(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記活性水素原子含有成分(A)が、更にイオン性基を有しない化学式量又は数平均分子量が500未満の低分子ポリオール成分(a2)及び/又はイオン性基と活性水素原子を含有する化合物(a3)を含有し、前記低分子ポリオール成分(a2)が分岐を有する炭素数3〜12の脂肪族ジオールを含有する請求項1又は2記載のポリウレタン樹脂水性分散体。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明のポリウレタン樹脂水性分散体(Q)は、高分子ポリオール成分(a1)を含有する活性水素原子含有成分(A)と有機ポリイソシアネート成分(B)を反応させてなるポリウレタン樹脂(U)と水性媒体を含有する。
【0012】
数平均分子量が500以上の高分子ポリオール成分(a1)を含有する活性水素原子含有成分(A)としては、数平均分子量が500以上の高分子ポリオール成分(a1)の他に、水酸基含有化合物、窒素原子含有化合物、カルボキシル基含有化合物、チオール基含有化合物、リン酸基含有化合物及び分子内に2種類以上の活性水素原子含有官能基を有する化合物等が挙げられる。
【0013】
水酸基を含有する活性水素原子含有成分としては、水、1分子中に少なくとも1つ以上の水酸基を有している化合物が挙げられる。例えば、1分子中に1つの水酸基を有する化合物としてはメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、オクタノール、ステアリルアルコール等の直鎖、分岐構造を有する脂肪族炭化水素系アルコールや、シクロヘキサノール、シクロヘキサンメタノール、イソボルニルアルコール等の脂環構造を有する炭化水素系アルコール、ベンジルアルコール等の芳香族炭化水素系アルコール等が挙げられる。
多価アルコールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチルペンタンジオール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(ヒドロキシエチル)ベンゼン、2,2−ビス(4,4’−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン等の2価アルコール、グリセリン、トリメチロールプロパン等の3価アルコール、ペンタエリスリトール、ジグリセリン、α−メチルグルコシド、ソルビトール、キシリット、マンニット、ジペンタエリスリトール、グルコース、フルクトース、ショ糖等の4〜8価のアルコールが挙げられる。
多価フェノールとしては、ピロガロ―ル、カテコール、ヒドロキノン等、ビスフェノ―ルとしてはビスフェノ―ルA、ビスフェノールF、ビスフェノールS等が挙げられる。
【0014】
窒素原子を含有する活性水素原子含有成分としては、アンモニア、炭素数1〜20のアルキルアミン化合物(ブチルアミン等)、モノアミン化合物(アニリン等)、ポリアミン化合物としては脂肪族ポリアミン(エチレンジアミン、トリメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン等)、ピペラジン、複素環式ポリアミン化合物(N−アミノエチルピペラジン等)、脂環式ポリアミン(ジシクロヘキシルメタンジアミン、イソホロンジアミン等)、芳香族ポリアミン(フェニレンジアミン、トリレンジアミン、ジエチルトリレンジアミン、キシリレンジアミン、ジフェニルメタンジアミン、ジフェニルエーテルジアミン、ポリフェニルメタンポリアミン等)、アミノアルコール化合物としてはアルカノールアミン化合物(モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン等)、その他としてはジカルボン酸と過剰のポリアミン化合物との縮合により得られるポリアミドポリアミン、ポリエーテルポリアミン、ヒドラジン化合物(ヒドラジン、モノアルキルヒドラジン等)、ジヒドラジド化合物(コハク酸ジヒドラジッド、アジピン酸ジヒドラジッド、イソフタル酸ジヒドラジッド、テレフタル酸ジヒドラジッド等)、グアニジン化合物(ブチルグアニジン、1−シアノグアニジン等)、ジシアンジアミド等及びこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
【0015】
リン酸基を有する活性水素原子を2〜8個含有するリン酸化合物としては、燐酸、亜燐酸、ホスホン酸等が挙げられる。
【0016】
本発明における高分子ポリオール成分(a1)は、一般式(1)で表される構成単位及び/又は一般式(2)で表される構成単位を有する数平均分子量(以下、Mnと略記)が500以上のポリオレフィンポリオール(a11)並びに化学式(3)で表される構成単位を有する数平均分子量(以下、Mnと略記)が500以上のポリエステルポリオール(a12)を必須成分として含有する。
(a1)が(a11)並びに(a12)を含有することにより、PET及びナイロン等の極性基材並びにOPP等の低極性基材のいずれに対しても優れた密着性を有し、耐擦過性にも優れるポリウレタン樹脂が得られる。
【0018】
一般式(1)におけるR
1は水素原子、メチル基、エチル基、ビニル基、イソプロピル基又はイソプロペニル基を表し、R
2は水素原子又はメチル基を表す。尚、ポリオレフィンポリオール(a11)中に連続する3個以上のメチレン基がある場合、一般式(1)におけるR
1及びR
2が水素原子である構成単位(エチレン基)が存在するものと解釈する。
【0020】
一般式(2)におけるR
3は水素原子又はメチル基を表す。
【0022】
ポリオレフィンポリオール(a11)としては、一般式(1)で表される構成単位及び/又は一般式(2)で表される構成単位を有するポリオレフィンポリオールであれば特に限定されず、具体的にはポリブタジエンポリオール、水添ポリブタジエンポリオール、ポリイソプレンポリオール、水添ポリイソプレンポリオール、及び例えば特開2018−076428等に記載されるポリオレフィンを不飽和(ポリ)カルボン酸(無水物)で変性した酸変性ポリオレフィンとアミノアルコールを反応させて得ることができる水酸基変性ポリオレフィン等が挙げられる。(a11)は1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0023】
ポリオレフィンポリオール(a11)の市販品としては、例えば、NISSO−PB G シリーズ[ポリブタジエンポリオール、日本曹達(株)製]、Poly bd シリーズ[ポリブタジエンポリオール、出光興産(株)製]、NISSO−PB GI シリーズ[水添ポリブタジエンポリオール、日本曹達(株)製]、ポリテールH[水添ポリブタジエンポリオール、三菱ケミカル(株)製]、Poly ip シリーズ[ポリイソプレンポリオール、出光興産(株)製]、EPOL シリーズ[水添ポリイソプレンポリオール、出光興産(株)製]等が挙げられる。
【0024】
ポリオレフィンポリオール(a11)の内で好ましいのは、ポリウレタン樹脂(U)のOPP等の低極性基材への密着性及び耐擦過性の観点から、一般式(1)で表される構成単位を有するポリオレフィンポリオールであり、更に好ましいのは下記構成単位(i)及
び/又は(ii)を有するポリオレフィンポリオール並びに下記構成単位(iii)及び(iv)を有するポリオレフィンポリオール、特に好ましいのは下記構成単位(i)及び/又は(ii)を有するポリオレフィンポリオール、最も好ましいのは水添ポリブタジエンポリオールである。
・構成単位(i):一般式(1)におけるR
1がエチル基でR
2が水素原子である構成単位
・構成単位(ii):一般式(1)におけるR
1が水素原子でR
2が水素原子である構成単位が2個連結された構成単位
・構成単位(iii):一般式(1)におけるR
1がビニル基でR
2が水素原子である構成単位
・構成単位(iv):一般式(2)におけるR
3が水素原子である構成単位
【0025】
ポリウレタン樹脂(U)中の一般式(1)で表される構成単位及び一般式(2)で表される構成単位の合計の重量割合は、ポリウレタン樹脂(U)のPET、ナイロン等の極性基材並びにOPP等の低極性基への密着性及び耐擦過性を両立させる観点から、(U)の重量を基準として15〜55重量%であることが好ましく、更に好ましくは20〜50重量%、特に好ましくは30〜50重量%である。
一般式(1)で表される構成単位及び一般式(2)で表される構成単位は、ポリオレフィンポリオール(a11)に由来する構成単位であることが好ましい。
【0026】
ポリエステルポリオール(a12)は、化学式(3)で表される構成単位を含むポリエステルポリオールであれば特に限定されず、例えば、テレフタル酸と炭素数2〜20の多価アルコールとの脱水縮合により得られるポリエステルポリオール及びテレフタル酸及びテレフタル酸以外の炭素数4〜20の多価カルボン酸若しくはそのエステル形成性誘導体と炭素数2〜20の多価アルコールとの脱水縮合により得られるポリエステルポリオール等が挙げられる。(a12)は1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0027】
炭素数2〜20の多価アルコールとしては、炭素数2〜12の直鎖ジオール又は分岐を有する炭素数3〜12の脂肪族ジオール[エチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−ドデカンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール及びテトラエチレングリコール等の直鎖アルコール;1,2−プロピレングリコール、1,2−、1,3−又は2,3−ブタンジオール、2−メチル−1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−メチル−1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,6−ヘキサンジオール、2−メチル−1,7−ヘプタンジオール、3−メチル−1,7−ヘプタンジオール、4−メチル−1,7−ヘプタンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、3−メチル−1,8−オクタンジオール及び4−メチルオクタンジオール等の分岐アルコール等];炭素数6〜20の脂環式ジオール[1,4−シクロヘキサンジオール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,3−シクロペンタンジオール、1,4−シクロヘプタンジオール、2,5−ビス(ヒドロキシメチル)−1,4−ジオキサン、2,7−ノルボルナンジオール、テトラヒドロフランジメタノール、1,4−ビス(ヒドロキシエトキシ)シクロヘキサン、1,4−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン及び2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン等];炭素数8〜20の芳香環含有ジオール[m−又はp−キシリレングリコール、ビス(ヒドロキシエチル)ベンゼン及びビス(ヒドロキシエトキシ)ベンゼン等];炭素数3〜20のトリオール[脂肪族トリオール(グリセリン及びトリメチロールプロパン等)等];炭素数5〜20の4〜8価アルコール[脂肪族ポリオール(ペンタエリスリトール、ソルビトール、マンニトール、ソルビタン、ジグリセリン及びジペンタエリスリトール等);糖(ショ糖、グルコース、マンノース、
フルクトース、メチルグルコシド及びその誘導体)];等が挙げられる。これらの内でポリウレタン樹脂(U)の柔軟性及び密着性の観点から好ましいのは分岐を有する炭素数3〜12の脂肪族ジオールである。
【0028】
テレフタル酸以外の炭素数4〜20の多価カルボン酸又はそのエステル形成性誘導体としては、脂肪族ジカルボン酸(コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバチン酸、フマル酸及びマレイン酸等)、脂環式ジカルボン酸(ダイマー酸等)、テレフタル酸を除く芳香族ジカルボン酸(フタル酸及びイソフタル酸等)、3価又はそれ以上のポリカルボン酸(トリメリット酸及びピロメリット酸等)、これらの無水物(無水コハク酸、無水マレイン酸、無水フタル酸及び無水トリメリット酸等)、これらの酸ハロゲン化物(アジピン酸ジクロライド等)、これらの低分子量アルキルエステル(コハク酸ジメチル及びフタル酸ジメチル等)並びこれらの混合物が挙げられる。これらの内でポリウレタン樹脂(U)の柔軟性及び密着性の観点から好ましいのは脂肪族ジカルボン酸及びそのエステル形成性誘導体である。
【0029】
ポリウレタン樹脂(U)中の化学式(3)で表される構成単位の重量割合は、ポリウレタン樹脂(U)のPET、ナイロン等の極性基材並びにOPP等の低極性基への密着性及び耐擦過性を両立させる観点から、(U)の重量を基準として4〜40重量%であることが好ましく、更に好ましくは7〜30重量%、特に好ましくは10〜25重量%である。
化学式(3)で表される構成単位は、ポリエステルポリオール(a12)に由来する構成単位であることが好ましい。
【0030】
本発明における(a1)は(a11)及び(a12)以外の高分子ポリオール(a13)を含有してもよい。(a13)としては、Mn500以上のポリエステルポリオール(a131)及びMn500以上のポリエーテルポリオール(a132)等が挙げられる。(a13)は1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0031】
ポリエステルポリオール(a131)としては、(a12)以外の縮合型ポリエステルポリオール、ポリラクトンポリオール、ポリカーボネートジオール及びヒマシ油系ポリオール等が挙げられる。
【0032】
(a12)以外の縮合型ポリエステルポリオールとしては、前記炭素数2〜20の多価アルコールと前記テレフタル酸以外の炭素数4〜20の多価カルボン酸又はそのエステル形成性誘導体との脱水縮合により得られるポリエステルポリオール等が挙げられる。
【0033】
縮合型ポリエステルポリオールの市販品としては、サンエスター2610[Mn=1000のポリエチレンアジペートジオール、三洋化成工業(株)製]、サンエスター4620[Mn=2000のポリテトラメチレンアジペートジオール]、サンエスター2620[Mn=2000のポリエチレンアジペートジオール、三洋化成工業(株)製]、クラレポリオールP−2010[Mn=2000のポリ−3−メチル−1,5−ペンタンアジペートジオール]、クラレポリオールP−3010[Mn=3000のポリ−3−メチル−1,5−ペンタンアジペートジオール]及びクラレポリオールP−6010[Mn=6000のポリ−3−メチル−1,5−ペンタンアジペートジオール]等が挙げられる。
【0034】
ポリラクトンポリオールは、前記炭素数2〜20の多価アルコールへのラクトンの重付加物であり、ラクトンとしては、炭素数4〜12のラクトン(例えばγ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン及びε−カプロラクトン)等が挙げられる。
ポリラクトンポリオールの具体例としては、例えばポリカプロラクトンジオール、ポリバレロラクトンジオール及びポリカプロラクトントリオール等が挙げられる。
【0035】
ポリカーボネートジオールとしては、前記炭素数2〜20の多価アルコールの1種又は2種以上と、低分子カーボネート化合物(例えば、アルキル基の炭素数1〜6のジアルキルカーボネート、炭素数2〜6のアルキレン基を有するアルキレンカーボネート及び炭素数6〜9のアリール基を有するジアリールカーボネート)から、脱アルコール反応させながら縮合させることによって製造されるポリカーボネートポリオールが挙げられる。
【0036】
ポリカーボネートジオールの市販品としては、デュラノール T6002[1,6−ヘキサンジオールを用いたMn=2000のポリカーボネートジオール、旭化成ケミカルズ(株)製]、ETERNACOLL UH−300[1,6−ヘキサンジオールを用いたMn=3000のポリカーボネートジオール、宇部興産(株)製]、ETERNACOLL UM−90(1/3)[1,4−シクロヘキサンジメタノール/1,6−ヘキサンジオール=1/3(モル比)を用いたMn=900のポリカーボネートジオール、宇部興産(株)製]、デュラノール G4672[1,4−ブタンジオール/1,6−ヘキサンジオール=70/30(モル比)を用いたMn=2000のポリカーボネートジオール、旭化成ケミカルズ(株)製]、デュラノール T5652[1,5−ペンタンジオール/1,6−ヘキサンジオール=50/50(モル比)を用いたMn=2000のポリカーボネートジオール、旭化成ケミカルズ(株)製]、クラレポリオール C−2090[3−メチル−1,5−ペンタンジオール/1,6−ヘキサンジオール=90/10(モル比)を用いたMn=2000のポリカーボネートジオール、クラレ(株)製]、クラレポリオール C−2050[3−メチル−1,5−ペンタンジオール/1,6−ヘキサンジオール=50/50(モル比)を用いたMn=2000のポリカーボネートジオール、クラレ(株)製]等が挙げられる。
【0037】
ヒマシ油系ポリオールには、ヒマシ油及びポリオール又は炭素数2〜12のアルキレンオキサイド(以下、AOと略記)で変性された変性ヒマシ油が含まれる。変性ヒマシ油はヒマシ油とポリオールとのエステル交換及び/又はAO付加により製造できる。ヒマシ油系ポリオールとしては、ヒマシ油、トリメチロールプロパン変性ヒマシ油、ペンタエリスリトール変性ヒマシ油及びヒマシ油のエチレンオキサイド(以下、EOと略記)付加物(付加モル数4〜30モル)等が挙げられる。
【0038】
炭素数2〜12のAOとしては、EO、プロピレンオキサイド(以下、POと略記)、1,2−、2,3−又は1,3−ブチレンオキサイド、テトラヒドロフラン、3−メチルテトラヒドロフラン、α−オレフィンオキサイド、スチレンオキサイド及びエピハロヒドリン(エピクロルヒドリン等)等が挙げられる。
【0039】
ポリエーテルポリオール(a132)としては、脂肪族ポリエーテルポリオール及び芳香族環含有ポリエーテルポリオールが挙げられる。
【0040】
脂肪族ポリエーテルポリオールとしては、前記炭素数2〜20の脂肪族多価アルコールへの炭素数2〜12のAO付加物等が挙げられ、具体的にはポリオキシアルキレンポリオール(ポリエチレングリコール等)、ポリオキシプロピレンポリオール(ポリプロピレングリコール等)及びポリオキシエチレン/プロピレンポリオール及びポリテトラメチレンエーテルグリコール等が挙げられる。
【0041】
脂肪族ポリエーテルポリオールの市販品としては、PTMG1000[Mn=1000のポリ(オキシテトラメチレン)グリコール、三菱化学(株)製]、PTMG2000[Mn=2000のポリ(オキシテトラメチレン)グリコール、三菱化学(株)製]、PTMG3000[Mn=3000のポリ(オキシテトラメチレン)グリコール、三菱化学(株)製]、PTGL2000[Mn=2000の変性ポリ(オキシテトラメチレン)グリコール、保土谷化学工業(株)製]、PTGL3000[Mn=3000の変性ポリ(オキシテトラメチレン)グリコール、保土谷化学工業(株)製]、サンニックスPP−2000[Mn=2000のポリオキシプロピレングリコール、三洋化成工業(株)製]及びサンニックスジオールGP−3000[Mn=3000のポリオキシプロピレンエーテルトリオール、三洋化成工業(株)製]、TEGOMER D3403[Mn=1,200のポリオキシエチレンポリオール、エボニックデグサ社製]、Ymer N120[Mn=1,000のポリオキシエチレンポリオール、パーストープ社製]等が挙げられる。
【0042】
芳香族ポリエーテルポリオールとしては、例えばビスフェノールAのEO付加物(ビスフェノールAのEO2モル付加物、ビスフェノールAのEO4モル付加物、ビスフェノールAのEO6モル付加物、ビスフェノールAのEO8モル付加物、ビスフェノールAのEO10モル付加物及びビスフェノールAのEO20モル付加物等)及びビスフェノールAのPO付加物(ビスフェノールAのPO2モル付加物、ビスフェノールAのPO3モル付加物及びビスフェノールAのPO5モル付加物等)等のビスフェノール骨格を有するポリオール並びにレゾルシンのEO又はPO付加物等が挙げられる。
【0043】
高分子ポリオール成分(a1)を構成する高分子ポリオールのMnは、ポリウレタン樹脂(U)の柔軟性及び機械物性の観点から、好ましくは500〜6000、更に好ましくは1000〜4000である。
【0044】
本発明におけるポリオールのMnは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより、例えば以下の条件で測定することができる。
装置:「Waters Alliance 2695」[Waters社製]
カラム:「Guardcolumn Super H−L」(1本)、「TSKgel SuperH2000、TSKgel SuperH3000、TSKgel SuperH4000(いずれも東ソー株式会社製)を各1本連結したもの」
試料溶液:0.25重量%のテトラヒドロフラン溶液
溶液注入量:10μl
流量:0.6ml/分
測定温度:40℃
検出装置:屈折率検出器
基準物質:標準ポリエチレングリコール
【0045】
本発明における活性水素原子含有成分(A)は、高分子ポリオール成分(a1)以外にも、イオン性基を有しない化学式量又は数平均分子量が500未満の低分子ポリオール成分(a2)、イオン性基と活性水素原子を含有する化合物(a3)、(a2)以外の鎖伸長剤(a4)及び反応停止剤(a5)を含有することができる。
【0046】
イオン性基を有しない化学式量又は数平均分子量が500未満の低分子ポリオール成分(a2)としては、前記炭素数2〜20の多価アルコールが挙げられる。(a2)は1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0047】
(a2)の内でポリウレタン樹脂(U)の柔軟性、密着性、耐擦過性及び機械物性の観点から、前記分岐を有する炭素数3〜12の脂肪族ジオールが好ましく、更に好ましいのはネオペンチルグリコールである。
【0048】
イオン性基と活性水素原子を含有する化合物(a3)としては、アニオン性基と活性水素原子を含有する化合物(a31)及びカチオン性基と活性水素原子を含有する化合物(a32)が挙げられる。(a3)は1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0049】
(a31)としては、例えばアニオン性基としてカルボキシル基を含有し、炭素数が2〜10の化合物[ジアルキロールアルカン酸(例えば2,2−ジメチロールプロピオン酸、2,2−ジメチロールブタン酸、2,2−ジメチロールヘプタン酸及び2,2−ジメチ
ロールオクタン酸)、酒石酸及びアミノ酸(例えばグリシン、アラニン及びバリン)等]、アニオン性基としてスルホン酸基を含有し、炭素数が2〜16の化合物[3−(2,3−ジヒドロキシプロポキシ)−1−プロパンスルホン酸及びスルホイソフタル酸ジ(エチレングリコール)エステル等]、アニオン性基としてスルファミン酸基を含有し、炭素数が2〜10の化合物[N,N−ビス(2−ヒドロキシルエチル)スルファミン酸等]等、並びにこれらの化合物を中和剤で中和した塩が挙げられる。(a3)は1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0050】
(a31)の塩に用いられる中和剤としては、例えばアンモニア、炭素数1〜20のアミン化合物又はアルカリ金属水酸化物(水酸化ナトリウム、水酸化カリウム及び水酸化リチウム等)が挙げられる。
炭素数1〜20のアミン化合物としては、モノメチルアミン、モノエチルアミン、モノブチルアミン及びモノエタノールアミン等の1級アミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジブチルアミン、ジエタノールアミン及びジイソプロパノールアミン、メチルプロパノールアミン等の2級アミン並びにトリメチルアミン、トリエチルアミン、ジメチルエチルアミン、ジメチルモノエタノールアミン及びトリエタノールアミン等の3級アミン等が挙げられる。(a31)の塩に用いられる中和剤は、1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0051】
(a31)の塩に用いられる中和剤としては、生成するポリウレタン樹脂水性分散体(Q)の乾燥性及び得られる皮膜の耐水性の観点から、25℃における蒸気圧が高い化合物が好適である。このような観点から、(a31)の塩に用いられる中和剤としては、アンモニア、モノメチルアミン、モノエチルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン及びジメチルエチルアミンが好ましい。
【0052】
(a31)の内、得られる皮膜の機械物性、耐水性及びポリウレタン樹脂水性分散体(Q)の分散安定性の観点から好ましいのは、2,2−ジメチロールプロピオン酸及び2,2−ジメチロールブタン酸及びこれらの塩であり、更に好ましいのは2,2−ジメチロールプロピオン酸及び2,2−ジメチロールブタン酸のアンモニア又は炭素数1〜20のアミン化合物による中和塩である。
【0053】
カチオン性基と活性水素原子を含有する化合物(a32)としては、例えばカチオン性基として3級アミノ基を有し、活性水素原子として水酸基を有する化合物、炭素数1〜20の3級アミノ基含有ジオール[N−アルキルジアルカノールアミン(例えばN−メチルジエタノールアミン、N−プロピルジエタノールアミン、N−ブチルジエタノールアミン及びN−メチルジプロパノールアミン)及びN,N−ジアルキルモノアルカノールアミン(例えばN,N−ジメチルエタノールアミン)等]等の化合物を中和剤で中和した塩が挙げられる。
【0054】
(a32)の塩に用いられる中和剤としては、炭素数1〜10のモノカルボン酸(例えばギ酸、酢酸、プロパン酸等)、炭酸、炭酸ジメチル、硫酸ジメチル、メチルクロライド及びベンジルクロライド等が挙げられる。
【0055】
(a31)及び(a32)の塩に用いられる中和剤は、ウレタン化反応前、ウレタン化反応中、ウレタン化反応後、水分散工程前、水分散工程中又は水分散後のいずれの時期に添加してもよいが、ウレタン樹脂の安定性及び水性分散体の安定性の観点から、水分散工程前又は水分散工程中に添加することが好ましい。また、脱溶剤時に揮発した中和剤を脱溶剤後に追添加してもよく、追添加する中和剤種は上記のもの等から自由に選択することができる。
【0056】
(a3)により導入されるイオン性基の(U)中の含有量は、(U)の重量を基準として、好ましくは0.1〜1.5mmol/g、更に好ましくは0.1〜1.2mmol/g、特に好ましくは0.1〜0.9mmol/gである。
【0057】
本発明におけるイオン性基の含有量とは、未中和のカチオン性基又はアニオン性基の重量%を意味し、対イオンの重量は含まない。例えば、(a31)におけるイオン性基の含有量は、2,2−ジメチロールプロピオン酸のトリエチルアミン塩の場合は、カルボキシル基(−COOH)の重量%を、3−(2,3−ジヒドロキシプロポキシ)−1−プロパンスルホン酸のトリエチルアミン塩の場合はスルホ基(−SO
3H)の重量%を指す。ま
た、(a32)におけるイオン性基の含有量は、3級アミノ基中の窒素原子のみの重量%を指す。
【0058】
(a2)以外の鎖伸長剤(a4)としては、水、炭素数2〜36の脂肪族ポリアミン[エチレンジアミン及びヘキサメチレンジアミン等のアルキレンジアミン;ジエチレントリアミン、ジプロピレントリアミン、ジヘキシレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチエレンヘキサミン及びヘキサエチレンヘプタミン等のポリ(n=2〜6)アルキレン(炭素数2〜6)ポリ(n=3〜7)アミン等]、炭素数6〜20の脂環式ポリアミン(1,3−又は1,4−ジアミノシクロヘキサン、4,4’−又は2,4’−ジシクロヘキシルメタンジアミン及びイソホロンジアミン等)、炭素数6〜20の芳香族ポリアミン(1,3−又は1,4−フェニレンジアミン、2,4−又は2,6−トリレンジアミン、4,4’−又は2,4’−メチレンビスアニリン等)、炭素数3〜20の複素環式ポリアミン(2,4−ジアミノ−1,3,5−トリアジン、ピペラジン及びN−アミノエチルピペラジン等)、ヒドラジン又はその誘導体(二塩基酸ジヒドラジド例えばアジピン酸ジヒドラジド等)及び炭素数2〜20のアミノアルコール(例えばエタノールアミン、ジエタノールアミン、2−アミノ−2−メチルプロパノール及びトリエタノールアミン)等が挙げられる。(a4)は1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0059】
反応停止剤(a5)としては、炭素数1〜20のモノアルコール(メタノール、エタノール、ブタノール、オクタノール、デカノール、ドデシルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール及びステアリルアルコール等)、炭素数1〜20のモノアミン(モノメチルアミン、モノエチルアミン、モノブチルアミン、ジブチルアミン及びモノオクチルアミン等のモノ又はジアルキルアミン並びにモノエタノールアミン、ジエタノールアミン及びジイソプロパノールアミン等のモノ又はジアルカノールアミン等)が挙げられる。反応停止剤(a5)は1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0060】
本発明における活性水素原子含有成分(A)は、高分子ポリオール成分(a1)以外にも、イオン性基を有しない化学式量又は数平均分子量が500未満の低分子ポリオール成分(a2)及び/又はイオン性基と活性水素原子を含有する化合物(a3)を含有し、前記低分子ポリオール成分(a2)は分岐を有する炭素数3〜12の脂肪族ジオールであることが好ましい。
【0061】
本発明における有機ポリイソシアネート成分(B)としては、2〜3個又はそれ以上のイソシアネート基を有する炭素数8〜26の芳香族ポリイソシアネート(b1)、炭素数4〜22の脂肪族ポリイソシアネート(b2)、炭素数8〜18の脂環式ポリイソシアネート(b3)、炭素数10〜18の芳香脂肪族ポリイソシアネート(b4)及びこれらのポリイソシアネートの変性物(b5)等が挙げられる。有機ポリイソシアネート成分(B)は1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0062】
炭素数8〜26の芳香族ポリイソシアネート(b1)としては、例えば1,3−又は1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−又は2,6−トリレンジイソシアネート(以下、トリレンジイソシアネートをTDIと略記)、粗製TDI、4,4’−又は2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(以下、ジフェニルメタンジイソシアネートをMDIと略記)、粗製MDI、ポリアリールポリイソシアネート、4,4’−ジイソシアナトビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジイソシアナトビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジイソシアナトジフェニルメタン、1,5−ナフチレンジイソシア
ネート、4,4’,4”−トリフェニルメタントリイソシアネート及びm−又はp−イソシアナトフェニルスルホニルイソシアネートが挙げられる。
【0063】
炭素数4〜22の脂肪族ポリイソシアネート(b2)としては、例えばエチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(以下、HDIと略記)、ドデカメチレンジイソシアネート、1,6,11−ウンデカントリイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、2,6−ジイソシアナトメチルカプロエート、ビス(2−イソシアナトエチル)フマレート、ビス(2−イソシアナトエチル)カーボネート及び2−イソシアナトエチル−2,6−ジイソシアナトヘキサノエートが挙げられる。
【0064】
炭素数8〜18の脂環式ポリイソシアネート(b3)としては、例えばイソホロンジイソシアネート(以下、IPDIと略記)、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(以下、水添MDIと略記)、シクロヘキシレンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート、ビス(2−イソシアナトエチル)−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボキシレート及び2,5−又は2,6−ノルボルナンジイソシアネートが挙げられる。
【0065】
炭素数10〜18の芳香脂肪族ポリイソシアネート(b4)としては、例えばm−又はp−キシリレンジイソシアネート及びα,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネートが挙げられる。
【0066】
(b1)〜(b4)のポリイソシアネートの変性物(b5)としては、前記ポリイソシアネートの変性物(ウレタン基、カルボジイミド基、アロハネート基、ウレア基、ビウレット基、ウレトジオン基、ウレトイミン基、イソシアヌレート基又はオキサゾリドン基含有変性物等;遊離イソシアネート基含有量が8〜33重量%、好ましくは10〜30重量%、特に12〜29重量%のもの)、例えば変性MDI(ウレタン変性MDI、カルボジイミド変性MDI及びトリヒドロカルビルホスフェート変性MDI等)、ウレタン変性TDI、ビウレット変性HDI、イソシアヌレート変性HDI及びイソシアヌレート変性IPDI等のポリイソシアネートの変性物が挙げられる。
【0067】
有機ポリイソシアネート成分(B)の内、ポリウレタン樹脂(U)の柔軟性及び密着性の観点から、好ましいのは炭素数8〜18の脂環式ポリイソシアネート(b3)であり、更に好ましいのはIPDIである。
【0068】
本発明におけるポリウレタン樹脂(U)のウレタン基濃度は、(U)の柔軟性、機械物性、耐擦過性及び密着性の観点から、(U)の重量を基準として、好ましくは1.0〜2.7mmol/g、更に好ましくは1.3〜2.5mmol/g、特に好ましくは1.5〜2.3mmol/gである。
【0069】
本発明におけるポリウレタン樹脂(U)のウレア基濃度は、(U)の柔軟性、機械物性、耐擦過性及び密着性の観点から、(U)の重量を基準として、好ましくは0.1〜0.7mmol/g、更に好ましくは0.2〜0.6mmol/g、特に好ましくは0.3〜0.5mmol/gである。
【0070】
本発明におけるポリウレタン樹脂(U)のMnは、(U)の機械物性、密着性及び耐擦過性の観点から、好ましくは1万〜100万である。
【0071】
本発明におけるポリウレタン樹脂(U)のMnは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより、例えば以下の条件で測定することができる。
装置:「HLC−8220GPC」[東ソー(株)製]
カラム:「Guardcolumn α」+「TSKgel α−M」[いずれも東ソー(株)製]
試料溶液:0.125重量%のジメチルホルムアミド溶液
溶液注入量:100μl
流量:1ml/分
測定温度:40℃
検出装置:屈折率検出器
基準物質:標準ポリスチレン
【0072】
本発明におけるポリウレタン樹脂(U)には、必要により酸化防止剤、着色防止剤、耐候安定剤、可塑剤及び離型剤等の添加剤を添加することができる。これらの添加剤の使用量は(U)の重量を基準として好ましくは10重量%以下、更に好ましくは3重量%以下、特に好ましくは1重量%以下である。
【0073】
ポリウレタン樹脂(U)は、イオン性基と活性水素基を有する化合物(a3)の代わりに又は(a3)と併用して、分散剤(H)を用いて水性媒体に分散させることもできるが、得られる乾燥皮膜の耐水性の観点から、(a3)のみを使用した自己乳化型の水性分散体とすることが好ましい。
【0074】
分散剤(H)としては、非イオン性界面活性剤(h1)、アニオン性界面活性剤(h2)、カチオン性界面活性剤(h3)、両性界面活性剤(h4)及びその他の乳化分散剤(h5)が挙げられる。(H)は1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0075】
(h1)としては、例えばAO付加型非イオン性界面活性剤及び多価アルコール型非イオン性界面活性剤が挙げられる。AO付加型としては、炭素数10〜20の脂肪族アルコールのEO付加物、フェノールのEO付加物、ノニルフェノールのEO付加物、炭素数8〜22のアルキルアミンのEO付加物及びポリオキシプロピレングリコールのEO付加物等が挙げられ、多価アルコール型としては、多価(3〜8価又はそれ以上)アルコール(炭素数2〜30)の脂肪酸(炭素数8〜24)エステル(例えばグリセリンモノステアレート、グリセリンモノオレエート、ソルビタンモノラウレート及びソルビタンモノオレエート等)及びアルキル(炭素数4〜24)ポリ(重合度1〜10)グリコシド等が挙げられる。
【0076】
(h2)としては、例えば炭素数8〜24の炭化水素基を有するエーテルカルボン酸又はその塩[ラウリルエーテル酢酸ナトリウム及び(ポリ)オキシエチレン(付加モル数1〜100)ラウリルエーテル酢酸ナトリウム等];炭素数8〜24の炭化水素基を有する硫酸エステル又はエーテル硫酸エステル及びそれらの塩[ラウリル硫酸ナトリウム、(ポリ)オキシエチレン(付加モル数1〜100)ラウリル硫酸ナトリウム、(ポリ)オキシエチレン(付加モル数1〜100)ラウリル硫酸トリエタノールアミン及び(ポリ)オキシエチレン(付加モル数1〜100)ヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド硫酸ナトリウム等];炭素数8〜24の炭化水素基を有するスルホン酸塩[ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等];炭素数8〜24の炭化水素基を1個又は2個有するスルホコハク酸塩;炭素数8〜24の炭化水素基を有するリン酸エステル又はエーテルリン酸エステル及びそれらの塩[ラウリルリン酸ナトリウム及び(ポリ)オキシエチレン(付加モル数1〜100)ラウリルエーテルリン酸ナトリウム等];炭素数8〜24の炭化水素基を有する脂肪酸塩[ラウリン酸ナトリウム及びラウリン酸トリエタノールアミン等];並びに炭素数8〜24の炭化水素基を有するアシル化アミノ酸塩[ヤシ油脂肪酸メチルタウリンナトリウム、ヤシ油脂肪酸サルコシンナトリウム、ヤシ油脂肪酸サルコシントリエタノールアミン、N−ヤシ油脂肪酸アシル−L−グルタミン酸トリエタノールアミン、N−ヤシ油脂肪酸アシル−L−グルタミン酸ナトリウム及びラウロイルメチル−β−アラニンナトリウム等
]が挙げられる。
【0077】
(h3)としては、例えば第4級アンモニウム塩型[塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム及びエチル硫酸ラノリン脂肪酸アミノプロピルエチルジメチルアンモニウム等]並びにアミン塩型[ステアリン酸ジエチルアミノエチルアミド乳酸塩、ジラウリルアミン塩酸塩及びオレイルアミン乳酸塩等]が挙げられる。
【0078】
(h4)としては、例えばベタイン型両性界面活性剤[ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ラウリルヒドロキシスルホベタイン及びラウロイルアミドエチルヒドロキシエチルカルボキシメチルベタインヒドロキシプロピルリン酸ナトリウム等]並びにアミノ酸型両性界面活性剤[β−ラウリルアミノプロピオン酸ナトリウム等]が挙げられる。
【0079】
(h5)としては、例えばポリビニルアルコール、デンプン及びその誘導体、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース及びヒドロキシエチルセルロース等のセルロース誘導体並びにポリアクリル酸ソーダ等のカルボキシル基含有(共)重合体及び米国特許第5906704号明細書に記載のウレタン基又はエステル基を有する乳化分散剤[例えばポリカプロラクトンポリオールとポリエーテルジオールをポリイソシアネートで連結させたもの]等が挙げられる。
【0080】
分散剤(H)は、ポリウレタン樹脂(U)のウレタン化反応後、(U)の水分散工程前、水分散工程中又は水分散後のいずれの時期に添加してもよいが、(U)の分散性及び水性分散体の安定性の観点から、水分散工程前又は水分散工程中に添加することが好ましい。
【0081】
(H)を使用する場合、その含有量は、乾燥皮膜の耐水性、ポリウレタン樹脂(U)の分散性及び水性分散体の安定性の観点からポリウレタン樹脂(U)の重量を基準として、好ましくは0.01〜15重量%、更に好ましくは0.01〜10重量%、特に好ましくは0.01〜5重量%である。
【0082】
本発明のポリウレタン樹脂水性分散体(Q)を製造する方法としては、例えば、以下の[1]及び[2]の方法等が挙げられる。
【0083】
[1]高分子ポリオール成分(a1)並びに必要によりイオン性基を有しない化学式量又は数平均分子量が500未満の低分子ポリオール成分(a2)、イオン性基と活性水素基を有する化合物(a3)、(a2)以外の鎖伸長剤(a4)及び反応停止剤(a5)を含有する活性水素原子含有成分(A)と有機ポリイソシアネート成分(B)とを、有機溶剤(S)の存在下又は非存在下で一段又は多段で反応させてポリウレタン樹脂(U)を製造し、必要により(a3)により導入されたイオン性基部分を中和剤により塩として、水性媒体に分散させた後に、必要により有機溶剤(S)を留去する方法。
【0084】
[2]高分子ポリオール成分(a1)並びに必要によりイオン性基を有しない化学式量又は数平均分子量が500未満の低分子ポリオール成分(a2)、イオン性基と活性水素基を有する化合物(a3)及び(a2)以外の鎖伸長剤(a4)を含有する活性水素原子含有成分(A)と有機ポリイソシアネート成分(B)とを、有機溶剤(S)の存在下又は非存在下で一段又は多段で反応させてイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(P)を製造し、次いで必要によりプレポリマー(P)中の(a3)により導入された親水基部分を中和により塩として水性媒体に分散させて、(a2)以外の鎖伸長剤(a4)及び/又は反
応停止剤(a5)をプレポリマー(P)中のイソシアネート基が実質的に無くなるまで反応させた後に、必要により有機溶剤(S)を留去する方法。
【0085】
[1]及び[2]の方法の内、ポリウレタン樹脂(U)の分散安定性及び乾燥皮膜の機械強度の観点から好ましいのは[2]の方法である。
【0086】
また、ポリウレタン樹脂(U)の分散安定性の観点から、ウレタンプレポリマー(P)を多段で製造してポリウレタン樹脂水性分散体(Q)を製造する方法が更に好ましく、特に(a12)以外の高分子ポリオール成分(a1)並びに必要により(a2)、(a3)及び(a4)を含有する活性水素原子含有成分(Aと有機ポリイソシアネート成分(B)とを、有機溶剤(S)の存在下又は非存在下で反応させ、イソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(P1)を製造した後に、得られたウレタンプレポリマー(P1)と(a12)とを反応させてイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(P2)を製造し、次いで必要によりプレポリマー(P2)中の(a3)により導入されたイオン性基部分を中和により塩として水性媒体に分散させて、(a4)及び/又は(a5)をプレポリマー(P2)中のイソシアネート基が実質的に無くなるまで反応させた後に、必要により有機溶剤(S)を留去して製造する方法が好ましい。
【0087】
[1]の方法におけるポリウレタン樹脂(U)及び[2]の方法におけるウレタンプレポリマー(P)を製造する際の反応温度は、副反応抑制の観点から、60〜120℃が好ましく、更に好ましくは60〜110℃であり、特に好ましくは60〜100℃である。製造時間は、使用する設備により適宜選択することができるが、一般的に1分〜100時間が好ましく、更に好ましくは3分〜30時間であり、特に好ましくは5分〜20時間である。
【0088】
有機溶剤(S)は、イソシアネート基と実質的に非反応性の溶剤から選ばれ、例えばケトン系溶剤(例えばアセトン及びメチルエチルケトン)、エステル系溶剤[例えば酢酸エチル、ニ塩基酸エステル(DBE)]、エーテル系溶剤(例えばテトラヒドロフラン)、アミド系溶剤(例えばN,N−ジメチルホルムアミド及びN−メチルピロリドン)及び芳香族炭化水素系溶剤(例えばトルエン)等が挙げられる。これらの有機溶媒(S)は1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
また、本発明における水性媒体とは、水又は水と有機溶媒(S)との混合物を意味する。
【0089】
有機溶剤(S)として好ましいのは、沸点が100℃未満の有機溶剤であり、例えばアセトン、メチルエチルケトン、酢酸エチル及びテトラヒドロフラン等が挙げられる。
沸点が100℃以上の有機溶剤を使用すると、水性媒体から有機溶剤のみを完全に除去することが困難になり、水性分散体中に残存し、乾燥時に有機溶剤が発生するため好ましくない。また、有機溶剤が皮膜中に残存しやすくなり、皮膜の機械物性が経時的に変化するため好ましくない。
【0090】
ポリウレタン樹脂水性分散体(Q)における有機溶媒(S)の含有量は、臭気、経時安定性、環境負荷及び安全性の観点からは、(Q)の重量に基づいて、1重量%以下であることが好ましく、更に好ましくは0.8重量%以下、特に好ましくは0.5重量%以下である。
【0091】
上記[1]及び[2]の方法におけるウレタン化反応では、反応を促進させるため、必要により公知のウレタン化触媒等を使用することができる。ウレタン化触媒の添加量は、ポリウレタン樹脂(U)又はプレポリマー(P)の重量に基づき、好ましくは0.001〜3重量%、更に好ましくは0.005〜2重量%、特に好ましくは0.01〜1重量%
である。
【0092】
ウレタン化触媒としては、金属触媒[錫系触媒(トリメチルチンラウレート、トリメチルチンヒドロキサイド、ジメチルチンジラウレート、ジブチルチンジアセテート、ジブチルチンジラウレート、スタナスオクトエート及びジブチルチンマレエート等)、鉛系触媒(オレイン酸鉛、2−エチルヘキサン酸鉛、ナフテン酸鉛及びオクテン酸鉛等)、コバルト系触媒(ナフテン酸コバルト等)、ビスマス系触媒{ビスマストリス(2−エチルヘキサノエート等}及び水銀系触媒(フェニル水銀プロピオン酸塩等)等]、アミン触媒[トリエチレンジアミン、テトラメチルエチレンジアミン、テトラメチルヘキシレンジアミン、ジアザビシクロアルケン{1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン}等;ジアルキルアミノアルキルアミン{ジメチルアミノエチルアミン、ジメチルアミノプロピルアミン、ジエチルアミノプロピルアミン、ジブチルアミノエチルアミン、ジメチルアミノオクチルアミン及びジプロピルアミノプロピルアミン等]又は複素環式アミノアルキルアミン[2−(1−アジリジニル)エチルアミン及び4−(1−ピペリジニル)−2−ヘキシルアミン等]の炭酸塩又は有機酸塩(ギ酸塩等)等;N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリン、トリエチルアミン、ジエチルエタノールアミン及びジメチルエタノールアミン等]並びにこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
【0093】
前記[1]の方法におけるポリウレタン樹脂(U)又はその有機溶剤溶液、前記[2]の方法におけるウレタンプレポリマー(P)又はその有機溶剤溶液を水中に分散する装置としては特に制限されないが、回転式分散混合装置、超音波式分散機又は混練機を用いることが好ましく、なかでも分散能力が特に優れる回転式分散混合装置が更に好ましい。
【0094】
回転式分散混合装置としては、例えばマックスブレンドやヘリカル翼等の一般的な攪拌羽を有する混合装置、TKホモミキサー[プライミクス(株)製]、クレアミックス[エムテクニック(株)製]、フィルミックス[プライミクス(株)製]、ウルトラターラックス[IKA(株)製]、エバラマイルダー[荏原製作所(株)製]、キャビトロン(ユーロテック社製)及びバイオミキサー[日本精機(株)製]等が例表される。
【0095】
本発明におけるポリウレタン樹脂水性分散体(Q)は、ジメチルシリコーン(E)を含有することができる。(Q)がジメチルシリコーン(E)を含有することにより、ポリウレタン樹脂(U)の耐擦過性を向上させることができる。
【0096】
ジメチルシリコーン(E)としては、オイル型ジメチルシリコーン(e1)及び(e1)を分散剤により水性媒体に分散させたエマルション型ジメチルシリコーン(e2)等が挙げられる。(E)は1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0097】
オイル型ジメチルシリコーンオイル(e1)の市販品としては、SH200シリーズ[東レ・ダウコーニング(株)製]、KF−96シリーズ[信越化学(株)製]及びTSF451シリーズ[モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製]等が挙げられる。
【0098】
エマルション型ジメチルシリコーン(e2)の市販品としては、SM8706EX、FSXE−2098、IE−7045、SM7036EX、IE7046T及びSM8701EX[東レ・ダウコーニング(株)製]、POLON MF−7、POLON MF−17、POLON MF−32及びPOLON MF−33[信越化学(株)製]並びにTSM630、TSM631、TSM6344及びTSM6343[モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製]等が挙げられる。
【0099】
ジメチルシリコーン(E)の内で、ポリウレタン樹脂水性分散体(Q)の分散安定性の
観点から好ましいのは(e2)である。
ジメチルシリコーン(E)は1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0100】
ジメチルシリコーン(E)の使用量は、ポリウレタン樹脂(U)の密着性及び耐擦過性の観点から、(U)の重量を基準として、好ましくは0.2〜15重量%、更に好ましくは0.5〜10重量%、特に好ましくは1.0〜5重量%である。
【0101】
ジメチルシリコーン(E)を含有するポリウレタン樹脂水性分散体(Q)を製造する方法としては、(E)がオイル型ジメチルシリコーンオイル(e1)の場合、ポリウレタン樹脂(U)又はウレタンプレポリマー(P)を水性媒体に分散させる前に(U)と(e1)を混合し、前述の水性媒体への分散工程を行えばよく、(E)がエマルション型ジメチルシリコーンオイル(e2)であれば、(U)の分散工程後に(e2)を配合すればよい。
【0102】
ポリウレタン樹脂水性分散体(Q)におけるポリウレタン樹脂(U)の体積平均粒子径(Dv)は、好ましくは0.01〜1.0μm、更に好ましくは0.01〜0.5μmである。(Dv)が0.01μm以上であるとポリウレタン樹脂水性分散体(Q)の粘度が適正でありハンドリング性が良好であり、0.5μm以下であると分散安定性が良好である。
【0103】
(U)の体積平均粒子径(Dv)は、(U)中のイオン性基、中和剤、分散剤量並びに分散工程で使用する分散機の種類及び分散条件によって制御することができる。
体積平均粒子径(Dv)は、光散乱粒度分布測定装置[堀場製作所(株)製「LA950 V2」]で測定することができる。
【0104】
ポリウレタン樹脂水性分散体(Q)の固形分濃度(揮発性成分以外の成分の含有量)は、(Q)の取り扱い易さの観点から、好ましくは20〜65重量%、更に好ましくは25〜55重量%である。固形分濃度は、水性分散体約1gをペトリ皿上にうすく伸ばし、精秤した後、循環式定温乾燥機を用いて130℃で、45分間加熱した後の重量を精秤し、加熱前の重量に対する加熱後の残存重量の割合(百分率)を計算することにより得ることができる。
【0105】
ポリウレタン樹脂水性分散体(Q)の25℃での粘度は、ハンドリング性の観点から、好ましくは5000mPa・s以下、更に好ましくは1000mPa・s以下である。粘度はBL型粘度計を用いて測定することができる。
【0106】
ポリウレタン樹脂水性分散体(Q)の25℃でのpHは、分散安定性の観点から、好ましくは2〜12、更に好ましくは4〜10である。pHは、pH Meter M−12[堀場製作所(株)製]を用いて測定することができる。
【0107】
本発明の印刷インク(L)は、本発明のポリウレタン樹脂水性分散体(Q)を含有する。(Q)を用いることにより、画像の密着及び耐擦過性に優れた印刷インクが得られる。
【0108】
印刷インク(L)は、(Q)以外に必須成分としての色材並びに任意成分としての保湿剤、浸透剤、水及びその他の添加剤を含有する。
【0109】
色材としては、染料及び顔料が挙げられる。
染料としては特に限定されないが、使用するメディアに応じて、反応染料、バット染料、ナフトール染料、硫化染料、直接染料、酸性染料、金属錯塩型染料、分散染料及びカチオン染料等を選択することができる。
【0110】
顔料としては、無機顔料(例えば白色顔料、黒色顔料、灰色顔料、赤色顔料、茶色顔料、黄色顔料、緑色顔料、青色顔料、紫色顔料及びメタリック顔料)及び有機顔料(例えば天然有機顔料合成系有機顔料、ニトロソ顔料、ニトロ顔料、顔料色素型アゾ顔料、水溶性染料から作られるアゾレーキ、難溶性染料から作られるアゾレーキ、塩基性染料から作られるレーキ、酸性染料から作られるレーキ、キサンタンレーキ、アントラキノンレーキ、バット染料からの顔料及びフタロシアニン顔料)が挙げられる。
【0111】
これら色材の内で好ましいのは顔料である。色材は1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
色材の含有量は、(L)の重量に基づいて好ましくは50重量%以下、更に好ましくは30重量%以下である。
【0112】
保湿剤としては、特に限定されないが、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ペンタメチレングリコール、トリメチレングリコール、2−ブテン−1、4−ジオール、2−エチル−1、3−ヘキサンジオール、2−メチル−2、4−ペンタンジオール、トリプロピレングリコール、Mnが2000以下のポリエチレングリコール、1、3−プロピレングリコール、イソプロピレングリコール、イソブチレングリコール、グリセリン、メソエリスリトール、ペンタエリスリトール、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、及びN−エチル−2−ピロリドンが挙げられる。保湿剤は1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0113】
浸透剤としては、特に限定されないが、例えば、グリコールエーテル(エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、1−メチル−1−メトキシブタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル及びジプロピレングリコールモノブチルエーテル等)及び炭素数4〜8の脂肪族ジオール(1,2−ペンタンジオール及び1,2−ヘキサンジオール等の1,2−アルキルジオール並びに1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール及び1,8−オクタンジオール等の直鎖アルコール)等の有機溶剤;アセチレングリコール系界面活性剤;アセチレンアルコール系界面活性剤;ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル等のエーテル系界面活性剤;ポリオキシエチレンオレイン酸、ポリオキシエチレンオレイン酸エステル、ポリオキシエチレンジステアリン酸エステル、ソルビタンラウレート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンセスキオレート、ポリオキシエチレンモノオレエート及びポリオキシエチレンステアレート等のエステル系界面活性剤;ジメチルポリシロキサン等のシリコン系界面活性剤;フッ素アルキルエステル及びパーフルオロアルキルカルボン酸塩等のフッ素系界面活性剤等の界面活性剤が挙げられる。浸透剤は1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0114】
その他添加剤としては、防腐剤及びpH調整剤等が挙げられる。
防腐剤としては、安息香酸ナトリウム、ペンタクロロフェノールナトリウム、2−ピリジンチオール−1−オキサイドナトリウム、ソルビン酸ナトリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム及び1,2―ジベンジンチアゾリン−3−オン等が挙げられる。
【0115】
pH調製剤としては、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウム、アンモニア、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム及び炭酸水素ナトリウム等が挙げられる。
【0116】
本発明の印刷インク(L)を用いた印刷方法としては、従来のプラスチック印刷に使用される印刷方法、例えば、グラビア印刷、インクジェット印刷、オフセット印刷及び感熱転写印刷等の印刷方法が挙げられる。これらの中でも特にインクジェット印刷が本発明の印刷インク(L)の印刷方法として好適である。
【0117】
本発明のポリウレタン樹脂水性分散体(Q)は、印刷インク以外にも、水性塗料、水性接着剤、水性繊維加工処理剤(不織布用バインダー、補強繊維用集束剤、抗菌剤用バインダー及び人工皮革・合成皮革用原料等)、水性コーティング及び水性紙処理剤等に使用することができる。
【0118】
これらの用途に用いる場合には、上記の顔料、保湿剤、浸透剤、防腐剤及びpH調製剤以外にも、必要によりその他の樹脂並びに架橋剤、粘度調整剤、レベリング剤、劣化防止剤、安定化剤及び凍結防止剤等を1種又は2種以上添加することができる。
【実施例】
【0119】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。尚、以下において部は重量部を表す。
【0120】
<ポリオレフィンポリオール(a11−1)の製造例>
<製造例1>
反応容器に、プロピレン94重量%、エチレン6重量%を構成単量体とするポリオレフィン[商品名「Vistamaxx3980」 、Exxonmobil社製]1000部を仕込み、液相に窒素通気しながら、マントルヒーターにて加熱溶融し、撹拌しながら370℃で90分間の条件で、熱減成を行い、ポリオレフィンを得た。ここに無水マレイン酸20部を仕込み、窒素置換後、窒素通気下に180℃まで加熱昇温して均一に溶解させ、ラジカル開始剤[ジクミルパーオキサイド、商品名「パークミルD」、日油(株)製]5部をキシレン50部に溶解させた溶液を5分間で滴下した後、キシレン還流下1時間撹拌を続けた。その後、減圧下(1.5kPa)で未反応の無水マレイン酸を留去して、酸変性ポリオレフィンを得た。同様の反応容器に、酸変性ポリオレフィン500部及び2−アミノエタノール32部を仕込み、窒素ガス雰囲気下、180℃で1時間反応させた。次いで180℃、2.7kPaの減圧下で未反応の2−アミノエタノールを留去し、水酸基変性ポリオレフィン(a11−1)を得た。(a11−1)の水酸基価は25、Mnは4,500であった。
【0121】
<ポリエステルポリオール(a12)の製造例>
<製造例2>
撹拌機、冷却管、窒素導入管、及び温度計を備えた反応容器に、テレフタル酸770部、1,2−プレピレングリコール880部、重合触媒としてテトラブトキシチタネート0.5部を仕込み、210℃で窒素気流下に生成する水と1,2−プレピレングリコールを留去しながら5時間反応させた後、5〜20mmHgの減圧下に1時間反応させた。得られた樹脂を室温まで冷却した後に粉砕し、化学式(3)で表される構成単位をポリオールの重量を基準として、76重量%含むポリエステルポリオール(a12−1)1000部を得た。(a12−1)のMnは1500であった。
【0122】
<製造例3>
撹拌機、冷却管、窒素導入管、及び温度計を備えた反応容器に、テレフタル酸498部、アジピン酸263部、3−メチル−1,5−ペンタンジオール1400部、重合触媒としてテトラブトキシチタネート0.5部を仕込み、210℃で窒素気流下に生成する水と3−メチル−1,5−ペンタンジオールを留去しながら5時間反応させた後、5〜20mmHgの減圧下に1時間反応させた。得られた樹脂を室温まで冷却した後に粉砕し、化学式(3)で表される構成単位をポリオールの重量を基準として、49重量%含むポリエステルポリオール(a12−2)1000部を得た。(a12−2)のMnは1500であった。
【0123】
<実施例1>
撹拌機及び加熱装置を備えた簡易加圧反応装置に(a11)としてのNISSO−PB
GI−2000[日本曹達(株)製]161.6部、(a2)としてのネオペンチルグリコール13.2部、(a3)としての2,2−ジメチロールプロピオン酸14.6部、有機ポリイソシアネート成分(B)としてのIPDI 99.9部、ウレタン化触媒としてネオスタンU−600[日東化成(株)製]0.07部及び反応用有機溶剤としてのメチルエチルケトン150.0部を仕込み、80℃で6時間攪拌してウレタン化反応を行い、イソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(P1)のメチルエチルケトン溶液を得た。更に得られたウレタンプレポリマー(P1)に製造例1で得られた(a12−1)60.6部を仕込み、80℃で4時間攪拌してウレタン化反応を行い、イソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(P2)のメチルエチルケトン溶液を製造した。
次いで、得られたウレタンプレポリマー(P2)のメチルエチルケトン溶液に中和剤としてのトリエチルアミン8.3部及び希釈用有機溶剤としてのメチルエチルケトン74.2部を加えて均一化した後、200rpmで撹拌しながら(a2)以外の鎖伸長剤(a4)及び水性媒体としての水485.4部を加え、ポリウレタンプレポリマーを水に分散させた。得られた分散体を50℃に加熱して4時間攪拌して水による伸長反応を行い、更に減圧下60℃に加熱してメチルエチルケトンを留去した。その後、得られた分散体を室温に冷却した後にジメチルシリコーン(E)としてのSM8706EX[固形分濃度37重量%、東レ・ダウコーニング(株)製]23.6部を加えて均一化し、水を加えて固形分濃度を30重量%に調製することでポリウレタン樹脂水性分散体(Q−1)得た。
【0124】
<実施例2〜11>
使用する原料及び使用量を表1に記載のものに変更する以外は実施例1と同様にして、ポリウレタン樹脂水性分散体(Q−2)〜(Q−11)を得た。
【0125】
<実施例12>
撹拌機及び加熱装置を備えた簡易加圧反応装置に(a11)としてのNISSO−PB
GI−2000[日本曹達(株)製]161.6部、製造例1で得られた(a12−1)60.6部、(a2)としてのネオペンチルグリコール13.2部、(a3)としての2,2−ジメチロールプロピオン酸14.6部、有機ポリイソシアネート成分(B)としてのIPDI 99.9部、ウレタン化触媒としてネオスタンU−600[日東化成(株)製]0.07部及び反応用有機溶剤としてのメチルエチルケトン150.0部を仕込み、80℃で6時間攪拌してウレタン化反応を行い、イソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(P)のメチルエチルケトン溶液を得た。
次いで、得られたウレタンプレポリマー(P)のメチルエチルケトン溶液に中和剤としてのトリエチルアミン8.3部及び希釈用有機溶剤としてのメチルエチルケトン74.2部、分散剤としてのナロアクティー CL120[三洋化成工業(株)製]35.0部を加えて均一化した後、200rpmで撹拌しながら(a2)以外の鎖伸長剤(a4)及び水性媒体としての水485.4部を加え、ポリウレタンプレポリマーを水に分散させた。得られた分散体を50℃に加熱して4時間攪拌して水による伸長反応を行い、更に減圧下60℃に加熱してメチルエチルケトンを留去した。その後、得られた分散体を室温に冷却した後にジメチルシリコーン(E)としてのSM8706EX[固形分濃度37重量%、東レ・ダウコーニング(株)製]23.6部を加えて均一化し、水を加えて固形分濃度を30重量%に調製することでポリウレタン樹脂水性分散体(Q−12)得た。
【0126】
<比較例1〜2>
使用する原料及び使用量を表1に記載のものに変更する以外は実施例1と同様にして、ポリウレタン樹脂水性分散体(Q’−1)及び(Q’−2)を得た。
【0127】
表1における各原料の組成は以下の通りである。
・NISSO−PB GI−2000:Mn=2000の水添ポリブタジエンジオール[
日本曹達(株)製];一般式(1)におけるR
1がエチル基である構成単位を有する。
・NISSO−PB G−2000:Mn=1900のポリブタジエンジオール[日本曹達(株)製];一般式(1)におけるR
1がビニル基である構成単位を有する。
・クラレポリオールP−2020:Mn=2000のポリ3−メチル−ペンタメチレンテレフタレート[クラレ(株)製];一般式(3)で表される構成単位を有する。
・クラレポリオールP−2010:Mn=2000のポリ3−メチル−ペンタメチレンアジペート[クラレ(株)製]
・サンニックスPP−2000:Mn=2000のポリオキシプロピレンジオール[三洋化成工業(株)製]
・Ymer N120:Mn=1,000のポリオキシエチレンポリオール[パーストープ社製]
・PTMG2000:Mn=2,000のポリテトラメチレンエーテルグリコール[三菱化学(株)製]
・SM8706EX:ジメチルシリコーンの水性エマルション(固形分濃度37重量%)[東レ・ダウコーニング(株)製]
・POLON MF−32:ジメチルシコーンの水性エマルション(固形分濃度31重量%)[信越化学(株)製]
・ネオスタンU−600:ビスマストリス(2−エチルへキサノエート)[日東化成(株)製]
・ナロアクティーCL120:ポリオキシアルキレンアルキルエーテル[三洋化成工業(株)製]
【0128】
【表1】
【0129】
ポリウレタン樹脂水性分散体(Q−1)〜(Q−12)及び(Q’−1)〜(Q’−2)について以下の方法で密着性を評価した結果をポリウレタン樹脂(U)の構成単位の重量割合と共に示す。
【0130】
<ポリウレタン樹脂(U)の密着性の評価方法>
表面処理ポリプロピレンフィルム(OPP)[東洋紡株式会社製「パイレンP−2161」(厚さ30μm)]、表面処理ポリエステルフィルム(PET)[東洋紡株式会社製「エスペットE−5102」(厚さ12μm)]及び表面処理ナイロンフィルム[東洋紡株式会社製「ハーデンN−1130」(厚さ15μm)]にポリウレタン樹脂水性分散体(Q−1)〜(Q−12)及び(Q’−1)〜(Q’−2)を乾燥後の厚みが2μmになるようにそれぞれバーコーターで塗布し、90℃で10分間乾燥させ、各プラスチックフィルム上にポリウレタン樹脂が塗工された試験片を作製した。作製した試験片のポリウレタン樹脂水性分散体の乾燥膜面にJIS K5600−5−6に準拠して、100個(10個×10個)のマスができるよう1mm幅にカッターナイフで切込みを入れ、透明感圧付着テープで剥離試験を行い、基材フィルムに残存したマス数をカウントした。残存マス数が多いほど、ポリウレタン樹脂の密着性に優れる。
【0131】
<実施例13〜22及び比較例3〜4>
実施例1〜12又は比較例1〜2で得られたポリウレタン樹脂水性分散体(Q−1)〜(Q−12)又は(Q’−1)〜(Q’−2)2.7部、顔料[カーボンブラック水分散体{東海カーボン(株)製「Aqua−Black162」、固形分濃度20重量%}]2.5部、保湿剤としてのグリセリン1.0部、トリエチレングリコール0.1部、浸透剤としての1,2−ヘキサンジオール0.1部及び水3.6部を容器に仕込み、10分間混合して、印刷インク(L−1)〜(L−12)及び比較用の印刷インク(L’−1)〜(L’−2)を作製した。
【0132】
印刷インク(L−1)〜(L−12)及び(L’−1)〜(L’−2)について以下の方法で密着性及び耐擦過性を評価した結果を表2に示す。
【0133】
<印刷インク(L)を使用した画像の密着性の評価方法>
ポリウレタン樹脂水性分散体の代わりに印刷インク(L−1)〜(L−12)及び(L’−1)〜(L’−2)使用する以外は、前記ポリウレタン樹脂(U)の密着性の評価方法と同じ方法で、印刷インクの密着性を評価した。
【0134】
<印刷インク(L)の耐擦過性の評価方法>
印刷インク(L)の密着性の評価で作製した試験片のポリウレタン樹脂水性分散体の乾燥膜面に対して、JIS L0849(II型)に規定された方法に準拠して乾燥試験及び湿潤試験を実施し、試験後の画像の剥がれ具合を目視で判断し、印刷インクの耐擦過性を以下の基準で評価した。
◎:画像の残存率が70〜100%
○:画像の残存率が50〜69%
×:画像の残存率が50%未満
【0135】
【表2】