特許第6965324号(P6965324)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6965324
(24)【登録日】2021年10月22日
(45)【発行日】2021年11月10日
(54)【発明の名称】無線端末
(51)【国際特許分類】
   H04W 76/27 20180101AFI20211028BHJP
   H04W 48/12 20090101ALI20211028BHJP
【FI】
   H04W76/27
   H04W48/12
【請求項の数】4
【全頁数】28
(21)【出願番号】特願2019-199017(P2019-199017)
(22)【出願日】2019年10月31日
(62)【分割の表示】特願2018-516992(P2018-516992)の分割
【原出願日】2017年5月8日
(65)【公開番号】特開2020-36351(P2020-36351A)
(43)【公開日】2020年3月5日
【審査請求日】2019年10月31日
(31)【優先権主張番号】62/335,882
(32)【優先日】2016年5月13日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001106
【氏名又は名称】キュリーズ特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】藤代 真人
(72)【発明者】
【氏名】福田 憲由
(72)【発明者】
【氏名】チャン ヘンリー
【審査官】 青木 健
(56)【参考文献】
【文献】 Ericsson,RRC Resume signalling flow and RRC actions[online],3GPP TSG-RAN WG2#93 R2-161751,インターネット<URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ra,2016年02月15日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04W 4/00 − 99/00
H04B 7/24 − 7/26
3GPP TSG RAN WG1−4
SA WG1−4
CT WG1,4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザ装置であって、
特定上りリンク信号の送信が特定状態において送信可能か否かを示す設定情報をネットワークから受信する処理を行う制御部を備え、
前記特定上りリンク信号は、前記ユーザ装置がRRCコネクティッド状態において送信可能な上りリンク信号であり、
前記特定状態は、前記ユーザ装置のRRC接続がサスペンドされている状態であり、
前記ユーザ装置が前記特定状態にある場合、前記制御部は、前記設定情報に基づいて、前記ユーザ装置が前記特定状態において前記特定上りリンク信号を送信可能と判断した場合、前記特定上りリンク信号を送信する
ユーザ装置。
【請求項2】
前記設定情報は、前記ネットワークからブロードキャストされるシステム情報ブロックに含まれており、
前記ユーザ装置が前記特定状態にある場合、前記制御部は、前記システム情報ブロックに含まれる前記設定情報を受信する
請求項1に記載のユーザ装置。
【請求項3】
ユーザ装置のためのプロセッサであって、
前記プロセッサは、特定上りリンク信号の送信が特定状態において送信可能か否かを示す設定情報をネットワークから受信する処理を行い、
前記特定上りリンク信号は、前記ユーザ装置がRRCコネクティッド状態において送信可能な上りリンク信号であり、
前記特定状態は、前記ユーザ装置のRRC接続がサスペンドされている状態であり、
前記ユーザ装置が前記特定状態にある場合、前記プロセッサは、前記設定情報に基づいて、前記ユーザ装置が前記特定状態において前記特定上りリンク信号を送信可能と判断した場合、前記特定上りリンク信号を送信する
プロセッサ。
【請求項4】
ユーザ装置のための方法であって、
特定上りリンク信号の送信が特定状態において送信可能か否かを示す設定情報をネットワークから受信するステップであって、前記特定上りリンク信号は、前記ユーザ装置がRRCコネクティッド状態において送信可能な上りリンク信号であり、前記特定状態は、前記ユーザ装置のRRC接続がサスペンドされている状態である、ステップと、
前記ユーザ装置が前記特定状態にある場合、前記設定情報に基づいて、前記ユーザ装置が前記特定状態において前記特定上りリンク信号を送信可能と判断した場合、前記特定上りリンク信号を送信するステップと、を備える方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動通信システムにおいて用いられる無線端末に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、多数のアプリケーションを実行可能なスマートフォン等の無線端末の普及により、無線端末がネットワークに接続する頻度及びネットワークが無線端末のページングを行う頻度が増加している。
【0003】
このため、移動通信システムにおいて、シグナリングに伴うネットワークの負荷が高まっている。このような状況に鑑み、移動通信システムの標準化プロジェクトである3GPP(3rd Generation Partnership Project)においてシグナリングを削減するための技術の検討が進められている。
【発明の概要】
【0004】
一実施形態に係る無線端末は、前記無線端末がRRCコネクティッド状態にある場合において、ネットワークから設定された設定パラメータに従って所定の機能を実行する制御部を備える。前記制御部は、前記無線端末が前記RRCコネクティッド状態から特定状態に遷移したことに応じて、前記設定パラメータの少なくとも一部を無効化する。前記特定状態は、前記RRCコネクティッド状態に比べてシグナリングが削減される状態であって、かつ、前記無線端末のコンテキスト情報が前記ネットワークに維持される状態である。
【0005】
一実施形態に係る無線端末は、特定上りリンク信号の送信が特定状態において必要であるか否かを示す設定情報をネットワークから受信する処理を行う制御部を備える。前記特定上りリンク信号は、前記無線端末がRRCコネクティッド状態において送信するよう規定された上りリンク信号である。前記特定状態は、前記RRCコネクティッド状態に比べてシグナリングが削減される状態であって、かつ、前記無線端末のコンテキスト情報が前記ネットワークに維持される状態である。前記制御部は、前記無線端末が前記RRCコネクティッド状態から前記特定状態に遷移した後、前記特定上りリンク信号を送信するか否かを前記設定情報に基づいて判断する。
【0006】
一実施形態に係る無線端末は、前記無線端末が特定状態にある場合において、下りリンクの無線状態の測定を行う制御部を備える。前記特定状態は、RRCコネクティッド状態に比べてシグナリングが削減される状態であって、かつ、前記無線端末のコンテキスト情報がネットワークに維持される状態である。前記制御部は、セル単位ではなく、複数のセルからなる所定エリア単位で前記測定を行う。
【0007】
一実施形態に係る無線端末は、上りリンク送信用の無線リソースプールを示す情報をネットワークから受信する処理を行う制御部を備える。前記無線端末が特定状態にある場合において、前記制御部は、前記無線リソースプールの中から無線リソースを選択し、選択した無線リソースを用いて前記上りリンク送信を行う。前記特定状態は、RRCコネクティッド状態に比べてシグナリングが削減される状態であって、かつ、前記無線端末のコンテキスト情報が前記ネットワークに維持される状態である。
【0008】
一実施形態に係る無線端末は、前記無線端末が特定状態にある場合において、前記無線端末のサービングセルとして用いる対象セルを再選択するセル再選択を行う制御部を備える。前記特定状態は、RRCコネクティッド状態に比べてシグナリングが削減される状態であって、かつ、前記無線端末のコンテキスト情報がネットワークに維持される状態である。前記セル再選択は、前記サービングセルとして選択される前記対象セルを配分するための再配分プロシージャを含む。前記制御部は、前記無線端末が前記RRCコネクティッド状態から前記特定状態に遷移してから所定の期間において前記再配分プロシージャを無効化する。
【0009】
一実施形態に係る無線端末は、前記無線端末が特定状態にある場合において、前記無線端末のサービングセルとして用いる対象セルを再選択するセル再選択を行う制御部を備える。前記特定状態は、RRCコネクティッド状態に比べてシグナリングが削減される状態であって、かつ、前記無線端末のコンテキスト情報がネットワークに維持される状態である。前記セル再選択は、前記サービングセルとして選択される前記対象セルを配分するための再配分プロシージャを含む。前記制御部は、前記RRCアイドル状態用の再配分プロシージャを変更した特別な再配分プロシージャを用いて、前記特定状態における前記セル再選択を行う。
【0010】
一実施形態に係る無線端末は、前記無線端末が特定状態にある場合において、前記無線端末のサービングセルとして用いる対象セルを再選択するセル再選択を行う制御部を備える。前記特定状態は、RRCコネクティッド状態に比べてシグナリングが削減される状態であって、かつ、前記無線端末のコンテキスト情報がネットワークに維持される状態である。前記制御部は、前記特定状態の間に行った前記セル再選択に関する情報を記録する。前記制御部は、前記記録した情報を前記ネットワークに送信する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施形態に係るLTEシステムの構成を示す図である。
図2】実施形態に係るUE(無線端末)の構成を示す図である。
図3】実施形態に係るeNB(基地局)の構成を示す図である。
図4】実施形態に係る無線インターフェイスのプロトコルスタックの構成を示す図である。
図5】実施形態に係る無線フレームの構成を示す図である。
図6】第1実施形態に係る動作を示す図である。
図7】第1実施形態の変更例2に係る動作を示す図である。
図8】第1実施形態の変更例3に係る動作を示す図である。
図9】第2実施形態に係る動作を示す図である。
図10】第4実施形態に係る動作を示す図である。
図11】第6実施形態に係る動作を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(移動通信システムの構成)
実施形態に係る移動通信システムの構成について説明する。図1は、実施形態に係る移動通信システムであるLTE(Long Term Evolution)システムの構成を示す図である。LTEシステムは、3GPP規格に基づく移動通信システムである。
【0013】
図1に示すように、LTEシステムは、UE(User Equipment)100、E−UTRAN(Evolved−UMTS Terrestrial Radio Access Network)10、及びEPC(Evolved Packet Core)20を備える。
【0014】
UE100は、無線端末に相当する。UE100は、移動型の通信装置であり、セル(サービングセル)との無線通信を行う。
【0015】
E−UTRAN10は、無線アクセスネットワークに相当する。E−UTRAN10は、eNB200(evolved Node−B)を含む。eNB200は、基地局に相当する。eNB200は、X2インターフェイスを介して相互に接続される。
【0016】
eNB200は、1又は複数のセルを管理する。eNB200は、eNB200のセルとの接続を確立したUE100との無線通信を行う。eNB200は、無線リソース管理(RRM)機能、ユーザデータ(以下、単に「データ」という)のルーティング機能、モビリティ制御・スケジューリングのための測定制御機能等を有する。「セル」は、無線通信エリアの最小単位を示す用語として用いられる。「セル」は、UE100との無線通信を行う機能を示す用語としても用いられる。
【0017】
EPC20は、コアネットワークに相当する。EPC20は、MME(Mobility Management Entity)/S−GW(Serving−Gateway)300を含む。MMEは、UE100に対する各種モビリティ制御等を行う。S−GWは、データの転送制御を行う。MME/S−GW300は、S1インターフェイスを介してeNB200と接続される。
【0018】
図2は、UE100(無線端末)の構成を示す図である。図2に示すように、UE100は、受信部110、送信部120、及び制御部130を備える。
【0019】
受信部110は、制御部130の制御下で各種の受信を行う。受信部110は、アンテナ及び受信機を含む。受信機は、アンテナが受信する無線信号をベースバンド信号(受信信号)に変換して制御部130に出力する。
【0020】
送信部120は、制御部130の制御下で各種の送信を行う。送信部120は、アンテナ及び送信機を含む。送信機は、制御部130が出力するベースバンド信号(送信信号)を無線信号に変換してアンテナから送信する。
【0021】
制御部130は、UE100における各種の制御を行う。制御部130は、少なくとも1つのプロセッサ及びメモリを含む。メモリは、プロセッサにより実行されるプログラム、及びプロセッサによる処理に用いられる情報を記憶する。プロセッサは、ベースバンド信号の変調・復調及び符号化・復号等を行うベースバンドプロセッサと、メモリに記憶されるプログラムを実行して各種の処理を行うCPU(Central Processing Unit)と、を含む。プロセッサは、後述する処理を実行する。
【0022】
図3は、eNB200(基地局)の構成を示す図である。図3に示すように、eNB200は、送信部210、受信部220、制御部230、及びバックホール通信部240を備える。
【0023】
送信部210は、制御部230の制御下で各種の送信を行う。送信部210は、アンテナ及び送信機を含む。送信機は、制御部230が出力するベースバンド信号(送信信号)を無線信号に変換してアンテナから送信する。
【0024】
受信部220は、制御部230の制御下で各種の受信を行う。受信部220は、アンテナ及び受信機を含む。受信機は、アンテナが受信する無線信号をベースバンド信号(受信信号)に変換して制御部230に出力する。
【0025】
制御部230は、eNB200における各種の制御を行う。制御部230は、少なくとも1つのプロセッサ及びメモリを含む。メモリは、プロセッサにより実行されるプログラム、及びプロセッサによる処理に用いられる情報を記憶する。プロセッサは、ベースバンド信号の変調・復調及び符号化・復号等を行うベースバンドプロセッサと、メモリに記憶されるプログラムを実行して各種の処理を行うCPU(Central Processing Unit)と、を含む。プロセッサは、後述する処理を実行する。
【0026】
バックホール通信部240は、X2インターフェイスを介して隣接eNB200と接続され、S1インターフェイスを介してMME/S−GW300と接続される。バックホール通信部240は、X2インターフェイス上で行う通信及びS1インターフェイス上で行う通信等に用いられる。
【0027】
図4は、LTEシステムにおける無線インターフェイスのプロトコルスタックの構成を示す図である。図4に示すように、無線インターフェイスプロトコルは、OSI参照モデルの第1層乃至第3層に区分されており、第1層は物理(PHY)層である。第2層は、MAC(Medium Access Control)層、RLC(Radio Link Control)層、及びPDCP(Packet Data Convergence Protocol)層を含む。第3層は、RRC(Radio Resource Control)層を含む。
【0028】
物理層は、符号化・復号、変調・復調、アンテナマッピング・デマッピング、及びリソースマッピング・デマッピングを行う。UE100の物理層とeNB200の物理層との間では、物理チャネルを介してデータ及び制御情報が伝送される。
【0029】
MAC層は、データの優先制御、ハイブリッドARQ(HARQ)による再送処理、及びランダムアクセスプロシージャ等を行う。UE100のMAC層とeNB200のMAC層との間では、トランスポートチャネルを介してデータ及び制御情報が伝送される。eNB200のMAC層は、スケジューラを含む。スケジューラは、上下リンクのトランスポートフォーマット(トランスポートブロックサイズ、変調・符号化方式(MCS))及びUE100への割当リソースブロックを決定する。
【0030】
RLC層は、MAC層及び物理層の機能を利用してデータを受信側のRLC層に伝送する。UE100のRLC層とeNB200のRLC層との間では、論理チャネルを介してデータ及び制御情報が伝送される。
【0031】
PDCP層は、ヘッダ圧縮・伸張、及び暗号化・復号化を行う。
【0032】
RRC層は、制御情報を取り扱う制御プレーンでのみ定義される。UE100のRRC層とeNB200のRRC層との間では、各種設定のためのメッセージ(RRCメッセージ)が伝送される。RRC層は、無線ベアラの確立、再確立及び解放に応じて、論理チャネル、トランスポートチャネル、及び物理チャネルを制御する。UE100のRRCとeNB200のRRCとの間に接続(RRC接続)がある場合、UE100はRRCコネクティッド状態であり、そうでない場合、UE100はRRCアイドル状態である。
【0033】
RRC層の上位に位置するNAS(Non−Access Stratum)層は、セッション管理及びモビリティ管理等を行う。
【0034】
図5は、LTEシステムにおいて用いられる無線フレームの構成を示す図である。図5に示すように、無線フレームは、時間方向に並ぶ10個のサブフレームで構成される。各サブフレームは、時間方向に並ぶ2個のスロットで構成される。各サブフレームの長さは1msであり、各スロットの長さは0.5msである。各サブフレームは、周波数方向に複数個のリソースブロック(RB)を含み、時間方向に複数個のシンボルを含む。各リソースブロックは、周波数方向に複数個のサブキャリアを含む。1つのシンボル及び1つのサブキャリアにより1つのリソースエレメント(RE)が構成される。また、UE100に割り当てられる無線リソース(時間・周波数リソース)のうち、周波数リソースはリソースブロックにより特定でき、時間リソースはサブフレーム(又はスロット)により特定できる。
【0035】
下りリンクにおいて、各サブフレームの先頭数シンボルの区間は、主に下りリンク制御情報(DCI)を伝送するための物理下りリンク制御チャネル(PDCCH)として用いられる領域である。また、各サブフレームの残りの部分は、主に下りリンクデータを伝送するための物理下りリンク共有チャネル(PDSCH)として用いることができる領域である。
【0036】
上りリンクにおいて、各サブフレームにおける周波数方向の両端部は、主に上りリンク制御情報(UCI)を伝送するための物理上りリンク制御チャネル(PUCCH)として用いられる領域である。各サブフレームにおける残りの部分は、主に上りリンクデータを伝送するための物理上りリンク共有チャネル(PUSCH)として用いることができる領域である。
【0037】
(特定状態)
実施形態に係る特定状態について説明する。
【0038】
特定状態は、UE100のコンテキスト情報(UEコンテキスト)がネットワークに維持されつつ、RRCコネクティッド状態に比べてシグナリングが削減される状態である。UEコンテキストは、UE100に対する各種の設定及び能力等に関する情報を含む。各種の設定は、AS(Access Stratum)の設定を含む。特定状態は、Light Connected状態及びSuspend状態を含む。また、Light Connected状態は、UE100に対するS1接続を維持した状態であってもよい。Light Connected状態は、RRC接続が解放されている状態であってもよい。
【0039】
なお、Light Connected状態は、Light Connection状態と称されてもよい。また、Light Connected(Light Connection)状態は、Light Connected(Light Connection)モードと称されてもよい。Suspend状態は、Suspendモードと称されてもよい。
【0040】
特定状態は、eNB200の指示に応じて開始されてもよい。UE100は、eNB200からの指示に応じてRRCコネクティッド状態から特定状態に遷移する。特定状態は、UE100に設定されたタイマが動作中である期間にのみ有効であってもよい。この場合、UE100は、タイマの満了に応じて特定状態を中止する。或いは、特定状態は、UE100が所定エリア内に存在する期間にのみ有効であってもよい。この場合、UE100は、所定エリア外に移動したことに応じて特定状態を中止する。或いは、特定状態は、UE100が所定周波数内に存在する期間にのみ有効であってもよい。例えば、あるセルにおいて特定状態の指示を受けたUE100は、当該セルが属する周波数とは異なる周波数のセルに移動したことに応じて特定状態を終了する。
【0041】
Light Connected状態は、RRCコネクティッド状態に比べてシグナリングが削減される特殊なRRCコネクティッド状態である。例えば、Light Connected状態にあるUE100は、特定のシグナリングをネットワークと送受信することが免除される。或いは、Light Connected状態にあるUE100は、特定のシグナリングをネットワークと送受信する頻度が低減される。
【0042】
Suspend状態は、UEコンテキストの少なくとも一部がネットワークに維持される特殊なRRCアイドル状態である。一般的なRRCアイドル状態の場合、UEコンテキストはネットワークにおいて破棄されることに留意すべきである。eNB200は、UE100をSuspend状態に遷移させる際に所定の識別子(レジュームID)を割り当てる。UE100は、Suspend状態からRRCコネクティッド状態に遷移する際に当該所定の識別子をeNB200に通知する。eNB200は、当該所定の識別子に基づいてUEコンテキストの使用を再開する。Suspend状態においてUE100が移動した場合、eNB200は、X2インターフェイスで接続された他のeNB200からUEコンテキストを取得してもよい。Suspend状態は、RRCアイドル状態であって、接続設定等が保持されている状態と定義されてもよい。或いは、Suspend状態は、RRCアイドル状態及びRRCコネクティッド状態とは異なるRRCサスペンド状態と定義されてもよい。UE100は、維持されているUEコンテキストを活用して、少ないシグナリングで特定状態からRRCコネクティッド状態に遷移(すなわち、RRC connection setup)することができる。
【0043】
特定状態には、セル及びトラッキングエリアとは異なる新たなエリア単位が導入され得る。以下において、このようなエリア単位のエリアを「所定エリア」と称する。所定エリアは、特定状態(Light Connected状態又はSuspend状態)にあるUE100に対して適用される。所定エリアは、セル又はeNB200のグループにより形成される。UE100は、所定エリアを示す情報をネットワーク(eNB200又はMME300)から取得してもよい。当該情報は、所定エリアを形成するグループの識別子(グループID)、当該グループに含まれるセルの識別子リスト(セルIDリスト)、当該グループに含まれるeNB200の識別子リスト(eNB IDリスト)のうち、少なくとも1つを含む。
【0044】
所定エリアは、ネットワークがページング一斉送信を行うエリア(ページングエリア)であってもよい。所定エリアは、トラッキングエリアに比べて限定された範囲のエリア単位である。例えば、所定エリアは、トラッキングエリアの一部のエリアである。所定エリアは、同一トラッキングエリア内で設定されてもよい。所定エリアは、異なるトラッキングエリアを跨いで設定されてもよい。このような狭いエリアに限定してページングを行うことにより、トラッキングエリア単位でページングを行う場合に比べてページング送信を行うセルの数を削減することができる。よって、シグナリング(ページング)を削減することができる。なお、所定エリア単位でのページング送信は、MME300主導(MME initiated)ではなく、eNB200主導(eNB initiated)で行われてもよい。このようなページングは、RANベースページングと称されてもよい。所定エリアは、RANベースページングエリアと称されてもよい。
【0045】
所定エリアは、ネットワークがコンテキスト情報(UEコンテキスト)を維持可能なエリア単位として定義されてもよい。所定エリアは、相互にX2インターフェイスで接続された複数のeNB200により形成されてもよい。所定エリア内で特定状態に遷移したUE100は、当該所定エリア内で他のセル(他のeNB200)に移動しても、少ないシグナリングでRRC connection setupを行うことができる。
【0046】
(第1実施形態)
第1実施形態について説明する。
【0047】
第1実施形態に係るUE100は、自身がRRCコネクティッド状態にある場合において、ネットワークから設定された設定パラメータに従って所定の機能を実行する。UE100は、自身がRRCコネクティッド状態から特定状態に遷移したことに応じて、当該設定パラメータの少なくとも一部を(自律的に)無効化する。具体的には、設定パラメータは、UE個別に設定される個別設定パラメータを含む。このような個別設定パラメータは、「dedicated configuration」と称されてもよい。UE100は、UE100がRRCコネクティッド状態から特定状態に遷移したことに応じて、個別設定パラメータを無効化する。UE100は、全ての個別設定パラメータを無効化してもよいし、一部の個別設定パラメータのみを無効化してもよい。UE100は、RRCコネクティッド状態から特定状態に遷移したタイミングで個別設定パラメータを無効化してもよい。UE100は、RRCコネクティッド状態から特定状態に遷移してから所定の条件が満たされたタイミングで個別設定パラメータを無効化してもよい。
【0048】
なお、「設定パラメータを無効化する」とは、設定パラメータを解放(破棄)することであってもよい。このような動作は、「deconfigure」と称されてもよい。或いは、「設定パラメータを無効化する」とは、設定パラメータを維持しつつ設定パラメータの適用を停止することであってもよい。このような動作は、「deactivate」と称されてもよい。また、「設定パラメータを無効化する」とは、UEコンテキストとして保存している設定パラメータを削除することであってもよい。また、「設定パラメータを無効化する」とは、UEコンテキストの該当パラメータに対して、無効化のフラグを保存すること、もしくは、有効化のフラグを削除することであってもよい。
【0049】
特定状態は、シグナリングが削減されるべき状態である。このため、RRCコネクティッド状態について規定された全ての機能を特定状態において実行することは好ましくない。よって、RRCコネクティッド状態から特定状態に遷移したことに応じて、設定パラメータの少なくとも一部を無効化することにより、シグナリングの削減に寄与することができる。以下においては、特定状態として主としてLight Connected状態を想定する。
【0050】
図6は、第1実施形態に係る動作を示す図である。初期状態において、UE100は、eNB200とのRRC接続を有しており、RRCコネクティッド状態にある。
【0051】
図6に示すように、ステップS101において、eNB200は、個別RRCシグナリングにより個別設定パラメータをUE100に送信する。個別RRCシグナリングは、RRC Connection Reconfigurationメッセージであってもよい。UE100は、eNB200から受信した個別設定パラメータを記憶する。
【0052】
なお、eNB200は、個別設定パラメータをUE100に送信した後、個別設定パラメータを適用(activate)させる指示をUE100に送信してもよい。当該指示は、MAC制御エレメント(MAC CE)又は下りリンク制御情報(DCI)により送信されてもよい。
【0053】
ステップS102において、UE100は、個別設定パラメータを適用することにより所定の機能を実行する。
【0054】
所定の機能は、UE100がプライマリリソースとセカンダリリソースとを同時に用いて通信を行う機能であってもよい。すなわち、所定の機能は、2種類のリソースを併用することにより、UE100が利用可能なリソースを増加させ、スループットを向上させる機能である。プライマリリソースは、RRCシグナリングを取り扱うリソースであってもよい。プライマリリソースは、UE100のデータ(トラフィック)の送受信に加えて、UE100のモビリティ制御に用いられる。これに対し、セカンダリリソースは、RRCシグナリングを取り扱わないリソースであってもよい。セカンダリリソースは、主にUE100のデータの送受信に用いられる。
【0055】
プライマリリソースはプライマリセルであってもよい。セカンダリリソースはセカンダリセルであってもよい。UE100は、複数のセル(プライマリセル及び少なくとも1つのセカンダリセル)を同時に用いて通信を行う。当該複数のセルが同一のeNB200に属するケースは、キャリアアグリゲーション(CA)と称される。当該複数のセルが2つのeNB200に属するケースは、デュアルコネクティビティ(DC)と称される。DCにおいて、UE100は、マスタeNBに属するセルグループ(マスタセルグループ:MCG)とセカンダリeNBに属するセルグループ(セカンダリセルグループ:SCG)とを同時に用いて通信を行う。MCGは、1つのプライマリセル(PCell)及び少なくとも1つのセカンダリセル(SCell)からなる。SCGは、1つのプライマリ・セカンダリセル(PSCell)及び少なくとも1つのセカンダリセル(SCell)からなる。PSCellは、UE100のPUCCHが設けられる特別なSCellである。CA又はDCにおいて、SCell用の個別設定パラメータがUE100に設定される。なお、DCにおいてSCellはオプションであり、PCell及びPSCellのみで運用されることもある。
【0056】
或いは、プライマリリソースはWWAN(Wireless Wide Area Network)通信リソースであってもよい。セカンダリリソースはWLAN(Wireless Local Area Network)通信リソースであってもよい。実施形態において、WWAN通信リソースは、LTE通信リソースである。UE100は、LTE通信及びWLAN通信を同時に用いて通信を行う。このような機能は、LTE・WLANアグリゲーション(LWA)と称される。LWAにおいて、WLAN通信を用いるベアラ(LWAベアラ)用の個別設定パラメータがUE100に設定される。LWAベアラは、Split bearer、Switched bearer、IPトンネルのいずれかである。
【0057】
所定の機能は、UE100に準静的に無線リソースが割り当てられるセミパーシステントスケジューリング(SPS)であってもよい。SPSにおいて、SPS用の個別設定パラメータがUE100に設定される。
【0058】
ステップS103において、eNB200は、UE100をLight Connected状態に遷移させる。例えば、eNB200は、UE個別RRCシグナリングを用いて、Light Connected状態に遷移させる指示(設定)をUE100に送信する。UE個別RRCシグナリングは、当該指示(設定)を含むRRC Connection Releaseメッセージであってもよい。
【0059】
ステップS104において、UE100は、RRCコネクティッド状態からLight Connected状態に遷移する。
【0060】
ステップS105において、UE100は、少なくとも一部の個別設定パラメータを無効化する。
【0061】
UE100は、自身がRRCコネクティッド状態からLight Connected状態に遷移したことに応じて、セカンダリリソース用の個別設定パラメータを無効化してもよい。Light Connected状態においては、UE100のスループットを向上させる必要がないため、セカンダリリソース用の個別設定パラメータを無効化することとしている。
【0062】
UE100は、自身がRRCコネクティッド状態からLight Connected状態に遷移したことに応じて、セミパーシステントスケジューリング用の個別設定パラメータを無効化してもよい。Light Connected状態においては、UE100に準静的に無線リソースを割り当てる必要がないため、セミパーシステントスケジューリング用の個別設定パラメータを無効化することとしている。
【0063】
このように、Light Connected状態のUE100は、SCell及び/又はSPSが設定されていた場合(もしくは更にactivateされていた場合)、これを自律的にdeactivateもしくはde−configureする。また、Light Connected状態に入る時に、LWAベアラが設定されていた場合、UE100は、これを自律的にdeactivateもしくはde−configureする。
【0064】
(第1実施形態の変更例1)
第1実施形態の変更例1について、第1実施形態との相違点を主として説明する。
【0065】
上述した第1実施形態において、UE100は、自身がRRCコネクティッド状態からLight Connected状態に遷移したタイミングで、個別設定パラメータを無効化していた。しかしながら、UE100は、自身がRRCコネクティッド状態からLight Connected状態に遷移してから所定時間経過を待って個別設定パラメータを無効化してもよい。この場合、当該所定時間の間は、個別設定パラメータは有効である。
【0066】
第1実施形態の変更例1において、所定の機能は、WWAN通信(LTE通信)とWLAN通信との間でUE100のトラフィックを切り換えるステアリング機能(トラフィックステアリング)であってもよい。このような機能は、LTE・WLANインターワーキング(LWI)と称される。UE100は、RRCコネクティッド状態からLight Connected状態に遷移してから所定の期間において、LWI用の個別設定パラメータを利用する。LWI用の個別設定パラメータは、dedicated RAN assistance parameterと称される。LWI用の個別設定パラメータは、Steering Commandと称されてもよい。UE100は、所定の期間が満了した際に、dedicated RAN assistance parameterを無効化する。
【0067】
次に、図6を参照して、第1実施形態の変更例1に係る動作例を説明する。
【0068】
図6に示すように、ステップS104において、UE100は、Light Connected状態に遷移する。UE100は、Light Connected状態に入る時に、dedicated RAN assistance parameterが設定されていた場合、タイマを開始させる。このようなタイマは、T350と称されてもよい。タイマの値は、eNB200により設定される。或いは、当該タイマは、T350とは異なるタイマであってもよい。UE100は、当該タイマが動作中は、dedicated RAN assistance parameterに従ってトラフィックステアリングを行ってもよい。
【0069】
ステップS105において、UE100は、当該タイマが満了した際に、dedicated RAN assistance parameterを破棄する。
【0070】
(第1実施形態の変更例2)
第1実施形態の変更例2について、第1実施形態との相違点を主として説明する。
【0071】
上述した第1実施形態において、UE100は、自身がRRCコネクティッド状態からLight Connected状態に遷移したことに応じて、セカンダリリソース用の個別設定パラメータを無効化していた。UE100は、その後さらにプライマリリソース用の個別設定パラメータを無効化してもよい。
【0072】
図7は、第1実施形態の変更例2に係る動作を示す図である。ここでは、上述した第1実施形態(図6参照)との相違点を説明する。
【0073】
図7に示すように、ステップS111において、UE100は、Light Connected状態に入る時に、セカンダリリソース(SCell及び/又はLWAベアラ)用の個別設定パラメータを破棄する。もしくは、Light Connected状態に所定のタイマ値が設定された場合、Light Connected状態に遷移した時点で当該タイマを起動し、当該タイマが満了した時点でセカンダリリソース用の個別設定パラメータを破棄してもよい。
【0074】
更に、UE100は、サービングセル(PCell)として用いる対象セルを再選択するセル再選択を行った場合(ステップS112:YES)、ステップS113においてプライマリリソース(PCell)用の個別設定パラメータを破棄する。
【0075】
(第1実施形態の変更例3)
第1実施形態の変更例3について、第1実施形態との相違点を主として説明する。
【0076】
上述した第1実施形態において、UE100は、自身がRRCコネクティッド状態からLight Connected状態に遷移したことに応じて、セカンダリリソース用の個別設定パラメータを無効化していた。しかしながら、UE100は、セカンダリリソース用の個別設定パラメータを直ちに無効化するのではなく、所定の条件が満たされるまで待ってセカンダリリソース用の個別設定パラメータを無効化してもよい。
【0077】
第1実施形態の変更例3において、UE100は、自身がRRCコネクティッド状態からLight Connected状態に遷移した後、セカンダリリソースにおける障害を検知した際に、セカンダリリソース用の個別設定パラメータを無効化する。セカンダリリソースにおける障害とは、PSCellの無線リンク障害(S−RLF)又はWLANの無線リンク障害(W−RLF)等である。当該障害により、UE100は、セカンダリリソースのカバレッジ外になる。
【0078】
図8は、第1実施形態の変更例3に係る動作を示す図である。ここでは、上述した第1実施形態(図6参照)との相違点を説明する。
【0079】
図8に示すように、Light Connected状態に入ったUE100は、全ての個別設定パラメータを維持し、無線状態の測定を継続する。
【0080】
無線状態の測定によりセカンダリリソースにおける障害を検知した場合(ステップS121:YES)、ステップS122において、UE100は、セカンダリリソース(SCell及び/又はLWAベアラ)用の個別設定パラメータを破棄する。
【0081】
更に、UE100は、サービングセル(PCell)として用いる対象セルを再選択するセル再選択を行った場合(ステップS123:YES)、ステップS124においてプライマリリソース(PCell)用の個別設定パラメータを破棄する。もしくは、UE100は、サービングセルの無線障害を検知した場合に、プライマリリソース用の個別設定パラメータを破棄してもよい。
【0082】
(第2実施形態)
第2実施形態について、第1実施形態との相違点を主として説明する。
【0083】
第2実施形態に係るUE100は、特定上りリンク信号の送信がLight Connected状態において必要であるか否かを示す設定情報をネットワークから受信する。特定上りリンク信号は、UE100がRRCコネクティッド状態において送信するよう規定された上りリンク信号である。UE100は、自身がRRCコネクティッド状態からLight Connected状態に遷移した後、特定上りリンク信号を送信するか否かを設定情報に基づいて判断する。
【0084】
特定上りリンク信号は、UE100が下りリンクの無線状態の測定を行うことにより得られた測定情報を含む上りリンク信号であってもよい。このような特定上りリンク信号は、測定報告であってもよいし、CSI(Channel State Information)であってもよい。測定報告は、セルの参照信号の受信電力及び/又は受信品質を報告するためのRRCメッセージである。CSIは、例えばCQI(Channel Quality Indicator)である。
【0085】
或いは、特定上りリンク信号は、ネットワークが行う判断又は測定を補助するための通知情報を含む上りリンク信号であってもよい。このような特定上りリンク信号としては、Proximity Indication、In−device Coexistence Indication、UE Assistance Information、MBMS Interest Indication、MBMS Counting Response、Sidelink UE Information、SRS等が挙げられる(例えば、3GPP技術仕様書「TS36.331」等参照)。
【0086】
図9は、第2実施形態に係る動作を示す図である。初期状態において、UE100は、eNB200とのRRC接続を有しており、RRCコネクティッド状態にある。
【0087】
図9に示すように、ステップS201において、eNB200は、UE100をLight Connected状態に遷移させる。例えば、eNB200は、UE個別RRCシグナリングを用いて、Light Connected状態に遷移させる指示(設定)をUE100に送信する。
【0088】
ステップS202において、UE100は、RRCコネクティッド状態からLight Connected状態に遷移する。
【0089】
ステップS203において、eNB200は、特定上りリンク信号の送信がLight Connected状態において必要であるか否かを示す設定情報を送信する。eNB200は、ブロードキャストシグナリングにより当該設定情報を送信してもよい。ブロードキャストシグナリングは、SIB(System Information Block)であってもよい。
【0090】
或いは、eNB200は、UE100をLight Connectionに遷移させる時に、UE個別シグナリングで当該設定情報を送信してもよい。この場合、ステップS201において、eNB200は、Light Connected状態に遷移させる指示に当該設定情報を含めてもよい。
【0091】
当該設定情報は、特定上りリンク信号の送信に関するパラメータを含んでもよい。当該パラメータは、RRCコネクティッド状態において用いるパラメータとは異なるパラメータであってもよい。当該パラメータは、特定上りリンク信号の送信トリガを設定するパラメータであってもよいし、特定上りリンク信号の送信周期を設定するパラメータであってもよい。
【0092】
ステップS204において、Light Connected状態のUE100は、eNB200からの設定情報に基づいて、特定上りリンク信号を送信するか否かを判断する。
【0093】
特定上りリンク信号を送信すると判断した場合(ステップS204:YES)、ステップS205において、UE100は、特定上りリンク信号をeNB200に送信する。
【0094】
(第3実施形態)
第3実施形態について、第1及び第2実施形態との相違点を主として説明する。
【0095】
第3実施形態に係るUE100は、自身がLight Connected状態にある場合において、下りリンクの無線状態の測定を行う。このような測定は、無線リンク状態の測定であるRLM(Radio Link Monitoring)測定、及び/又は、無線リソース管理用の測定であるRRM(Radio Resource Management)測定であってもよい。言い換えると、RLM測定はレイヤ2関連の測定である。RRM測定はレイヤ3(RRC)関連の測定である。UE100は、セル単位ではなく、複数のセルからなる所定エリア単位で測定を行う。
【0096】
既存のRRCコネクティッド状態のRLM測定は、次のような手順を有する。UE100は、セルの問題を検知した場合にT310(第1のタイマ)をスタートする。UE100は、T310が満了した場合に当該セルのRLFを検知し、RRC Connection Reestablishmentプロシージャを開始し、T311(第2のタイマ)を開始させる。UE100は、T311が満了した場合に、RRCアイドル状態に遷移する。
【0097】
これに対し、Light Connected状態は、複数のセルからなる所定エリア単位でのモビリティ制御を行うことが想定されるため、セル単位で測定を行うことは必ずしも適切ではないと考えられる。このため、Light Connected状態のUE100は、所定エリア単位でRLM測定を行う。
【0098】
例えば、Light Connected状態のUE100は、RLM測定において、所定エリア内で検出した全てのセルで問題を検知した場合に、RLFを判断してもよい。言い換えると、所定エリア内の一のセルに問題が生じても、当該所定エリア内の他のセルに問題が生じない場合には、RLFと判断しなくてもよい。UE100は、例えばRRCコネクティッド状態に戻った際に、RLM測定の結果(例えば、RLFがあった旨)をネットワークに報告してもよい。RLM測定の結果は、所定エリアの識別子を含んでもよい。
【0099】
(第4実施形態)
第4実施形態について、第1乃至第3実施形態との相違点を主として説明する。
【0100】
第4実施形態に係るUE100は、上りリンク送信用の無線リソースプールを示す情報をネットワークから受信する。UE100は、自身がLight Connected状態にある場合において、無線リソースプールの中から無線リソースを(自律的に)選択し、選択した無線リソースを用いて上りリンク送信を行う。このような上りリンク送信は、コンテンションベースで行われてもよい。
【0101】
図10は、第4実施形態に係る動作を示す図である。初期状態において、UE100は、eNB200とのRRC接続を有しており、RRCコネクティッド状態にある。
【0102】
図10に示すように、ステップS401において、eNB200は、UE100をLight Connected状態に遷移させる。例えば、eNB200は、UE個別RRCシグナリングを用いて、Light Connected状態に遷移させる指示(設定)をUE100に送信する。
【0103】
ステップS402において、UE100は、RRCコネクティッド状態からLight Connected状態に遷移する。
【0104】
ステップS403において、eNB200は、上りリンク送信用の無線リソースプールを示す情報を送信する。eNB200は、ブロードキャストシグナリング(例えば、SIB)により当該プール情報を送信してもよい。プール情報は、Light Connected状態のUE100が上りリンク送信を行ってもよい無線リソース領域(周波数及び時間の情報)を含む。
【0105】
或いは、eNB200は、UE100をLight Connectionに遷移させる時に、UE個別シグナリングで当該プール情報を送信してもよい。この場合、ステップS401において、eNB200は、Light Connected状態に遷移させる指示にプール情報を含めてもよい。
【0106】
プール情報は、上りリンク送信用の無線リソースプールのうち、上りリンク送信が実際に行われる無線リソースを周波数軸上及び/又は時間軸で分散させるためのパラメータ(例えば、リソースエレメント単位でホッピングさせるようなパラメータ)を含んでもよい。当該パラメータは、上りリンク送信が実際に行われるリソースエレメントの開始位置を示すオフセットや、分散(ホッピング)の間隔などである。具体的には、ある無線リソース領域の端から3リソースエレメント分オフセットさせて、4リソースエレメント間隔で分散させるといったパラメータが指定される。
【0107】
ステップS404において、Light Connected状態のUE100は、eNB200からのプール情報に基づいて、無線リソースプールの中から無線リソースを選択する。UE100は、IMSI(International Mobile Subscriber Identity)等の識別子を所定の選択ルールに適用することにより無線リソースを選択してもよい。例えば、UE100は、オフセット開始点を「IMSI mod N」で算出する。ここで、Nは固定値であり、例えば100であってもよい。
【0108】
ステップS405において、UE100は、選択した無線リソースを用いて上りリンク送信を行う。
【0109】
(第5実施形態)
第5実施形態について、第1乃至第4実施形態との相違点を主として説明する。
【0110】
第5実施形態に係るUE100は、自身がLight Connected状態にある場合において、サービングセルとして用いる対象セルを再選択するセル再選択を行う。セル再選択は、サービングセルとして選択される対象セルを配分するための再配分プロシージャを含む。UE100は、自身がRRCコネクティッド状態からLight Connected状態に遷移してから所定の期間において、再配分プロシージャを無効化する。
【0111】
このような再配分プロシージャは、MCLD(Multi Carrier Load Distribution)と称される。MCLDにおいて、UE100は、SIB3/5で報知されるredistribution parameterと自身のIMSIとに基づいて再配分対象周波数/セルを選択する。UE100は、このような再配分プロシージャ(Redistribution Target Selection)を、タイマ(T360)が満了した際又は再配分を指示するページングを受信した際に実行する。T360は再配分プロシージャを実行した際に開始され、T360が動作中は再配分プロシージャが無効化される。
【0112】
Light Connected状態は、RRCアイドル状態とは異なり、UE100のセル再選択に伴ってコンテキスト転送等が生じ得る。このため、Light Connected状態に遷移して直ぐに再配分プロシージャを開始することは好ましくない。
【0113】
よって、UE100は、Light Connected状態に遷移した際に、redistribution parameterが報知されている場合には、T360を開始させる。これにより、Light Connected状態になったUE100は、直ぐにはload redistributionを行わず(暫くはセルに残る)。その後、UE100は、T360満了時にload redistributionを行う。
【0114】
(第5実施形態の変更例)
第5実施形態の変更例について、第5実施形態との相違点を主として説明する。
【0115】
第5実施形態の変更例に係るUE100は、RRCアイドル状態用の再配分プロシージャ(Redistribution Target Selection)を変更した特別な再配分プロシージャを用いて、Light Connected状態におけるセル再選択を行う。言い換えると、Light Connected状態のUE100には、Light Connected状態用の特別な再配分プロシージャが適用される。
【0116】
このような特別な再配分プロシージャは、RRCアイドル状態用の再配分プロシージャに対して、以下の1)〜3)の少なくとも何れか1つの変更が加えられたものである。
【0117】
1)再配分のターゲットとなる候補周波数/候補セルのリスト(Sorted List)は、現在のエリア(所定エリア)に紐付いたセルのみを考慮しなければならない。もしくは、再配分のターゲットとなる候補周波数/候補セルは、現在のエリア(所定エリア)に紐付いたセル(もしくは当該セルが運用されている周波数)でなければならない。なお、候補周波数/候補セルは、サービング周波数/セルについては、セル単位再配分ファクタ(redistributionFactorCell:確率に関する情報)が報知されていた場合は、サービングセルをセットし、そうでなければ、サービング周波数をセットする。別周波数については、周波数リスト(InterFreqCarrierFreqList)中の各周波数について、当該周波数において、もしセル単位リスト(redistributionNeighCellList)が報知されている場合は、ベストセル(ランキング最上位)のセルをセットする。そうでなければ、S−criteriaを満たすセルが少なくともひとつ見つかった場合は、当該周波数をセットする。
【0118】
2)UE100は、ランキング(複数のセルをRSRPベースで比較及び格付けしたもの)において最上位のセル(best cell)、もしくは当該ランキングに含まれるセル、もしくはS−criteriaを満たすセルが現在のエリア(所定エリア)に属していないセルである事を検知した場合、RRCコネクティッド状態に遷移しなければならない(例えば、RRC Connection Reestablishmentを開始する)。UE100は、best cellが現在在圏している周波数とは異なる周波数のセルであることを検知した場合、RRCコネクティッド状態に遷移してもよい。
【0119】
3)RRCアイドル状態用のredistribution parameterとは別にLight Connected状態用のredistribution parameterがUE100に提供される。
【0120】
(第6実施形態)
第6実施形態について、第1乃至第5実施形態との相違点を主として説明する。
【0121】
第6実施形態に係るUE100は、UE100がLight Connected状態にある場合において、UE100のサービングセルとして用いる対象セルを再選択するセル再選択を行う。UE100は、Light Connected状態の間に行ったセル再選択に関する情報を記録する(ロギング)。UE100は、記録した情報(ログ)をネットワークに送信する。セル再選択に関する情報は、Light Connected状態時に行ったセル再選択回数を示す情報を含んでもよい。
【0122】
図11は、第6実施形態に係る動作を示す図である。初期状態において、UE100は、eNB200とのRRC接続を有しており、RRCコネクティッド状態にある。
【0123】
図11に示すように、ステップS601において、eNB200は、UE100をLight Connected状態に遷移させる。例えば、eNB200は、UE個別RRCシグナリングを用いて、Light Connected状態に遷移させる指示(設定)をUE100に送信する。
【0124】
ステップS601又はステップS601よりも前において、eNB200は、ロギングに関する設定パラメータをUE100に送信してもよい。
【0125】
ステップS602において、UE100は、RRCコネクティッド状態からLight Connected状態に遷移する。
【0126】
ステップS603において、Light Connected状態のUE100は、セル再選択に関するロギングを行う。
【0127】
ロギング期間は、Light Connected状態の期間を規定するタイマにより設定されてもよい。或いは、UE100は、上述した所定エリア内に在圏する期間内でロギングを行ってもよい。
【0128】
ロギングトリガは、周期的なトリガ又はイベントトリガである。周期的なトリガの場合、ロギング間隔がeNB200から設定されてもよい。イベントトリガの場合、トリガ種別がeNB200から設定されてもよい。トリガ種別は、例えば、所定エリアから出たこと、RLF、所定エリア外セルの再選択等である。
【0129】
ログは、所定エリアのID、所定エリア内のセルIDの履歴を含んでいてもよい。イベントトリガの場合、ログは、ソースセル/ターゲットセルの測定結果、トリガ種類(cause)を含んでもよい。ログは、サービングセル/隣接セルのRSRP、RSRQ、RS−SINRを含んでもよい。また、ログは、UE100の位置情報、タイムスタンプ(ログ記録時の時間情報)を含んでもよい。
【0130】
ステップS604において、UE100は、Light Connected状態時に得られたログをネットワーク(eNB200)に送信する。UE100は、RRCコネクティッド状態に遷移する際に、ログを有する旨をeNB200に通知し、eNB200からの要求に応じてログを送信してもよい。或いは、UE100は、ロギング期間が満了した際に、当該通知を行ってもよい。
【0131】
UE100は、ログを含む測定報告をeNB200に送信してもよい。或いは、UE100は、RRCコネクティッド状態に遷移する際にeNB200に送信するメッセージ(例えば、RRC Connection Reestablishment)にログを含めてもよい。
【0132】
UE100は、ロギング期間が満了するまでは、RRCコネクティッド状態又はRRCアイドル状態に遷移してもログを破棄せずに保持してもよい。また、UE100は、RRCコネクティッド状態又はRRCアイドル状態に遷移してもロギングを継続してもよい。UE100は、再びLight Connected状態に戻った場合に、ロギングを再開してもよい。
【0133】
(その他の実施形態)
上述した実施形態を別個独立に実施する場合に限らず、2以上の実施形態を組み合わせて実施してもよい。例えば、一の実施形態に係る一部の構成を他の実施形態に追加してもよい。或いは、一の実施形態に係る一部の構成を他の実施形態の一部の構成と置換してもよい。
【0134】
上述した特定状態は、INACTIVE状態と称されてもよい。INACTIVE状態は、RRCコネクティッド及びRRCアイドルとは異なる新たなRRC状態であってもよい。
【0135】
また、上述した所定エリアは、RANベース通知エリア(RAN−based notification area)と称されてもよい。
【0136】
上述した実施形態において、移動通信システムとしてLTEシステムを例示した。しかしながら、本発明はLTEシステムに限定されない。LTEシステム以外のシステムに本発明を適用してもよい。例えば、第5世代(5G)移動通信システムに対して本発明を適用してもよい。
【0137】
(付記1)
1.はじめに
LTEのLight Connectionを可能にするシグナリング削減についての議論が開始されている。Light Connectionの定義及びページング強化(paging enhancement)のゲインについて広範に議論され、最終的に2つの動作前提が以下のように合意された。
【0138】
・ページング強化を研究するための作業仮説では、CNからモビリティ及び状態遷移を隠すために、軽度に接続されたUEのS1接続が維持され、アクティブである。
【0139】
・動作前提:軽度に接続されたUEは、eNB又はMMEによって始動されたページングのトリガによってのみアドレス指定できる。
【0140】
本付記では、動作前提の下で、ページング強化及びLight Connectionの詳細について説明する。
【0141】
2.検討
ページングメッセージは、MT呼、SI更新の通知、ETWS、CMAS、EABパラメータ変更の通知、及び負荷の再配分のトリガをUEに通知するために使用される。実際のLTEネットワークの統計として、ページングメッセージがRRCシグナリング負荷全体の26.8%を占めることが報告されている。ページング情報以外のすべてのIEがページングでENUMERATED{true}のような1ビット符号化タイプで定義されていることを考慮すると、ページング情報、すなわちpagingRecordListがページングメッセージによるシグナリングロードの支配的な原因である。したがって、例えばS1PAGINGのために、実際のページング情報の内容をMT呼に対してどのように減少させることができるかを検討することは効果的である。このような減少によって、ページングメッセージ内の送信ビット数を減らすことが可能になり、NWがページング送信数を変化させるオプションが可能になる。
【0142】
提案1:RAN2は、ページングメッセージ、すなわちページングレコードリスト内で伝達されるページング情報の削減に関する研究に優先順位を付けるべきである。
【0143】
2.1.RRCの状態及びモード
2.1.1.RRC接続状態
ページングメッセージの数を大幅に削減する最も簡単な方法は、トラッキングエリア内のすべてのUEをConnectedに維持することであるが、UEの電力消費の観点からも間違ったアプローチである。したがって、これは、ページングメッセージのシグナリングを減らすための基礎として使用すべきではない。
【0144】
提案2:UEは、ページ数を減らすために、RRC Connected、すなわち、リリース13のコネクティッドモードに保つべきではない。
【0145】
2.1.2.RRC中断(suspended)モード
また、ページングの観点から、RRC接続中断/再開(resume)手順、すなわちNB−IoTのためのUP解決策を評価することも必要である。これまでの合意事項に基づいて、RRC接続再開は、UEがIDLEからConnectedに移行するために使用され、すなわち、RRC接続が中断されたときにUEはIDLEのままであると仮定する。例えば、「ASセキュリティを有効にしたコネクティッドモードのUEは、アイドルモード又は中断表示を有するアイドルモードに解放することができる」ことが合意されている。換言すれば、RRC中断モードは、RRC IDLEの特別な条件に過ぎない。
【0146】
考察1:RRC中断モードは、IDLE内のUEの特別な状態である。
【0147】
したがって、NWは、アイドルのUEと同様に、MT呼に対して中断モードでUEをページングする必要がある。これは、PagingUE−Identityのサイズが大きく異なっていない場合、例えば、再開IDとS−TMSI/IMSIとの間の長さの差が小さい場合に、ページング内容の減少によるゲインを実現できないことを意味する。また、中断モードの結果として、接続状態と比較して必要とされるかもしれない追加のページング送信の回数を考慮する必要がある。
【0148】
考察2:UEがRRC中断モードであっても、NWは依然としてMT呼のためにUEを呼び出す必要がある。
【0149】
2.1.3.RRC Light Connectedモード
上述したように、LTEは2つのRRC状態、すなわちConnectedとIDLE、及びIDLEの特別な状態、すなわちSuspendedモードを有する。Light Connectedが導入されたとき、それが新しいRRC状態又は既存のRRC状態の特別な状態として定義されているかどうかを議論すべきである。新しいRRC状態が定義される場合、3つの状態、新しい状態でのUE全体の挙動、対応する制御メッセージなどの間の遷移を定義することが予想され、過剰な標準化努力が必要となる。シンプルさの観点から、RAN2は2つのRRC状態を持つ現在のモデリングに固執する必要があるため、Light ConnectedはConnectedの特別な条件として定義する必要がある。このモデリングは、CNの視点からECM接続されていると想定されるCNからのモビリティ及び状態遷移を隠すために、軽度に接続されたUEのS1接続が維持され、アクティブであることを前提にしている。
【0150】
提案3:Light Connectionモードは、導入されたとしても、新しい状態ではなく、RRC Connectedの特別な条件として定義すべきである。
【0151】
2.2.ページング強化
2.2.1.UEのモビリティによるページング最適化の問題
リリース13以前には、ターゲットUEがメッセージを送信しているセルに実際に位置しているかどうかにかかわらず、ページングメッセージがトラッキングエリア内のすべてのセルで送信された。リリース13では、ページング最適化は、S1PAGING内のページングIEのための推奨セルなどが、Uu及びS1のシグナリング削減のためにRAN3及びSA2によって導入された。これらのリリース13メカニズムは、特にMTC UEのようなモビリティの低いUEに対しては効率的であるが、スマートフォンなどの通常のモビリティを有するUEを考慮したさらなる最適化の余地がある。例えば、MMEが、S1PAGING内の推奨eNB/セルのeNBからECM IDLEへの遷移時の推奨セル及びENBの情報に基づいて決定した場合であっても、このMT呼出時のUEは、すでに推奨されているeNB/セルの外に移動している可能性がある。これによりページが欠落し、ページに使用されるリソースが無駄になる。
【0152】
考察3:リリース13に導入されたページング最適化、例えばS1PAGING内のページングIEのための推奨セル(Recommended Cells)は、静止又は低モビリティUEに対してのみ効果的に働くことができる。
【0153】
2.2.2.ページング強化による期待ゲイン
動作仮定は、「軽度に接続されたUEのS1接続は維持され、CNからのモビリティ及び状態遷移を隠すためにアクティブであり、UEがECM接続されていることを意味する」と述べている。この場合、MMEは、DLデータがUEのために来たときにページング手順を開始する必要はない。したがって、少なくともS1シグナリングの観点からは、シグナリングの削減は、動作仮定の下での解決策によって達成されるであろう。
【0154】
考察4:Light ConnectedモードでS1 PAGINGのシグナリング削減を達成できた。
【0155】
RANレベルページングメカニズムを用いた様々なソリューションが提案されている。このソリューションのメリットの1つは、ページング領域を制限することである。RANレベルのページングエリアがトラッキングエリアのサブセットに設定されている場合、実際にはネットワーク全体のページングメッセージの数を減らすのに貢献する。現在のNW実装で同様のゲインを達成することができ、例えば、トラッキング領域はより小さな領域で構成される。しかし、このようなNWの実装は、UEからの過度のトラッキングエリア更新を引き起こし、それによって全体的なシグナリングが増加する可能性があることが指摘されている。
【0156】
ページング領域のサイズを小さくすると、ページングメッセージの数を減らすことはできるが、過剰なトラッキングエリアの更新を防ぐことはできない。
【0157】
上記の考察結果から、ページング強化の導入は多くの利点をもたらし、ベースラインソリューションはRANレベルのページングの導入のためのものである。さらに、新しいRATの研究項目では、より長いバッテリ寿命のためにシグナリングとパフォーマンスを最適化するために、低アクティビティのUEを追跡するための何らかのRANベースのページングメカニズムを検討することを提案している。これらは明らかに、現行のCNベースのページングメカニズムが、この研究項目で考慮する必要のある改善の余地及びある程度の余裕を持っていることを暗示している。したがって、RAN2は、RANレベルのページングメカニズムの詳細について議論する必要がある。
【0158】
提案4:RAN2は、RANレベルのページングの概念の詳細を考慮すべきである。
【0159】
2.3.RANレベルのページングメカニズム
2.3.1.ページングメッセージ
提案4が許容可能である場合、eNBは、S1ページングの代わりに、UEのためのDLデータの到着時に、ページングの必要性を認識することができる。動作仮定では、「軽度に接続されたUEは、eNB又はMMEによって始動されたページングのトリガによってのみ宛先とすることが可能」であり、何らかの種類のページングメッセージがUEに送信されることを示唆している。Uプレーンのデータフローの観点から、この時点でのレガシーページング(MME始動)と新しいページング(eNB始動)との間の差は、DLデータが依然としてS−GW内にあるか、又は既にeNB、すなわち、CN内のルーティングは既に行われていることである。したがって、eNBが(RANレベルの)ページングメッセージをUEに送信することは、実際にページングメッセージが本当に必要かどうかを検討する価値がある。他の可能性の1つは、Uu上のページングメッセージを排除することを目指すかもしれない。例えば、eNBは、UEにページの代わりにDLデータを直ちに送信する。DLデータ量が効率的に管理され、ページングメッセージに必要なデータ量に匹敵する場合、その差は周波数効率の観点からは最小限に抑えられる。詳細は、モビリティ(UEベース又はNWベース)を含むLight Connectedモードの定義方法に関連するため、更なる検討が必要である。
【0160】
提案5:RAN2は、UEがページングメッセージ(現在と同様に)又は直接DLデータ送信でページングされるべきかどうかを議論すべきである。
【0161】
2.3.2.ページング領域
UEをページングするための送信は、既存のトラッキングエリアのような特定のエリアで実行され、セルのグループ、すなわちページングエリアとして想定されることを検討することもできる。ページングの失敗を最小限に抑えるためにこのような概念を導入するのは簡単である。ページング領域は、UEコンテキストフェッチのためのX2接続の可用性、UEのモビリティ状態、周波数効率とのバランスなどによって定義されてもよいが、NW実装でほぼ可能である。
【0162】
提案6:RAN2は、UEをページングするための送信を行うセルのグループからなるページング領域を導入すべきである。
【0163】
UEがページング領域内にある限り、UEのモビリティはeNBに対して透過的であると仮定することができる。一方、UEがページング領域の外に移動するときにUEがどのように挙動するかについて議論すべきである。既存のトラッキングエリア更新と非常に似ているため、それがいつ発生したかをサービングセルに通知する信頼できる方法である。その情報が外部のセルの再選択の前に提供されるのか、それが起こった後に提供されるのかは、更なる検討が必要である。
【0164】
提案7:RAN2は、UEがページングエリアの外に移動するとき、サービングセルに通知すべきかどうかについて議論するべきである。
【0165】
2.4.代替案
代替として、eNBが、例えば、セル再選択時にUEからの通知によって、UEの位置を知っている場合、セクション2.2.1で論じた問題は避けることができる。したがって、不要なページを防ぐために、IDLEでもUEの位置をeNBがどのように知っているかを議論する価値がある。これは、ページング領域、すなわち提案6と、情報、すなわち提案7との組み合わせによって解決することができる。
【0166】
提案8:RANレベルのページングコンセプトの代替として、RAN2は、リリース13ページング最適化が実行されるときに、NWがIDLE内のUEの位置を知ることが有用であるかどうかについて議論すべきである。
【0167】
(付記2)
1.はじめに
Light Connectionを可能にするシグナリング削減に関する新しい研究項目が承認された。動作前提としていくつかの合意に達した。
【0168】
研究段階では、UEのモビリティ及びトラフィックパターンの両方を考慮して、次の点についての潜在的な解決策を調査する。
【0169】
UE中心のモビリティを考慮した、ハンドオーバによるシグナリングの減少。セル(再)選択。
【0170】
より限定されたエリア内にページング送信を制限することを考慮して、ページングによるシグナリングの減少。
【0171】
CNからモビリティ及び状態遷移を隠すことにより、モビリティ及び状態遷移に起因するS1インターフェイス上のCNへのシグナリングの減少。
【0172】
異なるeNB間でのUEのモビリティに伴うUEコンテキストの記憶及び検索。
【0173】
新しいRANベースの状態の必要性。
【0174】
次に、研究段階の結論に基づいて、対応するソリューションを仕様化する。
【0175】
・ページング強化を研究するための作業仮説では、CNからモビリティ及び状態遷移を隠すために、軽度に接続されたUEのS1接続が維持され、アクティブである。
【0176】
・動作前提:軽度に接続されたUEは、eNB又はMMEによって始動されたページングのトリガによってのみ宛先とすることができる。
【0177】
本付記では、ページングの側面以外のLight Connectionの一般的な問題が特定されている。
【0178】
2.検討
動作前提は、作業項目のタイトルよりも1ステップ先行する用語「UEが軽度に接続される(UE lightly connected)」又は「軽度に接続されたUE(Light connected UE)」を使用する。作業項目記述の目的は、「新しいRANベースの状態の必要性」と「解決策は中断/再開手順の再利用を検討できる」と述べている。したがって、RRC中断/再開の概念を再利用するか、又は新しいRRC状態を導入するなど、軽度な接続をモデル化する方法の重要な側面の1つである。
【0179】
考察1:Light Connectionのモデリングについて、ページング拡張機能と併せて検討することができる。
【0180】
ページングのための軽度な接続のモデリングにかかわらず、作業項目記述で合意されているように、以下の側面を議論することができる。
【0181】
この解決策は、モバイル起点のデータ及びモバイル終端のデータの両方に適用されるものとする。
【0182】
この解決策は、UEの電力消費がRRC_IDLEの電力消費に匹敵することを可能にするものとする。
【0183】
一般に、Light Connectionに採用される機能は、次のセクションで説明する既存の機能と比較する必要がある。
【0184】
2.1.一般的な機能
2.1.1.データ送受信の側面(DL/UL/SL)
Light Connectionが導入される場合、軽度に接続されたUEがデータ送信及び受信、すなわちダウンリンク(DL)、アップリンク(UL)及びサイドリンク(SL)を実行する必要があるかどうかを明確にする必要がある。既存のIDLEモードでは、SIB18/19に規定されている設定内で、タイプ1又はモード2のeNBによって「柔軟に」制御されたSLのみが許可されるが、DL及びULでは、Paging、RACH及び/又はRRC Connection Requestのような、事前の通知を必要とする。コネクティッドモードでは、DL及びULはeNBによって「緊密に」制御されるが、SLは厳密な制御、すなわちeNBの好みに応じて専用リソース又はSL許可によるタイプ2B又はモード1の送信を必要とする場合がある。
【0185】
提案1:RAN2は、Light Connectionにおけるダウンリンク、アップリンク、及びサイドリンクを介したデータ送受信のためのUEの動作について議論する必要がある。
【0186】
2.1.2.測定及び報告の側面(CSI/RLM/RRM)
ConnectedのUEは、CSI測定、RLM測定、RRM測定、測定フィードバック/報告などのさまざまなタイプの測定を実行する。一方、IDLEのUEは、報告なしにセル再選択のためのRRM測定、すなわちUEベースのモビリティのみを実行する。Light Connectionでは、Light ConnectionがCONNECTED又はIDLEのいずれかに似ているかどうかによって、これらの測定及びフィードバック/レポートのどちらをサポートする必要があるかを検討すべきである。
【0187】
提案2:RAN2は、Light Connectionでどの測定及び報告メカニズム、CSIフィードバック、RLM/RRM測定をサポートする必要があるかを検討すべきである。
【0188】
2.1.3.活性化及び非活性化の側面(SCell、SPS)
SCellは、キャリアアグリゲーション及びデュアルコネクティビティのために設定することができ、これらは例えばMAC制御要素によって活性化又は非活性化される。また、SPSは、例えばVoLTEの効率的な配信のために設定され、SPS−RNTIでスクランブルされたPDCCHによって活性化される。現在の仕様では、UEがIDLEに移行するときにSCell(s)/SPSは設定解除され、UEがConnectedに戻った後に必要に応じて再設定される。Light Connectionでは、SCell(s)及びSPSが非活性化(deactivated)されているのか、設定解除(de−configured)されているのかを定義することも必要である。
【0189】
提案3:RAN2は、UEがCONNからLight Connectionに移行する際に、SCell(s)及びSPSが非活性化又は設定解除されているかどうかを議論すべきである。
【0190】
2.1.4.UEの側面からの支援情報
現在のRRCは、近接性表示(Proximity Indication)、装置内共存表示(In−device Coexistence Indication)、UE支援情報(電力優先表示)、MBMS関心表示(MBMS Interest Indication)、MBMSカウント応答(MBMS Counting Response)、及びサイドリンクUE情報(Sidelink UE Information)のような、様々なメカニズムのeNBの機能制御を支援するために、UEからの多くのインディケーションをサポートする。PHY層において、サウンディング基準信号SRSは、例えば、ULチャネルを推定するためにも使用される。軽度な接続では、いずれかのインディケーションがUEによって依然としてサポートされるべきかどうかを議論すべきである。
【0191】
提案4:RAN2は、Light ConnectionにおけるUEが、近接性表示、装置内共存表示、UE支援情報、MBMS関心表示、MBMSカウント応答、サイドリンクUE情報、及びSRSを用いて、eNB支援を継続するか否かについて議論すべきである。
【0192】
2.2.その他の機能
2.2.1.デュアルコネクティビティ
セクション2.1.3で議論されたSCell(s)に加えて、UEがLight Connectionに移行したときにPSCellを設定解除すべきかどうかを定義することができる。PSCellがLight Connectionでまだ適用可能であれば、SCG Failure Indicationを宣言する必要があるかどうかについて議論すべきである。
【0193】
提案5:RAN2は、UEがLight Connectionに移行したときに、PSCellが設定解除されているかどうかを議論すべきである。
【0194】
2.2.2.WLANインターワーキング/アグリゲーション(RALWI、RCLWI、LWA、LWIP)
リリース12及びリリース13では、RAN支援及びRAN制御LTE−WLANインターワーキングソリューションRALWI/RCLWIのような、WLANインターワーキングのための2つのメカニズムが開発された。LWIメカニズムにより、NWは、専用RANアシストパラメータ又はステアリングコマンドによってWLANへのトラフィックステアリングにコネクティッドUEを制御することができる。UEがIDLEに移行した後、UEがConnectedになったときに設定された設定は、T350の実行中も適用可能である。RALWIに加えて、SIB17はRANアシスタンスパラメータを提供し、IDLE及び接続された状態でUEを制御する。さらに、UEがLight Connectionの下でRALWI/RCLWIを実行する方法について議論する必要がある。
【0195】
提案6:RAN2は、Light Connection中にUEがRALWI/RCLWIをどのように実行するかについて説明する必要がある。
【0196】
リリース13では、LTE−WLANアグリゲーション(LWA)及びIPsecトンネル(LWIP)を使用した一連のWLANアグリゲーションソリューションが指定された。LWAベアラは、WLANリンクを介してルーティングされ、eNB及びUEで終端される。Uu上のLight Connectionを考慮すると、UEがLight Connection中にLWA設定及びLWAベアラがどのように処理されるかについても明確にする必要がある。
【0197】
提案7:RAN2は、Light ConnectionでLWAベアラがどのように処理されるかを議論すべきである。
【0198】
2.2.3.MDT
ドライブテスト最小化MDTはリリース10で導入され、継続的に強化された。MDTは、IDLE/Connectedモード用のLogged MDT及びConnectedモード用のImmediate MDTの2つのモードで設定されている。MDT測定ログは、UEがConnected にあるときに測定報告を介して送信され、Logged MDTの場合には、UEがIDLEにあっても記録が継続される。Light Connectionの場合、どのMDTモードがサポートされるかを検討する必要がある。
【0199】
提案8:RAN2は、どのMDTモードがLight ConnectionのUEでサポートされるかを議論すべきである。
【0200】
2.2.4.MCLD
マルチキャリア負荷分散MCLDは、2つの再配分メカニズムであるCRS(Continuous Redistribution Scheme)及びOSS(One−Shot Scheme)をサポートしている。これらのメカニズムは、SIB3/SIB5の再配分パラメータで提供され、IDLEのUEは、T360満了(CRS)又はページング(OSS)の再配分指示の受信時にIMSIに従って再配分ターゲットを選択する。Light Connectionについては、UEがUEベースのモビリティを実行すべきであると現在仮定されているので、負荷再配分メカニズムが適用可能である。
【0201】
提案9:RAN2はLight Connectionで負荷の再配分がサポートされるかどうかを議論すべきである。
【0202】
上記に加えて、Light Connectionの導入により、暗黙的な非活性化/設定解除などの特殊な処理のような、現在の機能に何らかの拡張が必要かどうかについて議論する必要があるかもしれない。
【0203】
提案10:RAN2は、Light Connectionの導入により既存の機能に何らかの拡張が必要かどうかを議論すべきである。
【0204】
(相互参照)
本願は米国仮出願第62/335882号(2016年5月13日出願)の優先権を主張し、その内容の全てが本願明細書に組み込まれている。
【産業上の利用可能性】
【0205】
上述した実施形態は、通信分野において有用である。
図1
図2
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