【課題を解決するための手段】
【0018】
これらの目的は、添付の特許請求の範囲において規定されるようなラミネート包装材料、包装容器、及び該包装材料を製造する方法により、本発明に従って実現される。
【0019】
本発明に関連して「長期の保存(long−term storage)」との語が用いられる場合、包装容器が、少なくとも1か月間又は2か月間、例えば少なくとも3か月間、好ましくはさらに長期間、例えば6か月間、例えば12か月間又はより長期間、周囲条件において、パックされた食品の品質、すなわち栄養価、衛生上の安全性、及び味を保つことができなければならないことを意味するものである。「パッケージの一体性(package integrity)」との語は、パッケージの耐久性、すなわち包装容器の漏出又は破損に対する耐性を広く意味するものである。この特性に対する貢献の主なものは、包装ラミネート内で、ラミネート包装材料の隣接する層間に良好な内部接着性があることである。別の貢献は、材料層内のピンホール、断裂などの欠陥に対する材料の耐性に起因するものであり、さらに別の貢献は、包装容器の成形時に材料が一つに封着されることで形成される封止接合部の強度に起因するものである。このため、ラミネート包装材料そのものに関しては、一体性特性は、各ラミネート層とその隣接層との接着性及び個々の材料層の性質が主に中心となる。
【0020】
本発明の第1態様によると、一般的な目的は、液体食品の包装のためのラミネート包装材料であって、バリアフィルムを備え、当該バリアフィルムは、ウェブ又はシートの形態の基層と、基層と連続的に接触するようにコートされたアモルファスダイアモンドライクカーボン(DLC)コーティングの第1バリアコーティングと、主成分として(例えば50重量%以上、例えば60重量%以上、例えば70重量%以上の)ポリアミドを含み、第1DLCバリアコーティングの空いている表面と連続的に接触するようにコートされたさらなる第2バリア層と、を備え、ラミネート包装材料は、基層のバリアコートされた面に適用された液密性の熱封止可能な第1最外ポリマー層をさらに備え、その反対側である内側のバリアフィルムの第2面に、液密性の熱封止可能な第2最内ポリマー層をさらに備える、ラミネート包装材料により達成される。第1最外ポリマー層は、ラミネート包装材料から成る包装容器の最外面を形成し、第2最内ポリマー層は、パックされる製品と接触することになる、包装材料から成る包装容器の最内面を形成する。
【0021】
アモルファスDLCのバリアコーティングは、気相蒸着により基層に適用されるので、基層の表面と連続的である。一実施形態によると、基層は、ポリマーフィルム基材である。別の実施形態によると、液密性の熱封止可能な最外及び最内ポリマー層は、ポリオレフィン層である。
【0022】
第2バリア層は、好ましくは、4〜6g/m
2の量の押出コーティング又は押出ラミネーションにより、第1バリアコーティングにコートされる。
【0023】
このため、本発明の一実施形態に係るラミネート包装材料は、最内層から連続した順番で数えて、ポリオレフィンの液密性の熱封止可能な最内層、基層、基層に堆積した第1DLCバリアコーティング、第1DLCバリアコーティングに直接コートされたポリアミド又はポリアミドのブレンドのバリア層、及びポリオレフィンの液密性の熱封止可能な最外層を有する積層構造である。このようにして、液密性の熱封止可能な最外ポリマー層の一つが、さらなる熱可塑性酸素バリア層に適用される。
【0024】
別の実施形態によると、ラミネート包装材料は、紙若しくは板紙又は他のセルロース系材料のバルク層をさらに備える。
【0025】
さらなる実施形態では、包装材料は、紙若しくは板紙又は他のセルロース系材料のバルク層をさらに備え、第2バリア層の空いている表面は、少なくとも一つの結合層によりバルク層の第1面に結合され、液密性の熱封止可能な第1最外ポリマー層が、その反対側である外側のバルク層の第2面に適用されている一方、液密性の熱封止可能な第2最内ポリマー層は、バリアフィルムの内側面、すなわちバリアフィルムのバルク層に結合された面と反対側の面に適用されている。
【0026】
ラミネート包装材料の一実施形態によると、少なくとも一つの結合層は、バリアフィルムの第2バリア層とバルク層の第1面の表面とを一つに結合する。
【0027】
少なくとも一つの結合層は、ポリオレフィンなどの熱可塑性ポリマーを適切に含む。特別な実施形態によると、結合層は、ポリオレフィン、特に大部分がエチレンモノマーユニットであるポリエチレン系ポリオレフィンコポリマー又はブレンドなどである。
【0028】
さらなる実施形態によると、少なくとも一つの結合層は、バルク層と連続的に接触している低密度ポリエチレン(LDPE)の層と、LDPEと第2バリア層との間の接着性ポリエチレン層、変質ポリエチレン層、又はいわゆるポリエチレン系繋ぎ層と、を備える。さらなる実施形態によると、少なくとも一つの結合層は、低密度ポリエチレン(LDPE)と接着性ポリマー、改質ポリマー、又はいわゆる相溶化剤とのブレンドを含む層を備え、結合層は、バルク層と連続的に接触しており、その反対側では第2バリア層と連続的に接触している。さらなる実施形態によると、上記ブレンドは、70〜90重量%、例えば80〜90重量%、例えば約85重量%のLDPE及び10〜30重量%、例えば10〜80重量%のエチレンアクリル酸コポリマー(EAA)を含む。ブレンド層は、好ましくは、12〜15g/m
2の量で適用される。
【0029】
さらなる実施形態によると、第2バリア層は、熱可塑性ポリアミドポリマー、又は50重量%を超えるポリアミドとさらなるポリマー(例えばエチレンビニルアルコールコポリマー(EVOH)など)とのブレンドを含む。一実施形態によると、バルク層のウェブとバリアフィルム層のウェブとの間に結合性ポリマー層の溶融押出ラミネートを行うと同時に、ラミネーションローラーニップを通して前進させながらこれら3層を一つに押し付けて、積層構造を形成することにより、すなわちバリアフィルムに対してバルク層のいわゆる押出ラミネートを行うことにより、結合層は、バリアフィルムにバルク層を結合させる。特別な実施形態によると、結合層は、第2バリア層とともに共押出されるので、これら2層は、第2バリア層が押出コートされて第1DLCバリアコーティングと連続的に接触するように、DLCコートされた基層とバルク層を一つに結合させる。この実施形態では、DLCコートされた基層は、溶融共押出ラミネーション操作の直前に表面処理される。すなわち、DLCコートされたバリアフィルムの表面に第2バリア層の溶融ポリマーが適用される前に、当該表面がコロナ処理により処理される。
【0030】
ラミネート包装材料のさらなる実施形態によると、バリアフィルムの基層は、バリアコーティングでコートされた側と反対側の他面に接着促進プライマーコーティングを有し、バリアフィルムは、接着促進プライマーコーティングにより、液密性の熱封止可能な第2最内ポリオレフィン層に結合される。この接着促進プライマーコーティングの目的は、隣接する押出コートされたポリマー、例えばポリオレフィン系ポリマー層及びその接触面に対する接着強度を提供し又は向上させることである。
【0031】
ラミネート包装材料の一実施形態では、接着促進プライマーコーティングは、アミノシラン及びポリエチレンイミンから成る群から選択される化合物を含む組成物である。ラミネート包装材料のさらなる実施形態では、接着促進プライマーコーティングは、アモルファスダイアモンドライクコーティング(DLC)の第2コーティングである。
【0032】
この場合、バリアフィルムは、ポリマーフィルムである基層から構築され、当該ポリマーフィルムは、ポリアミドやポリエチレンビニルアルコール(EVOH)ポリエステル、PET、シクロオレフィンコポリマーなどのポリマー材料における固有のバリア特性を有する。バリアフィルムは、隣接する熱可塑性ポリマー、例えばポリオレフィン(好ましくはエチレン系ホモポリマー若しくはコポリマー又はブレンドなど)などに対する接着性を良好なものとすることを主な目的として、各面において、第1DLC接着促進コーティング及び第2DLC接着促進コーティングでコートされる。バリア効果及び接着効果の組合せがDLCコーティングの各々により容易に実現されるように、厚さが薄い場合にも、DLCコーティングにより低いバリア特性が提供され得る。しかしながら、さらなるバリア特性が必要でない場合には、押出ラミネーションにおいて溶融押出ポリマー層に対して優れた接着剤性質を有することのみをもって各DLCバリアコーティングを採用することも考えられる。
【0033】
別の実施形態では、ラミネート包装材料のバリアフィルムは、介在する熱可塑性結合層(ポリエチレン層など、例えば低密度ポリエチレン(LDPE))によりさらなる同一又は類似の第2バリアフィルムにラミネート及び結合されている第1バリアフィルムを備える二重ポリアミドコートDLCバリアフィルムである。各バリアコーティングは、介在する熱可塑性結合層を間に挟んで、互いに向かい合い得る。あるいは、各バリアコーティングは、接着促進プライマーコーティングが介在する熱可塑性結合層により互いに結合されるように、互いに反対側を向いていてもよい。さらなる代替例は、両バリアコーティングが同じ方向を向くように二つのフィルムを互いに積み重ねることである。このような二重ポリアミドコートされたDLCバリアフィルムが、バルク層にさらにラミネートされてもよい。
【0034】
さらなる実施形態では、第1バリアフィルムが、介在する熱可塑性結合層によりさらなる同一又は類似の第2バリアフィルムにラミネート及び結合され、ラミネート包装材料は、第1バリアフィルムのラミネートされていない反対側に、液密性の熱封止可能な第1最外ポリマー層をさらに備え、第2バリアフィルムのラミネートされていない反対側に、液密性の熱封止可能な第2最内ポリマー層をさらに備える。本発明のさらなるラミネート包装材料は、その間で介在する熱可塑性結合層により互いにラミネートされた少なくとも二つの、多ければ複数のバリアフィルムから成るものであってよい。ラミネート包装材料の一実施形態によると、基層は、ポリエチレンテレフタレート(PET)、一軸延伸若しくは二軸延伸PET(OPET、BOPET)、非延伸若しくは一軸延伸若しくは二軸延伸ポリエチレンフラノレート(PEF)、延伸若しくは非延伸ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタネート(PEN)、非延伸ポリアミド、延伸ポリアミド(PA、OPA、BOPA)、ポリエチレンビニルアルコール(EVOH)、ポリオレフィン(ポリプロピレン、一軸延伸若しくは二軸延伸ポリプロピレン(PP、OPP、BOPP)、ポリエチレン(延伸若しくは非延伸高密度ポリエチレン(HDPE)、鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)など)など)、及びシクロオレフィンコポリマー(COC)、並びに上記ポリマーの任意のブレンドのうち任意のものをベースとしたフィルムから成る群から選択されるポリマーフィルムであるか、又は、上記ポリマー若しくはそのブレンドのうち任意のものを含む表面層を有する多層フィルムである。
【0035】
ラミネート包装材料のより具体的な実施形態によると、ポリマーフィルム基材は、ポリエステル若しくはポリアミド及び上記ポリマーの任意のブレンドをベースとしたフィルムから成る群から選択されるフィルムであるか、又は、上記ポリマー若しくはそのブレンドのうち任意のものを含む表面層を有する多層フィルムである。ラミネート包装材料のより具体的な別の実施形態によると、ポリマーフィルム基材は、ポリエチレンテレフタレート(PET)、一軸延伸若しくは二軸延伸PET(OPET、BOPET)、非延伸若しくは一軸延伸若しくは二軸延伸ポリエチレンフラノレート(PEF)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタネート(PEN)、非延伸ポリアミド、延伸ポリアミド(PA、OPA、BOPA)、及び上記ポリマーの任意のブレンドのうち任意のものをベースとしたフィルムから成る群から選択されるフィルム、又は、上記ポリマー若しくはそのブレンドのうち任意のものを含む表面層を有する多層フィルムである。
【0036】
第2バリア層に適したポリアミドは、ポリアミド−6などの脂肪族ポリアミド、及びナイロン−MXD6やSelar
(登録商標)、PA−6I&Tのポリアミドグレードなどの半芳香族ポリアミド、並びに上記脂肪族ポリアミド及び半芳香族ポリアミドのうち二つ以上のブレンドである。ポリアミドは、第2ポリマー、例えば第2バリアポリマー、例えばポリエチレンビニルアルコール(EVOH)とさらにブレンドされてもよい。
【0037】
ラミネート包装材料の別の実施形態によると、第1アモルファスダイアモンドライクカーボンバリアコーティングは、厚さが2〜50nm、例えば5〜40nm、例えば10〜40nm、例えば20〜40nmとなるように適用される。
【0038】
別の実施形態によると、接着促進プライマーコーティングとして働く第2アモルファスダイアモンドライクカーボンコーティングは、厚さが2〜50nm、例えば2〜10nm、例えば2〜5nmとなるように適用される。
【0039】
ラミネート包装材料の具体的な実施形態によると、ポリマーフィルム基材は、ポリエチレンフィルム、例えば鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)フィルムである。別の具体的な実施形態によると、ポリマーフィルム基材は、延伸PETフィルムである。
【0040】
ラミネート包装材料のさらなる具体的な実施形態によると、ポリマーフィルム基材の厚さは、12μm以下、例えば8〜12μm、例えば10〜12μmである。
【0041】
これより薄いポリマーフィルム基材も商業上は存在し、本発明の範囲内で実施可能であるが、現在のところ8μm未満になると現実的ではなく、厚さが4μm未満のフィルムは、包装用の産業用コーティング及びラミネーションプロセスにおけるウェブの取り扱いの観点から困難であろう。一方、12〜15μmよりも厚いフィルムも当然ながら実施可能であるが、強度及び強靭性が高くなりすぎて開封器及びミシン目の機能性に適さないので、本発明のラミネート包装材料としてはあまり興味深いものではない。一実施形態によると、ポリマーフィルム基材は、12μm以下とすべきであり、例えば10〜12μm、例えば約12μmの延伸PETフィルムとすべきである。フィルム基材の厚さが大きくなると、材料の強度が大きくなるのでラミネート包装材料の引裂特性及び切断特性が損なわれる。
【0042】
包装材料は、気相蒸着アモルファスダイアモンドライクカーボンのバリアコーティングを有するバリアフィルムを備え、多くの面で良好な性質を示す。例えば、低い酸素透過率(OTR)、低い水蒸気透過率(WVTR)、及び良好な芳香・香気バリア特性を有する。また、ラミネーションによりラミネート包装材料とし、このようなラミネート材料の折り曲げ成形及び封止操作によりパッケージとする、といったその後の取扱い操作において、良好な機械的性質を有する。
【0043】
特に、本発明に係るラミネート包装材料は、当該ラミネート構成内の隣接する層間に優れた接着性を提供することにより、また、ラミネート材料層において相対湿度が高いといった厳しい条件下で良質のバリアコーティングを提供することにより、優れた一体性を有することがわかった。特に、液体及び湿った食品の包装のためには、湿潤包装条件下であってもラミネート包装材料内の層間接着性を維持するということが重要である。様々な種類の気相蒸着バリアコーティングのうち、プラズマ増強化学気相蒸着(PECVD)などのプラズマコーティング技術により適用された、このDLCタイプの気相蒸着バリアコーティングが優れたラミネート一体性を有することが確認された。一方、その他の種類の気相蒸着化学種、例えばSiO
xやAlO
xコーティングによるバリアコーティングは、湿潤条件及び湿った条件下での同種のラミネート材料において、良好な一体性を示さない。湿潤条件下であってもDLCコーティングが有機ポリマー(特にポリオレフィンなど)に対してこの異常な接着適合性を示すことは、真に驚くべきことであり、このようなバリアフィルムを液体カートンラミネート包装に特に適したものとする。
【0044】
本発明の第2態様によると、液体、半固体、又は湿った食品の包装を想定した、本発明のラミネート包装材料を備える包装容器が提供される。一実施形態によると、包装容器は、本発明のラミネート包装材料から製造される。さらなる実施形態によると、包装容器は、その全体がラミネート包装材料から作製される。
【0045】
さらなる実施形態によると、包装容器は、ラミネート包装材料から形成されてよく、当該ラミネート包装材料は、部分的に封止され、液体又は半流動食で充填され、次いで包装材料を当該包装材料自体に封着することにより(場合によってはプラスチック開口部又はパッケージの頂部と組み合わせて)封止される。
【0046】
長い時間をかけて、気体バリア性の基準並びに様々な機械的性質及びその他の物理的性質の必要性を満たすラミネート包装材料を設計するにあたり、様々な気相蒸着バリアコーティングが検討された。気相蒸着バリア層は、フィルム材料の基材表面への物理気相蒸着(PVD)又は化学気相蒸着(CVD)により適用され得る。基材材料自体も、いくつかの特性により貢献し得るが、何をおいても、気相蒸着コーティングを受容するとともに気相蒸着プロセスにおいて効率的に機能するのに適した適切な表面特性を有するものとすべきである。
【0047】
薄い気相蒸着層の厚さは、通常、僅かナノメートルレベル、すなわち、ナノメートルの大きさのオーダー、例えば1〜500nm(50〜5000Å)、好ましくは1〜200nm、より好ましくは1〜100nm、最も好ましくは1〜50nmである。
【0048】
いくつかのバリア特性、特に水蒸気バリア特性を有することの多い一般的な種類の気相蒸着コーティングの一つは、いわゆる金属化層、例えば金属アルミニウム物理気相蒸着(PVD)コーティングである。
【0049】
このような気相蒸着層は、実質的に金属アルミニウムから成り、厚さが5〜50nmであってよく、これは、包装用の従来の厚さ、すなわち6.3μmのアルミニウム箔中に存在する金属アルミニウム材料の1%未満に対応する。気相蒸着金属コーティングは、要する金属材料が著しく少量となるが、よくても低レベルの酸素バリア特性を提供するのみであり、最終的なラミネート材料に十分なバリア特性を付与するためには、さらなる気体バリア材料と組み合わせる必要がある。一方で、さらなる気体バリア層を補完し得るが、水蒸気バリア特性は有さず、むしろ水分に対して敏感である。
【0050】
気相蒸着コーティングの別の例は、アルミニウム酸化物(AlO
x)及びシリコン酸化物(SiO
x)コーティングである。一般に、このようなPVD−コーティングは、より脆く、ラミネーションにより包装材料へ組み込むには適していない。例外として、金属化層は、PVDで形成されたにもかかわらず、ラミネーション材料に適した機械的性質を有するものであるが、一般的に酸素ガスに対するバリア性はより低いものとなる。
【0051】
ラミネート包装材料のために研究されてきた他のコーティングが、プラズマ増強化学気相蒸着法(PECVD)によって適用されてもよい。PECVDでは、程度の差はあるが酸化雰囲気下において、化合物の蒸気が基材に蒸着される。例えば、シリコン酸化物コーティング(SiO
x)がPECVDプロセスにより適用されてもよく、これにより、特定コーティング条件及び気体組成の下で非常に良好なバリア特性を得ることができる。残念ながら、SiO
xコーティングは、溶融押出ラミネーションによりポリオレフィン及び他の隣接するポリマー層にラミネートされて、当該ラミネート材料が湿潤又は非常に湿った包装条件に曝された場合、接着特性が不十分である。液体カートン包装を想定した種類の包装ラミネートにおいて十分な接着性を実現しこれを維持するためには、特別で高価な接着剤又は接着性ポリマーが必要とされる。
【0052】
本発明によると、気相蒸着コーティングは、プラズマ増強化学気相蒸着プロセス(PECVD)により適用されたアモルファス水素化カーボンバリア層、いわゆるダイアモンドライクカーボン(DLC)である。DLCとは、ダイアモンドの典型的な性質のうちいくつかを呈するアモルファス炭素材料の分類であると定義されます。好ましくは、例えばアセチレンやメタンなどの炭化水素ガスが、コーティングを形成するためのプラズマ中のプロセスガスとして使用される。上記で指摘したように、このようなDLCコーティングは、湿潤な試験条件下で、ラミネート包装材料において隣接するポリマー層又は接着剤層に対する良好かつ十分な接着性を提供するものであることがわかった。隣接するラミネートポリマー層、すなわちDLCバリアコーティングに接着又はコートされたポリマー層に対する、特に良好な接着適合性が、ポリオレフィン、特にポリエチレン及びポリエチレン系コポリマーにおいて見られた。
【0053】
このため、良好な機械的性質と、充填されるパッケージの内側又は外側へ向かう方向にこのようなラミネート材料を通って移動する様々な物質に対する良好なバリア特性とをもって貢献することにより、また、ラミネートにおいて隣接するポリマー層に対する優れた接着性が得られることにより、DLCバリアコーティングは、当該バリアコーティングを有するバリアフィルムを備える包装ラミネートから作製された液体が充填された包装容器に対して、良好なバリア性及び一体性を提供する。DLCバリアコーティングが、主成分として(例えば少なくとも50重量%の)ポリアミドを含む層と連続的に接触するようにコートされると、バリア特性がさらに向上する。従って、任意の基層から作製されたバリアフィルム(例えば、それ自体は低い酸素バリア特性しか有さないポリエチレンフィルム)であってDLCバリアコーティングを有するものによって、長期間の大気保存(例えば最大2〜6か月間、例えば最大12か月間など)のために十分な酸素バリア特性及び水蒸気バリア特性を有する包装ラミネート及び包装容器を提供することができる。加えて、DLCバリアコーティングにより、パックされた食品中に存在する様々な芳香物質及び風味物質、隣接する材料層に存在するかもしれない低分子物質、香気、並びに酸素以外の気体に対する良好なバリア特性が提供される。また、DLCバリアコーティングは、ポリマーフィルム基材にコートされると、ラミネートされてカートンベースの包装ラミネートとされた場合に、良好な機械的性質を呈し、ラミネーション並びにその後の包装ラミネートの折り曲げ成形、封止、及び充填されたパッケージへの変形に耐える。ポリエステル及びポリアミドフィルムは、気相蒸着コーティングプロセス中、DLCコーティング層の開始及び成長に優れた基材表面を提供する。コーティングプロセスにおける有益な条件では、コーティング品質が向上するので、コーティング層を薄く形成することができ、それでも所望のバリア特性、接着特性、及び密着特性を実現することができる。
【0054】
DLCバリアコーティングでコートされた二軸延伸PETフィルムのクラック開始歪み(crack−onset strain;COS)は、2%を超えるものであり得る。これは通常コーティングの酸素バリア特性に関し得るもので、フィルムに2%を超える歪みが生じるまでは劣化が始まらない。
【0055】
DLCバリアコーティングは、米国特許第7,806,981号明細書に記載されたタイプのものと同様の電力に容量結合されたマグネトロン電極プラズマや欧州特許第0575299号明細書に記載されたタイプのものと同様の炭素前駆体を使用した誘導結合式の無線周波数プラズマ増強化学気相蒸着といったプラズマアシストコーティング技術により、基材に堆積され得る。
【0056】
一実施形態によると、ポリマーフィルム基材は、厚さが12μm以下、例えば8〜12μmのBOPETフィルムである。延伸フィルムは、通常、フィルムを貫通する引裂又は切断に対する強度及び強靭性が向上しており、ラミネート包装材料において含まれる場合には、このようなフィルムは、パッケージの開封を困難なものとし得る。できる限り薄いポリマーフィルム基材を選択することにより、バリア材料がより脆く、ポリマー材料が全体として溶融押出コーティング及び溶融押出ラミネーションにより形成されるラミネート包装材料と比較して、その後ラミネートされる包装材料の開封容易性が損なわれない。PETフィルムは、良好な機械的性質を有する堅固かつ費用効果の高いフィルムであるので、高温に対する幾分の固有の耐性並びに化学物質及び水分に対する相対的な耐性のために、DLC気相蒸着コーティングに特に適した物質である。PETフィルムの表面はまた、高い滑らかさ及び気相蒸着DLCコーティングに対する良好な親和性を有し、逆に気相蒸着DLCコーティングもPETフィルムに対する親和性を有する。
【0057】
さらなる実施形態によると、ポリマーフィルム基材は、フィルムをラミネートしてラミネート包装材料とする際に、バリアフィルムの両側で隣接する層に対するより良好な結合性を提供するために、BOPETフィルムの他面に適用された接着プライマーコーティングを有するBOPETフィルムである。
【0058】
さらに別の実施形態によると、ポリマーフィルム基材は、フィルムをラミネートしてラミネート包装材料とする際に、バリアフィルムの両側で隣接する層に対するより良好な結合性を提供するために、BOPETフィルム層の他面に適用された追加のDLCコーティングを有するBOPETフィルムである。
【0059】
DLCコーティングは、リサイクルされる内容物中に、自然及び我々の周囲環境には元来存在しない要素又は材料を含む残留物を残さず、容易にリサイクル可能であるという利点をさらに有する。
【0060】
本発明のラミネート包装材料における液密性の熱封止可能な最外層及び最内層に適した熱可塑性ポリマーは、ポリエチレンやポリプロピレンホモポリマー又はコポリマーなどのポリオレフィン、好ましくはポリエチレン、より好ましくは、低密度ポリエチレン(LDPE)、鎖状LDPE(LLDPE)、シングルサイト触媒メタロセンポリエチレン(m−LLDPE)、及びこれらのブレンド又はコポリマーから成る群から選択されるポリエチレンである。好ましい実施形態によると、最適なラミネーション特性及び熱封止特性のために、液密性の熱封止可能な最外層はLDPEであり、液密性の熱封止可能な最内層は、m−LLDPEとLDPEとのブレンド組成物である。
【0061】
最外層及び最内層に関して列挙されたものと同じ熱可塑性ポリオレフィン系材料、特にポリエチレンは、ラミネート材料内部の、すなわち紙又は板紙などのバルク層又はコア層とバリアフィルムとの間の結合層にも適している。
【0062】
代替的な実施形態によると、ラミネート材料内部の、すなわち熱封止可能な外側層とバリアコート若しくはプライマーコートされた基層との間の結合層に適しているもの、又は、単層若しくは多層のこのような結合ラミネート層においてバリアフィルムをバルク層に結合するのに適しているものとしては、LDPE若しくはLLDPEコポリマー、カルボキシル基やグリシジル基など(例えばアクリル(メタクリル)酸モノマーや無水マレイン酸(MAH)モノマーなど)のモノマーユニットを含む官能基を有するグラフトコポリマー(すなわちエチレンアクリル酸コポリマー(EAA)やエチレンメタクリル酸コポリマー(EMAA)など)、エチレン−グリシジルアクリレート(メタクリレート)コポリマー(例えば(M)A)、又はMAH−グラフトポリエチレン(MAH−g−PE)を主にベースとする、いわゆる接着性熱可塑性ポリマー(改質ポリオレフィンなど)もある。このような改質ポリマー又は接着性ポリマーの別の例は、いわゆるアイオノマー又はアイオノマーポリマーである。好ましくは、改質ポリオレフィンは、エチレンアクリル酸コポリマー(EAA)又はエチレンメタクリル酸コポリマー(EMAA)である。
【0063】
対応する改質ポリプロピレン系の熱可塑性接着剤又は結合層も、包装容器の完成品の必要条件によっては有用な場合がある。
【0064】
このような接着性ポリマー層又は繋ぎ層は、通常、共押出コーティング操作において、各外側層又はさらなるバルク−バリア結合層とともに適用される。
【0065】
しかしながら、通常、上述の接着性ポリマーの使用は、本発明のDLCバリアコーティングに対する結合に必要とされるべきではない。隣接する層としてのポリアミド及びポリオレフィン層に対する十分かつ適正な接着性は、少なくとも200N/m、例えば少なくとも300N/mのレベルであると結論付けられた。接着性の測定は、LDPEラミネーションから24時間後に、180度剥離力試験装置(Telemetric Instrument AB)を用いて室温で実行される。DLC/LDPEの界面で剥離が実行され、剥離アームはバリアフィルムである。必要に応じて、湿潤条件下、すなわち、ラミネート包装材料が、ラミネート材料から作製された包装容器に保存された液体からの、及び/又は湿潤環境又は非常に湿った環境での保存による、材料層を通って移動する水分で飽和した条件下における接着性を評価するために、剥離中に蒸留水の小滴が剥離界面に加えられる。与えられる接着性の値は、N/m単位で与えられ、6回の測定の平均である。
【0066】
200N/mを超える乾式接着により、通常のパッケージ製造条件下では、例えばラミネート材料を曲げて折り曲げ成形する際には各層が剥がれないようになる。これと同じレベルの湿式接着により、充填及びパッケージ成形の後、輸送、流通、及び保存中に、包装ラミネートの各層が剥がれないようになる。内部結合ポリマー層は、一般的な技術及び機械、例えば、アルミニウム箔のラミネーション用に知られているもの、特に溶融ポリマーからDLCバリアコーティング上へのポリマー層の高温ラミネーション(押出)を使用することにより、DLCバリア層がコートされたポリマーフィルム基材に直接コートされ得る。また、予め作製されたポリマーフィルムを使用して、当該ポリマーフィルムを局所的に溶融させることにより(例えば高温のシリンダー又は加熱されたローラーで熱を加えることにより)、バリアコートされたキャリアフィルムに直接結合させることが可能である。上記より、DLCコートされたバリアフィルムは、ラミネーション及びラミネート包装材料への転換を行う方法におけるアルミニウム箔バリアと同様の方法で、すなわち押出ラミネーション及び押出コーティングにより、取り扱うことができることは明らかである。ラミネーション装置及びラミネーション方法は、例えば、従来既知のプラズマコートされた材料で必要とされ得るような具体的な接着性ポリマー又はバインダー/繋ぎ層を追加するといった修正を必要としない。加えて、コートされたDLCバリア層を含むこの新規なバリアフィルムは、最終的な食品パッケージにおけるバリア特性に悪影響を及ぼすことなく、アルミニウム箔と同じくらい薄いものとして形成され得る。
【0067】
DLCコートされたPETフィルムのDLCバリアコーティング面をポリアミドの隣接する層にラミネートする際には、バリアフィルムによる貢献する酸素バリア特性が5倍まで向上した値にまで増加することがわかった。単に本発明のDLCバリアコーティングをさらなるバリア層とともにラミネートしてラミネート体を形成するだけでこのようにバリア性が向上することは、次のような単純なラミネート理論では説明することができない。
1/OTR=SUMi(1/OTRi)
しかしながら、本発明は、このように、各ラミネート層によるOTRへの個々の貢献を超えて全体のバリア性を向上させるものである。DLCコーティングとポリアミド表面との間の優れた接着性により、二つの材料間の界面が特に良好に一体化されて、これにより酸素バリア特性が向上するものと考えられている。バリアフィルムがDLCコートされたLLDPEポリエチレンフィルム基材又はポリプロピレンフィルム基材である対応するさらなる実施形態によると、ポリアミドのさらなる第2バリア層でDLCバリアコーティングのコーティングを行うことによる対応する性能向上は、約10倍であった。
【0068】
本発明の好ましい実施形態では、乾燥条件及び(剥離界面に水を加えることによる)湿潤条件下で(上述のように)180°剥離試験法により測定された場合の、DLCバリアコーティング層とさらなるラミネート結合ポリマー層との間の剥離力の強さは、200N/mより大きく、例えば300N/mより大きい。200N/mを超える乾式接着により、通常の製造条件下では、例えばラミネート材料を曲げて折り曲げ成形する際には各層が剥がれないようになる。これと同じレベルの湿式接着により、充填及びパッケージ成形の後、輸送、流通、及び保存中に、包装ラミネートの各層が剥がれないようになる。
【0069】
以下、本発明の好ましい実施形態について、図面を参照して説明する。