特許第6965262号(P6965262)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6965262負圧で圧締された基板を有するサセプタおよびエピタキシャル成長のための反応器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6965262
(24)【登録日】2021年10月22日
(45)【発行日】2021年11月10日
(54)【発明の名称】負圧で圧締された基板を有するサセプタおよびエピタキシャル成長のための反応器
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/205 20060101AFI20211028BHJP
   H01L 21/683 20060101ALI20211028BHJP
   C23C 16/458 20060101ALI20211028BHJP
【FI】
   H01L21/205
   H01L21/68 N
   C23C16/458
【請求項の数】14
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2018-549225(P2018-549225)
(86)(22)【出願日】2017年3月20日
(65)【公表番号】特表2019-511121(P2019-511121A)
(43)【公表日】2019年4月18日
(86)【国際出願番号】IB2017051599
(87)【国際公開番号】WO2017163168
(87)【国際公開日】20170928
【審査請求日】2019年12月20日
(31)【優先権主張番号】102016000030964
(32)【優先日】2016年3月24日
(33)【優先権主張国】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】501372765
【氏名又は名称】エルピーイー ソシエタ ペル アチオニ
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】特許業務法人 信栄特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】オグリアリ,ヴィンチェンゾ
(72)【発明者】
【氏名】プレッティ,シルヴィオ
【審査官】 長谷川 直也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−335861(JP,A)
【文献】 特開2009−283904(JP,A)
【文献】 特表2004−513857(JP,A)
【文献】 特開平05−310412(JP,A)
【文献】 特開2010−183090(JP,A)
【文献】 特開2007−158190(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/205
H01L 21/683
C23C 16/458
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エピタキシャル成長のための反応器用のサセプタであって、水平に配置されるように適合され、底部を有する少なくとも1つの円筒形のポケット(200)を頂部に有する円盤形部分(11,12)を備え、エピタキシャル成長プロセスの対象となる基板(100)が前記底部に配置され、
インテークシステム(300)に流体的に接続された1つ以上のコンジット(13)が、前記ポケット(200)の前記底部で開口し、
それにより、前記基板(100)が前記ポケット(200)の前記底部に配置され、前記インテークシステム(300)がアクティブである場合、前記基板(100)は前記ポケット(200)の前記底部に付着した状態を保ち、
前記円盤形部分は、下部本体(11)と上部本体(12)とから構成され、
前記上部本体(12)には、上部に前記少なくとも1つのポケット(200)が配設され、
前記1つ以上のコンジット(13)は、前記上部本体(12)のみを垂直に横断し、
前記1つ以上のコンジット(13)は、前記少なくとも1つのポケット(200)の下方において、前記下部本体(11)と前記上部本体(12)の間に配置されたプレナム(14)に流体的に接続され、前記プレナム(14)は前記インテークシステム(300)に流体的に接続され、
それにより、前記基板(100)が前記ポケット(200)の前記底部に配置され、前記インテークシステム(300)がアクティブである場合、前記下部本体(11)と前記上部本体(12)は結合した状態を保ち、
前記ポケット(200)の底に複数のコンジット(13)が開口し、
前記プレナム(14)の内部に、インテークによる前記プレナムの変形を防止するように適合された複数のスペーサを備えている、サセプタ。
【請求項2】
前記下部本体(11)および/または前記上部本体(12)は、前記反応器のハンドリングシステムのツールによる前記上部本体のハンドリングを可能にするように適合された凹部および/または突部を有する、請求項1に記載のサセプタ。
【請求項3】
前記下部本体(11)が、前記プレナム(14)を前記インテークシステム(300)に流体的に接続するための1つ以上のコンジットを有する、請求項1または2に記載のサセプタ。
【請求項4】
前記プレナム(14)は、前記下部本体(11)内のみに形成されている、請求項1からのいずれか一項に記載のサセプタ。
【請求項5】
前記底部は平坦である、請求項1からのいずれか一項に記載のサセプタ。
【請求項6】
前記コンジット(13)は複数の開口を備え、前記複数の開口は、前記ポケット(200)の前記底部に均等に分散されている、請求項1からのいずれか一項に記載のサセプタ。
【請求項7】
前記複数のコンジットは単一の円筒形プレナム(14)に流体的に接続されている、請求項1からのいずれか一項に記載のサセプタ。
【請求項8】
前記プレナム(14)は前記少なくとも1つのポケット(200)の少なくとも下方に配置されている、請求項に記載のサセプタ。
【請求項9】
前記プレナム(14)は、前記ポケット(200)に対応する水平延長部を有する、請求項に記載のサセプタ。
【請求項10】
前記円盤形部分(11,12)は回転軸(30)に機械式に接続されている、請求項1からのいずれか一項に記載のサセプタ。
【請求項11】
前記プレナム(14)は、前記回転軸(30)内に配置されたインテークコンジット(31)に流体的に接続されている、請求項10に記載のサセプタ。
【請求項12】
前記インテークコンジット(31)は、前記円盤形部分(11,12)の下方の、前記回転軸(30)の周りに配置された環状形状のインテーク室(32)に流体的に接続されている、請求項11に記載のサセプタ。
【請求項13】
前記インテークシステム(300)は、前記基板(100)の処理中に、前記基板(100)の上面と前記基板(100)の底面との間に、0.1〜10.0kPaの圧力差を生成するように適合される、請求項1から12のいずれか一項に記載のサセプタ。
【請求項14】
請求項1から13のいずれか一項に記載の少なくとも1つのサセプタを備えた、エピタキシャル成長のための反応器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エピタキシャル成長反応器用のサセプタおよびそのようなサセプタを備えたエピタキシャル成長反応器に関する。
【背景技術】
【0002】
1つ以上の円盤形基板(図1の100)を水平に支持するように働き、加熱システム(例えば、図3の要素40参照)と関連する円盤形サセプタ(例えば、図1の要素10を参照)を有する、基板(「ウェハ」とも呼ばれる)上へのエピタキシャル成長のための反応器の反応室において、円盤形基板(図1の100)をサセプタ(図1の10)のポケット(図1の200)内に収容することが一般的である。前記ポケットの底部は適切に整形され、その深さは適切であって、一般に基板の厚さに匹敵する。サセプタの厚さは基板の厚さを大幅に上回り、一般に少なくとも10倍厚い。
【0003】
室温では、基板は一般に平坦な形状である。
【0004】
しかしながら、反応器内での処理中に、基板は、温度差(例えば基板の厚さ方向および/または基板の径方向に)に遭遇して、基板は変形を蒙り、特に、非平坦形状となる。これは、例えば、基板が低温(室温など)から高温(成膜温度など)に加熱される過渡期に生じ、基板が冷却されるとき、またはエピタキシャル成長中に、成膜自体によって引き起こされる厚さのばらつきによって発生する。
【0005】
基板の両側間の温度差は、使用される加熱システム(ランプ、抵抗器、誘導)に主に応じたものとなる。
【0006】
誘導反応器の特定の事例において、サセプタにより近い(すなわち、サセプタと全面的または部分的に接している)基板表面は、サセプタからより遠い(すなわち反対側)基板表面よりも高温であり、基板は、大まかに球形キャップの表面の形状を取り、その凸面がサセプタに対面している。そのような変形は、基板が、基板の中心領域においてのみサセプタと接していれば増加し、それは基板における径方向温度差にもつながる。
【0007】
この場合、特に、平坦(基板のように)というよりは凹面の整形された底部を有するポケットが用いられる。ポケットの底部の形状を適切に整形することにより、反応器内での処理中に基板とポケットのより良い接触が確実になり、したがって、基板のより良い温度均一性が確実になる。そのような解決策は、基板の温度差を制限するために、サセプタの、また特にポケット(複数可)の形状を、基板によって採られる形状に適合させることからなる。
【0008】
一般に、反応器内での処理中の基板における温度差は温度ストレスにつながり、温度ストレスは、処理される基板の結晶および電気特性における欠陥につながる。
【0009】
従来技術によれば、サセプタ(図1の10)のポケットは、例えば図2に示すようなものであってよく、図2Aのポケットは、周縁に対応する周形状を有してよく(すなわち、ほぼ完璧に円筒形である)、ほぼ完璧に円筒形である基板100Aを収容するように適合され、図2Bのポケットは、周縁に対応する周形状を有し(すなわち、ほぼ完璧に円筒形である)、小さい側方平坦部を有する(すなわち、実質的に円筒形である)円筒形基板100Bを収容するように設計され、図2Cのポケットは、小さい平坦部を有する周縁に対応する周形状を有し(すなわち、実質的に円筒形である)、小さい側方平坦部を有する(すなわち、実質的に円筒形である)円筒形基板100Cを収容するように適合されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明によれば、特に、反応器によって処理される基板の結晶欠陥を防止するために、基板の加熱が均一となるように、基板とサセプタ(ポケット内の)の間の接触が規則的且つ均一であることが重要である。
【0011】
好ましくは、そのような接触は、基板の加熱中と基板へのエピタキシャル成長プロセス中の両方において、また、基板の冷却中にも規則的且つ均一でなければならない。
【0012】
さらに、基板の加熱中と基板へのエピタキシャル成長プロセス中の両方において、また、基板の冷却中にも、基板の(外)縁とポケットの(内)縁の間に接触がないことが好ましい。実際、ポケットの縁は一般に基板の縁においてより高い温度となり、2つの縁が(1つ以上の位置において)接触することがあれば、基板の温度の非均一性につながり得る。
【課題を解決するための手段】
【0013】
そのような目的は、本明細書の不可欠な部分である添付の特許請求の範囲に記載の技術的特徴を有するサセプタによって達成される。
【0014】
本発明の基礎となる概念は、基板をポケットの底部の形状に適合させることであって、ポケットの底部の形状を基板に適合させることではない。
【0015】
凹部によって基板をサセプタ上に把持することによって、処理中に、基板とサセプタの間の接触は規則的且つ均一となり、そのような状態を保つ。したがって基板は熱ストレスを全く蒙らない、または限られたストレスしか蒙らないため、結果として結晶欠陥が皆無または少ししかない。
【0016】
上記の技術的教示は、水平ポケットと円盤形サセプタに関して考案されたものであり、好ましくはこれらの事例に適用されることに留意されたい。さらに、上記の教示は、上部と下部に分離可能な円盤形サセプタに関連して考案されたものであり、好ましくはこれらの事例に適用されることに留意されたい。典型的に、上部は基板の処理前にエピタキシャル反応器の反応室に挿入され、基板の処理後にエピタキシャル反応器の反応室から除去されるように適合される。
【0017】
好ましくは、サセプタのポケット(または複数のポケット)の底部は平坦であり、基板は処理中に平坦な状態を保つ。
【0018】
さらに、凹部によって基板をサセプタ上に把持することによって、全処理中に、基板は側方に動くことができない。したがって、処理開始時にポケットの縁と基板の縁との間に接触がない場合、処理中ずっと接触はないことになる。
【0019】
本発明の主題はそのようなサセプタを備えたエピタキシャル成長のための反応器でもある。
【0020】
本発明は、添付図面と併せた以下の詳細な説明からより明白となろう。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】従来技術によるサセプタの縦断面図である。
図2】従来技術によるサセプタの凹部の3つの上面図である。
図3】エピタキシャル反応器の反応室にある本発明によるサセプタの例示的実施形態の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
容易にわかるように、本発明を実際に実施するための様々な方式があり、それらは、添付の請求項によってその主要な有利な態様において定義される。
【0023】
図3は、エピタキシャル反応器の反応室にある本発明によるサセプタの例示的実施形態の縦断面図を示す。
【0024】
サセプタは、水平に配置されるように適合され、互いに重なり常に互いに対して固定されている2つの円盤形本体からなる円盤形部分と、下部本体11(例えば、SiC被覆グラファイト製)および上部本体12(例えば、SiC被覆グラファイト製)を備える。
【0025】
サセプタは上方に少なくとも1つの円筒形のポケット200(厳密には実質的に円筒形)、特に単一のポケットを有し、その上にエピタキシャル成長プロセスの対象の基板100が配置される。
【0026】
図3において、円盤形部分の直径は例えば約400mmであってよく、基板の直径は約300mmであってよく、ポケットの直径は例えば300mmを少し超える、例えば302mm等であってよい。
【0027】
図3のこの例示的実施形態において、反応室は箱形であり、全面的にクオーツ製であり(赤外線を反射する材料で全体的または部分的に被覆されている可能性がある透明クオーツなど)、図3は、室の上部水平壁51を部分的に示し、室の下部水平壁52を部分的に示し、壁52に、その穴で接続された室の垂直スリーブ53を全体的に示しており、図3はさらに、サセプタの円盤形部分、特に上部本体12に部分的に先行するとともに部分的に後続する室の(所謂)水平ライナー54を部分的に示す。
【0028】
下部本体11と上部本体12は室内に配置され、特に、「反応および成膜」領域に、壁51と壁52の間ではあるが壁52により接近して、反応ガスが上部本体12の上面と壁51の下面の間を流れるように配置されており、ライナー54は上方では上部本体12と水平に整列して、下方で反応ガス流路を画定する。
【0029】
サセプタの円盤形部分、特に下部本体11に機械式に接続された回転軸30がさらに配設され(代替的に本体と軸が一体成形されてもよい)、軸30はスリーブ53内に部分的に配置される。
【0030】
図3のこの例示的実施形態において、本体11の(実質的)対称軸は本体12の(実質的)対称軸と合致し、軸30の(実質的)対称軸と、また、反応室の垂直軸Z、特にスリーブ53の(実質的)対称軸と合致する。
【0031】
図3に部分的に示したような反応室には典型的に、特に上部壁および下部壁の冷却システムが配設され、そのような冷却は、下部壁用の流体(例えば液体)の流れと、上部壁用の流体(例えばガスおよび/または液体)の流れによって達成される。
【0032】
図3に部分的に示したような反応室には典型的に、特にエピタキシャル成長プロセス中で高温の場合に、特にサセプタの円盤形部分によって放射された赤外線を全体的または部分的に反射するための反射装置が配設されるか、反射装置と連携される。
【0033】
図3に部分的に示したような反応室には典型的に、さらなる温度制御装置(「反応および成膜」領域内または「反応および成膜」領域外)が配設されるか、温度制御装置と連携されてよい。
【0034】
図3に部分的に示したような反応室のエピタキシャル反応器には典型的に、処理予定の基板および処理された基板をハンドリングするためのシステムが配設され、ハンドリングシステムは、基板または、上部本体12などの基板ホルダを直接ハンドリングするように適合されてよい。図3では、本体11および12は側方に、ハンドリングツールと協働するように適合された凹部(例えば深さ5〜15mm)を有することが見て取れ、典型的に、そのようなツールはサセプタの上部本体を、処理予定の1つの(または2つ以上の)基板を伴って挿入し、サセプタの上部本体を、処理された1つの(または2つ以上の)基板を伴って引き出すように適合される。
【0035】
サセプタの特に円盤形部分、すなわち本体11および12を電磁誘導によって加熱するように適合された、特に平坦なインダクタであるインダクタ40がさらに配設される。基板100の加熱は主に、上部本体12内に形成されたポケット200の底との接触を介した伝導によって発生する。インダクタ40は、反応室の下部水平壁52に隣接している(が接触はしていない)。
【0036】
図3のこの例示的実施形態において、反応室の上部にはインダクタがない。
【0037】
本発明によれば、ポケット(図2の200)は平坦な底部(すなわち、凹面でも凸面でもなく、特に完全に平坦である)を有し、ポケット(図3の200)の底部に、インテークシステム(図3の300)に流体的に接続する複数のコンジット(図3の13)が開口し、その結果、基板(図3の100)がポケット(図3の200)の底部に載っておりインテークシステム(図3の300)がアクティブである場合、基板(図3の100)は、基板の様々な位置における温度に係らず、また、サセプタの円盤形部分、特に上部本体12の温度に係らず、ポケット(図3の200)の底部に付着した状態を保つ。図3において、図3の基板100は、図面を明確にするためにのみポケット200から持ち上げられて描写されており、2つの下向きの矢印は、基板100がポケット200の底部に配置されていることを示していることに留意されたい。
【0038】
図3において、サセプタの円盤形部分、特に上部本体12は一度に1つの基板をその単一のポケット内に受け入れ、よってそれを処理するように適合されていることに留意されたい。代替的に、サセプタの円盤形部分、特に上部本体12には複数のポケット(平底の)が配設され、よって、一度により多くの基板を処理するように適合されてもよい。
【0039】
指標として、ポケット200は0.2〜2.0mmの均一な深さを有してよく、サセプタの円盤形部分(すなわち、重畳された本体11および12)は15〜30mmの厚さを有してよく、下部本体11は好ましくは10〜20mmの平均厚さを有してよく、上部本体12は好ましくは5〜10mm(その中心領域がシリンダに匹敵する)の平均厚さを有してよい。
【0040】
主に、インテークシステム(図3の300)は、少なくとも基板の加熱と基板の冷却中に、すなわち、温度によって基板が変形され得るリスクがより大きいときにアクティブ状態を保つ。しかしながら、安全性を高めるために、および/または単純にするために、基板上でのエピタキシャル成長中にもインテークシステムをアクティブに保つことが好ましい。
【0041】
図3のこの例示的実施形態において、コンジット13は上部本体12のみに垂直に交差し、コンジット13のマウス(開口)は、ポケット200の底部に実質的に均一に分散されている。指標として、マウスは10乃至100cm当りに1マウスの密度で分散されてよく、0.5〜2.5mmの直径を有してよく、5〜8mmの長さを有してよく、例えば、700cmの領域に25マウスが配設されてよい。
【0042】
図3のこの例示的実施形態において、全てのコンジット13は、ポケット200の下方の単一のプレナム14(305〜310mmなどの、好ましくはポケットの直径に等しい、またはそれより若干大きい直径を有する)に流体的に接続される。プレナム14は円筒形状であって、やや薄型であり、例えば、0.2〜2.0mmの厚さを有してよい。プレナム14は上部本体12と下部本体11の間に配置され、特に、部分的に本体11内部に形成されるとともに部分的に本体12内部に形成されても(図3に示すように)、または、完全に本体11内に形成されてもよい(この場合、本体12は底がほぼ平坦である)。
【0043】
プレナム14は凹部内にあって本体11(1000℃またはそれ以上の高い温度に加熱される)によって下部を拘束され、本体12(1000℃またはそれ以上の高い温度に加熱される)によって上部を拘束されているため、破砕のリスク(少なくとも部分的に)があり得る。
【0044】
そのようなリスクを防止するために、図3の例示的実施形態において、プレナム14は好ましくは下部本体11と上部本体12をプレナム14で距離を置いて保持するように適合されたレリーフ15を有し、この例ではレリーフ15は下部本体11の突部である。特に、レリーフ15(スペーサとして働く)はプレナム14内で実質的に均一に分散され、指標として、10乃至100cm当り1レリーフの密度が選択されてよく、例えば、750cmの表面に15レリーフが配設されてよい。特に、レリーフ15(スペーサとして働く)は、逆ピラミッドまたは切頭錐体(例えば、0.5〜2.0mmの直径の)であってよい(例えば、0.2〜2.0mmの高さの)。図3のこの例示的実施形態において、サセプタの円盤形部分は回転軸30に機械式で接続され、プレナム14は回転軸30のインテークコンジット31に、下部本体11のコンジット(具体的には中央穴)を通して流体的に接続される。インテーク室31は、サセプタの円盤形部分の下の回転軸30の周りに、例えば、下部本体11から5〜25cmの距離のところに配置された、環状形状のインテーク室32に流体的に接続される。室32は、固定された円筒形壁33によって限られ、上部シール34と下部シール35が固定された壁33と回転軸30の間に配設される。室32は、例えば真空ポンプを備えたインテークシステム300に流体的に接続される。
【0045】
インテークシステム300は、基板(図3の100)の上面と基板(図3の100)の下面との間に圧力差を生成するように適合される。この圧力差は基板(図3の100)の処理中に、例えば、0.1〜10.0kPa、好ましくは0.5〜2.5kPaであってよい。この圧力差は少なくとも基板の加熱および基板の冷却中に維持され、好ましくは基板上へのエピタキシャル成長プロセス全体の間も維持される。
【0046】
本発明による反応器は、反応器の反応室内で固定圧力または可変圧力で動作するように適合されてよい。固定圧力は「大気圧」(約1000mBar=100kPa)または「減圧」(50〜950mBar=5〜95kPaの範囲の圧力など)であってよい。圧力が可変である場合、例えば、オペレータは圧力を、基板上にエピタキシャル成長を実行するように設定し、調整範囲は例えば50〜1100mBar=5〜110kPaであり得る。
【0047】
基板を把持するために用いられる圧力差は、反応器の反応室内の圧力も考慮に入れなければならない。
【0048】
凹部を用いて基板をサセプタ上に把持することは、基板を処理する方法の一態様であり、その方法は基板上へのエピタキシャル成長も包含する。基板はエピタキシャル成長(すなわち処理予定の基板)前にハンドリングされ、また、エピタキシャル成長(すなわち、処理された基板)後にハンドリングされる。
【0049】
基板の縁が、凹部が宛がわれる前にポケットの縁に接触しないように、また、凹部が宛がわれるまで実質的にそのような位置に留まるように、ポケット内の位置に基板を配置することが好ましい。
【符号の説明】
【0050】
11,12 円盤形部分
13 コンジット
14 プレナム
15 レリーフ
30 回転軸
31,32 インテーク室
33 壁
34 上部シール
35 下部シール
100 基板
200 円筒形ポケット
図1
図2A
図2B
図2C
図3