する通信端末である。ユーザ端末3は、例えばパーソナルコンピュータや、スマートフォン、タブレット端末等の携帯端末である。ユーザは、メッセージングサービスの提供を受ける人間である。ユーザ端末3は、事業者サーバ1との間で通信を行う。
【0022】
まず、ユーザは、事業者サーバ1を管理する事業者と通信サービス等の契約をしている。ユーザ端末3は、事業者が提供するメッセージングサービスにおいて、ユーザがサービスの提供を受けるための条件(ユーザ側条件という)を事業者サーバ1へ送信する。ユーザ側条件は、例えばサービスの種類、サービスが提供される場所、サービスが提供される時間(希望時間)、サービスの料金範囲等である。
【0023】
事業者サーバ1は、ユーザ端末3から受信したユーザ側条件に基づいて、複数の企業サーバ2を管理する複数の企業の中から、1つ又は複数の候補企業を特定する。事業者サーバ1は、ユーザ端末3から受信したユーザ側条件を、1つ又は複数の候補企業の企業サーバ2へ送信する。
【0024】
企業サーバ2は、事業者サーバ1から受信したユーザ側条件に基づいて、企業がユーザへサービスを提供するための条件(企業側条件という)を決定し、事業者サーバ1へ送信する。企業側条件は、例えばサービスの料金、サービスが提供される時間(待ち時間)等である。
【0025】
事業者サーバ1は、企業サーバ2から受信した企業側条件に基づいて、1つ又は複数の候補企業それぞれに関連付けて企業側条件を表示するための表示情報を生成し、ユーザ端末3へ送信する。ユーザ端末3は、事業者サーバ1から受信した表示情報に基づいて、企業側条件を表示する。
【0026】
このように通信システムSにおいて、ユーザ端末3が事業者サーバ1へユーザ側条件を送信すると、事業者サーバ1は1つ又は複数の候補企業を特定し、特定した候補企業の企業側条件をユーザ端末3へ返信する。ユーザは、複数の企業それぞれにユーザ側条件を送信する必要がない。そのため、通信システムSはユーザが企業からサービスに関する情報を得るための手間を軽減できる。
【0027】
[通信システムSの構成]
図2は、本実施形態に係る事業者サーバ1のブロック図である。図2において、矢印は主なデータの流れを示しており、図2に示していないデータの流れがあってよい。図2において、各ブロックはハードウェア(装置)単位の構成ではなく、機能単位の構成を示している。そのため、図2に示すブロックは単一の装置内に実装されてよく、あるいは複数の装置内に分かれて実装されてよい。ブロック間のデータの授受は、データバス、ネットワーク、可搬記憶媒体等、任意の手段を介して行われてよい。
【0028】
事業者サーバ1は、制御部11と、記憶部12とを有する。制御部11は、第1受信部111と、特定部112と、第1送信部113と、第2受信部114と、第2送信部115と、依頼受付部116とを有する。
【0029】
記憶部12は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、ハードディスクドライブ等を含む記憶媒体である。記憶部12は、制御部11が実行するプログラムを予め記憶している。記憶部12は、事業者サーバ1の外部に設けられてもよく、その場合にネットワークを介して制御部11との間でデータの授受を行ってもよい。
【0030】
制御部11は、例えばCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサであり、記憶部12に記憶されたプログラムを実行することにより、第1受信部111、特定部112、第1送信部113、第2受信部114、第2送信部115及び依頼受付部116として機能する。制御部11の機能の少なくとも一部は、電気回路によって実行されてもよい。また、制御部11の機能の少なくとも一部は、ネットワーク経由で実行されるプログラムによって実行されてもよい。
【0031】
図3は、本実施形態に係る企業サーバ2及びユーザ端末3のブロック図である。図3において、矢印は主なデータの流れを示しており、図3に示していないデータの流れがあってよい。図3において、各ブロックはハードウェア(装置)単位の構成ではなく、機能単位の構成を示している。そのため、図3に示すブロックは単一の装置内に実装されてよく、あるいは複数の装置内に分かれて実装されてよい。ブロック間のデータの授受は、データバス、ネットワーク、可搬記憶媒体等、任意の手段を介して行われてよい。
【0032】
企業サーバ2は、制御部21と、記憶部22とを有する。制御部21は、受信部211と、送信部212とを有する。記憶部22は、ROM、RAM、ハードディスクドライブ等を含む記憶媒体である。記憶部22は、制御部21が実行するプログラムを予め記憶している。記憶部22は、企業サーバ2の外部に設けられてもよく、その場合にネットワークを介して制御部21との間でデータの授受を行ってもよい。
【0033】
制御部21は、例えばCPU等のプロセッサであり、記憶部22に記憶されたプログラムを実行することにより、受信部211及び送信部212として機能する。制御部21の機能の少なくとも一部は、電気回路によって実行されてもよい。また、制御部21の機能の少なくとも一部は、ネットワーク経由で実行されるプログラムによって実行されてもよい。
【0034】
ユーザ端末3は、制御部31と、記憶部32と、表示部33と、操作部34とを有する。制御部31は、送信部311と、受信部312とを有する。表示部33は、液晶ディスプレイ等、情報を表示可能な表示装置を含む。操作部34は、キーボード、マウス等、ユーザの操作によって情報を入力可能な操作装置を含む。表示部33としてユーザによる接触の位置を検出可能なタッチスクリーンを用いることによって、表示部33と操作部34とを一体に構成してもよい。
【0035】
記憶部32は、ROM、RAM、ハードディスクドライブ等を含む記憶媒体である。記憶部32は、制御部31が実行するプログラムを予め記憶している。記憶部32は、ユーザ端末3の外部に設けられてもよく、その場合にネットワークを介して制御部31との間でデータの授受を行ってもよい。
【0036】
制御部31は、例えばCPU等のプロセッサであり、記憶部32に記憶されたプログラムを実行することにより、送信部311及び受信部312として機能する。制御部31の機能の少なくとも一部は、電気回路によって実行されてもよい。また、制御部31の機能の少なくとも一部は、ネットワーク経由で実行されるプログラムによって実行されてもよい。
【0037】
本実施形態に係る事業者サーバ1、企業サーバ2及びユーザ端末3は、図2図3に示す具体的な構成に限定されない。事業者サーバ1、企業サーバ2及びユーザ端末3は、それぞれ1つの装置に限られず、2つ以上の物理的に分離した装置が有線又は無線で接続されることにより構成されてもよい。
【0038】
[通信方法の説明]
図4は、本実施形態に係る通信システムSが行う通信方法の模式図である。ユーザがサービスに関する情報を得たい場合に、ユーザ端末3において、送信部311は、ユーザからユーザ側条件の指定を受け付け、事業者サーバ1へ送信する(a)。具体的には、ユーザ端末3は、メッセージングサービスの提供を受けるためのアプリケーション(プログラム)を実行することによって、ユーザ側条件の指定を受け付ける画面を表示部33上に表示する。ユーザ側条件は、例えばサービスの種類、サービスが提供される場所、サービスが提供される時間(希望時間)、サービスの料金範囲等である。
【0039】
図5(a)、図5(b)は、ユーザ側条件の指定を受け付ける画面を表示しているユーザ端末3の正面図である。ユーザ側条件の指定を受け付ける画面は、メッセージングサービスにおいてメッセージを送受信する画面と共通である。すなわち、ユーザは、メッセージングサービスにおいてメッセージを送受信する画面において、企業からサービスに関する情報を得ることができる。
【0040】
ユーザ側条件の指定を受け付ける画面は、ユーザ側条件を指定するための指定欄331と、ユーザ側条件を表示するユーザ側条件表示欄332とを含む。指定欄331は、ユーザ側条件を表す文字列を入力する入力欄と、ユーザが押下可能な仮想的なボタン(アイコン)とを含む。入力欄には、ユーザ側条件が文(すなわち自然言語)によって入力される。
【0041】
指定欄331は、ここに示した態様に限られず、ユーザ側条件を示す複数の選択肢からいずれかを選択可能な選択欄(すなわちボタンやリスト)であってもよい。選択欄は、サービスの種類、サービスが提供される場所、サービスが提供される時間、サービスの料金範囲等の個々の条件ごとに設けられる。
【0042】
ユーザは、ユーザ端末3の操作部34を用いて、指定欄331においてユーザ側条件を指定し、ボタンを押下する。サービスの種類は、例えばタクシーの手配、ホテルの予約、商品の購入予約等である。
【0043】
ボタンが押下された場合に、ユーザ端末3の送信部311は、指定欄331において指定されたユーザ側条件を、事業者サーバ1へ送信する。さらに送信部311は、ユーザ側条件に加えて、ユーザ端末3の現在位置を示す位置情報及びユーザのユーザ属性を事業者サーバ1へ送信してもよい。位置情報は、例えばGPS(Global Positioning System)によって取得される。ユーザ属性は、例えばユーザの性別、年齢、住所、職業のうち少なくとも1つである。位置情報及びユーザ属性は、ユーザ側条件と一緒に事業者サーバ1へ送信されてもよく、あるいはユーザ側条件とは独立して事業者サーバ1へ送信されてもよい。
【0044】
また、ユーザ端末3は、送信部311が送信したユーザ側条件を、ユーザ側条件表示欄332に表示する。図5(a)の例では、「東京駅までタクシーで行く」というユーザ側条件が表示されている。図5(b)の例では、「明日、東京駅付近で泊まれるホテルを予約する」ユーザ側条件が表示されている。
【0045】
図4に戻り、事業者サーバ1において、第1受信部111は、ユーザ端末3が送信したユーザ側条件を受信する。また、第1受信部111は、ユーザ端末3が送信した位置情報及びユーザ属性を受信する。特定部112は、第1受信部111が受信したユーザ側条件に基づいて、事業者サーバ1と通信する複数の企業サーバ2を管理する複数の企業の中から、1つ又は複数の候補企業を特定する(b)。
【0046】
具体的には、記憶部12は、事業者サーバ1と通信する複数の企業サーバ2を管理する複数の企業それぞれに関連付けて、企業がユーザ側条件を受け取るための連絡条件を予め記憶している。連絡条件は、例えばサービスの種類、サービスが提供される場所、ユーザ属性等である。連絡条件は、各企業によって設定されてもよく、事業者によって設定されてもよい。
【0047】
特定部112は、第1受信部111が受信したユーザ側条件を、コンピュータが解釈可能な個々の条件に分割する。ユーザ側条件がユーザ端末3の入力欄に入力された文字列(文)によって表されている場合には、特定部112は、ユーザ側条件を表す文字列に対して既知の自然言語処理を行う。これにより、特定部112は、ユーザ側条件を表す文字列を、サービスの種類、サービスが提供される場所、サービスが提供される時間、サービスの料金範囲等の個々の条件に分割する。
【0048】
ユーザ側条件がユーザ端末3の選択欄で選択された選択肢によって表されている場合には、特定部112は、選択された選択肢に基づいて、ユーザ側条件をサービスの種類、サービスが提供される場所、サービスが提供される時間、サービスの料金範囲等の個々の条件に分割する。
【0049】
そして特定部112は、ユーザ側条件の個々の条件を、記憶部12において企業に関連付けられた連絡条件と比較することによって、候補企業を特定する。例えば特定部112は、企業の連絡条件が示すサービスの種類にユーザ側条件が示すサービスの種類が合致しており、かつ企業の連絡条件が示す場所にユーザ側条件が示す場所が含まれている場合に、該企業を候補企業として特定する。また、連絡条件として、サービスが提供される時間や、サービスの料金等を用いてもよい。
【0050】
また、特定部112は、ユーザ側条件に基づいて特定した候補企業の中から、第1受信部111が受信した位置情報及びユーザ属性の少なくとも一方に基づいて、候補企業を特定してもよい。例えば特定部112は、企業の連絡条件が示す場所にユーザ端末3から受信した現在位置が含まれている場合、又は企業の連絡条件が示すユーザ属性にユーザ端末3から受信したユーザ属性が含まれている場合に、該企業を候補企業として特定する。
【0051】
また、特定部112は、ユーザ側条件に基づいて特定した候補企業の中から、ユーザと企業との間の関係に基づいて、候補企業を特定してもよい。この場合に、記憶部12には、予めユーザと企業との間の関係が記憶されている。ユーザと企業との間の関係は、例えばユーザが企業に対してユーザ登録をしていることや、ユーザと企業との間で友達関係が設定されていることである。特定部112は、記憶部12においてユーザとの間で所定の関係(例えば上述のユーザ登録又は友達関係)を有する企業を、候補企業として特定する。
【0052】
また、特定部112は、ユーザ側条件に基づいて特定した候補企業の中から、ユーザが企業を利用した利用履歴に基づいて、候補企業を特定してもよい。この場合に、記憶部12には、予めユーザが企業を利用した利用履歴が、企業と関連付けて記憶されている。利用履歴は、例えばユーザが過去に企業に対して予約や注文をした履歴である。特定部112は、記憶部12においてユーザの利用履歴が所定の条件(例えばユーザが1回以上利用した企業)を満たす企業を、候補企業として特定する。
【0053】
また、特定部112は、ユーザ側条件に基づいて特定した候補企業の中から、企業と事業者との間の広告契約に基づいて、候補企業を特定してもよい。この場合に、記憶部12には、予め企業と事業者との間の広告契約の情報が、企業と関連付けて記憶されている。特定部112は、記憶部12において広告契約が所定の条件(例えば広告契約がある、又は広告契約の料金が所定値以上である)を満たす企業を、候補企業として特定する。
【0054】
このように、特定部112がユーザ側条件等に基づいて、ユーザ側条件の送信先とする候補企業を絞り込めるため、ユーザ側条件を多数の企業サーバ2へ無駄に送信することを抑制できる。
【0055】
また、特定部112は、上述のユーザ側条件、位置情報、ユーザ属性、ユーザと企業との間の関係、利用履歴(過去の利用回数又は利用料金)及び広告契約(広告契約の料金)のうち少なくとも1つに基づいて、候補企業の優先度を決定してもよい。特定部112は、所定数以上の候補企業を特定した場合に、候補企業の優先度が高い順に所定数の候補企業を特定する。これにより、多数の候補企業が特定された場合であっても、候補企業を絞り込めるため、ユーザ側条件を多数の企業サーバ2へ無駄に送信することを抑制できる。
【0056】
第1送信部113は、ユーザ側条件(すなわちユーザ側条件が示す個々の条件)を、特定部112が特定した各候補企業の企業サーバ2へ送信する(c)。このとき、第1送信部113は、ユーザ側条件に加えて、ユーザに関する情報を企業サーバ2へ送信してもよい。ユーザに関する情報は、ユーザのユーザ属性、又はユーザの識別情報(ユーザID、会員番号等)である。
【0057】
各候補企業の企業サーバ2において、受信部211は、事業者サーバ1が送信したユーザ側条件を受信する。また、受信部211は、事業者サーバ1が送信したユーザに関する情報を受信する。
【0058】
送信部212は、受信部211が受信したユーザ側条件に基づいて決定した企業側条件を、事業者サーバ1へ送信する(d)。企業側条件は、例えばサービスの料金、サービスが提供される時間(待ち時間)等である。このとき、企業側条件は、企業サーバ2によって自動的に決定されてもよく、企業サーバ2を操作するオペレータ(人間)によって手動で入力されてもよい。
【0059】
企業側条件が自動的に決定される場合に、記憶部22には、ユーザ側条件(ユーザ側条件が示す個々の条件)に基づいて企業側条件を決定するための情報(例えば料金表)が予め記憶されている。そして送信部212は、記憶部22に記憶された情報に基づいて受信部211が受信したユーザ側条件に対応する企業側条件を決定し、事業者サーバ1へ送信する。
【0060】
例えば「東京駅までタクシーで行く」というユーザ側条件の場合に、送信部212は、ユーザ端末3の現在位置から東京駅までの道のりに対応するタクシーの料金を記憶部22に記憶された情報に基づいて算出し、企業側条件として事業者サーバ1へ送信する。また、例えば「明日、東京駅付近で泊まれるホテルを予約する」というユーザ側条件の場合に、送信部212は、明日の日付でのホテルの宿泊の料金を記憶部22に記憶された情報に基づいて算出し、企業側条件として事業者サーバ1へ送信する。
【0061】
企業側条件が手動で入力される場合に、企業サーバ2は、企業サーバ2が備える表示部上に、ユーザ側条件を表示する。企業サーバ2のオペレータは、ユーザ側条件を参照して企業側条件を決定し、企業サーバ2が備える操作部を用いて企業側条件を入力する。そして送信部212は、入力された企業側条件を、事業者サーバ1へ送信する。
【0062】
送信部212は、受信部211が受信したユーザに関する情報に基づいて、企業側条件を変更してもよい。例えば送信部212は、ユーザに関する情報が所定の条件(例えばユーザが企業に対してユーザ登録をしていることや、ユーザと企業との間で友達関係が設定されていること)を満たす場合に、企業側条件が示すサービスの料金から所定値を減算する。これにより、企業は特定のユーザに対して特典を付与し、利用を促進できる。
【0063】
事業者サーバ1において、第2受信部114は、各候補企業の企業サーバ2が送信した企業側条件を受信する。第2送信部115は、第2受信部114が受信した企業側条件を各候補企業に関連付けて表示するための表示情報を、ユーザ端末3へ送信する(e)。表示情報は、各候補企業の名称と、各候補企業の企業側条件とを関連付けて含む情報である。
【0064】
このとき第2送信部115は、第2受信部114が所定期間内に受信した企業側条件をまとめて表示するための表示情報を、ユーザ端末3へ送信してもよい。所定期間は、例えば第1送信部113がユーザ側条件を各企業サーバ2へ送信してから2分以内である。これにより、ユーザは複数の候補企業の企業側条件をまとめて見ることができ、便利である。また、第2受信部114は所定期間経過後に受信した企業側条件をユーザ端末3へ送信せずに破棄してもよい。これにより、ユーザは、候補企業からの回答を待ち続ける必要がない。
【0065】
あるいは第2送信部115は、第2受信部114が1つの候補企業の企業サーバ2から企業側条件を受信する度に、該企業側条件を表示するための表示情報を、ユーザ端末3へ送信してもよい。これにより、ユーザが企業からの回答を得るまでの待ち時間を短縮できる。
【0066】
また、第2送信部115は、ユーザによって設定された最大値に基づいて、ユーザ端末3へ送信する企業側条件の数を絞り込んでもよい。この場合に、記憶部12には、ユーザ端末3から予め受信した最大値が記憶されている。第2送信部115は、第2受信部114が最大値を超える数の企業側条件を企業サーバ2から受信した場合に、最大値以内の分の企業側条件を表示するための表示情報をユーザ端末3へ送信し、最大値を超える分の企業側条件をユーザ端末3へ送信せずに破棄する。これにより、ユーザ端末3の表示部33に表示される企業側条件の数を制限できるため、画面の視認性を向上できる。
【0067】
特定部112が上述の優先度を決定した場合に、第2送信部115は、優先度に基づいて表示情報に含まれる複数の候補企業の並び順を変更してもよい。例えば第2送信部115は、優先度が高い順に表示情報に含まれる複数の候補企業を並べる。これにより、事業者は、特定の企業の利用を促進できる。
【0068】
ユーザ端末3において、受信部312は、事業者サーバ1が送信した表示情報を受信する。そしてユーザ端末3は、受信部312が受信した表示情報に基づいて、企業側条件を表示する画面を表示部33上に表示する(f)。ユーザ端末3は、企業側条件を表示する画面上で、サービスの提供を依頼するいずれかの候補企業の指定をユーザから受け付ける。
【0069】
図6は、企業側条件を表示する画面を表示しているユーザ端末3の正面図である。企業側条件を表示する画面は、図5(a)、図5(b)に示したユーザ側条件の指定を受け付ける画面に引き続いて表示される。企業側条件を表示する画面は、図5(a)、図5(b)の指定欄331及びユーザ側条件表示欄332に加えて、企業側条件表示欄333と、依頼受付欄334とを含む。
【0070】
ユーザ端末3は、受信部312が受信した表示情報に基づいて、各候補企業の名称と、各候補企業の企業側条件とを関連付けて、企業側条件表示欄333に表示する。図6の例では、企業側条件表示欄333は、各候補企業の名称と、各候補企業の料金とを含んでいる。企業側条件表示欄333は、その他の情報を含んでもよい。
【0071】
依頼受付欄334は、ユーザが企業側条件表示欄333に表示されたいずれかの候補企業を依頼先として指定するための、ユーザが押下可能な仮想的なボタン(アイコン)を含む。各ボタンは、各候補企業に対応している。ユーザは、企業側条件表示欄333に表示されたいずれかの候補企業にサービスの提供を依頼したい場合に、ユーザ端末3の操作部34を用いて、依頼先の候補企業に対応するボタンを押下する。
【0072】
依頼受付欄334は、ここに示した態様に限られず、その他の方法によって依頼先の候補企業の指定を受け付けてもよい。例えば、指定欄331が依頼受付欄334を兼ねることによって、ユーザは指定欄331において依頼先の候補企業を表す文字列(文)を入力し、又は依頼先の候補企業を表す選択肢を選択してもよい。
【0073】
図4に戻り、依頼受付欄334においていずれかの候補企業が指定された場合に、ユーザ端末3の送信部311は、依頼受付欄334において指定された依頼先の候補企業を示す依頼情報を、事業者サーバ1へ送信する(g)。
【0074】
さらに送信部311は、依頼情報に加えて、ユーザ側条件とともに送信した位置情報(第1位置情報)よりも詳細な、ユーザ端末3の現在位置を示す位置情報(第2位置情報)を、事業者サーバ1へ送信してもよい。すなわち、ユーザ端末3は、ユーザが不特定の企業からサービスの情報を得る段階では粗い位置情報を送信し、ユーザがいずれかの候補企業へ依頼する段階では詳細な位置情報を送信する。これにより、ユーザの詳細な位置が不特定の相手に知られることを抑制できるとともに、依頼先の候補企業はユーザの詳細な位置を把握して正確にサービスを提供できる。
【0075】
事業者サーバ1において、依頼受付部116は、ユーザ端末3が送信した依頼情報を受信する。また、依頼受付部116は、ユーザ端末3が送信した位置情報を受信する。そして依頼受付部116は、依頼を行ったユーザに関する情報(ユーザの識別情報やユーザの連絡先)と、ユーザ端末3の位置情報とを、依頼情報が示す依頼先の候補企業の企業サーバ2へ送信する。これにより、依頼先の候補企業は、ユーザへサービスを提供することができるようになる。
【0076】
さらに依頼受付部116は、依頼情報を受信した後に、依頼先の候補企業が提供するサービスに関する詳細な情報(例えば依頼先の候補企業の連絡先やサービスの提供を受ける場所)をユーザ端末3へ送信してもよい。これによりユーザ端末3は、企業側条件表示欄333に表示されていない候補企業に関する詳細な情報をさらに表示できる。
【0077】
[通信方法のシーケンス]
図7は、本実施形態に係る通信システムSが行う通信方法のシーケンス図である。ユーザがサービスに関する情報を得たい場合に、ユーザ端末3において、送信部311は、ユーザからユーザ側条件の指定を受け付け、事業者サーバ1へ送信する(S11)。
【0078】
事業者サーバ1において、第1受信部111は、ユーザ端末3が送信したユーザ側条件を受信する。特定部112は、第1受信部111が受信したユーザ側条件に基づいて、事業者サーバ1と通信する複数の企業サーバ2を管理する複数の企業の中から、1つ又は複数の候補企業を特定する(S12)。第1送信部113は、ユーザ側条件を、特定部112が特定した各候補企業の企業サーバ2へ送信する(S13)。
【0079】
各候補企業の企業サーバ2において、受信部211は、事業者サーバ1が送信したユーザ側条件を受信する。送信部212は、受信部211が受信したユーザ側条件に基づいて決定した企業側条件を、事業者サーバ1へ送信する(S14)。このとき、企業側条件は、企業サーバ2によって自動的に決定されてもよく、企業サーバ2を操作するオペレータによって手動で入力されてもよい。
【0080】
事業者サーバ1において、第2受信部114は、各候補企業の企業サーバ2が送信した企業側条件を受信する。第2送信部115は、第2受信部114が受信した企業側条件を各候補企業に関連付けて表示するための表示情報を、ユーザ端末3へ送信する(S15)。
【0081】
ユーザ端末3において、受信部312は、事業者サーバ1が送信した表示情報を受信する。そしてユーザ端末3は、受信部312が受信した表示情報に基づいて、企業側条件を表示する画面を表示部33上に表示する(S16)。
【0082】
ユーザ端末3は、企業側条件を表示する画面上で、サービスの提供を依頼するいずれかの候補企業の指定をユーザから受け付ける。ユーザ端末3の送信部311は、ユーザによって指定された依頼先の候補企業を示す依頼情報を、事業者サーバ1へ送信する(S17)。
【0083】
依頼受付部116は、ユーザ端末3が送信した依頼情報を受信する(S18)。そして依頼受付部116は、依頼を行ったユーザに関する情報を、依頼情報が示す依頼先の候補企業の企業サーバ2へ送信する。
【0084】
[第1の変形例]
本変形例では、事業者サーバ1は、企業側条件の表示情報に加えて、サービスに関連する付加情報をユーザ端末へ送信する。本変形例に係る事業者サーバ1において、第2受信部114は、各候補企業の企業サーバ2が送信した企業側条件を受信する。第2送信部115は、企業側条件に基づいて、サービスに関連する付加情報を決定する。付加情報は、例えば候補企業がユーザへ提供する特典(割引やプレゼント等)を示す情報である。付加情報は、候補企業から企業側条件とともに受信されてもよく、あるいは予め記憶部12に企業側条件と関連付けて記憶されてもよい。
【0085】
そして第2送信部115は、第2受信部114が受信した企業側条件を各候補企業に関連付けて表示するための表示情報と、決定した付加情報とを、ユーザ端末3へ送信する。
【0086】
ユーザ端末3において、受信部312は、事業者サーバ1が送信した表示情報及び付加情報を受信する。そしてユーザ端末3は、受信部312が受信した表示情報及び付加情報に基づいて、企業側条件を表示する画面を表示部33上に表示する。
【0087】
図8は、企業側条件を表示する画面を表示しているユーザ端末3の正面図である。企業側条件を表示する画面は、図6の指定欄331、ユーザ側条件表示欄332、企業側条件表示欄333及び依頼受付欄334に加えて、付加情報表示欄335を含む。
【0088】
ユーザ端末3は、受信部312が受信した付加情報を、付加情報表示欄335に表示する。図8の例では、付加情報表示欄335は、候補企業の名称と、候補企業が提供するユーザへの特典とを含んでいる。付加情報表示欄335は、その他の情報を含んでもよい。
【0089】
これにより、企業はユーザに対して特典等の付加情報を提供することができるため、ユーザの利用を促進できる。
【0090】
[第2の変形例]
本変形例では、事業者サーバ1は、多数の候補企業が特定された場合に、ユーザから候補企業を選択するための優先条件を受け付ける。本変形例に係る事業者サーバ1において、特定部112が所定数以上の複数の候補企業を特定した場合に、第2送信部115は、優先条件を受け付ける画面を表示するための表示情報を、ユーザ端末3へ送信する。
【0091】
ユーザ端末3において、受信部312は、事業者サーバ1が送信した表示情報を受信する。そしてユーザ端末3は、受信部312が受信した表示情報に基づいて、優先条件を表示する画面を表示部33上に表示する。
【0092】
図9は、優先条件を受け付ける画面を表示しているユーザ端末の正面図である。優先条件を表示する画面は、図5(a)、図5(b)に示したユーザ側条件の指定を受け付ける画面に引き続いて表示される。優先条件を表示する画面は、図5(a)、図5(b)の指定欄331及びユーザ側条件表示欄332に加えて、優先条件受付欄336を含む。
【0093】
優先条件受付欄336は、優先条件の指定を受け付けるための、ユーザが押下可能な仮想的なボタン(アイコン)を含む。各ボタンは、各優先条件に対応している。優先条件は、例えば料金、待ち時間等である。ユーザは、ユーザ端末3の操作部34を用いて、いずれかの優先条件に対応するボタンを押下する。
【0094】
優先条件受付欄336においていずれかの優先条件が指定された場合に、ユーザ端末3の送信部311は、優先条件受付欄336において指定された優先条件を、事業者サーバ1へ送信する。
【0095】
事業者サーバ1において、第1受信部111は、ユーザ端末3が送信した優先条件を受信する。特定部112は、第1受信部111が受信した優先条件に基づいて、複数の候補企業のうち一部の候補企業を特定する。例えば優先条件が料金を示す場合に、特定部112は、企業側条件の料金が低い順に所定数の候補企業を特定する。また、例えば優先条件が待ち時間を示す場合に、特定部112は、企業側条件の待ち時間が短い順に所定数の候補企業を特定する。
【0096】
これにより、特定部112が多数の候補企業が特定した場合であっても、ユーザが指定した優先条件に基づいて候補企業を絞り込めるため、ユーザ端末3の表示部33に表示される企業側条件の数を制限し、画面の視認性を向上できる。
【0097】
[第3の変形例]
本変形例では、候補企業が他の候補企業の企業側条件を参照し、自身の企業側条件を変更可能にする。図10は、本変形例に係る通信システムSが行う通信方法の模式図である。図10の通信方法は、図4の通信方法における「(d)企業側条件を送信」の中で行われる。図10において、通信システムSは2つの企業サーバ2である第1企業サーバ2A及び第2企業サーバ2Bを含んでいるが、3つ以上の企業サーバ2を含んでもよい。
【0098】
第1企業サーバ2A及び第2企業サーバ2Bがそれぞれ事業者サーバ1からユーザ側条件を受信した後、第1企業サーバ2Aの送信部212は、受信部211が受信したユーザ側条件に基づいて決定した第1企業側条件を、事業者サーバ1へ送信する(d1)。
【0099】
事業者サーバ1において、第2受信部114は、第1企業サーバ2Aが送信した第1企業側条件を受信する。第1送信部113は、第2受信部114が受信した第1企業側条件を、第1企業サーバ2Aとは異なる第2企業サーバ2Bへ転送する(d2)。
【0100】
第2企業サーバ2Bの受信部211は、事業者サーバ1が送信した第1企業側条件を受信する。そして第2企業サーバ2Bの送信部212は、受信部211が受信したユーザ側条件及び第1企業側条件に基づいて決定した第2企業側条件を、事業者サーバ1へ送信する(d3)。すなわち、第2企業サーバ2Bの企業は、他の企業サーバ2の企業側条件を参照して、自身の企業側条件を決定する。
【0101】
事業者サーバ1は、第2企業サーバ2Bが送信した第2企業側条件を、同様に第1企業サーバ2Aへ転送する。第1企業サーバ2Aは、ユーザ側条件及び第2企業側条件に基づいて改めて第1企業側条件を決定(変更)し、事業者サーバ1へ再度送信してもよい。第1企業サーバ2A及び第2企業サーバ2Bがそれぞれ複数回企業側条件を事業者サーバ1へ送信した場合に、事業者サーバ1は最新の企業側条件を採用する。事業者サーバ1は、所定期間内に受信した最新の企業側条件をまとめて表示するための表示情報を、ユーザ端末3へ送信してもよい。あるいは事業者サーバ1は、企業側条件が変更されるたびに表示情報をユーザ端末3へ送信してもよい。
【0102】
これにより、複数の企業サーバ2は、互いの企業側条件を参照し、自身の企業側条件を変更することができる。事業者サーバ1は、複数の企業を競争させることによって、ユーザにより有利な企業側条件を提供することができる。
【0103】
[本実施形態の効果]
本実施形態に係る通信システムSによれば、事業者サーバ1は、ユーザ端末3から受信したユーザ側条件に基づいて複数の企業の中から1つ又は複数の候補企業を特定し、特定した候補企業へユーザ側条件を送信し、さらに候補企業から受信した企業側条件をユーザ端末3へ送信する。これによりユーザは、複数の企業それぞれにユーザ側条件を送信する必要がない。そのため、通信システムSはユーザが企業からサービスに関する情報を得るための手間を軽減できる。
【0104】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、装置の分散・統合の具体的な実施の形態は、以上の実施の形態に限られず、その全部又は一部について、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。また、複数の実施の形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施の形態も、本発明の実施の形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、もとの実施の形態の効果を合わせ持つ。
【0105】
事業者サーバ1、企業サーバ2及びユーザ端末3のプロセッサは、図7に示す通信方法に含まれる各ステップ(工程)の主体となる。すなわち、事業者サーバ1、企業サーバ2及びユーザ端末3のプロセッサは、図7に示す通信方法を実行するためのプログラムを記憶部から読み出し、該プログラムを実行して事業者サーバ1、企業サーバ2及びユーザ端末3の各部を制御することによって、図7に示す通信方法を実行する。図7に示す通信方法に含まれるステップは一部省略されてもよく、ステップ間の順番が変更されてもよく、複数のステップが並行して行われてもよい。
【符号の説明】
【0106】
S 通信システム
1 事業者サーバ
11 制御部
111 第1受信部
112 特定部
113 第1送信部
114 第2受信部
115 第2送信部
116 依頼受付部
12 記憶部
2 企業サーバ
21 制御部
211 受信部
212 送信部
3 ユーザ端末
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10