特許第6965285号(P6965285)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6965285
(24)【登録日】2021年10月22日
(45)【発行日】2021年11月10日
(54)【発明の名称】プッシュスイッチ
(51)【国際特許分類】
   H01H 13/06 20060101AFI20211028BHJP
   H01H 13/10 20060101ALI20211028BHJP
   H01H 13/52 20060101ALI20211028BHJP
【FI】
   H01H13/06 Z
   H01H13/10
   H01H13/52 F
【請求項の数】3
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2018-565964(P2018-565964)
(86)(22)【出願日】2017年12月4日
(86)【国際出願番号】JP2017043525
(87)【国際公開番号】WO2018142752
(87)【国際公開日】20180809
【審査請求日】2019年3月13日
(31)【優先権主張番号】特願2017-17945(P2017-17945)
(32)【優先日】2017年2月2日
(33)【優先権主張国】JP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000010098
【氏名又は名称】アルプスアルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】北村 暢章
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 秀隆
(72)【発明者】
【氏名】坂本 尭也
【審査官】 北岡 信恭
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−234040(JP,A)
【文献】 特開2010−212172(JP,A)
【文献】 実開昭55−137588(JP,U)
【文献】 特開2014−154343(JP,A)
【文献】 実開昭55−137412(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 9/04
H01H 13/00−13/88
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属により形成された変形可能な可動接点と、
中央固定接点部及び周辺固定接点部と樹脂部材とが一体化され、前記可動接点が入る凹部が形成されたケースと、
を有し、
前記ケースの前記凹部の底面では、前記中央固定接点部及び前記周辺固定接点部の表面が露出しており、
前記中央固定接点部は中央接点が設けられており、前記中央接点の両側には、前記中央接点から一定の長さを有して延設された一対の延設部が設けられ、
前記中央固定接点部の前記一対の延設部の各々には、さらに外側に一定の長さを有して延びる延設支持部が設けられており、
前記延設支持部の端部には折り曲げ部が形成され、前記折り曲げ部の終端部は前記樹脂部材に入り込んでいるものであって、
前記延設支持部の裏面側には、前記樹脂部材に貫通孔が形成されており、
前記貫通孔は、前記延設支持部の前記折り曲げ部よりも前記中央接点側に位置し、
前記貫通孔は、前記樹脂部材の裏側より形成された第1の段部と、
前記第1の段部よりも狭く、前記第1の段部よりも深い位置に形成された第2の段部と、
前記第2の段部よりも狭く、前記第2の段部よりも深い位置に形成された貫通部と、
を有することを特徴とするプッシュスイッチ。
【請求項2】
前記中央接点は2つ設けられており、
前記中央固定接点部の前記延設部の裏面には、前記樹脂部材に前記貫通孔が2つ設けられており、
2つの前記貫通孔を結ぶ線が、2つの前記中央接点の間を通るように2つの前記貫通孔が形成されていることを特徴とする請求項1に記載のプッシュスイッチ。
【請求項3】
前記貫通孔は、
前記第1の段部と、前記第2の段部と、貫通部とからなる3段構成であり、
前記第1の段部の深さは、前記第2の段部の深さと略等しく形成されており、
前記貫通部の深さは、前記第2の段部の深さよりも大きく形成されており、
前記第1の段部と前記第2の段部との間の前記第1の段部の底面部分の長さは、前記第1の段部の深さよりも長く形成されており、
前記第2の段部と前記貫通部との間の前記第2の段部の底面部分の長さは、前記第2の段部の深さよりも長く形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載のプッシュスイッチ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プッシュスイッチに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、電子機器の小型化が進んでおり、これらの電子機器には、電子機器における入力操作を行うためのプッシュスイッチ等が設けられているが、これらのプッシュスイッチも小型化や薄型化が求められている。
【0003】
このようなプッシュスイッチの一つとして、2つの固定接点部が樹脂部材と一体化されたケース、可動接点、シート等を有しているものがある。このようなプッシュスイッチは、シートの中央部分が押されていない状態では、2つの固定接点部は可動接点と接触しておらずオフ状態となり、シートの中央部分を押すことにより、可動接点がケースの2つの固定接点部と接触し、可動接点を介し2つの固定接点部が電気的に接続されオン状態となる。
【0004】
このようなプッシュスイッチのケースはインサート成形により形成されており、例えば、2つの固定接点部を上下より金型で押さえた状態で、溶融した樹脂材料を流し込み硬化させることにより形成されている。具体的には、2つの固定接点部の下側が、ピンにより下方から支持され、2つの固定接点部の上側は、上側の金型により押さえられた状態で、樹脂材料が供給されることにより形成される。このためインサート成形により形成されたケースの樹脂部材には、2つの固定接点部の下側に、下方から支持していたピンの形状に対応した形状の貫通穴が形成される。尚、2つの固定接点部の上側は、上側の金型により押さえられた部分が露出している。
【0005】
このように作製されたプッシュスイッチは、ケースから露出している固定接点部の外部端子を電子機器等の電極端子等にハンダ付けすることにより取り付けることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2014−154343号公報
【特許文献2】特開2016−27533号公報
【特許文献3】特公昭61−23680号公報
【特許文献4】実公昭63−14347号公報
【特許文献5】特公平7−56768号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、インサート成形により形成されたケースでは、様々な理由により、固定接点部と樹脂部材との間に僅かな隙間が生じる場合がある。一方、プッシュスイッチをハンダ付けする際にはフラックスが用いられるが、このフラックスは加熱されると、粘性が低くなり流動性が高くなる。このため、ハンダ付けの際に、フラックスが、ケースの裏側から、貫通穴を通り、固定接点部の表側まで濡れ広がる場合がある。ハンダ付けをした後は、加熱されなくなるため、フラックスは樹脂状に固まるが、このように固まったフラックスは絶縁性が高い。従って、固まったフラックスにより固定接点部の表面が覆われてしまうと、固定接点部と可動接点とが電気的に接続されなくなり、スイッチとして機能しないため不良となる場合がある。
【0008】
このため、ハンダ付けする際に、フラックスが固定接点部の表面まで回り込まない構造のプッシュスイッチが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本実施の形態の一観点によれば、金属により形成された変形可能な可動接点と、中央固定接点部及び周辺固定接点部と樹脂部材とが一体化され、前記可動接点が入る凹部が形成されたケースと、を有し、前記ケースの前記凹部の底面では、前記中央固定接点部及び前記周辺固定接点部の表面が露出しており、前記中央固定接点部は中央接点が設けられており、前記中央接点の周囲には延設部が設けられ、前記中央固定接点部の前記延設部には延設支持部が設けられており、前記延設支持部の端部には折り曲げ部が形成され、前記折り曲げ部の一部は前記樹脂部材に入り込んでいるものであって、前記延設支持部の裏面側には、前記樹脂部材に貫通孔が形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
開示のプッシュスイッチによれば、ハンダ付けする際に、フラックスが固定接点部の表面まで回り込むことを防ぐことができ、ハンダ付けされているプッシュスイッチの信頼性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本実施の形態におけるプッシュスイッチの外観斜視図
図2】本実施の形態におけるプッシュスイッチの分解斜視図
図3】本実施の形態におけるプッシュスイッチの上面図
図4】本実施の形態におけるプッシュスイッチの側面図
図5】プッシュスイッチの中央固定接点部及び周辺固定接点部の上面図
図6】プッシュスイッチの中央固定接点部及び周辺固定接点部の斜視図
図7】プッシュスイッチのケースの上面図
図8】プッシュスイッチのケースの斜視図
図9】本実施の形態におけるプッシュスイッチの断面図
図10】プッシュスイッチのケースの底面図
図11】プッシュスイッチの樹脂部材の斜視図
図12】樹脂部材に形成される貫通孔の断面図
図13】樹脂部材に形成される貫通孔の上面図
図14】貫通孔の位置の説明図
図15】本実施の形態におけるプッシュスイッチの説明図
【発明を実施するための形態】
【0012】
実施するための形態について、以下に説明する。尚、同じ部材等については、同一の符号を付して説明を省略する。また、本願においては、X1−X2方向、Y1−Y2方向、Z1−Z2方向を相互に直交する方向とする。また、X1−X2方向及びY1−Y2方向を含む面をXY面と記載し、Y1−Y2方向及びZ1−Z2方向を含む面をYZ面と記載し、Z1−Z2方向及びX1−X2方向を含む面をZX面と記載する。
【0013】
本実施の形態におけるプッシュスイッチは、図1から図4に示されるように、シート10、可動接点20、ケース30等を有している。尚、図1は本実施の形態におけるプッシュスイッチの全体の斜視図であり、図2は分解斜視図であり、図3は上面図であり、図4は側面図である。
【0014】
シート10はナイロン樹脂等の絶縁性を有する樹脂材料により形成されている。可動接点20は、ステンレス等の金属材料により形成されており、シート10を介して上から押されることにより変形する。また、可動接点20の下側には導電性を高めるための銀メッキ等が施されている。ケース30は、インサート成形により形成されており、中央固定接点部50及び周辺固定接点部60が樹脂部材70と一体化されている。このプッシュスイッチは、上から見た上面の形状が略長方形であって、X1−X2方向となる長手方向の幅W1が約3mm、Y1−Y2方向となる短手方向の幅W2が約1.9mm、Z1−Z2方向の高さH1が約0.55mmとなるように形成されている。尚、ケース30の樹脂部材70は、上から見た上面の形状が略長方形であり、X1−X2方向となる長手方向の幅W3が約2.8mm、Y1−Y2方向における短手方向の幅は、プッシュスイッチの短手方向の幅W2と同じ約1.9mm、Z1−Z2方向における高さH2が約0.335mmとなるように形成されている。
【0015】
本実施の形態におけるプッシュスイッチは、シート10の中央部分が押されていない状態では、中央固定接点部50と、可動接点20とは接触しておらずオフ状態となっている。このプッシュスイッチのシート10の中央部分を押すことにより、変形した可動接点20が、ケース30に設けられた中央固定接点部50及び周辺固定接点部60と接触する。可動接点20はステンレス等の金属材料により形成されており、可動接点20の下側の面には導電性の高い銀等によりメッキが施されている。従って、ケース30に設けられた中央固定接点部50及び周辺固定接点部60と、可動接点20の下側の面とが接触することにより、可動接点20を介し中央固定接点部50と周辺固定接点部60とが電気的に接続され、オン状態となる。
【0016】
このプッシュスイッチのシート10の中央部分を押している力がなくなると、可動接点20は自身の復元力により元の状態に戻り、中央固定接点部50と、可動接点20とは離れるため、オフ状態となる。
【0017】
次に、図5及び図6に基づきケース30を形成している中央固定接点部50及び周辺固定接点部60について説明する。
【0018】
最初に、中央固定接点部50について説明する。中央固定接点部50は、一枚の金属板を打ち抜き、折り曲げ等の加工をすることにより形成されている。中央固定接点部50は、第1の中央接点51及び第2の中央接点52が設けられている中央部分50aと、中央部分50aに接続されており、長手方向、即ち、X1−X2方向に沿って形成された接続部分50bとにより形成されており、接続部分50bの長手方向の両端には端子部53及び54が設けられている。第1の中央接点51及び第2の中央接点52は、上側(Z1方向の側)に凸状に加工することにより形成されており、X1−X2方向が長手方向となり、Y1−Y2方向が短手方向となっている。第1の中央接点51と第2の中央接点52は、Y1−Y2方向において対向して形成されており、第1の中央接点51がY1方向の側、第2の中央接点52がY2方向の側となっている。中央部分50aの第1の中央接点51及び第2の中央接点52の周囲には、延設部50cが形成されており、延設部50cのうち、プッシュスイッチの長手方向となるX1−X2方向には、延設支持部55及び56が形成されている。
【0019】
延設支持部55は、第1の中央接点51及び第2の中央接点52よりもX1方向の側に形成されている。また、延設支持部56は、第1の中央接点51及び第2の中央接点52よりもX2方向の側に形成されている。第1の中央接点51及び第2の中央接点52から延設支持部55の端部55aまたは延設支持部56の端部56aまでの距離が、第1の中央接点51及び第2の中央接点52から中央固定接点部の中央部分50aの他の領域の端部までの距離に比べて、長くなっている。
【0020】
従って、中央固定接点部50の中央部分50aには、第1の中央接点51及び第2の中央接点52と、第1の中央接点51及び第2の中央接点52の周囲に形成された延設部50cとが形成されており、延設支持部55及び延設支持部56は、延設部50cの一部となっている。
【0021】
延設支持部55の端部55aの近傍及び延設支持部56の端部56aの近傍には、インサート成形により、樹脂部材70に中央固定接点部50の中央部分50aを固定するため、各々折り曲げ部55b及び56bが形成されている。延設支持部55の端部55aの近傍に形成される折り曲げ部55bは、最初に、延設支持部55の端部55aの近傍をY1−Y2方向に沿ってZ2方向に折り曲げた後、更にこれよりも端部55aに近い部分をY1−Y2方向に沿ってX1方向に折り曲げることにより形成されている。また、延設支持部56の端部56aの近傍に形成される折り曲げ部56bは、最初に、延設支持部56の端部56aの近傍をY1−Y2方向に沿ってZ2方向に折り曲げた後、更にこれよりも端部56aに近い部分をY1−Y2方向に沿ってX2方向に折り曲げることにより形成されている。
【0022】
また、中央固定接点部50の中央部分50aにおいて、第1の中央接点51と第2の中央接点52との間の部分が凹部57となっており、凹部57は、X1−X2方向に延びており、このX1−X2方向の先には、延設支持部55及び延設支持部56が形成されている。よって、中央固定接点部50の第1の中央接点51及び第2の中央接点52は、延設支持部55と延設支持部56との間となるように形成されている。また、第1の中央接点51と第2の中央接点52とが対向しているY1−Y2方向と、延設支持部55と延設支持部56とが設けられているX1−X2方向とは直交している。
【0023】
次に、図5及び図6に示されるように、周辺固定接点部60について説明する。周辺固定接点部60も、中央固定接点部50と同様に、一枚の金属板を打ち抜き、折り曲げ等の加工をすることにより形成されている。周辺固定接点部60は、中央固定接点部50の中央部分50aよりも、X1方向の側には第1の周辺接点61が設けられており、X2方向の側には第2の周辺接点62が設けられている。具体的には、周辺固定接点部60は、延設支持部55よりも、X1方向の側には第1の周辺接点61が設けられており、延設支持部56よりも、X2方向の側には第2の周辺接点62が設けられている。周辺固定接点部60の長手方向、即ち、X1−X2方向の両端には端子部63及び64が設けられている。第1の周辺接点61及び第2の周辺接点62は、上側(Z1方向の側)に凸状に加工することにより形成されており、第1の周辺接点61、第2の周辺接点62、端子部63及び64は、接続部分65により接続されている。
【0024】
次に、ケース30について説明する。ケース30は、中央固定接点部50及び周辺固定接点部60を用いてインサート成形により形成されている。本願においては、インサート成形により形成されたケース30のうち、樹脂材料により形成されている部分を樹脂部材70と記載する。ケース30は、可動接点20が配置される上側に凹部31が形成されており、凹部31の底面31aの中央には、中央固定接点部50の第1の中央接点51及び第2の中央接点52、延設支持部55及び56の一部が露出している。また、ケース30の凹部31の底面31aでは、第1の中央接点51及び第2の中央接点52より、X1方向の側には第1の周辺接点61が露出しており、X2方向の側には第2の周辺接点62が露出している。尚、図示はされていないが、延設支持部55の端部55aの近傍に形成された折り曲げ部55b及び延設支持部56の端部56aの近傍に形成された折り曲げ部56bは、一部が樹脂部材70の内部に埋め込まれている。
【0025】
本願においては、ケース30の凹部31において中央固定接点部50が露出している面を表面と記載し、表面とは反対側の樹脂部材70により覆われている面を裏面と記載する場合がある。また、ケース30の凹部31において周辺固定接点部60が露出している面を表面と記載し、表面とは反対側の樹脂部材70により覆われている面を裏面と記載する場合がある。尚、ケース30の裏側のX1方向の側では、中央固定接点部50の端子部53及び周辺固定接点部60の端子部63が露出しており、X2方向の側では、中央固定接点部50の端子部54及び周辺固定接点部60の端子部64が露出している。
【0026】
本実施の形態では、図9に示されるように、ケース30の凹部31には、可動接点20が上に凸となる状態で入れられており、可動接点20の上がシート10により覆われている。尚、シート10の可動接点20の側の面には、プロジェクション11が設けられている。可動接点20は、上側が凸面20a、下側が凹面20bとなっており、可動接点20の凹面20bがケース30の凹部31の底面31aと対向するように設置されている。このため、可動接点20の周囲の周辺部21aは、周辺固定接点部60の第1の周辺接点61と接しており、周辺部21bは、周辺固定接点部60の第2の周辺接点62と接している。尚、可動接点20の凹面20bは、可動接点20の内側の面であり、この凹面20bに不図示の銀によるメッキ等が施されている。
【0027】
シート10が押されていない状態では、図9に示されるように、可動接点20は中央固定接点部50の第1の中央接点51等と接触してはいないため、周辺固定接点部60の第1の周辺接点61及び第2の周辺接点62と中央固定接点部50の第1の中央接点51等とは電気的には接続されておらず、オフ状態となっている。このプッシュスイッチでは、シート10をZ2方向に向けて押すことにより、オン状態となる。即ち、シート10をZ2方向に向けて押すと、シート10及び可動接点20が変形し、可動接点20の中央部22の凹面20bが、中央固定接点部50の第1の中央接点51等と接触する。これにより、周辺固定接点部60の第1の周辺接点61及び第2の周辺接点62と中央固定接点部50の第1の中央接点51等とが、可動接点20を介し電気的に接続されオン状態となる。
【0028】
ところで、ケース30は、インサート成形により形成されており、具体的には、中央固定接点部50及び周辺固定接点部60が表面側を金型等により、裏面側をピンにより支持されている状態で溶融した樹脂材料を流し込むことにより形成されている。このため、図10に示されるように、ケース30の裏面32には、中央固定接点部50及び周辺固定接点部60を裏面側より支持していたピンにより貫通孔81〜84、開口部85〜88が形成される。即ち、中央固定接点部50及び周辺固定接点部60の裏面側の樹脂部材70には、貫通孔81〜84、開口部85〜88が形成される。図11は、インサート成形により形成されたケース30より、中央固定接点部50及び周辺固定接点部60を取り除いた状態の樹脂部材70を表面側から見た斜視図である。尚、貫通孔81、82は、中央固定接点部50の裏面側に形成され、貫通孔83、84は、周辺固定接点部60の裏面側に形成されている。
【0029】
具体的には、中央固定接点部50の中央部分50aを裏面側より支持していたピンにより貫通孔81及び82が形成される。また、周辺固定接点部60の第1の周辺接点61の近傍を裏面側より支持していたピンにより貫通孔83が形成され、周辺固定接点部60の第2の周辺接点62の近傍を裏面側より支持していたピンにより貫通孔84が形成される。また、中央固定接点部50の接続部分50bを裏面側より支持していたピンにより開口部85及び86が形成され、周辺固定接点部60の接続部分65を裏面側より支持していたピンにより開口部87及び88が形成される。
【0030】
図12及び図13に示されるように、貫通孔81は、ケース30の裏面32より中央固定接点部50の延設支持部55の裏側に向かって、第1の段部81a、第2の段部81b、貫通部81cの順に形成されている。第1の段部81aは、底面81dの外形が約300μm×400μmの略長方形の形状であって、深さd1が20μm〜30μmとなるように形成されている。第2の段部81bは、底面81eの外形が直径約130μmの略円形であって、深さd2が20μm〜30μmとなるように形成されている。貫通部81cは、穴の最も広い部分の直径が約100μmの略円形で形成されており、ケース30の裏面32より離れるに伴い、穴の大きさが狭くなっており、穴の形状は先細となっている。従って、貫通孔81は、ケース30の裏面32に形成された第1の段部81aと、第1の段部81aよりも狭く第1の段部81aよりも深い位置に形成された第2の段部81b、第2の段部81bよりも狭く第2の段部81bよりも深い位置に形成された貫通部81cとにより形成されている。
【0031】
本実施の形態においては、貫通孔81の第1の段部81aと第2の段部81bの間における第1の段部81aの底面81dの最も短い部分の長さ(底面81dの最も短い底面部分の長さ)L1は、第1の段部81aの深さd1よりも長くなるように形成されている。また、第2の段部81bと貫通部81cとの間の第2の段部81bの底面81eの長さ(底面81eの底面部分の長さ)L2は、第2の段部81bの深さd2よりも長くなるように形成されている。第1の段部81aと第2の段部81bの間における第1の段部81aの底面81dの最も短い部分の長さL1を第1の段部81aの深さd1よりも長くすることにより、第1の段部81aに進入したフラックスが第2の段部81bに到達しにくくするとともに、たとえフラックスが到達したとしても時間を要するため、第2の段部81bに進入するフラックスを減らすことができる。また、第2の段部81bと貫通部81cとの間の第2の段部81bの底面81eの長さL2を第2の段部81bの深さd2よりも長くすることにより、第2の段部81bに進入したフラックスが貫通部81cに到達しにくくするとともに、たとえフラックスが到達したとしても時間を要するため、貫通部81cに進入するフラックスを減らすことができる。
【0032】
尚、ケース30はインサート成形により形成されているため、中央固定接点部50と樹脂部材70との間に僅かな隙間が生じている場合があり、このため貫通孔81の貫通部81cにフラックスが進入すると、中央固定接点部50と樹脂部材70との間の僅かな隙間に入り込み広がる場合がある。しかしながら、本実施の形態におけるプッシュスイッチは、貫通孔81の貫通部81cに進入するフラックスを減らすことができるため、中央固定接点部50の第1の中央接点51及び第2の中央接点52までフラックスが回り込むことを抑制することができ、ハンダ付けした後のプッシュスイッチの歩留まりを高めることができる。尚、貫通孔82についても、貫通孔81と同様である。
【0033】
本実施の形態においては、第1の段部81aと第2の段部81bの間における第1の段部81aの底面81dの最も短い部分の長さL1は、約75μmとなり、第2の段部81bと貫通部81cとの間の第2の段部81bの底面81eの長さL2は、約25μmとなるように形成されている。
【0034】
次に、本実施の形態におけるプッシュスイッチにおいて、貫通孔81及び82が形成される位置について図10及び図14に基づき説明する。図14は、貫通孔81及び82の位置を説明するため、樹脂部材70を透過したケース30を裏側から見た図である。本実施の形態においては、貫通孔81は、中央固定接点部50の中央部分50aの延設支持部55の裏側に形成されており、貫通孔82は、中央固定接点部50の中央部分50aの延設支持部56の裏側に形成されている。
【0035】
本実施の形態においては、貫通孔81と貫通孔82とを結ぶ線は、中央固定接点部50の第1の中央接点51と第2の中央接点52との間を通るようにしている。即ち、破線Aで示される貫通孔81の中心と貫通孔82の中心とを結ぶ線は、X1−X2方向と平行であり、この線は、中央固定接点部50における第1の中央接点51と第2の中央接点52との間に位置している。
【0036】
このため、もし、貫通孔81にフラックスが進入したとしても、フラックスは、図15の破線矢印Bに示されるように、貫通孔81より中央固定接点部50の裏側と樹脂部材70との間の隙間を左側に回り込んだ後、端部55aを回り込み、更に、中央固定接点部50の表側と樹脂部材70との間の隙間を右側に回り込まなければ、第1の中央接点51や第2の中央接点52には到達しない。同様に、貫通孔82にフラックスが進入したとしても、フラックスは、図15の破線矢印Cに示されるように、貫通孔82より中央固定接点部50の裏側と樹脂部材70との間の隙間を右側に回り込んだ後、端部56aを回り込み、更に、中央固定接点部50の表側と樹脂部材70との間の隙間を左側に回り込まなければ、第1の中央接点51や第2の中央接点52には到達しない。
【0037】
本実施の形態においては、延設支持部55は、中央固定接点部50の中央部分50aの他の部分よりも、第1の中央接点51や第2の中央接点52から端部55aまでの距離が長く形成されている。このため、フラックスが進入しても進入経路が長く、フラックスが第1の中央接点51や第2の中央接点52に容易に到達することができない。同様に、延設支持部56は、中央固定接点部50の中央部分50aの他の部分よりも、第1の中央接点51や第2の中央接点52から端部56aまでの距離が長く形成されている。このため、フラックスが進入しても進入経路が長く、フラックスが第1の中央接点51や第2の中央接点52に容易に到達することができない。
【0038】
また、本実施の形態においては、延設支持部55の端部55aの近傍には、折り曲げ部55bが形成されている。折り曲げ部55bは、金属板を折り曲げることにより形成されているため、平らではなく曲げられている面を有している。このように、曲げられた面では、平らな面よりもフラックスの濡れ広がりが抑制されるため、フラックスが第1の中央接点51や第2の中央接点52に到達することを防ぐことができる。また、延設支持部56の端部56aの近傍には、折り曲げ部56bが形成されている。折り曲げ部56bは、金属板を折り曲げることにより形成されているため、平らではなく曲げられている面を有している。このように、曲げられた面では、平らな面よりもフラックスの濡れ広がりが抑制されるため、フラックスが第1の中央接点51や第2の中央接点52に到達することを防ぐことができる。
【0039】
以上、実施の形態について詳述したが、特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された範囲内において、種々の変形及び変更が可能である。
【0040】
尚、本国際出願は、2017年2月2日に出願した日本国特許出願第2017−017945号に基づく優先権を主張するものであり、その出願の全内容は本国際出願に援用する。
【符号の説明】
【0041】
10 シート
20 可動接点
21a、21b 周辺部
22 中央部
30 ケース
31 凹部
31a 底面
32 裏面
50 中央固定接点部
50a 中央部分
50b 接続部分
50c 延設部
51 第1の中央接点
52 第2の中央接点
53 端子部
54 端子部
55 延設支持部
56 延設支持部
57 凹部
60 周辺固定接点部
61 第1の周辺接点
62 第2の周辺接点
63 端子部
64 端子部
65 接続部分
70 樹脂部材
81 貫通孔
81a 第1の段部
81b 第2の段部
81c 貫通部
81d 底面
81e 底面
82 貫通孔
83、84 貫通孔
85〜88 開口部
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