特許第6965337号(P6965337)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6965337
(24)【登録日】2021年10月22日
(45)【発行日】2021年11月10日
(54)【発明の名称】置換スチレン誘導体を製造する方法
(51)【国際特許分類】
   C07C 37/00 20060101AFI20211028BHJP
   C07C 39/373 20060101ALI20211028BHJP
   C07C 39/20 20060101ALI20211028BHJP
【FI】
   C07C37/00
   C07C39/373
   C07C39/20
【請求項の数】7
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2019-506729(P2019-506729)
(86)(22)【出願日】2017年8月7日
(65)【公表番号】特表2019-524799(P2019-524799A)
(43)【公表日】2019年9月5日
(86)【国際出願番号】EP2017069926
(87)【国際公開番号】WO2018029140
(87)【国際公開日】20180215
【審査請求日】2020年8月4日
(31)【優先権主張番号】16183948.5
(32)【優先日】2016年8月12日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】507203353
【氏名又は名称】バイエル・クロップサイエンス・アクチェンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【弁理士】
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【弁理士】
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100143823
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 英彦
(74)【代理人】
【識別番号】100151448
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 孝博
(74)【代理人】
【識別番号】100183519
【弁理士】
【氏名又は名称】櫻田 芳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【弁理士】
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100203035
【弁理士】
【氏名又は名称】五味渕 琢也
(74)【代理人】
【識別番号】100185959
【弁理士】
【氏名又は名称】今藤 敏和
(74)【代理人】
【識別番号】100160749
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100202267
【弁理士】
【氏名又は名称】森山 正浩
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【弁理士】
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【弁理士】
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】ガレンカンプ,ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】フォード,マルク・ジェイムズ
【審査官】 高森 ひとみ
(56)【参考文献】
【文献】 特開平05−140137(JP,A)
【文献】 特開平03−188077(JP,A)
【文献】 特表2011−503117(JP,A)
【文献】 国際公開第2016/109359(WO,A3)
【文献】 特開2009−203224(JP,A)
【文献】 国際公開第2008/100651(WO,A2)
【文献】 特表2005−524678(JP,A)
【文献】 YAMAGUCHI, M. et al.,Ortho-Vinylation Reaction of Phenols with Ethyne,J. Org. Chem.,1998年,Vol.63, No.21,pp.7298-7305, Support Information pp.1-3,DOI:10.1021/jo980785f
【文献】 SRINIVAS, K. et al.,SYNTHESIS AND CHARACTERIZATION OF NOVEL AND POTENTIALN IMPURITIES OF DARIFENACIN, A POTENT MUSCARINIC M3 RECEPTOR ANTAGONIST,RASAYAN J. Chem.,2009年,Vol.2, No.1,pp.151-155
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C
CAplus/REGISTRY(STN)
CASREACT(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】
〔式中、Rは、Cl(Ia)、Br(Ib)又はメチル(Ic)である〕
で表される置換スチレン誘導体を調製する方法であって、式(II)
【化2】
〔式中、Rは、Cl、Br又はメチルである〕
で表されるジヒドロベンゾフラン誘導体を、アルコキシド塩基又は水酸化物塩基の存在下で加熱することにより反応させて、式(I)で表される化合物を生成させることを特徴とする、前記調製方法。
【請求項2】
式(I)及び式(II)のラジカルの定義が下記:
は、Clである;
のとおりであることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
使用する前記塩基が、カリウムtert−ブトキシド、ナトリウムtert−ブトキシド、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムメトキシド又は水酸化カリウムであることを特徴とする、請求項1及び2のいずれかに記載の方法。
【請求項4】
溶媒としてアミド溶媒若しくはエーテル溶媒を使用するか、又は、アミド溶媒とエーテル溶媒若しくは芳香族溶媒の混合物を使用することを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
使用する溶媒が、DMAc、DMF若しくはジグリムであるか、又は、DMAc若しくはDMFとTHF、2−メチル−THF、ジオキサン、DME、トルエン、キシレン、クロロベンゼン若しくは1,2−ジクロロベンゼンの混合物であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記反応に関して、溶媒と塩基の以下の組み合わせ:
(a) 水酸化カリウムと組み合わせたジグリム;
(b) 水酸化カリウムと組み合わせたDMAc;
(c) 水酸化カリウムと組み合わせたDMF;
(d) 水酸化カリウムと組み合わせた、DMAcとトルエン、キシレン、クロロベンゼン、1,2−ジクロロベンゼン、ジオキサン、DME、2−メチル−THF又はTHFの溶媒混合物;
(e) 水酸化カリウムと組み合わせた、DMFとトルエン、キシレン、クロロベンゼン、1,2−ジクロロベンゼン、ジオキサン、DME、2−メチル−THF又はTHFの溶媒混合物;
(f) カリウムtert−ブトキシドと組み合わせた、DMAc、DMF、THF、2−メチル−THF、ジオキサン、DME、アニソール若しくはジグリム又はこれら溶媒の混合物;
のうちの1種類を使用することを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の方法
【請求項7】
無機塩基として水酸化カリウムを使用し、及び、有機塩基としてカリウムtert−ブトキシドを使用することを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、置換されたスチレン誘導体を調製する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
置換されたスチレン誘導体が農薬活性成分の調製における有用な中間体であることは既に知られている(例えば、WO2012/025557を参照されたい)。
【0003】
そのような置換スチレン誘導体を調製するためのさまざまな方法が、該文献に記載されている。
【0004】
3−クロロ−2−ビニルフェノールを調製するための可能な方法は、WO2015/189114及びUS5424460に記載されている。その調製は、2,2,6−トリクロロ−1−ビニル−7−オキサビシクロ[4.1.0]ヘプタンを塩基性条件下で芳香族化することによって実施する。この方法の不利点は、2,2,6−トリクロロ−1−ビニル−7−オキサビシクロ[4.1.0]ヘプタンを調製するために有機金属試薬を使用すること、及び、さらに、この前駆物質が該調製の間にオリゴマー又はポリマーを形成する傾向を有しているということである。
【0005】
2−ビニルフェノール類を調製するための代替え的な一般的な可能性は、2,3−ジヒドロベンゾフラン類を塩基性条件下で開環させることからなる。例えば、2,3−ジヒドロベンゾフランを、HMPA又はDMSOの中で、20〜60℃の温度及び5時間の反応時間で、塩基としての2.3当量のLiNHで処理して、2−ビニルフェノールが収率95%で得られる(Doklady Akademii Nauk SSSR 1978, 239, 1357)。この方法の不利点は、極めて強い塩基としてLiNHを使用し、及び、溶媒としてHMPA又はDMSOを使用することであり、それは、これらの物質が工業的な使用には適していないからである。2,3−ジヒドロベンゾフランを、ジエチルエーテルの中で、35℃の温度及び45時間の反応時間で、塩基としての1.5当量のLiNEtで処理して、2−ビニルフェノールが25%の収率で得られる(Chem. Ber. 1960, 93, 1496)。この方法の不利点は、極めて強い塩基としてLiNEtを使用し、及び、溶媒としてジエチルエーテルを使用することであり、それは、これらの物質が工業的な使用には適していないからである。さらに、この方法で達成されるのは25%の2−ビニルフェノールという低い収率であり、及び、極めて長い反応時間が必要である。これらの理由により、該方法は、工業的な使用には適していない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際特許出願公開第2012/025557号
【特許文献2】国際特許出願公開第2015/189114号
【特許文献3】米国特許第5424460号
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Doklady Akademii Nauk SSSR 1978, 239, 1357
【非特許文献2】Chem. Ber. 1960, 93, 1496
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
置換されたスチレン誘導体は新規農薬活性成分を合成するための構成単位として重要であることから、取り組んだ課題は、工業規模で安価に使用することが可能で、上記で記載した不利点を回避する調製方法を見いだすことである。特定のスチレン誘導体を高収率且つ高純度で得て、その結果、目標化合物を好ましくは潜在的に複雑なさらなる精製に付す必要がないことも、望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的は、式(I):
【化1】
【0010】
〔式中、Rは、Cl(Ia)、Br(Ib)又はメチル(Ic)である〕
で表される置換スチレン誘導体を調製する方法によって達成され、ここで、該調製方法は、式(II)
【化2】
【0011】
〔式中、Rは、Cl、Br又はメチルである〕
で表されるジヒドロベンゾフラン誘導体を、アルコキシド塩基又は水酸化物塩基の存在下で加熱することにより反応させて、式(I)で表される化合物を生成させることを特徴とする。
【0012】
好ましいのは、式(I)及び式(II)のラジカルの定義が以下のとおりである、本発明の方法である:
は、Clである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明による反応は、スキーム1に示されている。
【0014】
スキーム1
【化3】
【0015】
一般式(I)で表される所望のスチレン誘導体は、本発明による方法で、良好な収率及び高い純度で得られる。
【0016】
本発明による方法は、上記で記載した方法と比較して、その出発物質を工業規模で調製することが可能であり、及び、驚くべきことに、該調製方法は水酸化カリウムなどの比較的弱い塩基を使用して首尾よく実施することが可能である、という有利点を有している。
【0017】
本発明による方法に関する有用な溶媒には、概して、当該反応条件下において不活性である任意の有機溶媒又は溶媒混合物が包含され、そして、そのような有機溶媒又は溶媒混合物としては、以下のものを挙げることができる:エーテル類(例えば:1,2−ジメトキシエタン(DME)、ジグリム、テトラヒドロフラン(THF)、2−メチル−THF、アニソール及び1,4−ジオキサン);アミド溶媒(例えば:DMF、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc))、及び、双極性非プロトン性溶媒(例えば:DMSO)。好ましくは、THF、2−メチル−THF、ジオキサン、DME、アニソール、ジグリム、DMF若しくはDMAcを使用するか、又は、DMAcとエーテル類の混合物若しくはDMAcと芳香族溶媒(例えば:トルエン、キシレン、クロロベンゼン又は1,2−ジクロロベンゼン)の混合物を使用する。特に好ましくは、DMAc、DMF若しくはジグリムを使用するか、又は、DMAc若しくはDMFとTHF、2−メチル−THF、ジオキサン、DME、トルエン、キシレン、クロロベンゼン若しくは1,2−ジクロロベンゼンの混合物を使用する。
【0018】
本発明による方法に関して有用なアルコキシド塩基の例としては、以下のものを挙げることができる:カリウムtert−ブトキシド、ナトリウムtert−ブトキシド、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、又は、カリウムメトキシド。本発明による方法に関して有用な水酸化物塩基の例としては、以下のものを挙げることができる:水酸化カリウム。好ましくは、水酸化カリウム、カリウムtert−ブトキシド、ナトリウムtert−ブトキシド又はナトリウムメトキシドを使用する。特に好ましくは、水酸化カリウム又はカリウムtert−ブトキシドを使用する。
【0019】
特に好ましいのは、上記で記載した溶媒及び塩基の群からなる以下の組み合わせである:
(a) 水酸化カリウムと組み合わせたジグリム;
(b) 水酸化カリウムと組み合わせたDMAc;
(c) 水酸化カリウムと組み合わせたDMF;
(d) 水酸化カリウムと組み合わせた、DMAcとトルエン、キシレン、クロロベンゼン、1,2−ジクロロベンゼン、ジオキサン、DME、2−メチル−THF又はTHFの溶媒混合物;
(e) 水酸化カリウムと組み合わせた、DMFとトルエン、キシレン、クロロベンゼン、1,2−ジクロロベンゼン、ジオキサン、DME、2−メチル−THF又はTHFの溶媒混合物;
(f) カリウムtert−ブトキシドと組み合わせた、DMAc、DMF、THF、2−メチル−THF、ジオキサン、DME、アニソール若しくはジグリム又はこれら溶媒の混合物。
【0020】
本発明による方法に関してとりわけ好ましいのは、溶媒と塩基の下記組み合わせである:DMAc又はジグリムと水酸化カリウム。
【0021】
本発明による方法における温度は、広い範囲内で変えることができる。慣習的な操作温度は、20℃〜120℃である。該反応は、好ましくは、80℃〜120℃の範囲内の温度で実施する。該反応は、特に好ましくは、100℃〜120℃の範囲内の温度で実施する。
【0022】
本発明による方法は、典型的には、標準圧下で実施する。該反応は、減圧下又は高圧(陽圧)下で実施することも可能である。
【0023】
式(II)で表される化合物と上記で記載した群の塩基のモル比は、広い範囲内で変えることができる。典型的には、1:1〜1:5のモル比を使用する。カリウムtert−ブトキシドなどの有機塩基の場合、1:1〜1:1.5のモル比が好ましい特に好ましいのは、1:1.1のモル比である。水酸化カリウムなどの無機塩基の場合、1:2〜1:4のモル比が好ましい特に好ましいのは、1:3のモル比である。
【0024】
該反応時間は、短く、そして、約0.5〜約5時間の範囲内である。それより長い反応時間も可能であるが、経済的な価値がない。
【0025】
式(I)で表される化合物は、単離しない。式(I)で表される化合物は、直接(塩基として、カリウムtert−ブトキシドを使用する場合)、又は、中間的な後処理の後で(塩基として、水酸化カリウムを使用する場合)、さらに反応させて、式(III)で表される化合物とする(スキーム2)。式(III)で表される化合物を生成させるための該反応は、WO2015/189114に記載されているようにして実施する。
【0026】
下記反応スキームは、好ましくは、式(III)で表される化合物を調製するために実施する:
スキーム2:は、Cl、Br又はメチルである
【化4】
【0027】
[実施例]
実施例
以下の実施例によって、本発明についてさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0028】
3−クロロ−2−ビニルフェノール(Ia)
4−クロロ−2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン(IIa)(19.0g、114.3mmol)をN,N−ジメチルアセトアミド(75mL)に溶解させた溶液に、20℃で、水酸化カリウム粉末(85%、22.6g、342.9mmol)を添加し、その混合物を120℃まで加熱し、その温度で1時間撹拌する。その反応混合物を約10〜15℃まで冷却し、水(150mL)で希釈し、37%塩酸(40mL)をゆっくりと添加することによってpHを1にした。その水相をトルエン(毎回100mL)で2回抽出し、その有機相を合して10%塩酸(30mL)で1回洗浄し、減圧下で残留量が約100mLになるまで濃縮した。そのようにして得られた溶液を直接次の段階で使用する。3−クロロ−2−ビニルフェノールに関する分析データは、以下のとおりである:H−NMR(CDCl,400MHz)δ(ppm)=7.08(dd,J=8.0,8.0Hz,1H),6.96(d,J=8.0Hz,1H),6.84(d,J=8.0Hz,1H),6.79(dd,J=12.0Hz,12.0Hz,1H),5.74(d,J=12.0Hz,1H),5.73(s,1H),5.68(d,J=12.0Hz,1H)。
【0029】
3−ブロモ−2−ビニルフェノール(Ib)
H−NMR(DMSO−d6,400MHz)δ(ppm)=10.20(s,1H),7.08(dd,J=8.0,1.3Hz,1H),6.99(t,J=8.0Hz,1H),6.89(dd,J=8.0,1.0Hz,1H),6.77(dd,J=17.8,12.1Hz,1H),6.08(dd,J=17.8,2.5Hz,1H),5.51(dd,J=12.1,2.5Hz,1H)。
【0030】
3−メチル−2−ビニルフェノール(Ic)
H−NMR(DMSO−d6,400MHz)δ(ppm)=9.45(s,1H),6.93(t,J=7.8Hz,1H),6.73(dd,J=17.9,11.8Hz,1H),6.69(d,J=7.8,1.0Hz,1H),6.63(d,J=7.8Hz,1H),5.76(dd,J=17.9,2.5Hz,1H),5.41(dd,J=11.9,2.5Hz,1H),2.27(s,3H)。
【0031】
3−クロロ−2−ビニルフェニル メタンスルホネート(IIIa)
上記段階で得られた(Ia)のトルエン溶液を0〜5℃まで冷却し、トリエチルアミン(17.5mL、125.7mmol)を添加した。トルエン中のメタンスルホニルクロリドの50%溶液(9.7mL、125.7mmol)を0〜5℃の温度で1時間かけて計量添加し、添加が完了した後、その混合物を20℃で30分間撹拌した。次いで、その反応混合物を、10%塩酸(50mL)を10〜15℃でゆっくりと添加してpHを1とし、その水相をトルエン/tert−ブチルメチルエーテル(4:1)(毎回50mL)で2回抽出した。その有機相を合して減圧下で濃縮し、その残渣をエタノール(15mL)から再結晶させた(23.7g、理論値の89%)。H−NMR(CDCl,400MHz)δ(ppm)=7.36(dd,J=8.0,1.2Hz,1H),7.34(dd,J=8.0,1.2Hz,1H),7.23(t,J=8.0Hz,1H),6.76(dd,J=18.0Hz,11.7Hz,1H),5.91(dd,J=18.0,1.6Hz,1H),5.73(dd,J=11.8,1.4Hz,1H),3.11(s,3H)。
【0032】
3−ブロモ−2−ビニルフェニル メタンスルホネート(IIIb)
H−NMR(CDCl,400MHz)δ(ppm)=7.56(dd,J=8.1,1.1Hz,1H),7.38(dd,J=8.1,1.1Hz,1H),7.16(t,J=8.1Hz,1H),6.72(dd,J=18.0Hz,11.8Hz,1H),5.84(dd,J=18.0,1.4Hz,1H),5.71(dd,J=11.6,1.4Hz,1H),3.11(s,3H)。
【0033】
3−メチル−2−ビニルフェニル メタンスルホネート(IIIc)
H−NMR(CDCl,400MHz)δ(ppm)=7.23(dd,J=7.8,1.8Hz,1H),7.18(t,J=7.8Hz,1H),7.14(dd,J=7.5,1.4Hz,1H),6.71(dd,J=17.8Hz,11.8Hz,1H),5.65(dd,J=11.8,1.6Hz,1H),5.63(dd,J=17.8,1.6Hz,1H),3.09(s,3H),2.37(s,3H)。