特許第6965268号(P6965268)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6965268
(24)【登録日】2021年10月22日
(45)【発行日】2021年11月10日
(54)【発明の名称】電動ハンドル付き外科用ステープラ
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/072 20060101AFI20211028BHJP
【FI】
   A61B17/072
【請求項の数】12
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2018-553449(P2018-553449)
(86)(22)【出願日】2017年4月12日
(65)【公表番号】特表2019-513471(P2019-513471A)
(43)【公表日】2019年5月30日
(86)【国際出願番号】US2017027213
(87)【国際公開番号】WO2017180746
(87)【国際公開日】20171019
【審査請求日】2020年3月24日
(31)【優先権主張番号】62/321,629
(32)【優先日】2016年4月12日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】503000978
【氏名又は名称】アプライド メディカル リソーシーズ コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100095898
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(72)【発明者】
【氏名】リード クリスティーナ エヌ
(72)【発明者】
【氏名】ベセーラ マシュー エム
(72)【発明者】
【氏名】マッカーシー アンドリュー ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】ツィマーマン スコット
(72)【発明者】
【氏名】ショーバー ジョシュア エム
(72)【発明者】
【氏名】デッカー スティーヴン イー
(72)【発明者】
【氏名】ハドソン ケヴィン
(72)【発明者】
【氏名】ファム アンディ
【審査官】 安田 昌司
(56)【参考文献】
【文献】 特表2013−515566(JP,A)
【文献】 特表2010−540192(JP,A)
【文献】 特表2012−505046(JP,A)
【文献】 特開2014−176695(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0263562(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2015/0374364(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/00−17/072
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外科用ステープラのためのハンドル組立体であって、
ハンドル本体を含み、前記ハンドル本体は、静止ハンドルおよび前記ハンドル本体に回動可能に結合されたトリガを有し、
前記ハンドル本体内に設けられた電気モータを含み、
前記ハンドル本体内で長手方向軸線に沿って摺動可能でありかつ前記ハンドル本体内で前記長手方向軸線回りに回転可能な作動シャフトを含み、前記作動シャフト上にはラックが形成され、
手動戻し機構体を含み、
前記作動シャフトは、前記ラックが前記作動シャフトを長手方向に摺動させるよう前記電気モータに作動的に係合する第1の位置から前記ラックが前記電気モータから係合解除されて前記手動戻し機構体と係合する第2の位置に回転可能である、ハンドル組立体。
【請求項2】
前記電気モータは、出力シャフトを有し、前記ハンドル組立体は、前記出力シャフトに結合されたモータ歯車および前記モータ歯車と被動噛み合い関係にありかつ前記ラックが前記第1の位置にある状態で前記ラックに係合する補助歯車を更に含む、請求項1記載のハンドル組立体。
【請求項3】
前記補助歯車および前記作動シャフトを支持するとともに前記補助歯車と前記ラックとの噛み合い係合状態を維持する案内部材を更に含む、請求項2記載のハンドル組立体。
【請求項4】
前記手動戻し機構体は、
前記シャフトを前記第1の位置から前記第2の位置に回転させるよう構成されたシャフト回転機構体と、
前記作動シャフトを近位側に引っ込めるよう構成されたシャフト引っ込め機構体と、を含む、請求項1記載のハンドル組立体。
【請求項5】
前記シャフト回転機構体は、前記作動シャフトに設けられたシャフト回転カラーを含む、請求項4記載のハンドル組立体。
【請求項6】
前記シャフト回転カラー上にはシャフト回転ラックが形成されている、請求項5記載のハンドル組立体。
【請求項7】
前記シャフト回転機構体は、前記ハンドル本体の外面上に位置決めされた係合解除タブを更に含み、前記係合解除タブ上には、前記シャフト回転ラックと係合関係をなして係合解除ラックが形成されている、請求項6記載のハンドル組立体。
【請求項8】
前記ハンドル組立体の前記外面からの前記係合解除タブの取り外しにより、前記作動シャフトは、前記第1の位置から前記第2の位置に回転する、請求項7記載のハンドル組立体。
【請求項9】
前記シャフト引っ込め機構体は、
戻しレバーと、
戻し爪と、
前記戻しレバーを前記戻し爪に回動可能に結合するピボット継手と、を含む、請求項4記載のハンドル組立体。
【請求項10】
前記戻し爪は、前記作動シャフトが前記第2の位置にある状態で前記ラックと係合する、請求項9記載のハンドル組立体。
【請求項11】
戻しサイクルを通じて前記戻しレバーを作動させることにより、前記作動シャフトは、前記作動シャフトが前記第2の位置にある状態で近位側に前進する、請求項10記載のハンドル組立体。
【請求項12】
前記シャフト引っ込め機構体は、前記戻しレバーから突き出て前記第2の位置から前記第1の位置への前記作動シャフトの回転を妨害する妨害ローブを更に含む、請求項9記載のハンドル組立体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、一般に、外科用閉塞器具、特に電動外科用ステープラに関する。
【0002】
〔関連出願の説明〕
本願は、現時点において係属中の2016年4月12日に出願された米国特許仮出願第62/321,629号(発明の名称:SURGICAL STAPLER HAVING A POWERED HANDLE)の権益主張出願である。
【背景技術】
【0003】
外科用ステープラは、組織に近づきまたはクランプし、そしてクランプした組織を互いにステープル留めするために用いられる。したがって、外科用ステープラは、組織が適正に位置決めされて捕捉されるようにし、そしてステープルを組織中に駆動する機構体を有する。その結果、これは、クランプした組織の適正なステープル留めを可能にするよう例えば、複雑な機構体と関連して多数のトリガおよびハンドルを生じさせる。これら複雑な機構体により、外科用ステープラについて製造上の負担が増大するとともに装置の故障およびユーザにとっての混乱の潜在的な源が生じる場合がある。かくして、複雑な機構体なしでクランプした組織の信頼性のあるステープル留めが要望されている。
【発明の概要】
【0004】
ある特定の実施形態では、外科用ステープル留めシステムのための電動ハンドルが本明細書において提供されている。電動ハンドルは、作動アダプタを選択的に作動させるよう電源によって電力供給される駆動システムを有するのが良い。電動ハンドルは、関節運動アダプタを選択的に作動させるための手動関節運動機構体を有するのが良い。電動ハンドルは、関節運動アダプタおよび作動アダプタを取替式シャフト内に設けられた関節運動部材および駆動部材に同時に結合するための差込みカップリングを備えたカップラを更に有するのが良い。
【0005】
ある特定の実施形態では、外科用ステープル留めシステムの電動ハンドルは、電動ハンドルに設けられた可動トリガおよび発射(fire)/戻しボタンからのユーザ入力に応動して駆動システムを作動させるための制御システムを有する。制御システムは、更に、駆動システム作動トルク、作動アダプタの長手方向位置、およびジョー組立体の長さまたは形態の識別を含む種々の動作パラメータに応答して駆動システムの作動プロフィールを変化させることができる。
【0006】
ある特定の実施形態では、外科用ステープル留めシステムの電動ハンドルは、ボールねじ機構体を有する手動関節運動システムを含む。ボールねじ機構体は、所定の関節運動範囲内におけるステープル留めシステムのジョー組立体の連続関節運動を可能にすることができる。ボールねじ機構体は、長手方向心出し位置に付勢可能であり、しかも解除機構体の使用により迅速に心出し可能である。
【0007】
ある特定の実施形態では、外科用ステープラのためのハンドル組立体が提供される。ハンドル組立体は、ハンドル本体、電気モータ、作動シャフトおよび機械式戻し機構体を含む。ハンドル本体は、静止ハンドルおよびハンドル本体に回動可能に結合されたトリガを有する。電気モータは、ハンドル本体内に設けられている。作動シャフトは、ハンドル本体内で長手方向軸線に沿って摺動可能でありかつハンドル本体内で長手方向軸線回りに回転可能である。作動シャフト上にはラックが形成されている。作動シャフトは、ラックが作動シャフトを長手方向に摺動させるよう電気モータに作動的に係合する第1の位置からラックが電気モータから係合解除されて手動戻し機構体と係合する第2の位置に回転可能である。
【0008】
ある特定の実施形態では、外科用ステープラのためのハンドル組立体が提供される。ハンドル組立体は、ハンドル本体、電気モータ、作動シャフト、モータ歯車、補助歯車、冠歯車、電位差計、および制御システムを含む。ハンドル本体は、静止ハンドルおよびハンドル本体に回動可能に結合されたトリガを有する。電気モータは、ハンドル本体内に設けられている。電気モータは、出力シャフトを有する。作動シャフトは、ハンドル本体内で長手方向軸線に沿って摺動可能である。モータ歯車は、モータの出力シャフトに結合されている。補助歯車は、モータ歯車と被動噛み合い関係にある。 モータ歯車は、ラックと作動的に係合している。冠歯車は、モータ歯車と噛み合い係合関係をなしてハンドル内に設けられている。電位差計は、冠歯車に結合されている。制御システムは、トリガ、電気モータ、および電位差計に電気的に結合されている。
【0009】
ある特定の実施形態では、外科用ステープラのためのハンドル組立体が提供される。ハンドル組立体は、ハンドル本体、電力システム、作動シャフト、および関節運動機構体を含む。ハンドル本体は、静止ハンドルおよびハンドル本体に回動可能に結合されたトリガを有する。電力システムは、ハンドル本体内に設けられている。作動シャフトは、電力システムに作動的に結合されている。作動シャフトは、ハンドル本体内で長手方向軸線に沿って摺動可能である。関節運動機構体は、手動式関節運動ノブおよび関節運動アダプタを含む。手動式関節運動ノブは、ハンドル本体の近位端部のところに位置決めされかつ長手方向軸線回りに回転可能である。関節運動アダプタは、ハンドル本体の遠位端部のところに位置決めされている。関節運動アダプタは、長手方向軸線回りの作動ノブの回転により関節運動アダプタが長手方向に摺動するよう関節運動ノブに作動的に結合されている。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】電動ハンドルの実施形態を含む外科用ステープル留めシステムの一実施形態の斜視図である。
図2図1の外科用ステープル留めシステムのための電動ハンドルの別の実施形態の側面図である。
図2A図2の外科用ステープル留めシステムのための電動ハンドルの分解組立て斜視図である。
図3】幾つかのコンポーネントが図2の電動ハンドルの駆動システムを示すために省かれた状態での図2の電動ハンドルの部分切除斜視図である。
図4図2の電動ハンドルのための駆動システムの一実施形態の斜視図である。
図5図2の電動ハンドルのための駆動システムの一実施形態の側面図である。
図6図2の電動ハンドルのための電源の一実施形態の斜視図である。
図7】電源が取り付けのための定位置にある状態における図2の電動ハンドルの側面図である。
図8図2の電動ハンドルのための位置割り出しシステムの一実施形態の斜視図である。
図9A】シャフトの一実施形態が取り外し位置にある状態における図2の電動ハンドルのためのシャフトカップラの一実施形態の斜視図である。
図9B】シャフトの一実施形態が部分的挿入位置にある状態における図2の電動ハンドルのためのシャフトカップラの一実施形態の斜視図である。
図9C】シャフトの一実施形態が完全挿入位置にある状態における図2の電動ハンドルのためのシャフトカップラの一実施形態の斜視図である。
図9D】シャフトの一実施形態が保持位置にある状態における図2の電動ハンドルのためのシャフトカップラの一実施形態の斜視図である。
図10A】シャフトの一実施形態が保持位置にある状態における図2のシャフトカップラの一実施形態の切除側面図である。
図10B】シャフトの一実施形態がラッチ留め位置にある状態における図2のシャフトカップラの一実施形態の切除側面図である。
図11図2の電動ハンドルの関節運動機構体の一実施形態の切除側面図である。
図12】関節運動後の位置にある図11の関節運動機構体の斜視図である。
図13A図11の関節運動機構体の切除側面図である。
図13B】解除ボタンが押された状態における図11の関節運動機構体の切除側面図である。
図13C】解除ボタンが押されて心出し位置に部分的に戻された状態における図11の関節運動機構体の切除側面図である。
図13D】解除ボタンが押されて心出し位置に戻された状態における図11の関節運動機構体の切除側面図である。
図13E】解除ボタンが部分的に解除された状態において心出し位置にある図11の関節運動機構体の切除側面図である。
図13F】心出し位置にある図11の関節運動機構体の切除側面図である。
図14図2の電動ハンドルのための手動戻し組立体の一実施形態の斜視図である。
図15】結合解除機構体が作動された状態における図14の手動戻し組立体の斜視図である。
図16A】戻し機構体が部分的に作動された状態における図14の手動戻し組立体の側面図である。
図16B】戻し機構体が全戻しストロークにわたって作動された状態における図14の手動戻し組立体の側面図である。
図17図2の電動ハンドルのための手動戻し組立体の一実施形態の斜視図である。
図18】結合解除機構体が作動された状態における図17の手動戻し組立体の斜視図である。
図19A】戻し機構体が部分的に作動された状態における図17の手動戻し組立体の側面図である。
図19B】戻し機構体が全戻しストロークにわたって作動された状態における図17の手動戻し組立体の側面図である。
図20図2の電動ハンドルのための制御システムの一実施形態に関する情報および電力フローの略図である。
図21図2の電動ハンドルの例示の作動シーケンスに関する作動シーケンス流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1および図2を参照すると、外科用ステープル留めシステムの一実施形態が示されている。外科用ステープラ10の図示の実施形態は、細長いシャフト20、ジョー組立体30、よびハンドル組立体40を有する。図1は、ジョー組立体30が開放形態にある外科用ステープラ10を示しており、電動ハンドルの一実施形態が電動のステープル発射方式のものであるとともに電動のジョー組立体関節運動方式となっている。図2は、細長いシャフトが取り外された状態の外科用ステープラシステムの電動ハンドル40の別の実施形態を示している。図2の電動ハンドル40は、電動のステープラ発射方式となっているとともに手動のジョー組立体関節運動方式となっている。図示の実施形態では、シャフト20およびジョー組立体30は、ハンドル40に設けられた回転ノブの回転によりシャフト20によって定められた長手方向軸線回りに自由に回転可能である。他の実施形態では、ステープル留めシステムは、規定の範囲または回転的に固定されたジョー組立体における長手方向軸線回りのジョー組立体の回転を可能にするよう構成されているのが良い。
【0012】
引き続き図1を参照すると、図示の実施形態としての外科用ステープラ10は、腹腔鏡外科的処置で使用できるよう寸法決めされるとともに形作られているのが良い。例えば、細長いシャフト20およびジョー組立体30は、アクセスポートまたはトロカールカニューレを通って手術野中に導入されるよう寸法決めされるとともに形作られているのが良い。幾つかの実施形態では、細長いシャフト20およびジョー組立体30は、比較的小さな、例えば8mm未満の作業チャネル直径を備えたトロカールカニューレを通って挿入されるよう寸法決めされるとともに形作られているのが良い。他の実施形態では、細長いシャフト20およびジョー組立体30は、大きな、例えば10mm、11mm、12mm、または15mmの作業チャネル直径を備えたトロカールカニューレを通って挿入されるよう寸法決めされるとともに形作られているのが良い。他の実施形態では、本明細書において説明する外科用ステープラのある特定の観点を開放外科的処置で使用可能な外科用ステープル留め器具中に組み込むことができることが想定される。
【0013】
引き続き図1を参照すると、図示のように、細長いシャフト20は、全体として管状の部材を有する。細長いシャフト20は、近位端から遠位端まで延びている。細長いシャフト20は、近位端22と遠位端24との間に延びる外科用ステープラ10の長手方向中心軸線Lを定めている。
【0014】
引き続き図1を参照すると、図示の実施形態では、ジョー組立体30は、細長いシャフト20の遠位端のところで細長いシャフト20に結合されている。ジョー組立体30は、第1のジョー32および第1のジョー32に回動可能に結合された第2のジョー34を含む。図示の実施形態では、第1のジョー32は、これが長手方向中心軸線Lに沿って遠位側に延びるよう細長いシャフト20の遠位端24に固定され、この第1のジョーは、ハンドル40内の関節運動機構体に応動して細長いシャフト20に対して関節運動可能である。初期の形態では、第1のジョー32内には、取替部50内に収納された状態で複数のステープル36が配置されている。他の実施形態では、取替部50は、シャフト組立体20とステープルが装填されたジョー組立体30の全体が単一の取替式組立体を構成するようジョー組立体30と一体化されているのが良い。幾つかの実施形態では、ステープルは、当初、第2のジョー34内に位置決めされるのが良い。
【0015】
引き続き図1を参照すると、図示の実施形態では、ジョー組立体30を細長いシャフト内で長手方向に摺動可能な駆動部材またはビームによって開放形態(図1)から閉鎖形態に、すなわちステープル留め形態に作動させることができる。初期の位置では、ビームは、細長いシャフト20の遠位端24のところに位置決めされるのが良い。ビームが初期位置にある状態で、第2のジョー34を回動させて第1のジョー32から遠ざけてジョー組立体30が開放形態にあるようにする。作動ビームは、長手方向軸線Lに沿って遠位側への作動部材またはビームの並進時、第2のジョー34に係合する。作動ビームを初期位置から遠位側に第1の距離にわたって並進させると、ジョー組立体を開放形態から閉鎖形態に作動させることができる。ジョー組立体30が閉鎖形態にある状態で、作動ビームを近位側に第1の距離にわたって戻すと、ジョー組立体30を開放形態に戻すことができる。作動ビームの遠位端は、ステープルを第1のジョー32から展開するよう構成されたステープルスライダを前進させることができ、その結果、第1の距離を超えて作動ビームを遠位側に更に並進させると、複数のステープル36が第1のジョー32内の取替部50から展開されるようになる。
【0016】
引き続き図1を参照すると、図示の実施形態では、ハンドル組立体は、細長いシャフト20の近位端のところで細長いシャフト20に結合されている。図示のように、ハンドル組立体40は、静止ハンドル42および静止ハンドル42に回動可能に結合された可動ハンドル44またはトリガを備えたハウジングを備えた拳銃握り形態を有する。他の実施形態では、本明細書において説明する観点を含む外科用ステープラ器具が他の形態、例えばはさみ握り形態またはインライン形態を備えたハンドル組立体を有しても良いことが想定される。以下に更に詳細に説明するように、ハンドル組立体40は、作動シャフトを可動ハンドル44の運動に応動して選択的に前進させるよう構成された電動作動機構体を収容している。
【0017】
図示の実施形態では、外科用ステープラ10は、使い捨てカートリッジ取替部50内に位置決めされた複数のステープル36を有するのが良く、他方、ジョー組立体30は、多数のステープルカートリッジ取替部50と共に1回の手順で再使用されるよう構成されている。幾つかの実施形態では、細長いシャフト20およびジョー組立体30は、ハンドル組立体40に取り外し可能に結合可能な使い捨て取替式シャフトを構成している。したがって、図示の実施形態では、ハンドル組立体40は、その遠位端のところにカップラ46を含む。カップラ46は、外科用ステープラ10の細長いシャフト20に係合するようになっている。カップラ46は、細長いシャフト20をハンドル組立体42に取り外し可能に結合することができる外側コネクタおよびハンドル組立体40の作動シャフトを細長いシャフト20の駆動部材に取り外し可能に結合することができる内側コネクタを備えた差込み連結部を有するのが良い。したがって、外科用ステープラ10は、ハンドル組立体40を外科的処置中、多数の取替式シャフト20とともに再使用できるよう構成されているのが良い。他の実施形態では、ハンドル組立体および細長いシャフトのある部分は、ジョー組立体内の細長いシャフトの残部が使い捨てカートリッジを構成する状態で再使用可能であるのが良いことが想定される。ある特定の他の実施形態では、ハンドル組立体および細長いシャフトは、ジョー組立体が使い捨てカートリッジを構成している状態で再使用可能であるのが良い。更に他の実施形態では、複数のステープルを収容したジョーインサートが使い捨てカートリッジを構成することができ、他方、外科用ステープラの残部が再使用可能である。
【0018】
図2を参照すると、外科用ステープル留めシステムのための電動ハンドルの一実施形態が示されている。電動ハンドルを種々のシャフト取替部およびカートリッジとともに使用することができ、その結果、シャフト形態、ジョー組立体形態、およびステープル形態を特定の手技のために選択することができる。ハンドルの図示の実施形態は、ジョーの電動による(モータにより駆動される)クランプ動作および開放ならびにステープルラインの発射をもたらす。ジョー組立体の関節運動は、オペレータが回す関節運動ノブによって手動で制御できる。モータは、互いに異なる使用段階中、ハンドルの機能を定める埋め込み型制御システムによって制御される。
【0019】
引き続き図2を参照すると、電動ハンドル40は、静止ハンドル42およびこの静止ハンドルに回動可能に結合された可動ハンドル44またはトリガを備えた拳銃握り形態をしている。電源130または電池を静止ハンドルの下面に設けるのが良い。電動ハンドル40は、ユーザがステープルシーケンスを選択的に制御できるようにするためのユーザ制御部、例えば発射またはファイヤ/リバースボタン150を更に有するのが良い。電動ハンドル40は、電動システムの故障、制御システムの故障、電源の故障、または「ロックジョー」または他の機械的バインディングの場合に、ユーザがステープル留めシステムを開放形態に手動で戻すことができるようにするための冗長式手動戻しシステム170を更に有するのが良い。電動ハンドルは、回転可能な関節運動ノブ190を含む手動関節運動機構体を更に有するのが良い。図示の実施形態では、関節運動ノブ190は、電動ハンドルの近位端に設けられるとともに全体としてステープル留めシステムの長手方向軸線に一致した軸線回りに回転可能である。
【0020】
図2Aを参照すると、図2の電動ハンドルは、分解組立て図で示されている。本明細書において更に説明する電動ハンドルの図示の実施形態の種々の要素が分解組立て図に示されている。
【0021】
図3を参照すると、シャフト20がハンドルのカップラ46内に位置決めされた状態で電動ハンドルの部分切除図が示されている。図示の切除図では、電動ハンドルの幾つかのコンポーネントが電動ハンドルの駆動システムを明確に示すために省かれている。図示の実施形態では、駆動システムは、静止ハンドル42内に位置決めされたモータ112、モータ112の出力シャフトに取り付けられたモータ歯車114、およびモータ歯車114と被動噛み合い状態にある補助歯車116を含む。幾つかの実施形態では、モータ112は、ブラシ付きDC歯車モータである。有利には、電力を補助歯車116を介して伝達することにより、モータ112を静止ハンドル内に側方に心出しすることができ、それによりハンドルのバランスおよびユーザ人間工学的状態を高めることができる。さらに、幾つかの実施形態では、モータ歯車114および補助歯車116は、ラック122のところに所望の作動トルクを提要するよう構成されるのが良い。幾つかの実施形態では、モータ112は、所望の作動トルクをもたらすようモータ112と補助歯車116に結合されているモータ歯車114との間に作動的に結合された多歯車型伝動装置を有するのが良い。モータ112は、制御システムを介して電源130に電気的に結合されるのが良い。ハンドル内の制御システムは、作動シャフト120の位置およびかくしてジョー組立体の作動状態を計測するよう駆動システムとインターフェースする。
【0022】
駆動システムは、ハンドル内のマイクロプロセッサを含む制御システムに情報を提供するハードウェアに取り付けられている。この埋め込み型システムは、モータの速度およびトルクを制御することができる。このシステムはまた、ユーザ入力(トリガを動かすことおよびファイヤ/リバースボタンを押すこと)および駆動システムの位置に基づいて装置の機能を制御することができる。制御システムはまた、負荷が高すぎてステープルの発射を続けることができないかどうかまたは取替式カートリッジのロックアウトを作動させたかどうかを判定するようモータからのフィードバックを計測することができる。制御システムはまた、電池の寿命を計測し、さらに装置の発射回数を制限することができる。
【0023】
図20を参照すると、電動ハンドルのための例示の制御システムについてのデータおよび電力フローを示した概略流れ図が示されている。図示の流れ図では、制御システムは、図示のマイクロコントローラを含む。種々の実施形態では、マイクロコントローラは、特定用途向けファームウェアおよび/またはソフトウェアを実行する特定用途向け集積回路または汎用マイクロプロセッサを有するのが良い。図示のように、マイクロコントローラは、電源内の電池から電力および電池状態に関するデータを受け取る。マイクロコントローラは更に、ステープラの種々の機械的ハードウェア、例えばモータ駆動装置および電流モニタ、作動ラック位置検出機構体、およびシャフト連結およびタイプモニタからデータを受け取る。マイクロコントローラは更に、トリガ位置センサ、プッシュボタンスイッチ、およびブルートゥース(Bluetooth )(登録商標)通信トランシーバを介してユーザからデータを受け取る。制御システムは、制御信号を出力してモータ駆動装置を介して電動ハンドルの駆動システムを作動させることができる。制御システムはまた、ある特定の作動パラメータ情報を電源に設けられたメモリモジュールに出力することができ、そしてハンドルおよびブルートゥース(登録商標)通信トランシーバに設けられたLED灯を介してユーザが観察することができるようにするためのある特定のデータを出力することができる。
【0024】
ある特定の実施形態では、制御システムはまた、電動ハンドルの動作パラメータを更に定めるよう構成されている。例えば、電源または制御システムそれ自体に設けられたメモリモジュールに問い合わせることによって、制御システムは、電動ハンドルが1回よりも多くの手技のために使用されたかどうかを検出することができる。幾つかの実施形態では、ステープル留めシステムは、単一の手技で用いられるよう設計されており、再滅菌向きには設計されていない。加うるに、制御システムはまた、電源または制御システムに設けられたメモリモジュールに問い合わせてステープル発射の回数を検出し、それにより追加の発射を完了させるのに十分な電池電力が残存しているかどうかを評価することができる。
【0025】
ある特定の実施形態では、制御システムは、ステープル発射を阻止することができる組織特性を検出するよう構成されている。幾つかの実施形態では、制御システムは、駆動システム内のモータの位置、速度、および供給トルクをモニタすることができる。制御システムは、過剰の時間がジョー組立体を閉じるのに必要である場合、またはジョーが低速で閉じている場合、ジョー組立体を閉じるのに過剰なトルクが必要であるかどうかを検出することができる。これらの条件により、ジョー組立体内の組織が、ステープラが有効であるようにするのに厚過ぎるかまたは密過ぎることが分かる場合がある。ある特定の実施形態では、制御システムは、時間に対する作動シャフトの位置をモニタすることができ、そしてこのモニタされた位置および時間をベースライン「ゼロ負荷」時間基準位置に対して評価して組織特性、例えば厚さおよび密度を評価することができる。駆動システムが所定の動作パラメータを超える場合、制御システムは、エラー状態を指示して発射動作を停止させることができる。
【0026】
幾つかの実施形態では、制御システムは、ブルートゥース(登録商標)接続方式によりユーザ情報を提供することができる。電動ハンドルは、動作パラメータ、例えば、電池の状態、残りの発射回数、および推定組織厚さに関するデータをブルートゥース(登録商標)接続ディスプレイ上に控えめに表示することができる低電力ブルートゥース(登録商標)トランシーバを有するのが良い。
【0027】
図21を参照すると、制御システムの例示の発射シーケンスに関する作動流れ図の略図が示されている。図示のように、制御システムは、トリガおよび発射ボタンからのユーザ入力、ならびに種々のセンサおよびモニタからのハードウェア入力を統合して発射シーケンスに合わせてジョー組立体を完全開き状態から完全閉じ状態に前進させ、次に完全開き状態に戻す。
【0028】
図3図5を参照すると、電動作動中、補助歯車116は、ハンドル本体内で長手方向に延びる作動シャフト120に設けられているラック122と噛み合い係合状態にある。図示の実施形態では、補助歯車は、案内部材内に支持され、作動シャフト120は、この案内部材を通って摺動する。案内部材は、補助歯車とラック122との噛み合い接触状態を維持するのを助ける。作動シャフト120の遠位端部は、電動ハンドルの遠位端部のところのカップラ46中に長手方向に延びる作動アダプタ124に自由回転可能に結合されている。
【0029】
シャフト20が電動ハンドル40のカップラ46に結合された状態で、作動アダプタ124は、差込み連結部によりシャフト20内の駆動部材に結合する。したがって、シャフト20がハンドル40に取り付けられると、モータ112およびラック122は、ジョー組立体に結合された駆動部材22を駆動することになる。かくして、ハンドル内の駆動システムは、「ラック・ピニオン」設計型のものである。ユーザの入力に応動するモータ112の作動により、作動シャフト120は、長手方向前後に駆動され、それによりステープラを閉じ、発射し、または開き作動状態で選択的に作動させる。
【0030】
図6および図7を参照すると、電動ハンドル40のための電源130の一実施形態が示されている。電源130は、直流電流を電動ハンドルモータおよび制御システムに送り出すよう構成されているのが良い。図示の実施形態では、ステープラは、12Vで作動することができる。図示の電源は、12V電源を生じさせるよう直列接続された4個の3Vリチウム‐イオン電池132から成るのが良い。図示のように、電池132は、バッテリパック(電池パック)を形成するようプラスチックハウジング134内に4×1の形態で積み重ねられている。他の実施形態では、個々の蓄電池セルの他の個数および形態を使用してもバッテリパックを形成することができる。例えば、ある特定の実施形態では、バッテリパックは、AA、AAAまたは別の標準または専用の1回使用または充電可能化学電池で構成されるのが良い。電動ハンドル40の図示の実施形態では、バッテリパックは、静止ハンドルの底部のところに配置される。望ましくは、この位置決めにより、ハンドル40を平坦な表面上に設置するための安定した表面が得られる。他の実施形態では、電源は、ハンドル内のどこか別の場所、例えば、その近位端部のところに位置決めできる(例えば、図1の実施形態を参照されたい)ことが想定される。
【0031】
引き続き図6および図7を参照すると、幾つかの実施形態では、電源130は、ハンドル40とともにパッケージ化されるのが良いが、使用前には取り付けられない。使用時に、ユーザは、バッテリパックをハンドル40のところに配置された電池キャビティ136中に挿入することによってバッテリパックを取り付けるのが良い。有利には、バッテリパックを非取り付け状態で輸送することにより、使用前の偶発的な電池放電の発生率を減少させることができる。さらに、取り外し可能なバッテリパックにより、ステープラシステムを新たな電池技術が利用可能になったときに新たな電池で容易にアップグレードすることができる。他の実施形態では、電源は、取り外し可能なストリップがバッテリパックの電気的接続を阻止した状態でハンドル内に収納状態でパッケージ化されるのが良い。さらに別の実施形態では、ハンドルは、ACまたはDC電源、例えば壁ソケットまたはコンセント、USBコネクタ、または別の標準型電気接続部中にプラグ接続されるよう構成された電力ケーブルを備えた状態で供給される。
【0032】
幾つかの実施形態では、電源は、ステープラの使用状態のディジタル記録を記憶することができるメモリモジュール、例えば不揮発性メモリを更に有する。例えば、メモリモジュールは、発射中における電池電圧およびモータ電流、ソフトウェア状態機械の状態のシーケンス、起こった場合のある何らかの不測の事態、用いられたシャフト形式、発射回数、発射相互間の間隔、ならびにステープラハンドルのモデルおよびシリアル番号の定期的サンプリングを含むステープラの各発射の詳細を記録するよう構成されているのが良い。メモリモジュールはまた、バッテリパックそれ自体を用いてユーザがバッテリパックを再使用することができないかどうかを記録することができる。
【0033】
幾つかの実施形態では、電動ハンドル40および関連電源130は、1回の手技で使用されてこの手技の次に使い捨て可能に構成されているのが良い。電源130は、再使用の恐れを減少させるための電力ドレーンを有するのが良い。外科的処置における使用に続き、ユーザは、バッテリパックをハンドル40から取り外すことができる。バッテリパックをハンドル40から取り外すことにより、電池のドレーンまたは使い切りを開始させることができる。例えば、バッテリパックを一度用いた後、端子を低値抵抗器または電気的特徴部に接続することによって電池を短絡させることができる機械的特徴部は、同じ仕事を同じ回路で達成することができる。加うるに、外科的処置が完了した後にバッテリパックがハンドル40内に残されている場合、幾つかの実施形態では、ハンドルの制御システムは、最大時間限度後に機能を無効にしてバッテリパックを使い切るようプログラムされている。
【0034】
図2および図8を参照すると、電動ハンドルに用いられる位置センサ機構体の一実施形態が示されている。動作原理を説明すると、モータ歯車114の回転により、これに対応してハンドル40内に設けられている冠歯車142が回転する。冠歯車142は、電位差計に結合されており、その結果、モータ歯車114の位置およびかくして作動ラックの実際の位置を電位差計のところでの抵抗の変化の測定に基づいて求めることができる。幾つかの実施形態では、電位差計は、制御システムを実装することができる回路板144に取り付けられるのが良い。図示の実施形態は、電位差計を利用した位置センサ機構体を含むが、他の実施形態では、他の位置検出機構体を用いることができることが想定され、かかる他の位置検出機構体は、例えば、ホール効果センサ付きの磁気エンコーダの使用、作動シャフトが所定距離にわたって移動したときに作動するリミットスイッチの使用、作動シャフトに沿うパターンの移動量を測定するための光学システム、例えばフォトダイオードの使用、または他の位置検出システムの使用を含む。
【0035】
図9A図9Dを参照すると、ステープラシャフト20とハンドルのカップラ46の係合の動作シーケンスが示されている。図示の実施形態では、取替式シャフト20とハンドル40の連結部は、差込み連結部から成り、この差込み連結部では、ユーザが取替式シャフト20をハンドル40中に軸方向に整列させて挿入し、そして取替式シャフト20を約90°回転させて連結する。この差込み連結部は、差込み式シャフト20の2つの機械的機能をハンドル40の対応のアクチュエータに作動的に結合する。差込み連結部を完全に結合すると、シャフト20内の関節運動部材がハンドルの関節運動アダプタに結合され、シャフト20内の駆動部材が作動アダプタに結合される。さらに、ハンドル40およびシャフト20は、作動アダプタおよび駆動部材がいったん作動されると、ユーザがシャフト20を取り外すのを阻止するためにカップラ46のところに設けられたラッチ機構体を備えた状態で構成されるのが良い。さらに、カップラ46のところの接続部は、ハンドルの制御システムが取替式シャフトを連結したかどうかおよびそこで取替部の取り付け状態のジョー長さがどれほどのものかを検出することができるよう取替部識別機構体を有するのが良い。種々の長さのジョー機構体を含む取替式シャフト20とともに電動ハンドルを用いることができるということが想定される。例えば、幾つかの実施形態では、同一のハンドル40を45mm長さか60mm長さかのいずれかのジョー組立体にともに使用できる。かくして、ジョー組立体長さが電動ハンドルの制御システムによって識別された場合、制御システムは、ジョー組立体の識別された長さに対応したステープラの発射ストロークに関するモータ作動プロフィールを定めることができる。
【0036】
図9Aでは、シャフト20は、ハンドルに設けられたカップラ46と並列状態に位置決めされ、カップラ46の解除ノブがカップラ46の回転挿入時にカップラ46の差込みチャネル152を露出させるよう引っ込められる。シャフト20は、差込みチャネル152内に位置決め可能な保持ポスト22またはボスを有するのが良い。図示の実施形態では、シャフトは、その外面上に180°間隔で位置決めされた2つのボスを有し、カップラ46は、これらに対応した2つの差込みチャネル152を有する。他の実施形態では、ボスおよび差込みチャネルの他の数および形態を用いて所望の連結強度および整列しやすくすることができることが想定される。
【0037】
図9Bを参照すると、シャフトの保持ポスト22は、差込みチャネル152内に位置決めされている。図9Cを参照すると、取替式シャフト20は、ハンドルに対して90°回されており、その結果、シャフトの保持シャフト22は、差込みチャネル152の連結端部に達している。図9Dを参照すると、カップラの解除ノブは、解除ノブに設けられている保持凹部154が取替式シャフト20の保持ポスト22を保持することができるよう解除されている。
【0038】
図10Aおよび図10Bを参照すると、取替式シャフト20とともにカップラ46の切除側面図が示されている。このシャフトの保持ポスト22は、差込みチャネルの保持凹部内に位置決めされている。作動アダプタ124は、シャフト20内で長手方向に延びる駆動部材26に結合されている。図10Bは、作動アダプタ124の初期の遠位側への前進時に作動するロックイン(lock-in )または保持機構体を示している。図示のように、係止部材24がシャフト20の近位端部に回動可能に結合されている。
【0039】
引き続き図10Bを参照すると、係止部材24は、その近位縁部のところに傾斜しまたはテーパした係止面を有するのが良い。図10Aに図示されているように、シャフト20は、カップラ46に対して結合されているが非係止形態をしている。結合非係止形態では、シャフト20を図9A図9Dの動作の順序を逆にすることにより差込み連結部を介してカップラ46から取り外すことができる。作動アダプタ124がステープラを作動させるよういったん前進すると、作動アダプタ124は、係止部材24の傾斜面と相互作用して係止部材を半径方向外方に前進させて係止位置に至らせる。係止位置(図10B)では、係止部材24は、シャフト内にロックインするようカップラ46に設けられている係止棚状突起に係合する。シャフト20がハンドル40に対してロックインされた状態では、作動アダプタ124が完全に近位側に引っ込められた位置(代表的には、ジョー組立体の完全閉鎖およびステープル留めサイクルに続くジョー開き形態への戻りに対応している)に戻るまでシャフト20をハンドル40から取り外すことができない。
【0040】
かくして、「ロックイン」特徴は、駆動部材26をいったん前方に駆動すると、ユーザがシャフトをハンドルから取り外すのを阻止する。係止部材24をカップラ46の回転インサートのスロットまたは棚状突起内にいったん位置させると、カップラ46の解除ノブを引き戻すことができない。カップラに対するこの係止作用は、ステープラの作動がいったん始まると、ユーザがシャフト20を回転させてこれをカップラ46の差込み連結部から出すのを阻止する。
【0041】
図11図12、および図13A図13Fを参照すると、電動ハンドル40のための関節運動機構体の一実施形態が示されている。図示の実施形態では、ハンドルは、ジョー組立体をシャフトの遠位端部のところで長手方向心出し位置に対して完全関節運動後の位置においていずれかの方向に最大45°関節運動させることができる。幾つかの実施形態では、電動ハンドルは、ハンドルの近位端部のところで手動式作動ノブ190に結合された一連のコンポーネントを含む手動関節運動機構体を用いる。他の実施形態では、関節運動機構体の手動式作動ノブおよびある特定の関連要素は、ハンドル上の他の場所、例えばハンドルの遠位端部に隣接した場所に位置決めされるのが良い。
【0042】
図11および図12を参照すると、関節運動機構体は、取替式シャフトがハンドルに結合されると、取替式シャフト内において長手方向に延びる関節運動部材206に結合されている。関節運動機構体を長手方向に作動すると、関節運動部材206は、シャフトに対して近位側または遠位側に並進してジョー組立体をシャフトの遠位端部のところで関節運動させる。
【0043】
図11を参照すると、関節運動機構体は、1つまたは2つ以上のボールベアリング194が嵌まった状態で乗ることができる少なくとも1つの螺旋溝またはねじ山195を備えたボールねじ192を含む。図示の実施形態では、関節運動機構体は、2つのねじ山195内に嵌まる込むことができる2つのボールベアリング194を含む。ボールベアリング194は、ボールねじ192の半径方向外方に位置決めされたボールスリーブ191に設けられているボールベアリング孔189内に位置決めされている。ボールベアリング194は、ボールベアリング194の半径方向外方に位置決めされた解除スリーブ196によってねじ山195内に維持されている。例えば連結ピン193によってボールスリーブ191に結合された関節運動ノブ190の回転により、ボールスリーブ191は、回転軸線回りに回転し、それによりボールベアリング194は、ねじ山195内で移動し、これに対応してボールねじ192を長手方向に並進させる。ジョー組立体の関節運動は、関節運動ノブ190を回転させ、それに対応してボールスリーブ191およびボールベアリング194をこれらの長手方向位置が回転軸線に沿って固定された状態で回転軸線回りに回転させることによって達成される。次に、ボールねじ192のねじ山195内に嵌め込まれているボールベアリング194は、ボールねじ192を回転軸線に沿って前後に並進させる。図示の実施形態では、ボールスリーブ191は、全体として管状であり、このボールスリーブにはキャビティが形成され、ボールねじ192の一部分は、キャビティ内に位置決めされてこのキャビティ内で長手方向に並進する。図示の実施形態としての関節運動機構体は、ボールねじ内のねじ山に係合可能な2つのボールベアリングを含んでいるが、他の実施形態では、関節運動機構体は、2つよりも少ないまたは2つよりも多いボールベアリング、例えば単一の螺旋ねじ内に位置決めされた単一のボールベアリングまたは対応した数の螺旋ねじ山内に位置決めされた3つまたは4つ以上のボールベアリングを含むことができるということが想定される。
【0044】
図11および図12を参照すると、ボールねじ192は、1対の関節運動リンク202に結合された遠位端部200まで延びている。関節運動リンク202は、互いに間隔を置いて配置されており、それにより望ましくは、関節運動リンクをハンドル内の駆動システムおよび作動シャフトの半径方向外方に位置決めすることができる。図12に示されているように、関節運動リンク202は、嵌め合わせ相手の特徴部、例えばスロットが形成されるのが良く、それにより関節運動リンクをハンドル本体から半径方向内方に延びる対応の嵌め合わせ相手の特徴部、例えばポスト中にキー留めすることができる。スロットは、関節運動リンクをハンドルに対して安定化することができ、ハンドルポストとスロットの端部との相互作用により、関節運動機構体に関する関節運動範囲を定めることができる。関節運動リンク202の遠位端部を関節運動アダプタ204に回転可能に結合することができ、この関節運動アダプタ204は、ハンドルの遠位端部のところで作動アダプタの同軸状に半径方向外方に位置決めできる。この回転カップリングは、比較的低い摩擦特性を備えた関節運動ベアリング205を含むのが良い。この関節運動ベアリング205は、関節運動機構体の作動中、ハンドル組立体に対する結合状態の取替式シャフトの回転および関節運動アダプタ204の長手方向運動を容易にすることができる。図示の実施形態の関節運動機構体は、ハンドル内の作動機構体から側方にオフセットした2つの関節運動リンクを含んでいるが、他の実施形態では、関節運動機構体は、2つよりも少ないまたは2つよりも多い関節運動リンク、例えば1つの関節運動リンクまたは3つもしくは4つ以上の関節運動リンクを含むことができるということが想定される。
【0045】
引き続き図12を参照すると、シャフトがハンドルに結合されると、関節運動アダプタ204を差込み連結部によってシャフト内の関節運動部材206に連結することができる。ねじ山195は、ボールねじを近位側の方向に動かすと、ジョー組立体が長手方向心出し位置に対してハンドルから見て左側に関節運動し、ボールねじ192を遠位側に動かすと、ジョー組立体がこの長手方向心出し位置に対してハンドルから見て右側に関節運動するよう構成されているのが良い。
【0046】
有利には、ボールねじ192の螺旋ねじ山195は、連続しているので、関節運動機構体により、ジョー組立体を所望の動作範囲相互間で事実上無限の角度位置まで関節運動させることができる。幾つかの実施形態では、関節運動機構体は、シャフトの長手方向軸線によって定められた長手方向心出し位置に対してジョー組立体の−45°から+45°までの関節運動動作範囲を提供するよう構成されているのが良い。他の実施形態では、関節運動機構体は、±45°を超える関節運動をもたらす範囲または±45°未満の関節運動をもたらす範囲を含む他の動作関節運動範囲を提供するよう構成されても良い。幾つかの実施形態では、関節運動機構体は、長手方向心出し位置に対して単一の方向における関節運動を提供するよう構成されても良い。
【0047】
幾つかの実施形態では、ボールねじ192に設けられたねじ山195のピッチは、様々である。例えば、ねじ山195は、ジョー組立体が関節運動するのにより大きな力を必要とする場合があると大きな機械的利点を有利に提供するようねじ山の端に向かって比較的小さいピッチを有するのが良い。ねじ山195は、ジョー組立体が関節運動するのに小さな力を必要とする場合があると、比較的小さな機械的利点で迅速な運動を可能にするようねじ山の中心に向かって比較的大きなピッチを有するのが良い。他の実施形態では、ねじ山195は、関節運動ノブの回転の結果として関節運動機構体の関節運動範囲にわたって変化しないステープラのジョー組立体の比例した量の関節運動が得られる。望ましくは、かかる定ピッチねじ山ボールねじは、結果として、作動機構体の作動中、容易に予測できる応答をもたらすことができる。
【0048】
図13A図13Fを参照すると、関節運動機構体は、関節運動機構体を任意の関節運動後位置から長手方向心出し位置にリセットすることができるようにする解除機構体を含むのが良い。解除機構体は、ユーザが解除ボタン198を押すことによって作動される。図示の実施形態では、解除ボタン198は、関節運動ノブ190内に半径方向に嵌め込まれた状態で位置決めされている。
【0049】
図13Bを参照すると、解除ボタン198の作動により、解除スリーブ196が遠位側に前進する。解除スリーブ196の半径方向内面は、比較的小さな内径を備えた係合面186および比較的大きな内径を備えた解除面188を有するよう段付けされており、係合面と解除面との間における傾斜は、滑らかである。動作原理を説明すると、解除スリーブの係合面は、ボールベアリング194をボールねじ192のねじ山195内に維持する。解除ボタン198をいったん押すと、係合面は、遠位側に送り進められ、それによりボールベアリング194は、ねじ山195から離脱してボールスリーブに設けられているボールベアリング孔189を通って半径方向外方に前進して解除面に当たることができる。
【0050】
図13Cおよび図13Dを参照すると、ボールベアリング194がねじ山195から離脱した状態で、関節運動機構体は、心出し位置に付勢されるのが良い。幾つかの実施形態では、ボールねじ192は、付勢部材、例えば2つのばね197およびシャフトからのばね力によって心出し位置に付勢される。ねじ山195に沿って心出し位置(図13D)に位置決めされたボールベアリング194は、ジョー組立体の長手方向心出し位置に対応している。
【0051】
図13Eおよび図13Fを参照すると、解除ボタン198がいったん妨害を受けない形態に戻るようにされると、解除スリーブ196をばねによって近位側に(矢印199によって示されている)引っ込められる。解除ばね196の近位側への運動により、ボールベアリング194は、ボールねじのねじ山195に係合するようになる。かくして、次に関節運動機構体を用いると、ジョー組立体を長手方向心出し位置から関節運動させることができまたはステープラをジョー組立体が長手方向心出し位置にある状態で用いることができる。
【0052】
図14図15、ならびに図16Aおよび図16Bを参照すると、電動ハンドルの手動戻し機構体の一実施形態が示されている。手動戻し機構体は、電源故障、他の電動コンポーネントの故障、または機械的故障もしくはバインディングが起こった場合に有利には、冗長式戻し機構体となることができる。
【0053】
図14および図15を参照すると、手動戻し機構体は、作動シャフト120をハンドル内の最も近位側の位置に戻すよう順序通りに作動される2つの別々に独立して作動可能なサブアセンブリを含み、この最も近位側の位置は、ジョー組立体の開き形態に対応している。図示のように、手動戻し機構体170は、シャフト回転機構体およびシャフト引っ込め機構体を含む。動作原理を説明すると、ステープラを開き形態に手動で戻すことが望ましい場合、シャフト回転機構体を最初に作動させる。
【0054】
図14および図15を参照すると、手動戻し機構体170のシャフト回転機構体を作動させるため、ユーザは、ハンドルの外面上に位置決めされている係合解除または離脱タブ172を引く。係合解除タブ172上には係合解除または離脱ラック174が形成されている。係合解除ラック174は、シャフト回転カラー176上に形成されたシャフト回転ラック176と噛み合い係合状態にある。作動シャフト120は、シャフト回転カラー176を貫通するとともにこれを通って摺動可能である。かくして、係合解除タブ172を引くことにより、回転シャフト120は、その長手方向軸線回りに約90°回転する。この回転により、作動シャフトのラック122が駆動システムの補助歯車116の係合状態から離脱するよう位置決めされる。さらに、幾つかの実施形態では、ハンドルからの係合解除タブ172の取り外しによっても、電源を駆動システムから離脱させることができまたは違ったやり方で制御システムを離脱させることができ、それにより電動ハンドルのそれ以上の電動による作動が阻止される。加うるに、シャフト回転機構体は、1回だけ作動されるよう構成されるのが良い。例えば、図示の実施形態では、シャフト引っ込め機構体に設けられた戻し爪182がシャフト回転係合解除タブ172をいったん引くと、戻しレバーの閉じを阻止するとともに補助歯車との係合状態に戻る回転シャフト120の回転を阻止するために駆動システムを妨害するよう寸法決めされるとともに形作られた妨害ローブ183を有するのが良い。かくして、シャフト回転機構体をいったん作動させると、ハンドルをそれ以上使用できないよう無効にすることができる。
【0055】
図15ならびに図16Aおよび図16Bを参照すると、シャフト回転機構体をいったん作動させると、シャフト引っ込め機構体は、作動シャフトをハンドル内で近位側に戻すよう作動可能である。ハンドルからの係合解除タブ172の取り外しにより、電動ハンドルに設けられている戻しレバー180が露出する。戻りレバー180は、ピボット継手184のところで戻し爪182に回動可能に結合されている。作動シャフト120のラック122を回転させて駆動システムとの係合状態から離脱させた場合、このラックを回転させてシャフト引っ込め機構体に係合させる。戻しレバー180を1つまたは一連の戻しサイクル(図16A図16B)にわたって回転させると、戻し爪182を作動シャフト120のラック122に係合させることができ、そして作動シャフト120をラチェット型作動方式でハンドル内で近位側に引っ込めることができる。
【0056】
図17図18、ならびに図19Aおよび図19Bを参照すると、電動ハンドルのための手動戻し機構体の別の実施形態が示されている。手動戻し機構体170′のコンポーネントおよび動作原理は、図14図15、ならびに図16Aおよび図16Bの手動戻し機構体170を参照して上述したコンポーネントおよび動作原理とほぼ同じである。しかしながら、手動戻し機構体170′の使用にあたり、ハンドル組立体からの係合解除タブ172′の取り外しにより、回転レバー178′が突き出ているシャフト回転カラー176′が露出する。ハンドル組立体が電動による作動の状態にある場合、係合解除タブ172′は、ハンドルの外面上に設けられたシャフト回転カラー176′を覆う。係合解除タブをいったん取り外すと、ユーザは、次に、回転レバー178′を操作して作動シャフト120を回転させることができ、その結果、シャフト引っ込め機構体を作動させて作動シャフトをハンドル内で近位側に戻すことができる。手動戻し機構体170′のシャフト引っ込め機構体は、手動戻し機構体170に関して上述したのと同じラチェット型動作方式を有する。望ましくは、幾つかのハンドル形態では、回転レバー178′は、図14図15、ならびに図16Aおよび図16Bの係合解除ラック174を含むシャフト回転機構体と比較して、作動シャフトの回転を容易にするという顕著な機械的利点を提供することができる。
【0057】
本願は、ある特定の好ましい実施形態および実施例を開示しているが、当業者であれば理解されるように、本発明は、具体的に開示した実施形態を超えて他の変形実施形態および/または本発明の使用ならびに明白な改造およびその均等範囲に及ぶ。さらに、これら発明の種々の特徴を単独でまたは明示的に上述した特徴以外のこれら発明の他の特徴と組み合わせて使用できる。かくして、本明細書において開示した本発明の範囲は、上述の特定の開示した実施形態によって限定されるべきではなく、特許請求の範囲の公平な解釈によってのみ定められるべきであることが意図されている。
図1
図2
図2A
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B
図9C
図9D
図10A
図10B
図11
図12
図13A
図13B
図13C
図13D
図13E
図13F
図14
図15
図16A
図16B
図17
図18
図19A
図19B
図20
図21