特許第6965306号(P6965306)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6965306
(24)【登録日】2021年10月22日
(45)【発行日】2021年11月10日
(54)【発明の名称】画像読取装置および画像形成システム
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/04 20060101AFI20211028BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20211028BHJP
   B41J 29/393 20060101ALI20211028BHJP
   B65H 5/06 20060101ALI20211028BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20211028BHJP
   H04N 1/00 20060101ALI20211028BHJP
【FI】
   H04N1/12 A
   B41J29/38
   B41J29/393 103
   B65H5/06 M
   G03G21/00 370
   H04N1/00 567M
   H04N1/00 567Q
【請求項の数】16
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2019-93799(P2019-93799)
(22)【出願日】2019年5月17日
(62)【分割の表示】特願2017-43606(P2017-43606)の分割
【原出願日】2017年3月8日
(65)【公開番号】特開2019-180084(P2019-180084A)
(43)【公開日】2019年10月17日
【審査請求日】2019年5月17日
【審判番号】不服2020-14837(P2020-14837/J1)
【審判請求日】2020年10月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】特許業務法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】姉崎 努
【合議体】
【審判長】 千葉 輝久
【審判官】 渡辺 努
【審判官】 木方 庸輔
(56)【参考文献】
【文献】 特開2016−191779(JP,A)
【文献】 特開平5−319656(JP,A)
【文献】 特開2010−70368(JP,A)
【文献】 特開2004−184813(JP,A)
【文献】 特開2008−115011(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N1/04-1/207
B41J29/00-29/70
H04N1/00
G03G21/00
B65H5/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙に形成された画像を読み取画像読取装置であって、
前記用紙に形成された画像を読み取る読取部と、
前記用紙を搬送するローラー対であって、前記用紙の搬送方向において前記読取部の読取位置の下流側に設けられ、前記読取位置を通過した前記用紙が最初に到達するローラー対である第1搬送ローラー対と、
前記用紙を搬送するローラー対であって、前記用紙の搬送方向において前記第1搬送ローラー対の下流側に設けられ、前記第1搬送ローラー対を通過した前記用紙が最初に到達するローラー対を含む第2搬送ローラー対と、
記用紙の搬送速度を増速させる増速制御が行われる場合に、当該増速制御が行われない場合に比べて、前記第2搬送ローラー対から前記用紙に作用させる搬送力を低減する搬送力低減部と、
を備え、
前記第1搬送ローラー対は、前記用紙を挟持しているときに前記用紙が引き抜かれることを抑制する、
画像読取装置。
【請求項2】
用紙に形成された画像を読み取画像読取装置であって、
前記用紙に形成された画像を読み取る読取部と、
前記用紙を搬送するローラー対であって、前記用紙の搬送方向において前記読取部の読取位置の下流側に設けられ、前記読取位置を通過した前記用紙が最初に到達するローラー対である第1搬送ローラー対と、
前記用紙を搬送するローラー対であって、前記用紙の搬送方向において前記第1搬送ローラー対の下流側に設けられ、前記第1搬送ローラー対を通過した前記用紙が最初に到達するローラー対を含む第2搬送ローラー対と、
記用紙の搬送速度を増速させる増速制御が行われる場合に、当該増速制御が行われない場合に比べて、前記第2搬送ローラー対から前記用紙に作用させる搬送力を低減する搬送力低減部と、
を備え、
前記第1搬送ローラー対については、前記第1搬送ローラー対から前記用紙に作用させる搬送力を低減する搬送力低減部を備えない、
画像読取装置。
【請求項3】
用紙に形成された画像を読み取る画像読取装置であって、
前記用紙に形成された画像を読み取る読取部と、
前記用紙を搬送するローラー対であって、前記用紙の搬送方向において前記読取部の読取位置の下流側に設けられ、前記読取位置を通過した前記用紙が最初に到達するローラー対であって前記用紙からの力に対して空転しない第1搬送ローラー対と、
前記用紙を搬送するローラー対であって、前記用紙の搬送方向において前記第1搬送ローラー対の下流側に設けられ、前記第1搬送ローラー対を通過した前記用紙が最初に到達するローラー対を含む第2搬送ローラー対と、
前記用紙の搬送速度を増速させる増速制御が行われる場合に、当該増速制御が行われない場合に比べて、前記第2搬送ローラー対から前記用紙に作用させる搬送力を低減する搬送力低減部と、
を備える、
画像読取装置。
【請求項4】
用紙に形成された画像を読み取画像読取装置であって、
前記用紙に形成された画像を読み取る読取部と、
前記用紙を搬送するローラー対であって、前記用紙の搬送方向において前記読取部の読取位置の下流側に設けられ、前記読取位置を通過した前記用紙が最初に到達するローラー対である第1搬送ローラー対と、
前記用紙の搬送方向において第1搬送ローラー対の下流側に設けられた測色位置で前記用紙に形成された前記画像の色を測色する測色部と、
前記用紙を搬送するローラー対であって、前記用紙の搬送方向において前記第1搬送ローラー対の下流側且つ前記測色部の前記測色位置よりも上流に設けられたローラー対を含む第2搬送ローラー対と、
記用紙の搬送速度を増速させる増速制御が行われる場合に、当該増速制御が行われない場合に比べて、前記第2搬送ローラー対から前記用紙に作用させる搬送力を低減する搬送力低減部と、
を備え、
前記第1搬送ローラー対は、前記用紙を挟持しているときに前記用紙が引き抜かれることを抑制する、
画像読取装置。
【請求項5】
用紙に形成された画像を読み取画像読取装置であって、
前記用紙に形成された画像を読み取る読取部と、
前記用紙を搬送するローラー対であって、前記用紙の搬送方向において前記読取部の読取位置の下流側に設けられ、前記読取位置を通過した前記用紙が最初に到達するローラー対である第1搬送ローラー対と、
前記用紙の搬送方向において第1搬送ローラー対の下流側に設けられた測色位置で前記用紙に形成された前記画像の色を測色する測色部と、
前記用紙を搬送するローラー対であって、前記用紙の搬送方向において前記第1搬送ローラー対の下流側且つ前記測色部の前記測色位置よりも上流に設けられたローラー対を含む第2搬送ローラー対と、
記用紙の搬送速度を増速させる増速制御が行われる場合に、当該増速制御が行われない場合に比べて、前記第2搬送ローラー対から前記用紙に作用させる搬送力を低減する搬送力低減部と、
を備え、
前記第1搬送ローラー対については、前記第1搬送ローラー対から前記用紙に作用させる搬送力を低減する搬送力低減部を備えない、
画像読取装置。
【請求項6】
用紙に形成された画像を読み取る画像読取装置であって、
前記用紙に形成された画像を読み取る読取部と、
前記用紙を搬送するローラー対であって、前記用紙の搬送方向において前記読取部の読取位置の下流側に設けられ、前記読取位置を通過した前記用紙が最初に到達するローラー対であって前記用紙からの力に対して空転しない第1搬送ローラー対と、
前記用紙の搬送方向において第1搬送ローラー対の下流側に設けられた測色位置で前記用紙に形成された前記画像の色を測色する測色部と、
前記用紙を搬送するローラー対であって、前記用紙の搬送方向において前記第1搬送ローラー対の下流側且つ前記測色部の前記測色位置よりも上流に設けられたローラー対を含む第2搬送ローラー対と、
前記用紙の搬送速度を増速させる増速制御が行われる場合に、当該増速制御が行われない場合に比べて、前記第2搬送ローラー対から前記用紙に作用させる搬送力を低減する搬送力低減部と、
を備える、
画像読取装置。
【請求項7】
前記第2搬送ローラー対についての前記搬送力低減部として、前記第2搬送ローラー対は前記搬送方向に空転可能な空転機構を介して回転駆動軸に取り付けられ、前記増速制御が行われる場合に前記空転機構によって空転するローラーを含む、
請求項1〜の何れか1項に記載の画像読取装置。
【請求項8】
前記搬送力低減部は、前記増速制御が行われる場合、前記第2搬送ローラー対のうち、一方側のローラーを他方側のローラーから離間する側に移動させる、
請求項1〜の何れか1項に記載の画像読取装置。
【請求項9】
前記増速制御は、前記用紙の後端が前記第1搬送ローラー対における搬送ニップを通過した後に開始される、
請求項1〜の何れか1項に記載の画像読取装置。
【請求項10】
前記読取部は、前記画像の前記用紙上の位置を読み取るように構成される、
請求項1〜の何れか1項に記載の画像読取装置。
【請求項11】
前記第1搬送ローラー対における搬送ニップを通過した後の前記用紙に形成された前記画像の色を測色する測色部を備える、
請求項1〜3の何れか1項に記載の画像読取装置。
【請求項12】
前記第2搬送ローラー対は、複数設けられている、
請求項1〜の何れか1項に記載の画像読取装置。
【請求項13】
前記増速制御は、前記画像読取装置の下流側に設置される、前記用紙に紙揃え、綴じ、および、折りの少なくとも1つの後処理を施すための後処理装置により行われる、
請求項1〜12の何れか1項に記載の画像読取装置。
【請求項14】
画像形成装置に接続可能であって、前記読取部は前記画像形成装置により前記用紙に形成された画像を読み取る、
請求項1〜13の何れか1項に記載の画像読取装置。
【請求項15】
前記用紙に画像を形成する画像形成装置と、
前記画像が形成された前記用紙が搬送される請求項1〜14の何れか1項に記載の画像読取装置と、
前記画像読取装置から前記画像が読み取られた前記用紙が搬送される後処理装置と、
を備える画像形成システム。
【請求項16】
前記後処理装置は、
前記画像読取装置から搬送された前記用紙を搬送する後処理搬送部と、
前記用紙の搬送速度を増速させる増速制御を行うように前記後処理搬送部を制御する後処理制御部と、
を有する、
請求項15に記載の画像形成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像読取装置および画像形成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、電子写真プロセス技術を利用した画像形成装置(プリンター、複写機、ファクシミリ等)は、帯電した感光体ドラム等の像担持体に対して、画像データに基づくレーザー光を照射することにより静電潜像を形成する。そして、静電潜像が形成された像担持体へ現像装置よりトナーを供給することにより静電潜像を可視化してトナー像を形成する。さらに、このトナー像を直接または間接的に用紙に転写させた後、定着ニップで加熱、加圧して定着させることにより用紙にトナー像を形成する。
【0003】
このような画像形成装置と、用紙に形成された画像を読み取り、画像の色、位置、倍率等が正しい値となるように読取情報を画像形成装置にフィードバックする画像読取装置とが接続された画像形成システムの実用化が進められている。画像読取装置において、画像を読み取る際の搬送速度は、遅いほど画像の読み取り精度が向上するが、画像形成システムにおける生産性を落とさないようにするため、画像形成装置における搬送速度と略同じ速度とされている。
【0004】
このような画像形成システムにおいては、画像読取装置の後段に紙揃え、綴じ、折り等の後処理を用紙に施す後処理装置が接続される場合がある。この場合、後処理装置においては、後処理装置における用紙の搬送速度を、画像形成装置における搬送速度よりも速くする。これにより、後処理装置を搬送される用紙と、その次の用紙との間の紙間が広がるので、後処理装置における後処理に必要な時間が確保される。
【0005】
このように後処理装置における搬送速度を増速する制御は、画像読取装置における画像の読取が終了した後、画像読取装置内を搬送される用紙を引き抜くことにより行われる。画像読取装置内の用紙を引き抜くための構成として、例えば、読取部の下流側に位置する各搬送ローラー対を一方向にのみ回転可能なワンウェイクラッチを有するローラーを含む構成とすることが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−252477号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来の構成においては、読取部において、用紙の搬送速度の変動に伴う読み取り不良が発生するおそれがあった。その一つの主要な原因として、以下の事項が挙げられる。具体的には、図1に示すように、ワンウェイクラッチを有するローラー300の上流側における読取部202の部分において、用紙Sに撓みが発生した場合、用紙Sに撓みを解消しようとする復元力(矢印の方向)が働く。
【0008】
そのため、当該復元力に起因して用紙Sの撓んだ部分が用紙Sの搬送方向に移動しようとするため、その移動により、ワンウェイクラッチを有するローラー300の部分の搬送速度が速くなり、ローラー300が空転してしまう。また、ワンウェイクラッチと、その駆動軸との間にガタがあるような場合も、そのガタに起因してワンウェイクラッチを有するローラー300が空転しやすくなる。
【0009】
その結果、読取部202において画像を読み取り中において用紙Sの搬送速度が変動してしまうので、読取部202における読み取り画像に伸び縮みが発生し、ひいては読み取り不良が発生してしまうおそれがあった。
【0010】
本発明の目的は、画像の読取中における用紙の搬送速度の変化に起因した読み取り不良の発生を抑制することが可能な画像読取装置および画像形成システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る画像読取装置は、
用紙に形成された画像を読み取って前記用紙を下流側の装置に送出する画像読取装置であって、
前記用紙に形成された画像を読み取る読取部と、
前記用紙を搬送するローラー対であって、前記用紙の搬送方向において前記読取部の読取位置の下流側に設けられ、前記読取位置を通過した前記用紙が最初に到達するローラー対である第1搬送ローラー対と、
前記用紙を搬送するローラー対であって、前記用紙の搬送方向において前記第1搬送ローラー対の下流側に設けられ、前記第1搬送ローラー対を通過した前記用紙が最初に到達するローラー対である第2搬送ローラー対と、
前記下流側の装置において、前記読取部により画像が読み取られた前記用紙の搬送速度を増速させる増速制御が行われる場合に、当該増速制御が行われない場合に比べて、前記第2搬送ローラー対から前記用紙に作用させる搬送力を低減する搬送力低減部と、
を備え、
前記第1搬送ローラー対は、前記用紙を挟持しているときに前記用紙が引き抜かれることを抑制する。
【0012】
本発明に係る画像形成システムは、
前記用紙に画像を形成する画像形成装置と、
前記画像が形成された前記用紙が搬送される上記の画像読取装置と、
前記画像読取装置から前記画像が読み取られた前記用紙が搬送される後処理装置と、
を備える。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、画像の読み取り中における用紙の搬送速度の変化に起因した読み取り不良の発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】搬送路の、読取部に対向する部分において用紙の撓みが発生した状態を示す図である。
図2】本実施の形態に係る画像形成システムの全体構成を概略的に示す図である。
図3】本実施の形態に係る画像形成システムが備える制御系全体の主要部を示す図である。
図4】第1紙間で搬送中の用紙を示す図である。
図5】第2紙間で搬送中の用紙を示す図である。
図6】搬送路の、読取部に対向する部分において用紙の撓みが発生した状態を示す図である。
図7】用紙の後端が、読取部のすぐ下流にある搬送ローラー対の搬送ニップを通過したときの状態を示す図である。
図8】画像読取装置における読取搬送制御の一例を示すフローチャートである。
図9】第1変形例に係る画像形成システムの全体構成を概略的に示す図である。
図10】第2変形例に係る画像形成システムの全体構成を概略的に示す図である。
図11】第2変形例において、読取部の部分において用紙の撓みが発生した状態を示す図である。
図12】第2変形例において、用紙の後端が、読取部のすぐ下流にある搬送ローラー対の搬送ニップを通過したときの状態を示す図である。
図13】第2変形例に係る画像読取装置における読取搬送制御の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。図2は、本実施の形態に係る画像形成システム100の全体構成を概略的に示す図である。図3は、本実施の形態に係る画像形成システム100が備える制御系全体の主要部を示す図である。
【0016】
図2に示すように、画像形成システム100は、用紙Sの搬送方向に沿って上流側から順に接続された、画像形成装置1、画像読取装置2および後処理装置3を含む。
【0017】
画像形成装置1は、電子写真プロセス技術を利用した中間転写方式のカラー画像形成装置である。すなわち、画像形成装置1は、感光体ドラム413上に形成されたY(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、K(ブラック)の各色トナー像を中間転写ベルト421に一次転写し、中間転写ベルト421上で4色のトナー像を重ね合わせた後、給紙装置1から給紙された長尺紙P、または、給紙トレイユニット51a〜51cから送出された用紙Sに二次転写することにより、画像を形成する。
【0018】
また、画像形成装置1には、YMCKの4色に対応する感光体ドラム413を中間転写ベルト421の走行方向に直列配置し、中間転写ベルト421に一回の手順で各色トナー像を順次転写させるタンデム方式が採用されている。
【0019】
図3に示すように、画像形成装置1は、画像読取部10、操作表示部20、画像処理部30、画像形成部40、用紙搬送部50、定着部60および制御部101を備える。
【0020】
画像形成装置1が備える制御部101は、CPU(Central Processing Unit)102、ROM(Read Only Memory)103、RAM(Random Access Memory)104等を備える。CPU102は、ROM103から処理内容に応じたプログラムを読み出してRAM104に展開し、展開したプログラムと協働して画像形成装置1の各ブロック等の動作を集中制御する。このとき、記憶部72に格納されている各種データが参照される。記憶部72は、例えば不揮発性の半導体メモリ(いわゆるフラッシュメモリ)やハードディスクドライブで構成される。
【0021】
制御部101は、通信部71を介して、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)等の通信ネットワークに接続された外部の装置(例えばパーソナルコンピューター)との間で各種データの送受信を行う。制御部101は、例えば、外部の装置から送信された画像データを受信し、この画像データ(入力画像データ)に基づいて用紙Sに画像を形成させる。通信部71は、例えばLANカード等の通信制御カードで構成される。制御部101には、後述する、画像読取装置2の読取制御部201と、後処理装置3の後処理制御部301も接続されている。
【0022】
図2に示すように、画像読取部10は、ADF(Auto Document Feeder)と称される自動原稿給紙装置11および原稿画像走査装置12(スキャナー)等を備えて構成される。
【0023】
自動原稿給紙装置11は、原稿トレイに載置された原稿Dを搬送機構により搬送して原稿画像走査装置12へ送り出す。自動原稿給紙装置11により、原稿トレイに載置された多数枚の原稿Dの画像(両面を含む)を連続して一挙に読み取ることが可能となる。
【0024】
原稿画像走査装置12は、自動原稿給紙装置11からコンタクトガラス上に搬送された原稿又はコンタクトガラス上に載置された原稿を光学的に走査し、原稿からの反射光をCCD(Charge Coupled Device)センサー12aの受光面上に結像させ、原稿画像を読み取る。画像読取部10は、原稿画像走査装置12による読取結果に基づいて入力画像データを生成する。この入力画像データには、画像処理部30において所定の画像処理が施される。
【0025】
図3に示すように、操作表示部20は、例えばタッチパネル付の液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)で構成され、表示部21及び操作部22として機能する。表示部21は、制御部101から入力される表示制御信号に従って、各種操作画面、画像の状態、各機能の動作状況等の表示を行う。操作部22は、テンキー、スタートキー等の各種操作キーを備え、ユーザーによる各種入力操作を受け付けて、操作信号を制御部101に出力する。
【0026】
画像処理部30は、入力画像データに対して、初期設定又はユーザー設定に応じたデジタル画像処理を行う回路等を備える。例えば、画像処理部30は、制御部101の制御下で、階調補正データ(階調補正テーブル)に基づいて階調補正を行う。また、画像処理部30は、入力画像データに対して、階調補正の他、色補正、シェーディング補正等の各種補正処理や、圧縮処理等を施す。これらの処理が施された画像データに基づいて、画像形成部40が制御される。
【0027】
図2に示すように、画像形成部40は、入力画像データに基づいて、Y成分、M成分、C成分、K成分の各有色トナーによる画像を形成するための画像形成ユニット41Y、41M、41C、41K、中間転写ユニット42等を備える。
【0028】
Y成分、M成分、C成分、K成分用の画像形成ユニット41Y、41M、41C、41Kは、同様の構成を有する。図示及び説明の便宜上、共通する構成要素は同一の符号で示し、それぞれを区別する場合には符号にY、M、C、又はKを添えて示すこととする。図2では、Y成分用の画像形成ユニット41Yの構成要素についてのみ符号が付され、その他の画像形成ユニット41M、41C、41Kの構成要素については符号が省略されている。
【0029】
画像形成ユニット41は、露光装置411、現像装置412、感光体ドラム413、帯電装置414、及びドラムクリーニング装置415等を備える。
【0030】
感光体ドラム413は、例えばアルミニウム製の導電性円筒体(アルミ素管)の周面に、アンダーコート層(UCL:Under Coat Layer)、電荷発生層(CGL:Charge Generation Layer)、電荷輸送層(CTL:Charge Transport Layer)を順次積層した負帯電型の有機感光体(OPC:Organic Photo-conductor)である。
【0031】
制御部101は、感光体ドラム413を回転させる駆動モーター(図示略)に供給される駆動電流を制御することにより、感光体ドラム413を一定の周速度で回転させる。
【0032】
帯電装置414は、光導電性を有する感光体ドラム413の表面を一様に負極性に帯電させる。露光装置411は、例えば半導体レーザーで構成され、感光体ドラム413に対して各色成分の画像に対応するレーザー光を照射する。
【0033】
現像装置412は、二成分現像方式の現像装置であり、感光体ドラム413の表面に各色成分のトナーを付着させることにより静電潜像を可視化してトナー像を形成する。
【0034】
ドラムクリーニング装置415は、感光体ドラム413の表面に摺接されるドラムクリーニングブレード等を有し、一次転写後に感光体ドラム413の表面に残存する転写残トナーを除去する。
【0035】
中間転写ユニット42は、中間転写ベルト421、一次転写ローラー422、複数の支持ローラー423、二次転写ローラー424、及びベルトクリーニング装置426等を備える。
【0036】
中間転写ベルト421は無端状ベルトで構成され、複数の支持ローラー423にループ状に張架される。複数の支持ローラー423のうちの少なくとも1つは駆動ローラーで構成され、その他は従動ローラーで構成される。例えば、K成分用の一次転写ローラー422よりもベルト走行方向下流側に配置されるローラー423Aが駆動ローラーであることが好ましい。これにより、一次転写部におけるベルトの走行速度を一定に保持しやすくなる。駆動ローラー423Aが回転することにより、中間転写ベルト421は矢印A方向に一定速度で走行する。
【0037】
中間転写ベルト421は、導電性および弾性を有するベルトであり、制御部101からの制御信号によって回転駆動される。
【0038】
一次転写ローラー422は、各色成分の感光体ドラム413に対向して、中間転写ベルト421の内周面側に配置される。中間転写ベルト421を挟んで、一次転写ローラー422が感光体ドラム413に圧接されることにより、感光体ドラム413から中間転写ベルト421へトナー像を転写するための一次転写ニップが形成される。
【0039】
二次転写ローラー424は、駆動ローラー423Aのベルト走行方向下流側に配置されるバックアップローラー423Bに対向して、中間転写ベルト421の外周面側に配置される。中間転写ベルト421を挟んで、二次転写ローラー424がバックアップローラー423Bに圧接されることにより、中間転写ベルト421から用紙Sへトナー像を転写するための二次転写ニップが形成される。
【0040】
一次転写ニップを中間転写ベルト421が通過する際、感光体ドラム413上のトナー像が中間転写ベルト421に順次重ねて一次転写される。その後、用紙Sが二次転写ニップを通過する際、中間転写ベルト421上のトナー像が用紙Sに二次転写される。トナー像が転写された用紙Sは定着部60に向けて搬送される。
【0041】
ベルトクリーニング装置426は、二次転写後に中間転写ベルト421の表面に残留する転写残トナーを除去する。
【0042】
定着部60は、用紙Sの定着面、つまりトナー像が形成されている面側に配置される定着面側部材を有する上側定着部60A、用紙Sの裏面、つまり定着面と反対の面側に配置される裏面側支持部材を有する下側定着部60B等を備える。定着面側部材に裏面側支持部材が圧接されることにより、用紙Sを狭持して搬送する定着ニップが形成される。
【0043】
定着部60は、トナー像が二次転写され、搬送されてきた用紙Sを定着ニップで加熱、加圧することにより、用紙Sにトナー像を定着させる。定着部60は、定着器F内にユニットとして配置される。
【0044】
用紙搬送部50は、給紙部51、排紙部52、及び搬送経路部53等を備える。給紙部51を構成する3つの給紙トレイユニット51a〜51cには、坪量やサイズ等に基づいて識別された用紙S(規格用紙、特殊用紙)が予め設定された種類毎に収容される。搬送経路部53は、レジストローラー対53aを含む複数の搬送ローラー対を有する。
【0045】
給紙トレイユニット51a〜51cに収容されている用紙Sは、最上部から一枚ずつ送出され、搬送経路部53により画像形成部40に搬送される。画像形成部40においては、中間転写ベルト421のトナー像が用紙Sの一方の面に一括して二次転写され、定着部60において定着工程が施される。画像形成された用紙Sは、搬送ローラー対(排紙ローラー対)52aを備えた排紙部52により機外に排紙される。
【0046】
図2および図3に示すように、画像読取装置2は、画像形成装置1から排紙された用紙Sに形成された画像を読み取る装置であり、読取制御部201と、読取部202と、測色部203と、読取搬送部210とを備えている。
【0047】
読取制御部201は、読取部202や測色部203から受け取った情報を画像形成装置1の制御部101にフィードバックする。画像形成装置1の制御部101は、画像読取装置2の読取制御部201によりフィードバックされた情報を元に、例えば画像の色、位置、倍率等を正しい値とするように画像の補正を行う。
【0048】
読取部202は、例えば、規則的に配列された多数の読み取り素子を備える、CCD、CMOS等の光学式のイメージセンサーを備えるスキャナーであり、用紙Sに形成された画像の位置および濃度を読取可能に構成されている。読取部202は、読み取った画像の情報を読取制御部201に出力する。
【0049】
測色部203は、例えば、分光測色計であり、画像の色、明度および彩度を読取可能に構成されている。測色部203は、読み取った画像の情報を読取制御部201に出力する。
【0050】
読取搬送部210は、用紙Sの搬送方向に並ぶ読取上流ローラー対211、読取下流ローラー対212及び機外搬送ローラー対213を有しており、画像形成装置1から排紙された用紙Sを後処理装置3に向けて搬送する。
【0051】
読取上流ローラー対211は、用紙Sの搬送方向において読取部202における読取位置よりも上流側に位置し、画像形成装置1から搬送された用紙Sを受け取って、読取部202における読取位置に向けて搬送する。
【0052】
読取下流ローラー対212は、用紙Sの搬送方向において、読取部202における読取位置よりも下流側に位置する第1搬送ローラー対であり、機外搬送ローラー対213よりも上流側に位置している。
【0053】
読取下流ローラー対212は、所定のニップ圧を維持しながら用紙Sを搬送する。つまり、読取下流ローラー対212は、読取制御部201により設定された搬送速度で用紙Sを搬送する。
【0054】
機外搬送ローラー対213は、測色部203における測色位置よりも下流側に位置する第2搬送ローラー対であり、画像に関連する情報を読取部202および測色部203により読み取られた用紙Sを画像読取装置2の機外、つまり、後処理装置3に向けて搬送する。
【0055】
機外搬送ローラー対213を構成する2つのローラーのうち、下側の下側ローラー213Aは、用紙Sの搬送方向にのみ回転する一方向回転ローラーである。下側ローラー213Aは、搬送方向に空転可能な空転機構を介して回転駆動軸に取り付けられている。
【0056】
空転機構としては、例えば、同軸上の内輪と外輪との間で一方向のトルクを伝達する構造であるワンウェイクラッチや電気クラッチ等が挙げられる。ただし、コストや性能を考慮すると、ワンウェイクラッチを有するローラーを空転機構として採用することが望ましい。
【0057】
この空転機構が機外搬送ローラー対213に設けられることで、機外搬送ローラー対213による用紙Sの搬送中に、後処理装置3により用紙Sの搬送速度が増速された場合、下側ローラー213Aが用紙Sに連れ回りする。
【0058】
これにより、機外搬送ローラー対213が空転するので、自動的に機外搬送ローラー対213における用紙Sに作用する搬送力が低減される。そのため、画像読取装置2と後処理装置3との速度差が吸収されて、用紙Sの搬送速度を後処理装置3内の搬送速度にスムーズに同期させることができる。
【0059】
後処理装置3は、紙揃え、綴じ、折り等の後処理を用紙に施すための装置であり、後処理制御部301と、後処理搬送部302と、後処理部303とを備えている。
【0060】
後処理制御部301は、後処理搬送部302を制御することにより、後処理装置3における用紙Sの搬送速度を増速する制御する。
【0061】
後処理搬送部302は、搬送ローラー対を有しており、画像読取装置2から搬送された用紙Sを後処理部303に向けて搬送する。後処理搬送部302により搬送された用紙Sは後処理部303において後処理が施されて機外に排紙される。
【0062】
ところで、画像読取装置2においては、読取部202により画像を読み取る際の搬送速度は、遅いほど画像の読み取り精度が向上するが、画像形成システム100における生産性を落とさないため、画像形成装置1における搬送速度と略同じ速度とされる。
【0063】
しかしながら、後処理装置3においては、画像読取装置2における搬送速度と同じ搬送速度で用紙Sを搬送した場合、後処理部303により後処理されている際に、次の用紙Sが搬送されてくる。その結果、画像読取装置2における搬送速度と同じ搬送速度で用紙Sを搬送した場合、後処理される用紙Sと、その次の用紙Sとの紙間が狭まってしまう。
【0064】
具体的には、図4に示すように、画像形成装置1および画像読取装置2における紙間が第1紙間に設定されている場合、後処理装置3により後処理されている間に第1紙間よりも狭い紙間となってしまう。
【0065】
そのため、後処理装置3においては、後処理装置3における用紙Sの搬送速度を、画像形成装置1および画像読取装置2における用紙Sの搬送速度よりも速くする。
【0066】
これにより、図5に示すように、後処理装置3により画像読取装置2内の用紙Sが引き抜かれることになるので、紙間が第1紙間よりも広い第2紙間となる。その結果、後処理装置3における後処理に必要となる時間が確保される。
【0067】
なお、後処理装置3における用紙Sの搬送速度は、後処理の内容に応じて適宜設定され、例えば、画像形成装置1および画像読取装置2における用紙Sの搬送速度の約2倍程度の搬送速度に設定される。
【0068】
また、後処理装置3において用紙Sを引き抜かれる際、機外搬送ローラー対213が空転するので、後処理装置3にスムーズに用紙Sが引き抜かれる。
【0069】
ところで、機外搬送ローラー対213の上流側、具体的には、読取部202における読取位置の部分において、搬送される用紙Sに撓みが発生する場合がある。このような撓みは、例えば、搬送される用紙Sが読取下流ローラー対212の搬送ニップ(以下、「読取下流ニップ」という)に進入せずに、読取下流ローラー対212の何れか一方に衝突したような場合に発生する。
【0070】
用紙Sに撓みが発生すると、用紙Sに当該撓みを解消しようとする復元力が働くため、当該復元力に起因して用紙Sの撓んだ部分が搬送方向に移動しようとする。そのため、例えば、読取下流ローラー対212が空転機構を有するローラーを含む場合、用紙Sの移動により、当該ローラーが空転してしまう。
【0071】
さらに言えば、空転機構と、その回転駆動軸との間にガタがあるような場合、そのガタがある分だけ、空転機構を有するローラーがさらに空転しやすくなってしまう。
【0072】
その結果、読取部202において画像を読み取り中において用紙Sの搬送速度が増速してしまうので、読取部202における読取画像に伸び縮みが発生し、ひいては読取不良が発生してしまうおそれがあった。
【0073】
しかし、本実施の形態では、図6に示すように、読取下流ローラー対212が所定のニップ圧を維持しながら用紙Sを搬送する。そのため、用紙Sに撓みを解消しようとする復元力が働いても、読取下流ローラー対212が空転することがない。すなわち、本実施の形態では、画像の読取中における用紙Sの搬送速度の変化に起因した読取不良の発生を抑制することができる。
【0074】
また、画像読取装置2においては、後処理装置3により用紙Sの搬送速度を増速させる増速制御が行われる場合に、機外搬送ローラー対213が空転するので、増速制御が行われない場合に比べて、機外搬送ローラー対213から用紙Sに作用させる搬送力を低減させることができる。つまり、機外搬送ローラー対213に設けられた空転機構が搬送力低減部として機能する。
【0075】
具体的には、図7に示すように、読取制御部201は、用紙Sの後端が読取下流ローラー対212における読取下流ニップを通過したタイミングで、用紙Sの搬送速度を変更するための制御として、後処理制御部301に当該タイミングの情報を出力する。
【0076】
なお、読取下流ニップを通過したタイミングは、用紙Sの搬送時間で規定しても良いし、読取下流ニップの下流側に例えば、公知の通紙検出部を設けて、当該通紙検出部からの情報に基づいて規定しても良い。
【0077】
そして、後処理制御部301は、当該タイミングの情報を取得し、当該情報に基づいて後処理装置3における用紙Sの搬送速度を第1速度から、第1速度より大きい第2速度に増速するように後処理搬送部302を制御する。
【0078】
これにより、読取位置における用紙Sの撓みが解消した後や、読取部202による画像読取が終了した後に用紙Sの搬送速度が変更されるので、読取部202における読取不良が発生することを確実に防止することができる。また、読取下流ローラー対212により用紙Sを挟持しているときに用紙Sが引き抜かれることを抑制することができる。
【0079】
以上のように構成された画像読取装置2における読取搬送制御の一例について説明する。図8は、画像読取装置2における読取搬送制御の一例を示すフローチャートである。図8における処理は、画像読取装置2内に用紙Sが搬送された際に適宜実行される。
【0080】
図8に示すように、読取制御部201は、読取部202による読取が完了したか否かについて判定する(ステップS101)。判定の結果、読取が完了していない場合(ステップS101、NO)、ステップS101の処理が繰り返される。一方、読取が完了した場合(ステップS101、YES)、読取制御部201は、画像読取装置2の後段に後処理装置3があるか否かについて判定する(ステップS102)。
【0081】
判定の結果、後処理装置3が接続されていない場合(ステップS102、NO)、搬送速度を変更されないまま用紙Sが機外に搬送されて本制御は終了する。一方、後処理装置3がある場合(ステップS102、YES)、読取制御部201は、後処理装置3において搬送速度を増速する必要があるか否かについて判定する(ステップS103)。
【0082】
判定の結果、増速する必要がない場合(ステップS103、NO)、搬送速度を変更されないまま用紙Sが機外に搬送されて本制御は終了する。一方、増速する必要がある場合(ステップS103、YES)、読取制御部201は、用紙Sの後端が読取下流ニップを通過したか否かについて判定する(ステップS104)。
【0083】
判定の結果、用紙Sの後端が読取下流ニップを通過していない場合(ステップS104、NO)、ステップS104の処理が繰り返される。一方、用紙Sの後端が読取下流ニップを通過した場合(ステップS104、YES)、読取制御部201は、用紙Sの後端が読取下流ニップを通過した旨の情報を後処理制御部301に出力して、後処理装置3に増速開始を指示する(ステップS105)。その後、用紙Sが機外に搬送されて本制御は終了する。
【0084】
以上のように構成された本実施の形態によれば、読取部202における画像の読取中においては読取下流ローラー対212により第1速度により搬送され、読取不良が発生しないタイミングで、用紙Sの搬送速度が第1速度から第2速度に増速される。そのため、画像の読取中における用紙Sの搬送速度の変化に起因した読取不良の発生を抑制することができる。
【0085】
また、用紙Sの後端が読取下流ローラー対212における読取下流ニップを通過したタイミングで、用紙Sの搬送速度が増速されるので、読取位置における用紙Sの撓みが解消した後や、読取部202による画像読取が終了した後に搬送速度が変更される。そのため、読取部202における読取不良が発生することを確実に防止することができる。また、読取下流ローラー対212により用紙Sを挟持しているときに用紙Sが引き抜かれることを抑制することができる。
【0086】
ところで、測色部203は、画像の色を測色するためのものであり、画像の情報を正確に読み取るためのものではないので、用紙Sの搬送速度が変化してもその影響を受けない。すなわち、測色部203による測色中に、用紙Sの後端が読取下流ニップを通過し、用紙Sの搬送速度が増速されても、測色部203による測色に悪影響を与えることがない。そのため、読取部202による読取が終了したタイミングで速やかに用紙Sの搬送速度を増速させることができる。
【0087】
なお、上記実施の形態では、画像読取装置2内に読取部202が1つのみ設けられていたが、本発明はこれに限定されず、例えば、図9に示すように、読取部202を2つ設けた構成であっても良い。
【0088】
この構成においては、読取部202は、画像読取装置2内において、用紙Sの搬送経路の下側および上側に一つずつ設けられている。下側の読取部202Aは、画像読取装置2内で用紙Sの下側を向く面に形成された画像の情報を読み取る。上側の読取部202Bは、下側の読取部202Aよりも搬送方向の下流側に位置し、画像読取装置2内で用紙Sの上側を向く面に形成された画像の情報を読み取る。
【0089】
そして、この形態における読取下流ローラー対212は、搬送方向の最下流側に位置する読取部202の読取位置よりも下流側に位置する。具体的には、読取下流ローラー対212は、上側の読取部202Bにおける読取位置よりも下流側に位置している。
【0090】
機外搬送ローラー対213は、読取下流ローラー対212よりも下流側において、複数設けられている。具体的には、機外搬送ローラー対213は、測色部203における測色位置よりも上流側に1つ、下流側に2つの計3つ設けられている。
【0091】
この複数の機外搬送ローラー対213により、用紙Sをしっかりと保持した状態で測色部203における測色を行うことができる。また、各機外搬送ローラー対213が用紙Sを挟持した状態において、用紙Sの搬送速度が増速された場合でも、各機外搬送ローラー対213の全てが空転するため、後処理装置3により用紙Sを速やかに引き抜くことができる。
【0092】
また、図2の構成において、用紙Sにおける両面の画像の位置を読み取る場合、例えば、画像読取装置2内に用紙Sを反転させる反転経路を設け、当該反転経路を用紙Sが通ることで、再度読取位置に搬送されるような構成とすれば良い。
【0093】
また、上記実施の形態では、機外搬送ローラー対213は一方向回転ローラーを含む構成であったが、本発明はこれに限定されず、図10に示すように、ニップ圧を変更可能に構成された構成であっても良い。
【0094】
この構成における機外搬送ローラー対214は、各ローラーを接離可能に構成されている。読取制御部201は、用紙Sの搬送速度が増速された場合、機外搬送ローラー対214を構成する一方側のローラーを、他方側のローラーから離間する側に移動させる。
【0095】
具体的には、図11に示すように、機外搬送ローラー対214は、読取下流ローラー対212により用紙Sが挟持されている間は、機外搬送ローラー対214は、読取下流ローラー対212と同様に所定のニップ圧を維持しながら用紙Sを搬送する。
【0096】
そして、図12に示すように、機外搬送ローラー対214は、用紙Sの後端が読取下流ローラー対212における読取下流ニップを通過した後、読取制御部201による制御に基づいて、上側のローラー214Aが用紙Sから離間する。これにより、用紙Sに作用する搬送力が低減される。つまり、本構成例においては、読取制御部201及び読取制御部201からの指示に基づき離間する機構を有する機外搬送ローラー対214とで搬送力低減部が構成される。
【0097】
以上のように構成された画像読取装置2における読取搬送制御の一例について説明する。図13は、図10に示す構成(第2変形例)に係る画像読取装置2における読取搬送制御の一例を示すフローチャートである。図13における処理は、画像読取装置2内に用紙Sが搬送された際に適宜実行される。
【0098】
図13に示すように、読取制御部201は、読取部202による読取が完了したか否かについて判定する(ステップS201)。判定の結果、読取が完了していない場合(ステップS201、NO)、ステップS201の処理が繰り返される。一方、読取が完了した場合(ステップS201、YES)、読取制御部201は、画像読取装置2の後段に後処理装置3があるか否かについて判定する(ステップS202)。
【0099】
判定の結果、後処理装置3がない場合(ステップS202、NO)、用紙Sが、搬送速度を変更されずに機外に搬送されて本制御は終了する。一方、後処理装置3がある場合(ステップS202、YES)、読取制御部201は、後処理装置3において搬送速度を増速する必要があるか否かについて判定する(ステップS203)。
【0100】
判定の結果、増速する必要がない場合(ステップS203、NO)、用紙Sが、搬送速度を変更されずに機外に搬送されて本制御は終了する。一方、増速する必要がある場合(ステップS203、YES)、読取制御部201は、用紙Sの後端が読取下流ニップを通過したか否かについて判定する(ステップS204)。
【0101】
判定の結果、用紙Sの後端が読取下流ニップを通過していない場合(ステップS204、NO)、ステップS204の処理が繰り返される。一方、用紙Sの後端が読取下流ニップを通過した場合(ステップS204、YES)、読取制御部201は、機外搬送ローラー対214における一方側のローラーを、他方側のローラーから離間させる(ステップS205)。
【0102】
次に、読取制御部201は、用紙Sの後端が読取下流ニップを通過した旨の情報を後処理制御部301に出力して、後処理装置3に増速開始を指示する(ステップS206)。その後、用紙Sが機外に搬送されて本制御は終了する。
【0103】
このような構成であっても、画像の読取中における用紙Sの搬送速度の変化に起因した読取不良の発生を抑制することができる。
【0104】
また、図10に示す構成では、機外搬送ローラー対214は1つのみ設けられていたが、例えば、図9に示す構成のように読取部202が複数設けられる構成の場合、複数設けても良い。具体的には、図9に示す機外搬送ローラー対213を、図10に示す機外搬送ローラー対214に置き換えれば良い。
【0105】
また、各実施の形態においては、後処理装置3内の後処理搬送部302により用紙Sの搬送速度を増速させていたが、本発明はこれに限定されない。例えば、画像読取装置2内において、機外搬送ローラー対よりも下流側の位置に所定のニップ圧が維持される搬送ローラー対を設け、読取制御部201の制御の下、当該搬送ローラー対を制御することで、用紙Sの搬送速度を増速させても良い。また、機外搬送ローラー対が複数設けられる場合、最下流側に位置する機外搬送ローラー対のみの回転速度を増やすことで、用紙Sの搬送速度を増速させても良い。
【0106】
その他、上記実施の形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその要旨、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【符号の説明】
【0107】
1 画像形成装置
2 画像読取装置
3 後処理装置
201 読取制御部
202 読取部
203 測色部
210 読取搬送部
212 読取下流ローラー対(第1搬送ローラー対)
213 機外搬送ローラー対(第2搬送ローラー対)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13