特許第6965240号(P6965240)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6965240
(24)【登録日】2021年10月22日
(45)【発行日】2021年11月10日
(54)【発明の名称】燃料電池サブアセンブリ
(51)【国際特許分類】
   H01M 8/1004 20160101AFI20211028BHJP
   H01M 4/86 20060101ALI20211028BHJP
   H01M 8/0273 20160101ALI20211028BHJP
   H01M 8/0276 20160101ALI20211028BHJP
【FI】
   H01M8/1004
   H01M4/86 M
   H01M8/0273
   H01M8/0276
【請求項の数】13
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2018-515884(P2018-515884)
(86)(22)【出願日】2016年9月23日
(65)【公表番号】特表2018-534728(P2018-534728A)
(43)【公表日】2018年11月22日
(86)【国際出願番号】GB2016052964
(87)【国際公開番号】WO2017055815
(87)【国際公開日】20170406
【審査請求日】2019年9月9日
(31)【優先権主張番号】1517245.5
(32)【優先日】2015年9月30日
(33)【優先権主張国】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】504175659
【氏名又は名称】インテリジェント エナジー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】INTELLIGENT ENERGY LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】100086531
【弁理士】
【氏名又は名称】澤田 俊夫
(74)【代理人】
【識別番号】100093241
【弁理士】
【氏名又は名称】宮田 正昭
(74)【代理人】
【識別番号】100101801
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 英治
(74)【代理人】
【識別番号】100095496
【弁理士】
【氏名又は名称】佐々木 榮二
(72)【発明者】
【氏名】ウィルソン、アントニ、リチャード
(72)【発明者】
【氏名】スミサーズ、スチュアート
(72)【発明者】
【氏名】パート、リチャード、アルバート
【審査官】 増山 淳子
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2006/040994(WO,A1)
【文献】 特開2003−007328(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 8/1004
H01M 4/86
H01M 8/0273
H01M 8/0276
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料電池サブアセンブリであって、
燃料電池アセンブリのための周辺シールを有するガスケットであって、当該周辺シールが前記ガスケットの中央開口を形成する、前記ガスケットと、
燃料電池のプロトン交換膜に拡散ガスを供給するためのガス拡散層であって、前記中央開口の内部に位置決めされた前記ガス拡散層とを有し、
少なくとも1つの接続点において、前記ガスケットの前記周辺シールの内側対向面が、前記ガス拡散層の、対応する外側対向面に溶接され、前記少なくとも1つの接続点において、前記ガスケットの前記周辺シールの一部が前記ガス拡散層表面から内部に突出し、
前記ガスケットが、前記内側対向面から前記周辺シールの中へ延びて、流体移送導管への流体接続を提供するチャネルを含み、前記少なくとも1つの接続点が前記チャネルに隣接し、
前記ガス拡散層は、前記少なくとも1つの接続点を除いて、前記ガスケットの前記内側対向面から予め定めた間隔だけ実質的に均一に離間してギャラリを形成することを特徴とする燃料電気サブアセンブリ。
【請求項2】
前記ガス拡散層は、実質的に平面的であり、第1の主面と、前記第1の主面に対向する第2の主面と、前記第1の主面と前記第2の主面との間の複数の面を有し、前記接続点は前記複数の面のうちの少なくとも1つの上に位置決めされる請求項1に記載の燃料電池サブアセンブリ。
【請求項3】
燃料電池サブアセンブリであって、
燃料電池アセンブリのための周辺シールを有するガスケットであって、当該周辺シールが前記ガスケットの中央開口を形成する、前記ガスケットと、
燃料電池のプロトン交換膜に拡散ガスを供給するためのガス拡散層であって、前記中央開口の内部に位置決めされた前記ガス拡散層とを有し、
少なくとも1つの接続点において、前記ガスケットの前記周辺シールの内側対向面が、前記ガス拡散層の、対応する外側対向面に溶接され、前記少なくとも1つの接続点において、前記ガスケットの前記周辺シールの一部が前記ガス拡散層表面から内部に突出し、
前記ガスケットが、前記内側対向面から前記周辺シールの中へ延びて、流体移送導管への流体接続を提供するチャネルを含み、前記少なくとも1つの接続点が前記チャネルに隣接することを特徴とする燃料電池サブアセンブリ。
【請求項4】
前記サブアセンブリは、前記ガスケットがガス拡散層に溶接される、少なくとも2つの別個の接続点を含み、前記接続点の一方は前記チャネルに隣接する請求項3記載の燃料電池サブアセンブリ。
【請求項5】
前記ガス拡散層は、4つの外側対向部分によって形成され、実質的に矩形であり、前記中央開口は、前記ガスケットの前記周辺シールの4つの内側対向部分によって形成され、実質的に矩形であり、前記接続点は、ガス拡散層の前記4つの外側対向面部分のうちの特定の1つと前記ガスケットの前記周辺シールの前記4つの内側対向面部分のうちの特定の1つとの間に位置付けられる請求項1〜4のいずれかに記載の燃料電池サブアセンブリ。
【請求項6】
前記ガス拡散層は、ガス拡散層材料の間に空間を有する多孔質材料であり、前記接続点において、前記ガスケットの材料は、前記ガス拡散層の材料と混ざる請求項1〜5のいずれかに記載の燃料電池サブアセンブリ。
【請求項7】
前記接続点において、前記ガスケットの材料が、前記ガス拡散層の中に延びるときに先細になり、前記ガス拡散層の材料と混ざる請求項6記載の燃料電池サブアセンブリ。
【請求項8】
前記ガス拡散層および前記ガスケットが実質的に平坦であり、前記ガス拡散層の厚さが前記ガスケットの厚さより大きく、前記接続点において、混ざったガスケット材料およびガス拡散層材料が、前記ガス拡散層の前記厚さの一部の上のみ設けられる請求項6または7のいずれかに記載の燃料電池サブアセンブリ。
【請求項9】
前記ガスケットが実質的に平坦であり、第1の主面、前記第1の主面に対向する第2の主面を有し、前記第1の主面と前記第2の主面との間の分離が、前記ガスケットの厚さを規定し、前記混ざったガスケット材料およびガス拡散層材料は、前記ガスケットの前記第1の主面および前記第2の主面によって画定される平面の間を実質的に延在する請求項に記載の燃料電池サブアセンブリ。
【請求項10】
前記ガスケットは、
i)アノードフロープレートとプロトン交換膜との間をシールするアノードガスケットと、または
ii)カソードフロープレートとプロトン交換膜との間をシールするためのカソードガスケット
である請求項1〜9のいずれかに記載の燃料電池サブアセンブリ。
【請求項11】
前記ガスケットがアノードガスケットであり、前記サブアセンブリが、アノードガスを前記ガス拡散層に供給するように構成されたアノードフロープレートを含み、前記ガスケットおよび前記ガス拡散層が、アノードフロープレートの面に当たっている請求項1〜10のいずれかに記載の燃料電池サブアセンブリ。
【請求項12】
プロトン交換膜と、アノードガスをアノードガス拡散層に供給するように構成されたアノードフロープレートと、カソードガス拡散層にカソードガスを提供するように構成されたカソードフロープレートとを有する燃料電池であって、前記燃料電池は、請求項1〜11のいずれかに記載の燃料電池サブアセンブリの少なくとも1つを含み、前記燃料電池サブアセンブリの前記ガス拡散層は、前記アノードガス拡散層または前記カソードガス拡散層を形成する、燃料電池。
【請求項13】
スタック形態で一緒に配列される複数の請求項12記載の燃料電池を有することを特徴とする燃料電池スタック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、燃料電池サブアセンブリに関し、特に、ガスケットとガス拡散層との組み合わせに関する。この発明は、また、燃料電池および燃料電池サブアセンブリを組み込んだ燃料電池スタックに関する。燃料電池を組み立てる方法もまた開示される。
【背景技術】
【0002】
燃料電池では、酸化剤流体が各燃料電池のカソード側を横切って導かれ、この酸化剤が燃料電池のプロトン交換膜または膜−電極アセンブリ(MEA)のカソード側に、典型的には拡散層を介して、利用可能になるようになっている。さらに、燃料は、各燃料電池のアノード側に向けられ、各燃料電池のMEAのアノード側に、典型的には拡散層を介して、利用可能となるようになっている。拡散層は、燃料または酸化剤がMEAに流れる際に燃料または酸化剤が拡散することを可能にする多孔質材料である。したがって、入口チャネルは、燃料または酸化剤を拡散層に導入するように構成されて良く、出口チャネルは、未反応燃料または酸化剤または反応副生成物を拡散層から受け取るように構成されて良い。
【発明の概要】
【0003】
この発明の第1の側面によれば、燃料電池サブアセンブリであって:当該燃料電池アセンブリのための周辺シールを有するガスケットであって、
当該周辺シールが上記ガスケットの中央開口を形成する、上記ガスケットと、
上記燃料電池のプロトン交換膜に拡散ガスを供給するためのガス拡散層であって、上記中央開口の内部に位置決めされたガス拡散層とを有し、
少なくとも1つの接続点において、上記ガスケットの上記周辺シールの内側対向面が、上記ガス拡散層の、対応する外側対抗面に溶接されることを特徴とする燃料電気サブアセンブリが実現される。
【0004】
当該サブアセンブリは、燃料電池サブアセンブリを組み込んだ燃料電池の製造を単純化するので、有用である。ガス拡散層は、ガスケットの平面内に少なくとも部分的に位置するように構成されてよく、全体的に中央開口の範囲内にあってもよい。接続点における溶接部は、ガスケットのシール特性を実質的に妨害することなくサブアセンブリをしっかりと保持することが分かっている。さらに、溶接は、超音波溶接またはレーザ溶接を含むことができ、ガスケット材料を多孔質ガス拡散層と混在させることができる。
【0005】
オプションとして、ガス拡散層は、中央開口を実質的に満たすように構成される。ガス拡散層は、非圧縮時にガスケットよりも厚く(ガスケットの平面およびガス拡散層に垂直な方向に)構成されてもよい。
【0006】
オプションとして、上記ガス拡散層は、実質的に平面的であり、第1の主面と、上記第1の主面に対向する第2の主面と、上記第1の主面と上記第2の主面との間の複数の面を有し、上記接続点は上記複数の面のうちの少なくとも1つの上に位置決めされる。
【0007】
オプションとして、上記ガス拡散層は、上記接続点を除いて、ガスケットの内側対向面から所定間隔だけ実質的に一様に離間してギャラリを形成する。ガス拡散層とガス拡散層との間に間隔を設けることにより、サブアセンブリは、ガス拡散層の周りに妨げられないガス流を提供して、ガス拡散層が1つ以上の側面からガスを受け取ることができる。ガス拡散層は、組立中に間隔を維持するための間隔タブを含んでも含まなくてもよい。いくつかの例では、溶接部の存在は、任意の間隔タブの必要性を取り除くことができる。
【0008】
オプションとして、上記ガスケットが、その内側対抗表面から上記周辺シールの中へ延びて、流体移送導管への流体接続を提供するチャネルを含み、上記少なくとも1つの接続点が上記チャネルに隣接する。チャネルは、出口チャネルまたは入口チャネルであってもよい。接続点に隣接して接続点を設けることは、流体をガス拡散層からチャネルに導くために有益であろう。
【0009】
オプションとして、上記サブアセンブリは、ガスケットがガス拡散層に溶接される、少なくとも2つの別個の接続点を含み、上記接続点の一方は上記チャネルに隣接する。接続点をチャネルの両側またはチャネルの周りのギャラリに設けることは、有益なことに、チャネルからガス拡散層への/ガス拡散層からチャネルへの流体の流れを導くことができる。
【0010】
オプションとして、上記ガス拡散層は、4つの外側対抗表面によって形成され、実質的に矩形であり、上記中央開口は、上記周辺シールの4つの内側対抗表面によって形成され、実質的に矩形であり、上記接続点は、ガス拡散層の4つの表面のうちの特定の1つとガスケットの4つの表面のうちの特定の1つとの間に位置付けられる。
【0011】
オプションとして、上記ガス拡散層は、ガス拡散層材料の間に空間を有する多孔質材料であり、上記接続点において、上記ガスケットの材料は、上記ガス拡散層の材料と混ざる。ガスケットは、ポリマー材料、プラスチック材料、天然または合成ゴム材料、または溶接され得る任意の他の適切な材料のうちの1つ以上であって良い。ガスケットは、超音波溶接エネルギのような溶接エネルギを受けたときに流動性であって良い。
【0012】
オプションとして、上記接続点において、上記ガスケットの材料が、上記ガス拡散層の中に延びるときに先細になり、上記ガス拡散層の材料と混ざる。従って、ガスケットの厚さは、その材料がガス拡散層の孔/空隙/空間の中に延在するとき、接続点で狭くなって良い。
【0013】
オプションとして、上記ガス拡散層および上記ガスケットが実質的に平坦であり、上記ガス拡散層の厚さが上記ガスケットの厚さより大きく、上記接したがって、非圧縮形態では、ガス拡散層は、その厚さの一部でした接合されなくて良く、その主面の1つの主面に隣接する部分または主面の間の中央領域であって良い。続点において、混ざったガスケット材料およびガス拡散層材料が、上記ガス拡散層の上記厚さの一部の上のみ設けられる。
【0014】
オプションとして、上記ガスケットが実質的に平坦であり、第1の主面、上記第1の主面に対向する第2の主面を有し、上記第1の主面と上記第2の主面との間の分離が、上記ガスケットの厚さを規定し、上記混ざったガスケット材料およびガス拡散層材料は、上記ガスケットの上記第1の主面および上記第2の主面によって画定される平面の間を実質的に延在する。
【0015】
オプションとして、上記ガスケットは、
i)アノードフロープレートとプロトン交換膜との間をシールするアノードガスケットと、または
ii)カソードフロープレートとプロトン交換膜との間をシールするためのカソードガスケット
である。
【0016】
アノードフロープレートおよび/またはカソードフロープレートは、バイポーラフロープレートを有して良い。
【0017】
オプションとして、上記ガスケットがアノードガスケットであり、上記サブアセンブリが、アノードガスを上記ガス拡散層に供給するように構成されたアノードフロープレートを含み、上記ガスケットおよび上記ガス拡散層が、アノードフロープレートの面に当たっている。
【0018】
アノードフロープレートは、その中に形成された送達導管および/またはガス拡散層の主面上などのアノードガスをガス拡散層上に運ぶための流路によってアノードガスを供給するように構成されていてもよい。
【0019】
この発明の第2の側面によれば、プロトン交換膜と、アノードガスをアノードガス拡散層に供給するように構成されたアノードフロープレートと、カソードガス拡散層にカソードガスを提供するように構成されたカソードフロープレートとを有する燃料電池であって、第1の側面に従う燃料電池サブアセンブリの少なくとも1つを含み、上記燃料電池サブアセンブリの上記ガス拡散層は、上記アノードガス拡散層または上記カソードガス拡散層を形成する、上記燃料電池が実現される。
【0020】
この発明の第3の側面によれば、スタック形態で一緒に配列される、第2の側面に従う複数の燃料電池を有する燃料電池スタックが実現される。
【0021】
この発明の第4の側面によれば、第1の側面に従う燃料電池サブアセンブリを使用して燃料電池を組み立てる方法であって、燃料電池サブアセンブリが配置されたアノードフロープレートを受け取るステップと、上記アノードフロープレートの反対側で、上記燃料電池サブアセンブリに、プロトン交換膜を適合させるステップと、さらなる燃料電池サブアセンブリを上記プロトン交換膜に適合させるステップと、上記プロトン交換膜の反対側で、カソードフロープレートを上記さらなる燃料電池サブアセンブリに適合させるステップとを有することを特徴とする、上記方法が実現される。
【0022】
燃料電池サブアセンブリを使用することによって、組み立てを単純化できる。
【0023】
この発明の第5の側面によれば、燃料電池サブアセンブリの製造方法であって、
燃料電池アセンブリのための周辺シールを有するガスケットであって、当該周辺シールがガスケットの中央開口を形成する上記ガスケットを受け取るステップと、
燃料電池のプロトン交換膜に拡散ガスを供給するためのガス拡散層を受け入れるステップと、
少なくとも1つの接続点に溶接を適用するステップであって、溶接は、ガスケットの周辺シールの内側に面する面と、ガス拡散層の対応する外側に面する面との間にあるように構成されるステップとを有する、上記製造方法を実現する。
【0024】
溶接は、超音波溶接またはレーザ溶接を含んで良い。
【0025】
溶接を施すステップは、超音波溶接ヘッドを少なくとも1つの接続点に適用するステップと、少なくともガスケットに超音波エネルギを加えるステップとを有して良く、超音波溶接ヘッドは、a)超音波エネルギの印加中に、ガスケットからガス拡散層に向かう方向に平行移動され、および/またはb)超音波エネルギの印加中に溶融ガスケット材料をガス拡散層に向かって押しやるために、ガス拡散層に向かう方向にガスケットの平面に対して法線方向に傾斜している。
【0026】
したがって、この方法は、接続点に隣接するガスケット材料に超音波またはレーザ・エネルギを印加して、ガスケット材料を溶融させるステップ、および、ガス拡散層に対して溶接ヘッドを傾けて、かつ/また、平行移動させることによって、ガス拡散層に向かって溶融ガスケット材料を押し付けることを有して良い。
【0027】
この発明の側面および実施例は、添付の図面を参照して、例として、以下にさらに詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】ガスケットおよびガス拡散層を有する燃料電池サブアセンブリの一例の平面図である。
図2】燃料電池サブアセンブリの一例の側面図である。
図3】ガス拡散層へのガスケットの超音波溶接前の図2の側面図である。
図4】ガスケットとガス拡散層との間の溶接例の詳細図である。
図5】例示的な燃料電池の構成部品を示す分解図である。
図6】燃料電池を形成するように構成された2つの燃料電池サブアセンブリの側面図である。
図7】燃料電池サブアセンブリを燃料電池に組み立てる例示的な方法を示すフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0029】
燃料電池は、複数の層から形成されて良く、これらの層は、酸化剤と燃料の受け取りのためにMEAの両側に密閉された容積を有する当該燃料電池を形成するように配列され、オプションとして一緒に圧縮されて良い。密閉された容積は、典型的には、MEAのそれぞれの側面の全領域にわたって酸化剤または燃料の拡散を助けるための多孔質材料を含むガス拡散層を含む。上記複数の燃料電池層は、電気化学反応サイトを形成するためのMEAと、反応を触媒するための触媒層と、燃料または酸化剤の拡散を支援するためのガス拡散層(GDL)(微多孔層を含んで良い)と、スタック内の個々の燃料電池を分離するための燃料電池プレートと、スタック内の燃料電池間の導電接続を提供するためのバイポーラプレートと、他の層の間にシールを形成するためのガスケットとを含んで良い。
【0030】
典型的には、燃料電池の層は薄く、層を組み立てて燃料電池を形成する際には注意深い取り扱いが必要である。燃料電池を形成する2つ以上の層のサブアセンブリを設けることが有益であろう。
【0031】
図1および図2は、ガスケット101を有する燃料電池サブアセンブリ100を示す。ガスケット101は、燃料電池アセンブリ用の周辺シール102を具備する。周辺シール102はガスケット101の中央開口103を形成する。ガス拡散層104が、燃料電池のプロトン交換膜に拡散ガスを供給するために、中央開口103内に位置決めされている。少なくとも1つの接続点105、106(2つの接続点が図1に示されている)において、ガスケットの周辺シールの内向き表面107が、ガス拡散層104の対応する外向き表面108に溶接される。
【0032】
ガス拡散層は多孔質材料であり、GDL材料と空隙との不均一なマトリックスを有して良い。GDLは、酸化剤または燃料が流れ得る繊維間に空隙を有する繊維状であって良い。他の例では、GDLは、連続気泡発泡材料であってもよい。ガス拡散層104は、実質的に平坦であり、第1の主面110と、第1の主面110に対向する第2の主面111と、第1の主面と第2の主面との間の複数の面(または「側面」)108、112、113、114とを具備する。第1の主面と第2の主面との間の分離は、ガス拡散層の厚さTGDLを定める。平面ガス拡散層104は、実質的に矩形であり、当該矩形の4つの側面は外側に面する表面108、112、113、114によって実現される。
【0033】
ガスケット101は、実質的に平坦であり、第1の主面115と、第1の主面に対向する第2の主面116とを有する。第1の主面115と第2の主面116との間の分離は、ガスケットの厚さTgasketを規定する。ガスケットの主面115、116は、組み立てられたときに燃料電池の他の層に対してシールするように構成される。ガスケット101は、この例では実質的に長方形のリングである連続リングを含む。したがって、内側に面する表面107の高さと、主面115、116の間に延びる別の3つの内側に面する面117、118、119の高さは、矩形を形成し、ガスケット101の厚さを定義する。ガスケットは他の形状を有して良く、これがリング形状であってもなくてもよいことに留意されたい。
【0034】
GDL104は、ガスケットの平面内に配置される。GDL104は、中央開口103を実質的に充填する。具体的には、GDL104は、その側面の1つ、すなわち表面108に沿ってガスケットに接合される。同様に、ガスケット101は、その側面の一方のみに沿ってGDLに接合される他の表面に沿って、GDL104およびガスケット101は隔離距離wだけ離間されている。したがって、表面113および118;114および119;112および117は隔離距離wだけ離れている。隔離距離wは、GDL104の幅に対して小さく、5mm未満、2mm未満または1mm未満を含むことができる。GDL104とガスケット101とを分離することによって、(燃料電池層と組み合わされたときに)中央開口に導入された酸化剤または燃料が、GDLの周りを流れ、複数の側面112、113からその中に浸透できるようになる。有益なことに、典型的には、燃料または酸化剤が、プレート(図示せず)においてその縁部で形成された1つ以上のチャネル120から導入され、その周りをガスケットが封止する。したがって、ガスケット101の入口チャネル120の口部125は、チャネル120からGDL104への燃料または酸化剤の移動を実現する。ガスケットおよびGDLは、2つの側面、3つの側面、4つの側面または任意の他の数の側面に溶接されてもよいことに留意されたい。
【0035】
GDL104は、この例では、中央開口内にGDL104を配置して離隔距離wを提供するための整列タブ121、122、123および124を含む。整列タブは、側面113および114からガスケット101の内向きの面118、119にそれぞれ接触するように延在して良い。
【0036】
ガスケット101は、1つ以上の内側に面する表面107、117、118、119から外向きに延びる1つ以上の出口チャネル127を含んで良い。チャネルは、プレート(図示しない)において燃料または酸化剤をGDL104からチャネルに搬送し、ガスケット101は、プレートと組み立てられたときに、その周りをシールするように構成される。GDL104は、GDL104がチャネル127の口部126で表面107から離間して出口ギャラリ128を形成するように、ガスケット101に対して位置決めされる。出口ギャラリ128は、接続点105、106によっていずれかの側部で結合される。このようなギャラリ128およびその接続点105、106の配置は、燃料または酸化剤をチャネル127に導くのに有利であることが判明している。また、接続点105、106が当該1以上のチャネル127と同一の表面107上に形成されることも有利である。
【0037】
図2は、接続点105、106の一方を通る断面図を示し、これは、溶接部が、突出部130において多孔質GDL104の材料と混ざるガスケット101の材料として存在することを示す。したがって、突出部130は、GDL104内に突出するガスケットの材料を有する。図2の破線は、接続点105、106から離れた表面107の位置を表す。したがって、接続点において、溶接により、ガスケットの材料が側面107からGDL104内に突出して、ガスケットとGDLとの間の接合を形成する。さらに、GDLの厚さTGDLは、少なくとも突出部130においてガスケット101の厚さTgasketよりも大きくて良く、ガスケット101全体の平均厚さよりも大きくて良い。従って、GDL104の厚さTGDLは、溶接または突出部130の高さよりも大きくて良く、これは、ガスケットの厚さTgasketよりも小さいか、または実質的に等しくて良い。これは、GDLが、燃料電池プレートとMEAとの間で圧縮されるときに特定の密度を提供するように構成され得るので、有利である。さらに、溶接部によって、表面107に向かってGDL密度が徐々に大きくなり、これが、燃料または酸化剤をチャネル127に案内するのを支援する。
【0038】
図3は、溶接が形成される前のガスケット101およびGDL104を示す。この例では、溶接は超音波溶接であり、ソノトロード300によって提供される。ソノトロード300は、GDL104に向かって傾斜したヘッド301を含んで良い。具体的には、溶接が適用されるとき、ソノトロードの頭部は、GDL104およびガスケット101の平面に対して1°および45°の範囲で傾けられ、オプションとして5°〜30°または10°〜20°の範囲で傾けられる。ヘッドの傾斜は、ガスケット材料がGDL104に向かって流れるのを助長することができる。さらに、ソノトロード300は、溶接作業の間にGDL104に向かって移動し、溶融ガスケット材料がGDL104に向かって流れるのを促進する。ヘッド301の傾き、および/または、ソノトロードの平行移動は、ガスケット材料を多孔質GDL材料に混ぜるのを支援するであろう。他の例では、溶接を形成するために傾いたヘッド301または並進のみが使用されてもよいことが理解されよう。したがって、ソノトロードヘッド301は、ガスケットの平面およびGDLに面し、超音波エネルギをガスケットに向けるけれども、GDLに向う法線に対して傾斜した方向に方向づけるであろう。
【0039】
この例では超音波溶接が提供されているけれども、他の例ではレーザ溶接が使用されてもよい。レーザの移動は、溶融したガスケット材料がGDL104に向かって流れるのを助長し得る。
【0040】
図2および図3において、サブアセンブリ100は、金属製の燃料電池アノードプレート131に取り付けられて示されている。しかしながら、溶接は、GDL104およびガスケット101がアノードプレート131に対して横たわっている間に形成される必要はない。
【0041】
図4は、突出部130が、多孔質GDL104内に流入してセットされたガスケットの材料を含むように見える溶接の平面図を示す。
【0042】
上記の例では、ガスケットおよびGDLは、平面内にある実質的に平坦な部材であるが、湾曲していても、または他の形状であってもよい。
【0043】
図5は、複数の層500で形成された燃料電池内に燃料電池サブアセンブリ100が配置されている例を示している。燃料電池層500は、アノードフロープレート501およびカソードフロープレート502を有する。フロープレート501、502の間にMEA503が横たわり、アノードフロープレート501に面するアノード側と、カソードフロープレート502に面するカソード側とを具備する。サブアセンブリ100は、MEA503のアノード側またはカソード側で使用されて良い。ガスケットは、MEA503のアノード側とアノードフロープレート501との間に周辺シールを形成するように、またはMEA503のカソード側とカソードフロープレート502との間に周辺シールを形成するように構成される。図5の例では、燃料電池サブアセンブリ100aがアノード側に設けられ、さらに燃料電池サブアセンブリ100bがカソード側に設けられる。
【0044】
図6は、燃料電池の組み立て中の断面を示し、図5に従って100aと番号付けされたサブアセンブリ100を示し、これは、アノードプレート131とMEA503との間に配置される。GDL104は、ガスケット101と同じ幅になるように圧縮されており、これ自体も、アノードプレート131およびMEA503とのシールを形成するために圧縮されて良い。他の燃料電池サブアセンブリ100bは、図示のとおり、MEA503のカソード側に対向して設けられる。この例では、他の燃料電池サブアセンブリ100bは、サブアセンブリ100aと実質的に類似しており、「500」が加えられている点以外は同じ参照番号が使用されている。
【0045】
サブアセンブリ100aとサブアセンブリ100bとの違いは、GDL604が、対面して配置された2つの平面部分604aおよび604bを備えることである。GDL部品604aおよび604bは、異なる気孔率を有してもよい。溶接または突出部130は、ガスケット104と一緒にそれらを保持するために平面部分の両方に延びるように構成される。
【0046】
図7は、燃料電池サブアセンブリ100を使用して燃料電池を組み立てる例示的な方法を示すフローチャートを示す。この方法は、燃料電池サブアセンブリ100aが配置されたアノードフロープレート131を受け取るステップ701と、プロトン交換膜を燃料電池サブアセンブリにアノードフロープレートの反対側に適合させるステップ702と、他の燃料電池サブアセンブリをプロトン交換膜に適合ステップ703と、カソードフロープレートをプロトン交換膜の反対側の他の燃料電池サブアセンブリに適合するステップ704とを有する。
【0047】
したがって、プロトン交換膜、アノードプレート、カソードプレートを有する燃料電池を形成することができ、燃料電池サブアセンブリ100は、プロトン交換膜とアノードプレートまたはカソードプレートの一方との間に構成される。他の実施例では、燃料電池は、2つのサブアセンブリを含むことができる。すなわち、プロトン交換膜とアノードプレートとの間の第1のサブアセンブリと、プロトン交換膜とカソードプレートとの間の第2のサブアセンブリとを含む。いくつかの実施例では、アノードプレートおよびカソードプレートは、バイポーラプレートを含んで良い。このような複数の燃料電池を対向配置して燃料電池スタックを構成してもよい。
【符号の説明】
【0048】
100 燃料電池サブアセンブリ
101 ガスケット
102 周辺シール
103 中央開口
104 ガス拡散層
105、106 接続点
107 内向き表面
108 外向き表面
110 第1の主面
111 第2の主面
112、113 側面
115 第1の主面
116 第2の主面
120 入口チャネル
127 出口チャネル
128 出口ギャラリ
130 突出部
131 燃料電池アノードプレート
300 ソノトロード
301 ソノトロードヘッド
500 燃料電池層
501 アノードフロープレート
502 カソードフロープレート
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7