(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記食器洗浄機が前記許可信号を受けたとき、前記第2コンベア部は前記ピッキングエリアの長さに等価な距離を移動することを特徴とする請求項1記載の食器洗浄システム。
前記食器洗浄機が前記許可信号を受けたとき、前記リレーコンベアと前記第2コンベアとはそれぞれの機長を移動することを特徴とする請求項1記載の食器洗浄システム。
前記リレーコンベア上に前記食器が存在しないとき、前記洗浄機本体は洗浄動作を実行し、前記第1コンベアは前記リレーコンベアと連動して移動することを特徴とする請求項1記載の食器洗浄システム。
前記リレーコンベア上に前記食器が存在するとき、前記洗浄機本体は停止し、前記第1コンベアは前記リレーコンベアとともに停止することを特徴とする請求項4記載の食器洗浄システム。
前記ロボット装置は、前記食器の積み重ね枚数が所定枚数に達したとき、前記食器の積み重ね枚数が所定枚数に達したことを光と音と振動との少なくとも一により報知する報知部をさらに有することを特徴とする請求項7記載の食器洗浄システム。
前記ワークの積み重ね枚数が所定枚数に達したとき、前記ワークの積み重ね枚数が所定枚数に達したことを光と音と振動との少なくとも一により報知する報知部をさらに有することを特徴とする請求項14記載のロボット装置。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、図面を参照しながら本発明の一実施形態に係る食器洗浄システムを説明する。
図1に本実施形態に係る食器洗浄システムの斜視図、
図2に本実施形態に係る食器洗浄システムの側面図、
図3に本実施形態に係る食器洗浄システムの平面図をそれぞれ示している。本実施形態に係る食器洗浄システムは、縦列に配設された例えば500mmの同幅のコンベア310,320,330によって被洗浄物としてワーク、ここでは食器を搬送しながら洗浄機本体210の内部の洗浄室で洗浄するコンベア型食器洗浄機200と、洗浄機本体210の外側に既定されたピッキングエリアまでコンベア310,320,330で搬送された食器をピックアップしてストックラック400のストックエリアに移送するためにピッキングエリアの近傍に設置されるロボットアーム機構101を有するロボット装置と、ピッキングエリアに食器が存在しないとき食器洗浄機200に対してコンベア310,320,330の動作に関する許可信号を発生する後述する制御装置とから構成される。なお、制御装置はロボット装置に装備される構成であっても良い。またコンベア310,320,330は食器を伏姿勢で直接載置する多孔ベルトとして説明するがトレイコンベアであっても良い。
【0008】
洗浄機本体210はその下部に機械室が設けられ、上部に洗浄作業と濯ぎ作業とを実行する洗浄室が設けられる。機械室には、洗浄水を洗浄ノズルから食器に噴出するために、洗浄水を貯留する洗浄水タンクと洗浄水を洗浄ポンプとが収容されている。また機械室には、すすぎ水をすすぎノズルから食器に噴出するために、すすぎ水タンクとすすぎポンプとが収容される。
【0009】
洗浄室は洗浄機本体210の内部に設けられる。搬入口212から搬出口213まで貫通されている。洗浄室の洗浄水及びすすぎ水が外部に飛散することを防止するために、洗浄室の搬入口212には図示しない搬入カーテンが吊り下げられ、洗浄室の搬出口213には短冊状に分割された搬出カーテン214が吊り下げられている。
【0010】
洗浄機本体210の洗浄室内で食器を搬送させるためのコンベア(洗浄コンベア又は第1コンベアという)310が備え付けられている。洗浄コンベア310に載置された食器は搬入口212から洗浄機本体210内部の洗浄室に搬入され、搬出口213から搬出される。なお、搬入口212から搬出口213に向かう方向(紙面の右から左に向かう方向)を下流、搬出口213から搬入口212に向かう方向(紙面の左から右に向かう方向)を上流と定義する。
【0011】
洗浄コンベア310にはその上流側に隣接して、回転ブラシを装備した予備洗浄用シンク340が配置される。予備洗浄用シンク340に代えて浸漬槽を設置してもよい。予備洗浄用シンク340の例えば上方には予備洗浄された食器を一時的に保管するための水切りラック350が設置される。予備洗浄用シンク340に下方の床面にはフットスイッチ220が配置される。作業者は食器を予備洗浄し、そのまま洗浄コンベア310の上流縁部分に載置し、または水切りラック350に載置する。フットスイッチ220が作業員により踏下されたとき、食器洗浄機200は後述する制御装置に洗浄動作が許可されていることを条件として洗浄コンベア310が移動し、洗浄水及びすすぎ水が噴出される洗浄動作を開始する。
【0012】
洗浄コンベア310の下流側にはコンベア(以下リレーコンベアという)320が縦列に設置される。リレーコンベア320の下流側にはコンベア(以下ピッキングコンベア又は第2コンベアという)330が縦列に設置される。洗浄コンベア310、リレーコンベア320、ピッキングコンベア330は食器を順次搬送する一連のコンベア300を構成する。洗浄コンベア310は洗浄機本体210の長さより長く、例えば1500mmの機長を有する。ピッキングコンベア330は例えば800mmの機長を有する。リレーコンベア320はピッキングコンベア330より短く、例えば600mmの機長を有する。リレーコンベア320を挟んでその両側にエリアセンサ207の発光部アレイ207−1と受光部アレイ207−2とが配設される。エリアセンサ207はリレーコンベア320上に食器が存在するとき“オフ”状態を示し、食器が存在しないとき“オン”状態を示す。
【0013】
リレーコンベア320は洗浄コンベア310から排出される食器をピッキングコンベア330に受け渡すものであり、洗浄コンベア310とピッキングコンベア330との一方に対して連動する。リレーコンベア320が洗浄コンベア310とピッキングコンベア330とのいずれに連動するかは後述するように状況に応じて動的に変化する。それによりピッキング動作と洗浄動作とを、逐次処理(順次処理)ではなく、並列処理により同時進行で効率的に実行させる事が可能となっている。
【0014】
ピッキングコンベア330の上方にはガイドレール333が、ピッキングコンベア330の動作を阻害しないようにベルト表面から少し離間した高さに設置される。ガイドレール333は「くの字」形の板材であり、ベルト中心線に対して傾斜する部分と平行な部分とからなる。ピッキングコンベア330上の食器は上流側から略半機長の距離を移動する間にガイドレール333の傾斜部分により手前側に例えば200mm寄せられる。ガイドレール333の平行部分で規制されたピッキングコンベア330の下流側の半機長の正方領域には、ロボットアーム機構101のピッキングエリア(例えば400mm×400mm)がアライメントされている。
【0015】
ピッキングエリアの近傍には、基台から順に旋回回転関節部、起伏回転関節部、直動関節部を配置した極座標形のロボットアーム機構101の支柱部2が立設されている。直動関節部としてここでは伸縮長の長い後述の直動伸縮機構を採用しているがそれに限定されるものではない。ロボットアーム機構101の可動範囲内にピッキングエリア全域が含まれる。ピッキングエリアの上方には、視野がピッキングエリアを包含するようカメラ103が設置される。ロボット装置ではカメラ103で取得したピッキングエリア内の画像を処理して食器を認識する。ピッキングコンベア330によりピッキングエリアに搬送された食器がロボットアーム機構101に順次ピックアップされる。ピッキングコンベア330上のピッキングエリアからロボットアーム機構101の支柱部2を挟んで手前側にはストック台410が配置される。ストック台410上にはストックラック400が載置される。ストックラック400の内側にはロボットアーム機構101のストックエリア(リリースエリアともいう)が位置合わせされている。ロボットアーム機構101の可動範囲内にストックエリア全域が含まれる。ストックエリア内には複数、ここでは7箇所にリリース位置が既定されている。ピッキングエリアでロボットアーム機構101にピックアップされた食器はストックエリアのリリース位置にリリースされる。リリース位置には個々に反射形光電センサ(食器センサ)104−1〜104−7が装備される。食器センサ104−1〜104−7は、それぞれ対応するリリース位置に食器が存在するとき“オン”状態を示し、食器が存在しないとき“オフ”状態を示す。
【0016】
図4はロボットアーム機構101の内部構造を示している。ロボットアーム機構101は直動伸縮機構を備えた垂直多関節型を例に説明するが、直動伸縮機構を備えない一般的な垂直多関節型であってもよい。ロボットアーム100は、複数の関節部J1−J6を有する。ロボットアーム機構101は、基台1、支柱部2、起伏部4、アーム部5及び手首部6を備える。手首部6の先端には食器を吸着するための吸着パッド7が取り付けられる。基台1には円筒体をなす支柱部2が鉛直に設置される。支柱部2は旋回回転関節部としての第1関節部J1を収容する。第1関節部J1の回転軸RA1は鉛直である。支柱部2は支柱下部フレーム21と支柱上部フレーム22とを有する。下部フレーム21の一端は第1関節部J1の固定部に接続される。下部フレーム21の他端は基台1に設置される。下部フレーム21は円筒形状のハウジング31により覆われる。上部フレーム22は第1関節部J1の回転部に接続され、回転軸RA1を中心に軸回転する。上部フレーム22も円筒形状のハウジング32により覆われる。第1関節部J1の回転に伴って下部フレーム21に対して上部フレーム22が回転し、それにより起伏部4及びアーム部5は旋回する。円筒体をなす支柱部2の内部中空には直動伸縮機構としての第3関節部J3の第1、第2コマ列51、52が収納される。
【0017】
支柱部2の上部には第2関節部J2を収容する起伏部4が設置される。第2関節部J2は曲げ回転関節である。第2関節部J2の回転軸RA2は水平である。起伏部4は、第2関節部J2の固定部をなす一対のサイドフレーム23を有する。一対のサイドフレーム23は、上部フレーム22上に設置される。この一対のサイドフレーム23にモータを収容する円筒体24が回転自在に支持される。モータ回転により円筒体24が軸回転する。円筒体24の周面には送り出し機構25が取り付けられる。送り出し機構25のフレーム26には、ドライブギア56、ガイドローラ57及びローラユニット58が支持される。円筒体24の軸回転に従って送り出し機構25は回動し、送り出し機構25に支持されたアーム部5が起伏する。起伏部4の背面はその起伏動に追従して伸縮する蛇腹カバー14により覆われる。
【0018】
第3関節部J3は直動伸縮機構により提供される。直動伸縮機構は発明者らが新規に開発した構造を備えており、可動範囲の観点でいわゆる従来の直動関節とは明確に区別される。第3関節部J3のアーム部5は屈曲自在な状態と、直線的剛性が確保される状態とで遷移可能である。アーム部5は第1コマ列51と第2コマ列52とを有する。第1コマ列51は屈曲自在に連結された複数の第1コマ53からなる。第1コマ53は略平板形に構成される。第1コマ53は端部箇所の蝶番部(ヒンジ部)で屈曲自在に連結される。第2コマ列52は複数の第2コマ54からなる。第2コマ54は典型的には横断面コ字形の溝状体又はロ字形の筒状体に構成される。第2コマ54は底板端部箇所のヒンジ部で屈曲自在に連結される。第2コマ列52の屈曲は、第2コマ54の側板の端面どうしが当接する位置で係止するる。その位置では第2コマ列52は直線的に配列する。第1コマ列51の先頭の第1コマ53と、第2コマ列52の先頭の第2コマ54とは結合コマ55により接続される。例えば、結合コマ55は第1コマ53と第2コマ54とを合成した形状を有している。第1、第2コマ列51,52はローラユニット58の上下ローラ59の間隙を通過する際に互いに押圧されて強固に接合する。接合により第1、第2コマ列51,52は直線的剛性状態に遷移し、柱状のアーム部5を構成する。アーム部5が引き戻されるときローラユニット58の後方で分離され、屈曲状態に遷移する。
【0019】
ローラユニット58の後方にはドライブギア56がガイドローラ57とともに配置される。ドライブギア56は図示しないモータユニットに接続される。モータユニットは、ドライブギア56を回転させるための動力を発生する。第1コマ53の内側の面、つまり第2コマ54と接合する側の面の幅中央には連結方向に沿ってリニアギア539が形成されている。複数の第1コマ53が直線状に整列されたときに隣合うリニアギア539は直線状につながって、長いリニアギアを構成する。ドライブギア56はガイドローラ57に押圧された第1コマ53のリニアギア539に噛み合わされる。直線状につながったリニアギア539はドライブギア56とともにラックアンドピニオン機構を構成する。ドライブギア56が順回転するとき第1、第2コマ列51,52はローラユニット58から前方に送り出される。ドライブギア56が逆回転するとき第1、第2コマ列51,52はローラユニット58の後方に引き戻される。引き戻された第1、第2コマ列51,52はローラユニット58とドライブギア56との間で互いに分離される。分離された第1、第2コマ列51,52はそれぞれ屈曲可能な状態に復帰する。屈曲可能な状態に復帰した第1、第2コマ列51,52は、ともに同じ方向(内側)に屈曲し、支柱部2の内部に鉛直に収納される。このとき、第1コマ列51は第2コマ列52に略平行にほぼ揃った状態で収納される。
【0020】
アーム部5の先端には手首部6が取り付けられる。手首部6は第4〜第6関節部J4〜J6を装備する。第4〜第6関節部J4〜J6はそれぞれ直交3軸の回転軸RA4〜RA6を備える。第4関節部J4は伸縮中心軸RA3と略一致する第4回転軸RA4を中心としたねじり回転関節であり、この第4関節部J4の回転により吸着パッド7は揺動回転される。第5関節部J5は第4回転軸RA4に対して垂直に配置される第5回転軸RA5を中心とした曲げ回転関節であり、この第5関節部J5の回転により吸着パッド7は前後に傾動回転される。第6関節部J6は第4回転軸RA4と第5回転軸RA5とに対して垂直に配置される第6回転軸RA6を中心としたねじり回転関節であり、この第6関節部J6の回転により吸着パッド7は軸回転される。
【0021】
吸着パッド7は例えばシリコン樹脂製の蛇腹チューブであり、その先端が円錐形に拡がっている。吸着パッド7にはエアチューブを介してエアコンプレッサが接続されている。吸着パッド7の先端を食器の裏面に接触させた状態でエアコンプレッサが駆動すると、食器で閉空間とされる吸着パッド7の内部の負圧により食器が吸着パッド7に吸着される。エアコンプレッサが停止すると吸着パッド7の内部が大気圧に復帰して食器がリリースされる。
【0022】
図5には本実施形態に係る食器洗浄システムの機能構成をブロック図により示している。ロボット装置100は上記ロボットアーム機構101、ピッキングエリアカメラ103、食器センサ104とともに、ロボット装置100の全体制御を担う制御部102と、ピッキングエリアカメラ103で取得した画像を処理して丼/皿/小鉢等の食器の種類を判別するとともに食器の重心位置(ピックアップ位置)及び食器の姿勢を算出する画像処理部108と、ストックエリアに置かれた食器の数をリリース位置ごとに計数するストック食器数計数部106と、ピッキングエリア上の食器ごとにストックエリアのリリース位置を決定するリリース位置決定部107と、ピッキングエリアからリリースエリアに食器をピッキングするようロボットアーム機構101を制御するピッキング動作制御部105と、吸着パッド7にエアチューブを介して接続されるエアコンプレッサ108と、ストック台410又はその近傍に設置される報知部111と、後述の制御装置500と信号送受信のためのインタフェース110を備える。なお説明の便宜上、食器の種類としては、丼、皿、小鉢の3種類と仮定する。またリリース位置PR1〜PR8は8箇所である仮定する。報知部111は、制御部102の制御に従って、リリース位置PR1〜PR8の少なくとも1箇所で食器の積み重ね枚数が6枚等の所定の上限数に達したときに、その旨を光と音と振動との少なくとも一、好ましくは光と音と振動とにより作業員に報知する。なお、振動報知に関しては、作業員が携帯する、バイブレータ機能を備えた携帯端末に対して典型的には無線通信により報知部111からバイブレータ機能を起動させるためのトリガ信号を送信するものである。
【0023】
画像処理部108は、ピッキングエリアカメラ103で取得した画像を二値化し、その輪郭を抽出し、輪郭を例えばパターンマッチング処理にかけて丼/皿/小鉢等の食器の種類を判別する。もちろん画像処理部108は、ピッキングエリアカメラ103で取得した画像から食器の輪郭を抽出できなかったときは、食器が存在しないとの画像処理結果を出力する。画像処理部108は、既存手法を任意に用いて輪郭の閉領域の重心位置をピックアップ位置として計算する。ここで食器の伏せ姿勢での投影形状が丼と小鉢は円であり、皿は円でなく矩形であると仮定する。画像処理部108は、判別結果が皿であったとき、食器の姿勢、例えば長手方向に平行な中心線を算出する。この皿の姿勢は皿をリリースするときに姿勢を揃えて積み重ねる事を可能にする。
【0024】
画像処理部108による処理結果として食器領域の輪郭を抽出できなかったとき、つまりピッキングエリアに食器が存在しないとき、制御部102は制御装置500に対してピッキングが完了してピッキングエリアに食器が存在しないことを表す信号(ピッキング完了信号を送信する。なお、画像処理部108による処理結果として食器領域の輪郭が2等の所定数以下であるとき、つまりピッキングエリアの食器が2個等の所定数以下であるとき、制御部102は制御装置500に対してピッキング完了信号を送信するものであってもよい。
【0025】
食器センサ104−1〜104−8はそれぞれ対応するリリース位置PR1〜PR8に食器が存在しないときオフ状態を示し、食器が存在するときオン状態を示す。作業員がストックされた食器を食器保管棚に移動したとき、その食器が置かれていたいずれかのリリース位置(PR1〜PR8)の食器センサ(104−1〜104−8)はオン状態からオフ状態に遷移する。ストック食器数計数部106は、ロボットアーム機構101によるリリース動作に従ってリリース位置PR1〜PR8ごとにリリース回数をストックされた食器数として計数するとともに、食器センサ104−1〜104−8のいずれかがオフ状態を示したとき、そのリリース位置の食器数をゼロ値にリセットする。
【0026】
なお、光電センサ(食器センサ)104−1〜104−8がオフ状態を示したことを契機としてそのリリース位置の食器数をゼロ値にリセットするものとして説明したが、それに限定されるものではない。例えば、ストックエリアを撮影するストックエリアカメラをピッキングカメラとは別途に設置し、このストックエリアカメラで撮影したストックエリアの画像を画像処理部108で処理し、各リリース位置で食器の輪郭を抽出できなかったときは、そのリリース位置の食器数をゼロ値にリセットするようにしてもよい。また、タッチパネルとディスプレイからなるユーザ操作部をストック台601又はその近傍に設置しておき、作業員(ユーザ)が、ストックされた食器を食器保管棚に移動したとき、その食器が置かれていたいずれかのリリース位置を表すアイコンをタッチパネル上から作業員自身でタップ操作をすることにより、そのリリース位置の食器数をゼロ値にリセットするようにしてもよい。
【0027】
リリース位置決定部107は、リリース位置PR1〜PR8のうち3箇所のリリース位置PR1〜PR3を丼専用のリリース位置として割り当てており、同様に他の3箇所のリリース位置PR4〜PR6を小鉢専用のリリース位置、残りの2箇所のリリース位置PR7、PR8を皿専用のリリース位置として割り当てている。各リリース位置PR1〜PR8に積み重ねられる食器の上限数が予め決められており、ここでは6と仮定する。また丼専用のリリース位置PR1〜PR3に対してその順番で優先順位が設定され、同様に小鉢専用のリリース位置PR4〜PR6に対してその順番で優先順位が設定され、皿専用のリリース位置PR7、PR8に対してその順番で優先順位が設定されている。
【0028】
リリース位置PR1〜PR8の内少なくとも1箇所で積み重ねられた食器が上限数に達しているとき、制御部102は報知部111を制御し、その食器の移し変えを作業員に促すために音と光と振動トリガ信号との少なくとも一を報知部111から出力させる。
【0029】
リリース位置決定部107は、画像処理部108で判別された食器の種類に割り当てられているリリース位置のうち、ストック食器数計数部106でリリース位置ごとに計数し、保持している食器数が上限数に達していないリリース位置を抽出し、その中の最も優先順位の高いリリース位置を選択する。
【0030】
上述の通り画像処理部108によりピッキングエリア内の複数の食器各々の種類、重心位置、姿勢を計算するものであるが、それら情報を用いてピッキング動作制御部105はピッキングの順番を決定する。例えば、丼を最優先のピッキング対象とし、小鉢を第2位の優先順位とし、皿が最終順位とする。同種類の食器の中では、ピッキングコンベア330における下流側で、ロボットアーム機構101の手前側の角部から食器重心位置までの距離が短い順番でピッキングする。
【0031】
ピッキング動作制御部105は、その順番に従って各食器の重心位置(ピックアップ位置)と、食器種類に固有の食器高さに応じたピックアップ高と、リリース位置決定部107で決定したリリース位置と、そのリリース位置に積み重ねられている食器数と食器種類に固有の食器高さとから決まるリリース高とから、吸着パッド7の軌道を計算し、その軌道に従ってロボットアーム機構101を逐次制御する
食器洗浄機200は、食器洗浄機200の全体制御を担う制御部201、機械室の洗浄ポンプを駆動する洗浄ポンプ駆動部202、機械室の濯ぎポンプを駆動する濯ぎポンプ駆動部203、洗浄コンベア310を駆動する洗浄コンベア駆動部204、リレーコンベア320を駆動するリレーコンベア駆動部205、ピッキングコンベア330を駆動するピッキングコンベア駆動部206、リレーコンベア320の両側に設置されたエリアセンサ207、食器洗浄動作を開始させるために作業員により踏下されるフットスイッチ208、制御装置500と信号送受信のためのインタフェース209を備える。
【0032】
制御装置500は、ロボット装置100からピッキング完了信号を受信したとき、食器洗浄機200に対してピッキングコンベア駆動許可信号とピッキングコンベア受け入れ許可信号とを選択的に送信する。ピッキング完了信号は上述したようにロボットアーム機構101でピッキングエリア上の全ての食器のピッキングが完了して、ピッキングエリアに食器が存在しないときにロボット装置100の制御部102で発生される。そのときピッキングコンベア駆動許可信号が制御装置500で発生される。食器洗浄機200の制御部201はピッキングコンベア駆動許可信号を受信したとき、ピッキングコンベア駆動部206を制御して、ピッキングコンベア330をピッキングエリアの長さだけ、ここでは半機長だけ移動させる。それによりピッキングコンベア330の上流側のウェイティングエリア上の食器がピッキングエリアに搬送される。
【0033】
制御装置500はピッキングコンベア駆動許可信号を発生した後にロボット装置100からピッキング完了信号を受信したとき、ピッキングコンベア受け入れ許可信号を発生し、食器洗浄機200に送信する。上述したようにピッキングコンベア駆動許可信号によりピッキングコンベア330はその半機長(400mm)だけ移動し、ピッキングコンベア330の上流側のウェイティングエリア上の食器がピッキングエリアに搬送され、その後にピッキング完了信号が発生されることはピッキングコンベア330のベルト面に一つも食器が存在していないことを意味する。食器洗浄機200の制御部201はピッキングコンベア受け入れ許可信号を受信したとき、リレーコンベア駆動部205を制御してリレーコンベア320をその機長(600mm)移動させ、それと連動して、ピッキングコンベア駆動部206を制御して、ピッキングコンベア330をその機長(800mm)だけ移動させる。それによりリレーコンベア320上の食器がピッキングコンベア330に受け渡され、ウェイティングエリアとピッキングエリアとに食器が搬送されてくる。
【0034】
この動作を
図6を参照して詳細に説明する。
図6(a)は食器洗浄及びピッキング過程の中でピッキングエリア内の全食器がストックエリアに移送された典型的な状態を示している。洗浄コンベア310のベルトの載置面のほぼ全域に複数の食器として複数の丼601、複数の皿602、複数の小鉢603が不規則に載置される。リレーコンベア320にもその載置面全域に複数の食器が載置されている。ピッキングコンベア330のピッキングエリアには食器が存在せず、一方その上流側のウェイティングエリアには複数の食器が存在している。ピッキングエリア上には食器が存在していないので、制御部102から外部の制御装置500にピッキングコンベア駆動許可信号が送信される。
【0035】
ロボット装置100からピッキング完了信号を受信した制御装置500は、食器洗浄機200に対してピッキングコンベア駆動許可信号を食器洗浄機200の制御部201に送信する。食器洗浄機200の制御部201はピッキングコンベア駆動許可信号を受信したとき、ピッキングコンベア駆動部206を制御して
図6(b)に示すようにピッキングコンベア330を移動させ、半機長、例えば400mm移動した時点で停止させる。ウェイティングエリア内の食器はピッキングコンベア330の移動に伴って、またガイドレール333に案内されてロボットアーム機構101の側に少しずつ寄せられながらピッキングエリアに搬送される。この段階ではウェイティングエリアには食器が存在せず、ピッキングエリアには食器が存在する。
【0036】
新たにピッキングエリアに搬送されてきた食器は順次、ロボットアーム機構101によりストックエリアに移送される。
図6(c)に示すようにピッキングエリア内の全食器がストックエリアに移送され、ピッキングコンベア330のピッキングエリアに食器が存在しない状態になったとき、ロボット装置100の制御部102から外部の制御装置500に、再度、ピッキングコンベア駆動許可信号が送信される。この段階では、ピッキングエリアにもウェイティングエリアにも食器が存在しない、つまりピッキングコンベア330のベルト表面には一つも食器が載置されていない状態となる。
【0037】
制御装置500では、食器洗浄機200の制御部201にピッキングコンベア駆動許可信号を送信した後に、ロボット装置100からピッキング完了信号を受信したときには、食器洗浄機200の制御部201に、ピッキングコンベア受け入れ許可信号を送信する。
【0038】
食器洗浄機200の制御部201はピッキングコンベア受け入れ許可信号を受信したとき、
図6(d)に示すように、リレーコンベア駆動部205とピッキングコンベア駆動部206とを制御して、リレーコンベア320とピッキングコンベア330とを同時に移動を開始させ、同速度で移動させる。そして制御部201はリレーコンベア320がその機長(600mm)を移動した時点でリレーコンベア320を停止させる。その後、制御部201はピッキングコンベア330がその機長(800mm)を移動した時点でピッキングコンベア330を停止させる。この段階では、リレーコンベア320上には食器が存在せず、ピッキングコンベア330のウェイティングエリアとピッキングエリアとに食器が存在している。
【0039】
新たにピッキングエリアに搬送されてきた食器は順次、ロボットアーム機構101によりストックエリアに移送され、ピッキングエリア内の全食器がストックエリアに移送され、ピッキングコンベア330のピッキングエリアに食器が存在しない状態になったとき、
図6(a)に示した状態に戻り、同様の動作が繰り返される。
【0040】
次に食器洗浄動作について説明する。
図7(a)は
図6(c)と同様の状態である。つまりリレーコンベア320にはその全域に食器が存在している。この状態ではエリアセンサ207の全光電センサはオフ状態を示す。エリアセンサ207がオフ状態を示すとき、食器洗浄機200の制御部201は、インターロック状態に移行し、食器洗浄動作を中断させる。それにより洗浄コンベア310をリレーコンベア320とともに停止させ、洗浄ポンプ及び濯ぎポンプも停止させる。作業者がフットスイッチ208を踏下してオンさせたとしても、インターロック状態が解除されない限り食器洗浄動作は再開しない。食器洗浄動作は、インターロック解除された状態で、作業者がフットスイッチ208を踏下してオンさせた時に再開する。またはリレーコンベア320に食器が存在せずエリアセンサ207がオン状態を示す時に、自動的に再開するようにしてもよい。
【0041】
図7(b)は
図6(d)と同様の状態である。つまりリレーコンベア320からピッキングコンベア330に食器が搬送され、リレーコンベア320上に食器が存在しなくなった状態を示している。この状態では、リレーコンベア320に食器が存在しないので、エリアセンサ207がオン状態を示す。それにより食器洗浄機200の制御部201は、インターロック状態を解除し、洗浄動作を許可する。作業者がフットスイッチ208を踏下してオンさせた時、食器洗浄動作は再開する。
図7(c)に示すように、洗浄コンベア310とリレーコンベア320とが移動を開始し、それとともに洗浄ポンプ及び濯ぎポンプも動作を再開する。そして
図7(d)に示すように、リレーコンベア320の全域に食器が存在し、エリアセンサ207がオフ状態を示すとき、インターロック状態に移行し、洗浄動作は中断する。
【0042】
ここで、リレーコンベア320全域に食器が存在して、エリアセンサ207はオフ状態を示しているとしても、制御部201は制御装置500からピッキングコンベア受け入れ許可信号を受信し、それに応じてリレーコンベア320がその機長(600mm)を移動する期間は、リレーコンベア320に食器が滞留する事が無いので、洗浄動作を停止させる必要が無いので、その期間は制御部201はインターロック状態に移行しない。
【0043】
従って、ピッキング動作に並行して洗浄動作を進行させる事ができ、ピッキング動作が洗浄動作に及ぼす影響を最小限にとどめることができる。より詳しくは、
図7(b)〜
図7(d)から理解されるとおり、ロボット装置100がピッキングコンベア330上の食器全てをピッキングするのに要する時間(ピッキング時間)が、リレーコンベア320がその機長(600mm)を移動するのに要する時間より短い場合には、インターロックに移行する前に常にピッキングコンベア受け入れ許可信号が発生されることになり、洗浄動作が中断する事がない。一方で、ピッキング時間が、リレーコンベア320がその機長(600mm)を移動するのに要する時間より長い場合であったとしても、ピッキング完了を待機して洗浄動作が中断する期間は、それらの時間差に短縮させる事が可能になる。
【0044】
次にリリース位置決定処理等の詳細について説明する。
図8(a)は、リリース位置各々の食器数がゼロである場合を示している。
図8(b)は、優先度の高いリリース位置の食器数がゼロではない場合を示している。画像処理部108は、ピッキングエリアカメラ103により撮影された画像(ピッキングエリア画像)に基づいて、ピッキングエリア内の食器の有無を判別し、食器がある場合には食器の種類、食器の重心位置及び食器の姿勢を特定する。具体的には、予め食器(丼、皿、小鉢)毎のパターンが登録されている。画像処理部108は、ピッキングエリア画像を2値化処理し、2値化したピッキングエリア画像から食器の輪郭を抽出し、パターンマッチング処理を実行し、ピッキングエリアに食器が存在するか否か、食器が存在する場合には、存在する食器の種類を判別する。画像処理部108は、ピッキングエリア画像から抽出された食器の輪郭の重心位置(ピックアップ位置)PP01〜PP04を計算する。重心位置PP01〜PP04は、ロボット座標系で表され、ロボットアーム機構101によるその食器のピックアップ位置に使用される。さらに、画像処理部108は、判別した皿が、リリース位置において規定されている基準線に対する傾斜角を計算する。具体的には、画像処理部は、
図8(a)に示すように、ピッキングエリア内の皿の長手方向の中心線を特定し、リリース位置において規定されている皿の長手方向の中心線に対してどれだけ傾いているか、その傾斜角を計算する。ピッキングエリア内の皿の姿勢を特定することで、ロボットアーム機構101がリリースするときの食器の姿勢を揃えることができ、それにより食器を積み重ねて収納することを実現できる。ピッキングエリア画像から特定のパターンが抽出されなかったとき、つまりピッキングエリアに食器が存在しないとき、ロボット装置100の制御部101は上述したピッキング完了信号(ピッキング完了信号)を出力する。
【0045】
ストック食器数計数部106は、ストックエリアに規定されたリリース位置毎のリリース回数を計数し、リリース位置毎の計数値を保持する。食器センサ110−1〜110−8はロボットアーム機構のリリース位置PR1〜PR8にそれぞれ対応する位置に設置される。食器センサ110−1〜110−8は、対応するリリース位置PR1〜PR8に食器が存在しないときオフ状態を示し、食器が存在するときオン状態を示す。ストックラック内の食器が作業員により移動されたとき、その食器が積み重ねられていた位置に対応する食器センサ110の状態がオン状態からオフ状態に遷移する。ストック食器数計数部106は、オン状態からオフ状態に遷移した食器センサ110に対応するリリース位置の計数値をゼロリセットする。
【0046】
リリース位置決定部107は、リリース位置PR1〜PR8毎のリリース回数とストックエリア内の食器の種類、数とに基づいて、ロボットアーム機構101によりピックアップされた食器のリリース位置を決定する。具体的には、リリース位置決定部107は、ピックアップした食器のリリース位置を以下のように決定する。なお、
図8に示すように、ここではリリース位置PR1〜PR8のうち、ピッキングエリアから最も遠い横一列の3つのリリース位置PR1〜PR3が丼用のリリース位置として予め設定され、丼用のリリース位置より手前の横一列の3つのリリース位置PR4〜PR6が小鉢用のリリース位置として予め設定され、残りの2つのリリース位置PR7〜PR8が皿用のリリース位置として予め設定されているものとする。また、丼用の3つのリリース位置PR1〜PR3、小鉢用の3つのリリース位置PR4〜PR6、皿用の2つのリリース位置PR7〜PR8には、それぞれ優先順位が設定されている。例えば、食器毎の複数のリリース位置には、ロボットアーム機構101の設置位置から遠い順に優先順位が設定されている。ここでは、丼用の3つのリリース位置PR1〜PR3には、リリース位置PR1,PR2,PR3の順で優先順位が割り当てられている。同様に、小鉢用の3つのリリース位置PR4〜PR6には、リリース位置PR4,PR5,PR6の順で優先順位が割り当てられている。皿用の3つのリリース位置PR7〜PR8には、リリース位置PR7,PR8の順で優先順位が割り当てられている。さらに、リリース位置各々には、積み重ねられる食器数、つまりリリース回数の上限値が設定されており、リリース回数の上限値は例えば6に設定されている。
【0047】
リリース位置決定部107は、複数のリリース位置PR1〜PR8のうち、画像処理部108により判別された食器の種類に設定されているリリース位置を特定する。リリース位置決定部107は、特定したリリース位置のうち、ストック食器数計数部106により保持されているリリース位置毎のリリース回数が最大値に達していないリリース位置を抽出する。リリース位置決定部107は、抽出したリリース位置から最も優先順位の高いリリース位置を選択する。例えば、
図8(a)に示すように、重心位置PP01,PP02の丼のリリース位置をPR1、重心位置PP04の小鉢のリリース位置をPR4、重心位置PP02の皿のリリース位置をPR7に決定する。
【0048】
図8(b)に示す例では、丼用のリリース位置PR1〜PR3のうち優先度の最も高いリリース位置PR1のリリース回数が5である。リリース位置決定部107は、丼と判別された重心位置PP06についてそのリリース位置をPR1に決定する。それによりリリース位置PR1のリリース回数は上限に達するので、重心位置PP07の丼については第2位の優先順位のリリース位置PR2に移動する。同様に、小鉢用のリリース位置PR4〜PR6のうち優先度の高いリリース位置PR4のリリース回数が上限値に達しているため、重心位置PP08の小鉢のリリース位置をPR5に決定する。同様に、皿用のリリース位置PR7〜PR8のうち優先度の高いリリース位置PR7のリリース回数が上限に達しているため、皿(PP05)のリリース位置をPR8に決定する。
【0049】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。