【文献】
XIE, Xi et al. ,ACS NANO,2013年04月18日,Vol. 7, No. 5,pp. 4351-4358
【文献】
CHANG, Lingqian et al. ,Lab on a Chip,2015年,Issue. 15,pp. 3147-3153
【文献】
KWAK, Minsuk et al. ,small,2015年,Vol. 11, No. 42,pp. 5600-5610
【文献】
CHANG, Lingqian et al. ,small,2015年,Vol. 11, No. 15,pp. 1818-1828
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記配置するステップが、前記基部の上に前記カバーを配置して、前記上部電極が、前記底面電極から0.25〜1.25cm離れるようにするステップを含む、請求項18に記載の方法。
前記電圧を印加するステップが、前記アダプタの外面上の第1の電気接点と、前記アダプタの表面の外側上の第2の電気接点との間に前記電圧を印加するステップを含み、前記第1の電気接点が、前記アダプタ内で前記上部電極と電気通信し、前記第2の電気接点が、前記アダプタ内の前記底面電極と電気通信する、請求項18に記載の方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、背景技術の課題を解決するためのものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本明細書では、メンブレンを貫通するナノチューブを含み、電気エネルギー(例えば、電気穿孔エネルギー)が印加されたときに、物質が、メンブレンを通過して、流体リザーバ貯蔵部から、ナノチューブ上に成長された細胞内に入ることができる、ナノストローウェルインサート装置(例えば、デバイスとシステム)が示される。詳細には、本明細書に記載された装置(デバイスとシステム)及び方法は、長期細胞成長生存性(>5日)とトランスフェクション効率(例えば、>70%)に適応されうる。これらの装置は、トランスフェクション効率、細胞内輸送及び細胞生存性を改善する為の細胞培養プロセスに容易に一体化されうる。
【0011】
例えば、本明細書では、1つ以上のナノストローウェルインサートデバイス、及び/又はナノストローウェルインサートデバイスを保持するように構成された1つ以上のアダプタを含む、ナノストロー細胞培養システムについて述べる。長期細胞成長及びトランスフェクション用のナノストロー細胞培養システムは、ナノストローウェルインサートデバイス、及びナノストローウェルインサートデバイスを保持するように構成されたアダプタを含みうる。典型的には円筒壁、複数のナノストローが突出するメンブレン、円筒壁の基部全体にわたってメンブレンを接続してウェルを形成する生体適合性接着剤を含むナノストローウェルインサートデバイスを含む、任意の適切なナノストローウェルインサートデバイスを使用でき、ナノストローは、ウェル内に0.1マイクロメートルより大きく(例えば、0.1〜25マイクロメートル、0.5〜5マイクロメートル、1〜3マイクロメートルなど)突出する。本明細書でより詳細に述べられるように、幾つかの変形物では、ハフニアから形成されたナノストローを使用すると特に有利である。ナノストローウェルインサートデバイスを保持するように構成されるアダプタは、底面電極を含む基部であって、複数のナノストローが底面電極の上のリザーバ貯蔵部と流体連通するようにナノストローウェルインサートデバイスの円筒壁をしっかりと保持するように構成された基部と、上部電極を有するカバーであって、基部と係合して、ナノストローウェルインサートデバイスが基部内に保持されたときに、例えばナノストローインサートデバイスが間に囲まれた状態で0.25cm〜1.25cmの距離だけ上部電極が底面電極から離されるように構成されたカバーと、アダプタの外側面上の第1の電気接点であって、底面電極と電気通信する第1の電気接点と、アダプタの外側面上の第2の電気接点であって、上部電極と電気通信する第2の電気接点とを含みうる。
【0012】
ナノストローウェルインサートデバイスのいずれも円筒壁を有しうる。円筒は、任意の適切な高さ(例えば、1cm〜5cm、1cm〜3cm、1cm〜2cmなど)と幅(例えば、約0.5cm〜5cm、0.5cm〜2cm、0.75cm〜1.5cmなどの外径(OD)と、0.3cm〜5cm、例えば0.3cm〜2cm、0.4cm〜1.4cmなどの内径(ID))とを有しうる。円筒の横断面は、円形、楕円形、三角形、長方形、正方形、五角形、八角形などでよい。
【0013】
メンブレンは、円筒壁によって形成されたウェルの内側で複数のナノストローがメンブレンの上に0.1マイクロメートルより大きく(例えば、0.1〜25マイクロメートル、0.5〜5マイクロメートルなど)突出する多孔質メンブレンでよい。複数のナノストローの孔径は、10nm〜1000nm(例えば、10nm〜900nm、30nm〜800nm、70nm〜400nm、80nm〜200nm、80nm〜150nmなど)でよい。生体適合性接着剤は、典型的には、アクリル接着剤でよい。詳細には、生体適合性接着剤は、アクリル両面テープなどの両面テープでよい。
【0014】
ナノストローウェルインサートデバイスを保持するように構成されたアダプタは、一般に、1つ以上のナノストローウェルインサートデバイスをアダプタ内に固定し、それにより、メンブレンの下部側(例えば、ナノストローの下部開口)がそれ自体で底面電極と電気通信するリザーバ貯蔵部に流体連通するように構成される。アダプタの内側面は、ナノストローウェルインサートデバイスの円筒壁及び/又は下部リムと結合してキャビティ内に固定し、それにより、ナノストローウェルインサートデバイスがリザーバ貯蔵部に対して支持されるように構成されうる。リザーバ貯蔵部は、少なくとも部分的にキャビティの下部で底面電極によって形成されうる。アダプタは、一般に、リザーバ貯蔵部とナノストローウェルインサートの下部の間から空気を放出して、例えば、メンブレンの下部とリザーバ貯蔵部の間の空気(例えば、泡)の閉じ込めを防ぐように適応されうる。
【0015】
アダプタのカバーは、典型的には、ナノストローウェルインサートデバイスの上に嵌まって基部と結合し、ナノストローウェルインサートデバイスをアダプタ内に密閉する。アダプタのカバーは、一般に、基部の上に固定されてナノストローウェルインサートデバイスがそこに完全に密閉されるように構成されうる。
【0016】
カバーは、また、上部電極を保持し、間のナノストローウェルインサートデバイスによって上部電極を底面電極から所定の離間距離に位置決めし、それにより、デバイスのメンブレンのナノストローの上に成長する任意の細胞が、上部電極と底面電極の間に位置決めされるように構成される。カバーは、摩擦嵌め、スナップ嵌め、ねじ込み嵌めなどで基部に固定されうる。アダプタの外側の電気接点は、細胞を破壊することなく、流体内の物質をリザーバ貯蔵部からナノチューブを介して1つ以上の細胞内に制御可能に(及び高い効率で)導入するようにエネルギーを印加する電圧源に接続されうる。
【0017】
例えば、第1の電気接点はカバーの上部にあってもよく、第2の電気接点は基部の下部にあってもよい。カバーが基部と係合されたとき、上部電極は、例えば0.3cm〜0.8cmだけ底面電極から離されうる。
【0018】
上部電極は、底面電極の表面積より小さい表面積を有しうる。両方の電極は、白金及び/又はアルミニウムを含む任意の導電材料(同じでも異なってもよい)でよい。例えば、上部電極は、0.1〜0.4cm(例えば、0.1〜0.3cm、0.1〜0.25cm、0.12〜0.22cm、0.15〜0.2cmなど)の直径を有する円盤電極(又は円盤面)でよく、底面電極は、ナノストローウェルインサートデバイス下部メンブレンの下部のほとんど(>80%、>90%、100%)を覆う平面電極でよい。リザーバ貯蔵部は、少なくとも部分的に底面電極の1つ以上の側面によって形成されうる。例えば、底面電極は、リザーバ貯蔵部の全て又は一部分を形成する凹面を有してもよく、その凹面内に、物質(例えば、1つ以上の細胞にトランスフェクトされる物質を含む流体)が、ナノストローウェルインサートデバイスの下部と接するように配置される。
【0019】
言及されたように、本明細書では、長期細胞成長及びトランスフェクションの為のナノストローウェルインサートデバイスについて述べる。アダプタのナノストローウェルインサートデバイスはどれも、システムから独立に使用されてもシステムの一部として使用されてもよい。例えば、ナノストローウェルインサートデバイスは、円筒壁、複数のハフニア(HfO
2)ナノストローが貫通するメンブレン、及び円筒壁の基部全体にわたってメンブレンを接続してウェルを形成する生体適合性接着剤を含み、ナノストローは、ウェル内に0.1マイクロメートルより大きく(例えば、0.5〜5マイクロメートルなど)突出する。
【0020】
円筒壁は、詳細にはポリカーボネート管を含む任意の適切な材料でよい。言及されたように、ナノストローウェルインサートデバイスは、また、メンブレンと円筒壁(管)の間に接着剤を有し、例えば、円筒壁とメンブレンとの間に、両面アクリルテープのようなアクリル接着剤が使用されうる。
【0021】
複数のハフニアナノストローは、10nm〜1000nm(例えば、10nm〜900nm、30〜500nm、例えば、70nm〜130nm、80nm〜120nmなど)の孔径を有する。複数のハフニアナノストローは、ウェル内に0.1マイクロメートルより大きく(例えば、0.1〜25マイクロメートル、0.1〜5マイクロメートル、0.5〜3マイクロメートルなど)突出する。典型的には、複数のナノストローはそれぞれ、デバイスの外側から、メンブレンを通してウェル内に延在する連続チャネルを有する。
【0022】
本明細書に記載された装置及び方法は、典型的にはナノストローを指すが、本明細書に記載された方法と装置はナノワイヤと共にも使用されうる。
【0023】
本明細書には、本明細書に記載された装置のいずれかを使用して細胞を成長させ及び/又はトランスフェクトする方法が記載される。例えば、本明細書には、細胞を培養しトランスフェクトする方法が記載され、この方法は、ナノストローウェルインサートデバイス内で1つ以上の細胞を5日より長く培養するステップであって、ナノストローウェルインサートデバイスが、円筒壁と、円筒壁の基部全体に延在してウェルを形成するメンブレンとを有し、複数のナノストローが、メンブレンを貫通し、ウェル内に0.1マイクロメートルより大きく(例えば、0.5〜5マイクロメートルなど)突出するステップと、ナノストローウェルインサートデバイスをアダプタの基部に入れて、複数のナノストローが基部内のリザーバ貯蔵部と流体連通するようにするステップであって、リザーバ貯蔵部が基部内の底面電極と電気通信するステップと、基部の上にカバーを配置するステップであって、カバーが上部電極を有し、従って、上部電極が、ナノストローウェルインサートデバイス内に延在し、上部電極が、底面電極から0.25〜1.25cmだけ離されるステップと、底面電極と上部電極の間に電圧を印加して、物質をリザーバ貯蔵部から、複数のナノストローを通して1つ以上の細胞内に導入するステップと、アダプタからナノストローウェルインサートを除去し、ナノストローウェルインサート内で1つ以上の細胞を培養するステップとを含む。
【0024】
電圧の印加は、アダプタの外側面上の第1の電気接点と、アダプタの外側面上の第2の電気接点との間に電圧を印加するステップを含んでもよく、第1の電気接点は、アダプタ内で上部電極と電気通信し、第2の電気接点は、アダプタ内で底面電極と電気通信する。電圧は、約0.1V〜20Vでよく、詳細には15V以下を含む。
【0025】
これらの方法のいずれも、電圧を印加して標的物質を細胞内に導入する前又は後に、ナノストローウェルインサートデバイス内で1つ以上の細胞を撮像するステップを含みうる。電圧を印加するステップは、例えば10〜500マイクロ秒(例えば、50〜400マイクロ秒、70〜300マイクロ秒、100〜200マイクロ秒など)のパルス幅を、例えば1Hz〜10kHz(例えば、15Hzから800Hz、20Hz〜400Hz、10Hz〜250Hzなど)のパルス周波数で印加するステップを含みうる。刺激の全持続時間は、1〜600秒でよい(例えば、パルスを有する正味時間は、20秒〜120秒、25秒〜100秒、30秒〜80秒、40秒〜60秒などでよい)。
【0026】
細胞を培養するステップは、複数のハフニア(HfO
2)ナノストロー上で細胞を培養するステップを含みうる。一般に、培養するステップは、マルチウェルディッシュ(例えば、2、4、6、8、16、32個などのマルチウェルディッシュ)内でナノストローウェルインサートデバイスによって培養するステップを含むことができ、成長媒体は、一般に、両方ともナノストローウェルインサートデバイス内(例えば、ウェル内)に配置されてもよく、マルチウェルディッシュ内のナノストローウェルインサートデバイスのまわりに配置されてもよい。マルチウェルディッシュのカバーは、ナノストローウェルインサートデバイスの上に配置されうる。
【0027】
これらの方法のいずれでも、方法は、また、ナノストローウェルインサートデバイスを基部に入れる前に物質をリザーバ貯蔵部に装填するステップを含みうる。
【0028】
本発明の新規の特徴は、以下の特許請求の範囲で詳細に説明される。本発明の特徴と利点のよりよい理解は、本発明の原理が利用される実例となる実施形態を明らかにする以下の詳細な説明と以下の図面を参照することにより得られる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1A】ナノストローウェルインサートの一例を概略的に示す図である。
【
図1B】このインサートの分解図であり、典型的な寸法で示す。
【
図2A】細胞を培養し試験する為のナノストローウェルインサートの別の概略図である。トランスフェクションの際の汎用ナノストローウェルインサートデバイスを示す。この例では、デバイスは、下部に取り付けられて培養ウェルを作成するナノストローメンブレンを有するポリカーボネート管から成る。細胞は、ウェル内に媒体を有するデバイスウェル内で直接培養される。電気穿孔法によるトランスフェクションの場合、デバイスは、導入される分子種(ここでは、溶液中の小球、例えば水中のDNA/RNAとして示される)を含むメンブレンの下のカーゴリザーバと接触配置される。2つの白金電極の両側に電気パルスを発射して細胞膜に孔を開け、細胞内アクセスを可能にする(
図2Aで、細胞とナノストローは一律の倍率で描かれていない)。
【
図2B】走査型電子顕微鏡によって撮像されたナノストローを示す図であり、ストロー長さは典型的には1〜3マイクロメートル、外径は約100nmである。
【
図2D】ナノストローメンブレン上のシクロ固定CHO細胞の擬似カラーSEM像を示し、実際のデバイス原理を示す図である。これらのナノストローは、細胞膜を自発的に貫通することが実証されており、印加された電気パルスが導入効率を高めうる。
【
図3A】
図2A乃至
図2Dに示されたナノストローウェルインサートデバイスの典型的なパラメータを示す表である。
【
図3B】
図2A乃至
図2Dに示されたナノストローウェルインサートデバイスの典型的な技術パラメータを示す表である。
図3Aと
図3Bの表に提供された値が単なる一例を示し、本明細書でより詳細に述べるように、他の例が使用されうることに注意されたい。
【
図4C】ナノストローウェルインサートデバイスを形成するプロセスフローの概略図である。
図4Aで、PCTEメンブレンが、p型(100)シリコンキャリアウェハ上に取り付けられる。
図4B.1乃至
図4B.4は、ナノストローを含むメンブレンの製造を示す。
図4C.1乃至
図4C.3は、培養プレート内の生物学的試験の準備ができたナノストローウェルインサートデバイスの組立体を示す。
【
図5】ナノストローインサートの製造の概略を示すグラフである。
【
図6D】基板上のアルミナ層の原子層堆積を示す図である。このプロセスは、一般に、レイヤ・バイ・レイヤ薄膜成長(layer-by-layer film growth)を生成する反応性ガス前駆体の交互パルスを含む。
図6Aで、アルミニウム支持前駆体(TMA、又はトリメチルアルミニウム)の添加によってAl
2O
3薄膜プロセスが開始される。
図6Bで、TMA前駆体が、基板上の自然吸着表面水酸基と反応してアルミニウムを酸素と結合し、副生成物としてメタンを放出する。
図6Cで、全て又はほとんど全ての表面酸素部分がTMA前駆体分子と反応した後で、H
2O蒸気がチャンバに送り込まれる。
図6Dで、水分子が、表面アルミナ原子と反応してアルミナAl
2O
3の「単一層」を形成する。このプロセスは、所望の膜厚が達成されるまで繰り返される。
【
図7A】Al
2O
3薄膜を成長させる為に使用されうるSavannah 100装置(ケンブリッジ・ナノテック)を示す図である。
【
図7B】
図7Aに示されたデバイスを操作する為のユーザインタフェースを示す図である。
【
図7C】品質管理の為に圧力プロファイルを使用して前駆体パルスとチャンバパージ特性を監視する図である。
【
図7E】5点楕円偏光法による厚さ均一性試験報告を示す図であり、標準ALD堆積プロトコルによるシリコン上の厚さ10nm±1nmのアルミナ膜を示す。
【
図8D】高分子基板上に酸化物材料を高いサイクル数で原子層堆積させる為の1つの可能なメカニズムを示す図である。
図8Aで、ガス前駆体の拡散は、限界サイクル数と凹凸拡散が表面粗さとして表された後で遮断される。
図8Eで分かるように、楕円偏光法によって測定されたシリコン上のアルミナ蒸着の厚さは、SEMから推定された厚さと同等である。SEMからの厚さ観察は、幾つかの考えられるアーティファクト源から歪められることがあり、ALD真空状態の間に高分子ガス放出からの非晶質材料が付着することがあり、SEM調製の為の銀/金スパッタリングが厚さを加え、撮像中に著しい表面電荷を加える。しかしながら、開孔は、SEMによって容易に撮像され、品質管理に役立つ。
【
図9】シリカナノストロー(孔径100nm)を示すSEMである。シリカ構造上の細胞生存性はかなり優れていたが、トランスフェクションの為の標準生物学的プロトコルは、比較可能なアルミナストローほど効率的ではなかった。
【
図10C】ハフニアナノストローの製造及び特性決定を示す図である。
図10Aで、ハフニアナノストローは、Savannah 200(ケンブリッジ・ナノテック)を使用して首尾よく製造された。
図10Bと
図10Cは、ハフニアナノストローの異なる倍率のSEM像を示し、ストロー長さ全体に沿って均一な直径を有するように見えるきれいな開孔を示す。
【
図11D】本明細書に記載されたようなナノストローウェルインサート装置の少なくとも一部分を組み立てる1つの方法を示す。
図11Aは、管状体(例えば、ポリカーボネート管)と接着剤(両面テープとして示された)を示し、
図11Bは、底面に接着剤を有する管状体を示し、
図11Cでは、基板上のナノストローが、両面テープによって管状体に取り付けられる。
図11Dに、インサートがウェルに挿入されて示される。
【
図12】モデル細胞株内への核酸導入の発現の為の標準トランスフェクションプロトコルの例を示す図である。この例では、方法は、発現に転置が必要かどうかにより、典型的には滅菌から画像解析まで24〜72時間かかる。トランスフェクションステップは、滅菌、細胞培養、電気穿孔法、細胞インキュベーション、及び光学顕微鏡検査を含む。
【
図13】本明細書に記載された改善されたナノストローウェルインサート装置内の培養を含む、より長い(例えば、5日より長くかかる)細胞培養及びトランスフェクションの方法を示す図である。
【
図14G】本明細書に記載された装置と方法を使用するモデル細胞株内への核酸の導入を示す図である。
【
図15A】ナノストローウェルインサート及び電気穿孔アダプタ又はキャリアを含む装置の例を示す図である。
【
図15B】アダプタ/キャリアの基部に挿入されたウェルインサートを示す図である。
【
図15C】細胞が培養されたナノストローウェルインサートを保持する閉じたアダプタ/キャリアを示す図である。アダプタ/キャリア及び密閉ナノストローウェルインサートは、電流を送る為に電気穿孔装置内に入れることを含む、培養細胞を保護しながら保持され操作されうる。
【発明を実施するための形態】
【0030】
トランスフェクション、即ち外部物質(典型的には核酸)の生細胞の細胞質ゾル及び/又は核への導入と統合は、細胞リプログラミング、細胞内イメージング及びセンシング、分子ファーミング、siRNAノックアウト、薬物スクリーニング、及び薬物療法を含む、幅広い最新の生物学的、生物医学的及び生物工学的手法に不可欠な技術である。
【0031】
ヴァンダサール(VanDersarl)らは、分子カーゴの細胞内導入及び抽出の為に細胞内への連続流体アクセスを確立する単純なバイオミメティックナノ構造、即ち「ナノストロー」を報告してきた。ナノストローは、幅広く使用されている高分子メンブレンフィルタに埋め込まれた、約100nmの直径を有する金属酸化物ナノチューブ構造物である。ナノストローデバイス上で培養された細胞は、自発的に貫通され、流体材料化学種の細胞内への導入時に安定した外部ハンドルを提供する。ナノストローは、比較的短い時間スケールで分子をイオンから6000塩基対DNA構造に首尾良く導入することが実証されている。更に、既存の文献は、当該のカーゴを導入する為に電気穿孔法とナノストローアクセスを統合した複合効果を強調している。ナノストロープラットフォームの安定性、多用性及び非侵襲性は、この技術を、細胞の基礎生物学の理解を目的とする細胞内アクセスの為の普遍的解決策の有望な候補にしている。
【0032】
図4のB1〜B4は、ナノストローメンブレン製造の概要を示し、三段階工程を示す。トラックエッチドメンブレンフィルタ(B.1)が、金属酸化物原子層堆積法によって被覆される(B.2)。堆積工程に続いて、上部金属酸化物表面層が、プラズマ内で反応性イオンエッチングされる(B.3)。ナノストロー長は、支持高分子マトリクスに対して選択的な酸素プラズマエッチングによって制御される(B.4)。開始トラックエッチドメンブレン孔径が選択された場合は、ストロー長、密度、外径、内径の全てのナノストロー寸法を調整できる。
【0033】
モデル細胞(例えば、CHO、HEK293)の細胞膜を介した物質の導入/抽出の一貫した確認にもかかわらず、ストロー細胞質ゾルの自然浸透イベントが10%未満(約5〜15浸透/細胞)の確率で起こることが最近報告された。連続的に漏れのあるアクセスは、細胞にとって好ましくなく有害なことがあるが、浸透性を高めるには、設計と最適化を確実に複雑にしうる誘導電界が必要になる。詳細には、電気穿孔法は、浸透及び導入イベントを高めることを実証したが、内部観察によって、平方センチメートルデバイス領域(約100,000細胞/単一層)に関して比較的不均一な空間トランスフェクション効率(TE)が報告された。比較的起こりそうもない自然浸透と誘導電界に対する空間的に不均一なトランスフェクション効率は、既存のデバイス製造にとって問題が多いことが分かっている。
【0034】
本明細書では、これらの問題の多くに取り組みうるナノストロー装置及び方法について述べる。例えば、本明細書に記載された方法及び装置は、免疫細胞リプログラミングや幹細胞修正などの種々様々な生物学用途で使用されうる。本明細書に記載されたナノストローツールは、高い均一性を有することができ、詳細には、従来のデバイスと比較して高い細胞生存性を提供しうる。
【0035】
細胞間導入の為のナノストローウェルインサートの作成は、5段階プロセスであり、そのプロセスは、(1)シリコンキャリアウェハ上のトラックエッチド高分子メンブレンフィルタの取り付けと位置決め(
図4A)と、(2)トラックエッチドナノ多孔性高分子メンブレン上への金属酸化物の共形原子層堆積(ALD)(
図4 B.1及びB.2)と、高分子を露出させるALDの上面の方向性イオンエッチング(
図4 B.3)と、ナノストロー長さ(例えば、1〜3マイクロメートル)を制御する高分子メンブレンの酸素プラズマエッチング(
図4 B.4)と、粘着環状テープによるナノストローウェルインサートデバイスの組み立てと過剰ナノストローメンブレンのトリミング(
図4 C.1〜C.3)である。
【0036】
図5に示されたように、ナノストローインサートの作成は、固定寸法、柔軟寸法及びフォームファクタに関する検討に基づいて3つの作成節に分割されうる。市販の高分子メンブレンは、ナノストロー密度(例えば、10
6孔/cm
2〜10
9孔/cm
2)、ストロー外径(例えば、50nm〜10μm)、メンブレン厚さ(例えば、5μm〜20μm)などの一連の一定開始寸法を提供する。壁厚さ、内径、ストロー高さ、粗さ、先端鋭さ、生物学的適合性(機能化)などの融通性のある寸法/特性は、ALDの材料選択並びにそれぞれの堆積及びエッチング処理パラメータによって管理される。例えば、
図2A乃至
図2Dを参照されたい。様々なマイクロ流体設計が使用されうるが、本明細書に記載されたナノストローウェルインサート装置は、本明細書に記載されたように構成されうる。
【0037】
図5は、ナノストローウェルインサート作成の節を示すプロセスフローである。原料物質(ステップI)調製で始まり、次にナノストロー製造(ステップII、III及びIV)及びデバイス組み立て(ステップV)で終わる。最初の節(即ち、原料物質)は、高分子材料及び/又は密度の選択と調製を含みうる。第2の節の処理ステップ(即ち、ナノストロー製造)は、内径、長さ及びストロー材料などのナノストロー寸法に合うように調整されうる。第3の節(デバイス組み立て)は、デバイスフォームファクタを設定できる。
【0038】
従来の方法と比較して、本明細書に示された方法は、均一なナノストローウェルデバイスと、標準細胞株による75パーセントを超える一貫したトランスフェクション効率の両方を達成できる。
【0039】
トラックエッチド高分子は、相対的な可用性と産業経験により選択されうる。最終的に、高分子材料は、後述されるように、細胞培養、堆積及びプラズマプロセス条件に適合しなければならない。ポリカーボネート(PC)トラックエッチド(PCTE)メンブレンは、大規模ろ過と細胞培養用途に使用されてきた。従って、PCTEは、本明細書に記載されたナノストロー製造の為のナノ多孔性メンブレン基板の一例である。PCTEに加えて、本明細書では、発明者が、適したガラス遷移温度と高い透明度の為に製造、培養及び撮像条件に適していることを確認したPET(即ち、ポリエチレンテレフタレート)の基板について述べる。
【0040】
一例では、使用されうる典型的な方法は、PC薄膜のロール・ツー・ロール製造法である。この方法は、PC薄膜を所定の厚さ(約5〜20μm)に押し出し成形し、その薄膜を特定密度(ナノストロー製造では2〜4x10
7孔/cm
2)のβ粒子透過に晒すことからなる。孔が導入された後、プロセスエンジニアは、紫外線と塩基性水溶液(1M NaOH)の組み合わせで孔を所望の直径(<100nm)にウェットエッチングし、選択した湿潤剤で改質して疎水性を調整する。典型的に使用される湿潤剤の一例は、細胞培養の表面親水性を高める為に使用されるポリビニルピロリドン(PVP)である。
【0041】
処理したPCTEを取り出して、追加処理ステップの前に、メンブレンを、手術はさみを使って1.5cmx1.5cmの正方形片に切断し、p型(100)シリコンウェハ上に田の字型に位置決めし、カプトン処理テープで角に取り付ける。正方形の長さは、ナノストローウェルデバイスのサイズによって、メンブレン正方形1つ当たり4つのデバイスを作成できるように(即ち、16デバイス/ウェハ)決定される。ある程度の隙間メンブレン材料がデバイス製造に犠牲になるが、メンブレンは、品質保証プロトコルを更に開発するバッチ内処理条件をログ記録する為に、このように位置決めされる。更に、残りの隙間メンブレン材料は、しばしばSEMなどの破壊的特性決定に使用される。実質的にナノストローに細胞毒素を持たせるナノストロー表面化学特性を変化させる為に、銀パッタリングが観察された。しかしながら、品質管理手順を開発する方向で、金の方が高い生体適合性であることが実証されているので、ストローモルフォロジとトランスフェクション実行との関連を調べる為に金スパッタリングが使用され可能性がある。
【0042】
原子層堆積(ALD)は、熱的に及び/又はプラズマ(PEALD)若しくはラジカル種の利用によって強化されうる化学蒸着技術である。原子層エピタキシ(又は、ALE)技術は、1990年代終わりに非エピタキシャル堆積を含むように改良され、最近では原子層堆積と呼ばれてきた。ALDは、一般に、MOSFET技術用の金属酸化物高kゲート材料と高分子用の研磨材/保護被覆を含むがこれらに限定されない様々な薄膜技術に使用される。近年のALDの開発と使用可能化は、拡張性のある処理技術の進歩と、広範囲の処理材料及び前駆体とを特徴とし、この両方が、コスト効果と材料適合性の点でALD用途の市場を拡大した。
【0043】
ALDの基本原理は、加熱基板上の薄膜のレイヤ・バイ・レイヤ成長である。この堆積方法で、2つの化学的前駆体が、その高い相対的反応性より選択され、表面における反応を制御する為にプロセスチャンバに連続的に導入される。基本的には、各反応ステップは自己停止する。最初のステップは、基板表面を第1の反応物前駆体に露出させ、次に反応物を送り出すことを含む。この露出中、第1の反応物は、実質的に、基板表面に吸着された分子の「単一層」で残る。次に、チャンバが真空にされ、第2の反応物がチャンバに導入される。この第2の前駆体は、第1の反応物の単一層と反応し、求められている固体薄膜の1つの層(典型的には完全より少ない層)を形成する。この後、残りの第2の反応物と任意の気相反応生成物が、チャンバから除去される。
図6A乃至
図6Dに示されたこのプロセスは、所望の厚さの薄膜を成長させる為に、必要に応じて何度も繰り返される。
【0044】
原子層堆積は、従来、他の化学蒸着技術よりやや遅い堆積速度(約1オングストローム/分)を特徴とするが、ALDの利点には、原子レベルでの「デジタル」厚み制御(例えば、ALDサイクル数を変化させることによって薄膜厚さをアトミックに制御できる)と、高分子や紙などのあまり頑丈でない基板との適合を可能にする比較的低い温度と圧力、地形学的基板上の高アスペクト比の共形薄膜成長(ガス前駆体がどの露出面にも到達でき、即ち、被覆領域は、非PEALDプロセスの場合に、見通し線蒸気源によって限定されない)と、規模経済性を有する比較的安価な堆積とが含まれる。ロール・ツー・ロール被覆と並列空間処理によって、超高速堆積(約0.5nm/秒、従来のALDの速度の約300倍)が達成されうる。
【0045】
本明細書に記載されたナノストロー作成は、この共形薄膜堆積を選択エッチングと共に利用して、高アスペクト比構造を成長させるナノメートル分解能を強化できる。
【0046】
ALDプロセスを制御する為のパラメータは、系全体の温度設定点、前駆体(Al
2O
3ではTMAとH
2O)流れ特性、及び系平衡の為の遅延時間を含みうる。薄膜均一性は、ALDプロセス開始前のメンブレンの酸素プラズマクリーニングによって高められうる。使用された標準薄膜成長パラメータから、p型シリコン上に5%以内のウェハ均一性を有するほぼ10nm+/1nmの堆積が得られた(例えば
図7Dの5点解析を参照)。シリコン上のAl
2O
3薄膜厚を、3オングストローム分解能を有する楕円偏光法によって測定した。シリコン上のアルミナ堆積厚は、ポリカーボネート上の堆積厚と相関するように使用された。実際のALD厚さは、FEI走査電子顕微鏡(例えば、
図8E、電子ビームに垂直を参照)を使って、完全に製造されたナノストローの側壁厚として測定された。
【0047】
図7で、
図7Aに示されたSavannah 200(ケンブリッジ・ナノテック)を使って標準Al
2O
3薄膜を成長させた。
図7Bは、
図7Aに示されたデバイスを動作させる為のユーザインタフェースを示す。
図7Cで、圧力プロファイルを使用して、品質管理の為に前駆体パルス及びチャンバパージ特性を監視する。
図7Dと
図7Eは、5点楕円偏光法の厚さ均一性試験報告を示し、標準ALD堆積プロトコルによるシリコン上の厚さ10nm+/−1nmのアルミナ薄膜を示す。
【0048】
原子層堆積によって薄膜を堆積させるとき(<10nm)、基板表面特性を検討することが重要なことが多い。詳細には、高分子上のALDの場合、表面粗さは、自己制限的なレイヤ・バイ・レイヤ成長に達するまでに高分子材料中に拡散する初期ALDサイクル(15〜30サイクル)に起因しうる。限界サイクル数を超えると、ALD材料は、最終的に、高分子中への拡散障壁として働き、連続成長が進行しうる。文献によって示されたような高分子上のALD核形成/成長の仕組みを
図8A乃至
図8Dに示す。
【0049】
実験的観察、インピーダンス分光法、及びSEMから、実際の堆積厚さが、15〜30nmになると考えられ、これは、楕円偏光法によって測定されたシリコンウェハ上の10nmの堆積とほぼ一致する(例えば、
図8Eを参照)。これらの厚さ評価の差は、
図8A乃至
図8Eに示されたメカニズムの検討によって正当化され、初期核形成相におけるTMA前駆体の拡散フロントが、高分子上に拡散障壁が既にあった場合に予想される望ましい10nm堆積に実質的に加わることがある。高アスペクト比のSEMでは、絶縁材料が、スパッタ材料厚さ及び電子ビームからの表面帯電の形で人工物に加わることがある。即ち、ALD厚さのSEM評価は、定性的に理解されなければならない。
【0050】
主にナノストローの外側壁に生物学的表面相互作用が起こる。細胞接着と表面粗さとの強い相関関係を支援する証拠があり、我々のモデルは、ALDプロセスによる表面粗さが、実際に、ナノストロー細胞浸透に有益でありうることを示す。これは、バッチ内の空間的に均一なデバイストランスフェクション効率の観察と一致する。
【0051】
前述したように、ナノストローは、これまでアルミナによって表現され最適化されていた。驚いたことに、望ましい特性を有するナノストローが、シリカ又はハフニア(HfO
2)を含む他の材料から形成されうることが分かった。これらの材料は、より容易に拡大縮小され、培養物内の細胞生存性とトランスフェクション効率の両方の性能を改善できる。
【0052】
シリカ(SiO
2)ナノストローは、シリカの観察される生体適合性と表面化学によって、TEとCV両方の点で適切に動作することが予想された。驚いたことに、そのようなストローの生体適合性は高かったが、トランスフェクション効率は著しく低かった。シリカ結晶構造は、シラン化学反応によって細胞適合性を示すように容易に機能化されうる。更に、等電点(即ち、水溶液中の材料の表面電荷が中立のpH)は、アルミナのものよりかなり低い(約2〜3対約8〜9)。
【0053】
ナノストロー媒介導入の溶液条件が、生体適合性(即ち、約pH7で緩衝された)でなければならず、またストローを介して細胞内に通される均一帯電材料を取得(又は、「粘着性」を検査)すべきでないので、ナノストローとして機能するときにナノストロー材料の等電点を材料の特性と関連付けできることが期待されうる。シリカ表面は、負に帯電され、それに対して、アルミナ表面は、バルク溶液に対して正になる。アルミナの場合、正に帯電した面が、負に帯電した核酸(即ち、プラスミドDNA)の導入にとって不利な意味合いを有することがあるので、このカーゴが、導入プロトコル中にナノストロー内の結合と詰まりの高い可能性を有することがある。
【0054】
図9は、シリカナノストロー材料の例を示す。孔径100nmナノストローのシリカナノストロー製造を示した。シリカ構造上の細胞生存性は優れていたが、トランスフェクションの標準生物学的プロトコルは最適ではないことが分かった。また、ポリカーボネート上のシリカALDは、前駆体ガスと高分子基板の適合性が低かった。吸着カバレッジ時間は、ポリカーボネート上のシリカの方がポリカーボネート上のアルミナより遅かった。吸着時間のこの差は、ポリカーボネートに吸着されたシリカ前駆体の方が、ポリカーボネートに吸着されたアルミニウム前駆体より活動化障壁が高いことに起因しうる。この吸着障壁を説明する為に、ポリカーボネートの融点(約150℃)を侵さないが、シリカ原子層堆積は、酸化還元表面化学特性により適合するようにプラズマ強化された。実質的な吸着カバレッジの為に、前駆体TDMAS、又はトリ(ジメチルアミノ(dimethlyamino))シラン、及びH
2Oが、基板との界面においてプラズマ相で使用された。プラズマ相の材料化学種は、気相と違うふうに挙動した。このプロトコルによる1つの努力目標は、次のサイクルステップに進む前に完全なステップカバレッジと共形被覆を保証するように、シリコン支持プラズマのストロー内への到達を可能にすることであった。これは、典型的には、層へのより高いプラズマ照射量(約104L)によって妨げられる。ナノストローデバイス用のポリカーボネート上のSiO
2 ALDは、摂氏60〜100度のALD窓で実証された。しかしながら、より高いプラズマ照射量とシリカ層の原子スケール表面粗さの関係を、処理中のポリカーボネートメンブレン品質を保つ状況で、よく調査しなければならない。
【0055】
驚いたことに、ハフニア(HfO
2)ナノストローは、アルミナと比較されたとき、予想に反して有利であることが分かった。PCTEメンブレンの低温ハフニア(HfO
2)ALDパラメータは、アルミナパラメータに類似する。ハフニア前駆体(テトラキス(ジエチルアミノ)ハフニウム(TDEAH)及びH
2O)は、アルミナナノストローに関して前述されたように、熱的に強化されうる。例えば、Savannah 200 ALDシステム(上の
図7Aを参照)は、同様に使用されうる。しかしながら、アルミナストローと同等サイズのハフニアナノストローの使用は、より高いTEを有した。これは、ハフニアの等電点が約7であり、従って、水溶液中で導入中に表面化学特性がほとんど中立でありうるからである。中立の表面化学特性は、溶液中で帯電分子を引き寄せず、従って、カーゴが詰まる可能性が低い。
【0056】
ハフニアは、アルミナの場合と同様に、塩素系エッチ化学物質(BCl
3)に加えてフッ素系エッチ化学物質(CF
4)によって反応性イオンエッチングされうる(前述のように)。フッ素化学物質による利点は、塩素系エッチ化学物質の維持と関連したコスト、労力及びリスクと比較した調整と維持の相対的容易さにある。
【0057】
図10は、ハフニアナノストローを示す。
図10Aに示されたように、ハフニアナノストローは、アルミナ系ナノストローと類似の処理パラメータを利用するSavannah 200(ケンブリッジ・ナノテック)を使って首尾よく製造された。
図10Bで、ハフニアナノストローはきれいな開孔があり、ストロー長さ全体に沿って均一径を有するように見え、これは
図10Cにも示される。ハフニアには、低温堆積、比較的中立な等電点、及びフッ素系エッチ化学物質との潜在的適合性という利点がある。
【0058】
ナノストロー作成は、ALD速度が比較的遅いにもかかわらず、より高い処理量に拡張されうる。熱的に強化されたALDリアクタ内の堆積速度は、様々なプロセスガスを並列に投入する為の時間制限領域から空間領域並びに大きい基板領域にわたって移動することによって著しく高められうる。3600ALD被覆ウェハ/時間もの高い処理量が報告された。更に、柔軟な高分子基板の使用は、ロール・ツー・ロール処理へのALD被覆を可能にしうる。
【0059】
本明細書に記載されたナノストローはどれも、ナノストローを形成するときに異方性ドライエッチング法を使用して上部金属酸化物層をエッチングすることにより形成されうる。例えば、ドライエッチング技術は、異方性エッチプロファイルを生成でき、選択性と指向性により近年好まれている。エッチングプロセスは、一般に、スパッタエッチング、化学エッチング又はガス化(gasificaiton)、加速イオンアシストエッチング、側壁保護イオン強化エッチング、及び反応性イオンエッチングの5つのカテゴリに分類されうる。
【0060】
用語「反応性イオンエッチング」は、しばしば異方性エッチングを指す為に使用されてきたが、これは完全に正しいわけではない。低密度プラズマ(即ち、電流密度0.01〜1mA/cm
2を有する)では、実用的エッチング速度を達成するにはイオン衝突が少なすぎる。しかしながら、イオン束で衝撃する最近の高密度プラズマエッチングシステムでは(1〜10mA/cm
2の電流密度を有する)、基板を壊滅させるのに十分な濃度の「空腹イオン」が作成されうる。そのような場合に用語「反応性イオンエッチング」が適切である。
【0061】
プラズマエッチングの重要な検討事項の1つは、薄膜/基板内の温度上昇である。表面に衝突するプラズマエッチング化学種とスパッタリング原子は、例えば、蒸発源から出る同等の原子よりはるかに高エネルギーである。イオン衝突、凝縮及び反応の際、解放された過剰エネルギーが、基板を介して放散されなければならず(真空中の熱放散が輻射なので)、そうでないと過度に加熱されて薄膜品質が低下しうる。
【0062】
プラズマ中に浸された薄膜又は基板表面からの原子のエッチング又は除去は、物理手段と化学手段の両方によって行われる。イオンエネルギーと圧力の変化によって、支配的な材料除去プロセスがシフトする。例えば、物理的スパッタエッチングは、最低圧力(約1mtorr)と最高エネルギー(keV)で起こる。表面破損メカニズムによるイオンアシストエッチングは、もっと低いエネルギー且つ少し高い圧力(約50mtorr)で起こる。いずれの場合も、表面エッチングは、異方性になる傾向がある。しかしながら、約1torrの高い圧力での化学的エッチングによって、高エネルギーイオン衝撃が排除され、その結果、薄膜の攻撃が等方性になる。実際のプラズマエッチングプロセスでイオン種の多くの塊が大きいので、そのイオン種の動きは、高周波電界と同相でないことがある。その結果、一般に、イオン変位振幅とエネルギーが低すぎてスパッタリングを引き起こすことができなくなる。
【0063】
PlasmaQuest ECRエッチャでは、電子サイクロトロン共鳴効果によってプラズマが作成される。マイクロ波は、ガス中の電子のサイクロトロン共鳴周波数に同調される。このマイクロ波は、原子内電子を、原子から十分な動力学的エネルギーを剥ぎ取ることができるポイントまで励起し、ガスをイオン化する。これにより、放電なしでまたプラズマ内のイオンの温度を著しく高めることなく、プラズマを作成できる。従って、得られたプラズマは、低い温度と低い密度を有し、また、高いイオン分画を有し、これは、本明細書に記載されたナノストローを形成するプラズマエッチングを含む高分子基板上のプラズマエッチングに役立ちうる。
【0064】
本明細書に記載されたナノストローの製造は、典型的には、酸化を含む。ガス(例えば、O
210%、Ar90%)のイオン化によって生成された電子は、電界内でエネルギーを得る。これらの高エネルギー電子と中性ガス分子間のその後の衝突によって、分子へのエネルギー移動が起こり、活性原子、遊離基、イオン及び自由電子が化学的に作成される。分離され無害な燃焼生成物は、ガス流出口で取り出される。このプロセスは、有毒化学物質を使用せずに周囲温度近くで行われ、これは、高分子にとってアルミナ、シリカ、ハフニアなどの金属酸化物構造の選択性が高い。
【0065】
プラズマ酸化のメカニズムが提供された場合、特性(即ち、エッチング速度、選択性、粗さなど)は、高周波電力(W)、チャンバ圧力(mTorr)、ガス分圧(mTorr)、チャンバ温度、基板温度などのプラズマ特性の関数でありうる。
【0066】
標準エッチプロトコルは、1.0〜1.5ナノストロー長さ(30〜45度の視角を計算に入れて)を得る4つの連続エッチサイクルを含む。今日まで、このナノストロー長さ範囲で、性能の明らかな特異的傾向は内部的に観察されていない。
【0067】
ナノストローウェルインサートは、本明細書に記載された任意のナノストローを使用して製造又は組み立てられうる。例えば、
図11A乃至
図11Dは、本明細書に記載された改善方法を使用して組み立てられたナノストローの一例を示す。
図11Aに、両面環状テープ1101、ポリカーボネート(PC)管1103、及びナノストローメンブレン1105を含むナノストローウェルインサート装置の構成要素を示す。デバイス組み立ては、PC管の切断又は形成と、両面テープのそれぞれの寸法への切断又は形成を必要とする。
図11Bで、両面テープが、管と結合され、管をナノストローメンブレン(ナノストローが管に向く状態で向けられた)に突き刺してもよい。必要に応じて、
図11Cに示されたように、余剰材料1105’がトリムされうる。
図11Dは、既存の培養ウェルプレート1107に一体化されたナノストローウェルインサートデバイスを示す。従って、ナノストローウェルインサートの組み立ては、両面環状テープの一方の側をポリカーボネートチューブウェルの一端にテープ留めすること、両面テープの反対側をナノストローメンブレンにテープ留めすること(ナノストローがデバイスに垂直)、及び必要に応じて、標準トリミングツールを使ってナノストローウェルインサートの縁から余分なナノストローメンブレンを切断しトリミングすることを含みうる。
【0068】
組み立て後、ナノストローウェルインサートデバイスを70%エタノール水溶液で洗浄し、10〜15分間空気乾燥させ、15分間紫外線で殺菌できる。ナノストローウェルインサートは、既存の6、12及び24ウェルプレートに容易に嵌まり、撮像しやすい。
【0069】
切断/トリミングプロセスは、金属ダイカッタによって、又はポリカーボネートチューブウェルへの直接炭酸ガスレーザ溶接によって、大規模にバッチ実行されうる。更に、チューブウェルの寸法は、人間工学的考察を考慮して設計されうる。
【0070】
本明細書に記載されたナノストローウェルインサートデバイスのいずれかを含む装置はどれも、細胞培養、詳細には長期細胞培養(例えば、5日間を超える)に使用され、細胞の内部構造にアクセスする(例えば、物質を細胞内にトランスフェクトする)為にいつでも使用されうる。以前に記載され特性決定されたナノストローデバイスと異なり、これらの装置は、細胞生存性に著しく影響を及ぼすことなく、少なくとも3週間以内を含む5日より長い期間使用されてもよく、更に、この期間中のいつでも、ナノストロー構造を使用して内部細胞材料にアクセス(例えば、材料の導入、材料の除去など)できる。
【0071】
例えば、
図12は、モデル細胞株の為の短期間の従来の標準細胞培養プロトコルを示す(例えば、CHO、HEK293T、HeLaなど)。組み立て後、ナノストローウェルインサートデバイスを、例えば70%エタノール水溶液で殺菌し、10〜15分間空気乾燥し、15分間紫外線(λ=305nm)下に配置してもよい。一般的に言って、標準プロトコルは、350μlの「通常」媒体(例えば、10%牛血清(FBS)とインビトロゲン(Invitrogen)社(Cat# 10564)からのDMEM媒体と1X Penicillin/Streptomycin(P/S)を加えたもの)に4時間(典型的には、一晩培養)にわたってナノストローメンブレンの上で細胞を培養することを必然的に伴う。ナノストローウェルインサート装置は、350μlの1X通常媒体の浴槽を収容する24ウェルプレート内に配置されうる(ナノストローデバイスの外部で分配される)。電気穿孔法/トランスフェクションの後、細胞は、光学顕微鏡による解析の前に、更に12〜48時間培養される。
【0072】
本明細書に記載されたように形成されたものを含む装置が、特に前述されたものと比較されたとき、特にアルミナナノストローを含む組織培養の為に特に長い生存期間(例えば、5日を超える)を有するように示されたので、細胞は、長期間培養されうる。例えば、
図13は、本明細書に記載されたナノストローウェルインサート装置を使用する1つの方法を示す。
図13で、インサートを最初に殺菌し、次に細胞培養の為に調製する。例えば、細胞培養媒体が、インサートデバイス内に追加されてもよく、インサートは、十分に適応された従来のマルチウェルディッシュに入れられてもよい。追加の細胞培養媒体(同じか又は異なる媒体)が、インサートが入れられたディッシュに追加されてもよく、カバーが提供される。細胞もインサートデバイスに追加されうる。その後、細胞は、詳細にはきわめて長い時間(>5日)を含む所望の時間期間、培養されうる。これは、ナノストローデバイスの従来の変形物と対照的であり、従来の変形物では、細胞生存性が3〜4日後に劇的に低下した(例えば、この期間より長く残存する細胞が半分未満)。本明細書に記載された装置は、5日後に>50%(例えば、>60%、>70%など)の生存性を有しうる。
【0073】
本明細書に記載されたナノストローウェルインサートデバイスは、前述されたように、マルチウェルディッシュと共に使用するように十分に適応されていることに加えて、特に、ナノストローウェルインサートデバイスを確実に保持できる電気穿孔アダプタと共に使用するように適応されうる。電気穿孔アダプタ(本明細書では「細胞キャップ」と呼ばれる)は、後でより詳しく述べられ、一般に、ナノストローウェルインサートデバイスの下部が、底面電極とインサートデバイスの下部との間の泡/蒸気形成を防ぐようにも構成された所定の距離だけ底面電極から離されるように、インサートデバイスが挿入され、較正されたカーゴ領域の上に保持されうる円筒体を有してもよい。キャップ部分は、第2の(上部)電極が下部電極から一定の所定距離に保持され、インサートデバイス内に突出するように円筒体の上に配置されうる。電気穿孔アダプタ(細胞キャップ)の壁は絶縁されうる(例えば、断熱、電気絶縁など)。また、キャップは、(例えば、電気穿孔装置に)輸送されうるように装置を封止でき、上部電極及び底面電極と通信する外部接点を有することができ、それにより、電気穿孔が、装置の外部から実行されてもよく、カーゴ(例えば、プラスミド、タンパク質など)を、底面電極の上のカーゴ溶液領域からナノストローを通して細胞まで制御可能に輸送する。
【0074】
ナノストローウェルインサートデバイスと電気穿孔アダプタ(細胞キャップ)を最適化する為、トランスフェクション効率(TE)と細胞生存性(CV)に影響を及ぼすと考えられる要素を定量化した。これらの中で、試験された要素は、密集度、上部電極形状、電極間距離、印加電圧と刺激持続時間、上部溶液の浸透圧モル濃度、電気穿孔法前の洗浄媒体であった。密集度は、25,000細胞から200,000細胞まで試験し、最良TE及びCVは25,000細胞であった。
【0075】
ナノストローデバイス上の細胞に加えられる電界強度に対して電極距離が重要な役割を果たすことが分かった。0.25cm〜1.25cmの距離を試験し、0.5cmが比較的高いTE及びCVを示した。TEとCVは、電界強度の高さに反比例した(即ち、電極間距離が短いほど、印加電圧が高く、刺激持続時間が長い)。モデル細胞株は、80%を超えるCVで最大15Vの印加電圧まで生存したが、このしきい電圧より上では細胞死が急速に増えた。電極形状は、平面設計、点設計及び螺旋状設計の間で、性能に大きく影響しないことが分かった。電気穿孔直前の新しい媒体とより低い浸透圧モル濃度の溶液との交換(PBS対「通常」媒体)は、より健全な細胞とより高いトランスフェクション率を示した。
【0076】
従って、幾つかの変形物では、ナノストローウェルインサートデバイス及び/電気穿孔アダプタに組み込まれる電極の使用は、TEとCVの両方の強化に重要でありうる。例えば、上部電極と底面電極の間の距離(2つの間にナノストロー基板を有する)は、最適には、0.25cm〜1.25cmであり、例えば、印加電圧が<15Vのときは0.3cm〜0.8cmでなければならない。この範囲外(例えば、>1.25cm)で、細胞生存性は、特に培養時間が長い場合に急激に低下した。
【0077】
例えば、モデル細胞株内の核酸を使用する電気穿孔トランスフェクションプロトコルを使用して、本明細書に記載された装置を検査した。電気穿孔法による各トランスフェクションの前に、標準Kimwipeを使用して、下側Pt電極(底面電極)を70%エタノール水溶液で洗浄した。60μlの液体導入前駆体(例えば、核酸、プラスミド、タンパク質、蛍光染料、CO
+2などのカーゴ溶液)を導入リザーバ内に滴下した(
図2Aを参照)。事前培養ナノストローウェルデバイスを導入前駆体ホルダ(例えば、電気穿孔アダプタ/細胞キャップ)に入れることができ、また僅かな圧力を加えてナノストローメンブレンの下部への液体導入前駆体の完全な濡れを保証できる。次に、上部Pt電極を、ナノストローウェルデバイス溶液内に、下部Pt電極の約0.7cm上まで下げた。過去の観察から、電気印加前に1分間とることは重要である。これにより、単純拡散によってナノストローメンブレンが導入前駆体で完全に濡れることが保証される。
【0078】
拡散の為の時間をとった後で、直流電気をナノストローウェルデバイスの両側(例えば、電気穿孔法ホルダ/細胞キャップの両側)に印加した。標準電極構成は、下部電極と上部電極がそれぞれ負と正である。負に帯電した前駆体は、上部溶液と細胞培養内に上方に電気的に駆動されうる。標準DCパルスプロファイルは、電圧10V、個々のパルス幅200μs、周波数20Hz、全処理持続時間40秒である。電気パルス印加後、ナノストローウェルデバイスが、開けられた電気穿孔内への化学種の拡散を可能にする為に、更に少しの間、導入前駆体と接したままである。次に、デバイスは、更に12〜48時間培養器内に戻された後で撮像される。
【0079】
図14A乃至
図14Fは、前述されたような製造及び実験パラメータ最適化によってモデル細胞株内への核酸の導入を強化できることを示す。
図14Aで、緑色蛍光ヒーラ細胞内へのオリゴヌクレオチド導入が示される(ヒーラ細胞密集度を示す為に緑色チャネル開花(florescence)が使用される)。
図14Bで、赤色色素トランスフェクションを示す為に撮像に赤色チャネルが使用され、
図14Cで、トランスフェクション効率を定量化する為にマージされた緑色及び赤色チャネルを示す。この例では、TE>90%であり、この高いTE結果は、前述のナノストローウェルインサートプラットフォームを使用して再現可能であり極めて効率的であった。HEK293T細胞緑色蛍光CHO細胞内へのプラスミド導入も調べた。この例では、HEK 293Tモデル細胞株内へのpEGFP導入は、>75%の効率を示した。
図14Dでは、細胞識別の為にHoeschst染色を撮像する為に青色チャネルが使用され、
図14Eでは、pEGFP発現の撮像に緑色チャネルが使用され、TEの定量化に蛍光が使用された。更に、緑色蛍光CHO細胞内へのpmCherry導入による標準トランスフェクションプロトコルによってTEが>75%となる(
図14Fに、CHO細胞識別の為の緑色チャネルを示し、
図14Gに、pmCherryプラスミド発現の為の赤色チャネルとTE定量化の為の蛍光を示す)。全ての光学像は、それぞれ同じ露出(200ms)で撮影され、複数の倍率(
図14A乃至
図14Cは20倍、
図14D乃至
図14Gは10倍)で撮像された。
【0080】
図1A乃至
図1Bに戻り、ナノストローウェルインサートデバイス101を示す。この例では、ナノストローウェルインサートデバイスは、ポリカーボネートなどのインサート(好ましくは透明)材料で形成された円筒体103を含む。ナノストロー含有基板105は、両面テープ107によって円筒体の下部の上に取り付けられ、細胞が成長されうるウェルを形成する。ナノストロー材料は、詳細には、ハフニアなどの材料で形成されたナノストローでよい。
図1Bは、ナノストローウェルインサートデバイス101の分解図であり、円筒体103、両面テープ107及びナノストローメンブレン(membraned)105の典型的な寸法を示す。
【0081】
図2A乃至
図2Dは、ナノストローウェルインサート装置の別の例を示す。
図2Aに、トランスフェクション中の汎用ナノストローウェルインサートデバイスが示される。インサートデバイスは、述べたように、適合する導入前駆体ホルダ(例えば、電気穿孔アダプタ/細胞キャップ)と共に使用されうる。
図2Aで、装置のインサート部分は、
図1A乃至
図1Bに関して前述されたように、下部に取り付けられて培養ウェルを作成するナノストローメンブレン205を備えたポリカーボネート管203から成る。細胞は、媒体を有するデバイスウェル内で直接培養されうる(上側媒体は、トランスフェクションプロトコルで前述されたように「通常媒体」である)。インサート装置は、導入前駆体ホルダ(例えば、電気穿孔アダプタ/細胞キャップ)にニトロ化され(nitrated )てもよく、ホルダ/アダプタは別個でもよい。
図2Aでは、電気穿孔法によるトランスフェクションの為、インサートは、導入される分子種を含むカーゴリザーバ209と接触されうる(ここで、溶液中の小球、例えば、典型的には水中のDNA/RNAとして示される)。カーゴリザーバは、ホルダ/アダプタ内に形成され、底面電極211とインサートのメンブレンの下部との間にできる泡を防ぐように構成され、これは、この泡がトランスフェクションに有害な影響を及ぼしうるからである。
【0082】
電気パルスは、この例では白金電極として示された上部電極と下部電極の間に発射されてもよく、これは、ナノストローを通した細胞内アクセスを可能にする孔を細胞膜に開けうる。
【0083】
図2A乃至
図2Dは、ナノストロー上に成長する細胞を含むナノストローメンブレンの一部を構成しうるナノストローの走査型電子顕微鏡(SEM)を示す。この例では、ストローの長さは、典型的には、1〜3マイクロメートルであり、外径は約100nmである。
図2C乃至
図2Dで、SEM画像は、実際のデバイス原理を示す為にナノストローメンブレン上のクライオ固定CHO細胞を示す。ナノストローは、細胞膜を自然発生的に貫通することが実証されており、電気パルスは、導入効率を高める「バルブ」として働く。
【0084】
次に
図15A乃至
図15Cに移ると、ナノストローウェルインサートデバイスと互換/適合導入前駆体ホルダ(例えば、電気穿孔アダプタ/細胞キャップ)を含む装置が示される。
図15Aは、ホルダ(電気穿孔アダプタ又は細胞キャップ1500とも呼ばれる)に挿入されたナノストローウェルインサート1501を示す。ナノストローウェルインサートは、実質的に、
図1A乃至
図1B及び
図2Aで前述されたようなものである。電気穿孔アダプタは、細長い円筒体1515内にインサートを固定するように構成され、従って、インサートの下部は、平坦で底面電極1513と平行である。底面電極は、アダプタの下部全体にわたって固定され、リザーバ貯蔵部1503を保持し形成する為に平坦又は凹面でよい。述べたように、アダプタは、ナノストローウェルインサートのメンブレンと底面電極との間に泡が閉じ込められるのを防ぐように構成されてもよく、例えば、アダプタは、インサート内のメンブレンの平坦な底と貯蔵部1503との間から空気が漏れることを可能にする為に、側面内及び/又は側面を通る1つ以上のチャネルを有しうる。
【0085】
一般に、電気穿孔アダプタは、円筒チャンバ内にインサートを確実に保持するように構成され、上部電極1509を有するキャップ1505は、デバイス内に保持されたときにインサートの上に取り付けられうる。キャップは、摩擦ばめ及び/又は機械的、磁気的又は他の取り付け(例えば、ねじ留め、スナップ留めなど)によって適所に保持されうる。詳細には、キャップは、上部電極をインサートの上の所定の位置に少なくとも部分的に保持できる。電気穿孔アダプタ全体は、上部電極と底面電極との分離距離を、本明細書で述べたように最適に維持できる(例えば、0.3〜0.8cm、又は約0.5cm)。
【0086】
上部電極1509と底面電極1513は、示されたようにアダプタ内に位置決めされてもよいが、アダプタの外側上の電気接点に対する1つ以上の接続を有してもよく、従って、インサートが、アダプタの無菌内部チャンバ内に保持された場合でも、装置全体を手作業で保持し操作でき、その操作は、前述したように電極全体に電流を流す為に電気穿孔装置内に入れることを含む。
【0087】
本明細書に記載された方法(ユーザインタフェースを含む)はいずれも、ソフトウェア、ハードウェア又はファームウェアとして実現されてもよく、プロセッサ(例えば、コンピュータ、タブレット、スマートフォンなど)によって実行されうる1組の命令を記憶する非一時的コンピュータ可読記憶媒体として示されてもよく、その1組の命令は、プロセッサによって実行されたときに、プロセッサに、表示、ユーザとの通信、解析、パラメータ(タイミング、周波数、強度などを含む)の修正、決定、警告などを含むがこれらに限定されない任意のステップの実行も制御させる。
【0088】
特徴形状又は要素が、本明細書で別の特徴形状又は要素「上(on)」あると言及されるとき、他の特徴形状又は要素のすぐ上にあってもよく、介在する特徴形状及び/又は要素が存在してもよい。これと対照的に、特徴形状又は要素が、別の特徴形状又は要素の「すぐ上」にあると言及されたときは、介在する特徴形状も要素も存在しない。また、特徴形状又は要素が、別の特徴形状又は要素に「接続」、「取り付け」又は「結合」されるように言及されたとき、他の特徴形状又は要素に直接接続、取り付け又は結合されてもよく、介在する特徴形状又は要素が存在してもよいことを理解されよう。これと対照的に、特徴形状又は要素が、別の特徴形状又は要素に「直接接続」、「直接取り付け」又は「直接結合」されるように言及されたとき、介在特徴形状又は要素は存在しない。一実施形態に言及又は図示されたが、そのように言及又は図示された特徴形状及び要素は他の実施形態に適用できる。また、別の特徴形状に「隣接して」配置された構造又は特徴形状に対する参照が、隣接する特徴形状の上又は下に重なる部分を有しうることは当業者によって理解されよう。
【0089】
本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を示す為であり、本発明を限定するものではない。例えば、本明細書で使用されるとき、単数形「a」、「an」及び「the」は、文脈が他の状況を明確に示さない限り、複数形も含むように意図される。更に、用語「有する」及び「含む」(「comprises」及び「comprising」)は、本明細書で使用されるとき、述べた特徴形状、ステップ、操作、要素及び/又は構成要素の存在を示すが、1つ以上の他の特徴形状、ステップ、操作、要素、構成要素及び/又はそのグループの存在又は追加を妨げないことを理解されよう。本明細書で使用されるとき、用語「及び/又は」は、関連付けられた列挙項目の1つ以上の項目のいずれか及び全ての組み合わせを含み、「/」として短縮されうる。
【0090】
「下に」(「under」、「below」、「lower」)、「上に」(「over」、「upper」)などの空間的相対語は、本明細書では、図に示されたような1つの要素又は特徴形状の別の要素又は特徴形状に対する関係を示す説明を容易にする為に使用されうる。空間的相対語が、図に描かれた向きの他に、使用又は操作におけるデバイスの様々な向きを包含するように意図されることが理解されよう。例えば、図内のデバイスが反転された場合、他の要素又は特徴形状の「下に」(「under」又は「beneath」)と言及された要素は、他の要素又は特徴形状の「上に」(「over」)に向けられる。従って、典型的用語「下に」(「under」)は、上(over)と下(under)の両方の向きを含みうる。デバイスは、違うふうに向けられてもよく(90度回転されるか他の向き)、本明細書で使用される空間的相対的記述子は、それに対応して解釈される。同様に、用語「上方へ」(「upwardly」)、「下方へ」(「downwardly」)、「垂直に」(「vertical」)、「水平に」(「horizontal」)などは、本明細書では、特に断らない限り、説明の為にのみ使用される。
【0091】
用語「第1」と「第2」は、本明細書では、様々な特徴形状/要素(ステップを含む)について述べる為に使用されることがあり、これらの特徴形状/要素は、文脈で特に断らない限り、これらの用語によって限定されない。これらの用語は、ある特徴形状/要素を別の特徴形状/要素と区別する為に使用されうる。従って、本発明の教示から逸脱することなく、後述される第1の特徴形状/要素が第2の特徴形状/要素と呼ばれることがあり、同様に、後述される第2の特徴形状/要素が第1の特徴形状/要素と呼ばれることがある。
【0092】
以下の本明細書とクレーム全体にわたって、文脈が特に必要としない限り、語「有する」及び「含む」(「comprise」及び「comprises」や「comprising」などの変化形)は、方法及び文献で共用されうる様々な構成要素(例えば、デバイスと方法を含む構成物と装置)を意味する。例えば、用語「comprising」は、述べた任意の要素又はステップを含むが他の任意の要素又はステップを排除しないことを理解されたい。
【0093】
一般に、本明細書に記載された装置及び方法はいずれも、包括的であるように理解されるべきであるが、構成要素及び/又はステップの全て又は一部は排他的でもよく、様々な構成要素、ステップ、副構成要素又はサブステップ「から成る(consisting of)」、あるいは「実質的にからなる(consisting essentially of)」として表現されうる。
【0094】
例で使用されるときを含む本明細書及びクレームで使用されるとき、特に明示的に示されない限り、全ての数は、語「約」(「about」)又は「略」(「approximately」)が明確に現れない場合でも、これらの語が前置されたように読まれるうる。句「約」(「about」)又は「略」(「approximately」)は、大きさ及び/又は位置を示すときに、表示された値及び/又は位置が、値及び/又は位置の妥当な予想範囲内にあることを示す為に使用されうる。例えば、数値は、表示値の+/−0.1%(又は値の範囲)、表示値の+/−1%(又は値の範囲)、表示値の+/−2%(又は値の範囲)、表示値の+/−5%(又は値の範囲)、表示値の+/−10%(又は値の範囲)の値を有しうる。本明細書に示された任意の数値は、文脈で特に示されない限り、約(about)又は略(approximately)その値を含むことを理解されたい。例えば、値「10」が開示された場合、「約10」も開示される。本明細書に列挙された任意の数値範囲は、そこに包含される全てのサブ範囲を含むように意図される。また、当業者によって適切に理解されるように、値が開示されたとき、その値「以下」の値、「以上」の値、及び値の間のあり得る範囲も開示されることを理解されたい。例えば、値「X」が開示された場合、「X以下」並びに「X以上」(例えば、Xが数値である場合)も開示される。また、本出願全体にわたって、データが幾つかの異なる形式で提供され、このデータが、終点と始点を表わし、データ点の任意の組み合わせの範囲を表すことを理解されたい。例えば、特定のデータ点「10」と特定のデータ点「15」が開示された場合、10と15の間の値と同様に、10及び15を超える値、10及び15以上の値、10及び15未満の値、10及び15以下の値、並びに10及び15と等しい値が検討されることを理解されたい。また、2つの特定単位間の各単位も開示されることを理解されたい。例えば、10と15が開示された場合、11、12、13及び14も開示される。
【0095】
以上、様々な説明的実施形態を述べたが、クレームに記載されたような本発明の範囲から逸脱せずに、様々な実施形態に対する幾つかの変更のいずれも行われうる。例えば、記載された様々な方法ステップが実行される順序は、しばしば代替実施形態で変更されることがあり、他の代替実施形態では、1つ以上の方法ステップが全て省略されてもよい。種々の装置及びシステム実施形態の任意の特徴は、幾つかの実施形態に含まれ、他の実施形態に含まれ得ない。従って、以上の説明は、基本的に例示的な目的で提供され、本発明の範囲をクレームに示されたように限定するように解釈されるべきでない。
【0096】
本明細書に含まれる例と説明図は、限定ではなく例証として、内容が実施されうる特定の実施形態を示す。言及されたように、本開示の範囲から逸脱せずに構造的及び論理的代用及び変更を行えるように他の実施形態を利用し導出でき。本明細書では、本発明の内容のそのような実施形態は、単に便宜上、及び本出願の範囲を単独の発明又は発明的概念に自発的に限定する意図なしに(実際に1つ以上が開示された場合)、用語「発明」によって個別又は集合的に参照されうる。従って、本明細書で特定の実施形態を示し述べてきたが、同じ目的を達成する為に設計されたいかなる構成も特定の実施形態に代用されうる。この開示は、様々な実施形態の任意及び全ての適応物又は変形物を範囲に含むように意図される。以上の実施形態の組み合わせ、及び本明細書に具体的に記載されていない他の実施形態は、以上の説明を検討することで当業者に明らかになる。
〔付記1〕
長期細胞成長及びトランスフェクションの為のナノストロー細胞培養システムであって、
円筒壁と、複数のナノストローが突出するメンブレンと、前記円筒壁の基部全体にわたって前記メンブレンを接続してウェルを形成する生体適合性接着剤とを有し、前記ナノストローが、前記ウェル内に0.1マイクロメートルより大きく突出するナノストローウェルインサートデバイスと、
前記ナノストローウェルインサートデバイスを保持するように構成されたアダプタとを有し、前記アダプタが、
底面電極を含む基部であって、前記ナノストローウェルインサートデバイスの前記円筒壁をしっかりと保持して、前記複数のナノストローが、前記底面電極の上のリザーバ貯蔵部と流体連通するように構成された基部と、
上部電極を含むカバーであって、前記基部と係合して、ナノストローウェルインサートデバイスが前記基部内に保持されたときに、前記上部電極が、間に囲まれたナノストローインサートデバイスによって前記底面電極から離れるように構成されたカバーと、
前記アダプタの外側面上の第1の電気接点であって、前記底面電極と電気通信する第1の電気接点と、
前記アダプタの前記外側面上の第2の電気接点であって、前記上部電極と電気通信する第2の電気接点とを有する、ナノストロー細胞培養システム。
〔付記2〕
前記基部が、前記リザーバ貯蔵部と前記ナノストローウェルインサートの下部の間に空気を放出するように構成された、付記1に記載のシステム。
〔付記3〕
前記アダプタが、更に、前記基部内の前記リザーバ貯蔵部の圧力を調整するように構成された入口を有する、付記1に記載のシステム。
〔付記4〕
前記第1の電気接点が、前記カバーの上部にあり、前記第2の電気接点が、前記基部の下部にある、付記1に記載のシステム。
〔付記5〕
前記カバーが前記基部と係合されたとき、前記上部電極が、前記底面電極から0.25cm〜1.25cm離された、付記1に記載のシステム。
〔付記6〕
前記リザーバ貯蔵部が、前記底面電極上に凹面を有する、付記1に記載のシステム。
〔付記7〕
前記基部が、円筒状ハウジングを有する、付記1に記載のシステム。
〔付記8〕
前記カバーが、前記基部の上に固定されて前記ナノストローウェルインサートデバイスが完全に囲まれるように構成された、付記1に記載のシステム。
〔付記9〕
長期細胞成長トランスフェクションの為のナノストローウェルインサートデバイスであって、
円筒壁と、
複数のハフニア(HfO2)ナノストローが貫通するメンブレンと、
前記円筒壁の基部全体にわたって前記メンブレンを接続してウェルを形成する生体適合性接着剤とを有し、前記ナノストローが、前記ウェル内に0.1マイクロメートルより大きく突出する、ナノストローウェルインサートデバイス。
〔付記10〕
前記円筒壁が、円形横断面を有する、付記9に記載のデバイス。
〔付記11〕
前記円筒壁が、ポリカーボネート管、アクリル管、ポリカーボネート管又はポリエチレンテレフタレート(PET)管のうちの1つを含む、付記9に記載のデバイス。
〔付記12〕
前記円筒壁と前記メンブレンの間に接着剤を更に有する、付記9に記載のデバイス。
〔付記13〕
前記円筒壁と前記メンブレンの間にアクリル接着剤を更に有する、付記9に記載のデバイス。
〔付記14〕
前記複数のハフニアナノストローが、10nm〜1000nmの孔径を有する、付記9に記載のデバイス。
〔付記15〕
前記複数のハフニアナノストローが、前記ウェル内に0.1〜25マイクロメートル突出する、付記9に記載のデバイス。
〔付記16〕
前記複数のナノストローがそれぞれ、前記デバイスの外側から、前記メンブレンを通って前記ウェル内に延在する連続チャネルを有する、付記9に記載のデバイス。
〔付記17〕
前記円筒壁の外径が、1.5cm〜0.5cmである、付記9に記載のデバイス。
〔付記18〕
細胞を培養しトランスフェクトする方法であって、
ナノストローウェルインサートデバイス内で1つ以上の細胞を培養するステップであって、前記ナノストローウェルインサートデバイスが、円筒壁と、前記円筒壁の基部全体に延在してウェルを形成するメンブレンとを有し、前複数のナノストローが、前記メンブレンを通って前記ウェル内に0.1マイクロメートルより大きく突出するステップと、
前記ナノストローウェルインサートデバイスをアダプタの基部に入れて、前記複数のナノストローが、前記基部内のリザーバ貯蔵部と流体連通するようにするステップであって、前記リザーバ貯蔵部が、前記基部内の底面電極と電気通信するステップと、
カバーを前記基部の上に配置するステップであって、前記カバーが上部電極を有し、それにより、前記上部電極が、前記ナノストローウェルインサートデバイス内に延在し、前記上部電極が、間の前記ナノストローウェルインサートによって前記底面電極から離されるステップと、
前記底面電極と前記上部電極の間に電圧を印加して、前記リザーバ貯蔵部から物質を、前記複数のナノストローを通して前記1つ以上の細胞内に導入するステップと、
前記アダプタから前記ナノストローウェルインサートを除去し、前記ナノストローウェルインサート内の前記1つ以上の細胞を培養するステップとを含む方法。
〔付記19〕
前記配置するステップが、前記基部の上に前記カバーを配置して、前記上部電極が、前記底面電極から0.25〜1.25cm離れるようにするステップを含む、付記18に記載の方法。
〔付記20〕
前記電圧を印加するステップが、前記アダプタの外面上の第1の電気接点と、前記アダプタの表面の外側上の第2の電気接点との間に前記電圧を印加するステップを含み、前記第1の電気接点が、前記アダプタ内で前記上部電極と電気通信し、前記第2の電気接点が、前記アダプタ内の前記底面電極と電気通信する、付記18に記載の方法。
〔付記21〕
前記電圧を印加するステップが、約0.1V〜20Vを印加するステップを含む、付記18に記載の方法。
〔付記22〕
前記電圧を印加するステップが、15V未満を印加するステップを含む、付記18に記載の方法。
〔付記23〕
前記ナノストローウェルインサートデバイス内の前記細胞を撮像するステップを更に含む、付記18に記載の方法。
〔付記24〕
前記電圧を印加するステップが、10〜500マイクロ秒のパルス幅を1Hz〜10kHzのパルス周波数で印加するステップを含む、付記18に記載の方法。
〔付記25〕
前記細胞を培養するステップが、複数のハフニア(HfO2)ナノストロー上で前記細胞を培養するステップと含む、付記18に記載の方法。
〔付記26〕
前記ナノストローウェルインサートデバイスを前記基部に入れる前に前記物質を前記リザーバ貯蔵部に装填するステップを更に含む、付記18に記載の方法。