(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記開始エネルギー源が、300kVp以下、200kVp以下、120kVp以下、105kVp以下、80kVp以下、70kVp以下、60kVp以下、50kVp以下、40kVp以下、30kVp以下、20kVp以下、10kVp以下、または5kVp以下のピーク印加カソード電圧から、X線を発生させるように構成されたX線源を含む、請求項1に記載のシステム。
前記光活性化可能薬剤が、ソラレン、ピレンオレイン酸コレステリル、アクリジン、ポルフィリン、フルオレセイン、ローダミン、16−ジアゾコルチゾン、エチジウム、ブレオマイシンの遷移金属錯体、デグリコブレオマイシン有機白金錯体の遷移金属錯体、アロキサジン、ビタミンK、ビタミンL、ビタミン代謝物、ビタミン前駆体、ナフトキノン、ナフタレン、ナフトール及び平面分子配座を有するそれらの誘導体、ポルフォリンポルフィリン、染料及びフェノチアジン誘導体、クマリン、キノロン、キノン、並びにアントロキノンから選択された、請求項1に記載のシステム。
前記光活性化可能薬剤が、7,8−ジメチル−10−リビチル、イソアロキサジン、7,8,10−トリメチルイソアロキサジン、7,8−ジメチルアロキサジン、イソアロキサジン−アデニンジヌクレオチド、アロキサジンモノヌクレオチド、アルミニウム(III)フタロシアニンテトラスルホン酸塩、ヘマトポルフィリン、及びフタドシアニンから選択されたものを含む、請求項1に記載のシステム。
前記プロセッサが、前記患部への最初の処置の後、定期的に繰り返されるブースター処置の際に、前記X線または高エネルギー源を制御する、請求項1に記載のシステム。
前記ブースター処置において、蛍光体の濃度、光活性化薬剤の濃度、及び放射線量の少なくとも1つが、最初の値のそれぞれよりも、少なくとも2倍、5倍または10倍増加される、請求項23に記載のシステム。
ブースター処置の間の期間が、前記ブースター処置において生成された放射線により改変された細胞に関する人体または動物の体の耐性レベルに従って遅延される、請求項23に記載のシステム。
前記開始エネルギー源が、真核細胞、原核細胞、細胞下構造、細胞外構造、ウィルスもしくはプリオン、細胞組織、細胞膜、核膜、細胞核、核酸、ミトコンドリア、リボソームまたはその他の細胞器官の少なくとも1つに放射線を向ける、請求項1に記載のシステム。
前記光活性化可能薬剤及び前記蛍光体の注入並びに前記X線または電子の線量が、25日目に腫瘍体積の少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、または少なくとも50%の減少を生じさせる、請求項35に記載のシステム。
【発明を実施するための形態】
【0013】
前述の体外用途における肯定的な臨床結果にかかわらず、ソラレンの使用は従来、組織内にUVA光が侵入することができない(最大侵入深さは1mm未満)ために、表面的な、または体外用途に限られてきた。本発明の1つの実施形態において、X−PACT(X−ray Psoralen Activated Cancer Therapy、X線ソラレン活性化がん治療)が、組織内の様々な深さにおいて、幅広い範囲の固形がんへソラレン治療を拡大するために利用される。X−PACTにおいて、ソラレンは、X線エネルギーを吸収し、ダウンコンバートして、疾患の場所における光活性化可能薬剤を活性化させることが可能なUV光や、可視光などのその他の光として再放射する蛍光体と結合される。本発明の1つの実施形態において、相対的に低いX線の線量(〜1Gy)は、正常な組織の放射線による損傷の危険性を大きく低減しつつ、光活性化を達成するのに十分である。
【0014】
したがって、本発明は、効果的かつ具体的であり、副作用をほとんど有しない細胞増殖性疾患を治療する新しい方法について記載する。これらの、細胞増殖性疾患にり患した細胞は、本明細書では標的細胞と呼ぶ。本発明の1つの実施形態において、固形腫瘍を含む細胞増殖性疾患のための治療は、標的細胞のDNA、ミトコンドリアDNAまたはRNAを含むがそれらに限定されない細胞核酸に化学的に結合する。例えば、ソラレンまたはソラレン誘導体などの光活性化可能作用物質は、ソラレンまたはクマリンなどの光活性化可能試薬を活性化させるための光を放出するエネルギー変調作用物質を活性化することが可能なエネルギー源(例えばX線)に、「その場で」さらされる。
【0015】
本発明の1つの実施形態において、X−PACTは、テザーされていない蛍光体(標的細胞において、ソラレンとともに共インキュベートされる)からのUV光で、ソラレンを活性化する。本発明の1つの実施形態において、共インキュベーションプロセスは、X線露光(または電子ビーム照射)の時間における患部において、ソラレン(またはその他の光活性化可能薬剤)及び蛍光体(エネルギー変換体)の存在下での実行を伴う。これら2つの成分(ソラレン成分および蛍光体成分)について、ソラレン成分は、患部からより容易に取り除かれるのに対し、蛍光体は患部により長い時間保持される傾向にある。したがって、本発明の1つの実施形態において、蛍光体及びソラレンの混合物を同時に投与したのち、X線露光は、0.5から20分、1から10分、3から5分、または一般的には20分以内に行われる。より長い時間が使用されうるが、患部からこれらの成分の一方の濃度は潜在的に喪失しうる。本発明の別の実施形態において、蛍光体及びソラレンの混合物を同時に投与したのち、ソラレンの別個の投与が行われうる。本発明の別の実施形態において、患部に蛍光体のみを投与したのち、ソラレンの別個の投与が行われうる。ソラレンの別個の投与を伴うこれらの実施形態において、X線露光は、0.5から20分、1から10分、3から5分、または一般には20分以内に行われる。より長い時間が使用されうるが、患部からこれらの成分の一方は潜在的に喪失しうる。
【0016】
前述のように、蛍光体はX線を吸収し、UV波長で再放射(例えば蛍光)する。以下、体外、体内設定の両方におけるX−PACTの有効性を述べる。体外の調査は、乳腺(4T1)細胞株、グリオーマ(CT2A)細胞株、肉腫(KP15B8)細胞株を利用した。薬剤の濃度(例えば、ソラレン及び蛍光体の投与)を、放射線パラメータ(エネルギー、線量、線量率)と同様に変化させ、細胞をX−PACT治療に暴露した。有効性は、主にフローセル血球計算を用いて評価した。36回の独立な照射実験についての多変数回帰分析により、ソラレンも蛍光体も、単独では細胞毒性(アネキシンV信号)に対して強い効果を有さないことが明らかになった。しかし、X−PACTにおいて組合せを用いる(例えばソラレン及び蛍光体の投与)と、処置されたが照射されていない対象群では31%に過ぎなかったのに比べて、細胞毒性は82%となり、顕著な増加が観察された(p<0.0001)。体内での実験では、同系4T1腫瘍を有するBALBcマウスへのX−PACTの利用が、X−PACT構成要素のための対照治療群を含めて行われた。その結果は、生理食塩水対照群と比較して、明白な腫瘍成長の遅延を示している(25日で42%の低減、p=0.0002)。
【0017】
したがって、本発明の1つの実施形態において、腫瘍の標的部位へのX線または電子ビームの照射は、20%を超える、30%を超える、50%を超える、60%を超える、70%を超える、80%を超える細胞毒性を発生させる。本発明の1つの実施形態において、腫瘍の目標部位へのX線または電子の照射は、20%から100%、40%から95%、60%から90%、または70%から80%の細胞毒性を発生させる。細胞毒性は、1)ソラレンを有しない、蛍光体自体の毒性、及び2)ソラレンのUV活性化により発生したアポトーシス誘導された細胞死を伴う要素に分類可能である。アポトーシス誘導された細胞毒性は、20%を超える、30%を超える、50%を超える、60%を超える、70%を超える、80%を超える範囲でありうる。本発明の1つの実施形態において、アポトーシス誘導された細胞毒性は、20%から100%、40%から95%、60%から90%、または70%から80%の範囲でありうる。
【0018】
電離放射線の医療用途は、従来、診断画像取得及び放射線治療に関するものであった。診断画像取得(平面X線及びX線CT)は、軟組織−骨のより良好なコントラストを得るために、患者に対して低線量の照射で低エネルギーX線を利用する。放射線治療では、皮膚のスペアリング(sparing)を達成するために、典型的にはより高いエネルギーのMV放射(6MV以上)が使用される。X−PACTの治療パラダイムは、本発明の1つの実施形態において、これらの従来技術とは異なり、強力な抗腫瘍光生化学治療(ソラレン)を活性化させるという目的のために、潜在的に深く取りついた病変内で、その場でUV光の蛍光を開始させるために、低エネルギー放射線(及び低線量)を利用する。本発明の1つの実施形態において、X−PACTは複雑にする必要なく、測定可能な抗腫瘍反応を生じる。
【0019】
1.1 UV光の蛍光体及びX線刺激
このX−PACT治療の1つの実施形態において、ソラレンはX線刺激蛍光を受けた蛍光体粒子から、その場で発生した光によって活性化される。蛍光体からの発光プロファイルは、好適にはソラレンの吸収/活性化波長と重なる。ソラレンにテザーされたナノシンチレーション粒子が開発された一方で、本発明の1つの実施形態において、処置システムは必ずしもテザーされた蛍光体を使用しない(が、使用してもよい)。テザーがない実施形態において、テザーの機能は、前述のように標的部位または患部においてソラレン及び蛍光体の粒子の前述の共インキュベーションによって置き換えられる。テザーされていないソラレンは、移動度が高く、より良くDNAと挿入する利点を有する。1つの実施形態において、異なる大きさ及び分布の粒子、または特定の吸収及び発光スペクトルの蛍光体が利用される。
【0020】
本発明の1つの実施形態において、
図1Aに示された蛍光体(すなわち、エチルセルロースで被覆されたYTaO
4)が使用されうる。
図1に示されるように、YTaO
4蛍光体の発光スペクトルは、ソラレンを活性化するのに必要な波長(〜300から340nm)と重複する。
図1は、YTaO
4蛍光体のX線励起下の発光が、テザーされたナノ粒子Y
2O
3蛍光体より約16倍明るいことを示している。本発明の1つの実施形態において、(
図1に示されるように)両方の蛍光体が、活性化される生体治療作用物質(この場合はソラレン)の吸収スペクトルと「整合」する出力波長を有する。本発明の1つの実施形態において、様々な生体適合被覆が蛍光体に付加され、UV範囲の十分な透明性を維持しつつ生体的不活性性を提供することができ、そのためソラレンを活性化させるためのUV光の体内での発生能力を維持することができる。本発明の1つの実施形態において、蛍光体は生体適合性被覆を必要としなくてもよいような、不活性格子構造からなるものとすることができる。
【0021】
1.2 ソラレン
市販のUVADEX(処方された8−MOPソラレン)及び純粋な8−MOPのいずれも、ソラレン試薬の代替的な処方として使用された。先行研究は、DNA光付加の数は8−MOP(ソラレン)濃度と露光量との積の線形関数であることを示した。10から60μMの範囲のUVADEX及び8−MOP濃度が評価された。蛍光体の存在下での薬剤の安定性は、標準的なUV−Visスペクトル分析及びHPLC−MSを用いて調べられた。
【0022】
1.3.1 体外のX−PACTの研究
GuavaアネキシンVフローセル血球計算が、3つのネズミの腫瘍細胞株(乳腺−4T1、グリオーマ−CT2A及び肉腫KP15B8)において細胞毒性を定量分析するために使用された。体外でのX−PACT研究は、以下の方法で準備された細胞で行われた。細胞は、トリプシン処理され、12ウェルプレートに均一にプレーティングする前に、適切な成長媒質及びバッファ内で24時間培養された。X−PACT照射の約20分前に、各プレートのウェルは以下の添加剤の組み合わせにさらされた。(1)対照群−添加物なし、細胞のみ、(2)UVADEXのみ、(3)蛍光体のみ、(4)UVADEX+蛍光体。各プレートは、4つの処置治療群のそれぞれについて3つのウェルを有する12ウェルを有するものであった。次いで、プレートは、X線源から既知の距離(例えば50cm)にプレートを配置することによって、X線で照射された。照射後、細胞はフロー血球計算を行う前に、48時間プレート上で培養された。96ウェルGuava Nexin(登録商標)アッセイとの適合性のために、残りの細胞は(48時間の培養後に)再びトリプシン処理され、96ウェルプレート上にプレートされた。この評価で使用された蛍光体は、NP200及びGTP4300として指定された。これらの蛍光体は、以下の表1に示すように、以下の元素組成を有する。
GTP4300=Ca,F,Cl,PO4、(96−99%)
Mn(1−3%),Sb(<1%)
0.05から10%MnドープされたZn
2SiO
4:Mn
【0024】
本発明の1つの実施形態において、蛍光体は1重量部のZn
2SiO
4:Mnごとに2重量部のGTP4300の割合の組み合わせで混合される。
【0025】
蛍光体のこの組み合わせからのX線刺激による発光は、以下の手順を用いて以下のスラリーから得られた。
【0026】
重量または体積比1:10で脱イオン水で希釈された酢酸が準備された。合計で2mLの希釈酢酸溶液が、0.3グラムの組み合わせられた蛍光体に加えられた。次いで、形成されたスラリーは渦流混合器を用いて少なくとも60秒間撹拌された。高粘度スラリーは、粘度の観点から、ペースト状の振る舞いを示す。次いで、スラリーを含む試験管が、125kVの電圧で6mAのビームを用いることによって発生したX線エネルギー放射線にさらされるためにX線チャンバー内にセットされた。試験管は、X線源から約20cmの距離に配置された。ICCDカメラへ接続する光分光器の光ファイバープローブが試験管内に挿入され、約2mmの距離で、ペースト状スラリーに近接した状態に配置された。ファイバープローブは、粘着テープを用いて適切な位置に固定された。X線エネルギーがオンにされ、スラリーの外への発光が集められた。
【0027】
いくらかの発光が集められた。スラリーは、
図1Bに示されるように、可視光及びUV範囲の両方で発光し、X線エネルギー下で、GTP4300及びZn
2SiO
4:Mn蛍光体の組み合わせのUV発光を示すことが分かった。発光測定は、スラリーが作製されてから1、2、3、4、5、6時間後に集められた。同様の作製条件で、個別の蛍光体(Zn
2SiO
4及びGTP4300)からなるスラリーが、
図1C及び1Dに(それぞれ)示されている。両方の材料で、可視発光は、UV発光よりも強い。
図1Eは、NaClスラリー内のZn
2SiO
4:MnのX線エネルギーにおけるUV及び可視発光を概略的に示している。
図1Fは、NaClスラリー内のGTP4300のX線エネルギーにおけるUV及び可視発光を概略的に示している。
図1Gは、NaClスラリー内の蛍光体の組み合わせのX線エネルギーにおけるUV及び可視発光を概略的に示している。
【0028】
図1Hは、前述のZn
2SiO
4:Mn蛍光体についてカソードルミネセンスを比較している。
図1Iは、前述のGTP4300蛍光体についてカソードルミネセンスを比較している。
【0029】
蛍光体にかかわらず、表2に示される以下の投与が、測定されたもしくは予測された腫瘍の体積(または患部の計算された体積)の関数として使用される濃度の例である。これらの評価において、殺菌された蛍光体のバイアルが、唯一の希釈剤としてUVADEXTM(100μg/mL 8−MOP)と混合された。
【0031】
1.3.2 体外放射活性化技術
X線活性化プロトコルの範囲が、X線エネルギー(kVp)、全線量及び線量率に関するX−PACTの細胞毒性の有効性を決定するために調べられた。80から100kVの範囲のkVpのビームエネルギーが調べられた。kVビームは、常用電圧ユニット、標準的な診断放射線画像撮影、蛍光透視法及び円錐ビームコンピュータ断層撮影(CBCT)システムを含む、様々なX線発生装置から得られた。主要なkV X線源は、通常、Varian医療線形加速器で得られるVarianオンボード画像撮影X線源であった。本発明の1つの実施形態において、X線の線量は、比較的低い(9画分で、1回あたり1Gy程度)ものでありうる。この(従来の放射線治療と比較して)低い線量の必要性は、本実施形態では、X−PACTの放射線コンポーネントの安全な送達を提供する。本実施形態において、通常の組織の許容性(皮膚、骨)は、許容線量内に維持可能である。本発明の1つの実施形態において、X線の線量は、具体的に0.2から2Gyの範囲、好適には0.5から1Gyの線量でありうる。
【0032】
X線照射に関して、ウェルプレートは、固体の水ファントム上のX線源からある設定された距離(例えば、典型的には50cm)に配置され、X線ビーム内のウェルプレートの位置は、低線量kV画像撮影によって検証された。照射は、典型的には「放射線画像」モードで行われ、ある設定されたmA(例えば、典型的には200mA)及びms(例えば、典型的には800ms)の複数パルスが、例えば5から15秒ごとに送達された。1つの実施形態において、放射線は、最大mA設定で「パルス蛍光透視法モード」(例えば10Hzで)送達可能である。1つの実施形態において、ビーム内に追加的なフィルタリングを有さず、80及び100kVpの(及び間に渡る)kVp設定(それぞれ、半値層=3.3及び3.9mm Al)が、本発明に適している。より高いkVp及びより低いkVpも使用可能である。
【0033】
1.3.3 体外分析:細胞毒性及びアポトーシスの定量分析
X−PACT処置を評価するために2つの主要なフロー血球計算測定法が使用され、その両方とも、X−PACT処置後48時間の時点で決定された。細胞は12ウェルプレートにプレートされ、各プレート内の個別のウェルは、異なる実験条件(例えばソラレン濃度)であるが同じX線線量(すなわち、あるプレートのすべてのウェルは同じX線の線量を受ける)を受けうる。最初の測定は、前方散乱(forward scattering、FSC)を用いて決定される場合、ウェルごとの全細胞の数から決定される、代謝的に生存している細胞の個数(または細胞生存率)である。各ウェルについて、細胞生存率は、添加材を有しないが、そのプレートの放射線を受けた同じプレート上の対照群ウェル内のそれに規格化される。(あるプレートのすべてのウェルは同じ線量を受ける。)第2の測定は、アネキシンV(+)信号であり、これは、フローセル血球計算によって決定される際に正のアネキシンV信号を示した代謝的に生存している細胞の割合であり、早期にまたは遅れてアポトーシス細胞死に向かうあらゆる細胞を含む。アネキシンV(+)信号は、同じプレートの「添加剤を有さない」ウェルから対照群信号を差し引くことによって修正された。どちらの測定法についても、同じプレートの対照群についての修正は、プレーティング恒常性またはアネキシンVゲーティングパラメータに関するあらゆる潜在的なプレート間システムバイアスを最小化する。この結果のプロットの大部分は、2008年、Krysko、Vanden Berghe、D’Herde、Vandenabeeleによって定義されたような代謝的に生存している細胞の個数またはアネキシンV(+)信号を用いている。
【0034】
代謝的細胞生存率は、メチレンブルー染色及びATP誘導蛍光画像(Cell−Titer−Glo(登録商標)蛍光細胞生存率アッセイ)も用いて視覚的に評価された。蛍光画像撮影は、UVランプで直接活性化された、並びに蛍光体及びX線放射がないソラレンの細胞毒性の調査を可能にした。
【0035】
不等分散2標本t検定、分散分析(Analysis of Variance、ANOVA)及び多変数回帰分析を含むいくつかの統計分析が評価された。不等分散2標本t検定は、2つの異なる分布における観察の手段(例えば、生存細胞、アネキシンV信号)が等しいという帰無仮説を検定する。p値は、観察された差異が偶然に発生した可能性を与える。p値が低ければ、観察された差異が偶然に発生した可能性が低くなる。多変数回帰分析は、ソラレン及び蛍光体がアネキシンV(+)信号に対して何の効果も有さないという帰無仮説を検定し、2つの治療要素の間に一次相互作用が存在するかを検定するために使用された。非パラメトリック統計分析も、各検定について評価され、一貫した結果を示した。
【0036】
統計分析の結果は、有意性が弱い、有意性が穏やかである、有意性がある、非常に有意性がある、という4つのカテゴリーに分類された。1つのアスタリスク(*)は有意性が弱い統計を意味し、このときp値は0.01<p<0.05の範囲にある。2つのアスタリスク(**)は、有意性が穏やかである統計を意味し、このときp値は0.001<p<0.01である。3つのアスタリスク(***)は有意性がある統計を意味し、このとき0.0001<p<0.001である。4つのアスタリスク(****)は非常に有意性がある統計を意味し、p<0.0001である。この表記は、本明細書を通して使用される。
【0037】
1.3.4 体内X−PACT実験
体内試験が、BALB/cマウス上に成長させた同系4T1−HER2腫瘍に投与されたX−PACTの事前評価のために行われた。試験には、(1)生理食塩水のみ(対照群)、(2)蛍光体のみでX線を伴う、(3)ソラレン(AMT)のみでX線を伴う、(4)蛍光体、ソラレンの両方及びX線照射を含む完全なX−PACT処置の4つの治療群が存在した。X−PACT治療は、週ごとに3画分で行われ、計6画分であった。治療群2、3において、100μgの蛍光体及び5μMのソラレン(AMT)(μMはマイクロモルを表す)で、一定のX線照射技術が使用された(30mA、75kVpで3分間、約1.2Gyが送達された)。50万の腫瘍細胞がマウスごとに投与された。治療群ごとに6から8匹のマウスが使用され、実験は2回繰り返され、有効な試料の大きさは12から16を得た。
【0038】
2.1 X−PACT:体外の実験
図2Aから2Dは、1/10希釈UVADEX(10uM 8−MOPと同等)、50μg/mL蛍光体、0.6Gyの80kVp X線のX−PACTの計画を利用した、4T1−HER2細胞の体外X−PACT治療の有効性を示す。
図2Aは、UVADEXのみ、蛍光体のみ、並びにUVADEX及び蛍光体の組み合わせのX−PACTの3つの処置条件(希釈UVADEXと同等の10μM 8−MOP、50μg/mL蛍光体、0.6Gyの80kVp放射)についての細胞生存率データを示す。データは、15の別個の実験及び10の対照群プレート照射を含む、異なる5日(1か月以内)で行われた実験からまとめられたものである。
図2Bは、
図2Aと同じ3つの条件でアネキシンV(+)信号を示す。
図2C及び2Dは、メチレンブルー染色によって明らかになった生存細胞数の対応する画像を示す。2つの別個のプレートからの2つの結果が示され、それぞれは再現性を調べるために同一の準備がされたものである。1/10希釈に固定されたUVADEX濃度(10uM 8−MOP)で、蛍光体の3種類の濃度(25、50、100μg/mL)に対応するX−PACT変数が試験された。
【0039】
2.1.1 体外X−PACT及びその他の細胞株
3つの独立した細胞株におけるUV活性化ソラレンの相対的有効性が、
図3A及び3Bに示されている。
図3Aは、CT2A(ネズミ悪性グリオーマ)、4T1及びKP158B(肉腫)細胞株の、光活性化ソラレンに対する相対的感受性を示しており、これはX−PACTの治療メカニズムの1つである。より具体的には、
図3Aは、UV光活性化ソラレンの効果が3つの細胞株の生存細胞を減らすこととなることを示している(UV光におけるCell−Titer−Glo(登録商標)蛍光細胞生存率アッセイからのデータ)。各UV光条件(0、0.25、0.5、1.0J/cm
2)でそれぞれの細胞株についてN=4である。ソラレン濃度は40μMであった。
【0040】
図3Bは、それぞれ様々なX線の線量(0、0.67、1Gy)、蛍光体濃度(650または100μg)及び10、20、40μMのソラレン濃度(8−MOP)を含むX−PACTパラメータの範囲について、CT2A悪性グリオーマ細胞におけるデータを示している。
【0041】
2.1.2 体外X−PACT:ソラレン及び蛍光体の濃度
図4Aは、2つの変数、すなわちソラレン濃度及び蛍光体濃度の関数として、アネキシンV(+)の36の独立測定(ウェル)における多変量線形回帰分析を示す。すべての試料は、80kVpで1GyのX線線量を受けた。ソラレン及び蛍光体の濃度は、それぞれ10μMから50μM、25μgから200μgの範囲であった。フィッティング方程式は、表の最も上及び数式1で与えられる。フィッティングの全体は、フィッティング係数のそれぞれと同じように統計的に有意であった。36のX−PACTウェルのすべては、80kVpで1GyのX線放射で照射された。フィッティングは、数式1によって与えられる以下の形態を有した(P=蛍光体、Conc=濃度である)。
アネキシンV(+)=A+B*[8−MOP Conc]+C*[P Conc]
+D*[8−MOP Conc]*[P Conc](数式1)
【0042】
図4Bは、1日で集められたデータのサブセットを示しており、アネキシンV(+)信号に対するソラレン及び蛍光体の濃度の増加の大きさ及び効果を示している。より具体的には、
図4Bは、
図3Aのデータのうち、1つの日に集められたデータのサブセットであり、大きさ及び傾向を示している。UVADEX(100μM 8−MOP)は、10、20及び50μM、または1:10、1:5、1:2UVADEXに希釈された。50μg/mLの蛍光体及びUVADEXから希釈された10μMの8−MOPの条件で4回の反復(N=4)が行われた。
【0043】
2.1.3 体外X−PACT:X線エネルギー及び全線量
図5は、2つの異なるX線エネルギー(80及び100kVp)におけるX−PACTを比較している。4T1−her2のX−PACT効果が、80及び100kVの両方で観察され、80kVpの線量では100kVpよりもわずかに有効であることが分かった(p=0.011、*)。このデータは、50μg/mLの一定の蛍光体濃度及び10μMの8−MOP濃度まで希釈されたUVADEX(1:10希釈)での4T1−HER2細胞のX−PACT処置から得られた。Nは独立した測定の数である。これらの実験は、10μM 8−MOP(または同等のUVADEX)及び50μg/mLの蛍光体で処置された4T1−HER2細胞を伴うものであった。
【0044】
2.2 体内X−PACT実験
同系4T1−HER2腫瘍の体内照射の結果が
図6に示されている。この評価において、X−PACT治療が同系4T1−HER2腫瘍を有するBALBCマウスに適用された。別個のソラレン及び蛍光体対照治療群(それぞれ青及び赤)において、5μMソラレン(AMT)及び100μgの蛍光体が適用された。すべての治療群(生理食塩水対照群を除く)について、30mA、75kVpで3分間、2Gyである一貫したX線照射技術が使用された。
【0045】
3.考察
4T1体外細胞生存率分析(
図2A)において、生存細胞の非常に実体的な減少(約48%、p<0.0001)が、全ての要素(蛍光体、ソラレン、X線)が存在する完全なX−PACT治療条件において観察された。細胞生存率は、対照群条件(
図2Aの左及び中央の棒線)では非常に高かった(70から85%)。興味深いことに、対照群条件への放射線の追加の効果は、生存率の減少を全く示さず、または小さな減少を示すに過ぎなかった。UVADEXのみにさらされた細胞(
図2Aの左の棒線)は、放射線の追加の有意な効果を全く示していない(p=0.97)。蛍光体のみにさらされた細胞(
図2Aの中央の棒線)は、放射線が加えられたときに、わずかに細胞生存率が減少することを示している(約8%、p=0.034)。蛍光体及びX線の両方の存在に関する毒性の増加は、蛍光体からのX線誘導蛍光からのUV光によって生じるDNA損傷に起因しうる。実質的な細胞毒性(〜80%)は、蛍光体、UVADEX及び放射線の組み合わせの相乗的な治療的効果を示す完全なX−PACT治療群にのみ観察された。
【0046】
4T1体外アポトーシス分析(
図2B)において、UVADEXのみにさらされた細胞(左側の棒線)は、X線を受けるか受けないかによるアポトーシス活性は無視できることを示している。蛍光体のみにさらされた細胞(中央の棒線)について、蛍光体のわずかな毒性を示唆するアネキシンV信号のわずかな増加が観察された(約1%、p=0.098)。しかし、蛍光体及びUVADEXの両方が組み合わされた場合(右側の棒線)のみ、アポトーシスの増加を意味するアネキシンV信号の統計的に有意な増加が観察された(約8%、p<0.0001)。X−PACTに典型的な細胞毒性はさらに、
図2C及び2Dのメチルブルー染色でも示されている。X−PACT 2及びX−PACT 3の条件の両方において、UVADEX及び蛍光体の個別の要素について相対的に小さな効果が観察された。メチルブルー染色の結果は、全てのX−PACT要素が高い細胞毒性に必要であるというフロー血球計算データと整合した。より低い細胞毒性は、蛍光体濃度が少ないため、最初のX−PACT条件に現れた。
【0047】
X−PACT及び要素が3つの異なる細胞株で評価された(
図3A)際、ANOVA分析は、個別の要素または完全なX−PACT処置のいずれかへのこれらの細胞株の感受性の統計的に有意な差異はないことを明らかにしている(p>0.05)。CT2A悪性グリオーマ細胞において、X−PACT細胞の細胞毒性が、X線の線量の大きさ(それぞれ0、0.66及び1Gy)、8−MOPソラレンの濃度(それぞれ10、20及び40μM)、並びに蛍光体(それぞれ50及び100μg/ml)で、増加することが示された(
図3B)。ANOVA分析は、各条件の放射線の効果が、対照群を除いてすべての条件について有意であることを明らかにした(p=0.88)。放射線の線量の効果は、20μMを超える8−MOP及び50μg/mLの蛍光体が使用されたすべての条件について、全体的に有意(p<0.001)であり、次第に大きくなった(細胞の細胞毒性が線量とともに増加する)。1つの条件(10μMの8−MOP+100μg/mlの蛍光体)において、放射線の線量の影響が弱い有意性のみを有する(0.01<p<0.05)ことが観察された。
【0048】
最も総合的な体外4T1分析(
図4)は、多変量線形回帰分析が統計的に有意である(R
2=0.72)ことを明らかにした。相乗相互作用係数Dは、蛍光体及びソラレンが存在する場合に、統計的に有意(p<0.001)であり、肯定的に効果の増大を示した。ソラレン及び蛍光体のみについての相互作用係数は、弱い示唆のみを示した(それぞれp〜0.1及び0.05)。p値は有意性の可能性を示すが、
図4Bに示される効果の強さを示さなかった。一定のX線の線量で取得されたこのデータの概略的な観察によれば、X−PACTによって引き起こされたアポトーシスの割合は、蛍光体またはソラレンのいずれかの濃度の増大とともに増加する。
【0049】
別の体外での実験では、X線のエネルギーの変化がX−PACTの有効性に影響を与えるか否かについて調査した(
図5)。蛍光体の設計の考察は、約80kVが最適であることを示したが、より高いエネルギーでは、処置の到達の観点から有利であろう(組織内により深く貫入する)。この理由により、100kVpのビームエネルギーが調べられた。アポトーシス信号の(対照群に対する)増加は、両方のエネルギーのX−PACT処置について観察された。データは、80kVpではわずかに効果が大きくなる可能性を示唆している。
【0050】
X−PACT療法は、長期的な反応につながる可能性を有する、固体腫瘍内でその場で活性化されたソラレンの抗腫瘍特性を利用することを目的としている。
図6に示されたデータは、第1の体内応用を示している。第1のX−PACT処置は、同系4T1−HER2腫瘍に対し、移植後10日目に行われた。さらに2週間経過後、X−PACT処置治療群には成長の遅延が観察された。25日目までに、腫瘍体積は42%減少した(p=0.0002)。ソラレン及び蛍光体の治療群の両方に、
図2の体外でのデータから予測されるよりもわずかに高い要素効果が観察された。
【0051】
したがって、本発明の1つの実施形態において、治療される腫瘍の種類に依存して、25日目の腫瘍体積の変化は、安定(成長なし)から少なくとも10%の減少、少なくとも20%の減少、少なくとも30%の減少、少なくとも40%の減少、腫瘍の完全な解消、またはそれらの間の任意の値までの範囲となりうる。
【0052】
システムの実施
前述の医療処置は、
図7に示されたシステムによって実施されうる。
【0053】
図7を参照すると、本発明の1つの実施形態に従う例示的なシステムは、被験者4に向けられる開始エネルギー源1を有しうる。活性化可能医薬作用物質2及びエネルギー変調作用物質3は、被験者4に投与される。開始エネルギー源は、開始エネルギーの送達を管理することが可能なコンピュータシステム5によって追加的に制御されうる。
【0054】
好適な実施形態において、開始エネルギー源は、正確に較正された放射線のビームをあらかじめ選択された座標に送達するために、画像案内コンピュータ制御能力を備えた線形加速器でありうる。そのような線形加速器の1つの例は、Varian medical systemsのSmartBeam(登録商標)IMRT(強度変調放射線治療、intensity modulated radiation therapy)システム(Varian Medical Systems社、カリフォルニア州パロアルト)である。本発明の1つの実施形態において、開始エネルギー源は、300kVp以下、200kVp以下、120kVp以下、105kVp以下、80kVp以下、70kVp以下、60kVp以下、50kVp以下、40kVp以下、30kVp以下、20kVp以下、10kVp以下、または5kVp以下のピーク印加カソード電圧からX線を発生させるように構成されたX線源を含む。
【0055】
本発明の1つの実施形態において、前述のYTaO4に加えて、他のエネルギー変調作用物質は、以下のソースから得られる蛍光体を含みうる。「Neo Ruby」と称する、コネチカット州オレンジのVoltarc,Masonlite&Kulka社から入手できる「Ruby Red」、「Flamingo」と称するニュージャージー州バークレイハイトのEGL Lighting社から入手できる「Flamingo Red」、「Tropic Green」と称するニュージャージー州バークレイハイトのEGL Lighting社から入手できる「Green」、「Majestic Orange」と称するコネチカット州オレンジのVoltarc,Masonlite&Kulka社から入手できる「Orange」、「Clear Bright Yellow」と称するコネチカット州オレンジのVoltarc,Masonlite& Kulka社から入手できる「Yellow」である。「BP」蛍光体は、以下に詳細に示される。
【0057】
「BP」蛍光体は、ジョージア州ケネソーのPhosphorTech社、BASF社、または英国ハートフォードシャー、スティーブニッジ、ノートンロード、ノートンパーク、SG1 2BBのPhosphor Technology Ltd社から入手できる。
【0058】
その他の有用なエネルギー変調作用物質は、例えば生体適合性があるTiO
2、ZnO及びFe
2O
3、毒性が予測されるために好適にはカプセル化されるCdTe及びCdSeを含む半導体材料を含む。その他の有用なエネルギー変調作用物質は、毒性がより低いZnS、CaS、BaS、SrS及びY
2O
3を含む。最も生体適合性があると思われるその他の適切なエネルギー変調作用物質は、硫化亜鉛、ZnS:Mn
2+、酸化鉄、酸化チタン、酸化亜鉛、少量のAl
2O
3を含有する酸化亜鉛、ゼオライトに封入されたAgIナノクラスターである。毒性が重要な関心でない場合がありうる非医療用途に関して、以下の材料が(他で挙げられたものと同様に)適切であると考えられる:ツリウムで活性化されたランタン及びガドリニウムの酸化ハロゲン化物、Er
3+ドープされたBaTiO
3ナノ粒子、Yb
3+ドープされたCsMnCl
3及びRbMnCl
3、BaFBr:Eu
2+ナノ粒子、ヨウ化セシウム、ゲルマン酸ビスマス、タングステン酸カドミウム、二価のEuでドープされたCsBrである。以下の表4は、様々な有用なエネルギー変調作用物質のリストを示している。
【0059】
本発明の様々な実施形態において、以下の発光性ポリマーもエネルギー変調作用物質として適切である:ポリ(フェニレン・エチニレン)、ポリ(フェニレン・ビニレン)、ポリ(p−フェニレン)、ポリ(チオフェン)、ポリ(ピリジル・ビニレン)、ポリ(ピロール)、ポリ(アセチレン)、ポリ(ビニル・カーバゾール)、ポリ(フルオレン)など並びに共重合体及び/またはそれらの誘導体である。
【0060】
非限定的なリストとして、以下は適切なエネルギー変調作用物質である:
Y
2O
3、
ZnS、
ZnSe、
MgS、
CaS、
Mn,Er ZnSe、
Mn,Er MgS、
Mn,Er CaS、
Mn,Er ZnS、
Mn,Yb ZnSe、
Mn,Yb MgS、
Mn,Yb CaS、
Mn,Yb ZnS:Tb
3+,Er
3+、
ZnS:Tb
3+、
Y
2O
3:Tb
3+、
Y
2O
3:Tb
3+,Er
3+、
ZnS:Mn
2+、
ZnS:Mn,Er
3+、
CaWO
4、
YaTO
4、
YaTO
4:Nb、
BaSO
4:Eu、
La
2O
2S:Tb、
BaSi
2O
5:Pb、
NaI(Tl)、
CsI(Tl)、
CsI(Na)、
CsI(純粋)、
CsF、
KI(Tl)、
LiI(Eu)、
BaF
2、
CaF、
CaF
2(Eu)、
ZnS(Ag)、
CaWO
4、
CdWO
4、
YAG(Ce) (Y
3Al
5O
12(Ce))、
BGO ゲルマン酸ビスマス、
GSO ガドリニウムオキシオルソシリケート、
LSO ルテニウムオキシオルソシリケート、
LaCl
3(Ce)、
LaBr
3(Ce)、
LaPO
4、
0.05から10%の間でMnドープされたCe,Tb(ドープ)Zn
2SiO
4:Mn、及び
YTaO
4である。
【0062】
1つの実施形態において、本発明でエネルギー変調作用物質として使用される蛍光体は、蛍光体粒子、イオンドープ蛍光体粒子、単結晶または多結晶粉体、単結晶または多結晶モノリス、シンチレータ粒子、蛍光体の表面の少なくとも一部を封入する半導体シェル、蛍光体の表面の少なくとも一部を封入する半導体シェル、蛍光体の表面の少なくとも一部を封入する絶縁体シェル、及び分布した粒子の大きさの蛍光体を含むことができる。
【0063】
さらなる実施形態において、線量計算及びロボット操作装置も、システム内に含められうる。
【0064】
さらなる別の実施形態において、開始エネルギー源(開始エネルギー源のデータベースに挙げられたもの)、エネルギー変調作用物質(エネルギー移行のデータベースに挙げられたもの)、及び活性化可能医薬作用物質(活性化可能作用物質データベースに挙げられたもの)の適切な組み合わせを設計及び選択するための、コンピュータ実装システムも提供する。
図8は、本発明のこの実施形態に従う、例示的なコンピュータ実装システムを示している。
【0065】
図8を参照すると、本発明の1つの実施形態に従う例示的なコンピュータ実装システムは、メモリユニットに接続された中央処理ユニット(CPU)を有し、CPUは、使用者の入力を処理し、本発明の方法での使用についてエネルギースペクトルの比較に基づき、開始源、活性化可能医薬作用物質及びエネルギー移行作用物質の組み合わせを選択することが可能であるように構成されうる。
【0066】
1つの実施形態において、光活性化可能薬剤は、ソラレン、ピレン・オレイン酸コレステリル、アクリジン、ポルフィリン、フルオレセイン、ローダミン、16−ジアゾコルチゾン、エチジウム、ブレオマイシンの遷移金属錯体、デグリコブレオマイシン有機白金錯体の遷移金属錯体、アロキサジン、ビタミンK、ビタミンL、ビタミン代謝産物、ビタミン前駆体、ナフトキノン、ナフタレン、ナフトール、及び平面分子配座を有するこれらの誘導体、ポルフォリン・ポルフィリン、染料、フェノチアジン誘導体、クマリン、キノロン、キノン並びにアントロキノンから選択される。
【0067】
本発明の1つの実施形態において、1つまたは複数の「ブースター」処置が、「プライム」処置と考えられる初期処置に続けて行われる。1つの実施形態における「ブースター処置」は、腫瘍へのソラレン(または別の光活性化可能薬剤)の再投与及び腫瘍位置の再照射を伴いうる。別の実施形態において、「ブースター処置」は、腫瘍へのソラレン(または別の光活性化可能薬剤)及びエネルギー変調作用物質の再投与並びに腫瘍位置の再照射を伴いうる。別の実施形態において、「ブースター処置」は、腫瘍位置の再照射を伴いうるが、緩和的または治療的レベルであると考えられる放射線レベルでありうる。これらのいずれの「ブースター」処置の目的も、最初の処置の間に最初にまたはもともと患者内で発生した免疫反応を活性化させることにある。
【0068】
ブースター処置の1つの実施形態において、蛍光体の濃度は20mg/mLまで増加され、UVADEXの量は2から4倍に増加され、処置頻度は連続する5日の間に5回の処置まで増加される。さらに、プライム(前述の9回の処置などの初期処置セッション)とブースター処置との間のタイミングは、初期の体液性または細胞免疫反応及びそれに続く、初期プライム処置後最も典型的には数週間から数か月の恒常性の期間を可能にするように設定される。
【0069】
別の実施形態において、具体的にはより侵襲性の強いがんに関して、免疫系が反応を向上させる間、プライムステージとブーストステージとの間に腫瘍の成長を阻害するために介入処置が提供されうる。介入処置は緩和的放射または当業者に知られた別の処置の形態をとりうる。
【0070】
以下の理論に限定されないが、基本的なプライム−ブースト戦略は、薬剤または放射線誘導細胞死によって生成された1つの標的抗原または複数の抗原に対する免疫系をプライミングさせ、続いてブースト処置において1つの抗原または複数の抗原を再び露光することによって、この免疫を選択的にブーストすることを伴う。この戦略の1つの側面は、単一のワクチン投与または均質なブースト戦略によって達成されうるよりも高いレベルの免疫が、異種プライム−ブーストによって確立されることである。例えば、1つの抗原または複数の抗原への最初の露光によって誘発された初期プライム事象は、免疫系に記憶されるようである。この現象は、特にT細胞において強く、プライムワクチン及びブーストワクチンにおいて共有される抗原に特有の記憶T細胞の数を選択的に増加させるために、プライム−ブースト戦略において利用される。文献に記載されるように、T細胞のこれらの増加数は、細胞免疫反応を、特定の病原菌または腫瘍特異抗原を含む細胞を攻撃するのに必要なある閾値を超えさせる。さらに、ブーストされたT細胞反応の一般的な結合力が増大され、これはおそらく処置の有効性を増大させる。
【0071】
ここで、本発明において、詳細に限定するのではなく説明の目的のために、最初の処置プロトコルは、ソラレンで改変された、またはX線で改変されたがん細胞に対する抗体または細胞免疫反応を発達される。これらの「最初の」反応は、次いで新しく生成されたソラレンで改変された、またはX線で改変された多数のがん細胞の発生によって刺激されうる。そのため、患者の免疫系は、単一の処置シリーズで実現されるであろうがんに対するより堅牢な反応を組み込むことになるであろう。
【0072】
本発明の1つの実施形態において、がん細胞は患者の患部から取り除かれ、次いで細胞死を誘導するためにソラレン及び紫外光で体外で処置されうる。次いで、「死んだ」がん細胞は、初期処置または患者の患部領域に投与されたブースター処置の一部となる。本発明の1つの実施形態において、取り除かれたがん細胞は培養されて、ソラレン及び紫外光にさらされることとなる多数の細胞を提供し、そのため投与する多数の「死んだ」細胞を製造することとなる。これらの「死んだ」細胞に(ソラレンで改変された、またはX線で改変されたがん細胞が受ける方法と同様の態様で)反応する体は、患者の免疫系を起動させることとなる。
【0073】
本発明の1つの実施形態において、最初の処置に先立って、またはブースター処置に先立って、被験者の免疫系は、例えば破傷風ワクチンなどのより一般的なワクチンの投与によってさらに刺激されうる。先行研究によれば、被験者内に存在するがんワクチンがリンパ節へ移動するのを助け、免疫反応を活性化させることによって、腫瘍への免疫系の攻撃を強化する破傷風ブースターの有効性が示されている。ここで、本発明では、前述の処置から内部で生じた自家ワクチンも、この効果から利益を受けうる。
【0074】
さらなる実施形態において、本発明に従う方法はさらに、処置の副作用を緩和する添加剤を追加することを含みうる。例示的な添加剤は、酸化防止剤、アジュバント、またはその組み合わせを含みうるが、それらに限定されない。1つの例示的な実施形態において、ソラレンは、活性化可能医薬作用物質として使用され、UV−Aは活性化エネルギーとして使用され、酸化防止剤は不要な照射の副作用を低減するために追加される。
【0075】
活性化可能医薬作用物質及びその誘導体は、エネルギー変調作用物質と同様に、投与に適した医薬組成物に組み込まれうる。そのような組成物は、典型的には活性化可能医薬作用物質及び医薬受容可能担体を含む。医薬組成物はまた、相補的な治療または診断効果を有する少なくとも1つの添加剤を含み、添加剤は、酸化防止剤、アジュバントまたはそれらの組み合わせから選択されたものである。
【0076】
本明細書で使用されるように、「医薬受容可能担体」は、医薬投与と両立できる任意のまたは全ての溶媒、分散媒体、被覆、抗細菌剤及び抗菌剤、等張剤及び吸収遅延剤などを含むことを意図される。医薬的に活性な物質に対するそのような媒体及び作用物質の使用は、当該技術分野では周知である。任意の従来の媒体または作用物質が活性化合物と両立できない場合を除いて、その化合物におけるそれらの使用が考慮される。補足的な活性化合物も、組成物に組み込まれうる。化合物の溶解度またはクリアランスに影響を与えるために、本発明の化合物への変更が行われうる。これらの分子はまた、酵素分解に対する抵抗性を増大させるために、D−アミノ酸と合成されうる。必要な場合には、活性化可能医薬作用物質は、シクロデキストリンなどの溶解化作用物質とともに投与されうる。
【0077】
本発明の医薬組成物は、意図される投与の経路と両立可能であるように処方される。投与の経路の例は、非経口、例えば静脈内、皮内、皮下、経口(例えば吸入)、経皮的(局所的)、経粘膜、直腸投与、及び腫瘍内への直接投与などの患部への直接投与を含む。非経口、皮内、皮下投与に使用される溶液または懸濁液は、投与のための水、生理食塩水溶液、固定油、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコールまたはその他の合成溶剤などの滅菌希釈剤;ベンジルアルコールまたはメチルパラベンなどの抗細菌剤;アスコルビン酸または重亜硫酸ナトリウムなどの酸化防止剤;エチレンジアミン四酢酸などのキレート化剤;酢酸塩、クエン酸塩またはリン酸塩などの緩衝剤、塩化ナトリウムまたはデキストロースなどの張性調整剤などの化合物を含みうる。pHは、塩酸または水酸化ナトリウムなどの酸または塩基で調整可能である。非経口製剤は、ガラスまたはプラスチックで製造されたアンプル、使い捨てシリンジまたは複数回投与バイアルに入れられる。
【0078】
投与可能な使用に適した医薬組成物は、滅菌水溶液(水溶性)または分散液及び、滅菌投与可能な溶液または分散液の即時調製のための滅菌粉末を含む。静脈内投与に関して適した担体は、生理食塩水、静菌水、またはリン酸塩干渉生理食塩水(PBS)を含む。全ての場合において、組成物は滅菌された状態でなければならず、注射可能性が容易となる程度まで流動性を有するべきである。製造および保存条件下で安定でなければならず、細菌や真菌などの微生物の汚染作用に対して保護されなければならない。担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えばグリセロール、プロピレングリコール及び液体ポリエチレングリコールなど)並びにそれらの適切な混合物を含む溶媒または分散媒体であってよい。適切な流動性が、例えば、レシチンなどの被覆の使用によって、分散の場合には必要な粒子の大きさを維持することによって、及び界面活性剤の使用によって維持されうる。微生物の作用の防止は、例えばパラベン、クロロブタノール、フェノール、アスコルビン酸、チメロサールなどの様々な抗細菌剤及び抗真菌剤によって達成可能である。多くの場合、例えば砂糖、マニトール、ソルビトールなどのポリアルコール、組成物内の塩化ナトリウムなどの等張剤を含むことが好ましいであろう。投与可能な組成物の長期吸収は、吸収を遅延する作用物質、例えばモノステアリン酸アルミニウム及びゼラチンなどを組成物内に含めることによってもたらされうる。
【0079】
滅菌された投与可能な溶液は、必要に応じてろ過滅菌後に上記列挙した成分の1つまたは組合せを有する適切な溶剤内に、必要な量の活性化合物を組み込むことによって調製可能である。一般に、分散は、基礎的な分散媒体及び上記列挙したものから必要なその他の成分を含む賦形剤内に活性化合物を組み込むことによって調製される。滅菌された投与可能な溶剤の調整のための滅菌粉末の場合には、活性な成分の粉末に加えてあらかじめろ過滅菌された溶液からの任意の追加的な望ましい成分を得る調製の方法は、真空乾燥及び凍結乾燥である。
【0080】
経口組成物は、一般に不活性希釈剤または食用担体を含む。経口組成物はゼラチンカプセル内に封入され、または錠剤に圧縮されることができる。経口治療投与の目的のために、活性化合物は賦形剤に組み込まれ、錠剤、トローチ、またはカプセルの形態で使用可能である。経口組成物はまた、洗口剤として使用される流体担体を使用して調製可能であり、流体担体内の化合物は、経口的に投与され、磨かれ、去痰され、または飲み込まれる。薬剤的に整合する結合剤及び/またはアジュバント材料は、組成物の一部として含まれうる。錠剤、丸薬、カプセル、トローチなどは、同様の性質を有する以下の成分、または化合物のいずれかを含むことができる。そのような成分もしくは化合物は、微結晶セルロース、トラガカントガムもしくはゼラチンなどの結合剤、スターチ、乳糖などの賦形剤、アルギン酸、プリモゲル(Primogel)もしくはコーンスターチなどの崩壊剤、ステアリン酸マグネシウムもしくはステロート(Sterote)などの潤滑剤、コロイド状二酸化ケイ素などの流動促進剤、スクロースもしくはサッカリンなどの甘味剤、またはペパーミント、サリチル酸メチルもしくはオレンジ香料などの香料剤である。
【0081】
吸入による投与に関して、化合物は、適切な推進剤、例えば二酸化炭素などの気体を含む加圧容器もしくはディスペンサー、または噴霧器からのエアロゾルスプレーの形態で送達される。
【0082】
システム的投与はまた、経粘膜的または経皮的手段によるものであってもよい。経粘膜的または経皮的投与に関して、浸透すべき障壁に対して適切な浸透剤が、処方において使用される。そのような浸透剤は、当該技術分野で一般に知られており、例えば、経粘膜投与では、洗剤、胆汁酸塩及びフシジン酸誘導体を含む。経粘膜投与は、点鼻スプレーまたは座薬の使用を通して達成されうる。経皮的投与については、活性化合物は当該技術分野で一般的に知られた軟膏、膏薬、ゲルまたはクリームに処方される。
【0083】
化合物は、座薬(例えばココアバターまたはその他のグリセリドなどの従来の座薬基材とともに)の形態で、または直腸送達のための停留浣腸の形態で調製されうる。1つの実施形態において、活性化合物は、インプラント及び微小カプセル送達システムを含む制御放出処方などの、体からの急速な排泄に対して化合物を保護することとなる担体で調製される。エチレンビニルアセテート、ポリ無水化物、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステル、及びポリ乳酸などの生分解性、生体適合性ポリマーが使用されうる。そのような処方の調整の方法は、当業者には明らかであろう。材料は市販のものが入手可能でありうる。リポソーム懸濁液(ウィルス性抗原に対するモノクローナル抗体を有する感染細胞を標的とするリポソームを含む)も、医薬的に受容可能な担体として使用可能である。これらは、例えば特許文献1に記載されているように、当業者に周知の方法に従って調製可能である。
【0084】
容易な投与及び均一な投与量のために、投与単位形態で経口的、または非経口的成分を処方することが特に有利である。本明細書で使用される投与単位形態は、処置される被験者に対して単一的な投与量に適合した物理的に別個の単位を指し、各単位は、必要な医薬的担体と関連して所望の治療的効果を生じさせるように計算された所定の量の活性化合物を含む。本発明の投与単位形態の仕様は、活性化合物に固有の特徴及び達成されるべき具体的な治療的効果、並びに個々人の治療に対するそのような活性化合物を化合する、当該技術分野に固有の制限事項によって、及びこれらに直接依存して、指示される。
【0085】
医薬的組成物は、容器、パックまたはディスペンサー内に、投与指示書とともに含められうる。
【0086】
異なる作用物質を投与する順序は、特に制限されないことも理解されるであろう。そのため、いくつかの実施形態において、活性化可能医薬作用物質は、エネルギー変調作用物質の前に投与されうるが、別の実施形態では、エネルギー変調作用物質が活性化可能医薬作用物質の前に投与されうる。順序の様々な組み合わせが、作用物質の吸収率、作用物質の局在性及び分子輸送特性、並びにその他の薬物動態または薬力学条件などの因子に基づいて採用されることが有利でありうる。
【0087】
本発明の1つの実施形態において、本発明の方法及びシステムに有用な試薬及び化学物質は、本発明の適用を容易にするためにキットにパッケージされうる。1つの例示的な実施形態において、ソラレンを含むキット並びに、容易な分画及び自家ワクチンの分離のための分画容器が考慮される。キットのさらなる実施形態は、所定の細胞変化を生じさせることが可能な少なくとも1つの活性化可能医薬作用物質、エネルギーを付与されたときに少なくとも1つの活性化可能作用物質を活性化させることができる少なくとも1つのエネルギー変調作用物質、及び安定な形態で作用物質を保存するのに適した容器を含み、好適にはさらに、少なくとも1つの活性化可能医薬作用物質及び少なくとも1つのエネルギー変調作用物質を被験者に投与し、開始エネルギー源から開始エネルギーを印加して活性化可能医薬作用物質を活性化させるための指示書を含む。指示書は、キット挿入部に印刷され、1つまたは複数の容器に印刷され、コンピュータ可読保存媒体などの電子保存媒体に設けられた電子的に保存された指示書を含むがこれらに限定されない任意の好ましい形態であってよい。コンピュータ可読保存媒体には、使用者が情報を集積し、制御投与量を計算し、放射源の強度を計算し、制御することを可能にするソフトウェアパッケージも、任意選択的に含まれる。
【0088】
本発明の項目
以下の複数の項目は、本発明の一般化された態様を説明するものであり、特許請求の範囲で明示的に提供されるものよりもさらに本発明を限定するために提供されるものではない。
【0089】
項目1:人体または動物の体内の患部を処置するためのシステム(及び方法)であって、
体内へ紫外光または可視光を放出することが可能な1つまたは複数の蛍光体またはエネルギー変換体を含む医薬担体と、
患部の細胞のDNA内に挿入するための光活性化可能薬剤と、
前記光活性化可能薬剤及び前記医薬担体を患部に注入する1つまたは複数のデバイスと、
前記患部を、X線、ガンマ線または電子の少なくとも1つで照射し、それによって前記紫外光または可視光の前記体内への放出を開始させるX線源または高エネルギー源(電子ビーム)を含む開始エネルギー源と、
前記光活性化可能薬剤を活性化させるために、前記患部において前記紫外光または可視光を発生させるための前記患部への前記X線、ガンマ線または電子の線量を制御するようにプログラムされたプロセッサと、を含み、
前記光活性化可能薬剤及び前記蛍光体の前記患部への注入並びにX線または電子ビームの線量が、前記患部の20%を超える領域、30%を超える領域、50%を超える領域、60%を超える領域、70%を超える領域、または80%を超える領域内部で細胞毒性を発生させる、システム。
【0090】
項目1に関連する方法は、相互作用によって腫瘍または体の内部に光を放出することが可能な1つまたは複数の蛍光体を含む医薬担体を、腫瘍(または患部)の近傍または内部に投与し、患部の細胞のDNA内に挿入するための光活性化薬剤を腫瘍に注入し、腫瘍(または患部)にX線または高エネルギー電子を印加し、腫瘍(または患部)の内部に光を発生させて、光活性化薬剤を活性化させ、発生させ、光活性化薬剤及び蛍光体の投与並びにX線または電子の線量が、細胞毒性を患部の20%を超える領域内部に発生させる。
【0091】
項目2:前記開始エネルギー源が、300kVp以下、200kVp以下、120kVp以下、105kVp以下、80kVp以下、70kVp以下、60kVp以下、50kVp以下、40kVp以下、30kVp以下、20kVp以下、10kVp以下、または5kVp以下のピーク印加カソード電圧から、X線を発生させるように構成されたX線源を含む、項目1に記載のシステム(または関連する方法)。
【0092】
項目3:前記蛍光体が、前記患部を処置するために前記光活性化可能薬剤を照射するために、前記患部の近傍に投与される、項目1に記載のシステム(または関連する方法)。
【0093】
項目4:前記患部の近傍に投与された前記蛍光体が、ミクロンサイズまたはナノメートルサイズの粒子の混合物を含む、項目3に記載のシステム(または関連する方法)。
【0094】
項目5:前記蛍光体が、
蛍光体粒子、
イオンドープされた蛍光体粒子、
単結晶または多結晶粉末、
単結晶または多結晶モノリス、
シンチレータ粒子、
前記蛍光体の表面の少なくとも一部を封入する金属シェル、
前記蛍光体の表面の少なくとも一部を封入する半導体シェル、
前記蛍光体の表面の少なくとも一部を封入する絶縁体シェル、及び
分布した粒子の大きさを有する蛍光体、
の少なくとも1つを含む、項目1に記載のシステム(または関連する方法)。
【0095】
項目6:前記蛍光体が、
Y
2O
3、
ZnS、
ZnSe、
MgS、
CaS、
Mn,Er ZnSe、
Mn,Er MgS、
Mn,Er CaS、
Mn,Er ZnS、
Mn,Yb ZnSe、
Mn,Yb MgS、
Mn,Yb CaS、
Mn,Yb ZnS:Tb
3+,Er
3+、
ZnS:Tb
3+、
Y
2O
3:Tb
3+、
Y
2O
3:Tb
3+,Er
3+、
ZnS:Mn
2+、
ZnS:Mn,Er
3+、
CaWO
4、
YaTO
4、
YaTO
4:Nb、
BaSO
4:Eu、
La
2O
2S:Tb、
BaSi
2O
5:Pb、
NaI(Tl)、
CsI(Tl)、
CsI(Na)、
CsI(純粋)、
CsF、
KI(Tl)、
LiI(Eu)、
BaF
2、CaF、
CaF
2(Eu)、
ZnS(Ag)、
CaWO
4、
CdWO
4、
YAG(Ce)(Y
3Al
5O
12(Ce))、
BGO ゲルマン酸ビスマス、
GSO ガドリニウムオキシオルソシリケート、
LSO ルテニウムオキシオルソシリケート、
LaCl
3(Ce)、
LaBr
3(Ce)、
LaPO
4、
0.05から10%の間でMnドープされたCe、Tb(ドープ)Zn
2SiO
4:Mn、及び
YTaO
4の少なくとも1つを含む、項目1に記載のシステム(または関連する方法)。
【0096】
項目7:前記蛍光体が、ダウンコンバージョン媒体及び、プラズモニクス作用物質を有する、または有しないそれらの凝集物を含む、項目1に記載のシステム(または関連する方法)。
【0097】
項目8:前記1つまたは複数のデバイスが、前記患部の体積に従って前記光活性化可能薬剤を投与する、項目1に記載のシステム(または関連する方法)。
【0098】
項目9:前記医薬担体内の前記蛍光体の量が、前記患部の体積のcm
3当たり0.1から0.66ミリグラムの蛍光体の範囲であり、前記医薬担体内の前記光活性化可能薬剤の濃度が10μg/mLから50μg/mLの範囲である、項目8に記載のシステム(または関連する方法)。
【0099】
項目10:前記光活性化可能薬剤が、前記蛍光体と混合されたソラレン化合物を含む、項目1に記載のシステム(または関連する方法)。
【0100】
項目11:前記光活性化可能薬剤が、ソラレン、ピレンオレイン酸コレステリル、アクリジン、ポルフィリン、フルオレセイン、ローダミン、16−ジアゾコルチゾン、エチジウム、ブレオマイシンの遷移金属錯体、デグリコブレオマイシン有機白金錯体の遷移金属錯体、アロキサジン、ビタミンK、ビタミンL、ビタミン代謝物、ビタミン前駆体、ナフトキノン、ナフタレン、ナフトール及び平面分子配座を有するそれらの誘導体、ポルフォリンポルフィリン、染料及びフェノチアジン誘導体、クマリン、キノロン、キノン、並びにアントロキノンから選択された、項目1に記載のシステム(または関連する方法)。
【0101】
項目12:前記光活性化可能薬剤が、ソラレン、クマリン、ポルフィリン、またはそれらの誘導体を含む、項目1に記載のシステム(または関連する方法)。
【0102】
項目13:前記光活性化可能薬剤が、8−MOP、TMPまたはAMTを含む、項目1に記載のシステム(または関連する方法)。
【0103】
項目14:前記光活性化可能薬剤が、7,8−ジメチル−10−リビチル、イソアロキサジン、7,8,10−トリメチルイソアロキサジン、7,8−ジメチルアロキサジン、イソアロキサジン−アデニンジヌクレオチド、アロキサジンモノヌクレオチド、アルミニウム(III)フタロシアニンテトラスルホン酸塩、ヘマトポルフィリン、及びフタドシアニンから選択されたものを含む、項目1に記載のシステム(または関連する方法)。
【0104】
項目15:前記光活性化可能薬剤が、前記患部におけるレセプターに結合することが可能な担体に結合された、項目1に記載のシステム(または関連する方法)。
【0105】
項目16:前記担体が、インスリン、インターロイキン、チモポエチン、またはトランスフェリンから選択されたものである、項目15に記載のシステム(または関連する方法)。
【0106】
項目17:前記レセプターが、有核細胞の核酸、有核細胞の抗原性部位、またはエピトープから選択されたものである、項目15に記載のシステム(または関連する方法)。
【0107】
項目18:前記光活性化可能薬剤が、前記患部における腫瘍に対する親和性を有する、項目1に記載のシステム(または関連する方法)。
【0108】
項目19:前記光活性化可能薬剤が、前記患部における腫瘍によって吸収されることができる、項目18に記載のシステム(または関連する方法)。
【0109】
項目20:前記光活性化可能薬剤が、DNAインターカレーター、またはそのハロゲン化誘導体である、項目19に記載のシステム(または関連する方法)。
【0110】
項目21:前記開始エネルギー源が、前記光活性化薬剤の活性化のために前記蛍光体に制御された放射線量を送達する、項目1に記載のシステム(または関連する方法)。
【0111】
項目22:前記制御された放射線量が、人体または動物の体内で自家ワクチン効果を生じさせる、項目21に記載のシステム(または関連する方法)。
【0112】
項目23:前記プロセッサが、前記患部への最初の処置の後、定期的に繰り返されるブースター処置の際に、前記X線または高エネルギー源を制御する、項目1に記載のシステム(または関連する方法)。
【0113】
項目24:前記ブースター処置において、蛍光体の濃度、光活性化薬剤の濃度、及び放射線量の少なくとも1つが、最初の値のそれぞれよりも、少なくとも2倍、5倍または10倍増加される、項目23に記載のシステム(または関連する方法)。
【0114】
項目25:前記ブースター処置が、ソラレンにより改変されたがん細胞またはX線により改変されたがん細胞を発生させる、項目23に記載のシステム(または関連する方法)。
【0115】
項目26:前記ブースター処置が、放射線損傷がん細胞を発生させる、項目23に記載のシステム(または関連する方法)。
【0116】
項目27:ブースター処置の間の期間が、前記ブースター処置において生成された放射線により改変された細胞に関する人体または動物の体の耐性レベルに従って遅延される、項目23に記載のシステム(または関連する方法)。
【0117】
項目28:ブースター処置の間の期間が、放射線により改変された細胞について耐性が発生しないように遅延される、項目27に記載のシステム(または関連する方法)。
【0118】
項目29:前記開始エネルギー源が、腫瘍または悪性腫瘍の少なくとも1つに放射線を向ける、項目1に記載のシステム(または関連する方法)。
【0119】
項目30:前記開始エネルギー源が、真核細胞、原核細胞、細胞下構造、細胞外構造、ウィルスもしくはプリオン、細胞組織、細胞膜、核膜、細胞核、核酸、ミトコンドリア、リボソームまたはその他の細胞器官の少なくとも1つに放射線を向ける、項目1に記載のシステム(または関連する方法)。
【0120】
項目31:前記開始エネルギー源が、オンタイム及びオフタイムを有するパルス方式で、前記患部に放射線を向ける、項目1に記載のシステム(または関連する方法)。
【0121】
項目32:前記開始エネルギー源が、オンタイム及びオフタイムを有するパルス方式で、腫瘍または悪性腫瘍に放射線を向ける、項目1に記載のシステム(または関連する方法)。
【0122】
項目33:前記開始エネルギー源が、オンタイムが蛍光体を活性化し、オフタイムが蛍光体の光放出の減衰に十分な長さであるように、前記患部に放射線を向ける、項目32に記載のシステム(または関連する方法)。
【0123】
項目34:前記開始エネルギー源が、所定の変化が前記患部で発生するように所定の放射線プロトコルに従って前記患部に放射線を向ける、項目1に記載のシステム(または関連する方法)。
【0124】
項目35:前記所定の変化が、
1)プリオン性、ウィルス性、細菌性、真菌性もしくは寄生性感染症に影響を与えること、
2)組織再生、炎症の回復、苦痛の回復、免疫システムの強化の少なくとも1つを含むこと、または
3)細胞膜透過性、アデノシン三リン酸及び酸化窒素のアップレギュレーション及びダウンレギュレーションの変化を少なくとも含むこと、
の少なくとも1つである、項目34に記載のシステム(または関連する方法)。
【0125】
項目36:人体または動物の体内の患部を処置するためのシステムであって、
紫外光または可視光を前記体内に放出することが可能な1つまたは複数の蛍光体を含む医薬担体と、
前記患部において細胞のDNA内に挿入するための光活性化可能薬剤と、
患部に前記光活性化薬剤及び前記医薬担体を注入する1つまたは複数のデバイスと、
前記患部にX線、ガンマ線または電子の少なくとも1つを照射し、それによって前記紫外光または可視光の前記体内への放出を開始させる、X線または高エネルギー源を含む開始エネルギー源と、
前記患部において前記紫外光または可視光を発生させ、前記光活性化可能薬剤を活性化させるために、前記患部への前記X線、ガンマ線または電子の線量を制御するようにプログラムされたプロセッサと、を含み、
前記光活性化薬剤及び前記蛍光体の注入及びX線または電子ビームの線量が、25日目の安定した腫瘍体積を生じる、システム。
【0126】
項目36に関連する方法は、相互作用によって腫瘍または体の内部に光を放出することが可能な1つまたは複数の蛍光体を含む医薬担体を、腫瘍(または患部)の近傍及び内部に投与する段階と、患部において細胞のDNA内に挿入するための光活性化可能薬剤を腫瘍に投与する段階と、X線または高エネルギー電子を腫瘍(または患部)に印加する段階と、光活性化可能薬剤を活性化させ、発生させるために、腫瘍(または患部)の内部に光を発生させる段階と、を含み、光活性化可能薬剤及び蛍光体の患部への投与及びX線または電子の線量が、患部の20%を超える領域内部で細胞毒性を発生させる。
【0127】
項目37:前記光活性化可能薬剤及び前記蛍光体の注入並びに前記X線または電子ビームの線量が、25日目に腫瘍体積の少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、または少なくとも50%の減少を生じさせる、項目36に記載のシステム(または関連する方法)。
【0128】
項目38:前記光活性化可能薬剤及び前記蛍光体の注入並びに前記X線または電子の線量が、25日目に完全な腫瘍寛解を生じさせる、項目36に記載のシステム(または関連する方法)。
【0129】
本発明の様々な改変および変形が、前述の教示に照らして可能である。したがって、添付した特許請求の範囲内で、本発明は本明細書で具体的に説明されたもの以外にも実施されうることは理解すべきである。上記で特定された全ての出版物、参考文献、特許、特許出願及びその他の書面は、参照により本明細書にその全体が組み込まれている。